JPH0797454A - 可溶性架橋コラーゲンの製造法 - Google Patents
可溶性架橋コラーゲンの製造法Info
- Publication number
- JPH0797454A JPH0797454A JP24148193A JP24148193A JPH0797454A JP H0797454 A JPH0797454 A JP H0797454A JP 24148193 A JP24148193 A JP 24148193A JP 24148193 A JP24148193 A JP 24148193A JP H0797454 A JPH0797454 A JP H0797454A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- collagen
- cross
- reaction
- soluble
- weight
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Peptides Or Proteins (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 コラーゲン熱変性後におけるコラーゲン三重
らせん構造の再生率が高く、水に可溶性の架橋コラーゲ
ンの製造方法を提供する。 【構成】 可溶性コラーゲンを、一般式: (式中、nは1から8を表す)で示されるメチレン鎖の
両端にイミドエステル基を有するアルキルジイミデート
二価性架橋試薬で架橋することを特徴とする可溶性架橋
コラーゲンの製造法。
らせん構造の再生率が高く、水に可溶性の架橋コラーゲ
ンの製造方法を提供する。 【構成】 可溶性コラーゲンを、一般式: (式中、nは1から8を表す)で示されるメチレン鎖の
両端にイミドエステル基を有するアルキルジイミデート
二価性架橋試薬で架橋することを特徴とする可溶性架橋
コラーゲンの製造法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はコラーゲン熱変性後にお
けるコラーゲン三重らせん構造の再生率が高く、水に可
溶性の架橋コラーゲンの製造方法に関するものである。
けるコラーゲン三重らせん構造の再生率が高く、水に可
溶性の架橋コラーゲンの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】コラーゲンは動物の結合組織を構成する
主要タンパク質成分で、分子量約10万のポリペプチド
鎖3本がまとまって右巻きの三重らせん構造(コラーゲ
ンヘリックス構造)を形成している長さ約300nm、
直径1.5nmの棒状分子である。そして、骨、皮膚な
どの生体を形成する機械的支持結合機能を有し、さら
に、細胞との相互作用、水、電解質、栄養物の代謝など
の生化学的機能を持つ。コラーゲンには、動物の皮、
骨、腱等の結合組織から微細化線維とした不溶性コラー
ゲン、不溶性コラーゲンを酸溶液で抽出することにより
得られる酸可溶性コラーゲン、牛皮を酵素処理して抽出
率をあげた酵素可溶化コラーゲン、そして、牛皮をアル
カリ溶液に溶かすことにより得られるアルカリ可溶化コ
ラーゲンなどがある。これらのコラーゲンは外科手術用
縫合糸や創傷被覆材などの医用材料や機能性高分子材
料、また化粧品などを目的とした皮膚処理材として、さ
らにソーセージケーシングなどの食品用素材として広く
利用されている。
主要タンパク質成分で、分子量約10万のポリペプチド
鎖3本がまとまって右巻きの三重らせん構造(コラーゲ
ンヘリックス構造)を形成している長さ約300nm、
直径1.5nmの棒状分子である。そして、骨、皮膚な
どの生体を形成する機械的支持結合機能を有し、さら
に、細胞との相互作用、水、電解質、栄養物の代謝など
の生化学的機能を持つ。コラーゲンには、動物の皮、
骨、腱等の結合組織から微細化線維とした不溶性コラー
ゲン、不溶性コラーゲンを酸溶液で抽出することにより
得られる酸可溶性コラーゲン、牛皮を酵素処理して抽出
率をあげた酵素可溶化コラーゲン、そして、牛皮をアル
カリ溶液に溶かすことにより得られるアルカリ可溶化コ
ラーゲンなどがある。これらのコラーゲンは外科手術用
縫合糸や創傷被覆材などの医用材料や機能性高分子材
料、また化粧品などを目的とした皮膚処理材として、さ
らにソーセージケーシングなどの食品用素材として広く
利用されている。
【0003】しかし、溶液状態におけるコラーゲンの変
性温度は38〜41℃であるため、それ以上の高温では
熱変性によってコラーゲン分子特有のヘリックス構造か
らポリペプチド鎖3本がそれぞれランダムコイル構造を
持つ変性コラーゲンとなり、溶液状態での粘性、耐酵素
消化性、pH中性で加温により起こる線維形成等のコラ
ーゲンの特性が失われるので、その商品価値がなくな
る。
性温度は38〜41℃であるため、それ以上の高温では
熱変性によってコラーゲン分子特有のヘリックス構造か
らポリペプチド鎖3本がそれぞれランダムコイル構造を
持つ変性コラーゲンとなり、溶液状態での粘性、耐酵素
消化性、pH中性で加温により起こる線維形成等のコラ
ーゲンの特性が失われるので、その商品価値がなくな
る。
【0004】ところが、無秩序なランダムコイル構造を
持つ変性コラーゲン溶液を変性温度以下に冷却すること
により、ポリペプチド鎖は部分的にコラーゲン構造に戻
ることが知られている。
持つ変性コラーゲン溶液を変性温度以下に冷却すること
により、ポリペプチド鎖は部分的にコラーゲン構造に戻
ることが知られている。
【0005】これはランダムコイル構造となった3本の
ポリペプチド鎖が近づき、ピロリジン豊富な位置付近で
コラーゲンホールドと呼ばれるコラーゲンヘリックスの
核が形成されて成長していくからである。しかし、ポリ
ペプチド鎖の大部分はランダムコイル構造のまま絡ま
り、無秩序な構造が残る。
ポリペプチド鎖が近づき、ピロリジン豊富な位置付近で
コラーゲンホールドと呼ばれるコラーゲンヘリックスの
核が形成されて成長していくからである。しかし、ポリ
ペプチド鎖の大部分はランダムコイル構造のまま絡ま
り、無秩序な構造が残る。
【0006】コラーゲンの熱による変性後、冷却により
コラーゲンヘリックス構造が再生したことは、円偏光二
色性、旋光度、広角X線回折、赤外分光光度計、また
は、蛋白分解酵素による消化性の変化等により確かめる
ことができる。また、円偏光二色性等を用いることによ
り、コラーゲンヘリックスの再生率を定量的に求めるこ
とができる。未変性コラーゲンのコラーゲンヘリックス
含量を100、熱変性後のコラーゲンヘリックス含量を
0と仮定し、それらの円偏光二色性の値と、コラーゲン
を熱変性後4℃で24時間保持して得られた再生コラー
ゲンの円偏光二色性の値とから得られた再生コラーゲン
のコラーゲンヘリックスの含量を、再生率として用い
る。
コラーゲンヘリックス構造が再生したことは、円偏光二
色性、旋光度、広角X線回折、赤外分光光度計、また
は、蛋白分解酵素による消化性の変化等により確かめる
ことができる。また、円偏光二色性等を用いることによ
り、コラーゲンヘリックスの再生率を定量的に求めるこ
とができる。未変性コラーゲンのコラーゲンヘリックス
含量を100、熱変性後のコラーゲンヘリックス含量を
0と仮定し、それらの円偏光二色性の値と、コラーゲン
を熱変性後4℃で24時間保持して得られた再生コラー
ゲンの円偏光二色性の値とから得られた再生コラーゲン
のコラーゲンヘリックスの含量を、再生率として用い
る。
【0007】通常、コラーゲンでは、この再生率は、わ
ずか20から30%である。コラーゲンヘリックス構造
の再生率を高くするためには、ランダム状態においても
コラーゲン分子を構成する3本のポリペプチド鎖がお互
い常に近くに存在する必要がある。その有効な手段とし
てポリペプチド鎖間に予め架橋を導入することが挙げら
れる。ポリペプチド鎖間への架橋の導入により、熱変性
によりコラーゲンの三重らせん構造が崩壊しても冷却時
に離れたポリペプチド鎖同士の接触が容易になるため、
コラーゲンホールドの核形成速度が増加し、コラーゲン
ヘリックスの成長、促進を有効にすることが可能とな
る。そして、コラーゲンヘリックス構造の再生の割合が
高いほど、熱変性により失われた特性が回復する。すな
わち、変性コラーゲンの耐酵素消化性、ゲル化速度、融
点等である。
ずか20から30%である。コラーゲンヘリックス構造
の再生率を高くするためには、ランダム状態においても
コラーゲン分子を構成する3本のポリペプチド鎖がお互
い常に近くに存在する必要がある。その有効な手段とし
てポリペプチド鎖間に予め架橋を導入することが挙げら
れる。ポリペプチド鎖間への架橋の導入により、熱変性
によりコラーゲンの三重らせん構造が崩壊しても冷却時
に離れたポリペプチド鎖同士の接触が容易になるため、
コラーゲンホールドの核形成速度が増加し、コラーゲン
ヘリックスの成長、促進を有効にすることが可能とな
る。そして、コラーゲンヘリックス構造の再生の割合が
高いほど、熱変性により失われた特性が回復する。すな
わち、変性コラーゲンの耐酵素消化性、ゲル化速度、融
点等である。
【0008】3本のポリペプチド鎖間への架橋の導入
は、二価以上の架橋試薬をコラーゲン分子に作用させる
ことによって行われる。
は、二価以上の架橋試薬をコラーゲン分子に作用させる
ことによって行われる。
【0009】コラーゲンの架橋法には、アルデヒド系架
橋剤、イソシアネート系架橋剤、カルボジイミド系架橋
剤等を使用する化学薬品処理、トランスグルタミナーゼ
を用いる酵素処理、熱処理、放射線照射処理等がある。
これらのコラーゲンの架橋は、ソーセージケーシング用
のチューブ状成形品、医療用の手術糸のような糸状ある
いはひも状成形品、さらにスポンジ状、フェルト状、テ
ープ状もしくはシート状、そして、ビーズ状の成形方法
に用いられる(特公昭45−27378号公報、特開昭
51−148289号公報、特開昭55−62300号
公報、特公昭64−1169号公報、特開昭58−19
331号公報)。
橋剤、イソシアネート系架橋剤、カルボジイミド系架橋
剤等を使用する化学薬品処理、トランスグルタミナーゼ
を用いる酵素処理、熱処理、放射線照射処理等がある。
これらのコラーゲンの架橋は、ソーセージケーシング用
のチューブ状成形品、医療用の手術糸のような糸状ある
いはひも状成形品、さらにスポンジ状、フェルト状、テ
ープ状もしくはシート状、そして、ビーズ状の成形方法
に用いられる(特公昭45−27378号公報、特開昭
51−148289号公報、特開昭55−62300号
公報、特公昭64−1169号公報、特開昭58−19
331号公報)。
【0010】しかし、これらの架橋は、コラーゲンを特
定の形態に成形するものであり、架橋反応により得られ
る架橋コラーゲンを溶液状態で維持するための架橋方法
はない。
定の形態に成形するものであり、架橋反応により得られ
る架橋コラーゲンを溶液状態で維持するための架橋方法
はない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明では可溶性コラ
ーゲンに架橋を導入し、架橋後も当該コラーゲンが不溶
化せず、溶液状態を維持することのできる可溶性の架橋
コラーゲンの製造を目的とする。また、この可溶性架橋
コラーゲンの熱変性後、冷却することにより再生される
コラーゲンヘリックスの割合を高めることにより、加熱
によって失われたコラーゲンの特性を回復させることに
ある。
ーゲンに架橋を導入し、架橋後も当該コラーゲンが不溶
化せず、溶液状態を維持することのできる可溶性の架橋
コラーゲンの製造を目的とする。また、この可溶性架橋
コラーゲンの熱変性後、冷却することにより再生される
コラーゲンヘリックスの割合を高めることにより、加熱
によって失われたコラーゲンの特性を回復させることに
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、コラーゲ
ンを架橋することによってもコラーゲンが不溶化され
ず、そのため架橋反応を容易に制御でき、そしてコラー
ゲンの熱変性後、溶液中に存在する熱変性コラーゲンか
らコラーゲンへの再生率が高くなるような架橋剤の検索
に研究を重ねた。その結果、架橋剤としてメチレン鎖の
両端にイミドエステル基を有するアルキルジイミデート
類を用いることで、架橋反応を制御しやすく、水に可溶
性の架橋コラーゲンが得られることが明らかになった。
ンを架橋することによってもコラーゲンが不溶化され
ず、そのため架橋反応を容易に制御でき、そしてコラー
ゲンの熱変性後、溶液中に存在する熱変性コラーゲンか
らコラーゲンへの再生率が高くなるような架橋剤の検索
に研究を重ねた。その結果、架橋剤としてメチレン鎖の
両端にイミドエステル基を有するアルキルジイミデート
類を用いることで、架橋反応を制御しやすく、水に可溶
性の架橋コラーゲンが得られることが明らかになった。
【0013】この知見を基礎としてアルキルジイミデー
ト類のメチレン鎖の炭素数、反応条件等の検討を行い本
発明を完成させた。
ト類のメチレン鎖の炭素数、反応条件等の検討を行い本
発明を完成させた。
【0014】従って、本発明は、可溶性コラーゲンを、
一般式: (式中、nは1から8を表す)で示されるメチレン鎖の
両端にイミドエステル基を有するアルキルジイミデート
二価性架橋試薬で架橋することを特徴とする可溶性架橋
コラーゲンの製造法である。
一般式: (式中、nは1から8を表す)で示されるメチレン鎖の
両端にイミドエステル基を有するアルキルジイミデート
二価性架橋試薬で架橋することを特徴とする可溶性架橋
コラーゲンの製造法である。
【0015】本発明で使用する架橋剤のアルキルジイミ
デート類は、一般式: (式中、nは1から8を表す)有し、ポリペプチド鎖に
含まれるアミノ基と特異的に反応するイミドエステル基
をメチレン鎖の両端に持つ二価性架橋試薬である。アル
キルジイミデート類が持つイミドエステル基とコラーゲ
ン中のアミノ基とにより生成されるアミジン基は、反応
前のアミノ基とほぼ同等の酸解離定数を有しているの
で、コラーゲンとの反応前後では電荷の変化が少なく、
架橋反応によるコラーゲンの等電点や高次構造への影響
は少ない。
デート類は、一般式: (式中、nは1から8を表す)有し、ポリペプチド鎖に
含まれるアミノ基と特異的に反応するイミドエステル基
をメチレン鎖の両端に持つ二価性架橋試薬である。アル
キルジイミデート類が持つイミドエステル基とコラーゲ
ン中のアミノ基とにより生成されるアミジン基は、反応
前のアミノ基とほぼ同等の酸解離定数を有しているの
で、コラーゲンとの反応前後では電荷の変化が少なく、
架橋反応によるコラーゲンの等電点や高次構造への影響
は少ない。
【0016】コラーゲン分子中に含まれている3本のポ
リペプチド鎖間に関与する架橋は、ポリペプチド側鎖の
アミノ基間の距離に依存するため、架橋剤であるアルキ
ルジイミデート分子中のメチレン鎖の炭素数は1ないし
8であり、好ましくは4ないし6である。
リペプチド鎖間に関与する架橋は、ポリペプチド側鎖の
アミノ基間の距離に依存するため、架橋剤であるアルキ
ルジイミデート分子中のメチレン鎖の炭素数は1ないし
8であり、好ましくは4ないし6である。
【0017】一方、本発明の原料として使用できるコラ
ーゲンとしては、希酸溶液でトロポコラーゲン分子を溶
解抽出した酸可溶性コラーゲン、酸性プロテアーゼによ
って可溶化した酵素可溶化コラーゲン(特公昭44−1
1037号公報)、アルカリ溶液によって可溶化したア
ルカリ可溶化コラーゲン(特公昭46−15033号公
報)である。
ーゲンとしては、希酸溶液でトロポコラーゲン分子を溶
解抽出した酸可溶性コラーゲン、酸性プロテアーゼによ
って可溶化した酵素可溶化コラーゲン(特公昭44−1
1037号公報)、アルカリ溶液によって可溶化したア
ルカリ可溶化コラーゲン(特公昭46−15033号公
報)である。
【0018】架橋反応時のコラーゲン溶液中のコラーゲ
ン物質の濃度は、0.001重量%〜0.4重量%であ
り、架橋剤として用いるアルキルジイミデート類の濃度
は、コラーゲン一分子に対し50〜3000倍量の濃度
である。また、反応を行うとき、架橋剤であるアルキル
ジイミデート類の反応基であるイミドエステルが、ポリ
ペプチド側鎖のアミノ基と反応してアミジンを生成する
反応は、pH依存性がきわめて強く、アミノ基の求核性
が高くなる塩基性においてのみ反応が進むため、反応中
のpHはpH7〜11であり好ましくは8〜10であ
る。コラーゲン分子中に含まれるアミノ基のうち、架橋
に関与するアミノ基の割合は、コラーゲン分子に対する
アルキルジイミデート類の濃度、コラーゲンの種類、反
応温度、反応時間等により変動するが、好ましくは、1
0%〜50%、より好ましくは、30%〜40%の範囲
である。
ン物質の濃度は、0.001重量%〜0.4重量%であ
り、架橋剤として用いるアルキルジイミデート類の濃度
は、コラーゲン一分子に対し50〜3000倍量の濃度
である。また、反応を行うとき、架橋剤であるアルキル
ジイミデート類の反応基であるイミドエステルが、ポリ
ペプチド側鎖のアミノ基と反応してアミジンを生成する
反応は、pH依存性がきわめて強く、アミノ基の求核性
が高くなる塩基性においてのみ反応が進むため、反応中
のpHはpH7〜11であり好ましくは8〜10であ
る。コラーゲン分子中に含まれるアミノ基のうち、架橋
に関与するアミノ基の割合は、コラーゲン分子に対する
アルキルジイミデート類の濃度、コラーゲンの種類、反
応温度、反応時間等により変動するが、好ましくは、1
0%〜50%、より好ましくは、30%〜40%の範囲
である。
【0019】アルキルジイミデート類二価性架橋試薬の
添加方法は固体のまま、あるいは、少量の水と混和する
有機溶媒に溶解し、数回にわけて添加し、穏やかに撹拌
しながらコラーゲンが変性しない温度である30℃以
下、好ましくは4℃以下で、5〜24時間架橋反応を行
う。そして、反応溶液のpHを酸性にするとアミノ基が
正に荷電して反応性がなくなり、さらに、アルキルジイ
ミデート類二価性架橋試薬が分解されるので架橋反応を
停止することが容易となる。
添加方法は固体のまま、あるいは、少量の水と混和する
有機溶媒に溶解し、数回にわけて添加し、穏やかに撹拌
しながらコラーゲンが変性しない温度である30℃以
下、好ましくは4℃以下で、5〜24時間架橋反応を行
う。そして、反応溶液のpHを酸性にするとアミノ基が
正に荷電して反応性がなくなり、さらに、アルキルジイ
ミデート類二価性架橋試薬が分解されるので架橋反応を
停止することが容易となる。
【0020】反応液からアルキルジイミデート類未反応
物及びその分解物の除去は透析,塩析,等電点沈殿によ
り容易に反応生成物である架橋コラーゲンと分離するこ
とが出来る。本発明により得られる架橋コラーゲンの1
重量%濃度の水溶液は、無色透明であり、530nmの
光の透過率は92%以上であった。また、0.2重量%
の水溶液では0.45μmメンブランフィルターに対す
る通過率も99%以上であることから、本発明では、コ
ラーゲンを可溶性の状態で維持したまま架橋させること
ができる。そして再生率が40から85%という、未架
橋コラーゲンの2から3倍の再生率をもつ架橋コラーゲ
ンが得られた。
物及びその分解物の除去は透析,塩析,等電点沈殿によ
り容易に反応生成物である架橋コラーゲンと分離するこ
とが出来る。本発明により得られる架橋コラーゲンの1
重量%濃度の水溶液は、無色透明であり、530nmの
光の透過率は92%以上であった。また、0.2重量%
の水溶液では0.45μmメンブランフィルターに対す
る通過率も99%以上であることから、本発明では、コ
ラーゲンを可溶性の状態で維持したまま架橋させること
ができる。そして再生率が40から85%という、未架
橋コラーゲンの2から3倍の再生率をもつ架橋コラーゲ
ンが得られた。
【0021】
【実施例】以下、実施例により更に詳細に説明するが、
これらは本発明を限定するものではない。
これらは本発明を限定するものではない。
【0022】(実施例1)アルカリ可溶化コラーゲン水
溶液(pH10.0、濃度0.15重量%)を4℃で穏
やかに撹拌しながら、炭素数4のメチレン鎖を持つジメ
チルアジポイミデートを終濃度が0.036重量%(コ
ラーゲンに対し300倍量)となるように粉末で少量ず
つ数回にわけて添加し、18時間反応を行った。反応
後、反応液のpHを4にし、0.03重量%酢酸水溶液
で透析し、濾過、凍結乾燥して架橋コラーゲンを得た。
得られた架橋コラーゲンは、白色のスポンジ状で、未架
橋のコラーゲンと同様の外観を示した。
溶液(pH10.0、濃度0.15重量%)を4℃で穏
やかに撹拌しながら、炭素数4のメチレン鎖を持つジメ
チルアジポイミデートを終濃度が0.036重量%(コ
ラーゲンに対し300倍量)となるように粉末で少量ず
つ数回にわけて添加し、18時間反応を行った。反応
後、反応液のpHを4にし、0.03重量%酢酸水溶液
で透析し、濾過、凍結乾燥して架橋コラーゲンを得た。
得られた架橋コラーゲンは、白色のスポンジ状で、未架
橋のコラーゲンと同様の外観を示した。
【0023】0.01重量%となるように上記で得られ
た架橋コラーゲンを、0.12重量%酢酸に溶解し、6
0℃で15分間加熱して変性させ、冷却後、4℃で24
時間放置した。これを用いて円偏光二色性より熱変性後
のコラーゲンヘリックスの再生率の測定を行なった結
果、その再生率は55%であった。
た架橋コラーゲンを、0.12重量%酢酸に溶解し、6
0℃で15分間加熱して変性させ、冷却後、4℃で24
時間放置した。これを用いて円偏光二色性より熱変性後
のコラーゲンヘリックスの再生率の測定を行なった結
果、その再生率は55%であった。
【0024】(実施例2)アルカリ可溶化コラーゲン水
溶液(pH10.0、濃度0.006重量%)を4℃で
穏やかに撹拌しながら、炭素数5のメチレン鎖を持つジ
メチルピメロイミデートを終濃度が0.00616重量
%(コラーゲンに対し1500倍量)となるように粉末
で少量ずつ数回にわけて添加し、18時間反応を行っ
た。反応後、反応液のpHを3にし、塩化ナトリウム飽
和水溶液によって塩析後遠心分離して沈澱物を集めて
0.12重量%酢酸溶液に溶解した。この溶液を0.0
3重量%酢酸水溶液で透析し、濾過、凍結乾燥して架橋
コラーゲンを得た。
溶液(pH10.0、濃度0.006重量%)を4℃で
穏やかに撹拌しながら、炭素数5のメチレン鎖を持つジ
メチルピメロイミデートを終濃度が0.00616重量
%(コラーゲンに対し1500倍量)となるように粉末
で少量ずつ数回にわけて添加し、18時間反応を行っ
た。反応後、反応液のpHを3にし、塩化ナトリウム飽
和水溶液によって塩析後遠心分離して沈澱物を集めて
0.12重量%酢酸溶液に溶解した。この溶液を0.0
3重量%酢酸水溶液で透析し、濾過、凍結乾燥して架橋
コラーゲンを得た。
【0025】得られた架橋コラーゲンを、0.12重量
%酢酸溶液に1.0重量%となるように溶解した溶液
の、530nmの光の透過率は96%であった。また、
この溶液を架橋コラーゲンの濃度が0.2重量%となる
ように希釈したものを、0.45μmのポアサイズを持
つ、メンブランフィルターに透過させたところ、その透
過率は99.5%であった。
%酢酸溶液に1.0重量%となるように溶解した溶液
の、530nmの光の透過率は96%であった。また、
この溶液を架橋コラーゲンの濃度が0.2重量%となる
ように希釈したものを、0.45μmのポアサイズを持
つ、メンブランフィルターに透過させたところ、その透
過率は99.5%であった。
【0026】(実施例3)酸可溶性コラーゲン水溶液
(pH10.0、濃度0.008重量%)を4℃で穏や
かに撹拌しながら、炭素数5のメチレン鎖を持つジメチ
ルピメロイミデートを終濃度が0.00346重量%
(コラーゲンに対し500倍量)となるように粉末で少
量ずつ数回にわけて添加し、18時間反応を行った。反
応後、反応液のpHを4にし、0.03重量%酢酸水溶
液で透析し、濾過、凍結乾燥して架橋コラーゲンを得
た。
(pH10.0、濃度0.008重量%)を4℃で穏や
かに撹拌しながら、炭素数5のメチレン鎖を持つジメチ
ルピメロイミデートを終濃度が0.00346重量%
(コラーゲンに対し500倍量)となるように粉末で少
量ずつ数回にわけて添加し、18時間反応を行った。反
応後、反応液のpHを4にし、0.03重量%酢酸水溶
液で透析し、濾過、凍結乾燥して架橋コラーゲンを得
た。
【0027】得られた架橋コラーゲンを0.6重量%の
塩化ナトリウムを含む0.606重量%Tris−HC
l緩衝液(pH7.6)に0.1重量%となるように溶
解した溶液と、同様に調製した架橋コラーゲン溶液を6
0℃で15分保持して熱変性させた後、4℃で24時間
保持してコラーゲンの三重らせん構造を再生させた溶液
とに、0.02重量%のトリプシン溶液を加えて、20
℃で10分間反応させた。別に、比較として、未架橋の
コラーゲンについても同様に未変性と変性との溶液を調
製し、同様に酵素反応をさせた。
塩化ナトリウムを含む0.606重量%Tris−HC
l緩衝液(pH7.6)に0.1重量%となるように溶
解した溶液と、同様に調製した架橋コラーゲン溶液を6
0℃で15分保持して熱変性させた後、4℃で24時間
保持してコラーゲンの三重らせん構造を再生させた溶液
とに、0.02重量%のトリプシン溶液を加えて、20
℃で10分間反応させた。別に、比較として、未架橋の
コラーゲンについても同様に未変性と変性との溶液を調
製し、同様に酵素反応をさせた。
【0028】反応させたそれぞれの反応液を7.5%の
アクリルアミドゲルを用いてSDS−アクリルアミドゲ
ル電気泳動(Nature,227:680−685,
1970)を行なったところ、未架橋のコラーゲンで
は、熱変性前には、コラーゲン由来のバンドが見い出さ
れたが熱変性後のものには、コラーゲン由来のバンドが
消失していた。一方、本発明の架橋コラーゲンについて
は、熱変性前後において、コラーゲン由来のバンドの消
失が見られなかったことから、本発明による架橋によ
り、架橋コラーゲンは熱変性後、コラーゲンの三重らせ
ん構造を十分再生させることができ、トリプシン消化に
対する抵抗性を維持することができた。
アクリルアミドゲルを用いてSDS−アクリルアミドゲ
ル電気泳動(Nature,227:680−685,
1970)を行なったところ、未架橋のコラーゲンで
は、熱変性前には、コラーゲン由来のバンドが見い出さ
れたが熱変性後のものには、コラーゲン由来のバンドが
消失していた。一方、本発明の架橋コラーゲンについて
は、熱変性前後において、コラーゲン由来のバンドの消
失が見られなかったことから、本発明による架橋によ
り、架橋コラーゲンは熱変性後、コラーゲンの三重らせ
ん構造を十分再生させることができ、トリプシン消化に
対する抵抗性を維持することができた。
【0029】(実施例4)酵素可溶化コラーゲン水溶液
(pH10.0、濃度0.01重量%)を4℃で穏やか
に撹拌しながら、少量のメタノールに溶解した炭素数6
のメチレン鎖を持つジメチルスベロイミデートを終濃度
が0.00273重量%(コラーゲンに対し300倍
量)となるように少量ずつ数回にわけて添加し、20時
間反応を行った。反応後、反応液のpHを4にし、0.
03重量%酢酸水溶液で透析し、濾過、凍結乾燥して架
橋コラーゲンを得た。
(pH10.0、濃度0.01重量%)を4℃で穏やか
に撹拌しながら、少量のメタノールに溶解した炭素数6
のメチレン鎖を持つジメチルスベロイミデートを終濃度
が0.00273重量%(コラーゲンに対し300倍
量)となるように少量ずつ数回にわけて添加し、20時
間反応を行った。反応後、反応液のpHを4にし、0.
03重量%酢酸水溶液で透析し、濾過、凍結乾燥して架
橋コラーゲンを得た。
【0030】0.01重量%となるように架橋コラーゲ
ンを0.12重量%酢酸に溶解し、60℃で15分間加
熱して変性させ、冷却後、4℃で24時間放置した。こ
れを用いて円偏光二色性よる熱変性後のコラーゲンヘリ
ックスの再生率の測定を行なった結果、その再生率は8
0%であった。
ンを0.12重量%酢酸に溶解し、60℃で15分間加
熱して変性させ、冷却後、4℃で24時間放置した。こ
れを用いて円偏光二色性よる熱変性後のコラーゲンヘリ
ックスの再生率の測定を行なった結果、その再生率は8
0%であった。
Claims (4)
- 【請求項1】 可溶性コラーゲンを、一般式: (式中、nは1から8を表す)で示されるメチレン鎖の
両端にイミドエステル基を有するアルキルジイミデート
二価性架橋試薬で架橋することを特徴とする可溶性架橋
コラーゲンの製造法。 - 【請求項2】 前記可溶性コラーゲンが、酸可溶性コラ
ーゲン、アルカリ可溶化コラーゲン又は酵素可溶化コラ
ーゲンであることを特徴とする請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 前記アルキルジイミデート二価性架橋試
薬を前記可溶性コラーゲン一分子に対し50〜3000
倍量の濃度で使用することを特徴とする請求項1記載の
方法。 - 【請求項4】 前記可溶性コラーゲンの濃度を0.00
1重量%〜0.4重量%で反応させることを特徴とする
請求項1記載の方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24148193A JPH0797454A (ja) | 1993-09-28 | 1993-09-28 | 可溶性架橋コラーゲンの製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24148193A JPH0797454A (ja) | 1993-09-28 | 1993-09-28 | 可溶性架橋コラーゲンの製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0797454A true JPH0797454A (ja) | 1995-04-11 |
Family
ID=17074959
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24148193A Pending JPH0797454A (ja) | 1993-09-28 | 1993-09-28 | 可溶性架橋コラーゲンの製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0797454A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2007010623A1 (ja) | 2005-07-22 | 2007-01-25 | Phg Corporation | 新規なポリペプチド及びその製造方法 |
US7262275B2 (en) | 2002-02-28 | 2007-08-28 | Phg Corporation | Polypeptide and process for producing the same |
JP2008304651A (ja) * | 2007-06-07 | 2008-12-18 | Oji Paper Co Ltd | 凹凸パターン形成シートの製造方法および凹凸パターン形成シート |
JP2009256356A (ja) * | 2009-06-01 | 2009-11-05 | Midori Hokuyo Kk | 可溶化コラーゲン繊維、及びその製造方法、コラーゲン含有化粧料及びその製造方法、並びに可溶化コラーゲン繊維の製造装置 |
JP2010168292A (ja) * | 2009-01-20 | 2010-08-05 | Kyoei Kagaku Kogyo Kk | 架橋コラーゲン類及び該コラーゲン類を含む化粧料 |
JP2015136313A (ja) * | 2014-01-21 | 2015-07-30 | 株式会社ダイセル | 酵素架橋凝集体、及びこれを備えるマイクロリアクター |
-
1993
- 1993-09-28 JP JP24148193A patent/JPH0797454A/ja active Pending
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7262275B2 (en) | 2002-02-28 | 2007-08-28 | Phg Corporation | Polypeptide and process for producing the same |
EP1923398A1 (en) | 2002-02-28 | 2008-05-21 | PHG Corporation | Process for producing a polypeptide |
US7544781B2 (en) | 2002-02-28 | 2009-06-09 | Phg Corporation | Polypeptide and process for producing the same |
WO2007010623A1 (ja) | 2005-07-22 | 2007-01-25 | Phg Corporation | 新規なポリペプチド及びその製造方法 |
JP2008304651A (ja) * | 2007-06-07 | 2008-12-18 | Oji Paper Co Ltd | 凹凸パターン形成シートの製造方法および凹凸パターン形成シート |
JP2010168292A (ja) * | 2009-01-20 | 2010-08-05 | Kyoei Kagaku Kogyo Kk | 架橋コラーゲン類及び該コラーゲン類を含む化粧料 |
JP2009256356A (ja) * | 2009-06-01 | 2009-11-05 | Midori Hokuyo Kk | 可溶化コラーゲン繊維、及びその製造方法、コラーゲン含有化粧料及びその製造方法、並びに可溶化コラーゲン繊維の製造装置 |
JP2015136313A (ja) * | 2014-01-21 | 2015-07-30 | 株式会社ダイセル | 酵素架橋凝集体、及びこれを備えるマイクロリアクター |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5763583A (en) | Process for producing solubilized protein | |
Masilamani et al. | Extraction of collagen from raw trimming wastes of tannery: a waste to wealth approach | |
US5436135A (en) | New preparation of placenta collagen, their extraction method and their applications | |
US7781158B2 (en) | Method of separating collagen from the various animal tissues for producing collagen solution and product using the same | |
US5420248A (en) | Unpigmented fish skin, particularly from flat fish, as a novel industrial source of collagen, extraction method, collagen and biomaterial thereby obtained | |
US10195314B2 (en) | Fractionation of charged keratin | |
US4592864A (en) | Aqueous atelocollagen solution and method of preparing same | |
US4295894A (en) | Method of preparing soluble collagen fibers | |
JPS61122222A (ja) | コラ−ゲン又はゼラチンとプロタミンとよりなる止血剤 | |
JP7062667B2 (ja) | コラーゲンヒドロゲルの製造方法 | |
JPS59133276A (ja) | 結合コラ−ゲン繊維シ−トの製造方法 | |
JP2006257013A (ja) | 魚鱗由来コラーゲンゲルとその作成方法 | |
JPH1156897A (ja) | コラーゲン眼科手術補助剤 | |
Wu et al. | Extraction and isolation of type I, III and V collagens and their SDS-PAGE analyses | |
JPH0797454A (ja) | 可溶性架橋コラーゲンの製造法 | |
KR100679712B1 (ko) | 불가사리로부터 콜라겐을 제조하는 방법 | |
JPS6027680B2 (ja) | ケラチン加水分解物の製造方法 | |
JPH09278639A (ja) | コラ−ゲン入り化粧品 | |
JP7270978B2 (ja) | ポリペプチド溶液、及びポリペプチド繊維の製造方法、並びに人造ポリペプチド | |
JPS62502833A (ja) | ヒアルロン酸の製法 | |
JPS6363700A (ja) | 細胞培養用高ゲル強度酸可溶性コラーゲンの製法 | |
JP2003002898A (ja) | 未分解絹フィブロイン水溶液の製造法およびそれを含む皮膚ケア剤 | |
US3075961A (en) | Reconstitution of native collagen fiber from acid precursor gelatin | |
JP4351461B2 (ja) | コラーゲンタンパク質からのエンドトキシン除去方法 | |
JP3542818B2 (ja) | Iv型コラーゲンゲルの製造方法 |