JP6454469B2 - 酵素架橋凝集体、及びこれを備えるマイクロリアクター - Google Patents

酵素架橋凝集体、及びこれを備えるマイクロリアクター Download PDF

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Description

本発明は、酵素の活性を損なうことなく耐久性を向上させた酵素架橋凝集体、及びこれをマイクロチャンネル内に備えたマイクロリアクターに関する。
酵素が有する触媒能を物質生産や分析用途に応用する場合、無機触媒に比べて高コストな酵素の耐久性の向上が望まれる。この要求に対しては、架橋剤を使用して酵素を分子間で架橋して凝集体を形成させることにより安定性を向上させ、耐久性を向上させる方法が知られている(特許文献1、非特許文献1〜3)。
また、酵素を架橋剤を介して中空状マイクロチャンネル内表面に固定化してなるマイクロリアクターは、反応に供する触媒を微少量に抑えることができ、廃液がほとんど出ない等、環境低負荷型の酵素反応プロセスとして注目されている(特許文献1)。更に、異なる酵素を固定化したマイクロリアクターを直列に連結することで多段階の酵素反応を実施することができ、マイクロリアクターを並列に並べることで、プラントスケールまでのスケールアップを容易に行うことができる点でも注目されている(特許文献2)。
しかしながら、上記特許文献1に記載の発明では、グルタルアルデヒド等の2価アルデヒド系架橋剤を使用するため、該架橋剤と酵素の架橋工程では還元反応を施す必要があり、酵素の中でも例えば酸化還元酵素等は、前記還元反応によりその触媒能が低下又は喪失することが問題であった。従って、医薬品原料として需要が高いキラルアルコールの製造等に使用される酸化還元酵素は、酵素架橋凝集体製造過程でその触媒能が低下又は喪失するため、上記架橋剤を使用して耐久性向上や中空状マイクロチャンネル内表面への固定化を行うことは困難であった。すなわち、還元反応を施すことにより触媒能が低下又は喪失する触媒について、その触媒能を低下させることなく耐久性を向上する方法や中空状マイクロチャンネル内表面へ固定化する方法は、未だ見いだされていないのが現状である。
特開2006−238760号公報 特開2005−065632号公報
Takeshi Honda、他3名、" Immobilization of enzymes on microchannel surface through cross-linking polymerization", Chem. Commun., 5062-5064 (2005). Takeshi Honda、他3名、" Facile preparation of an enzyme-immobilized microreactor using a cross-linking enzyme membrane on a microchannel surface", Advanced Synthesis & Catalysis, 348, 2163-2171 (2006). R.A. Sheldon、"Cross-linked enzyme aggregates as industrial biocatalysts", Organic Process Research & Development, 15, 213-223 (2011).
従って、本発明の目的は、還元反応を施すことにより触媒能が低下又は喪失する触媒について、その触媒能を低下させることなく耐久性を向上させることができる酵素架橋凝集体を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記酵素架橋凝集体の製造方法を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、前記酵素架橋凝集体を中空状マイクロチャンネル内表面に固定化してなるマイクロリアクターを提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、架橋性官能基としてイミドエステル基を有する化合物を架橋剤として使用すると、還元反応を要さず、温和な条件下で酵素と混合することにより架橋凝集して酵素架橋凝集体を形成することができること、得られる酵素架橋凝集体は優れた触媒能を発揮することができ、且つ耐久性に優れることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、酵素分子と架橋性官能基としてイミドエステル基を有する化合物が架橋した構造を有する酵素架橋凝集体を提供する。
本発明は、また、架橋性官能基としてイミドエステル基を有する化合物が、1分子中にイミドエステル基を2個以上有する化合物である前記の酵素架橋凝集体を提供する。
本発明は、また、架橋性官能基としてイミドエステル基を有する化合物が、炭素数2以上の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基、若しくは直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基の2以上が連結基を介して結合した基の末端にイミドエステル基を有する化合物である前記の酵素架橋凝集体を提供する。
本発明は、また、酵素分子が酸化還元酵素分子である前記の酵素架橋凝集体を提供する。
本発明は、また、酵素分子と架橋性官能基としてイミドエステル基を有する化合物とを混合し、4〜50℃の温度で0.5〜48時間反応させることにより前記の酵素架橋凝集体を得る酵素架橋凝集体の製造方法を提供する。
本発明は、また、中空状マイクロチャンネル内表面に、前記の酵素架橋凝集体を固定化してなるマイクロリアクターを提供する。
本発明の酵素架橋凝集体は上記構成を有するため、還元反応を施すことにより触媒能が低下又は喪失する酵素であっても、その触媒能が損なわれることがなく優れた耐久性(特に、熱安定性)が付与される。また、本発明の酵素架橋凝集体を中空状マイクロチャンネル内表面に固定化してなるマイクロリアクターは、微量の酵素の使用により触媒反応を効率よく且つ高収率で行うことができる。
イミドエステル系架橋剤とともに架橋凝集体を形成した酵素(=本発明の酵素架橋凝集体)と、架橋凝集体を形成していない酵素の酵素活性を比較した図である。 イミドエステル系架橋剤とともに架橋凝集体を形成した酵素(=本発明の酵素架橋凝集体)が、架橋凝集体を形成していない酵素よりも熱安定性に優れることを示す図である。 本発明のマイクロリアクターの製造方法の一例を示す概略図である。
[酵素架橋凝集体]
本発明の酵素架橋凝集体は、酵素分子と架橋性官能基としてイミドエステル基を有する化合物が架橋した構造を有する。
(架橋性官能基としてイミドエステル基を有する化合物)
前記架橋性官能基としてイミドエステル基を有する化合物(以後、「イミドエステル系架橋剤」と称する場合がある)は、1分子中にイミドエステル基を2個以上(例えば2〜20個、好ましくは2〜4個)有することが好ましく、炭素数2以上の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基、若しくは直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基の2以上が連結基を介して結合した基の末端にイミドエステル基を2個以上(例えば2〜20個、好ましくは2〜4個)有する化合物が好ましい。また、イミドエステル系架橋剤は塩を形成していてもよい。
前記炭素数2以上の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基としては、例えば、エチレン、メチルエチレン、トリメチレン、1−メチルトリメチレン、2−メチルトリメチレン、2,2−ジメチルトリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、ノナメチレン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン、デカメチレン、ドデカメチレン基等の直鎖状又は分岐鎖状のC2-12アルキレン基を挙げることができる。
前記直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基の2以上を連結する連結基としては、例えば、エーテル基(−O−)、エステル基(−COO−)、スルフィド基(−S−)、スルホキシド基(−SO−)等を挙げることができる。炭化水素基の2以上が連結基を介して結合する場合、炭化水素基は1種の基であっても2種以上の異なる基であってもよい。
前記イミドエステル基は式[ROC(=NH)−]で表される基である。前記式中のRは、炭素数1〜4のアルキル基、及びそのハロゲン置換体から選択される基を示す。
前記イミドエステル系架橋剤の重量平均分子量(Mn)としては、例えば100〜1000000、好ましくは100〜5000、更に好ましくは100〜3000、特に好ましくは100〜1000、最も好ましくは100〜300である。重量平均分子量が上記範囲の架橋剤を使用すると、酵素に含まれるアミノ基(アミノ基は酵素活性の発現に重要な基である)との反応を耐久性を得るのに十分な程度に抑制することができ(すなわち、架橋剤とアミノ基との過剰な反応を抑制することができ)、架橋凝集体形成による触媒能の低下を最小に止めることができる点で好ましい。重量平均分子量が上記範囲を下回ると、スペーサーアーム長さの不足により架橋反応が進行し難くなる傾向がある。一方、重量平均分子量が上記範囲を上回ると、立体障害により酵素架橋凝集体が得られ難くなる傾向がある。
イミドエステル系架橋剤としては、なかでも、炭素数2〜12(より好ましくは、炭素数2〜10)の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基の末端にイミドエステル基を有する化合物が好ましく、特に、スベルイミド酸ジメチル(=オクタンジイミド酸ジメチル)、アジピンイミド酸ジメチル(=ヘキサンジイミド酸ジメチル)、ブタンジイミド酸ジメチル、1,12−ドデカンジイミド酸ジメチル、及びセバシンイミド酸ジメチル(=デカンジイミド酸ジメチル)から選択される少なくとも1種が好ましい。
イミドエステル系架橋剤は、例えば、ニトリル化合物と塩化水素を反応させることにより製造することができる。
(酵素分子)
前記酵素分子としては、特に限定されることがなく周知慣用の酵素分子を挙げることができる。酵素分子は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。前記記イミドエステル系架橋剤を使用すれば、還元反応を経ること無く、温和な条件下で触媒と架橋することができる。そのため、酸化還元酵素[例えば、ピキア・オフナエンシス(Pichia ofunaensis)由来R−アルコール脱水素酵素、マイコバクテリウム・バッカエ(Mycobacterium vaccae)由来ギ酸脱水素酵素、カンジダ・パラプシローシス(Candida parapsilosis)由来S−アルコール脱水素酵素等]も、その触媒能を損なうことなく架橋凝集体を形成することができ、優れた耐久性と触媒能を併せて有する架橋凝集体を形成することができる。
本発明の酵素架橋凝集体は、酵素分子と架橋性官能基としてイミドエステル基を有する化合物を混合し、4〜50℃(好ましくは4〜30℃)の温度で0.5〜48時間反応させることにより製造することができる。前記反応は静置した状態で行ってもよく、撹拌しつつ行ってもよい。
反応温度が上記範囲を外れると、酵素の失活や、前記架橋剤が分解することにより、反応収率の低下や反応速度の低下が生じる場合がある。また、反応時間が上記範囲を下回ると、架橋反応の進行が不十分となり、優れた耐久性を有する酵素架橋凝集体が得られ難くなる傾向がある。一方、反応時間が上記範囲を上回ると、過剰な架橋反応により酵素架橋凝集体中の酵素の活性が低下する傾向がある。
酵素分子とイミドエステル系架橋剤の混合割合としては、酵素分子1モルに対して、前記架橋剤を例えば1〜200モル程度、好ましくは20〜150モル、特に好ましくは25〜100モルである。前記架橋剤を上記範囲で混合することにより、触媒能を損なうことなく架橋・凝集することができ、優れた耐久性と触媒能を併せて有する酵素架橋凝集体を形成することができる。
架橋反応時のpHは、使用する酵素分子の種類により適宜選択することができる。酸化還元酵素を使用する場合は、例えば6〜8.5程度であり、特に7〜8が好ましい。pHの調整は、例えば緩衝液[リン酸緩衝液(pH6〜8)、トリス緩衝液(pH7〜8.5)、リン酸カリウム緩衝液(pH7〜8)等]を使用して行うことができる。緩衝剤は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
架橋反応終了後は、例えば、濾過、遠心分離、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィー等の分離精製手段やこれらを組み合わせた手段により酵素架橋凝集体を分離精製することができる。
上記方法によれば、酵素分子の触媒能の低下を抑制しつつ、酵素分子に耐久性を付与することができる。
そして、上記方法により得られる本発明の酵素架橋凝集体は、耐久性(特に、熱安定性)に優れる。具体的には、熱処理前の酵素架橋凝集体の触媒能を100%とすると、熱処理(50℃で24時間静置)後の酵素架橋凝集体の触媒能は、例えば30%以上、好ましくは50〜100%である。
また、本発明の酵素架橋凝集体は優れた触媒能を発揮することができる。具体的には、架橋凝集体形成前の触媒の触媒能を100%とすると、酵素架橋凝集体の触媒能は、例えば50%以上、好ましくは70〜100%である。
[マイクロリアクター]
本発明のマイクロリアクターは、中空状マイクロチャンネル内表面に、上記酵素架橋凝集体を固定化してなる。
マイクロリアクターとはマイクロチャンネル(微細流路)を有する微小反応器である。前記マイクロチャネルは中空状であり、中空の形状としては、円形、楕円形、多角形(例えば、三角柱、四角柱、五角柱、六角柱)等の何れであってもよい。また、マイクロチャネルの内径は流通性、反応性の観点から、例えば10〜10000μm程度、好ましくは100〜1000μmである。
前記マイクロチャネルの材料は、触媒反応に影響を与えないものであれば特に限定されることがなく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン等のフッ素樹脂、シリコンゴム、ポリエチルエーテルケトン、ポリエチルイミド、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ガラス、シリコン、ポリジメチルシロキサン、セラミクス等を挙げることができる。
中空状マイクロチャンネル内表面への上記酵素架橋凝集体の固定化は、例えば、特開2006-238760に記載の方法等により行うことができる。
本発明のマイクロリアクターは、上記酵素架橋凝集体がマイクロチャンネル内に固定化され、細いチャンネル内において触媒と反応基質の接触効率が非常に高い状態で化学反応が行なわれるため、少量の酵素を使用して効率よく化学反応を行うことができる。その上、廃液がほとんど出ないので環境低負荷型の酵素反応プロセスとして有用である。更に、異なる酵素を固定化したマイクロリアクターを直列に連結することで多段階の酵素反応を実施することができる。また、同じ酵素を固定化したマイクロリアクターを並列に並べることで、プラントスケールまでのスケールアップを容易に行うことができ、開発のコスト及びリスクを軽減することができる。更に、熱効率に優れるため、運転コストも軽減することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1(酵素架橋凝集体の製造)
イミドエステル系架橋剤として、スベルイミド酸ジメチル(和光純薬工業(株)製)を使用した。
酵素として、酸化還元酵素(カンジダ・パラプシローシス由来S−アルコール脱水素酵素)を使用した。
エッペンドルフチューブ内において、10mg/mLの酵素溶液50μL(溶媒;50mMリン酸緩衝液(pH8.0))と10mg/mLの架橋剤溶液50μL(溶媒;DMSO/50mMリン酸緩衝液(pH8.0)=10/90(体積比)、架橋剤にまずDMSOを添加し溶解させた後、リン酸緩衝液で希釈したもの)を混合し、4℃で16時間静置することにより、酵素架橋凝集体(1)を得た。
続いて、得られた酵素架橋凝集体(1)を遠心して沈殿させた後、上清を除き、沈殿に1Mトリス緩衝液(pH8.0)200μLを加え残存するイミドエステル基をクエンチした。更に、遠心して沈殿させた後、上清を除き、沈殿に500mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)200μLを加える操作を3度行い、洗浄した。
実施例2(酵素架橋凝集体の製造)
架橋剤溶液を10mg/mLから20mg/mLに変更した以外は実施例1と同様にして酵素架橋凝集体(2)を得た。
実施例3(酵素架橋凝集体の製造)
架橋剤溶液を10mg/mLから30mg/mLに変更した以外は実施例1と同様にして酵素架橋凝集体(3)を得た。
実施例4(酵素架橋凝集体の製造)
イミドエステル系架橋剤としてスクシノニトリルと塩化水素から合成したブタンジイミド酸ジメチルに変更した以外は実施例3と同様にして酵素架橋凝集体(4)を得た。
実施例5(酵素架橋凝集体の製造)
イミドエステル系架橋剤としてアジピンイミド酸ジメチル(和光純薬工業(株)製)を使用した以外は実施例3と同様にして酵素架橋凝集体()を得た。
実施例6(酵素架橋凝集体の製造)
イミドエステル系架橋剤としてセバシノニトリルと塩化水素から合成したセバシンイミド酸ジメチルに変更した以外は実施例3と同様にして酵素架橋凝集体(6)を得た。
実施例7(酵素架橋凝集体の製造)
イミドエステル系架橋剤としてドデカンジニトリルと塩化水素から合成した1,12−ドデカンジイミド酸ジメチルに変更した以外は実施例3と同様にして酵素架橋凝集体(7)を得た。
<評価1:触媒能評価>
実施例で得られた酵素架橋凝集体(1)〜(7)の酵素活性を下記方法により評価した。
すなわち、実施例で得られた酵素架橋凝集体(1)〜(7)1mgに酵素反応溶液200μLを加え、25℃で24時間振盪後の基質変換率を定量することにより酵素活性を評価した。
また、酵素溶液[酸化還元酵素(カンジダ・パラプシローシス由来S−アルコール脱水素酵素)濃度:10mg/mL]の酵素活性も上記と同様の方法で評価した。
ここで使用した酵素反応溶液は、15mMアセト酢酸エチル、0.2mM補酵素(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド:NADH)、45mMイソプロピルアルコール、及び500mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)からなる溶液である。
アセト酢酸エチルは酸化還元酵素の基質であり、還元されて(S)−(+)−3−ヒドロキシ酪酸エチルとなる。反応終了後、反応溶液上清をHPLC分析に供し、残存基質濃度を測定することで基質変換率を定量した。
上記結果を図1に示す。何れの酵素架橋凝集体も、基質変換率はおよそ45〜50%であった。
<評価2:熱安定性評価>
実施例1で得られた酵素架橋凝集体(1)を熱処理し、その熱安定性を酵素活性の比較により評価した。
熱処理は、酵素架橋凝集体(1)1mgをエッペンドルフチューブ内で500mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)200μLに浸漬し、15〜50℃で24時間静置することで行った。
熱安定性の評価は、酵素架橋凝集体(1)及び比較のための酵素溶液(実施例1で使用した酵素溶液)について、それらの酵素活性(熱処理前)を測定し、続いて熱処理を行った後、再度、酵素活性(熱処理後)を測定することにより行った。
酵素活性は、<評価1:触媒能評価>で使用したものと同じ酵素反応溶液を同様の方法で加えて25℃で3時間振盪後の基質変換率を定量することにより評価した。
以上の結果を図2に示す。架橋凝集体形成により、溶液状態の酵素よりも熱安定性が向上していることがわかった。また、酵素架橋凝集体(2)〜(7)についても同様の結果であった。
実施例8(マイクロリアクターの製造)
マイクロチャンネルとして、内径330μm、長さ15cmのテフロン(登録商標)チューブを用いた。実施例1と同様の酵素溶液および架橋剤溶液をそれぞれシリンジポンプにより送液し、マイクロチャンネル内へ流通させた。酵素溶液と架橋剤溶液はシリカキャピラリーによりT字コネクター内に作製した2重管をそれぞれ通り、テフロン(登録商標)チューブ内へ流入した。この際、架橋剤溶液はチューブ内中央より流入し、酵素溶液はチューブの内壁近傍より流入した(図3参照)。架橋剤と酵素の拡散速度差により、酵素架橋凝集体はチューブ内壁近傍で形成された。各溶液の送液速度は、酵素溶液、架橋剤溶液ともに1μL/min.とした。また、送液は4℃で6時間行った。
続いて、マイクロリアクター内へ1Mトリス緩衝液(pH8.0)を10μL/min.で10分間送液し、残存するイミドエステル基をクエンチした。さらに、500mMリン酸カリウム緩衝液(pH7.5)を10μL/min.で10分間送液することで洗浄した。
<評価3:触媒能評価>
実施例8で得られたマイクロリアクターの酵素活性の評価は、25℃の条件下、マイクロリアクターに酵素反応溶液を0.1μL/min.で送液し、回収した反応溶液中における生成物の生成率を定量する事により行った。ここで使用した酵素反応溶液は、<評価1:触媒能評価>で使用したものと同じである。
その結果、酵素活性が認められ、送液1時間後において回収した反応溶液の基質変換率は83%であった。
1 酵素
2 架橋剤
3 テフロン(登録商標)チューブ
4 シリカキャピラリー
5 T字コネクター

Claims (6)

  1. S−アルコール脱水素酵素分子と架橋性官能基としてイミドエステル基を有する化合物が架橋した構造を有する酵素架橋凝集体。
  2. 架橋性官能基としてイミドエステル基を有する化合物が、1分子中にイミドエステル基を2個以上有する化合物である請求項1に記載の酵素架橋凝集体。
  3. 架橋性官能基としてイミドエステル基を有する化合物が、炭素数2以上の直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基、若しくは直鎖状又は分岐鎖状の炭化水素基の2以上が連結基を介して結合した基の末端にイミドエステル基を有する化合物である請求項1又は2に記載の酵素架橋凝集体。
  4. 架橋性官能基としてイミドエステル基を有する化合物が、ブタンジイミド酸ジメチル、ヘキサンジイミド酸ジメチル、スベルイミド酸ジメチル、1,12−ドデカンジイミド酸ジメチル、及びセバシンイミド酸ジメチルから選択される少なくとも1種の化合物である請求項1に記載の酵素架橋凝集体。
  5. S−アルコール脱水素酵素分子と、架橋性官能基としてイミドエステル基を有する化合物とを混合し、4〜50℃の温度で0.5〜48時間反応させることにより請求項1〜の何れか1項に記載の酵素架橋凝集体を得る酵素架橋凝集体の製造方法。
  6. 中空状マイクロチャンネル内表面に、請求項1〜4の何れか1項に記載の酵素架橋凝集体を固定化してなるマイクロリアクター。
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