本発明は、可動性および/または可変形状の表面2を備えたシステム1に関する。ここで、「可動性」とは、表面2が少なくとも局所的に、任意選択として全体的に(固体変位)移動可能である事実を意味する。また、「可変形状」とは、力の印加の影響下において、表面2の寸法または形状が変化可能である事実を意味する。当然のことながら、表面2は、全体的な移動および変形が同時に起こることも可能であり、この場合、その変位は局所的に、固体変位の成分と変形による変位の成分とに分解される。したがって、最終的に、表面2は、シフト表面となる。
たとえば、システム1は、スピーカを構成していてもよい。この場合、表面2は、スピーカの電気音響膜の外面から成る。別の例によれば、システム1は、圧力センサを構成可能である。この場合、表面2は、圧力感応膜の外面から成る。
システム1は、優先的には可変形状ミラーを構成する。この場合、可動性および/または可変形状の表面2は、反射部材を構成する。以下では、説明の簡素化および便宜上、表面2により反射部材が形成された可変形状ミラーを構成するシステム1についてのみ言及する。したがって、以下においては、符号1、2が可変形状ミラーおよび反射部材をそれぞれ表す。可変形状ミラー1は、たとえば天文学、医学(特に、眼科)、通信、計測学、スペクトル解析、レーザビームの生成および結合等の分野における任意の補償光学用途において、波面の修正、特に歪補正を行うことを意図したものである。
この目的のため、特に図1および図2に示すように、可変形状ミラー1は、図中の上面に相当し、入射電磁ビームを反射するための反射表面3のほか、好ましくは当該反射表面3と実質的に平行な「隠れ面」4と称する反対面を有する可変形状反射部材2を備える。当然のことながら、反射部材2は、任意の電磁ビーム、特に可視および/または不可視スペクトルの光ビームを反射するように構成可能である。さらに、反射部材2は、相互に独立かつ可動または連結された一組の並列剛性板により形成することによって、結合して断片化反射面を構成するファセットを構成することも可能である。あるいは、優先的な一変形実施形態によれば、反射部材2を柔軟膜により形成することも可能であり、したがって反射表面3が連続的となって都合が良い。
以下においては、説明の便宜上、反射部材2を可変形状膜と見なすこともできるので、符号2により、反射部材を構成する上記膜を表すことができる。反射部材2は、好ましくは剛性を有し、特に上部を膜2で覆われた中空ケーシングを構成可能な主支持部5上に取り付けられる。任意選択として、ケーシングは、漏れ止めの構成が可能である。膜2の構成材料および厚さについては、一切の制限がなく、当然のことながら、変形をもたらすアクチュエータ6(以下参照)により発生可能な力との調和を維持しつつ、特に柔軟性または共振周波数に関して膜2に然るべき機械特性を付与するように選定する。一例として、膜2は、ポリマーフィルムあるいは薄いシリコンブランケットで構成されていてもよく、その厚さは、実質的に一定であるのが好ましいが、実質的に10μm〜50μmであってもよい。さらに、反射部材2、より具体的に、反射表面3の平均プロファイルP0は、自由に選定してもよく、特に、図2に示すように、反射表面3が実質的に平面となるように実質的に直線であってもよいし、反射表面3がドーム状プロファイル、好ましくは凹部を提供するとともに、たとえば図1に示すように球面キャップ状あるいは放物線状の凹みを構成するように、好ましくは均一に、わずかに内側へ湾曲していてもよい。反射表面3および隠れ面4は、実質的に平行かつ均一であり、実質的に同じ平均プロファイルに従うのが好ましい。
説明の便宜上、図中に示すように、ミラー1の中心光軸(ZZ’)は、上位にある反射表面3および下位にあるケーシング5の底面5Aと実質的に垂直ないわゆる「軸」方向において実質的に垂直に延伸しているものと考える。この中心光軸(ZZ’)は、ケーシング5の側壁と実質的に平行であるのが好ましい。さらに、反射部材2、より具体的に、可変形状の反射表面3の横方向の範囲を定める輪郭は、光軸(ZZ’)と実質的に直交あるいは軸方向に垂直ないわゆる「半径」方向において、任意の形状であってもよい。ただし、輪郭は、長方形等の多角形、好ましくは正方形等の正多角形、あるいは円形に対応しているのが好ましい。
光軸(ZZ’)は、ミラーの回転軸すなわち回転時の固定軸に対応していると都合が良い。ミラーは、特に図1に示すように、生成軸が光軸(ZZ’)に対応する円筒あるいは円盤の形態を特に有することができる。
また、ミラー1は、少なくとも1つのアクチュエータ6を備え、好ましくは複数のアクチュエータ6がネットワークとして配置され、実質的に変形方向(XX’)において、局所的に変位した反射部材2を駆動することで、反射表面3を変形可能である。変形方向(XX’)は、反射表面と実質的に垂直かつミラーの光軸(ZZ’)と実質的に平行であるのが好ましい。これにより、反射表面3の局所的な変形は実質的に、好ましくは実質的に直線である垂直方向の変形軌跡に従う。各アクチュエータ6は、隠れ面4上において、反射部材2、より具体的には膜2の背面に固定された少なくとも1つの可動性リグ7を有することにより、局所的に変位した反射部材2、より具体的には反射表面3を駆動可能であるのが好ましい。
可動性リグ7と膜2間のリンクの性質は、変形例の対象となり得るが、たとえばエラストマー接着剤により得られる接着シール8で実現するのが好ましい。接着シール8は、実質的に点状の接着液滴によって各アクチュエータ6の上端を直接かつ個別に隠れ面4に固定可能な別個の接着領域により形成されているのが好ましい。このような手段により、接着剤の使用量を制限して、真空下でミラーを加工する必要がある場合の脱気現象の可能性を抑え、最終的に、膜の機械特性の低下(重量過多、共振周波数の低下)および熱特性の低下(散逸、不均一な膨張によるバイメタル板状の反り)の影響を及ぼす被覆層を膜の背面に追加する必要がなくなるため都合が良い。さらに、接着剤で占められた表面がミラーのサーボ制御チェーンの部材上に突出することを防止でき、特に、たとえば周囲湿度に対する接着剤の感応性のため、サーボ制御チェーンにおいて実施され得る容量測定が変化してしまうことを防止できる。これについては、以下に詳述する。当然のことながら、本発明は、特定の種類のアクチュエータに限定されるものではなく、特に、たとえば機械的、電気的、電磁的、静電的、圧電的、空圧的、油圧的、熱的な変形運動または膨張をもたらす可能性がある任意の技術に対応可能である。
さらに、各アクチュエータ6は、ベース部材9を備えているのが好ましい。このベース部材9に対しては、関連する可動性リグ7の変位が起こり得る。また、ベース部材9は、それと別個に独立しているのが好都合である可動性リグ7の変位および位置保持の実行および制御が可能な起動部材を構成しているのが好ましい。さらに、ベース部材9は、説明の便宜上、以下において起動部材9と見なす場合もあるが、主支持部5に固定すると都合が良く、好ましくはケーシングの底面5Aに固定して、あるいは収容または囲饒すると都合が良い。
図1、図2、および図5に対応する優先的な一変形実施形態によれば、アクチュエータ6は電磁式であり、ベース部材9は、可動性リグ7に印加する磁界の強度および極性を制御可能な誘導コイルにより形成可能である。可動性リグ7は、1または複数の永久磁石により形成可能であって、以下では説明の便宜上、永久磁石と見なす場合もある駆動要素10を備えているのが好ましい。
駆動要素10は、剛性棒状のブレース11によって、反射部材2から懸架可能であれば都合が良い。また、ブレース11は、要素10よりも断面が小さいと都合が良い。
また、ミラー1は、第1の測定信号S1および第2の測定信号S2をそれぞれ供給するように設計された少なくとも1つの第1のセンサC1および第2のセンサC2を備えていると都合が良い。測定信号S1、S2は、それらに基づいて可動性および/または可変形状の表面2の形状および/または位置を決定するように設計された処理回路12が収集する。これら第1および第2の測定信号S1、S2は、可動性および/または可変形状の表面2の形状および/または位置に関連し、より正確には、可動性および/または可変形状の表面2により適応された瞬間的な形態に関連する。また、第1および第2の測定信号S1、S2は、表面2、好ましくは反射表面3によって少なくとも局所的に適応された形状の全部または一部を表しているのが好ましい。ここで、「形状および/または位置に関する信号」とは、空間的な位置自体またはこの空間的な位置の時間的な変化(速度または加速度)を表すことができる信号である。この信号を収集するため、ミラー1は、第1の測定信号S1を収集可能な少なくとも1つの第1の測定経路V1のほか、第2の測定信号S2を収集可能な第2の測定経路V2を備える。図中に示す優先的な実施形態において、処理回路12は、都合良く構成する可動性および/または可変形状の表面2の変形および/または変位を制御するサーボ制御回路であるのが好ましい。したがって、優先的な本実施形態においては、反射部材2の変形および/または変位を制御するサーボ制御回路を処理回路12が構成する。この目的のため、処理回路12は、測定信号S1、S2に基づいて可動性および/または可変形状の表面2の形状および/または位置を決定するのみならず、測定信号S1、S2に基づいて決定した可動性および/または可変形状の表面2の形状および/または位置の関数として、アクチュエータ6の制御設定値を生成するように設計されている。以下においては、説明の簡素化および単純化のため、サーボ制御回路を構成する処理回路についてのみ言及する。ただし、当然のことながら、本発明は、この特定の例に限定されるものではない。
サーボ制御回路12は、システム1の要部を構成しているのが好都合であるが、特に従来、センサC1、C2から生じる情報を収集および処理するための測定解析回路12Aを一方で備え、好ましくは、各アクチュエータ6を制御する設定値を生成するための制御回路12Bを他方で備えることができる。当然のことながら、サーボ制御回路12は、任意の回路、コンピュータ、プログラム可能なオートマトン、または適当な電子カードに基づいて具現化可能である。
センサC1、C2は、反射部材2、より具体的には、ミラー、より具体的にはケーシング5に組み込まれた基準支持部14に対して、センサの高さにある反射部材の部分の可変位置を局所的に記録可能な位置センサを構成しているのが好ましい。基準支持部14は特に、光軸(ZZ’)と実質的に垂直および/または反射部材2が静止状態または中立基準位置と考えられる所定の位置にある場合に全体として採用する平均プロファイルP0により規定される表面と実質的に平行な表面に従って、反射部材2の反対側、より具体的には隠れ面4の反対側に延伸可能である。当然のことながら、センサC1、C2を採用することによって、基準支持部14に対する膜2の相対位置、あるいは膜2および/または関連する可動性リグ7の変位の振幅または速度を追加または代替として十分に測定可能である。
さらに、センサは、誘導センサ、抵抗センサ、圧電センサ、あるいはプローブ、またはたとえばレーザビーム等を用いた光学センサによって、十分同等に形成可能である。ただし、センサC1、C2は、容量センサであるのが好ましく、この目的のため、反射部材2とは反対の基準支持部14上に配設された少なくとも1つの第1の固定アーマチャ15と、反射部材2に固定または一体化され、第1のアーマチャ15と実質的に垂直な第2の可動アーマチャ16とを備えているのが好ましい。任意選択として、第2の(1または複数の)アーマチャ16は、たとえば金属付着によって、膜2の隠れ面4に固定または形成可能である。あるいは、一変形実施形態によれば、膜2が導電性である場合、膜2と一体形成可能である。この点で特筆すべきこととして、アーマチャ15、16の被覆とも重複ともならず、その占有表面を露出する点状の接着シール8を用いて可動性部材7を膜2に固定すると、アーマチャ15、16間における材料層の介在が回避される。この場合、接着剤は、特にその湿度に対する感応性によって、誘電体層の特性、より具体的にはその誘電率を変化させてしまい、容量測定結果が不正となるリスクがある。
さらに特筆すべきこととして、アクチュエータ6は、10個以上、50個以上、あるいは100個以上の多数のアクチュエータを含み得る、好ましくは均一の(第1の)アクチュエータ6の幾何学的ネットワークに従って配置されていてもよい。アクチュエータ6は、光軸(ZZ’)に直交して、反射部材2と垂直に延伸するネットワークの各ノードに分布されているのが好ましい。また、実質的には、光軸(ZZ’)に垂直な平面内に存在かつ/または、より具体的に、基準支持部14の延伸平面に沿っているのが好ましい。さらに、そのメッシュセルは、たとえば正方形、菱形、長方形、あるいは六角形のハチの巣形状であってもよい。
さらに、ミラー1は、(第2の)幾何学的ネットワークに従って反射部材2と実質的に垂直に配設された複数のセンサC1、C2、・・・、Ci、・・・、Cn(nは整数(たとえば図7のように、nは25であってもよい))を備えているのが好ましい。
アクチュエータ6のネットワークと同じように、センサC1、C2、Cnのネットワークについても、光軸(ZZ’)に直交して、反射部材2と垂直に伸びているのが好ましい。また、実質的には、光軸(ZZ’)に垂直な平面内に存在かつ/または、より具体的に、基準支持部14に従っているのが好ましい。当然のことながら、種々センサC1、C2、Cnの数、形状、表面積、および分布については、一切の制限がなく、センサごとに同じであってもよいし、その逆に異なっていてもよい。
特に同種の優先的な一変形実施形態によれば、アーマチャ、特に種々センサC1、C2、Cnの第1のアーマチャ15はすべて、実質的に同じ形状および表面積を有し、任意選択として、光軸に直交する2つの空間方向において実質的に同等に、実質的に一定の間隔に従って分布する。
場合により、センサC1、・・・、Cnのネットワークは、重畳するアクチュエータ6のネットワークと同等あるいは異なるレイアウト図、より具体的には形状および/または間隔を提供可能である。
一変形実施形態(図示せず)によれば、アクチュエータ6のネットワークおよびセンサネットワークC1、Cnは、各アクチュエータ6に対してセンサが実質的に重畳または隣接、好ましくは実質的に同心となるように、同一かつ一致することも可能である。
このように、全部または一部のセンサの第1のアーマチャ15は、たとえば中心を穿設された環状ペレットの形態として、対応する可動性リグ7のロッド11が前後に往復可能な通路のオリフィスを規定することができる。
特に図7に対応する別の変形実施形態によれば、センサC1、C2、Cnは、アクチュエータ6に対して五つ目型に配設され、より具体的には、実質的にアクチュエータ6のネットワークの異なるメッシュセルを中心としていてもよい。
このような配設によれば、隣接ロッド11間の空いた空間を占有することによって、第1のアーマチャ15のサイズを最大化することができるため、信号/雑音比の改善によるミラーのサーボ制御の精密化および小型化が可能となって都合が良い。
本発明によれば、ミラー1は、第1の測定経路V1および第2の測定経路V2に既知の校正信号SE(この例では、可動性および/または可変形状の表面2の変位および変形とは独立)を同時に投入することによって、サーボ制御回路12の全部または一部の校正を可能とする共通校正部材20を備える。センサC1、C2、Cnと関連する種々測定経路V1、V2、Vnに共通の校正部材20を用いることにより、単純、低コスト、かつ小型の手段によって既知の使い慣れた評価信号SEを適用できるとともに、各測定経路によって、該当する測定経路の動作状態および特性を知らせる画像信号S’1、S’2、S’nの形態で校正信号の写しを記録できて都合が良い。この場合の共通校正部材20は、校正信号SEの投入に応じて測定経路V1、V2、Vnにより読み出される画像信号S’1、S’2、S’nが可動性の表面2の形状および位置とは実質的に独立となるように設計されている。ここで、「実質的に独立」とは、可動性および/または可変形状の表面2の形状および位置が画像信号S’1、S’2、S’nに及ぼす影響が校正精度の度合いに対して無視できるように、共通校正部材20が具体的に設計されている事実を意味する。ただし、当然のことながら、影響をゼロにすることは、実際には明らかに不可能である。複数の測定経路あるいはすべての測定経路に対して実質的に同一の校正信号SEを同時に投入すると、測定経路の組全体に加え、必要に応じて測定回路12Aあるいは制御回路12Bを迅速かつ簡単に試験および校正可能となるため都合が良い。より具体的に、校正信号SEによれば、その投入領域と測定回路12Aとの間に大部分が存在する測定経路V1、V2、Vnの下流部分全体を試験可能である。特に、ある瞬間において、測定回路12Aの動作および特性(たとえば、利得および/またはフィルタリングパラメータ等)の試験または識別が可能となる。この点について、共通校正部材20は、測定経路V1、V2、Vnの極力上流に配設されているのが好ましく、特に、反射部材2、より具体的には反射表面3の位置のサーボ制御に有用な情報を収集するセンサの極力近くに配設するのが好ましい。これにより、測定チェーンの全体ではないが、第1のアーマチャ15から測定処理回路12Aに至るまでの大部分を試験可能である。
この点で特筆すべきこととして、校正部材20は、ミラー1に組み込まれていると都合が良く、より具体的には、ケーシング5に収容されていると都合が良い。また、基準支持部14に組み込まれているのが好ましい。
校正信号SEは、ミラー1の通常動作中にセンサC1、C2、Cnから戻される信号と実質的に同じ物理的性質、より具体的には同じ電気的性質であるのが好ましい。より具体的に、校正信号SEは、性質と振幅が測定信号S1、S2、・・・、Snに匹敵する電気信号で構成可能である。特に、膜2の静的または動的な制御中に当該膜の位置のサーボ制御において通常測定および利用される測定信号S1、Snの特性値と同じ周波数、同じ電圧、および/または同じ強度である。
この目的のため、校正信号SEは、適当な発生器21によって共通校正部材20に供給可能であれば都合が良い。発生器21は、任意の種類の適当な校正信号SEを発生でき、特に信号の電圧または電流の形状(たとえば、正弦波、正方形、または三角形等)、周波数、振幅を変更できるように構成可能であれば都合が良い。発生器21およびサーボ制御回路12は、必要に応じて協調し、センサのアーマチャ15、16間に適用して起動するとともに、それに応じて対応する測定信号S1、Snを収集する励起信号SIに対して校正信号SEを同期させることができる。
さらに、第1および第2の測定経路V1、V2、好ましくは、測定経路V1、V2、Vnの全体ではないがその大部分は、好ましくは幅と厚さがすべて同じである導電性トラック22により形成可能である。そして、共通校正部材20は、トラック22に共通の電極23により形成するのが好ましい。したがって、校正部材は、形状および寸法が適当な受動導電性材料の同一のシートまたはブロックにより一体的に構成するのが好ましい。
特に優先的な態様において、共通校正部材20は、誘電体層24(電気的絶縁)により測定経路、特に第1および第2の測定経路V1、V2から分離され、静電結合により当該測定経路V1、V2、Vnと協調する。
測定経路V1、V2と直接接触するタップが不要であり、校正段階以外では経路の動作を阻害することのない校正部材20は、上記のように特に単純かつ小型の態様で具現化可能であれば都合が良い。この点について、校正部材20が各測定経路V1、V2、Vnと重複、より具体的には(好ましくは、実質的に垂直に)交差する高さの交差領域20Aは、寸法、形状、および範囲がそれぞれ実質的に同じであるのが好ましい。したがって、交差領域20Aは、静電容量が実質的に同じキャパシタを構成しているのが好ましい。また、共通校正部材20を一方とし、各測定経路V1、V2、Vnを他方とする結合容量は、交差部20Aごとに実質的に類似しているのが好ましい。
発生器21による同一の校正信号SEの校正部材20への適用により、各測定経路において実質的に同じ画像信号S’1、S’2、S’nが理論通りに発生すると都合が良い。
特に図7に示すように、特に優先的な態様においては、測定経路V1、V2、Vnの長手方向と実質的に垂直に共通校正部材20が交差しているのが好ましい。この点について、図3に図示する変形実施形態では実際に、実質的に円形の共通校正電極23に対して実質的に半径方向に延伸するトラック22を提供可能である。特に図4に対応する一変形実施形態によれば、共通校正部材20は、対応するセンサC1、C2、Cnと実質的に垂直にそれぞれ配設された複数の電気連結導電長部24を備えることができ、センサに対して反射部材2の反対側に配設されていると都合が良い。別途記載するが、図4および図5に示すように、各導電長部24は、センサの第1のアーマチャ15の下方において、センサの反対側に配設可能であれば都合が良い。また、各導電長部24は、センサのアーマチャ15以上の表面積を有し、実質的に全体を覆っているのが好ましい。
そして、交差部20Aは、同時に(一方側を)導電長部24で覆われ、(他方側を)対応するセンサのアーマチャ15で覆われた表面に実質的に対応可能である。
一例として、センサC1、C2、Cnのネットワークおよび導電長部24の同じネットワークは、一致するように重畳可能である一方、図4に示すように、アクチュエータ6のネットワークに対して間隔の半分だけ五つ目型にシフトしていると都合が良い。
特に図1、図2、図3、図7、および図8に対応する別の一変形実施形態によれば、校正部材20は、ミラーの周辺に配設され、センサC1、C2、Cnのネットワーク全体と、必要に応じてアクチュエータ6のネットワーク全体とを囲む電極23により形成されているのが好ましい。この点について、電極23は特に、好ましくは閉じており、実質的にミラー1の輪郭、より具体的にはケーシング5の内側輪郭に接合した輪郭を提供可能であるとともに、たとえば図3に示すように、実質的に円環状あるいは実質的に正方形(図7)または長方形(図8)のフレームの形態を特に取ることができる。
たとえば図2、図3、図7、および図8に示すように、測定経路V1、V2、Vnは部分的に、ミラー1の周辺に向けてそれぞれのセンサC1、C2、Cn、より具体的には実質的に内部、特に電極23によって範囲が定められた空間の中心から外部に向かって、ケーシング5の縁部まで、あるいは縁部を越えてオフセットしているのが好ましい。このような構成によれば、測定経路V1、V2、Vnは、センサの好ましくは高密度のネットワークを離れ、任意選択として測定回路12Aがケーシング5の外部に存在する場合に結合される接続端子板により、ミラー、より具体的には測定回路12Aの周辺に再結合する一方、電極23と好ましくは実質的に垂直に交差可能であるため都合が良い。このような構成によれば、ミラー、より具体的にはケーシングの内部の整然とした領域(反射部材2の可変形状部から離間)に校正部材20を収容できる一方、測定経路V1、V2、Vnの比較的上流に校正信号SEを投入できて都合が良い。
校正部材20は、たとえば異なる測定経路によりそれぞれ記録される少なくとも10個、20個、50個、あるいは100個のセンサのネットワークをミラーが備える場合、測定経路V1、V2、Vnの組全体に共通であるのが好ましい。実際、本発明に係る校正部材20の実現原則および構成は、使用するセンサの数、占有する総表面積、および分布の空間密度の如何に依らず、拡張および適応可能であるため都合が良い。
さらに、完全な発明を構成する特徴によれば、共通校正部材20は、校正信号発生器21またはグランドへの接続を可能とする、たとえば機械的、電気機械的、あるいはトランジスタのような電子的スイッチ等のスイッチング手段25と関連付けることができる。特に好都合な態様においては、測定経路V1、V2、Vn間における共通校正部材20の結合を防止できる。さらには、少なくとも校正部材20の起動による校正信号SEの投入を行っていない期間において、センサC1、C2、Cnおよび/または関連する測定経路を電磁妨害から保護する電磁遮蔽スクリーンとして校正部材、より具体的には電極23を使用可能である。
さらに、共通校正部材20は、第1および第2の測定経路、好ましくはより全体的に、測定経路V1、V2、Vnの組全体に対する固定位置を占有するのが好ましい。より具体的に、共通校正部材20は、膜2から区別および分離可能であるとともに、特に基準支持部14の上側または内側においてケーシングに対する固定位置を占有可能であれば都合が良い。このような構成によれば、耐用期間にわたって実質的に不変の単純で機械的に安定した堅牢な取り付けの利益を享受可能であるとともに、校正部材20と各測定経路V1、V2、Vn間において、ミラー1の使用条件の影響および環境の変化の影響をほとんど受けない実質的に一定の静電容量の利益を享受可能であるため都合が良い。
さらに、上記のような発明を構成可能な優先的な特徴によれば、共通校正部材20および測定経路V1、V2、Vnは、特に図5および図7に示すような同一の多層構造30に属する。この多層構造30は、たとえばプリント配線板で構成可能である。また、多層構造30は、好ましくは剛性を有し、変形時に反射部材2が相対移動する基準支持部14を構成しているのが好ましい。また、この基準支持部14は、センサC1、C2、Cn、より具体的にはそれぞれの第1のアーマチャ15を支えているのが好ましい。したがって、校正部材20、より具体的には電極23と、測定経路V1、V2、Vnの全体ではないが少なくとも一部とをグループ化可能であり、より全体的には、基準支持部14と一致可能であれば好都合な多層構造の内部にこれらの要素を組み込むことができ、ケーシング5から区別および分離して内部に嵌合可能な一貫した多層サブセットを実現可能であるため都合が良い。このような構成によれば、ミラー1の製造および機能サブセットに基づく組み立てを簡素化可能である一方、ミラーの小型化および堅牢化が可能となるため都合が良い。多層構造30は、複数のトラック22が形成され、分離によりセンサC1、C2、Cnに接続されているのが好都合である少なくとも1つの導電配線層31を備えているのが好ましい。また、トラック22は、一方では光軸(ZZ’)と、他方では変形方向(XX’)と実質的に垂直な平面において、実質的に水平に配置されることにより、小型化、製造コストの低減、および経路間の有害な結合の回避によって、トラック22の相互のクロスオーバすなわち、好ましくは相互に十分離隔したままの種々測定経路V1、V2、Vn間のクロスオーバを回避できるのが好ましい。また、トラックはすべて、同一の単層において、同一の平面内にあるのが好ましい。ただし、センサおよびトラックの高密度化が必要な場合は、複数の実質的に平行な平面において、重畳層を構成する複数の層にトラック22を分布させることも可能である。トラック22は、必要に応じて、たとえば図7に示すように、同一の水平面内および/または複数の異なる平面間で垂直に波状の軌跡を提供可能である。これにより、ミラーの同一の横縁部方向において、実質的に相互に平行して延伸する一方、アクチュエータ6またはその他のトラック22によって形成された障害物を回避する。
さらに、多層構造30には、アクチュエータ6、より具体的には可動性リグ7が通過可能な通路32を穿設するのが好ましい。特に好都合な態様においては、アクチュエータ6の上部の高さ、より具体的には膜に結合された可動性リグの端部と磁石10が存在する反対側の端部との間にある狭隙空間において、膜2、より具体的には隠れ面4の直近に多層構造30を配設可能である。より全体的に、中間の基準支持部14は、反射部材2とケーシング底部5Aとの間に配設されているのが好ましく、特に優先的な態様においては、反射部材2の隠れ面4とアクチュエータ、特にその可動性リグ7の最も幅広な部分との間の狭隙空間に配設されているのが好ましく、かつ/またはこの配設の代替または追加として、可動性リグ7の近位端(すなわち、反射部材2に最も近い上端)と遠位端(すなわち、反射部材2から最も遠い下端)との間、より具体的には隠れ面4(一定距離)と永久磁石10の上部との間の狭隙空間に配設されているのが好ましい。そして、この通路32により、ロッド11は、基準支持部14を通過可能である。このような構成によれば、とりわけ、センサC1、C2、Cnだけでなくその配線についても、通常使用しない狭隙空間に配設可能であり、さらに、アクチュエータ6と実質的に重ねて載置できるため都合が良い。このような垂直方向の積層によれば、アクチュエータ6、特にコイル9の最も大きな部分を下層に分布可能である一方、センサのアーマチャ15については、好ましくは各センサの2つのアーマチャ15、16間に残存する空気のみによって占められた、たとえば100μmオーダーの非常に小さな分離距離を保ちつつ、膜の正反対の上層に載置される。当然のことながら、このような配設によれば、特にアーマチャ15の有効表面積ひいてはセンサの利得および精度の最適化および最大化が可能であり、その動作、特に静電容量は、重い本体、特にアクチュエータ6の部分が存在することによる害を受けない。
さらに、多層構造30は、第1の保護スクリーン33(この例では、膜2側に配向)と、第1のスクリーンから離間して、反対方向に配向した第2の保護スクリーン34(この例では、ケーシング底部5A側に配向)とを提供するのが好ましい。保護スクリーン33、34は、導電性であって、測定経路V1、V2、Vnが通過するトンネル35の範囲を定める電磁遮蔽を構成する。また、スクリーン33、34を接地することによって、トンネル35を電磁妨害から隔離するとともに、測定信号S1、S2、Sn、S’1、S’2、S’nが非常に弱くても保護可能であるため、非常に小型かつ細身の構造によって、測定チェーンの精度を向上可能な優れた信号対雑音比と見なされるすべての対象を取得できて都合が良い。たとえば図5に示すように、第1の保護スクリーン33自体は、膜2側にある面を電気絶縁(誘電体)層36で覆うことができ、その自由表面には、好ましくは実質的に平面の第1のアーマチャ15が配設されている。そして、トラック22は、アーマチャ15の背面において退出することにより、基準支持部14に進入し、好ましくはアーマチャ15の中心と垂直に配置された金属化垂直ウェルすなわち「ビア」37を通って、引き続き上部絶縁層36および第1の保護スクリーン33を通過することにより、支持部11、より具体的には膜2の外周と実質的に垂直なケーシング5の側壁の周辺へと横断可能である。そこでは、コネクタによって、測定回路12Aが信号S1、S2、Snを収集可能である。
図4および図5に示す一変形実施形態によれば、校正部材20の電極23は、センサの第1のアーマチャ15と第1の保護スクリーン33との間において、これら2つの各要素から一定の距離をおいて絶縁層36中に介在可能とすることにより、アーマチャ15の高さ、より具体的にはその背面において校正信号SEを直接投入でき、測定チェーンの全体を試験可能であるため都合が良い。
さらに、上述の特徴と組み合わせても組み合わせなくてもよく、必要に応じて完全な発明を構成する別の特徴によれば、校正部材20の電極23は、たとえば図8に示すように、スクリーン33、34の一方または他方、特に第2のスクリーン34の構成導電層と同じ高さにある導電層において構成可能であれば都合が良い。
特に、電極23は、好ましくは輪状に全体を囲んだ内側部分であるスクリーン33、34の第1の(半径方向)内側部分33A、34Aを外側から縁取る、好ましくはそれ自体で閉じたトラックの形態を取ることができる。
また、電極23自体は、同じスクリーン33、34の第2の外側部分33B、34Bにより囲うことができ、一方ではスクリーン33、34の第1の内側部分33A、34Aと、他方では第2の外側部分33B、34Bとの間に(半径方向に)存在する。ただし、電極23は、その内側縁部および外側縁部の範囲を定めることにより導電層を遮断する電気絶縁境界38によって、これら2つの内側部分および外側部分から分離されている。
別途記載するが、電極23は、ミラーの軸(ZZ’)と垂直な同じ平面において、スクリーン34の2つの実質的に同心の部分の間に実質的に(半径方向に)挟むことができれば都合が良い。
このように、校正部材20は、第1の保護スクリーン33または第2の保護スクリーン34と同じ導電層に属する電極23により形成可能であり、この電極は、保護スクリーンを外側から縁取る周囲長部または当該保護スクリーンの2つの同心部33A、33B、34A、34B間に実質的に収容された中間長部を構成する。特に好都合な態様においては、このような配設によって、スイッチング手段25により発生器21に接続されている場合は校正部材20として使用可能であり、またはグランドに接続されて、同一平面にあるスクリーン33、34の連続性を実質的に確保する場合には保護スクリーンとして使用可能な電極23を簡単かつ低コストで極小に製造可能である。
このように、種々測定経路に共通の校正部材が存在する利点と、構造の簡潔さおよび校正段階以外に測定される信号の優れた保護の利点とを組み合わせることができる。
当然のことながら、基準支持部14、より具体的に、多層構造30は、測定回路12Aに属し、センサから生じる信号S1、S2、Snの処理に有用な特定の電子部品、特に抵抗またはキャパシタ等の受動素子を組み込み可能である。この点について、多層構造30は、「マルチチップモジュール」(MCM)のような本物の埋め込み電子カードを一体的に構成可能であれば都合が良く、構造30の下面または上面あるいは深層における導電性または半導電性の付着によって、特定の部品、特に抵抗またはキャパシタ等の受動素子を構成可能であるため、反射部材2の形状を表す測定信号の少なくとも一部を取得して処理することができる。
センサから生じる信号はさらに、任意選択としてケーシング5あるいは基準支持部14に埋め込まれた微小な電子機器により、必要に応じて多重化することにより、測定回路12Aに属する処理用電子機器の複雑性およびコストを低減可能である。
さらに、完全な発明を構成可能な優先的な特徴によれば、基準支持部14、より具体的に、多層構造30は、たとえば図7に示すように、センサC1、C2、Cnをアクチュエータ6から分離するとともにセンサC1、C2、Cn同士を分離する隔壁のネットワークを構成する接地用導電性ガードライン40を備えることにより、センサの動作を阻害する可能性がある静電容量の結合または変化の現象を制限する。このガードライン40は、アクチュエータ6、通路32、およびアーマチャ15の間において、支持部14の上面の上方で蛇行する導電帯のネットワークの形態を取ることができれば、好ましくはそれらの周囲において、特に正方形または菱形のポケットを構成するため都合が良い。
当然のことながら、プリント配線板の形態での多層構造30、より具体的には基準支持部14の好都合な具現化によれば、とりわけ、導電性ペレットによる第1のアーマチャ15の具現化、銅帯によるトラック22の具現化、およびフォトリソグラフィおよび電解析出等の低コストで使い慣れた方法により多層構造30に密に組み込まれた実質的に連続平面の導電帯または導電層の形態での保護スクリーン33、34、ガードライン40、あるいは電極23の具現化が可能となる。
当然のことながら、当業者であれば、上述の特徴の一方または他方を自由に組み合わせたり分離したりすることによって、本発明を適応させることができる。
当然のことながら、本発明は、本発明に係る1または複数の可変形状ミラー1を組み込んだ任意の装置のほか、上述のような、少なくとも1つの第1および第2の測定経路V1、V2と、特に静電結合によって第1および第2の測定経路に校正信号SEを同時に投入可能な電極23状の共通校正部材20とを備えた分離部分を構成する任意の多層構造型サブセット30にも同様に関連する。
さらに、当然のことながら、本発明は、可動性および/または可変形状の表面2のほか、当該可動性および/または可変形状の表面2の形状および/または位置に関する第1および第2の測定信号S1、S2、Snであって、第1および第2の測定経路V1、V2それぞれにより、当該可動性および/または可変形状の表面2の形状および/または位置を当該測定信号S1、S2に基づいて決定するように設計された処理回路12で収集する当該第1および第2の測定信号S1、S2、Snをそれぞれ供給するように設計された少なくとも1つの第1および第2のセンサC1、C2、Cnを備えたシステム1の処理回路12の校正方法に関する。システム1は、上記説明に従うのが好ましく、以上に詳述したような可変形状ミラーにより形成されていると都合が良い。以下においては、単純化および簡素化のため、この可変形状ミラーについてのみ言及する。この場合、可動性および/または可変形状の表面2は、以上に詳しく示したように、反射部材を構成していると都合が良い。また、上述の通り、処理回路12は、可動性および/または可変形状の表面2の変形および/または変位を制御するサーボ制御回路であるのが好ましい。
以下、図示の変形実施形態、特に図6のブロック図を参照して、上記のような方法を説明する。
本発明によれば、上記方法は、各測定経路V1、V2、Vnに所定の校正信号SEを同時に投入する投入サブステップ(a1)と、測定経路V1、V2、Vnにより読み出され、(上述の通り)可動性の表面2の形状および位置とは実質的に独立の画像信号S’1、S’2、S’nを対応する校正信号SEと比較する比較サブステップ(a2)と、各測定経路V1、V2、Vnそれぞれの利得等のサーボ制御回路12の1または複数の特性を変更し、各測定経路の高さにおいて、適用した校正信号に忠実な画像信号を取得する修正サブステップ(a3)とを含む共通校正ステップ(a)を含む。より具体的には、この目的のため、スイッチング手段25を切り替えて、電極23をグランドから切断して発生器21に結合した後、発生器21により、通常は交流電気信号である所定の校正信号SEを電極23に適用することによって、励起子である電極23とトラック22間に存在する静電結合により各測定経路に流れる画像信号S’1、S’2、S’nの電流の強度を収集および測定可能とする。特に優先的な態様においては、実質的に同じ校正信号を測定経路の組全体に投入することによって、各経路を実質的に同じ態様で起動し、これに応じて、原理上は各測定経路において実質的に同等である画像信号S’1、S’2、S’nを収集する。
現実的な条件下において測定経路を試験して、可能な限り実際の運用条件に近い状態で校正できるように、校正信号SEは、ミラーの運用の枠組みで通常収集される測定信号に性質と振幅が匹敵する電気信号から成るのが好ましい。特に、校正信号SEは、センサC1、C2、Cnが主励起信号SIを供給され、反射部材2の作用、より具体的には膜2の撓み曲線のプロファイルの性質および変化を知らせる場合に測定経路に記録される通常または予測可能な値と実質的に同じ周波数および同じ電圧または同じ強度であってもよい。
所定の「現実的な」校正信号SEを投入する校正部材20により、測定経路、より全体的にはサーボ制御回路12において直接、センサC1、C2、Cnひいては予想される画像信号S’1、S’2、S’nの値の既知の仮想構成に対応する自由選定の使い慣れたミラーの仮想状態を模擬する条件を再現可能であれば都合が良い。この場合には、種々測定経路から実際に生じる画像信号S’1、S’2、S’n間の経路ごとの相対的な不一致が見られるか否か、および/または一方もしくは他方の測定経路において、実際に収集された画像信号S’1、S’2、S’nと、(投入した校正信号SEに関する)対象の測定経路が通常の機能を有し、適切に校正されている場合に理論上予想される画像信号との間に絶対的な不一致が見られるか否かを追求可能である。結果として、1つの測定経路における障害の可能性の検出あるいは各測定経路V1、V2、Vnにおいて予想される絶対的な画像信号の取得および/または種々経路間のそれぞれの応答の相対的な調和に関する測定経路の特性の修正が可能となる。
測定チェーンに対する電極23の上記配設によれば、特に励起信号SIの量(たとえば、電極と第1のアーマチャ15との結合が上流で発生する場合)ならびに/もしくは容量センサが励起信号SIを受け、実質的に膜2および関連する可動性リグ7の移動に対応した(軸方向の)距離にわたってアーマチャ15、16が相互に接近または離隔移動するために静電容量が変化する場合に容量センサから生じる応答に対応した機能的測定信号S1、S2、Snの量(たとえば、トラック22自体の高さにおいて、センサおよびそのアーマチャ15の下流で結合が発生する場合)に対して、校正信号SEに特有の量が類似する場合がある。
励起信号SIは、一方では膜2と、他方では各センサの第1のアーマチャ15との間に交流電圧を印加するとともに、好ましくは膜2の周辺から給電することによって生成するのが好ましい。この点で特筆すべきこととして、完全な発明を構成可能な特徴によれば、測定回路12Aは、測定信号の値が好ましくはその振幅に関してのみ読み出されるように、測定信号S1、S2、Snまたは画像信号S’1、S’2、S’nの位相に感応しないように設計されているのが好ましい。この目的のため、全波整流器、好ましくは信号を重畳させる2つの半波整流器を用いて、各センサC1、C2、Cnから生じる交流信号、より具体的には各測定経路で収集される交流信号を収集およびフィルタリングし、位相ではなくピーク強度のみによって決まる整流信号の平均強度を観測可能であれば都合が良い。このような構成によれば、膜2の半径がその中心方向で特徴付けられている場合に、種々センサへの連続給電による導電膜の抵抗損失(微小であっても)および中間容量損失のため膜の周辺から中心に向かう位相シフトが一般的に観測される場合であっても、測定誤差を回避できるため都合が良い。
本発明に係る校正方法は、独立した複数のアクチュエータ6および複数のセンサC1、C2、Cnによって反射部材2の変形を動的に誘導、監視、制御可能なサーボ制御のより全体的な方法において実施可能であれば都合が良い。
動作の一変形例によれば、センサへの主励起信号SIの供給に応じて、膜2の変形プロファイルに従った測定信号S1、S2、Snを生成可能とする場合、校正信号SEは、測定経路V1、V2、Vnに適用されて、機能的測定信号S1、S2、Snに重畳可能となる。
そして、特に優先的な態様においては、主測定信号S1、S2、Snとの位相シフト、より具体的には位相反転状態ならびに/もしくは励起信号SIとの位相シフトまたは位相反転の状態で校正信号SEを測定経路に適用可能である。
これにより、一方では膜2により形成された共通の可動アーマチャ16と、他方では各センサに固有の個別の固定アーマチャ15との間に励起信号SIを適用し、それと同時に、一方では膜2から区別および独立した電極23と、他方では関連する測定経路V1、Vnに対応した固定アーマチャ15またはトラック22との間に校正信号SEを適用することによって、センサの機能的励起を同時に、任意選択として恒久的に適用可能となるため都合が良い。
このように、一方では、整流または整合フィルタリングにより、第1の位相に従って発せられた励起信号SIに対する応答に対応した測定信号S1、S2、Snを収集することによって膜2の撓み曲線を測定可能であり、他方では、実質的に同時に、同一のサイクルにおいて、上記とは異なる整流またはフィルタリングにより、第2の位相に従って発せられた校正信号SEに対する応答に対応した画像信号S’1、S’2、S’nを収集することによって測定経路の状態を監視可能である。したがって、本発明によれば、種々測定経路のたとえば熱的または電子的な動作異常および/またはドリフトの実質的に実時間での検出ならびに/もしくは同じチャンネル(同じ測定経路V1、V2、Vn)を進む校正信号SEの画像信号S’1、S’2、S’nへの照会による測定信号S1、S2、Snの正規化が可能となる。結果として、測定チェーンの不具合またはドリフトの可能性を即刻かつ略実時間に修正可能となって都合が良い。
動作の別の変形例によれば、この方法は、主励起信号SI(のみ)をセンサに適用して膜2の変形を測定する通常の動作段階または校正信号SE(のみ)を適用する校正段階を排他的に交互に行うことができる。より具体的に、校正信号SEの測定経路への適用中は、励起信号SIを遮断可能である。
このようなシステムには、校正信号SEと、各アクチュエータ6に一致する膜2の位置および/または局所的変位を伝達する主信号S1、S2、Snとの干渉が生じないという利点がある。
この点については特に、ミラーの位置保持すなわちアクチュエータ6自体の励起を中断することなく、実際の変形の測定を時折中断し、校正を行った後、測定回路による変形の監視を再開することによって、ミラー1、より具体的にはサーボ制御回路12の測定回路12Aを周期的に校正することが考えられる。
当然のことながら、校正段階が終了した際には、電極23を発生器21から切断し、グランドに再接続して、トラック22の電磁気防御に寄与できれば都合が良い。
特筆すべきこととして、本発明に係る校正方法およびミラー1は、特に反射部材2の実際の位置の通常測定と重畳して同時に有効となる校正を行うためにミラー1を取り外したり、その利用を実際に中断したりする必要がないため都合が良い。必要に応じて校正と変形の監視との交互実施を仮定すると、サーボ制御回路12は、アクチュエータ6の位置および/または変位の制御を恒久的に継続可能となる。この点について、反射部材2の構成は、監視を一時中断している校正段階の直前の最終構成に「凍結」可能であれば都合が良い。この目的のため、アクチュエータ6に適用される設定値は、バッファメモリに格納可能であるとともに、校正に必要な期間にわたって既知の最終値に保持可能である。その後、反射部材2、より具体的に、設定値の構成は、校正段階が終わって実行中の監視段階が再開となったらすぐに、再リフレッシュ可能である。
本発明に係るミラー1は、1または複数のアクチュエータ6の有効移動距離が実質的に1μm〜20μmあるいは40μm、所与の設定値に対する位置決めおよびサーボ制御の精度が実質的に1nm〜10nm、そして実質的に10Hz〜10kHzのリフレッシュ周波数で設定値を変更可能なマイクロミラーを構成可能であれば都合が良い。
特に、膜2は、横断寸法、特に直径が実質的に5mm〜30mm、厚さが実質的に5μm〜50μmであり、ケーシングの全高が実質的に10mm〜100mm、2つのアクチュエータ6間の直線間隙が1mm〜3mm、ロッド11の幅が50μm〜300μm、磁石10の直径が500μm〜1000μm、コイル9の直径が1000μm〜1700μmに設定可能である。また、容量センサC1、C2、Cnの静電容量は、実質的に1pfあるいは0.1pf未満、特に実質的に0.04pfまたは0.05pf〜0.5pfに設定可能である。
励起信号SIおよび校正信号SEはともに、特に振幅が実質的に10V〜400V、たとえば100Vで、周波数が実質的に10Hz〜500kHz、たとえば100kHzのたとえば正弦波、正方形、または三角形の周期信号により構成可能である。
本発明に係るミラー1および対応する方法は、ユーザに全く意識させることなく、耐用期間にわたるミラーの優れた信頼性、ドリフトに関する高い堅牢性、および特に熱的、電子的、または電磁的な動作条件における変化の関数としての自動的な自己修正能力を示していれば都合が良い。この方法により、ミラーの制御および校正を定期的に行うことで、高速に変化する変形または振幅が大きな変形においても、精度、速度、および安定性に関するミラーの性能が同時に向上する。さらに、製造および組み立てが比較的簡単かつ低コストで、体積の増加なくミラーを埋め込み可能であり、共通校正部材全体をケーシングに包含可能な非常に単純、小型、軽量、および好ましくはモジュール式の構造により実施可能であれば都合が良い。また、校正誤差源ひいては測定誤差源となる可能性がある高価な外部機械治具または校正機器の使用を回避可能である。