JP2015520280A - ポリアクリロニトリルホモポリマーを含有する難燃性ポリエステル - Google Patents

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Abstract

本発明は、A)熱可塑性ポリエステルを10〜97質量%、B)赤リンを0.1〜60質量%、C)ポリアクリロニトリルのホモポリマーを1〜25質量%、D)繊維状又は粒子状充填材を0〜50質量%、E)さらなる添加剤を0〜60質量%含有する熱可塑性成形材料に関し、前記成分A)〜E)の質量パーセントの合計は、100%となる。

Description

本発明は、
A)熱可塑性ポリエステルを10〜97質量%、
B)赤リンを0.1〜60質量%、
C)ポリアクリロニトリルのホモポリマーを1〜25質量%、
D)繊維状又は粒子状充填材を0〜50質量%、
E)さらなる添加剤を0〜60質量%
含有する熱可塑性成形材料に関し、前記成分A)〜E)の質量パーセントの合計は、100%となる。
本発明はさらに、繊維、シート、及び成形体を製造するための、上記成形材料の使用、並びにこうして得られるあらゆる種類の成形体、繊維、及びシートに関する。
熱可塑性プラスチック(特に強化ポリエステル又は充填エステル)に赤リンを添加すると、効果的な難燃性が得られることは知られている(例えばJP-A- 2001/226570、JP-A- 2000/328065)。しかしながら赤リンは、好ましくない条件下(例えば高温、湿気、アルカリ又は酸素の存在)では、分解生成物(例えば水素化リン、及び1〜5価のリン酸)を形成する傾向がある。
そこで亜鉛、マグネシウム、若しくは銅の酸化物又は水酸化物を添加することにより、安定化作用を得ることができる。DE-A-2625691によれば、金属酸化物によるこの安定化に加えて、リン粒子はコストが高く、さらに系の安定化作用は、あらゆる場合に満足がいくものでもない。
JP-A-2005/126633からは、ポリアクリロニトリルを、赤リンと金属水酸化物との組み合わせで含有するポリオレフィンが公知である。
公知の成形材料では、排煙密度と熱放出速度が改善に値する。さらに、燃焼後の残渣量が向上することが好ましい。なぜならば、形成された炭素層によって延焼が遅くなり、ひいては完全な熱放出も、完全な排煙形成も減少するからである。
よって本発明の課題は、難燃剤として赤リンを含有し、排煙ガス密度と熱放出速度が低下しており、また燃焼後の残渣量が増加している、熱可塑性のポリエステル成形材料を開発することであった。
本発明による成形材料は成分A)として、少なくとも1種の熱可塑性ポリエステルを、10〜97質量%、好ましくは20〜95質量%、特に20〜80質量%含有する。
一般的には、芳香族ジカルボン酸、及び脂肪族若しくは芳香族のジヒドロキシ化合物をベースとするポリエステルA)が使用される。
好ましいポリエステルの第一の群は、ポリアルキレンテレフタレートであり、特にアルコール部分における炭素数が2〜10のものである。
このようなポリアルキレンテレフタレートはそれ自体公知であり、文献に記載されている。これは主鎖中に、芳香族ジカルボン酸に由来する芳香族環を有する。芳香族環は置換されていてもよく、例えばハロゲン(例えば塩素及び臭素)によって、又はC1〜C4アルキル基(例えばメチル基、エチル基、i−プロピル基、n−プロピル基、及びn−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基)によって置換されていてよい。
これらのポリアルキレンテレフタレートは、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸のエステル、又は他のエステル形成性誘導体と、脂肪族ジヒドロキシ化合物との反応によって、それ自体公知の方法で製造できる。
好ましいジカルボン酸としては、2,6−ナフタリンジカルボン酸、テレフタル酸、及びイソフタル酸、又はこれらの混合物を挙げることができる。芳香族ジカルボン酸は最大30mol%、好適には10mol%以下が、脂肪族若しくは脂環式のジカルボン酸(例えばアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、及びシクロヘキサンジカルボン酸)によって置き換えられていてよい。
脂肪族ジヒドロキシ化合物のうち、炭素数が2〜6のジオール、特に1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、及びネオペンチルグリコール、又はこれらの混合物が好ましい。
特に好ましいポリエステルA)として挙げられるのは、炭素数が2〜6のアルカンジオールから誘導される、ポリアルキレンテレフタレートである。これらのうち、特にポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、及びポリブチレンテレフタレート、又はこれらの混合物が好ましい。さらに好ましいのは、1,6−ヘキサンジオール及び/又は2−メチル−1,5−ペンタンジオールを最大1質量%、好適には最大0.75質量%、さらなるモノマー単位として含有している、PET及び/又はPBTである。
ポリエステルA)の粘度数は一般的に、50〜220、好適には80〜160である(ISO 1628に従い、フェノールとo−ジクロロベンゼンの混合物(質量比は25℃で1:1)中で0.5質量%の溶液中で測定)。
特に好ましいのは、カルボキシ末端基含分が、それぞれポリエステル1kgあたり、最大100mval、好ましくは最大50mval、特に最大40mvalのポリエステルである。このようなポリエステルは例えば、DE-A 44 01 055の方法に従って製造できる。カルボキシ末端基含分は通常、滴定法(例えば電位差滴定)によって特定する。
特に好ましい成形材料は成分A)として、PBTとは異なるポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート(PET))の混合物を含有する。例えばポリエチレンテレフタレートの割合は、混合物中で、成分A)100質量%に対して好適には最大50質量%、特に10〜35質量%である。
さらに、PETリサイクル物(スクラップPETとも言う)を、任意でポリアルキレンテレフタレート(例えばPBT)との混合物で、使用することが有利である。
リサイクル物とは一般的に、
1)いわゆる工業由来のリサイクル物:これは、重縮合又は加工の際の製品廃棄物であり、例えば射出成形加工における型、押出成形されたプレート若しくはシートの射出成形加工若しくは押出成形若しくは縁部切断で用いられる取り付け部である。
2)消費者由来のリサイクル物:これは、利用後に最終使用者によって回収され、再利用されるプラスチック製品である。量的に主要な製品は、ミネラルウォーター、ソフトドリンク、及びジュース用のブロー成形されたPETボトルである。
これらのリサイクル物はともに、破砕物として、又は顆粒の形態で存在していてよい。後者の場合、管状のリサイクル物は分別、洗浄した後、押出成形機内で溶融させ、顆粒化する。これによってたいてい、さらなる加工工程のための取り扱い性、流動性、及び供給性が容易になる。
顆粒化されたリサイクル物、また破砕物として存在するリサイクル物も使用することができ、ここで端部の長さは最大で10mm、好適には8mm未満であるのが望ましい。
加工の際に(湿分の痕跡量により)加水分解的にポリエステルが開裂するため、リサイクル物は事前に乾燥させておくことが推奨される。乾燥後の残留湿分は、好適には0.2%未満、特に0.05%未満である。
さらなる群としては、完全な芳香族ポリエステルが挙げられ、これは芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジヒドロキシ化合物とから誘導されるものである。
芳香族ジカルボン酸として適しているのは、既にポリアルキレンテレフタレートのところで記載した化合物である。好ましくは、イソフタル酸5〜100mol%、及びテレフタル酸0〜95mol%から成る混合物であり、特に約80%のテレフタル酸と、20%のイソフタル酸との混合物から、これら2種の酸のほぼ等量の混合物が使用される。
芳香族ジヒドロキシ化合物は好適には、下記一般式を有し、
Figure 2015520280
上記式中、Zは、炭素数が最大8のアルキレン基又はシクロアルキレン基、炭素数が最大12のアルキレン基、カルボニル基、スルホニル基、酸素原子若しくは硫黄原子、又は化学結合であり、mは0〜2の値である。前記化合物はまた、フェニレン基にC1〜C6アルキル基又はC1〜C6アルコキシ基、及びフッ素、塩素、又は臭素を置換基として有していてもよい。
これらの化合物の幹の部分としてあげられるのは例えば、
・ジヒドロキシジフェニル
・ジ−(ヒドロキシフェニル)アルカン、
・ジ−(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、
・ジ−(ヒドロキシフェニル)スルフィド、
・ジ−(ヒドロキシフェニル)エーテル、
・ジ−(ヒドロキシフェニル)ケトン、
・ジ−(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、
・α,α’−ジ−(ヒドロキシフェニル)−ジアルキルベンゼン、
・ジ−(ヒドロキシフェニル)スルホン、
・ジ−(ヒドロキシベンゾイル)ベンゼン、
・レゾルシン、及びヒドロキノン、並びにコアがアルキル化された、又はコアがハロゲン化されたこれらの誘導体
である。
これらのうち、
・4,4’−ジヒドロキシジフェニル、
・2,4−ジ−(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン
・α,α’−ジ−(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、
・2,2−ジ−(3’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、及び
・2,2−ジ−(3’−クロロ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、
並びに特に
・2,2−ジ−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、
・2,2−ジ−(3’,5−ジクロロジヒドロキシフェニル)プロパン、
・1,1−ジ−(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
・3,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、
・4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、及び
・2,2−ジ(3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、
又はこれらの混合物が好ましい。
もちろん、ポリアルキレンテレフタレートと、完全な芳香族ポリエステルとの混合物も使用できる。これらは一般的に、ポリアルキレンテレフタレートを20〜98質量%、完全な芳香族ポリエステルを2〜80質量%含有する。
もちろん、ポリエステルブロックコポリマー、例えばコポリエーテルエステルも使用できる。このような生成物はそれ自体公知であり、文献に記載されている(例えばUS-A 3 651 014)。また、市販で適切な生成物(例えばDuPont社のHytrel(登録商標))が得られる。
本発明によればポリエステルとは、ハロゲン不含のポリカーボネートとも理解されるべきである。適切なハロゲン不含のポリカーボネートは例えば、下記一般式のジフェノールをベースとするものである:
Figure 2015520280
上記式中、Qは単結合、C1〜C8アルキレン基、C2〜C3アルキリデン基、C3〜C6シクロアルキリデン基、C6〜C12アリーレン基、並びに−O−、−S−、又は−SO2−であり、mは0〜2の整数である。
ジフェノールは、フェニレン残基に置換基を有していてもよく、それは例えばC1〜C6アルキル、又はC1〜C6アルコキシである。
上記式の好ましいジフェノールは例えば、ヒドロキノン、レゾルシン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンである。特に好ましいのは、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、及び1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、並びに1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンである。
ホモポリカーボネート、またコポリカーボネートもまた、成分Aとして適しており、好ましいのは、ビスフェノールAホモポリマーに加えて、ビスフェノールAのコポリカーボネートである。
適切なポリカーボネートは、公知の方法で分岐されていてよく、好適には、少なくとも三官能性の化合物(例えば3個以上のフェノール性OH基を有するもの)が、使用するジフェノールの合計に対して0.05〜2.0mol%組み込まれている。
相対粘度ηrelが1.10〜1.50、特に1.25〜1.40のポリカーボネートは、特に適していると実証されている。これは、10,000〜200,000g/mol、好適には20,000〜80,000g/molの平均分子量Mw(質量平均)に相当する。
前記一般式のジフェノールはそれ自体公知であり、公知の方法に従って製造できる。
ポリカーボネートの製造は例えば、ジフェノールと、ホスゲンとの反応によって相界面法で、又は均質相における方法でホスゲンとの反応によって(いわゆるピリジン法)行うことができ、ここでそれぞれ調節すべき分子量は公知の方法で、適切な量の公知の連鎖中止剤により達成される(ポリジオルガノシロキサン含有ポリカーボネートについては、例えばDE OS 33 34 782参照)。
適切な連鎖中止剤は例えば、フェノール、p−t−ブチルフェノール、また長鎖のアルキルフェノール(例えば4−(1,3−テトラメチルブチル)フェノール、DE OS 28 42 005に記載)、又はアルキル置換基中に全部で8〜20個の炭素原子を有するモノアルキルフェノール若しくはジアルキルフェノール(DE-A 35 06 472に記載)、例えばp−ノニルフェニル、3,5−ジ−t−ブチルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−ドデシルフェノール、2−(3,5−ジメチルヘプチル)フェノール、及び4−(3,5−ジメチルヘプチル)フェノールである。
本発明の意味合いにおいてハロゲン不含のポリカーボネートとは、ポリカーボネートが、ハロゲン不含のジフェノール、ハロゲン不含の連鎖中止剤、及び任意でハロゲン不含の分岐剤から構成されていることを意味し、ここで鹸化可能な塩素(例えば相界面法によってホスゲンを用いたポリカーボネートの製造から生じる)についてppmレベルの二次的な量の含分は、本発明の意味合いにおいてハロゲンを含有しているとはみなさない。鹸化可能な塩素をppmレベルで含有するこのようなポリカーボネートは、本発明の意味合いにおいてハロゲン不含のポリカーボネートである。
さらなる適切な成分A)としては、非晶質のポリエステルカーボネートが挙げられ、ここでホスゲンは、芳香族ジカルボン酸単位(例えばイソフタル酸及び/又はテレフタル酸単位)に対して、製造の際に置き換えられている。この箇所のさらなる詳細については、EP-A 71 1 810を参照されたい。
モノマー単位としてシクロアルキル基を有するさらなる適切なコポリカーボネートは、EP-A 365 916に記載されている。
ビスフェノールAはさらに、ビスフェノールTMCと置き換えることができる。このようなポリカーボネートはAPEC HT(登録商標)という製品記号で、Bayer社から得られる。
本発明による難燃剤B)は、元素の赤リンであり、特に未処理の形態で使用可能な、ガラス繊維強化成形材料との組み合わせで用いる。
しかしながら特に適しているのは、リンが表面で低分子液状物質(例えばシリコン油、パラフィン油、又はフタル酸若しくはアジピン酸のエステル、特にジオクチルフタレート、EP 176 836参照)によって、又はポリマー化合物若しくはオリゴマー化合物によって(例えばフェノール樹脂又はアミノプラスト樹脂、並びにポリウレタンによって)被覆されている調製物である(EP-A 384 232、DE-A 196 48 503参照)。このようないわゆる粘稠剤は通常、成分B)100質量%に対して0.05〜5質量%の量で含有されている。
さらに赤リン濃縮物(例えばポリアミド又はエラストマー中のもの)が、難燃剤として適している。特に適しているのは、濃縮体ポリマーとしてのポリオレフィンホモポリマーとポリオレフィンコポリマーである。しかしながら濃縮体ポリマーの割合は、本発明による成形材料中の成分A)及びB)の質量に対して、35質量%以下であるのが望ましい。
好ましい濃縮体組成物は、
・B1)30〜90質量%、好適には45〜70質量%が、ポリアミド又はエラストマーであり、
・B2)10〜70質量%、好適には30〜55質量%が、赤リンである。
バッチに使用するポリアミドは好適には、PA6、及び/又はPA66であり、そうすれば非相容性又は融点の差が、成形材料に否定的な影響をもたらすことはない。
成形材料中に分布するリン粒子の平均粒径(d50)は、好適には0.0001〜0.5mmの範囲、特に0.001〜0.2mmの範囲にある。
本発明による成形材料における成分B)の含量は、成分A)〜E)の合計に対して0.1〜60質量%、好ましくは0.5〜40質量%、特に1〜15質量%である。
本発明による成形材料における成分B)の含量は、成分A)〜E)の合計に対して0.1〜60質量%、好ましくは0.5〜40質量%、特に1〜15質量%である。
本発明による成形材料は成分C)として、ポリアクリロニトリルホモポリマーを1〜25質量%、好ましくは1〜15質量%、特に1〜11質量%含有する。これは、下記構造:
Figure 2015520280
のポリマーを言う。
このようなポリマーは、アクリロニトリルのラジカル重合によって製造でき、この際に技術的に慣用の重合を水中で、開始剤を用いて一般的に行う。
好ましいポリアクリロニトリルは、平均分子量Mwが10,000〜400,000、特に50,000〜350,000であり、これはGPCを用いたDIN 55672-2:2008-06、第二部に従い、PMMAを溶離剤(標準)として測定した値である。
特に好ましくは、ポリアクリロニトリルを粉末、顆粒、チップ、又はタブレットとして、残りの成分A)及びB)と、任意でD)及びE)と混合し、調製する。
繊維状又は粒子状充填材D)(成分E)とは異なる)として挙げられるのは、炭素繊維、ガラス繊維、ガラスビーズ、非晶質ケイ酸、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、白亜、粉末石英、雲母、硫酸バリウム、及び長石であり、これらは1〜50質量%、特に5〜45質量%、好適には10〜40質量%の量で使用できる。
好ましい繊維状充填材として挙げられるのは、炭素繊維、アラミド繊維、及びチタン酸カリウム繊維であり、ガラス繊維がEガラスとして特に好ましい。これらはロービング又はカットガラスとして、市販の形態で使用できる。
繊維状の充填材は、熱可塑性樹脂との相容性改善のため、シラン化合物により表面で予備処理されていてよい。
適切なシラン化合物は、下記一般式:
Figure 2015520280
のものであり、前記式中、置換基は以下の意味を有する:
Figure 2015520280
・nは、2〜10の整数、好適には3〜4であり、
・mは、1〜5の整数、好ましくは1〜2であり、
・kは、1〜3の整数、好ましくは1である。
好ましいシラン化合物は、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノブチルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノブチルトリエトキシシラン、並びに置換基Xとしてグリシジル基を有する、相応するシランである。
シラン化合物は一般的に、(成分D)に対して)0.01〜2質量%、好適には0.025〜1.0質量%、特に0.05〜0.5質量%の量で、表面被覆のために使用する。
針状の鉱物充填材もまた、適している。
針状の鉱物充填材とは、本発明の意味合いにおいて、針状の特性を非常にはっきりと有する鉱物性充填材であると理解される。その例としては、針状のウォラストナイトが挙げられる。この鉱物は好適には、L/D(長さと直径の比)が、8:1〜35:1、好ましくは8:1〜11:1である。鉱物充填材は任意で、上述のシラン化合物によって予備処理されてよいが、この予備処理は必ずしも必要では無い。
さらなる充填材としては、カオリン、焼成カオリン、ウォラストナイト、タルク、及び白亜が挙げられ、またさらにフレーク状若しくは針状のナノ充填材の量は、好ましくは0.1〜10%である。このために好ましくは、ベーマイト、ベントナイト、モンモリロナイト、バーミキュライト、ヘクトライト、及びラポナイトを使用する。フレーク状ナノ充填材と、有機結合剤との良好な相容性を得るためには、フレーク状のナノ充填剤を、従来技術に従って有機変性する。フレーク状又は針状のナノ充填剤を、本発明によるナノ複合材に添加することにより、機械的な強度がさらに向上する。
本発明による成形材料は成分E)として、さらなる添加剤及び加工助剤を0〜60質量%、特に最大50質量%、特に最大30質量%、含有することができる。
本発明による成形材料は成分E)として、炭素数が10〜40、好ましくは16〜22である飽和若しくは不飽和の脂肪族カルボン酸と、炭素数が2〜40、好適には2〜6の脂肪族飽和アルコール若しくはアミンとのエステル又はアミドを少なくとも1種、0〜5質量%、好適には0.05〜3質量%、特に0.1〜2質量%、含有することができる。
カルボン酸は、1価又は2価であり得る。その例として挙げられるのは、ペラルゴン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、マルガリン酸、ドデカンジ酸、ベヘン酸であり、特に好ましいのはステアリン酸、カプリン酸、並びにモンタン酸(炭素数が30〜40の脂肪酸の混合物)である。
脂肪族アルコールは、1価〜4価であり得る。アルコールの例は、n−ブタノール、n−オクタノール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリットであり、ここでエチレングリコール、グリセリン、及びペンタエリトリットが好ましい。
脂肪族アミンは、1価〜3価であり得る。その例は、ステアリルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジ(6−アミノヘキシル)アミンであり、ここでエチレンジアミンとヘキサメチレンジアミンが、特に好ましい。好ましいエステル又はアミドは相応して、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、エチレンジアミンジステアレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリントリラウレート、グリセリンモノベヘネート、及びペンタエリトリットテトラステアレートである。
異なるエステル若しくはアミドの混合物、又はエステルとアミドとの組み合わせで用いることもでき、その混合比は任意である。
さらなる残りの添加剤E)は例えば、最大40質量%、好適には最大30質量%のゴム弾性ポリマーである(しばしば耐衝撃性改善剤、エラストマー、又はゴムとも呼ばれる)。
これは極めて一般的には、以下のモノマー少なくとも二種から構成されている共重合体である:エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブテン、イソプレン、クロロプレン、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、並びにアルコール成分中に炭素原子を1〜18個有する、アクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステル。
このようなポリマーは例えば、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, Bd. 14/1 (Georg-Thieme-Verlag, Stuttgart, 1961)、p. 392〜p.406に、またC.B. Bucknallの著作、"Toughened Plastics" (Applied Science Publishers, London, 1977)に記載されている。
以下、このようなエラストマーの好ましい種類について、幾つか紹介する。
このようなエラストマーの好ましい種類は、いわゆるエチレン−プロピレン(EPM)ゴム、又はエチレンプロピレン−ジエン(EPDM)ゴムである。
EPMゴムは一般的に、実質的に二重結合を有さない一方で、EPDMゴムは炭素原子100個あたり二重結合を1〜20個有することができる。
EPDMゴムのためのジエンモノマーとして挙げられるのは例えば、共役ジエン(例えばイソプレンとブタジエン)、炭素数が5〜25の非共役ジエン(例えばペンタ−1,4−ジエン、ヘキサ−1,4−ジエン、ヘキサ−1,5−ジエン、2,5−ジメチルヘキサ−1,5−ジエン、及びオクタ−1,4−ジエン)、環状ジエン(例えばシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、及びジシクロペンタジエン)、並びにアルケニルノルボルネン(例えば5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、2−メタリル−5−ノルボルネン、2−イソプロペニル−5−ノルボルネン)、及びトリシクロジエン(例えば3−メチル−トリシクロ(5.2.1.0.2.6)−3,8−デカジエン)、又はこれらの混合物である。好ましいのは、ヘキサ−1,5−ジエン、5−エチリデンノルボルネン、及びジシクロペンタジエンである。EPDMゴムのジエン含分は、ゴムの全質量に対して好適には0.5〜50質量%、特に1〜8質量%である。
EPMゴム又はEPDMゴムは好適には、反応性カルボン酸によって、又はこれらの誘導体によってグラフトされていてよい。これには例えば、アクリル酸、メタクリル酸、及びこれらの誘導体、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、並びに無水マレイン酸が挙げられる。
好ましいゴムのさらなる群は、エチレンと、アクリル酸、及び/又はメタクリル酸、及び/又はアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステルとのコポリマーである。ゴムはさらに、ジカルボン酸(例えばマレイン酸とフマル酸)、又はこれらの酸の誘導体(例えばエステルと無水物)、及び/又はエポキシ基含有モノマーを有することもできる。これらのジカルボン酸誘導体又はエポキシ基含有モノマーは好適には、下記一般式I又はII又はIII又はIVのジカルボン酸及び/又はエポキシ基含有モノマーをモノマー混合物に添加することによって、ゴムに組み込まれる:
Figure 2015520280
前記式中、R1〜R9は水素、又は炭素数が1〜6のアルキル基であり、mは0〜20の整数であり、gは0〜10の整数であり、pは0〜5の整数である。
好適には基R1〜R9は水素であり、この際にmは0又は1であり、gは1である。これに該当する化合物は、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、アリルグリシジルエーテル、及びビニルグリシジルエーテルである。
式I、II、及びIVの好ましい化合物は、マレイン酸、無水マレイン酸、並びにエポキシ基を含有する、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステル、例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、及び第三級アルコールのエステル、例えばt−ブチルアクリレートである。後者は遊離カルボキシ基を有さないものの、その性質においては遊離酸に近いため、潜在的なカルボキシ基を有するモノマーと呼ばれる。
コポリマーは有利には、エチレン50〜98質量%、エポキシ基含有モノマー及び/又はメタクリル酸及び/又は酸無水物基含有モノマー0.1〜20質量%、残分は(メタ)アクリル酸エステルから成る。
特に好ましいのは、以下のものから成るコポリマーである:
・エチレン50〜98質量%、特に55〜95質量%、
・グリシジルアクリレート及び/又はグリシジルメタクリレート、(メタ)アクリル酸、及び/又は無水マレイン酸0.1〜40質量%、特に0.3〜20質量%、及び
・n−ブチルアクリレート及び/又は2−エチルヘキシルアクリレート1〜45質量%、特に10〜40質量%。
アクリル酸及び/又はメタクリル酸のさらなる好ましいエステルは、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、及びi−ブチルエステル、及び/又はt−ブチルエステルである。
その他にビニルエステルとビニルエーテルも、コモノマーとして使用できる。
前述のエチレンコポリマーは、それ自体公知の方法で製造でき、好適にはランダム共重合によって、高温、高圧下で製造する。適切な方法は、一般的に公知である。
好ましいエラストマーはまた、エマルションポリマーであり、その製造は例えば、Blackleyの著書、"Emulsion Polymerization"に記載されている。使用可能な乳化剤と触媒は、それ自体公知である。
基本的には、均一に構成されたエラストマーが使用できるが、シェル構造を有するエラストマーも使用できる。シェル構造は、各モノマーの添加順によって決まる:ポリマーの形状もまた、この添加順に影響を受ける。
エラストマーのゴム部分を製造するための代表的なモノマーとしては、アクリレート(例えばn−ブチルアクリレート、及び2−エチルヘキシルアクリレート)、対応するメタクリレート、ブタジエン、及びイソプレン、並びにこれらの混合物が挙げられる。 これらのモノマーは、さらなるモノマー(例えばスチレン、アクリロニトリル、ビニルエーテル)、及びさらなるアクリレート若しくはメタクリレート(例えばメチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、及びプロピルアクリレート)と共重合させることができる。
エラストマーの軟質相又はゴム相(ガラス転移点が0℃未満)は、コアであってよく、これは外側の被覆、又は中側のシェル(2つより多くのシェル構造を有するエラストマーの場合)であり得る。シェルが複数あるエラストマーの場合、複数のシェルもまた、1つのゴム相から成っていてよい。
ゴム相の他にさらに1つ以上の硬質成分(ガラス転移点が20℃超のもの)がエラストマーの構造に関与している場合、これは一般的にスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アクリル酸エステル、及びメタクリル酸エステル、例えばメチルメタクリレート、エチルアクリレート、及びメチルメタクリレートを主たるモノマーとして重合させることにより製造する。その他にまた、さらなるコモノマーを僅かな割合で使用することができる。
幾つかの場合には、表面に反応性の基を有するエマルションポリマーを使用することが有利であると実証されている。このような基は例えば、エポキシ基、カルボキシ基、潜在性カルボキシ基、アミノ基、又はアミド基、また下記一般式:
Figure 2015520280
のモノマーを併用することにより導入可能な官能基であり、
前記式中、置換基は以下の意味を有することができる:
・R10は、水素、又はC1〜C4アルキル基であり、
・R11は水素、C1〜C8アルキル基、又はアリール基、特にフェニルであり、
・R12は水素、C1〜C10アルキル基、C6〜C12アリール基、又は−OR13であり、
・R13は、C1〜C8アルキル基、又はC6〜C12アリール基であり、これらの基は任意でO若しくはNを含有する基によって置換されていてよく、
・Xは化学結合、C1〜C10アルキレン基、又はC6〜C12アリーレン基であるか、又は
Figure 2015520280
であり、
・YはO−Z、又はNH−Zであり、
・Zは、C1〜C10アルキレン、又はC6〜C12アリーレン基である。
EP-A 208 187に記載されたグラフトモノマーもまた、表面に反応基を導入するために適している。
更なる例として挙げられるのはさらに、アクリルアミド、メタクリルアミド、及びアクリル酸若しくはメタクリル酸の置換エステルであり、例えば(N−t−ブチルアミノ)−エチルメタクリレート、(N,N−ジメチルアミノ)エチルアクリレート、(N,N−ジメチルアミノ)メタクリレート、及び(N,N−ジエチルアミノ)エチルアクリレートである。
さらに、ゴム相の粒子も架橋されていてよい。架橋剤として作用するモノマーは例えば、ブタ−1,3−ジエン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、及びジヒドロジシクロペンタジエニルアクリレート、並びにEP-A 50 265に記載された化合物である。
さらにまた、いわゆるグラフト架橋モノマー(グラフト結合モノマー)も使用でき、これは、重合の際に異なる速度で反応する重合可能な二重結合を2つ以上有するモノマーである。好適には、少なくとも1つの反応基が、その他のモノマーとほぼ同じ反応速度で重合する一方で、別の1種又は複数の反応基が、あきらかにゆっくりと反応する化合物を使用する。様々な重合速度により、不飽和二重結合が特定の割合でゴム中に生じる。様々な重合速度により、不飽和二重結合が特定の割合でゴム中に生じる。このようなゴムに続いて、別の相をグラフトさせる場合、ゴム中に存在する二重結合は少なくとも部分的にグラフトモノマーと反応して、化学結合を形成する。すなわち、グラフトされた相は、少なくとも部分的に、化学結合を介して、グラフトベースと結合する。
このようなグラフト架橋性モノマーの例は、アリル基含有モノマー、特にエチレン性不飽和カルボン酸のアリルエステル、例えばアリルアクリレート、アリルメタクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルイタコネート、又はこれらのジカルボン酸の相応するモノアリル化合物である。加えて、さらなる適切なグラフト架橋性モノマーが多数あり、その個々の詳細については例えば、US-PS 4 148 846を指摘しておく。
耐衝撃性変性ポリマーにおけるこれらの架橋性モノマーの割合は一般的に、耐衝撃性変性ポリマーに対して、最大5質量%、好適には3質量%以下である。
以下、幾つかの好ましいエマルションポリマーについて説明する。ここではまず、コアと、少なくとも1つの外側のシェルを有するグラフトポリマーを挙げるが、それは以下の構造を有するものである:
Figure 2015520280
これらのグラフトポリマー、特にABSポリマー及び/又はASAポリマーは、最大40質量%の量で、好適にはPBTを耐衝撃性に変性するため、任意で最大40質量%のポリエチレンテレフタレートとの混合物で、使用する。適切なブレンド生成物は、Ultradur(登録商標)Sという製品記号で得られる(BASF AG社製の旧称Ultrablend(登録商標)S)。
複数のシェル構造を有するグラフトポリマーに代えて、ブタ−1,3−ジエン、イソプレン、及びn−ブチルアクリレートから成る均一な、すなわちシェルが1つのエラストマー、又はこれらのコポリマーが使用できる。これらの生成物は、架橋性モノマー、又は反応基を有するモノマーを併用することによって製造できる。
好ましいエマルションポリマーの例は、n−ブチルアクリレートと(メタ)アクリル酸とのコポリマー、n−ブチルアクリレートとグリシジルアクリレートとのコポリマー、又はn−ブチルアクリレートとグリシジルメタクリレートとのコポリマー、n−ブチルアクリレートから成る内部のコア、若しくはブタジエンをベースとする内部のコアと、上記コポリマー、及びエチレンと、反応基を有するコモノマーとのコポリマーから成る外部の被覆を有するグラフトポリマーである。
記載されたエラストマーはまた、別の通常の方法、例えば懸濁重合によって製造することもできる。
シリコーンゴム(例えばDE-A 37 25 576、EP-A 235 690、DE-A 38 00 603、及びEP-A 319 290に記載のもの)は、同様に好ましい。
もちろんまた、上記種類のゴムの混合物も使用できる。
本発明による熱可塑性成形材料は成分E)として、通常の加工助剤、例えば安定剤、酸化遅延剤、熱分解防止剤、紫外線分解防止剤、滑剤、離型剤、着色剤(例えば色素と顔料)、核形成剤、可塑剤などを含有することができる。
酸化遅延剤と熱安定剤の例としては、立体障害性フェノール及び/又はホスフィン、ヒドロキノン、芳香族第二級アミン(例えばジフェニルアミン)、これらの群の様々な置換体、及びこれらの混合物が挙げられ、その量は熱可塑性成形材料の質量に対して最大1質量%である。
紫外線安定剤は一般的に、成形材料に対して最大2質量%の量で使用され、多様に置換されたレゾルシン、サリシレート、ベンゾトリアゾール、及びベンゾフェノンが挙げられる。
無機顔料(例えば二酸化チタン、ウルトラマリンブルー、酸化鉄、及びカーボンブラック)、さらに有機顔料(例えばフタロシアニン、キナクリドン、ペリレン)、並びに着色剤(例えばニグロシンとアントラキノン)が、着色剤として添加できる。
核形成剤としては、フェニルホスフィン酸ナトリウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、並びに好ましくはタルクが使用できる。
さらなる滑剤と離型剤は通常、最大1質量%の量で使用する。これは好ましくは、長鎖の脂肪酸(例えばステアリン酸又はベヘン酸)、又はこれらの塩(例えばステアリン酸カルシウム、又はステアリン酸亜鉛)、又はモンタンワックス(鎖長が炭素原子28〜32個である直鎖状の飽和カルボン酸と、モンタン酸カルシウム若しくはモンタン酸ナトリウムと、低分子ポリエチレン若しくはポリプロピレンワックスとの混合物)である。
可塑剤の例として挙げられるのは、フタル酸ジオクチルエステル、フタル酸ジベンジルエステル、フタル酸ブチルベンジルエステル、炭化水素油、N−(n−ブチル)ベンゼンスルホンアミドである。
本発明による成形材料はさらに、フッ素含有エチレンポリマーを0〜2質量%、含有することができる。これは、フッ素含分が55〜76質量%、好適には70〜76質量%であるエチレンのポリマーである。
その例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、又は共重合可能なエチレン性不飽和モノマーを比較的少ない割合(通常は最大で50質量%)で有するテトラフルオロエチレンコポリマーである。これについては例えば、Schildknechtが"Vinyl and Related Polymers", Wiley-Verlag, 1952, p.484〜p.494に、またWallが"Fluorpolymers"(Wiley Interscience, 1972)に記載している。
これらのフッ素含有エチレンポリマーは、成形材料中に均質に分布しており、好ましくは粒径d50が数平均値で0.05〜10μmの範囲、特に0.1〜5μmの範囲にある。こうした小さな粒径は特に好ましくは、フッ素含有エチレンポリマーの水性分散液を用い、これをポリエステル溶融体中で加工することによって得られる。
本発明による熱可塑性成形材料は、それ自体公知の方法で製造でき、出発成分を通常の混合装置(例えばスクリュー式押出成形機、Brabender社製ミル、又はBanbury社製ミル)で混合し、続いて押出成形する。押出成形の後、押出成形体を冷却し、粉砕することができる。また、各成分を予備混合することもでき、それから残りの出発物質を個別に、及び/又は同様に混合して添加することもできる。混合温度は通常、230〜290℃の間にある。
さらに好ましい作業工程の後、成分B)及びC)、並びに任意でD)及びE)を、プレポリマーと混合し、調製し、顆粒化することができる。こうして得られた顆粒は、固相で引き続き不活性ガス下、連続的に、又は非連続的に成分A)の融点を下回る温度で、所望の粘度に凝縮させる。
本発明によるポリエステル成形材料は、優れた耐燃焼性、比較的僅かな排煙密度、及び比較的僅かな熱放出速度を特徴とする。燃焼後の残渣量は、増加している。
本発明により熱可塑性成形材料から製造される成形部材又は半製品は例えば、自動車工業、電気工業、電子工業、通信工業、情報技術工業、娯楽産業、コンピューター工業において、乗用車及びその他の長距離移動手段において、船舶、宇宙船において、家庭において、事務所設備において、スポーツにおいて、医学において、また耐火性の向上が必要とされる対象物及び建築部材において共通して、適用できる。
以下に幾つかの例を挙げる:プラグ接続部、プラグ、プラグ部材、ケーブル束要素、スイッチ担体、スイッチ担体要素、三次元的な射出成形スイッチ担体、電気接続要素、及びメカトロニック要素。
実施例
以下の成分を使用した:
・成分A:DIN 53728/ISOに従い25℃でフェノール/o−ジクロロベンゼン(1:1)の溶液中で0.5質量%の溶液として測定した粘度数(VZ)が107ml/gのポリブチレンテレフタレート(BASF SE社製のUltradur(登録商標) B2550を使用した)
・成分B):PBT中で50%の赤リンのバッチ
・成分C1):ポリアクリロニトリルホモポリマー、GPCを用いてDIN 55672-2:2008-06の第二部に準拠し、PMMA標準で測定して、Mwが313,400g/molのもの
・成分C2):ポリアクリロニトリルホモポリマー、GPCを用いてDIN 55672-2:2008-06の第二部に準拠し、PMMA標準で測定して、Mwが156,100g/molのもの
・成分C3):ポリアクリロニトリルコポリマー(比較用):ポリ(ビニリデンクロリド−コ−アクリロニトリル)、80/30、CAS: 9010-76-8
・成分C4):スチレン−アクリロニトリルのコポリマー(比較用);アクリロニトリル24%と、スチレン76%とから成るランダムコポリマー
・成分D1:平均厚さが10μmである、ポリエステル用の標準的な短繊維ガラス
・成分E):ペンタエリトリットテトラステアレート。
成形材料、及び成形体の製造
コンパウンド化により、適切なプラスチック成形材料を作製した。このために各成分を、二軸押出成形機ZSK 26において20kg/hの処理量、約270℃で、平坦な温度勾配で混合し、ストランドとして排出し、顆粒化可能になるまで冷却し、顆粒化する。以下の表に記載した試験のための試験体を、Arburg 420C型の射出成形機で、材料温度約260℃、工具温度約80℃で射出した。
機械的特性は、ISO 527-2/1 A/5に従い、またISO 179-2/1 eUに記載のシャルピー衝撃試験(ノッチ無し)により測定した。
耐燃焼性はUL94に従い、0.8mmのロッドで測定した。
排煙密度、熱放出性、及び燃焼後の残渣は、ISO 5660 -1:2002に従って測定した。
成形材料の組成と測定結果は、以下の表から読み取ることができる。
Figure 2015520280
Figure 2015520280
Figure 2015520280
Figure 2015520280

Claims (7)

  1. 以下の成分A)〜E):
    A)熱可塑性ポリエステルを10〜97質量%、
    B)赤リンを0.1〜60質量%、
    C)ポリアクリロニトリルのホモポリマーを1〜25質量%、
    D)繊維状又は粒子状充填材を0〜50質量%、
    E)さらなる添加剤を0〜60質量%、
    含有する熱可塑性成形材料であって、
    前記成分A)〜E)の質量パーセントの合計は、100%となる、前記熱可塑性成形材料。
  2. 前記成分A)を10〜97質量%、
    前記成分B)を0.5〜40質量%、
    前記成分C)を1〜15質量%、
    前記成分D)を1〜50質量%、
    前記成分E)を0〜50質量%、
    含有する、請求項1に記載の熱可塑性成形材料。
  3. 前記成分A)を20〜95質量%、
    前記成分B)を0.5〜40質量%、
    前記成分C)を1〜15質量%、
    前記成分D)を5〜45質量%、
    前記成分E)を0〜30質量%、
    含有する、請求項1又は2に記載の熱可塑性成形材料。
  4. 前記成分C)は、DIN55672−2:2008−06、第二部(GPC、PMMA標準)に従った平均分子量Mwが10,000〜400,000である、請求項1から3までのいずれか一項に記載の熱可塑性成形材料。
  5. 前記成分C)を、顆粒、粉末、チップ、又はタブレットとして、他の成分A)及びB)と、任意でD)及びE)と混合し、調製する、請求項1から4までのいずれか一項に記載の熱可塑性成形材料。
  6. 繊維、シート、及び成形体を製造するための、請求項1から5までのいずれか一項に記載の熱可塑性成形材料の使用。
  7. 請求項1から5までのいずれか1項に記載の熱可塑性成形材料から得られる、繊維、シート、及び成形体。
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