JP2015528482A - 結晶性化合物 - Google Patents

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Abstract

N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドの多形E、混合DMAC/トルエン溶媒和物およびDMSO溶媒和物が本明細書で提供される。

Description

国立がん研究所の統計によれば、現在生存している男性および女性の41%は、その生涯のいつかの時点でがんと診断されるであろう。この疾患が広範に生じていることにより、悪性腫瘍を治療するための抗がん投薬計画の改善に対する必要性が強調されている。
一つの重要な薬物標的は、キナーゼと呼ばれるタンパク質群である。タンパク質キナーゼは、タンパク質リン酸化反応を触媒し、細胞内シグナル伝達で重要な役割を果たす酵素の大きくて多様な群である。これは、その標的タンパク質に応じて、良性または悪性の調節効果を及ぼすことができる。タンパク質キナーゼは、限定されないが、代謝、細胞周期の進行、細胞接着、血管機能、アポトーシス、および血管形成などの細胞機能を調節する特異的シグナル伝達経路に関係している。細胞内シグナル伝達の機能不全は、多数の疾患と関連しており、その最も特徴的なものとして、がんおよび糖尿病が挙げられる。サイトカインによるシグナル変換の調節およびシグナル分子とプロトオンコジーンおよび腫瘍抑制遺伝子との関連性は、十分に文書化されている。同様に、糖尿病および関連した状態と無秩序水準のタンパク質キナーゼの関連も実際に示されている。例えば、非特許文献1を参照されたい。ウイルス感染およびそれと関連した状態もまた、タンパク質キナーゼの調節と関連している。非特許文献2。
ホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3KまたはPIK3CA)は、85kDa調節サブユニットおよび110kDa触媒サブユニットからなる。この遺伝子によってコードされたタンパク質は、触媒サブユニットを表し、これは、ATPを使用してPtdlns、PtdIns4PおよびPtdIns(4,5)P2をリン酸化する。複数の機構を介して細胞成長を阻害する腫瘍抑制因子、PTENは、PIK3CAの主要産生物、PIP3を脱リン酸化することができる。次いで、PIP3は、タンパク質キナーゼB(AKTl、PKB)の細胞膜への転座に必要であり、それが、上流キナーゼによってリン酸化され、活性化される。PTENの細胞死に及ぼす効果は、PIK3CA/AKT1経路によって媒介される。
PI3Kαは、細胞骨格再構築、アポトーシス、小胞輸送、増殖および分化過程の制御に関与している。PIK3CAの複写数および発現の増加は、卵巣がん(非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6)、子宮頚がん、乳がん(非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10)、結腸直腸がん(非特許文献11;非特許文献12)、子宮内膜がん(非特許文献13)、胃がん(非特許文献14;非特許文献15)、肝細胞がん(非特許文献16)、小および非小細胞肺がん(非特許文献17;非特許文献18)、甲状腺がん(非特許文献19)、急性骨髄性白血病(AML)(非特許文献20)、慢性骨髄性白血病(CML)(非特許文献21)、およびグリア芽腫(非特許文献22)など多数の悪性腫瘍と関連している。
Sridharら Pharmaceutical Research、17(11):1345〜1353頁(2000) Parkら Cell 101(7)、 777〜787頁(2000) Campbellら、Cancer Res 2004、64、7678〜7681頁 Levineら、Clin Cancer Res 2005、11、2875〜2878頁 Wangら、Hum Mutat 2005、25、322頁 Leeら、Gynecol Oncol 2005、97、26〜34頁 Bachmanら Cancer Biol Ther 2004、3、772〜775頁 Liら、Breast Cancer Res Treat 2006、96、91〜95頁 Saalら、Cancer Res 2005、65、2554〜2559頁 SamuelsおよびVelculescu、Cell Cycle 2004、3、1221〜1224頁 Samuelsら Science 2004、304、554頁 Velhoら Eur J Cancer 2005、41、1649〜1654頁 Odaら Cancer Res.2005、65、10669〜10673頁 Byunら、Int J Cancer 2003、104、318〜327頁 Leeら、Oncogene 2005、24、1477〜1480頁 Leeら、Oncogene 2005、24、1477〜1480頁 Tangら、Lung Cancer 2006、51、181〜191頁 Massionら、Am J Respir Crit Care Med 2004、170、1088〜1094頁 Wuら、J Clin Endocrinol Metab 2005、90、4688〜4693頁 Sujobertら、Blood 1997、106、1063〜1066頁 HickeyおよびCotter J Biol Chem 2006、281、2441〜2450頁 Hartmannら Acta Neuropathol(Berl)2005、109、639〜642頁
多数のPI3K阻害薬は、現在、がん患者における臨床評価を受けており、その詳細は、ウエブサイトClinicalTrials.govで概観することができる。例えば、リンパ腫(試験NCT00486135を参照されたい)、非小細胞肺がん(試験NCT00692640を参照されたい)、子宮内膜がん(試験NCT01013324およびNCT00756847を参照されたい)乳がん(試験NCT01042925およびNCT01082068を参照されたい)または他の固形腫瘍(試験NCT01357330、NCT01390818およびNCT01436565を参照されたい)の患者におけるN−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドの形態を評価するためのヒト臨床試験が進行中である。この化合物の確立された生物活性を踏まえて、最大の患者に対する効果を実現するための最適な形態が必要である。
したがって、一態様では、単離化合物、N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミド:
または医薬として許容されるその塩もしくは溶媒和物が提供される。
本出願全体を通して、N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドは、「化合物(I)」と呼ばれる。
一態様では、化合物(I)または医薬として許容されるその塩もしくは溶媒和物と、医薬として許容される担体、賦形剤または希釈剤とを含む医薬組成物が、本明細書で提供される。
化合物(I)の固体形態は、水和物および溶媒和物形態を含めた1つまたはそれ以上の多形形態として製造できることが見出された。こうした多形形態は、開発して新規な薬理特性を取得でき、薬物物質および薬物製品の開発に利用できる新規な物理特性を示す。したがって、一態様では、化合物N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドの多形Eが、本明細書で提供される。
ある種の態様では、AcOBut(ブチルアセタート)溶媒和物、THF(テトラヒドロフラン)溶媒和物、混合DMAC(ジメチルアセトアミド)/トルエン溶媒和物、およびDMSO(ジメチルスルホキシド)溶媒和物を含めた化合物(I)の溶媒和物形態が、本明細書で提供される。
別の態様では、化合物(I)の多形Eと、医薬として許容される担体または希釈剤とを含む医薬組成物が、本明細書で提供される。
さらなる別の態様では、以下の:(a)化合物(I)を第1の溶媒に溶解する工程、(b)場合により第2の溶媒を添加する工程、および(e)前記多形が形成されるように場合により混合物に種晶を添加する工程を含む、化合物(I)の多形Eを製造するための方法が、本明細書で提供される。
別の態様では、化合物(I)または化合物(I)を含む医薬組成物を対象に投与することを含む、対象のがんを治療する方法が、本明細書で提供される。
別の態様では、多形Eまたは多形Eを含む医薬組成物を対象に投与することを含む、対象のがんを治療する方法が、本明細書で提供される。
上の方法の一実施形態では、がんは、固形腫瘍である。別の実施形態では、がんは、乳がん、結腸がん、直腸がん、子宮内膜がん、胃癌、グリア芽腫、肝細胞癌、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、黒色腫、卵巣がん、子宮頸がん、膵臓がん、前立腺癌、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、または甲状腺癌である。
さらなる別の実施形態では、がんは、子宮内膜がん、卵巣がん、子宮頸がん、乳がん、結腸がん、直腸がん、またはグリア芽腫である。さらなる別の実施形態では、がんは、子宮内膜がん、卵巣がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、乳がん、またはリンパ腫である。
治療は、追加の抗がん剤の投与を含むことができる。かかる薬剤の非限定的な例として、カルボプラチン、パクリタキセル、エルロチニブおよびトラスツズマブが挙げられる。
対象のがんを治療するための医薬の製造における化合物(I)(例えば、多形E)の使用もまた、本明細書で提供される。
別の態様では、化合物(I)(例えば、多形E)または化合物(I)(例えば、多形E)を含む医薬組成物の有効量を治療が必要な対象に投与することを含む、PI3Kによって媒介される障害を治療するための方法が提供される。一実施形態では、PI3Kによって媒介される障害は、がんである。治療できる非限定的ながんは、乳がん、結腸がん、直腸がん、子宮内膜がん、胃癌、グリア芽腫、肝細胞癌、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、黒色腫、卵巣がん、子宮頸がん、膵臓がん、前立腺癌、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、または甲状腺癌である。
PI3Kによって媒介される障害を治療するための医薬を製造するための化合物(I)(例えば、多形E)の使用もまた、提供される。
別の態様では、化合物(I)(例えば、多形E)を利用することを含む、PI3Kキナーゼの活動を阻害する方法が、本明細書で提供される。
別の実施形態では、化合物N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドの多形Eを含むキットが提供される。一例では、キットは、N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドの多形Eを含む医薬組成物を含む。一実施形態では、キットは、がん患者を治療するための化合物または医薬組成物を使用するための使用説明書を含む。
他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明によって明白になるであろう。詳細な説明および具体的な実施例は、例示のためのみに提供される。その理由は、本発明の趣旨および範囲内の多様な変化および改変は、この詳細な説明によって当業者に明白になるからである。さらに、本実施例は、本発明の原理を実際に示すものであり、当業者にとって明らかに有用であると思われるすべての実施例への本発明の適用を詳細に例示することを期待するのは不可能である。
多形E、ならびに多形Aおよび疑似多形(pseudo-polymorph)B(セスキ水和物)のX線粉末回折パターンを示す図である。 多形EのFT−IRスペクトルを示す図である。使用された装置は、Brucker Vertex70赤外分光計であった。 多形Eの示差走査熱量測定のサーモグラムを示す図である。 多形EとAの50/50(重量/重量)固体混合物の示差走査熱量測定のサーモグラムを示す図である。 多形Eの熱重量分析の結果を示す図である。Perkin Elmer 1分析計を5℃/分で使用して、熱重量分析を実施した。 多形Eの光学顕微鏡法の結果を示す図である。 化合物(I)の混合DMAC/トルエン溶媒和物形態の光学顕微鏡法結果を示す図である。 多形Eの光学顕微鏡法の追加の結果を示す図である。 未加工化合物(I)(上方のスペクトル)および多形E(下方のスペクトル)の重なったFT−IRスペクトルを示す図である。 未加工化合物(I)を製造するための合成スキームを示す図である。 本明細書で提供された化合物(I)の混合DMAC/トルエン溶媒和物に対するDSC、TGA、およびXRPDスペクトルを示す図である。 本明細書で提供された化合物(I)の混合DMAC/トルエン溶媒和物に対するDSC、TGA、およびXRPDスペクトルを示す図である。 本明細書で提供された化合物(I)の混合DMAC/トルエン溶媒和物に対するDSC、TGA、およびXRPDスペクトルを示す図である。 本明細書で提供された化合物(I)のDMSO溶媒和物に対するDSC、TGA、およびXRPDスペクトルを示す図である。 本明細書で提供された化合物(I)のDMSO溶媒和物に対するDSC、TGA、およびXRPDスペクトルを示す図である。 本明細書で提供された化合物(I)のDMSO溶媒和物に対するDSC、TGA、およびXRPDスペクトルを示す図である。 多形AのX線粉末回折パターンを示す図である。 多形AのFT−IRスペクトルを示す図である。 多形Aの示差走査熱量測定のサーモグラムを示す図である。 多形Aの熱重量分析の結果を示す図である。 疑似多形BのX線粉末回折パターンを示す図である。 疑似多形BのFT−IRスペクトルを示す図である。 疑似多形Bの熱重量分析の結果を示す図である。
単離されたN−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドが、これを作製し、使用する方法と同時に提供される。N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドの結晶質形態、ならびにこれを含む医薬組成物およびこれを使用するための方法もまた、提供される。
化合物(I)
したがって、単離化合物N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミド:
または医薬として許容されるその塩もしくは溶媒和物が、本明細書で提供される。この化合物は、生物過程においてPI3Kαを阻害および/またはモジュレートするのに使用することができ、したがって、関連の疾患状態を治療するために有用である。
本出願全体を通して、N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドまたは医薬として許容されるその塩もしくは溶媒和物は、「化合物(I)」と呼ばれる。N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドは、代替の互変異性形態で存在できることが理解されよう。一例は、N−(3−{[(3−{[2−クロロ−5−(メトキシ)フェニル]アミノ}キノキサリン−2−イル)アミノ]スルホニル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドである。
別の例では、化合物は、以下のような両性イオンとして、例えば、溶液中に存在することができる。
一態様では、10%未満、5未満、1%未満または0.1%未満のN−(3−{[(3−{[2−クロロ−5−(メトキシ)フェニル]アミノ}キノキサリン−2−イル)アミノ]スルホニル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドを含む単離N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドが提供される。
本化合物のプロドラッグ形態、ならびに本化合物の非塩および非溶媒和物形態もまた、本明細書で提供される。
化合物(I)に対する医薬として許容される塩として、例えば、塩酸塩、硫酸塩(sulfate)(すなわち、硫酸塩(sulphate))、メシル酸塩、ベシル酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、マレイン酸塩、グルタミン酸塩、マロン酸塩、2,5−ジヒドロキシ安息香酸塩、酒石酸塩、およびフマル酸塩、ならびにカリウム塩、アルギニン塩、カルシウム塩、マグネシウム塩およびリシン塩が挙げられる。一部の実施形態では、医薬として許容される塩は、モノマレイン酸塩、フマル酸塩および塩酸塩からなる群から選択される。
「プロドラッグ」は、例えば、血液中の加水分解によって、in vivoで転換されて(通常、速やかに)上の式の活性成分をもたらす化合物を指す。プロドラッグの普通の例として、限定されないが、カルボン酸またはアミン部分を備える活性形態を有する化合物のアミド形態が挙げられる。
本発明の化合物の医薬として許容されるアミドの例として、限定されないが、第一級アミド、ならびに第二級および第三級アルキルアミド(例えば、約1個〜約6個の間の炭素を含む)が挙げられる。
「単離された」という用語は、化合物がそれを形成した環境から実質的に分離されることを指す。実質的な分離として、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約97重量%、または少なくとも約99重量%の化合物を含む組成物を挙げることができる。
別の態様では、実施例1に記載の合成法の生成物が、提供される。この生成物は、強力なPI3K阻害薬であるので、がんなどの、PI3Kによって媒介される障害を治療するのに有用である。一実施形態では、その生成物を含む医薬組成物が、提供される。
多形形態および特性
「化合物(I)」と本明細書で呼ばれるN−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドの結晶質形態が、本明細書で提供される。したがって、化合物(I)の結晶質形態、および化合物(I)の結晶質形態を含む医薬組成物は、PI3Kに依存する疾患の予防、寛解または治療のために使用することができる。本明細書で記載されたように、化合物(I)の遊離塩基は、水和物および溶媒和物形態を含めた1つまたはそれ以上の多形として存在する結晶質形態であってよい。本明細書で記載される化合物(I)の多形として、多形A、疑似多形Bおよび多形Eが挙げられる。特定の実施形態では、化合物(I)の多形形態Eが、本明細書で提供される。一般に、多形(あるいは、多形形態、多形的形態または結晶形態とも当技術分野で呼ばれる)は、そのX線粉末回折パターン、分光、物理化学および薬物動態特性、ならびにその熱力学的安定性に関して異なる。
物質が1つを超える結晶形態で存在する能力は、多形として定義される;特定の物質の多様な結晶形態は、「多形」と呼ばれる。一般に、多形は、物質の分子がその構造を変えるまたは多様な分子間もしくは分子内相互作用、特に水素結合を形成する能力によって影響され、これは、多様な多形の結晶格子中の多様な原子配列に反映される。対照的に、物質の全体的な外部形態は、「形態」と呼ばれ、これは、内部構造に関係なく、結晶および存在する平面の外部形状を指す。結晶は、例えば、成長速度、撹拌、および不純物の存在などの多様な条件に基づいて多様な形態を示すことができる。
物質の多様な多形は、結晶格子の多様なエネルギーを持つことができ、したがって、固体状態で形態、密度、融点、色、安定性、溶解度、溶解速度などの多様な物理特性を示すことができ、これが、次に、所与の多形の安定性、溶解速度および/または生物学的利用能ならびに医薬組成物としておよび医薬組成物中で使用するための適性に影響を与える場合がある。
多形が、結晶充填の相違の結果として存在する場合、充填多形と呼ばれる。疑似多形では、多様な結晶型は、水和または溶媒和の結果である。「疑似多形」という用語は、対応する「多形」の化合物と構造上異なる化合物の結晶質形態について使用することができる。例えば、化合物(I)のセスキ水和物の結晶質形態は、「疑似多形」と呼ぶことができる。
化合物(I)の多様な多形の利用は、多数の理由のために望ましい。そうした理由の一つは、個別の多形が結晶化の際に多様な不純物または化学的残渣を組み込む場合があることである。したがって、化合物(I)の多様な多形の時系列的な製造は、化合物の純度を増加させるのに使用することができる。例えば、不純物は、未加工化合物(I)を多形Aまたは多形Eに転換する過程中に除去することができる。
ある種の実施形態では、化合物(I)のある種の溶媒和物が、本明細書で提供される。「溶媒和物」という用語は、非共有結合によって別の分子(極性溶媒などの)に結合している化合物(I)の任意の形態を指す。かかる溶媒和物は、通常、溶質と溶媒のモル比が実質的に固定している結晶質固体である。代表的な溶媒として、THF、DMSO、DMACおよびブチルアセタート(AcOBut)が挙げられる。溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は、水和物である。
本明細書に記載の方法のある種の実施形態では、化合物(I)の中間の溶媒和物形態は、化合物を時系列的に溶媒に暴露することによって得られる。例えば、化合物(I)は、THFに暴露することができ、それによって、THF溶媒和物を生成する。THF溶媒和物は、次いで、異なる溶媒に暴露することができ、それによって、化合物(I)の多形の異なる溶媒和物が形成される。溶媒和物および/または多形の時系列的な形成によって、精製効果を助成することができる。
したがって、一実施形態では、化合物(I)は、ブチルアセタートに暴露され、それによって、AcOBut溶媒和物(本明細書では「溶媒和物C」とも呼ばれる)を生成する。別の実施形態では、化合物(I)は、THFに暴露され、それによって、THF溶媒和物(本明細書では「溶媒和物D」とも呼ばれる)を生成する。さらなる別の実施形態では、化合物(I)は、DMACに暴露され、それによって、DMAC溶媒和物を生成する。さらなる別の実施形態では、化合物(I)は、DMSOに暴露され、それによって、DMSO溶媒和物を生成する。
別の実施形態では、化合物(I)は、DMACおよびトルエンに暴露され、それによって、混合DMAC/トルエン溶媒和物(トルエン/DMAC溶媒和物とも呼ばれる)を生成する。したがって、化合物(I)のトルエン/DMAC混合溶媒和物が、本明細書で提供される。トルエン/DMAC混合溶媒和物は、化合物(I)1分子当たりDMAC2分子とトルエン1分子とを含むことができる。
別の実施形態では、化合物(I)1分子当たりDMSO1分子を含む化合物(I)のDMSO溶媒和物が、本明細書で提供される。
一実施形態では、化合物(I)のDMSO溶媒和物または化合物(I)のDMAC溶媒和物もしくは混合DMAC/トルエン溶媒和物のいずれかを、エタノールなどの溶媒に暴露して多形Eを形成することができる。
したがって、特定の多形は、限定されないが、製造過程における、または懸濁剤、乳剤、液剤、軟膏剤、錠剤もしくはカプセル剤などの特定の投与形態における、または好ましい薬物動態特性を有する薬物形態の製造における中間体としての使用を含めた所与の用途のための最も適した形態を表すことができる。
理論に拘泥するつもりはないが、コンパクトな結晶形状を示す多形形態は、ろ過の容易さおよび流動の容易さの点で利点を有する。多形Eは、したがってこうした利点を有するコンパクトな結晶形状を示す。
したがって、一態様では、化合物(I)の結晶質形態、または水和物、溶媒和物、もしくはその塩が、本明細書で提供される。
別の態様では、「多形E」とも本明細書で呼ばれる化合物(I)の多形Eが、本明細書で提供される。
ある種の実施形態では、多形Eは、X線粉末回折分析での特性ピークに基づいて同定可能である。XRPDとも呼ばれるX線粉末回折は、材料の構造キャラクタリゼーションのために粉末、微結晶質もしくは他の固体材料に対してX線、中性子または電子回折を使用する科学的な技法である。一実施形態では、多形Eは、2θ度で表して角度18.3°±0.3°および24.4°±0.3°に特性ピークを有するX線粉末回折パターンを示す。別の実施形態では、多形Eは、角度18.3°±0.3°および23.7°±0.3°に特性ピークを示す。別の実施形態では、多形Eは、角度9.8°±0.3°および23.2°±0.3°に特性ピークを示す。別の実施形態では、多形Eは、角度10.1°±0.3°および28.3°±0.3°に特性ピークを示す。別の実施形態では、多形Eは、角度9.8°±0.3°、10.1°±0.3°、18.3°±0.3°、18.8°±0.3°、23.2°±0.3°、23.7°±0.3°、28.3°±0.3°および24.4°±0.3°に特性ピークを示す。さらなる別の実施形態では、多形Eは、表1に列挙した2つ以上の特性ピーク(±0.3°)を有するX線粉末回折パターンを示す。さらなる別の実施形態では、多形Eは、図1もしくは表1、または図1と表1の両方に実質的に一致するX線粉末回折パターンを示す。
多形Eを含む医薬組成物は、組成物のX線粉末回折パターンを純多形EのX線粉末回折パターンと比較することによって同定することができる。多形Eを含む医薬組成物は、純多形EのX線粉末回折パターンと比較して同一でないX線粉末回折パターンを示す場合があることは理解されよう。
他の実施形態では、多形Eは、FT−IRスペクトルの特性ピークに基づいて同定可能である。フーリエ変換赤外分光法とも呼ばれるFT−IRは、材料の吸収、発光、光伝導度またはラマン散乱の赤外スペクトルを得るのに使用される技法である。一実施形態では、多形Eは、単位cm−1で表される値約1682、約1296および約1136に特性ピークを有するFT−IRスペクトルを示す。別の実施形態では、多形Eは、表2に列挙された2つ以上の特性ピーク(±4cm−1)を有するFT−IRスペクトルを示す。別の実施形態では、多形Eは、図2に実質的に一致するFT−IRスペクトルを示す。
多形Eを含む医薬組成物は、組成物のFT−IRスペクトルを純多形EのFT−IRスペクトルと比較することによって同定することができる。多形Eを含む組成物は、純多形EのFT−IRスペクトルと比較して同一でないFT−IRスペクトルを示す場合があることは理解されよう。
他の実施形態では、多形Eは、示差走査熱量測定サーモグラムで観察される特性ピークに基づいて同定可能である。示差走査熱量測定またはDSCは、試料および参照の温度を増加させるのに必要な熱量の差を温度の関数として測定する熱分析技法である。一実施形態では、多形Eは、℃の単位で表して温度約232±2℃(例えば、232.6±2℃)に特性ピークを有する示差走査熱量測定サーモグラムを示す。別の実施形態では、多形Eは、図3と実質的に一致する示差走査熱量測定サーモグラムを示す。
他の実施形態では、多形EとAの約50/50(重量/重量)固体混合物は、示差走査熱量測定サーモグラムで観察される特性ピークに基づいて同定可能である。一実施形態では、多形EとAの約50/50(重量/重量)固体混合物は、℃の単位で表して開始温度約231、例えば、231.3およびピーク約232、例えば、232.7に特性ピークを有する示差走査熱量測定サーモグラムを示す。別の実施形態では、多形EとAの約50/50(重量/重量)固体混合物は、図4と実質的に一致する示差走査熱量測定サーモグラムを示す。
別の実施形態では、多形Eは、℃の単位で表して約230〜235の範囲の温度で融点を示す。一実施形態では、多形Eは、℃の単位で表して約231〜233の範囲の温度で融点を示す。ある種の実施形態では、多形Eは、溶融エンタルピー約114J/gを有する。
一部の実施形態では、多形Eは、特性熱重量分析曲線に基づいて同定可能である。TGとも呼ばれる熱重量分析は、温度、時間、およびある場合圧力の組合せの関数としての材料試料の質量変化の連続記録に基づく分析(すなわち、熱重量分析)を必要とする。一実施形態では、多形Eは、図5に実質的に一致する熱重量分析曲線を示す。
他の実施形態では、多形Eは、不純物を含む場合がある。不純物の非限定的な例として、望ましくない多形形態、または溶媒、水もしくは塩などの残留有機および無機分子が挙げられる。一実施形態では、多形Eは、全部で10重量%未満の不純物を含む。別の実施形態では、多形Eは、全部で5重量%未満の不純物を含む。別の実施形態では、多形Eは、全部で1重量%未満の不純物を含む。さらなる別の実施形態では、多形Eは、全部で0.1重量%未満の不純物を含む。さらなる別の実施形態では、多形Eは、実質的に、不純物を含まない。
特定の実施形態では、多形Eは、実質的に、多形Aを含まない。別の実施形態では、多形Eは、実質的に、疑似多形Bを含まない。
別の態様では、本明細書では「多形A」とも呼ばれる化合物(I)の多形Aが、本明細書で提供される。ある種の実施形態では、多形Aは、X線粉末回折分析の特性ピークに基づいて同定可能である。一実施形態では、多形Aは、2θ度で表して角度10.9°±0.3°および22.5°±0.3°に特性ピークを有するX線粉末回折パターンを示す。別の実施形態では、多形Aは、角度18.0°±0.3°および11.2°±0.3°に特性ピークを示す。別の実施形態では、多形Aは、角度17.8°±0.3°および25.7°±0.3°に特性ピークを示す。別の実施形態では、多形Aは、角度16.3°±0.3°および21.9°±0.3°に特性ピークを示す。別の実施形態では、多形Aは、角度10.9°±0.3°、22.5°±0.3°、18.0°±0.3°、11.2°±0.3°、17.8°±0.3°、25.7°±0.3°、16.3°±0.3°および21.9°±0.3°に特性ピークを示す。さらなる別の実施形態では、多形Aは、表1に列挙された2つ以上の特性ピーク(±0.3°)を有するX線粉末回折パターンを示す。さらなる別の実施形態では、多形Aは、図17もしくは表5、または図17と表5の両方に実質的に一致するX線粉末回折パターンを示す。
多形Aを含む医薬組成物は、組成物のX線粉末回折パターンを純多形AのX線粉末回折パターンと比較することによって同定することができる。多形Aを含む医薬組成物は、純多形AのX線粉末回折パターンと比較して同一でないX線粉末回折パターンを示す場合があることが理解されよう。
他の実施形態では、多形Aは、FT−IRスペクトルの特性ピークに基づいて同定可能である。一実施形態では、多形Aは、単位cm−1で表される値約1627、約1571および約833に特性ピークを有するFT−IRスペクトルを示す。別の実施形態では、多形Aは、表6に列挙された2つ以上の特性ピーク(±4cm−1)を有するFT−IRスペクトルを示す。別の実施形態では、多形Aは、図18に実質的に一致するFT−IRスペクトルを示す。
多形Aを含む医薬組成物は、組成物のFT−IRスペクトルを純多形AのFT−IRスペクトルと比較することによって同定することができる。多形Aを含む医薬組成物は、純多形AのFT−IRスペクトルと比較して同一でないFT−IRスペクトルを示す場合があることが理解されよう。
他の実施形態では、多形Aは、示差走査熱量測定サーモグラムで観察される特性ピークに基づいて同定可能である。一実施形態では、多形Aは、℃の単位で表して温度約221±2℃(例えば、220.6±2℃)に特性ピークを有する示差走査熱量測定サーモグラムを示す。別の実施形態では、多形Aは、図19と実質的に一致する示差走査熱量測定サーモグラムを示す。
別の実施形態では、多形Aは、℃の単位で表して約218〜223の範囲の温度で融点を示す。一実施形態では、多形Aは、℃の単位で表して約219.5〜221.5の範囲の温度で融点を示す。ある種の実施形態では、多形Aは、溶融エンタルピー約96J/gを有する。
一部の実施形態では、多形Aは、特性熱重量分析曲線に基づいて同定可能である。一実施形態では、多形Aは、図20に実質的に一致する熱重量分析曲線を示す。
別の態様では、本明細書では「疑似多形B」とも呼ばれる化合物(I)の疑似多形Bが、本明細書で提供される。ある種の実施形態では、疑似多形Bは、X線粉末回折分析の特性ピークに基づいて同定可能である。一実施形態では、疑似多形Bは、2θ度で表して角度8.0°±0.3°および15.9°±0.3°に特性ピークを有するX線粉末回折パターンを示す。別の実施形態では、疑似多形Bは、角度21.4°±0.3°および16.9°±0.3°に特性ピークを示す。別の実施形態では、疑似多形Bは、角度22.9°±0.3°および16.2°±0.3°に特性ピークを示す。別の実施形態では、疑似多形Bは、角度12.7°±0.3°および20.8°±0.3°に特性ピークを示す。別の実施形態では、疑似多形Bは、角度8.0°±0.3°、12.7°±0.3°、15.9°±0.3°、16.2°±0.3°、16.9°±0.3°、20.8°±0.3°、21.4°±0.3°および22.9°±0.3°に特性ピークを示す。さらなる別の実施形態では、疑似多形Bは、表7に列挙された2つ以上の特性ピーク(±0.3°)を有するX線粉末回折パターンを示す。さらなる別の実施形態では、疑似多形Bは、図21もしくは表7、または図21と表7の両方に実質的に一致するX線粉末回折パターンを示す。
疑似多形Bを含む医薬組成物は、組成物のX線粉末回折パターンを純疑似多形BのX線粉末回折パターンと比較することによって同定することができる。疑似多形Bを含む医薬組成物は、純疑似多形BのX線粉末回折パターンと比較して同一でないX線粉末回折パターンを示す場合があることが理解されよう。
他の実施形態では、疑似多形Bは、FT−IRスペクトルの特性ピークに基づいて同定可能である。一実施形態では、疑似多形Bは、単位cm−1で表される値約1430、約1336、約1186、約1011、約992および約901に特性ピークを有するFT−IRスペクトルを示す。別の実施形態では、疑似多形Bは、表8に列挙された2つ以上の特性ピーク(±4cm−1)を有するFT−IRスペクトルを示す。別の実施形態では、疑似多形Bは、図22に実質的に一致するFT−IRスペクトルを示す。
疑似多形Bを含む医薬組成物は、組成物のFT−IRスペクトルを純疑似多形BのFT−IRスペクトルと比較することによって同定することができる。疑似多形Bを含む医薬組成物は、純疑似多形BのFT−IRスペクトルと比較して同一でないFT−IRスペクトルを示す場合があることが理解されよう。
他の実施形態では、疑似多形Bは、示差走査熱量測定サーモグラムで観察される特性ピークに基づいて同定可能である。一実施形態では、疑似多形Bは、℃の単位で表して温度約122±2℃(例えば、122.4±2℃)および133±2℃(例えば、132.8±2℃)および137±2℃(例えば、137.2±2℃)および219±2℃(例えば、219.1±2℃)および222±2℃(例えば、222.5±2℃)および234±2℃(例えば、233.6±2℃)に特性ピークを有する示差走査熱量測定サーモグラムを示す。
別の実施形態では、疑似多形Bは、℃の単位で表された約120〜125℃の範囲の温度で脱水点を示す。一実施形態では、疑似多形Bは、℃の単位で表された約121〜123℃の範囲の温度で脱水点を示す。
一部の実施形態では、疑似多形Bは、特性熱重量分析曲線に基づいて同定可能である。一実施形態では、疑似多形Bは、図23と実質的に一致する熱重量分析曲線を示す。
化合物(I)の混合DMAC/トルエン溶媒和物およびDMSO溶媒和物
化合物(I)の混合DMAC(ジメチルアセトアミド)/トルエン溶媒和物が、本明細書で提供される。図11〜13は、それぞれ、化合物(I)の混合DMAC/トルエン溶媒和物に対するDSC、TGA、およびXRPDスペクトルを示す。TGAの90〜130℃の間の質量減は、本溶媒和物が、化合物(I)1モルに対してDMAC2モルを含み、またトルエン1モルを含むことを示す。31.6%の質量減はまた、DMAC2モルとトルエン1モルとを含む構造に対応する。したがって、化合物(I)の混合DMAC/トルエン溶媒和物が存在する。これはまた、NMR(図示せず)によって支持されている。
一部の実施形態では、化合物(I)の混合DMAC/トルエン溶媒和物は、X線粉末回折分析での特性ピークに基づいて同定可能である。一実施形態では、化合物(I)の混合DMAC/トルエン溶媒和物は、2θ度で表して角度18.3°±0.3°、22.0°±0.3°および27.6°±0.3°に特性ピークを有するX線粉末回折パターンを示す。別の実施形態では、化合物(I)のDMAC溶媒和物は、図13もしくは表3、または図13と表3の両方に実質的に一致するX線粉末回折パターンを示す。
一部の実施形態では、化合物(I)の混合DMAC/トルエン溶媒和物は、示差走査熱量測定サーモグラムで観察される特性ピークに基づいて同定可能である。一実施形態では、化合物(I)のDMAC溶媒和物は、℃の単位で表して温度約163±2℃(例えば、163.5±2℃)に特性ピークを有する示差走査熱量測定サーモグラムを示す。別の実施形態では、化合物(I)のDMAC溶媒和物は、図11と実質的に一致する示差走査熱量測定サーモグラムを示す。
他の実施形態では、化合物(I)の混合DMAC/トルエン溶媒和物は、特性熱重量分析曲線に基づいて同定可能である。一実施形態では、化合物(I)のDMAC溶媒和物は、図12に実質的に一致する熱重量分析曲線を示す。
図14〜16は、それぞれ、化合物(I)のDMSO溶媒和物に対するDSC、TGA、およびXRPDスペクトルを示す。NMR(図示せず)による分析は、化合物(I)1分子に対してDMSO1分子が存在することを示す。17.2%の質量減は、この分析と一致する。
一部の実施形態では、化合物(I)のDMSO溶媒和物は、X線粉末回折分析での特性ピークに基づいて同定可能である。一実施形態では、化合物(I)のDMSO溶媒和物は、2θ度で表して角度7.6°±0.3°、18.6°±0.3°および19.8°±0.3°に特性ピークを有するX線粉末回折パターンを示す。別の実施形態では、化合物(I)の混合DMAC/トルエン溶媒和物は、図16もしくは表4、または図16と表4の両方に実質的に一致するX線粉末回折パターンを示す。
一部の実施形態では、化合物(I)のDMSO溶媒和物は、示差走査熱量測定サーモグラムで観察される特性ピークに基づいて同定可能である。一実施形態では、化合物(I)のDMSO溶媒和物は、℃の単位で表して温度約165±2℃(例えば、165.7±2℃)に特性ピークを有する示差走査熱量測定サーモグラムを示す。別の実施形態では、化合物(I)のDMSO溶媒和物は、図14と実質的に一致する示差走査熱量測定サーモグラムを示す。
他の実施形態では、化合物(I)のDMSO溶媒和物は、特性熱重量分析曲線に基づいて同定可能である。一実施形態では、化合物(I)のDMSO溶媒和物は、図15に実質的に一致する熱重量分析曲線を示す。
混合DMAC/トルエン溶媒和物およびDMSO溶媒和物に対するDSC分析が、Perkin Elmer DSC Diamondを用いて実施された。未加工データを分析するのに使用されたソフトウエアは、Pyris(Perkin Elmer)である。温度速度は、5℃/分である。TGA分析は、Perkin Elmer Pyris 1 TGAを用いて実施された。未加工データを分析するのに使用されたソフトウエアは、Pyris(Perkin Elmer)である。温度速度は、5℃/分である。
医薬組成物
一態様では、N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドまたは医薬として許容されるその塩もしくは溶媒和物を含む医薬組成物が提供される。かかる医薬組成物は、医薬として許容される担体または希釈剤を含むことができる。一部の実施形態では、医薬組成物の活性成分は、他の互変異性形態が存在しない場合、N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドまたは医薬として許容されるその塩もしくは溶媒和物のみからなる。一部の実施形態では、医薬組成物の活性成分は、90%超、95%超、96%超、97%超、98%超、99%超、または99.9%超のN−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドまたは医薬として許容されるその塩もしくは溶媒和物を含む。
他の態様では、化合物(I)、例えば、化合物(I)の多形A、疑似多形B、または多形Eと医薬として許容される担体もしくは希釈剤とを含む医薬組成物が提供される。例えば、多形Eと、医薬として許容される担体または希釈剤とを含む医薬組成物が提供される。
「医薬組成物」という用語は、哺乳類、例えば、ヒトへの投与に適した製剤を含む。本発明の化合物が、哺乳類、例えば、ヒトへの医薬として投与される場合、それ自体でまたは医薬として許容される担体と組み合わせて例えば、0.1%〜99.9%(より好ましくは、0.5〜90%)の活性成分を含む医薬組成物として与えることができる。
本明細書に記載の多形は、旧来の医薬複合技法にしたがって医薬として許容される担体と合わせることができる。本明細書では、「医薬として許容される担体」として、所望の特定剤形に適した、任意のおよびすべての溶媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散もしくは懸濁補助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤もしくは乳化剤、保存剤、固形結合剤、滑沢剤などを挙げることができる。Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、E.W.Martin(Mack Publishing Co.、Easton、Pa.、1980)には、医薬組成物を製剤する際に使用される多様な担体およびそれを製造するための公知の技法が開示されている。任意の旧来の担体媒体が、任意の望ましくない生物効果を生成するまたはそうでなければ医薬組成物の任意の他の成分と有害な様式で相互作用することによってなどで化合物(I)と不適合である場合を除いて、その使用は、本発明の範囲内であることが企図される。医薬として許容される担体として働くことができる材料の一部の例として、限定されないが、ラクトース、グルコースおよびスクロースなどの糖類;コーンスターチおよびポテトスターチなどのスターチ;セルロースならびにナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロースおよびセルロースアセタートなどの誘導体;粉末トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバターおよび坐薬ワックスなどの賦形剤;ピーナツ油、綿実油;サフラワーオイル、ゴマ油;オリーブ油;コーン油および大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;エチルオレアートおよびエチルラウラートなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;無ピロゲン水;等張生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコールおよびリン酸緩衝液、ならびにナトリウムラウリルスルファートおよびマグネシウムステアラートなどの他の非毒性の適合性滑沢剤が挙げられ、ならびに、製剤者の判断によって、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、芳香剤および賦香剤、保存剤および酸化防止剤もまた、組成物中に存在することができる。
さらに、担体は、投与、例えば、経口、経鼻、経窒、非経口(静脈内注射または注入を含めた)に対して所望の製剤の形態に応じて多種多様な形態を取ることができる。経口剤形用の組成物を製造する場合、任意の通常の医薬媒体を用いることができる。通常の医薬媒体として、経口液体製剤(例えば、懸濁剤、液剤、乳剤、およびエリキシル剤などの)の場合、例えば、水、グリコール、油、アルコール、芳香剤、保存剤、着色剤など;エアゾール;または経口固形製剤(例えば、散剤、カプセル剤、および錠剤などの)の場合、デンプン、糖類、微晶質セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などが挙げられる。
湿潤剤、乳化剤、およびラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、ならびに着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、芳香剤および賦香剤、保存剤および酸化防止剤もまた、組成物に存在することができる。
医薬として許容される酸化防止剤の例として、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性酸化防止剤;アスコルビルパルミタート、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、プロピルガラート、トコフェロールなどの油溶性酸化防止剤;およびクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート剤が挙げられる。
化合物(I)を含む医薬組成物は、所望の任意の濃度を有するように製剤することができる。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも治療有効量を含むように製剤される。一部の実施形態では、組成物は、1つまたはそれ以上の望まない副作用を引き起こさない量を含むように製剤される。
投与が容易であるために、錠剤およびカプセル剤は、最も有利な経口単位剤形を表すことができ、この場合、固形医薬担体を用いることができる。所望なら、錠剤は、当業者に公知の技法によってコーティングすることができる。
一実施形態では、医薬組成物は、多形E以外の結晶質、溶媒和物、水和物または非晶質形態におけるN−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドの多形を含む。別の実施形態では、医薬組成物は、化合物(I)の多形Aをさらに含む。化合物(I)の多形Aは、「多形A」とも本明細書で呼ばれる。さらなる別の実施形態では、医薬組成物は、化合物(I)の疑似多形Bをさらに含む。化合物(I)の疑似多形Bは、化合物(I)のセスキ水和物形態である。
ある種の実施形態では、医薬組成物は、組成物中のN−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドの全重量に対して多様な量の多形Eを含む。一実施形態では、医薬組成物は、0.1重量%未満の多形Eを含む。別の実施形態では、医薬組成物は、1重量%未満の多形Eを含む。別の実施形態では、医薬組成物は、10重量%未満の多形Eを含む。別の実施形態では、医薬組成物は、25重量%未満の多形Eを含む。別の実施形態では、医薬組成物は、50重量%未満の多形Eを含む。別の実施形態では、医薬組成物は、99重量%未満の多形Eを含む。
最も適切な経路は、治療される状態の性質および重症度で決まるが、医薬組成物は、経口、舌下、経鼻、直腸、経腟、局部、頬および非経口(皮下、筋肉内、および静脈内を含めた)投与に適したものを含む。組成物は、好都合には、単位剤形で提示され、薬剤学分野で周知の任意の方法によって製造することができる。ある種の実施形態では、医薬組成物は、丸剤、カプセル剤、ロゼンジ剤または錠剤の形態で経口投与用に製剤される。他の実施形態では、医薬組成物は、懸濁剤の形態である。
多形Eは、タンパク質キナーゼ関連障害、特にPI3関連障害、例えば、がんを治療するために特に有効な医薬組成物中の活性薬剤として適切である。多様な実施形態での医薬組成物は、他の医薬として許容される賦形剤、担体、充填剤、希釈剤などと同時に医薬有効量の多形Eを有する。
「有効量」または「医薬有効量」または「治療有効量」という用語は、所望の生物学的、治療、および/または予防結果を提供するのに十分な量の薬剤を指す。こうした結果は、疾患の1つもしくはそれ以上の兆候、症候、もしくは原因の低減、寛解、緩和、軽減、遅延および/もしくは軽減、または生物系の任意の他の所望変化であってよい。がんに関しては、有効量は、腫瘍を収縮させるおよび/または腫瘍の成長速度を低下させる(腫瘍の成長を抑制するなどの)または他の望まない細胞増殖を予防もしくは遅延するのに十分な量を含む。一部の実施形態では、有効量は、発達を遅延させるのに十分な量である。一部の実施形態では、有効量は、再発を予防または遅延するのに十分な量である。有効量は、1つまたはそれ以上の投与で投与することができる。薬物もしくは組成物の有効量は:(i)がん細胞の数を低減する;(ii)腫瘍径を低減する;(iii)末梢器官内へのがん細胞の浸潤を阻害する、遅延させる、ある程度まで遅くする、および好ましくは、停止する;(vi)腫瘍転移を阻害する(すなわち、ある程度まで遅くし、好ましくは、停止する);(v)腫瘍成長を阻害する;(vi)腫瘍の発症および/または再発を予防するもしくは遅延する;および/または(vii)がんに関連した1つまたはそれ以上の兆候をある程度まで和らげることができる。量は、対象の大きさおよび重量、病気の型、または本発明の特定の化合物などの因子に応じて変動させることができる。量はまた、化合物、疾患状態およびその重症度、治療される患者の年令などに応じて変動させることができる。有効量は、その知識および本開示を考慮する当業者によって決定することができる。
投薬計画は、医薬有効量を構成するものに影響を与える場合がある。多形E、および多形Eを含む組成物は、PI3K関連障害の開始の前または後いずれかで対象に投与することができる。さらに、いくつかに分割した用量、および千鳥配列用量を毎日または時系列的に投与することができ、または用量を連続注入してもよく、または用量がボーラス注入法であってもよい。さらに、用量は、治療または予防状況の緊急要件によって指示された場合、比例的に増減することができる。
方法
別の態様では、以下の:(a)N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドを第1の溶媒に溶解する工程、(b)場合により第2の溶媒を添加する工程、および(e)前記多形が形成されるように場合により混合物に種晶を添加する工程を含む、多形Eを製造するための方法が、本明細書で提供される。
一実施形態では、方法は、以下の:(a)化合物(I)をTHFに溶解する工程、(b)混合物を濃縮する工程、(c)混合物の温度を低下させる工程、(d)エタノールを混合物に添加する工程、(e)混合物に種晶を添加する工程、および(f)多形Eが形成されるように混合物の温度を低下させる工程を含む。
別の実施形態では、方法は、以下の:(a)化合物(I)をジメチルアセトアミドに溶解する工程、(b)トルエンを添加する工程、(c)混合物の温度を低下させる工程、(d)混合物から固体をろ過し、固体を洗浄する工程、(e)ろ過固体をエタノール中に懸濁させる工程、および(f)多形Eが形成されるように混合物に種晶を添加する工程を含む。
さらなる別の実施形態では、方法は、以下の:(a)化合物(I)をDMSOに溶解する工程、(b)エタノールを混合物に添加すること、(c)混合物から固体をろ過する工程、(d)固体をエタノール中に懸濁させる工程、および(e)多形Eが形成されるように混合物に種晶を添加する工程を含む。
さらなる別の実施形態では、方法は、以下の:(a)化合物(I)をDMACに溶解する工程、(b)エタノールを混合物に添加すること、(c)混合物から固体をろ過する工程、(d)固体をエタノール中に懸濁させる工程、および(e)多形Eが形成されるように混合物に種晶を添加する工程を含む。
本明細書では、「種晶」という用語は、結晶質化合物(I)(例えば、多形E)の1つまたはそれ以上の結晶を記述するための名詞として使用することができる。「種晶を添加する」という用語はまた、結晶質化合物(I)の前記1つまたはそれ以上の結晶を環境(限定されないが、例えば、溶液、混合物、懸濁液、または分散液を含めた)内に導入し、それによって結晶質化合物(I)の1つまたはそれ以上の結晶を生成するという行為を記述するための動詞として使用することができる。
方法および使用
化合物(I)は、対象のPI3Kによって媒介される状態および障害を治療するために有用である。したがって、対象に治療有効量の化合物(I)(例えば、多形E)を投与することを含む、対象、例えば、患者のPI3Kによって媒介される状態または障害を治療するための方法が、提供される。
「PI3Kによって媒介される状態」または「PI3Kによって媒介される障害」は、1つまたはそれ以上のPI3Kキナーゼの活動によって決まる病理学状態を指す。キナーゼは、増殖、接着、移動、分化および浸潤を含めた多様な細胞活動のシグナル変換経路に直接または間接いずれかで参加する。キナーゼ活動に関連する疾患として、腫瘍成長、固形腫瘍成長を支持する病理学的新血管形成、ならびに眼疾患(糖尿病性網膜症、加齢黄班編成など)および炎症(乾癬、関節リウマチなど)などの過剰な局部血管形成が関連する他の疾患に関連する疾患が挙げられる。一例では、状態はがんである。
本発明の化合物に関する「投与」およびその変形(例えば、化合物を「投与すること」)とは、化合物または化合物のプロドラッグを治療が必要な動物系内に導入することを意味する。本発明の化合物またはそのプロドラッグが、1つまたはそれ以上の他の活性薬剤と組み合わせて提供される場合(例えば、手術、放射線、および化学療法など)、「投与」およびその変形は、それぞれ、化合物またはそのプロドラッグおよび他の薬剤の並行および時系列導入を含むことが理解されよう。
「対象」という用語は、PI3Kαのようなタンパク質キナーゼの活動に関連した疾患、障害または状態に罹患するまたは悩む可能性がある生命体、例えば、原核生物および真核生物を含むことが意図される。対象の例として、哺乳類、例えば、ヒト、イヌ、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、マウス、ウサギ、ラット、およびトランスジェニック非ヒト動物が挙げられる。ある種の実施形態では、対象はヒト、例えば、がんに罹患した、罹患する危険のある、または潜在的に罹患する恐れのあるヒトである。別の実施形態では、対象は、細胞である。
本発明での「患者」として、ヒトおよび他の動物、特に哺乳類および他の生命体が挙げられる。したがって、本方法は、ヒト療法と獣医学用途の両方に適用可能である。具体的な実施形態では、患者は、哺乳類であり、より具体的な実施形態では、患者は、ヒトである。
本明細書で使用される疾患、障害、または症候群の「治療すること」または「治療」として、(i)ヒトに発症する疾患、障害、または症候群を予防すること、すなわち、疾患、障害、または症候群の臨床兆候が、疾患、障害、または症候群に暴露または感染する恐れがあるが、疾患、障害、または症候群の兆候を未だ表していないまたは示していない動物に発症させないこと;(ii)疾患、障害、または症候群を阻害すること、すなわち、発症を捕捉すること;および(iii)疾患、障害、または症候群を和らげること、すなわち、疾患、障害、または症候群を退行させることが挙げられる。当技術分野で公知のように、全身対局部送達、年令、体重、総体的な健康、性別、食事、投与の時間、薬物相互作用および状態の重症度に対する調節が必要になる場合があり、当業者による日常的な実験を用いて確認可能である。
別の実施形態では、対象に治療有効量の化合物(I)(例えば、多形E)を投与することを含む、対象のがんを治療する方法が、本明細書で提供される。
別の態様では、治療が必要な患者に有効量の多形Eまたは多形Eを含む医薬組成物を投与することを含む、PI3Kによって媒介される障害を治療する方法が、本明細書で提供される。一実施形態では、障害は、細胞増殖疾患である。一例では、細胞増殖疾患は、がんである。
一部の態様では、PI3Kによって媒介される障害として、異常な細胞成長、異常な細胞増殖、またはPI3Kの異常な活動に関連した障害および状態(例えば、疾患状態)が挙げられる。Pin1関連状態の例として、がん、望ましくない細胞成長、および/または腫瘍成長が挙げられる。
「がん」として、限定されないが:心臓:非上皮性悪性腫瘍(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫および奇形腫;肺:気管支癌(扁平上皮、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、歯槽(細気管支)癌、気管支腺腫、非上皮性悪性腫瘍、リンパ腫、軟骨性過誤腫、中皮腫;胃腸:食道(扁平上皮癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(導管腺癌、インスリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋肉腫、血管腫、脂肪腫、神経繊維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状線腫、絨毛線腫、過誤腫、平滑筋肉腫);尿生殖路:腎臓(腺癌、腎芽腫[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上皮癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、非上皮性悪性腫瘍)、睾丸(セミノーマ、奇形腫、胎生期癌、奇形癌、絨毛腫、非上皮性悪性腫瘍、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝癌(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;骨:骨肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄腫、悪性骨巨細胞腫脊索腫、骨軟骨腫(骨軟骨性外骨症)、悪性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫;神経系:頭蓋骨(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽腫、神経膠腫、上衣腫、胚細胞腫[松花体腫]、多形性膠芽腫、乏突起膠腫、神経鞘腫、網膜芽腫、先天性腫瘍)、脊髄神経繊維腫、髄膜腫、神経膠腫、非上皮性悪性腫瘍;婦人科:子宮(子宮内膜癌)、頸部(子宮頸癌、前腫瘍子宮頸部形成異常)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、ムチン性嚢胞腺癌、非分類癌]、顆粒膜卵胞膜細胞腫、セルトリレイディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、陰門(扁平上皮癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮癌、ぶどう状肉腫[胎児性横紋筋肉腫]、卵管癌);血液学:血液(骨髄性白血病[急性および慢性]、急性リンパ芽球白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮癌、カポジ肉腫、異形成母班、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;ならびに副腎:神経芽細胞腫が挙げられる。
一部の実施形態では、障害は、乳がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、胃癌、グリア芽腫、肝細胞癌、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、黒色腫、卵巣がん、膵臓がん、前立腺癌および甲状腺癌から選択される。
他の実施形態では、化合物(I)または化合物(I)を含む医薬組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを含む、乳がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、胃癌、グリア芽腫、肝細胞癌、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、黒色腫、卵巣がん、膵臓がん、前立腺癌および甲状腺癌から選択される障害を治療するための方法が提供される。
他の実施形態では、化合物(I)または化合物(I)を含む医薬組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを含む、固形腫瘍、非小細胞肺がん、結腸がん、乳がん、子宮内膜がん、前立腺がんおよび上皮性悪性腫瘍から選択される障害を治療するための方法が、本明細書で提供される。
特定の実施形態では、化合物(I)または化合物(I)を含む医薬組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを含む、転移乳がんを治療するための方法が、本明細書で提供される。
別の特定の実施形態では、化合物(I)または化合物(I)を含む医薬組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを含む、リンパ腫を治療するための方法が、本明細書で提供される。
さらなる別の特定の実施形態では、化合物(I)または化合物(I)を含む医薬組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを含む、グリア芽腫を治療するための方法が、本明細書で提供される。
別の態様では、PI3Kによって媒介される障害を治療するための医薬を製造するための化合物(I)の使用が、本明細書で提供される。一実施形態では、障害は、細胞増殖疾患である。別の実施形態では、細胞増殖疾患は、がんである。ある種の実施形態では、がんは、上のリストから選択される。他の実施形態では、障害は、乳がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、胃癌、グリア芽腫、肝細胞癌、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、黒色腫、卵巣がん、膵臓がん、前立腺癌および甲状腺癌から選択される。
本発明の別の具体的な実施形態は、PI3Kの阻害が望まれる細胞に化合物(I)を接触させることを含む、細胞中のPI3Kを阻害する方法である。
本発明の別の具体的な実施形態は、治療有効量の化合物(I)を含む医薬組成物を患者に投与することを含む、PI3Kによって媒介される疾患、障害、または症候群を治療する方法である。
より詳細には、疾患は、がんである。さらにより詳細には、がんは、乳がん、結腸がん、直腸がん、子宮内膜がん、胃癌、グリア芽腫、肝細胞癌、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、黒色腫、卵巣がん、子宮頸がん、膵臓がん、前立腺癌、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、または甲状腺癌である。さらにより詳細には、がんは、卵巣がん、子宮頸がん、乳がん、結腸がん、直腸がん、またはグリア芽腫である。
したがって、一実施形態では、治療有効量の化合物(I)をそれが必要な対象に投与することを含む、子宮内膜がんを治療する方法が、本明細書で提供される。
別の実施形態では、治療有効量の化合物(I)をそれが必要な対象に投与することを含む、卵巣がんを治療する方法が、本明細書で提供される。
別の実施形態では、治療有効量の化合物(I)をそれが必要な対象に投与することを含む、非小細胞肺がん(NSCLC)を治療する方法が、本明細書で提供される。
別の実施形態では、治療有効量の化合物(I)をそれが必要な対象に投与することを含む、乳がんを治療する方法が、本明細書で提供される。
別の実施形態では、治療有効量の化合物(I)をそれが必要な対象に投与することを含む、リンパ腫を治療する方法が、本明細書で提供される。
別の実施形態では、治療有効量の化合物(I)をそれが必要な対象に投与することを含む、固形腫瘍を治療する方法が、本明細書で提供される。
別の実施形態では、治療有効量の化合物(I)をそれが必要な対象に投与することを含む、グリア芽腫を治療する方法が、本明細書で提供される。
他の実施形態では、多形Eまたは多形Eを含む医薬組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを含む、乳がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、胃癌、グリア芽腫、肝細胞癌、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、黒色腫、卵巣がん、膵臓がん、前立腺癌および甲状腺癌から選択される障害を治療するための方法が、本明細書で提供される。
他の実施形態では、多形Eまたは多形Eを含む医薬組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを含む、固形腫瘍、非小細胞肺がん、結腸がん、乳がん、子宮内膜がん、前立腺がんおよび非上皮性悪性腫瘍から選択される障害を治療するための方法が、本明細書で提供される。
特定の実施形態では、多形Eまたは多形Eを含む医薬組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを含む、転移乳がんを治療するための方法が、本明細書で提供される。
別の特定の実施形態では、多形Eまたは多形Eを含む医薬組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを含む、リンパ腫を治療するための方法が、本明細書で提供される。
さらなる別の特定の実施形態では、多形Eまたは多形Eを含む医薬組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを含む、グリオ芽腫を治療するための方法が、本明細書で提供される。
別の態様では、PI3Kによって媒介される障害を治療するための医薬を製造するための多形Eの使用が、本明細書で提供される。一実施形態では、障害は、細胞増殖疾患である。一例では、細胞増殖疾患は、がんである。ある種の実施形態では、がんは、上のリストから選択される。他の実施形態では、障害は、乳がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、胃癌、グリア芽腫、肝細胞癌、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、黒色腫、卵巣がん、膵臓がん、前立腺癌および甲状腺癌から選択される。
本発明の別の具体的な実施形態は、PI3Kの阻害が望まれる細胞に多形Eを接触させることを含む、細胞中のPI3Kを阻害する方法である。
本発明の別の具体的な実施形態は、治療有効量の多形Eを含む医薬組成物を患者に投与することを含む、PI3Kによって媒介される疾患、障害、または症候群を治療する方法である。
より詳細には、疾患は、がんである。さらにより詳細には、がんは、乳がん、結腸がん、直腸がん、子宮内膜がん、胃癌、グリア芽腫、肝細胞癌、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、黒色腫、卵巣がん、子宮頸がん、膵臓がん、前立腺癌、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、または甲状腺癌である。さらにより詳細には、がんは、卵巣がん、子宮頸がん、乳がん、結腸がん、直腸がん、またはグリア芽腫である。
したがって、一実施形態では、治療有効量の多形Eをそれが必要な対象に投与することを含む、子宮内膜がんを治療する方法が、本明細書で提供される。
別の実施形態では、治療有効量の多形Eをそれが必要な対象に投与することを含む、卵巣がんを治療する方法が、本明細書で提供される。
別の実施形態では、治療有効量の多形Eをそれが必要な対象に投与することを含む、非小細胞肺がん(NSCLC)を治療する方法が、本明細書で提供される。
別の実施形態では、治療有効量の多形Eをそれが必要な対象に投与することを含む、乳がんを治療する方法が、本明細書で提供される。
別の実施形態では、治療有効量の多形Eをそれが必要な対象に投与することを含む、リンパ腫を治療する方法が、本明細書で提供される。
別の実施形態では、治療有効量の多形Eをそれが必要な対象に投与することを含む、固形腫瘍を治療する方法が、本明細書で提供される。
別の実施形態では、治療有効量の多形Eをそれが必要な対象に投与することを含む、子宮内膜がんを治療する方法が、本明細書で提供される。
本発明の別の態様は、例えば、PI3Kに結合する候補薬剤をスクリーニングする方法において化合物(I)(例えば、多形E)を用いることを対象とする。その方法では、タンパク質は、担体に結合しており、本発明の化合物が、検定のために添加される。あるいは、本発明の化合物は、担体に結合し、タンパク質が添加される。その中に新規な結合薬剤を探し得る候補薬剤のクラスとして、特異的な抗体、薬品ライブラリーのスクリーングで同定される非天然結合薬剤、ペプチド同族体などが挙げられる。ヒト細胞に対する毒性が低い候補薬剤に対するスクリーング検定が特に重要である。in vitroで標識されるタンパク質−タンパク質結合検定、電気泳動移動度シフト検定、タンパク質結合に対する免疫学的検定、機能検定(リン酸化反応検定など)などを含めた多種多様な検定をこの目的のために使用することができる。
候補薬剤の、例えば、PI3Kへの結合の測定は、多数の方式で実施することができる。一例では、候補薬剤(化合物(I)(例えば、多形E))は、例えば、蛍光または放射能部分を用いて標識され、結合が直接測定される。例えば、これは、PI3Kタンパク質のすべてまたは一部分を固体担体に結合させ、標識剤(例えば、その中の少なくとも1つの原子が検出可能な同位元素で置き換えられた本発明の化合物)を添加し、過剰の試薬を洗い流し、標識体の量が固体担体上に存在するかどうかを測定することによって実施することができる。当技術分野で公知の多様なブロッキングおよび洗浄工程を利用することができる。
本明細書で使用される「標識された」という用語は、検出可能な信号、例えば、放射性同位元素、蛍光タグ、酵素、抗体、磁性粒子などの粒子、化学発光タグ、または特異的結合分子などを提供する化合物によって直接と間接両方で標識することを含むことを意味する。特異的結合分子として、ビオチンとストレプタビジン、ジゴキシンとアンチジゴキシンなどの対が挙げられる。特異的結合メンバーの場合、相補メンバーは、通常、上で概観したような公知の手順にしたがって検出される分子で標識される。標識は、直接または間接に、検出可能な信号を提供することができる。
化合物(I)(例えば、多形E)はまた、追加の薬物候補をスクリーニングするための競合体として使用することができる。本明細書で使用される「候補生物活性薬剤」または「薬物候補」または文法的等価物という用語は、任意の分子、例えば、生物活性を試験されるタンパク質、オリゴペプチド、小型有機分子、ポリサッカリド、ポリヌクレオチオドなどをいう。これは、核酸配列とタンパク質配列の両方を含めた、細胞増殖表現型または細胞増殖シーケンスの発現を直接または間接に、変化させることが可能である。他の場合、細胞増殖タンパク質結合および/または活動の変化がスクリーニングされる。タンパク質結合または活動がスクリーニングされる場合、一部の実施形態は、その特定のタンパク質に結合することが既に公知である分子を排除する。化合物(I)(例えば、多形E)はまた、公知の抗がん剤との組合せで有用である。かかる公知の抗がん剤として、以下:カルボプラチン、パクリタキセル、エルロチニブ、およびトラスツズマブが挙げられる。
〔実施例1〕
化合物(I)の合成
図10は、化合物(I)を製造するための合成スキームを示す。スキームの説明を以下に提供する。
(N−(3−クロロキノキサリン−2−イル)−3−ニトロベンゼンスルホンアミド)の合成:
2,3−ジクロロキノキサリン1kgおよび3−ニトロベンゼンスルホンアミド1kgを5容積のアセトニトリル中で混合する。反応混合物を加熱して還流する。DBU 2.3kgおよび1容積のアセトニトリルを添加する。反応が完了した後に、5℃で冷却する。12容積のメタノールおよびHCl 1.53kgを添加し、反応混合物をろ過する。6容積のメタノールでケーキを洗浄し、真空下で乾燥する。
(N−(3−((2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ)キノキサリン−2−イル)−3−ニトロベンゼンスルホンアミド)の合成:
2−クロロ−5−メトキシアニリン−HCl 0.585kg、3.5容積のアセトニトリルおよびDBU 0.46kgで溶液を製造する(溶液A)。N−(3−クロロキノキサリン−2−イル)−3−ニトロベンゼンスルホンアミド1kgおよび5.5容積のアセトニトリルを混合する。加熱して還流する。溶液Aおよび1容積のアセトニトリルを反応混合物に添加する。還流で反応が完了した後、20℃で冷却し、10容積のメタノールで希釈し、ろ過する。5容積のメタノールで3回ケーキを洗浄し、真空下でそれを乾燥する。
3−アミノ−N−{3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2−イル}ベンゼンスルホンアミド塩酸塩の合成:
N−{3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2−イル}−3−ニトロベンゼンスルホンアミド1kgに、触媒量の炭素担持白金スルフィド(Pt(S)C)、6容積のTHF、0.16容積の水および2容積のエタノールを添加する。反応混合物を撹拌し、加熱して還流する。ギ酸カリウム水溶液(1.4容積の水+ギ酸カリウム0.69kg)を添加する。反応混合物を還流下で反応が完了するまで撹拌して、50℃で冷却する。10容積のメタノールを添加し、1時間撹拌した後、触媒をろ別し、3.4容積のメタノールで洗浄する。ろ過した溶液を20℃で冷却する。HCl 0.62kgを添加する。反応混合物を20℃で撹拌し、5℃で冷却し、ろ過する。ケーキをメタノール(6容積)で洗浄し、真空下で乾燥する。
N−[3−({3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2−イル}スルファモイル)フェニル]−2−メチルアラニンアミド(粗製)の合成:
2−メチルアラニルクロリド塩酸塩の合成。2−アミノ−2−メチルプロパン酸0.42kgに、3.7容積のアセトニトリル、0.04容積のジメチルホルムアミドおよびオキサリルクロリド0.62kgを添加する。反応混合物を20℃で反応が完了するまで撹拌し、ろ過する。1容積のアセトニトリルで2回ケーキを洗浄し、真空下で乾燥する。
3−アミノ−N−{3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2−イル}ベンゼンスルホンアミド塩酸塩1kgに、5℃で8容積のジメチルホルムアミドおよび2−メチルアラニルクロリド塩酸塩0.385kgを添加する。反応が完了した後、50℃で加熱し、K2HPO4(1.4kg)、水(16.5容積)およびエタノール(7.1容積)から作製した溶液を添加する。反応混合物を10℃で冷却し、10℃で2時間撹拌し、ろ過する。10容積の水で3回ケーキを洗浄し、真空下で乾燥する。この方法から、疑似多形Bの形態で粗製N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドが生成する。
粗製N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドを、木炭を使用してジメチルアセトアミドおよびトルエンから再結晶させた後、エタノール中で再スラリー化し、最後にイソプロパノール/エタノール混合物で洗浄して、純粋な形態で本化合物を得た。
驚くべきことにおよび予想外にも、この方法から回収された固体状態の化合物は、完全に、N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドであった。つまり、本化合物の多数の互変異性形態が存在することができるが、本方法によってN−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドのみの固体化合物がもたらされ、ssNMRによって互変異性体の混合物でないことが確認された。
〔実施例2〕
多形Aの製造
粗製N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミド1kgに、20容積のTHFを添加し、加熱して還流し、20容積のエタノールを添加し、30分間還流を維持し、5℃に冷却し、スラリーをろ過し、エタノール(2容積)でケーキを洗浄する。3時間還流下で11容積のエタノール中で湿ケーキを再スラリー化する。5℃で冷却し、ろ過し、2容積のエタノールで洗浄する。真空化で乾燥する。
〔実施例3〕
多形Eの製造
Cu−Kα1放射線を使用するBruker X D8高性能回折計を使用して、本明細書に記載のX線粉末回折分析を実施した。平面加工した試料を調査した。検出器はLynx Eyeであった。X線管の発生器設定は、40kVおよび40mAであった。2θ範囲2〜40°でデータを収集した。この2θ範囲にわたり0.02°刻みで位置感受検出器を移動させ、強度をそれぞれの位置で0.2秒間収集した。測定データを評価し、ソフトウエアEVA v12を用いてプロットした。
FT−IR分光器(Bruker、Vertex 70)を用いてFT−IRスペクトルを記録した。4000〜650cm−1の間でデータを収集した。10回の走査を累積した。分解度は4cm−1であった。スペクトルを評価し、ソフトウエアOPUS V5.0によってプロットした。
方法I
実験室規模で、以下の晶析を二重ジャケット反応器中で実施した;反応器中の温度を二重ジャケット中の温度を介してチェックし、制御した。撹拌装置は、グラスロック型であり、撹拌速度を400rpmに固定した。
未加工化合物(I)5gを50V(250mL)のTHFと合わせて、還流で溶解した。完全な溶解を45℃で観察した。次いで、蒸留によってTHFの残留容積20まで混合物を濃縮した。蒸留の終点で、温度は50℃まで低下し、混合物を30分間恒温で放置した。晶析は、この恒温中に開始した。20Vのエタノールを50℃で速やかに添加した。種晶(多形E)1%をエタノール1ml中に懸濁させ、次いで、THF/エタノール溶液中に導入した。溶液を温度50℃で1時間保持し、次いで、冷却速度20℃/時間で温度を25℃まで下げた。25℃で約10時間後、媒体をろ過し、次いで、2容積のエタノールで洗浄し、次いで、温度50℃で24時間、真空条件下で湿潤生成物を乾燥した。このようにして得られた結晶を光学顕微鏡法で観察した。図6を参照されたい。
方法II
実験室規模で、以下の晶析を二重ジャケット反応器中で実施した;反応器中の温度を二重ジャケット中の温度を介してチェックし、制御した。撹拌装置は、グラスロック型であり、撹拌速度を350rpmに固定した。
未加工化合物(I)10gを10V(100mL)のジメチルアセトアミドと合わせ、二重ジャケットの温度を95℃で固定し、化合物を溶解させた。混合物を70℃まで低下させ、5V(50ml)のトルエンを添加した。晶析は、この時間中に開始した。次いで、混合物を最高90℃まで加熱し、その温度に1時間保持し、冷却速度−10℃/時間で20℃まで下げた。ろ過の前に、懸濁液のアリコートを取り出し、光学顕微鏡法で観察した。溶媒和物の結晶が、微細ロッド形状で出現する。図7を参照されたい。懸濁液をろ過し、次いで、3回:イソプロパノール(それぞれの洗浄について20ml)で2回、次いで、エタノール(10ml)で1回洗浄して化合物(I)のDMAC溶媒和物を得た。
撹拌速度200rpmによって温度50℃で10容積のエタノール中で湿潤粉末を再スラリー化し、次いで、多形Eの種晶を1重量%で添加した。混合物を撹拌下数時間恒温に保持した。多形Eへの多形変換は、この段階で行われる。温度を50℃から70℃まで上昇させることによってこの多形変換を加速することが可能である。ろ過のために温度を再度50℃まで下げた。この変換後に、光学顕微鏡法、ラマン分光法、およびラセンテックプローブを続けることができる。多形Eの結晶が、菱面体粒子の形状で出現する。図8を参照されたい。
変換が完了したときに、混合物を50℃でろ過し、次いで、結晶をイソプロパノール(20ml)で1回、再度1容積のエタノール(10ml)で洗浄した。少なくとも12時間、結晶を静置式(それぞれ温度70℃および110℃で真空皿式乾燥機またはオーブン通風皿式乾燥機)で乾燥した。
本方法の収率は、84%であった。得られた結晶をX線回折によって分析して多形Eが得られたことを確認し、次いで、純度をHPLCによって分析した。この試験では、純度は、99.7%と測定された。
また残留溶媒の含量を測定して:ジメチルアセトアミド(256ppm);イソプロパノール(106ppm);テトラヒドロフラン(<38ppm);エタノール(1667ppm)であることが判明した。
方法III
実験室規模で、以下の晶析を二重ジャケット反応器中で実施した;反応器中の温度を二重ジャケット中の温度を介してチェックし、制御した。撹拌装置は、グラスロック型であり、撹拌速度を350rpmに固定した。
未加工化合物(I)10gを5V(50mL)のDMSO中に懸濁させ、次いで、温度90℃で溶解し、混合物の温度を二重ジャケットを介して制御した。次いで、混合物を冷却速度−20℃/hで70℃まで冷却した。数時間、70℃の恒温にした後、5Vのエタノールを添加した。次いで、混合物を速度−20℃/hで温度20℃まで冷却した。得られた懸濁液を平面フィルター(直径=6cm;空隙=10μm)でろ過した。ケーキを2Vのイソプロパノールおよび1Vのエタノールで2回洗浄した。得られた固体は、白色であった。
撹拌速度200rpmによって温度70℃で10Vのエタノール中で湿潤生成物を再スラリー化した。混合物に、多形Eの種晶を0.5〜1重量%で添加した。多形変換は、白色から多形Eに特徴的な蛍光黄色への媒体色変化と共に行われた。混合物を2時間70℃の恒温に放置し、次いで、50℃まで冷却し、ろ過した。混合物をイソプロパノール(それぞれの洗浄に対して2容積)で2回洗浄し、次いで、エタノール(1V)による新たな洗浄を実施した。12〜24時間、70℃の真空皿式乾燥機で固体を乾燥した。収率は、約84%であった。固体の純度は、99.8%であった(HPLCによる測定)。結晶をX線回折によって分析し、多形Eであることを確認した。残留溶媒をヘッドスペース分析によって測定し:ジメチルスルホキシド(59〜82ppm);イソプロパノール(4〜89ppm);エタノール(1337〜1865ppm)であることが判明した。
方法IV
化合物(I)(多形A)を室温(23℃)で磁気撹拌によってTHF/エタノール 77/23%(v/v)に懸濁させた。24時間後、懸濁液をろ過し、固体を乾燥し、X線粉末回折によって分析した。固体を多形Eであると決定した。
〔実施例4〕
多形Eのキャラクタリゼーション
多形Eを光学顕微鏡法、X線粉末回折、示差走査熱量測定、熱重量分析および赤外分光法(FT−IR)を使用してキャラクタリゼーションした。
光学顕微鏡法によって、多形Eの外観は、大きくて厚い板であった。図6を参照されたい。
Brucker Vertex70赤外分光計を使用するFT−IR分光法によって、3000〜3400cm−1の間のスペクトル領域における大きな相違が、未加工化合物(I)の出発材料形態と多形Eの間に存在した。
示差走査熱量測定(DSC)分析によって、多形Eは、231℃〜233℃の融点を示し、それに伴う溶融エンタルピー約114J/g(例えば、114J/g±10J/g)を有することが示された。こうした値は、Burgerの規則によって、多形AとEの間の単変形関係を示し、多形Eが、より安定な形態である。
多形AおよびEの固体混合物をDSCによって分析した。パターン上に、115℃における吸熱、続いての219℃で始まる発熱を観察した。これは、多形Aの溶融、それに続く最も安定な形態、多形Eの再結晶に対応する。230℃の近傍で、多形Eは、溶融し、それに伴うエンタルピーは105J/gである。このエンタルピーは、純多形Eのエンタルピー(すなわち、約114J/g)に匹敵する。これによって、多形Aがすべて多形Eに変換したことが示唆される。
多形Eの安定性
多形Eの安定性を証明するために、化合物(I)(多形A)およびTHF溶媒和形態と競合させて多形Eを溶媒混合物中に入れることによって実験室規模の試験を実施した。
最初に多形Eを、エタノール/THF 80/20%v/v中に化合物(I)(多形A)と競合させて(混合物50/50、w/w)入れた。24時間磁気撹拌下で周囲温度においてこの安定性試験を実施し、次いで、固体をろ過し、乾燥し、次いでX線粉末回折によって分析した。多形Eを得た。同様な実験を多様な濃度で100%エタノール中で実施した。常に多形Eを得た。
また、化合物(I)(多形A)の種晶を加えた室温の100%エタノール懸濁液として多形Eの安定性を試験した。24時間後、X線粉末回折分析は、多形Eのみを示した。
また、多形Eを、THFから得られた化合物(I)の溶媒和形態と競合で入れた。THF溶媒和形態と多形Eの混合物(50/50、w/w)を室温で40VのTHF/エタノール(50/50、v/v)中に24時間撹拌放置した。最後に、多形Eのみが存在した。
多形Eは、上記の条件下で化合物(I)の多形Aより安定であり、THF溶媒和形態より安定であることが証明された。その優れた性能特性に鑑みて、多形Eが、医薬組成物で使用するためのN−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドの結晶形態として選択された。

Claims (41)

  1. N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドの多形E。
  2. 2θ度で表して角度18.3°±0.3°および24.4°±0.3°に特性ピークを有するX線粉末回折パターンを示す、請求項1に記載の多形。
  3. 角度18.8°±0.3°および23.7°±0.3°に特性ピークを示す、請求項1または2に記載の多形。
  4. 角度10.1°±0.3°および28.3°±0.3°に特性ピークを示す、請求項1〜3のいずれか1項に記載の多形。
  5. 角度9.8°±0.3°および23.2°±0.3°に特性ピークを示す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の多形。
  6. 角度9.8°±0.3°、10.1°±0.3°、18.3°±0.3°、18.8°±0.3°、23.2°±0.3°、23.7°±0.3°、28.3°±0.3°および24.4°±0.3°に特性ピークを示す、請求項1〜5のいずれか1項に記載の多形。
  7. 図1および表1に実質的に一致するX線粉末回折パターンを示す、請求項1〜6のいずれか1項に記載の多形。
  8. 単位cm−1で表される値約1682、約1296および約1136に特性ピークを有するFT−IRスペクトルを示す、請求項1〜7のいずれか1項に記載の多形。
  9. 図2に実質的に一致するFT−IRスペクトルを示す、請求項1〜8のいずれか1項に記載の多形。
  10. 温度232.6±2℃に特性ピークを有する示差走査熱量測定サーモグラムを示す、請求項1〜9のいずれか1項に記載の多形。
  11. 図3に実質的に一致する示差走査熱量測定サーモグラムを示す、請求項1〜10のいずれか1項に記載の多形。
  12. 融点約230〜235℃を示す、請求項1〜11のいずれか1項に記載の多形。
  13. 溶融エンタルピー約114J/gを有する、請求項12に記載の多形。
  14. 図5に実質的に一致する熱重量分析曲線を示す、請求項1〜13のいずれか1項に記載の多形。
  15. 全部で1重量%未満の不純物を含む、請求項1に記載の多形。
  16. 全部で0.1重量%未満の不純物を含む、請求項1に記載の多形。
  17. 2θ度で表して角度18.3°±0.3°、22.0°±0.3°および27.6°±0.3°に特性ピークを有するX線粉末回折パターンを示す、N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドの混合DMAC/トルエン溶媒和物。
  18. 図13および表3に実質的に一致するX線粉末回折パターンを示す、請求項17に記載の溶媒和物。
  19. 2θ度で表して角度7.6°±0.3°、18.6°±0.3°および19.8°±0.3°に特性ピークを有するX線粉末回折パターンを示す、N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドのDMSO溶媒和物。
  20. 図16および表4に実質的に一致するX線粉末回折パターンを示す、請求項19に記載の溶媒和物。
  21. 請求項1に記載の多形と、医薬として許容される担体または希釈剤とを含む医薬組成物。
  22. 多形E以外の結晶質、溶媒和物、水和物または非晶質形態のN−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドの多形をさらに含む、請求項21に記載の医薬組成物。
  23. 多形Aをさらに含む、請求項22に記載の医薬組成物。
  24. 疑似多形Bをさらに含む、請求項22に記載の医薬組成物。
  25. 組成物中のN−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドの全重量に対して1重量%未満の多形Eを含む、請求項21〜24のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  26. 組成物中のN−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドの全重量に対して少なくとも50.0重量%の多形Eを含む、請求項21〜25のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  27. 組成物中の式1の化合物の全重量に対して少なくとも99.0重量%の多形Eを含む、請求項21〜26のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  28. 丸剤、カプセル剤、ロゼンジ剤または錠剤の形態で経口投与用に製剤される、請求項21〜27のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  29. 懸濁剤の形態である、請求項21〜27のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  30. 以下の:(a)N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドを第1の溶媒に溶解する工程、(b)場合により第2の溶媒を添加する工程、および(e)前記多形が形成されるように場合により混合物に種晶を添加する工程を含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載の化合物を製造するための方法。
  31. 以下の:(a)N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドをTHFに溶解する工程、(b)混合物を濃縮する工程、(c)混合物の温度を低下させる工程、(d)エタノールを混合物に添加する工程、(e)混合物に種晶を添加する工程、および(f)前記多形が形成されるように混合物の温度を低下させる工程を含む、請求項30に記載の方法。
  32. 以下の:(a)N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドをジメチルアセトアミドに溶解する工程、(b)トルエンを添加する工程、(c)混合物の温度を低下させる工程、(d)混合物から固体をろ過し、固体を洗浄する工程、(e)ろ過固体をエタノール中に懸濁させる工程、および(f)前記多形が形成されるように混合物に種晶を添加する工程を含む、請求項30に記載の方法。
  33. 以下の:(a)N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドをDMSOに溶解する工程、(b)エタノールを混合物に添加する工程、(c)混合物から固体をろ過する工程、(d)固体をエタノール中に懸濁させる工程、および(e)前記多形が形成されるように混合物に種晶を添加する工程を含む、請求項30に記載の方法。
  34. 請求項1〜20のいずれか1項に記載の多形または請求項21〜29のいずれか1項に記載の医薬組成物の有効量を治療が必要な患者に投与することを含む、PI3Kによって媒介される障害を治療するための方法。
  35. 障害が、細胞増殖疾患である、請求項34に記載の方法。
  36. 障害が、乳がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、胃癌、グリア芽腫、肝細胞癌、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、黒色腫、卵巣がん、膵臓がん、前立腺癌および甲状腺癌から選択される、請求項34または35に記載の方法。
  37. N−(3−{[(2Z)−3−[(2−クロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]キノキサリン−2(1H)−イリデン]スルファモイル}フェニル)−2−メチルアラニンアミドの多形Eを含む医薬組成物が投与される、請求項36に記載の方法。
  38. PI3Kによって媒介される障害を治療するための医薬を製造するための請求項1〜20のいずれか1項に記載の多形の使用。
  39. 障害が、細胞増殖疾患である、請求項38に記載の使用。
  40. 障害が、乳がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、胃癌、グリア芽腫、肝細胞癌、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、黒色腫、卵巣がん、膵臓がん、前立腺癌および甲状腺癌からなる群から選択される、請求項38または39に記載の使用。
  41. 乳がん、結腸直腸がん、子宮内膜がん、胃癌、グリア芽腫、肝細胞癌、小細胞肺がん、非小細胞肺がん、黒色腫、卵巣がん、膵臓がん、前立腺癌および甲状腺癌からなる群から選択される障害を治療するための医薬を製造するための請求項1〜20のいずれか1項に記載の多形の使用。
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