JP2015529335A - 心臓毒性剤の同定におけるマーカーの使用 - Google Patents

心臓毒性剤の同定におけるマーカーの使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、心不全および心筋症などの心血管疾患の診断および予後診断のため、ならびに心血管疾患の処置のモニタリングのための方法を提供する。本発明はさらに、CCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1種以上のバイオマーカー、または本明細書に提供される他のバイオマーカーのいずれかを用いることにより、心筋症または心不全を処置するための薬剤を同定するため、心臓毒性剤を同定するため、および薬物誘導性毒性を軽減または防止するための救助剤を同定するための方法を提供する。本発明はさらに、本発明の方法を実施するためのキットを提供する。【選択図】なし

Description

関連出願との相互参照
本出願は、2012年9月12日に出願された米国特許仮出願第61/700327号;2012年9月27日に出願された同第61/706611号;2012年11月15日に出願された同第61/727104号;2012年11月16日に出願された同第61/727115号;および2012年11月30日に出願された同第61/732105号に対する優先権を主張する。これらの出願はそれぞれ、その全体が参照により本明細書に組込まれるものとする。
技術分野
本発明は、心臓毒性剤の同定におけるマーカーの使用に関する。
心血管疾患(心臓疾患とも呼ばれる)は、心臓、血管系(動脈、毛細血管、および静脈)またはその両方に作用する疾患のクラスである。心血管疾患は、心血管系に影響する任意の疾患、原理的には、心臓疾患、脳および腎臓の血管疾患、ならびに末梢動脈疾患を指してもよい。心血管疾患の原因は多様であるが、アテローム性動脈硬化症および/または高血圧が最も一般的である。さらに、加齢と共に、心血管機能を変化させるいくつかの生理的および形態学的変化が現れ、次いで、健康な無症状の個体においても心血管疾患の高いリスクをもたらす。
心筋症は、心筋の疾患を指す。これらの疾患は多くの原因、兆候および症状、ならびに処置を有する。心筋症においては、心筋が拡張、肥大、または硬直する。稀な事例では、心臓内の筋肉組織が瘢痕組織と置きかわる。心筋症が悪化するにつれて、心臓は弱くなる。身体に血液をポンプ送出し、正常な電気的リズムを維持することができなくなる。これは心不全または不整脈と呼ばれる不規則な心拍をもたらし得る。次いで、心不全は、肺、足首、足、脚、または腹部における液体の増加を引き起こし得る。心臓の弱体化はまた、心臓弁の問題などの他の合併症も引き起こし得る。
主な種類の心筋症は、拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、および催不整脈性右室異形成である。他の種類の心筋症は、「分類不能心筋症」と呼ばれることもある。心筋症は後天的なものまたは遺伝性のものであってもよく、肥大型心筋症および催不整脈性右室異形成は実質的に遺伝性障害である。いくらかの被験体においては、遺伝性心筋症は、破局的事象(例えば、心臓発作)の出現まで明らかではない。しかしながら、遺伝性心筋症のいくつかの既知の家族歴の非存在下では、心筋症の診断およびモニタリングが病歴および家族歴、身体検査、血液検査、ならびに胸部x線などの画像分析および機能分析、EKG(心電図)、ホルターおよびイベントモニター、心エコー検査、ストレステスト、心臓カテーテル、冠動脈造影、心筋生検、および遺伝子検査の組合せを用いて実施されるため、一般的な集団スクリーニングは実用的ではない。
心筋症は、他の疾患もしくは状態により、または様々な毒素もしくは薬物により誘導され得る。例えば、拡張型心筋症は、冠動脈性心疾患、心臓発作、高血圧、糖尿病、甲状腺疾患、ウイルス性肝炎、およびHIV;感染、特に、心筋の炎症を起こすウイルス感染が心筋症をもたらし得る;特に、貧しい食生活に伴うアルコール摂取;妊娠最終月中または出産の5ヶ月以内の合併症;コバルトなどの特定の毒素;ならびに特定の薬物(コカインおよびアンフェタミンなど)および化学療法剤(例えば、ドキソルビシンおよびダウノルビシンなどのアントラサイクリン)および突然の心筋症事象をもたらし得る、糖尿病の処置のための薬物の結果生じ得る。拘束型心筋症は、ヘモクロマトーシス、サルコイドーシス、アミロイドーシス、および結合組織障害などの状態、ならびに放射線および化学療法などのいくつかのがん処置の結果生じ得る。
心臓毒性は、薬物の開発および認可における重大な障害である。製薬業界は現在、臨床開発に入る潜在的な化合物の90%の自然減に直面しており、そのうちの30%は不十分な臨床安全性によるものである(Kolaら(2004) Nat Rev Drug Discovery:3 711-715)。米国においては、致命的有害薬物反応(ADR)は、4〜6番目の主な死因である。ADRに直接起因する費用は、米国においては1年あたりの直接の病院費用に15.6億ドル〜40億ドルの追加をもたらし得る(Lazarou Jら(1998) JAMA; 279(15):1200-1225)。薬物探索および開発の費用は、臨床開発後期における化合物およびNMEの自然減の増加に一部起因して、約10億ドルに増加している(Adams CP, Brantner VV (2010) Spending on New Drug Development. Health Econ. 19: 130-141)。薬物開発において早期に毒性を予測するのに役立ち得る信頼できる手段の欠如は、一部は費用の増加およびより低い投資利益率のせいである。さらに、薬物の安全性問題は、製薬業界における訴訟および調停の増加の主因である。2009年1月から2011年5月の間に、製薬業界は薬物の安全性問題に関する訴訟事例に80億ドル以上費やした。
初期臨床試験および薬物開発における化合物の「早期中止政策(kill early policy)」を増加させるために、FDAは現在、製薬業界および社会に対して、非常に革新的な戦略を採用するよう奨励している。FDA白書「Innovation or Stagnation: Challenges and Opportunity on the Critical Path to New Medical Projects」は、「動物またはコンピュータに基づく予測モデル、安全性および有効性のためのバイオマーカーなどの強力な新しい科学的および技術的方法、ならびに新しい臨床評価技術を含む新製品開発ツールキットが、実験室概念から商業製品への重要な経路に沿って予測性および効率性を改善することが緊急に必要である」と述べている(FDA、2005)。FDAの宣言は、薬物開発を行う効率的な決定を補助することができる革新的技術の欠如を明確に強調している。
心臓毒性は、治療分子などの薬剤により誘導される心機能に対する広範囲の有害作用を指す。心臓毒性は、前臨床試験の早期に出現するか、または臨床設定の後期に明らかとなる場合がある。それは薬物離脱の主因であり、1994年以来、あらゆる薬物離脱の45%以上を占め、薬物開発にとって有意な財政負担をもたらす。心臓毒性は、QT期間の増加、不整脈、心筋虚血、高血圧と血栓塞栓性合併症、および心筋機能障害などの状態をもたらす。
FDAによって現在用いられている心臓安全性バイオマーカーとしては、QTc延長-電気生理学的不整脈、循環トロポニンc、心拍数、血圧、脂質、トロポニン、C反応性タンパク質(CRP)、脳またはB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、ex vivo血小板凝集、および画像化バイオマーカー(心臓磁気共鳴画像化)が挙げられる。QTc延長は非常に強固であるが、複雑なマーカーである。しかしながら、初期開発において薬物を中止するか、または持続するかどうかに関する決定を、QTcのみに基づいて行うのは困難である。さらに、QTcは主観的であり、頻脈性不整脈をもたらし得る基礎となる病理に依存する。
従って、薬物および薬物候補の心臓安全性の分析のための新規バイオマーカー、心筋症および心不全などの心血管疾患に対する被験体における存在または素因に関するバイオマーカーの有意な必要性が存在する。
本発明は、少なくとも部分的には、いくつかのマーカーが心血管疾患、特に、心筋症、例えば、心臓毒性剤への曝露と関連する心筋症に罹患する被験体において示差的に調節されるという出願人の発見に基づくものである。本発明はまた、少なくとも部分的には、心血管疾患、特に、心筋症、例えば、心臓毒性剤への曝露と関連する心筋症を検出する際の最も強力な予測力を有するマーカーの特定の組合せの発見に基づくものである。
本発明は、本明細書で提供されるマーカー、またはマーカーの組合せを用いて、哺乳動物において、心血管疾患を診断する、心血管疾患の進行または心血管疾患の処置をモニタリングする、心血管疾患を予後診断する、心血管疾患を処置する、心血管疾患の症状を軽減する、心血管疾患の進行を阻害する、および心血管疾患を防止するための方法を提供する。本発明はまた、本明細書で提供される、マーカー、またはマーカーの組合せを用いて、心血管疾患を調節するための薬剤をスクリーニングするための方法も提供する。本発明は、心臓毒性剤、例えば、心血管疾患を引き起こすか、または誘導する薬剤をスクリーニングするか、または同定するための方法をさらに提供する。本発明の好ましい実施形態においては、心血管疾患は、心不全または心臓毒性剤への曝露と関連する心筋症などの心筋症である。
本発明は、被験体における心血管疾患を診断するための方法であって、
(1)被験体に由来する生物試料中のCCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1種以上の心血管疾患(CVD)関連バイオマーカーのレベルを検出すること;ならびに
(2)被験体に由来する生物試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルと、対照試料中の1種以上の対応するCVD関連バイオマーカーのレベルとを比較すること
を含み、対照試料と比較した生物試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルの変化が、被験体が心血管疾患に罹患していることを示す、前記方法を提供する。
本発明は、被験体が心血管疾患を発症する危険性が高いと同定するための方法であって、
(1)被験体に由来する生物試料中のCCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1種以上の心血管疾患(CVD)関連バイオマーカーのレベルを検出すること;ならびに
(2)被験体に由来する生物試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルと、対照試料中の1種以上の対応するCVD関連バイオマーカーのレベルとを比較すること
を含み、対照試料と比較した生物試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルの変化が、被験体が心筋症を発症する危険性が高いことを示す、前記方法を提供する。
本発明はまた、被験体における心血管疾患をモニタリングするための方法であって、
(1)心血管疾患を有する被験体から第1の時間に得られた第1の生物試料中のCCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1種以上の心血管疾患(CVD)関連バイオマーカーのレベルを検出すること;
(2)第1の時間よりも後である第2の時間に被験体から得られた第2の生物試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを検出すること;ならびに
(3)第2の試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルと、第1の試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルとを比較すること
を含み、第1の試料と比較した第2の試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルの変化が、被験体におけるCVD状態の変化を示す、前記方法も提供する。
本発明は、被験体における心血管疾患の処置(治療)をモニタリングするための方法であって、
(1)心血管疾患を有する被験体から第1の時間に得られた第1の生物試料中のCCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1種以上の心血管疾患(CVD)関連バイオマーカーのレベルを検出すること;
(2)第1の時間よりも後である第2の時間に被験体から得られた第2の生物試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを検出すること;ならびに
(3)第2の試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルと、第1の試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルとを比較すること
を含み、第1の試料と比較した第2の試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルの正常化が、処置レジメンが被験体における心血管疾患を処置するのに有効であることを示す、前記方法をさらに提供する。
特定の実施形態においては、心血管疾患は、心筋症を含む。特定の実施形態においては、心筋症は、拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、および催不整脈性右室異形成からなる群から選択される少なくとも1つの状態である。特定の実施形態においては、心筋症は、QT期間の増大、不整脈、心筋虚血、高血圧と血栓塞栓性合併症、心筋機能障害、心筋症、心不全、心房細動、心筋症と心不全、心不全とLV機能障害、心房粗動と心房細動、心臓弁損傷と心不全からなる群から選択される少なくとも1つの状態を含む。特定の実施形態においては、心筋症は、遺伝性心筋症である。
特定の実施形態においては、心筋症は、後天性心筋症である。特定の実施形態においては、後天性心筋症は、被験体における1種以上のさらなる疾患または状態との併存疾患である。特定の実施形態においては、後天性心筋症は、被験体における1種以上のさらなる疾患または状態との併存疾患ではない。特定の実施形態においては、被験体における1種以上のさらなる疾患または状態は、冠動脈性心疾患、心臓発作、高血圧、糖尿病、甲状腺疾患、ウイルス性肝炎、HIV1、心筋の炎症を起こすウイルス感染、ヘモクロマトーシス、サルコイドーシス、アミロイドーシス、および結合組織障害からなる群から選択される。
特定の実施形態においては、後天性心筋症は、心臓毒への被験体の曝露の結果である。特定の実施形態においては、心臓毒は、環境性心臓毒である。特定の実施形態においては、心臓毒は、心臓毒性薬である。特定の実施形態においては、心臓毒性薬は、過剰のアルコール、アンフェタミン、抗がん剤、化学療法剤、糖尿病薬、神経薬、抗炎症薬、ビスホスホネート、およびTNF拮抗薬からなる群から選択される。特定の実施形態においては、抗がん剤は、シスプラチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、アントラサイクリン、5-フルオロウラシル、トラスツズマブまたはゲムシタビンからなる群から選択される。特定の実施形態においては、糖尿病薬は、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン、カベルゴリンからなる群から選択される。特定の実施形態においては、薬物は、心臓毒性薬ペルゴリドまたはスマトリプタンである。
特定の実施形態においては、心血管疾患は心不全を含む。
特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、CCDC47またはHMOX1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、CCDC47およびHMOX1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、PTX3をさらに含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、PAI1をさらに含む。
特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される少なくとも1つの脂質バイオマーカーをさらに含む。特定の実施形態においては、脂質は、PC-Li-183-D18:2-22:6を含む。
特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、1A69、1C17、ACBD3、ACLY、ACTR2、ANXA6、ANXA7、AP2A1、ARCN1、ASNA1、ATAD3A、ATP5A、ATP5B、ATP5D、ATP5F1、ATP5H、ATPIF1、BSG、C14orf166、CA2D1、CAPN1、CAPZA2、CARS、CCDC22、CCDC47、CCT7、CLIC4、CMPK1、CNN2、CO1A2、CO6A1、COTL1、COX6B1、CRTAP、CS010、CTSA、CTSB、CYB5、DDX1、DDX17、DDX18、DLD、EDIL3、EHD2、EIF4A3、ENO2、EPHX1、ETFA、FERMT2、FINC、FKB10、FKBP2、FLNC、G3BP2、GOLGA3、GPAT1、GPSN2、GRP75、GRP78、HMOX1、HNRNPD、HNRNPH1、HNRPG、HPX、HSP76、HSP90AB1、HSPA1A、HSPA4、HSPA9、IBP7、IDH1、IQGAP1、ITB1、ITGB1、KARS、KIF5B、KPNA3、KPNB1、LAMC1、LGALS1、LMO7、M6PRBP1、MACF1、MAP1B、MARS、MDH1、MPR1、MTHFD1、MYH10、NCL、NHP2L1、NUCB1、OLA1、P08621、P3H1、P4HA2、P4HB、SEC61A1 (P61619)、PAI1、PAPSS2、PCBP2、PDCD6、PDIA1、PDIA3、PDIA3、PDIA4、PDLIM7、PEBP1、PFKM、PH4B、PLIN2、POFUT1、PRKDC、PSMA1、PSMA7、PSMD12、PSMD3、PSMD4、PSMD6、PSME2、PTBP1、Q9BQE5、Q9Y262、RAB1B、RP515A、RPL32、RPL7A、RPL8、RPS25、RPS6、RRAS2、RRP1、SAR1B、SDHA、SENP1、SEPT11、SEPT7、SERPH、SERPINE1、SFRS2、SH3BGRL、SNRPB、SNX12、SOD1、SPRC、ST13、SUB1、SYNCRIP、TAGLN、TAZ、TGM2、TIMP1、TLN1、TPM4、TRAP1、TSP1、TTLL12、TXNDC12、UBA1C、UGDH、UGP2、UQCRH、VAMP3、およびVAPAからなる群から選択される少なくとも1つのCVD関連バイオマーカーをさらに含む。
特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、CCDC47を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、EDIL3を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprinを含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、HMOX1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、NUCB1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、PTX3、IL27、およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、IL27、およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、およびIL27を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、およびPTX3を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、およびCCDC47を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1およびIGFBP7を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、EmmprinおよびHMOX1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、EDIL3、NUCB1、CFL2およびPTX3を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、NUCB1、CFL2およびPTX3を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、NUCB1およびPTX3を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、NUCB1およびCFL2を含む。
特定の実施形態においては、正常な被験体と比較したPTX3、PAI1、EDIL3およびNUCB1からなる群から選択される少なくとも1つの心血管疾患マーカーのレベルの低下は、被験体が心血管疾患に罹患しているか、または心血管疾患を発症する危険性が高いことを示す。
特定の実施形態においては、正常な被験体と比較したHMOX1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、およびCCFC47からなる群から選択される少なくとも1つの心血管疾患マーカーのレベルの増加は、被験体が心血管疾患に罹患しているか、または心血管疾患を発症する危険性が高いことを示す。
特定の実施形態においては、正常な被験体と比較したPE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3、LPC20:3、および18:0-20:3からなる群から選択される少なくとも1つの心血管疾患マーカーのレベルの低下は、被験体が心血管疾患に罹患しているか、または心血管疾患を発症する危険性が高いことを示す。
特定の実施形態においては、正常な被験体と比較したPTX3、PAI1、EDIL3およびNUCB1からなる群から選択される少なくとも1つの心血管疾患マーカーのレベルの増加は、被験体が心血管疾患に罹患していないか、または心血管疾患を発症する危険性が高くないことを示す。
特定の実施形態においては、正常な被験体と比較したHMOX1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、およびCCFC47からなる群から選択される少なくとも1つの心血管疾患マーカーのレベルの低下は、被験体が心血管疾患に罹患していないか、または心血管疾患を発症する危険性が高くないことを示す。
特定の実施形態においては、正常な被験体と比較したPE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3、LPC20:3、および18:0-20:3からなる群から選択される少なくとも1つの心血管疾患マーカーのレベルの増加は、被験体が心血管疾患に罹患していないか、または心血管疾患を発症する危険性が高くないことを示す。
本発明は、心血管疾患(CVD)関連バイオマーカーのセットを検出するための方法であって、
(1)CCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6を含むCVD関連バイオマーカーのセットの2種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルについて、被験体に由来する生物試料を分析すること;
(2)生物試料中の2種以上のCVD関連バイオマーカーのそれぞれを検出することによって、CVD関連バイオマーカーのセットを検出すること
を含む、前記方法を提供する。
特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、CCDC47またはHMOX1を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、CCDC47およびHMOX1を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、PTX3を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、PAI1を含む。
特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される少なくとも1つの脂質バイオマーカーをさらに含む。特定の実施形態においては、脂質は、PC-Li-183-D18:2-22:6を含む。
特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、1A69、1C17、ACBD3、ACLY、ACTR2、ANXA6、ANXA7、AP2A1、ARCN1、ASNA1、ATAD3A、ATP5A、ATP5B、ATP5D、ATP5F1、ATP5H、ATPIF1、BSG、C14orf166、CA2D1、CAPN1、CAPZA2、CARS、CCDC22、CCDC47、CCT7、CLIC4、CMPK1、CNN2、CO1A2、CO6A1、COTL1、COX6B1、CRTAP、CS010、CTSA、CTSB、CYB5、DDX1、DDX17、DDX18、DLD、EDIL3、EHD2、EIF4A3、ENO2、EPHX1、ETFA、FERMT2、FINC、FKB10、FKBP2、FLNC、G3BP2、GOLGA3、GPAT1、GPSN2、GRP75、GRP78、HMOX1、HNRNPD、HNRNPH1、HNRPG、HPX、HSP76、HSP90AB1、HSPA1A、HSPA4、HSPA9、IBP7、IDH1、IQGAP1、ITB1、ITGB1、KARS、KIF5B、KPNA3、KPNB1、LAMC1、LGALS1、LMO7、M6PRBP1、MACF1、MAP1B、MARS、MDH1、MPR1、MTHFD1、MYH10、NCL、NHP2L1、NUCB1、OLA1、P08621、P3H1、P4HA2、P4HB、SEC61A1 (P61619)、PAI1、PAPSS2、PCBP2、PDCD6、PDIA1、PDIA3、PDIA3、PDIA4、PDLIM7、PEBP1、PFKM、PH4B、PLIN2、POFUT1、PRKDC、PSMA1、PSMA7、PSMD12、PSMD3、PSMD4、PSMD6、PSME2、PTBP1、Q9BQE5、Q9Y262、RAB1B、RP515A、RPL32、RPL7A、RPL8、RPS25、RPS6、RRAS2、RRP1、SAR1B、SDHA、SENP1、SEPT11、SEPT7、SERPH、SERPINE1、SFRS2、SH3BGRL、SNRPB、SNX12、SOD1、SPRC、ST13、SUB1、SYNCRIP、TAGLN、TAZ、TGM2、TIMP1、TLN1、TPM4、TRAP1、TSP1、TTLL12、TXNDC12、UBA1C、UGDH、UGP2、UQCRH、VAMP3、およびVAPAからなる群から選択される少なくとも1つのCVD関連バイオマーカーをさらに含む。
特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、CCDC47を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、EDIL3を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprinを含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、HMOX1を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、NUCB1を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、PTX3、IL27、およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、IL27、およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、およびIL27を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、およびPTX3を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、およびCCDC47を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1およびIGFBP7を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、EmmprinおよびHMOX1を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、EDIL3、NUCB1、CFL2およびPTX3を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、NUCB1、CFL2およびPTX3を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、NUCB1およびPTX3を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、NUCB1およびCFL2を含む。
特定の実施形態においては、生物試料中の1種以上のCVD関連マーカーのレベルを検出または決定する方法は、生物試料の成分を単離することを含む。
特定の実施形態においては、生物試料中の1種以上のCVD関連マーカーのレベルを検出または決定する方法は、生物試料の成分を標識することを含む。
特定の実施形態においては、生物試料中の1種以上のCVD関連マーカーのレベルを検出または決定する方法は、生物試料を加工することを含む。
特定の実施形態においては、生物試料中の2種以上のCVD関連マーカーのレベルを検出または決定する方法は、検出されるCVD関連マーカーをCVD関連マーカー結合剤と接触させることを含む。
特定の実施形態においては、生物試料中の1種以上のCVD関連マーカーのレベルを検出または決定する方法は、検出されるCVD関連マーカーと、CVD関連マーカー結合剤との複合体を形成することを含む。
特定の実施形態においては、生物試料中の1種以上のCVD関連マーカーのレベルを検出または決定する方法は、1種以上のCVD関連マーカーのそれぞれを、CVD関連マーカー結合剤と接触させることを含む。
特定の実施形態においては、生物試料中の1種以上のCVD関連マーカーのレベルを検出または決定する方法は、1種以上のCVD関連マーカーのそれぞれと、CVD関連マーカー結合剤との複合体を形成することを含む。
特定の実施形態においては、生物試料中の1種以上のCVD関連マーカーのレベルを検出または決定する方法は、検出されるCVD関連マーカーを固相表面に付着させることを含む。
本発明は、検出方法における使用のための試薬のパネルであって、パネルが少なくとも2つの検出試薬を含み、それぞれの検出試薬がCVD関連バイオマーカーのセットの少なくとも1つの心血管疾患(CVD)関連マーカーの検出に特異的であり、CVD関連バイオマーカーのセットがCCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される2種以上のCVD関連バイオマーカーを含む、前記パネルを提供する。
特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、CCDC47またはHMOX1を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、CCDC47およびHMOX1を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、PTX3をさらに含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、PAI1をさらに含む。
特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される少なくとも1つの脂質バイオマーカーをさらに含む。特定の実施形態においては、脂質は、PC-Li-183-D18:2-22:6を含む。
特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、1A69、1C17、ACBD3、ACLY、ACTR2、ANXA6、ANXA7、AP2A1、ARCN1、ASNA1、ATAD3A、ATP5A、ATP5B、ATP5D、ATP5F1、ATP5H、ATPIF1、BSG、C14orf166、CA2D1、CAPN1、CAPZA2、CARS、CCDC22、CCDC47、CCT7、CLIC4、CMPK1、CNN2、CO1A2、CO6A1、COTL1、COX6B1、CRTAP、CS010、CTSA、CTSB、CYB5、DDX1、DDX17、DDX18、DLD、EDIL3、EHD2、EIF4A3、ENO2、EPHX1、ETFA、FERMT2、FINC、FKB10、FKBP2、FLNC、G3BP2、GOLGA3、GPAT1、GPSN2、GRP75、GRP78、HMOX1、HNRNPD、HNRNPH1、HNRPG、HPX、HSP76、HSP90AB1、HSPA1A、HSPA4、HSPA9、IBP7、IDH1、IQGAP1、ITB1、ITGB1、KARS、KIF5B、KPNA3、KPNB1、LAMC1、LGALS1、LMO7、M6PRBP1、MACF1、MAP1B、MARS、MDH1、MPR1、MTHFD1、MYH10、NCL、NHP2L1、NUCB1、OLA1、P08621、P3H1、P4HA2、P4HB、SEC61A1 (P61619)、PAI1、PAPSS2、PCBP2、PDCD6、PDIA1、PDIA3、PDIA3、PDIA4、PDLIM7、PEBP1、PFKM、PH4B、PLIN2、POFUT1、PRKDC、PSMA1、PSMA7、PSMD12、PSMD3、PSMD4、PSMD6、PSME2、PTBP1、Q9BQE5、Q9Y262、RAB1B、RP515A、RPL32、RPL7A、RPL8、RPS25、RPS6、RRAS2、RRP1、SAR1B、SDHA、SENP1、SEPT11、SEPT7、SERPH、SERPINE1、SFRS2、SH3BGRL、SNRPB、SNX12、SOD1、SPRC、ST13、SUB1、SYNCRIP、TAGLN、TAZ、TGM2、TIMP1、TLN1、TPM4、TRAP1、TSP1、TTLL12、TXNDC12、UBA1C、UGDH、UGP2、UQCRH、VAMP3、およびVAPAからなる群から選択される少なくとも1種のCVD関連バイオマーカーをさらに含む。
特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、CCDC47を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、EDIL3を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprinを含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、HMOX1を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、NUCB1を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、PTX3、IL27およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、IL27、およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、およびIL27を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、およびPTX3を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、HMOX1、IGFBP7、およびCCDC47を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1およびIGFBP7を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、EmmprinおよびHMOX1を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、EDIL3、NUCB1、CFL2およびPTX3を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、NUCB1、CFL2およびPTX3を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、NUCB1およびPTX3を含む。特定の実施形態においては、2種以上のCVD関連バイオマーカーは、NUCB1およびCFL2を含む。本発明は、本発明の方法のいずれかにおける本発明のパネルの使用を提供する。
本発明は、被験体における心血管疾患の診断、モニタリング、または特性評価のためのキットであって、
CCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される少なくとも1種のCVD関連マーカーのレベルの検出に特異的な少なくとも1つの試薬
を含む、前記キットを提供する。
特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、CCDC47またはHMOX1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、CCDC47およびHMOX1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、PTX3をさらに含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、PAI1をさらに含む。
特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される少なくとも1つの脂質バイオマーカーをさらに含む。特定の実施形態においては、脂質は、PC-Li-183-D18:2-22:6を含む。
特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、1A69、1C17、ACBD3、ACLY、ACTR2、ANXA6、ANXA7、AP2A1、ARCN1、ASNA1、ATAD3A、ATP5A、ATP5B、ATP5D、ATP5F1、ATP5H、ATPIF1、BSG、C14orf166、CA2D1、CAPN1、CAPZA2、CARS、CCDC22、CCDC47、CCT7、CLIC4、CMPK1、CNN2、CO1A2、CO6A1、COTL1、COX6B1、CRTAP、CS010、CTSA、CTSB、CYB5、DDX1、DDX17、DDX18、DLD、EDIL3、EHD2、EIF4A3、ENO2、EPHX1、ETFA、FERMT2、FINC、FKB10、FKBP2、FLNC、G3BP2、GOLGA3、GPAT1、GPSN2、GRP75、GRP78、HMOX1、HNRNPD、HNRNPH1、HNRPG、HPX、HSP76、HSP90AB1、HSPA1A、HSPA4、HSPA9、IBP7、IDH1、IQGAP1、ITB1、ITGB1、KARS、KIF5B、KPNA3、KPNB1、LAMC1、LGALS1、LMO7、M6PRBP1、MACF1、MAP1B、MARS、MDH1、MPR1、MTHFD1、MYH10、NCL、NHP2L1、NUCB1、OLA1、P08621、P3H1、P4HA2、P4HB、SEC61A1 (P61619)、PAI1、PAPSS2、PCBP2、PDCD6、PDIA1、PDIA3、PDIA3、PDIA4、PDLIM7、PEBP1、PFKM、PH4B、PLIN2、POFUT1、PRKDC、PSMA1、PSMA7、PSMD12、PSMD3、PSMD4、PSMD6、PSME2、PTBP1、Q9BQE5、Q9Y262、RAB1B、RP515A、RPL32、RPL7A、RPL8、RPS25、RPS6、RRAS2、RRP1、SAR1B、SDHA、SENP1、SEPT11、SEPT7、SERPH、SERPINE1、SFRS2、SH3BGRL、SNRPB、SNX12、SOD1、SPRC、ST13、SUB1、SYNCRIP、TAGLN、TAZ、TGM2、TIMP1、TLN1、TPM4、TRAP1、TSP1、TTLL12、TXNDC12、UBA1C、UGDH、UGP2、UQCRH、VAMP3、およびVAPAからなる群から選択される少なくとも1種のCVD関連バイオマーカーをさらに含む。
特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、CCDC47を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、EDIL3を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprinを含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、HMOX1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、NUCB1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、PTX3、IL27およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、IL27、およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、およびIL27を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、およびPTX3を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、HMOX1、IGFBP7、およびCCDC47を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1およびIGFBP7を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、EmmprinおよびHMOX1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、EDIL3、NUCB1、CFL2およびPTX3を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、NUCB1、CFL2およびPTX3を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、NUCB1およびPTX3を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、NUCB1およびCFL2を含む。
本発明は、心血管疾患を処置(治療)するための化合物を同定する方法であって、
(1)試験細胞を取得すること;
(2)試験細胞を試験化合物と接触させること;
(3)試験細胞中の、CCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1種以上の心血管疾患(CVD)関連バイオマーカーのレベルを決定すること;
(4)試験細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを、試験化合物により接触されない対照細胞と比較すること;ならびに
(5)試験細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを調節する試験化合物を選択することによって、被験体におけるCVDを処置するための化合物を同定すること
を含む、前記方法を提供する。
本発明は、心臓毒性を引き起こすか、または引き起こす危険性がある薬剤を同定する方法であって、
(i)第1の細胞を試験薬剤と接触させること;
(ii)試験薬剤と接触させた第1の細胞中の、CCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを検出すること;ならびに
(iii)第1の細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを、試験薬剤と接触しなかった対照細胞である第2の細胞中の対応する1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルと比較すること
を含み;
第2の細胞と比較した第1の細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルの調節が、試験薬剤が心臓毒性を引き起こすか、または引き起こす危険性がある薬剤であることを示す、前記方法を提供する。
本発明は、薬物誘導性心臓毒性の防止(予防)、軽減または処置(治療)のための救助剤を同定するための方法であって、
(i)第1の細胞を、心臓毒性剤と接触させること;
(ii)第2の細胞を、心臓毒性剤および候補救助剤と接触させること;
(iii)心臓毒性剤と接触した第1の細胞中の、CCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを検出すること;
(iv)心臓毒性剤および候補救助剤と接触した第2の細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを検出すること;ならびに
(v)第2の細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを、第1の細胞中の対応する1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルと比較すること
を含み、第1の細胞と比較した第2の細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルの調節が、候補救助剤が薬物誘導性心臓毒性の防止、軽減または処置のための救助剤であることを示す、前記方法を提供する。
特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、CCDC47またはHMOX1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、CCDC47およびHMOX1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、PTX3をさらに含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、PAI1をさらに含む。
特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される少なくとも1種の脂質バイオマーカーをさらに含む。特定の実施形態においては、脂質は、PC-Li-183-D18:2-22:6を含む。
特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、1A69、1C17、ACBD3、ACLY、ACTR2、ANXA6、ANXA7、AP2A1、ARCN1、ASNA1、ATAD3A、ATP5A、ATP5B、ATP5D、ATP5F1、ATP5H、ATPIF1、BSG、C14orf166、CA2D1、CAPN1、CAPZA2、CARS、CCDC22、CCDC47、CCT7、CLIC4、CMPK1、CNN2、CO1A2、CO6A1、COTL1、COX6B1、CRTAP、CS010、CTSA、CTSB、CYB5、DDX1、DDX17、DDX18、DLD、EDIL3、EHD2、EIF4A3、ENO2、EPHX1、ETFA、FERMT2、FINC、FKB10、FKBP2、FLNC、G3BP2、GOLGA3、GPAT1、GPSN2、GRP75、GRP78、HMOX1、HNRNPD、HNRNPH1、HNRPG、HPX、HSP76、HSP90AB1、HSPA1A、HSPA4、HSPA9、IBP7、IDH1、IQGAP1、ITB1、ITGB1、KARS、KIF5B、KPNA3、KPNB1、LAMC1、LGALS1、LMO7、M6PRBP1、MACF1、MAP1B、MARS、MDH1、MPR1、MTHFD1、MYH10、NCL、NHP2L1、NUCB1、OLA1、P08621、P3H1、P4HA2、P4HB、SEC61A1 (P61619)、PAI1、PAPSS2、PCBP2、PDCD6、PDIA1、PDIA3、PDIA3、PDIA4、PDLIM7、PEBP1、PFKM、PH4B、PLIN2、POFUT1、PRKDC、PSMA1、PSMA7、PSMD12、PSMD3、PSMD4、PSMD6、PSME2、PTBP1、Q9BQE5、Q9Y262、RAB1B、RP515A、RPL32、RPL7A、RPL8、RPS25、RPS6、RRAS2、RRP1、SAR1B、SDHA、SENP1、SEPT11、SEPT7、SERPH、SERPINE1、SFRS2、SH3BGRL、SNRPB、SNX12、SOD1、SPRC、ST13、SUB1、SYNCRIP、TAGLN、TAZ、TGM2、TIMP1、TLN1、TPM4、TRAP1、TSP1、TTLL12、TXNDC12、UBA1C、UGDH、UGP2、UQCRH、VAMP3、およびVAPAからなる群から選択される少なくとも1種のCVD関連バイオマーカーをさらに含む。
特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、CCDC47を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、EDIL3を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprinを含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、HMOX1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、NUCB1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、PTX3、IL27およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、IL27、およびPAI1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、およびIL27を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、およびPTX3を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、HMOX1、IGFBP7、およびCCDC47を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、Emmprin、HMOX1およびIGFBP7を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、EmmprinおよびHMOX1を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、EDIL3、NUCB1、CFL2およびPTX3を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、NUCB1、CFL2およびPTX3を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、NUCB1およびPTX3を含む。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーは、NUCB1およびCFL2を含む。
特定の実施形態においては、未処理の細胞と比較したPTX3、PAI1、EDIL3、およびNUC1Bからなる群から選択される少なくとも1種の心血管疾患マーカーのレベルの低下は、試験化合物が心血管疾患の処置にとって有効ではないことを示す。
特定の実施形態においては、未処理の細胞と比較したHMOX1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、およびCCDC47からなる群から選択される少なくとも1種の心血管疾患マーカーのレベルの増加は、試験化合物が心血管疾患の処置にとって有効ではないことを示す。
特定の実施形態においては、未処理の細胞と比較したPE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3、LPC20:3、および18:0-20:3からなる群から選択される少なくとも1種の心血管疾患マーカーのレベルの低下は、試験化合物が心血管疾患の処置にとって有効ではないことを示す。
特定の実施形態においては、未処理の細胞と比較したPTX3、PAI1、EDIL3、およびNUC1Bからなる群から選択される少なくとも1種の心血管疾患マーカーのレベルの増加は、試験化合物が心血管疾患の処置にとって有効であることを示す。
特定の実施形態においては、未処理の細胞と比較したHMOX1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、およびCCDC47からなる群から選択される少なくとも1種の心血管疾患マーカーのレベルの低下は、試験化合物が心血管疾患の処置にとって有効であることを示す。
特定の実施形態においては、未処理の細胞と比較したPE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3、LPC20:3、および18:0-20:3からなる群から選択される少なくとも1種の心血管疾患マーカーのレベルの増加は、試験化合物が心血管疾患の処置にとって有効であることを示す。
本発明の特定のスクリーニング方法においては、細胞は心臓細胞である。特定の実施形態においては、細胞は心筋細胞または糖尿病心筋細胞である。本発明の特定のスクリーニング方法においては、接触はin vitroで行われる。本発明の特定のスクリーニング方法においては、接触はin vivoで行われる。
特定の実施形態においては、少なくとも1種のCVD関連バイオマーカーは、少なくとも1種の脂質バイオマーカーおよび少なくとも1種のタンパク質バイオマーカーを含む。
特定の実施形態においては、少なくとも1種のCVD関連バイオマーカーは、少なくとも1種の脂質バイオマーカーおよび少なくとも1種のキナーゼマーカーを含む。
特定の実施形態においては、試料の取得は、被験体から血液を採取すること、および血清から血液細胞を分離することを含む。
特定の実施形態においては、マーカーのレベルの検出は、マーカーの濃度を検出することを含む。特定の実施形態においては、マーカーのレベルの検出は、対照試料と比較した相対濃度を検出することを含む。特定の実施形態においては、マーカーのレベルの検出は、マーカーの発現レベルを検出することを含む。特定の実施形態においては、マーカーのレベルの検出は、マーカーの活性レベルを検出することを含む。
本発明は、(1)被験体から得られた生物試料中の、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される1種以上のバイオマーカーの発現レベルを決定すること;ならびに(2)被験体から得られた生物試料中の1種以上のバイオマーカーの発現レベルを、対照試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルと比較することを含み、生物試料中の1種以上のバイオマーカーの発現レベルの調節が、被験体が心筋症に罹患していることを示す、心筋症を診断するための方法を提供する。
一実施形態においては、EDIL3またはNucB1の発現レベルの低下は、被験体が心筋症に罹患していることを示す。
本発明は、被験体が心筋症を発症する素因を有するかどうかを予後診断する方法であって、(1)被験体から得られた生物試料中に存在する、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される1種以上のバイオマーカーの発現レベルを決定すること;ならびに(2)被験体から得られた生物試料中に存在する1種以上のバイオマーカーの発現レベルを、対照試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルと比較することを含み、対照試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルとの被験体から得られた生物試料中の1種以上のバイオマーカーの発現レベルの調節が、被験体が心筋症を発症する素因を有することを示す、前記方法を提供する。
一実施形態においては、EDIL3またはNucB1の発現レベルの低下は、被験体が心筋症を発症する素因を有することを示す。
本発明は、被験体における心筋症の処置をモニタリングするための方法であって、(1)被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施す前に被験体から得られた第1の試料中に存在する、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される1種以上のバイオマーカーの発現レベルを決定すること;(2)被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施した後に被験体から得られた第2の試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルを決定すること;ならびに(3)第1の試料中の1種以上のバイオマーカーの発現レベルを、第2の試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルと比較することを含み、第1の試料中の1種以上のバイオマーカーと比較した第2の試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルの正常化が、療法が被験体における心筋症を処置するのに有効であることを示す、前記方法を提供する。
一実施形態においては、第1の試料と比較した第2の試料中のEDIL3またはNucB1の発現レベルの増加は、療法が被験体における心筋症を処置するのに有効であることを示す。
本発明は、被験体における心筋症の状態を特性評価する方法であって、(1)被験体から得られた生物試料中に存在する、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される1種以上のバイオマーカーの発現レベルを決定すること;ならびに(2)被験体から得られた生物試料中に存在する1種以上のバイオマーカーの発現レベルを、対照試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルと比較することを含み、対照試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルと比較した被験体から得られた生物試料中の1種以上のバイオマーカーの発現レベルが、被験体における心筋症の状態を示す、前記方法を提供する。
一実施形態においては、対照試料中の対応するバイオマーカーの発現レベルと比較した被験体から得られた生物試料中のEDIL3またはNucB1の発現レベルの増加は、被験体における心筋症の状態の改善を示す。
一実施形態においては、対照試料中の対応するバイオマーカーの発現レベルと比較した被験体から得られた生物試料中のEDIL3またはNucB1の発現レベルの低下は、被験体における心筋症の状態の悪化を示す。
本発明は、心筋症を処置するための化合物を同定する方法であって、(1)試験細胞を取得すること;(2)試験細胞を試験化合物と接触させること;(3)試験細胞中の、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される1種以上のバイオマーカーの発現レベルを決定すること;(4)試験細胞中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルを、試験化合物により接触しない対照細胞と比較すること;ならびに(5)試験細胞中の1種以上のバイオマーカーの発現レベルを調節する試験化合物を選択することによって、被験体における心筋症を処置するための化合物を同定することを含む、前記方法を提供する。
一実施形態においては、EDIL3またはNucB1の発現レベルを増加させる試験化合物は、被験体における心筋症を処置するための化合物と同定される。
特定の実施形態においては、心筋症は、拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、および催不整脈性右室異形成からなる群から選択される。
特定の実施形態においては、心筋症は、遺伝性心筋症である。
特定の実施形態においては、心筋症は、後天性心筋症である。一実施形態においては、後天性心筋症は、心臓毒への被験体の曝露の結果である。一実施形態においては、毒素は環境毒素である。一実施形態においては、毒素は心臓毒性薬である。一実施形態においては、心臓毒性薬は、過剰のアルコール、コカイン、アンフェタミン、化学療法剤、ドキソルビシン、ダウノルビシン、抗がん剤、糖尿病薬、神経薬、抗炎症薬、アントラサイクリン、5-フルオロウラシル、シスプラチン、トラスツズマブ、ゲムシタビン、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン、カベルゴリン、ペルゴリド、スマトリプタン、ビスホスホネート、およびTNFアンタゴニストからなる群から選択される。
特定の実施形態においては、後天性心筋症は、被験体における別の疾患または状態との併存疾患である。一実施形態においては、被験体における別の疾患または状態は、冠動脈性心疾患、心臓発作、高血圧、糖尿病、甲状腺疾患、ウイルス性肝炎、HIV1、心筋の炎症を起こすウイルス感染、ヘモクロマトーシス、サルコイドーシス、アミロイドーシス、および結合組織障害からなる群に由来する1種以上の疾患または状態から選択される。
本発明はまた、心筋症が併存疾患である疾患または状態のために被験体を処置する方法であって、(1)疾患または状態を有する被験体から得られた第1の試料中に存在する、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される1種以上のバイオマーカーの発現レベルを決定すること;(2)一定期間の後に被験体から得られた第2の試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルを決定すること;ならびに(3)第1の試料中の1種以上のバイオマーカーの発現レベルを、第2の試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルと比較することを含み、第1の試料中の1種以上のバイオマーカーと比較した第2の試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルの調節が、疾患または状態が被験体における心筋症併存疾患を引き起こすことを示す、前記方法も提供する。
一実施形態においては、第1の試料中の対応するバイオマーカーの発現レベルと比較した第2の試料中のEDIL3またはNUCB1の発現レベルの低下は、疾患または状態が被験体における心筋症併存疾患を引き起こすことを示す。
特定の実施形態においては、被験体の処置は、第2の試料中の対応する1種以上のバイオマーカーのレベルの調節の検出の際に変更される。特定の実施形態においては、処置は、心臓を保護する、心筋症を処置する、および前記方法が心筋症の兆候または症状が存在する前に併存疾患の検出を可能にするように変化する。
別の態様において、本発明は、潜在的な心臓毒性剤を用いて被験体を処置する方法であって、(1)被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施す前に被験体から得られた第1の試料中に存在する、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される1種以上のバイオマーカーの発現レベルを決定すること;(2)被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施した後に被験体から得られた第2の試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルを決定すること;ならびに(3)第1の試料中の1種以上のバイオマーカーの発現レベルを、第2の試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルと比較することを含み、第1の試料中の1種以上のバイオマーカーと比較した第2の試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルの非調節が、被験体における処置を継続することができること、および薬剤が被験体にとって心臓毒性ではないことを示す、前記方法を提供する。
一実施形態においては、対応するバイオマーカーの発現レベルと比較した第2の試料中のEDIL3またはNUCB1の発現レベルの低下は、薬剤が心臓毒性であることを示す。
特定の実施形態においては、被験体の処置は、1種以上のバイオマーカーのレベルの調節の検出の際に変更される。一実施形態においては、第2の試料中の1種以上のバイオマーカーの発現レベルが第1の試料中の1種以上のバイオマーカーと比較して調節される場合、潜在的な心臓毒性剤の用量を減少させる。一実施形態においては、被験体に心臓保護剤を同時投与して、心臓毒性剤の効果を軽減する。
別の態様において、本発明は、潜在的な心臓毒性剤を用いて被験体を処置する方法であって、(1)被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施す前に被験体から得られた第1の試料中に存在する、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される1種以上のバイオマーカーの発現レベルを決定すること;(2)被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施した後に被験体から得られた第2の試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルを決定すること;ならびに(3)第1の試料中の1種以上のバイオマーカーの発現レベルを、第2の試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルと比較することを含み、第1の試料中の1種以上のバイオマーカーと比較した第2の試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルの非調節またはより低い発現レベルが、被験体における処置を継続することができること、および薬剤が被験体にとって心臓毒性ではないことを示し;第1の試料中の1種以上のバイオマーカーと比較した第2の試料中の対応する1種以上のバイオマーカーのより高い発現レベルが、薬剤が被験体にとって心臓毒性であること、および被験体における処置を中止するべきであることを示す、前記方法を提供する。
別の態様において、本発明は、潜在的な心臓毒性剤を用いて被験体を処置する方法であって、(1)被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施す前に被験体から得られた第1の試料中に存在する、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される1種以上のバイオマーカーの発現レベルを決定すること;(2)被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施した後に被験体から得られた第2の試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルを決定すること;ならびに(3)第1の試料中の1種以上のバイオマーカーの発現レベルを、第2の試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルと比較することを含み、第1の試料中のバイオマーカーと比較した第2の試料中のEDIL3またはNUCB1の発現レベルの非調節または増加が、被験体における処置を継続することができること、および薬剤が被験体にとって心臓毒性ではないことを示し;第1の試料中のバイオマーカーと比較した第2の試料中のEDIL3またはNUCB1の発現レベルの低下が、薬剤が被験体にとって心臓毒性であること、および被験体における処置を中止するべきであることを示す、前記方法を提供する。
別の態様において、本発明は、潜在的な心臓毒性剤を用いて被験体を処置する方法であって、(1)被験体に潜在的な心臓毒性剤を含む処置レジメンの少なくとも一部を施した後に被験体から得られた試料中に存在する、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される1種以上のバイオマーカーの発現レベルを決定すること;ならびに(2)試料中の1種以上のバイオマーカーの発現レベルを、対照試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルと比較することを含み、対照試料中の1種以上のバイオマーカーと比較した第2の試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルの非調節が、被験体における処置を継続することができること、および薬剤が被験体にとって心臓毒性ではないことを示し;ならびに/または対照試料中の1種以上のバイオマーカーと比較した試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルの調節が、薬剤が被験体にとって心臓毒性であること、および被験体における処置を中止するべきであることを示す、前記方法を提供する。
別の態様において、本発明は、潜在的な心臓毒性剤を用いて被験体を処置する方法であって、(1)被験体に潜在的な心臓毒性剤を含む処置レジメンの少なくとも一部を施した後に被験体から得られた試料中に存在する、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される1種以上のバイオマーカーの発現レベルを決定すること;ならびに(2)試料中の1種以上のバイオマーカーの発現レベルを、対照試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルと比較することを含み、対照試料中の1種以上のバイオマーカーと比較した試料中の対応する1種以上のバイオマーカーの発現レベルの非調節またはより低いレベルの発現が、被験体における処置を継続することができること、および薬剤が被験体にとって心臓毒性ではないことを示し;ならびに/または対照試料中の1種以上のバイオマーカーと比較した試料中の対応する1種以上のバイオマーカーのより高い発現レベルが、薬剤が被験体にとって心臓毒性であること、および被験体における処置を中止するべきであることを示す、前記方法を提供する。
一実施形態においては、対照試料中の対応するバイオマーカーと比較した試料中のEDIL3またはNUCB1の発現レベルの非調節または増加は、被験体における処置を継続することができること、および薬剤が被験体にとって心臓毒性ではないことを示し;ならびに/または対照試料中の対応するバイオマーカーと比較した試料中のEDIL3またはNUCB1の発現レベルの低下は、薬剤が被験体にとって心臓毒性であること、および被験体における処置を中止するべきであることを示す。
一実施形態においては、前記方法は、潜在的な心臓毒性剤を用いる処置を中止することをさらに含む。一実施形態においては、前記方法は、処置を中止すること、および代替的な処置を推奨する、処方するまたは施すことをさらに含む。一実施形態においては、前記方法は、潜在的な心臓毒性剤を用いる処置を継続することをさらに含む。
特定の実施形態においては、被験体の処置は、対照試料と比較した試料中の1種以上のバイオマーカーのレベルの調節、例えば、増加の検出の際に変更される。一実施形態においては、試料中の1種以上のバイオマーカーの発現レベルが、対照試料中の1種以上のバイオマーカーと比較して調節される、例えば、増加する場合、潜在的な心臓毒性剤の用量を減少させる。一実施形態においては、第2の試料中の1種以上のバイオマーカーの発現レベルが、対照試料中の1種以上のバイオマーカーと比較して調節される、例えば、増加する場合、被験体に心臓保護剤を同時投与して、心臓毒性剤の効果を軽減する。一実施形態においては、潜在的な心臓毒性剤を用いる被験体の処置は、対照試料と比較した試料中の1種以上のバイオマーカーのレベルの調節、例えば、増加の検出の際に中止される。
別の態様において、本発明は、心臓毒性剤を同定するための方法であって、(i)薬剤を用いる処置の前に得られた第1の細胞試料中に存在する、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される1種以上のバイオマーカーのレベルを、(ii)薬剤を用いる処置の後に得られた第2の細胞試料中に存在する対応する1種以上のバイオマーカーのレベルと比較することを含み、第1の試料と比較した第2の試料中の対応する1種以上のバイオマーカーのレベルの調節が、薬剤が薬物誘導性毒性を引き起こすか、または引き起こす危険性があることを示す、前記方法を提供する。
一実施形態においては、第1の試料と比較した第2の試料中のEDIL3またはNUCB1の発現レベルの低下は、薬剤が薬物誘導性毒性を引き起こすか、または引き起こす危険性があることを示す。
別の態様において、本発明は、薬物誘導性毒性を軽減または防止するための救助剤を同定するための方法であって、(i)毒性誘導薬を用いる処置の前に得られた第1の細胞試料中の存在する、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される1種以上のバイオマーカーの正常レベルを決定すること;(ii)毒性誘導薬を用いる処理後に得られた第2の細胞試料中の存在する対応する1種以上のバイオマーカーの処理されたレベルを決定して、処理された細胞試料中のレベルが変化した1種以上のバイオマーカーを同定すること;(iii)毒性誘導薬および救助剤を用いる処理後に得られた第3の細胞試料中に存在する毒性誘導薬で処理された試料中のレベルが変化した対応する1種以上のバイオマーカーのレベルを決定すること;ならびに(iv)第3の試料中で決定された対応する1種以上のバイオマーカーのレベルを、第1の試料中に存在する対応する1種以上のバイオマーカーのレベルと比較することを含み、第1の試料と比較した第3の試料中の対応する1種以上のバイオマーカーのレベルの正常化が、救助剤が薬物誘導性毒性を軽減するか、または防止することができることを示す、前記方法を提供する。
一実施形態においては、第1の試料中の対応するバイオマーカーの発現レベルと比較した第3の試料中のEDIL3またはNUCB1のレベルの非調節または増加は、救助剤が薬物誘導性毒性を軽減するか、または防止することができることを示す。
一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、EDIL3である。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprinである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、HMOX1である。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、NUCB1である。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27およびPAI1からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、CCDC47、PTX3、IL27およびPAI1からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、PTX3、IL27、およびPAI1からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、IL27、およびPAI1からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、およびIL27からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、およびPTX3からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、およびCCDC47からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1およびIGFBP7からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、EmmprinおよびHMOX1からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、EDIL3、NUCB1、CFL2およびPTX3からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、NUCB1、CFL2およびPTX3からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、NUCB1、CFL2およびPTX3からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、NUCB1およびPTX3からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、NUCB1およびCFL2からなるバイオマーカーのパネルである。
一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、EDIL3を含む。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprinを含む。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、HMOX1を含む。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、NUCB1を含む。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27およびPAI1を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、PTX3、IL27、およびPAI1を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、IL27、およびPAI1を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、およびIL27を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、およびPTX3を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、およびCCDC47を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1およびIGFBP7を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、EmmprinおよびHMOX1を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、EDIL3、NUCB1、CFL2およびPTX3を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、NUCB1、CFL2およびPTX3を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、NUCB1およびPTX3を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、NUCB1およびCFL2を含むバイオマーカーのパネルである。
上記方法の特定の実施形態においては、IGFBP7のレベルの検出を含む方法におけるHMOX1のレベルの検出の含有は、方法の予測値を有意に増加させない。特定の実施形態においては、HMOX1のレベルの検出を含む方法におけるIGFBP7のレベルの検出の含有は、方法の予測値を有意に増加させない。
別の態様において、本発明は、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される1種以上のバイオマーカーの発現のレベルの検出に特異的な少なくとも1つの試薬を含む、心臓毒性または心筋症の診断、モニタリング、または特性評価のためのキットを提供する。
一実施形態においては、キットは、1種以上のバイオマーカーの発現のレベルに基づく心臓毒性または心筋症の診断、モニタリング、または特性評価のための説明書をさらに含む。
一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、EDIL3である。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprinである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、HMOX1である。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、NUCB1である。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27およびPAI1からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、PTX3、IL27、およびPAI1からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、IL27、およびPAI1からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、およびIL27からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、およびPTX3からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、およびCCDC47からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1およびIGFBP7からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、EmmprinおよびHMOX1からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、EDIL3、NUCB1、CFL2およびPTX3からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、NUCB1、CFL2およびPTX3からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、NUCB1およびPTX3からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、NUCB1およびCFL2からなるバイオマーカーのパネルである。
一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、EDIL3である。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprinを含む。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、HMOX1を含む。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、NUCB1を含む。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27およびPAI1からなるバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、PTX3、IL27、およびPAI1を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、IL27、およびPAI1を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、およびIL27を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、およびPTX3を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、およびCCDC47を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、Emmprin、HMOX1、およびIGFBP7を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、EmmprinおよびHMOX1を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、EDIL3、NUCB1、CFL2およびPTX3を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、NUCB1、CFL2およびPTX3を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、NUCB1およびPTX3を含むバイオマーカーのパネルである。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、NUCB1およびCFL2を含むバイオマーカーのパネルである。
上記発明の一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーはPTX3を含まない。
従って、本発明は、心臓毒性を引き起こすか、または引き起こす危険性がある薬剤を同定するための方法を提供する。一実施形態においては、薬剤は、薬物または薬物候補である。一実施形態においては、薬剤は環境中の薬剤(例えば、汚染物質、建築材料)である。一実施形態においては、毒性は薬物誘導性心臓毒性である。一実施形態においては、薬剤は、糖尿病、肥満、心血管疾患、がん、神経障害、または炎症障害を処置するための薬物または薬物候補である。
一態様において、本発明は、心臓毒性を引き起こす薬剤を同定するための方法であって、(i)第1の細胞を薬剤と接触させること;(ii)マーカーのレベルの検出が(a)マーカーとプローブとの複合体を形成させること、およびマーカーとプローブとの複合体の形成を検出すること;ならびに/または(b)特にマーカーに対する少なくとも1つの特徴を検出することができるように細胞からマーカーを単離することを含む、本明細書に提供されるマーカーのレベルを検出すること;(iii)第1の細胞に由来するマーカーのレベルを、薬剤と接触しなかった対照細胞である第2の細胞中のマーカーのレベルと比較することを含み、第2の細胞と比較した第1の細胞中のマーカーのレベルの調節が、薬剤が心臓毒性を引き起こすことを示す、前記方法を提供する。
別の態様において、本発明は、心筋症の防止または処置のための救助剤を同定するための方法であって、(i)第1の細胞を心臓毒性剤と接触させること;(ii)第2の細胞を心臓毒性剤および候補救助剤と接触させること;(iii)マーカーのレベルの検出が(a)マーカーとプローブとの複合体を形成させること、およびマーカーとプローブとの複合体の形成を検出すること;ならびに/または(b)特にマーカーに対する少なくとも1つの特徴を検出することができるように細胞からマーカーを単離することを含む、本明細書に提供されるマーカーのレベルを検出すること;(iv)第1の細胞および第2の細胞のそれぞれに由来するマーカーのレベルを、心臓毒性剤もしくは候補救助剤と接触しなかった対照細胞と比較することを含み、対照細胞と比較した第1の細胞中のマーカーのレベルの調節および対照細胞と比較した第2の細胞中のマーカーのレベルの正常化が、候補救助剤が心臓毒性を防止するか、または処置する救助剤であることを示す、前記方法を提供する。
一実施形態においては、細胞は心臓細胞である。
一実施形態においては、細胞は心筋細胞または糖尿病心筋細胞である。
一実施形態においては、接触はin vitroで行われる。
一実施形態においては、接触はin vivoで行われる。
一実施形態においては、心臓毒性は、心筋症、心不全、心房細動、心筋症と心不全、心不全とLV機能障害、心房粗動と心房細動、または心臓弁損傷と心不全の少なくとも1つの兆候または症状を含む。
一実施形態においては、薬物誘導性心臓毒性は、心筋症、心不全、心房細動、心筋症と心不全、心不全とLV機能障害、心房粗動と心房細動、または心臓弁損傷と心不全の少なくとも1つの兆候または症状を含む。
一実施形態においては、心筋症は、薬物誘導性心臓毒性の結果である。
一実施形態においては、薬物は抗がん剤、糖尿病薬、神経薬、または抗炎症薬である。
一実施形態においては、薬物は、アントラサイクリン、5-フルオロウラシル、シスプラチン、トラスツズマブ、ゲムシタビン、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン、カベルゴリン、ペルゴリド、スマトリプタン、ビスホスホネート、またはTNFアンタゴニストである。
一実施形態においては、本明細書で提供されるマーカーは、添付物Aに提供されるマーカーからなる群から選択される。
一実施形態においては、本明細書で提供されるマーカーは、1A69、1C17、ACBD3、ACLY、ACTR2、ANXA6、ANXA7、AP2A1、ARCN1、ASNA1、ATAD3A、ATP5A、ATP5B、ATP5D、ATP5F1、ATP5H、ATPIF1、BSG、C14orf166、CA2D1、CAPN1、CAPZA2、CARS、CCDC22、CCDC47、CCT7、CLIC4、CMPK1、CNN2、CO1A2、CO6A1、COTL1、COX6B1、CRTAP、CS010、CTSA、CTSB、CYB5、DDX1、DDX17、DDX18、DLD、EDIL3、EHD2、EIF4A3、ENO2、EPHX1、ETFA、FERMT2、FINC、FKB10、FKBP2、FLNC、G3BP2、GOLGA3、GPAT1、GPSN2、GRP75、GRP78、HMOX1、HNRNPD、HNRNPH1、HNRPG、HPX、HSP76、HSP90AB1、HSPA1A、HSPA4、HSPA9、IBP7、IDH1、IQGAP1、ITB1、ITGB1、KARS、KIF5B、KPNA3、KPNB1、LAMC1、LGALS1、LMO7、M6PRBP1、MACF1、MAP1B、MARS、MDH1、MPR1、MTHFD1、MYH10、NCL、NHP2L1、NUCB1、OLA1、P08621、P3H1、P4HA2、P4HB、SEC61A1 (P61619)、PAI1、PAPSS2、PCBP2、PDCD6、PDIA1、PDIA3、PDIA3、PDIA4、PDLIM7、PEBP1、PFKM、PH4B、PLIN2、POFUT1、PRKDC、PSMA1、PSMA7、PSMD12、PSMD3、PSMD4、PSMD6、PSME2、PTBP1、PTX3、Q9BQE5、Q9Y262、RAB1B、RP515A、RPL32、RPL7A、RPL8、RPS25、RPS6、RRAS2、RRP1、SAR1B、SDHA、SENP1、SEPT11、SEPT7、SERPH、SERPINE1、SFRS2、SH3BGRL、SNRPB、SNX12、SOD1、SPRC、ST13、SUB1、SYNCRIP、TAGLN、TAZ、TGM2、TIMP1、TLN1、TPM4、TRAP1、TSP1、TTLL12、TXNDC12、UBA1C、UGDH、UGP2、UQCRH、VAMP3、およびVAPAからなる群から選択される。
一実施形態においては、本明細書で提供されるマーカーは、TIMP1、PTX3、HSP76、FINC、CYB5、PAI1、IBP7 (IGFBP7)、1C17、EDIL3、HMOX1、NUCB1、CS010、およびHSPA4からなる群から選択される。
一実施形態においては、本明細書で提供されるマーカーは、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; PC-LI-183-D18:22-22:6; CACNA2D1; EPHX1; BAX; PRKAR2A; およびMPA2K3からなる群から選択される。
一実施形態においては、本明細書で提供されるマーカーは、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される。
一実施形態においては、本明細書で提供されるマーカーは、少なくとも1種の脂質マーカーを含む。
一実施形態においては、本明細書で提供されるマーカーは、少なくとも1種のキナーゼマーカーを含む。
一実施形態においては、マーカーは、PTX3、BPM-CTMB1、EDIL3、およびNUC1Bからなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを含む。
一実施形態においては、薬剤を用いる処置に応答した細胞中のPTX3、BPM-CTMB1、EDIL3およびNUCB1の少なくとも1つの発現レベルの低下は、薬剤が心臓毒性を引き起こすことを示す。
一実施形態においては、対照細胞と比較した第1の細胞中のPTX3、BPM-CTMB1、EDIL3およびNUCB1の少なくとも1つの発現レベルの低下ならびに対照細胞と比較した第2の細胞中の前記マーカーのレベルの正常化は、候補救助剤が心臓毒性を防止するか、または処置する救助剤であることを示す。
一実施形態においては、薬剤を用いる処置に応答した細胞中のPE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3のレベルの低下は、薬剤が心臓毒性を引き起こすことを示す。
一実施形態においては、対照細胞と比較した第1の細胞中のPE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3のレベルの低下および対照細胞と比較した第2の細胞中の前記マーカーのレベルの正常化は、候補救助剤が心臓毒性を防止するか、または処置する救助剤であることを示す。
別の態様において、本発明は、被験体における心筋症を予後診断または診断するための方法であって、
(i)被験体から試料を取得すること;
(ii)マーカーのレベルの検出が、
(a)マーカーとプローブとの複合体を形成させ、マーカーとプローブとの複合体の形成を検出すること;および/または
(b)特にマーカーに対する少なくとも1つの特徴を検出することができるように細胞からマーカーを単離すること
を含む、試料中の本明細書で提供されるマーカーのレベルを検出すること;
(iii)試料中のマーカーのレベルを、心筋症に罹患していない被験体に由来する対照試料中のマーカーのレベルと比較すること
を含み、対照試料と比較した試料中のマーカーのレベルの調節が、被験体が心筋症に罹患しているか、または心筋症を発症する素因を有することを示す、前記方法を提供する。
別の態様において、本発明は、被験体における心筋症をモニタリングするための方法であって、
(i)第1の時間に被験体から第1の試料を取得すること;
(ii)マーカーのレベルの検出が、
(a)マーカーとプローブとの複合体を形成させ、マーカーとプローブとの複合体の形成を検出すること;および/または
(b)特にマーカーに対する少なくとも1つの特徴を検出することができるように細胞からマーカーを単離すること
を含む、第1の試料中の本明細書で提供されるマーカーのレベルを検出すること;
(iii)第1の試料中のマーカーのレベルを、より後の時間に被験体から得られた第2の試料と比較すること
を含み、第2の試料と比較した第1の試料中のマーカーのレベルの調節が、被験体における心筋症の変化を示す、前記方法を提供する。
別の態様において、本発明は、心筋症を処置するための化合物を同定する方法であって、
(i)試験細胞を取得すること;
(ii)試験細胞を試験化合物と接触させること;
(iii)マーカーのレベルの検出が、
(a)マーカーとプローブとの複合体を形成させ、マーカーとプローブとの複合体の形成を検出すること;および/または
(b)特にマーカーに対する少なくとも1つの特徴を検出することができるように細胞からマーカーを単離すること
を含む、試験細胞中の本明細書で提供されるマーカーのレベルを検出すること;
(iv)試験細胞中のマーカーのレベルを、試験化合物により接触しない対照細胞と比較すること;ならびに
(v)試験細胞中のマーカーのレベルを調節する試験化合物を選択することによって、被験体における心筋症を処置するための化合物を同定すること
を含む、前記方法を提供する。
一実施形態においては、心筋症は、心不全、心房細動、心筋症と心不全、心不全とLV機能障害、心房粗動と心房細動、または心臓弁損傷と心不全からなる群から選択される少なくとも1つの兆候または症状を含む。
一実施形態においては、心筋症は、抗がん剤、糖尿病薬、神経薬、または抗炎症薬などの薬物を用いる処置の結果である。
一実施形態においては、薬物は、アントラサイクリン、5-フルオロウラシル、シスプラチン、トラスツズマブ、ゲムシタビン、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン、カベルゴリン、ペルゴリド、スマトリプタン、ビスホスホネート、またはTNFアンタゴニストである。
一実施形態においては、本明細書で提供されるマーカーは、添付物Aに提供されるマーカーからなる群から選択される。
一実施形態においては、本明細書で提供されるマーカーは、1A69、1C17、ACBD3、ACLY、ACTR2、ANXA6、ANXA7、AP2A1、ARCN1、ASNA1、ATAD3A、ATP5A、ATP5B、ATP5D、ATP5F1、ATP5H、ATPIF1、BSG、C14orf166、CA2D1、CAPN1、CAPZA2、CARS、CCDC22、CCDC47、CCT7、CLIC4、CMPK1、CNN2、CO1A2、CO6A1、COTL1、COX6B1、CRTAP、CS010、CTSA、CTSB、CYB5、DDX1、DDX17、DDX18、DLD、EDIL3、EHD2、EIF4A3、ENO2、EPHX1、ETFA、FERMT2、FINC、FKB10、FKBP2、FLNC、G3BP2、GOLGA3、GPAT1、GPSN2、GRP75、GRP78、HMOX1、HNRNPD、HNRNPH1、HNRPG、HPX、HSP76、HSP90AB1、HSPA1A、HSPA4、HSPA9、IBP7、IDH1、IQGAP1、ITB1、ITGB1、KARS、KIF5B、KPNA3、KPNB1、LAMC1、LGALS1、LMO7、M6PRBP1、MACF1、MAP1B、MARS、MDH1、MPR1、MTHFD1、MYH10、NCL、NHP2L1、NUCB1、OLA1、P08621、P3H1、P4HA2、P4HB、SEC61A1 (P61619)、PAI1、PAPSS2、PCBP2、PDCD6、PDIA1、PDIA3、PDIA3、PDIA4、PDLIM7、PEBP1、PFKM、PH4B、PLIN2、POFUT1、PRKDC、PSMA1、PSMA7、PSMD12、PSMD3、PSMD4、PSMD6、PSME2、PTBP1、PTX3、Q9BQE5、Q9Y262、RAB1B、RP515A、RPL32、RPL7A、RPL8、RPS25、RPS6、RRAS2、RRP1、SAR1B、SDHA、SENP1、SEPT11、SEPT7、SERPH、SERPINE1、SFRS2、SH3BGRL、SNRPB、SNX12、SOD1、SPRC、ST13、SUB1、SYNCRIP、TAGLN、TAZ、TGM2、TIMP1、TLN1、TPM4、TRAP1、TSP1、TTLL12、TXNDC12、UBA1C、UGDH、UGP2、UQCRH、VAMP3、およびVAPAからなる群から選択される。
一実施形態においては、本明細書で提供されるマーカーは、TIMP1、PTX3、HSP76、FINC、CYB5、PAI1、IBP7 (IGFBP7)、1C17、EDIL3、HMOX1、NUCB1、CS010、およびHSPA4からなる群から選択される。
一実施形態においては、本明細書で提供されるマーカーは、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; PC-LI-183-D18:22-22:6; CACNA2D1; EPHX1; BAX; PRKAR2A; およびMPA2K3からなる群から選択される。
一実施形態においては、本明細書で提供されるマーカーは、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; PC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される。
一実施形態においては、マーカーは、少なくとも1種の脂質マーカーを含む。
一実施形態においては、マーカーは、少なくとも1種のキナーゼマーカーを含む。
一実施形態においては、マーカーは、PTX3、BPM-CTMB1、EDIL3、およびNUC1Bからなる群から選択される少なくとも1つのマーカーを含む。
一実施形態においては、対照試料と比較した試料中のPTX3、BPM-CTMB1、EDIL3およびNUCB1の少なくとも1つの発現レベルの低下は、被験体が心筋症に罹患しているか、または心筋症を発症する素因を有することを示す。
一実施形態においては、第2の試料と比較した第1の試料中のPTX3、BPM-CTMB1、EDIL3およびNUCB1の少なくとも1つの発現レベルの低下は、心筋症が悪化したことを示す。
一実施形態においては、対照試料と比較した試料中のPE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3のレベルの低下は、被験体が心筋症に罹患しているか、または心筋症を発症する素因を有することを示す。
一実施形態においては、第2の試料と比較した第1の試料中のPE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3のレベルの低下は、心筋症が悪化したことを示す。
一実施形態においては、マーカーは複数のマーカーである。
一実施形態においては、複数のマーカーのレベルを検出および比較する。
一実施形態においては、複数のマーカーは、少なくとも1種の脂質マーカーおよび少なくとも1種のタンパク質マーカーを含む。
一実施形態においては、複数のマーカーは、少なくとも1種の脂質マーカーおよび少なくとも1種のキナーゼマーカーを含む。
一実施形態においては、心筋症は、後天性心筋症である。
一実施形態においては、心筋症は、遺伝性心筋症である。
一実施形態においては、心筋症は、心血管疾患、高血圧、高コレステロール血症、心筋梗塞、脳卒中、および外傷から選択される状態により引き起こされる。
一実施形態においては、試料の取得は、被験体から血液を採取し、血清から血液細胞を分離することを含む。
一実施形態においては、マーカーのレベルの検出は、マーカーの濃度を検出することを含む。
一実施形態においては、マーカーのレベルの検出は、対照試料と比較した相対濃度を検出することを含む。
一実施形態においては、マーカーのレベルの検出は、マーカーの発現レベルを検出することを含む。
一実施形態においては、マーカーのレベルの検出は、マーカーの活性レベルの検出を含む。
別の態様において、本発明は、本発明の方法を実施するためのキットを提供する。
一実施形態においては、細胞は、心血管系の細胞、例えば、心筋細胞である。一実施形態においては、細胞は、糖尿病性心筋細胞である。一実施形態においては、薬物は糖尿病、肥満、心血管疾患、がん、神経障害、または炎症障害を処置するための薬物または候補薬物である。一実施形態においては、薬物は、アントラサイクリン、5-フルオロウラシル、シスプラチン、トラスツズマブ、ゲムシタビン、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン、カベルゴリン、ペルゴリド、スマトリプタン、ビスホスホネート、またはTNFアンタゴニストのいずれか1つである。一実施形態においては、第1の試料と比較した第3の試料中の表2に列挙されるマーカーから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160種以上のバイオマーカーのほぼ同じレベルの発現は、救助剤が薬物誘導性心臓毒性を軽減または防止することができることを示す。
本発明は、本明細書で提供される方法において有用であるバイオマーカー(例えば、遺伝子、タンパク質、酵素、脂質)をさらに提供する。
特定の実施形態においては、マーカーは、1A69、1C17、ACBD3、ACLY、ACTR2、ANXA6、ANXA7、AP2A1、ARCN1、ASNA1、ATAD3A、ATP5A、ATP5B、ATP5D、ATP5F1、ATP5H、ATPIF1、BSG、C14orf166、CA2D1、CAPN1、CAPZA2、CARS、CCDC22、CCDC47、CCT7、CLIC4、CMPK1、CNN2、CO1A2、CO6A1、COTL1、COX6B1、CRTAP、CS010、CTSA、CTSB、CYB5、DDX1、DDX17、DDX18、DLD、EDIL3、EHD2、EIF4A3、ENO2、EPHX1、ETFA、FERMT2、FINC、FKB10、FKBP2、FLNC、G3BP2、GOLGA3、GPAT1、GPSN2、GRP75、GRP78、HMOX1、HNRNPD、HNRNPH1、HNRPG、HPX、HSP76、HSP90AB1、HSPA1A、HSPA4、HSPA9、IBP7、IDH1、IQGAP1、ITB1、ITGB1、KARS、KIF5B、KPNA3、KPNB1、LAMC1、LGALS1、LMO7、M6PRBP1、MACF1、MAP1B、MARS、MDH1、MPR1、MTHFD1、MYH10、NCL、NHP2L1、NUCB1、OLA1、P08621、P3H1、P4HA2、P4HB、SEC61A1 (P61619)、PAI1、PAPSS2、PCBP2、PDCD6、PDIA1、PDIA3、PDIA3、PDIA4、PDLIM7、PEBP1、PFKM、PH4B、PLIN2、POFUT1、PRKDC、PSMA1、PSMA7、PSMD12、PSMD3、PSMD4、PSMD6、PSME2、PTBP1、PTX3、Q9BQE5、Q9Y262、RAB1B、RP515A、RPL32、RPL7A、RPL8、RPS25、RPS6、RRAS2、RRP1、SAR1B、SDHA、SENP1、SEPT11、SEPT7、SERPH、SERPINE1、SFRS2、SH3BGRL、SNRPB、SNX12、SOD1、SPRC、ST13、SUB1、SYNCRIP、TAGLN、TAZ、TGM2、TIMP1、TLN1、TPM4、TRAP1、TSP1、TTLL12、TXNDC12、UBA1C、UGDH、UGP2、UQCRH、VAMP3、およびVAPAからなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50、60、70、80、または90種のマーカーである。
特定の実施形態においては、マーカーは、TIMP1、PTX3、HSP76、FINC、CYB5、PAI1、IBP7 (IGFBP7)、1C17、EDIL3、HMOX1、NUCB1、CS010、およびHSPA4からなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13種のマーカーである。
特定の実施形態においては、マーカーは、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; PC-LI-183-D18:22-22:6; CACNA2D1; EPHX1; BAX; PRKAR2A; およびMPA2K3からなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11種のマーカーである。
特定の実施形態においては、マーカーは、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; PC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1、2、3、4、5、6、または7種のマーカーである。
特定の実施形態においては、マーカーは、少なくとも1種の脂質マーカーを含む。
特定の実施形態においては、マーカーは、少なくとも1種のキナーゼマーカーを含む。
特定の実施形態においては、正常な被験体と比較したPTX3、BPM-CTMB1、EDIL3、およびNUC1Bの少なくとも1種の発現レベルの低下は、心筋症を示す。
特定の実施形態においては、薬剤を用いる処置に応答したPTX3、BPM-CTMB1、EDIL3、およびNUC1Bの少なくとも1種の発現レベルの低下は、薬剤が心臓毒性であることを示す。
特定の実施形態においては、前記方法は、PTX3、BPM-CTMB1、EDIL3、およびNUC1Bの少なくとも1種の発現レベルの検出を含む。
特定の実施形態においては、正常な被験体と比較したPE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3のレベルの低下は、心筋症を示す。特定の実施形態においては、脂質レベルは、正常脂質レベルのパーセントとして測定される。特定の実施形態においては、正常脂質レベルの95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%未満への脂質レベルの低下は、心筋症を示す。
特定の実施形態においては、薬剤を用いる処置に応答したPE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3のレベルの低下は、薬剤が心臓毒性であることを示す。特定の実施形態においては、脂質レベルは、正常脂質レベルのパーセントとして測定される。特定の実施形態においては、被験体への薬剤の投与後の正常脂質レベルの95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%未満への脂質レベルの低下は、薬剤が心臓毒性であることを示す。
特定の実施形態においては、正常な被験体と比較したPE 18:0-20:3のレベルの低下は、心筋症を示す。特定の実施形態においては、脂質レベルは、正常脂質レベルのパーセントとして測定される。特定の実施形態においては、正常脂質レベルの95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%未満への脂質レベルの低下は、心筋症を示す。
特定の実施形態においては、正常な被験体と比較したPE 18:0-20:3のレベルの低下は、心臓における再モデリング事象を示す。特定の実施形態においては、脂質レベルは、正常脂質レベルのパーセントとして測定される。特定の実施形態においては、正常脂質レベルの95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%未満への脂質レベルの低下は、心臓における再モデリング事象を示す。
特定の実施形態においては、薬剤を用いる処置に応答したPE 18:0-20:3のレベルの低下は、薬剤が心臓毒性であることを示す。特定の実施形態においては、脂質レベルは、正常脂質レベルのパーセントとして測定される。特定の実施形態においては、被験体への薬剤の投与後の正常脂質レベルの95%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%未満への脂質レベルの低下は、薬剤が心臓毒性であることを示す。
試料セット2に由来する個々のバイオマーカーの性能を示すROC曲線を示す図である。 図1−1の続きである。 試料セット2に基づくロジスティック回帰による様々なマーカー組合せモデルの性能を示す図である。上から7種のマーカーの組合せは正常試料と心筋症試料とを区別する最も高い予測力のレベルを示す。 図2−1の続きである。 特定のマーカーパネルに応じた分類子の示差的性能を示す変数減少モデルを示す図である。HMOX1およびIGFBP7の除去は、性能の低下をもたらさない。 図3−1の続きである。 Asterand試料セットに由来する個々のバイオマーカーの性能を示すROC曲線を示す図である。 Asterand試料セットにおいて評価された4つのバイオマーカーに関する組合せモデルを示す図である。示されるように、EDIL3性能は、心筋症の予測における他のマーカーの含有によっては改善されない。 ヒト血清中の(A)PTX3および(B)PAI1の比較レベルを示す図である。 ヒト血清中のEDIL3の比較レベルを示す図である。 ヒト血清中のNucB1の比較レベルを示す図である。 (A)心筋症対非心筋症および(B)ロシグリタゾン処置対非ロシグリタゾン処置を比較する血清およびin vitro細胞培養モデルから得られたデルタネットワークの2つの重複を示す図である。血清ノードは長方形であり、細胞培養ノードは正方形である。重複ノードは暗い色の正方形である。 (A)脂質pmol/タンパク質mgで測定された、または(B)正常脂質レベルのパーセントとしての血清脂質ネットワークおよびペレット脂質ネットワークに共通である脂質の定量化を示す図である。PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3は、糖尿病のみ、および心筋症を有さないロシグリタゾン上にある糖尿病と比較した場合、心筋症の臨床診断を有するロシグリタゾン上にある糖尿病被験体において有意に減少する。 図10Aの続きである。 疑問プラットフォーム技術からのマルチオミクス出力を示す図である。菱形は脂質種を表し、正方形はタンパク質であり、六角形は活性の拠点との因果関係を有するキナーゼである。拠点-CACNA2D1、L型カルシウムチャンネルは、MAP2K3およびPRKAR2A(キナーゼ)、BAX(ミトコンドリアタンパク質)、EPHX1(ミクロソームタンパク質)およびPC Li-183-D 18:2-22:6(ホスファチジルコリン)と関連する。結果は、デルタマルチオミクス出力がin vitro毒性モデルにおける分子事象の非常に強力なスナップショットを提供することを示している。 (A)正常な被験体と心血管疾患を有する被験体および(B)ロシグリタゾンで処置された、または処置されていない心筋症を有する2型糖尿病を有する被験体を区別する際のCCDC47の予測値を示すROC曲線を示す図である。 (A)ロシグリタゾン、(B)メトフォルミン、または(C)アトルバスタチンで処置された被験体におけるCCDC47レベルの散乱プロットを示す図である。 図13A−Bの続きである。 被験体における有害心臓イベントを予測する際にCCDC47+IGFBP7の組合せの予測値を、CCDC47+IGFBP7+PC-Li-183-D18:2-22:6の組合せと比較するROC曲線を示す図である。
定義
本明細書で用いられる場合、以下の用語はそれぞれ、このセクションにおいてそれと関連する意味を有する。
本明細書で用いられる場合、「心血管疾患関連バイオマーカー」、「心筋症関連バイオマーカー」、および「心臓毒性関連バイオマーカー」を含む「心疾患関連マーカー」は、バイオマーカー:Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; PC-LI-183-D18:22-22:6の1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10種以上)の任意の組合せを含む。心疾患関連バイオマーカーは、本明細書(例えば、配列表中)に提供される他のバイオマーカーを含んでもよい。
本発明の方法によって処置される「患者」または「被験体」は、ヒトまたは非ヒト動物、好ましくは、哺乳動物を意味してもよい。「被験体」は、ウマ、イヌ、ネコ、ブタ、ヤギ、ウサギ、ハムスター、サル、モルモット、ラット、マウス、トカゲ、ヘビ、ヒツジ、ウシ、魚類および鳥類などの任意の動物を意味する。ヒト被験体を、患者と呼ぶこともできる。本明細書に記載の臨床観察は、ヒト被験体試料を用いて行われたことに留意すべきであり、少なくともいくつかの実施形態においては、被験体はヒトである。
本明細書で用いられる「併存疾患」とは、同じ患者における別の状態を引き起こす、それにより引き起こされる、またはさもなければ、それと関連する医学的状態を指す。
「治療上有効量」とは、疾患を処置(治療)するために患者に投与された場合、疾患のためのそのような処置を行うのに十分な化合物の量、例えば、任意の処置に適用可能な合理的なベネフィット/リスク比でいくらかの望ましい局所または全身効果をもたらすそのような物質の量を意味する。疾患を防止(予防)するために投与される場合、量は疾患の開始を回避するか、または遅延させるのに十分なものである。「治療上有効量」は、化合物、その治療指数、可溶性、疾患およびその重症度ならびに処置される患者の年齢、体重などに応じて変化する。例えば、本発明の方法により発見された特定の化合物を、そのような処置に適用可能な合理的なベネフィット/リスク比をもたらすのに十分な量で投与することができる。ある化合物の治療上有効量の投与は、化合物の2回以上の用量の投与を必要としてもよい。
「防止(予防)すること」または「防止(予防)」とは、疾患または障害を獲得する危険性の低下(すなわち、疾患に曝露され得るか、または疾患の素因を有し得るが、疾患の症状を未だ経験しないか、または示さない患者において疾患の少なくとも1つの臨床症状を発生させないこと)を指す。
用語「予防的」または「治療的」処置とは、1種以上の対象となる組成物の被験体への投与を指す。それが望ましくない状態(例えば、宿主動物の疾患または他の望ましくない状態)の臨床症状の前に投与される場合、処置は予防的である、すなわち、それは望ましくない状態を生じることに対して宿主を保護するが、望ましくない状態の発現後に投与される場合、処置は治療的である(すなわち、存在する望ましくない状態またはそれに由来する副作用を減少させる、改善する、または維持することが意図される)。
用語「治療効果」とは、薬理活性物質により引き起こされる、動物、特に、哺乳動物、より特には、ヒトにおける局所または全身効果を指す。かくして、この用語は、動物またはヒトにおける疾患の診断、治癒、軽減、処置、もしくは防止における、または望ましい身体的もしくは精神的発達および状態の増強における使用を意図される任意の物質の効果を意味する。
用語「障害」および「疾患」は、包括的に用いられ、身体の任意の部分、臓器、または系(またはその任意の組合せ)の正常な構造または機能からの任意の逸脱を指す。特定の疾患は、生物学的、化学的、および物理学的変化などの特徴的な症状および兆候によって現れ、限定されるものではないが、人工、環境、雇用、遺伝、および病歴の因子などの様々な他の因子と関連することが多い。特定の特徴的兆候、症状、および関連因子を、様々な方法により定量して、重要な診断情報を得ることができる。
用語「薬物誘導性毒性」は、限定されるものではないが、心臓毒性、肝臓毒性、腎臓毒性、神経毒性、腎毒性、または筋毒性を含む。
用語「心臓毒性」は、心臓毒性剤により引き起こされ、心機能に対する広範囲の副作用を誘導する治療分子および毒素を含む薬剤を指す。心臓毒性の証拠は、前臨床試験において早期に出現するか、または臨床設定においてより後に明らかとなってもよい。心臓毒性剤は、限定されるものではないが、QT期間の増加、不整脈、心筋虚血、高血圧と血栓塞栓性合併症、心筋機能障害、心筋症、心不全、心房細動、心筋症と心不全、心不全とLV機能障害、心房粗動と心房細動、および心臓弁損傷と心不全のいずれか1つ以上などのいくつかの副作用をもたらし得る。
本明細書で用いられる「心血管疾患」は、心臓、血管(動脈、毛細血管、および静脈)またはその両方に作用する疾患のクラスである。心血管疾患とは、心血管系に影響する任意の疾患、原理的には、心筋症を含む心臓疾患、脳および腎臓の血管疾患、ならびに末梢動脈疾患を指す。特定の実施形態においては、心血管疾患とは、主に心臓に影響する疾患を指し、心臓疾患と呼ぶことができる。特定の実施形態においては、心血管疾患は、心臓の損傷、機能不全、または先天性異常が心臓から遠い部位に存在する原発病理の結果である疾患(例えば、別の疾患または状態との併存疾患としての心血管疾患)とは反対に、病理が心臓の損傷、機能不全、または先天性異常から始まる疾患を指す。例えば、心不全、不整脈(QT期間の増大および心房粗動および/または心房細動を含む心拍の異常)、心内膜炎(心臓の内層、心内膜、最も一般的には、心臓弁の炎症);炎症性心肥大(心臓の拡大、心臓肥大);心筋炎(心筋の炎症);心臓弁膜症;先天性心疾患;およびリウマチ性心疾患(連鎖球菌感染により引き起こされるリウマチ熱に起因する心筋および心臓弁の損傷)などの炎症性心疾患は、原発病理が心臓にあるか、または心臓に存在し、続いて、血管または他の全身疾患をもたらし得る心臓の損傷、機能不全、または先天性異常の例である。あるいは、冠動脈性心疾患(虚血性心疾患または冠動脈疾患とも言う);高血圧性心疾患(高血圧に続発する心臓の疾患);肺性心(呼吸系の障害を有する心臓右側不全);脳血管疾患(脳卒中などの脳に供給する血管の疾患);末梢動脈疾患(腕および脚に供給する血管の疾患);ならびにアテローム性動脈硬化症は、最初は心臓から遠い部位に存在する病理の結果である。心臓で、または心臓から遠い部位で開始した心血管疾患は、心不全をもたらし得る。本発明の特定の実施形態においては、心血管疾患は、初期の病理が心臓から遠い部位にある疾患を含む。本発明の特定の実施形態においては、心血管疾患は、初期の病理が心臓から遠い部位にある疾患を含まない。特定の実施形態においては、心血管疾患は、不整脈、心内膜炎などの炎症性心疾患;炎症性心肥大;心筋炎;心臓弁膜症;先天性心疾患;リウマチ性心疾患;冠動脈性心疾患;高血圧性心疾患;肺性心;脳血管疾患;末梢動脈疾患;およびアテローム性動脈硬化症のうちの1種以上を含まない。
本明細書で用いられる場合、「心筋症」は、QT期間の増大、不整脈、心筋虚血、高血圧と血栓塞栓性合併症、心筋機能障害、心筋症、心不全、心房細動、心筋症と心不全、心不全とLV機能障害、心房粗動と心房細動、および心臓弁損傷と心不全からなる群から選択される1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10種以上)の状態と理解される。特定の実施形態においては、心筋症は、別の疾患または状態との併存疾患としての心筋症を含まない。
特定の実施形態においては、心筋症は、本明細書では互換的に用いられる通り、「誘導性心筋症」または「後天性心筋症」である。特定の実施形態においては、誘導性または後天性心筋症は、心臓毒性である薬物または毒素、例えば、ロシグリタゾンおよび関連するチアゾリジンジオン(TZD)などの糖尿病の処置のための薬物;化学療法剤、例えば、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、シクロホスファミド、およびトキソイド;コカイン;アンフェタミン;特に、貧しい食生活に伴うアルコール;ならびに毒素、例えば、重金属、コバルトへの曝露の結果である。特定の実施形態においては、誘導性心筋症は、薬物または毒素への曝露の結果ではない。特定の実施形態においては、誘導性心筋症は、感染、例えば、心臓の細菌またはウイルス感染(例えば、リウマチ熱)、ウイルス性肝炎、およびHIV感染を含むウイルス感染の結果である。例えば、特定の実施形態においては、誘導性心筋症は、感染の結果ではない。特定の実施形態においては、心筋症は、内分泌不均衡の結果、例えば、糖尿病または甲状腺疾患である。特定の実施形態においては、心筋症は、内分泌不均衡の結果ではない。特定の実施形態においては、誘導性心筋症は、高血圧または心臓発作の結果である。特定の実施形態においては、誘導性心筋症は、高血圧または心臓発作の結果ではない。特定の実施形態においては、誘導性心筋症は、虚血の結果、例えば、狭心症、心筋梗塞、または虚血の結果生じる心不全である。特定の実施形態においては、誘導性心筋症は、虚血の結果ではない。
特定の実施形態においては、心筋症は、「遺伝性心筋症」であり、肥大型心筋症および催不整脈性右室異形成は実質的に遺伝性障害である。
本明細書で用いられる場合、「心不全」は、鬱血性心不全(CHF)または鬱血性心臓不全(CCF)と呼ばれることが多く、心臓が身体の必要性を満たす血流を維持する十分なポンプ作用を提供することができない場合に生じる状態と理解される。心不全は、息切れ、脚のむくみ、および運動不耐性などのいくつかの症状を引き起こし得る。この状態は、典型的には、患者の身体検査により診断され、心エコー検査により確認される。心不全の一般的な原因としては、心筋梗塞ならびに他の形態の虚血性心疾患、高血圧、心臓弁膜症、および心筋症が挙げられる。用語「心不全」は、心不全を引き起こし得るが、心不全と等価ではない、心筋梗塞(心臓発作)または心停止などの他の心臓関連疾患について不正確に用いられることがある。
心筋症または心不全などの「心血管疾患を発症する危険性が高い」被験体は、心血管疾患を発症しても、またはしなくてもよい。心血管疾患を発症する危険性が高い被験者の同定を、心血管疾患のさらなる兆候または症状についてモニタリングするべきである。心血管疾患を発症する危険性が高い被験者を同定するための本明細書で提供される方法を、限定されるものではないが、年齢などの心血管疾患の他の公知の危険因子または兆候の評価と組合わせて用いることができる。
本明細書で用いられる用語「発現」は、ポリペプチドがDNAから生成されるプロセスを意味する。このプロセスは、遺伝子のmRNAへの転写およびこのmRNAのポリペプチドへの翻訳を含む。用いられる文脈に応じて、「発現」は、RNA、もしくはタンパク質、またはその両方の生成を指してもよい。
用語「遺伝子の発現のレベル」または「遺伝子発現レベル」とは、細胞中の遺伝子によりコードされる、mRNA、ならびにプレmRNA新生転写物、転写プロセッシング中間体、成熟mRNAおよび分解産物のレベル、またはタンパク質のレベルを指す。
用語「特異的同定」または「特異的検出」は、検出方法が診断的に有用であるような、用いられるアッセイのバックグラウンドおよび試薬の交叉反応性が十分に低い目的のマーカーの検出と理解される。特定の実施形態においては、マーカーの特異的同定のための試薬は、マーカーの1つのアイソフォームにのみ結合する。特定の実施形態においては、マーカーの特異的同定のための試薬は、マーカーの2つ以上のアイソフォームに結合する。特定の実施形態においては、マーカーの特異的同定のための試薬は、マーカーの全ての公知のアイソフォームに結合する。特定の実施形態においては、試薬は、リン酸化形態のタンパク質にのみ結合する。特定の実施形態においては、試薬は非リン酸化形態のタンパク質にのみ結合する。
バイオマーカーの用語「調節」とは、上方調節(すなわち、活性化もしくは刺激)、下方調節(すなわち、阻害もしくは抑制)、またはバイオマーカーもしくは応答と組合わせた、または別々の2つを指す。「モジュレータ」は、例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、活性化因子、刺激因子、抑制因子、または阻害因子を調節し、それであってもよい化合物または分子である。
「調節されたレベル」または「変化したレベル」とは、対照レベルまたは正常レベルと比較して変化した値を指す。正常は、同じ実験で試験された組織学的な正常対照試料または好ましくは、正常対照試料に基づくものである。特定の「正常」値は、例えば、アッセイの種類(例えば、ELISA、酵素活性、免疫組織化学、PCR、分光分析)、試験しようとする試料(例えば、細胞型および培養条件、被験体試料)、ならびに当業者には公知の他の考慮に依存する。対照試料を用いて、正常と異常との間のカットオフを定義することができる。
実験動物または組織培養試験に関連する用語「対照レベル」とは、マーカーの許容されるか、もしくは予め決定されたレベル、または好ましくは、潜在的な毒性薬物もしくは救助剤で処理されていない細胞から誘導される試料中のマーカーのレベルと比較するために用いられる、試験試料と平行して試験される対照試料中で決定されるマーカーレベルを指す。「対照レベル」は、同じ状態、例えば、低酸素状態、高血糖、乳酸などの下で培養された細胞から得られる。
用語「対照レベル」とは、マーカーの許容されるか、もしくは予め決定されたレベル、または好ましくは、潜在的な毒性薬物もしくは救助剤で処理されていない細胞から誘導される試料中のマーカーのレベルと比較するために用いられる、試験試料、または好適な被験体試料と平行して試験される対照試料中で決定されるマーカーレベルを指す。特定の実施形態においては、「対照レベル」は、同じ状態、例えば、低酸素状態、高血糖、乳酸などの下で培養された細胞から得られる。特定の実施形態においては、対照レベルは、健康な被験体から、または例えば、心血管疾患、例えば、心筋症の処置のための薬剤、心筋症の防止および/もしくは処置のための薬剤などの薬剤を用いる処置の前、または潜在的な心臓毒性剤を用いる処置の前の被験体から得られる。
本明細書で用いられる用語「対照試料」とは、例えば、心血管疾患および/もしくは心筋症に罹患していない健康な被験体に由来する試料、またはより早い時点からの、例えば、処置の前、または処置もしくは疾患のより早い段階での被験体に由来する試料などの、任意の臨床的に関連する比較試料を指す。対照試料は、精製された試料、例えば、キットと共に提供されるタンパク質、核酸、および/または脂質であってもよい。そのような対照試料を、例えば、試験試料中の分析物の定量的測定を可能にする希釈系列に希釈することができる。対照試料は、1つ以上の被験体から誘導される試料を含んでもよい。対照試料は、評価しようとする被験体からより早い時点で得られた試料、例えば、心筋症の開始前、疾患のより早い段階で、または心筋症もしくは他の状態のための処置もしくは処置の一部、特に、心筋症を誘導することが知られる薬剤(例えば、2型糖尿病剤、化学療法剤)の投与前に評価しようとする被験体から取得された試料であってもよい。また、対照試料は、動物モデルに由来する、または心筋症の動物モデルから誘導される組織もしくは細胞系に由来する試料であってもよい。測定群からなる対照試料中のバイオマーカーの活性または発現のレベルを、例えば、任意の適切な統計学的尺度、例えば、平均値、中央値、または最頻値などの代表値に基づいて決定することができる。
一実施形態においては、対照は、標準化された対照、例えば、心血管疾患または心疾患を有さない被験体、特に、心筋症を有さない被験体の集団に由来する1種以上のマーカーの発現レベルの平均を用いて予め決定された対照である。本発明のさらに他の実施形態においては、マーカーの対照レベルは、心筋症を有する被験体から誘導される正常な試料中のマーカーのレベルである。
本明細書で用いられる場合、「より早い時点」で得られた試料は、臨床的に関連する情報を、より後の時点と比較してより早い時点に由来する試料中で得ることができるように十分な過去の時点で得られた試料である。特定の実施形態においては、より早い時点は、少なくとも4週間早い。特定の実施形態においては、より早い時点は、少なくとも6週間早い。特定の実施形態においては、より早い時点は、少なくとも2ヶ月早い。特定の実施形態においては、より早い時点は、少なくとも3ヶ月早い。特定の実施形態においては、より早い時点は、少なくとも6ヶ月早い。特定の実施形態においては、より早い時点は、少なくとも9ヶ月早い。特定の実施形態においては、より早い時点は、少なくとも1年早い。当業者であれば、特定の被験体について試験するための適切な間隔を、通常の考慮に基づいて決定することができる。
本明細書で用いられる場合、対照試料または被験体と比較して、「変化した」、「変更された」、または「調節された」は、正常な、未処置の試料、または対照試料とは統計的に異なるレベルで、検出しようとする分析物または診断もしくは治療指標(例えば、本発明のマーカー)のレベルを有すると理解される。統計的有意性の決定は、当業者の能力の範囲内にあり、正の結果を構成する平均からの標準偏差の数である。
薬物は、薬物を用いる細胞の処理が、「正常」または適切な対照レベルと比較して本明細書に提供される少なくとも1種のマーカーのレベルの統計的に有意な変化をもたらす場合、「心臓毒性」であると考えられる。あらゆる濃度の薬物が少なくとも1種のマーカーの統計的に有意な変化をもたらす必要はないことが理解される。好ましい実施形態においては、薬物は、薬物の治療的に関連する濃度が少なくとも1種のマーカーのレベルの統計的に有意な変化をもたらす場合、心臓毒性を有する可能性があると考えられる。
「救助剤」は、救助剤が治療的に関連する濃度で存在する場合、マーカーのレベルが「正常細胞」中のマーカーレベルに対して統計的に有意な様式で調節される場合、心臓毒性を軽減するのに有効であると考えられる。好ましい実施形態においては、救助剤は、マーカーを、対照細胞中のマーカーのレベルと統計的に異ならないレベルに戻す。
本明細書で用いられる用語「取得すること」は、本明細書では、製造すること、購入すること、またはさもなければ、所有することと理解される。
「生物試料」または「被験体試料」は、目的のマーカーが存在し得る体液または組織である。特定の実施形態においては、試料は、血液、嘔吐物、唾液、リンパ液、嚢胞液、尿、気管支洗浄により収集された液体、腹膜洗浄液により収集された液体、または婦人科液である。一実施形態においては、被験体試料は、血液試料またはその成分(例えば、血清)である。試料は、被験体に由来する組織試料、例えば、被験体に由来する心臓組織試料であってもよい。特定の実施形態においては、組織は、骨、結合組織、軟骨、肺、肝臓、腎臓、筋肉組織、心臓、膵臓、および皮膚からなる群から選択される。細胞試料または実験動物に由来する試料を、ヒト生物試料または被験体試料のために本明細書に提供される同じ実験方法の多くにおいて用いることができる。
本明細書で用いられる場合、「検出すること」、「検出」などは、試料中の特異的マーカー、例えば、脂質バイオマーカーなどの本明細書に提供されるバイオマーカーのいずれかの同定のために実施されるアッセイを指すことが理解される。試料中で検出されるマーカー発現の量、活性、またはレベルは、なくてもよいか、またはアッセイもしくは方法の検出レベルよりの下であってもよい。
「本発明のタンパク質」は、マーカータンパク質およびその断片;マーカータンパク質変異体およびその断片;マーカーもしくはマーカータンパク質変異体の少なくとも15アミノ酸のセグメントを含むペプチドおよびポリペプチド;ならびにマーカーもしくはマーカータンパク質変異体、またはマーカーもしくはマーカータンパク質変異体の少なくとも15アミノ酸のセグメントを含む融合タンパク質を包含する。特定の実施形態においては、本発明のタンパク質は、抗体のマーカーへの特異的結合を許容するのに十分に大きいペプチド配列またはエピトープである。
本発明はさらに、本発明のマーカータンパク質およびマーカータンパク質の断片と特異的に結合する抗体、抗体誘導体および抗体断片を提供する。本明細書で別途特定しない限り、用語「抗体」および「複数の抗体」は、天然形態の抗体(例えば、IgG、IgA、IgM、IgE)ならびに一本鎖抗体、キメラおよびヒト化抗体および多特異的抗体などの組換え抗体、ならびに断片および誘導体が少なくとも抗原結合部位を有する、前記の全ての断片および誘導体を広く包含する。抗体誘導体は、抗体にコンジュゲートしたタンパク質または化学的部分を含んでもよい。
「本発明の遺伝子」は、マーカー遺伝子およびその断片;マーカー遺伝子変異体およびその断片;核酸およびその相補体、マーカーまたはマーカー遺伝子変異体の少なくとも15個の連続するヌクレオチドを含む遺伝子のセグメント;ならびにマーカーもしくはマーカータンパク質変異体、またはマーカーもしくはマーカータンパク質変異体の少なくとも15個のアミノ酸セグメントを含む融合タンパク質をコードする核酸を包含する。特定の実施形態においては、本発明の遺伝子は、マーカーへの相補的核酸の特異的結合を許容するのに十分に大きい核酸配列の一部である。
本明細書で用いられる場合、「より大きい予測値」は、それが比較される試験よりも、有意に高い感度および/または特異度、好ましくは高い感度および特異度を有するアッセイと理解される。試験の予測値を、例えば、ROC分析を用いて決定することができる。ROC分析においては、正常状態と疾患状態との完全な識別または精度を提供する試験は、曲線下面積(AUC)=1.0を有するが、無作為の機会よりも良好な識別を提供しない非常に弱い試験は、AUC=0.5を有する。本明細書で用いられる場合、より高い予測値を有する試験は、別のアッセイと比較して統計的に改善されたAUCを有する。特定の実施形態においては、正常状態と疾患状態との識別または精度を提供する試験のROC分析は、少なくとも0.65、少なくとも0.7、少なくとも0.75、少なくとも0.8、少なくとも0.85、少なくとも0.9、少なくとも0.91、少なくとも0.92、少なくとも0.93、少なくとも0.94、少なくとも0.95、少なくとも0.96、少なくとも0.97、少なくとも0.98、少なくとも0.99以上のAUCを有する。好ましい実施形態においては、AUCは0.5と有意に異なる。アッセイは、適切な被験体集団中で実施される。
本明細書で用いられる場合、「複合体の形成」は、マーカー、例えば、ペプチド、核酸マーカー、脂質マーカー、酵素マーカーを含有することが疑われる試料を、マーカーとプローブとの複合体の形成を許容する条件下で、試料中に存在することが疑われるマーカーとの複合体を形成するマーカー特異的結合剤またはプローブと組合わせることと理解される。特定の実施形態においては、形成される複合体のレベルは、形成される複合体を検出するのに用いられるアッセイの検出のレベルよりも下であってもよい。
本明細書で用いられる場合、「細胞からマーカーを単離すること」は、目的の被験体に由来する細胞の文脈からマーカーを除去するための任意の方法と理解され、生検を取得し、細胞をプロセッシングすること、被験体試料、例えば、心臓細胞との接触から除去された、例えば、血液または血清試料を取得することを含んでもよい。in vitroでは、細胞からマーカーを単離することは、マーカーを検出することができるように細胞をプロセッシングすることと理解することができる。例えば、分析のために脂質を単離するための有機溶媒またはタンパク質および核酸を単離するための無機溶媒を用いる細胞抽出の方法は、当業界で公知である。細胞から除去された試料中に存在するマーカーの量は、アッセイの検出のレベルより下であってもよいことが理解される。
用語「ゲノム」とは、生物学的実体(細胞、組織、臓器、系、生物)の遺伝子情報の全体を指す。それはDNAまたはRNA(例えば、特定のウイルス中の)のいずれかにコードされる。ゲノムは、遺伝子と、DNAの非コード配列との両方を含む。
用語「プロテオーム」とは、所与の時間でゲノム、細胞、組織、または生物により発現されたタンパク質の全セットを指す。より特には、それは規定の条件下で所与の時間に所与の細胞型または生物中の発現されたタンパク質の全セットを指してもよい。プロテオームは、例えば、遺伝子の選択的スプライシングおよび/または翻訳後改変(グリコシル化もしくはリン酸化など)に起因するタンパク質変異体を含んでもよい。
用語「トランスクリプトーム」とは、所与の時間で1つの細胞または細胞の集団中で産生されたmRNA、rRNA、tRNA、マイクロRNAおよび他の非コードRNAを含む転写されたRNA分子の全セットを指す。この用語を、所与の生物中の転写物の全セット、または特定の細胞型中に存在する転写物の特定のサブセットにも適用することができる。所与の細胞系について大まかに固定されたゲノム(突然変異を除く)と違って、トランスクリプトームは、外部環境条件と共に変化してもよい。それは細胞中の全てのmRNA転写物を含むため、トランスクリプトームは、転写減衰などのmRNA分解現象を除いて、任意の所与の時間で活発に発現される遺伝子を反映する。
発現プロファイリングとも呼ばれるトランスクリプトミクスの研究は、多くはDNAマイクロアレイ技術に基づく高効率技術を用いて、所与の細胞集団中のmRNAの発現レベルを検査するものである。
用語「メタボローム」とは、所与の条件下で所与の時間で単一の生物などの生物試料内に見出される低分子代謝物(代謝中間体、ホルモンおよび他のシグナリング分子、ならびに二次代謝物など)の完全なセットを指す。メタボロームは、動的であり、次から次へと変化してもよい。
用語「リピドーム」とは、所与の条件下で所与の時間で単一の生物などの生物試料内に見出される脂質の完全なセットを指す。リピドームは、動的であり、次から次へと変化してもよい。
用語「インタラクトーム」とは、試験下の生物系(例えば、細胞)中の分子相互作用の全セットを指す。それを有向グラフとして表示することができる。分子相互作用は、異なる生化学ファミリー(タンパク質、核酸、脂質、炭水化物など)に属し、所与のファミリー内にもある分子間で生じてもよい。プロテオミクスに関して言う場合、インタラクトームは、タンパク質-タンパク質相互作用ネットワーク(PPI)、またはタンパク質相互作用ネットワーク(PIN)を指す。別の広く研究されている型のインタラクトームは、タンパク質-DNAインタラクトーム(すなわち、転写因子とDNAまたはクロマチン調節タンパク質により形成されるネットワーク)およびその標的遺伝子である。
用語「細胞出力」は、限定されるものではないが、1種以上の遺伝子の転写レベル(例えば、RT-PCR、qPCR、マイクロアレイなどにより測定可能)、1種以上のタンパク質の発現レベル(例えば、質量分析またはウェスタンブロットにより測定可能)、1種以上の酵素またはタンパク質の絶対活性(例えば、基質変換率として測定可能)または相対活性(例えば、最大活性と比較した%値として測定可能)、1種以上の代謝物または中間体のレベル、酸化的リン酸化のレベル(例えば、酸素消費率またはOCRにより測定可能)、解糖のレベル(例えば、細胞外酸性化率またはECARにより測定可能)、リガンド-標的結合または相互作用の程度、細胞外分泌分子の活性などの、細胞状態に関するパラメータ、好ましくは、測定可能なパラメータの集合を含む。細胞出力は、所定の数の標的遺伝子もしくはタンパク質などに関するデータを含んでもよく、または全ての検出可能な遺伝子もしくはタンパク質の全体的評価を含んでもよい。例えば、質量分析を用いて、任意の特異的タンパク質を試料または細胞集団中で発現させることができるかどうかに関する従来の知識を用いることなく、所与の試料または細胞集団中で発現される全ての検出可能なタンパク質を同定および/または定量することができる。
本明細書で用いられる場合、「細胞系」は、均一または不均一な細胞の集団を含む。系内の細胞は、天然もしくは生理的環境下、in vivoで増殖していてもよく、または例えば、制御された組織培養環境中、in vitroで増殖していてもよい。系内の細胞は、比較的均一(例えば、70%、80%、90%、95%、99%、99.5%、99.9%以上均一)であってもよく、または通常はin vivoで近接して増殖することがわかっている細胞型、もしくは例えば、パラクラインもしくは他の長距離細胞間連絡を介してin vivoで互いに相互作用することができる細胞型などの2種以上の細胞型を含有してもよい。細胞系内の細胞は、がん細胞系、不死細胞系、もしくは通常の細胞系などの確立された細胞系から誘導されたものであるか、または一次細胞もしくは生組織もしくは臓器から新鮮に単離された細胞であってもよい。
細胞系中の細胞は、典型的には、細胞の挙動に影響する条件を規定し得る栄養素、気体(酸素もしくはCO2など)、化学物質、またはタンパク質性/非タンパク質性刺激因子を提供することができる「細胞環境」と接触する。細胞環境は、規定の化学成分および/またはあまり明確に規定されていない組織抽出物もしくは血清成分を含む化学的媒体であってもよく、細胞が増殖する特定のpH、CO2含量、圧力、および温度を含んでもよい。あるいは、細胞環境は、特定の細胞系についてin vivoで見出される天然または生理的環境であってもよい。
特定の実施形態においては、細胞環境は、生物系またはプロセスの態様を刺激する、例えば、疾患状態、プロセス、もしくは環境を刺激する条件を含む。そのような培養条件としては、例えば、高血糖、低酸素状態、または乳酸に富む条件が挙げられる。いくつかの他のそのような条件は、本明細書に記載される。
特定の実施形態においては、特定の細胞系のための細胞環境はまた、細胞系の特定の細胞表面特性、例えば、細胞表面上の受容体またはリガンドの型およびその対応する活性、炭水化物または脂質分子の構造、膜の極性または流動性、特定の膜タンパク質のクラスタリングの状態なども含む。これらの細胞表面特性は、異なる細胞系に属する細胞などの近隣の細胞の機能に影響し得る。しかしながら、特定の他の実施形態においては、細胞系の細胞環境は、細胞系の細胞表面特性を含まない。
細胞環境を、「改変された細胞環境」になるように変更することができる。変更は、細胞環境への1種以上の「外部刺激成分」の添加などの、細胞環境中に見出される任意の1種以上の成分の変化(例えば、増加または減少)を含んでもよい。環境摂動または外部刺激成分は、細胞環境に対して内因性であってもよく(例えば、細胞環境がいくらかのレベルの刺激因子を含有し、その多くがそのレベルを増加させるために添加される)、または細胞環境に対して外因性であってもよい(例えば、刺激因子の多くは変更前の細胞環境には存在しない)。外部刺激成分は、細胞系により細胞環境中に分泌される分子などの細胞系の細胞出力を変化させることができるため、細胞環境を、外部刺激成分の添加の結果生じる二次的変化によりさらに変更することができる。
本明細書で用いられる場合、「環境摂動」とも呼ばれる「外部刺激成分」は、細胞機能に影響し得る任意の外部からの物理的および/または化学的刺激を含む。これは、任意の大きいまたは小さい有機または無機分子、天然または合成の化学物質、温度シフト、pH変化、放射線、光(UVA、UVBなど)、マイクロ波、超音波、電流、調節または非調節磁界などを含んでもよい。
冠詞「a」および「an」は、1つのまたは1つより多い(すなわち、少なくとも1つ)その冠詞の文法的目的語を指すように本明細書で用いられる。例えば、「要素(an element)」は、1つの要素または1つより多い要素を意味する。
用語「含む」は、本明細書では、語句「限定されるものではないが、含む」を意味するように用いられ、またそれと互換的に用いられる。
用語「または」は、本明細書では、文脈が別途明確に指摘しない限り、用語「および/または」を意味するように包括的に用いられ、それと互換的に用いられる。
用語「など」は、本明細書では、語句「限定されるものではないが、など」を意味するように用いられ、それと互換的に用いられる。
特に記述しないか、または文脈から明らかでない限り、本明細書で用いられる用語「約」は、例えば、平均の2標準偏差内の当業界における通常の許容範囲内と理解される。約は、記述される値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内と理解することができる。別途文脈から明らかでない限り、本明細書で提供される全ての数値は、用語「約」で修飾することができる。
本明細書の変数の任意の定義における化学基の一覧の記載は、任意の単一の基または列挙された基の組合せとしてその変数の定義を含む。本明細書の変数または態様に関する実施形態の記載は、任意の単一の実施形態としての、または任意の他の実施形態もしくはその一部と組合わせたその実施形態を含む。
本明細書に提供される任意の組成物または方法を、本明細書に提供される1つ以上の任意の他の組成物と組合わせることができる。
本明細書に提供される範囲は、範囲内の全ての値の省略表現であると理解される。例えば、1〜50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50からなる群に由来する任意の数、数の組合せ、またはサブ範囲を含むと理解される。
ここで、本発明の例示的実施形態に対する参照を詳細に行う。本発明は例示的実施形態と共に記載されるが、それは本発明をこれらの実施形態に限定することを意図するものではないことが理解されるであろう。逆に、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内に含まれる代替物、改変物、および等価物を包含することが意図される。
本発明のマーカーおよびその使用
本発明は、少なくとも部分的には、心不全、心筋症、および誘導毒性、例えば、薬物誘導性心臓毒性などの薬物誘導性心臓毒性、または治療剤もしくは救助剤などの摂動に対する薬物誘導毒性の応答などの、心血管疾患と関連するバイオマーカーの同定に基づく。マーカーはまた、任意の原因、例えば、遺伝的もしくは身体的異常または傷害(例えば、虚血傷害、心血管疾患、外傷)に起因する心血管疾患および心筋症の検出にとっても有用である。
特に、本発明は、実施例に記載されるマーカー(以後、「マーカー」または「本発明のマーカー」)に関する。本発明は、マーカーによりコードされるか、またはマーカーに対応する核酸およびタンパク質(以後、それぞれ「マーカー核酸」および「マーカータンパク質」)を提供する。本発明はまた、実施例に記載される脂質マーカーも提供する。本発明はまた、実施例に記載される、酵素マーカー、例えば、キナーゼマーカーも提供する。本発明のこれらのマーカーは、誘導性心臓毒性状態の診断および予後診断;様々な薬物誘導性心臓毒性状態のための薬物標的の開発;誘導性心臓毒性の存在のスクリーニング;誘導性心臓毒性を引き起こすか、または引き起こす危険性がある薬剤の同定;誘導性心臓毒性を軽減するか、または防止する救助剤(例えば、毒素または薬物誘導性心臓毒性)の同定;誘導性心臓毒性の軽減、減少または防止;ならびに誘導性心臓毒性を予測するさらなるマーカーの同定において特に有用である。好ましい実施形態においては、誘導性毒性は、薬物誘導性毒性、好ましくは、薬物誘導性心臓毒性である。心筋症および心不全などの、心血管疾患の予後診断、診断、およびモニタリングのための方法も提供される。
「マーカー」は、正常または健康な組織または細胞中のそのレベルから変化した組織または細胞中のレベルが、心血管疾患(例えば、心筋症)、薬物誘導性毒性(例えば、心臓毒性)または心筋症の素因、例えば、心疾患または心血管疾患(例えば、心筋症もしくは心不全)、例えば、糖尿病、肥満、高コレステロール血症、高血圧などをもたらす遺伝的因子または状態に起因する心血管疾患と関連する、遺伝子、タンパク質、酵素、または脂質である。
「マーカー核酸」は、本発明のマーカーによりコードされるか、または本発明のマーカーに対応する核酸(例えば、mRNA、cDNA)である。そのようなマーカー核酸は、本発明のマーカーである遺伝子のいずれかの全配列もしくは部分配列またはそのような配列の相補体を含むDNA(例えば、cDNA)を含む。特定の実施形態においては、マーカーは、原発性心臓病理から生じる心疾患と関連する。そのような配列は当業者には公知であり、例えば、NIH政府PubMedウェブサイトに見出すことができる。マーカー核酸はまた、本発明の遺伝子マーカーのいずれかの全配列もしくは部分配列またはそのような配列の相補体を含むRNAも含み、全てのチミジン残基がウリジン残基で置換されている。
「マーカータンパク質」は、本発明のマーカーによりコードされるか、またはそれに対応するタンパク質である。マーカータンパク質は、本発明のマーカータンパク質のいずれかの全配列または部分配列を含む。そのような配列は当業者には公知であり、例えば、NIH政府PubMedウェブサイト上に見出すことができる。用語「タンパク質」と「ポリペプチド」は互換的に用いられる。
「マーカー酵素」、例えば、キナーゼは、例えば、心不全などの心血管疾患または薬物誘導性心筋症などの心筋症と関連する、正常または健康な組織または細胞中のその発現レベルからの酵素の活性の変化をもたらす、発現レベルの変化、翻訳後改変の変化(例えば、酵素のリン酸化、酵素の切断)、結合パートナーの変化(例えば、αサブユニットからのβγサブユニットの遊離)のうちの1つ以上に起因して、活性レベルの変化を有する酵素である。酵素活性の変化を検出するための方法は、当業界で公知である。
「マーカー脂質」は、正常または健康な組織または細胞中のそのレベルからのレベルの変化が、薬物誘導性毒性、例えば、心臓毒性などの心血管疾患と関連するか、または心血管疾患もしくは心筋症と関連する脂質である。脂質は、細胞内シグナリングと細胞外シグナリングとの両方に関与する。さらに、多くのタンパク質と違って、脂質は翻訳よりもむしろ一連の定義されたステップでプロセッシングされ、試料中の脂質の特異的レベルというよりむしろ、試料中に存在する脂質の比率を、誘導性心臓毒性、例えば、薬物誘導性心臓毒性、心血管疾患または心筋症の結果としての変化の「マーカー」であると考えることもできる。
「マーカーレベル」または「バイオマーカーレベル」は、試料中に存在するマーカーの絶対量または相対量である。試料中のマーカーの濃度、例えば、試料中に存在するタンパク質、脂質、もしくは核酸の量、または試料中の酵素活性単位の数を検出することにより、マーカーレベルを決定することができる。試料中のマーカーの相対濃度、例えば、別の試料、例えば、対照「正常」または「未処理」試料、より早い時点で得られた試料、異なる処理にかけられた対照試料などと比較した試料中に存在するタンパク質、脂質、核酸、もしくは酵素活性の量を検出することにより、マーカーレベルを決定することができる。マーカーレベルを決定する特定の方法は、例えば、測定しようとするマーカーレベルの型に依存する。
「正常」レベルまたはマーカーの発現レベルは、毒性状態または心筋症に罹患していないヒト被験体または患者の細胞中でのマーカーの(発現の)レベルである。
マーカーの「過剰発現」、「より高いレベル」または「より高いレベルの発現」とは、マーカーレベルを評価するために用いられるアッセイの標準誤差よりも高い試験試料中のレベルを指し、好ましくは、対照試料(例えば、心疾患、例えば、心筋症を有さない健康な被験体からの試料)中のマーカーのレベル、好ましくは、いくつかの対照試料中のマーカーまたは複数のマーカーの平均レベルよりも少なくとも25%高い、少なくとも35%高い、少なくとも40%高い、少なくとも50%高い、少なくとも60%高い、少なくとも75%高い、少なくとも85%高い、またはその少なくとも2倍、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、もしくは少なくとも10倍である。便宜上、本明細書で用いられる場合、より高レベルの発現は脂質レベルの増加を指してもよいが、脂質は発現されないことが理解される。
マーカーの「より低いレベル」または「より低いレベルの発現」とは、対照試料(例えば、心疾患、例えば、心筋症を有さない健康な被験体に由来する試料)中のマーカーのレベル、好ましくは、いくつかの対照試料中のマーカーの平均発現レベルの90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、または10%未満である試験試料中のレベル(例えば、発現レベル)を指す。便宜上、本明細書で用いられる場合、より低レベルの発現は脂質レベルの低下を指してもよいが、脂質は発現されないことが理解される。
「正常化されたレベル」または「正常化された発現」は、例えば、心血管疾患、心筋症、または心臓毒性剤を用いる処置のために以前は脱調節されていたマーカーのレベルが、正常な対照レベル(例えば、健康な被験体中のマーカーのレベル、未処理の細胞中のマーカーのレベル)に近いレベルに戻ることと理解される。ある実施形態においては、マーカーの正常化されたレベルは、好ましくは、マーカーに関する正常な対照値の標準偏差内にある。ある実施形態においては、マーカーの正常化されたレベルは、マーカーに関する正常な対照値の2標準偏差内にある。ある実施形態においては、マーカーの正常化されたレベルは、マーカーに関する正常な対照値の3標準偏差内にある。ある実施形態においては、マーカーの正常化されたレベルは、マーカーに関する正常な対照値の10%以内にある。ある実施形態においては、マーカーの正常化されたレベルは、マーカーに関する正常な対照値の25%以内にある。ある実施形態においては、マーカーの正常化されたレベルは、マーカーに関する正常な対照値の50%以内にある。ある実施形態においては、マーカーの正常化されたレベルは、疾患または心臓毒性状態と関連するマーカーの異常なレベルよりもマーカーに関する正常な対照値の値に近い。
一実施形態においては、本発明のマーカーは、薬物誘導性心臓毒性と関連するか、またはそれに関与する遺伝子、タンパク質、または脂質である。薬物誘導性心臓毒性に関与するそのような遺伝子またはタンパク質は、本明細書、例えば、配列表に提供されるマーカーを含む。いくつかの実施形態においては、本発明のマーカーは、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160種以上の本明細書に提供される遺伝子、タンパク質、もしくは脂質の組合せ;またはその任意の組合せである。前記一覧に提示される全ての値はまた、本発明の一部であることが意図される範囲の上限または下限、例えば、1〜5、1〜10、1〜20、1〜30、2〜5、2〜10、3〜10、4〜10、5〜10、2〜20、3〜20、4〜20、5〜20、10〜20、10〜25、10〜30種の前記遺伝子、タンパク質、もしくは脂質;またはその任意の組合せであってもよい。
心血管疾患および心筋症関連マーカー
本発明は、少なくとも部分的には、薬物誘導性心臓毒性などの、誘導性心臓毒性と関連する心筋症などの、心血管疾患および心筋症と関連するバイオマーカーの同定に基づく。
本発明のいくつかの特に好ましいマーカーを、以下でより詳細に説明する。
Emmprin
Emmprinは、M6; OK; 5F7; TCSF; CD147; およびBSGとしても知られる。この遺伝子によりコードされるタンパク質は、精子形成、胚着床、神経ネットワーク形成、および腫瘍進行において重要である細胞膜タンパク質である。コードされるタンパク質はまた、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーでもある。異なるアイソフォームをコードする複数の転写変異体がこの遺伝子について見出されており、特に、GenBank NM_001728.3、バシジンアイソフォーム1前駆体;GenBank NM_198589.2、バシジンアイソフォーム2;GenBank NM_198590.2、バシジンアイソフォーム3;およびGenBank NM_198591.2、バシジンアイソフォーム4が配列番号1〜8に提供される。この遺伝子に関するさらなる情報を、www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/682に見出すことができ、その全内容は本出願の優先日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる。Emmprinのレベルの増加は、心血管疾患、例えば、心不全および心筋症を示す。
HMOX1
HMOX1は、ヘムオキシゲナーゼ(デサイクリング)1;HO-1;HSP32;およびbK286B10としても知られる。ヘムオキシゲナーゼ遺伝子によりコードされるタンパク質は、ヘム異化における必須酵素であり、ヘムを切断してビリベルジンを形成し、これは次いで、ビリベルジンリダクターゼによってビリルビン、および推定神経伝達因子である一酸化炭素に変換される。ヘムオキシゲナーゼ活性は、その基質ヘムにより、および様々な非ヘム基質により誘導される。ヘムオキシゲナーゼは、2つのアイソザイム、誘導的ヘムオキシゲナーゼ-1および構成的ヘムオキシゲナーゼ-2として存在する。HMOX1およびHMOX2は、ヘムオキシゲナーゼファミリーに属する。HMOX1のGenBank受託番号はNM_002133であり、アミノ酸および核酸配列は配列番号9〜10に提供される。この遺伝子に関するさらなる情報を、www.ncbi.nlm.nih.gov/gene/3162に見出すことができ、その全内容は本出願の優先日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる。HMOX1のレベルの増加は、心血管疾患、例えば、心不全および心筋症を示す。
IGFBP7
インスリン様増殖因子結合タンパク質7(IGFBP7)は、AGM; PSF; TAF; FSTL2; IBP-7; MAC25; IGFBP-7; RAMSVPS; IGFBP-7v;およびIGFBPRP1としても知られる。この遺伝子は、インスリン様増殖因子(IGF)-結合タンパク質(IGFBP)ファミリーのメンバーをコードする。IGFBPは高い親和性でIGFに結合し、体液および組織中でのIGFの利用可能性を調節し、その受容体へのIGFの結合を調節する。このタンパク質はIGF-IおよびIGF-IIに比較的低い親和性で結合し、低親和性IGFBPのサブファミリーに属する。それはまた、プロスタサイクリン産生および細胞接着も刺激する。異なるアイソフォームをコードする選択的にスプライシングされた転写変異体がこの遺伝子について記載されており、1つの変異体は網膜動脈瘤(PMID:21835307)と関連していた。IGFBP7アイソフォーム1および2のGenBank受託番号は、それぞれ、NM_001553およびNM_001253835であり、その配列は配列番号11〜14に提供される。この遺伝子に関するさらなる情報をwww.ncbi.nlm.nih.gov/gene/3490に見出すことができ、その全内容は本出願の優先日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる。IGFBP7のレベルの増加は、心血管疾患、例えば、心不全および心筋症を示す。
CCDC47
コイルドコイルドメイン含有47(CCDC47)は、GK001; MSTP041としても知られる。GenBank受託番号はNM_020198であり、そのアミノ酸および核酸配列は配列番号15〜16に示される。CCDC47のレベルの増加は、心血管疾患、例えば、心不全および心筋症を示す。
PTX3
PTX3は、ペントラキシン3、長;TNFAIP5;TSG-14;TNFアルファ誘導タンパク質5;IL-1ベータ、腫瘍壊死因子、アルファ-誘導タンパク質5により急速に誘導される、ペンタキシン関連遺伝子;ペンタキシン関連タンパク質PTX3;ペントラキシン-3;IL-1ベータにより急速に誘導される、ペントラキシン関連遺伝子;ペントラキシン関連タンパク質PTX3;腫瘍壊死因子アルファ誘導タンパク質5;腫瘍壊死因子、アルファ誘導タンパク質5;腫瘍壊死因子誘導性遺伝子14タンパク質;および腫瘍壊死因子誘導性タンパク質TSG-14としても知られる。GenBank受託番号はNM_002852であり、そのアミノ酸および核酸配列は、配列番号17〜18に示される。この遺伝子に関するさらなる情報をwww.ncbi.nlm.nih.gov/gene/5806に見出すことができ、その全内容は本出願の優先日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる。PTX3のレベルの低下は、心血管疾患、例えば、心不全および心筋症を示す。
IL27
インターロイキン-27(IL27)は、IL-27、IL-27A、IL27A、IL27p28、IL30、p28、IL-27 p28 サブユニット; IL-27サブユニットアルファ; IL-27-A; IL27-A; インターロイキン30; およびインターロイキン-27サブユニットアルファとしても知られる。この遺伝子によりコードされるタンパク質は、ヘテロ二量体サイトカイン複合体のサブユニットの1つである。このタンパク質は、インターロイキン12A(IL12A)と関連する。それはインターロイキン12B(IL12B)と類似するタンパク質であるエプスタイン・バーウイルス誘導遺伝子3(EBI3)と相互作用し、記憶CD4(+)T細胞ではなく、ナイーブなCD4(+)T細胞の迅速な拡張を誘導することが示された複合体を形成する。この複合体はまた、インターロイキン12と強く相乗作用して、ナイーブなCD4(+)T細胞のインターフェロンガンマ(IFNG)産生を誘発することもわかっている。このサイトカインの生物学的効果は、クラスIサイトカイン受容体(WSX1/TCRR)により媒介される。GenBank受託番号は、1.NM_145659であり、そのアミノ酸および核酸配列は配列番号19〜20に示される。この遺伝子に関するさらなる情報をwww.ncbi.nlm.nih.gov/gene/246778に見出すことができ、その全内容は本出願の優先日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる。IL27のレベルの増加は、心血管疾患、例えば、心不全および心筋症を示す。
PAI1
PAI1は、SERPINE1、セルピンペプチダーゼ阻害因子、クレードE(ネキシン、プラスミノーゲン活性化因子阻害因子1型)、メンバー1;PAI、PAI-1、PAI1、PLANH1;内皮プラスミノーゲン活性化因子阻害因子;プラスミノーゲン活性化因子阻害因子1;セリン(またはシステイン)プロテイナーゼ阻害因子、クレードE(ネキシン、プラスミノーゲン活性化因子阻害因子1型)、メンバー1;およびセルピンE1としても知られる。この遺伝子は、セリンプロテイナーゼ阻害因子(セルピン)スーパーファミリーのメンバーをコードする。このメンバーは、組織プラスミノーゲン活性化因子(tPA)およびウロキナーゼ(uPA)の主要な阻害剤であり、従って、線維素溶解の阻害剤である。この遺伝子の欠陥は、プラスミノーゲン活性化因子阻害因子-1欠損(PAI-1欠損)の原因であり、高濃度の遺伝子産物は血栓性素因と関連する。異なるアイソフォームをコードする選択的にスプライシングされた転写変異体がこの遺伝子について見出されている。アイソフォーム1および2のGenBank受託番号は、それぞれ、NM_000602およびNM_001165413であり、配列番号21〜24に提供される。この遺伝子に関するさらなる情報をwww.ncbi.nlm.nih.gov/gene/5054に見出すことができ、その全内容は本出願の優先日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる。PIA1のレベルの低下は、心血管疾患、例えば、心不全および心筋症を示す。
CFL2
CFL2は、コフィリン2(筋肉);NEM7;コフィリン、筋肉アイソフォーム;およびコフィリン-2としても知られる。この遺伝子は、アクチンフィラメント力学の調節に関与する細胞内タンパク質をコードする。このタンパク質は、核内および細胞質アクチンロッドの主要成分である。それは1:1の比のコフィリン:アクチンでGおよびFアクチンに結合することができ、pH依存的様式でアクチン重合および脱重合を可逆的に制御する。この遺伝子の突然変異は、先天性ミオパシーの形態であるネマリンミオパシー7型を引き起こす。選択的スプライシングは3つの転写変異体をもたらすが、変異体のうちの2つは同じタンパク質をコードする。その配列はGenBank受託番号NM_001243645 (コフィリン-2アイソフォーム2); NM_021914 (コフィリン-2アイソフォーム1); およびNM_138638 (転写変異体コフィリン-2アイソフォーム1)で利用可能である。そのアミノ酸および核酸配列は、配列番号25〜30に提供される。この遺伝子に関するさらなる情報をwww.ncbi.nlm.nih.gov/gene/1073に見出すことができ、その全内容は本出願の優先日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる。CFL2のレベルの増加は、心血管疾患、例えば、心不全および心筋症を示す。
EDIL3
EDIL3は、EGF様リピートおよびジスコイジンI様ドメイン3;DEL1;発生内皮遺伝子座-1;発生調節内皮細胞遺伝子座1タンパク質;およびインテグリン結合タンパク質DEL1としても知られる。この遺伝子によりコードされるタンパク質は、インテグリンリガンドである。それは血管形成の媒介において重要な役割を果たし、血管壁再モデリングおよび発達において重要であり得る。それは内皮細胞挙動にも影響する。GenBank受託番号はNM_005711であり、そのアミノ酸および核酸配列は配列番号31〜32に見出すことができる。この遺伝子に関するさらなる情報をwww.ncbi.nlm.nih.gov/gene/10085に見出すことができ、その全内容は本出願の優先日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる。EDIL3のレベルの低下は、心血管疾患、例えば、心不全および心筋症を示す。
NUCB1
NUCB1は、ヌクレオビンジン1;CALNUC;およびNUCとしても知られる。この遺伝子は、低分子カルシウム結合EFハンドタンパク質ファミリーのメンバーをコードする。コードされるタンパク質は、ゴルジ体のカルシウム恒常性およびCa(2+)調節性シグナル伝達事象において重要な役割を有すると考えられる。GenBank受託番号は1.NM_006184であり、そのアミノ酸および核酸配列は配列番号33〜34に見出すことができる。この遺伝子に関するさらなる情報をwww.ncbi.nlm.nih.gov/gene/4924に見出すことができ、その全内容は本出願の優先日に利用可能なバージョンで参照により本明細書に組込まれる。NUCB1のレベルの低下は、心血管疾患、例えば、心不全および心筋症を示す。
脂質
脂質マーカーPE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3およびLPC20:3は、公知の心臓毒性薬で処置されていない糖尿病、および公知の心臓毒性薬で処置された心筋症を有さない糖尿病と比較して、公知の心臓毒性薬で処置された心筋症の臨床診断を有する糖尿病被験体において有意に減少した。従って、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3および/またはLPC20:3のレベルの低下は、心筋症などの心血管疾患を示す。正常な被験体と比較したPD18:0-20:3のレベルの低下は、心血管疾患を示す心臓再モデリングを示す。
マーカーの同一性に応じて、マーカーの増加または減少は、心不全もしくは心筋症などの心血管疾患を示すか、または薬剤が心臓毒性である可能性があることを示してもよい。例えば、正常な被験体と比較したPTX3、PAI1、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される少なくとも1種の心血管疾患マーカーのレベルの低下は、被験体が心血管疾患に罹患しているか、もしくは心血管疾患を発症する危険性が高いこと、または薬剤が心臓毒性であることを示す。逆に、正常な被験体と比較したPTX3、PAI1、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される少なくとも1種の心血管疾患マーカーのレベルが変化しないこと、またはレベルの増加は、被験体が心血管疾患に罹患していないか、もしくは心血管疾患を発症する危険性が高くないこと、または薬剤が心臓毒性ではないことを示す。
正常な被験体と比較したHMOX1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、およびCCDC47からなる群から選択される少なくとも1種の心血管疾患マーカーのレベルの増加は、被験体が心血管疾患に罹患しているか、もしくは心血管疾患を発症する危険性が高いこと、または薬剤が心臓毒性であることを示す。逆に、正常な被験体と比較したHMOX1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、およびCCDC47からなる群から選択される少なくとも1種の心血管疾患マーカーのレベルの低下は、被験体が心血管疾患に罹患していないか、もしくは心血管疾患を発症する危険性が高くないこと、または薬剤が心臓毒性ではないことを示す。
脂質マーカーについては、正常な被験体と比較したPE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3、LPC20:3、および18:0-20:3からなる群から選択される少なくとも1種の心血管疾患マーカーのレベルの低下は、被験体が心血管疾患に罹患しているか、もしくは心血管疾患を発症する危険性が高いこと、または薬剤が心臓毒性であることを示す。正常な被験体と比較したPE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3、LPC20:3、および18:0-20:3からなる群から選択される少なくとも1種の心血管疾患マーカーのレベルの増加は、被験体が心血管疾患に罹患していないか、もしくは心血管疾患を発症する危険性が高くないこと、または薬剤が心臓毒性ではないことを示す。
心血管疾患の処置のための薬剤を同定するために化合物を分析する場合、未処理の細胞と比較した試験化合物で処理された試験細胞中のPTX3、PAI1、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される少なくとも1種の心血管疾患マーカーのレベルの低下は、試験化合物が心血管疾患の処置にとって有効ではないことを示す。逆に、PTX3、PAI1、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される少なくとも1種の心血管疾患マーカーのレベルの増加は、試験薬剤が心血管疾患の処置において有効であることを示す。
心血管疾患の処置のための薬剤を同定するために化合物を分析する場合、未処理の細胞と比較した試験化合物で処理された試験細胞中のHMOX1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、およびCCDC47からなる群から選択される少なくとも1種の心血管疾患マーカーのレベルの増加は、試験化合物が心血管疾患の処置にとって有効ではないことを示す。逆に、HMOX1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、およびCCDC47からなる群から選択される少なくとも1種の心血管疾患マーカーのレベルの低下は、試験薬剤が心血管疾患の処置において有効であることを示す。
心血管疾患の処置のための薬剤を同定するために化合物を分析する場合、未処理の細胞と比較した試験化合物で処理された試験細胞中のPE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3、LPC20:3、および18:0-20:3からなる群から選択される少なくとも1種の心血管疾患マーカーのレベルの低下は、試験化合物が心血管疾患の処置にとって有効ではないことを示す。逆に、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3、LPC20:3、および18:0-20:3からなる群から選択される少なくとも1種の心血管疾患マーカーのレベルの増加は、試験薬剤が心血管疾患の処置において有効であることを示す。
相対値よりもむしろ、絶対値として血清中で検出されたマーカーの量を、心不全または心筋症などの心血管疾患を示すものと考えることができる。例えば、1000pg/ml、900pg/ml、800pg/ml、700pg/ml、600pg/ml、または500pg/ml以下のCCDC47の血清レベルは、心不全または心筋症などの心血管疾患の非存在を示すものであってよい。少なくとも1300pg/ml、1400pg/ml、1500pg/ml、1600pg/ml、1700pg/ml、1800pg/ml、1900pg/ml、または2000pg/mlのCCDC47の血清レベルは、心不全または心筋症などの心血管疾患の非存在を示すものであってよい。10pmole/mgタンパク質、8pmole/mgタンパク質、6pmole/mgタンパク質、または5pmole/mgタンパク質以下のPE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3の血清レベルを、心不全または心筋症などの心血管疾患を示すものと考えることができる。少なくとも12pmole/mgタンパク質、14pmole/mgタンパク質、16pmole/mgタンパク質、または20pmole/mgタンパク質のPE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3のレベルを、心不全または心筋症などの心血管疾患の非存在を示すものと考えることができる。マーカーLPC20:3については、25pmole/mgタンパク質、22pmole/mgタンパク質、20pmole/mgタンパク質、18pmole/mgタンパク質、または15pmole/mgタンパク質以下のレベルは、心不全または心筋症などの心血管疾患を示す。少なくとも30pmole/mgタンパク質、35pmole/mgタンパク質、40pmole/mgタンパク質、または45pmole/mgタンパク質のLPC20:3のレベルを、心不全または心筋症などの心血管疾患の非存在を示すものと考えることができる。
本発明の診断的/予後診断的使用
本発明は、被験体において、心血管疾患、特に、心不全および/または心筋症、例えば、心臓毒性剤との接触の結果生じる心筋症を診断するための方法を提供する。本発明は、治療的処置に対する、心血管疾患、特に、心不全および/または心筋症、例えば、心臓毒性剤との接触の結果生じる心筋症の応答を予後診断するか、またはモニタリングするための方法をさらに提供する。本発明は、例えば、非心臓関連疾患または状態の処置のために、潜在的な心臓毒性剤の用量を低下させるための治療的処置における変化を選択するための方法をさらに提供する。
本発明は、一実施形態においては、心血管疾患、特に、心不全および/または心筋症、例えば、心臓毒性剤との接触の結果生じる心筋症を診断するための方法を提供する。本発明の方法は、心血管疾患を予後診断するために当業者によって用いられる任意の他の方法と共に実施することができる。本明細書に提供される診断および予後診断方法を用いて、追加の、および/またはより侵襲的な試験またはモニタリングを被験体に対して実施するべきであるかどうかを決定することができる。心血管疾患ほど複雑な疾患は、単一の試験を用いて診断されることは稀であることが理解される。従って、本明細書に提供される診断、予後診断、およびモニタリング方法は、典型的には、当業界で公知の他の方法と共に用いられることが理解される。例えば、本発明の方法を、遺伝子検査および/またはマーカーに基づかない方法、例えば、病歴および家族歴の分析、身体検査、血液検査、ならびに画像化および機能分析、例えば、胸部X線、EKG(心電図)、ホルターおよびイベントモニター、心エコー検査、ストレステスト、心臓カテーテル、冠動脈造影、および心筋生検などの方法と共に実施することができる。
被験体における処置レジメン、例えば、血液薄化剤、外科手術、ベータ遮断剤の有効性;または心筋症を潜在的に誘導するか、もしくは悪化させる薬剤(すなわち、心臓毒性剤)を用いる非心臓関連疾患の処置の変更の有効性を評価するための方法も提供される。これらの方法においては、一対の試料(より早い時点で、または処置レジメンの前に被験体から得られた第1の試料と、より後の時点で、例えば、被験体が処置レジメンの少なくとも一部を受けたか、または処置レジメンを変化させたより後の時点で被験体から得られた第2の試料)中のマーカーの量を評価する。
本発明の方法を用いて、薬剤の心臓毒性を調節する、例えば、低下させることができる化合物を選択することもできる。この方法においては、心筋細胞を試験化合物と接触させ、試験化合物が心筋細胞中の本発明の1種以上のマーカーの発現および/または活性を調節する能力を決定し、心筋細胞中の本発明の1種以上のマーカーの発現および/または活性を調節する試験化合物を、薬剤の心臓毒性を低下させることができる化合物として選択する。
本明細書に記載の方法を用いて、様々な分子をスクリーニングして、本発明のマーカーの発現および/または活性を調節する分子を同定することができる。そのように同定された化合物を被験体に提供して、被験体における心筋症を防止または処置することができる。
本発明の様々な態様を、以下のサブセクションでさらに詳細に説明する。
心臓毒性剤または救助剤をスクリーニングする方法
本明細書に記載の方法を用いて、特に、細胞膜を通過することができる程度に十分に小さい分子などの様々な分子をスクリーニングして、本発明のマーカーの発現および/または活性を調節する、例えば、増加させるか、または低下させる分子を同定することができる。そのように同定された化合物を被験体に提供して、被験体における薬物誘導性心臓毒性を減少させる、軽減する、または防止することができる。
従って、別の態様において、本発明は、薬物誘導性心臓毒性を減少させるか、もしくは防止することができる、または心筋症を防止するか、もしくは処置することができる薬剤を同定するための方法であって、(i)毒性誘導薬を用いる処理の前に得られた第1の細胞試料中の存在する1種以上のバイオマーカーの正常レベルを決定すること;(ii)毒性誘導薬で処理した後に得られた第2の細胞試料中の存在する1種以上のバイオマーカーの処理されたレベルを決定して、処理された細胞試料中での発現が変化した1種以上のバイオマーカーを同定すること;(iii)毒性誘導薬および救助剤を用いる処理後に得られた第3の細胞試料中に存在する毒性誘導薬で処理された試料中での発現レベルが変化した1種以上のバイオマーカーのレベルを決定すること;ならびに(iv)第3の試料中で決定された1種以上のバイオマーカーのレベルを、第1の試料中で決定された1種以上のバイオマーカーのレベルと比較することを含み、第1の試料と比較した第3の試料中の1種以上のバイオマーカーの正常化されたレベルが、薬剤が薬物誘導性心臓毒性を減少させるか、もしくは防止することができること、または心筋症を防止もしくは処置するために用いることができることを示す、前記方法を提供する。一実施形態においては、1種以上のバイオマーカーは、本明細書に提供されるマーカーから選択される。
一実施形態においては、細胞は、心血管系の細胞、例えば、心筋細胞である。一実施形態においては、細胞は、糖尿病心筋細胞である。一実施形態においては、薬物は、糖尿病、肥満または心血管疾患を処置するための薬物または候補薬物である。一実施形態においては、薬物は、アントラサイクリン、5-フルオロウラシル、シスプラチン、トラスツズマブ、ゲムシタビン、グリタゾン類(例えば、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾン)、カベルゴリン、ペルゴリド、スマトリプタン、ビスホスホネート、またはTNFアンタゴニストである。一実施形態においては、第1の試料と比較した第3の試料中の本明細書に提供されるマーカーから選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160種以上のバイオマーカーの発現の正常化されたレベルは、救助剤が薬物誘導性心臓毒性を減少させるか、または防止することができることを示す。
特定の実施形態においては、マーカーは、1A69、1C17、ACBD3、ACLY、ACTR2、ANXA6、ANXA7、AP2A1、ARCN1、ASNA1、ATAD3A、ATP5A、ATP5B、ATP5D、ATP5F1、ATP5H、ATPIF1、BSG、C14orf166、CA2D1、CAPN1、CAPZA2、CARS、CCDC22、CCDC47、CCT7、CLIC4、CMPK1、CNN2、CO1A2、CO6A1、COTL1、COX6B1、CRTAP、CS010、CTSA、CTSB、CYB5、DDX1、DDX17、DDX18、DLD、EDIL3、EHD2、EIF4A3、ENO2、EPHX1、ETFA、FERMT2、FINC、FKB10、FKBP2、FLNC、G3BP2、GOLGA3、GPAT1、GPSN2、GRP75、GRP78、HMOX1、HNRNPD、HNRNPH1、HNRPG、HPX、HSP76、HSP90AB1、HSPA1A、HSPA4、HSPA9、IBP7、IDH1、IQGAP1、ITB1、ITGB1、KARS、KIF5B、KPNA3、KPNB1、LAMC1、LGALS1、LMO7、M6PRBP1、MACF1、MAP1B、MARS、MDH1、MPR1、MTHFD1、MYH10、NCL、NHP2L1、NUCB1、OLA1、P08621、P3H1、P4HA2、P4HB、SEC61A1 (P61619)、PAI1、PAPSS2、PCBP2、PDCD6、PDIA1、PDIA3、PDIA3、PDIA4、PDLIM7、PEBP1、PFKM、PH4B、PLIN2、POFUT1、PRKDC、PSMA1、PSMA7、PSMD12、PSMD3、PSMD4、PSMD6、PSME2、PTBP1、Q9BQE5、Q9Y262、RAB1B、RP515A、RPL32、RPL7A、RPL8、RPS25、RPS6、RRAS2、RRP1、SAR1B、SDHA、SENP1、SEPT11、SEPT7、SERPH、SERPINE1、SFRS2、SH3BGRL、SNRPB、SNX12、SOD1、SPRC、ST13、SUB1、SYNCRIP、TAGLN、TAZ、TGM2、TIMP1、TLN1、TPM4、TRAP1、TSP1、TTLL12、TXNDC12、UBA1C、UGDH、UGP2、UQCRH、VAMP3、およびVAPAからなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50、60、70、80、または90種のマーカーである。
特定の実施形態においては、マーカーは、TIMP1、PTX3、HSP76、FINC、CYB5、PAI1、IBP7 (IGFBP7)、1C17、EDIL3、HMOX1、NUCB1、CS010、およびHSPA4からなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13種のマーカーである。
特定の実施形態においては、マーカーは、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; PC-LI-183-D18:22-22:6; CACNA2D1; EPHX1; BAX; PRKAR2A; およびMPA2K3からなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11種のマーカーである。
特定の実施形態においては、マーカーは、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; PC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1、2、3、4、5、6、または7種のマーカーである。
一実施形態においては、被験体はヒトである。
一実施形態においては、生物試料中の1種以上のマーカーの発現レベルは、試料中の転写されたポリヌクレオチドまたはその一部をアッセイすることによって決定される。一実施形態においては、転写されたポリヌクレオチドをアッセイすることは、転写されたポリヌクレオチドを増幅させることを含む。
一実施形態においては、被験体試料中のマーカーの発現レベルは、試料中のタンパク質またはその一部をアッセイすることによって決定される。一実施形態においては、タンパク質は、そのタンパク質に特異的に結合する試薬を用いてアッセイされる。
一実施形態においては、被験体試料中のマーカーのレベルは、試料中の脂質レベル、または脂質レベルの比(例えば、ある特異的脂質の別のものとの比、もしくはある脂質の全脂質との比)をアッセイすることにより決定される。
一実施形態においては、試料中の1種以上のマーカーの発現レベルは、前記試料の、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅反応、逆転写酵素PCR分析、一本鎖コンフォメーション多型分析(SSCP)、ミスマッチ切断検出、ヘテロ二本鎖分析、サザンブロット分析、ノーザンブロット分析、ウェスタンブロット分析、in situハイブリダイゼーション、アレイ分析、デオキシリボ核酸配列決定、制限断片長多型分析、およびその組合せまたはサブ組合せからなる群から選択される技術を用いて決定される。
一実施形態においては、試料中のマーカーの発現レベルは、免疫組織化学、免疫細胞化学、フローサイトメトリー、ELISAおよび質量分析からなる群から選択される技術を用いて決定される。
脂質検出を、本明細書に提供されるものなどのいくつかの分光測光法のいずれかにより達成することができる。特定の実施形態においては、脂質レベルは、クロマトグラフィー法を用いて決定される。
一実施形態においては、複数のマーカーのレベルが決定される。
本発明は、それを必要とする被験体における、薬物誘導性心臓毒性などの心筋症を軽減する、減少させる、防止する、または処置するための方法であって、被験体(例えば、哺乳動物、ヒト、または非ヒト動物)に、本明細書に提供されるスクリーニング方法により同定された薬剤を投与することによって、被験体における薬物誘導性心臓毒性を減少させるか、または防止することを含む前記方法をさらに提供する。一実施形態においては、薬剤は心臓毒性誘導薬で既に処置された被験体に投与される。一実施形態においては、薬剤は心臓毒性誘導薬を用いる被験体の処置と同時に被験体に投与される。一実施形態においては、薬剤は心臓毒性誘導薬を用いる被験体の処置前に被験体に投与される。
特定の実施形態においては、マーカーは、1A69、1C17、ACBD3、ACLY、ACTR2、ANXA6、ANXA7、AP2A1、ARCN1、ASNA1、ATAD3A、ATP5A、ATP5B、ATP5D、ATP5F1、ATP5H、ATPIF1、BSG、C14orf166、CA2D1、CAPN1、CAPZA2、CARS、CCDC22、CCDC47、CCT7、CLIC4、CMPK1、CNN2、CO1A2、CO6A1、COTL1、COX6B1、CRTAP、CS010、CTSA、CTSB、CYB5、DDX1、DDX17、DDX18、DLD、EDIL3、EHD2、EIF4A3、ENO2、EPHX1、ETFA、FERMT2、FINC、FKB10、FKBP2、FLNC、G3BP2、GOLGA3、GPAT1、GPSN2、GRP75、GRP78、HMOX1、HNRNPD、HNRNPH1、HNRPG、HPX、HSP76、HSP90AB1、HSPA1A、HSPA4、HSPA9、IBP7、IDH1、IQGAP1、ITB1、ITGB1、KARS、KIF5B、KPNA3、KPNB1、LAMC1、LGALS1、LMO7、M6PRBP1、MACF1、MAP1B、MARS、MDH1、MPR1、MTHFD1、MYH10、NCL、NHP2L1、NUCB1、OLA1、P08621、P3H1、P4HA2、P4HB、SEC61A1 (P61619)、PAI1、PAPSS2、PCBP2、PDCD6、PDIA1、PDIA3、PDIA3、PDIA4、PDLIM7、PEBP1、PFKM、PH4B、PLIN2、POFUT1、PRKDC、PSMA1、PSMA7、PSMD12、PSMD3、PSMD4、PSMD6、PSME2、PTBP1、Q9BQE5、Q9Y262、RAB1B、RP515A、RPL32、RPL7A、RPL8、RPS25、RPS6、RRAS2、RRP1、SAR1B、SDHA、SENP1、SEPT11、SEPT7、SERPH、SERPINE1、SFRS2、SH3BGRL、SNRPB、SNX12、SOD1、SPRC、ST13、SUB1、SYNCRIP、TAGLN、TAZ、TGM2、TIMP1、TLN1、TPM4、TRAP1、TSP1、TTLL12、TXNDC12、UBA1C、UGDH、UGP2、UQCRH、VAMP3、およびVAPAからなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50、60、70、80、または90種のマーカーである。
特定の実施形態においては、マーカーは、TIMP1、PTX3、HSP76、FINC、CYB5、PAI1、IBP7 (IGFBP7)、1C17、EDIL3、HMOX1、NUCB1、CS010、およびHSPA4からなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13種のマーカーである。
特定の実施形態においては、マーカーは、CCDC47とHMOX1の一方または両方である。特定の実施形態においては、マーカーは、CCDC47とHMOX1である。特定の実施形態においては、マーカーは、CCDC47、HMOX1、およびPAI-1である。特定の実施形態においては、マーカーは、CCDC47、HMOX1、およびPTX3である。特定の実施形態においては、マーカーは、CCDC47、HMOX1、PAI-1、およびPTX3である。
特定の実施形態においては、マーカーは、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; PC-LI-183-D18:22-22:6; CACNA2D1; EPHX1; BAX; PRKAR2A; およびMPA2K3からなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11種のマーカーである。
特定の実施形態においては、マーカーは、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; PC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1、2、3、4、5、6、または7種のマーカーである。
本発明は、薬物誘導性心臓毒性のための予測マーカーとして有用であるバイオマーカー(例えば、遺伝子および/またはタンパク質)をさらに提供する。これらのバイオマーカーは、本出願を通して提供されるマーカーを含む。特定の実施形態においては、マーカーは、1A69、1C17、ACBD3、ACLY、ACTR2、ANXA6、ANXA7、AP2A1、ARCN1、ASNA1、ATAD3A、ATP5A、ATP5B、ATP5D、ATP5F1、ATP5H、ATPIF1、BSG、C14orf166、CA2D1、CAPN1、CAPZA2、CARS、CCDC22、CCDC47、CCT7、CLIC4、CMPK1、CNN2、CO1A2、CO6A1、COTL1、COX6B1、CRTAP、CS010、CTSA、CTSB、CYB5、DDX1、DDX17、DDX18、DLD、EDIL3、EHD2、EIF4A3、ENO2、EPHX1、ETFA、FERMT2、FINC、FKB10、FKBP2、FLNC、G3BP2、GOLGA3、GPAT1、GPSN2、GRP75、GRP78、HMOX1、HNRNPD、HNRNPH1、HNRPG、HPX、HSP76、HSP90AB1、HSPA1A、HSPA4、HSPA9、IBP7、IDH1、IQGAP1、ITB1、ITGB1、KARS、KIF5B、KPNA3、KPNB1、LAMC1、LGALS1、LMO7、M6PRBP1、MACF1、MAP1B、MARS、MDH1、MPR1、MTHFD1、MYH10、NCL、NHP2L1、NUCB1、OLA1、P08621、P3H1、P4HA2、P4HB、SEC61A1 (P61619)、PAI1、PAPSS2、PCBP2、PDCD6、PDIA1、PDIA3、PDIA3、PDIA4、PDLIM7、PEBP1、PFKM、PH4B、PLIN2、POFUT1、PRKDC、PSMA1、PSMA7、PSMD12、PSMD3、PSMD4、PSMD6、PSME2、PTBP1、Q9BQE5、Q9Y262、RAB1B、RP515A、RPL32、RPL7A、RPL8、RPS25、RPS6、RRAS2、RRP1、SAR1B、SDHA、SENP1、SEPT11、SEPT7、SERPH、SERPINE1、SFRS2、SH3BGRL、SNRPB、SNX12、SOD1、SPRC、ST13、SUB1、SYNCRIP、TAGLN、TAZ、TGM2、TIMP1、TLN1、TPM4、TRAP1、TSP1、TTLL12、TXNDC12、UBA1C、UGDH、UGP2、UQCRH、VAMP3、およびVAPAからなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50、60、70、80、または90種のマーカーである。
特定の実施形態においては、マーカーは、TIMP1、PTX3、HSP76、FINC、CYB5、PAI1、IBP7 (IGFBP7)、1C17、EDIL3、HMOX1、NUCB1、CS010、およびHSPA4からなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または13種のマーカーである。
特定の実施形態においては、マーカーは、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; PC-LI-183-D18:22-22:6; CACNA2D1; EPHX1; BAX; PRKAR2A; およびMPA2K3からなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11種のマーカーである。
特定の実施形態においては、マーカーは、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; PC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1、2、3、4、5、6、または7種のマーカーである。
特定の実施形態においては、マーカーは、少なくとも1種の脂質マーカーを含む。
特定の実施形態においては、マーカーは、少なくとも1種のキナーゼマーカーを含む。
しかしながら、当業者であれば、本明細書に記載の方法を用いることにより、例えば、本明細書に記載の方法を実行するが、心臓毒性を誘導することが知られる異なる薬物を用いることにより、薬物誘導性心臓毒性を予測するさらなるバイオマーカーを同定することができる。本発明の例示的な心筋症および薬物誘導性心臓毒性バイオマーカーは、以下でさらに説明される。
本発明の標的としては、限定されるものではないが、本明細書に提供される遺伝子、タンパク質、酵素、または脂質が挙げられる。本明細書で出願人により記載された実験の結果に基づけば、心血管疾患において調節される重要なマーカーは、細胞骨格成分、転写因子、アポトーシス応答、ペントースリン酸経路、生合成経路、酸化的ストレス(酸化促進剤)、膜変化、および酸化的リン酸化代謝などの、異なる経路または基の分子と関連するか、またはそれに分類することができる。
従って、本発明の一実施形態においては、マーカーは、本明細書に提供されるマーカーから選択される1種以上の遺伝子(またはタンパク質)を含んでもよい。いくつかの実施形態においては、マーカーは、本明細書に提供される少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160種以上の組合せである。
同定されるマーカーのモジュレータを同定するのに有用なスクリーニングアッセイは、以下で説明される。
本発明はまた、モジュレータ、すなわち、本発明のマーカーの発現および/または活性を調節することにより心筋症または毒性状態を処置するか、または防止するのに有用である、候補または試験化合物または薬剤(例えば、タンパク質、ペプチド、ペプチド模倣体、ペプトイド、低分子または他の薬物)を同定するための方法(本明細書では「スクリーニングアッセイ」とも呼ばれる)も提供する。そのようなアッセイは、典型的には、本発明のマーカーと、1種以上のアッセイ成分との反応を含む。他の成分は、試験化合物自体、または試験化合物と、本発明のマーカーの天然の結合パートナーとの組合せであってもよい。本明細書に記載されるものなどのアッセイを介して同定された化合物は、例えば、疾患状態または毒性状態の侵攻性を調節する、例えば、阻害する、改善する、処置する、または防止するのに有用であってよい。
特定の実施形態においては、本発明は、第1の細胞を、試験薬剤と接触させ、試験薬剤と接触した第1の細胞中の、CCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1種以上のCVD関連バイオマーカー、または本明細書に提供される任意の他のマーカーのレベルを検出することにより、心臓毒性を引き起こすか、または引き起こす危険性がある薬剤を同定するための方法を提供する。特定の実施形態においては、1種以上のバイオマーカーのレベルの検出は、1種以上のバイオマーカーのそれぞれと、対応するバイオマーカー特異的プローブとの複合体を形成させること、およびそれぞれのバイオマーカーと、対応するバイオマーカー特異的プローブとの複合体の形成を検出すること;ならびに/または特に、1種以上のバイオマーカーのそれぞれの少なくとも1つの特徴を検出することができるように細胞から1種以上のバイオマーカーを単離すること;および第1の細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを、試験薬剤と接触しなかった対照細胞である第2の細胞中の対応する1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルと比較することを含み、第2の細胞と比較した第1の細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルの調節は、試験薬剤が心臓毒性を引き起こすか、または引き起こす危険性がある薬剤であることを示す。
他の実施形態においては、本発明は、第1の細胞を、心臓毒性剤と接触させること;第2の細胞を、心臓毒性剤および候補救助剤と接触させること;ならびに心臓毒性剤と接触した第1の細胞中の、CCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1種以上のCVD関連バイオマーカー、または本明細書に提供される任意の他のマーカーのレベルを検出すること、および心臓毒性剤および候補救助剤と接触した第2の細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルをさらに検出することにより、薬物誘導性心臓毒性の防止、減少または処置のための救助剤を同定するための方法を提供する。特定の実施形態においては、1種以上のバイオマーカーのレベルの検出は、1種以上のバイオマーカーのそれぞれと、対応するバイオマーカー特異的プローブとの複合体を形成させること、およびそれぞれのバイオマーカーと、対応するバイオマーカー特異的プローブとの複合体の形成を検出すること;ならびに/または特に、1種以上のバイオマーカーのそれぞれの少なくとも1つの特徴を検出することができるように細胞から1種以上のバイオマーカーを単離すること;および第2の細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを、第1の細胞中の対応する1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルと比較することを含み、第1の細胞と比較した第2の細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルの調節は、候補救助剤が薬物誘導性心臓毒性の防止、減少または処置のための救助剤であることを示す。
本発明のスクリーニングアッセイにおいて用いられる試験化合物を、天然および/または合成化合物の体系的ライブラリーなどの任意の利用可能な起源から取得することができる。試験化合物を、生物ライブラリー;ペプトイドライブラリー(ペプチドの機能を有するが、酵素的分解に対して耐性である新規な非ペプチド骨格を有するが、それにも拘らず生物活性を保持する分子のライブラリー;例えば、Zuckermannら、1994, J. Med. Chem. 37:2678-85を参照されたい);空間的に近接可能な平行固相または液相ライブラリー;デコンボリューションを必要とする合成ライブラリー法;「1ビーズ1化合物」ライブラリー法;および親和性クロマトグラフィー選択を用いる合成ライブラリー法などの、当業界で公知のコンビナトリアルライブラリー法におけるいくつかの手法のいずれかによって取得することもできる。生物ライブラリーおよびペプトイドライブラリー手法はペプチドライブラリーに限定されるが、他の4つの手法はペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは低分子化合物ライブラリー(Lam, 1997, Anticancer Drug Des. 12:145)に適用可能である。
分子ライブラリーの合成のための方法の例を、当業界に、例えば、DeWittら(1993) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 90:6909; Erbら(1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:11422; Zuckermannら(1994). J. Med. Chem. 37:2678; Choら(1993) Science 261:1303; Carrellら(1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2059; Carellら(1994) Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 33:2061; およびGallopら(1994) J. Med. Chem. 37:1233に見出すことができる。
化合物のライブラリーを溶液中(例えば、Houghten, 1992, Biotechniques 13:412-421)、またはビーズ(Lam, 1991, Nature 354:82-84)、チップ (Fodor, 1993, Nature 364:555-556)、細菌および/またはスポア(Ladner, USP 5,223,409)、プラスミド(Cullら、1992, Proc Natl Acad Sci USA 89:1865-1869)またはファージ(ScottおよびSmith, 1990, Science 249:386-390; Devlin, 1990, Science 249:404-406; Cwirlaら、1990, Proc. Natl. Acad. Sci. 87:6378-6382; Felici, 1991, J. Mol. Biol. 222:301-310; Ladner、上掲)上で提供することができる。
本発明のスクリーニング方法は、毒性状態の細胞を試験化合物と接触させること、ならびに細胞中の本発明のマーカーの発現および/または活性を調節する試験化合物の能力を決定することを含む。本発明のマーカーの発現および/または活性を、本明細書に記載のように決定することができる。
別の実施形態においては、本発明は、本発明のマーカーまたはその生物活性部分の基質である候補または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。さらに別の実施形態においては、本発明は、本発明のマーカーまたはその生物活性部分に結合する候補または試験化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。試験化合物がマーカーに直接結合する能力の決定を、例えば、化合物のマーカーへの結合を、複合体中の標識されたマーカー化合物を検出することによって決定することができるように、化合物を放射性アイソトープまたは酵素標識とカップリングすることにより達成することができる。例えば、化合物(例えば、マーカー基質)を、直接的または間接的に、131I、125I、35S、14C、または3Hで標識し、放射性アイソトープを放射線放出の直接的計測またはシンチレーション計測により検出することができる。あるいは、アッセイ成分を、例えば、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、またはルシフェラーゼで酵素的に標識し、酵素標識を、好適な基質の生成物への変換の決定により検出することができる。
本発明はさらに、上記のスクリーニングアッセイにより同定される新規薬剤に関する。従って、適切な動物モデルにおいて本明細書に記載のように同定された薬剤をさらに用いることは、本発明の範囲内にある。例えば、本明細書に記載のように同定された本発明のマーカーの発現および/または活性を調節することができる薬剤を動物モデルにおいて用いて、そのような薬剤を用いる処置の有効性、毒性、または副作用を決定することができる。あるいは、本明細書に記載のように同定された薬剤を動物モデルにおいて用いて、そのような薬剤の作用機序を決定することができる。さらに、本発明は、本明細書に記載の処置のために上記のスクリーニングアッセイによって同定された新規薬剤の使用に関する。
診断アッセイおよびマーカー検出アッセイ
タンパク質および核酸マーカーのためのマーカー検出アッセイは、典型的には、マーカーとプローブとの特異的複合体を形成させること、およびマーカーとプローブとを含有する複合体を検出することを含むアッセイに基づくものである。特定の実施形態においては、複合体は、少なくとも1つの未結合のマーカーまたは未結合のプローブを、複合体から除去することにより検出される。特定の実施形態においては、複合体の形成は、検出可能なシグナルの産生をもたらす。
特定の実施形態においては、タンパク質マーカーは、抗体または受容体により結合して、複合体を形成する。あるいは、核酸は相補的核酸により結合して、複合体を形成する。
特定の実施形態においては、複合体は、一度形成されたら、残りのアッセイを通して実質的に無傷(entact)のままである。例えば、マーカー-抗体複合体は、抗体に基づくアッセイ、例えば、ELISA、ウェスタンブロット、免疫沈降、免疫組織化学、タンパク質チップ、蛍光活性化細胞選別中で形成される。HarlowおよびLane (HarlowおよびLane, 1988, Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York)に記載のものなどの、抗体に基づくタンパク質単離方法を、マーカー検出のために用いることができる。マーカー核酸と核酸プローブとの複合体は、一度形成されたら、アッセイ、例えば、遺伝子チップ、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)、サザンもしくはノーザンブロッティングを通して、または一過的に形成されたら、おそらく反復的に、アッセイ、例えば、PCRおよび他の核酸増幅方法を通して維持することができる。
生物試料中のマーカータンパク質または核酸の存在または非存在を検出するための例示的方法は、試験被験体から生物試料(例えば、体液または組織試料)を取得すること、および生物試料を、ポリペプチドまたは核酸(例えば、mRNA、ゲノムDNA、もしくはcDNA)を検出することができる化合物または薬剤と接触させることを含む。かくして、本発明の検出方法を用いて、例えば、in vitroならびにin vivoで生物試料中の、mRNA、タンパク質、cDNA、またはゲノムDNAを検出することができる。例えば、mRNAの検出のためのin vitroでの技術としては、PCR、マイクロアレイまたは遺伝子チップ、ノーザンハイブリダイゼーション、およびin situハイブリダイゼーションが挙げられる。マーカータンパク質の検出のためのin vitroでの技術としては、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット、ドットまたはスロットブロット、免疫沈降、および免疫蛍光が挙げられる。ゲノムDNAの検出のためのin vitroでの技術としては、サザンハイブリダイゼーションが挙げられる。さらに、マーカータンパク質の検出のためのin vivoでの技術としては、被験体に、タンパク質またはその断片に対する標識された抗体を導入することを含む。例えば、抗体を、被験体における存在および位置を標準的な画像化技術により検出することができる放射性マーカーで標識することができる。
そのような診断および予後診断アッセイの一般的原理は、適切な条件下で、マーカーとプローブが相互作用し、結合することができる十分な時間にわたって、マーカーを含有してもよい試料または反応混合物を調製すること、かくして、反応混合物中で除去および/または検出することができる複合体を形成させることを含む。前記方法における使用のための特異的プローブは、いくつかの因子に依存する。例えば、ノーザン、サザン、ドットまたはスロットブロッティングおよびin situハイブリダイゼーションなどの方法は、典型的には、それぞれのマーカーの検出のための単一のプローブの使用に依拠する。発現レベルはサザンブロットにより検出されないことが理解される。従って、典型的には高ストリンジェンシー条件下で、目的のマーカー配列に特異的にハイブリダイズするプローブを提供するためのプローブは、少なくとも約20ヌクレオチド長、好ましくは、少なくとも約30ヌクレオチド長、好ましくは少なくとも50ヌクレオチド長である。プローブの長さを、遺伝子が短い場合、遺伝子の長さによって制限することができる。典型的には、プローブは、約500ヌクレオチド以下、典型的には約400ヌクレオチド以下、典型的には約300ヌクレオチド以下、および典型的には約200ヌクレオチド以下である。核酸プローブは、提供される値によってくくられた任意の範囲の長さであってもよい。マーカー核酸が単一のプローブ配列に結合する方法においては、プローブ配列は典型的には、検出可能な標識、例えば、SYBR(登録商標)グリーンを含むか、またはそれに結合する。
プライマー伸長またはPCR、例えば、定量的もしくはリアルタイムPCR、およびin situ PCRなどの増幅ステップを含む方法においては、比較的短いプローブ、例えば、典型的には、約15ヌクレオチド〜約50ヌクレオチドの長さを、マーカーの検出のために用いる。PCR法においては、「プライマー」と一般的に呼ばれる少なくとも2つのプローブを、対で用いて、目的の標的配列を増幅する。特定の形態の定量的PCRにおいては、第3のプライマーを、標的の増幅ではなく、検出のために用いる。特定の実施形態においては、1つ以上のプライマーは、検出可能な標識を含む。特定の実施形態においては、増幅産物は検出可能な標識に結合することができる。
非天然塩基、糖、および骨格部分を含む核酸をプローブ中で用いて、その標的配列に対するプローブの親和性および/または特異性を調節することができることが理解される。
タンパク質マーカーの検出のためのプローブは、典型的には、タンパク質に特異的な抗体、典型的には、モノクローナル抗体または組換え抗体を含む。抗体は、天然の形態の抗体(例えば、IgG、IgA、IgM、IgE)ならびに一本鎖抗体、キメラおよびヒト化抗体および多特異的抗体などの組換え抗体、ならびに前記の全ての断片および誘導体を広く包含し、その断片および誘導体は少なくとも抗原結合部位を有する。抗体誘導体は、抗体にコンジュゲートしたタンパク質または化学部分を含んでもよい。ELISA方法は、典型的には、マーカー上の異なる部位で目的のマーカーに結合する2つの抗体の使用に依拠する。ウェスタンブロット、ドットおよびスロットブロット、免疫組織化学的方法、および時にはELISAおよび免疫沈降法は、プローブに結合する抗体に結合する抗体(すなわち、二次抗体)の使用に依拠する。特定の実施形態においては、二次抗体は検出可能に標識される。
マーカーの検出のためのアッセイを、様々な方法で行うことができる。例示的方法を以下に提供する。
例えば、そのようなアッセイを行うための1つの方法は、マーカーまたはプローブを、基質とも呼ばれる固相支持体上に固定し、反応の終了時に固相上に固定された標的マーカー/プローブ複合体を検出することを含む。そのような方法の一実施形態においては、マーカーの存在および/または濃度についてアッセイしようとする被験体由来試料を、担体または固相支持体上に固定することができる。別の実施形態においては、プローブを固相に固定し、被験体由来試料をアッセイの固定されていない成分として反応させることができる逆の状況も可能である。少なくとも2つの異なるプローブを、例えば、少なくとも2つのマーカーの検出のため、または少なくとも1つのマーカーと適切な対照との検出のために結合させる固相支持体がパネルとして公知である。
アッセイ成分を固相に固定するための多くの確立された方法が存在する。これらのものとしては、限定されるものではないが、ビオチンおよびストレプトアビジンのコンジュゲーションを介して固定されるマーカーまたはプローブ分子が挙げられる。そのようなビオチン化されたアッセイ成分を、当業界で公知の技術(例えば、ビオチン化キット、Pierce Chemicals、Rockford、IL)を用いてビオチン-NHS(N-ヒドロキシ-スクシンイミド)から調製し、ストレプトアビジン被覆96穴プレート(Pierce Chemical)のウェル中で固定することができる。特定の実施形態においては、アッセイ成分が固定された表面を予め調製し、保存することができる。
そのようなアッセイのための他の好適な担体または固相支持体は、マーカーまたはプローブが属するクラスの分子に結合することができる任意の材料を含む。周知の支持体または担体としては、限定されるものではないが、ガラス、ポリスチレン、ニトロセルロース、ナイロン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、デキストラン、アミラーゼ、天然および改変セルロース、ポリアクリルアミド、斑糲岩、およびマグネタイトが挙げられる。パネルにおける使用のためには、例えば、スライド、複数ウェルプレート、膜などの固相支持体を、手動で容易に操作することができる。
上記の手法を用いるアッセイを行うために、第2の成分を固定する際に非固定成分を固相に添加する。反応が完了した後、形成された複合体が固相上に固定されたままとなるような条件下で、複合体化していない成分を除去することができる(例えば、洗浄による)。固相に固定されたマーカー/プローブ複合体の検出を、本明細書で概略されたいくつかの方法で達成することができる。
好ましい実施形態においては、プローブは、それが固定されていないアッセイ成分である場合、検出可能な標識(例えば、酵素標識、蛍光標識、発光標識)を用いて、直接的または間接的に、検出の目的およびアッセイの読取りのために標識することができる。
また、例えば、蛍光エネルギー移動の技術(例えば、Lakowiczら、米国特許第5,631,169号; Stavrianopoulosら、米国特許第4,868,103号を参照されたい)を用いることにより、いずれかの成分(マーカーまたはプローブ)のさらなる操作または標識を行うことなくマーカー/プローブ複合体形成を直接検出することもできる。第1の「ドナー」分子上のフルオロフォア標識は、適切な波長の入射光を用いる励起時に、その放出された蛍光エネルギーが第2の「アクセプター」分子上の蛍光標識によって吸収され、次いで、吸収されたエネルギーのため蛍光を発することができるように選択される。あるいは、「ドナー」タンパク質分子は、トリプトファン残基の自然の蛍光エネルギーを簡単に利用することができる。「アクセプター」分子標識を「ドナー」のものと区別することができるように、異なる波長の光を放出する標識を選択する。標識間のエネルギー移動の効率は分子を分ける距離と関係するため、分子間の空間関係を評価することができる。分子間で結合が起こる状況では、アッセイにおける「アクセプター」分子標識の蛍光放出は最大となるべきである。FET結合事象を、当業界で周知の標準的な蛍光分析検出手段により(例えば、蛍光光度計を用いて)都合良く測定することができる。
別の実施形態においては、プローブがマーカーを認識することができる決定を、リアルタイム生体分子相互作用分析(BIA)などの技術を用いることにより、いずれかのアッセイ成分(プローブまたはマーカー)を標識することなく達成することができる(例えば、Sjolander, S.およびUrbaniczky, C., 1991, Anal. Chem. 63:2338-2345ならびにSzaboら、1995, Curr. Opin. Struct. Biol. 5:699-705を参照されたい)。本明細書で用いられる場合、「BIA」または「表面プラズモン共鳴」は、相互作用物質(例えば、BIAcore)のいずれも標識することなく、リアルタイムで二特異的相互作用を試験するための技術である。結合表面での質量の変化(結合事象を示す)は、表面近くでの光の屈折率の変化(表面プラズモン共鳴(SPR)の光学的現象)をもたらし、生体分子間のリアルタイム反応を示すものとして用いることができる検出可能なシグナルをもたらす。
あるいは、別の実施形態においては、同様の診断および予後診断アッセイを、液相中の溶質としてマーカーおよびプローブを用いて行うことができる。そのようなアッセイにおいては、複合体化したマーカーおよびプローブを、限定されるものではないが、分画遠心分離、クロマトグラフィー、電気泳動および免疫沈降などのいくつかの標準技術のいずれかによって、複合体化していない成分から分離する。分画遠心分離においては、マーカー/プローブ複合体を、その異なるサイズおよび密度に基づく複合体の異なる沈降平衡のため、一連の遠心分離ステップを介して複合体化していないアッセイ成分から分離することができる(例えば、Rivas, G.,およびMinton, A.P., 1993, Trends Biochem Sci. 18(8):284-7を参照されたい)。標準的なクロマトグラフィー技術を用いて、複合体化していない分子から複合体化した分子を分離することもできる。例えば、ゲル濾過クロマトグラフィーは、サイズに基づいて分子を分離し、カラム形式の適切なゲル濾過樹脂の利用により、例えば、比較的大きい複合体を比較的小さい複合体化していない成分から分離することができる。同様に、複合体化していない成分と比較して相対的に異なる電荷特性のマーカー/プローブ複合体を、例えば、イオン交換クロマトグラフィー樹脂の利用により、複合体を複合体化していない成分と区別するために活用することができる。そのような樹脂およびクロマトグラフィー技術は、当業者には周知である(例えば、Heegaard, N.H., 1998, J. Mol. Recognit. Winter 11(1-6):141-8; Hage, D.S.,およびTweed, S.A. J Chromatogr B Biomed Sci Appl 1997 Oct 10;699(1-2):499-525を参照されたい)。ゲル電気泳動を用いて、未結合の成分から複合体化したアッセイ成分を分離することもできる(例えば、Ausubelら(編)Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, 1987-1999を参照されたい)。この技術では、タンパク質または核酸複合体を、例えば、サイズまたは電荷に基づいて分離する。電気泳動プロセス中の結合相互作用を維持するためには、還元剤の非存在下での非変性ゲルマトリックス材料および条件が典型的には好ましい。特定のアッセイおよびその成分に対する適切な条件は、当業者には周知である。
特定の実施形態においては、マーカーmRNAのレベルを、当業界で公知の方法を用いて生物試料中でin situおよびin vitro形式の両方によって決定することができる。用語「生物試料」は、被験体から単離された、組織、細胞、生物学的液体およびその単離物、ならびに被験体内に存在する組織、細胞および液体を含むことが意図される。多くの発現検出方法が、単離されたRNAを用いる。in vitroでの方法については、mRNAの単離に対して選択しない任意のRNA単離技術を、細胞からのRNAの精製のために用いることができる(例えば、Ausubelら(編)、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York 1987-1999を参照されたい)。さらに、例えば、Chomczynskiの単一ステップRNA単離プロセス(1989、米国特許第4,843,155号)などの、当業者には周知の技術を用いて、多数の組織試料を容易にプロセッシングすることができる。
単離されたmRNAを、限定されるものではないが、サザンまたはノーザン分析、ポリメラーゼ連鎖反応分析およびプローブアッセイを含むハイブリダイゼーションまたは増幅アッセイにおいて用いることができる。mRNAレベルの検出のための1つの好ましい診断方法は、単離されたmRNAを、検出される遺伝子によりコードされるmRNAにハイブリダイズすることができる核酸分子(プローブ)と接触させることを含む。核酸プローブは、例えば、完全長cDNA、またはその一部、例えば、少なくとも7、15、20、25、30、50、100、250もしくは500ヌクレオチド、または長さにおいてこれらの値でくくられ、本発明のマーカーをコードするmRNAもしくはゲノムDNAにストリンジェントな条件下で特異的にハイブリダイズするのに十分な任意の範囲の長さのオリゴヌクレオチドであってもよい。本発明の診断アッセイにおける使用のための他の好適なプローブは、本明細書に記載される。mRNAとプローブとのハイブリダイゼーションは、問題のマーカーが発現されることを示す。
1つの形式においては、mRNAを固体表面上に固定し、例えば、単離されたmRNAをアガロースゲル上で泳動し、ゲルに由来するmRNAをニトロセルロースなどの膜に移すことにより、プローブと接触させる。代替的な形式においては、プローブを固体表面上に固定し、mRNAを、例えば、AFFYMETRIX(登録商標)遺伝子チップアレイまたは他の核酸プローブアレイ中でプローブと接触させる。当業者であれば、本発明のマーカーによりコードされるmRNAのレベルを検出するのに用いるための公知のmRNA検出方法を容易に適合化させることができる。少なくとも1つのプローブが1つの核酸マーカーに特異的に結合する少なくとも2つのプローブを含有するパネルを調製することができる。特定の実施形態においては、パネルは、少なくとも2種の異なる核酸マーカーに結合させるための少なくとも2種の異なるプローブを含む。
試料中のmRNAマーカーのレベルを決定するための代替的な方法は、例えば、RT-PCR(Mullis、1987、米国特許第4,683,202号に記載の実験的実施形態)、リガーゼ連鎖反応(Barany, 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:189-193)、自己持続型配列複製(Guatelliら、1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874-1878)、転写増幅系(Kwohら、1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173-1177)、Q-ベータレプリカーゼ(Lizardiら、1988, Bio/Technology 6:1197)、ローリングサークル複製(Lizardiら、米国特許第5,854,033号)または任意の他の核酸増幅法による核酸増幅のプロセス、次いで、当業者には周知の技術を用いる増幅された分子の検出を含む。これらの検出スキームは、そのような分子が非常に少ない数で存在する場合、核酸分子の検出にとって特に有用である。本明細書で用いられる場合、増幅プライマーは、遺伝子の5'または3'領域にアニーリングし(それぞれ、プラスおよびマイナス鎖、またはその逆)、その間に短い領域を含有することができる一対の核酸分子であると定義される。一般に、増幅プライマーは、長さ約10〜30または約15〜50ヌクレオチドであり、長さ約50〜200ヌクレオチドの領域に隣接する。適切な条件下で、適切な試薬を用いれば、そのようなプライマーは、該プライマーに隣接するヌクレオチド配列を含む核酸分子の増幅を可能にする。
in situ方法のためには、mRNAを検出前に単離する必要はない。そのような方法では、細胞または組織試料を、公知の組織学的方法を用いて調製/プロセッシングする。次いで、試料を支持体、典型的には、ガラススライド上に固定した後、マーカーをコードするmRNAにハイブリダイズすることができるプローブと接触させる。特定の実施形態においては、プローブを、例えば、蛍光標識を用いて、検出のために直接標識する。特定の実施形態においては、プローブは、結合したプローブの検出のための酵素(例えば、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)もしくはアルカリホスファターゼ)または蛍光標識の結合のための、少なくとも1つの結合部位、例えば、ビオチン結合部位を含む。
脂質を、分離により、典型的には、第1に、一般的には有機溶媒、例えば、クロロホルム/メタノールの使用による、試料の非脂質部分の塊からの脂質の抽出、次いで、例えば、クロマトグラフィー、例えば、薄層クロマトグラフィー、固相抽出(SPE)クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLCまたはLC)、順相(NP)HPLCまたは逆相(RP)HPLC、親水性相互作用液体クロマトグラフィー(HILIC)、および超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)による脂質成分の分離により検出することができる。検出は、典型的には、既知の標識された対照脂質と比較した、電子スプレーイオン化(ESI)およびマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)、核磁気共鳴(NMR)分光法、蛍光分光法、および二重偏光干渉法などの1種以上の質量分析(MS)により決定されるクロマトグラフィーおよび/または分光特性に基づく。本明細書に提供されるマーカー脂質の単離および検出のための方法を、本明細書に提供される方法と関連する脂質の検出のために用いることができる。
MALDI法はまた、in situでの脂質の直接的検出も可能にする。MALDIマトリックスで被覆された組織表面にわたって一連のスペクトルが獲得される場合、薄い組織スライスの直接的分析から豊富な脂質関連イオンが生成される。分子イオンの衝突活性化を用いて、脂質ファミリーを決定し、分子種を構造的に規定することができることが多い。この技術により、心臓、腎臓および脳などの組織中のリン脂質、スフィンゴ脂質およびグリセロ脂質の検出が可能になる。さらに、多くの異なる脂質分子種の分布は、これらの組織内の解剖学的領域を規定することが多い。
マーカーの絶対発現レベルに基づいて決定を行うための代替として、決定は、マーカーの正規化された発現レベルに基づくものであってもよい。発現レベルは、マーカーの発現を、マーカーではない遺伝子、例えば、構成的に発現されるハウスキーピング遺伝子の発現と比較することにより、マーカーの絶対発現レベルを補正することにより正規化される。正規化のための好適な遺伝子としては、アクチン遺伝子、または上皮細胞特異的遺伝子などのハウスキーピング遺伝子が挙げられる。この正規化は、ある試料、例えば、患者試料中の発現レベルと別の試料、例えば、非疾患もしくは非毒性試料中の、または異なる供給源に由来する試料間の発現レベルの比較を可能にする。
あるいは、発現レベルを、相対発現レベルとして提供することができる。マーカーの相対発現レベルを決定するために、マーカーの発現レベルを、問題の試料に関する発現レベルの決定の前に、例えば、10以上の正常試料と疾患試料または処理された細胞単離物、好ましくは50以上の試料について決定する。より多数の試料においてアッセイされたそれぞれの遺伝子の平均発現レベルを決定し、これをマーカーに関するベースライン発現レベルとして用いる。次いで、試験試料について決定されたマーカーの発現レベル(絶対発現レベル)を、そのマーカーについて得られた平均発現値で除算する。これにより相対発現レベルが得られる。
好ましくは、ベースライン決定において用いられる試料は、毒性剤、特に、心臓毒性剤で処理されていない細胞に由来するか、または心血管疾患に罹患しておらず、心臓毒性であることが知られる薬剤で処置されていない被験体から得られたものである。細胞源の選択は、相対発現レベルの使用に依存する。平均発現スコアとしての正常組織中で見られる発現の使用は、アッセイされるマーカーが毒性特異的(正常細胞に対する)であるかどうかの検証に役立つ。さらに、より多くのデータが蓄積されるため、平均発現値を修正し、蓄積されたデータに基づく改善された相対発現値を提供することができる。疾患細胞または毒性細胞に由来する発現データは、疾患または毒性状態の重症度を等級付けるための手段を提供する。
特定の実施形態においては、本発明は、以下のステップを含む心血管疾患を診断および予後診断する方法を提供する。
例えば、本発明は、被験体から試料を取得し、試料中の、CCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1種以上のCVD関連バイオマーカー、または本明細書に提供される他のバイオマーカーのいずれかのレベルを検出することにより、被験体における心血管疾患(CVD)、例えば、心筋症を診断または予後診断するための方法を提供する。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルの検出は、1種以上のバイオマーカーのそれぞれと、対応するバイオマーカー特異的プローブとの複合体を形成させること、およびそれぞれのバイオマーカーと対応するバイオマーカー特異的プローブとの複合体の形成を検出すること;ならびに/または特に1種以上のバイオマーカーのそれぞれの少なくとも1つの特徴を検出することができるように、細胞から1種以上のバイオマーカーを単離すること;および試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを、心筋症に罹患していない被験体に由来する対照試料中の対応する1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルと比較することを含み、対照試料と比較した試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルの調節は、被験体が心血管疾患(CVD)、例えば、心筋症に罹患しているか、または発症する素因を有することを示す。
さらに、本発明は、第1の時間に被験体から得られた第1の試料中の、CCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを検出することにより、被験体における心血管疾患(CVD)、例えば、心筋症をモニタリングするための方法を提供する。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルの検出は、1種以上のバイオマーカーのそれぞれと、対応するバイオマーカー特異的プローブとの複合体を形成させること、およびそれぞれのバイオマーカーと対応するバイオマーカー特異的プローブとの複合体の形成を検出すること;ならびに/または特に1種以上のバイオマーカーのそれぞれの少なくとも1つの特徴を検出することができるように、細胞から1種以上のバイオマーカーを単離すること;および第1の試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを、より後の時点で被験体から得られた第2の試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルと比較することを含み、第1の試料と比較した第2の試料中のマーカーのレベルの調節は、被験体における心血管疾患、例えば、心筋症の状態の変化を示す。
本発明はさらに、試験細胞を取得すること;試験細胞を試験化合物と接触させること;試験家具汚物と接触した試験細胞中の、CCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1種以上のCVD関連バイオマーカー、または本明細書に提供される他のバイオマーカーのいずれかのレベルを検出することにより、心血管疾患(CVD)、例えば、心筋症を処置するための化合物を同定する方法を提供する。特定の実施形態においては、1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルの検出は、1種以上のバイオマーカーのそれぞれと、対応するバイオマーカー特異的プローブとの複合体を形成させること、およびそれぞれのバイオマーカーと対応するバイオマーカー特異的プローブとの複合体の形成を検出すること;ならびに/または特に1種以上のバイオマーカーのそれぞれの少なくとも1つの特徴を検出することができるように、細胞から1種以上のバイオマーカーを単離すること;および試験細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを、試験化合物により接触しない対照細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルと比較すること;および試験細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを調節する試験化合物を選択することによって、被験体における心血管疾患(CVD)、例えば、心筋症を処置するための化合物を同定することを含む。
キット
本発明はまた、心不全および/もしくは心筋症などの心血管疾患の危険性があるか、もしくはそれに罹患している被験体を同定する;または心不全および/もしくは心筋症などの心血管疾患の危険性があるか、もしくはそれに罹患している被験体をモニタリングするための組成物およびキットも提供する。本発明はまた、薬物誘導性心臓毒性をもたらす危険性がある薬剤、または薬物誘導性心臓毒性を軽減することができる薬剤を同定するための組成物およびキットも提供する。これらのキットは、1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10種以上)の本発明のマーカーの検出に特異的な1種以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10種以上)の試薬、および使用のための説明書を含んでもよい。
抗体に基づくキットについては、キットは、例えば、(1)マーカータンパク質に結合する第1の抗体(例えば、固相支持体に結合した)と、場合により、(2)タンパク質または第1の抗体のいずれかに結合し、検出可能な標識にコンジュゲートされた第2の異なる抗体とを含んでもよい。
オリゴヌクレオチドに基づくキットについては、キットは、例えば、(1)マーカータンパク質をコードする核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、例えば、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドまたは(2)マーカー核酸分子を増幅するのに有用な一対のプライマーを含んでもよい。キットはまた、例えば、緩衝剤、保存剤、またはタンパク質安定化剤を含んでもよい。キットはさらに、検出可能な標識(例えば、酵素または基質)を検出するのに必要な成分を含んでもよい。キットはまた、アッセイし、試験試料と比較することができる対照試料または一連の対照試料を含有してもよい。キットのそれぞれの成分を、個々の容器内に封入してもよく、様々な容器の全てが、キットを用いて実施されたアッセイの結果を解釈するための説明書と共に、単一の包装物内にあってもよい。
本発明のキットは、場合により、本発明の方法を実施するのに有用なさらなる成分を含んでもよい。例えば、キットは、相補的核酸をアニーリングさせるか、または抗体を、それが特異的に結合するタンパク質に結合させるのに好適な液体(例えば、洗浄バッファー、遮断剤)、1つ以上の試料区画、本発明の方法の実施を記載する説明材料および組織特異的対照/標準を含んでもよい。
キットは、本発明の1種以上の脂質マーカーの特異的検出のための成分(例えば、対照試料、本発明の脂質に特異的な抽出バッファー)を含んでもよい。
キットは、本発明のキナーゼマーカーの検出のための成分(例えば、キナーゼ特異的抗体)を含んでもよい。
本発明はまた、生物試料中のマーカータンパク質、核酸、または脂質の存在を検出するためのキットも包含する。そのようなキットを用いて、被験体が心不全および/もしくは心筋症などの心血管疾患の危険性があるか、もしくはそれに罹患しているかどうかを決定するか、または心不全および/もしくは心筋症などの心血管疾患の危険性があるか、もしくはそれに罹患している被験体をモニタリングすることができる。そのようなキットを、より高い薬物誘導性心臓毒性を引き起こす可能性がある薬剤を同定するため、または薬物誘導性心臓毒性を軽減することができる薬剤を同定するために用いることもできる。例えば、キットは、生物試料中のマーカータンパク質または核酸を検出することができる標識された化合物または薬剤と、試料中のタンパク質またはmRNAの量を決定するための手段(例えば、タンパク質もしくはその断片に結合する抗体、またはタンパク質をコードするDNAもしくはmRNAに結合するオリゴヌクレオチドプローブ)を含んでもよい。キットはまた、本発明の1種以上の脂質マーカーの特異的検出のための試薬を含んでもよい。キットはまた、本明細書に提供される方法のいずれかを実施するか、または本明細書に提供される教示に基づいてキットを用いて得られた結果を解釈するための、キットの使用に関する説明書を含んでもよい。キットはまた、心血管疾患と関連しない試料中の対照タンパク質、例えば、組織試料のためにはアクチン、試料中に存在するマーカーの量の正規化のためには血液または血液由来試料中のアルブミンの検出のための試薬を含んでもよい。キットはまた、対照としての使用のため、またはキットを用いて実施されるアッセイの定量のための精製されたマーカーを含んでもよい。
キットは、被験体における心血管疾患を診断する方法における使用のための試薬のパネルであって、少なくとも2つの検出試薬を含み、それぞれの検出試薬が本明細書に提供されるマーカーの1つにとって特異的である、前記パネルを含む。
抗体に基づくキットについては、キットは、例えば、(1)第1のマーカータンパク質に結合する第1の抗体(例えば、固相支持体に結合した)と、場合により、(2)第1のマーカータンパク質または第1の抗体のいずれかに結合し、検出可能な標識にコンジュゲートされた第2の異なる抗体とを含んでもよい。特定の実施形態においては、キットは、(1)第2のマーカータンパク質に結合する第2の抗体(例えば、固相支持体に結合した)と、場合により、(2)第2のマーカータンパク質または第2の抗体のいずれかに結合し、検出可能な標識にコンジュゲートされた第2の異なる抗体とを含む。ある実施形態においては、第1および第2のマーカーは、本発明の任意の2種のマーカーである。ある実施形態においては、第1および第2のマーカーは、CCDC47およびHMOX1である。特定の実施形態においては、キットは、第1および第2のマーカータンパク質と異なる第3のマーカータンパク質に結合する第3の抗体と、第3のマーカータンパク質または第1および第2のマーカータンパク質と異なる第3のマーカータンパク質に結合する抗体のいずれかに結合する第2の異なる抗体とを含む。特定の実施形態においては、第3のマーカーは、PAI1またはPTX3である。
オリゴヌクレオチドに基づくキットについては、キットは、例えば、(1)マーカータンパク質をコードする核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、例えば、検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドまたは(2)マーカー核酸分子を増幅するのに有用な一対のプライマーを含んでもよい。特定の実施形態においては、キットは、例えば、(1)第2のマーカータンパク質をコードする核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、例えば、第2の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドまたは(2)第2のマーカー核酸分子を増幅するのに有用な一対のプライマーをさらに含んでもよい。第1および第2のマーカーは異なる。ある実施形態においては、第1および第2のマーカーは、本発明の任意の2種のマーカーである。ある実施形態においては、第1および第2のマーカーは、CCDC47およびHMOX1である。特定の実施形態においては、キットは、例えば、(1)第3のマーカータンパク質をコードする核酸配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチド、例えば、第3の検出可能に標識されたオリゴヌクレオチドまたは(2)第1および第2のマーカーと異なる第3のマーカー核酸分子を増幅するのに有用な一対のプライマーをさらに含んでもよい。特定の実施形態においては、キットは、定量的PCR法を用いる検出を可能にするためのそれぞれの核酸マーカーに特異的な第3のプライマーを含む。
クロマトグラフィー法については、キットは、クロマトグラフィーによる本発明の1種以上のマーカーの検出および同定を可能にするための、標識されたマーカーなどのマーカーを含んでもよい。特定の実施形態においては、クロマトグラフィー法のためのキットは、本発明の1種以上のマーカーの誘導体化のための化合物を含む。特定の実施形態においては、クロマトグラフィー法のためのキットは、本発明の方法のマーカーを分解するためのカラムを含む。
本発明のマーカーの検出にとって特異的な試薬は、複雑な混合物、例えば、血液、血清、または組織試料中でのマーカーの検出および定量を可能にする。特定の実施形態においては、試薬は種特異的である。特定の実施形態においては、試薬は種特異的ではない。特定の実施形態においては、試薬はアイソフォーム特異的である。特定の実施形態においては、試薬はアイソフォーム特異的ではない。特定の実施形態においては、試薬は総Emmprin、IGFBP7、PAI-1、またはCFL2を検出する。
特定の実施形態においては、キットはまた、例えば、緩衝剤、保存剤、タンパク質安定化剤、反応バッファーを含んでもよい。キットは、検出可能な標識(例えば、酵素または基質)を検出するのに必要な成分をさらに含んでもよい。キットはまた、アッセイし、試験試料と比較することができる対照試料または一連の対照試料を含有してもよい。対照は、必要に応じて、標的マーカーのレベルが知られた、精製されたタンパク質、核酸、または脂質の対照血清試料または対照試料であってもよい。キットのそれぞれの成分を個々の容器内に封入してもよく、様々な容器の全てが、キットを用いて実施されたアッセイの結果を解釈するための説明書と共に、単一の包装物内にあってもよい。
本発明のキットは、場合により、本発明の方法を実施するのに有用なさらなる成分を含んでもよい。
パネル
本発明は、被験体試料中の1種以上の心血管、心筋症、または心臓毒性マーカーの検出のための試薬および少なくとも1種の対照試薬のパネルを提供する。特定の実施形態においては、対照試薬は、パネルが陽性対照としての使用のためのマーカーを含有する対照試料と共に提供される生物試料中での検出のためのマーカーを検出するためのもの、および場合により、生物試料中に存在するマーカーの量を定量するためのものである。特定の実施形態においては、パネルは、それぞれ、陽性または陰性対照を提供するための生物試料中に存在するか、または存在しないことが知られる心血管疾患と関連しないマーカーのための検出試薬を含む。パネルを、心血管疾患と関連しない試料中の対照タンパク質、例えば、組織試料のためにはアクチン、試料中に存在するマーカーの量の正規化のためには血液または血液由来試料中のアルブミンの検出のための試薬と共に提供することができる。パネルを、対照としての使用のための検出のため、またはパネルを用いて実施されるアッセイの定量のための精製されたマーカーと共に提供することができる。
好ましい実施形態においては、パネルは、好ましくは対照試薬と共に、本発明の2種以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9種)のマーカーの検出のための試薬を含む。パネル中、それぞれのマーカーは、そのマーカーに特異的な試薬によって検出される。特定の実施形態においては、パネルは、生物試料および対照試料の様々な希釈液(例えば、連続希釈液)の分析を可能にする複数のウェル、スポット、または部分を含む。好ましい実施形態においては、パネルは、本発明の1種以上のマーカーの定量的検出を可能にする。
特定の実施形態においては、パネルは1種以上のマーカーの検出のためのタンパク質チップである。特定の実施形態においては、パネルは1種以上のマーカーの検出のためのELISAプレートである。特定の実施形態においては、パネルは1種以上のマーカーの検出のための定量的PCRのためのプレートである。
特定の実施形態においては、検出試薬のパネルは、本発明の1種以上のマーカーのための検出試薬および少なくとも1種の対照試料を含む単一の装置上に提供される。特定の実施形態においては、検出試薬のパネルは、本発明の2種以上のマーカーのための検出試薬および少なくとも1種の対照試料を含む単一の装置上に提供される。特定の実施形態においては、本発明の様々なマーカーの検出のための複数のパネルは、パネル間の結果の比較を容易にするための少なくとも1つの均一な対照試料と共に提供される。
アレイ
本発明はまた、本発明のマーカーを含むアレイも含む。このアレイを用いて、アレイ中の1種以上のマーカーのレベルをアッセイすることができる。一実施形態においては、アレイを用いて、アレイ中の遺伝子の組織特異性を確認するために組織中での遺伝子発現をアッセイすることができる。この様式では、最大で約7600個の遺伝子を、発現について同時にアッセイすることができる。これにより、1種以上の組織において特異的に発現される一連の遺伝子を示すプロファイルを開発することができる。
そのような定性的決定に加えて、本発明は、遺伝子発現の定量も可能にする。かくして、組織特異性だけでなく、組織中での一連の遺伝子の発現レベルも確認できる。かくして、遺伝子を、その組織発現自体およびその組織中での発現レベルに基づいてグループ化することができる。これは、例えば、組織間または組織中での遺伝子発現の関係を確認する際に有用である。かくして、1つの組織を摂動させ、第2の組織中での遺伝子発現に対する効果を決定することができる。この文脈において、生物学的刺激に応答するある細胞型の別の細胞型に対する効果を決定することができる。そのような決定は、例えば、遺伝子発現のレベルでの細胞間相互作用の効果を知るために有用である。ある薬剤を治療的に投与して、ある細胞型を処置するが、それが別の細胞型に対しては望ましくない効果を有する場合、本発明は、望ましくない効果の分子的基礎を決定するためのアッセイを提供し、かくして、対抗作用する薬剤を同時投与するか、またはさもなければ望ましくない効果を処置する機会を提供する。同様に、単一の細胞型内であっても、望ましくない生物学的効果を分子レベルで決定することができる。かくして、標的遺伝子以外の発現に対するある薬剤の効果を確認し、対抗作用させることができる。
別の実施形態においては、アレイを用いて、アレイ中の1種以上の遺伝子の発現の時間経過をモニタリングすることができる。これは、本明細書に開示されるような様々な生物学的文脈、例えば、薬物誘導性毒性の発生、薬物誘導性毒性の進行、および薬物誘導性毒性と関連する細胞形質転換のようなプロセスで生じ得る。
アレイはまた、同じ細胞または異なる細胞中の他の遺伝子の発現に対するある遺伝子の発現の効果を確認するためにも有用である。これは、例えば、最終的な、または下流の標的を調節することができない場合、治療的介入のための代替的な分子標的の選択を提供する。
アレイはまた、正常細胞および異常細胞中での1種以上の遺伝子の示差的発現パターンを確認するためにも有用である。これは、診断的または治療的介入のための分子標的として役立ち得る一連の遺伝子を提供する。
試料を取得および調製するための方法
本発明の方法において有用な試料としては、本発明のマーカーを発現する任意の組織、細胞、生検、または体液試料が挙げられる。一実施形態においては、試料は、組織、細胞、全血、血清、血漿、口腔擦取物、唾液、脳脊髄液、尿、糞便、または気管支肺胞洗浄液であってもよい。好ましい実施形態においては、組織試料は、毒性状態の試料である。より好ましい実施形態においては、組織試料は、心血管試料または薬物誘導性毒性試料である。
身体試料を、例えば、生検の使用による、または領域を擦り取るか、もしくは拭き取ることによる、または体液を吸引するための針を用いることによるなどの当業界で公知の様々な技術により、被験体から取得することができる。様々な身体試料を収集するための方法は、当業界で周知である。
本発明のマーカーを検出および定量するのに好適な組織試料は、新鮮なものであっても、当業者には公知の方法に従って凍結または固定されたものであってもよい。好適な組織試料を切片化し、さらなる分析のために顕微鏡スライド上に置くのが好ましい。あるいは、固体試料、すなわち、組織試料を可溶化および/または均一化した後、可溶性抽出物として分析することができる。
一実施形態においては、新鮮に得られた生検試料を、例えば、液体窒素またはジフルオロジクロロメタンを用いて凍結する。凍結試料を、例えば、OCTを用いて切片化するためにマウントし、低温保持装置中で連続切片化する。連続切片を、ガラス顕微鏡スライド上で収集する。免疫組織化学染色のために、スライドを例えば、クロム-ミョウバン、ゼラチンまたはポリ-L-リシンで被覆して、切片がスライドに確実に固着するようにすることができる。別の実施形態においては、切片化の前に試料を固定し、包埋する。例えば、組織試料を、例えば、ホルマリン中で固定し、連続的に脱水し、例えば、パラフィン中に包埋することができる。
一度、試料が得られたら、本発明のマーカーを検出および定量するのに好適である当業界で公知の任意の方法を用いることができる(核酸、タンパク質、および/または脂質レベルで)。そのような方法は当業界で周知であり、限定されるものではないが、ウェスタンブロット、ノーザンブロット、サザンブロット、免疫組織化学分析、ELISA、例えば、増幅ELISA、免疫沈降法、免疫蛍光法、フローサイトメトリー、免疫細胞化学分析、質量分光分析、例えば、MALDI-TOFおよびSELDI-TOF、核酸ハイブリダイゼーション技術、核酸逆転写法、ならびに核酸増幅法が挙げられる。特定の実施形態においては、本発明のマーカーの発現を、タンパク質レベルで、例えば、これらのタンパク質に特異的に結合する抗体を用いて検出する。
本発明のマーカーを抗体結合が利用しやすいものにするために、試料を改変する必要があってもよい。免疫細胞化学的または免疫組織化学的方法の特定の態様においては、スライドを予備処理バッファーに移し、場合により加熱して抗原利用性を増大させることができる。予備処理バッファー中での試料の加熱は、細胞の脂質二重層を急速に破壊し、抗体結合にとって抗原をより利用しやすいものにする(典型的には、固定標本中で起こるものではなく、新鮮な標本の場合であってもよい)。用語「予備処理バッファー」および「調製バッファー」は、本明細書では互換的に用いられ、特に、抗体結合のための本発明のマーカーの利用性を増大させることにより、免疫染色のための細胞学的または組織学的試料を調製するために用いられるバッファーを指す。予備処理バッファーは、pH特異的塩溶液、ポリマー、洗剤、または非イオン性もしくは陰イオン性界面活性剤、例えば、エトキシル化陰イオン性もしくは非イオン性界面活性剤、アルカノエートもしくはアルコキシレートも、またはこれらの界面活性剤の混合物または胆汁塩の使用も含んでもよい。予備処理バッファーは、例えば、0.1%〜1%のデオキシコール酸、ナトリウム塩の溶液、またはラウレス13-カルボキシレートの溶液(例えば、Sandopan LS)および/またはエトキシル化陰イオン性複合体であってもよい。いくつかの実施形態においては、予備処理バッファーを、スライド保存バッファーとして用いることもできる。
当業界で公知の抗原回収方法などの、本発明のタンパク質を抗体結合にとってより利用しやすくするための任意の方法を、本発明の実施において用いることができる。例えば、それぞれの内容全体が参照により本明細書に組込まれるBibboら(2002) Acta. Cytol. 46:25-29; Saqiら(2003) Diagn. Cytopathol. 27:365-370; Bibboら(2003) Anal. Quant. Cytol. Histol. 25:8-11を参照されたい。
マーカータンパク質の利用性を増大させるための予備処理後、適切な遮断剤、例えば、過酸化水素などのペルオキシダーゼ遮断試薬を用いて、試料を遮断することができる。いくつかの実施形態においては、試料を、抗体の非特異的結合を防止するためのタンパク質遮断試薬を用いて、試料を遮断することができる。タンパク質遮断試薬は、例えば、精製カゼインを含んでもよい。次いで、本発明のマーカーに特異的に結合する抗体、特に、モノクローナルまたはポリクローナル抗体を、試料と共にインキュベートする。当業者であれば、患者試料中で本発明のマーカータンパク質上の複数のエピトープを検出することによって、いくつかの事例においてはより正確な予後診断または診断を得ることができることを理解するであろう。従って、特定の実施形態においては、本発明のマーカーの異なるエピトープに対する少なくとも2つの抗体を用いる。2つ以上の抗体を用いる場合、これらの抗体を、個々の抗体試薬として連続的に、または抗体カクテルとして同時に、単一の試料に添加することができる。あるいは、それぞれ個々の抗体を、同じ患者に由来する別々の試料に添加し、得られるデータをプールすることができる。
抗体結合を検出するための技術は、当業界で周知である。本発明のマーカーへの抗体結合を、抗体結合のレベル、従って、マーカータンパク質発現のレベルに対応する検出可能なシグナルを生成する化学的試薬の使用により検出することができる。本発明の免疫組織化学的または免疫細胞化学的方法の1つにおいては、抗体結合を、標識されたポリマーにコンジュゲートされた第2の抗体の使用により検出する。標識されたポリマーの例としては、限定されるものではないが、ポリマー-酵素コンジュゲートが挙げられる。典型的には、これらの複合体中の酵素を用いて、抗原-抗体結合部位での色原体の沈着を触媒することによって、目的のバイオマーカーの発現レベルに対応する細胞染色を得る。特定の目的の酵素としては、限定されるものではないが、西洋わさびペルオキシダーゼ(HRP)およびアルカリホスファターゼ(AP)が挙げられる。
本発明の1つの特定の免疫組織化学的または免疫細胞化学的方法においては、本発明のマーカーへの抗体結合を、第2の抗体にコンジュゲートされたHRP標識ポリマーの使用により検出する。抗体結合を、モノクローナルまたはポリクローナル抗体に結合する、種特異的プローブ試薬、および種特異的プローブ試薬に結合するHRPにコンジュゲートされたポリマーの使用により検出することもできる。スライドを、任意の色原体、例えば、色原体3,3-ジアミノベンジジン(DAB)を用いて抗体結合のために染色した後、ヘマトキシリン、および場合により、水酸化アンモニウムまたはTBS/Tween-20などの青味剤で対抗染色する。他の好適な色原体としては、例えば、3-アミノ-9-エチルカルバゾール(AEC)が挙げられる。本発明のいくつかの態様においては、スライドを、細胞技術者および/または病理学者によって顕微鏡的に再調査して、細胞染色、例えば、蛍光染色(すなわち、マーカー発現)を評価する。あるいは、試料を、自動化顕微鏡観察により、または陽性染色細胞の同定を容易にするコンピュータソフトウェアを援用して個人により再調査することができる。
抗マーカー抗体を検出可能な物質にカップリングすることにより、抗体結合の検出を容易にすることができる。検出可能な物質の例としては、様々な酵素、補欠分子族、蛍光材料、発光材料、生物発光材料、および放射性材料が挙げられる。好適な酵素の例としては、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが挙げられる;好適な補欠分子族複合体の例としては、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられる;好適な蛍光材料の例としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンが挙げられる;発光材料の例としては、ルミノールが挙げられる;生物発光材料の例としては、ルシフェラーゼ、ルシフェリン、およびエクオリンが挙げられる;ならびに好適な放射性材料の例としては、125I、131I、35S、14C、または3Hが挙げられる。
本発明の一実施形態においては、凍結試料を上記のように調製した後、例えば、Tris緩衝塩水(TBS)を用いて適切な濃度に希釈された本発明のマーカーに対する抗体で染色する。ビオチン化抗免疫グロブリン中でスライドをインキュベートすることにより、一次抗体を検出することができる。場合により、このシグナルを増幅し、抗原のジアミノベンジジン沈降を用いて可視化することができる。さらに、場合により、スライドを、例えば、ヘマトキシリンで対抗染色して、細胞を可視化することができる。
別の実施形態においては、固定試料および包埋試料を、本発明のマーカーに対する抗体で染色し、凍結切片のために上記のように対抗染色する。さらに、場合により、試料を、シグナルを増幅する薬剤で処理して、抗体染色を可視化することができる。例えば、ビオチニル-チラミドのペルオキシダーゼ触媒された沈着、次いで、ペルオキシダーゼ結合ストレプトアビジン(Catalyzed Signal Amplification(CSA)System、DAKO、Carpinteria、CA)との反応を用いることができる。
組織に基づくアッセイ(すなわち、免疫組織化学)は、本発明のマーカーを検出および定量する好ましい方法である。一実施形態においては、本発明のマーカーの存在または非存在を、免疫組織化学により決定することができる。一実施形態においては、免疫組織化学分析は、マーカーを欠く細胞が染色しないように低濃度の抗マーカー抗体を用いる。別の実施形態においては、本発明のマーカーの存在または非存在を、マーカータンパク質を欠く細胞が重度に染色するように高濃度の抗マーカー抗体を用いる免疫組織化学的方法を用いて決定する。染色しない細胞は、突然変異したマーカーを含有し、抗原認識可能なマーカータンパク質を生成することができないか、またはマーカーレベルを調節する経路が脱調節され、無視できる程度のマーカータンパク質の定常状態発現をもたらす細胞である。
当業者であれば、本発明の方法を実施するために用いられる特定の抗体の濃度が、結合のための時間、本発明のマーカーに対する抗体の特異性のレベル、および試料調製の方法などの因子に応じて変化することを認識できる。さらに、複数の抗体を用いる場合、必要とされる濃度は、例えば、カクテルとして同時に、または個々の抗体試薬として連続的に、抗体が試料に適用される順序によって影響され得る。さらに、本発明のマーカーへの抗体結合を可視化するために用いられる検出化学物質もまた、所望のシグナルノイズ比をもたらすために最適化しなければならない。
本発明の一実施形態においては、プロテオミクス法、例えば、質量分析を、本発明のマーカータンパク質の検出および定量のために用いる。例えば、タンパク質結合チップへの血清などの生物試料の適用を含む、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間質量分析(MALDI-TOF MS)または表面増強レーザー脱離/イオン化飛行時間質量分析(SELDI-TOF MS)(Wright, G.L., Jr.ら(2002) Expert Rev Mol Diagn 2:549; Li, J.ら(2002) Clin Chem 48:1296; Laronga, C.ら(2003) Dis Markers 19:229; Petricoin, E.F.ら(2002) 359:572; Adam, B.L.ら(2002) Cancer Res 62:3609; Tolson, J.ら(2004) Lab Invest 84:845; Xiao, Z.ら(2001) Cancer Res 61:6029)を用いて、PY-Shcおよび/またはp66-Shcタンパク質を検出および定量することができる。質量分析法は、例えば、それぞれの内容全体が参照により本明細書に組込まれる米国特許第5,622,824号、第5,605,798号および第5,547,835号に記載されている。
他の実施形態においては、本発明のマーカーの発現を、核酸レベルで検出する。発現を評価するための核酸に基づく技術は当業界で周知であり、例えば、被験体由来試料中のマーカーmRNAのレベルの決定が挙げられる。多くの発現検出法は単離されたRNAを用いる。mRNAの単離に対して選択しない任意のRNA単離技術を、本発明のマーカーを発現する細胞からのRNAの精製のために用いることができる(例えば、Ausubelら(編)、(1987-1999) Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley & Sons, New York)を参照されたい)。さらに、多数の組織試料を、例えば、Chomczynskiの単一ステップRNA単離プロセス(1989、米国特許第4,843,155号)などの、当業者には周知の技術を用いて容易にプロセッシングすることができる。
本発明のマーカーの発現レベルを、膜ブロット(ノーザン、サザン、ドットなどのハイブリダイゼーション分析において用いられるものなど)、またはマイクロウェル、試料チューブ、ゲル、ビーズまたは繊維(または結合した核酸を含む任意の固相支持体)を用いてモニタリングすることができる。参照により本明細書に組込まれる米国特許第5,770,722号、第5,874,219号、第5,744,305号、第5,677,195号および第5,445,934号を参照されたい。マーカー発現の検出はまた、溶液中で核酸プローブを用いることを含んでもよい。
本発明の一実施形態においては、マイクロアレイを用いて、本発明のマーカーの発現を検出する。マイクロアレイは、異なる実験間の再現性のため、この目的に特に適している。DNAマイクロアレイは、多数の遺伝子の発現レベルの同時的測定のための1つの方法を提供する。それぞれのアレイは、固相支持体に結合した捕捉プローブの再現性パターンからなる。標識されたRNAまたはDNAをアレイ上の相補的プローブにハイブリダイズさせた後、レーザー走査により検出する。アレイ上の各プローブに関するハイブリダイゼーション強度を決定し、相対的遺伝子発現レベルを表す定量値に変換する。参照により本明細書に組込まれる米国特許第6,040,138号、第5,800,992号、第6,020,135号、第6,033,860号、および第6,344,316号を参照されたい。高密度オリゴヌクレオチドアレイは、試料中の多数のRNAに関する遺伝子発現プロファイルを決定するのに特に有用である。
本発明のマーカーの量、および/または本発明のマーカーの量の数的関係を用いて、当業者には公知の回帰分析の方法を含んでもよい本発明の方法を用いて、ある薬物で処置される被験体における、心不全および薬物誘導性心筋症などの心筋症を含む心血管疾患の危険性、毒性状態などを処置する、防止する、または対抗作用するための処置レジメンの有効性を算出することができる。例えば、好適な回帰モデルとしては、限定されるものではないが、CART(例えば、Hill, T,およびLewicki, P. (2006)「STATISTICS Methods and Applications」、StatSoft, Tulsa, OK)、Cox (例えば、www.evidence-based-medicine.co.uk)、指数、正規および対数正規(例えば、www.obgyn.cam.ac.uk/mrg/statsbook/stsurvan.html)、ロジスティック(例えば、www.en.wikipedia.org/wiki/Logistic_regression)、パラメータ、非パラメータ、半パラメータ(例えば、www.socserv.mcmaster.ca/jfox/Books/Companion)、線形(例えば、www.en.wikipedia.org/wiki/Linear_regression)、または付加(例えば、www.en.wikipedia.org/wiki/Generalized_additive_model)が挙げられる。
一実施形態においては、回帰分析は、マーカーの量を含む。別の実施形態においては、回帰分析は、マーカーの数的関係を含む。さらに別の実施形態においては、マーカーの量の回帰分析、および/またはマーカーの数的関係は、さらなる臨床および/または分子共変量を含んでもよい。
使用のためのマーカーの組合せ
方法、装置、およびキットは、本出願を通して、単独で、または任意の組合せで本明細書で提供される任意のマーカーの使用を指す。本発明はまた、本明細書に提供される方法、装置、およびキットを含む、本発明の任意の実施形態において用いることができるマーカーの組合せも提供する。例示的な非限定的なマーカーの組合せを、以下のように提供する。
本明細書で用いられる場合、用語「1種以上のバイオマーカー」は、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1の少なくとも1種(または組合せ)が本発明の方法、パネル、またはキットにおいて用いられることを意味することが意図される。本発明の特定の実施形態においては、「1種以上のバイオマーカー」は、CCDC47およびHMOX1の一方または両方を含む。特定の実施形態においては、「1種以上のバイオマーカー」は、CCDC47およびHMOX1の一方または両方に加えて、PTX3をさらに含む。特定の実施形態においては、「1種以上のバイオマーカー」は、CCDC47およびHMOX1の一方または両方に加えて、PAI1をさらに含む。特定の実施形態においては、「1種以上のバイオマーカー」は、CCDC47およびHMOX1の一方または両方に加えて、PTX3およびPAI1をさらに含む。特定の実施形態においては、「1種以上のバイオマーカー」は、CCDC47およびHMOX1の一方または両方に加えて、少なくとも1種の脂質マーカーをさらに含む。特定の実施形態においては、「1種以上のバイオマーカー」は、CCDC47およびHMOX1の一方または両方に加えて、少なくとも1種の脂質マーカーおよびIGFBP7をさらに含む。特定の実施形態においては、「1種以上のバイオマーカー」は、CCDC47およびHMOX1の一方または両方を含む組合せに加えて、少なくとも1種の脂質マーカーをさらに含み、脂質PC-Li-183-D18:2-22:6である。特定の実施形態においては、「1種以上のバイオマーカー」は、CCDC47およびHMOX1の一方または両方に加えて、Emmprinをさらに含む。特定の実施形態においては、「1種以上のバイオマーカー」は、CCDC47およびHMOX1の一方または両方に加えて、IL-12をさらに含む。特定の実施形態においては、「1種以上のバイオマーカー」は、CCDC47およびHMOX1の一方または両方に加えて、CFL2をさらに含む。特定の実施形態においては、「1種以上のバイオマーカー」は、CCDC47およびHMOX1の一方または両方に加えて、EDIL3をさらに含む。特定の実施形態においては、「1種以上のバイオマーカー」は、CCDC47およびHMOX1の一方または両方に加えて、NUCB1をさらに含む。
特定の実施形態においては、組合せまたはパネルは、少なくともEmmprinを含む。特定の実施形態においては、組合せまたはパネルは、少なくともHMOX1を含む。特定の実施形態においては、組合せまたはパネルは、少なくともIGFBP7を含む。特定の実施形態においては、組合せまたはパネルは、少なくともCCDC47を含む。特定の実施形態においては、組合せまたはパネルは、少なくともPTX3を含む。特定の実施形態においては、組合せまたはパネルは、少なくともIL27を含む。特定の実施形態においては、組合せまたはパネルは、少なくともPAI1を含む。特定の実施形態においては、組合せまたはパネルは、少なくともCFL2を含む。特定の実施形態においては、組合せまたはパネルは、少なくともEDIL3を含む。特定の実施形態においては、組合せまたはパネルは、少なくともNUCB1を含む。特定の実施形態においては、組合せまたはパネルは、少なくともPE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3を含む。特定の実施形態においては、組合せまたはパネルは、少なくともPE D18:0-22:5/D18:1-22:4を含む。特定の実施形態においては、組合せまたはパネルは、少なくともPE D16:1-22:6を含む。特定の実施形態においては、組合せまたはパネルは、少なくともPE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2を含む。特定の実施形態においては、組合せまたはパネルは、少なくともLPC 20:3を含む。特定の実施形態においては、組合せまたはパネルは、少なくともPC-LI-183-D18:22-22:6を含む。
特定の実施形態においては、パネルは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1の少なくとも2種を含む。特定の実施形態においては、パネルは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1の少なくとも3種を含む。特定の実施形態においては、パネルは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1の少なくとも4種を含む。特定の実施形態においては、パネルは、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1の少なくとも5種を含む。特定の実施形態においては、パネルは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1の少なくとも6種を含む。特定の実施形態においては、パネルは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1の少なくとも7種を含む。特定の実施形態においては、パネルは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1の少なくとも8種を含む。
特定の実施形態においては、マーカーの組合せまたはパネルは、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1; Emmprin、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1; Emmprin、HMOX1、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1; HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1; Emmprin、HMOX1、IGFBP7、PTX3、IL27、およびPAI1; Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、IL27、およびPAI1; Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、およびIL27; Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、およびPTX3; Emmprin、HMOX1、IGFBP7、およびCCDC47; Emmprin、HMOX1およびIGFBP7; EmmprinおよびHMOX1; EDIL3、NUCB1、CFL2およびPTX3; NUCB1、CFL2およびPTX3; NUCB1およびPTX3; NUCB1およびCFL2からなる群から選択される組合せまたはパネルを含む。
特定の実施形態においては、任意の前記組合せまたはパネルは、少なくとも1種の脂質マーカーをさらに含む。特定の実施形態においては、少なくとも1種の脂質マーカーは、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3を含む。特定の実施形態においては、少なくとも1種の脂質マーカーは、LPC20:3を含む。特定の実施形態においては、少なくとも1種の脂質マーカーは、PE 18:0-20:3を含む。好ましい実施形態においては、少なくとも1種の脂質マーカーは、好ましくは、上記に提供されたものなどの、CCDC47およびHMOX1の一方または両方に加えて、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; PC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1、2、3、4、5、6、または7種のマーカーである。特定の実施形態においては、「1種以上のバイオマーカー」は、好ましくは、CCDC47およびHMOX1の一方または両方に加えて、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; PC-LI-183-D18:22-22:6; CACNA2D1; EPHX1; BAX; PRKAR2A; およびMPA2K3からなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10または11種のマーカーをさらに含む。
特定の実施形態においては、パネルは、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; PC-LI-183-D18:22-22:6の少なくとも2種を含む。特定の実施形態においては、パネルは、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; PC-LI-183-D18:22-22:6の少なくとも3種を含む。特定の実施形態においては、パネルは、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; PC-LI-183-D18:22-22:6の少なくとも4種を含む。特定の実施形態においては、パネルは、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; PC-LI-183-D18:22-22:6の少なくとも5種を含む。
前記実施形態のいずれかにおいては、「1種以上のバイオマーカー」は、好ましくは、CCDC47およびHMOX1の一方または両方に加えて、1A69、1C17、ACBD3、ACLY、ACTR2、ANXA6、ANXA7、AP2A1、ARCN1、ASNA1、ATAD3A、ATP5A、ATP5B、ATP5D、ATP5F1、ATP5H、ATPIF1、BSG、C14orf166、CA2D1、CAPN1、CAPZA2、CARS、CCDC22、CCDC47、CCT7、CLIC4、CMPK1、CNN2、CO1A2、CO6A1、COTL1、COX6B1、CRTAP、CS010、CTSA、CTSB、CYB5、DDX1、DDX17、DDX18、DLD、EDIL3、EHD2、EIF4A3、ENO2、EPHX1、ETFA、FERMT2、FINC、FKB10、FKBP2、FLNC、G3BP2、GOLGA3、GPAT1、GPSN2、GRP75、GRP78、HMOX1、HNRNPD、HNRNPH1、HNRPG、HPX、HSP76、HSP90AB1、HSPA1A、HSPA4、HSPA9、IBP7、IDH1、IQGAP1、ITB1、ITGB1、KARS、KIF5B、KPNA3、KPNB1、LAMC1、LGALS1、LMO7、M6PRBP1、MACF1、MAP1B、MARS、MDH1、MPR1、MTHFD1、MYH10、NCL、NHP2L1、NUCB1、OLA1、P08621、P3H1、P4HA2、P4HB、SEC61A1 (P61619)、PAI1、PAPSS2、PCBP2、PDCD6、PDIA1、PDIA3、PDIA3、PDIA4、PDLIM7、PEBP1、PFKM、PH4B、PLIN2、POFUT1、PRKDC、PSMA1、PSMA7、PSMD12、PSMD3、PSMD4、PSMD6、PSME2、PTBP1、Q9BQE5、Q9Y262、RAB1B、RP515A、RPL32、RPL7A、RPL8、RPS25、RPS6、RRAS2、RRP1、SAR1B、SDHA、SENP1、SEPT11、SEPT7、SERPH、SERPINE1、SFRS2、SH3BGRL、SNRPB、SNX12、SOD1、SPRC、ST13、SUB1、SYNCRIP、TAGLN、TAZ、TGM2、TIMP1、TLN1、TPM4、TRAP1、TSP1、TTLL12、TXNDC12、UBA1C、UGDH、UGP2、UQCRH、VAMP3、およびVAPAからなる群から選択される1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、50、60、70、80、または90種のマーカーをさらに含む。特定の実施形態においては、組合せは、少なくとも1種の脂質をさらに含む。
マーカーの他の組合せは、本出願を通して提供される。上記のマーカーの組合せは、限定と理解されるべきではない。
本発明の特定の実施形態においては、1種以上のマーカーを、本明細書に提供される方法、装置、およびキットを含む本発明の実施形態から排除することができる。特定の実施形態においては、心筋症または心臓関連バイオマーカーは、Emmprinを含まない。特定の実施形態においては、心筋症または心臓関連バイオマーカーは、HMOX1を含まない。特定の実施形態においては、心筋症または心臓関連バイオマーカーは、IGFBP7を含まない。特定の実施形態においては、心筋症または心臓関連バイオマーカーは、CCDC47を含まない。特定の実施形態においては、心筋症または心臓関連バイオマーカーは、PTX3を含まない。特定の実施形態においては、心筋症または心臓関連バイオマーカーは、IL27を含まない。特定の実施形態においては、心筋症または心臓関連バイオマーカーは、PAI1を含まない。特定の実施形態においては、心筋症または心臓関連バイオマーカーは、CFL2を含まない。特定の実施形態においては、心筋症または心臓関連バイオマーカーは、EDIL3を含まない。特定の実施形態においては、心筋症または心臓関連バイオマーカーは、NUCB1を含まない。特定の実施形態においては、心筋症または心臓関連バイオマーカーは、任意のトロポニンマーカーを含まない。特定の実施形態においては、心筋症または心臓関連バイオマーカーは、任意の心臓トロポニンを含まない。特定の実施形態においては、心筋症または心臓関連バイオマーカーは、トロポニンI、トロポニンC、および/またはトロポニンTを含まない。特定の実施形態においては、心筋症または心臓関連バイオマーカーは、C反応性タンパク質(CRP)を含まない。特定の実施形態においては、心筋症または心臓関連バイオマーカーは、BNPを含まない。特定の実施形態においては、心筋症または心臓関連バイオマーカーは、GRP78を含まない。特定の実施形態においては、心筋症または心臓関連バイオマーカーは、GRP75を含まない。特定の実施形態においては、心筋症または心臓関連バイオマーカーは、TIMP1を含まない。特定の実施形態においては、心筋症または心臓関連バイオマーカーは、HSP76を含まない。特定の実施形態においては、心筋症または心臓関連バイオマーカーは、PDAI4を含まない。特定の実施形態においては、心筋症または心臓関連バイオマーカーは、CA2D1を含まない。
薬理ゲノミクス
本発明のマーカーはまた、薬理ゲノミクスマーカーとしても有用である。本明細書で用いられる場合、「薬理ゲノミクスマーカー」は、発現レベルが患者における特定の臨床薬物応答または罹患性と相関する客観的生化学マーカーである(例えば、McLeodら(1999) Eur. J. Cancer 35(12): 1650-1652を参照されたい)。薬理ゲノミクスマーカー発現の存在または量は、患者の予測される応答、より特には、特定の薬物または薬物クラスを用いる療法に応答する有害事象に対する患者の積極的応答の可能性と関連する。患者における1種以上の薬理ゲノミクスマーカーの発現の存在または量を評価することにより、患者にとって最も適切であるか、またはより高い成功率を有すると予測される薬物療法を選択することができる。例えば、患者における特定のマーカーによりコードされるRNAまたはタンパク質の存在または量に基づいて、被験体の処置のために最適化して、所望の治療転帰を増加させ、有害事象を減少させる薬物または処置の経過を選択することができる。従って、薬理ゲノミクスマーカーの使用により、異なる薬物またはレジメンを試すことなく、それぞれの患者のための最も適切な処置を選択または設計することができる。
薬理ゲノミクスの別の態様は、身体が薬物に作用する方法を変化させる遺伝的条件に取り組むものである。これらの薬理遺伝学的条件は、稀な欠陥または多型として生じ得る。例えば、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ(G6PD)欠損は、主な臨床的合併症が酸化剤(抗マラリア剤、スルホンアミド、鎮痛剤、ニトロフラン)の摂取およびソラマメの消費後の溶血である一般的な遺伝性酵素病である。
例示的実施形態として、薬物代謝酵素の活性は、薬物作用の強度および持続期間の両方の主な決定因子である。薬物代謝酵素(例えば、N-アセチルトランスフェラーゼ2(NAT2)ならびにシトクロムP450酵素CYP2D6およびCYP2C19)の遺伝的多型の発見は、いくらかの患者が、標準的で安全な用量の薬物を摂取した後に、期待される薬物効果を得ないか、または誇張された薬物応答および深刻な毒性を示さない理由に関する説明を提供した。これらの多型は、集団中の2つの表現型、高代謝者(EM)および低代謝者(PM)において発現される。PMの患者数は、異なる集団間で異なる。例えば、CYP2D6をコードする遺伝子は、高度に多型性であり、いくつかの突然変異が、PM中で同定されており、全て機能的なCYP2D6の非存在をもたらす。CYP2D6およびCYP2C19の低代謝者は、彼らが標準的な用量を受ける場合、誇張された薬物応答および副作用を非常に頻繁に経験する。代謝物が活性治療部分である場合、そのCYP2D6により形成される代謝物モルヒネにより媒介されるコデインの鎮痛効果について証明されたように、PMは治療応答を示さない。その他の極端は、標準用量に応答しないいわゆる超迅速代謝者である。最近、超迅速代謝の分子的基礎が、CYP2D6遺伝子増幅に起因すると同定された。
かくして、個体における本発明のマーカーの発現レベルを決定することによって、その個体の治療的または予防的処置のための適切な薬剤を選択することができる。さらに、薬理遺伝学的試験を用いて、薬物代謝酵素をコードする多型対立遺伝子の遺伝子型決定を、個体の薬物応答性表現型の同定に適用することができる。この知識は、用量決定または薬物選択に適用された場合、有害反応または治療の失敗を回避し、かくして、本発明のマーカーの発現のモジュレータを用いて被験体を処置する場合の治療的または予防的効率を増強することができる。
臨床試験のモニタリング
本発明のマーカーのレベルに対する薬剤(例えば、薬物化合物)の影響のモニタリングを、基礎薬物スクリーニングだけでなく、臨床試験においても適用することができる。例えば、マーカー発現に影響する薬剤の有効性を、心筋症、例えば、心臓毒性、または薬物誘導性毒性のための処置を受けている被験体の臨床試験においてモニタリングすることができる。好ましい実施形態においては、本発明は、薬剤(例えば、アゴニスト、アンタゴニスト、ペプチド模倣体、タンパク質、ペプチド、核酸、低分子、または他の薬物候補)を用いる被験体の処置の有効性をモニタリングするための方法であって、(i)薬剤の投与前に被験体から投与前試料を取得するステップ;(ii)投与前試料中の本発明の1種以上の選択されたマーカーのレベルを検出するステップ;(iii)被験体から1種以上の投与後試料を取得するステップ;(iv)投与後試料中のマーカーのレベルを検出するステップ;(v)投与前試料中のマーカーのレベルを、投与後試料中のマーカーの発現レベルと比較するステップ;および(vi)それに応じて被験体への薬剤の投与を変更するステップを含む、前記方法を提供する。例えば、処置経過中のマーカー遺伝子の発現の増加は、無効な用量および用量を増加させることが望ましいことを示してもよい。逆に、マーカー遺伝子の発現の減少は、有効な処置および用量を変化させる必要はないことを示してもよい。例えば、正常な被験体と比較したPTX3、PAI1、EDIL3、およびNUCB1の少なくとも1種の発現レベルの減少は、心筋症を示す。同様に、薬剤を用いる処置に応答したPTX3、PAI1、EDIL3、およびNUCB1の少なくとも1種の発現レベルの減少は、その薬剤が心臓毒性であることを示す。逆に、薬剤を用いる処置に応答したPTX3、PAI1、EDIL3、およびNUCB1の少なくとも1種の発現レベルの増加、または発現レベルの減少がないことは、その薬剤が心臓保護的であることを示す。
疾患状態の処置
本発明は、被験体、例えば、哺乳動物、例えば、ヒトにおける疾患、例えば、心血管疾患、特に、心不全および/または心筋症、例えば、心臓毒性剤との接触の結果生じる心筋症を処置するための本明細書に提供される1種以上のマーカーの使用のための方法を提供する。
本発明はまた、潜在的な心臓毒性剤を用いて処置される被験体、例えば、潜在的な心臓毒性剤を用いる処置が必要な被験体の処置を管理する方法であって、
(i)被験体に、潜在的な心臓毒性剤を含む第1の処置レジメンの少なくとも一部を施す前に被験体から得られた第1の試料中の、CCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを検出するステップ;
(ii)被験体に、潜在的な心臓毒性剤を含む第1の処置レジメンの少なくとも一部を施した後に被験体から得られた第2の試料中の対応する1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを検出するステップ;
(iii)第2の試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを、第1の試料中の対応する1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルと比較するステップ;
(iv)潜在的な心臓毒性剤が被験体に対して心臓毒性であるかどうかを決定するステップであって、第1の試料と比較した第2の試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルの調節がないことが、薬剤が被験体に対して心臓毒性ではないことを示し、第1の試料と比較した第2の試料中の1種以上のバイオマーカーのレベルの調節が、薬剤が被験体に対して心臓毒性であることを示す、前記ステップ;ならびに
(v)ステップ(3)の比較に基づいて被験体のための処置レジメンを選択するステップ
を含む前記方法も提供する。
特定の実施形態においては、被験体のための処置レジメンの選択は、薬剤が被験体に対して心臓毒性であると決定された場合、第1の処置レジメンを中止もしくは変更すること、または薬剤が被験体に対して心臓毒性ではないと決定された場合、第1の処置レジメンを継続することを含む。
特定の実施形態においては、前記方法は、潜在的な心臓毒性剤の用量を減少させること、潜在的な心臓毒性剤を用いる処置を停止すること、および/または潜在的な心臓毒性剤に対する代替的な治療剤を選択することを含む、第1の処置レジメンを変更することを含む。
本発明はまた、1種以上の心筋症関連マーカーの発現または活性を調節する治療剤、例えば、核酸または抗体に基づく治療剤を用いて、心血管疾患、特に、心不全および/または心筋症、例えば、心臓毒性剤との接触の結果生じる心筋症に罹患する被験体の処置のための方法も提供する。
本発明はまた、対照と比較した、本明細書に提供される1種以上のマーカーのレベルの変化の検出に応じた、既知の処置剤または治療的介入の選択のための方法も提供する。処置レジメンの選択は、治療剤および介入の選択を支援するための1種以上の非マーカーに基づく方法をさらに含んでもよい。本発明はまた、非心臓関連状態の処置のための治療剤が心筋症をもたらすか、または心筋症を悪化させ得る非心臓関連状態の処置の選択における本明細書に提供されるマーカーの使用も提供する。
単離された核酸分子
本発明の一態様は、マーカータンパク質またはその一部をコードする核酸を含む、単離された核酸分子に関する。本発明の単離された核酸はまた、マーカー核酸分子、およびマーカー核酸分子の断片を同定するためのハイブリダイゼーションプローブとしての使用にとって十分な核酸分子、例えば、マーカー核酸分子の特異的生成物または突然変異の増幅のためのPCRプライマーとしての使用にとって好適なものも含む。本明細書で用いられる場合、用語「核酸分子」はDNA分子(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)およびRNA分子(例えば、mRNA)ならびにヌクレオチド類似体を用いて生成されたDNAまたはRNAの類似体を含むことが意図される。核酸分子は、一本鎖または二本鎖であってもよいが、好ましくは、二本鎖DNAである。
「単離された」核酸分子は、核酸分子の自然の供給源中に存在する他の核酸分子から分離されるものである。一実施形態においては、「単離された」核酸分子は、核酸が誘導される生物のゲノムDNA中でその核酸に自然にフランキングする(すなわち、その核酸の5'および3'末端に位置する配列)配列(好ましくは、タンパク質コード配列)を含まない。例えば、様々な実施形態においては、単離された核酸分子は、その核酸が誘導される細胞のゲノムDNA中でその核酸分子に自然にフランキングする約5kb、4kb、3kb、2kb、1kb、0.5kbまたは0.1kb未満のヌクレオチド配列を含有してもよい。別の実施形態においては、「単離された」核酸分子、例えば、cDNA分子を、他の細胞材料、もしくは組換え技術により産生された場合、培養培地を実質的に含まないか、または化学的前駆体もしくは化学的に合成された場合、他の化学物質を実質的に含まなくてもよい。細胞材料を実質的に含まない核酸分子は、約30%、20%、10%、または5%未満の異種核酸(本明細書では「夾雑核酸」とも呼ばれる)を有する調製物を含む。
本発明の核酸分子を、標準的な分子生物学技術および本明細書に記載のデータベース記録中の配列情報を用いて単離することができる。そのような核酸配列の全部または一部を用いて、本発明の核酸分子を、標準的なハイブリダイゼーションおよびクローニング技術(例えば、Sambrookら(編)、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989に記載のもの)を用いて単離することができる。
本発明の核酸分子を、標準的なPCR増幅技術に従って、鋳型としてのcDNA、mRNA、またはゲノムDNAおよび適切なオリゴヌクレオチドプライマーを用いて増幅することができる。そのように増幅された核酸を、適切なベクター中にクローニングし、DNA配列分析により特性評価することができる。さらに、本発明の核酸分子の全部または一部に対応するヌクレオチドを、標準的な合成技術により、例えば、自動化DNA合成装置を用いて調製することができる。
別の好ましい実施形態においては、本発明の単離された核酸分子は、マーカー核酸のヌクレオチド配列またはマーカータンパク質をコードする核酸のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を有する核酸分子を含む。所与のヌクレオチド配列と相補的である核酸分子は、それが所与のヌクレオチド配列にハイブリダイズすることによって安定な二本鎖を形成することができる所与のヌクレオチド配列と十分に相補的であるものである。
「相補的」とは、2つの核酸鎖の領域間または同じ核酸鎖の2つの領域間の配列相補性の広い概念を指す。第1の核酸領域のアデニン残基は、残基がチミンまたはウラシルである場合、第1の領域と逆平行である第2の核酸領域の残基と特異的水素結合(「塩基対形成」)を形成することができることが公知である。同様に、第1の核酸鎖のシトシン残基は、残基がグアニンである場合、第1の鎖と逆平行である第2の核酸鎖の残基と塩基対形成することができることが公知である。2つの領域が逆平行様式で配置された場合、第1の領域の少なくとも1個のヌクレオチド残基が第2の領域の残基と塩基対形成することができる場合、核酸の第1の領域は、同じか、または異なる核酸の第2の領域と相補的である。好ましくは、第1の領域は第1の部分を含み、第2の領域は第2の部分を含むことによって、第1および第2の部分が逆平行様式で配置された場合、第1の部分のヌクレオチド残基の少なくとも約50%、および好ましくは少なくとも約75%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%が第2の部分中のヌクレオチド残基と塩基対形成することができる。より好ましくは、第1の部分の全てのヌクレオチド残基は、第2の部分中のヌクレオチド残基と塩基対形成することができる。
本明細書で用いられる場合、「同一」または「同一性」は、同じ核酸鎖の2つの領域間または2つの異なる核酸鎖の領域間のヌクレオチド配列類似性を指す。両領域中のヌクレオチド残基位置が同じヌクレオチド残基により占有される場合、その領域はその位置で同一である。それぞれの領域の少なくとも1個のヌクレオチド残基位置が同じ残基によって占有される場合、第1の領域は第2の領域と同一である。2つの領域間の同一性は、同じヌクレオチド残基によって占有される2つの領域のヌクレオチド残基位置の割合を単位として表される。例えば、ヌクレオチド配列5'-ATTGCC-3'を有する領域と、ヌクレオチド配列5'-TATGGC-3'を有する領域とは、50%の同一性を有する。好ましくは、第1の領域は第1の部分を含み、第2の領域は第2の部分を含むことによって、それぞれの部分のヌクレオチド残基位置の少なくとも約50%、および好ましくは少なくとも約75%、少なくとも約90%、または少なくとも約95%は同じヌクレオチド残基によって占有される。より好ましくは、それぞれの部分の全てのヌクレオチド残基位置は、同じヌクレオチド残基によって占有される。
さらに、本発明の核酸分子は、核酸配列の一部のみを含んでもよく、ここで、完全長核酸配列はマーカー核酸を含むか、またはマーカータンパク質をコードする。そのような核酸を、例えば、プローブまたはプライマーとして用いることができる。プローブ/プライマーは、典型的には、1つ以上の実質的に精製されたオリゴヌクレオチドとして用いられる。オリゴヌクレオチドは、典型的には、少なくとも約15、より好ましくは、少なくとも約25、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、もしくは400個以上、またはこれらの値によりくくられる任意の範囲の本発明の核酸の連続的ヌクレオチドに、ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列の領域を含む。
本発明の核酸分子の配列に基づくプローブを用いて、本発明の1種以上のマーカーに対応する転写物またはゲノム配列を検出することができる。プローブは、それに結合した標識基、例えば、放射性アイソトープ、蛍光化合物、酵素、または酵素コファクターを含む。そのようなプローブを、被験体に由来する細胞の試料中のタンパク質をコードする核酸分子のレベルを測定すること、例えば、mRNAレベルを検出すること、またはタンパク質をコードする遺伝子もしくはその翻訳制御配列が突然変異もしくは欠失されているかどうかを決定することなどにより、タンパク質を発現するか、または誤発現する細胞または組織を同定するための診断試験キットの部分として用いることができる。
本発明は、遺伝子コードの縮重性のため、マーカータンパク質(例えば、図面に提供される配列を有するタンパク質)をコードする核酸のヌクレオチド配列とは異なり、かくして、同じタンパク質をコードする核酸分子をさらに包含する。
当業者であれば、アミノ酸配列の変化をもたらすDNA配列多型が集団(例えば、ヒト集団)内に存在してもよいことを理解できる。そのような遺伝子多型は、例えば、がんにおいて生じることが知られる天然の対立遺伝子変異および変化のため、集団内の個体間で存在してもよい。対立遺伝子は、所与の遺伝子座で選択的に生じる遺伝子群のものである。さらに、その遺伝子の全体の発現レベルに影響し得る(例えば、調節または分解に影響することによる)RNA発現レベルに影響するDNA多型も存在してもよいことが理解される。
本明細書で用いられる語句「対立遺伝子変異体」とは、所与の遺伝子座に存在するヌクレオチド配列または該ヌクレオチド配列によりコードされるポリペプチドを指す。
本明細書で用いられる用語「遺伝子」および「組換え遺伝子」とは、本発明のマーカーに対応するポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを含む核酸分子を指す。そのような天然の対立遺伝子変異は、典型的には、所与の遺伝子のヌクレオチド配列の1〜5%の変動をもたらし得る。選択的対立遺伝子を、いくつかの異なる個体において目的の遺伝子を配列決定することにより同定することができる。これは、様々な固体中の同じ遺伝子座を同定するためのハイブリダイゼーションプローブを用いることにより容易に実行することができる。天然の対立遺伝子変異の結果であり、機能的活性を変化させない任意かつ全てのそのようなヌクレオチド変異および得られるアミノ酸多型または変異は、本発明の範囲内にあることが意図される。
別の実施形態においては、本発明の単離された核酸分子は、少なくとも15、20、25、30、40、60、80、100、150、200、250、300、350、400、450、550、650、700、800、900、1000、1200、1400、1600、1800、2000、2200、2400、2600、2800、3000、3500、4000、4500個以上、またはこれらの値によりくくられる任意の範囲の長さのヌクレオチドであり、マーカー核酸に、またはマーカータンパク質をコードする核酸にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。本明細書で用いられる用語「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」とは、互いに少なくとも60%(65%、70%、好ましくは75%)同一であるヌクレオチド配列が、典型的には、互いにハイブリダイズしたままになるハイブリダイゼーションおよび洗浄のための条件を記述することを意図される。そのようなストリンジェントな条件は、当業者には公知であり、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, N.Y. (1989)のセクション6.3.1〜6.3.6に見出すことができる。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の好ましい非限定例は、約45℃での6X塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)中でのハイブリダイゼーション、次いで、50〜65℃での0.2X SSC、0.1%SDS中での1回以上の洗浄である。
核酸治療剤
核酸治療剤は、当業界で周知である。核酸治療剤としては、細胞中の標的配列と相補的である一本鎖と二本鎖の両方(すなわち、1つまたは2つの核酸鎖であってもよい少なくとも15ヌクレオチドの長さの相補的領域を有する核酸治療剤)の核酸が挙げられる。核酸治療剤を、例えば、核酸を培養培地に単独で、または細胞中への核酸の取込みを促進する薬剤と共に添加することにより、培養中の細胞に送達することができる。核酸治療剤を、任意の投与経路により、被験体中の細胞に、すなわち、in vivoで送達することができる。特定の製剤は投与経路に依存する。
本明細書で用いられる場合、および別途指摘されない限り、用語「相補的」は、第2のヌクレオチド配列との関連において第1のヌクレオチド配列を記述するために用いられる場合、当業者であれば理解できるように、第1のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが、第2のヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドと、特定の条件下でハイブリダイズし、二本鎖構造を形成する能力を指す。そのような条件は、例えば、ストリンジェントな条件であってもよく、ストリンジェントな条件は400mM NaCl、40mM PIPES pH6.4、1mM EDTA、50℃または70℃で12〜16時間、次いで、洗浄を含んでもよい。生物の内部で遭遇し得るような生理的に関連する条件などの他の条件も適用することができる。当業者であれば、ハイブリダイズしたヌクレオチドの最終的な用途に従って、2つの配列の相補性の試験にとって最も適切な条件のセットを決定することができる。
配列は、第1および第2のヌクレオチド配列の全長にわたって、第1のヌクレオチド配列のヌクレオチドと、第2のヌクレオチド配列のヌクレオチドとの塩基対形成が存在する場合、それぞれに関して「完全に相補的」であってもよい。しかしながら、第1の配列が本明細書の第2の配列に関して「実質的に相補的」であると言われる場合、2つの配列は完全に相補的であってもよく、またはそれらはその最終的な用途と最も関連する条件下でハイブリダイズする能力を保持しながら、ハイブリダイゼーションの際に1つ以上であるが、一般には4、3、もしくは2個以下の不一致の塩基対を形成してもよい。しかしながら、2つのオリゴヌクレオチドが、ハイブリダイゼーションの際に、二本鎖核酸治療剤においては一般的であるような1つ以上の一本鎖突出部を形成するように設計される場合、そのような突出部は相補性の決定に関して不一致と見なすべきではない。例えば、長い方のオリゴヌクレオチドが短い方のオリゴヌクレオチドと完全に相補的である21ヌクレオチドの配列を含む場合、21ヌクレオチド長の1つのオリゴヌクレオチドおよび23ヌクレオチド長の別のオリゴヌクレオチドを含むdsRNAは、本明細書に記載の目的にとって依然として「完全に相補的」であると言うことができる。
本明細書で用いられる場合、「相補的」配列はまた、ハイブリダイズするその能力に関する上記要件が満たされる限り、非ワトソン-クリック塩基対ならびに/または非天然および改変ヌクレオチドから形成される塩基対を含むか、または完全にそれから形成されていてもよい。そのような非ワトソン-クリック塩基対は、限定されるものではないが、G:U WoobleまたはHoogstein塩基対形成が挙げられる。
本明細書における用語「相補的」、「完全に相補的」および「実質的に相補的」は、その使用の文脈から理解されるように、dsRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖との間、またはdsRNAのアンチセンス核酸またはアンチセンス鎖と標的配列との間の塩基一致に関して用いることができる。
本明細書で用いられる場合、メッセンジャーRNA(mRNA)の「少なくとも一部と実質的に相補的」であるポリヌクレオチドは、5'UTR、オープンリーディングフレーム(ORF)、または3'UTRを含む目的のmRNA(例えば、心筋症関連マーカーをコードするmRNA)の連続する部分と実質的に相補的であるポリヌクレオチドを指す。例えば、ポリヌクレオチドは、その配列が心筋症関連マーカーをコードするmRNAの非介在部分と実質的に相補的である場合、心筋症関連マーカーmRNAの少なくとも一部と相補的である。
核酸治療剤は、典型的には、その安定性を改善し、その薬物動態および薬力学特性を調節する化学的改変を含む。例えば、ヌクレオチド上の改変としては、限定されるものではないが、LNA、HNA、CeNA、2'-メトキシエチル、2'-O-アルキル、2'-O-アリル、2'-C-アリル、2'-フルオロ、2'-デオキシ、2'-ヒドロキシル、およびその組合せが挙げられる。
核酸治療剤は、少なくとも1個のホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間結合をさらに含んでもよい。ホスホロチオエートまたはメチルホスホネートヌクレオチド間結合改変は、鎖の任意の位置でセンス鎖もしくはアンチセンス鎖またはその両方(センス鎖を含む核酸治療剤において)の任意のヌクレオチド上で生じてもよい。例えば、ヌクレオチド間結合改変は、センス鎖またはアンチセンス鎖上の全てのヌクレオチド上で生じてもよい;それぞれのヌクレオチド間結合改変は、センス鎖もしくはアンチセンス鎖上で交互のパターンで生じてもよい;またはセンス鎖もしくはアンチセンス鎖は、交互のパターンの両方のヌクレオチド間結合改変を含有してもよい。センス鎖上のヌクレオチド間結合改変の交互のパターンは、アンチセンス鎖と同じか、または異なるものであってもよく、センス鎖上のヌクレオチド間結合改変の交互のパターンは、アンチセンス鎖上のヌクレオチド間結合改変の交互のパターンと比較してシフトを有してもよい。
一本鎖核酸治療剤
アンチセンス核酸治療剤は、一本鎖核酸治療剤であり、典型的には、約16〜30ヌクレオチドの長さであり、培養物または生物中の、標的細胞中の標的核酸配列と相補的である。
アンチセンス核酸、化学的改変、および治療的使用に関する特許は、例えば、化学的に改変されたRNAを含有する治療化合物に関する米国特許第5,898,031号、および治療剤としてこれらの化合物を使用する方法に関する米国特許第6,107,094号に提供されている。米国特許第7,432,250号は、一本鎖の化学的に改変されたRNA様化合物を投与することにより患者を処置する方法に関する;また、米国特許第7,432,249号は、一本鎖の化学的に改変されたRNA様化合物を含有する医薬組成物に関する。米国特許第7,629,321号は、複数のRNAヌクレオシドと少なくとも1つの化学的改変とを有する一本鎖オリゴヌクレオチドを用いて標的mRNAを切断する方法に関する。この段落に列挙された前記特許の各々の内容全体は、参照により本明細書に明示的に組込まれる。
二本鎖核酸治療剤
多くの実施形態においては、二本鎖領域は、15〜30ヌクレオチド対の長さである。いくつかの実施形態においては、二本鎖領域は、17〜23ヌクレオチド対の長さ、17〜25ヌクレオチド対の長さ、23〜27ヌクレオチド対の長さ、19〜21ヌクレオチド対の長さ、または21〜23ヌクレオチド対の長さである。
特定の実施形態においては、それぞれの鎖は、15〜30ヌクレオチドを有する。
本発明の方法において用いられるRNAi剤としては、例えば、刊行物WO2009/073809およびWO/2012/037254(それぞれの内容全体が参照により本明細書に明示的に組込まれる)に開示された化学的改変を有する薬剤が挙げられる。
「RNAi剤」、「二本鎖RNAi剤」、「dsRNA剤」、「dsRNA」とも呼ばれる「二本鎖RNA(dsRNA)分子」、「siRNA」、「iRNA剤」は、本明細書では互換的に用いられ、以下に定義されるような、2つの逆平行の実質的に相補的な核酸鎖を含む二本鎖構造を有する、リボ核酸分子の複合体を指す。本明細書で用いられる場合、RNAi剤はまた、dsiRNAを含んでもよい(例えば、参照により本明細書に組込まれる米国特許出願公開第20070104688号を参照されたい)。一般に、それぞれの鎖のヌクレオチドの多くはリボヌクレオチドであるが、本明細書に記載のように、それぞれの鎖または両方の鎖はまた、1個以上の非リボヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチドおよび/または改変ヌクレオチドを含んでもよい。さらに、本明細書で用いられるように、「RNAi剤」は、化学的改変を有するリボヌクレオチドを含んでもよい;RNAi剤は複数のヌクレオチドに実質的な改変を含んでもよい。そのような改変は、本明細書に開示されるか、または当業界で公知のあらゆる型の改変を含んでもよい。siRNA型分子で用いられる任意のそのような改変は、本明細書および特許請求の範囲の目的のために「RNAi剤」により包含される。
二本鎖構造を形成する2つの鎖は、あるより大きいRNA分子の異なる部分であってもよく、またはそれらは別々のRNA分子であってもよい。2つの鎖があるより大きい分子の一部であり、従って、二本鎖構造を形成する一方の鎖の3'末端と、対応する他方の鎖の5'末端との間のヌクレオチドの非介在鎖によって接続される場合、接続するRNA鎖は「ヘアピンループ」と呼ばれる。2つの鎖が、二本鎖構造を形成する一方の鎖の3'末端と対応する他方の鎖の5'末端との間のヌクレオチドの非介在鎖以外の手段によって共有的に接続される場合、接続構造は「リンカー」と呼ばれる。RNA鎖は、同じか、または異なる数のヌクレオチドを有してもよい。塩基対の最大数は、dsRNAの最も短い鎖中のヌクレオチド数から二本鎖中に存在する任意の突出部を差し引いたものである。二本鎖構造に加えて、RNAi剤は、1個以上のヌクレオチド突出部を含んでもよい。用語「siRNA」はまた、上記のRNAi剤を指すように本明細書で用いられる。
別の態様においては、薬剤は、一本鎖アンチセンスRNA分子である。アンチセンスRNA分子は、標的mRNA内の配列と相補的である。アンチセンスRNAは、mRNAと塩基対形成し、翻訳機構を物理的に妨害することによって化学量論的様式で翻訳を阻害することができる。例えば、Dias, N.ら(2002) Mol Cancer Ther 1:347-355を参照されたい。アンチセンスRNA分子は、標的mRNAと相補的である約15〜30ヌクレオチドを有してもよい。例えば、アンチセンスRNA分子は、本明細書に提供される心筋症関連マーカー配列と相補的な少なくとも15、16、17、18、19、20個以上の連続するヌクレオチドの配列を有してもよい。
用語「アンチセンス鎖」とは、標的配列(例えば、ヒトTTR mRNA)と実質的に相補的である領域を含む二本鎖RNAi剤の鎖を指す。本明細書で用いられる用語「トランスサイレチンをコードするmRNAの一部と相補的な領域」とは、TTR mRNA配列の一部と実質的に相補的であるアンチセンス鎖上の領域を指す。相補性の領域が標的配列と完全に相補的ではない場合、不一致は末端領域において最も許容され、存在する場合、一般的には、末端領域または複数の領域、例えば、5'および/もしくは3'末端の6、5、4、3もしくは2ヌクレオチド以内にある。
本明細書で用いられる用語「センス鎖」とは、アンチセンス鎖の領域と実質的に相補的である領域を含むdsRNAの鎖を指す。
本発明はまた、分子ビーコンが試料中の本発明の核酸の存在を定量するのに有用であるような、本発明の核酸と相補的である少なくとも1つの領域を有する分子ビーコン核酸も含む。「分子ビーコン」核酸は、一対の相補的領域を含み、フルオロフォアと、それと会合する蛍光クエンチャーとを有する核酸である。フルオロフォアとクエンチャーは、相補的領域が互いにアニーリングし、フルオロフォアの蛍光がクエンチャーによってクエンチされるような向きで核酸の異なる部分と会合する。核酸の相補的領域が互いにアニーリングしない場合、フルオロフォアの蛍光はより低い程度でクエンチされる。分子ビーコン核酸は、例えば、米国特許第5,876,930号に記載されている。
単離されたタンパク質および抗体
本発明の一態様は、単離されたマーカータンパク質およびその生物学的に活性な部分、ならびにマーカータンパク質またはその断片に対する抗体を生じさせるための免疫原としての使用にとって好適なポリペプチド断片に関する。一実施形態においては、天然のマーカータンパク質を、標準的な精製技術を用いる適切な精製スキームにより細胞または組織源から単離することができる。別の実施形態においては、マーカータンパク質の全体または断片を含むタンパク質またはペプチドを、組換えDNA技術により生成する。組換え発現の代わりに、そのようなタンパク質またはペプチドを、標準的なペプチド合成技術を用いて化学的に合成することができる。
「単離された」または「精製された」タンパク質またはその生物学的に活性な部分は、タンパク質が誘導される細胞もしくは組織源に由来する細胞材料もしくは他の夾雑タンパク質を実質的に含まないか、または化学的に合成された場合、化学的前駆体もしくは他の化学物質を実質的に含まない。用語「細胞材料を実質的に含まない」は、タンパク質が単離されたか、または組換え生成された細胞の細胞成分からタンパク質が分離されたタンパク質の調製物を含む。かくして、細胞材料を実質的に含まないタンパク質は、約30%、20%、10%、または5%(乾燥重量で)未満の異種タンパク質(本明細書では「夾雑タンパク質」とも呼ばれる)を有するタンパク質の調製物を含む。タンパク質またはその生物学的に活性な部分が組換え生成された場合、それはまた、好ましくは培養培地を実質的に含まない、すなわち、培養培地は、タンパク質調製物の容量の約20%、10%、または5%未満である。タンパク質が化学的合成により生成される場合、それは好ましくは化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まない、すなわち、それはタンパク質の合成に関与する化学的前駆体または他の化学物質から分離される。従って、タンパク質のそのような調製物は、約30%、20%、10%、5%(乾燥重量で)未満の目的のポリペプチド以外の化学的前駆体または化合物を有する。
「本発明のタンパク質」は、マーカータンパク質およびその断片;変異体マーカータンパク質およびその断片;マーカーもしくは変異体マーカータンパク質の少なくとも15アミノ酸断片を含むペプチドおよびポリペプチド;ならびにマーカーもしくは変異体マーカータンパク質を含む融合タンパク質、またはマーカーもしくは変異体マーカータンパク質の少なくとも15アミノ酸断片を含む融合タンパク質を包含する。特定の実施形態においては、本発明のタンパク質は、マーカーへの抗体の特異的結合を可能にするのに十分な大きさのペプチド配列またはエピトープである。
マーカータンパク質の生物学的に活性な部分は、完全長タンパク質より少ないアミノ酸を含むマーカータンパク質のアミノ酸配列と十分に同一であるか、またはそれから誘導されるアミノ酸配列を含み、対応する完全長タンパク質の少なくとも1つの活性を示すポリペプチドを含む。典型的には、生物学的に活性な部分は、対応する完全長タンパク質の少なくとも1つの活性を有するドメインまたはモチーフを含む。本発明のマーカータンパク質の生物学的に活性な部分は、例えば、10、25、50、100個以上のアミノ酸の長さであるポリペプチドであってもよい。さらに、マーカータンパク質の他の領域が欠失した、他の生物学的に活性な部分を、組換え技術により調製し、天然形態のマーカータンパク質の1つ以上の機能的活性について評価することができる。
好ましいマーカータンパク質は、図面のいずれかの配列を含むヌクレオチド配列によりコードされる。他の有用なタンパク質は、これらの配列の1つと実質的に同一であり(例えば、少なくとも約40%、好ましくは50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一である)、対応する天然のマーカータンパク質の機能的活性を保持するが、天然の対立遺伝子変異または突然変異生成のためアミノ酸配列において異なる。
2つのアミノ酸配列または2つの核酸の同一性パーセントを決定するためには、配列を最適な比較目的で整列させる(例えば、第2のアミノ酸または核酸配列との最適なアラインメントのために第1のアミノ酸または核酸配列の配列中にギャップを導入することができる)。次いで、一致するアミノ酸位置またはヌクレオチド位置でのアミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列中の位置が第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドによって占有される場合、その分子はその位置で同一である。好ましくは、2つの配列間の同一性パーセントは、全体的アラインメントを用いて算出される。あるいは、2つの配列間の同一性パーセントは、部分的アラインメントを用いて算出される。2つの配列間の同一性パーセントは、配列により共有される同一の位置の数の関数である(すなわち、同一性%=同一の位置数/合計位置数(例えば、重複する位置)x100)。一実施形態においては、2つの配列は同じ長さである。別の実施形態においては、2つの配列は同じ長さではない。
2つの配列間の同一性パーセントの決定を、数学アルゴリズムを用いて達成することができる。2つの配列の比較のために用いられる数学アルゴリズムの好ましい非限定例は、KarlinおよびAltschul (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5877に記載のように改変された、KarlinおよびAltschul (1990) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-2268のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、Altschulら(1990) J. Mol. Biol. 215:403-410のBLASTNおよびBLASTXプログラムに組込まれている。BLASTヌクレオチド検索を、BLASTNプログラム、スコア=100、ワード長=12を用いて実施して、本発明の核酸分子と相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索をBLASTPプログラム、スコア=50、ワード長=3と実施して、本発明のタンパク質分子と相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的でのギャップ付アラインメントを得るために、Gapped BLASTと呼ばれるより新しいバージョンのBLASTアルゴリズムを、Altschulら(1997) Nucleic Acids Res. 25:3389-3402に記載のように用いることができ、BLASTN、BLASTPおよびBLASTXプログラムについてギャップ付部分的アラインメントを実施することができる。あるいは、PSI-Blastを用いて、分子間の距離関係を検出する繰り返し検索を実施することができる。BLAST、Gapped BLAST、およびPSI-Blastプログラムを用いる場合、それぞれのプログラム(例えば、BLASTXおよびBLASTN)のデフォルトパラメータを用いることができる。http://www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。配列の比較のために用いられる数学アルゴリズムの別の好ましい非限定例は、MyersおよびMiller, (1988) CABIOS 4:11-17のアルゴリズムである。そのようなアルゴリズムは、GCG配列アラインメントソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)に組込まれている。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを用いる場合、PAM120ウェイト残テーブル、ギャップ長ペナルティ12、およびギャップペナルティ4を用いることができる。部分的配列類似性およびアラインメントの領域を同定するためのさらに別の有用なアルゴリズムは、PearsonおよびLipman (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444-2448に記載のFASTAアルゴリズムである。ヌクレオチドまたはアミノ酸配列を比較するためにFASTAアルゴリズムを用いる場合、例えば、PAM120ウェイト残テーブルを、2のk-タプルと共に用いることができる。
2つの配列間の同一性パーセントを、ギャップを可能にしながら、または可能にせずに、上記のものと同様の技術を用いて決定することができる。同一性パーセントを算出する際に、正確な一致のみを計数する。
本発明の別の態様は、本発明のタンパク質に対する抗体に関する。好ましい実施形態においては、抗体はマーカータンパク質またはその断片に特異的に結合する。本明細書では互換的に用いられる用語「抗体」および「複数の抗体」は、免疫グロブリン分子ならびに免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分を含むその断片および誘導体を指す(すなわち、そのような部分は、マーカータンパク質などの抗原に特異的に結合する抗原結合部位、例えば、マーカータンパク質のエピトープを含有する)。例えば、本明細書で別途特定されない限り、用語「抗体」および「複数の抗体」は、天然形態の抗体(例えば、IgG、IgA、IgM、IgE)と、一本鎖抗体、キメラおよびヒト化抗体および多特異的抗体などの組換え抗体、ならびに断片および誘導体が少なくとも抗原結合部位を含む、前記の全ての断片および誘導体とを広く包含する。抗体誘導体は、抗体にコンジュゲートしたタンパク質または化学的部分を含んでもよい。本発明のタンパク質に特異的に結合する抗体は、そのタンパク質に結合するが、天然ではそのタンパク質を含有する試料、例えば、生物試料中の他の分子には実質的に結合しない抗体である。免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分の例としては、限定されるものではないが、一本鎖抗体(scAb)、F(ab)およびF(ab')2断片が挙げられる。
本発明の単離されたタンパク質またはその断片を、免疫原として用いて、抗体を生成させることができる。完全長タンパク質を用いることができるか、またはあるいは、本発明は免疫原としての使用のための抗原性ペプチド断片を提供する。本発明のタンパク質の抗原性ペプチドは、本発明のタンパク質の1つのアミノ酸配列の少なくとも8個(好ましくは、10、15、20、または30個以上)のアミノ酸残基を含み、該ペプチドに対して生じた抗体が前記タンパク質と特異的免疫複合体を形成するようなタンパク質の少なくとも1つのエピトープを包含する。抗原性ペプチドにより包含される好ましいエピトープは、タンパク質の表面上に位置する領域、例えば、親水性領域である。疎水性配列分析、親水性配列分析、または同様の分析を用いて、親水性領域を同定することができる。好ましい実施形態においては、単離されたマーカータンパク質またはその断片は、免疫原として用いられる。
本発明は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を提供する。本明細書で用いられる用語「モノクローナル抗体」または「モノクローナル抗体組成物」とは、特定のエピトープと免疫反応することができる抗原結合部位のただ1つの種を含有する抗体分子の集団を指す。好ましいポリクローナルおよびモノクローナル抗体組成物は、本発明のタンパク質に対する抗体について選択されたものである。特に好ましいポリクローナルおよびモノクローナル抗体調製物は、マーカータンパク質またはその断片に対する抗体のみを含有するものである。ポリクローナル、モノクローナル、および組換え抗体ならびに抗体断片を作製する方法は、当業界で周知である。
本発明のマーカーの同定のための系
脂質は、細胞内および細胞外シグナリングおよび代謝において重要な役割を果たす。タンパク質、脂質、および核酸バイオマーカーの相互作用、ならびにバイオマーカーの脱調節タンパク質、脂質、および核酸は、疾患および臓器の機能障害をもたらし得る。
毒性のマーカー、例えば、心臓毒性のマーカー、例えば、タンパク質/遺伝子マーカー、キナーゼマーカーなどの酵素マーカー、脂質マーカー、および代謝物マーカーなどのマーカーの同定のために細胞モデルが用いられる。そのようなマーカーを同定するための試料調製、収集、および分析の同定のための方法は、それぞれの内容全体が参照により本明細書に組込まれる国際特許出願PCT/US2012/027615、PCT/US2012/054321、およびPCT/US2012/054323に提供されている。本明細書に提供される脂質マーカーの同定のための方法は、以下でさらに考察される。
ペルオキシソーム機能の統合マーカーとしての血清中のペルオキシソーム脂質
高い酸化能力を有する組織は、生理的要求に適合するための動的で適応性のある代謝系を確立するために炭水化物および脂質代謝物の統合的チャネリングを必要とする。生化学的決定マーカーとして作用するペルオキシソーム、ミクロソーム、およびミトコンドリアなどの細胞内オルガネラの統合が、効率的な器官機能にとって必要である。かくして、疾患の病理的進行の間に、または様々な薬学的介入の的外れの効果により、生化学的恒常性の確立におけるオルガネラ機能の維持は、生理的機能にとって必須である。このプロセスは、心筋に、血流力学的機能を支援し、次いで、心筋症を引き起こす脂肪酸酸化をもっぱら利用させる、心臓機能に対する糖尿病の効果によって例示される。さらに、ペルオキシソーム-ミクロソーム-ミトコンドリア軸の接続を断つことにより脂肪酸代謝を変化させる薬剤は、心血管または筋肉機能を支援する代謝物のチャネリングの変化をもたらし、心不全をもたらし得る。この軸は、両代謝流動ならびに組込まれた膜機能を維持するのに重要なリピドミクス足場の生成ならびに構造的リピドームに埋込まれた酸化された代謝物を回する環境ストレスへの適合を確立するのに重要である。
プラズマロゲン
1つのユニークなサブクラスの脂質であるプラズマロゲンは、膜の湾曲および融合に対するその調節された作用、電気生理的および抗酸化能力、ならびに血流力学機能を調節する強力なシグナリング酸化分子の生成のプライミングを介する生物学的機能にとって重要である。プラズマロゲンは、ペルオキシソーム中でのみ合成され、ペルオキシソーム恒常性のためのマーカーであり得る。プラズマロゲンは、それらが脂肪酸をグリセロール部分に接続するリン脂質のsn-1位にビニルエーテル結合を含む点で他の脂質サブクラスと異なる。他のサブクラスは、この位置にエーテルまたはエステル結合を有する。かくして、質量分析における構造的解明の固有の力を用いることにより、異なる脂質サブクラスの定量を、血管拡張/血管収縮、カルシウム恒常性、炎症ならびに炎症を消散させる機構を制御する強力な生物学的効果を成立させる個別のホスホリパーゼにより標的化され得るアシル鎖の位置と共に生じさせることができる。
シグナリング脂質
酸化された脂質代謝物は、多様な臓器系における示差的生理の調節された制御をもたらす生物学的プロセスの複合体チャネリングの最終生成物である個別のクラスの脂質である。シグナリング脂質は、高度に調節された様式で生成される。シグナリング脂質の前駆体は代謝的に健康な細胞、組織、または生物学的流体に対して制御および維持される脂質クラスの複雑なネットワークにおいて恒常的に平衡化している。一般に、シグナリング脂質の前駆体は、ホスファチジルイノシトール、ならびにコリンおよびエタノールアミングリセロリン脂質などの、リン脂質のsn-2位に埋込まれる。シグナリング脂質生成のための門番として作用する個別のホスホリパーゼの標的化された作用により、多様なレパートリーのアシル鎖を遊離し、次いで、酸化することができる。これらのアシル鎖としては、リノール酸(18:2)、リノレン酸(18:3)、アラキドン酸(AA、20:4)、エイコサペンタエン酸(EPA、20:5)、ドコサペンタエン酸(DPA、22:5)、およびドコサヘキサエン酸(DHA、22:6)が挙げられる。標的化されたホスホリパーゼによるアシル鎖遊離の後、脂肪酸はチャネリングされて、リポキシゲナーゼ、シクロオキシゲナーゼ、およびシトクロムP450エポキシゲナーゼにより選択的に酸化されて、生理的要求に適合する特定の酸化分子を生成する。かくして、シグナリング脂質の前駆体を担持する個別の機能的リン脂質分子種を維持する脂肪酸代謝の動的平衡ならびに指定されたホスホリパーゼ、リポキシゲナーゼ、シクロオキシゲナーゼ、ならびにP450エポキシゲナーゼの協調的作用は、生物学的恒常性のための主軸である。
それぞれの上記のアシル鎖を、生理を調節する多面的役割を有する強力な酸化代謝物を生成するように収穫することができる。リノール酸(18:2)酸化代謝物の機能的重要性はあまり理解されていないが、ミトコンドリア恒常性の統合ならびに膜流動性を制御するためのポリ不飽和脂肪酸(PUFA)の生成における主な分岐点である。心筋においては、リノール酸はミトコンドリア特異的脂質カルジオリピン中に高度に濃縮されている。酸化されたリノール酸代謝物(HODE、DiHOME、オキソODE、およびEpOME)のシグナリング機能は、イオンチャンネルおよびカルシウム恒常性を調節することであり、ミトコンドリア機能にとって本質的に重要である。さらに、リノール酸は、アラキドン酸(20:4)を合成するための前駆体として作用し、最も機能的に研究された酸化代謝物である。
アラキドン酸代謝物(一般的にはエイコサノイドと呼ばれる)は主にHETE、EET、およびプロスタノイドを形成する。現在、数百の異なる酸化アラキドン酸代謝物が公知であるが、それらは炎症/抗炎症の平衡ならびに酸化生成物の位置に応じた血管拡張/血管収縮機能であると考えられるが、それらの個別の機能的効果は多様な組織において依然として決定されていない。従って、酸化代謝物のチャネリングの制御は、炎症および血管調節軸を調節する。この軸を薬理学的に調節するためのいくつかの試みが行われてきたが、これらの代謝物の有益な役割と病理学的な役割の両方の、これらの代謝物の平衡した効果の理解の欠如は、薬剤の市場からの回収をもたらした。これは、シクロオキシゲナーゼ2を特異的に阻害した治療剤によって最良に強調され、前炎症性代謝物を生成すると考えられるが、炎症および疼痛を標的化する下流の代謝物の生物学的効果の理解の欠如は、処置された患者において心不全を引き起こした心血管機能に対する得られる有害な効果をもたらした。これらの炎症経路は機能的効果に関して多様な組織において示差的に調節されるため、これらのプロセスの生物学的理解の欠如は、これらの経路を標的とする薬学的介入の有効性の限界という予想外の有害な副作用をもたらす。
ドコサヘキサエン酸(DHA、22:6)は心血管および神経機能に対するその有益な効果で主に知られるが、正確な機構は現在の定説で強調されるように、そのオメガ-3化学構造をはるかに超えるものである。実際、DHAの酸化代謝物は10年にわたって炎症に対する消散効果について認められてきた。DHA酸化代謝物のクラスとしては、Dシリーズのレゾルビン、プロテクチン/ニューロプロテクチン、およびマレシンが挙げられる。一度、DHAが遊離、酸化されたら、代謝物は炎症カスケードを恒常性バランスに回復させる重要な調節能力を有する。かくして、ホスホリパーゼならびに特異的オキシダーゼの両方の協調的作用により、生理的制御の動的平衡を維持し、ならびに複雑な生物学的経路の協調的努力により病理を変化させることができる。
プラズマロゲンおよびシグナリング脂質
sPLA2、cPLA2、またはiPLA2の多様なレパートリーによる指定のリン脂質標的化分子種の調節的制御は、個々の分子種の合併した化学的組成の立体電子構造にある。プラズマロゲンは、sn-1位にビニルエーテル結合を含有し、頭部基に隣接するカルボニル酸素を欠き、かくして、このサブクラスの脂質を、エステルまたは他のエーテル結合脂質サブクラスよりも親油性にする。これは、逆六角形相(HII)を形成するより高い傾向をもたらす頭部基間のより強い分子間水素結合をもたらす。この固有の構造的特徴は、ホスホリパーゼによるより多い認識を可能にし、かくして、ホスホリパーゼによるその容易かつ特異的な認識のため、プラズマロゲンを酸化代謝物前駆体の保存のための重要な生物学的足場と指定することができる。心筋、神経、免疫、または血管組織におけるプラズマロゲンの分子種のシグナリング分析のための足場として作用するプラズマロゲンの生物学的役割と一致して、これらの組織におけるプラズマロゲンの量ならびにホスホリパーゼにより最も容易に認識されるsn-2位のリノール酸とアラキドン酸との特異的局在化の両方を示す。
データ収集
本発明の方法は、マーカー、例えば、タンパク質、核酸、脂質の検出のための、試料、典型的には、被験体試料の分析を含む。定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)およびプロテオミクスを実施して、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)およびプロテオミクスによる細胞mRNAおよびタンパク質発現の変化をプロファイルする。総RNAを、市販のRNA単離キットを用いて単離することができる。cDNA合成の後、疾患領域または血管形成、アポトーシス、および糖尿病などの細胞プロセスのための特異的な市販のqPCRアレイ(例えば、SA Biosciencesからのもの)を用いて、製造業者の説明書に従うことにより所定の遺伝子セットをプロファイルすることができる。例えば、BIORAD(登録商標)cfx-384増幅系を、全ての転写プロファイリング実験のために用いることができる。データ収集(Ct)の後、対照と比較した最終倍数変化を、製造業者のプロトコールに概略されるようなδCt法を用いて決定することができる。プロテオミクス試料分析を、次のセクションに記載のように実施することができる。
主題の方法は、同様の特徴の数百の試料の大規模高効率定量的プロテオミクス分析を用いることができ、細胞出力差を同定するのに必要なデータを提供する。
この目的にとって好適ないくつかの当業界で認識された技術が存在する。例示的な技術、質量分析と組合わせたiTRAQ(登録商標)分析を、以下で簡単に説明する。
この定量的プロテオミクス手法は、ペプチドの同定および定量のために8-plex iTRAQ(登録商標)試薬で標識する安定なアイソトープおよび2D-LC MALDI MS/MSに基づくものである。この技術を用いる定量は、相対的である:ペプチドおよびタンパク質は、参照試料と比較した存在量の比を割当てられる。複数のiTRAQ(登録商標)実験における共通の参照試料は、複数のiTRAQ(登録商標)実験にわたる試料の比較を容易にする。
例えば、この分析スキームを実行するために、6つの主試料および2つの対照プール試料を、製造業者の提言に従って1つの8-plex iTRAQ(登録商標)ミックス中で混合することができる。次いで、8つの試料のこの混合物を、2次元液体クロマトグラフィーにより分画することができる;次いで、第1の次元では強酸性カチオン交換(SCX)、および第2の次元では逆相HPLCを、質量分光分析にかけることができる。
液体検出を、限定されるものではないが、質量分析(MS)、核磁気共鳴(NMR)分光法、蛍光分光法、二重偏光干渉法およびコンピュータ方法などのいくつかの方法を用いて実施することができる。自動化および/または高効率リピドミクス分析のために、Thermo(登録商標)からのTSQバンテージEMRトリプルQuad質量分析などの、統合型の市販の装置を用いることができる。
用いることができる例示的実験室手順の簡単な概説を、本明細書に提供する。
タンパク質抽出:細胞を、プロテアーゼ阻害剤(Thermo Scientific Haltプロテアーゼ阻害剤EDTAフリー)を含む8M尿素溶解バッファーで溶解し、10分毎に5秒間ボルテックスしながら、氷上で30分間インキュベートすることができる。5秒間のパルスの超音波処理により、溶解を完了することができる。細胞溶解物を14000xgで15分間(4℃)遠心分離して、細胞破片を除去することができる。Bradfordアッセイを用いて、タンパク質濃度を決定することができる。それぞれの試料に由来する100μgのタンパク質を還元(10mMジチオトレイトール(DTT)、55℃、1h)し、アルキル化(25mMヨードアセタミド、室温、30分間)し、トリプシン(1:25w/w、200mM重炭酸トリエチルアンモニウム(TEAB)、37℃、16h)を用いて消化することができる。
セクレトーム試料調製:1)一実施形態においては、細胞を無血清培地中で培養することができる:条件化培地を凍結乾燥機により濃縮し、還元(10mMジチオトレイトール(DTT)、55℃、1h)し、アルキル化(25mMヨードアセタミド、室温、30分間インキュベート)した後、アセトン沈降により脱塩することができる。濃縮された条件化培地からの等量のタンパク質を、トリプシン(1:25w/w、200mM重炭酸トリエチルアンモニウム(TEAB)、37℃、16h)を用いて消化することができる。
一実施形態においては、細胞を血清含有培地中で培養することができる:培地の容量を3k MWCO Vivaspinカラム(GE Healthcare Life Sciences)を用いて減少させた後、1xPBS(Invitrogen(登録商標))を用いて再構成することができる。血清アルブミンを、条件培地適用について最適化するためにバッファー交換を改変して製造業者の説明書に従って、AlbuVoidカラム(Biotech Support Group、LLC)を用いて全試料から枯渇させることができる。
iTRAQ(登録商標)8Plex標識化:それぞれの実験セットにおけるそれぞれのトリプシン消化物からのアリコートを一緒にプールして、プールされた対照試料を作出することができる。各試料からの等量のアリコートおよびプールされた対照試料を、製造業者のプロトコール(AB Sciex(登録商標))に従ってiTRAQ(登録商標)8Plex試薬により標識することができる。反応物を合わせ、減圧乾固し、0.1%ギ酸を添加することによって再懸濁し、LC-MS/MSにより分析することができる。
2D-NanoLC-MS/MS:全ての標識されたペプチド混合物を、オンライン2D-nanoLCにより分離し、電子スプレー並列質量分析により分析することができる。実験を、ナノ電子スプレーイオン源(Thermo Electron、Bremen、Germany)を装備したLTQ Orbitrap Velos(登録商標)質量分析計に接続されたEksigent(登録商標)2D NanoLC Ultraシステム上で実行することができる。
ペプチド混合物を5cmのSCXカラム(PolyLC、Columbia、MDからの300μm ID、5μm、PolySULFOETHYL Aspartamideカラム)中に4μL/minの流量で注入し、C18 trapカラム(New Objective、Woburn、MAからの2.5cm、100μm ID、5μm、300Å ProteoPrep(商標)II)中の10イオン交換溶出セグメント中に溶出させ、H2O/0.1%FAで5min洗浄することができる。次いで、15cmの融合シリカカラム(New Objective、Woburn、MAからの75μm ID、5μm、300Å ProteoPep(商標)II)上で120分間にわたって2〜24%のB(H2O/0.1%FA(溶媒A)およびACN/0.1%FA(溶媒B))の勾配を用いて300nL/minで分離をさらに実行することができる。
全走査MSスペクトル(m/z 300〜2000)を、30,000の解像度でOrbitrap中で獲得することができる。最も強力なイオン(最大10)を、高エネルギーC捕捉解離(HCD)を用いて断片化のために連続的に単離し、30秒間動的に排除することができる。HCDを1.2Daの単離幅で行うことができる。得られる断片イオンを、7500の解像度でOrbitrap中で走査することができる。LTQ Orbitrap Velos(商標)を、foundation 1.0.1を含むXcalibur(登録商標)2.1により制御することができる。
ペプチド/タンパク質の同定および定量:ペプチドおよびタンパク質を、SwissProtデータベースに対してMascot検索エンジンを含むProteome Discoverソフトウェア(Thermo Electron)を用いる自動化データベース検索により同定することができる。検索パラメータは、MS許容性については10ppm、MS2許容性については0.02Daを含んでもよく、完全トリプシン消化は最大で2回の誤切断を許容してもよい。カルバミドメチル化(C)は、固定改変として設定することができる。酸化(M)、TMT6、および脱アミド化(NQ)は動的改変として設定することができる。ペプチドおよびタンパク質の同定物を、Mascot有意差閾値(p<0.05)を用いてフィルタリングすることができる。フィルターにより、99%信頼レベルのタンパク質同定(1%FDA)が可能になる。
Proteome Discoverソフトウェアは、リポーターイオン上の補正因子に適用することができ、定量チャンネルが全く存在しない場合、全ての定量値を拒絶することができる。相対的タンパク質定量を、平均強度での正規化により達成することができる。
脂質の単離および検出:生物試料からの脂質の抽出および単離の多くの方法は、有機溶媒中での炭化水素鎖の高い溶解性を活用するものである。脂質クラスにおける多様性を考慮すれば、一般的な抽出方法を用いて全てのクラスを適応させることは不可能である。伝統的なBligh/Dyer手順は、有機層への相分配を含むクロロホルム/メタノールに基づくプロトコールを用いる。これらのプロトコールは、幅広い生理的に関連する脂質について比較的良好に機能するが、それらは複雑な脂質化学物質および低存在量で不安定な脂質代謝物のために適合させる必要がある。そのような考慮は、当業者によってよく理解される。用いられる特定の抽出方法および検出方法は、例えば、単離および検出しようとする脂質の数、単離および検出しようとする脂質の特定の性質、ならびに脂質を単離および検出しようとする試料の数に依存する。
固相抽出(SPE)クロマトグラフィーは、異なる脂質クラスへの粗脂質混合物の迅速な調製的分離にとって有用である。これは、粗脂質混合物からグリセロリン脂質、脂肪酸、コレステリルエステル、グリセロ脂質、およびステロールを分離するためのシリカまたは他の安定相を含有する包装済みのカラムの使用を含む。高速液体クロマトグラフィー(HPLCまたはLC)は、質量分析の前に脂質を分離するためのリピドミクス分析において広く用いられている。分離を、順相HPLCまたは逆相HPLCのいずれかにより達成することができる。例えば、順相HPLCは、頭部基の極性に基づいてグリセロリン脂質を効率的に分離するものであるが、逆相HPLCは、鎖の長さ、不飽和および置換の程度に基づいてエイコサノイドなどの脂肪酸を効率的に分離するものである。脂質のHPLCをオフラインまたはオンラインで実施することができ、ここで溶出液は質量分析装置のイオン化源と統合される。
脂質の検出を、特に、電子スプレーイオン化(ESI)およびマトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)などの質量分析のための一般的なイオン化およびソフトイオン化技術における分光分析法により達成することができる。「ソフト」イオン化は、広範な断片化を引き起こさず、従って、複雑な混合物中の全範囲の脂質の包括的検出を実験条件または疾患状態と相関させることができる。ESIおよびMALDIに加えて、大気圧化学イオン化(APCI)の技術を、非極性脂質の分析のために用いることもできる。
ESI MSを、脂質の分析のために用いることができ、これは極性の、熱的に不安定な、多くは非揮発性の分子からの気体性イオンの形成を含む。ソフトイオン化法は、典型的には、質量分析の前に分析物の化学的性質を破壊しない。様々なESI-MS方法が、生物学的抽出物に由来する異なるクラス、サブクラス、および個々の脂質種の分析のために開発されており、当業界で公知である。ESI-MSは典型的には、高い精度、感度、再現性を有し、予め誘導体化することなく複雑な溶液と共に用いることができる。その固有の電気特性に基づいて脂質の供給源内分離のために最適化されたESI源中への粗脂質抽出物の直接注入を、複雑な混合物の分析のために用いることができる。
MALDI質量分析は、脂質のために上手く用いられてきた、大きいタンパク質の分析のために用いられることが多いレーザーに基づくソフトイオン化法である。脂質を、2,5-ジヒドロキシ安息香酸などのマトリックスと混合し、小さいスポットとして試料保持装置に印加する。レーザーはスポットに発射され、マトリックスはエネルギーを吸収し、次いで、分析物に導入され、分子のイオン化をもたらす。MALDI-飛行時間(MALDI-TOF)MSは、リピドミクス研究のため、特に、組織スライドからの脂質の画像化のための非常に有望な手法になった。
APCIは、イオンが加熱された分析物溶媒と、高電位に設定されたコロナ放電針との相互作用により形成されること以外は、ESIと同様である。一次イオンは針のすぐ周囲で形成され、これらのものは溶媒と相互作用して、最終的に試料をイオン化する二次イオンを形成する。APCIはトリアシルグリセロール、ステロール、および脂肪酸エステルなどの非極性脂質の分析にとって特に有用である。
MALDI法における最近の開発により、in situでの脂質の直接的検出が可能になった。MALDIマトリックスで被覆された組織表面にわたって連続的スペクトルが獲得される場合、豊富な脂質関連イオンが薄い組織スライスの直接的分析から生成される。分子イオンの衝突活性化を用いて、脂質ファミリーを決定し、頻繁には分子種を構造的に規定することができる。この技術により、心臓、腎臓および脳などの組織におけるリン脂質、スフィンゴ脂質およびグリセロ脂質の検出が可能になる。さらに、多くの異なる脂質分子種の分布は、これらの組織内の解剖学的領域を規定することが多い。
疑問生物評価のための細胞モデルの使用
本明細書に記載され、国際特許出願PCT/US2012/027615およびPCT/US2012/054321(これらは両方とも参照により本明細書に組込まれる)にさらに記載される方法および細胞モデルを、任意の数の「疑問生物評価」のために用いるか、またはそれに適用することができる。心臓毒性と関連するマーカーの同定のための特異的細胞モデルは、例えば、PCT/US2012/054323(参照により本明細書に組込まれる)に提供されている。疑問生物評価のための本発明の方法の使用は、薬物誘導性毒性の「モジュレータ」または決定的細胞プロセス「ドライバ」の同定を容易にする。
本明細書で用いられる場合、「疑問生物評価」は、環境的摂動もしくは外部刺激成分、または生物系もしくはプロセスにおいてユニークなユニークな因果関係と関連する、生物系の1種以上のモジュレータ、例えば、決定的細胞プロセス「ドライバ」(例えば、生物学的経路、または経路の重要なメンバー、または経路のメンバーにとって重要な調節因子の活性の増加または低下)の同定を含んでもよい。それは、同定された決定的細胞プロセスドライバが、in vivo動物モデルおよび/またはin vitro組織培養実験などの、環境的摂動または外部刺激成分と関連する下流の事象にとって必要および/または十分であるかどうかを試験または検証するように設計された追加のステップをさらに含んでもよい。
好ましい実施形態においては、疑問生物評価は、薬剤、例えば、薬物の、細胞、組織、臓器または生物に対する薬物誘導性毒性学的プロファイルの評価であり、ここで、生物系の同定されたモジュレータ、例えば、決定的細胞プロセスドライバ(例えば、細胞クロストークの差異または生物系もしくはプロセスにおいてユニークな因果関係)は、誘導性毒性、例えば、薬物誘導性毒性、例えば、心臓毒性の指示因子であってよく、次いで、これを用いて薬物の毒性学的プロファイルを予測または同定することができる。一実施形態においては、薬物誘導性毒性の同定されたモジュレータ、例えば、決定的細胞プロセスドライバ(例えば、細胞クロストーク差異または薬物誘導性毒性においてユニークな因果関係)は、薬物または薬物候補の心臓毒性の指示因子であり、次いで、これを用いて、薬物または薬物候補の心臓毒性プロファイルを予測または同定することができる。
予測医学
本発明は、診断アッセイ、予後診断アッセイ、薬理ゲノミクス、および臨床試験のモニタリングが予後診断(予測)目的で用いられ、それによって個体を予防的に処置する予測医学の分野に関する。従って、本発明の一態様は、個体が、限定されるものではないが、心筋症などの疾患または障害を発症する危険性があるかどうかを決定するために、1種以上のマーカータンパク質または核酸の発現のレベルを決定するための診断アッセイに関する。そのようなアッセイを予後診断または予測目的のために用いることによって、障害の開始前に個体を予防的に処置することができる。
本発明のさらに別の態様は、臨床試験における本発明のマーカーの発現または活性に対する、薬剤(例えば、心筋症を阻害するため、または任意の他の障害を処置もしくは防止するため(すなわち、そのような処置が有し得る任意の心臓毒性効果を理解するため)に投与される薬物または他の化合物)の影響のモニタリングに関する。これらの薬剤および他の薬剤は、以下のセクションでさらに詳細に説明される。
配列表は、本明細書に提供されるマーカーの配列を提供するために本明細書と共に出願される。遺伝子名、関連する受託番号、ならびに対応するヌクレオチド(偶数)およびアミノ酸(奇数)の配列番号は、以下の表に提供される。関連する受託番号(アクセッション番号)は全て、参照により本明細書に組込まれる。
Figure 2015529335
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(実施例)
本発明を、以下の実施例によってさらに例示するが、限定と解釈されるべきではない。本出願を通して引用される全ての参考文献ならびに公開された特許および特許出願の内容は、参照により本明細書に組込まれる。
心臓毒性および心筋症のためのバイオマーカーの同定
疑問システム生物学に基づく探索プラットフォームを用いて、心臓毒性および心筋症の病理の理解における機構的洞察を得た。このプラットフォーム技術は、前立腺がん患者からのin vitroでのヒト細胞に基づくモデルおよび下流のデータ統合および人工知能(AI)に基づくインフォマティクスモジュールを用いる数学的モデリングを含むシステムの階層にわたる探索を含む。
機能的毒性学プラットフォームの一部として、出願人は様々な生理的条件下で問い合わされる一次心筋細胞のin vitroモデルを開発した。さらに、7人の患者からの細胞培養物を、心臓毒性薬およびエピメタボリックシフターCoQ10に曝露した。シグナリングおよび代謝の変化を、質量分析により分析した。高効率分子データを予備処理し、正規化し、Bayesianネットワーク推定ソフトウェアにより分析した。得られた分子相互作用ネットワークを、酸素消費率、ATP生成、および反応性酸素種の生成などの機能的評価項目の変化と直接関連する因果関係について試験した。潜在的な調節因子および毒性のマーカーの一覧を、ヒト血清中でのさらなる検証のために開発した。さらに、心臓毒性化合物の存在によって影響された分子変数も、さらなる検証のための潜在的なバイオマーカーとしてトリアージ方式で決めた。
本明細書に提供される結果は、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1の群から選択される1種以上のバイオマーカーの調節が、心臓毒性および/または心筋症と関連することを証明する。これらのバイオマーカーの因果関係を、2012年3月2日に出願されたWO2012119129および2012年9月7日に出願された米国特許出願第13/607,630号(これらの内容全体は参照により本明細書に明示的に組込まれる)に詳細に記載されるプラットフォーム技術を用いることにより推測した。本出願においては、心筋症または心臓毒性病態生理の新規ドライバを同定した後、患者血清試料中で検証した。
候補マーカーの統計的性能:Bioreclamation試料セット番号2
正常な個体、心筋症、2型糖尿病を有する個体、および公知の心臓毒性薬で処置される2型糖尿病の個体に由来するヒト血清試料を、商業的起源から獲得した。マーカーのパネルを、正常および心筋症試料において市販のELISAキットにより測定した。図1は、正常な個体に由来する16の血清試料と、心筋症患者に由来する9の血清試料とのセットにおける候補マーカーの性能を示す。これらのマーカーは、様々な予測能力を示す。ROC曲線測定基準下面積(AUC)に基づく個々の性能レベルによるパネルは、以下の通りである。
Figure 2015529335
Emmprinは、この試料セットにおいて最も高性能のバイオマーカーであったが、PAI1ラン1は最も性能の低いマーカーであった。PAI1について実行する2つのELISAは、実行間の低い相関のため分析に含有された。実行間の高い相関のため、HMOX1についてはただ1つのELISA実行が分析に含有された。PAI1.Aのデータは、追跡試験から除外された。
性能が高い方のマーカーのサブセットが組合せた場合に最も高い性能レベルを達成するかどうかを評価するために、ステップワイズロジスティック回帰を適用した。上から7つのマーカーのロジスティック回帰モデルは、正常な個体と、心筋症を有する患者とを区別する優れた予測力が0.961のAUCを達成することを証明した。図2に示されるように、上のマーカーの他の組合せは、劣った統計的特徴を示した。前方ステップワイズロジスティック回帰分析からの結論は、PAI1.B、PTX3およびIL27などのより低い性能のマーカーは、より大きい臨床試験における分類子性能の統計的に有意な増加に潜在的に寄与し得るということである。
後方除去ステップワイズロジスティック回帰を用いて、いずれかの候補マーカーが冗長なデータを示し、組合せモデルに基づく患者の層別化におけるさらなる情報に寄与することができないかどうかを試験した。ワンアウトモデルの統計的性能を、図3に示す。HMOX1およびIGFBP7マーカーの除去がAUC値の変化をもたらさなかったことがわかるのは注目に値し、残りのパネルに関して2つのマーカー値の強い冗長性が存在することを示している。さらに、パネルからのHMOX1の除去は、AIC値の実質的な低下をもたらし、6つのマーカーモデル(HMOX1を除く)が全パネルのバイオマーカーを含む7種のマーカーモデルと比較してより好ましいモデルであり得ることを示している。また、より低い順位のバイオマーカーのいずれかの除去が分類子性能の実質的な減少をもたらしたことがわかるのも興味深い。
候補マーカーの統計的性能:Asterand試料セット
さらなるマーカーを、Asterand,Inc.からの別々の試料セットにおいて評価した。個々のセットにおける変化のため、これらのマーカーの性能を以前のセットと直接比較することはできず、それらを多変量性能の評価のために以前のセットのマーカーと組合わせることはできない。
図4および以下の表は、個々のバイオマーカーの性能を示す。
Figure 2015529335
PTX3タンパク質が両方の試料セットにおいて同等の性能、AUC=0.611およびAUC=0.592を示したことは注目に値する。EDIL3バイオマーカーは、Asterandの試料セットにおいて優れた性能を示した。正常な個体と、心筋症と診断された患者とを区別するEDIL3マーカー単独での予測力はすばぬけており、そのAUCは0.947である。
多変量分類も、ロジスティック回帰により4種のバイオマーカーについて試験した。4種のマーカーパネルのロジスティック回帰は、EDIL3単独での予測力をわずかに改善し、そのAUCは0.96である。EDIL3を用いない場合、残りの3種のバイオマーカーを用いる回帰モデルは、いくらか臨床的に好適な性能を示し、そのAUCは0.808であった。しかしながら、変動性の多くはNUCB1マーカーにより説明され、CFL2および/またはPTX3の追加はわずかな改善のみをもたらし、そのAUCは0.788と0.808である。
単変量および多変量統計分析に基づいて、全ての分析されたバイオマーカーは、様々な程度の感度および特異度で、正常な個体からの血清と、心筋症患者とを区別する予測能力を有する。いくつかのマーカー、例えば、EDIL3、Emmprin、NUCB1は、極端に高い予測力を示したが、他のマーカー、例えば、PTX3、IL27、CFL2はわずかな予測力しか示さなかった。多変量分析は、個々のマーカーおよびその組合せの測定における情報内容を評価した。多変量分析は、HMOX1およびIGFBP7はEmmprinと比較して低いさらなる情報内容を有し、従って、バイオマーカーパネルにおいてEmmprinと組合わせるのに最良のマーカーでなくてもよい。EDIL3単独では、顕著な予測性能を示し、明らかにパネルにおけるリードバイオマーカーである。以下の表は、以下に示される予備試験からのバイオマーカーの順位を示す。
Figure 2015529335
バイオマーカーを用いる心筋症の処置のモニタリング
心筋症と診断された時点で、被験体は試験に参加するように招待される。被験体試料、例えば、対照試料を取得する。定期的に、被験体のモニタリングおよび処置を通して、新しい被験体試料を取得する。試験の終わりに、全ての被験体試料を、上記の1種以上のバイオマーカーのレベルについて試験する。被験体試料を、被験体の医療記録と一致させて、対応する1種以上のバイオマーカーレベルを、診断時の心筋症状態、疾患の進行速度、および/または1種以上の介入に対する被験体の応答と相関させる。
ヒト血清における心臓毒性バイオマーカーの比較レベル
2型糖尿病(T2DM)(「セット1」)を有する個体、および心臓毒性を引き起こすことが知られる糖尿病薬で処置されたT2DM個体(「セット2」)からのヒト血清試料を、商業的起源から獲得した。T2DM個体および薬物処置されたT2DM個体からの血清試料中での心臓毒性バイオマーカーPTX3およびPAI1のタンパク質発現のレベルを、市販のELISAキットを用いることにより測定した。
心臓毒性バイオマーカーPTX3およびPAI1の発現レベルを決定し、セット1およびセット2についてそれぞれのバイオマーカーの平均発現を算出した。次いで、各試料中のPTX3およびPAI1の発現レベルを、図6Aおよび図6Bに示されるように、そのセット(セット1またはセット2)に関するそれぞれのバイオマーカーの平均発現のパーセントとして表した。2人の薬物処置されたT2DM個体は、他の6人の薬物処置されたT2DM個体と比較して上昇したPTX3およびPAI1発現レベルを示した(上側の円)。PTX3とPAI1の両方のより高い発現レベルを示すこれらの2人の薬物処置されたT2DM個体は、心筋症を有すると確認された。
これらの観察に基づいて、本明細書で同定されたバイオマーカーを用いて、心臓毒性を引き起こす危険性があるか、もしくは引き起こすか、または心臓毒性を引き起こすことが知られる糖尿病薬で処置された場合、処置中に心筋症を発症する可能性があるT2DM個体のサブ集団を同定することができる。さらに、本明細書で同定されたバイオマーカーを用いて、心臓毒性を引き起こす危険性があるか、または引き起こすことが知られる糖尿病薬で処置された場合、処置中に心筋症を発症する可能性がない、および/または処置から利益を得る可能性がある(例えば、処置の利益が処置の心臓毒性副作用に勝る)T2DM個体またはT2DM個体のサブ集団を同定することができる。
ヒト血清中の心臓毒性バイオマーカーの比較レベル
正常な個体、ロシグリタゾンで処置されていない2型糖尿病(T2DM)を有する個体、ロシグリタゾンで処置されたT2DM個体、および心筋症を有する個体からのヒト血清試料を、商業的供給源から獲得した。これらの4つの群の個体からの血清試料中の心臓毒性バイオマーカーEDIL3およびNucB1のタンパク質発現のレベルを、市販のELISAキットを用いることにより測定した。
心臓毒性バイオマーカーEDIL3およびNucB1の発現レベルを決定し、各群の個体について各バイオマーカーの平均発現を算出した。次いで、各試料中のEDIL3およびNucB1の発現レベルを、図7および図8に示されるように、ロシグリタゾンで処置されていないT2DM個体中のそれぞれのバイオマーカーの平均発現のパーセントとして表した。数人のロシグリタゾン処置されたT2DM個体は、他のロシグリタゾン処置されたT2DM個体と比較して低下したEDIL3およびNucB1発現レベルを示した(下側の円で示される)。図7および図8に示されるように、心筋症の個体は、他の3つの群の全部の個体におけるEDIL3およびNucB1の平均発現レベルと比較して低下したEDIL3およびNucB1の平均発現レベルを有する(下側の円で示される)。
これらの観察に基づいて、本明細書で同定されたバイオマーカーを用いて、心臓毒性を引き起こす危険性があるか、または心臓毒性を引き起こすことが知られる糖尿病薬で処置された場合、処置中に心筋症を発症する可能性があるT2DM個体のサブ集団を同定することができる。さらに、本明細書で同定されたバイオマーカーを用いて、心臓毒性を引き起こす危険性があるか、または引き起こすことが知られる糖尿病薬で処置された場合、処置中に心筋症を発症する可能性がない、および/または処置から利益を得る可能性がある(例えば、処置の利益が処置の心臓毒性副作用に勝る)T2DM個体またはT2DM個体のサブ集団を同定することができる。
さらに、これらの観察に基づいて、本明細書で同定されたバイオマーカーを用いて、心筋症を発症する可能性がある個体または個体のサブ集団を同定することができる。さらに、本明細書で同定されたバイオマーカーを用いて、心臓毒性を引き起こす危険性があるか、または引き起こすことが知られる薬物で処置された場合、処置中に心筋症を発症する可能性がない、および/または処置から利益を得る可能性がある(例えば、処置の利益が処置の心臓毒性副作用に勝る)個体または個体のサブ集団を同定することができる。
薬物誘導性心臓毒性のバイオマーカーを同定するための機能的ToxicOmics(商標)プラットフォームの使用
本明細書に提供されるプラットフォーム方法は、ヒト薬物誘導性臓器毒性モデルからのマルチオミクス特徴の統合を可能にする。ここで考慮されるプラットフォーム能力の実質的な例は、ヒト薬物誘導性心臓毒性シナリオである。ヒト薬物誘導性心臓毒性モデルは、i)心臓毒性のヒト心筋細胞に基づくin vitroモデルおよびii)心臓毒性を誘導する薬物にある患者からの血清試料を含む。in vitroモデルは、脂肪酸(リノール酸、オレイン酸およびL-カルニチン)で予備処理され、次いで、薬物で処理されたヒト心筋細胞を含む。ここで考慮される薬物は、チアゾリジンジオンである。機能的評価項目、すなわち、ミトコンドリアATP、ROS、細胞生存能力およびミトコンドリア生体エネルギーを特異的に測定する細胞に基づくアッセイを、in vitroモデル上で実施した。
プロテオミクスを、以前の報告に記載されたThermo ScientificからのLTQ Orbitrapを用いて実施した。ショットガンリピドミクスを、ThermoからのTSQバンテージEMRトリプルQuad質量分析を用いて実施した。
データの統合を、Bayesian Network Inferenceアルゴリズムを用いて実施して、その同時確率分布(JPD)に基づいて分子的実体の潜在的な関係マップを作成した。以下の型のネットワークを作成した:
i)in vitroモデルからのプロテオミクスのみのネットワーク
ii)in vitroモデルからのプロテオミクス+評価項目アッセイ(ミトコンドリアATP、ROS、細胞生存能力およびミトコンドリア生体エネルギー)
iii)血清のみのANDからのリピドミクス
iv)ペレット脂質ネットワークを用いる血清脂質ネットワークの相互検証モデル
v)in vitroモデルからのプロテオミクスおよびリピドミクス出力を組合わせるマルチオミクスのネットワーク。
in vitroモデル(ペレット)からの脂質ネットワークの作成および血清脂質分析
(血清データ)
リピドミクス血清データセットのためのプレBNIにより、244の脂質および71の試料が得られた。実験のための設計マトリックスを、以下の表に示す。合併、正規化およびデータ補完のための標準的な手順を行った。これらのステップに関する品質制御プロットを、添付のフォルダーに含有させる。
Figure 2015529335
(心筋細胞データ)
リピドミクス血清データセットのためのプレBNIにより、259の脂質および41の試料が得られた。実験のための設計マトリックスを、以下の表に示す。合併、正規化およびデータ補完のための標準的な手順を行った。これらのステップに関する品質制御プロットを、添付のフォルダーに含有させる。
Figure 2015529335
(BNIおよびデルタネットワーク)
血清ネットワーク
計数により、469384の断片が得られた。最適化の間に1000のアンサンブルネットワークが作出された。比較しようとする条件は、糖尿病、処置なし、CMおよび糖尿病、処置なしおよびCMなしであった。シミュレーションを行って、
1. ベースライン発現における差異を得た、
2. 2つの条件のシミュレートされたネットワークのデルタを同定した。
デルタネットワーク(CM-CMなし)は、図9Aに示されるように29の脂質を接続する20のエッジを含んでいた。
心筋細胞ネットワーク
計数により、934782の断片が得られた。最適化の間に1000のアンサンブルネットワークが作出された。比較しようとする条件は、ロシグリタゾン処置および対照であった。シミュレーションを行って、2つの条件のシミュレートされたネットワークのデルタを同定した。
デルタネットワーク(ロシグリタゾン-対照)は、64の脂質を接続する75のエッジを含んでいた。デルタネットワークのスナップショットを図9Bに示す。
血清脂質ネットワークおよびペレット脂質ネットワークに共通である脂質の定量。PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3は、図10Aに示されるように、糖尿病のみおよび心筋症を有さないロシグリタゾンにある糖尿病と比較して、心筋症の臨床診断を有するロシグリタゾンにある糖尿病被験体において有意に減少している。脂質レベルを、図10Bに示されるように正常脂質レベルのパーセントとして表す。
プラットフォームからのマルチオミクスの出力。青色の菱形は脂質種を表し、正方形はタンパク質であり、六角形は活性のハブとの因果関係を有するキナーゼである。ハブ-CACNA2D1は、L型カルシウムチャンネルであり、MAP2K3およびPRKAR2A(キナーゼ)、BAX(ミトコンドリアタンパク質)、EPHX1(ミクロソームタンパク質)ならびにPC Li- 183-D 18:2-22:6(ホスファチジルコリン)と関連する。デルタマルチオミクス出力は、in vitro毒性モデルにおいて分子事象の非常に強力なスナップショットを提供し、図11に示される。
リピドミクス分析を介してロシグリタゾンで処置された患者を層別化することにより同定されるマーカー
70人の患者からの血清試料の全体的リピドームの盲検分析を用いて、処置戦略に基づくネットワークを作成し、患者がロシグリタゾンで処置されたかどうかに関してポストホック分析した。疑問生物学の固有の計算力を収穫して、本発明者らはプロテオミクスおよびリピドミクスデータを用いてマルチオミクスネットワークを作成して、条件間の因果関係を推測した。疑問生物学により同定された重要なリピドミクスハブの試験は、エタノールアミングリセロリン脂質中に存在する65%を超えるバイオマーカー分子種との普遍的な共通の生物学的関係を強調し、これらのマーカーの88%が代償的生理作用の利用の異なる平衡を示した酸化代謝物の多様な前駆体を含有するほぼ全てのものを含むプラズマロゲンと同定された。エタノールアミングリセロリン脂質中の重要なリピドミクスハブの同定後、患者層別内の多様な病因のさらなる解明を、対照、対照心筋症、糖尿病、糖尿病性心筋症、心筋症を有さないロシグリタゾン糖尿病、心筋症を有するロシグリタゾン糖尿病の間で実施し、プラズモレニルエタノールアミン分子種内の異なるパターンを同定した。
ロシグリタゾンに関する臨床有効性を示す患者群の層別化の際に、糖尿病、心筋症を有さない糖尿病ロシグリタゾン、および心筋症を有する糖尿病ロシグリタゾンを含む3つの異なる病因を比較のために単離した。ロシグリタゾン処置の有効性は、糖尿病患者におけるペルオキシソーム代謝の調節を標的とするため、エタノールアミングリセロリン脂質プラズマロゲン含量の層別化の理解を用いて、糖尿病患者におけるロシグリタゾンにより誘導された心筋症と関連するレベルを評価した。かくして、P16:0-20:4、D18:0-18:2、P16:0-22:6、P18:0-20:4、およびD18:0-20:4は全て、ロシグリタゾンを用いる処置と共に階層化し、心筋症と共にさらに階層化した。18:2、20:4、および22:6酸化生成物生成は生理の調節において互いに対抗するため、血清リピドーム中で同定されるこれらの固有の変化は、ホスホリパーゼにより標的化される特異的な分子種から生じるシグナリング脂質生成のための前駆体の変化を示す。
ロシグリタゾンで処置された患者の層別化のための処置戦略またはバイオマーカー評価
糖尿病、薬理学的処置により誘導されるペルオキシソームストレスの指標である、ならびに血管の血行動態に影響する脂質誘導性シグナリングの生理学的軸である脂質分子種の同定は、非常に重要である。ここで、本発明者らは、基質送達療法による治療手段を示すか、またはあるいは、患者がいくつかのマーカーのレベルに基づいてロシグリタゾンで処置すべきであるか、もしくは処置すべきではないかを決定するためのバイオマーカーとして用いられる機能的に有意な分子種の枯渇を証明する。さらに、疑問生物学により同定された脂質分子種は、心筋において優勢な種である。血清中では天然に豊富ではないが、血液は、組織が血管と接続する導管であるため、同定された分子種は機能不全の心筋ペルオキシソーム代謝を反映する。この情報の利用は、いくつかの治療手段、バイオマーカー、ならびにロシグリタゾンにより誘導されるか、または脂肪酸代謝に対する効果により引き起こされる基礎となる心臓毒性機構を理解する機能的診査を提供する。
CCDC47は、ケールコントロール研究において証明されるように、血清中の心筋症の予測的バイオマーカーである
2型糖尿病(T2D)および/または様々な薬物で処置された心筋症を有する個体ならびに適切な対照被験体からのヒト血清試料(合計n=120)を、商業的供給源から獲得した。群の特徴は以下の通りであった。
Figure 2015529335
心筋症タンパク質バイオマーカーCCDC47のレベルを、市販のELISAキットを用いてT2DM個体および薬物で処置されたT2DM個体から得た血清試料中で測定した。アッセイを、製造業者の説明書を用いて実施した。ROC分析を実施して、血清CCDC47レベルが心筋症と相関するかどうかを決定した。アッセイの結果を図12AおよびBに示す。図12Aは、血清CCDC47の上昇の存在と、T2Dに罹患する被験体における心筋症と間に測定可能な相関がある(AUC=0.6770、T2D、心筋症なし対T2D、心筋症)ことを示す。しかしながら、ロシグリタゾンで処置されない心筋症と共にT2Dを有する被験体と比較した、ロシグリタゾンで処置される心筋症と共にT2Dを有する被験体における血清CCDC47の上昇の間には強い相関があった(AUC=0.9075、T2D、心筋症対T2D、ロシグリタゾンで処置されない心筋症)。これらの結果は、CCDC47が心筋症に罹患する被験体(2型糖尿病なし)から正常な被験体(2型糖尿病なし、心筋症なし)を識別する際の良好な予測因子であることを示している。さらに、これらの結果は、CCDC47が、ロシグリタゾンで処置された心筋症に罹患する2型糖尿病を有する被験体から、ロシグリタゾン以外の薬物(例えば、メトフォルミン、アトルバスタチン)で処置された心筋症に罹患する2型糖尿病を有する被験体を識別する際の優れた予測因子であることを示している。これらの結果は、CCDC47は心筋症において、および心筋症を誘導することが知られる薬剤で処置された被験体において上昇することを示している。
図13A〜Cは、(A)メトフォルミンまたはアトルバスタチン対ロシグリタゾン、(B)ロシグリタゾンまたはアトルバスタチン対メトフォルミン;および(C)メトフォルミンまたはロシグリタゾン対アトルバスタチンを用いずに、または用いて処置された被験体の血清中のCCDC47の濃度(pg/ml)の散乱プロットを示す。示されるように、メトフォルミンまたはアトルバスタチンで処置された被験体と比較して、ロシグリタゾンで処置された被験体において、血清中のCCDC47のレベルの有意な増加が存在する(p=3.61x10-8)。ロシグリタゾンもしくはアトルバスタチン対メトフォルミン;またはメトフォルミンもしくはロシグリタゾン対アトルバスタチンで処置された被験体におけるCCDC47の血清レベルにおいて有意差は観察されなかった(それぞれ、p値=0.26および0.19)。
ケースコントロール研究において証明されるような、血清中の心筋症に関する予測バイオマーカーとしてのCCDC47、IGFBP7、およびPC-Li-183-D18:2-22:6
2型糖尿病(T2D)を有する個体からのヒト血清試料(n=200)を、商業的供給源から獲得した。群の特徴は上記に提供される。心筋症タンパク質バイオマーカーCCDC47およびIGFBP7のレベルを、市販のELISAキットを用いて、T2DM個体および薬物で処置されたT2DM個体に由来する血清試料中で測定した。アッセイを、製造業者の説明書を用いて実施した。脂質PC-Li-183-D18:2-22:6のレベルを、advion nanomateと共にTSQ Vantage EMR Triple Quadrapoleを用いて、同じ血清試料中で決定した。ROC分析を実施して、血清CCDC47およびIGFBP7レベル、または血清CCDC47、IGFBP7およびPC-Li-183-D18:2-22:6レベルが、ロシグリタゾンで処置される2型糖尿病を有する被験体において、心不全などの有害心イベントの発生率の増加と相関するかどうかを決定した。このアッセイの結果を図14に示す。図14は、心不全などの有害心イベントの発生率と、血清CCDC47およびIGFBP7レベルの上昇の存在との間の測定可能な相関(AUC=0.67)、または血清CCDC47、IGFBP7、およびPC-Li-183-D18:2-22:6の上昇の存在との間のより強い相関(AUC=0.78)が存在することを示す。これらの結果は、CCDC47とIGFBP7レベルとの組合せは、ロシグリタゾンで処置される2型糖尿病を有する被験体における有害事象の良好な予測因子であること、およびPC-Li-183-D18:2-22:6レベルのさらなる含有がアッセイの結果の予測可能性を増加させることを示している。
処置中に薬物誘導性心筋症を発症する可能性がある患者のサブ集団の同定
心筋症を引き起こすことが知られる薬物を用いる処置が処方された時点で、被験体は試験に参加するように招待される。被験体試料、例えば、対照試料を取得する。定期的に、被験体のモニタリングおよび処置を通して、新しい被験体試料を取得する。試験の終わりに、全ての被験体試料を、上記の1種以上のバイオマーカーのレベルについて試験する。被験体試料を被験体の医療記録と一致させて、対応する1種以上のバイオマーカーレベル(および/またはその変化)を、薬物誘導性心筋症の発生および/または薬物処置に対する被験体の応答と相関させる。あるいは、被験体のモニタリングおよび処置を通して得られた被験体試料を、上記の1種以上のバイオマーカーのレベルについて分析し、対照集団(例えば、同様の疾患を有し、いかなる処置も受けていない被験体、もしくは同様の疾患を有し、心臓毒性を引き起こさない異なる薬物で処置された被験体の集団、または正常で健康な被験体の集団)における1種以上のバイオマーカーの平均レベルと比較する。
発現の調節が、薬物誘導性心臓毒性の発生との相関が薬物(例えば、心臓毒性を引き起こすことが知られるか、または心臓毒性を引き起こす危険性があることが知られる薬物)を用いる処置中に早期に、心臓毒性の生理的徴候の前の心臓毒性を発症する危険性があると被験体を同定するのに有用であるとさらに検証されるマーカーを検出することができる。薬物を用いる被験体の処置を、それに応じて終了する、および/または代替的な処置を推奨する、処方するもしくは施すことができる。
等価物:
当業者であれば、日常的なものを超えない実験を用いて、本明細書に記載の特定の実施形態および方法に対する等価物を認識するか、または確認することができる。そのような等価物は、以下の特許請求の範囲により包含されることが意図される。

Claims (186)

  1. 被験体における心血管疾患を診断するための方法であって、
    (i)被験体に由来する生物試料中のCCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1種以上の心血管疾患(CVD)関連バイオマーカーのレベルを検出すること;ならびに
    (ii)被験体に由来する生物試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを、対照試料中の対応する1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルと比較すること
    を含み、対照試料と比較した生物試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルの変化が、被験体が心血管疾患に罹患していることを示す、前記方法。
  2. 被験体が心血管疾患を発症する危険性が高いと同定するための方法であって、
    (i)被験体に由来する生物試料中のCCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1種以上の心血管疾患(CVD)関連バイオマーカーのレベルを検出すること;ならびに
    (ii)被験体に由来する生物試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを、対照試料中の対応する1種以上のバイオマーカーのレベルと比較すること
    を含み、対照試料と比較した生物試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルの変化が、被験体が心筋症を発症する危険性が高いことを示す、前記方法。
  3. 被験体における心血管疾患をモニタリングするための方法であって、
    (i)心血管疾患を有する被験体から第1の時間で得られた第1の生物試料中のCCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1種以上の心血管疾患(CVD)関連バイオマーカーのレベルを検出すること;
    (ii)第1の時間よりも後である第2の時間で被験体から得られた第2の生物試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを検出すること;ならびに
    (iii)第2の試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルと、第1の試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルとを比較すること
    を含み、第1の試料と比較した第2の試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルの変化が、被験体におけるCVD状態の変化を示す、前記方法。
  4. 被験体における心血管疾患の処置をモニタリングするための方法であって、
    (i)被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施す前に被験体から得られた第1の生物試料中のCCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1種以上の心血管疾患(CVD)関連バイオマーカーのレベルを検出すること;
    (ii)被験体に処置レジメンの少なくとも一部を施した後に被験体から得られた第2の生物試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを検出すること;ならびに
    (iii)第1の試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルと、第2の試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルとを比較すること
    を含み、第1の試料と比較した第2の試料中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルの正常化が、処置レジメンが被験体における心血管疾患を処置するのに有効であることを示す、前記方法。
  5. 心血管疾患が心筋症を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 心筋症が拡張型心筋症、肥大型心筋症、拘束型心筋症、および催不整脈性右室異形成からなる群から選択される少なくとも1つの状態である、請求項5に記載の方法。
  7. 心筋症が、QT期間の増大、不整脈、心筋虚血、高血圧と血栓塞栓性合併症、心筋機能障害、心筋症、心不全、心房細動、心筋症と心不全、心不全とLV機能障害、心房粗動と心房細動、心臓弁損傷と心不全からなる群から選択される少なくとも1つの状態を含む、請求項5または6に記載の方法。
  8. 心筋症が遺伝性心筋症である、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 心筋症が後天性心筋症である、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
  10. 後天性心筋症が被験体における1種以上のさらなる疾患または状態との併存疾患である、請求項9に記載の方法。
  11. 被験体における1種以上のさらなる疾患または状態が、冠動脈性心疾患、心臓発作、高血圧、糖尿病、甲状腺疾患、ウイルス性肝炎、HIV1、心筋の炎症を起こすウイルス感染、ヘモクロマトーシス、サルコイドーシス、アミロイドーシス、および結合組織障害からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
  12. 後天性心筋症が心臓毒への被験体の曝露の結果である、請求項9に記載の方法。
  13. 心臓毒が環境性心臓毒である、請求項12に記載の方法。
  14. 心臓毒が心臓毒性薬である、請求項12に記載の方法。
  15. 心臓毒性薬が、過剰のアルコール、アンフェタミン、抗がん剤、化学療法剤、糖尿病薬、神経薬、抗炎症薬、ビスホスホネート、およびTNFアンタゴニストからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
  16. 抗がん剤が、シスプラチン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、アントラサイクリン、5-フルオロウラシル、トラスツズマブまたはゲムシタビンからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
  17. 糖尿病薬が、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、トログリタゾンおよびカベルゴリンからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
  18. 心臓毒性薬がペルゴリドまたはスマトリプタンである、請求項14に記載の方法。
  19. 心血管疾患が心不全を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  20. 1種以上のCVD関連バイオマーカーが、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがCCDC47またはHMOX1を含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  22. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがCCDC47およびHMOX1を含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  23. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがPTX3をさらに含む、請求項21または22に記載の方法。
  24. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがPAI1をさらに含む、請求項21または22に記載の方法。
  25. 1種以上のCVD関連バイオマーカーが、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される少なくとも1種の脂質バイオマーカーをさらに含む、請求項1〜24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 脂質がPC-Li-183-D18:2-22:6を含む、請求項25に記載の方法。
  27. 1種以上のCVD関連バイオマーカーが、1A69、1C17、ACBD3、ACLY、ACTR2、ANXA6、ANXA7、AP2A1、ARCN1、ASNA1、ATAD3A、ATP5A、ATP5B、ATP5D、ATP5F1、ATP5H、ATPIF1、BSG、C14orf166、CA2D1、CAPN1、CAPZA2、CARS、CCDC22、CCDC47、CCT7、CLIC4、CMPK1、CNN2、CO1A2、CO6A1、COTL1、COX6B1、CRTAP、CS010、CTSA、CTSB、CYB5、DDX1、DDX17、DDX18、DLD、EDIL3、EHD2、EIF4A3、ENO2、EPHX1、ETFA、FERMT2、FINC、FKB10、FKBP2、FLNC、G3BP2、GOLGA3、GPAT1、GPSN2、GRP75、GRP78、HMOX1、HNRNPD、HNRNPH1、HNRPG、HPX、HSP76、HSP90AB1、HSPA1A、HSPA4、HSPA9、IBP7、IDH1、IQGAP1、ITB1、ITGB1、KARS、KIF5B、KPNA3、KPNB1、LAMC1、LGALS1、LMO7、M6PRBP1、MACF1、MAP1B、MARS、MDH1、MPR1、MTHFD1、MYH10、NCL、NHP2L1、NUCB1、OLA1、P08621、P3H1、P4HA2、P4HB、SEC61A1 (P61619)、PAI1、PAPSS2、PCBP2、PDCD6、PDIA1、PDIA3、PDIA3、PDIA4、PDLIM7、PEBP1、PFKM、PH4B、PLIN2、POFUT1、PRKDC、PSMA1、PSMA7、PSMD12、PSMD3、PSMD4、PSMD6、PSME2、PTBP1、Q9BQE5、Q9Y262、RAB1B、RP515A、RPL32、RPL7A、RPL8、RPS25、RPS6、RRAS2、RRP1、SAR1B、SDHA、SENP1、SEPT11、SEPT7、SERPH、SERPINE1、SFRS2、SH3BGRL、SNRPB、SNX12、SOD1、SPRC、ST13、SUB1、SYNCRIP、TAGLN、TAZ、TGM2、TIMP1、TLN1、TPM4、TRAP1、TSP1、TTLL12、TXNDC12、UBA1C、UGDH、UGP2、UQCRH、VAMP3、およびVAPAからなる群から選択される少なくとも1種のCVD関連バイオマーカーをさらに含む、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがCCDC47を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEDIL3を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  30. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprinを含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  31. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがHMOX1を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  32. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがNUCB1を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  33. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  34. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  35. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  36. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがHMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  37. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  38. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、IL27、およびPAI1を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  39. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、およびIL27を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  40. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、およびPTX3を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  41. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、およびCCDC47を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  42. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1およびIGFBP7を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  43. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprinおよびHMOX1を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  44. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEDIL3、NUCB1、CFL2およびPTX3を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  45. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがNUCB1、CFL2およびPTX3を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  46. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがNUCB1およびPTX3を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  47. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがNUCB1およびCFL2を含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の方法。
  48. 対照試料中のレベルと比較した生物試料中のPTX3、PAI1、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される少なくとも1種のCVD関連マーカーのレベルの低下が、被験体が心血管疾患に罹患しているか、またはそれを発症する危険性が高いことを示す、請求項1〜2および5〜47のいずれか一項に記載の方法。
  49. 正常な対照と比較したHMOX1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、およびCCDC47からなる群から選択される少なくとも1種のCVD関連マーカーのレベルの増加が、被験体が心血管疾患に罹患しているか、またはそれを発症する危険性が高いことを示す、請求項1〜2および5〜47のいずれか一項に記載の方法。
  50. 対照試料中のレベルと比較した生物試料中のPE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3、LPC20:3、および18:0-20:3からなる群から選択される少なくとも1種のCVD関連マーカーのレベルの低下が、被験体が心血管疾患に罹患しているか、またはそれを発症する危険性が高いことを示す、請求項1〜2および5〜47のいずれか一項に記載の方法。
  51. 第1の試料中のレベルと比較した第2の試料中のPTX3、PAI1、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される少なくとも1種のCVD関連マーカーのレベルの増加が、被験体の心血管疾患状態が改善したか、または処置レジメンが心血管疾患を処置するのに有効であることを示す、請求項3〜4および5〜47のいずれか一項に記載の方法。
  52. 第1の試料中のレベルと比較した第2の試料中のHMOX1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、およびCCDC47からなる群から選択される少なくとも1種のCVD関連マーカーのレベルの低下が、被験体の心血管疾患状態が改善したか、または処置レジメンが心血管疾患を処置するのに有効であることを示す、請求項3〜4および5〜47のいずれか一項に記載の方法。
  53. 第1の試料中のレベルと比較した第2の試料中のPE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3、LPC20:3、および18:0-20:3からなる群から選択される少なくとも1種のCVD関連マーカーのレベルの増加が、被験体の心血管疾患状態が改善したか、または処置レジメンが心血管疾患を処置するのに有効であることを示す、請求項3〜4および5〜47のいずれか一項に記載の方法。
  54. 心血管疾患(CVD)関連バイオマーカーのセットを検出するための方法であって、
    (i)CCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6を含むCVD関連バイオマーカーのセットの2種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルについて、被験体に由来する生物試料を分析すること;
    (ii)生物試料中の2種以上のCVD関連バイオマーカーのそれぞれを検出することによって、CVD関連バイオマーカーのセットを検出すること
    を含む、前記方法。
  55. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
  56. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがCCDC47またはHMOX1を含む、請求項54に記載の方法。
  57. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがCCDC47およびHMOX1を含む、請求項54に記載の方法。
  58. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがPTX3をさらに含む、請求項56または57に記載の方法。
  59. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがPAI1をさらに含む、請求項56または57に記載の方法。
  60. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがPE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される少なくとも2種の脂質バイオマーカーをさらに含む、請求項54〜59のいずれか一項に記載の方法。
  61. 脂質がPC-Li-183-D18:2-22:6を含む、請求項60に記載の方法。
  62. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、1A69、1C17、ACBD3、ACLY、ACTR2、ANXA6、ANXA7、AP2A1、ARCN1、ASNA1、ATAD3A、ATP5A、ATP5B、ATP5D、ATP5F1、ATP5H、ATPIF1、BSG、C14orf166、CA2D1、CAPN1、CAPZA2、CARS、CCDC22、CCDC47、CCT7、CLIC4、CMPK1、CNN2、CO1A2、CO6A1、COTL1、COX6B1、CRTAP、CS010、CTSA、CTSB、CYB5、DDX1、DDX17、DDX18、DLD、EDIL3、EHD2、EIF4A3、ENO2、EPHX1、ETFA、FERMT2、FINC、FKB10、FKBP2、FLNC、G3BP2、GOLGA3、GPAT1、GPSN2、GRP75、GRP78、HMOX1、HNRNPD、HNRNPH1、HNRPG、HPX、HSP76、HSP90AB1、HSPA1A、HSPA4、HSPA9、IBP7、IDH1、IQGAP1、ITB1、ITGB1、KARS、KIF5B、KPNA3、KPNB1、LAMC1、LGALS1、LMO7、M6PRBP1、MACF1、MAP1B、MARS、MDH1、MPR1、MTHFD1、MYH10、NCL、NHP2L1、NUCB1、OLA1、P08621、P3H1、P4HA2、P4HB、SEC61A1 (P61619)、PAI1、PAPSS2、PCBP2、PDCD6、PDIA1、PDIA3、PDIA3、PDIA4、PDLIM7、PEBP1、PFKM、PH4B、PLIN2、POFUT1、PRKDC、PSMA1、PSMA7、PSMD12、PSMD3、PSMD4、PSMD6、PSME2、PTBP1、Q9BQE5、Q9Y262、RAB1B、RP515A、RPL32、RPL7A、RPL8、RPS25、RPS6、RRAS2、RRP1、SAR1B、SDHA、SENP1、SEPT11、SEPT7、SERPH、SERPINE1、SFRS2、SH3BGRL、SNRPB、SNX12、SOD1、SPRC、ST13、SUB1、SYNCRIP、TAGLN、TAZ、TGM2、TIMP1、TLN1、TPM4、TRAP1、TSP1、TTLL12、TXNDC12、UBA1C、UGDH、UGP2、UQCRH、VAMP3、およびVAPAからなる群から選択される少なくとも1種のCVD関連バイオマーカーをさらに含む、請求項54〜60のいずれか一項に記載の方法。
  63. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがCCDC47を含む、請求項54〜62のいずれか一項に記載の方法。
  64. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがEDIL3を含む、請求項54〜62のいずれか一項に記載の方法。
  65. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprinを含む、請求項54〜62のいずれか一項に記載の方法。
  66. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがHMOX1を含む、請求項54〜62のいずれか一項に記載の方法。
  67. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがNUCB1を含む、請求項54〜62のいずれか一項に記載の方法。
  68. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項54〜62のいずれか一項に記載の方法。
  69. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項54〜62のいずれか一項に記載の方法。
  70. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項54〜62のいずれか一項に記載の方法。
  71. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがHMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項54〜62のいずれか一項に記載の方法。
  72. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項54〜62のいずれか一項に記載の方法。
  73. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、IL27、およびPAI1を含む、請求項54〜62のいずれか一項に記載の方法。
  74. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、およびIL27を含む、請求項54〜62のいずれか一項に記載の方法。
  75. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、およびPTX3を含む、請求項54〜62のいずれか一項に記載の方法。
  76. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、およびCCDC47を含む、請求項54〜62のいずれか一項に記載の方法。
  77. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1およびIGFBP7を含む、請求項54〜62のいずれか一項に記載の方法。
  78. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprinおよびHMOX1を含む、請求項54〜62のいずれか一項に記載の方法。
  79. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがEDIL3、NUCB1、CFL2 およびPTX3を含む、請求項54〜62のいずれか一項に記載の方法。
  80. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがNUCB1、CFL2およびPTX3を含む、請求項54〜62のいずれか一項に記載の方法。
  81. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがNUCB1およびPTX3を含む、請求項54〜62のいずれか一項に記載の方法。
  82. 2種以上のCVD関連バイオマーカーがNUCB1およびCFL2を含む、請求項54〜62のいずれか一項に記載の方法。
  83. 生物試料中の1種以上のCVD関連マーカーのレベルの検出または決定が、生物試料の成分を単離することを含む、請求項1〜82のいずれか一項に記載の方法。
  84. 生物試料中の1種以上のCVD関連マーカーのレベルの検出または決定が、生物試料の成分を標識することを含む、請求項1〜82のいずれか一項に記載の方法。
  85. 生物試料中の1種以上のCVD関連マーカーのレベルの検出または決定が、生物試料を加工することを含む、請求項1〜82のいずれか一項に記載の方法。
  86. 生物試料中の1種以上のCVD関連マーカーのレベルの検出または決定が、検出しようとするCVD関連マーカーを、CVD関連マーカー結合剤と接触させることを含む、請求項1〜82のいずれか一項に記載の方法。
  87. 生物試料中の1種以上のCVD関連マーカーのレベルの検出または決定が、検出しようとするCVD関連マーカーと、CVD関連マーカー結合剤との複合体を形成させることを含む、請求項1〜82のいずれか一項に記載の方法。
  88. 生物試料中の1種以上のCVD関連マーカーのレベルの検出または決定が、1種以上のCVD関連マーカーのそれぞれを、CVD関連マーカー結合剤と接触させることを含む、請求項1〜82のいずれか一項に記載の方法。
  89. 生物試料中の1種以上のCVD関連マーカーのレベルの検出または決定が、1種以上のCVD関連マーカーのそれぞれと、CVD関連マーカー結合剤との複合体を形成させることを含む、請求項1〜82のいずれか一項に記載の方法。
  90. 生物試料中の1種以上のCVD関連マーカーのレベルの検出または決定が、検出しようとするCVD関連マーカーを固相表面に結合させることを含む、請求項1〜82のいずれか一項に記載の方法。
  91. 検出方法における使用のための試薬のパネルであって、パネルが少なくとも2つの検出試薬を含み、それぞれの検出試薬が、CCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される2種以上の心血管疾患(CVD)関連バイオマーカーを含むCVD関連バイオマーカーのセットの少なくとも1種のCVD関連マーカーの検出にとって特異的である、前記パネル。
  92. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される、請求項91に記載のパネル。
  93. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、CCDC47またはHMOX1を含む、請求項91に記載のパネル。
  94. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、CCDC47およびHMOX1を含む、請求項91に記載のパネル。
  95. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、PTX3をさらに含む、請求項93または94に記載のパネル。
  96. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、PAI1をさらに含む、請求項93または94に記載のパネル。
  97. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3;およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される少なくとも1種の脂質バイオマーカーをさらに含む、請求項91〜96のいずれか一項に記載のパネル。
  98. 脂質がPC-Li-183-D18:2-22:6を含む、請求項97に記載のパネル。
  99. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、1A69、1C17、ACBD3、ACLY、ACTR2、ANXA6、ANXA7、AP2A1、ARCN1、ASNA1、ATAD3A、ATP5A、ATP5B、ATP5D、ATP5F1、ATP5H、ATPIF1、BSG、C14orf166、CA2D1、CAPN1、CAPZA2、CARS、CCDC22、CCDC47、CCT7、CLIC4、CMPK1、CNN2、CO1A2、CO6A1、COTL1、COX6B1、CRTAP、CS010、CTSA、CTSB、CYB5、DDX1、DDX17、DDX18、DLD、EDIL3、EHD2、EIF4A3、ENO2、EPHX1、ETFA、FERMT2、FINC、FKB10、FKBP2、FLNC、G3BP2、GOLGA3、GPAT1、GPSN2、GRP75、GRP78、HMOX1、HNRNPD、HNRNPH1、HNRPG、HPX、HSP76、HSP90AB1、HSPA1A、HSPA4、HSPA9、IBP7、IDH1、IQGAP1、ITB1、ITGB1、KARS、KIF5B、KPNA3、KPNB1、LAMC1、LGALS1、LMO7、M6PRBP1、MACF1、MAP1B、MARS、MDH1、MPR1、MTHFD1、MYH10、NCL、NHP2L1、NUCB1、OLA1、P08621、P3H1、P4HA2、P4HB、SEC61A1 (P61619)、PAI1、PAPSS2、PCBP2、PDCD6、PDIA1、PDIA3、PDIA3、PDIA4、PDLIM7、PEBP1、PFKM、PH4B、PLIN2、POFUT1、PRKDC、PSMA1、PSMA7、PSMD12、PSMD3、PSMD4、PSMD6、PSME2、PTBP1、Q9BQE5、Q9Y262、RAB1B、RP515A、RPL32、RPL7A、RPL8、RPS25、RPS6、RRAS2、RRP1、SAR1B、SDHA、SENP1、SEPT11、SEPT7、SERPH、SERPINE1、SFRS2、SH3BGRL、SNRPB、SNX12、SOD1、SPRC、ST13、SUB1、SYNCRIP、TAGLN、TAZ、TGM2、TIMP1、TLN1、TPM4、TRAP1、TSP1、TTLL12、TXNDC12、UBA1C、UGDH、UGP2、UQCRH、VAMP3、およびVAPAからなる群から選択される少なくとも1種のCVD関連バイオマーカーをさらに含む、請求項91〜98のいずれか一項に記載のパネル。
  100. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、CCDC47を含む、請求項91〜99のいずれか一項に記載のパネル。
  101. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、EDIL3を含む、請求項91〜99のいずれか一項に記載のパネル。
  102. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、Emmprinを含む、請求項91〜99のいずれか一項に記載のパネル。
  103. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、HMOX1を含む、請求項91〜99のいずれか一項に記載のパネル。
  104. 1種以上のCVD関連バイオマーカーが、NUCB1を含む、請求項91〜99のいずれか一項に記載のパネル。
  105. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項91〜99のいずれか一項に記載のパネル。
  106. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、Emmprin、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項91〜99のいずれか一項に記載のパネル。
  107. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、Emmprin、HMOX1、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項91〜99のいずれか一項に記載のパネル。
  108. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項91〜99のいずれか一項に記載のパネル。
  109. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項91〜99のいずれか一項に記載のパネル。
  110. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、IL27、およびPAI1を含む、請求項91〜99のいずれか一項に記載のパネル。
  111. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、およびIL27を含む、請求項91〜99のいずれか一項に記載のパネル。
  112. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、およびPTX3を含む、請求項91〜99のいずれか一項に記載のパネル。
  113. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、およびCCDC47を含む、請求項91〜99のいずれか一項に記載のパネル。
  114. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、Emmprin、HMOX1およびIGFBP7を含む、請求項91〜99のいずれか一項に記載のパネル。
  115. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、EmmprinおよびHMOX1を含む、請求項91〜99のいずれか一項に記載のパネル。
  116. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、EDIL3、NUCB1、CFL2およびPTX3を含む、請求項91〜99のいずれか一項に記載のパネル。
  117. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、NUCB1、CFL2およびPTX3を含む、請求項91〜99のいずれか一項に記載のパネル。
  118. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、NUCB1およびPTX3を含む、請求項91〜99のいずれか一項に記載のパネル。
  119. 2種以上のCVD関連バイオマーカーが、NUCB1およびCFL2を含む、請求項91〜99のいずれか一項に記載のパネル。
  120. 請求項1〜90のいずれか一項に記載の方法における請求項91〜119のいずれか一項に記載のパネルの使用。
  121. 被験体における心血管疾患の診断、モニタリング、または特性評価のためのキットであって、
    CCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される少なくとも1種のCVD関連マーカーのレベルを検出するのに特異的な少なくとも1種の試薬
    を含む、前記キット。
  122. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される、請求項121に記載のキット。
  123. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがCCDC47またはHMOX1を含む、請求項121に記載のキット。
  124. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがCCDC47およびHMOX1を含む、請求項121に記載のキット。
  125. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがPTX3をさらに含む、請求項123または124に記載のキット。
  126. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがPAI1をさらに含む、請求項123または124に記載のキット。
  127. 1種以上のCVD関連バイオマーカーが、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される少なくとも1種の脂質バイオマーカーをさらに含む、請求項121〜126のいずれか一項に記載のキット。
  128. 脂質がPC-Li-183-D18:2-22:6を含む、請求項127に記載のキット。
  129. 1種以上のCVD関連バイオマーカーが、1A69、1C17、ACBD3、ACLY、ACTR2、ANXA6、ANXA7、AP2A1、ARCN1、ASNA1、ATAD3A、ATP5A、ATP5B、ATP5D、ATP5F1、ATP5H、ATPIF1、BSG、C14orf166、CA2D1、CAPN1、CAPZA2、CARS、CCDC22、CCDC47、CCT7、CLIC4、CMPK1、CNN2、CO1A2、CO6A1、COTL1、COX6B1、CRTAP、CS010、CTSA、CTSB、CYB5、DDX1、DDX17、DDX18、DLD、EDIL3、EHD2、EIF4A3、ENO2、EPHX1、ETFA、FERMT2、FINC、FKB10、FKBP2、FLNC、G3BP2、GOLGA3、GPAT1、GPSN2、GRP75、GRP78、HMOX1、HNRNPD、HNRNPH1、HNRPG、HPX、HSP76、HSP90AB1、HSPA1A、HSPA4、HSPA9、IBP7、IDH1、IQGAP1、ITB1、ITGB1、KARS、KIF5B、KPNA3、KPNB1、LAMC1、LGALS1、LMO7、M6PRBP1、MACF1、MAP1B、MARS、MDH1、MPR1、MTHFD1、MYH10、NCL、NHP2L1、NUCB1、OLA1、P08621、P3H1、P4HA2、P4HB、SEC61A1 (P61619)、PAI1、PAPSS2、PCBP2、PDCD6、PDIA1、PDIA3、PDIA3、PDIA4、PDLIM7、PEBP1、PFKM、PH4B、PLIN2、POFUT1、PRKDC、PSMA1、PSMA7、PSMD12、PSMD3、PSMD4、PSMD6、PSME2、PTBP1、Q9BQE5、Q9Y262、RAB1B、RP515A、RPL32、RPL7A、RPL8、RPS25、RPS6、RRAS2、RRP1、SAR1B、SDHA、SENP1、SEPT11、SEPT7、SERPH、SERPINE1、SFRS2、SH3BGRL、SNRPB、SNX12、SOD1、SPRC、ST13、SUB1、SYNCRIP、TAGLN、TAZ、TGM2、TIMP1、TLN1、TPM4、TRAP1、TSP1、TTLL12、TXNDC12、UBA1C、UGDH、UGP2、UQCRH、VAMP3、およびVAPAからなる群から選択される少なくとも1種のCVD関連バイオマーカーをさらに含む、請求項121〜128のいずれか一項に記載のキット。
  130. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがCCDC47を含む、請求項121〜129のいずれか一項に記載のキット。
  131. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEDIL3を含む、請求項121〜129のいずれか一項に記載のキット。
  132. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprinを含む、請求項121〜129のいずれか一項に記載のキット。
  133. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがHMOX1を含む、請求項121〜129のいずれか一項に記載のキット。
  134. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがNUCB1を含む、請求項121〜129のいずれか一項に記載のキット。
  135. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項121〜129のいずれか一項に記載のキット。
  136. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項121〜129のいずれか一項に記載のキット。
  137. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項121〜129のいずれか一項に記載のキット。
  138. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがHMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項121〜129のいずれか一項に記載のキット。
  139. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項121〜129のいずれか一項に記載のキット。
  140. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、IL27、およびPAI1を含む、請求項121〜129のいずれか一項に記載のキット。
  141. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、およびIL27を含む、請求項121〜129のいずれか一項に記載のキット。
  142. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、およびPTX3を含む、請求項121〜129のいずれか一項に記載のキット。
  143. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、およびCCDC47を含む、請求項121〜129のいずれか一項に記載のキット。
  144. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1およびIGFBP7を含む、請求項121〜129のいずれか一項に記載のキット。
  145. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprinおよびHMOX1を含む、請求項121〜129のいずれか一項に記載のキット。
  146. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEDIL3、NUCB1、CFL2およびPTX3を含む、請求項121〜129のいずれか一項に記載のキット。
  147. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがNUCB1、CFL2およびPTX3を含む、請求項121〜129のいずれか一項に記載のキット。
  148. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがNUCB1およびPTX3を含む、請求項121〜129のいずれか一項に記載のキット。
  149. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがNUCB1およびCFL2を含む、請求項121〜129のいずれか一項に記載のキット。
  150. 心血管疾患を処置するための化合物を同定する方法であって、
    (i)試験細胞を取得すること;
    (ii)試験細胞を試験化合物と接触させること;
    (iii)試験細胞中の、CCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3;およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1種以上の心血管疾患(CVD)関連バイオマーカーのレベルを決定すること;
    (iv)試験細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを、試験化合物により接触していない対照細胞と比較すること;ならびに
    (v)試験細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを調節する試験化合物を選択することによって、被験体におけるCVDを処置するための化合物を同定すること
    を含む、前記方法。
  151. 心臓毒性を引き起こすか、または引き起こす危険性がある薬剤を同定する方法であって、
    (i)第1の細胞を試験薬剤と接触させること;
    (ii)試験薬剤と接触した第1の細胞中の、CCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを検出すること;ならびに
    (iii)第1の細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを、試験薬剤と接触していない対照細胞である第2の細胞中の対応する1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルと比較すること
    を含み、第2の細胞と比較した第1の細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルの調節が、試験薬剤が心臓毒性を引き起こすか、または引き起こす危険性がある薬剤であることを示す、前記方法。
  152. 薬物誘導性心臓毒性の防止、軽減または処置のための救助剤を同定するための方法であって、
    (i)第1の細胞を心臓毒性剤と接触させること;
    (ii)第2の細胞を心臓毒性剤および候補救助剤と接触させること;
    (iii)心臓毒性剤と接触した第1の細胞中の、CCDC47、HMOX1、PTX3、PAI1、IL27、IGFBP7、Emmprin、CFL2、EDIL3、NUCB1、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを検出すること;
    (iv)心臓毒性剤および候補救助剤と接触した第2の細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを検出すること;ならびに
    (v)第2の細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを、第1の細胞中の対応する1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルと比較すること
    を含み、第1の細胞と比較した第2の細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルの調節が、候補救助剤が薬物誘導性心臓毒性の防止、軽減または処置のための救助剤であることを示す、前記方法。
  153. 第1および/または第2の細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルを、心臓毒性剤または候補救助剤と接触していない対照細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルと比較することをさらに含む、請求項152に記載の方法。
  154. 対照細胞と比較した第2の細胞中の1種以上のCVD関連バイオマーカーのレベルの正常化が、候補救助剤が薬物誘導性心臓毒性の防止、軽減または処置のための救助剤であることを示す、請求項153に記載の方法。
  155. 1種以上のCVD関連バイオマーカーが、Emmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、PAI1、CFL2、EDIL3、およびNUCB1からなる群から選択される、請求項150〜154のいずれか一項に記載の方法。
  156. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがCCDC47またはHMOX1を含む、請求項150〜154のいずれか一項に記載の方法。
  157. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがCCDC47およびHMOX1を含む、請求項150〜154のいずれか一項に記載の方法。
  158. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがPTX3をさらに含む、請求項156または157に記載の方法。
  159. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがPAI1をさらに含む、請求項156または157に記載の方法。
  160. 1種以上のCVD関連バイオマーカーが、PE D18:0-20:3/D18:1-20:2/D16:0-22:3; PE D18:0-22:5/D18:1-22:4; PE D16:1-22:6; PE P18:1-18:1/P18:0-18:2/P16:0-20:2; LPC 20:3; およびPC-LI-183-D18:22-22:6からなる群から選択される少なくとも1種の脂質バイオマーカーをさらに含む、請求項150〜159のいずれか一項に記載の方法。
  161. 脂質がPC-Li-183-D18:2-22:6を含む、請求項160に記載の方法。
  162. 1種以上のCVD関連バイオマーカーが、1A69、1C17、ACBD3、ACLY、ACTR2、ANXA6、ANXA7、AP2A1、ARCN1、ASNA1、ATAD3A、ATP5A、ATP5B、ATP5D、ATP5F1、ATP5H、ATPIF1、BSG、C14orf166、CA2D1、CAPN1、CAPZA2、CARS、CCDC22、CCDC47、CCT7、CLIC4、CMPK1、CNN2、CO1A2、CO6A1、COTL1、COX6B1、CRTAP、CS010、CTSA、CTSB、CYB5、DDX1、DDX17、DDX18、DLD、EDIL3、EHD2、EIF4A3、ENO2、EPHX1、ETFA、FERMT2、FINC、FKB10、FKBP2、FLNC、G3BP2、GOLGA3、GPAT1、GPSN2、GRP75、GRP78、HMOX1、HNRNPD、HNRNPH1、HNRPG、HPX、HSP76、HSP90AB1、HSPA1A、HSPA4、HSPA9、IBP7、IDH1、IQGAP1、ITB1、ITGB1、KARS、KIF5B、KPNA3、KPNB1、LAMC1、LGALS1、LMO7、M6PRBP1、MACF1、MAP1B、MARS、MDH1、MPR1、MTHFD1、MYH10、NCL、NHP2L1、NUCB1、OLA1、P08621、P3H1、P4HA2、P4HB、SEC61A1 (P61619)、PAI1、PAPSS2、PCBP2、PDCD6、PDIA1、PDIA3、PDIA3、PDIA4、PDLIM7、PEBP1、PFKM、PH4B、PLIN2、POFUT1、PRKDC、PSMA1、PSMA7、PSMD12、PSMD3、PSMD4、PSMD6、PSME2、PTBP1、Q9BQE5、Q9Y262、RAB1B、RP515A、RPL32、RPL7A、RPL8、RPS25、RPS6、RRAS2、RRP1、SAR1B、SDHA、SENP1、SEPT11、SEPT7、SERPH、SERPINE1、SFRS2、SH3BGRL、SNRPB、SNX12、SOD1、SPRC、ST13、SUB1、SYNCRIP、TAGLN、TAZ、TGM2、TIMP1、TLN1、TPM4、TRAP1、TSP1、TTLL12、TXNDC12、UBA1C、UGDH、UGP2、UQCRH、VAMP3、およびVAPAからなる群から選択される少なくとも1種のCVD関連バイオマーカーをさらに含む、請求項150〜161のいずれか一項に記載の方法。
  163. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがCCDC47を含む、請求項150〜162のいずれか一項に記載の方法。
  164. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEDIL3を含む、請求項150〜162のいずれか一項に記載の方法。
  165. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprinを含む、請求項150〜162のいずれか一項に記載の方法。
  166. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがHMOX1を含む、請求項150〜162のいずれか一項に記載の方法。
  167. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがNUCB1を含む、請求項150〜162のいずれか一項に記載の方法。
  168. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項150〜162のいずれか一項に記載の方法。
  169. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項150〜162のいずれか一項に記載の方法。
  170. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項150〜162のいずれか一項に記載の方法。
  171. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがHMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項150〜162のいずれか一項に記載の方法。
  172. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、PTX3、IL27、およびPAI1を含む、請求項150〜162のいずれか一項に記載の方法。
  173. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、IL27、およびPAI1を含む、請求項150〜162のいずれか一項に記載の方法。
  174. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、PTX3、およびIL27を含む、請求項150〜162のいずれか一項に記載の方法。
  175. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、CCDC47、およびPTX3を含む、請求項150〜162のいずれか一項に記載の方法。
  176. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1、IGFBP7、およびCCDC47を含む、請求項150〜162のいずれか一項に記載の方法。
  177. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprin、HMOX1およびIGFBP7を含む、請求項150〜162のいずれか一項に記載の方法。
  178. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEmmprinおよびHMOX1を含む、請求項150〜162のいずれか一項に記載の方法。
  179. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがEDIL3、NUCB1、CFL2およびPTX3を含む、請求項150〜162のいずれか一項に記載の方法。
  180. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがNUCB1、CFL2およびPTX3を含む、請求項150〜162のいずれか一項に記載の方法。
  181. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがNUCB1およびPTX3を含む、請求項150〜162のいずれか一項に記載の方法。
  182. 1種以上のCVD関連バイオマーカーがNUCB1およびCFL2を含む、請求項150〜162のいずれか一項に記載の方法。
  183. 細胞が心臓細胞である、請求項150〜182のいずれか一項に記載の方法。
  184. 細胞が心筋細胞または糖尿病心筋細胞である、請求項150〜182のいずれか一項に記載の方法。
  185. 接触がin vitroで行われる、請求項150〜184のいずれか一項に記載の方法。
  186. 接触がin vivoで行われる、請求項150〜184のいずれか一項に記載の方法。
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