JP2015506962A - がんを治療又は予防するためのタンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスを含有する薬剤及びその製造方法 - Google Patents

がんを治療又は予防するためのタンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスを含有する薬剤及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】がんを治療又は予防するためのタンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスを含有する薬剤及びその製造方法の提供。【解決手段】本発明は、がんを治療又は予防するためのタンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスを含有する薬剤の改良された製造方法に関する。一態様によれば、該方法は、タンポポ属(Taraxacum)植物の根を凍結して凍結根ストックを得る工程であって、1以上の根細胞が少なくとも部分的に破壊されるよう選択される工程;上記凍結根ストックを乾式粉砕して根粉末を得る工程であって、上記凍結根ストックが約40℃未満の粉砕温度で保持される工程;溶媒に上記根粉末を浸漬して、流エキス部分と固体粒子部分を含む懸濁液を得る工程;及び、上記流エキス部分を上記固体粒子部分から分離して、上記薬剤で使用される流エキスを得る工程を有する。【選択図】図1

Description

(関連出願)
本出願は、2012年2月10日に出願された米国仮特許出願番号61/597,453について、米国法典第35編第119条(e)の利益を主張する。
(技術分野)
本発明は、タンポポ属(Taraxacum)に属する植物の根エキスを含有し、がんを治療、改善又は予防するために使用される薬剤の改良された製造方法に関する。具体的には、本発明は、がん、好ましくは、結腸がん、膵がん、皮膚がん(黒色腫等)及び血液がん(慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、ホジキンリンパ腫等)を治療及び/又は予防するのに使用されるタンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスを含有する医薬組成物の製造に関する。
タンポポ属(Taraxacum)植物は一般的にタンポポとして知られており、キク科に属している。これらの植物は通常北半球の温帯に見られ、タンポポの種類としては、T.officinale、T.erythrospermum、T.albidum、T.japonicum、T.laevigatum、T.erythrospermum、及び、T.californicum等が挙げられる。
タンポポは直根性の二年生又は多年生草本植物であり、平均長は15〜30cmである。葉は大きく、薄緑〜深緑色であり、根元でロゼット状に広がる。花茎は直立しており、単頂花序である。花の直径は7〜15mmであり、140〜400枚の黄色い舌状花で構成されている。果実は褐色の円錐状の痩果であり、白い冠毛を有しており、それにより種子が風に乗って遠くまで散らばる。
タンポポ属(Taraxacum)植物の根は、多くの場合、セスキテルペン類、カロテノイド類、クマリン類、フラボノイド類、フェノール酸類、多糖類、オイデスマノリド類、トリテルペン類、ステロール類、ステロイド類等の種々の化合物を含有している。そのような化合物の具体例としては、ゲルマクラノリド、オイデスマノリド、グアイアノリド、タラキサシン、フェニルプロパノイド配糖体、タラキサコシド、ラクツピルシン(lactupircin)、ルテイン、ビオラキサンチン、エスクリン、スコポレチン、ケルセチン、ルテオリン、ルチン、クリソエリオール、コーヒー酸、バニリン酸、シリング酸、フェルラ酸、クロロゲン酸、チコリ酸、ρ−ヒドロキシフェニル酢酸、p−ヒドロキシ安息香酸、イヌリン、グルカン類、マンナン類、プルナシン、11β,13−ジヒドロラクチュシン、イキセリンD、アインスリオシド(ainslioside)タラキシン酸、β−グルコピラノシル、タラキシン酸、グルコシルエステル、11,13−ジヒドロタラキシン酸、l’−グルコシド、ラクチュコピクリン、ラクチュシン、シコリン、テトラヒドロリデンチンB、タラキサコリド(taraxacolide)−O−β−グルコピラノシド、プルナシン、ジヒドロコニフェリン、シリンギン、ジヒドロシリンギン、タラキサステロール、ψ−タラキサステロール、ホモ−タラキサステロール、スチグマステロール、シクロアルテノール、ウンベリフェロン、タラキサリシン(taraxalisin)、α−アミリン、β−アミリン、アルニジオール、ファラジオール、ルペオール、タラキソール(taraxol)、タラキサセロール(taraxaserol)、3β−ヒドロキシルパ−18−エン−21−オン、β−シトステロール、カンペステロール、レタスニンA、コリン、ムシラーゲ、ペクチン及びタラキセロール等が挙げられる。
従来、タンポポエキスは酸化防止剤、利尿剤、鎮痛剤、抗凝固剤及び抗がん剤等に使用されてきた。非特許文献1には、タンポポの一種であるTaraxacum officinaleの葉から得た粗エキス(DLE)、花から得た粗エキス(DFE)又は根から得た粗エキス(DRE)が有する抗がん活性について報告されている。非特許文献1に記載のタンポポ粗エキスは、(1)乾燥させた植物の各部位75gを室温で24時間水に浸漬し、(2)得られた混合物をろ過して粒子状物質を除去し、(3)混合物を凍結乾燥して粉末化することで得られたものである。非特許文献1によれば、DLEにより乳がん細胞MCF−7/AZの成長が抑制されたが、前立腺がん細胞LNCaP C4−2Bの成長は抑制されず、また、DFE及びDREはどちらもがん細胞の増殖に効果を示さなかった。
非特許文献2には、Taraxacum japonicumから得られたタンポポ根エキスが記載されている。非特許文献2によれば、T.japonicumの乾燥根(600g)をメタノール(3L)で5時間ずつ3回抽出した後、メタノール溶液を蒸発させることで、メタノール抽出物109gが得られる。また、非特許文献2によれば、T.japonicumの根(60g)を水(0.38L)で1時間抽出した後、得られた溶液を凍結乾燥することで、水抽出物が調製される。非特許文献2によれば、上記メタノール抽出物及び水抽出物を用いることで、2段階からなる化学発がんのイニシエーション及びプロモーションが抑制された。
非特許文献3によれば、乾燥根(6.7kg)をn−ヘキサン(40L)で8時間ずつ3回抽出してエキス120.5gを調製することで、T.japonicumのタンポポ根の別の製剤が得られる。
タンポポの各部位を使用して、カプセル剤及びチンキ剤等の各種剤形でエキスが製造されてきた。特にタンポポの根は、乾燥した植物の根の粉砕物を熱湯に浸漬して得られる「タンポポコーヒー」を製造するのに採取されてきた。通常、このような従来の剤形のタンポポエキスを用いた場合、がん又は腫瘍組織に導入しても、細胞死が10%と低いなど、抗がん活性が低くなることが認められていた。
Sigstedt,"Evaluation of aqueous extracts of Taraxacum officinale on growth and invasion of breast and prostate cancer cells",International Journal of Oncology,32(2008),1085−1090 Takasaki,"Anti−carcinogenic Activity of Taraxacum Plant.I",Biol.Pharm.Bull.,22.6(1999),602−605 Takasaki,"Anti−carcinogenic Activity of Taraxacum Plant.II",Biol.Pharm.Bull.,22.6(1999),606−610
本発明は、がんを治療、改善及び/又は予防するための薬剤又は医薬組成物であって、タンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスを、好ましくは医薬的に許容される基剤、希釈剤、結合剤、佐剤及び/又は他の抗がん剤と組み合わせて、含有する薬剤又は医薬組成物を提供することを目的とする。
本発明はまた、薬剤又はヒトの食用として使用するのに好適及び/又は有益なタンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスを提供することを目的とする。
本発明は更に、がんを治療、改善及び/又は予防するのに有用な化合物を1以上含有するタンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスを含有する薬剤又は医薬組成物を製造する方法を提供することを目的とする。
タンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスは、がんを治療及び/又は予防するのに有用であり得ることが認められた。ここでいうがんは特に限定されず、例えば、膵がん、結腸がん、血液がん及び皮膚がん等が挙げられる。上記皮膚がんは黒色腫であってもよく、上記血液がんは、特に限定されないが、ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病及び慢性骨髄単球性白血病等の白血病であってもよい。
考えられる一方法によれば、がんを治療又は予防するための薬剤は以下の工程により製造できる:タンポポ属(Taraxacum)植物の根を凍結して凍結根ストックを得る工程であって、1以上の根細胞が少なくとも部分的に破壊されるよう選択される工程;上記凍結根ストックを乾式粉砕して根粉末を得る工程であって、上記凍結根ストックが約40℃未満の粉砕温度で保持される工程;溶媒に上記根粉末を浸漬して、流エキス部分と固体粒子部分を含む懸濁液を得る工程;及び、上記流エキス部分を上記固体粒子部分から分離して、上記薬剤で使用される流エキスを得る工程。
理論に束縛されるものではないが、タンポポ属(Taraxacum)植物の根に含有される抗がん化合物は、高温乾燥環境に置かれると活性が低下する場合があるが、湿潤環境では該影響はそれほどはっきりとは示されないか又は見られないことが実験により示された。本出願人の認識では、エキス製造過程においてタンポポ属(Taraxacum)植物の根を乾熱状態に置いたままにするのは好ましいことではなく、それにより抗がん活性が低下し、更には喪失する可能性もある。粉砕工程では、植物の根、根細胞及び細胞内容物が、粉砕機ブレード等の粉砕機の回転要素との接触時に熱せられるが、タンポポ属(Taraxacum)植物の根及びその抗がん活性は、この粉砕工程中の乾熱状態による不活性化作用を最も受けやすい。多くの実験から、40℃を超えると活性の喪失が起こり、70℃を超える温度に置くと抗がん活性が完全に喪失することが分かった。
好ましい実施形態によれば、粉砕温度は、約0℃未満、より好ましくは約−25℃未満、最も好ましくは約40℃未満で保持される。
また、湿式粉砕よりもむしろ乾式粉砕で得られた植物の根の粉砕物を用いて、タンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスを含有する薬剤を製造した方が、その抗がん活性が向上し得ることが認められた。乾式粉砕によれば、根細胞の破壊を改善及び/又はより制御できるため、その後の抽出工程で利用できる抗がん物質又は化合物の細胞内量が増加すると考えられる。凍結根ストックは、平均粒径が約100μm未満、より好ましくは約50μm未満、最も好ましくは約1μm〜約30μmとなるまで乾式粉砕することが好ましい。
好ましい一態様によれば、春季の開花若しくは発芽の前、より好ましくはその前約90日以内、最も好ましくは約30日以内に、又は、冬季の休眠に入る前、芽の生長が休止する時に採取した休眠中のタンポポ属(Taraxacum)植物から得たタンポポ根を用いて調製したタンポポ属(Taraxacum)根エキスは、がんを治療、改善又は予防するための薬剤の含有物として特に有用である。
理論に束縛されるものではないが、タンポポ属(Taraxacum)植物の根は、開花準備中又は休眠準備中に生理学的に変化すると考えられる。具体的には、3つの異なる時点(春季、夏季及び初秋)に得られたタンポポ根から調製したエキス(DRE)を用いて実験した結果、早春及び初秋に採取した根から調製したエキスが、がん細胞の細胞死の誘導に最も効果的であることが分かった。詳細には、カナダのオンタリオ州で3月、9月及び10月に採取したタンポポ根は、がん細胞のアポトーシスを誘導する効果が高いことが分かった。根エキス中の抗がん化合物は(寒い時期の)休眠に向けた準備中に合成され、冬季に向けて準備中の植物における細胞死の誘導と老齢細胞の排除に関与し得ると考えられる。
好ましい一実施形態によれば、凍結工程より前に、相対湿度が約5%〜10%となるまでタンポポ属(Taraxacum)植物の根を乾燥させる。上記植物の根をさいの目状に切って、根切片(平均サイズが約0.2cm〜1.0cmであってもよい)とすることが好ましい。
タンポポ属(Taraxacum)植物の根は、特に限定されないが、T.officinale、T.erythrospermum、T.albidum、T.japonicum、T.laevigatum、T.erythrospermum、及び、T.californicumを含むタンポポ属(Taraxacum)の種から得られることが好ましい。開かれた草地で採取したT.officinale又はT.laevigatumから上記植物の根を採取することが最も好ましい。
凍結工程においては、上記植物の根は、液体窒素に接触させる若しくは沈めるか、又は、0℃より低い凍結温度下、より好ましくは約−210℃〜約−30℃の凍結温度下に約5分〜24時間若しくは実質的に凍結するまで置くことが好ましい。
乾式粉砕工程は、根細胞が実質的に破壊されるように粉砕機を用いて実施できる。粉砕機としては特に限定されないが、乳鉢と乳棒、パルベライザ型粉砕機、衝突式粉砕機及び微粒粉砕機等が挙げられる。乾燥環境下で40℃を超える高温に置かれる時間を短くするため、粉砕機は、液体窒素等で冷却して、凍結根ストック又は得られる根粉末との接触時の発熱を防止することが好ましい。粉砕機は約−25℃未満、より好ましくは約−50℃未満に冷却することが好ましい。
根細胞内の治療活性化合物をより効果的に放出させるため、上記粉砕工程は、細胞を破壊又は開裂してその内部含有物を放出させるよう実施することが最も好ましい。
粉砕された根粉末は、約5℃〜約100℃、最も好ましくは約25℃の浸漬温度で液体又は溶媒、好ましくは極性溶媒(水等)に浸漬する。他の好適な溶媒としては、ペンタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、1,4−ジオキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート、ギ酸、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エタノール、メタノール及び酢酸等が挙げられるが、これらに限定されない。根粉末は、約5分〜約24時間、より好ましくは約10分〜約30分間、攪拌下又は非攪拌下で液体に浸漬することが好ましい。水50mLにつき根粉末10gの割合で根粉末を水に浸漬し、10分〜30分間煮沸することが最も好ましい。
懸濁液の流エキス部分は、固体粒子部分から、好ましくはろ過及び/又は遠心分離により分離できる。遠心分離を行う場合、5000×g〜8000×gで実施して、あらゆる余分な繊維質を除去することが好ましい。ろ過は、ろ紙を用いて吸引ろ過することが好ましい。ろ紙の孔径は約0.45μm以下が好ましく、約0.22μm以下が最も好ましい。最も好ましい実施形態において、ろ過工程は、複数のろ紙を使用して孔径を小さなものとしていきながら段階的に実施する(例えば、0.45μmのろ紙に次いで0.22μmのろ紙を使用する)。ろ過工程で使用される1枚以上のフィルタ又はろ紙は、細菌を除去するよう構成されていてもよい。
懸濁液から分離した流エキスは、凍結乾燥してエキス粉末とすることが好ましい。凍結乾燥工程は、約−80℃〜−40℃の温度で実施することが好ましい。
上記エキス粉末は、医薬的に許容される基剤、希釈剤、結合剤、佐剤及び/又は追加の抗がん剤とともに薬剤に含有されていてもよい。上記抗がん剤としては、メトホルミン、ヒドロキシウレア、シクロホスファミド及び/又はエトポシドが挙げられる。
上記薬剤は、上記エキス粉末を約5mg/kg体重/日〜約1000mg/kg体重/日、好ましくは約10mg/kg体重/日〜約70mg/kg体重/日含有する投与形態からなることが好ましい。あるいは、1日用量として0.2〜200g、好ましくは約0.5〜約70g、最も好ましくは約1〜4gのエキス粉末が薬剤中に含有されていることが好ましい。
本発明の他の態様によれば、がんを治療又は予防するためのタンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスを含有する薬剤を製造する方法であって、(1)タンポポ属(Taraxacum)植物の根を凍結して凍結根ストックを得る工程であって、該凍結工程は1以上の根細胞が少なくとも部分的に破壊されるよう選択され、上記タンポポ属(Taraxacum)植物の根は、植物の発芽若しくは開花より前、又は、芽の生長が休止した後に採取した休眠中のタンポポ属(Taraxacum)植物の根からなる工程;(2)上記凍結根ストックを乾式粉砕して、平均粒径が約100μm未満、好ましくは約50μm未満の根粉末を得る工程であって、上記凍結根ストックが約40℃未満の粉砕温度で保持される工程;(3)エタノール及び水の一方又は両方を含む溶媒に上記根粉末を浸漬して、溶液部分と固体部分を含む混合物を調製する工程;(4)上記溶液部分を上記固体部分から分離する工程;及び、(5)上記溶液部分を凍結乾燥して上記タンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスを乾燥エキス粉末として得、必要に応じて、その乾燥エキス部分と、医薬的に許容される基剤、希釈剤、結合剤、佐剤及び抗がん剤のうち1以上とを混合する工程を有する方法を提供する。
上記休眠中の植物の根は、最初の季節性の植物の開花又は発芽の前90日以内、好ましくは約30日以内に採取する。上記植物の根は、T.officinale、T.erythrospermum、T.albidum、T.japonicum、T.laevigatum、T.erythrospermum、及び、T.californicumの種に属する植物から得られたものであってもよい。
上記植物の根は、相対湿度が約10%未満となるまで乾燥させてから凍結することが好ましい。その後の凍結工程では、平均凍結温度が約−210℃〜約−30℃となるまで植物の根を液体窒素に接触させる又は沈めることが好ましい。
乾式粉砕工程においては、凍結根ストックを平均粒径が好ましくは約50μm未満、より好ましくは約1μm〜約30μmとなるまで粉砕する。乾式粉砕工程は、1以上の根細胞が実質的に破壊されるように粉砕機を用いて実施できる。該粉砕機としては特に限定されないが、乳鉢と乳棒、パルベライザ型粉砕機、衝突式粉砕機及び微粒粉砕機等が挙げられる。乾燥環境下で高温に置かれる時間を短くするため、上記粉砕機は、液体窒素等で約−25℃未満、好ましくは約−50℃未満の温度まで冷却することが好ましい。
浸漬工程で使用される溶媒は、ペンタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、1,4−ジオキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート、ギ酸、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、メタノール及び酢酸のうち1以上を更に含んでもよい。浸漬工程は、約5℃〜約100℃の浸漬温度で、好ましくは約5分〜約24時間、攪拌下又は非攪拌下で実施することが最も好ましい。
上記混合物中の溶液部分を固体部分から分離するために様々な方法を使用できる。このような方法としては遠心分離及びろ過が挙げられるが、これらに限定されない。遠心分離を行う場合、5000×g〜8000×gで実施することが好ましい。ろ過を用いる場合、孔径が異なる少なくとも2枚のフィルタ(例えば約0.45μmと約0.22μm)を用いて少なくとも2回実施することが最も好ましい。ヒトの食用としての安全性を向上させるため、ろ過工程で使用する1枚以上のフィルタ又はろ紙は、細菌を除去するよう構成されていてもよい。
好ましい実施形態によれば、粉砕温度は約0℃未満、より好ましくは約−25℃未満、最も好ましくは約−40℃未満である。
上記薬剤は、タンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスを約5mg/kg体重/日〜約1000mg/kg体重/日、好ましくは約10mg/kg体重/日〜約70mg/kg体重/日含有する投与形態からなることが好ましい。あるいは、1日投与形態として薬剤中に約0.5g〜約70g、好ましくは約1〜4gのタンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスが含有されていることが好ましい。
態様(1)によれば、本発明は、がんを治療又は予防するための薬剤を製造する方法であって、タンポポ属(Taraxacum)植物の根を凍結して凍結根ストックを得る工程であって、1以上の根細胞が少なくとも部分的に破壊されるよう選択される工程;上記凍結根ストックを乾式粉砕して根粉末を得る工程であって、上記凍結根ストックが約40℃未満の粉砕温度で保持される工程;溶媒に上記根粉末を浸漬して、流エキス部分と固体粒子部分を含む懸濁液を得る工程;及び、上記流エキス部分を上記固体粒子部分から分離して、上記薬剤で使用される流エキスを得る工程を有する方法を提供する。
態様(2)によれば、本発明は、上記がんが、結腸がん、膵がん、血液がん又は皮膚がんである、態様(1)に記載の方法を提供する。
態様(3)によれば、本発明は、上記がんが、上記血液がん又は上記皮膚がんからなるものであって、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、ホジキンリンパ腫及び黒色腫からなる群より選択される、態様(1)及び/又は(2)に記載の方法を提供する。
態様(4)によれば、本発明は、上記凍結工程より前に、相対湿度が約5%〜約10%となるまで上記植物の根を乾燥させる工程を更に有する、あらゆる組合せの態様(1)〜(3)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(5)によれば、本発明は、上記タンポポ属(Taraxacum)植物の根が、植物の開花若しくは発芽より前、又は、芽の生長が休止した後に採取した休眠中のタンポポ属(Taraxacum)植物の根からなる、あらゆる組合せの態様(1)〜(4)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(6)によれば、本発明は、上記休眠中のタンポポ属(Taraxacum)植物の根が、上記植物の開花又は発芽の前約90日以内、好ましくは約30日以内に採取される、あらゆる組合せの態様(1)〜(5)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(7)によれば、本発明は、上記タンポポ属(Taraxacum)植物の根が、T.officinale、T.erythrospermum、T.albidum、T.japonicum、T.laevigatum、T.erythrospermum、及び、T.californicumからなる群より選択される種に属する植物から得られる、あらゆる組合せの態様(1)〜(6)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(8)によれば、本発明は、上記凍結工程が、平均凍結温度が約−210℃〜約−30℃となるまで、上記植物の根を液体窒素に接触させる若しくは沈める、又は、上記植物の根を凍結させることを含む、あらゆる組合せの態様(1)〜(7)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(9)によれば、本発明は、上記乾式粉砕工程が、上記凍結根ストックを平均粒径が約100μm未満、好ましくは約50μm未満となるまで乾式粉砕することを含む、あらゆる組合せの態様(1)〜(8)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(10)によれば、本発明は、上記乾式粉砕工程が、パルベライザ型粉砕機、衝突式粉砕機及び微粒粉砕機からなる群より選択される粉砕機を用いて上記凍結根ストックを乾式粉砕することを含み、上記粉砕機又はその構成要素が約−25℃未満、好ましくは約−50℃未満に冷却されることで、上記凍結根ストック又は根粉末との接触時の発熱が防止される、あらゆる組合せの態様(1)〜(9)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(11)によれば、本発明は、上記溶媒が、水、ペンタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、1,4−ジオキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート、ギ酸、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エタノール、メタノール及び酢酸のうち1以上を含む、あらゆる組合せの態様(1)〜(10)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(12)によれば、本発明は、上記浸漬工程が、約2℃〜約150℃、好ましくは約5℃〜約100℃の浸漬温度で、好ましくは約5分〜約24時間、攪拌下又は非攪拌下で上記根粉末を水に浸漬することを含む、あらゆる組合せの態様(1)〜(11)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(13)によれば、本発明は、上記分離工程が、ろ過及び遠心分離の少なくとも一方を含み、上記ろ過は、1回、又は、孔径が同じ若しくは異なる複数のフィルタを用いて2回以上実施し、上記遠心分離は5000×g〜8000×gで実施する、あらゆる組合せの態様(1)〜(12)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(14)によれば、本発明は、上記分離工程が、約0.45μmの第1の孔径を有する第1のフィルタと、約0.22μmの第2の孔径を有する第2のフィルタを用いて、上記懸濁液を少なくとも2回ろ過することを含み、上記第2のフィルタは細菌を除去するものが選択される、あらゆる組合せの態様(1)〜(13)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(15)によれば、本発明は、上記乾式粉砕工程より前に、上記植物の根をさいの目状に切って複数の根切片を得る工程を更に有する、あらゆる組合せの態様(1)〜(14)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(16)によれば、本発明は、上記粉砕温度が約0℃未満である、あらゆる組合せの態様(1)〜(15)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(17)によれば、本発明は、上記粉砕温度が約−25℃未満、好ましくは約−40℃未満である、あらゆる組合せの態様(1)〜(16)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(18)によれば、本発明は、分離した上記流エキスを凍結乾燥してエキス粉末を得、必要に応じて、医薬的に許容される基剤、希釈剤、結合剤、佐剤及び抗がん剤のうち1以上を上記エキス粉末と混合する工程を更に有する、あらゆる組合せの態様(1)〜(17)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(19)によれば、本発明は、上記抗がん剤が、メトホルミン、ヒドロキシウレア、シクロホスファミド及びエトポシドのうち1以上である、あらゆる組合せの態様(1)〜(18)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(20)によれば、本発明は、上記薬剤が、上記エキス粉末を約5mg/kg体重/日〜約1000mg/kg体重/日、好ましくは約10mg/kg体重/日〜約70mg/kg体重/日含有する投与形態からなる、あらゆる組合せの態様(1)〜(19)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(21)によれば、本発明は、上記薬剤が、上記エキス粉末を約0.5g〜約70g、好ましくは約1〜4g含有する1日投与形態からなる、あらゆる組合せの態様(1)〜(20)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(22)によれば、本発明は、がんを治療又は予防するためのタンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスを含有する薬剤を製造する方法であって、(1)タンポポ属(Taraxacum)植物の根を凍結して凍結根ストックを得る工程であって、該凍結工程は1以上の根細胞が少なくとも部分的に破壊されるよう選択され、上記タンポポ属(Taraxacum)植物の根は、植物の発芽若しくは開花より前、又は、芽の生長が休止した後に採取した休眠中のタンポポ属(Taraxacum)植物の根からなる工程;(2)上記凍結根ストックを乾式粉砕して、平均粒径が約100μm未満、好ましくは約50μm未満の根粉末を得る工程であって、上記凍結根ストックが約40℃未満の粉砕温度で保持される工程;(3)エタノール及び水の一方又は両方を含む溶媒に上記根粉末を浸漬して、溶液部分と固体部分を含む混合物を調製する工程;(4)上記溶液部分を上記固体部分から分離する工程;及び、(5)上記溶液部分を凍結乾燥して上記タンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスを乾燥エキス粉末として得、必要に応じて、その乾燥エキス部分と、医薬的に許容される基剤、希釈剤、結合剤、佐剤及び抗がん剤のうち1以上とを混合する工程を有する方法を提供する。
態様(23)によれば、本発明は、上記がんが、結腸がん、膵がん、血液がん又は皮膚がんである、態様(22)に記載の方法を提供する。
態様(24)によれば、本発明は、上記がんが、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、ホジキンリンパ腫又は黒色腫である、態様(22)及び/又は(23)に記載の方法を提供する。
態様(25)によれば、本発明は、上記休眠中のタンポポ属(Taraxacum)植物の根が、最初の季節性の植物の開花又は発芽の前約90日以内、好ましくは約30日以内に採取される、あらゆる組合せの態様(22)〜(24)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(26)によれば、本発明は、上記タンポポ属(Taraxacum)植物の根が、T.officinale、T.erythrospermum、T.albidum、T.japonicum、T.laevigatum、T.erythrospermum、及び、T.californicumからなる群より選択される種に属する植物から得られる、あらゆる組合せの態様(22)〜(25)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(27)によれば、本発明は、上記凍結工程より前に、相対湿度が約10%未満となるまで上記植物の根を乾燥させる工程を更に有する、あらゆる組合せの態様(22)〜(26)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(28)によれば、本発明は、上記凍結工程が、平均凍結温度が約−210℃〜約−30℃となるまで上記植物の根を液体窒素に接触させる又は沈めることを含む、あらゆる組合せの態様(22)〜(27)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(29)によれば、本発明は、上記乾式粉砕工程が、粉砕機を用いて上記凍結根ストックを平均粒径が約50μm未満となるまで乾式粉砕して、上記1以上の根細胞を実質的に破壊することを含み、上記粉砕機は、パルベライザ型粉砕機、衝突式粉砕機及び微粒粉砕機からなる群より選択され、上記乾式粉砕工程は、上記粉砕機を約−25℃未満の温度まで冷却することを更に含む、あらゆる組合せの態様(22)〜(28)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(30)によれば、本発明は、上記溶媒が、ペンタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、1,4−ジオキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート、ギ酸、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、メタノール又は酢酸を更に含む、あらゆる組合せの態様(22)〜(29)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(31)によれば、本発明は、上記浸漬工程が、約5℃〜約100℃の浸漬温度で、好ましくは約5分〜約24時間、攪拌下又は非攪拌下で上記根粉末を上記溶媒に浸漬することを含む、あらゆる組合せの態様(22)〜(30)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(32)によれば、本発明は、上記分離工程が、ろ過及び遠心分離の少なくとも一方を含み、上記ろ過は、1回、又は、孔径が同じ若しくは異なる複数のフィルタを用いて2回以上実施し、上記遠心分離は5000×g〜8000×gで実施する、あらゆる組合せの態様(22)〜(31)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(33)によれば、本発明は、上記分離工程が、約0.45μmの第1の孔径を有する第1のフィルタと、約0.22μmの第2の孔径を有する第2のフィルタを用いて、上記混合物を少なくとも2回ろ過することを含み、上記フィルタの一方又は両方は細菌を除去するものが選択される、あらゆる組合せの態様(22)〜(32)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(34)によれば、本発明は、上記抗がん剤が、メトホルミン、ヒドロキシウレア、シクロホスファミド及びエトポシドのうち1以上からなる、あらゆる組合せの態様(22)〜(33)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(35)によれば、本発明は、上記乾式粉砕工程より前に、上記タンポポ属(Taraxacum)植物の根をさいの目状に切って、平均サイズが約0.2cm〜1.5cmの複数の根切片を得る工程を更に有する、あらゆる組合せの態様(22)〜(34)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(36)によれば、本発明は、上記粉砕温度が約0℃未満である、あらゆる組合せの態様(22)〜(35)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(37)によれば、本発明は、上記粉砕温度が約−25℃未満、好ましくは約−40℃未満である、あらゆる組合せの態様(22)〜(36)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(38)によれば、本発明は、上記薬剤が、上記タンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスを約5mg/kg体重/日〜約1000mg/kg体重/日、好ましくは約10mg/kg体重/日〜約70mg/kg体重/日含有する投与形態からなる、あらゆる組合せの態様(22)〜(37)の1つ以上に記載の方法を提供する。
態様(39)によれば、本発明は、上記薬剤が、上記タンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスを約0.5g〜約70g、好ましくは約1〜4g含有する1日投与形態からなる、あらゆる組合せの態様(22)〜(38)の1つ以上に記載の方法を提供する。
各DRE量(X軸)で処理したヒト急性T細胞白血病(Jurkat)細胞のアポトーシス誘導率(Y軸)を示す棒グラフである。 各DRE濃度(X軸)でのJurkat細胞の生存率(Y軸)を示す棒グラフである。 各DRE濃度(X軸)で24、48又は72時間処理したA375ヒト黒色腫細胞の生存率(Y軸)を示す線グラフである。 濃度1mg/mL、2.5mg/mL、5mg/mL及び10mg/mLのDREで48時間処理した後にHoechst33342色素で染色したA375ヒト黒色腫細胞及びコントロールの蛍光顕微鏡画像である。 濃度0.6mg/mL、1.0mg/mL、2.5mg/mL及び5.0mg/mLのDREで48時間処理した後にHoechst(上段)又はAnnexin−V染色試薬(下段)で染色したMV−4−11細胞及びコントロールの400倍拡大画像である。 濃度0.6mg/mL、1.0mg/mL、2.5mg/mL及び5.0mg/mLのDREで48時間処理した後にHoechst(上段)又はAnnexin−V染色試薬(下段)で染色したU−937細胞及びコントロールの400倍拡大画像である。 濃度0.6mg/mL、1.0mg/mL、2.5mg/mL及び5.0mg/mLのDREで48時間処理した後にHoechst(上段)又はAnnexin−V染色試薬(下段)で染色したHL−60細胞及びコントロールの400倍拡大画像である。 濃度0.6mg/mL、1.0mg/mL、2.5mg/mL及び5.0mg/mLのDREで48時間処理したMV−4−11細胞及びコントロールのアポトーシス誘導率(Y軸)を示す棒グラフである。 濃度0.6mg/mL、1.0mg/mL、2.5mg/mL及び5.0mg/mLのDREで48時間処理したHL−60細胞及びコントロールのアポトーシス誘導率(Y軸)を示す棒グラフである。 濃度0.6mg/mL、1.0mg/mL、2.5mg/mL及び5.0mg/mLのDREで48時間処理したU−937細胞及びコントロールのアポトーシス誘導率(Y軸)を示す棒グラフである。 0.6mg/mLのDREで処理してから5分後、15分後、30分後及び60分後のMV−4−11細胞及びコントロールのカスパーゼ−8活性化率又は活性(Y軸)を示す棒グラフである。 0.6mg/mLのDREで処理してから5分後、15分後、30分後及び60分後のMV−4−11細胞及びコントロールのカスパーゼ−3活性化率又は活性(Y軸)を示す棒グラフである。 DRE濃度2.5mg/mL、5mg/mL及び7.5mg/mL(行)で24時間、48時間、72時間及び96時間(列)処理し、Hoechst色素で染色したPANC−1細胞及びコントロールの画像である。 濃度0.5mg/mL、1mg/mL、2.5mg/mL、5mg/mL及び7.5mg/mLのDREで24時間、48時間、72時間及び96時間(X軸)処理したPANC−1細胞及びコントロールの平均アポトーシス率(Y軸)を示す棒グラフである。 ろ過した淡水(左列)、又は、DREを5.0mg/mL含有する水(右列)で1ヶ月処理した後にヘマトキシリン・エオシン染色したbalb/cマウスの肝臓組織の40倍(上段)又は63倍(下段)拡大画像である。 濃度2.5mg/mL又は5.0mg/mLのDREで処理したbalb/cマウス及びコントロールの体重(Y軸)を日数(X軸)ごとに示す線グラフである。 濃度0.4mg/mL、0.6mg/mL及び2.5mg/mLのDREで96時間処理した後に、Hoechst33342色素で染色した場合(上段)、又は、位相差照明下で観察した場合(下段)のDnFADD細胞及びコントロールの400倍顕微鏡画像である。 濃度0.4mg/mL、0.6mg/mL及び2.5mg/mLのDRE(X軸)で処理した末梢血単核細胞及びコントロールの平均アポトーシス率(Y軸)を示す棒グラフである。 濃度0.4mg/mL及び0.6mg/mLのDRE(X軸)で処理した末梢血単核細胞及びコントロールの濃度(Y軸)を示すグラフである。 濃度0.6mg/mL及び2.5mg/mLのDRE(X軸)で処理したDnFADD細胞及びコントロールの、トリパンブルー色素排除試験により求めた濃度(Y軸)を示すグラフである。 DREで15分間、30分間、60分間、180分間及び1440分間処理したDnFADD細胞及びコントロールのカスパーゼ−8平均活性化率又は活性(Y軸)を示す棒グラフである。 新たに白血病と診断された患者から単離し、濃度1.0mg/mL、2.5mg/mL及び5.0mg/mLのDREで処理した後にHoescht(上段)又はAnnexin−V染色試薬(下段)で染色した末梢血単核細胞及びコントロールの画像である。 新たに白血病と診断された患者から単離し、濃度1.0mg/mL、2.5mg/mL及び5.0mg/mLのDREで24時間又は48時間処理した末梢血単核細胞のアポトーシス誘導率(Y軸)を示す棒グラフである。 濃度0.5mg/mL、1.0mg/mL、1.5mg/mL、2.0mg/mL、2.5mg/mL、3.0mg/mL、3.5mg/mL、4.0mg/mL、4.5mg/mL、5.0mg/mL、5.5mg/mL及び6.0mg/mLのDREで24、48、72及び96時間処理したHT−29ヒト結腸がん細胞及びコントロールの生存率(Y軸)を示す棒グラフである。 ろ過した淡水(上段)又はDRE(下段)で1ヶ月処理した後にヘマトキシリン・エオシン染色したbalb/cマウスの心臓、腎臓及び肝臓組織の画像である。 DREで処理したbalb/cマウス及びコントロールの体重(Y軸)を日数(X軸)ごとに示す線グラフである。 DREで処理したbalb/cマウス及びコントロールから採取した尿サンプルで検出されたタンパク量(Y軸)を示す棒グラフである。 CD−1nu/nuマウスのコントロール群の体重(Y軸)を日数(X軸)ごとに示す線グラフである。 濃度2.5mg/mLのDREで処理したCD−1nu/nuマウスの体重(Y軸)を日数(X軸)ごとに示す線グラフである。 HT−29細胞を移植後、ろ過した淡水で3週間処理したCD−1nu/nuマウスの写真である。 HT−29細胞を移植後、濃度2.5mg/mLのDREで3週間処理したCD−1nu/nuマウスの写真である。 濃度2.5mg/mLのDREで処理したCD−1nu/nuマウス及びコントロールの腫瘍体積(Y軸)を日数(X軸)ごとに示す棒グラフである。 ろ過した淡水で1ヶ月処理した後にヘマトキシリン・エオシン染色したCD−1nu/nuマウスの心臓、腎臓、肝臓及び異種移植腫瘍組織の10倍(上段)又は63倍(下2段)拡大画像である。 濃度2.5mg/mLのDREで1ヶ月処理した後にヘマトキシリン・エオシン染色したCD−1nu/nuマウスの心臓、腎臓、肝臓及び異種移植腫瘍組織の10倍(上段)又は63倍(下2段)拡大画像である。
本発明の好ましい実施形態に係る、がんの治療及び/又は予防に使用されるタンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスを製造した。好ましいタンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスを製造するため、春季開花の約30日前及びちょうど秋季の初めに、カナダ、オンタリオ州でT.officinale種のタンポポを採取した。採取した植物を水で洗浄し、茎の根元で切断して根を採取した。採取した根を長さ方向に沿ってスライスし、長さが約1/4インチの切片を得た。
根切片を液体窒素に約5〜10分浸漬して完全に凍結させた。凍結片は、平均粒径が約45μm以下となるまで衝突式粉砕機で粉砕した。粉砕した根を沸騰した蒸留水に1時間浸漬し、活性化合物を抽出、可溶化した。
抽出/可溶化工程に続き、孔径が約0.45μmのろ紙を用いて、活性化合物を含有する蒸留水を真空ろ過して、他の植物成分及び余分な繊維質を除去した。その後、得られたろ液を−80℃で凍結乾燥して根エキス粉末を得た。乾燥エキスを水にもどして、最終濃度が100mg/mLのストックサンプルを得た。孔径が約0.22μmの細菌用ろ紙を用いて、根エキスのストックサンプルを更に真空ろ過して殺菌し、使用するエキスを製造した。投与する際は、約1gの根エキス粉末を約10mLの熱湯に再可溶化した後、ろ過した。そして、がんと診断された患者にろ液を経口投与した。経口投与の場合、水に対する根エキス粉末の割合が100mLあたり約0.1g〜50gくらいであることが好ましい。
本発明の根エキスから複数の画分を単離し、生物活性試験に供した。DREにより誘導されるアポトーシスのメカニズムによれば、複数の化合物がそれぞれ単独で又は一緒に組み合わされて、1以上の標的に対する活性に関与し得る。また、白血病、結腸がん、膵がん及び黒色腫等を用いたin vitro試験において、本発明のDREは、ヒトがん細胞株においてはタイプI及びタイプIIのプログラム細胞死を選択的に誘導するが、非がん細胞についてはアポトーシス及び自食が誘導されにくい状態のまま保持することが示された。特に、本発明者らは、処理後のカスパーゼ−8の急速な活性化及びそれに続くカスパーゼ−3の活性化から明らかな通り、DREが、おそらく、がん細胞上の細胞死受容体(例えば、Fas又はTNFファミリー細胞死受容体)を標的としたり、Death Inducing Signaling Complexを活性化したりして、外因性の細胞死経路を急速に活性化させることにより、細胞死を誘導し得ることを認めた。
また、DRE中の化合物はがん細胞のミトコンドリアを直接標的とすることが示された。このことから、ミトコンドリアと直接相互作用し、ミトコンドリアを不安定化させることにより、アポトーシス促進因子を放出させ、活性酸素種を生成させるDRE成分が存在することが示唆される。DREは、複数の標的を標的とし得る複数の化合物を含有すると考えられるが、これらの化合物は、水溶性塩、リガンド類似体又は他の相互作用/結合タンパク質として存在し得る。
多くの細胞株を用いて、本発明の薬剤の活性及び/又は安全性を試験した。さらに、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病又は慢性骨髄単球性白血病を罹患している10人のがん患者から単離した細胞株を用いて、ex vivo試験を実施した。患者から採取した血液サンプルを、異なる用量のタンポポ根エキスで48時間処理した。健康な献血者から単離した血液細胞株と比較することで、タンポポ根エキスは慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病及び慢性骨髄単球性白血病の細胞株においてアポトーシスを誘導することが分かった。
他の細胞株に対して実施した多くの追加試験の概要及び各試験細胞株で得られた結果を以下の表に更に示す。
本発明の薬剤の有効性をよりはっきりと示すため、実験例の詳細な記載を以下に示す。
(i)ヒトT細胞性白血病細胞に対するタンポポ根エキスの抗がん活性
DREのヒト急性T細胞性白血病細胞株(Jurkat)に対する活性を、非がん性末梢血単核細胞(PBMC)に対する作用とともに評価した。図1に示す通り、Hoescht画像を手集計して求めたところ、タンポポ粗エキス(100μL)は約50%の細胞でアポトーシスを誘導した。また、図2は、WST−1細胞増殖アッセイで測定したJurkat細胞の生存率に対する、0.4mg/mL及び0.6mg/mLでのDREの効果を表す図であるが、この図に示す通り、DRE濃度が上昇すると細胞生存率が低下した。本発明者らは、DREが低濃度において、PBMCに毒性を示すことなく、がん細胞に対して特異的且つ選択的にアポトーシスを誘導できることを見出した。さらに、DREで処理することで、カスパーゼ−8が極めて早期に活性化され、次いでカスパーゼ−3が活性化されることが分かった。
(ii)中悪性度のヒト黒色腫細胞に対するタンポポ根エキスの抗がん活性
in vitroでのヒト黒色腫細胞株に対するDREの効果を試験した。図3及び4に示す通り、高悪性度且つ耐化学療法性の皮膚がんである黒色腫に対して、DREはアポトーシスの誘導に非常に効果的であった。図3を得るため、A375ヒト黒色腫細胞を96ウェルプレートに播種し(約1000細胞/ウェル)、異なるDRE濃度で24、48及び72時間処理した。図4に示す通り、最大10mg/mLまでの各種DRE濃度で48時間処理したA375細胞では、典型的なアポトーシス形態が観察された。図4の画像を得るため、細胞をHoechst33342色素で染色し、蛍光顕微鏡で画像を撮影した。明るく染色された凝縮塊はアポトーシス核を表す。
また、DREはミトコンドリアを標的とし、活性酸素種を生成させることが分かった。さらに、代謝阻害薬であるメトホルミンによって、薬剤耐性黒色腫細胞のDRE処理に対する感度がより高くなった。
(iii)中悪性度のヒト慢性骨髄単球性白血病(CMML)細胞に対するタンポポ根エキスの抗がん活性
より悪性度の高い白血病細胞株に対するDREの効力を評価して、CMML細胞のアポトーシス/自食を誘導する際の選択性及び効力を測定した。図5〜10に示す通り、DREは、用量及び時間依存的にアポトーシス及び自食を効果的に誘導することが分かった。
図11及び12に示す通り、CMML細胞では、アポトーシスの外因性経路が活性化することでカスパーゼ−8及びカスパーゼ−3の急速な活性化が見られ、この活性化の程度はJurkat細胞で見られたものと同等であった。図11及び12の棒グラフを得るため、示した時点及びDRE濃度で処理したMV−4−11細胞を採取し、洗浄し、溶解バッファとともに培養して細胞溶解物を得た。各カスパーゼに特異的なカスパーゼ基質とともに細胞溶解物を1時間培養した。蛍光分光計を用いて蛍光読み取り値を得た。
図17及び20に示す通り、Death−Inducing Signaling Complex(DISC)の主要成分であるドミナントネガティブFADD(DnFADD)タンパク質を発現するJurkat細胞は、DREにより誘導されるアポトーシスに対して非感受性であった。これにより、細胞死の外因性経路の関与が更に示された。作成した図21は、DRE処理後の各時点のDnFADD細胞における、カスパーゼ−8の活性化率を示し、カスパーゼ−8に特異的な基質及び蛍光読み取り値を用いて得たものである。
また、全カスパーゼ阻害剤z−VAD−fmkを用いて事前処理すると、慢性骨髄単球性白血病細胞におけるアポトーシスの誘導が阻害されることが分かった。
並行して行った、非がん性末梢血単核細胞(ncPBMC)に対するタンポポ根エキスによる処理の結果、該細胞はアポトーシスを受けにくく、これにより、細胞培養においてタンポポ根エキスが選択性を有することが示された。
これらの研究結果から、本発明のタンポポ根エキスは、今日利用できる従来のがん治療に対する新規な非毒性代替薬剤として有用であることが分かる。さらに、(低濃度の毒性化合物を用いた)従来の治療と併用してがん治療の効果を向上させる上でも有用である。
(iv)中悪性度のヒト膵がん細胞に対するタンポポ根エキスの抗がん活性
本発明のタンポポ根エキスを用いて、中悪性度のヒト膵臓細胞株(BxPC−3及びPANC−1)において用量及び時間依存的にアポトーシスを誘導することもできる。図13及び14に示す通り、DRE処理における用量及び処理後経過時間が増加するとともに、アポトーシスを表す明るく染色された凝縮核が観察された。PANC−1細胞のHoechst画像を手集計で定量化したところ、平均アポトーシス率が用量及び時間依存的に増加していた。
並行して行った、非がん性正常ヒト胎児繊維芽細胞に対する同様の実験から、DREはヒト膵がん細胞を選択的に標的とすることが分かった。これにより、先に得た研究結果を確認できた。カスパーゼ−8の早期活性化及びそれに続くカスパーゼ−3の活性化により、DREによるアポトーシス誘導は、アポトーシスの外因性経路の活性化に起因することが分かった。
DREによって、ヒト膵がん細胞において細胞死促進性の自食が誘導された。このような自食の誘導は、DRE処理後に観察されるミトコンドリア膜電位の不安定化に相当する。再生試験により、細胞がDREに曝されてしまえば、自殺をもたらす信号は維持され続けることが分かった。
(v)他の中悪性度のヒトがん細胞に対するタンポポ根エキス(DRE)の抗がん活性
本発明のDREは、中悪性度のヒト結腸がん及び神経芽腫細胞に有効なことが分かった。図24に示す通り、HT−29ヒト結腸細胞の生存率は、時間及び用量依存的にDRE処理の影響を受けた。EC50を測定したところ、96時間で3.0mg/mLであった。図24は、WST−1細胞増殖アッセイを用いて収集したデータに基づいて作成した。詳細には、HT−29ヒト結腸がん細胞を96ウェルプレートに播種し(約5000細胞/ウェル)、その後、異なるDRE濃度で24、48、72及び96時間処理した。
(vi)マウスモデルにおけるタンポポ根エキスの毒性評価
本発明のエキスの毒性について、雄性balb/cマウスを使用し、がんの非存在下、in vivoマウスモデルにおいて調べた。ろ過した淡水を処方するコントロール群と、2つのDRE群を用意した。該2つのDRE群は、飲料水に2.5mg/mlのDRE(70kgのヒト患者に対する用量に換算すると105g/日)を添加して与える低用量群と、飲料水に5.0mg/mlのDREを添加して与える高用量群からなる。平均すると、各マウスは1日あたり約5mLの飲料液を消費したが、これは、500mg/kg/日(低用量群、乾燥根5gから抽出比1:10で抽出したもの)及び1,000mg/kg/日(高用量群、乾燥根10gから同抽出比1:10で抽出したもの)に相当する。これらの用量は、in vitro試験でアポトーシスを誘導するのに必要であった用量よりも多い。上記マウスに与える水に毎日DREを添加し、1ヶ月間モニタリングし、その間、図16及び26に示す通り、2つの独立した試験について体重を1日おきに測定した。34日後、Animal Care Committee guidelines of the University of Windsorに従ってマウスを屠殺し、各臓器(肝臓、腎臓及び心臓)を摘出して病理解析した。図15及び25に更に示す通り、測定した体重及び病理解析において上記マウスに対する毒性は見られなかった。未処理のコントロールマウス群とDRE摂取マウス群に、体重変化及び得られた臓器の病変に関して違いは見られなかった。
DREを500mg/kg/日で合計35日間与えたDRE処理群のマウス4匹に対して、更なる効力試験を実施した。それらの肝臓、腎臓及び心臓から得た組織について、毒性の徴候を分析した。水摂取コントロールマウスと比較しても、上記組織には何ら変化が見られなかった。毒性の徴候を更に調べるため、各群のマウスから尿も採取し、ブラッドフォード法によるタンパク質定量アッセイを用いてタンパク含量を分析した。図27に示す通り、コントロールマウスと比較して、DRE摂取マウスではタンパク量が少なかった。これらの結果から、飲料水への添加物として、本発明のDREは、マウスにおいて長期にわたって毒性を示さず、忍容性が良好であることが分かる。
マウスモデルに対してin vivoで更に毒性試験を実施したところ、本発明のエキスは、体重の3%に当たる高い1日用量、すなわち1.0g/kg/日又は100g/日でも有意な毒性が見られないことが確認された。
毒性試験によれば、ヒト患者に対する有効用量は、約0.5〜4.0g/日/人(体重70kgの場合)が好ましく、2.0g/日/人(マウスにおいて忍容性が良好であった用量の2%未満)がより好ましい。本発明のDREで処理したヒト患者の一人は、23mg/kg/日に対して忍容性及び応答を示した。
(vii)患者由来ex−vivo白血病サンプルにおけるタンポポ根エキスの抗がん活性
新たに診断された患者から採取した患者由来白血病サンプルにおけるDREの効果を調べた。9人の患者からサンプルを採取して実験した。新たに診断された患者から血液サンプルを採取し、末梢血単核細胞(PBMC)を単離し、本発明のDREで処理した。図22及び23に示す通り、本発明のDREは、白血病患者から得たPBMCにおいて用量及び時間依存的にアポトーシスを効果的に誘導した。図23は、6人の異なる患者から得たHoechst画像を手集計で定量化して得られた。
(viii)免疫不全マウスに異種移植したヒト結腸がんに対するタンポポ根エキスの効力
様々ながんのin vivoモデルにおいて本発明のDREの効力を評価するため、免疫不全CD−1nu/nuマウスを使用して結腸がん異種移植モデルを作製した。詳細には、HT−29細胞をマウスのどちらかの側に皮下注射し、処理開始前の1週間の間、腫瘍を形成させた。マウスを2つの群に分け(1グループあたり4匹)、一方はろ過した淡水を処方し、他方は、飲料水にDREを添加した2.5mg/mLのDRE水溶液(乾燥根5gから抽出比1:10で抽出した400mg/kg/日)を1ヶ月間与えた。各マウスの体重を1日おきに測定し、1ヶ月間処理した後、マウスを屠殺して得た臓器を病理解析した。
図28及び29に示す通り、水摂取コントロールマウスとDRE摂取マウスの体重に差はなく、毒性はないことが確認された。図30及び31は、ろ過した淡水又はDREでそれぞれ3週間処理した後のCD−1nu/nuマウスの写真である。図32に示す通り、水摂取マウスはDRE摂取マウスに比べて腫瘍体積が大きく、in vivoモデルにおける結腸がんに対してDREの効力が示された。
図33及び34に更に示す通り、心臓、腎臓及び肝臓の組織化学的状態についてコントロール群とDRE処理群に何ら違いは見られず、これらの組織に対して毒性はないことが示された。一方、コントロール群と処理群には腫瘍組織化学的に明確な差が見られ、処理群では腫瘍細胞核数が有意に減少していた。
HT−29細胞の代わりにHCT116細胞を用いて同様の試験を実施した結果、効力及び毒性に関して同様の結果が得られた。
上述の結果から、水摂取群と比較して、DRE処理群においては、DREが結腸腫瘍の増殖を停止させたことが分かった。DRE処理群では毒性は見られず、毒性評価結果を確認できた。これらの結果から、結腸がんのin vivoモデルにおいてDREが効力を示し得ることが示される。
(ix)臨床データ
難治性M5急性骨髄性白血病を患う70歳の老人男性について、DRE単独で18ヶ月にわたって寛解が維持されたことが報告された。上記男性は急性単球性白血病については完全寛解したものの、慢性骨髄単球性白血病(CMML)については徴候が継続していた。上記男性がDRE消費頻度を減らすと、末梢血単球数の増加が見られ、同様に、DRE消費量を増やすと末梢血単球数が制御された。慢性骨髄単球性白血病を患う2人の女性についても、DRE単独使用で一時的な応答が見られた。
上記物質を消費した患者において一過性の応答が報告されている。難治性急性骨髄性白血病を患う一人の患者がDRE治療とヒドロキシウレア治療とを同時に開始したところ、この併用に対して即座に劇的な応答を示した。患者には大きな皮膚結節が複数個できたが、24時間以内に寛解した。わずか24時間後にヒドロキシウレア治療を止めたにも関わらず、患者はこの応答を1ヶ月間維持した。患者は薬剤に対して極めて良好な忍容性を示し、毒性も報告されていない。
別の患者では、難治性ホジキンリンパ腫に対してDREを投与した。患者は40歳の女性で、複数の化学療法及び自家幹細胞移植に失敗していた。患者は、シクロホスファミド及びエトポシドの併用化学療法を受けたことがあった。患者はこの併用下では血球減少症を発症したが、DREを追加する際、患者はこれらの投薬による血球減少症を患っていた。DREが追加されると、患者はCTスキャンにおいて一過性ではあるが劇的な応答を示した。該物質の投与から3ヶ月後には患者に悪化が見られ、この悪化後に膵炎を発症した。
結腸直腸がんを含む様々な悪性腫瘍に対してDREを使用した多くの患者において、優れた忍容性が報告され、応答が自己申告された。ホジキンリンパ腫を患う別の患者は、DRE処理に対して顕著な応答をはっきり示したと報告されている。
本発明の薬剤には、根エキスの機能を損なわない限り、他の抗がん成分又は抗がん剤を追加してもよい。そのような抗がん成分としては、特に限定されないが、抗葉酸剤、5−フルオロピリミジン(5−フルオロウラシル等)、β−L−1,3−ジオキソラニルシチジン又はβ−L−1,3−ジオキソラニル5−フルオロシチジン等のシチジン類似体、代謝拮抗剤(プリン代謝拮抗剤、シタラビン、フダラビン、フロクスウリジン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート及び6−チオグアニン等)、ヒドロキシウレア、分裂抑制剤(CPT−11、エトポシド(VP−21)、タキソール、並びに、ビンクリスチン及びビンブラスチン等のビンカアルカロイド等)、アルキル化剤(特に限定されないが、ブスルファン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホファミド、メクロレタミン、メルファラン及びチオテパ等)、非古典的なアルキル化剤、白金含有化合物、ブレオマイシン、抗腫瘍性抗生物質、ドキソルビシン及びダンノマイシン等のアントラサイクリン、アントラセンジオン、トポイソメラーゼII阻害剤、ホルモン剤(特に限定されないが、コルチコステロイド(デキサメタゾン、プレドニゾン及びメチルプレドニゾン等)、アンドロゲン(フルオキシメステロン及びメチルテストステロン等)、エストロゲン(ジエチルスチルベステロール等)、抗エストロゲン薬(タモキシフェン等)、LHRH類似体(ロイプロリド等)、抗アンドロゲン薬(フルタミド、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロール、メドロキシプロゲステロン等))、アスパラギナーゼ、カルムスチン、ロムスチン、ヘキサメチル−メラミン、ダカルバジン、ミトタン、ストレプトゾシン、シスプラチン、カルボプラチン、レバマゾール及びロイコボリン等が挙げられる。抗がん剤は、メトホルミン、ヒドロキシウレア、シクロホスファミド又はエトポシドであることが好ましい。また、本発明の化合物は、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子、マクロファージ・コロニー刺激因子及びコロニー刺激因子等の酵素治療薬及び免疫系調節剤と併用してもよい。根エキスは、例えば、経口、非経口、静脈内、皮内、経皮、粘膜、皮下及び局所等の適切な経路で患者に投与できる。
根エキスは、経口投与することが好ましい。多くの投与/投薬試験により、本発明の薬剤は、経口的に摂取され、場合によっては投与対象の消化器系に曝されると、抗がん活性が大きくなり得ることが分かった。根エキスは、粉末又は流エキスの形態で、さらに改変することなく経口投与してもよい。あるいは、液体、最も好ましくは水に根エキスを可溶化してもよく、このエキスを含有する液体を経口投与する。不注意による細菌の混入又は細菌感染を防止するため、本発明のエキスを煮沸して茶とし、このエキスを含有する茶を経口投与してもよい。あるいは、根エキスをカプセル剤に封入してもよく、圧縮して錠剤としてもよい。そのようなカプセル剤又は錠剤は、精製して不純物及び/又は細菌を除去してもよいし、不活性希釈剤、可食性基剤、結合剤及び/又は佐剤材料等を更に含有させてもよい。
錠剤及びカプセル剤等は下記成分又は類似の性質を示す化合物のいずれかを含有してもよい:微結晶セルロース、トラガカントゴム若しくはゼラチン等のバインダ;デンプン若しくはラクトース等の賦形剤;アルギン酸、Primogel若しくはコーンスターチ等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム若しくはステロテス(sterotes)等の滑沢剤;コロイド状二酸化ケイ素等の滑剤;スクロース若しくはサッカリン等の甘味剤;又は、ペパーミント、サリチル酸メチル若しくはオレンジフレーバー等のフレーバー剤。投与単位形態がカプセル剤の場合、上記材料に加えて、脂肪油等の液状基剤を含有してもよい。また、投与単位形態は、投与単位の物理的形態を改変する他の種々の材料を含有してもよく、そのような材料としては、糖衣、セラック等の腸溶性剤等が挙げられる。
投与量は、健康状態、年齢、体重、及び、治療対象であるがんの重篤度によって変化することに留意されたい。当業者には明らかな通り、各患者の具体的な投与計画は、個々の患者の必要性に応じて経時的に調節される。根エキスは、一度に投与してもよいし、複数回に分けて少量ずつ異なる間隔で投与してもよい。
本発明の薬剤は、皮膚組織、臓器、骨、軟骨、血液及び脈管等におけるがんの治療及び/又は予防に好適である。根エキスは、特に限定されないが、頭部、頸部、眼、口、咽喉、食道、胸部、骨、肺、結腸、直腸、胃、前立腺、乳房、卵巣、腎臓、肝臓、膵臓及び脳等における各種がんを治療するのに使用できる。上記がんには、原発がん及び転移性がんが包含される。
本発明の最も好ましい実施形態を本明細書中に記載したが、これらの最も好ましい実施形態は単なる例示として示したものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものでは全くない。当業者には明らかな通り、これらの最も好ましい実施形態に対して本発明の範囲内で改変及び変更を行ってもよい。

Claims (39)

  1. がんを治療又は予防するための薬剤を製造する方法であって、
    タンポポ属(Taraxacum)植物の根を凍結して凍結根ストックを得る工程であって、1以上の根細胞が少なくとも部分的に破壊されるよう選択される工程;
    前記凍結根ストックを乾式粉砕して根粉末を得る工程であって、前記凍結根ストックが約40℃未満の粉砕温度で保持される工程;
    溶媒に前記根粉末を浸漬して、流エキス部分と固体粒子部分を含む懸濁液を得る工程;及び、
    前記流エキス部分を前記固体粒子部分から分離して、前記薬剤で使用される流エキスを得る工程を有する方法。
  2. 前記がんは、結腸がん、膵がん、血液がん又は皮膚がんである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記がんは、前記血液がん又は前記皮膚がんからなるものであって、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、ホジキンリンパ腫及び黒色腫からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記凍結工程より前に、相対湿度が約5%〜約10%となるまで前記植物の根を乾燥させる工程を更に有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記タンポポ属(Taraxacum)植物の根は、植物の開花若しくは発芽より前、又は、芽の生長が休止した後に採取した休眠中のタンポポ属(Taraxacum)植物の根からなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記休眠中のタンポポ属(Taraxacum)植物の根は、前記植物の開花又は発芽の前約90日以内、好ましくは約30日以内に採取される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記タンポポ属(Taraxacum)植物の根は、T.officinale、T.erythrospermum、T.albidum、T.japonicum、T.laevigatum、T.erythrospermum、及び、T.californicumからなる群より選択される種に属する植物から得られる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記凍結工程は、平均凍結温度が約−210℃〜約−30℃となるまで、前記植物の根を液体窒素に接触させる若しくは沈める、又は、前記植物の根を凍結させることを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記乾式粉砕工程は、前記凍結根ストックを平均粒径が約100μm未満、好ましくは約50μm未満となるまで乾式粉砕することを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記乾式粉砕工程は、パルベライザ型粉砕機、衝突式粉砕機及び微粒粉砕機からなる群より選択される粉砕機を用いて前記凍結根ストックを乾式粉砕することを含み、
    前記粉砕機又はその構成要素が約−25℃未満、好ましくは約−50℃未満に冷却されることで、前記凍結根ストック又は根粉末との接触時の発熱が防止される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記溶媒は、水、ペンタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、1,4−ジオキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート、ギ酸、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、エタノール、メタノール及び酢酸のうち1以上を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記浸漬工程は、約5℃〜約100℃の浸漬温度で、好ましくは約5分〜約24時間、攪拌下又は非攪拌下で前記根粉末を水に浸漬することを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記分離工程は、ろ過及び遠心分離の少なくとも一方を含み、
    前記ろ過は、1回、又は、孔径が同じ若しくは異なる複数のフィルタを用いて2回以上実施し、
    前記遠心分離は5000×g〜8000×gで実施する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記分離工程は、約0.45μmの第1の孔径を有する第1のフィルタと、約0.22μmの第2の孔径を有する第2のフィルタを用いて、前記懸濁液を少なくとも2回ろ過することを含み、
    前記第2のフィルタは細菌を除去するものが選択される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記乾式粉砕工程より前に、前記植物の根をさいの目状に切って複数の根切片を得る工程を更に有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記粉砕温度は約0℃未満である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記粉砕温度は約−25℃未満、好ましくは約−40℃未満である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 分離した前記流エキスを凍結乾燥してエキス粉末を得、必要に応じて、医薬的に許容される基剤、希釈剤、結合剤、佐剤及び抗がん剤のうち1以上を前記エキス粉末と混合する工程を更に有する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記抗がん剤は、メトホルミン、ヒドロキシウレア、シクロホスファミド及びエトポシドのうち1以上である、請求項18に記載の方法。
  20. 前記薬剤は、前記エキス粉末を約5mg/kg体重/日〜約1000mg/kg体重/日、好ましくは約10mg/kg体重/日〜約70mg/kg体重/日含有する投与形態からなる、請求項18又は請求項19に記載の方法。
  21. 前記薬剤は、前記エキス粉末を約0.5g〜約70g、好ましくは約1〜4g含有する1日投与形態からなる、請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法。
  22. がんを治療又は予防するためのタンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスを含有する薬剤を製造する方法であって、
    (1)タンポポ属(Taraxacum)植物の根を凍結して凍結根ストックを得る工程であって、該凍結工程は1以上の根細胞が少なくとも部分的に破壊されるよう選択され、前記タンポポ属(Taraxacum)植物の根は、植物の発芽若しくは開花より前、又は、芽の生長が休止した後に採取した休眠中のタンポポ属(Taraxacum)植物の根からなる工程;
    (2)前記凍結根ストックを乾式粉砕して、平均粒径が約100μm未満、好ましくは約50μm未満の根粉末を得る工程であって、前記凍結根ストックが約40℃未満の粉砕温度で保持される工程;
    (3)エタノール及び水の一方又は両方を含む溶媒に前記根粉末を浸漬して、溶液部分と固体部分を含む混合物を調製する工程;
    (4)前記溶液部分を前記固体部分から分離する工程;及び、
    (5)前記溶液部分を凍結乾燥して前記タンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスを乾燥エキス粉末として得、必要に応じて、その乾燥エキス部分と、医薬的に許容される基剤、希釈剤、結合剤、佐剤及び抗がん剤のうち1以上とを混合する工程
    を有する方法。
  23. 前記がんは、結腸がん、膵がん、血液がん又は皮膚がんである、請求項22に記載の方法。
  24. 前記がんは、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、ホジキンリンパ腫又は黒色腫である、請求項22に記載の方法。
  25. 前記休眠中のタンポポ属(Taraxacum)植物の根は、最初の季節性の植物の開花又は発芽の前約90日以内、好ましくは約30日以内に採取される、請求項22〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 前記タンポポ属(Taraxacum)植物の根は、T.officinale、T.erythrospermum、T.albidum、T.japonicum、T.laevigatum、T.erythrospermum、及び、T.californicumからなる群より選択される種に属する植物から得られる、請求項22〜25のいずれか1項に記載の方法。
  27. 前記凍結工程より前に、相対湿度が約10%未満となるまで前記植物の根を乾燥させる工程を更に有する、請求項22〜26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 前記凍結工程は、平均凍結温度が約−210℃〜約−30℃となるまで前記植物の根を液体窒素に接触させる又は沈めることを含む、請求項22〜27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 前記乾式粉砕工程は、粉砕機を用いて前記凍結根ストックを平均粒径が約50μm未満となるまで乾式粉砕して、前記1以上の根細胞を実質的に破壊することを含み、
    前記粉砕機は、パルベライザ型粉砕機、衝突式粉砕機及び微粒粉砕機からなる群より選択され、
    前記乾式粉砕工程は、前記粉砕機を約−25℃未満の温度まで冷却することを更に含む、請求項22〜28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 前記溶媒は、ペンタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、1,4−ジオキサン、クロロホルム、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、プロピレンカーボネート、ギ酸、n−ブタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、メタノール又は酢酸を更に含む、請求項22〜29のいずれか1項に記載の方法。
  31. 前記浸漬工程は、約5℃〜約100℃の浸漬温度で、好ましくは約5分〜約24時間、攪拌下又は非攪拌下で前記根粉末を前記溶媒に浸漬することを含む、請求項22〜30のいずれか1項に記載の方法。
  32. 前記分離工程は、ろ過及び遠心分離の少なくとも一方を含み、
    前記ろ過は、1回、又は、孔径が同じ若しくは異なる複数のフィルタを用いて2回以上実施し、
    前記遠心分離は5000×g〜8000×gで実施する、請求項22〜31のいずれか1項に記載の方法。
  33. 前記分離工程は、約0.45μmの第1の孔径を有する第1のフィルタと、約0.22μmの第2の孔径を有する第2のフィルタを用いて、前記混合物を少なくとも2回ろ過することを含み、
    前記フィルタの一方又は両方は細菌を除去するものが選択される、請求項22〜32のいずれか1項に記載の方法。
  34. 前記抗がん剤は、メトホルミン、ヒドロキシウレア、シクロホスファミド及びエトポシドのうち1以上からなる、請求項22〜33のいずれか1項に記載の方法。
  35. 前記乾式粉砕工程より前に、前記タンポポ属(Taraxacum)植物の根をさいの目状に切って、平均サイズが約0.2cm〜1.5cmの複数の根切片を得る工程を更に有する、請求項22〜34のいずれか1項に記載の方法。
  36. 前記粉砕温度は約0℃未満である、請求項22〜35のいずれか1項に記載の方法。
  37. 前記粉砕温度は約−25℃未満、好ましくは約−40℃未満である、請求項22〜36のいずれか1項に記載の方法。
  38. 前記薬剤は、前記タンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスを約5mg/kg体重/日〜約1000mg/kg体重/日、好ましくは約10mg/kg体重/日〜約70mg/kg体重/日含有する投与形態からなる、請求項22〜37のいずれか1項に記載の方法。
  39. 前記薬剤は、前記タンポポ属(Taraxacum)植物の根エキスを約0.5g〜約70g、好ましくは約1〜4g含有する1日投与形態からなる、請求項22〜37のいずれか1項に記載の方法。
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