JP2015510390A - 生分解性固定化酵素及びその製造方法 - Google Patents

生分解性固定化酵素及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、酵素を作ったバイオマス物質とは異なるバイオマス物質を含む支持物質を有する架橋酵素からなる固定化酵素物質に関する。固定化酵素物質が、高分子物質、及び/または初めに酵素を作るのに使われたバイオマスをさらに含むことは、任意である。得られた固定化酵素物質は、生分解性であっても良い。本発明はまた、開示固定化酵素物質を作る方法及びそれを使用する方法に関する。

Description

(関連出願データ)
本出願は、2011年11月11日に出願された、米国仮特許出願第61/558,758号に対する優先権を主張し、前述の特許関係書類はすべて、引用によりそれぞれの全体が本明細書中に組み込まれる。
本願技術は、酵素のようなバイオ触媒に関し、さらに詳しくは、酵素の固定化に関する。
固定化バイオ触媒は、特殊な化学変換が必要な色々な産業界で応用されてきている。食品および医薬品業界における大規模特殊例としては、ブドウ糖を果糖に転換する固定化グルコースイソメラーゼと、ペニシリン誘導体調製用の固定化ペニシリンアシラーゼがある。固定化酵素は、不必要な化学物質を分解するなどの、大規模なバイオレメディエーションに使うことができる。別の用途としては、診断反応の際に使用される小規模な固定化酵素があるが、その場合、生化学的触媒は、検出可能な化学部位を作る化学反応、あるいは他の化学変化を促進する。固定化酵素の用途は、将来さらに広がる可能性がある。
固定化バイオ触媒(酵素)は、液体状で使う溶液状のバイオ触媒、あるいは液体に溶かせて使う乾燥形のバイオ触媒よりも利点がある。固定化酵素は溶液からの分離が容易なので、酵素を再使用することができ、従って製品を生産する際に、酵素のコストを低減することができる。上記で引用した2例では、固定化酵素はカラムに詰めて使用するが、反応溶液をポンプでカラムに送り、溶液がカラムから出る時には、必要な化学変換は終わっている。このプロセスでは、酵素は高濃度で複数回使われており、酵素を有効に使用している。
分離の容易さに加えて、使用中はもとより貯蔵中におけるより大きな熱安定性、pH安定性などの潜在的な他の利点を、固定化触媒から得ることができる。固定化バイオ触媒により、様々な溶媒中で溶液状の酵素よりも大きな活性を得ることができる。固定化触媒は、埃を減らして、生成物の取り扱いを改善する粒状形で使用できるので、しばしば物理的形状に利点がある。乾燥酵素に関しては、物質質量当たりの固定化バイオ触媒の活性は、特別な用途では望み通りに変えることができる。
固定化酵素は、酵素が付着した、あるいは化学的または物理的手段に保持された個体基質と結合した酵素物質から構成される。酵素は、基質の表面に付着するか、あるいは基質が多孔質で基材が拡散できる場合は、酵素は基質中に拡散する。バイオ触媒の固定化には多くの方法が提案されており、その中にはゲル中への酵素の封入、共有結合法、疎水法、静電気法、及び無機または有機個体に酵素を付着させるその他の方法がある。酵素の細胞全体、酵素結晶その他との架橋は、グルタルアルデヒド(GA)やポリエチレンイミン(PEI)などの試薬を用いて行われる。
バイオ触媒を固定化形に転換するには、さらに加工を行わなければならないので、そのような形の触媒を作るためには製造費がかさむかもしれない。費用が増えても、生産性の向上、貯蔵安定性、溶媒の使用あるいは他のいくつかの利点により、それが埋め合わせられるに違いない。従って、固定化費用は、固定化酵素を製造するに際して考えなければならない重要事項である。固定化費用が低ければ、固定化酵素をより経済的に使用することができる。
酵素の固定化に提案された方法の中では、全細胞の架橋を使う方法は、対費用効果が最も高い方法の一つである。この方法では、全細胞は、酵素を作るために使用する微生物の細胞なので、費用無しであるいは細胞処分に関係する費用が生ずる場合はネガテブコストで入手可能である。
様々な固定化法が、シリカ支持体に付着させる方法も含めて、酵素に対して提案されてきている。上記の方法には、微生物発酵させて酵素を作る、バイオマスから酵素を分離(または精製)する、酵素を基質に付着させるまたはカプセル化する、及び最終的な製品形を作る、ことが含まれる。これらの固定化法には、酵素を付着させる基質の費用が発生するという欠点がある。さらに、発酵バイオマスから酵素を分離する場合、それに付随する精製費用の他に、酵素及び酵素活性に幾分かの損失が生じる。これらの不利益は、酵素を作るために使われるバイオマスで直接酵素の固定化をすることにより克服される。
酵素基質のいくつかは、水に対する溶解度は限定されているが、有機溶媒あるいは有機溶媒と水との混合溶媒に対する溶解度は良い。例えば、これらの性状のために、有機溶媒溶液が、有機リン化合物を洗い流すのにしばしば使われたり、あるいはトリグリセリドの加工の際に使われる。可溶性の酵素は、有機溶媒あるいは混合溶媒中でしばしば不活性化したりあるいは活性を失ったりするが、しかし固定化酵素は、可溶性の酵素と比べて溶媒中である程度活性を維持することができる。従って、固定化酵素は、溶媒中で高濃度の基質と反応する能力がある。
固定化酵素を応用する場合、使用後に酵素を処分する必要が生じる。例えば、カラム反応器で使用した固定化酵素は、使用後に処分する必要がある。また、固定化酵素のいくつかは、直接環境中で使用することが考えられる。例えば、固定化OPH酵素は、殺虫剤や他の有機リン化合物による汚染除去のために農地に散布することができる。
発明の詳細な説明
本願発明の技術は、以下の特許請求の範囲に述べられており、以下のことは、いかなる方法であれ、法的保護の範囲を限定したり、定義したり、あるいは他の方法で確立したりするものではない。開示技術は、固定化酵素、及びそれを製造する方法に関する。
開示技術の一つの実施態様によれば、一つ以上のバイオマス物質を支持基質の成分として利用する一連の固定化酵素が提供される。開示技術により、費用を最小限に抑え、製造法を簡略化する。そのような固定化酵素は、安定で、一連の条件にわたって、特に一連の溶媒の存在下、一連のpH値にわたって、業界で通常使われる温度で使用される。固定化酵素及び固定化酵素物質は、生分解性である場合がある。有機リン酸塩や関連する有害物質を、より低毒性/無毒性の物質に変換することができる特殊な固定化酵素が提供され、これらを生化学的に分解して、その浄化力をさらに発揮して簡略化することができる。これらの固定化酵素を調製し利用する方法も提供される。
開示技術により、固定化酵素物質が提供される。その物質は、固定化有機リン酸塩分解酵素物質でもよい。酵素物質は、バイオマス物質を含む支持基質を有する架橋酵素からなる。バイオマス物質は、酵素を作ったバイオマス物質とは違っていてもよい。架橋酵素は、酵素を少なくとも2つの多官能性物質と反応させることにより形成することができる。
開示技術の固定化酵素に組み入れることができる酵素としては、それに限定するわけではないが、酸化還元酵素類、トランスフェラーゼ類、加水分解酵素類、リアーゼ類、イソメラーゼ類及びリガーゼ類からなる群から選ばれる酵素類があげられる。有機リン酸塩加水分解酵素(OPH)、有機リン酸アンヒドロラーゼ(OPAA)、ジイソプロピルーフロロフォスファターゼ(DFPase)などの有機リン酸塩分解酵素類を使うことができる。ラクターゼ、グルコースイソメラーゼ、ペルオキシダーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ、キシラナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、カタラーゼ、インベルターゼ、フィターゼ、アミログルコシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ペニシリンアシラーゼなどの酵素類もあげることができる。開示技術の固定化酵素は、遊離酵素よりも温度安定性が改善される。開示技術を2つ以上の酵素の組み合わせに適応し、応用するのは任意である。
従って、開示技術により、酵素製品を低コストで作ることが可能になるが、その場合、酵素は有機リン酸塩加水分解酵素及び/または他の酵素でよい。上記の製品は、有機リン酸化合物の分解や他の化学変換に使うことができる。開示技術により、貯蔵と使用時どちらでも安定な酵素製品が得られる。更に、開示技術により、有機リン酸化合物がより可溶性であるかあるいは他の化学変換が起こりうる溶媒中で活性酵素な製品が得られる。更にまた、開示技術により、酵素を処理するか、または環境中に残留した場合に分解されなければならないような他の用途を始めとして、有機リン酸分解用の一連の固定化酵素製品が提供される。これらの製品は、生分解性であるのが適している。
開示技術においては、固定化酵素物質は、一連の溶媒の存在下、遊離酵素よりも高い温度で、かつ実質的により広いpH範囲にわたって、機能し得る。
支持物質に使用するバイオマス物質は、酵素が作られたバイオマス物質とは違ったバイオマスを含んでもよい。この点で、酵素が作られたバイオマス物質とは違ったバイオマスと、酵素が作られるバイオマス物質と同じものを組み合わせてもよいが、ただしバイオマスの少なくともいくつかは、酵素が作られたバイオマスとは違ったバイオマスである。
酵素が作られたバイオマスとは違ったバイオマスを使えば、利点がある。この点で、一つの利点は、酵素が作られるバイオマスとは違ったバイオマスは、利用されなければ処理しなければならない廃棄物かもしれないということである。別の利点は、固定化酵素の使用目的に応じて、そのバイオマスの特性を選ぶことができることである。例えば、固定化酵素は生分解性でもよい。このことは、固定化酵素を使って、ある形態の農薬や化学製剤、及び固定化酵素を後々処理しなければならない製造用途を初めとして、固定化酵素を使用して環境汚染を浄化する場合に有用である。例えば、有機リン酸農薬で汚染された農地の表面全般にわたって、生分解型の固定化酵素を散布して処理することにより、除染することができる。一旦除染が完了したら、生分解性固定化酵素は、時間の経過と共に分解するので、さらに浄化や除去を行うことは不必要である。
いくつかの場合は、最終固定化酵素の物性を、バイオマスを選択することにより変更することは可能である。例えば、多かれ少なかれ材質を固くして、様々の反応器形態に対する適合性を高めることができる。粒体をより固くすれば、充填床型反応器の形態に有利である。同様に、多孔性、疎水性、溶解性などの固定化酵素の性状を、バイオマスを選択することにより変更して、特殊な反応条件に適合させることができる。一般的には、酵素が作られたバイオマスとは違ったバイオマスをさらに組み入れることにより、酵素が作られたバイオマスの性状に限定される全細胞固定化酵素に比べて、固定化酵素を特別に適応させる選択性がさらに得られる。
好適な支持物質は、架橋物質と反応することができる複数のアミン基または他の官能基を有する。支持物質としては、キチン、アスペルギルスニガー細胞、羊毛などの、1つ以上のバイオマス物質がある。好適な支持物質の1つの型は、架橋物質と反応することができる複数の官能基を有する。例えば、ポリアミンなどのアミノ基を含むバイオマス物質が使われてきた。そのような好適なバイオマス支持物質の例としては、それに限定されるわけではないが、アスペルギルスニガー細胞、酵母細胞、セルロース、デキストラン、でんぷん寒天、アルギン酸塩、カラギーナン、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、フェリチンなどがある。綿や羊毛などの他のバイオマス物質をあげることができるが、ただし複数の官能基を有する支持物質を少なくともいくつか使って、架橋を補強する。また、支持物質としては、ポリエチレンイミン、キトサン、ポリピロールなどの合成及び/または高分子物質、または他の好適な物質がある。支持物質は、少なくとも1つのバイオマス物質及び/または少なくとも1つの高分子支持物質の組み合わせからなっていてもよい。好適な高分子支持物質としては、例えばポリエチレンイミン、ポリピロール、たんぱく質、ゼラチンなどのポリアミン類をあげることができる。好適なバイオマス物質としては、官能基がなく、架橋構造を最小限有するバイオマス物質、必要な架橋を行う官能基を複数有するバイオマス物質、及びそれらの組み合わせをあげることができる。
好適な架橋物質としては、支持物質と反応することができる多官能基を有する物質があげられる。好適な架橋物質としては、例えば、グルタルアルデヒド、ジアルデヒド、有機ジアシッド、スベリン酸ジサクシンイミジル、ピメルイミド酸ジメチル、アジプとイミド酸ジメチル、シアヌル酸塩化物、コハク酸、ヘキサメチレンジイソシアネートなどもあげることができる。アミンと架橋することができる試薬も使うことができる。
バイオマス物質を使って支持基質を作る固定化酵素が、生分解性であることは任意である。他の例では、バイオマス物質は不溶性である。従って、開示技術の固定化酵素は生分解性でもよい。好適な生分解性支持物質としては、それに限定されるわけではないが、加工あるいは未加工外骨格(無機または有機)、骨、キチン(可溶または不溶)、アスペルギルスニガー細胞などがあげられる。
環境が解放的な広い地域にわたって固定化酵素が適用される用途においては、固定化酵素が生分解性であることは有利である。従って、固定化酵素が生分解性である開示技術の実施態様には,処理が必要な酵素や環境中で散布される酵素など様々な酵素に応用される。
固定化酵素は、溶媒を含こともできる。これは、変換される物質を溶解するために適用される溶媒である。溶媒としては、それに限定されるわけではないが、ヘキサン、トルエン、メタノール、ジメチルスルホキシドなどをあげることができる。固定化酵素は、遊離酵素に比べて温度安定性が改良されている。
開示技術により、そのような固定化酵素物質を調製する方法も提供される。1つの例では、そのような方法には、酵素と、支持物質と, 架橋物質とを用意して、支持物質と架橋物質を酵素の水性懸濁液と反応させる工程が含まれる。物質はどの順序で反応させてもよい;ある場合は、支持物質を架橋物質の前に添加し、一方他の場合では、活性を最大にするために、架橋物質を支持物質の前に添加する。物質を反応させる工程の結果、凝集物ができる。生成物は、直接または単離し、乾燥し、使用目的によって望む大きさと形を持つ粒子にかえて、使用することができる。支持物質としては、バイオマス支持物質がある。バイオマス支持物質以外の支持物質は、酵素の水性懸濁液に添加することができる。架橋物質を、水、アルコール、DMSOなどの適当な溶媒で使用することができる。
そのようにして形成された固定化酵素を加熱する。固定化酵素を加熱すると、高温で加熱してない同様の固定化酵素と比べて、活性が高くなる。
開示技術により、固定化酵素を使って、酵素変換を受けやすい物質を変換する方法も提供される。生分解性型の固定化酵素が使用される。1つの例では、その方法は、固定化酵素を用意する工程からなり、その酵素は酵素変換を受けやすい物質と接触するのに適した形をしており、望む変換を行うのに使われ、さらに方法は、固定化酵素を酵素変換を受けやすい物質と接触させる工程からなる。またいくつかの例では、そのような接触工程には、酵素変換を受けやすい物質を溶媒に溶解して溶液を作り、その溶液と固定化酵素をと接触させる工程が含まれる。環境浄化を含む用途においては、接触工程には、固定化酵素を土壌に散布して、土壌中の水分を溶媒として使って酵素変換を受けやすい物質を溶解する工程を含むことができる。変換を受けやすい物質が水に溶けないかあるいは水が無いような他の例の場合は、溶媒を供給する必要がある。別の例では、望む変換反応を、カラムや、容器やあるいは、固定化酵素と酵素変換反応を受けやすい物質を、酵素変換を受けやすい物質が少なくとも少しは溶解する溶媒と組み合わせる他の反応器中で行うことができる。いくつかの実施態様においては、変換には、農薬、化学兵器剤、神経作用薬などから選択される物質を変換するか分解して、より低毒性または無毒性の成分に変えることが含まれる。
本願発明の最初の態様は、固定化有機リン酸塩分解酵素を提供することである。1例では、架橋有機リン酸塩分解酵素(ODE)は、有機リン酸塩加水分解酵素(OPH)を、支持物質及び架橋物質と反応させて作ったOPHで示されたが、他の例では、他のODEが使われてもよい。好適な支持物質が複数のアミン基を有するのは、任意である。支持物質としては、キチン、アスペルギルスニガー細胞、羊毛などのバイオマス物質がある。さらには、ポリエチレンイミン、ポリピロール、たんぱく質、ゼラチンなどのポリアミン類であることも可能である。好適な架橋物質としては、グルタルアルデヒド、スベリン酸ジサクシンイミジル、ピメルイミド酸ジメチルなどの支持物質と反応することができる多官能基を有する物質があげられる。
さらに別の例として、架橋OPH物質は、バイオマス物質を含む支持基質を含むことができる。バイオマス物質は、OPHを作るのに使われたバイオマス物質、別のバイオマス物質またはその組み合わせでもよい。バイオマス物質からなる好適な支持物質の例としては、それに限定するわけではないが、キチン、アスペルギルスニガー細胞、羊毛などがある。バイオマス物質を使って支持物質を作る固定化酵素や支持物質が、生分解性であることは任意である。他の例では、バイオマス物質は不溶である。
さらに他の例として、架橋OPH物質は溶媒をさらに含むことができ、その溶媒は、変換される物質を溶解するのに用いる溶媒であってもよい。溶媒としては、ヘキサン、トルエン、メタノール、ジメチルスルフォキシドなどがあるが、これらに限定されない。固定化OPH酵素は、遊離酵素に比べて、温度安定性が改良されている。
本願発明の別の態様としては、酵素が作られたバイオマス物質とは違うバイオマス物質を含む支持物質を有する固定化酵素がある。そのような例においては、固定化酵素は、酵素を支持物質及び架橋物質と反応させて作ることができ、支持物質はバイオマス物質を含む。使用するバイオマス物質としては、酵素が作られたバイオマス物質とは違うバイオマス物質、同じバイオマス物質あるいはそれらの組み合わせであるが、ただし、バイオマス物質の少なくともいくつかは、酵素が作られたバイオマス物質とは違う。好適なバイオマス物質の1つは、架橋物質と反応し得る複数の官能基を有している。例えば、ポリアミンなどのようなアミノ基を有するバイオマス物質が使われてきた。そのような好適なバイオマス支持物質の例としては、それに限定されるわけではないが、アスペルギルスニガー細胞、酵母細胞、セルロース、デキストラン、でんぷん寒天、アルギン酸塩、カラギーナン、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、フェリチンなどがある。綿や羊毛などの他のバイオマス物質をあげることができるが、ただし複数の官能基を有する支持物質を少なくともいくつか使って、架橋を補強する。好適な支持物質としては、ポリエチレンイミン、ポリピロール、たんぱく質、ゼラチンなどのポリアミン類をあげることもできる。好適な架橋物質としては、支持物質と反応することができる多官能基を有する物質があげられる。アミンを含む支持物質と反応するのに好適な架橋物質としては、グルタルアルデヒド、スベリン酸ジサクシンイミジル、ピメルイミド酸ジメチルなどをあげることができる。これらの固定化酵素に組み込むことができる酵素の例としては、酸化還元酵素類、トランスフェラーゼ類、加水分解酵素類、リアーゼ類、イソメラーゼ類及びリガーゼ類からなる群から選ばれる酵素類があげられる。上記固定化酵素は、遊離酵素に比べて温度安定性が改良されている。
本願発明のさらに別の態様としては、生分解性の固定化酵素があげられる。そのような生分解性酵素としては、バイオマスを含む支持物質と架橋物質から作られた支持基質を有する架橋酵素がある。好適なバイオマス支持物質は、架橋物質と反応することができる複数の官能基を有することは任意である。例えば、ポリアミンなどのようなアミノ基を有するバイオマス物質もいくつか使われてきた。他の例では、使用するバイオマス物質は、水に可溶でも不溶でもよい。そのような好適なバイオマス支持物質のさらに他の例としては、それに限定されるわけではないが、アスペルギルスニガー細胞または他の細菌の細胞物質、酵母細胞または他の真菌の細胞物質、セルロース、デキストラン、でんぷん寒天、アルギン酸塩、カラギーナン、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、フェリチンなどがある。綿や羊毛などの他のバイオマス物質をあげることもできる。好適な架橋物質としては、支持物質と反応することができる多官能基を有する物質があげられる。他の例では、複素官能性の架橋物質、すなわち2つ以上の異なる官能基を有する架橋物質を使ってもよい。アミンを含む支持物質と反応するのに好適な架橋物質としては、グルタルアルデヒド、スベリン酸ジサクシンイミジル、ピメルイミド酸ジメチルなどをあげることができる。これらの固定化酵素に組み込むことができる酵素としては、酸化還元酵素類、トランスフェラーゼ類、加水分解酵素類、リアーゼ類、イソメラーゼ類及びリガーゼ類からなる群から選ばれる酵素類があげられる。上記固定化酵素は、遊離酵素に比べて温度安定性が改良されている。
本願発明のさらに別の態様としては、固定化酵素を調製する方法で、支持物質の少なくとも一部がバイオマス物質である。1つの例では、そのような方法には、酵素と、バイオマス支持物質と, 架橋物質とを用意する工程と、バイオマス支持物質と架橋物質を酵素の水性懸濁液に添加して撹拌して、凝集物を形成する工程が含まれる。水性懸濁液としては、少なくとも水を含んでいる懸濁液であればよい。バイオマス支持物質以外のバイオマス物質をさらに用意して、酵素の水性懸濁液に添加することができる。支持物質としてはさらに、ポリエチレンイミン、ポリピロール、ポリエチレンジアミン(例えば、ポリジエチレントリアミン、ポリトリエチレンテトラミン、ポリペンタエチレンヘキサミン、ポリヘキサメチレンジアミンなど);ポリメチレンジシクロヘキシルアミン;ポリメチレンジアニリン;ポリテトラエチレンペンタミン;ポリフェニレンジアミン、これらのポリアミン化合物の2つ以上の混合物などからなる群から選ばれるポリアミンなどがある。別の例としては、生分解性の固定化酵素を調製する方法で、少なくとも1つの生分解性の支持物質と架橋剤を用意する工程を含む方法がある。好適な生分解性の支持物質としては、それに限定されるわけではないが、加工(研磨、粉砕またはその他の機械的手段による)あるいは未加工外骨格(無機または有機)、骨、キチン(可溶または不溶)、アスペルギルスニガー細胞などがあげられる。好適な架橋物質としては、それに限定されるわけではないが、グルタルアルデヒド、ジアルデヒド、有機ジアシッド、スベリン酸ジサクシンイミジル、ピメルイミド酸ジメチル、多官能性アルデヒド、多官能性有機ハロゲン化物、多官能性無水物、多官能性アゾ化合物、多官能性イソチオシアネート、多官能性イソシアネート、これらの2つ以上のアミン反応性化合物の混合物、スクシンジアルデヒド、テレフタルアルデヒド、ビス−ジアゾベンジジンー2,2’−ジスルフォン酸、4,4’−ジフロロー3,3’−ジニトロジフェニルスルフォン、ジフェニルー4,4’−ジチオシアネートー2,2’−ジスルフォン酸、3−メトキシージフェニルメタンー4,4’−ジイソシアネート、トルエンー2−イソシアネート−4−イソチオシアネート、トルエンー2、4−ジイソチオシアネート、ジアゾベンジジン、ジアゾベンジジンー3,3’−ジアニシジン、N,N‘−ヘキサメチレンビスヨードアセトアミド、ヘキサメチレジイソシアネート、塩化シアヌール酸、1,5−ジフロロー2,4−ジニトロベンゼン、これらの2つ以上のアミン反応性化合物の混合物などがあげられる。架橋物質は、水、アルコール、DMSOなどの適切な溶媒中で使用しても良い。該方法を使って、酸化還元酵素類、トランスフェラーゼ類、加水分解酵素類、リアーゼ類、イソメラーゼ類及びリガーゼ類からなる群から選ばれ固定化酵素を形成することが出来る。上記固定化酵素を単離後加熱することにより、高温処理していない同様の固定化酵素と比べて、その活性を高めることができる。
本願発明のさらに別の態様としては、固定化酵素を使って、酵素変換を受けやすい物質を変換する方法がある。1つのそのような例では、その方法は、その物質と接触するのに適していて、かつ望む変換を行うのに適合した形の生分解性酵素を用意する工程と、生分解性酵素を酵素変換を受けやすい物質と接触させる工程を含む。そのような接触工程には、酵素変換を受けやすい物質を溶媒に溶解して溶液を作り、その溶液と固定化酵素を接触させることを含むのは任意である。環境浄化を含む用途においては、接触工程には、固定化酵素を土壌に散布して、土壌中の水分を溶媒として使って酵素変換を受けやすい物質を溶解することを含むことができる。酵素変換を受けやすい物質が水に溶けないかあるいは水が無いような他の例の場合は、溶媒を供給することができる。
特に、有機リン酸塩化合物は、農薬、殺虫剤及び化学兵器剤として使われる強力な神経毒化合物である。しかし、有機リン酸塩を化学兵器剤として使うことは、国際条約で禁止されている;これらの化合物を農業管理や地域内の害虫管理に使用することについて、汚染された装置や容器の浄化と共に、土壌や水系の汚染を危惧することは、理にかなったことである。多くの有機リン酸塩は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、次亜塩素酸塩、過酸化水素などの除染剤で分解することができるか、あるいはその地域を洗浄剤と水で処理して、汚染を除去することができる。これらの方法の各々は、汚染処理にはある程度有効であるが、この用途で考えなければならない二次的な問題点もある。例えば、これらの化合物のいくつかは本来腐食性で、その処理から出てくるすべての廃棄物は、有害な廃棄物として扱わなければならない。
化学処理の有効性を維持して、処理法の廃棄物取扱面を改良するために、有機リン酸塩の除染のために、有機リン酸塩分解酵素(ODE)を利用することを考える。ODEは、広い範囲の有機リン酸トリエステルと有機フルオロリン酸塩の加水分解に触媒として作用することが出来る酵素の総称である。アリールアルキルホスファターゼ(E.C.3.1.8.1)とジイソプロピルーフロロホスファターゼ(E.C.3.1.8.2)は、アセフェート、クマフォス、デメトン、ダイアジノン、ダースバン、マラチオン、パラオキソン、パラチオン、メチルパラオキソン、メチルパラチオンなどの広い範囲の有機リン酸塩農薬、及びサリン、ソマンとVXを含む化学兵器剤に対して反応性を与えているP-O、P-F、P-S、P-CN結合を開裂することが出来ることを示している。
別の例では、望む変換を、カラム、反応床、容器あるいは、生分解性固定化酵素と酵素変換反応を受けやすい物質を、酵素変換を受けやすい物質が少なくとも少しは溶解する溶媒と組み合わせる他の反応器中で行うことができる。上記例のどちらにおいても、生分解性固定化酵素物質は、一連の溶媒の存在下、遊離酵素よりも高い温度で、かつ実質的により広いpH範囲にわたって、機能し得る。好適な溶媒の例としては、それに限定されるわけではないが、ヘキサン、トルエン、メタノール、ジメチルスルホキシドなどがある。
開示技術のなお一層の目的、実施態様、形態、利益、側面、機能、優位性については、以下に述べる事柄、図及び特許請求の範囲から明確になるだろう。
細胞スラリー状のOPH酵素の時間に対する吸光度データを示すグラフである。 固定化形のOPH酵素の時間に対する吸光度データのグラフである。 細胞スラリー状及び固定化形のOPH酵素の時間に対する吸光度データを示すグラフであるが、酵素を52.5℃の温度に4時間暴露で、粒子径が異なる。 メタノール溶液中の細胞スラリー状のOPH酵素の時間に対する吸光度データを示すグラフである。 メタノール溶液中の固定化形のOPH酵素の時間に対する吸光度データのグラフである。 メタノール溶液中で粒子径が異なる、固定化形のOPH酵素の時間に対する吸光度データを示すグラフである。 65℃に様々な時間暴露後の、細胞スラリー状のOPH酵素の時間に対する吸光度データのグラフである。 65℃に様々な時間暴露後の、固定化形のOPH酵素の時間に対する吸光度データを示すグラフである。 可溶OPH酵素の時間に対する吸光度データを示グラフである。 固定化形のOPH酵素の時間に対する吸光度データを示グラフである。 10%メタノール溶液中の細胞スラリー状のOPH酵素の時間に対する吸光度データを示すグラフである。 20%メタノール溶液中の細胞スラリー状のOPH酵素の時間に対する吸光度データを示すグラフである。 30%メタノール溶液中の細胞スラリー状のOPH酵素の時間に対する吸光度データを示すグラフである。 40%メタノール溶液中の細胞スラリー状のOPH酵素の時間に対する吸光度データを示すグラフである。 10%メタノール溶液中の固定化OPH酵素の時間に対する吸光度データを示すグラフである。 20%メタノール溶液中の固定化OPH酵素の時間に対する吸光度データを示すグラフである。 30%メタノール溶液中の固定化OPH酵素の時間に対する吸光度データを示すグラフである。 40%メタノール溶液中の固定化OPH酵素の時間に対する吸光度データを示すグラフである。 遊離OPH酵素の溶媒なし溶液中の活性に対する、エチレングリコール溶液との暴露による活性の時間に対する変化を示すグラフである。 OPH-7固定化形のOPH酵素の溶媒なし溶液中の活性に対する、エチレングリコール溶液との暴露による活性の時間に対する変化を示すグラフである。 OPH-14固定化形のOPH酵素の溶媒なし溶液中の活性に対する、エチレングリコール溶液との暴露による活性の時間に対する変化を示すグラフである。 OPH-15固定化形のOPH酵素の溶媒なし溶液中の活性に対する、エチレングリコール溶液との暴露による活性の時間に対する変化を示すグラフである。 乾燥結晶の形、又は緩衝液に懸濁した状態のどちらかで65℃に様々な時間暴露後の、遊離PO酵素の時間に対する吸光度データを示すグラフである。 乾燥結晶の形、又は緩衝液に懸濁した状態のどちらかで65℃に様々な時間暴露後の、固定化形のPO酵素の時間に対する吸光度データを示すグラフである。
開示技術の原理を更に理解してもらい、現在理解されている最良の態様の操作を提示する目的で、図示されている実施態様に参照し、それを具体的に説明する。しかし、それにより開示技術の範囲を限定することを意図するものではなく、またそこに述べられていることを変更したりさらに修正したり、また開示技術の原理を更に応用したりすることは、その開示技術が関連する分野の当業者が容易になしうることであることは、理解されるべきである。
開示技術は、
(a)バイオマス物質を含んでなる支持基質を有する、一連の望ましい変換を推進することが出来る固定化酵素、
(b)上記の固定化酵素を調製する方法及び
(c)固定化酵素を利用する方法
を提供する課題に取り組む。本願発明の固定化酵素は、物質費用を減らし、熱安定性を改良し、一連の溶媒の存在下、広いpHの範囲で活性を高めて、製造された酵素は生分解性を有することができる。好適なバイオマス物質としては、一般に官能基がなく、わずかに架橋構造を有するバイオマス物質、必要な架橋にかかわる官能基を複数有するバイオマス物質、及びそれらの組み合わせがある。一例としては、有機リン酸塩加水分解酵素を含み、一連の農薬、神経剤などを変換するか分解してより低毒性か無毒の成分に変える、架橋固定化酵素がある。有機リン酸塩加水分解酵素の形態は、生分解性である。
本願発明の固定化酵素を調製する方法は、酵素、バイオマス物質、支持物質及び架橋物質を用意する工程、酵素を水性媒体中に懸濁させる工程、標準法で単離することが出来る凝集物を形成するために使用するその他の物質を組み合わせる工程からなる。いくつかの例では、支持物質は、架橋物質の前に添加し、一方他の例では、架橋物質は、支持物質の前に添加するが、それは方法の有効性と活性を考慮してのことである。水性凝集物は、直接使用するか、あるいは単離、乾燥して、望ましいサイズや形の粒子にして使用することが出来るが、目的の用途次第である。いくつかの固定化酵素の活性は、高温で加熱することにより著しくかつ驚くほど上昇した。
本願発明では、以下に定義する用語を使用するが、その意味を具体的に説明する。
支持基質:その中に含有する酵素に機械的及び酵素的安定性を付与する粒子を形成するために使われる、少なくとも一つの物質、架橋剤、反応性ポリマー、支持物質及びバイオマス。
バイオマス:生物由来の物質、例えば、微生物、植物、及び/または軟体動物、昆虫類または甲殻動物などの他の生物、あるいは外骨格及び/または貝殻(有機及び無機系どちらも)などの生物の部分によって作られる物質。そのような物質は、機械的な加工(研磨、粉砕など)を行ってもよいが、化学的処理または加工はしない方が良い。
支持物質:支持基質において、個々にまたは組み合わせて用いられる物質, 例えば、バイオマス、合成樹脂及び/または他の非有機物質。
架橋剤:酵素と支持物質上の特殊な官能基を共有結合的に結合させる、例えばアミン基をアルデヒドと結合させる、ために使われる2つ以上の反応性末端を有する化学薬剤。
反応性ポリマー:架橋剤と反応し得る反応性ペンダント基を有するポリマーを含む。
固定化法:以下に述べる例は、本願発明を説明することを意図するものであり、いかなるやり方であれ開示技術を別段に限定することを意図するものではない。以下の例で説明するように、酸化還元酵素類、トランスフェラーゼ類、加水分解酵素類、リアーゼ類、イソメラーゼ類及びリガーゼ類を含む、広い範囲の酵素群から選ばれる酵素を、本願発明により使用することができる。以下の例で使用するODE酵素を、細胞スラリーまたは溶解細胞物質として宿主細胞を用いて固定化した。いくつかの例では、精製した酵素を使用した。支持物質はまた、ポリエチレンイミン、キトサン、ポリピロールなどの合成及び/または高分子物質、あるいは他の好適な物質を含むことができる。支持物質は、少なくとも1つのバイオ支持物質及び/または高分子支持物質からなることは任意である。架橋剤は、グルタルアルデヒド(GA)、スベリン酸ジサクシンイミジル(DSS)、ピメルイミド酸ジメチル(DMP)、アジプイミド酸ジメチル(DMA)、塩化シアヌル酸(CyC)、コハク酸(SA)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、などの多官能物質及び/またはアミンと架橋し得る他の試薬からなる。
酵素は、(単離されるかまたは他のたんぱく質か細胞スラリーを含んでもよい菌糸体混合物として含まれて)供され、水性緩衝液に懸濁される。支持物質は、撹拌下で添加され、溶液がよく混合されるまで、約1時間混合を続ける。必要があれば、脱イオン水をさらに加えてもよい。架橋剤を、撹拌を続けながら添加して、固定化酵素を凝集させる。個体を単離して、通常の方法で乾燥することができる。これは、一般の固定化法の一例に過ぎない。他の例では、成分は異なった順序で添加しても構わないし、2つ以上の成分を同時に添加してもよいし、及び/または工程を長期間または短期間に行ってもよい。以下に示す例は、開示技術を説明するためになされるものであり、いかなるやりかたであれ開示技術を限定することを意図するものではない。
有機リン酸塩加水分解酵素の固定化法:
以下の例において、使用されたOPH酵素は、“化学薬品の検出と微生物分解用微分蛍光酵母バイオセンサー”という表題で、2008年9月30日に申請された米国特許公開12/241,574(‘574出願)で開示されたものの変形である。ここで述べられている方法と技術は、OPHの他の変形及び/または‘574出願に開示されているもの以外の方法を用いて作ったOPHの変形にも応用することができる。ここに述べられている方法と技術は、OPH以外の酵素にも応用することができる。アリールジアルキルホスファターゼ(E.C.3.1.8.1)とジイソプロピルフロロホスファターゼ(E.C.3.1.8.2)などの有機リン酸塩分解酵素もまた使うことができる。いくつかの例では、有機リン酸塩分解酵素は、リン原子と分子をつなぐ1つ以上の結合に作用する酵素であるが、開示技術は、異なった機構を使って有機リン酸塩を分解するか破壊する酵素にもまた適用することができる。ここに開示されている技術と方法を、2つ以上の酵素の組み合わせに適応させ応用するのも任意である。他の例では、ここで開示されている方法と技術を、2つ以上の酵素に個々に適応させ応用した後、得られた固定化酵素を必要に応じて組み合わせて、特別の用途に使用することができる。
1つの例では、酵素は、以前に用いて酵素を作ったバイオマスを用いて固定化される。この特別な例では、酵素と、酵素を作り出した微生物のバイオマスを含む発酵液を生じる発酵により、酵素は作られる。発酵液を発酵槽より除去し、固形物を乾燥し、加工して望ましい大きさの粒子を作る。乾燥に先立ち、低分子物を溶液から除去するのは、任意である。さらに、酵素補因子、バイオマスと酵素を含む固形物を形成する物質、あるいは追加成分を、発酵液を除去するに先立ち発酵槽に添加するか、及び/または、乾燥前か後の望む方で固形物に直接添加することができる。
そのような方法で形成した固定化酵素は、酵素の補強に使われる固形基質物の費用が含まれていないので、他の固定化法で作られた酵素より製造費が低い。また、酵素は、バイオマスと一緒にとどめておくと、活性が低下する。
この固定化酵素は、遊離酵素より大きな熱安定性を示す。従って、貯蔵及び使用時どちらにおいても、より大きな温度変動に耐えて、活性を維持することができる。固定化酵素は、溶媒溶液中でより大きな活性を示すことができる。有機リン酸化合物は水よりも溶媒により溶けるので、水よりも溶媒中で活性が高まると有益である。考え得る溶媒としては、水に対してメタノール20%のような、アルコール/水混合物があるが、他の溶媒も同様に使うことができる。
本願発明の別の態様としては、多様な環境条件下で生分解性が上昇する固定化酵素を、低いコストで提供することである。いくつかの例では、固定化酵素を含む化学成分の大部分またはすべては、生分解性固定化酵素生成物中では生分解性が上昇する。ある例では、酵素を作るのに使われ、バイオマス自身が生分解性であるバイオマスを使って酵素が固定化される。他の例では、他の発酵で作られたバイオマスを、他の方法で最初に作られた可溶性酵素を固定化するのに使用することができる。さらに他の例では、使用するバイオマス物質は、水に不溶か、溶解性が限定されている。
OPH酵素を使って酵素を固定化する方法を、以下の例で述べる。便宜上、特殊な酵素(OPH)を1つ使用した。開示された酵素の固定化法と技術は、OPHに限定されない。当業者であれば、開示された酵素の固定化法と技術を適用して、ラクターゼ、グルコースイソメラーゼ、カタラーゼ、インベルターゼ、フィターゼ、アミログルコシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ペニシリンアシラーゼなど、これらに限定される訳ではないが、を含む幅広い他の酵素類を固定化することができることは、理解されるべきである。

酵素含有細胞の固定化法:
細胞成長、酵素製造及び初期調製
1つの例では、組み換え遺伝子による大腸菌からOPHを製造することは、保存培養液を調製することから始まる。25g/LのLB培地からなる最初の溶液25mLを121℃で15分間殺菌する。殺菌後、冷却して、50μg/mLのカナマイシンと50μg/mLのクロラムフェニコールを、無菌で保存液に添加する。2mLの上記保存液と、望ましい大腸菌微生物で以前に筋をつけるかまたは接種した寒天皿から得た大腸菌1コロニーから種培養物を調製する。この2mLの溶液を振動台上で150RPMで、37℃、24時間培養する。培養期間終了後、種培養溶液を無菌状態下1%v/vで,より大きな容量(20mL)の保存培養液に添加して、開始培養物とする。次に、この開始培養物を、振動台上で150RPMで、37℃、24時間培養する。
15g/Lのブドウ糖、10g/Lの酵母抽出物及び5g/Lのファルマメディアからなる水道水の発酵培養液を、14リッターの発酵容器(実行容量:10リッター)New Brunswick BioFlo 3000発酵器に入れる。この溶液を、発酵容器中121℃で15分間殺菌する。殺菌後、容器を冷却して、50μg/mLのカナマイシンと50μg/mLのクロラムフェニコールを、無菌で発酵液に添加する。発酵制御ポイントを、37℃、pH7.0、溶解酸素35%、ろ過乾燥空気8SLPM、及び撹拌100−600rpmに設定する。撹拌速度を使って溶解酸素を制御し、発酵器に送る冷却水の速度を変えて温度を制御した。発酵容器を、温度、pH、溶解酸素及びその他の化学特性が平衡するようにした。次に、発酵容器に、1%v/vの開始培養物を接種した。無菌状態を維持しながら容器から試料を採取することにより、発酵液のOD600を定期的に追跡監視した。ファルマシアウルトロスペックIII分光光度計を使って、光透過率を600nmで測定した。OD600が3.5の値を超えた時、大腸菌を誘導して、47.7mg/LのIPTGと13.0mg/LのCoClを無菌添加することにより、OPHを製造した。引き起こされた発酵は、4時間進行するにまかせて、その時点で培養液が得られた。発酵器から得られた体積はおよそ7.75リッターであった。
得られた培養液を、0.14μmのセラミックマイクロフィルターによるPBSで、マイクロ濾過と透析濾過を行うことにより、5倍に濃縮した。マイクロフィルターによる透析濾過により、可溶塩とポリマーを溶液より除去した。酵素は大腸菌細胞中に含まれているので、マイクロフィルターにより得られる。フィルター透過物を分析して、酵素がこの濾過でほとんど失われていないことを突き止めた。濾過された濃縮細胞の最終容量は、およそ1.5リッターであった。次に、およそ50mLの濃縮培養液を、3000xGで30分間遠心分離を行い、上澄み液を取り除いた。この方法から得られた細胞ペレットを、−20℃で保存して、必要に応じて使った。
PEIとグルタルアルデヒドを用いる細胞固定化法:
固定化工程で使用するため、少なくとも1つの冷凍ペレットを冷凍機から取り出して、解凍した。10gの解凍細胞ペレットを、pH7.0のリン酸塩緩衝溶液(PBS)100mLに再懸濁した。この懸濁液に、グルタルアルデド(GA)を1分かけてゆっくり添加して、最終濃度を0.2%(v/v)とし、室温で1時間混合した。次に、2倍量の脱イオン水で溶液を希釈して、全量を約300mLとして量を変えて、0.075%(v/v)までポリエチレンイミン(PEI)を溶液中にゆっくり滴下して、細胞を凝集させた。固定化細胞塊を、750xGで10分間遠心分離を行い捕集して、約10gの湿潤固定化細胞を得た。得られた固形物を広げて、室温で24時間乾燥した。次いで、乾燥細胞を集めて、乳鉢と乳棒または湿式粉砕機を使って、試験管中でガラス球により望ましい粒径に機械粉砕した。必要に応じて、これらの粒子を再度乾燥した。
PEIとGAの添加順序、PEIとGAの逐次連続添加、添加と添加の間の時間、PEIとGAの同時添加、添加するPEIとGAの量と濃度など、この方法を態様変更することは可能である。この方法での最初の変更態様では、PEIとGAの同じ合計濃度は維持しつつ、PEIとGAの添加順序を逆転させた。同じ手順で、別段に固定化を行った。第二の固定化変更態様では、GAを2倍量用いて、それを同じ時間をかけて添加して前と同様1時間反応させた。第三の固定化変更態様では、PEIを最初の量の1.5倍量用いた。別の変更態様では、GAをいずれか適切なジアルデヒドで置き換えることができる。
生分解性固定化酵素:
上記の固定化には、全細胞、PEI及びグルタルアルデヒドが含まれていた。全細胞とグルタルアルデヒドは生分解性であるが、PEIは違う。いくつかの用途では、固定化粒子全体が生分解性であることが望ましい。従って、PEIを他のより生分解性の物質に置き換えることができる。適切な物質としては、たんぱく質、ゼラチン、羊毛、キチン、キトサンなどの、グルタルアルデヒドと反応し得る基を有する生分解性高分子をあげることができる。
生分解性全細胞固定化酵素を形成するため、上記固定化法を、PEIをキトサン(CHI)に置き換えて行った。固定化工程で使用するため、少なくとも1つの冷凍ペレットを冷凍機から取り出して、解凍した。10gの解凍細胞ペレットを、pH7.0のPBS100mLに再懸濁した。この懸濁液に、GAを1分かけてゆっくり添加して、最終濃度を0.2%(v/v)とし、室温で1時間混合した。次に、2倍量の脱イオン水で溶液を希釈して、全量を約300mLとして量を変えて、1gまでのCHIを溶液中にゆっくり滴下して、細胞を凝集させた。固定化細胞塊を、750xGで10分間遠心分離を行い捕集して、約10gの湿潤固定化細胞を得た。得られた固形物を広げて、室温で24時間乾燥した。次いで、乾燥細胞を集めて、乳鉢と乳棒または湿式粉砕機を使って、試験管中でガラス球により望ましい粒径に機械粉砕した。必要に応じて、これらの粒子を再度乾燥した。
可溶性OPH酵素の固定化:
酵素が、可溶な形で入手可能な場合もある(例えば、酵素を作る微生物が、酵素を排泄する)。生分解性固定化酵素は、そのような可溶性酵素を使う望ましい生成物である。全細胞固定化の一つの利点は、酵素を製造する生物から得られる生分解性バイオマスが安いことである。実施例では、可溶性酵素、他の発酵(しばしば廃棄物)から得られるバイオマス、キトサン及びグルタルアルデヒドを使って固定化酵素を形成し、安い生分解性固定化酵素を形成することも可能である。
可溶性OPH酵素の初期調製:
可溶性OPH酵素は、化学的溶解とクロマトグラフ法により、凍結全細胞から得られた。凍結細胞ペレットは、室温の水浴中で5分間で解凍された。当初、細胞を、細胞ペレット1g当たり5mLの溶解緩衝液(98.8%YPER、プロテアーゼ阻害剤、0.2%DNAse I)で溶解した。ペレットを、テフロン被覆スパチュラでほぐして、追加の3−5mLの溶解緩衝液を使ってスパチュラ上の細胞物質を洗い流して、溶解液の残りに加えた。次いで、溶解液を、氷上、環状振とう器で40分間培養した。培養に続いて、溶解液を、4℃、20、000xGで20分間遠心分離を行い精製した。遠心分離で得られた上澄み液を、4℃で保存して、必要に応じて使った。
クロマトグラフ法のために、調製NTA-Nickel樹脂2mL当たり8mLの溶解液を、遠心分離管に加えた。溶解液/樹脂混合物を、環状振とう器で4℃、40分間培養した。培養に続いて、混合物を、800xGで5分間遠心分離を行い、上澄み液を除いた。樹脂2mL当たり13mLの結合緩衝液(50mLリン酸塩緩衝液、500mM NaCl)を、カラムに添加した。樹脂を静かに再懸濁させ、8000xGで5分間遠心分離を行う前に沈降させた。上澄み液を再度除去して、樹脂2mL当たり13mLの洗浄緩衝液(30mMイミダゾール、50mMリン酸塩緩衝液、500mM NaCl)を添加した。樹脂を再懸濁させて沈降させた後、8000xGで5分間遠心分離を行って上澄み液を除いた。洗浄緩衝液を使った工程を、1回繰り返した。洗浄工程に続いて、樹脂2mL当たり3mLの溶出緩衝液(250mMイミダゾール、50mMリン酸塩緩衝液、500mM NaCl)を添加した。この最終混合物を、室温下環状振とう器で10分間培養した。樹脂を沈降させた後、800xGで5分間遠心分離を行い、上澄み液(溶出留分)を捕集して、4℃で保存して、必要に応じて使った。
10,000kDaフィルターを使った遠心分離濾過により、溶出留分中の可溶酵素を濃縮した。この工程は、たんぱく質を含有する緩衝液を交換するのに役立った。12mLの溶出留分を、各濾過器に加えて、5000xGで遠心分離を行い、留分を1mLに濃縮した(約10分)。透過液を除去して、ろ過物を保存緩衝液(50mMリン酸塩、500mM NaCl)で、12mLに希釈した。この工程を2回繰り返して、ろ過物を捕集して、4℃で保存して、必要に応じて使った。

可溶性OPHを使った固定化:
可溶性酵素の固定化のために、0.5mLの濃縮OPH透過液を、脱イオン水で1.5mLに希釈した。6mgのキトサンをこの溶液に添加して、30分間混合した。次いで、この溶液を脱イオン水でさらに5mLに希釈して、12MLまでの25%GA溶液をゆっくり滴下した。GAとの反応後、成分は数時間で自然沈降するに任せ、固定化固形物をかき乱さないように、約4mLの上澄み液を注意深く取り除いた。この物質を4℃で保存して、必要に応じて使った。この固定化工程の変形として、キトサンの添加に続いて、165mgの殺菌済みA.niger mycelium(約12%固形分)を添加した。
細胞に含有されたOPHの固定化の変形:
100mLのPBS(pH7.5)中にOPHと関連の細胞を含むスラリーを、調製した。そこにグルタルアルデヒドを添加して、スラリーを室温で1時間撹拌した。脱イオン水(200mL)を添加して、続いてキトサンを添加した。凝集が始まり、撹拌を数分間続けた。凝集が完了してから、固形物を単離して、2つの工程のうちの1つを使って乾燥した。最初の工程では、固形物を遠心分離管に移し、750−1000xGで約10分間遠心分離を行ことにより単離した。粒子状の塊を、24時間空気乾燥することにより乾燥した。必要な場合は、乾燥の前に湿潤固形物からペレットを形成した。それに替わる工程では、凝集物を採取して凍結乾燥管に移し、通常の技術で凍結乾燥を行って乾燥品を得た。どちらかの工程を経た後、乾燥物を望ましいサイズに機械粉砕することにより、粉末物を得た。
グルタルアルデヒドを架橋剤として使い、ポリエチレニミン、キトサン、ポリピロール、及び乾燥細胞含有OPHを含むバイオマスを含有する支持物質により、いくつかの固定化OPH酵素を調製した。各工程は、ある量のOPH酵素をリン酸塩緩衝生理食塩水の出発緩衝液に懸濁させることにより始まり、最終固定化酵素の凝集が実質的に完了するまで、十分長く継続させた。上記の固定化変形酵素の調製に関する情報が、下記表1から得られる。各実施例で使われた手順の違いは、下記表1に述べられている。
Figure 2015510390
略語:
OPH:リン酸塩加水分解酵
GA:グルタルアルデヒド
CHI:キトサン
PEI:ポリエチレンイミン
PPY:ポリピロール
YE:酵母抽出物
EC:大腸菌細胞
PM:ファルマメディア
AN:A.niger mycelium
DMP:ピメルイミド酸ジメチル
DSS:スベリン酸ジサクシンイミジル
SA:コハク酸
CC:塩化シアヌール
DCH:1,6−ジイソシアントヘキサン
DI:脱イオン

手順の注解:
a:出発緩衝液にOPHとバイオ支持物質を懸濁する
b:GAを添加して、約1時間混合する
c:PEIを添加して、約1時間混合する
d:緩衝液に希釈液を添加する
e:希釈緩衝液にANを添加して、約30分間撹拌する
f:希釈緩衝液にCHIを添加して、約30分間撹拌する
g:希釈緩衝液にCHIを添加する
h:PEIをゆっくり添加する
i:GAをゆっくり添加する
j:CHIをゆっくり添加する
k:CHIとPPYをゆっくり添加する
l:PPYをゆっくり添加する
m:YEをゆっくり添加する
n:PMをゆっくり添加する
o:希釈液をゆっくり添加する
p:DMPをゆっくり添加する
q:DSSをゆっくり添加する
r:SAをゆっくり添加する
s:CCをゆっくり添加する
t:DCHをゆっくり添加する
可溶性キシラナーゼ酵素の固定化:
100mLのPBS(pH7.5)中にキシラナーゼを含むスラリーを調製した。そこにアスペルギルスニガーとキトサンを添加して、懸濁液を室温で1時間撹拌した。脱イオン水(200mL)を添加して、続いてグルタルアルデヒドを添加した。凝集が始まり、撹拌を数分間続けた。凝集が完了してから、固形物を単離して乾燥した。乾燥物を望ましいサイズに機械粉砕することにより、粉末物を得た。
特に注解しない限り、表2に上げた実施例はすべて、25℃の温度で行った。各工程は、ある量のキシラナーゼ酵素を脱イオン水の出発緩衝液に懸濁させることで始まり、最終固定化酵素の凝集が実質的に完了するまで、十分長く継続させた。各実施例で使われた手順の違いは、下記表に述べられている。固定化反応条件の検討を簡略化するために、いくつかの固定化試験をバイオマスを使わずに行った。
Figure 2015510390
略語:
XY:キシラナーゼ
GA:グルタルアルデヒド
AN:A.niger mycelium
CHI:キトサン
DI:脱イオン水

手順の注解:
a:GAを添加して、約1時間混合する
b:CHIを希釈緩衝液に懸濁する
c:希釈液を出発溶液にゆっくり添加する
d:ANを希釈緩衝液に懸濁する
e:GAを溶液にゆっくり添加する
f:CHIを出発緩衝液に懸濁する
可溶性ペルオキシダーゼ酵素の固定化:
100mLのPBS(pH7.5)中にペルオキシダーゼを含むスラリーを調製した。そこにキトサンを添加して、懸濁液を室温で15分間撹拌した。脱イオン水(50mL)を添加して、続いてグルタルアルデヒドを添加した。凝集が始まり、撹拌を数分間続けた。凝集が完了してから、固形物を単離して通常の方法で乾燥した。乾燥物を望ましいサイズに機械粉砕することにより、粉末物を得た。
特に注解しない限り、表3に上げた実施例はすべて、25℃の温度で行った。各工程は、表中に示したように、西洋ワサビから得られたある量のペルオキシダーゼを出発緩衝液に懸濁させることで始まり、最終固定化酵素の凝集が実質的に完了するまで、十分長く継続した。各実施例で使われた手順の違いは、下記表に述べられている。酵素に対する架橋剤の直接の有効性を検討するために、いくつかの固定化をバイオマス物質を使わずに行った。
Figure 2015510390
略語:
PO:ペルオキシダーゼ(セイヨウワサビから得た)
GA:グルタルアルデヒド
DSS:スベリン酸ジサクシンイミジル
SA:コハク酸
CC:塩化シアヌール
PPY:ポリピロール
DCH:1,6−ジイソシアントヘキサン
AN:A.niger mycelium
CHI:キトサン
DMP:ピメルイミド酸ジメチル

手順の注解:
a:POとCHIを出発緩衝液中で混合する
b:PO、ANとCHIを出発緩衝液中で混合する
c:POとPPYを出発緩衝液中で混合する
d:GAを溶液にゆっくり添加する
e:DMPを溶液にゆっくり添加する
f:DSSを溶液にゆっくり添加する
g:SAを溶液にゆっくり添加する
H:CCを溶液にゆっくり添加する
i:DCHを溶液にゆっくり添加する
可溶性アルコールデヒドロゲナーゼ酵素の固定化:
150mLのPBS(pH7.5)中にアルコールデヒドロゲナーゼを含むスラリーを調製した。そこにキトサンを添加して、懸濁液を室温で15分間撹拌した。これに続いてグルタルアルデヒドを添加した。凝集が始まり、撹拌を数分間続けた。凝集が完了してから、固形物を単離して乾燥した。
特に注解しない限り、表4に上げた実施例はすべて、25℃の温度で行った。各工程は、ある量のアルコールデヒドロゲナーゼ酵素をリン酸塩緩衝生理食塩水(pH7.0)の出発緩衝液に懸濁させることにより始まり、最終固定化酵素の凝集が実質的に完了するまで、十分長く継続した。希釈液を使用した下記の各実施例では、pHが7.0の脱イオン水100mLからなる希釈液を使用した。各実施例で使われた手順の違いは、下記表に述べられている。
Figure 2015510390
略語:
AD:アルコールデヒドロゲナーゼ
GA:グルタルアルデヒド
AN:A.niger mycelium
CHI:キトサン
EC:大腸菌細胞
可溶性ピルビン酸デカルボキシラーゼ酵素の固定化:
150mLのHEPES(pH7.5)中にピルビン酸デカルボキシラーゼ酵素を含むスラリーを調製した。そこにキトサンを添加して、懸濁液を室温で数分間撹拌した。これに続いてグルタルアルデヒドを添加した。凝集が始まり、撹拌を数分間続けた。凝集が完了してから、固形物を単離して乾燥した。
特に注解しない限り、表5に上げた実施例はすべて、25℃の温度で行った。各工程は、ある量のピルビン酸デカルボキシラーゼゼ酵素をリン酸塩緩衝生理食塩水(pH7.0)の出発緩衝液に懸濁させることにより始まり、最終固定化酵素の凝集が実質的に完了するまで、十分長く継続した。各実施例で使われた手順の違いは、下記表に述べられている。
Figure 2015510390
略語:
PDC:ピルビン酸デカルボキシラーゼゼ
GA:グルタルアルデヒド
AN:A.niger mycelium
CHI:キトサン
EC:大腸菌細胞

酵素活性試験:
固定化の1つの利点は、酵素の温度安定性、溶媒活性、及び酵素特性の他の改善点が高まることである。改善点を決めるために、酵素の活性を測定する必要がある。
リン酸塩加水分解酵素:
OPHは、オルトリン酸塩部分を含む多くの異なった有機化合物を加水分解するが、以下にそれらの化合物を列挙する:アセフェート、コマフォス、デメトン、ダイアジノン、ダースバン、マラチオン、パラオキソン、パラチオン、メチルパラオキソン、及びメチルパラチオン。その反応式の概略を以下に示す:
Figure 2015510390
上記式において、Xは、酸素か硫黄であり、RとR’は、アルキル基であり、Zは、アリロキシ基、フッ素基、チオール基、又はシ2アニド基である。他の方法を使って、酵素活性を試験しても良く、その中には、上記列挙された化合物以外の有機化合物を加水分解する酵素の能力を調べることも含まれる。
単為時間当たりに分解されるリン酸塩結合の数として定義される酵素活性は、その基質に大きく依存している。他の基質を使っても良かったのだが、パラオキソンを、この試験における酵素活性測定用の基質として選択して使用した。反応の化学量論は、以下の通りである:
Figure 2015510390
p−ニトロフェノールは、410nmの光を吸収するので、この化合物の形成を、時間の関数として測定することが出来る。この測定により、反応の動力学を計算することができる。速度は、時間に対するp−ニトロフェノールの吸光度のグラフの直線部分から、測定することが出来る。直線部分の選び方次第で、反応速度の推定値に幾分不確定さが加わる。
試験では、固定化酵素サンプル(10mg)を、pH7.5、室温で基質溶液(12mL)に添加し、攪拌した。
標準分析液は、50mM HEPES緩衝液、0.1mM CoClと0.1mMパラオキソンを脱イオン水に溶かした溶液であった。酵素の初期速度は、分析溶液の試料を採取して、時間に対する分析物の濃度を測定することにより求めた。そのようにして、分光光度計で410nmで3分毎に測定を行うことにより、p−ニトロフェノールのグの濃度を求めた。酵素活性は、パラオキソンの分解で求めた((単位/有機リン酸加水分解酵素のmg)として報告)。1単位は、pH7.5、25°Cで、1分間当たりのパラオキソン1.0μmoleの分解に相当する。固定化酵素の粒径は、約200μmだった。表6に、OPH酵素の活性を示す。酵素活性の測定用に通常認められている他の方法も、使うことが出来る。
Figure 2015510390
溶液は、外部拡散の影響を少なくするために、試験の間攪拌した。拡散は、発酵器から得られた全細胞に比べると、固定化酵素のより重要な限定事項である。何故なら、固定化酵素の粒子は、全細胞よりかなり大きいので、パラオキソンはより遠くまで拡散して、固定化粒子の中心にある酵素に到達しなければならないからである。拡散限定の効果を計算することもできるかもしれないが、本実施例では行わなかった。固定化粒子中の拡散の影響を少なくする方法として、粒径を小さくすることも検討した。
図1−2には、発酵から得られた全細胞と、固定化全細胞の時間に対する吸光度を点描で示した。吸光度を測定する前に、粒子は沈降したけれども、溶液中に懸濁する全細胞と固定化粒子が存在することにより、吸光度がわずかながら阻害されることに注意しなければならない。図1−2に示されたグラフを見ると、固定化細胞で反応速度が遅くなることが、分かる。激しく混合することにより固定化物質の反応速度は改善されたが、よりよい混合条件は恐らく見つかるだろう。
図8-9には、可溶OPH酵素と、固定化可溶酵素の変形の時間に対する吸光度を2つの点描で示した。これら溶液の分析は、遊離酵素と固定化酵素について以前に述べたものと同じであった。グラフには、生分解性固定化可溶酵素は、望ましい化学変換を行うことがなお可能であることが示されている。データによると、より高い反応速度で示されているように、キトサンとA.niger処方液の方が、キトサンのみの処方液よりも活性が改善されたことも示されている。

キシラナーゼ:
キシラナーゼ(XY)は、ベータ−1,4−キシランをキシロースに加水分解する酵素であり、そのようにして、植物細胞膜のかなりの部分を構成している直鎖多糖類を分解する。酵素反応の化学量論は、以下の通りである:
Figure 2015510390
キシラナーゼの商業用途としては、製紙工程における使用、肉とパンの処理における食品添加物、果物ジュースの精製などがあり、植物原料からバイオ燃料を作る用途が研究されている。
キシラナーゼの活性を評価する比色分析法としては、緩衝液中、pH4.5、37°C、1時間で、キシランを転換する方法がある。この反応に引き続いて、反応液から試料を採取して、酵素反応によって作られた還元糖を、沸騰アルカリ溶液中でp−ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド(PAHBAH)と更に反応させて、410nmで吸光する化合物を生成する。この吸光度を、還元糖の標準曲線と比較して、キシラナーゼの活性を計算することができる。そのようにして、酵素活性を、キシロースに転換したキシランの量により求めることが出来る((単位/キシラナーゼ酵素のg)として報告)。クロコウジカビ菌糸体の存在により、キシロースの読み取り数値が上昇するように見えることに注目した。固定化酵素の粒径は、約200μmだった。表7には、酵素活性を示す((単位/g)固定化キシラナーゼ酵素)。酵素活性の測定用に通常認められている他の方法も、使うことが出来る。
Figure 2015510390
アルコールデヒドロゲナーゼ:
アルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)は、広い範囲のアルコールとアルデヒドまたはケトンの間の、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(β−NADからβ−NAD Hへ)の還元による相互変換を容易にする、酸化還元酵素である。酵素反応の化学量論は、以下の通りである:
Figure 2015510390
上記式において、Rはアルキル基を表すが、しかし当該アルコールが、一級又は二級アルコール、あるいはヘミアセタールであるのは任意である。ADHは、酵母やバクテリアによるアルコールの発酵を促進し、人間のエタノール処理では、鍵を握る。
酵素活性は、エタノールのアセトアルデヒドへの転換で定義される。ADHの分析法では、12mLの分析溶液を、10−100mgの固定化酵素、または1mg/mLの酵素貯蔵溶液の一連の希釈液と共に攪拌した。標準分析液は、pH8.8で、50mMピロリン酸ナトリウム緩衝液、25%エタノール(v/v)、及び4mM β−NADからなっていた。酵素反応の速度は、分析溶液の試料を2分毎に採取し、その吸光度を340nmで測定することにより求めた(β−NAD Hの濃度に相当)。
酵素活性は、β−NAD Hへ転換するβ−NADの量で決められた(単位/アルコールデヒドロゲナーゼ酵素のgとして報告)。1単位では、pH8.8、25°Cで、1分間当たり1.0μmolのエタノールをアセトアルデヒドへ転換する。固定化酵素の粒径は、約200μmだった。表8には、酵素活性を示す。酵素活性の測定用に通常認められている他の方法も、使うことが出来る。
Figure 2015510390
ピルビン酸デカルボキシラーゼ:
ピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)は、ピルビン酸をアセトアルデヒドと二酸化炭素に変換する脱炭酸反応の触媒として作用する、ホモ四量体リアーゼである。酵素反応の化学量論は、以下の通りである:
Figure 2015510390
上記式において、Rはアルキル基を表す。PDCは、酵母の嫌気性発酵において、重要な役割を担う。
PDCの活性を測定するのに使われる分析法では、ピルビン酸塩のアセトアルデヒドへの転換がADHの活性と結びついている間接法を利用したが、そこではADHを過剰に使って、アセトアルデヒドをβ−NADとエタノールへ転換する。反応は340nmで監視するが、それは、ADH促進反応によりアセトアルデヒドが生成してβ−NAD Hが消費されることに対応する。分析のため、固定化酵素の試料(約10mg)を、200mMクエン酸塩緩衝液、34mMピルビン酸ナトリウム、0.1mM NAD、及び35U/mLのADH12mLを含む溶液中に、pH6.0で添加した。酵素反応の速度は、分析溶液の試料を採取して、3分毎に吸光度を340nmで測定することにより求めた。酵素活性は、β−NAD へ転換するβ−NAD Hの量で決められた(単位/ピルビン酸デカルボキシラーゼ酵素のgとして報告)。1単位では、pH6.0、25°Cで、1分間当たり1.0μmolのピルビン酸塩をアセトアルデヒドへ転換する。固定化酵素の粒径は、約200μmだった。表9には、酵素活性を示す。酵素活性の測定用に通常認められている他の方法も、使うことが出来る。
Figure 2015510390
ペルオキシダーゼ:
ペルオキシダーゼ(PO)は、下記反応の触媒として作用することができる、大きな酵素群である。
Figure 2015510390
上記式において、RとR‘は、多様なアルキル基を表す。これら多くの酵素の最適な電子供与体は、過酸化水素であるが、他のものは過酸化脂質などの供与体では、より活性であることが示されている。POは、工業排水の処理に、工業的に使用することができ、また、接着剤、コンピューターチップやライニング被覆などの製造工程を複雑にする、数多くの厄介な化学薬品の代替品として検討されている。
セイヨウワサビから得られるペルオキシダーゼは、本実施例で使用された。分析法では、4−アミノアンチピリンを水素供与体として、また過酸化水素を電子供与体として用いた。0.1Mリン酸カリ緩衝液、0.85mM過酸化水素、1.25mM 4−アミノアンチピリン、及び85mMフェノールからなる、pH7.0の分析液を用いた。
固定化酵素の試料(10mg)を、基質溶液に添加して撹拌した。反応速度は、分析試料を採取して、反応の進行とともに、510nmで吸光度の変化を2分毎に測定することにより追跡した。酵素活性は、過酸化水素の分解で求めた((単位/ペルオキシダーゼ酵素のmg)として報告)。1単位では、pH7.0、25°Cで、1分間当たり過酸化水素1.0μmoleを分解する。固定化酵素の粒径は、約200μmだった。表10に、酵素活性を示す。酵素活性の測定用に通常認められている他の方法も、使うことが出来る。
Figure 2015510390
酵素の熱安定性試験:
酵素の多くは、時間と共に、特に温度が上昇する場合活性が低下する。熱安定性は、酵素が高温にさらされる場合、貯蔵及び/または使用において重要である。酵素を、上記方法に従って固定化して、熱安定性試験に使用した。遊離及び固定化酵素の高温条件下の長期保存安定性は、酵素を含有する試験管を、52.5℃、65℃及び70℃の環境下、30分から24時間保存することにより測定した。さらに、可使時間を、同様の試験で求めることができるが、異なる点は、酵素を高温下の保存中、基質無添加の分析液に混合することである。すべての酵素を評価するに際し、高温保存に引き続いて、成分を氷槽中で10分間冷却して、しかる後、室温で分析を行った。

貯蔵温度試験:
図3に示すグラフは、52.5℃に4時間保存した別々の試料の、時間関数に対する吸光度を示す。これらは、3つの粒径を有する固定化OPH試料で、1つは、遊離酵素の試料である。非固定化全細胞酵素(図3では、“遊離酵素”と表示)は、52.5℃に4時間保存後、その活性のほとんどを消失したが、一方、固定化酵素(図3では、“OPH”と表示)は、十分な活性を保持していたことが分かる。物質移動を考慮して予想されるように、粒径の小さな粒子の方が、活性が大きいということも分かる。
固定化型のOPH酵素を、色々な時間で65℃に保存後の活性を試験した。試験の結果を、図7Aと7Bに示す。同様に、図22Aと22Bには、同じ時間で65℃に保存後の、固定化及び遊離酵素形におけるPOの活性を示す。データによると、このキトサン処方液の温度安定性は、PEIの処方液と同様に良好であることが示されている。
0−120分で65℃に保存した酵素の比活性を、固定化酵素の貯蔵安定性を想定する手段としてさらに検討して、高温下、時間による活性の変化(未処理成分の活性に対する)を、表11A−Cに示す。注目すべきは、固定化法では、高温に保存後の酵素の活性が上昇しているように見えることである。活性の上昇とその程度は、処方液に関係しているように見える。
Figure 2015510390
Figure 2015510390
Figure 2015510390
操作温度試験:
非保存の場合を基準にして、10%分析溶液中65℃で、0―120分間保存された成分のOPH(単位/mg)の比活性の相対減少により操作半減期を想定して、表12A−Cに示す。このデータを使って、固定化からの酵素の反応半減期の継続期間を求めることができる。そしてその範囲は、固定化工程と処方液に依存する。
Figure 2015510390
Figure 2015510390
Figure 2015510390
固定化酵素溶媒安定性試験:
酵素の多くは、水が反応の成分である場合(例えば、OPHが触媒作用をする加水分解)や、酵素の活性状態でその構造中に水を含むことができる場合の両方において、その活性には水が存在することが必要である。しかし、水には難溶だが、溶媒ー水混合物に可溶の化合物について、酵素の活性は望まれることがある。従って、酵素の活性がそのような溶媒中で維持できるのであれば、有益である。固定化酵素の活性と、様々な溶媒ー水溶液における固定化活性を測定する試験を行った。

イソプロパノールー水溶液の安定性:
水溶性溶媒溶液中の酵素の安定性を求めるため、当初、酵素の比活性(単位/mg)をイソプロパノール/水溶液(10%、20%)中で調べた。イソプロパノール混合物に保存した遊離及び固定化酵素の比活性の変化を、下記表13に示す。パーセント変化は、100%水溶液中の試料の活性を基準としている。
Figure 2015510390
上記データから、遊離酵素の活性の変化に比べて、イソプロパノールの変性作用に対するある程度の抵抗性が、固定化工程により付与されるように見える。

メタノールー水溶液の安定性:
初期イソプロパノール試験に引き続いて、メタノール/水溶液(0%、10%及び20%メタノール)中の酵素の比活性を研究し、その結果を、100%水溶液中の成分の活性に対する活性変化として、下記表14にまとめた。このデータには、固定化酵素の性能は、固定化法の工程に関連していることが示されている。
Figure 2015510390
上記実施例における時間に対する吸光度は、図4に示す。グラフから分かるように、20 %メタノール中の遊離酵素の活性は、10 %メタノール中の活性に比べて著しく低下する。図5のグラフには、2つの異なる固定化、OPH-5、OPH-6、における時間に対する吸光度が示されている。これらの粒子を30x30メッシュのふるいにかけて、約200μm相当径の粒子を得た。10%及び20%メタノール溶液中のOPH-5固定化酵素の活性は、かなり同等であることが分かる。換言すれば、溶液中のメタノール含有率を上げても、固定化酵素の活性は減少しなかった。
同じ実験を、固定化実施例OPH-8及びOPH-6で行った。これら2つの固定化酵素を、2つの異なったサイズのメッシュでふるい分けした。OPH-8を、約100μmの粒径に粉砕し、OPH-6を、約60μmの粒径に粉砕した。実験結果を図6に示す。メタノール含有率を10 %から20 %に上げると、より大きな粒子の活性はより減少することが分かる。
時間をかけて連続して溶媒に接触させることにより,酵素活性が低下するかどうかを見るために、別種実験を行った。これらの実験を、全細胞濃縮物と、OPH-7固定化から得て30x30メッシュのふるいにかけた固定化粒子を使って行った。行った活性分析法は、この試験を行うに当たり酵素含有成分を、10%、20%、30%または40%メタノールの50mM HEPES緩衝液からなる溶液1.2mLに事前暴露した以外は、前の試験と同じであった。この事前暴露を0−240分継続し、続いて、同じ濃度のメタノールを含み、HEPES、CoClとパラオキソンの濃度を、最終容量12mLにおいて前に試験した標準分析溶液の濃度と一致するように調整した分析溶液を添加した。
酵素の比活性(単位/mg)をメタノール/水溶液(10%−40%)で研究し、その結果を下記表15にまとめた。時間は、分析を行う前に、酵素成分を溶媒に暴露した時間を示す。各酵素成分の変化量は、10%メタノール、暴露0分における値を基準としている。
Figure 2015510390
データから、時間をかけてメタノール暴露した固定化酵素は、より多くの活性を維持していることが分かる。さらに、固定化酵素の活性は、メタノールにより最低試験濃度において増加するように見える。図10−17に示すグラフでは、メタノール(MeOH)が増加することにより酵素活性が低下する一方で、メタノール含有量が30%以上になる前は、固定化酵素と全細胞OPH酵素のどちらについても、メタノールがより多く含まれた溶液に暴露される時間については、活性の変化は僅かであることが示されている。この水準では、事前暴露のない試料に比べて、1時間以上溶液に暴露された固定化試料の間には、著しい差がある。活性の上記減少をもってしても、時間に対する吸光度の変化の程度によって示されているように、固定化酵素は、同じメタノール濃度において全細胞酵素より優れているように見える。他の試験の際に分かったように、細胞を含有するOPHを固定化する工程により、分析溶液中のより高いメタノール濃度の不活性化効果に対する酵素の抵抗性が、増加する。
エチレングリコールー水溶液の安定性:
酵素の比活性(単位/mg)をエチレングリコールー水溶液(10%−40%溶媒)中で調べて、その結果を下記表16にまとめた。時間は、分析を行う前に、酵素成分を溶媒に暴露した時間を示す。表に示した活性変化は、10%エチレングリコール溶液における時間ゼロでの粒状酵素の活性を基準としている。
Figure 2015510390
イソプロパノール及びメタノール溶液試験と同様、固定化形の酵素は、遊離酵素に比べて、溶媒溶液の変性の性質に対する安定性または抵抗性を持っているように見える。いくつかのケースでは、溶剤なしの溶液中の酵素活性に対する各酵素形の酵素活性を示している図18−21で示しているように、酵素活性を増加させる溶媒に暴露されると、固定化形の酵素は変換を起こすように見える。

追加の溶媒:
酵素の比活性(単位/mg)の研究を、さらに水性溶媒(DMSO)及び10%、40%、90%の溶液混合物の非水性溶媒(シクロヘキサンとトルエン)にまで拡大して行った。溶媒なしの溶液中の酵素形に対する性能を、を下記表17にまとめた。
Figure 2015510390
概して、上記の溶媒を含む溶液中では、固定化形酵素の方が、遊離酵素より性能が良い。以前に試験した溶媒と同じやり方で、溶媒に暴露することにより、固定化酵素の活性が上昇する場合があるように見える。

pHの効果:
pH約4.0から10.0の範囲における関連研究
酵素の比活性(単位/mg)を、pH4から10の範囲にわたって調べた(遊離酵素及び200μmの粒子の形で)。標準の分析条件(pH7.5)からの活性の変化を比べた結果を、下記表18にまとめた。活性としては良くないが、固定化酵素は遊離酵素に比べると、弱酸性のpH条件(pH5−6)では活性をより多く維持している。固定化酵素の活性の変化は、固定化の処方と工程に依存しており、さらにpH単位を1つ移動させて比活性(単位/mg)の変化を比較することにより、それを表19に示す。
Figure 2015510390
Figure 2015510390
開示技術を、図と上記明細書で詳しく説明し記述したが、そのことは特性を説明するものであり、制限するものでないと考えるべきである。上記明細書では、最良の形態と実施可能要件が達成されるように、実施形態が示され述べられていることが理解されるだろう。当業者であれば、ほとんど無限の数の実態に欠ける変更と修正を上記実施形態に加えることは可能であろうし、またそのような実施形態の変形をすべて本明細書で述べようと試みることは、実際上不可能であることが理解されるだろう。従って、開示技術の範囲内にある変更と修正は、保護されるのが望ましい。

Claims (30)

  1. 酵素を作ったバイオマス物質とは異なるバイオマス物質を含む支持基質を有する架橋酵素からなる固定化酵素物質であって、架橋酵素が、酵素と少なくとも2つの多官能性物質を反応させることにより作られることを特徴とする固定化酵素物質。
  2. 酵素が、有機リン酸塩分解酵素である、請求項1に記載の固定化酵素物質。
  3. バイオマス物質が不溶性である、請求項1又は2に記載の固定化酵素物質。
  4. 2つの多官能性物質の少なくとも1つが、ジアルデヒド、スベリン酸ジサクシンイミジル、有機ジアシッド、グルタルアルデヒド、ピメルイミド酸ジメチル、シアヌル酸塩化物、コハク酸、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジイミドエステル、トリアジン、ジイソシアネート及びジ(n−ヒドロキシスクシンインミドエステル)からなる群より選ばれる、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の固定化酵素物質。
  5. 2つの多官能性物質の少なくとも1つがポリアミンである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の固定化酵素物質。
  6. ポリアミンである、2つの多官能性物質の少なくとも1つが、ポリエチレンイミン、ポリピロール、キトサン、タンパク質及びゼラチンからなる群より選ばれる、請求項5に記載の固定化酵素物質。
  7. バイオマス物質が、細菌の細胞物質、真菌の細胞物質、セルロース、デキストラン、でんぷん寒天、アルギン酸塩、カラギーナン、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、フェリチン、綿、キチン、外骨格及び羊毛からなる群より選ばれる、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の固定化酵素物質。
  8. 固定化酵素物質が生分解性である、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の固定化酵素物質。
  9. 酵素が、酸化還元酵素類、トランスフェラーゼ類、加水分解酵素類、リアーゼ類、イソメラーゼ類及びリガーゼ類からなる群から選ばれる分類群に属している、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の固定化酵素物質。
  10. 固定化酵素物質が、酵素を作ったバイオマス物質をさらに含む、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の固定化酵素物質。
  11. 2つの多官能性物質の少なくとも1つが、複数のアミン基を有するバイオマス物質を含む、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の固定化酵素物質。
  12. バイオマス物質を含む、少なくとも1つの多官能性物質が、細菌の細胞物質、真菌の細胞物質、セルロース、デキストラン、でんぷん寒天、アルギン酸塩、カラギーナン、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、フェリチン、綿、キチン、外骨格及び羊毛からなる群より選ばれる、請求項11に記載の固定化酵素物質。
  13. 酵素、酵素を作ったバイオマス物質とは異なるバイオマス物質、及び少なくとも2つの多官能性物質の水性懸濁液を用意する工程、
    バイオマス物質と2つの多官能性物質の内の1つを、酵素の水性懸濁液に添加して反応混合物を作る工程、及び
    2つ目の多官能性物質を反応混合物に添加して、固定化酵素物質を沈殿させる工程からなる、固定化酵素物質を調製する方法。
  14. さらに、2つ目の多官能性物質を反応混合物に添加する前に、反応混合物を攪拌する工程からなる、請求項13に記載の方法。
  15. バイオマス物質と少なくとも2つの多官能性物質を用意する工程は、生分解性バイオマス物質と生分解性多官能性物質を用意する工程を含む、請求項13又は14に記載の方法。
  16. バイオマス物質を用意する工程が、不溶性バイオマス物質を用意する工程を含む、請求項13乃至15のいずれか一項に記載の方法。
  17. バイオマス物質を用意する工程が、細菌の細胞物質、真菌の細胞物質、セルロース、デキストラン、でんぷん寒天、アルギン酸塩、カラギーナン、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、フェリチン、綿、キチン、外骨格及び羊毛からなる群より選ばれるバイオマス物質を用意する工程を含む、請求項13乃至16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 酵素の水性懸濁液を用意する工程が、酸化還元酵素類、トランスフェラーゼ類、加水分解酵素類、リアーゼ類、イソメラーゼ類及びリガーゼ類からなる群から選ばれる分類群に属している酵素の水性懸濁液を用意する工程を含む、請求項13乃至17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 少なくとも2つの多官能性物質を用意する工程が、複数のアミン基を有する追加のバイオマス物質を用意する工程を含む、請求項13乃至18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 追加のバイオマス物質が、細菌の細胞物質、真菌の細胞物質、セルロース、デキストラン、でんぷん寒天、アルギン酸塩、カラギーナン、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、フェリチン、綿、キチン、外骨格及び羊毛からなる群より選ばれる、請求項19に記載の方法。
  21. 2つの多官能性物質の少なくとも1つが、ジアルデヒド、スベリン酸ジサクシンイミジル、有機ジアシッド、グルタルアルデヒド、ピメルイミド酸ジメチル、シアヌル酸塩化物、コハク酸、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジイミドエステル、トリアジン、ジイソシアネート及びジ(n−ヒドロキシスクシンインミドエステルからなる群より選ばれる、請求項13乃至20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 少なくとも2つの多官能性物質を用意する工程が、ポリエチレンイミン、ポリピロール、キトサン、タンパク質及びゼラチンからなる群より選ばれるポリアミンを用意する工程を含む、請求項13乃至21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 酵素が、有機リン酸塩分解酵素である、請求項13乃至22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 固定化酵素物質が、酵素を作ったバイオマス物質をさらに含む、請求項13乃至23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 2つの多官能性物質の少なくとも1つがポリアミンである、請求項13乃至24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 生分解性固定化酵素物質を、ある区域に適用するのに適しており、適応して物質を分解する形態で用意する工程、及び
    その区域を、上記形態の生分解性固定化酵素物質と接触させる工程からなる、酵素分解を受け易い物質を含む区域の除染をする方法であって、
    物質の生分解と共に、生分解性固定化酵素物質自身が生分解して、それを除去することを不必要とする。
  27. 酵素変換を受け易い物質を変換させる方法であって、
    反応室での使用に適した形で物質を変換するように適合される生分解性固定化酵素物質を用意する工程、
    固定化酵素物質を反応室内に設置する工程、
    変換させる物質を、固定化酵素物質と反応室内で接触させる工程、及び
    固定化酵素物質を、反応室から、固定化酵素物質が生分解する区域に除去する工程からなる方法。
  28. 反応室が反応カラムである、請求項27に記載の方法。
  29. 反応室が閉鎖反応容器である、請求項27に記載の方法。
  30. 反応室が充填床である、請求項27に記載の方法。
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