JP2015526447A - チアンジンアミド誘導体、並びにその医薬組成物及び使用 - Google Patents

チアンジンアミド誘導体、並びにその医薬組成物及び使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、チアジンアミド誘導体、及びその薬学的使用に関し、特に式Iの化合物(式中の可変部は、明細書に記載される通りである)、薬学的に許容されるその塩、溶媒和物または水和物に関する。本発明は、さらに該化合物を調製するための方法、該化合物を含む医薬組成物、及び神経変性疾患を予防または治療するための方法またはその使用に関する。

Description

本発明は、チアジンアミド誘導体、該化合物を含む医薬組成物、及び神経変性疾患を予防または治療するための方法またはその使用に関する。
神経変性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、虚血性または出血性脳卒中等を含める神経系の進行性病変により引き起こされる疾患である。疾患の原因が複雑であり、また発症のメカニズムがさほど明確でないために、現在のところ効果的な治療は存在しない。
免疫抑制剤FK506と結合することから名付けられたFKBPは、FK506が免疫抑制機能を発揮することを可能にする重要なメディエーターであるが、その生理学的な機能は、まだ完全には明らかにされていない。1992年に、Steiner J.P等は、FKBP(FKBPファミリー)の脳及び末梢神経系中の濃度が、免疫組織中の濃度よりもかなり高かったことを見出し、このことはFKBPと神経系との間に確かな関連性があるという推測を導く。Dawson等の研究結果は、FK506がグルタミン酸塩によるNMDA受容体の活性化により引き起こされる神経興奮毒性を遮断できることを示した。FK506は、カルシニューリンを阻害後に一酸化窒素合成酵素(NOS)のリン酸化反応を増加させ、そしてNOSの触媒活性を阻害することにより、ニューロンがNOにより傷つけられることを阻止し得ると考えられる。さらに研究は、ニューロンに密接に関連したGAP43が、カルシニューリンの基質であることも示した。傷ついた顔面神経及び坐骨神経の再生は、常にGAP43のmRNAレベルの明白な上昇を伴い、同時にFKBPのmRNAレベルは、それに応じて上昇する。これらの研究結果は、FKBPが神経の成長と確かな関連性を有する可能性があることを示し、そして最終的にFKBPのリガンドから神経の成長を促進することができる有機低分子化合物を見つけ出すことの動機づけとなり、それによりFKBPは神経−イムノフィリンとも呼ばれた。
上記の見通しにより方向付けられ、1994年にLyons等の研究は、免疫抑制剤FK506が、神経の成長を促進する有意なin vitro活性を有することを示し、そして有機低分子神経成長プロモーターについての研究を開始した。FKBPファミリーのリガンドによる神経の成長及び保護を促進するメカニズムは、完全に理解されていないが、ますます多くの研究が、FKBPが工程に関与し、介在することを示した。In vitro試験(ニワトリ胚後根神経節成長、PC12細胞分化、神経細胞株の酸化損傷等)及び多様な動物モデル(ラット末梢坐骨神経損傷モデル、糖尿病ラット末梢神経変性モデル、パーキンソン病動物モデル、アルツハイマー病動物モデル等)を含める生物学的評価は、FKBPの構造に基づき設計及び合成されたいくつかの化合物が、神経の成長及び保護を促進する有意な効果を有することを示した。典型的な化合物は、Guilford Pharmaceuticals IncのGPI1485であり、パーキンソン病及び脳卒中の予防または治療の治療としてのGPI1485の第II相臨床研究は完了し、そしてさらに第III 相臨床研究が継続中である。同時に、多数の高い活性化合物が継続して出現することにより、FKBPは、神経変性疾患の予防または治療のための医薬の重要な標的になり得る。
中国特許出願第01142744.2号(置換されたヘキサアザシクロ化合物、及び神経調節因子としてのそれらの使用)は、新規の構造を伴い、且つ神経再生を促進することができるFKBPリガンドを開示し、ここでの化合物4は、最適な化合物である。しかしながら研究は、該化合物が乏しい血液脳関門透過性を有し、且つ低い融点及び常温で油状であることにより、該化合物が、神経変性疾患の予防または治療のための医薬の製造には適さなかったことを示した。
したがって、血液脳関門のへの透過性を高め、且つ神経変性疾患の予防または治療において有用な新規化合物の発見及び開発が必要である。
本発明は、新規のチアジンアミド誘導体、該化合物を含む医薬組成物、及び神経変性疾患の予防または治療のための方法またはその使用を提供することを目的とする。
本発明の第一の観点は、式Iの構造
Figure 2015526447
を有するチアジンアミド誘導体、または薬学的に許容され得るその塩、溶媒和物もしくは水和物を提供し、式中、
1は、水素、または1〜6個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルであり;
2は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル、またはフェニル置換された1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルである。
一つの態様では、本発明は、式中、
1が、水素、または1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルであり;
2が、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル、またはフェニル置換された1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルである式Iの構造を有するチアジンアミド誘導体、または薬学的に許容され得るその塩、溶媒和物もしくは水和物を提供する。
他の態様では、本発明は、式中、
1が、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルであり;
2が、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル、またはフェニル置換された1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルである式Iの構造を有するチアジンアミド誘導体、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくは水和物を提供する。
他の態様では、本発明は、式中、
1が、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルであり;
2が、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルである式Iの構造を有するチアジンアミド誘導体、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくは水和物を提供する。
他の態様では、本発明は、式中、
1が、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルであり;
2が、フェニル置換された1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルである式Iの構造を有するチアジンアミド誘導体、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくは水和物を提供する。
他の態様では、本発明は、式中、
1が、イソブチルであり;そして
2が、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル、またはフェニル置換された1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルである式Iの構造を有するチアジンアミド誘導体、または薬学的に許容され得るその塩、溶媒和物もしくは水和物を提供する。
他の態様では、本発明は、式Iの構造を有するチアジンアミド誘導体、または薬学的に許容され得るその塩、溶媒和物もしくは水和物を提供し、ここで化合物は、以下の化合物:
(2R)−4−メチル−2−{[(3R)−4−(トルエン−4−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボニル]−アミノ}−ペンタン酸、
(2R)−4−メチル−2−{[(3R)−4−(トルエン−4−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボニル]−アミノ}−ペンタン酸エチルエステル、
(2R)−4−メチル−2−{[(3R)−4−(トルエン−4−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボニル]−アミノ}−ペンタン酸プロピルエステル、
(2R)−4−メチル−2−{[(3R)−4−(トルエン−4−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボニル]−アミノ}−ペンタン酸イソプロピルエステル、
(2R)−4−メチル−2−{[(3R)−4−(トルエン−4−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボニル]−アミノ}−ペンタン酸ベンジルエステル、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくは水和物から選択される。
本発明の第二の観点は、前記第一の観点の任意の態様において述べられた化合物、及び1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
1つの態様では、本発明は、前記第一の観点の任意の態様の化合物に加えて、さらに他の適切な医薬活性化合物、及び1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
本発明の第三の観点は、薬剤の製造における前記第一の観点の任意の態様の化合物の使用を提供し、ここで薬剤は、生理的もしくは物理的損傷、または進行性病変により引き起こされる神経変性疾患の予防または治療に用いられる。
一つの態様では、神経変性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、後天性免疫不全症に関連した神経障害、脳脊髄多発性硬化症、脳卒中または物理的刺激に関連した脳損傷、及び中枢または末梢神経系に影響を及ぼす種々の神経変性疾患から選択される。
本発明の第四の観点は、生理的もしくは物理的損傷、または進行性病変により引き起こされる神経変性疾患の予防または治療に用いられる第一の観点の任意の態様の化合物を提供する。
一つの態様では、神経変性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、後天性免疫不全症に関連した神経障害、脳脊髄多発性硬化症、脳卒中または物理的刺激に関連した脳損傷、及び中枢または末梢神経系に影響を及ぼす種々の神経変性疾患から選択される。
本発明の第五の観点は、有効量の第一の観点の任意の態様の化合物、または第二の観点の医薬組成物を対象に投与することを含む、対象における生理的もしくは物理的損傷、または進行性病変により引き起こされる神経変性疾患の予防または治療のための方法を提供する。
一つの態様では、神経変性疾患は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、後天性免疫不全症に関連した神経障害、脳脊髄多発性硬化症、脳卒中または物理的刺激に関連した脳損傷、及び中枢または末梢神経系に影響を及ぼす種々の神経変性疾患から選択される。
本発明の化合物は、以下の反応経路:
Figure 2015526447
において示される方法により製造されることができる。
本発明の化合物、該化合物を含む医薬組成物、及び該化合物を用いることによる対象の生理的もしくは物理的損傷、または進行性病変により引き起こされる神経変性疾患を予防または治療するための方法を説明する場合、本明細書において用いられる以下の用語は、以下の意味を有する。用いられる用語が明確に定義されてない場合、その用語は、当業者に一般に理解されている意味を有する。
用語“1〜6個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル”とは、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルを言い、例示的な基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等を含める。
同様に用語“1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル”とは、 1、2、3または4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルを言い、例示的な基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル等を含める。
用語“薬学的に許容され得る塩”とは、薬学的に許容される、且つ親化合物の薬理活性を有する本発明の化合物の塩を言う。本明細書において開示される塩は、無機及び有機酸から由来するものを含める。無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等を含め;有機酸の例は、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンチルプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、カンファースルホン酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸等を含め;さらに塩は、親化合物における酸性プロトンの、アルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオン等の金属イオンによる置換により形成されるもの;及び有機塩基を伴う親化合物により形成される配位化合物(有機塩基の例は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルグルカミン等を含める)を含める。
用語“溶媒和物”とは、他に特定されていない限り、薬学的に許容される溶媒による本発明の化合物の複合により形成される物質を言う。薬学的に許容される溶媒は、水、エタノール、酢酸等を含む。溶媒和物は、化学量論的及び非化学量論的溶媒和物、好適には水和物を含む。本発明の化合物は、水または多様な有機溶媒中で結晶化または再結晶化され得る。この場合には、多様な溶媒和物を形成してもよい。
用語“対象”は、 哺乳動物またはヒト、好適にはヒトを含む。
用語“有効量”とは、必要とする対象に投与する場合に、疾患を予防または治療するのに十分な化合物の用量を言う。“有効量”は、化合物、疾患及びその重篤度、並びに治療される対象の年齢、体重等に応じて調整される。
用語“治療”とは、対象の疾患の1つ以上の兆候を改善させ、または取り除くことを言う。
用語“予防”とは、疾患に苦しむ対象のリスクを減少させることを言い、すなわち疾患に接触し得る、または疾患に感染しやすく、且つ疾患の兆候に苦しんでいない、または疾患の兆候を示していない対象について、少なくとも1つの疾患の臨床的な兆候が予防されることができる。
用語“薬学的に許容される賦形剤”とは、医薬品の分野において慣用的に用いられる任意の賦形剤を言う。特定の賦形剤の選択は、特定の患者を治療するための投与方法、または疾患のタイプ及び症状により決まる。例えば薬学的に許容される賦形剤は、従来から医薬分野に存在する希釈剤、担体、充填剤、結合剤、保湿剤、崩壊剤、吸収促進剤、界面活性剤、吸着担体、潤滑剤等を含む。必要であれば、香味料、保存料、甘味料等は、医薬組成物中に添加されることができる。特定の投与形式に適する医薬組成物の調製方法は、医薬分野の当業者に周知の範囲内にある。
本発明の医薬組成物は、当業界において一般に用いられる任意の方法及び任意の形態において投与されることができる。例えば本発明の医薬組成物は、以下:経口投与、吸入噴霧、直腸投与、鼻腔投与、膣投与、局所投与、非経口投与(皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、髄腔内、心室内、胸骨内または頭蓋内注入等)、好適には経口投与、筋肉注入、及び腹腔内または静脈内注入から選択される方法において投与されることができる。
本発明の医薬組成物は、投与のための単位用量の形態に作られることができる。投与形態は、液体投与形態または固体投与形態であってもよい。液体投与形態は、溶液タイプ、コロイドタイプ、乳液タイプまたは懸濁液タイプ等であってもよい。固体投与形態は、錠剤、粉末、坐剤、顆粒またはカプセル等であってもよい。他の投与形態は、エアロゾル、インプラント、パッチまたは湿布等を含む。
一般的には、ヒトでの使用であっても、獣医用の使用であっても、本発明の化合物の投与量が、24時間あたり、約1〜1000mg、好適には5〜500mgであれば有利であることが証明されている。適切な場合、1日投与量は、所望される効果を得るために、反復用量単位を用いることにより、数回に分けて投与されることができる。用量単位における本発明の化合物の含有量は、1〜200mg、好適には1〜100mgであってもよい。しかしながら特定の投与量は、治療される対象のタイプ及び体重、疾患の性質及び重篤度、調製品のタイプ、医薬品の投与形式、投与期間または投与間隔等により決まる。
本発明によれば、式Iの化合物は、血液脳関門を通じて透過することができ、また中国特許出願第01142744.2号における化合物4よりも優れていることから、より高い生物学的利用能をもたらす結果となる。さらに中国特許出願第01142744.2号における化合物4と比較して、式Iの化合物は白色結晶であることから、容易に加工されることができる。該化合物は、高い融点を伴う安定した結晶であり、その固体は固くなく、且つ良好な流動性を有する。したがって式Iの化合物は、大規模な工業的な調製及び加工、特に粉砕、加熱による乾燥、流動床乾燥、高温及び高圧殺菌等の熱を要求する、または熱を産生する薬学的な加工に適している。さらに本発明の化合物は、中国特許出願第01142744.2号における化合物4と比較して、抗マウス不完全脳虚血有効性の評価において有意に優れた効果を有する。
発明者等により完了した実験及びその結果に基づき、本発明の化合物は、神経変性、及び多様な物理的損傷により引き起こされる神経障害(機械的損傷または衝撃等)または疾患(糖尿病または後天性自己免疫不全症等)に関連する神経疾患を含める種々の神経障害状態の下で、神経成長及び再生を促進し得ることが期待されるので、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症または脳卒中等の神経変性疾患の予防または治療に使用されることができる。
実施態様の詳細な説明
以下の実施態様は、さらなる説明のために用いられる例示的な実施態様であり、また本発明への限定として解釈されるべきではない。
化合物の融点は、RY−1融点装置により測定し、また温度計は、調整(calibrate)しなかった。1H NMRは、ARX−400NMR機器により測定した。質量スペクトルは、VG−ZabSpec MS機器により測定した。他に断りのない限り、反応に使用した全ての溶媒は、標準的な前処理を行った。
実施例1
2−ヒドロキシエチルシステイン
109g(0.9mol)のL−システインを、2000mLの丸底フラスコ中に添加し、1000mLの蒸留水に溶解させ、氷浴中で10℃に冷却し、24mLの1MのNaOH溶液でpH〜7に中和した。予め冷却した100mLのエチレンオキシドを10℃で取り上記の混合物に添加し、混合物を1時間、10℃で温度を保ちながら反応させ、その後に温度を室温まで昇温し、反応をさらに1.5時間継続させた。
混合物を400mL×4のエチルエーテルで抽出し、未反応のエチレンオキシドを除去した。水性層を60℃未満の蒸留により除去し、黄色の固体を得て、85mL:350mLの比率にある水及びエタノールで再結晶させ、ろ過し、95%エタノールで十分に洗浄し、標的化合物を白色のフレーク状の固体として得た。mp(融点)は195〜196℃、重量は約100g、収率は67.5%であった。1H−NMR(400MHz, D2O)δ:3.96131 (dd, 1H, J1=4.272Hz, J2=7.816Hz), 3.80680−3.77293 (m, 2H), 3.17887 (dd, 1H, J1=4.268Hz, J2=14.814Hz), 3.08224 (dd, 1H, J1=7.480Hz, J2=14.814Hz), 2.80103 (t, 2H, J= 6.036Hz)。
実施例2
2−クロロエチルシステイン塩酸塩
44gの2−ヒドロキシエチルシステインを、1000mLの丸底フラスコ中に添加し、600mLの濃塩酸中に溶解させ、外部温度が90〜95℃になるまで加熱し撹拌し7時間反応させた。反応後に系を冷蔵し、一晩置き、多量の針状の固体を系から沈殿させた。吸引ろ過(sucking filtration)により溶媒を除去し、得られた固体を自然乾燥させ、灰白色の固体を得た。mpは185〜186℃であり、重量は約40gであり、収率は70%超であった。1H−NMR (400MHz, D2O)δ:4.30477−4.26952 (m, 1H), 3.81913−3.78409 (m, 2H), 3.25903 (dd, 1H, J1=4.444Hz, J2=14.984Hz), 3.18877 (dd, 1H, J1=7.352Hz, J2=15.072Hz), 3.04410−3.00625 (m, 2H)。
実施例3
(3R)−チオモルホリン−3−カルボン酸塩酸塩
20gの2−クロロエチルシステイン塩酸塩を水中に溶解させ、氷槽中で7.2gのNaHCO3を含むNaHCO3水溶液を滴下し添加し、添加後に中和のために混合物を十分に撹拌し、酢酸エチルで3回抽出し、有機層を組合せ、Na2SO4で乾燥させた。
減圧下で溶媒を除去し、400mLの無水メタノールを添加し、系を室温で5日間撹拌した。減圧下で溶媒を除去し、メタノール及びエチルエーテルにより残渣を再結晶させ、約6gのほぼ白色の固体得た。mpは160〜161℃であった。1H−NMR (400M Hz, DMSO−d6)δ:10.0898 (brs, 2H), 4.4214 (dd, 1H, J1=3.52Hz, J2= 8.56Hz), 3.7833 (s, 3H), 3.4986−3.4766 (m, 1H), 3.2246−3.0606 (m, 3H), 2.9897−2.9593 (m, 1H), 2.8763−2.8622 (m, 1H); MS (FAB) m/z: 162.0 (M−35.5), 102.0, 74.0。
実施例4
(3R)−4−(トルエン−4−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボン酸
13.0gの(3R)−チオモルホリン−3−カルボン酸塩酸塩を、120mLのジクロロメタン中に懸濁させ、0℃に冷却し、30mLのトリエチルアミンをゆっくり滴下し、混合物を1時間撹拌し、その後120mLのジクロロメタン溶液に溶解させ、13.5gの塩化p−トルエンスルホニルをゆっくり滴下し、得られた混合物を室温で24時間反応させ、白色の沈殿を除くためにろ過し、ろ液を飽和炭酸水素ナトリウム溶液及び水で連続的に洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、乾燥剤を除去し、蒸留によりジクロロメタンを除去し、白色の固体を得て、酢酸エチル及びシクロヘキサンで再結晶させ、19.4gの白色の結晶を得た。収率は93.5%、mpは87〜88℃、比旋光度は、[α]D 24.5=−78.1°(c 2.00, CH2Cl2)であった。1H−NMR (400MHz, CDCl3)δ:7.66938 (d, 2H, J=7.352Hz), 7.29941 (d, 2H, J=8.036Hz), 5.06654 (t, 1H, J=3.436Hz), 4.04908−3.99999 (m, 1H), 3.63087 (s, 3H), 3.45333−3.38197 (m, 1H), 3.06102−3.02157 (m, 1H), 3.00305−2.95904 (m, 1H), 2.82287−2.74967 (m, 1H), 2.42975 (s, 3H), 2.40451−2.36514 (1H)。
実施例5
(2S)−4−メチル−2−{[(3R)−4−(トルエン−4−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボニル]−アミノ}−ペンタン酸エチルエステル
6mL(0.042mol)のTEAを、200mLのCH2Cl2中、4.2g(0.14mol)の(3R)−4−(トルエン−4−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボン酸、3.0g(0.017mol)のL−ロイシンエチルエステル塩酸塩、3.2g(0.014mol)のDCC、及び1.7g(0.014mol)のDMAPの混合物に添加し、そして混合物を室温で、24時間反応させた。反応後に、吸引ろ過(sucking filtration)により固体を除去し、蒸発により溶媒を除去し、残渣を適量の酢酸エチルで溶解させ、不溶物を除去するためにろ過し、酢酸エチルで希釈し、10%のNaHCO3溶液及び飽和NaCl溶液で連続的に洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。乾燥剤を除去し、酢酸エチルを蒸発により除去し、フラッシュクロマトグラフィーカラムにより残渣を分離し(溶離剤:CH2Cl2:CH3Cl=1:1)、4.0gの油状物を得た。1H−NMR (400MHz, CDCl3):δ 7.77337−7.75377 (d, 2H, J=8.4HZ), 7.37582−7.264111 (d, 2H, J=8.4Hz), 6.79090 (d, 1H, J=8.644Hz), 4.79698−4.58466 (m, 2H), 4.31444−4.08398 (m, 3H), 3.31989−3.11674 (m, 2H), 2.53154−2.45847 (m, 5H), 2.24620−2.21545 (m, 1H), 1.69352−1.65150 (m, 7H), 0.97759−0.94891 (m, 10H); MS (EI) m/z: 443.4, 397.2, 369.2, 263.1, 256.1, 155.0, 139.2, 101.1。
実施例6
(2R)−4−メチル−2−{[(3R)−4−(トルエン−4−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボニル]−アミノ}−ペンタン酸エチルエステル
実施例5に準じて、D−ロイシンエチルエステル塩酸塩より、(2R)−4−メチル−2−{[(3R)−4−(トルエン−4−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボニル]−アミノ}−ペンタン酸エチルエステルを、白色結晶として得た。収率は83.5%、mpは93〜95℃、比旋光度[α]D 24.5=−35.4°であった。1H−NMR (400MHz, CDCl3):δ 7.77337−7.75377 (d, 2H, J=8.4HZ), 7.37582−7.264111 (d, 2H, J=8.4Hz), 6.79090 (d, 1H, J=8.644Hz), 4.79698−4.58466 (m, 2H), 4.31444−4.08398 (m, 3H), 3.31989−3.11674 (m, 2H), 2.53154−2.45847 (m, 5H), 2.24620−2.21545 (m, 1H), 1.69352−1.65150 (m, 7H), 0.97759−0.94891 (m, 10H); MS (EI) m/z: 443.4, 397.2, 369.2, 263.1, 256.1, 155.0, 139.2, 101.1。
実施例7
(2R)−4−メチル−2−{[(3R)−4−(トルエン−4−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボニル]−アミノ}−ペンタン酸プロピルエステル
実施例5に準じて、D−ロイシンプロピルエステル塩酸塩より、(2R)−4−メチル−2−{[(3R)−4−(トルエン−4−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボニル]−アミノ}−ペンタン酸プロピルエステルを、白色の結晶として得た。収率は87.5%、mpは96〜98℃、また比旋光度[α]D 24.5=−38.1°であった。1H−NMR (400MHz, CDCl3):δ 7.76337−7.74277 (d, 2H, J=8.4HZ), 7.37782−7.35712 (d, 2H, J=8.4Hz), 6.76390−6.74745 (d, 1H, J=8.644Hz), 4.79598−4.70066 (m, 2H), 4.28444−4.08098 (m, 3H), 3.54489−3.53274 (t, 1H, J=2.6HZ), 3.14892 (d, 1H, J=13.676), 2.56954−2.42247 (m, 5H), 2.23720−2.19945 (m, 1H), 1.70552−1.62350 (m, 5H), 0.95459−0.93291 (m, 9H); MS (EI) m/z: 457.3, 397.2, 369.3, 256.2, 174.0, 118.1, 101.1。
実施例8
(2R)−4−メチル−2−{[(3R)−4−(トルエン−4−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボニル]−アミノ}−ペンタン酸イソプロピルエステル
実施例5に準じて、D−ロイシンイソプロピルエステル塩酸塩から、(2R)−4−メチル−2−{[(3R)−4−(トルエン−4−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボニル]−アミノ}−ペンタン酸イソプロピルエステルを、白色の結晶として得た。収率は91.5%、mpは89〜91℃、比旋光度[α]D 24.5=−43.9°であった。1H−NMR (400MHz, CDCl3):δ 7.76237−7.74077 (d, 2H J=8.208Hz), 7.37382−7.26511 (d, 2H, J=8.208Hz), 6.75090 (d, 1H, J=8.944Hz), 5.40112 (m.1H), 4.79298−4.25166 (m, 3H), 3.54989−3.53674 (t, 1H, J=12.31110), 3.15292−3.11800 (d, 1H, J=13.676HZ), 2.56054−2.46247 (m, 4H), 2.23220−2.20345 (m, 1H), 1.62552−1.43450 (m, 4H), 1.26202−1.24745 (m, 6H), 0.94659−0.93191 (m, 6H); MS (EI) m/z: 457.3, 397.2, 369.2, 256.2, 154.7, 101.1。
実施例9
(2R)−4−メチル−2−{[(3R)−4−(トルエン−4−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボニル]−アミノ}−ペンタン酸ベンジルエステル
実施例5に準じて、D−ロイシンベンジルエステル塩酸塩から、(2R)−4−メチル−2−{[(3R)−4−(トルエン−4−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボニル]−アミノ}−ペンタン酸ベンジルエステルを白色の結晶として得た。収率は83.5%、mpは91〜93℃、また比旋光度[α]D 24.5=−33.1°であった。1H−NMR (400MHz, CDCl3):δ7.75237−7.71377 (d, 2H, J=1.2HZ), 7.36382−7.26322 (m, 7H), 6.73090 (m, 1H), 5.18600−5.11600 (2H, m), 4.78698−4.75466 (m, 2H), 4.24244−4.10298 (m, 1H), 3.37689−3.09274 (m, 2H), 2.52054−2.44547 (m, 5H), 2.06820−2.04745 (m, 1H), 1.66552−1.25450 (m, 3H), 0.92259−0.90691 (m, 6H); MS (EI) m/z: 505.6, 475.1, 457.6, 434.7, 399.0, 370.8, 336.7, 308.3, 272.4, 232.6, 148.8, 106.5。
実施例10
(2R)−4−メチル−2−{[(3R)−4−(トルエン−4−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボニル]−アミノ}−ペンタン酸
実施例5に準じて、D−ロイシンから、(2R)−4−メチル−2−{[(3R)−4−(トルエン−4−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボニル]−アミノ}−ペンタン酸を、白色の結晶として得た。収率は77.5%、mpは87〜89℃、比旋光度[α]D 24.5=−86.7°であった。1H−NMR (400MHz, CDCl3):δ7.75237−7.71377 (d, 2H, J=1.2HZ), 7.36382−7.26322 (m, 7H), 6.73090 (m, 1H), 5.18600−5.11600 (2H, m), 4.78698−4.75466 (m, 2H), 4.24244−4.10298 (m, 1H), 3.37689−3.09274 (m, 2H), 2.52054−2.44547 (m, 5H), 2.06820−2.04745 (m, 1H), 1.66552−1.25450 (m, 3H), 0.92259−0.90691 (m, 6H); MS (EI) m/z: 505.6, 475.1, 457.6, 434.7, 399.0, 370.8, 336.7, 308.3, 272.4, 232.6, 148.8, 106.5。
実施例11
化合物の神経栄養活性の評価
本発明の化合物の神経栄養活性は、ニワトリ胚後根神経節のin−vitro血清不存在(serum-free)培養モデル等の多様なin−vitro生物学的モデルにおいて評価することができる。8日間培養したニワトリ胚を使用し、殺菌環境において左右の脊椎及び神経節を解剖顕微鏡下に曝した。ピンセットにより後根神経節を1つずつ取り、1瓶当たり5〜6個の後根神経節の割合でラット尾コラーゲンが置かれた培養瓶中に播種し、用量ごとに2つの瓶を調製し、付着(adherence)のために培養器中で、37℃、5%のCO2で、1時間培養し、その後にNGF(0.15ng/mL)及び本発明の化合物を含む血清不存在培養培地DMEMを添加し、一方で対照群には、培養培地及び同用量のNGFのみを添加した。培養器中で48時間培養後、逆位相差顕微鏡下で後根神経節周囲の神経突起の成長を観察し、神経突起の長さ及び密度に従いスコア化した。ここで、0ポイントは神経突起が無かったことを表し;1ポイントは神経突起がわずかであったことを表し;2ポイントは神経突起が比較的に長くまたは高密度であったことを表し;3ポイントは神経突起が長く且つ高密度であったことを表す。様々な投与量での本発明の化合物の促進下におけるニワトリ胚後根神経節の神経突起の成長のスコアを表1に示す。ここでそれぞれのスコアは、5つの後根神経節の平均である。
表1:ニワトリ胚後根神経節の促進における化合物の活性の評価結果
Figure 2015526447
実施例12
脳卒中に関する化合物のin−vivo薬力学的評価
1.実験スキーム
本実施例は、実験対象としてKunmingマウスを採用し、神経学的機能スコア及び脳中のMDA含有量を測定することにより、マウス低血圧両側頸動脈閉塞(BCAO−LBP)モデルにおける、静脈内及び胃内投与による本発明化合物の予防投与のマウスの不完全な脳虚血に対する保護作用を研究した。
2.実験方法
2.1 薬物調製
2.1.1 0.7%CMC−Naの調製:使用の前日に、0.7g(700mg)のCMC−Na乾燥粉体を計量し、100mLの蒸留水中に添加し、混合物を加熱し、穏やかに撹拌し、一晩置き、完全に溶解後に十分且つ均一に混合し、保存密閉した。
2.1.2 胃内投与のための薬物の調製:本発明の化合物を、0.7%のCMC−Naを用いて30mg/kgとし、超音波処理により十分且つ均一に混合し、1.5mg/mLの溶液を得た。0.2mL/10gの割合で胃内(i.g)投与を行った。
2.1.3 10%のDMSOの調製:1000μLのDMSO(分析的に純粋)を、マイクロピペットにより9mLのN.S.(生理食塩水)に移し、均一に混合した。必要に応じて調製した。
2.1.4 静脈投与のための薬物の調製:最初に本発明の化合物を少量のDMSOに溶解させ、数分後に要求される体積に達するまでN.S.を添加し、十分且つ均一に混合し、1mg/mLの溶液を得て(DMSOの最終濃度は10%であった)、必要に応じて調製した。0.1mL/10gの割合で溶液を尾静脈に注入し、ここでマウスにおける投与量は、10mg/kgであった。
2.2 群及び投与
2.2.1 胃内投与による本発明の化合物の抗脳虚血効果の観察
研究室環境に1週間適応させた28匹のマウスを、体重に従い均衡のとれた群に分け、0.7%のCMC−Naまたは本発明の化合物を、1日1回、継続して3日間、それぞれi.g投与した。特定群は、以下の通りであった:
偽手術(sham operation)群:4匹のマウス、0.7%CMC−Na溶液のi.g処置 脳虚血モデル群:12匹のマウス、0.7%CMC−Na溶液のi.g処置
薬物群:12匹のマウス、個別に本発明の化合物溶液のi.g処置、ここで、投与量は30mg/kgであった。
2.2.2 静脈内投与による本発明の化合物の抗脳虚血効果の観察
研究室環境に1週間適応させた28匹のマウスを、体重に従い均衡のとれた群に分け、10%のDMSOまたは本発明の化合物を、1日1回、継続して3日間、それぞれi.v投与した。特定群は以下の通りであった:
偽手術(sham operation)群:4匹のマウス、10%DMSO溶液のi.v処置
モデル群:12匹のマウス、10%のDMSO溶液のi.v処置
薬物群:12匹のマウス、個別に本発明の化合物の溶液のi.v処置、ここで、投与量は10mg/kgであった。
2.3 マウスの不完全広域脳虚血及び脳中のMDA含有量の決定
2.3.1 マウス両側頸動脈結紮:最終投与後1時間、マウスをより低い血圧になるまで眼窩流血(マウスの総血液体積の約30%)させ、その後にマウスを仰臥位で手術プレート上に固定し、頸部の中央で切開した。総頸動脈(common carotid artery)を鈍的分離(blunt separation)により露出させ、露出させた動脈の各末端下につき2つの縫合を準備、動脈の両端をそれぞれ結紮した。3番目の縫合の結紮が終わった時に計時を開始し、その後に2つの結紮間の総頸動脈を切断し、切開を縫合した。偽手術群では、総頸動脈を結紮せずに分離した。手術後にマウスを速やかに放し、マウスの6時間の行動、及び死亡時間を観察し、記録した(以下の表に従い、盲検法によりスコア化した)。死亡後に脳を速やかに摘出し、小脳を除去し、TBA法により脳全体におけるMDA含有量を決定した。6時間までに死亡しなかったマウスを殺し、そして脳を摘出した。
2.3.2 神経機能スコア:スコアリング基準は、表2に示した。
表2:神経行動学的評価表
Figure 2015526447
2.3.3 マウスの脳中のMDA含有量の決定
マウスの脳を摘出し、計量し、N.Sにより15%の脳ホモジネートに調製し、1.2mLのホモジネートを取り出し、37℃の水浴中に1時間入れ(10分ごとに1回振盪した)、その後に水から取り出し、0.6mLの20%のトリクロロ酢酸を添加し、均一に混合し、10分間置き、2000rで10分間遠心分離にかけ、1.2mLの上清を0.6mLの0.67%のTBAに添加し、沸騰している水槽に10分間入れ、その後に冷却、532nmでのOD値を決定した。
3.統計分析
実験データは、
Figure 2015526447

で表し、SPSS13.0統計ソフトウェアを適用し、分散の均一性を単一因子分散分析により判定した。分散の均一性をLSDにより試験し、分散の非均一性をDunnettのT3により試験し、群間の有意差を比較した。P<0.05は統計的有意性を表した。結果を表3に示した。
表3:BCAO−LBPマウスにおけるMDA含有量、及び化合物の神経行動学的スコア評価結果
Figure 2015526447
Figure 2015526447
*p<0.05、対照群との比較;**p<0.01、対照群との比較;#p<0.05、媒体群との比較;##p<0.01、媒体群との比較;###p<0.001、媒体群との比較;ANOVA、続くSPSS 13.0におけるLSD解析は、解析のために使用される。
実施例12
化合物の血液脳関門浸透性の評価、及びMDCK−MDR1細胞の膜浸透性における研究
1.実験スキーム
MDCK−MDR1細胞は、MDR1遺伝子が、MDCK(Madin−Darbyイヌ腎臓上皮細胞)において形質転換された後のP−gpトランスポーターの高発現を伴う単層細胞である。単層細胞の簡潔さ、及び医薬排出タンパク質の高発現のため、細胞は、血液脳関門(BBB)の構造との類似性を有し、またBBB透過性を評価するためのモデルの一つとして使用されることができる。本発明の化合物が中枢神経で標的化され、またBBBを透過することが必要とされることから、膜透過性を研究するためにMDCK−MDR1細胞を適用し、また予めBBB透過性を評価した。
2.実験方法
2.1 溶液調製
培養溶液の調製:使用の際、DMEMに10%のFBS、1%のグルタミン、100 U・mL-1のペニシリン及びストレプトマイシン二重抗生物質溶液、1%の非必須アミノ酸、及び1.2mg・L-1のG418を添加した。
消化溶液の調製:1gのトリプシン及び80mgのEDTAを計量し、400mLのリン酸緩衝液を添加、0.22μmのろ過膜でろ過、細菌を除去し、後の使用のために−20℃で貯蔵した。
グルタミン貯蔵溶液の調製:2.92gのグルタミンに100mLのPBS緩衝液を添加し、0.22μmのろ過膜でろ過し、細菌を除去し、1mLに分包し、そして後の使用のために−20℃で貯蔵した。
ペニシリン及びストレプトマイシン貯蔵溶液の調製:80万Uのペニシリンに20mLの生理食塩水を添加し;100万Uのストレプトマイシンに25mLの生理食塩水を添加し;2つの溶液を1:1の比率で均一に混合し、0.22μmのろ過膜でろ過し、細菌を除去、1mLに分包し、後の使用のために−20℃で貯蔵した。
HBSS溶液の調製:8.0gのNaCl、0.4gのKCl、0.0475gのNa2HPO4・H2O、0.06gのKH2PO4及び6gのHapesを溶かすために、超純水の中に添加し、pH値を7.2〜7.4に調整し、1Lになるまで水を添加、0.22μmのろ過膜でろ過、細菌を除去し、後の使用のために−20℃で貯蔵した。
2.2 細胞培養
凍結保存したMDCK−MDR1細胞を、37℃の水浴中で高速解凍した。解凍後の細胞を10%のFBSを含むDMEM培養培地中に添加し、培養器中で、37℃、5%のCO2、90%の相対湿度で培養し、そして培養培地を1日毎に取り替えた。1〜2日間の細胞融合増殖後に、0.25%のトリプシン−EDTA(0.2%)の混合消化液により細胞を37℃で消化させ、特定の比率に従い継代培養し、ここで、実験で使用した細胞は、40〜60世代の細胞である。
80%の細胞が融合した時点で、細胞を完全な培養培地により懸濁させ、そして1×106・mL-1に従ってMillicellプレートに播種した。2日毎に培養液を取り換え、1週間後からは毎日取り換えた。培養から5日後に、抵抗力がプラットフォーム(>200Ω・cm2)に達したとき、細胞を実験に移す準備をした。
2.3 MDCK−MDR1単層細胞の質的対照:
2.3.1 経上皮電気抵抗(TEER)の測定
経上皮電気抵抗を測定した際、最初に電極をDMEM培養液に浸し、24時間平衡を保ち、その後に電極を取り出し、70%のアルコール中に浸し、15分間殺菌し、次いで室温で置き、自然乾燥させ、そしてさらに殺菌したDMEM培養液中に置き、15分間平衡を保った。実験の間、電極の2つの端を24ウェルのMillicell培養プレートのそれぞれのウェルの上部及び下部のプール中に連続的に挿入し、抵抗を検出し、それぞれのウェル中の任意のポイントを3回測定し、抵抗を記録し、同時にブランクのウェルの抵抗を測定し、そして経上皮電気抵抗(TEER)を以下の式:
TEER=(Rt−R0)×S
(式中、Rtは、測定された抵抗であり;R0 は、ブランクのウェルの抵抗であり;Sは、有効な膜面積である)に従い算出した。
2.3.2 陽性質的対照化合物:
Rho−123(ローダミン123)を陽性質的対照化合物として採用し、HBSSで5μmol・L-1 に希釈し、実験の前に、まずウェル中の培養培地を吸引して廃棄し、ウェルをHBSS溶液で、37℃で2回洗浄し、その後に培養器中で、37℃で培養し、Rho−123を上部プールに添加し、HBSS溶液を低部プールに添加し、ウェルを恒温振とう器中で培養した。低部プール中の溶液を、0、30、90及び120分で収集し、そして後の測定のために−20℃で貯蔵した。低部プール中のRho−123の浸透量を蛍光分光光度計により検出し、ここで透過波長を430nmに設定し、また励起波長を530nmに設定した。実験におけるRho−123のPapp値は、文献報告と一致する。
2.4 医薬輸送実験
細胞を播種したMillicellを、37℃で、試験前の適切な時間、HBSS溶液に浸し、軽く洗い流し、細胞表面の付着物を除去した。空洞表面から基底面への浸透性:0.35mLの薬物を含むHBSS溶液を尖部側(AP)から添加し、一方で1.2mLのブランクのHBSS溶液を基底外側(BL)から添加し、37℃で置き、50r・分-1で振とう、50μLを低部層から0、30、90及び120分で別々に採取し、同一容積のブランクのHBSS溶液を補った。それぞれの濃度を3つのウェルにおいて繰り返し、サンプルに50μLの内部標準溶液及び350μLの酢酸エチルを正確に添加し、振とう、均一に混合し、12000rmp、5分間遠心分離にかけ、300μLの上清を採取し、乾燥するまで揮発させ、50μL のアセトニトリルに再び溶解しし、サンプリング及び検定のために10μLを採取した。基底面から空洞表面への浸透性:薬物を基底外側(BL)から添加し、一方でブランクのHBSS溶液を尖部側(AP)から添加し、その後のステップは空洞表面から基底面への浸透性試験におけるものと同一とした。
薬物の見かけの浸透性係数(Papp)は、薬物の単層細胞への浸透能、並びに薬物の吸収速度及び吸収度を反映し、以下の式:
Figure 2015526447
(式中、ΔQは、Δt時間における薬物の浸透量であり、Aは、細胞の表面積、すなわちモデルにおける支持膜の面積(0.6cm2)であり、そしてC0は、初期濃度であった)により算出することができる。Pappの単位は、一般にcm・h-1またはcm・s-1により表した。
2.5 サンプル検出
サンプルは、LC/MSにより検出した。それぞれのサンプルの濃度は、標準曲線(50nM〜10000nM)により定量した。
3.実験結果
Figure 2015526447

Claims (12)

  1. 式I
    Figure 2015526447
    [式中:
    1は、水素、または1〜6個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルであり;
    2は、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル、またはフェニル置換された1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルである]
    の構造を有するチアジンアミド誘導体、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物もしくは水和物。
  2. 1が、水素、または1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルであり;
    2が、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル、またはフェニル置換された1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルである、請求項1に記載された化合物。
  3. 1が、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルであり;
    2が、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル、またはフェニル置換された1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルである、請求項1に記載された化合物。
  4. 1が、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルであり;
    2が、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルである、請求項1に記載された化合物。
  5. 1が、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルであり;
    2が、フェニル置換された1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルである、請求項1に記載された化合物。
  6. 1が、イソブチルであり;
    2が、1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキル、またはフェニル置換された1〜4個の炭素原子を有する直鎖もしくは分岐鎖アルキルである、請求項1に記載された化合物。
  7. 前記化合物が、以下の化合物:
    (2R)−4−メチル−2−{[(3R)−4−(トルエン−4−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボニル]−アミノ}−ペンタン酸、
    (2R)−4−メチル−2−{[(3R)−4−(トルエン−4−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボニル]−アミノ}−ペンタン酸エチルエステル、
    (2R)−4−メチル−2−{[(3R)−4−(トルエン−4−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボニル]−アミノ}−ペンタン酸プロピルエステル、
    (2R)−4−メチル−2−{[(3R)−4−(トルエン−4−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボニル]−アミノ}−ペンタン酸イソプロピルエステル
    (2R)−4−メチル−2−{[(3R)−4−(トルエン−4−スルホニル)−チオモルホリン−3−カルボニル]−アミノ}−ペンタン酸ベンジルエステルから選択される、請求項1に記載された化合物、または薬学的に許容されるその塩、溶媒和物または水和物。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載された化合物、及び1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物。
  9. 薬剤が、生理的もしくは物理的損傷、または進行性病変により引き起こされる神経変性疾患の予防または治療において使用される、請求項1〜7のいずれか1項に記載された化合物の前記薬剤の製造における使用。
  10. 前記神経変性疾患が、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、後天性免疫不全症に関連した神経障害、脳脊髄多発性硬化症、脳卒中または物理的刺激に関連した脳損傷、及び中枢または末梢神経系に影響を及ぼす種々の神経変性疾患から選択される、請求項9に記載された使用。
  11. 前記化合物が、生理的もしくは物理的損傷、または進行性病変により引き起こされる神経変性疾患の予防または治療において使用される、請求項1〜7のいずれか1項に記載された化合物。
  12. 対象における生理的もしくは物理的損傷、または進行性病変により引き起こされる神経変性疾患を予防または治療するための方法であって、有効量の請求項1〜7のいずれか1項に記載された化合物、または請求項8に記載された医薬組成物を前記対象に投与するステップを含む、方法。
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