JP2015503350A - アルコールの発酵生産 - Google Patents

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ビュータマックス・アドバンスド・バイオフューエルズ・エルエルシー
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Abstract

本発明は、工業微生物学およびアルコール生産分野に関する。本発明はまた、改変経路を通じて発酵産物を生成できる微生物の開発、および微生物の使用にも関する。本発明はまた、細胞生存度および生産性を改善する方法、および発酵産物の収率を増大させる再循環および酸洗浄の使用にも関する。

Description

本出願は、その内容全体を参照によって本明細書に援用する、2011年12月30日に出願された米国仮出願第61/581,877号明細書;2012年5月9日に出願されたインド国特許出願第1423/DELNP/2012号明細書;および2012年8月9日に出願された米国仮出願第61/681,230号明細書の優先権を主張する。
配列表
参照によって本明細書に援用する、明細書と共に提出された配列表(CL5196WOPCT_SequenceListing.txt)に提供される配列は、37C.F.R.§§1.821〜1.825(「ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列開示を含有する特許出願の要件−配列規則」)に準拠して、世界知的所有権機関(WIPO)標準ST.25(2009)およびEPOおよびPCTの配列表要件(規則5.2および49.5(α−βis)、および実施細則の第208節および付録C)に一致する。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列データに使用される記号および形式は、37C.F.R.§1.822に記載される規則に従う。
本発明は、工業微生物学およびアルコール生産分野に関する。本発明また、改変経路を通じて発酵産物を生成できる微生物の開発、および微生物の使用にも関する。本発明はまた、細胞生存度および生産性を改善する方法、および発酵産物の収率を増大させる再循環および酸洗浄の使用にも関する。
ブタノールは重要な工業化学物質であり、燃料添加剤として、プラスチック工業における原材料化学物質として、および食物および香料工業における食物等級抽出剤として有用である。毎年100〜120億ポンドのブタノールが、石油化学製品に由来する出発原料を使用して、化学的合成によって生産される。オキソ合成、一酸化炭素の接触水素化(非特許文献1)、およびメタノールとn−プロパノールのゲルベ縮合(非特許文献2)などのブタノール異性体イソブタノールの化学合成法が知られている。これらの工程は、石油化学製品に由来する出発原料を利用する。植物由来原料からのイソブタノール生産は、化石燃料の使用を最小化し得て、当該技術分野における進歩に相当する。さらに植物由来材料またはその他のバイオマス原料を使用した化学物質および燃料の生産は、生態系に優しく持続可能である、石油化学的方法の代替法を提供する。
イソブタノールは、酵母発酵の副産物として、生物学的に生産されてもよい。それは、この真菌群によるアミノ酸の不完全代謝の結果として形成する、「フーゼル油」の構成要素である。イソブタノールは、特にL−バリンの異化作用から生成される。L−バリンのアミン基が窒素源として使われた後に、結果として生じるα−ケト酸は脱炭酸されて、いわゆるエールリッヒ経路の酵素によってイソブタノールに還元される(非特許文献3)。
遺伝子工学および代謝工学などの技術を利用して、微生物を改変し、植物由来材料またはその他のバイオマス原料から、特定の製品を生産してもよい。微生物は、例えば生合成経路をコードする遺伝子の挿入などの遺伝子の挿入、遺伝子の欠失またはプロモーターなどの調節因子の修飾によって、改変されてもよい。微生物はまた、細胞生産性および収率を改善するために、生合成経路の副産物を排除するために、および/または株の改良のために、操作されてもよい。イソブタノールをはじめとするブタノール異性体を生産するための改変生合成経路を発現する微生物の例は、特許文献1および特許文献2に記載される。
米国特許第7,851,188号明細書 米国特許第7,993,889号明細書
Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,6th edition,2003,Wiley−VCH Verlag GmbH and Co.,Weinheim,Germany,Vol.5,pp.716−719 Carlini,et al.,J.Molec.Catal.A.Chem.220:215−220,2004 Dickinson,et al.,J.Biol.Chem.273:25752−25756,1998
しかし発酵中のエタノールおよびブタノールなどのアルコールへの曝露は、細胞生存度、細胞生産性、および製品収量に対して悪影響を及ぼし得る。これらのアルコールの蓄積は、細胞成長を阻害して、最終的にこれらのアルコールの発酵生産に影響を及ぼし得る。したがってこれらのアルコール存在下で改善された細胞成長および生産を示す微生物の開発、ならびに細胞生存度および細胞生産性を維持しおよび/または改善する方法に対する必要性がある。
本発明は、このような方法の開発、ならびに微生物中の改変経路を通じて、改善された細胞生存度および細胞生産性で、発酵産物を生成できる微生物の開発を対象とする。
本発明はまた、(a)アルコールを生成する微生物を提供するステップと;(b)アルコールが生成される条件下で、微生物を1つまたは数複の炭素源と接触させるステップと;(c)微生物を収集するステップと;(d)アルコールを回収するステップと;(e)アルコールが生成される条件下で、ステップ(c)の収集された微生物を1つまたは複数の炭素源と接触させるステップと;(f)ステップ(c)〜(e)を反復するステップと;任意選択的に、ステップ(c)の微生物を低pH条件に曝露するステップとを含んでなる、アルコールを生産する方法を対象とする。いくつかの実施形態では、ステップ(c)〜(e)を少なくとも10回、少なくとも20回、少なくとも30回、少なくとも40回、少なくとも50回、少なくとも100回、またはそれを上回る回数にわたり繰り返す。
本発明はまた、(a)ブタノール産生菌を提供するステップと、;(b)ブタノールが有効収率で生成される条件下で、ブタノール産生菌を1つまたは複数の炭素源と接触させるステップと;(c)ブタノール産生菌を収集するステップと;(d)ブタノールを回収するステップと;(e)ブタノールがステップ(b)の有効収率の少なくとも約90%である有効収率で生成される条件下で、(c)の収集されたブタノール産生菌を1つまたは複数の炭素源と接触させるステップと;(f)ステップ(c)〜(e)を反復するステップと;任意選択的に、ステップ(c)の収集されたブタノール産生菌を低pH条件に曝露するステップとを含んでなる、ブタノールを生産する方法も対象とする。いくつかの実施形態では、(c)の収集されたブタノール産生菌が、少なくとも約0.3%ブタノールの存在下で少なくとも約1時間にわたり、約2.0以下のpH条件に曝露される。いくつかの実施形態では、ステップ(d)のブタノールが、少なくとも約6g/Lの濃度で回収される。いくつかの実施形態では、ステップ(e)において、ブタノールが、ステップ(b)の有効収率の少なくとも約99%である有効収率で生成される。いくつかの実施形態では、ステップ(c)〜(e)を少なくとも10回、少なくとも20回、少なくとも30回、少なくとも40回、少なくとも50回、少なくとも100回、またはそれを上回る回数にわたり繰り返す。
本発明はまた、(a)アルコール発酵から微生物を収集するステップと;(b)微生物を富栄養培地と接触させるステップとを含んでなる、細胞生存度および生産性を改善する方法を対象とする。本発明はまた、(a)アルコール発酵から微生物を収集するステップと;(b)微生物を低pH条件に曝露するステップと;(c)微生物を収集するステップと;(d)収集された微生物を富栄養培地と接触させるステップとを含んでなる、細胞生存度および生産性を改善する方法を対象とする。
本明細書に記載される別の本発明の方法は、(a)アルコールを生成する微生物を提供するステップと;(b)アルコールが生成される条件下で、1つまたは数複の炭素基質に微生物を接触させるステップと;(c)微生物を収集するステップと;(d)アルコールを回収するステップと;(e)ステップ(c)の微生物を富栄養培地と接触させるステップと;(f)ステップ(e)の微生物を収集するステップと;(g)アルコールが生成される条件下で、ステップ(f)の微生物を1つまたは複数の炭素基質と接触させるステップと;(h)任意選択的に、ステップ(c)〜(g)を反復するステップとを含んでなる、アルコールを生産する方法である。
本発明はまた、(a)アルコールを生成する微生物を提供するステップと;(b)アルコールが生成される条件下で、微生物を1つまたは数複の炭素基質と接触させるステップと;(c)微生物を収集するステップと;(d)アルコールを回収するステップと;(e)ステップ(c)の微生物を低pH条件に曝露するステップと;(f)ステップ(e)からの微生物を収集するステップと;(g)ステップ(f)の微生物を富栄養培地と接触させるステップと;(h)ステップ(g)の微生物を収集するステップと;(i)アルコールが生成される条件下で、微生物を1つまたは数複の炭素基質と接触させるステップと;(j)任意選択的に、ステップ(c)〜(i)を反復するステップとを含んでなる、アルコールを生産する方法も対象とする。
本明細書に記載される工程および方法のいくつかの実施形態では、微生物を富栄養培地と接触させるステップは、好気的条件下で実施してもよい。本明細書に記載される工程および方法のいくつかの実施形態では、pHは約2以下である。本明細書に記載される工程および方法のいくつかの実施形態では、pH条件は約2〜約4であってもよい。いくつかの実施形態では、微生物は、少なくとも約1時間にわたり、約2.0以下のpH条件に曝露されてもよい。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法および工程によって生成されるアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、およびヘキサノールである。いくつかの実施形態では、ブタノールは、1−ブタノール、2−ブタノール、2−ブタノン、イソブタノール、またはその混合物であってもよい。
いくつかの実施形態では、微生物に細胞再循環を実施してもよい。いくつかの実施形態では、微生物を少なくとも5回再循環させてもよい。いくつかの実施形態では、微生物を少なくとも10回再循環させてもよい。いくつかの実施形態では、再循環するステップ中に、微生物を酸洗浄してもよい。いくつかの実施形態では、再循環するステップ後に、微生物を酸洗浄してもよい。
本明細書に記載される工程および方法のいくつかの実施形態では、炭素基質と接触させるステップは、抽出剤の存在下で実施してもよい。いくつかの実施形態では、炭素基質と接触させるステップは、嫌気的条件で実施してもよい。いくつかの実施形態では、炭素基質と接触させるステップは、微好気的条件で実施してもよい。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、第1の接触であってもよい。いくつかの実施形態では、再循環は、嫌気的条件で実施してもよい。いくつかの実施形態では、再循環は、微好気的条件で実施してもよい。
いくつかの実施形態では、炭素基質は、オリゴ糖類、多糖類、単糖類、およびそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。いくつかの実施形態では、炭素基質は、フルクトース、グルコース、乳糖、マルトース、ガラクトース、スクロース、デンプン、セルロース、原材料、エタノール、乳酸、コハク酸、グリセロール、コーンマッシュ、サトウキビ、バイオマス、キシロースおよびアラビノースなどのC5糖、およびそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
いくつかの実施形態では、微生物は、組換え宿主細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、微生物は、ブタノール産生菌であってもよい。いくつかの実施形態では、微生物は、イソブタノール産生菌であってもよい。いくつかの実施形態では、微生物は、ブタノール生合成経路を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、タノール生合成経路は、イソブタノール生合成経路であってもよい。いくつかの実施形態では、イソブタノール生合成経路は、(a)ピルビン酸からアセト乳酸;(b)アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸;(c)2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸から2−ケトイソ吉草酸;(d)2−ケトイソ吉草酸からイソブチルアルデヒド;および(e)イソブチルアルデヒドからイソブタノールからなる群から選択される、基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、イソブタノール生合成経路は、アセト乳酸シンターゼ、ケト酸レダクトイソメラーゼ、ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ、ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ、および/またはアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなってもよい。
いくつかの実施形態では、ブタノール生合成経路は、イソブタノール生合成経路であってもよい。いくつかの実施形態では、イソブタノール生合成経路は、(a)ピルビン酸からアセト乳酸;(b)アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸;(c)2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸からα−ケトイソ吉草酸;(d)α−ケトイソ吉草酸からイソブチリル−CoA;(e)イソブチリル−CoAからイソブチルアルデヒド;および(f)イソブチルアルデヒドからイソブタノールからなる群から選択される、基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、イソブタノール生合成経路は、アセト乳酸シンターゼ活性;アセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼ活性;アセトヒドロキシ酸デヒドラターゼ活性;分枝鎖ケト酸デヒドロゲナーゼ活性;アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性;および/または分枝鎖アルコールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリヌクレオチドをコードするポリペプチドを含んでなってもよい。
いくつかの実施形態では、ブタノール生合成経路は、1−ブタノール生合成経路であってもよい。いくつかの実施形態では、1−ブタノール生合成経路は、(a)アセチル−CoAからアセトアセチル−CoA;(b)アセトアセチル−CoAから3−ヒドロキシブチリル−CoA;(c)3−ヒドロキシブチリル−CoAからクロトニル−CoA;(d)クロトニル−CoAからブチリル−CoA;(e)ブチリル−CoAからブチルアルデヒド;および(f)ブチルアルデヒドから1−ブタノールからなる群から選択される、基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、1−ブタノール生合成経路は、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ活性;3−ヒドロキシブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ活性;クロトナーゼ活性;ブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ活性;ブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、および/またはブタノールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリヌクレオチドをコードするポリペプチドを含んでなってもよい。
いくつかの実施形態では、ブタノール生合成経路は、2−ブタノール生合成経路であってもよい。いくつかの実施形態では、2−ブタノール生合成経路は、(a)ピルビン酸からα−アセト乳酸;(b)α−アセト乳酸からアセトイン;(c)アセトインから3−アミノ−2−ブタノール;(d)3−アミノ−2−ブタノールから3−アミノ−2−ブタノールリン酸;(e)3−アミノ−2−ブタノールリン酸から2−ブタノン;および(f)−ブタノンから2−ブタノールからなる群から選択される、基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、2−ブタノール生合成経路は、アセト乳酸シンターゼ活性;アセト乳酸デカルボキシラーゼ活性;アセトニンアミナーゼ活性;アミノブタノールキナーゼ活性;アミノブタノールリン酸ホスホリラーゼ活性;および/またはブタノールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリヌクレオチドをコードするポリペプチドを含んでなってもよい。
いくつかの実施形態では、2−ブタノール生合成経路は、(a)ピルビン酸からα−アセト乳酸;(b)α−アセト乳酸からアセトイン;(c)アセトインから2,3−ブタンジオール;(d)2,3−ブタンジオールから2−ブタノン;および(e)2−ブタノンから2−ブタノールからなる群から選択される、基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、2−ブタノール生合成経路は、アセト乳酸シンターゼ活性;アセト乳酸デカルボキシラーゼ活性;ブタンジオールデヒドロゲナーゼ活性;ジアールデヒドラターゼ活性;および/またはブタノールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリヌクレオチドをコードするポリペプチドを含んでなってもよい。
いくつかの実施形態では、基質から産物への変換の1つまたは複数は、補助因子としてNADHまたはNADPHを利用してもよい。いくつかの実施形態では、NADHが助因子である。
いくつかの実施形態では、微生物のブタノール経路は、以下の酵素番号を有する酵素群から選択されるポリペプチドの少なくとも1つを含んでなってもよい:EC 2.2.1.6、EC 1.1.1.86、EC 4.2.1.9、EC 4.1.1.72、EC
1.1.1.1、EC 1.1.1.265、EC 1.1.1.2、EC 1.2.4.4、EC 1.3.99.2、EC 1.2.1.57、EC 1.2.1.10、EC 2.6.1.66、EC 2.6.1.42、EC 1.4.1.9、EC 1.4.1.8、EC 4.1.1.14、EC 2.6.1.18、EC 2.3.1.9、EC 2.3.1.16、EC 1.1.130、EC 1.1.1.35、EC 1.1.1.157、EC 1.1.1.36、EC 4.2.1.17、EC 4.2.1.55、EC 1.3.1.44、EC 1.3.1.38、EC 5.4.99.13、EC 4.1.1.5、EC 2.7.1.29、EC 1.1.1.76、EC 1.2.1.57、およびEC 4.2.1.28。
いくつかの実施形態では、微生物の改変ブタノール経路は、アセト乳酸シンターゼ、アセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼ、アセトヒドロキシ酸デヒドラターゼ、分枝鎖α−ケト酸デカルボキシラーゼ、分枝鎖アルコールデヒドロゲナーゼ、アシル化アルデヒドデヒドロゲナーゼ、分枝鎖ケト酸デヒドロゲナーゼ、ブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ、ブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ、トランスアミナーゼ、バリンデヒドロゲナーゼ、バリンデカルボキシラーゼ、ωトランスアミナーゼ、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ、3−ヒドロキシブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ、クロトナーゼ、ブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ、イソブチリル−CoAムターゼ、アセト乳酸デカルボキシラーゼ、アセトニンアミナーゼ、ブタノールデヒドロゲナーゼ、ブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アセトインキナーゼ、アセトインリン酸アミナーゼ、アミノブタノールリン酸ホスホリアーゼ、アミノブタノールキナーゼ、ブタンジオールデヒドロゲナーゼ、およびブタンジオールデヒドラターゼの酵素群から選択される、少なくとも1つのポリペプチドを含んでなってもよい。
いくつかの実施形態では、微生物またはブタノール産生菌は、cAMP情報伝達経路の1つまたは複数の構成要素の発現および/または活性を変化させる、1つまたは複数の修飾を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、微生物またはブタノール産生菌は、1つまたは複数のリン酸ジエステラーゼの発現および/または活性を変化させる1つまたは複数の修飾を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、微生物またはブタノール産生菌は、リン酸ジエステラーゼおよび/またはリン酸ジエステラーゼ活性の低下または排除を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、微生物またはブタノール産生菌は、リン酸ジエステラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド中に、修飾を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、微生物またはブタノール産生菌は、リン酸ジエステラーゼ活性を有するポリヌクレオチドをコードする内在性ポリペプチド中に、挿入、欠失、変異、および/または置換を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、リン酸ジエステラーゼ活性を有するポリペプチドは、酵素番号EC 3.1.4.17に相当してもよい。いくつかの実施形態では、リン酸ジエステラーゼ活性を有するポリペプチドは、PDE1であってもよい。
いくつかの実施形態では、微生物またはブタノール産生菌は、ピルビン酸デカルボキシラーゼを発現しない、または発現が低下している。いくつかの実施形態では、発現低下は、ピルビン酸デカルボキシラーゼをコードする遺伝子中の挿入、欠失、変異、および/または置換の結果である。いくつかの実施形態では、微生物またはブタノール産生菌は、ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド中に、修飾を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、微生物またはブタノール産生菌は、ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリヌクレオチドをコードする内在性ポリペプチド中に、挿入、欠失、変異、および/または置換を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドは、PDC1、PDC5、PDC6、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。いくつかの実施形態では、ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする内在性ポリヌクレオチドは、PDC1、PDC5、PDC6、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されてもよい。
いくつかの実施形態では、微生物またはブタノール産生菌は、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼを発現しない、または発現が低下している。いくつかの実施形態では、発現低下は、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子中の挿入、欠失、変異、および/または置換の結果である。いくつかの実施形態では、微生物またはブタノール産生菌は、BDH1を発現しない、または発現が低下している。いくつかの実施形態では、発現低下は、BDH1をコードする遺伝子中の挿入、欠失、変異、および/または置換の結果である。いくつかの実施形態では、微生物またはブタノール産生菌は、アセト乳酸還元酵素をコードする遺伝子を発現しない、または発現が低下している。いくつかの実施形態では、発現低下は、YMR226cをコードする遺伝子中の挿入、欠失、変異、および/または置換の結果である。
いくつかの実施形態では、微生物またはブタノール産生菌は、酵母細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、酵母細胞は、サッカロミセス属(Saccharomyces)、分裂酵母属(Schizosaccharomyces)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、カンジダ属(Candida)、クリベロミセス属(Kluyveromyces)、ヤロウィア属(Yarrowia)、イサタケンキア属(Issatchenkia)、およびピキア属(Pichia)からなる群から選択される酵母属のメンバーであってもよい。いくつかの実施形態では、微生物は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)であってもよい。
本発明はまた、本明細書に記載される微生物またはブタノール産生菌を含んでなる組成物を対象とする。いくつかの実施形態では、組成物はまた、富栄養培地も含んでなる。いくつかの実施形態では、組成物は、約2以下のpHを有してもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、約2〜約4のpHを有してもよい。
PNY860株の四分子切開プレートを描写する。胞子生存度は、次のとおりである:4+:0−、n=15;3+:1−、n=2;2+:2−、n=1;1+:3−、n=0;0+:4−、n=0;活力度およびコロニーサイズは、いくらか変動するが、微小コロニーはなかった。 PNY860の胞子子孫である2つの四分子からの4つのコロニーの交雑型分析からのPCR産物がある、アガロースゲルを描写する。レーン1はPNY860である。レーン2はPNY860−1Aである。レーン3はPNY860−1Bである。レーン4はPNY860−1Cである。レーン5はPNY860−1Dである。レーン6はPNY860−2Aである。レーン7はPNY860−2Bである。レーン8はPNY860−2Cである。レーン9はPNY860−2Dである。 異なるイソブタノール生合成経路を描写する。「a」、「b」、「c」、「d」、「e」、「f」、「g」、「h」、「i」、「j」、および「k」と標識されるステップは、下述の基質から産物への変換に対応する。例えば「a」は、アセト乳酸シンターゼによって触媒されてもよく;「b」は、例えばアセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼによって触媒されてもよく;「c」は、例えばアセトヒドロキシ酸デヒドラターゼによって触媒されてもよく;「d」は、例えば分枝鎖ケト酸デカルボキシラーゼによって触媒されてもよく;「e」は、例えば分枝鎖アルコールデヒドロゲナーゼによって触媒されてもよく;「f」は、例えば分枝鎖ケト酸デヒドロゲナーゼによって触媒されてもよく;「g」は、例えばアセチル化アルデヒドデヒドロゲナーゼによって触媒されてもよく;「h」は、例えばトランスアミナーゼまたはバリンデヒドロゲナーゼによって触媒されてもよく;「i」は、例えばバリンデカルボキシラーゼによって触媒されてもよく;「j」は、例えばωトランスアミナーゼによって触媒されてもよく;および「k」は、例えばイソブチリル−CoAムターゼによって触媒されてもよい。 1−ブタノール生合成経路を描写する。「a」、「b」、「c」、「d」、「e」、および「f」と標識されるステップは、下述の基質から産物への変換に対応する。例えば「a」は、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼによって触媒されてもよく;「b」は、例えば3−ヒドロキシブチリル−CoAデヒドロゲナーゼによって触媒されてもよく;「c」は、例えばクロトナーゼによって触媒されてもよく;「d」は、例えばブチリル−CoAデヒドロゲナーゼによって触媒されてもよく;「e」は、例えばブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼによって触媒されてもよく;および「f」は、例えばブタノールデヒドロゲナーゼによって触媒されてもよい。 2−ブタノールおよび2−ブタノン生合成経路を描写する。
本発明は、発酵産物を生成する微生物と、有利な経済加工条件によって高い速度および力価でブタノールなどの発酵産物を生産するための最適化とを対象とする。
アルコールの発酵生産中に、微生物を例えば、アルコール毒性、酸化的ストレス、浸透圧ストレス、およびpH、温度、および栄養素利用性のゆらぎをはじめとする、様々なストレス条件に曝露してもよい。これらのストレス条件の影響は、細胞成長の阻害および細胞生存度の低下を引き起こしてもよく、それは究極的に発酵生産性および生成物収率の低下をもたらし得る。微生物の代謝過程を調節することで、これらのストレス条件に適応する能力は、効率的なアルコール生産を維持するのに有利である。例えば特定のストレス作用物質に曝露された際、微生物は、成長、情報伝達、転写、および/または翻訳後活性などの特定の代謝過程を変更することで、これらのストレス条件に応答してもよい。
酵母中では、3’−5’環状アデノシン一リン酸(cAMP)情報伝達経路が、細胞成長と増殖、栄養素利用性への応答、細胞周期の進行、代謝および形態形成、細胞防御、およびストレス応答の主要制御因子である。通常の状態では、グルコースなどの作動薬が、Gタンパク質共役型受容体経路を介してアデニル酸シクラーゼを活性化し、cAMPのレベル増大をもたらして、それは次にタンパク質キナーゼA(PKA)を活性化し(すなわちcAMPがPKAの調節サブユニットに結合する)、例えばMsn2p/Msn4pおよびYap1pによって媒介される、ストレス応答の抑制を究極的にもたらす。ストレス条件下では、cAMPのレベルはRas/cAMP経路によって下方制御され、これらのcAMPのより低いレベルは、ストレス応答阻害からの解放をもたらす。したがって酵母の細胞ストレス耐性のためには、cAMPレベルの制御が重要である。
Ras/cAMP経路は、いくつかのストレス応答に関与し、ひいては酵母のストレス耐性の主要な決定因子である。一例として、Ras/cAMP経路は、浸透圧ストレス、高浸透圧ストレス、および凍結と解凍に対する細胞応答調節に関与する(Park,et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.327:311−319,2005)。
cAMPのレベルは、アデニル酸シクラーゼ活性を通じたその合成と、環状ヌクレオチドリン酸ジエステラーゼ(PDE)による加水分解を通じたその分解とによって調節される。2つのリン酸ジエステラーゼ、PDE1およびPDE2が、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)中で同定されている(Nikawa,et al.,Mol.Cell.Biol.7(10):3629−3636,1987)。PDE1は低親和性cAMPリン酸ジエステラーゼであり、PDE2は高親和性cAMPリン酸ジエステラーゼである。PDE1は、PKA阻害をもたらすcAMPを加水分解することで、作動薬誘導cAMPシグナル伝達の下方制御(例えば一過性の適応条件)において、役割を有することが示されている。PDE1活性は、PKA媒介リン酸化によって調節され、すなわちPKAによるPDE1のリン酸化は、リン酸ジエステラーゼの活性増大をもたらす(Ma,et al.,Mol.Biol.Cell 10:91−104,1999)。したがってPDE1妨害による、cAMPレベルとPKA活性の調節は、酵母のストレス耐性を制御する効率的な手段であり得る。
代案エネルギー源としての持続可能なバイオ燃料に対する感心の再燃と、効率的で環境に優しい生産方法の開発に対する願望があることから、発酵工程を使用したアルコール生産は、現行の合成法の実現可能な選択肢である。しかし特定収率でアルコール(例えばエタノール、ブタノール)を生成するいくつかの微生物は、低いアルコール毒性閾値もまた有する。したがってアルコールの商業的生産のための発酵工程の開発は、アルコール毒性によって制限されている。上述したように、アルコール毒性は、微生物中で、例えば細胞成長の阻害と細胞生存度の低下に至る、ストレス応答を生じ得る。
本発明は、細胞生存度の改善および/またはアルコール耐性の増大がある微生物を対象とする。いくつかの実施形態では、cAMP情報伝達経路の1つまたは複数の構成要素の発現および/または活性を変化させる、1つまたは複数の修飾を通じて、細胞生存度の改善および/またはアルコール耐性の増大を示すように、微生物を改変してもよい。いくつかの実施形態では、cAMP情報伝達経路の1つまたは複数の構成要素は、リン酸ジエステラーゼであってもよい。いくつかの実施形態では、リン酸ジエステラーゼはPDE1であってもよい。
いくつかの実施形態では、発現および/または活性を変化させる1つまたは複数の修飾は、cAMP情報伝達経路の1つまたは複数の構成要素をコードする、1つまたは複数の内在性遺伝子発現の排除または低下であってもよい。いくつかの実施形態では、発現および/または活性を変化させる修飾は、リン酸ジエステラーゼをコードする内在性遺伝子発現の排除または低下であってもよい。いくつかの実施形態では、発現および/または活性を変化させる修飾は、PDE1をコードする内在性遺伝子発現の排除または低下であってもよい。
いくつかの実施形態では、微生物は、cAMP情報伝達経路の1つまたは複数の構成要素の発現および/または活性を変化させる、1つまたは複数の修飾を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、微生物は、1つまたは複数のリン酸ジエステラーゼの発現および/または活性を変化させる1つまたは複数の修飾を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、微生物は、PDE1の発現および/または活性を変化させる1つまたは複数の修飾を含んでなってもよい。
いくつかの実施形態では、微生物は、cAMP情報伝達経路の1つまたは複数の構成要素をコードする、1つまたは複数の内在性遺伝子の発現を排除または低下させる、1つまたは複数の修飾を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、微生物は、リン酸ジエステラーゼをコードする内在性遺伝子の発現を排除または低下させる、1つまたは複数の修飾を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、微生物は、PDE1をコードする内在性遺伝子の発現を排除または低下させる、1つまたは複数の修飾を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、微生物は、リン酸ジエステラーゼの活性を排除または低下させる、1つまたは複数の修飾を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、微生物は、PDE1の活性を排除または低下させる、1つまたは複数の修飾を含んでなってもよい。
いくつかの実施形態では、微生物は、cAMP情報伝達経路およびブタノール生合成経路の1つまたは複数の構成要素の発現および/または活性を変化させる、1つまたは複数の修飾を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、微生物は、1つまたは複数のリン酸ジエステラーゼおよびブタノール生合成経路の発現および/または活性を変化させる、1つまたは複数の修飾を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、微生物は、PDE1およびブタノール生合成経路の発現および/または活性を変化させる、1つまたは複数の修飾を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、ブタノール生合成経路は、1−ブタノール生合成経路、2−ブタノール生合成経路、2−ブタノン生合成経路、またはイソブタノール生合成経路であってもよい。
いくつかの実施形態では、微生物は、cAMP情報伝達経路およびブタノール生合成経路の1つまたは複数の構成要素をコードする、1つまたは複数の内在性遺伝子の発現を排除または低下させる、1つまたは複数の修飾を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、微生物は、リン酸ジエステラーゼおよびブタノール生合成経路をコードする内在性遺伝子の発現を排除または低下させる、1つまたは複数の修飾を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、微生物は、PDE1およびブタノール生合成経路をコードする内在性遺伝子の発現を排除または低下させる、1つまたは複数の修飾を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、微生物は、リン酸ジエステラーゼおよびブタノール生合成経路の活性を排除または低下させる1つまたは複数の修飾を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、微生物は、PDE1およびブタノール生合成経路の活性を排除または低下させる1つまたは複数の修飾を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、ブタノール生合成経路は、1−ブタノール生合成経路、2−ブタノール生合成経路、2−ブタノン生合成経路、またはイソブタノール生合成経路であってもよい。
本発明は、本明細書で提供される微生物を含んでなる組成物を対象とする。例えば、いくつかの実施形態では、組成物は、cAMP情報伝達経路の1つまたは複数の構成要素の発現および/または活性を変化させる、1つまたは複数の修飾を含んでなる微生物を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、1つまたは複数のリン酸ジエステラーゼの発現および/または活性を変化させる、1つまたは複数の修飾を含んでなる微生物を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、PDE1の発現および/または活性を変化させる、1つまたは複数の修飾を含んでなる微生物を含んでなってもよい。
いくつかの実施形態では、組成物は、cAMP情報伝達経路およびブタノール生合成経路の1つまたは複数の構成要素の発現および/または活性を変化させる、1つまたは複数の修飾を含んでなる微生物を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、1つまたは複数のリン酸ジエステラーゼおよびブタノール生合成経路の発現および/または活性を変化させる、1つまたは複数の修飾を含んでなる微生物を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、PDE1およびブタノール生合成経路の発現および/または活性を変化させる、1つまたは複数の修飾を含んでなる微生物を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、ブタノール生合成経路は、1−ブタノール生合成経路、2−ブタノール生合成経路、2−ブタノン生合成経路、またはイソブタノール生合成経路であってもよい。
いくつかの実施形態では、微生物は、親細胞と比較して、アルコール生成量の増大を示す。いくつかの実施形態では、アルコール生成は、例えばブロス力価(ブロス1リットルあたりの生成アルコールグラム数)、アルコール収率(消費基質1グラムあたりの生成アルコールグラム数)、容積生産性(毎時1リットルあたりの生成アルコールグラム数)、比生産性(毎時組換え細胞バイオマス1グラムあたりの生成アルコールグラム数)、またはそれらの組み合わせを測定することで判定してもよい。
本発明はまた、アルコール発酵中の微生物の細胞成長および細胞生存度を改善および/または維持する方法も対象とする。いくつかの実施形態では、方法は、微生物(例えば親細胞)を得るステップと、cAMP情報伝達経路の1つまたは複数の構成要素の発現および/または活性を変化させる、1つまたは複数の修飾を導入するステップとを含んでなる。いくつかの実施形態では、方法は、微生物を得るステップと、cAMP情報伝達経路の1つまたは複数の構成要素をコードする、1つまたは複数の内在性遺伝子の発現を排除または低下させる、1つまたは複数の修飾を導入するステップとを含んでなる。いくつかの実施形態では、方法は、微生物を得るステップと、リン酸ジエステラーゼをコードする、1つまたは複数の内在性遺伝子の発現を排除または低下させる、1つまたは複数の修飾を導入するステップとを含んでなる。いくつかの実施形態では、方法は、微生物を得るステップと、PDE1をコードする内在性遺伝子の発現を排除または低下させる1つまたは複数の修飾を導入するステップとを含んでなる。いくつかの実施形態では、方法は、微生物を得るステップと、リン酸ジエステラーゼ活性を排除または低下させる、1つまたは複数の修飾を導入するステップとを含んでなる。いくつかの実施形態では、方法は、微生物を得るステップと、PDE1活性を排除または低下させる、1つまたは複数の修飾を導入するステップとを含んでなる。
本発明はまた、発酵工程によってアルコールを生産する方法も対象とする。いくつかの実施形態では、方法は、アルコールが生成される条件下で、本明細書で提供される微生物を培養するステップと、アルコールを回収するステップとを含んでなる。いくつかの実施形態では、アルコールは、ブタノールであってもよい。いくつかの実施形態では、アルコールは、1−ブタノール、2−ブタノール、2−ブタノン、イソブタノール、またはtert−ブタノールであってもよい。
微生物汚染が、発酵工程における問題となり得る。例えば原材料によって、発酵工程に細菌が取り込まれることもある。細菌は、酵母よりも迅速に分裂する傾向があるので、これは顕著なレベルの微生物汚染をもたらし得る。さらに、細胞再循環を用いて、発酵工程の効率を改善してもよい。例えば発酵容器(または発酵槽)内に酵母を再導入することで、所望の発酵産物の生成からそれた、細胞成長への糖類の顕著な転用なしに、発酵容器内の酵母濃度を継続的に高レベルに維持する。細胞再循環を使用して、容積変換率を増大させてもよい。発酵性糖からブタノールへの変換の容積速度の増大は、遠心分離などによって、収集発酵ブロスから酵母を継続的に分離し、次に酵母を再循環させて発酵槽に戻すことで達成し得る。しかしこのような反復する再酵母循環の結果として、細菌などの望まれない微生物もまた、酵母と共に再循環されることもある。これらの微生物汚染は、栄養素について競合し得て、栄養素の枯渇は、酵母の細胞成長を抑制することもある。さらに微生物汚染は、酵母代謝を阻害し得る。例えば微生物は、細胞生存度に悪影響を及ぼす代謝産物を生成することもあり、発酵産物の収率低下をもたらすこともある。
発酵工程における汚染の制御は、細胞懸濁液の酸洗浄によって実施してもよい。酸処理の1つの目的は、細胞生存度または発酵能力の実質的低下なしに、低pH条件に耐えられない混入微生物を破壊することである。しかしpH変化条件は、細胞成長阻害と細胞生存度低下に至るストレス応答を微生物に生じ得る。本発明は、低pH条件の存在下において改善された細胞生存度がある微生物、ならびに発酵工程によるアルコールを生産する方法を対象とし、方法は、微生物を再循環するステップと、微生物懸濁液酸洗浄するステップとを含む。例えば方法は、(a)微生物を提供するステップと;(b)アルコールが生成される条件下で、微生物を1つまたは数複の炭素基質と接触させるステップと;(c)微生物を収集するステップと;(d)アルコールを回収するステップと;(e)アルコールが生成される条件下で、収集された微生物を1つまたは数複の炭素基質と接触させるステップと;(f)微生物を低pH条件に曝露するステップとを含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、ステップ(c)〜(e)を繰り返してもよい。
酸処理および/または細胞循環に曝露された微生物は、細胞生存度および生産性の喪失を有することもある。微生物の細胞生存度および生産性を維持するために、富栄養培地を添加して、微生物を富栄養培地中で一定期間培養することで、微生物を再生してもよい。再生期後、微生物を遠心分離によって収集し、継続的な発酵のために、新鮮な生産培地に再懸濁してもよい。
本発明はまた、アルコール発酵で利用するための微生物を再生する方法を対象とする。再生に続いて、微生物を発酵工程に再循環させてもよい。いくつかの実施形態では、方法は、(a)微生物を提供するステップと;(b)アルコールが生成される条件下で、微生物を1つまたは数複の炭素基質と接触させるステップと;(c)微生物を収集するステップと;(d)アルコールを回収するステップと;(e)微生物を富栄養培地と接触させるステップと;(f)ステップ(e)からの微生物を収集するステップと;(b)アルコールが生成される条件下で、微生物を1つまたは数複の炭素基質と接触させるステップとを含んでなる。いくつかの実施形態では、ステップ(c)〜(e)を繰り返してもよい。いくつかの実施形態では、炭素基質との第1の接触は、抽出剤の存在下で行われる。いくつかの実施形態では、抽出剤は、例えばステップ(b)および(g)に含まれてもよい。
いくつかの実施形態では、方法は、(a)微生物を提供するステップと;(b)アルコールが生成される条件下で、微生物を1つまたは数複の炭素基質と接触させるステップと;(c)微生物を収集するステップと;(d)収集された微生物を低pH条件に曝露するステップと;(e)ステップ(d)の微生物を収集するステップと;(f)ステップ(e)の微生物を富栄養培地と接触させるステップと;(g)ステップ(f)の微生物を収集するステップと;(h)アルコールが生成される条件下で、ステップ(g)の微生物を1つまたは複数の炭素基質と接触させるステップとを含んでなる。いくつかの実施形態では、ステップ(c)〜(h)を繰り返してもよい。いくつかの実施形態では、方法は、アルコールを回収するステップをさらに含んでなる。いくつかの実施形態では、炭素基質との第1の接触は、抽出剤の存在下で行われる。
特に断りのない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合は、定義を含めて本出願が優先される。また文脈上異なる解釈を要する場合を除き、単数形の用語には複数形が含まれるものとし、複数形の用語には単数形が含まれるものとする。本明細書で参照される全ての刊行物、特許、およびその他の参考文献は、あらゆる目的のために、その内容全体を参照によって援用する。
本発明をさらに定義するために、以下の用語および定義が、本明細書で提供される。
本明細書の用法では、「含んでなる(comprises)」、「含んでなる(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含有する(contains)」または「含有する(containing)」という用語、または任意のその他のバリエーションは、記述される整数または整数群の包含を暗示するが、任意のその他の整数または整数群の排除を暗示しないものと理解される。例えば要素の一覧を含んでなる組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置は、これらの構成要件のみに必ずしも限定されず、明示的に列挙されることもこのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置に固有でもないその他の要素を含んでもよい。さらに特に断りのない限り、「or」は排他的orでなく包括的orを指す。例えば条件AまたはBは、以下のいずれかによって満たされる:Aが真で(または存在し)Bが偽であり(または存在せず)、Aが偽で(または存在せず)Bが真であり(または存在する)、AおよびBの双方が真である(または存在する)。
本明細書の用法では、「からなる(consists of)」という用語、または「からなる(consist of)」または「からなる(consisting of)」などのバリエーションは、明細書および特許請求の範囲全体を通じた用法で、あらゆる列挙された整数または整数群の包含を示唆するが、追加的な整数また整数群は、特定の方法、構造、または組成物に追加できない。
本明細書の用法では、「から本質的になる(consists essentially of)」という用語、または「から本質的になる」または「から本質的になる」などのバリエーションは、明細書および特許請求の範囲全体を通じた用法で、あらゆる列挙された整数または整数群の包含と、特定の方法の基本的または新規特性、構造、または組成物を実質的に変化させない、あらゆる列挙された整数または整数群の包含を示唆する(例えばM.P.E.P.§2111.03を参照されたい)。
さらに本発明の構成要件または構成要素に先行する不定冠詞「a」および「an」は、構成要件または構成要素の事例数(すなわち発生)に関して非制限的であることが意図される。したがって「a」または「an」は、1つまたは少なくとも1つを含むものと解釈すべきであり、構成要件または構成要素の単数語形は、数が単数であることを明らかに意味する場合を除いて、複数もまた含む。
「発明」または「本発明」という用語は、本明細書の用法では非限定的用語であり、特定の発明のいずれかの単一実施形態を指すことは意図されず、本出願に記載される全ての可能な実施形態を包含する。
本明細書の用法では、本発明で用いられる成分または反応物質の量を修飾する「約」という用語は、例えば実際の濃縮物または調製溶液の作成で使用される、典型的な測定および液体取り扱い手順を通じて;これらの手順における不注意による誤りを通じて;組成物作成または方法実施で用いられる成分の、生産、供給元または純度の差異などを通じて、生じ得る数量の変動を指す。「約」という用語はまた、特定の最初の混合物から生じる組成物の異なる平衡条件のために、異なる量も包含する。「約」という用語によって修飾されるか否かを問わず、特許請求の範囲には量の同等物が含まれる。一実施形態では、「約」という用語は、報告される数値の10%以内、好ましくは報告される数値の5%以内を意味する。
場合によっては、「バイオマス」は、本明細書の用法では、典型的に単位g/L乾燥細胞重量(dcw)で提供される、発酵産物産生微生物の細胞バイオマスを指す。
「発酵産物」という用語は、エタノールおよびブタノールなどのアルコール(例えば低級アルキルアルコール)、乳酸、3−ヒドロキシ−プロピオン酸、アクリル酸、酢酸、コハク酸、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、イタコン酸、1,3−プロパン−ジオール、エチレン、グリセロール、イソブチレートなどをはじめとするが、これに限定されるものではない、あらゆる所望の対象産物を含む。
「アルコール」という用語は、発酵工程において微生物によって生成され得る、あらゆるアルコールを指す。アルコールとしては、1〜10個の炭素原子がある、あらゆる直鎖または分枝の飽和または不飽和アルコール分子(例えば低級アルキルアルコール)が挙げられる。例えばアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、およびヘキサノールが挙げられる。
「ブタノール」という用語は、1−ブタノール、2−ブタノール、2−ブタノン、イソブタノール、tert−ブタノール、またはそれらの混合物を指す。イソブタノールはまた、2−メチル−1−プロパノールとしても知られている。
「ブタノール生合成経路」という用語は、本明細書の用法では、1−ブタノール、2−ブタノール、2−ブタノン、またはイソブタノールを生成する酵素経路を指す。例えばイソブタノール生合成経路は、参照によって本明細書に援用する、米国特許出願公開第2007/0092957号明細書で開示される。
「イソブタノール生合成経路」という用語は、イソブタノールを生成する酵素経路を指す。時折「イソブタノール生合成経路」は、「イソブタノール生成経路」の同意語として使用される。
「1−ブタノール生合成経路」という用語は、本明細書の用法では、1−ブタノールを生成するための酵素経路を指す。
「2−ブタノール生合成経路」という用語は、本明細書の用法では、2−ブタノールを生成するための酵素経路を指す。
「2−ブタノン生合成経路」という用語は、本明細書の用法では、2−ブタノンを生成するための酵素経路を指す。
「抽出剤」という用語は、本明細書の用法では、発酵ブロスからアルコールを抽出するのに使用してもよい、1つまたは複数の溶媒を指す。いくつかの実施形態では、溶媒は有機溶剤であってもよい。
「組換え宿主細胞」は、遺伝子操作されて生合成経路を発現する宿主細胞と定義され、宿主細胞は、未改変宿主細胞と比較してより多量の生合成産物を生成し、あるいは未改変宿主細胞によって通常生成されない生合成産物を生成する。「組換え微生物宿主細胞」という用語は、組換え宿主細胞という用語と区別なく使用されることもある。
「発酵性炭素基質」という用語は、本明細書で開示されるものなどの、微生物によって代謝されることができる炭素源を指す。適切な発酵性炭素基質としては、グルコースまたはフルクトースなどの単糖類;乳糖またはスクロースなどの二糖類;オリゴ糖類;デンプン、セルロース、リグノセルロース、またはヘミセルロースなどの多糖類;1炭素基質、脂肪酸;またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これに限定されるものではない。
「リン酸ジエステラーゼ」という用語は、リン酸ジエステル結合の加水分解を触媒する酵素活性を有する、ポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。例えば、リン酸ジエステラーゼは、環状ヌクレオチド、3’−5’−環状アデノシン一リン酸(cAMP)および3’−5’−環状グアノシン一リン酸(cGMP)を加水分解する。酵素はEC 3.1.4.17として知られており、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(GenBank番号:CAA64139、CAA96968)、サッカロミセス・パラドクサス(Saccharomyces paradoxus)(GenBank番号AABY01000014)、サッカロミセス・ミカタエ(Saccharomyces mikatae)(AABZ01000018、AACH01000636)、サッカロミセス・クドリアブゼビイ(Saccharomyces kudriavzevii)(Saccharomyces kurdriavzevii)(AACI02000304)、サッカロミセス・バヤヌス(Saccharomyces bayanus)(AACA01000014)、バンデルワルトジマ・ポリスポラ(Vanderwaltozyma polyspora)(XM001642700、AAXN01000222、NZ_AAZN01000222)、チゴサッカロミセス・ルーキシ(Zygosaccharomyces rouxii)(NC012994)から入手できる。
「発酵培地」と言う用語は、本明細書の用法では、水、糖類(発酵性炭素基質)、溶解固形分、遊離固形分、発酵産物を生成する微生物、発酵産物、および発酵容器内に保持される材料の全てのその他の構成物のいずれかの混合物を意味し、発酵容器内では、存在する微生物によって、発酵性炭素基質から発酵産物、水、および二酸化炭素(CO)への反応によって、発酵産物が生成される。時折、本明細書の用法では、「発酵ブロス」および「発酵混合物」という用語は、「発酵培地」の同意語として使用され得る。
「好気的条件」という用語は、本明細書の用法では、酸素存在下の成長条件を意味する。
「微好気的条件」という用語は、本明細書の用法では、低い溶存酸素レベルの成長条件を意味する例えば酸素レベルは、空気飽和の約1%未満であってもよい。
「嫌気的条件」という用語は、本明細書の用法では、酸素不在下の成長条件を意味する。多数の発酵工程では、工程開始時には初期酸素量が存在するが、このような酸素は、工程の大部分が検出可能な酸素不在下で起こるように、発酵過程中に枯渇するものと理解される。
「炭素基質」という用語は、本明細書で開示される微生物によって代謝されることができる炭素源を指す。炭素基質の非限定的例は、本明細書で提供され、単糖類、オリゴ糖類、多糖類、エタノール、乳酸、コハク酸、グリセロール、二酸化炭素、メタノール、グルコース、フルクトース、スクロース、キシロース、アラビノース、デキストロース、およびそれらの混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
「ブタノール産生菌」および「イソブタノール産生菌」という用語は、本明細書の用法では、それぞれブタノールまたはイソブタノールを生成できる微生物を指す。
「スクロース利用イソブタノール産生菌」という用語は、明細書の用法では、スクロースからイソブタノールを生成できる微生物を指す。このような微生物は、典型的に、改変イソブタノール生合成経路を含んでなる組換え微生物である。
本明細書の用法では、「収率」という用語は、g/gでの炭素源あたりの生成物量を指す。収率は、グルコースを炭素源として、例示されてもよい。特に断りのない限り、収率は、理論的収率の百分率として表されるものと理解される微生物または代謝経路に関して、「理論的収率」は、生成物を生成するのに使用される代謝経路の化学量によって決まる、総基質量あたりで生じ得る最大生成物量と定義される。例えばグルコースからイソプロパノールへの典型的な変換の理論的収率は、0.33g/gである。したがって29.7g/gのグルコースからのイソプロパノールの収率は、理論値の90%または理論的収率の90%として表される。本開示では、収率はグルコースを炭素源として例示される一方で、本発明はその他の炭素源に応用し得て、使用される炭素源に応じて収率が変動してもよいものと理解される。当業者は、様々な炭素源について収率を計算し得る。
「有効力価」という用語は、本明細書の用法では、発酵培地1リットルあたりの発酵によって生成されるアルコールの総量を指す。アルコールの総量は、(i)発酵培地中のアルコールの量;(ii)有機抽出剤から回収されるアルコールの量;および(iii)ガスストリッピングが使用される場合は、気相から回収されるアルコールの量を含む。
「有効速度」という用語は、本明細書の用法では、発酵1時間あたり発酵培地1リットルあたりの発酵によって生成されるアルコールの総量を指す。
「有効収率」という用語は、本明細書の用法では、本明細書に記載される微生物によって消費される発酵性炭素基質の単位当たりで生成されるアルコールの量を指す。
「比生産性」という用語は、本明細書の用法では、単位時間当たり細胞の1gの乾燥細胞重量あたりで生成されるアルコールのg数を指す。
「誘導体」および「類似体」という用語は、本発明の酵素と異なるが、その不可欠な特性を保つポリペプチドを指す。「誘導体」という用語は、また、本発明の宿主細胞と異なるが、その不可欠な特性を保つ宿主細胞を指してもよい。一般に、誘導体および類似体は、全体的に非常に類似し、多くの領域では、本発明の酵素と同一である。「由来する」、「誘導体」、および「類似体」という用語は、本発明の酵素に言及する場合、対応する天然ポリペプチドの活性またはその触媒ドメインの活性の少なくとも一部を維持する、あらゆるポリペプチドを含む。
本明細書で開示される酵素の誘導体は、天然ポリペプチドには見られない特徴を示すように、改変されていてもよいポリペプチドである。誘導体は、化学的に、酵素的に、またはその他の適切な手段によって、天然アミノ酸以外の部分(例えば酵素または放射性同位体などの検出可能な部分)との置換(例えばアミノ酸置換)によって、共有結合的に修飾され得る。誘導体の例としては、天然タンパク質配列ベースであるが改変されている、融合タンパク質、またはタンパク質が挙げられる。例えばタンパク質は、特定のアミノ酸配列、および/または特定の二次、三次、および/または四次構造の知識によってデザインし得る。誘導体は、天然または合成である先の配列の知識に基づいて改変されたタンパク質を含み、次にそれを必須ではないが往々にして任意選択的に修飾して、いくつかの改善された機能を与える。次にこれらの配列またはタンパク質は、特定のタンパク質またはアミノ酸配列に由来すると言われる。本発明のいくつかの実施形態では、誘導体は、誘導体が「由来する」配列と、少なくとも約50%の同一性、少なくとも約60%の同一性、少なくとも約70%の同一性、少なくとも約80%の同一性、少なくとも約90%の同一性、少なくとも約95%の同一性、少なくとも約97%の同一性、または少なくとも約99%の同一性を維持してもよい。本発明のいくつかの実施形態では、分子遺伝子技術を使用して、酵素の一部または全部のDNA配列を増幅して新しい宿主細胞に入れた場合、酵素は、特定種に天然に見られる酵素に由来すると言われる。
ポリペプチドおよびポリヌクレオチド
本明細書の用法では、「ポリペプチド」という用語は、単数形「ポリペプチド」ならびに複数形「ポリペプチド」を包含することが意図され、アミド結合(ペプチド結合としてもまた知られている)によって直線的に連結するモノマー(アミノ酸)から構成される分子を指す。「ポリペプチド」という用語は、2つ以上のアミノ酸のあらゆる鎖または鎖群を指し、生成物の特定長を指さない。したがって2つ以上のアミノ酸の鎖または鎖群を指すために使用されるペプチド、ジペプチド、トリペプチド、オリゴペプチド、「タンパク質」、「アミノ酸鎖」、またはあらゆるその他の用語は、「ポリペプチド」の定義内に含まれ、「ポリペプチド」という用語は、これらの用語のいずれかの代わりに、またはそれと同義的に使用されてもよい。ポリペプチドは、天然生物学的起源に由来してもよく、または組換え技術によって作成されてもよいが、必ずしも指定された核酸配列から翻訳されない。それは化学合成をはじめとする、あらゆる様式で作成されてもよい。本発明で使用されるポリペプチドは、完全長ポリペプチドおよびその断片を含んでなる。
本明細書の用法では、「活性低下」または「発現低下」は、活性または発現低下をもたらす変化に先だつ、同一ポリペプチドの生物学的活性または発現と比較した場合の、既知の生物学的活性またはポリペプチド発現のあらゆる測定可能な低下を指す。このような変化としては、本明細書に記載されるようなポリペプチドの、またはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの修飾が挙げられる。本明細書で開示される活性またはポリペプチド発現の低下は、当該技術分野で周知の、本明細書で開示される方法によって判定し得る。
本明細書の用法では、「活性排除」または「発現排除」は、活性または発現の排除をもたらす変化に先だつ、同一ポリペプチドの生物学的活性または発現と比較した場合の、既知の生物学的活性またはポリペプチド発現の撤廃を指す。このような変化としては、本明細書に記載されるようなポリペプチドの、またはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの修飾が挙げられる。活性または発現の排除は、活性または発現の排除をもたらす変化に先だつ、同一ポリペプチドの生物学的活性または発現と比較した場合の、測定可能でない生物学的活性またはポリペプチド発現を含む。本明細書で開示される活性またはポリペプチド発現の排除は、当該技術分野で周知の、本明細書で開示される方法によって判定し得る。
本明細書の用法では、「活性増大」または「発現増大」は、活性または発現低下をもたらす変化に先だつ、同一ポリペプチドの生物学的活性または発現と比較した場合の、既知の生物学的活性またはポリペプチド発現のあらゆる測定可能な増大を指す。このような変化としては、本明細書に記載されるようなポリペプチドの、またはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの修飾が挙げられる。本明細書で開示される活性またはポリペプチド発現の増大は、当該技術分野で周知の、本明細書で開示される方法によって判定し得る。
「単離」ポリペプチドまたはその断片、変種、または誘導体とは、その天然環境にないポリペプチドが意図される。特定レベルの精製は、必要ない。例えば単離ポリペプチドは、その固有のまたは天然環境から取り出され得る。宿主細胞中で発現される、組換え的に生成されたポリペプチドおよびタンパク質は、本発明の目的で単離されていると見なされ、任意の適切な技術によって分離、分画、または部分的または実質的に精製された天然または組換えポリペプチドについても同様である。
本発明のポリペプチドは、約10、20、25、50、75、100、200、500、1,000、2,000、またはそれを上回るアミノ酸のサイズであってもよい。ポリペプチドは、規定の三次元構造を有してもよいが、それらは必ずしもこのような構造を有しない。規定の三次元構造があるポリペプチドは折り畳まれたと称され、規定の三次元構造を持たず、むしろ多数の異なる立体構造を取り得るポリペプチドは、折り畳まれていないと称される。
前述のポリペプチド誘導体、類似体、または変異体、およびそれらのあらゆる組み合わせもまた、本発明のポリペプチドに含まれる。「活性変異体」、「活性断片」、「積極的誘導体」、および「類似体」という用語は、本発明のポリペプチドを指す。本発明のポリペプチドの変異体としては、アミノ酸置換、欠失、および/または挿入が原因で改変されたアミノ酸配列がある、ポリペプチドが挙げられる。変異体は、天然または非天然であってもよい。非天然変異体は、技術分野で既知の変異誘発技術を使用して、作り出されてもよい。変種ポリペプチドは、保存的または非保存的アミノ酸置換、欠失および/または付加を含んでなってもよい。本発明のポリペプチドの誘導体は、天然ポリペプチドには見られない、追加的な特性を示すように改変されているポリペプチドであってもよい。例としては、融合タンパク質が挙げられる。変種ポリペプチドはまた、本明細書で「ポリペプチド類似体」と称されてもよい。本明細書の用法では、ポリペプチドの「誘導体」は、機能性側鎖基の反応によって化学的に誘導体化された、1つまたは複数の残基を有する対象ポリペプチドを指す。「誘導体」には、20個の標準アミノ酸の天然アミノ酸誘導体の1つまたは複数を含有するペプチドもまた含まれる。例えば、プロリンを4−ヒドロキシプロリンで置換してもよく;リジンを5−ヒドロキシリジンで置換してもよく;ヒスチジンを3−メチルヒスチジンで置換してもよく;セリンをホモセリンで置換してもよく;リジンをオルニチンで置換してもよい。
「断片」は、親完全長配列と配列は同一であるが、長さがより短い、本発明で使用されるポリペプチドまたは他の酵素のユニークな部分である。断片は、最高で、アミノ酸残基を1個除いた、規定配列の全長を含んでなってもよい。例えば、断片は、約5〜約1000個の連続アミノ酸残基を含んでなってもよい。断片は、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも75、少なくとも100、少なくとも150、少なくとも250または少なくとも500個の連続アミノ酸残基長であってもよい。断片は、分子の特定領域から優先的に選択されてもよい。例えばポリペプチド断片は、一定の規定配列に示されるように、ポリペプチドの最初の100または200個のアミノ酸から選択される、一定長さの連続アミノ酸を含んでなってもよい。明らかにこれらの長さは例示的であり、配列表、表、および数値をはじめとする規格によって支持される任意選択の長さが、本実施形態に包含されてもよい。
代案としては、遺伝コード中の「重複」を利用することで、これらの同一または類似ポリペプチドをコードする組換え変異体を合成し、または選択してもよい。様々な制限酵素認識部位を生じるサイレント変化などの様々なコドン置換を導入して、プラスミドまたはウイルスベクターへのクローニング、または宿主細胞系内での発現を最適化してもよい。
アミノ酸「置換」は、1つのアミノ酸を、同様の構造および/または化学的特性を有する別のアミノ酸で置換する、すなわち保存的アミノ酸置換の結果であってもよく、またはそれらは、1つのアミノ酸を、異なる構造および/または化学的特性を有する別のアミノ酸で置換する、すなわち非保存的アミノ酸置換の結果であり得る。「保存的」アミノ酸置換は、関与する残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、および/または両親媒性の類似性に基づいて実施してもよい。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸としては、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニンが挙げられ;極性中性アミノ酸としては、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンが挙げられ;正に帯電した(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、リジン、およびヒスチジンが挙げられ;負に帯電した(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる。代案としては、これらのいずれかのアミノ酸の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、または両親媒性の相違を選択することで、「非保存的」アミノ酸置換を実施し得る。「挿入」または「欠失」は、約1〜約20個のアミノ酸、より好ましくは約1〜約10個のアミノ酸の範囲であってもよい。許容される変動は、組換えDNA技術を使用して、ポリペプチド分子中に体系的に、アミノ酸の挿入、欠失、または置換を施し、得られた組換え変異体を活性についてアッセイすることで、実験的に判定してもよい。
本明細書の用法では、(ポリペプチドに関する)「変異体」という用語は、例えば変異誘発などの組換えDNA技術を使用して作成された、アミノ酸挿入、欠失、変異、および置換によって、具体的に列挙された本発明のポリペプチドと異なるポリペプチドを指す。対象活性を消滅させることなく、どのアミノ酸残基を置換、付加、または欠失させてもよいかを判断する指標は、特定のポリペプチドの配列を例えば酵母または細菌の相同的なポリペプチドと比較して、高相同性領域(保存領域)に起こるアミノ酸配列変化の数を最小化することで、またはアミノ酸をコンセンサス配列で置換することで、見出してもよい。
例えば本発明のクエリーのアミノ酸配列と、少なくとも95%「同一」のアミノ酸またはポリペプチド配列を有するポリペプチドとは、対象ポリペプチド配列が、クエリーアミノ酸配列の各個の100アミノ酸あたり最高5つのアミノ酸改変を含んでもよいこと以外は、対象ポリペプチドのアミノ酸配列がクエリー配列と同一であることが意図される。換言すれば、クエリーアミノ酸配列と、少なくとも95%同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドを得るには、対象配列中の最高5%のアミノ酸残基が挿入され、欠失し、または別のアミノ酸で置換されてもよい。参照配列のこれらの改変は、参照アミノ酸配列のアミノまたはカルボキシ末端位置で、またはこれらの末端位置間のどこかで起きてもよく、参照配列内の残基間に個々に、または参照配列内の1つまたは複数の連続基として散在する。
実際に、任意の特定のポリペプチドが、参照ポリペプチドと、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるかどうかは、既知のコンピュータプログラムを使用して慣習的に判定し得る。大域的配列アラインメントとも称される、クエリー配列(例えば本発明の配列)と対象配列間の最良の全体的一致を判定する好ましい方法は、Brutlag,et al.(Comp.Appl.Biosci.6:237−245,1990)のアルゴリズムに基づくFASTDBコンピュータプログラムを使用して判定されてもよい。配列アラインメントにおいては、クエリーおよび対象配列は、どちらもヌクレオチド配列またはどちらもアミノ酸配列のいずれかである。前記大域的配列アラインメントの結果が、%同一性である。FASTDBアミノ酸アラインメントで使用される、好ましいパラメータは、Matrix=PAM0、k−tuple=2、Mismatch Penalty=1、Joining Penalty=20、Randomization Group Length=0、Cutoff Score=1、Window Size=sequence length、Gap Penalty=5、Gap Size Penalty−0.05、Window Size=500または対象アミノ酸配列の長さのどちらか短い方である。
内部欠失のためではなくNまたはC末端欠失のために、被験配列がクエリー配列より短い場合、結果に手動補正を施すべきである。これは、FASTDBプログラムが%同一性を計算する際に、被験配列のNおよびC末端トランケーションを考慮しないためである。クエリー配列との比較で、NおよびC末端トランケート型の対象配列では、%同一性は、対象配列のNおよびC末端であって対応する対象残基と整合/整列しない、クエリー配列の残基数を、クエリー配列の全塩基の百分率として計算することで、補正される。残基が整合/整列するかどうかは、FASTDB配列アラインメントの結果によって判定される。次に、規定のパラメータを使用して上のFASTDBプログラムによって計算された%同一性から、この百分率を差し引き、最終%同一性スコアを得る。本発明の目的で使用されるのは、この最終%同一性スコアである。クエリー配列と整合/整列しない、対象配列のNおよびC末端残基のみが、%同一性スコアを手動調節する目的で考慮される。すなわち、対象配列の最も遠いNおよびC末端残基の外には、クエリー残基のみが位置する。
例えば90個のアミノ酸残基の対象配列を100個の残基のクエリー配列と整列して、%同一性を判定する。欠失は、対象配列のN末端で起こり、したがってFASTDBアラインメントは、N末端の最初の10個の残基の整合/整列を示さない。10個の不対残基は、配列の10%(NおよびC末端の不整合残基数/クエリー配列中の残基総数)に相当するので、FASTDBプログラムによって計算される%同一性スコアから10%が差し引かれる。残りの90個の残基が完全に整合するならば、最終%同一性は90%になる。別の例では、90個の残基の対象配列を100個の残基のクエリー配列と比較する。この例では、欠失は内部欠失であるので、クエリーと整合/整列しない残基は、対象配列のNまたはC末端にはない。この場合、FASTDBによって計算される%同一性は、手動補正されない。再度、FASTDBアラインメントで示される、対象配列のNおよびC末端外に位置して、クエリー配列と整合/整列しない残基のみが、手動補正される。本発明の目的では、その他の手動補正は行われない。
本発明で使用するのに適したポリペプチドおよびその他の酵素、およびそれらの断片は、ポリヌクレオチドによってコードされる。「ポリヌクレオチド」という用語は、単数の核酸ならびに複数の核酸を包含することが意図され、例えばメッセンジャーRNA(mRNA)、ウイルス由来RNA、またはプラスミドDNA(pDNA)などの単離核酸分子またはコンストラクトを指す。ポリヌクレオチドは、従来型リン酸ジエステル結合または非従来型結合(例えばペプチド核酸(PNA)などに見られるアミド結合)を含んでなってもよい。ポリヌクレオチドは、完全長cDNA配列のヌクレオチド配列、または非翻訳5’および3’配列およびコード配列をはじめとするその断片を含有してもよい。ポリヌクレオチドは、未修飾RNAまたはDNAまたは修飾RNAまたはDNAであってもよい、あらゆるポリリボヌクレオチドまたはポリデオキシリボヌクレオチドから構成され得る。例えばポリヌクレオチドは、一本鎖および二本鎖DNA;一本鎖および二本鎖領域の混合物であるDNA;一本鎖および二本鎖RNA;および一本鎖および二本鎖領域の混合物であるRNA;一本鎖またはより典型的には二本鎖、または一本鎖および二本鎖領域の混合物であってもよい、DNAとRNAを含んでなる、ハイブリッド分子から構成されてもよい。「ポリヌクレオチド」は、化学的、酵素的、または代謝的修飾形態を包含する。
「核酸」という用語は、例えば、ポリヌクレオチド中に存在する、DNAまたはRNA断片などの任意選択の1つまたは複数の核酸断片を指す。本発明によるポリヌクレオチドは、さらに合成的に生成された分子を含む。本発明のポリヌクレオチドは、宿主細胞に天然であっても、または異種であってもよい。さらに、ポリヌクレオチドまたは核酸は、プロモーター、リボソーム結合部位、または転写ターミネーターなどの調節因子であってもよく、またはそれを含んでもよい。
特定の実施形態では、ポリヌクレオチドまたは核酸はDNAである。DNAの場合、常態ではポリペプチドをコードする核酸を含んでなるポリヌクレオチドは、1つまたは複数のコード領域と作動可能に結合する、プロモーターおよび/またはその他の転写または翻訳制御要素を含んでもよい。作動可能な結合では、遺伝子産物発現が制御配列の影響または制御下に置かれるように、例えばポリペプチドである遺伝子産物のコード領域が、1つまたは複数の制御配列と結合する。(ポリペプチドコード領域とそれに結合するプロモーターなどの)2つのDNA断片は、プロモーター機能の誘発が所望の遺伝子産物をコードするmRNAの転写をもたらし、2つのDNA断片間の結合の性質が、遺伝子産物発現を誘導する発現制御配列の能力に干渉しない、またはDNAテンプレートが転写される能力に干渉しなければ、「作動的に結合する」。したがってプロモーターが核酸の転写をもたらすことができれば、プロモーター領域は、ポリペプチドをコードする核酸と作動可能に結合する。プロモーターに加えて、例えばエンハンサー、オペレーター、抑制因子、および転写終結シグナルなどのその他の転写制御要素が、ポリヌクレオチドと作動可能に結合し得る。適切なプロモーターおよびその他の転写制御領域は、本明細書に記載され、当該技術分野で周知である。
ポリヌクレオチド配列は「単離された」と称し得て、それはその天然環境から取り出されている。例えば、酵素活性(例えば基質をキシルロースに変換する能力)を有するポリペプチドまたはポリペプチド断片をコードして、ベクター中に含有される異種ポリヌクレオチドは、本発明の目的では、単離されていると見なされる。単離ポリヌクレオチドのさらなる例としては、異種宿主細胞中で維持される組換えポリヌクレオチド、または溶液中の(部分的または実質的)精製ポリヌクレオチドが挙げられる。本発明に従った単離ポリヌクレオチドまたは核酸としては、合成的に生成された分子がさらに挙げられる。DNAポリマーの形態の単離ポリヌクレオチド断片は、cDNA、ゲノムDNAまたは合成DNAの1つまたは複数の部分を含んでなってもよい。
「遺伝子」という用語は、特定のタンパク質として発現されることができ、任意選択的に、コード配列に先行する(5’非コード配列)および後続する(3’非コード配列)制御配列を含む、核酸断片を指す。
本明細書の用法では、「コード領域」または「ORF」は、アミノ酸に翻訳されるコドンからなる、核酸の部分である。「停止コドン」(TAG、TGA、またはTAA)はアミノ酸に翻訳されないが、コード領域が存在する場合、その一部と見なされてもよいが、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロン、5’および3’非翻訳領域などのあらゆる側面に位置する配列などは、コード領域の一部でない。「適切な制御配列」は、コード配列の上流(5’非コード配列)、配列中、または下流(3’非コード配列)に位置して、転写、RNAプロセシングまたは安定性、または結合コード配列の翻訳に影響を及ぼす、ヌクレオチド配列を指す。制御配列は、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位、およびステムループ構造を含んでもよい。
多様な翻訳制御要素が、当業者に知られている。これらとしては、リボソーム結合部位、翻訳開始および終止コドン、およびウイルス系由来要素(特に配列内リボソーム進入部位、またはIRES)が挙げられるが、これに限定されるものではない。別の実施形態では、本発明のポリヌクレオチドは、例えばメッセンジャーRNA(mRNA)の形態のRNAである。本発明のRNAは、一本鎖または二本鎖であってもよい。
本発明のポリヌクレオチドおよび核酸コード領域は、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド分泌を誘導する、分泌型またはシグナルペプチドをコードする、追加的なコード領域と結合していてもよい。
ここでの用法では「形質転換」は、遺伝的に安定した遺伝形質をもたらす、宿主生物のゲノムへの核酸断片の転移を指す。形質転換された核酸断片を含有する宿主生物は、「組換え」または「形質転換」生物と称される。
「発現」と言う用語は、ここでの用法では、発明の核酸断片から誘導されるセンス(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写および安定した蓄積を指す。発現はまた、mRNAのポリペプチドへの翻訳を指してもよい。
「過剰発現」という用語は、本明細書の用法では、宿主細胞中の核酸またはタンパク質レベルの増大を指す。したがって過剰発現は、宿主細胞中の内在性配列の転写または翻訳レベルの増大に起因し得て、または宿主細胞中への異種配列導入に起因し得る。過剰発現はまた、核酸またはタンパク質配列の安定性の増大に起因し得る。
「プラスミド」、「ベクター」および「カセット」という用語は、細胞の中央代謝の一部ではない遺伝子を保有することが多く、通常は環状二本鎖DNA断片の形態である染色体外要素を指す。このような要素は、あらゆる起源に由来する、一本鎖または二本鎖DNAまたはRNAの、直鎖または環状の、自己複製配列、ゲノム一体化配列、ファージまたはヌクレオチド配列であってもよく、その中では、いくつかのヌクレオチド配列が独自構造に連結されまたは組換えされており、それは適切な3’非翻訳配列と共に、選択された遺伝子産物のためのプロモーター断片およびDNA配列を細胞に導入できる。「形質転換カセット」は、外来遺伝子を含み、外来遺伝子に加えて特定の宿主細胞の形質転換を促進する要素を有する、特定のベクターを指す。「発現カセット」は、外来遺伝子を含み、遺伝子に加えて、その外来遺伝子の外来宿主における増大された発現を可能にする要素を有する、特定のベクターを指す。
「人工」という用語は、例えば化学合成オリゴヌクレオチドなどの、合成、または非宿主細胞由来の組成物を指す。
「天然」という用語は、存在する場合、それ自身の制御配列と共に、天然に見られるポリヌクレオチド、遺伝子、またはポリペプチドの形態を指す。
「内在性」という用語は、ポリヌクレオチド、遺伝子、またはポリペプチドに関して使用される場合、生物のゲノム中のその自然な位置にある、または天然ポリペプチドでは、ゲノム中のこの位置から転写および翻訳される、天然ポリヌクレオチドまたは遺伝子を指す。
「異種」という用語は、ポリヌクレオチド、遺伝子、またはポリペプチドに関して使用される場合、常態では宿主生物に見られない、ポリヌクレオチド、遺伝子、またはポリペプチドを指す。「異種ポリヌクレオチド」は、対応する天然ポリヌクレオチドと異なる形態で、生物源に再導入された未変性コーディング領域、またはその一部を含む。「異種遺伝子」は、例えば生物のゲノム中のその自然な位置でない、対応する天然遺伝子と異なる形態で、起源生物に再導入された天然コード領域、またはその一部を含む。例えば異種遺伝子としては、天然宿主に再導入された非天然調節領域をはじめとする、キメラ遺伝子の一部である未変性コーディング領域が挙げられる。「導入遺伝子」は、形質転換手順によってゲノムに導入された遺伝子である。「異種ポリペプチド」は、対応する天然ポリペプチドと異なる形態で、生物源に再導入された天然ポリペプチドを含む。異種ポリヌクレオチドまたは遺伝子は、例えば遺伝子移入によって宿主生物に導入されてもよい。
本明細書の用法では、「修飾」という用語は、ポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドの活性変化をもたらす、本明細書で開示されるポリヌクレオチドの変化、ならびにポリペプチドの活性変化をもたらす、本明細書で開示されるポリペプチドの変化を指す。このような変化は、欠失、変異(例えば突然変異誘発、ランダム変異誘発、ミューテーター遺伝子によって引き起こされる変異誘発、またはトランスポゾン変異誘発)、置換、挿入、細胞内所在変化、ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの状態変更(例えばメチル化、リン酸化、またはユビキチン化)、補助因子除去、化学修飾、共有結合修飾、UVまたはX線照射、相同組換え、有糸分裂組換え、プロモーター置換法、および/またはそれらの組み合わせをはじめとするが、これに限定されるものではない、当該技術分野で周知の方法によって作成し得る。どのヌクレオチドまたはアミノ酸残基が修飾され得るかを判断する指標は、特定のポリヌクレオチドまたはポリペプチドの配列と、例えば酵母または細菌の相同的なポリヌクレオチドまたはポリペプチド群とを比較して、高相同性領域(保存領域)またはコンセンサス配列に加える修飾数を最大化することで、見出してもよい。
本明細書の用法では、(ポリヌクレオチドに関する)「変異体」という用語は、例えば変異誘発などの組換えDNA技術を使用して作成された、ヌクレオチド挿入、欠失、変異、および置換によって、具体的に列挙された本発明のポリヌクレオチドと異なるポリヌクレオチドを指す。同一または類似ポリペプチドをコードする組換えポリヌクレオチド変種は、遺伝コード中の「重複性」を使用することで、合成または選択してもよい。様々な制限酵素認識部位を生じるサイレント変化などの様々なコドン置換を導入して、発現のためのプラスミドまたはウイルスベクターへのクローニングを最適化してもよい。ポリヌクレオチド配列中の変異は、ポリペプチドに、またはポリペプチドのあらゆる部分の特性を改変するためにポリペプチドに付加されたその他のペプチドのドメインに、反映されてもよい。
「組換え遺伝子発現因子」という用語は、タンパク質のコード配列に先行する(5’非コード配列)および後続の(3’終止配列)制御配列を含む、1つまたは複数の特定のタンパク質を発現する核酸断片を指す。キメラ遺伝子は、組換え遺伝子発現因子である。オペロンのコード領域は、作動可能に連結するプロモーターおよび終結領域と共に、組換え遺伝子発現因子を構成してもよい。
「制御配列」は、コード配列の上流(5’非コード配列)、配列中、または下流(3’非コード配列)に位置して、転写、RNAプロセシングまたは安定性、または結合コード配列の翻訳に影響を及ぼす、ヌクレオチド配列を指す。制御配列としては、プロモーター、エンハンサー、オペレーター、抑制因子、転写終結シグナル、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセシング部位、エフェクター結合部位、およびステムループ構造が挙げられる。
「プロモーター」という用語は、コード配列または機能性RNAの発現を制御できる核酸配列を指す。一般にコード配列は、プロモーター配列の3’に位置する。プロモーターは、その全体が天然遺伝子に由来してもよく、または自然界に見られる異なるプロモーターに由来する異なる要素から構成されてもよく、またはさらには合成核酸断片を含んでなってもよい。当業者は、異なる組織または細胞タイプ中で、または異なる発達段階で、または異なる環境的または生理的な条件に答えて、異なるプロモーターが、遺伝子発現を誘導してもよいことを理解する。ほとんどの場合にほとんどの細胞型で遺伝子を発現させるプロモーターは、一般に「構成的プロモーター」と称される。他方では、「誘導性プロモーター」は、プロモーター特異的シグナルまたは分子によってプロモーターが誘発または活性化された場合に、遺伝子を発現させる。ほとんどの場合、制御配列の正確な境界は完全に画定されていないこともあるので、異なる長さのDNA断片が、同一のプロモーター活性を有してもよいこともさらに認識される。例えばFBA1遺伝子のプロモーター領域に由来する断片を指すために、「FBA1プロモーター」を使用し得るものと理解される。
「ターミネーター」という用語は、本明細書の用法では、コード配列下流に位置するDNA配列を指す。これは、ポリアデニル化認識配列と、mRNAプロセッシングまたは遺伝子発現に影響を及ぼすことができる調節シグナルをコードするその他の配列とを含む。ポリアデニル化シグナルは、通常、mRNA前駆体の3’末端へのポリアデニル酸トラクトの付加に影響を及ぼすことで特徴付けられる。3’領域は、関連するコード配列の転写、RNAプロセシングまたは安定性、または翻訳に影響し得る。ほとんどの場合、制御配列の正確な境界は完全に画定されていないこともあるので、異なる長さのDNA断片が、同一のターミネーター活性を有してもよいことが認識される。例えばCYC1遺伝子のターミネーター領域に由来する断片を指すために、「CYC1ターミネーター」を使用し得るものと理解される。
「作動的に結合する」という用語は、一方の機能が他方の機能によって影響される、単一核酸断片上の核酸配列のつながりを指す。例えばプロモーターは、コード配列の発現に影響できる場合、そのコード配列と作動的に結合する(すなわちコード配列は、プロモーターの転写調節下にある)。コード配列は、センスまたはアンチセンスオリエンテーションで、制御配列に作動的に結合し得る。
ここでの用法では「形質転換」という用語は、遺伝的に安定した遺伝形質をもたらす、宿主生物のゲノムへの核酸断片の転移を指す。形質転換された核酸断片を含有する宿主生物は、「遺伝子導入」または「組換え」または「形質転換」生物と称される。
様々な宿主の形質転換のための、遺伝子または核酸分子のコード領域に言及する「コドン最適化」という用語は、宿主生物の典型的なコドン使用頻度を反映する、DNAによってコードされるポリペプチドを変更しない、遺伝子または核酸分子コード領域のコドン改変を指す。このような最適化としては、その生物の遺伝子でより頻繁に使用される1つまたは複数のコドンによって、少なくとも1つ、または2つ以上、またはかなり大きい数のコドンを置換することが挙げられる。
任意のポリペプチド鎖のアミノ酸をコードするコドンを含んでなるヌクレオチド配列の偏向は、遺伝子をコードする配列の多様性を可能にする。各コドンは3個のヌクレオチドからなり、DNAを構成するヌクレオチドは4つの特定塩基に限定されるので、ヌクレオチドの64個の可能な組み合わせがあり、その内61個がアミノ酸をコードする(残りの3個のコドンは、翻訳終了シグナルをコードする)。いずれのコドンがいずれのアミノ酸をコードするかを示す「遺伝コード」は、本明細書で表1(すなわち、標準遺伝コード)として再現される。その結果、多数のアミノ酸が、2個以上のコドンによって指定される。例えばアミノ酸、アラニンおよびプロリンは4個の三つ組み、セリンおよびアルギニンは6個の三つ組みによってコードされるのに対し、トリプトファンおよびメチオニンは1個の三つ組みのみによってコードされる。この縮重が、DNAによってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を変化させることなく、広範囲にわたるDNA塩基組成の変動を可能にする。
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多数の生物は、成長するペプチド鎖への特定アミノ酸挿入をコードする、特定のコドン使用についてバイアスを示す。生物間のコドン選択、またはコドンバイアス、コドン使用頻度の差は、遺伝コードの縮重によって提供され、文献で多数の生物において十分に立証されている。コドンバイアスは、メッセンジャーRNA(mRNA)の翻訳効率と相関することが多く、それは次に、特に翻訳されるコドンの特性、および特定の移転RNA(tRNA)分子の可用性に左右されると思われる。細胞における選択されたtRNAの優勢は、一般にペプチド合成で最も頻繁に使用されるコドンの反映である。したがって遺伝子は、コドン最適化に基づいて、所与の生物における最適遺伝子発現のために調整してもよい。
多種多様な動物、植物、および微生物種で利用できる多数の遺伝子配列を所与として、コドン使用頻度の相対的頻度を計算することが可能である。コドン使用頻度表は、例えばhttp://www.kazusa.or.jp/codon/の「コドン使用頻度データベース」で容易に入手でき、これらの表はいくつかの方法で応用し得る(例えばNakamura,et al.,Nucl.AcidsRes.28:292,2000を参照されたい)。GenBankリリース128.0[2002年2月15日]から計算された酵母のコドン使用頻度表は、下で表2として転載する(遺伝子サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)遺伝子のコドン使用頻度表)。この表はmRNA命名法を使用し、表は、DNAに見られるチミン(T)の代わりに、RNAに見られるウラシル(U)を使用する。表2では、頻度が、全ての64個のコドンでなく、各アミノ酸について計算されるように適応されている。
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この表または同様の表を利用することで、当業者は、あらゆる所与のポリペプチド配列に頻度を適用して、コード領域がコドン最適化された核酸断片を生成し得るが、それは所与の種に最適のコドンを使用して、ポリペプチドをコードする。
コドンを最適化頻度で無作為に割り当てて、所与のポリペプチド配列をコードすることは、各アミノ酸についてコドン頻度を計算し、次にコドンをポリペプチド配列に無作為に割り当てることにより、手動で成し得る。それに加えて、当業者は、様々なアルゴリズム、およびコンピュータソフトウェアプログラムを容易に利用できる。例えば、DNASTAR,Inc.,(Madison,WI)から入手できるLasergene(登録商標)パッケージ中の「EditSeq」機能、InforMax,Inc.,(Bethesda,MD)から入手できるVectorNTI(登録商標)Suite中のbacktranslation機能、およびAccelrys(登録商標),Inc.,(SanDiego,CA)から入手できるGCG−Wisconsinパッケージ中の「backtranslate」機能。さらに、コード領域配列をコドン最適化するのに、例えばhttp://www.entelechon.com/bioinformatics/backtranslation.php?lang=eng(Entelechon GmbH,BadAbbach,Germany)の「backtranslation」機能、およびhttp://emboss.bioinformatics.nl/cgi−bin/emboss/backtranseqで利用できる「backtranseq」機能などの様々な資源が公的に利用可能である。初歩的アルゴリズムを構築し、所与の頻度に基づいてコドンを割り当てることもまた、当業者によって、基本的数学機能を用いて容易に達成され得る。
コドン最適化コード領域は、http://www.umbc.edu/codon/sgd/(University of Maryland,Baltimore County,Baltimore,MD)の「合成遺伝子デザイナー」などのソフトウェアパッケージをはじめとする、当業者に知られている様々な方法によって、デザインされ得る。
ポリヌクレオチドまたは核酸断片は、温度および溶液イオン強度の適切な条件下で、核酸断片の一本鎖形態が、その他の核酸断片とアニールし得る場合に、cDNA、ゲノムDNA、またはRNA分子などの別の核酸断片と「ハイブリダイズ可能」である。ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件は周知であり、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,2nd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory:Cold Spring Harbor,NY(1989)、特にその中の第11章と表11.1で例示される。温度およびイオン強度の条件は、ハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を決定する。ストリンジェンシー条件を調節して、(遠縁の生物からの相同的な配列などの)中程度に類似した断片から、(近縁関係にある生物からの機能酵素を複製する遺伝子などの)類似性の高い断片までをスクリーニングし得る。ハイブリダイゼーション後の洗浄が、ストリンジェンシー条件を決定する。好ましい条件の1つの組は、6×SSC、0.5%SDSを室温で15分間に始まり、次2×SSC、0.5%SDSを45℃で30分間で繰り返し、次に0.2×SSC、0.5%SDSを50℃で30分間を2回繰り返す、ひと続きの洗浄を使用する。より望ましいストリンジェントな条件のセットはより高い温度を使用し、その中では、最後の0.2×SSC、0.5%SDS中での2回の30分間の洗浄温度が60℃に増大されたことを除いて、洗浄は上と同一である。高度にストリンジェントな条件の別の好ましいセットは、65℃における0.1×SSC、0.1%SDS中での2回の最後の洗浄を使用する。ストリンジェントな条件の追加的なセットは、例えば、0.1×SSC、0.1%SDS、65℃でのハイブリダイゼーションと、2×SSC、0.1%SDSと、それに続く0.1×SSC、0.1%SDSでの洗浄を含む。
ハイブリダイゼーションは、2つの核酸が相補的配列を含有することを要するが、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシー次第で、塩基間のミスマッチが可能である。核酸をハイブリダイズするための適切なストリンジェンシーは、当該技術分野で周知の変数である核酸の長さと相補性の程度に左右される。2つのヌクレオチド配列間の類似性または相同性の程度が大きいほど、これらの配列を有する核酸がハイブリダイズするためのTm値は、より大きくなる。核酸ハイブリダイゼーションの相対的安定性(より高いTmに相当する)は、RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNAの順で低下する。長さが100個を超えるヌクレオチドのハイブリッドについて、Tmを計算する方程式が誘導されている(例えば前出のSambrook,et al.,9.50−9.51参照)。より短い核酸、すなわちオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションでは、ミスマッチの位置がより重要となり、オリゴヌクレオチドの長さがその特異性を決定する(例えば前出のSambrook,et al.,11.7−11.8参照)。一実施形態では、ハイブリダイズ可能な核酸の長さは、少なくとも約10ヌクレオチドである。好ましくは、ハイブリダイズ可能な核酸の最短長は、少なくとも約15ヌクレオチドであり;より好ましくは、少なくとも約20ヌクレオチドであり;最も好ましくは、長さは少なくとも約30ヌクレオチドである。さらに当業者は、プローブ長などの要素次第で、必要に応じて温度および洗浄液塩濃度を調節してもよいことを認識する。
アミノ酸またはヌクレオチド配列の「実質的な部分」は、当業者による配列の手動評価、またはBLAST(Altschul,et al.,J.Mol.Biol.215:403−410,1993)などのアルゴリズムを使用したコンピュータによる自動配列比較と同定のいずれかによって、ポリペプチドまたは遺伝子を推定的に同定するのに十分な、ポリペプチドのアミノ酸配列または遺伝子のヌクレオチド配列を含んでなる部分である。一般に、ポリペプチドまたは核酸配列が、既知のタンパク質または遺伝子と相同的であると推定的に同定するためには、10個以上の隣接するアミノ酸または30個以上のヌクレオチドの配列が必要である。さらにヌクレオチド配列に関して、配列依存性の遺伝子同定法(例えばサザンハイブリダイゼーション)および単離法(例えば細菌コロニーまたはバクテリオファージプラークの原位置ハイブリダイゼーション)において、20〜30個の隣接ヌクレオチドを含んでなる、遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブを使用してもよい。これに加えて、プライマーを含んでなる特定の核酸断片を得るために、12〜15個の塩基の短鎖オリゴヌクレオチドをPCR中で増幅プライマーとして使用してもよい。したがってヌクレオチド配列の「実質的な部分」は、配列を構成する核酸断片を明確に同定および/または分離するのに十分な配列を含んでなる。本明細書は、特定の真菌タンパク質をコードする、完全なアミノ酸およびヌクレオチド配列を教示する。当業者は、本明細書で報告される配列の便益を有して、当業者に知られている目的のために、開示される配列の全部または実質的な部分を使用できる。したがって本発明は、本明細書で提供される完全配列、ならびに上で定義される配列の実質的な部分を含んでなる。
「相補的」という用語は、互いにハイブリダイズできるヌクレオチド塩基間の関係性を記述するために使用される。例えばDNAに関しては、アデノシンはチミンに相補的であり、シトシンはグアニンに相補的である。
「%同一性」と言う用語は、当該技術分野で公知のように、配列を比較して判定される、2つ以上のポリペプチド配列または2つ以上のポリヌクレオチド配列の関係である。当該技術分野では「同一性」はまた、場合によっては、このような一連の配列間の一致によって測定される、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列間の配列関連性の程度を意味する。「同一性」および「類似性」は、Computational Molecular Biology(Lesk,A.M.,Ed.)Oxford University:NY(1988);Biocomputing:Informatics and Genome Projects(Smith,D.W.,Ed.)Academic:NY(1993);Computer Analysis of Sequence Data,Part I(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,Eds.)Humania:NJ(1994);Sequence Analysis in Molecular Biology(von Heinje,G.,Ed.)Academic(1987);およびSequence Analysis Primer(Gribskov,M.and Devereux,J.,Eds.)Stockton:NY(1991)で開示されるものをはじめとするが、これに限定されるものではない、公知の方法によって、容易に計算され得る。
同一性を判定する好ましい方法は、試験される配列間に最良の整合を与えるようにデザインされる。%同一性および%類似性を判定する方法は、公的に入手可能なコンピュータプログラムで体系化されている。配列アラインメントおよび%同一性の計算は、Lasergene(登録商標)バイオインフォマティクス演算スイート(DNASTAR,Inc.,Madison,WI)のMegAlign(商標)プログラムを使用して実施してもよい。配列の多重アラインメントは、Clustal Vとラベルされるアラインメント法(Higgins and Sharp,CABIOS.5:151−153,1989;Higgins,et al.,Comput.Appl.Biosci.8:189−191,1992で開示される)に相当して、Lasergene(登録商標)バイオインフォマティクス演算スイート(DNASTAR,Inc.,Madison,WI)のMegAlign(商標)プログラムにある「アラインメントのClustal V法」をはじめとする、アルゴリズムのいくつかの変種を包含する「アラインメントのClustal法」を使用して実施してもよい。複数のアラインメントでは、デフォルト値は、GAP PENALTY=10およびGAP LENGTH PENALTY=10に相当する。Clustal法を使用したペアワイズアラインメントおよびタンパク質配列の%同一性の計算のデフォルトパラメータは、KTUPLE=1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5、およびDIAGONALS SAVED=5である。核酸では、これらのパラメータは、KTUPLE=2、GAP PENALTY=5、WINDOW=4、およびDIAGONALS SAVED=4である。Clustal Vプログラムを使用した配列のアラインメント後、同プログラムの配列距離表を見ることで、%同一性を得ることが可能である。「アラインメントのClustal W法」は、Clustal Wとラベルされるアラインメント法(Higgins and Sharp,CABIOS.5:151−153,1989;Higgins,et al.,Comput.Appl.Biosci.8:189−191,1992に記載される)に相当し、Lasergeneバイオインフォマティクス演算スイート(DNASTAR Inc.,Madison,WI)のMegAlign(商標)v6.1プログラムにある。多重アラインメントのためのデフォルトパラメータは、GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=0.2、Delay Divergen Seqs(%)=30、DNA Transition Weight=0.5、Protein WeightMatrix=Gonnet Series、DNA Weight Matrix=IUBであってもよい。Clustal Wプログラムを使用した配列のアラインメント後、同プログラムの配列距離表を見ることで、%同一性を得ることが可能である。
「配列分析ソフトウェア」という用語は、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列の分析に有用なあらゆるコンピュータアルゴリズム、またはソフトウェアプログラムを指す。「配列分析ソフトウェア」は市販されることもあり、または独立して開発されることもある。典型的な配列分析ソフトウェアとしては、プログラムのGCGスイート(Wisconsinバージョン9.0,Genetics Computer Group(GCG),Madison,WI);BLASTP,BLASTN,BLASTX(Altschul,et al.,J.Mol.Biol.215:403−410,1990);DNASTAR(DNASTAR,Inc.,Madison,WI);Sequencher(Gene Codes Corporation,Ann Arbor,MI);およびSmith−Watermanアルゴリズムを組み込んだFASTAプログラム(W.R.Pearson,Comput.Methods Genome Res.,[Proc.Int.Symp.](1994),Meeting Date 1992,111−20.Editor(s):Suhai,Sandor.Plenum:New York,NY)が挙げられるが、これに限定されるものではない。本出願の文脈内では、特に断りのない限り、分析のために配列分析ソフトウェアが使用される場合、分析結果は、言及されるプログラムの「デフォルト値」に基づくものと理解される。本明細書での用法では、「デフォルト値」とは、ソフトウェアを初期化した際に、初めからロードされる値またはパラメータのあらゆる組を意味する。
本発明の参照ヌクレオチド配列と、例えば少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を有する核酸またはポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドのヌクレオチド配列が、ポリヌクレオチド配列が、参照ヌクレオチド配列のそれぞれ100個のヌクレオチドあたり、最高5つの点変異を含んでもよいこと以外は、参照配列と同一であることが意図される。換言すれば、参照ヌクレオチド配列と、少なくとも95%同一であるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを得るためには、参照配列中の最高5%のヌクレオチドが、欠失されまたは別のヌクレオチドで置換されてもよく、または参照配列中の全ヌクレオチドの最高5%までのいくつかのヌクレオチドが、参照配列中に挿入されてもよい。
実際に、任意選択の特定の核酸分子またはポリペプチドが、本発明のヌクレオチド配列またはポリペプチド配列と、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であるかどうかは、公知のコンピュータプログラムを使用して慣習的に特定し得る。大域的配列アラインメントとも称される、クエリー配列(例えば本発明の配列)と対象配列間の最良の全体的一致を判定する好ましい方法は、Brutlag,et al.,(Comp.Appl.Biosci.6:237−245,1990)のアルゴリズムに基づくFASTDBコンピュータプログラムを使用して判定され得る。配列アラインメントでは、クエリーおよび被験配列は、どちらもDNA配列である。RNA配列は、ウラシル(U)をチミン(T)に変換することで比較し得る。前記大域的配列アラインメントの結果が、%同一性である。%同一性を計算するためのDNA配列のFASTDBアラインメントで使用される好ましいパラメータは、Matrix=Unitary、k−tuple=4、Mismatch Penalty=1、Joining Penalty−30、Randomization Group Length=0、Cutoff Score=1、Gap Penalty=5、Gap Size Penalty=0.05、Window Size=500または被験ヌクレオチド配列長のどちらか短い方である。
内部欠失のためではなく5’または3’欠失のために、被験配列がクエリー配列より短い場合、結果に手動補正を施すべきである。これは、FASTDBプログラムが%同一性を計算する際に、被験配列の5’および3’トランケーションを考慮しないためである。クエリー配列と比較して、5’または3’末端でトランケートされた対象配列では、クエリー配列の全塩基の百分率として、整合/整列しない対象配列の5’および3’のクエリー配列の塩基数を計算することで、%同一性が補正される。ヌクレオチドが整合/整列するかどうかは、FASTDB配列アラインメントの結果によって判定される。次に、規定のパラメータを使用して上のFASTDBプログラムによって計算された%同一性から、この百分率を差し引き、最終%同一性スコアを得る。本発明の目的で使用されるのは、この補正スコアである。FASTDBアラインメントで示されるように、クエリー配列と整合/整列しない、対象配列の5’および3’塩基の外部の塩基のみが、%同一性スコアを手動調節する目的で計算される。
例えば90個の塩基の対象配列を100個の塩基のクエリー配列と配列比較して、%同一性を判定する。欠失は対象配列の5’末端に存在し、したがってFASTDBアラインメントは、5’末端の最初の10個の塩基の整合/整列を示さない。10個の不対塩基は、配列の10%(5’および3’末端の不整合塩基数/クエリー配列中の塩基総数)に相当するので、FASTDBプログラムによって計算される%同一性スコアから10%が差し引かれる。残りの90個の塩基が完全に整合するならば、最終%同一性は90%になる。別の例では、90個の塩基の対象配列を100個の塩基のクエリー配列と比較する。この例では、欠失は内部欠失であるので、クエリーと整合/整列しない塩基は、対象配列の5’または3’にはない。この場合、FASTDBによって計算される%同一性は、手動補正されない。再度、クエリーと整合/整列しない対象配列の5’および3’塩基のみが、手動補正される。本発明の目的では、その他の手動補正は行われない。
本明細書で使用される標準組換えDNAおよび分子クローニング技術は、当該技術分野で周知であり、例えばSambrook,J.,Fritsch,E.F.,and Maniatis,T.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(1989);およびSilhavy,T.J.,Bennan,M.L.,and Enquist,L.W.,Experiments with Gene Fusions,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(1984);およびAusubel,F.M.,et al.,Current Protocols in Molecular Biology,published by Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscience(1987)に記載される。追加的な方法は、Methods in Enzymology,Volume 194,Guide to Yeast Genetics and Molecular and Cell Biology(Part A,2004,Christine Guthrie and Gerald R.Fink(Eds.),Elsevier Academic Press,San Diego,CA)に記載される。
標的遺伝子の遺伝子発現を増大させ、または低下させる方法は、当業者に良く知られている。酵母中の遺伝子発現方法は、例えばMethods in Enzymology,Volume 194,Guide to Yeast Genetics and Molecular and Cell Biology(Part A,2004,Christine Guthrie and Gerald R.Fink(Eds.),Elsevier Academic Press,San Diego,Calif.)に記載されるように、当該技術分野で公知である。発現を増大させる方法としては、ゲノム中に、または標的タンパク質を発現するプラスミド上に、組み込まれる遺伝子数を増大させること、および天然プロモーターよりも高度に発現させるプロモーターを使用することが挙げられる。発現のために構築されたキメラ遺伝子中で作動可能に連結してもよいプロモーターとしては、例えば、FBA1、TDH3、ADH1、およびGPM1などの構成的プロモーター、およびGAL1、GAL10、およびCUP1などの誘導性プロモーターが挙げられる。発現のためにキメラ遺伝子コンストラクトで使用されてもよい適切な転写ターミネーターとしては、FBA1t、TDH3t、GPM1t、ERG10t、GAL1t、CYC1t、およびADH1tが挙げられるが、これに限定されるものではない。
適切なプロモーター、転写ターミネーター、およびコード領域は、大腸菌(Escherichia coli)(E.coli)−酵母シャトルベクターにクローン化して、酵母細胞に形質転換してもよい。これらのベクターは、大腸菌(E.coli)および酵母株の双方における増殖を可能にする。典型的に、ベクターは、選択可能なマーカーと、所望の宿主中で自律複製または染色体への組み込みができるようにする配列とを含有する。酵母で使用されるプラスミドは、例えば、大腸菌(E.coli)複製起点(例えばpMB1)、酵母2μ複製起点、および栄養的選択マーカーを含有する、シャトルベクターpRS423、pRS424、pRS425、およびpRS426(米国微生物系統保存機関,Rockville,MD)である。これらの4つのベクターの選択マーカーは、HIS3(ベクターpRS423)、TRP1(ベクターpRS424)、LEU2(ベクターpRS425)、およびURA3(ベクターpRS426)である。発現ベクターの構築は、大腸菌(E.coli)中の標準分子クローニング技術、または酵母中のgap修復組換え法のいずれかによって実施してもよい。
発現を低下させる方法としては、コードする遺伝子の遺伝子修飾を使用することが挙げられる。発現を低下させまたは排除するために標的遺伝子を遺伝子修飾する多数の方法が当業者に知られており、酵母などの産生宿主細胞を作成するのに使用されてもよい。使用されてもよい修飾としては、タンパク質をコードする遺伝子全体または遺伝子部分の欠失;タンパク質が発現しない、またはより低レベルで発現するようにする、コード遺伝子(例えばプロモーターまたはコード領域内のいずれか)へのDNA断片の挿入;機能性タンパク質が発現しないようにする、停止コドンまたはフレームシフトを付加する変異のコード領域への導入;および非機能性またはより低活性のタンパク質が発現されるように、アミノ酸を変化させる1つまたは複数の変異のコード領域への導入が挙げられるが、これに限定されるものではない。さらに、標的遺伝子の発現は、アンチセンスRNAまたは干渉RNAの発現によってブロックしてもよく、共抑制をもたらすコンストラクトを導入してもよい。さらに、変異によって、転写物の合成または安定性を低下させてもよい。同様に、変異によって、タンパク質がmRNAから翻訳される効率を調節してもよい。これらの全ての方法は、標的タンパク質をコードする公知のまたは同定された配列を利用して、当業者によって容易に実施されてもよい。
標的コード配列を取り囲むDNA配列もまた、いくつかの改変手順において有用である。特に、例えば標的遺伝子のコード配列を取り囲むDNA配列は、相同組換えを使用した改変方法に有用である。この方法では、標的遺伝子の側面に位置する配列は、選択可能なマーカー遺伝子と境を接して配置され、マーカー遺伝子が標的遺伝子を置き換える、相同組換えを媒介する。また選択可能なマーカー遺伝子と境を接する、部分的標的遺伝子配列および標的遺伝子側面に位置する配列を使用して、マーカー遺伝子が標的遺伝子の一部を置き換える、相同組換えを媒介してもよい。さらに、選択可能なマーカーは、対応する部位特異的リコンビナーゼの発現に続いて、耐性遺伝子が再活性化することなく標的遺伝子から切除されるように、部位特異的組換え部位と境を接してもよい。部位特異的組換えは、標的タンパク質の発現を妨害する組換え部位を後に残す。当業者には周知のように、相同組換えベクターを構築して、選択可能なマーカーの切除に続いて、標的遺伝子中に欠失を残してもよい。
欠失は、Wach,et al.,(Yeast 10:1793−1808,1994)に記載される有糸分裂組換えを使用して作成してもよい。この方法は、20bp程度に短くてもよいゲノム領域間の選択可能なマーカーを含有して、標的DNA配列に結合する、DNA断片を調製することを伴う。このDNA断片は、酵母ゲノムで組換え得るゲノム領域を含む、マーカー遺伝子末端とハイブリダイズするオリゴヌクレオチドをプライマーとして使用して、選択可能なマーカー遺伝子のPCR増幅によって調製し得る。線状DNA断片は、酵母に効率的に形質転換されて、ゲノムに遺伝子組換えされ、標的DNA配列の欠失を含む遺伝子置換をもたらし得る(Methods in Enzymology,v194,pp 281−301,1991に記載されるように)。
さらに、プロモーター置換方法を使用して、内在性転写制御要素を交換して、発現を調節する別の手段を可能にしてもよい(例えばMnaimneh,et al.,Cell 118:31−44,2004を参照されたい)。
さらに無作為の変異誘発を使用して、標的遺伝子がコードする活性を妨害してもよく、活性が低下した株を同定するスクリーニングがそれに続く。この種の方法を使用する上で、標的遺伝子コード領域のDNA配列は、または活性に影響を及ぼすゲノムのあらゆるその他の領域は、既知でなくてもよい。遺伝子変異を作り出す方法は、当該技術分野で一般的かつ周知であり、変異体作成の実施に適用されてもよい。一般に使用されるランダム遺伝子修飾法(Methods in Yeast Genetics,2005,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.で概説される)としては、突然変異誘発、変異誘発によって引き起こされるミューテーター遺伝子、化学変異誘発、UVまたはX線照射、またはトランスポゾン変異誘発が挙げられる。
酵母の化学変異誘発は、通常、スルホン酸エチル(EMS)、亜硝酸、硫酸ジエチル、またはN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソ−グアニジン(MNNG)の内1つのDNA変異原による、酵母細胞の処理を伴う。これらの変異誘発法は、Spencer,et al.,(Mutagenesis in Yeast,1996,Yeast Protocols:Methods in Cell and Molecular Biology.Humana Press,Totowa,N.J.)で概説されている。Methods in Yeast Genetics,2005,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.に記載されるようにして、EMSによる化学的突然変異誘発を実施してもよい。紫外線(UV)光またはX線の照射もまた使用して、酵母細胞にランダム変異誘発を引き起こし得る。UV照射による変異誘発の主要効果は、DNA複製の忠実度を妨害するピリミジン二量体の形成である。酵母のUV変異誘発のプロトコルは、Spencer,et al.,(Mutagenesis in Yeast,1996,Yeast Protocols:Methods in Cell and Molecular Biology.Humana Press,Totowa,N.J.)にある。ミューテーター表現型の導入もまた使用して、酵母中でランダム染色体変異を生じさせ得る。一般的なミューテーター表現型は、遺伝子PMS1、MAG1、RAD18またはRAD51の1つまたは複数の破壊を通じて得られ得る。非ミューテーター表現型の復元は、野生型対立遺伝子の挿入によって、容易に得られ得る。これらの、またはその他の既知のランダム変異誘発法のいずれかから生成された改変細胞の収集物を、活性低下についてスクリーニングしてもよい。
リン酸ジエステラーゼの修飾
本発明のいくつかの実施形態では、微生物は、リン酸ジエステラーゼ活性の低下または排除を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、微生物はまた、本明細書でさらに詳しく説明するように、イソブタノール生合成経路、1−ブタノール生合成経路、2−ブタノール生合成経路、または2−ブタノン生合成経路を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、イソブタノール生合成経路は、(a)ピルビン酸からアセト乳酸;(b)アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸;(c)2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸から2−ケトイソ吉草酸;(d)2−ケトイソ吉草酸からイソブチルアルデヒド;および(e)イソブチルアルデヒドからイソブタノールからなる群から選択される、基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、イソブタノール生合成経路は、アセト乳酸シンターゼ活性、ケト酸レダクトイソメラーゼ活性、ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ活性、ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性、およびアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなってもよい。
いくつかの実施形態では、微生物は、1−ブタノール生合成経路を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、1−ブタノール生合成経路は、(a)アセチル−CoAからアセトアセチル−CoA;(b)アセトアセチル−CoAから3−ヒドロキシブチリル−CoA;(c)3−ヒドロキシブチリル−CoAからクロトニル−CoA;(d)クロトニル−CoAからブチリル−CoA;(e)ブチリル−CoAからブチルアルデヒド;および(f)ブチルアルデヒドから1−ブタノールからなる群から選択される、基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、1−ブタノール生合成経路は、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ活性;3−ヒドロキシブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ活性;クロトナーゼ活性;ブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ活性;ブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、および/またはブタノールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなってもよい。
いくつかの実施形態では、微生物は、2−ブタノール生合成経路を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、2−ブタノール生合成経路は、(a)ピルビン酸からα−アセト乳酸;(b)α−アセト乳酸からアセトイン;(c)アセトインから3−アミノ−2−ブタノール;(d)3−アミノ−2−ブタノールから3−アミノ−2−ブタノールリン酸;(e)3−アミノ−2−ブタノールリン酸から2−ブタノン;および(f)−ブタノンから2−ブタノールからなる群から選択される、基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、2−ブタノール生合成経路は、アセト乳酸シンターゼ活性;アセト乳酸デカルボキシラーゼ活性;アセトニンアミナーゼ活性;アミノブタノールキナーゼ活性;アミノブタノールリン酸ホスホリラーゼ活性;および/またはブタノールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなってもよい。
いくつかの実施形態では、2−ブタノール生合成経路は、(a)ピルビン酸からα−アセト乳酸;(b)α−アセト乳酸からアセトイン;(c)アセトインから2,3−ブタンジオール;(d)2,3−ブタンジオールから2−ブタノン;および(e)2−ブタノンから2−ブタノールからなる群から選択される、基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、2−ブタノール生合成経路は、アセト乳酸シンターゼ活性;アセト乳酸デカルボキシラーゼ活性;ブタンジオールデヒドロゲナーゼ活性;ジアールデヒドラターゼ活性;および/またはブタノールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなってもよい。
本発明のいくつかの実施形態では、微生物は、リン酸ジエステラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドまたは遺伝子の修飾または妨害、またはリン酸ジエステラーゼ活性を有するポリペプチドの修飾または妨害を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、微生物は、リン酸ジエステラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする内在性ポリヌクレオチドまたは遺伝子中の、またはリン酸ジエステラーゼ活性を有する内在性ポリペプチド中の、挿入、欠失、変異、および/または置換を含んでなってもよい。このような修飾、中断、挿入、欠失、変異、および/または置換は、リン酸ジエステラーゼ活性の低下または排除をもたらしてもよい。なおも別の実施形態では、ポリヌクレオチド、遺伝子、またはリン酸ジエステラーゼ活性を有するポリペプチドは、酵素番号EC 3.1.4.17に相当してもよい。
本明細書で開示される微生物中における修飾または不活性化の標的になり得る、リン酸ジエステラーゼポリヌクレオチド、遺伝子、およびポリペプチドの例としては、配列番号1〜3が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本明細書で開示される微生物中における修飾または不活性化の標的としてもよい、リン酸ジエステラーゼポリヌクレオチド、遺伝子、およびポリペプチドのその他の例としては、配列番号1〜3と、少なくとも約70%〜約75%、約75%〜約80%、約80%〜約85%、約85%〜約90%、約90%〜約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%の配列同一性を有する、リン酸ジエステラーゼポリヌクレオチド、遺伝子、および/またはポリペプチドが挙げられるが、これに限定されるものではなく、このようなポリヌクレオチドまたは遺伝子はリン酸ジエステラーゼ活性をコードし、またはこのようなポリペプチドはリン酸ジエステラーゼ活性を有する。本明細書で開示される微生物中における修飾または不活性化の標的としてもよいリン酸ジエステラーゼポリヌクレオチド、遺伝子、およびポリペプチドのさらに他の例としては、配列番号1〜3の活性変異体、断片、または誘導体が挙げられるが、これに限定されるものではなく、このようなポリヌクレオチドまたは遺伝子はリン酸ジエステラーゼ活性をコードし、またはこのようなポリペプチドはリン酸ジエステラーゼ活性を有する。
いくつかの実施形態では、その他のリン酸ジエステラーゼポリヌクレオチド、遺伝子および/またはポリペプチドの配列は、本明細書で開示される配列および当該技術分野で入手できる配列を使用して、当業者に良く知られている文献および/またはバイオインフォマティクスデータベース中で同定されてもよい。例えばこのような配列は、リン酸ジエステラーゼをコードする既知のポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列で、公的に利用できるデータベースをBLAST検索することで、同定してもよい。このような方法では、同一性は、GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=0.1、およびGonnet 250シリーズのタンパク質重量マトリックスのデフォルトパラメータを使用して、アラインメントのClustal W法に基づいてもよい。
さらに、本明細書で開示されるまたは技術分野で既知のリン酸ジエステラーゼポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列を使用して、自然界のその他のリン酸ジエステラーゼホモログを同定してもよい。例えば本明細書で開示されるリン酸ジエステラーゼコード核酸断片を使用して、相同タンパク質をコードする遺伝子を単離してもよい。配列依存プロトコルを使用する相同遺伝子の単離は、技術分野で周知である。配列依存性プロトコルの例としては、核酸ハイブリダイゼーション法;核酸増幅技術の様々な使用によって例示されるようなDNAおよびRNA増幅法[例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、米国特許第4,683,202号明細書;リガーゼ連鎖反応(LCR)、Tabor,et al.,Proc.Acad.Sci.U.S.A.82:1074,1985;または鎖置換増幅(SDA)、Walker,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,89:392,1992];およびライブラリー構築と相補性によるスクリーニング法が挙げられるが、これに限定されるものではない。
いくつかの実施形態では、本明細書で開示される微生物に関連したリン酸ジエステラーゼポリヌクレオチド、遺伝子、および/またはポリペプチドは、改変されまたは妨害されてもよい。発現を低下させまたは排除するために標的遺伝子を遺伝子修飾および破壊する多数の方法が当業者に知られており、本明細書に記載される微生物を作成するのに使用されてもよい。使用し得る修飾としては、リン酸ジエステラーゼポリペプチドをコードする遺伝子全体または遺伝子部分の欠失;タンパク質が発現しない、またはより低レベルで発現するようにする、コード遺伝子(プロモーターまたはコード領域内のいずれか)へのDNA断片の挿入;機能性タンパク質が発現しないようにする、停止コドンまたはフレームシフトを付加する変異のコード領域への導入;および/または非機能性またはより低活性のタンパク質が発現されるように、アミノ酸を変化させる1つまたは複数の変異のコード領域への導入が挙げられるが、これに限定されるものではない。いくつかの実施形態では、標的遺伝子の発現をアンチセンスRNAまたは干渉RNAの発現によってブロックしてもよく、共抑制をもたらすコンストラクトを導入し得る。いくつかの実施形態では、変異によって、転写物の合成または安定性を低下させてもよい。いくつかの実施形態では、変異によって、タンパク質がmRNAから翻訳される効率を調節してもよい。これらの方法は、標的タンパク質をコードする公知のまたは同定された配列を利用して、当業者によって容易に実施されてもよい。
リン酸ジエステラーゼ活性を低下させまたは排除するための、本明細書で開示される微生物中におけるリン酸ジエステラーゼの修飾は、当該技術分野で公知の方法を使用して確認してもよい。例えば特定のリン酸ジエステラーゼの妨害は、リン酸ジエステラーゼ遺伝子内部および外部のプライマーを使用するPCRスクリーニングによって、またはリン酸ジエステラーゼ遺伝子配列のためにデザインされたプローブを使用するザンブロット法によって、確認してもよい。代案としては、リン酸ジエステラーゼ活性を測定する酵素アッセイ法を利用し得る(例えば、Bridge−It(登録商標)PDEアッセイ、Mediomics,LLC,St.Louis,MO;PDE−Glo(商標)リン酸ジエステラーゼアッセイ、Promega,Madison,WI;Younes,et al.,Anal.Biochem.417:36−40,2011)。
生合成経路
使用されてもよいイソブタノール生産のための生合成経路としては、参照によって本明細書に援用する、米国特許第7,851,188号明細書に記載されるものが挙げられる。一実施形態では、イソブタノール生合成経路は、
a)例えばアセト乳酸シンターゼによって触媒されてもよい、ピルビン酸からアセト乳酸への;
b)例えばアセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼによって触媒されてもよい、アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸への;
c)例えばアセトヒドロキシ酸デヒドラターゼによって触媒されてもよい2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸からα−ケトイソ吉草酸への;
d)例えば分枝鎖α−ケト酸デカルボキシラーゼ によって触媒されてもよい、α−ケトイソ吉草酸からイソブチルアルデヒドへの変換;および
e)例えば分枝鎖アルコールデヒドロゲナーゼによって触媒されてもよい、イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの
基質から生成物への変換を含んでなってもよい。
別の実施形態では、イソブタノール生合成経路は、
a)例えばアセト乳酸シンターゼによって触媒されてもよい、ピルビン酸からアセト乳酸への;
b)例えばケトール酸レダクトイソメラーゼによって触媒されてもよい、アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸への;
c)例えばジヒドロキシ酸デヒドラターゼによって触媒されてもよい、2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸からα−ケトイソ吉草酸への;
d)例えばトランスアミナーゼまたはバリンデヒドロゲナーゼによって触媒されてもよい、α−ケトイソ吉草酸からバリンへの;
e)例えばバリンデカルボキシラーゼによって触媒されてもよい、バリンからイソブチルアミンへの;
f)例えばω−トランスアミナーゼによって触媒されてもよい、イソブチルアミンからイソブチルアルデヒドへの;および
g)例えば分枝鎖アルコールデヒドロゲナーゼによって触媒されてもよい、イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの
基質から生成物への変換を含んでなってもよい。
別の実施形態では、イソブタノール生合成経路は、
a)例えばアセト乳酸シンターゼによって触媒されてもよい、ピルビン酸からアセト乳酸への;
b)例えばアセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼによって触媒されてもよい、アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸への;
c)例えばアセトヒドロキシ酸デヒドラターゼによって触媒されてもよい、2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸からα−ケトイソ吉草酸への;
d)例えば分枝鎖ケト酸デヒドロゲナーゼによって触媒されてもよい、α−ケトイソ吉草酸からイソブチリル−CoAへの;
e)例えばアシル化(acelylating)アルデヒドデヒドロゲナーゼによって触媒されてもよい、イソブチリル−CoAからイソブチルアルデヒドへの;および
f)例えば分枝鎖アルコールデヒドロゲナーゼによって触媒されてもよい、イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの
基質から生成物への変換を含んでなってもよい。
使用されてもよい1−ブタノール生産のための生合成経路としては、参照によって本明細書に援用する、米国特許出願公開第2008/0182308号明細書に記載されるものが挙げられる。一実施形態では、1−イソブタノール生合成経路は、
a)例えばアセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼによって触媒されてもよい、アセチル−CoAからアセトアセチル−CoAへの;
b)例えば3−ヒドロキシブチリル−CoAデヒドロゲナーゼによって触媒されてもよい、アセトアセチル−CoAから3−ヒドロキシブチリル−CoAへの;
c)例えばクロトナーゼによって触媒されてもよい、3−ヒドロキシブチリル−CoAからクロトニル−CoAへの;
d)例えばブチリル−CoAデヒドロゲナーゼによって触媒されてもよい、クロトニル−CoAからブチリル−CoAへの;
e)例えばブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼによって触媒されてもよい、ブチリル−CoAからブチルアルデヒドへの;および
f)例えばブタノールデヒドロゲナーゼによって触媒されてもよい、ブチルアルデヒドから1−ブタノールへの
基質から生成物への変換を含んでなってもよい。
使用されてもよい2−ブタノールの生成のための生合成経路としては、参照によって本明細書に援用する、米国特許出願公開第2007/0259410号明細書および米国特許出願公開第2009/0155870号明細書に記載されるものが挙げられる。一実施形態では、2−イソブタノール生合成経路は、
a)例えばアセト乳酸シンターゼによって触媒されてもよい、ピルビン酸からα−アセト乳酸への;
b)例えばアセト乳酸デカルボキシラーゼによって触媒されてもよい、α−アセト乳酸からアセトインへの;
c)例えばアセトニンアミナーゼによって触媒されてもよい、アセトインから3−アミノ−2−ブタノールへの;
d)例えばアミノブタノールキナーゼによって触媒されてもよい、3−アミノ−2−ブタノールから3−アミノ−2−ブタノールホスフェートへの;
e)例えばアミノブタノールホスフェートホスホリラーゼによって触媒されてもよい、3−アミノ−2−ブタノールホスフェートから2−ブタノンへのおよび,
f)例えばブタノールデヒドロゲナーゼによって触媒されてもよい、ブチルアルデヒドから2−ブタノールへの
基質から生成物への変換を含んでなってもよい。
別の実施形態では、2−イソブタノール生合成経路は、
a)例えばアセト乳酸シンターゼによって触媒されてもよい、ピルビン酸からα−アセト乳酸への;
b)例えばアセト乳酸デカルボキシラーゼによって触媒されてもよい、α−アセト乳酸からアセトインへの;
c)例えばブタンジオールデヒドロゲナーゼによって触媒されてもよい、アセトインから2,3−ブタンジオールへの;
d)例えばジジアールデヒドラターゼによって触媒されてもよい、2,3−ブタンジオールから2−ブタノンへの;および,
e)例えばブタノールデヒドロゲナーゼによって触媒されてもよい、ブタノンから2−ブタノールへの
基質から生成物への変換を含んでなってもよい。
使用されてもよい2−ブタノンの生成のための生合成経路としては、参照によって本明細書に援用する、米国特許出願公開第2007/0259410号明細書および米国特許出願公開第2009/0155870号明細書に記載されるものが挙げられる。一実施形態では、2−ブタノン生合成経路は、
a)例えばアセト乳酸シンターゼによって触媒されてもよい、ピルビン酸からα−アセト乳酸への;
b)例えばアセト乳酸デカルボキシラーゼによって触媒されてもよい、α−アセト乳酸からアセトインへの;
c)例えばアセトニンアミナーゼによって触媒されてもよい、アセトインから3−アミノ−2−ブタノールへの;
d)例えばアミノブタノールキナーゼによって触媒されてもよい、3−アミノ−2−ブタノールから3−アミノ−2−ブタノールホスフェートへの;および,
e)例えばアミノブタノールホスフェートホスホリラーゼによって触媒されてもよい、3−アミノ−2−ブタノールホスフェートから2−ブタノンへの
基質から生成物への変換を含んでなってもよい。
別の実施形態では、2−ブタノン生合成経路は、
a)例えばアセト乳酸シンターゼによって触媒されてもよい、ピルビン酸からα−アセト乳酸への;
b)例えばアセト乳酸デカルボキシラーゼによって触媒されてもよい、α−アセト乳酸からアセトインへの;
c)例えばブタンジオールデヒドロゲナーゼによって触媒されてもよい、アセトインから2,3−ブタンジオールへの;
d)例えばジオールデヒドラターゼによって触媒されてもよい、2,3−ブタンジオールから2−ブタノンへの
基質から生成物への変換を含んでなってもよい。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、植物由来炭素源からブタノールを生産してもよく、ブタノール生成のための標準石油化学的工程に付随する、環境に対する悪影響を回避する。いくつかの実施形態では、ブタノールを生産する方法は、ブタノール経路を含んでなる組換え宿主細胞を利用する。いくつかの実施形態では、ブタノール生合成経路は、組換え宿主細胞に異種である、少なくとも1つのポリヌクレオチド、少なくとも2つのポリヌクレオチド、少なくとも3つのポリヌクレオチド、または少なくとも4つのポリヌクレオチドを含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞中における、ブタノール生合成経路の基質から生成物への各変換は、異種ポリペプチドによって触媒される。いくつかの実施形態では、アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸への基質から産物への変換を触媒するポリペプチド、および/またはイソブチルアルデヒドからイソブタノールへの基質から産物への変換を触媒するポリペプチドは、補助因子としてニコチンアミドアデニンジヌクレオチド還元型(NADH)を利用できる。
「アセトヒドロキシ酸シンターゼ」、「アセト乳酸シンターゼ」、および「アセト乳酸シンセターゼ」(「ALS」と略される)という用語は、本明細書において同義的に使用され、ピルビン酸からアセト乳酸およびCOへの変換を触媒する酵素活性を有するポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。アセト乳酸シンターゼの例は、EC番号2.2.1.6で知られている(Enzyme Nomenclature 1992,Academic Press,San Diego)。これらの未改変酵素は、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)(GenBank番号:CAB15618(配列番号4)、Z99122(配列番号5)、CAB07802(配列番号272)、クレブシエラ・ニューモニアエ(Klebsiella pneumoniae)(GenBank番号:AAA25079(配列番号6)、M73842(配列番号7))、およびラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)(GenBank番号:AAA25161(配列番号8)、L16975(配列番号9))をはじめとするが、これに限定されるものではない、いくつかの起源から入手できる。
「ケトール酸レダクトイソメラーゼ」(「KARI」)、「アセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼ」、および「アセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼ」という用語は、同義的に使用されて、(S)−アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸への反応を触媒できる酵素活性を有するポリペプチド(またはポリペプチド)を指す。例証的KARI酵素は、EC番号EC 1.1.1.86(Enzyme Nomenclature 1992,Academic Press,SanDiego)に分類されてもよく、大腸菌(E.coli)(GenBank番号:NP_418222(配列番号10)、NC_000913(配列番号11))、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(GenBank番号:NP_013459(配列番号12)、NC_001144(配列番号13))、メタノコッカス・マリパルディス(Methanococcus maripaludis)(GenBank番号:CAF30210(配列番号14)、BX957220(配列番号15))、およびバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)(GenBank番号:CAB14789(配列番号16)、Z99118(配列番号17))をはじめとするが、これに限定されるものではない、無数の微生物から入手できる。KARIとしては、アナエロスティペス・カカエ(Anaerostipes caccae)KARI変種「K9G9」および「K9D3」(それぞれ配列番号18および19)が挙げられる。ケトール酸レダクトイソメラーゼ酵素は、参照によって本明細書に援用する、米国特許出願公開第2008/0261230号明細書、米国特許出願公開第2009/0163376号明細書、および米国特許出願公開第2010/0197519号明細書、および国際公開第2011/041415号パンフレットに記載される。その中で開示されるKARIの例は、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)、ビブリオ属(Vibrio)コレラ、シュードモナス属(Pseudomonas)シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)PAO1、およびシュードモナス属(Pseudomonas)PF5変異体からのものである。いくつかの実施形態では、KARIは、NADHを利用する。いくつかの実施形態では、KARIは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸還元型(NADPH)を利用する。
「アセトヒドロキシ酸デヒドラターゼ」および「ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ」(「DHAD」)」という用語は、2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸からα−ケトイソ吉草酸への変換を触媒する酵素活性を有するポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。例証的アセトヒドロキシ酸デヒドラターゼは、EC番号4.2.1.9で知られている。このような酵素は、大腸菌(E.coli)(GenBank番号:YP_026248(配列番号20)、NC000913(配列番号21))、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(GenBank番号:NP_012550(配列番号22)、NC001142(配列番号23))、M.マリパルディス(M.maripaludis)(GenBank番号:CAF29874(配列番号24)、BX957219(配列番号25))、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)(GenBank番号:CAB14105(配列番号26)、Z99115(配列番号27))、L.ラクチス(L.lactis)、およびアカパンカビ(N.crassa)をはじめとするが、これに限定されるものではない,無数の微生物から入手できる。参照によって本明細書に援用する、米国特許出願公開第2010/0081154号明細書、および米国特許第7,851,188号明細書は、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)からのDHADをはじめとするジヒドロキシ酸デヒドラターゼ(DHAD)を記載する。
「分枝鎖α−ケト酸デカルボキシラーゼ」、「α−ケト酸デカルボキシラーゼ」、「α−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ」、または「2−ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ」(「KIVD」)という用語は、α−ケトイソ吉草酸からイソブチルアルデヒドおよびCOへの変換を触媒する酵素活性を有するポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。例証的分枝鎖α−ケト酸デカルボキシラーゼはEC番号4.1.1.72として知られており、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)(GenBank番号:AAS49166(配列番号28)、AY548760(配列番号29);CAG34226(配列番号30)、AJ746364(配列番号31)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)(GenBank番号:NP_461346(配列番号32)、NC_003197(配列番号33))、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)(GenBank番号:NP_149189(配列番号34)、NC_001988(配列番号35))、M.カセオリティカス(M.caseolyticus)(配列番号36)、およびL.グレイー(L.grayi)(配列番号37)をはじめとするが、これに限定されるものではない、いくつかの起源から入手できる。
「分枝鎖アルコールデヒドロゲナーゼ」(「ADH」)という用語は、イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの変換を触媒する酵素活性を有する、ポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。例証的分枝鎖アルコールデヒドロゲナーゼはEC番号1.1.1.265で知られているが、その他のアルコールデヒドロゲナーゼ(具体的にはEC 1.1.1.1または1.1.1.2)にもまた分類されてもよい。アルコールデヒドロゲナーゼは、NADPH依存性またはNADH依存性であってもよい。このような酵素は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(GenBank番号:NP_010656(配列番号38)、NC_001136(配列番号39)、NP_014051(配列番号40)、NC_001145(配列番号41))、大腸菌(E.coli)(GenBank番号:NP_417484(配列番号42)、NC_000913(配列番号43))、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)(GenBank番号:NP_349892(配列番号44)、NC_003030(配列番号45);NP_349891(配列番号46)、NC_003030(配列番号47))をはじめとするが、これに限定されるものではない、いくつかの起源から入手できる。米国特許出願公報第2009/0269823号明細書は、アクロモバクター・キシロソキシダンス(Achromobacter xylosoxidans)からのアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)である、SadBについて記載する。アルコールデヒドロゲナーゼとしては、ウマ肝臓ADHおよびベイジェリンキア・インディカ(Beijerinkia indica)ADHもまた挙げられる(参照によって本明細書に援用する米国特許出願公開第2011/0269199号明細書によって記載されるように)。
「ブタノールデヒドロゲナーゼ」という用語は、イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの変換、または2−ブタノンおよび2−ブタノールの変換を触媒する酵素活性を有する、ポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。ブタノールデヒドロゲナーゼは、幅広いアルコールデヒドロゲナーゼファミリーのサブセットである。ブタノールデヒドロゲナーゼは、NADまたはNADP依存性であってもよい。NAD依存性酵素はEC 1.1.1.1として知られており、例えばロドコッカス・ルーバー(Rhodococcus ruber)(GenBank番号:CAD36475、AJ491307)から入手できる。NADP依存性酵素はEC 1.1.1.2として知られており、例えばピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)(GenBank番号:AAC25556、AF013169)から入手できる。さらにブタノールデヒドロゲナーゼは大腸菌(E.coli)(GenBank番号:NP417484、NC_000913)から入手でき、シクロヘキサノールデヒドロゲナーゼはアシネトバクター属(Acinetobacter)種(GenBank番号:AAG10026、AF282240)から入手できる。「ブタノールデヒドロゲナーゼ」という用語は、NADHまたはNADPHのいずれかを補助因子として使用して、ブチルアルデヒドから1−ブタノールへの変換を触媒する酵素も指す。ブタノールデヒドロゲナーゼは、例えばクロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)(GenBank番号:NP_149325、NC_001988;注記:この酵素はアルデヒドおよびアルコールデヒドロゲナーゼ活性の双方を持つ);NP_349891、NC_003030;およびNP_349892、NC_484)および大腸菌(E.coli)(GenBank番号:NP_417−484、NC_000913)から入手できる。
「分枝鎖ケト酸デヒドロゲナーゼ」という用語は、典型的に電子受容体としてNAD
(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)を使用して、α−ケトイソ吉草酸からイソブチリル−CoA(イソブチリル−補酵素A)への変換を触媒する酵素活性を有するポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。例証的分枝鎖ケト酸デヒドロゲナーゼは、EC番号1.2.4.4で知られている。このような分枝鎖ケト酸デヒドロゲナーゼは4つのサブユニットを含んでなり、全てのサブユニットからの配列は、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)(GenBank番号:CAB14336(配列番号48)、Z99116(配列番号49);CAB14335(配列番号50)、Z99116(配列番号51);CAB14334(配列番号52)、Z99116(配列番号53);およびCAB14337(配列番号54)、Z99116(配列番号55))およびシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)(GenBank番号:AAA65614(配列番号56)、M57613(配列番号57);AAA65615(配列番号58)、M57613(配列番号59);AAA65617(配列番号60)、M57613(配列番号61);およびAAA65618(配列番号62)、M57613(配列番号63))をはじめとするが、これに限定されるものではない、無数の微生物から入手できる。
「アシル化アルデヒドデヒドロゲナーゼ」という用語は、典型的にNADHまたはNADPHのいずれかを電子供与体として使用して、イソブチリル−CoAからイソブチルアルデヒドへの変換を触媒する酵素活性を有するポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。例証的アシル化アルデヒドデヒドロゲナーゼは、EC番号1.2.1.10および1.2.1.57で知られている。このような酵素は、クロストリジウム・ベイジェリンキ(Clostridium beijerinckii)(GenBank番号:AAD31841(配列番号64)、AF157306(配列番号65))、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)(GenBank番号:NP_149325(配列番号66)、NC_001988(配列番号67);NP_149199(配列番号68)、NC_001988(配列番号69))、P.プチダ(P.putida)(GenBank番号:AAA89106(配列番号70)、U13232(配列番号71))、およびサーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)(GenBank番号:YP_145486(配列番号72)、NC_006461(配列番号73))をはじめとするが、これに限定されるものではない、複数起源から入手できる。
「トランスアミナーゼ」という用語は、アラニンまたはグルタミン酸のいずれかをアミン供与体として使用して、α−ケトイソ吉草酸からL−バリンへの変換を触媒する酵素活性を有するポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。例証的トランスアミナーゼは、EC番号2.6.1.42および2.6.1.66で知られている。このような酵素は、いくつかの起源から入手できる。アラニン依存性酵素の起源の例としては、大腸菌(E.coli)(GenBank番号:YP_026231(配列番号74)、NC_000913(配列番号75))およびバチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)(GenBank番号:YP_093743(配列番号76)、NC_006322(配列番号77))が挙げられるが、これに限定されるものではない。グルタミン酸依存性酵素の起源の例としては、大腸菌(E.coli)(GenBank番号:YP_026247(配列番号78)、NC_000913(配列番号79))、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(GenBank番号:NP_012682(配列番号80)、NC_001142(配列番号81))およびメタノバクテリウム・サーモオートトロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)(GenBank番号:NP_276546(配列番号82)、NC_000916(配列番号83))が挙げられるが、これに限定されるものではない。
「バリンデヒドロゲナーゼ」という用語は、典型的にNAD(P)Hを電子供与体として、アンモニアをアミン供与体として使用し、α−ケトイソ吉草酸からL−バリンへの変換を触媒する酵素活性を有するポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。例証的バリンデヒドロゲナーゼは、EC番号1.4.1.8および1.4.1.9で知られており、このような酵素は、ストレプトミセス・コエリカラー(Streptomyces coelicolor)(GenBank番号:NP_628270(配列番号84)、NC_003888(配列番号85))およびバチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)(GenBank番号:CAB14339(配列番号86)、Z99116(配列番号87))をはじめとするが、これに限定されるものではない、いくつかの起源から入手できる。
「バリンデカルボキシラーゼ」という用語は、L−バリンからイソブチルアミンおよびCOへの変換を触媒する酵素活性を有する、ポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。例証的バリンデカルボキシラーゼは、EC番号4.1.1.14で知られている。このような酵素は、例えばストレプトミセス・ビリディファシエンス(Streptomyces viridifaciens)(GenBank番号:AAN10242(配列番号88)、AY116644(配列番号89))などのストレプトミセス属(Streptomyces)に見られる。
「ωトランスアミナーゼ」という用語は、適切なアミノ酸をアミン供与体として使用して、イソブチルアミンからイソブチルアルデヒドへの変換を触媒する酵素活性を有する、ポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。例証的ωトランスアミナーゼはEC番号2.6.1.18で知られており、アルカリゲネス・デニトリフィカンス(Alcaligenes denitrificans)(AAP92672(配列番号90)、AY330220(配列番号91))、ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)(GenBank番号:YP_294474(配列番号92)、NC_007347(配列番号93))、シューワネラ・オネイデンシス(Shewanella oneidensis)(GenBank番号:NP_719046(配列番号94)、NC_004347(配列番号95))、およびP.プチダ(P.putida)(GenBank番号:AAN66223(配列番号96)、AE016776(配列番号97))をはじめとするが、これに限定されるものではない、いくつかの起源から入手できる。
「アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ」という用語は、2分子のセチル−CoAからアセトアセチル−CoAおよび補酵素A(CoA)への変換を触媒する酵素活性を有する、ポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。例証的アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼは、短鎖アシルCoAとアセチル−CoAに対する基質選択性(順方向での反応)がある、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼであり、E.C.2.3.1.9に分類される[Enzyme Nomenclature 1992、AcademicPress、SanDiego];しかしより広い基質範囲の酵素(E.C.2.3.1.16)も同様に機能性である。アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼブは、例えば、大腸菌(E.coli)(GenBank番号:NP_416728、NC_000913;NCBIアミノ酸配列、NCBIヌクレオチド配列)、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)(GenBank番号:NP_349476.1、NC_003030;NP_149242、NC_001988)、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)(GenBank番号:NP_390297、NC_000964)、およびサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(GenBank番号:NP_015297、NC_001148)などのいくつかの起源から入手できる。
「3−ヒドロキシブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ」という用語は、アセトアセチル−CoAから3−ヒドロキシブチリル−CoAへの変換を触媒する酵素活性を有するポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。例証的3−ヒドロキシブチリル−CoAデヒドロゲナーゼは、NADH−依存性であってもよく、(S)−3−ヒドロキシブチリル−CoAまたは(R)−3−ヒドロキシブチリル−CoAに対する基質選択性がある。例証的酵素は、それぞれE.C.1.1.1.35およびE.C.1.1.1.30に分類されてもよい。さらに3−ヒドロキシブチリル−CoAデヒドロゲナーゼは、ADPH依存性であってもよく、(S)−3−ヒドロキシブチリル−CoAまたは(R)−3−ヒドロキシブチリル−CoAに対する基質選択性がああり、それぞれE.C.1.1.1.157およびE.C.1.1.1.36に分類される。3−ヒドロキシブチリル−CoAデヒドロゲナーゼは、例えば、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)(GenBank番号:NP_349314、NC_003030)、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)(GenBank番号:AAB09614、U29084)、ラルストニア・ユートロファ(Ralstonia eutropha)(GenBank番号:YP_294481、NC_007347)、およびアルカリゲネス・ユートロファス(Alcaligenes eutrophus)(GenBank番号:AAA21973、J04987)などのいくつかの起源から入手できる。
「クロトナーゼ」という用語は、3−ヒドロキシブチリル−CoAからクロトニル−CoAおよびHOへの変換を触媒する酵素活性を有する、ポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。例証的クロトナーゼは、(S)−3−ヒドロキシブチリル−CoAまたは(R)−3−ヒドロキシブチリル−CoAに対する基質選択性を有してもよく、それぞれE.C.4.2.1.17およびE.C.4.2.1.55に分類されてもよい。クロトナーゼは、例えば、大腸菌(E.coli)(GenBank番号:NP_415911、NC_000913)、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)(GenBank番号:NP_349318、NC_003030)、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)(GenBank番号:CAB13705、Z99113)、およびアエロモナス・カビアエ(Aeromonas caviae)(GenBank番号:BAA21816、D88825)などのいくつかの起源から入手できる。
「ブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ」という用語は、クロトニル−CoAからブチリル−CoAへの変換を触媒する酵素活性を有する、ポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。例証的ブチリル−CoAデヒドロゲナーゼは、NADH依存性、NADPH依存性、またはフラビン依存性であってもよく、それぞれE.C.1.3.1.44、E.C.1.3.1.38、およびE.C.1.3.99.2に分類されてもよい。ブチリル−CoAデヒドロゲナーゼは、例えば、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)(GenBank番号:NP_347102、NC_003030)、ミドリムシ(Euglena gracilis)(GenBank番号:Q5EU90、AY741582)、ストレプトミセス・コリヌス(Streptomyces collinus)(GenBank番号:AAA92890、U37135)、およびストレプトミセス・コエリカラー(Streptomyces coelicolor)(GenBank番号:CAA22721、AL939127)などのいくつかの起源から入手できる。
「ブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ」という用語は、補助因子としてNADHまたはNADPHを使用して、ブチリル−CoAからブチルアルデヒドへの変換を触媒する酵素活性を有するポリペプチド(またはポリペプチド)を指す。NADHに対する選択性があるブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼは、E.C.1.2.1.57として知られており、例えば、クロストリジウム・ベイジェリンキ(Clostridium beijerinckii)(GenBank番号:AAD31841、AF157306)およびC.アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)(GenBank番号:NP_149325、NC_001988)から入手できる。
「イソブチリル−CoAムターゼ」という用語は、ブチリル−CoAからイソブチリル−CoAへの変換を触媒する酵素活性を有するポリペプチド(またはポリペプチド)を指す。この酵素は、補助因子として補酵素B12を使用する。例証的イソブチリル−CoAムターゼは、EC番号5.4.99.13で知られている。これらの酵素は、ストレプトミセス・シンナモネンシス(Streptomyces cinnamonensis)(GenBank番号:AAC08713(配列番号98)、U67612(配列番号99);CAB59633(配列番号100)、AJ246005(配列番号101))、ストレプトミセス・コエリカラー(Streptomyces coelicolor)(GenBank番号:CAB70645(配列番号102)、AL939123(配列番号103);CAB92663(配列番号104)、AL939121(配列番号105))、およびストレプトミセス・アベルミティリス(Streptomyces avermitilis)(GenBank番号:NP_824008(配列番号106)、NC_003155(配列番号107);NP_824637(配列番号108)、NC_003155(配列番号109))をはじめとするが、これに限定されるものではない、いくつかのストレプトミセス属(Streptomyces)に見られる。
「アセト乳酸デカルボキシラーゼ」という用語は、α−アセト乳酸からアセトインへの変換を触媒する酵素活性を有する、ポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。例証的アセト乳酸デカルボキシラーゼはEC 4.1.1.5として知られており、例えば、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)(GenBank番号:AAA22223、L04470)、クレブシエラ・テリゲナ(Klebsiella terrigena)(GenBank番号:AAA25054、L04507)およびクレブシエラ・ニューモニアエ(Klebsiella pneumoniae)(GenBank番号:AAU43774、AY722056)から入手できる。
「アセトインアミナーゼ」または「アセトイントランスアミナーゼ」という用語は、アセトインから3−アミノ−2−ブタノールへの変換を触媒する酵素活性を有する、ポリペプチド(またはポリペプチド)を指す。アセトインアミナーゼは、補助因子ピリドキサール5’−リン酸またはNADHまたはNADPHを利用してもよい。得られた生成物は、3位に(R)または(S)立体配置を有してもよい。ピリドキサールリン酸依存性酵素は、アラニンまたはグルタミン酸などのアミノ酸をアミノ供与体として使用してもよい。NADH依存性酵素およびNADPH依存性酵素は、アンモニアを第2の基質として使用してもよい。アミノアルコールデヒドロゲナーゼとしてもまた知られている、NADH依存性アセトインアミナーゼの適切な例が、Ito,et al.(米国特許第6,432,688号明細書)によって記載される。ピリドキサール依存性アセトインアミナーゼの一例は、Shin and Kim(J.Org.Chem.67:2848−2853(2002))によって記載される、アミン:ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ(アミン:ピルビン酸トランスアミナーゼとも称される)である。
「アセトインキナーゼ」という用語は、アセトインからホスホアセトインへの変換を触媒する酵素活性を有する、ポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。アセトインキナーゼは、反応中で、ATP(アデノシン三リン酸)またはホスホエノールピルビン酸をリン酸供与体として利用してもよい。例えば、同様の基質ジヒドロキシアセトン上で類似反応を触媒する酵素としては、EC 2.7.1.29で知られている酵素が挙げられる(Garcia−Alles,et al.,Biochemistry 43:13037−13046,2004)。
「アセトインリン酸アミナーゼ」という用語は、ホスホアセトインから3−アミノ−2−ブタノールO−リン酸への変換を触媒する酵素活性を有する、ポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。アセトインリン酸アミナーゼは、補助因子ピリドキサール5’−リン酸、NADHまたはNADPHを使用してもよい。得られた生成物は、3位に(R)または(S)立体配置を有してもよい。ピリドキサールリン酸依存性酵素は、アラニンまたはグルタミン酸などのアミノ酸を使用してもよい。NADH依存性酵素およびNADPH依存性酵素は、アンモニアを第2の基質として使用してもよい。ホスホアセトインに対するこの反応を触媒する酵素の報告はないが、同様の基質セリノールリン酸に対して類似反応を起こすと提案されるピリドキサールリン酸依存性酵素がある(Yasuta,et al.,Appl.Environ.Microbial.67:4999−5009,2001)。
「アミノアルコールO−リン酸リアーゼ」とも称される「アミノブタノールリン酸ホスホリアーゼ」という用語は、3−アミノ−2−ブタノールO−リン酸から2−ブタノンへの変換を触媒する酵素活性を有する、ポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。アミノブタノールリン酸ホスホ−リアーゼは、補助因子ピリドキサール5’−リン酸を利用してもよい。同様の基質1−アミノ−2−プロパノールリン酸上での類似反応を触媒する酵素の報告がある(Jones,et al.,BiochemJ.134:167−182,1973)。米国特許出願公開第2007/0259410号明細書は、生物エルウィニア・カロトボーラ(Erwinia carotovora)からのアミノブタノールリン酸ホスホリアーゼを記載する。
「アミノブタノールキナーゼ」という用語は、3−アミノ−2−ブタノールから3−アミノ−2ブタノールO−リン酸への変換を触媒する酵素活性を有する、ポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。アミノブタノールキナーゼは、ATPをリン酸供与体として利用してもよい。3−アミノ−2−ブタノール上で、この反応を触媒する酵素の報告はないが、同様の基質エタノールアミンおよび1−アミノ−2−プロパノール上で類似反応を触媒する酵素の報告がある(Jones,et al.,前出)。米国特許出願公開第2009/0155870号明細書は、実施例14において、エルウィニア・カロトボーラ(Erwinia carotovora)亜株アトロセプチカ(Atroseptica)のアミノアルコールキナーゼを記載する。
「アセトイン還元酵素」としてもまた知られている「ブタンジオールデヒドロゲナーゼ」という用語は、アセトインから2,3−ブタンジオールへの変換を触媒する酵素活性を有する、ポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。ブタンジアールデヒドロゲナーゼは、幅広いアルコールデヒドロゲナーゼファミリーのサブセットである。ブタンジオールデヒドロゲナーゼ酵素は、アルコール生成物中の(R)または(S)立体配置の生成に対する特異性を有してもよい。(S)特異的ブタンジオールデヒドロゲナーゼはEC 1.1.1.76として知られており、例えばクレブシエラ・ニューモニアエ(Klebsiella pneumoniae)(GenBank番号:BBA13085、D86412)から入手できる。(R)特異的ブタンジオールデヒドロゲナーゼはEC 1.1.1.4として知られており、例えばバチルス・セレウス(Bacilluscereus)(GenBank番号.NP830481、NC_004722;AAP07682、AE017000)、およびラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)(GenBank番号AAK04995、AE006323)から入手できる。
「ジアールデヒドラターゼ」または「プロパンジオールデヒドラターゼ」としてもまた知られている「ブタンジオールデヒドラターゼ」という用語は、2,3−ブタンジオールから2−ブタノンへの変換を触媒する酵素活性を有するポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。ブタンジオールデヒドラターゼは、補助因子アデノシルコバラミンを利用してもよい(補酵素BwまたはビタミンB12としてもまた知られている;しかしビタミンB12は、補酵素B12でないコバラミンのその他の形態もまた指してもよい)。アデノシルコバラミン依存性酵素はEC 4.2.1.28として知られており、例えば、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)(GenBank番号:AA08099(αサブユニット)、D45071;BAA08100(βサブユニット)、D45071;およびBBA08101(γサブユニット)、D45071(全ての3つのサブユニットが活性に必要であることに留意されたい)]、およびクレブシエラ・ニューモニアエ(Klebsiella pneumonia)(GenBank番号:AAC98384(αサブユニット)、AF102064;GenBank番号:AAC98385(βサブユニット)、AF102064、GenBank番号:AAC98386(γサブユニット)、AF102064)から入手できる。その他の適切なジアールデヒドラターゼとしては、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)(GenBank番号:AAB84102(大型サブユニット)、AF026270;AAB84103(中型サブユニット)、AF026270;AAB84104(小型サブユニット)、AF026270);およびラクトバチルス・コリノイデス(Lactobacillus collinoides)(GenBank番号:CAC82541(大型サブユニット)、AJ297723;CAC82542(中型サブユニット);AJ297723;CAD01091(小型サブユニット)、AJ297723)から入手できるB12依存性ジアールデヒドラターゼ ;およびラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)からの酵素(特にCNRZ734株およびCNRZ735株、Speranza,et al.,J.Agric.FoodChem.(1997)45:3476−3480)、および対応する酵素をコードするヌクレオチド配列が挙げられる。ジアールデヒドラターゼ遺伝子を単離する方法は、当該技術分野で周知である(例えば米国特許第5,686,276号明細書)。
「ピルビン酸デカルボキシラーゼ」(PDC)という用語は、ピルビン酸からアセトアルデヒドおよび二酸化炭素への脱炭酸を触媒する酵素活性を有する、ポリペプチド(またはポリペプチド群)を指す。ピルビン酸デヒドロゲナーゼは、EC番号4.1.1.1で知られている。これらの酵素は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(GenBank番号:CAA97575(配列番号110)、CAA97705(配列番号112)、CAA97091(配列番号114))をはじめとするいくつかの酵母に見られる。
本明細書で提供されるイソブタノール生合成経路を含んでなる微生物は、1つまたは複数の追加的な修飾をさらに含んでなってもよいことが、理解されるであろう。米国特許出願公開第2009/0305363号明細書(参照によって援用する)は、細胞質ゾル局在化アセト乳酸シンターゼの発現と、ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性の実質的排除とのために、酵母を遺伝子操作することで、増大されたピルビン酸からアセト乳酸への変換を開示する。いくつかの実施形態では、微生物は、米国特許出願公開第2009/0305363号明細書(参照によって本明細書に援用される)に記載されるような、グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ活性を低下させる修飾、および/またはピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする少なくとも1つの遺伝子の妨害、またはピルビン酸デカルボキシラーゼ遺伝子発現を制御する調節因子をコードする少なくとも1つの遺伝子の妨害、および米国特許出願公開第2010/0120105号明細書(参照によって本明細書に援用される)に記載されるような、エントナー・ドウドロフ経路または還元当量均衡を通じた炭素流増大を提供する微生物の修飾を含んでなってもよい。その他の修飾としては、ピルビン酸利用生合成経路の一段階を触媒するポリペプチドをコードする、少なくとも1つポリヌクレオチドの組み込みが挙げられる。その他の修飾としては、アセト乳酸還元酵素活性を有するポリペプチドをコードする内在性ポリヌクレオチド中の少なくとも1つの欠失、変異、および/または置換が挙げられる。いくつかの実施形態では、アセト乳酸還元酵素活性を有するポリペプチドは、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のYMR226c(配列番号130、131)またはその相同体である。追加的な修飾としては、アルデヒドデヒドロゲナーゼおよび/またはアルデヒドオキシダーゼ活性を有するポリペプチドをコードする内在性ポリヌクレオチド中の挿入、欠失、変異、および/または置換が挙げられる。いくつかの実施形態では、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドは、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)からのALD6またはその相同体である。酵母産生宿主細胞がpdc−である、グルコース抑制の低下効果を有する遺伝子修飾については、参照によって本明細書に援用する、米国特許出願公開第2011/0124060号明細書に記載される。いくつかの実施形態では、欠失されまたは下方制御されるピルビン酸デカルボキシラーゼは、PDC1、PDC5、PDC6、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ピルビン酸デカルボキシラーゼは、表3の酵素から選択される(PDC標的遺伝子コード領域およびタンパク質の配列番号)。いくつかの実施形態では、微生物は、グリセルアルデヒド−3−リン酸からグリセリン酸塩1,3、ビスホスフェートへの変換を触媒するポリペプチドをコードする、ポリヌクレオチドの欠失または下方制御を含有してもよい。いくつかの実施形態では、この反応を触媒する酵素は、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼである。
Figure 2015503350
酵母は、ピルビン酸デカルボキシラーゼをコードする1つまたは複数の遺伝子を有してもよい。例えば、カンジダ・グラブラータ(Candidaglabrata)およびシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)には、ピルビン酸デカルボキシラーゼをコードする1つの遺伝子がある一方で、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)には、PDC1、PCD5、およびPDC6遺伝子によってコードされるピルビン酸デカルボキシラーゼの3つのイソ酵素がある。いくつかの実施形態では、酵母細胞は、少なくとも1つのPDC遺伝子が不活性化されていてもよい。酵母細胞が、2つ以上の発現される(活性)PDC遺伝子を有する場合、活性PDC遺伝子のそれぞれは修飾され、または不活性化され、それによってpdc細胞を生じさせてもよい。例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)中では、PDC1、PDC5、およびPDC6遺伝子が修飾または不活性化されてもよい。使用される発酵条件下で、PDC遺伝子が活性でない場合、このような遺伝子を修飾または不活性化する必要はない。
配列番号110、112、114、116、118、120、122、124、126、または128のピルビン酸デカルボキシラーゼと、少なくとも約70〜75%、少なくとも約75〜85%、少なくとも約80〜85%、少なくとも約85%〜90%、少なくとも約90%〜95%、または少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する、ピルビン酸デカルボキシラーゼタンパク質をコードするものなどのその他の標的遺伝子は、文献中で、および当業者に周知のバイオインフォマティクスデータベース中で、同定してもよい。
微生物は、(a)ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ活性を有するポリペプチドをコードする、少なくとも1つの異種ポリヌクレオチド;および(b)(i)Fe−Sクラスター生合成に影響を及ぼすポリペプチドをコードする、内在性遺伝子中の少なくとも1つの欠失、変異、および/または置換;および/または(ii)Fe−Sクラスター生合成に影響を及ぼすポリペプチドをコードする、少なくとも1つの異種ポリヌクレオチドをさらに含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、Fe−Sクラスター生合成に影響を及ぼすポリペプチドは、AFT1、AFT2、FRA2、GRX3、またはCCC1によってコードされる。AFT1およびAFT2は、参照によって本明細書に援用する、国際公開第2001/103300号パンフレットに記載される。いくつかの実施形態では、Fe−Sクラスター生合成に影響を及ぼすポリペプチドは、構成的変異体AFT1 L99A、AFT1 L102A、AFT1 C291F、またはAFT1 C293Fである。
検出法
本明細書で開示されるのは、炭素基質からのブタノールの生産と、微生物(例えば組換え宿主細胞)の使用とに適した方法および工程である。炭素基質を利用してイソブタノールを生成する能力は、参照によって本明細書に援用する、米国特許第7,851,188号明細書で記載されるものをはじめとするが、これに限定されるものではない、当該技術分野で公知の方法を使用して確認し得る。例えばイソブタノールを生成するためのスクロース利用を確認するために、いくつかの当該技術分野で公知の方法によって、培地中のイソブタノール濃度を測定し得る。例えば特定の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法は、屈折率(RI)検出があるShodex(商標)SH−Gガードカラム付きShodex(商標)SH−1011カラム(Waters Corporation,Milford,MA)を利用した。クロマトグラフィーの分離は、流速0.5mL/分の移動相として0.01MHSOを使用して、カラム温度50℃で達成された。イソブタノールは、使用された条件下で46.6分間の滞留時間を有した。代案としては、ガスクロマトグラフィー(GC)法が利用できる。例えば特定のGC方法は、水素炎イオン化検出器(FID)付きのHP−INNOWaxカラム(30m×0.53mm内径、1μmフィルム厚、Agilent Technologies,Wilmington,DE)を利用した。キャリアガスは、上部圧一定の150℃における測定で、流速4.5mL/分のヘリウムであった;注入器スプリットは、200℃で1:25であった;オーブン温度は、45℃で1分間、10℃/分で45〜220℃、および220℃で5分間であり;FID検出は、26mL/分のヘリウムメークアップガスにより240℃で用いられた。イソブタノールの滞留時間は、4.5分間であった。
ブタノール生成
本明細書で開示されるのは、ブタノールの生産と、微生物(例えば組換え宿主細胞)の使用とに適した方法および工程、および細胞生存度および生産性を改善する方法である。
「細胞再循環」または「細胞再循環」という用語は、遠心分離などによって、酵母またはその他の微生物(例えば組換え宿主細胞)を発酵ブロスから分離し、次に酵母を発酵槽に戻して再循環させる工程を指す。
いくつかの実施形態では、細胞再循環ステップが、少なくとも約2回、少なくとも約3回、少なくとも約4回、少なくとも約5回、少なくとも約10回、少なくとも約20回、少なくとも約30回、少なくとも約40回、少なくとも約50回、少なくとも約75回、少なくとも約100回、少なくとも約125回、少なくとも約150回、少なくとも約175回、少なくとも約200回、少なくとも約250回、少なくとも約300回、少なくとも約400回、少なくとも約500回、またはそれを上回る回数繰り返される。
「酸洗浄(acid washing)」、「酸洗浄された(acid washed)」、または「酸洗浄(acid wash)」という用語は、細胞懸濁液のあらゆる酸洗浄を指す。いくつかの実施形態では、細胞懸濁液は、酵母またはその他の微生物(例えば組換え宿主細胞)の懸濁液であってもよい。酸洗浄は、微生物汚染の存在に起因する、炭素基質からブタノールまたはその他の発酵産物への効率的な変換に関連する、先行技術における困難さを克服する。酸洗浄は、参照によって本明細書に援用する、国特許出願公開第2011/0207192号明細書に記載される。
酸洗浄ステップ中に、微生物汚染は、酸の添加によって、約2.0未満のpHに曝露される。pHは約1を超えてもよいが、3.0未満である。これは、例えば少なくとも約1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8または2.9のpHまたはそれらの間のあらゆるpHなどの全てのサブ値を含み、本発明の範囲内に含まれる。用いられてもよいpH範囲の例としては、少なくとも約1.0〜少なくとも約3.0、少なくとも約1.0〜少なくとも約2.9、少なくとも約1.0〜少なくとも約2.8、少なくとも約1.0〜少なくとも約2.75、少なくとも約1.0〜少なくとも約2.5、少なくとも約1.0〜少なくとも約2.4、少なくとも約1.0〜少なくとも約2.3、少なくとも約1.0〜少なくとも約2.2、少なくとも約1.0〜少なくとも約2.1、または少なくとも約1.0〜少なくとも約2.0が挙げられる。
本発明の一実施形態では、酸は、硫酸、塩酸、亜硫酸、リン酸および硝酸からなる群から選択される鉱酸である。
いくつかの実施形態では、酸洗浄ステップが、少なくとも約2回、少なくとも約3回、少なくとも約4回、少なくとも約5回、少なくとも約10回、少なくとも約20回、少なくとも約30回、少なくとも約40回、少なくとも約50回、少なくとも約75回、少なくとも約100回、少なくとも約125回、少なくとも約150回、少なくとも約175回、少なくとも約200回、少なくとも約250回、少なくとも約300回、少なくとも約400回、少なくとも約500回、またはそれを上回る回数繰り返される。
いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞には、細胞再循環中に酸洗浄ステップが実施される。いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞には、細胞再循環後に酸洗浄ステップが実施される。いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞には、各細胞再循環毎に酸洗浄ステップが実施される。いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞には、少なくとも約2回の細胞再循環ステップ毎に、少なくとも約3回の細胞再循環ステップ毎に、少なくとも約4回の細胞再循環ステップ毎に、少なくとも約5回の細胞再循環ステップ毎に、少なくとも約6回の細胞再循環ステップ毎に、少なくとも約7回の細胞再循環ステップ毎に、少なくとも約8回の細胞再循環ステップ毎に、少なくとも約9回の細胞再循環ステップ毎に、少なくとも約10回の細胞再循環ステップ毎に、少なくと約15回の細胞再循環ステップ毎に、少なくとも約20回、またはを上回る回数の細胞再循環毎に、酸洗浄ステップが実施される。
「再生」という用語は、遠心分離などによって、酵母またはその他の微生物(例えば組換え宿主細胞)を発酵ブロスから分離して、富栄養培地に一定期間曝露する工程を指す。
「富栄養培地」という用語は、炭素基質、窒素、ミネラル、微量成分、およびビタミンのいずれかを含有してもよい、培地、製剤、または組成物を指す。例えば富栄養培地は、ビオチン、パントテン酸、葉酸、ナイアシン、アミノ安息香酸、ピリドキシン、リボフラビン、チアミン、イノシトール、カリウム(例えばリン酸カリウム)、ホウ酸、カルシウム、クロム、銅(例えば硫酸銅)、ヨウ化物(例えばヨウ化カリウム)、鉄(例えば塩化第二鉄)、リチウム、マグネシウム(例えば硫酸マグネシウム)、マンガン(例えば硫酸マンガン)、モリブデン、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、バナジウム、亜鉛(例えば硫酸亜鉛)、酵母抽出物、大豆ペプトンなどのいずれかを含有してもよい。
いくつかの実施形態では、再生工程は、少なくとも約2回、少なくとも約3回、少なくとも約4回、少なくとも約5回、少なくとも約10回、少なくとも約20回、またはそれを上回る回数繰り返されてもよい。
いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞には、酸洗浄ステップ後に、再生工程が実施される。いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞には、各酸洗浄後に、再生工程が実施される。いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞には、少なくとも約2回の洗浄ステップ毎に、少なくとも約3回の酸洗浄ステップ毎に、少なくとも約4回の酸洗浄ステップ毎に、少なくとも約5回の酸洗浄ステップ毎に、少なくとも約6回酸洗浄ステップ毎に、少なくとも約7回の酸洗浄ステップ毎に、少なくとも約酸洗浄ステップ毎に、少なくとも約9回の酸洗浄ステップ毎に、少なくとも約10回、またはそれを上回る回数の酸洗浄ステップ毎に、再生工程が実施される。
本発明の一実施形態は、
(a)アルコールを生成する微生物を提供するステップと;
(b)アルコールが生成される条件下で、微生物を1つまたは数複の炭素源と接触させるステップと;
(c)微生物を収集するステップと;
(d)アルコールを回収するステップと;
(e)アルコールが生成される条件下で、ステップ(c)の微生物を1つまたは複数の炭素源と接触させるステップと;
(f)ステップ(c)〜(e)を反復するステップと;
任意選択的に、ステップ(c)の収集された微生物を低pH条件に曝露するステップと
を含んでなる、アルコールを生産する方法を対象とする。
本発明の一実施形態は、
(a)ブタノールを生成する微生物を提供するステップと;
(b)ブタノールが有効収率で生成される条件下で、微生物を1つまたは複数の炭素基質と接触させるステップと;
(c)微生物を収集するステップと;
(d)ブタノールを回収するステップと;
(e)ブタノールが有効収率で生成される条件下で、ステップ(c)の微生物を1つまたは複数の炭素基質と接触させるステップと;
(f)ステップ(c)〜(e)を反復するステップと;
任意選択的に、ステップ(c)の微生物を低pH条件に曝露するステップと
を含んでなる、ブタノールを生産する方法を対象とする。
本発明の一実施形態は、
(a)アルコールを生成する微生物を提供するステップと;
(b)微生物を、アルコールが生成される条件下で1つまたは数複の炭素基質と接触させるステップと;
(c)微生物を収集するステップと;
(d)アルコールを回収するステップと;
(e)ステップ(c)の微生物を富栄養培地と接触させるステップと;
(f)ステップ(e)の微生物を収集するステップと;
(g)アルコールが生成される条件下で、ステップ(f)の微生物を1つまたは複数の炭素基質と接触させるステップと;
(h)ステップ(c)〜(g)を反復するステップと
を含んでなる、アルコールを生産する方法を対象とする。
本発明の一実施形態は、
(a)ブタノールを生成する微生物を提供するステップと;
(b)ブタノールが有効収率で生成される条件下で、微生物を1つまたは複数の炭素基質と接触させるステップと;
(c)微生物を収集するステップと;
(d)ブタノールを回収するステップと;
(e)ステップ(c)の微生物を富栄養培地と接触させるステップと;
(f)ステップ(e)の微生物を収集するステップと;
(g)ブタノールが有効収率で生成される条件下で、ステップ(f)の微生物を1つまたは複数の炭素基質と接触させるステップと;
(h)ステップ(c)〜(g)を反復するステップと
を含んでなる、ブタノールを生産する方法を対象とする。
本発明の一実施形態は、
(a)アルコールを生成する微生物を提供するステップと;
(b)アルコールが生成される条件下で、微生物を1つまたは数複の炭素基質と接触させるステップと;
(c)微生物を収集するステップと;
(d)アルコールを回収するステップと;
(e)ステップ(c)の微生物を低pH条件に曝露するステップと;
(f)ステップ(e)からの微生物を収集するステップと;
(g)ステップ(f)の微生物を富栄養培地と接触させるステップと;
(h)ステップ(g)の微生物を収集するステップと;
(i)アルコールが生成される条件下で、ステップ(h)の微生物を1つまたは複数の炭素基質と接触させるステップと;
(j)任意選択的に、ステップ(c)〜(i)を反復するステップと
を含んでなる、アルコールを生産する方法を対象とする。
本発明の一実施形態は、
(a)ブタノールを生成する微生物を提供するステップと;
(b)ブタノールが有効収率で生成される条件下で、微生物を1つまたは複数の炭素基質と接触させるステップと;
(c)微生物を収集するステップと;
(d)ブタノールを回収するステップと;
(e)ステップ(c)の微生物を低pH条件に曝露するステップと;
(f)ステップ(e)からの微生物を収集するステップと;
(g)ステップ(f)の微生物を富栄養培地と接触させるステップと;
(h)ステップ(g)の微生物を収集するステップと;
(i)ブタノールが有効収率で生成される条件下で、ステップ(h)の微生物を1つまたは複数の炭素基質と接触させるステップと;
(j)任意選択的に、ステップ(c)〜(i)を反復するステップと
を含んでなる、ブタノールを生産する方法を対象とする。
いくつかの実施形態では、pHは約2.0以下である。いくつかの実施形態では、pH条件は約2〜約4であってもよい。いくつかの実施形態では、収集された微生物は、少なくとも約1時間にわたり、約2.0以下のpH条件に曝露されてもよい。いくつかの実施形態では、生成されるアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、またはヘキサノールである。いくつかの実施形態では、ブタノールは、イソブタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、または2−ブタノンである。
ブタノールが生成されるいくつかの実施形態では、ブタノールが、少なくとも約6g/Lの濃度で回収される。いくつかの実施形態では、第2の接触させるステップ(例えばステップ(e)、(g)、(i))の有効収率は、第1の接触させるステップ(例えばステップ(b))の有効収率の少なくとも約90%である。いくつかの実施形態では、第2の接触させるステップ(例えばステップ(e)、(g)、(i))の有効収率は、第1の接触させるステップ(例えばステップ(b))の有効収率の少なくとも約99%である。いくつかの実施形態では、微生物は少なくとも約1時間にわたり、および/または少なくとも約0.3%ブタノールの存在下で、曝露される。
いくつかの実施形態では、微生物を少なくとも5回再循環させる。いくつかの実施形態では、微生物を少なくとも10回再循環させる。いくつかの実施形態では、再循環ステップ中に微生物を酸洗浄する。いくつかの実施形態では、再循環ステップ後に微生物を酸洗浄する。
いくつかの実施形態では、所望のイソブタノール生成後に、微生物を収集してもよい。収集は、例えば遠心分離をはじめとする、当該技術分野で公知のあらゆる方法によって実施してもよい。いくつかの実施形態では、収集された微生物を酸性条件に曝露して、次に酸洗浄ステップにおいて、炭素基質に再度接触させてもよい。細胞再循環を用いる、本発明のいくつかの実施形態では、酸処理細胞を炭素基質に再度接触させる前に、発酵ブロスから分離された細胞懸濁液に、酸を添加してもよい。いくつかの実施形態では、収集された微生物を富栄養培地に一定期間曝露して収集し、炭素基質に再度接触させてもよい。いくつかの実施形態では、富栄養培地への曝露に先だって、微生物を酸洗浄してもよい。
いくつかの実施形態では、炭素基質との第1の接触は、嫌気的条件で実施してもよい。いくつかの実施形態では、炭素基質との第1の接触は、微好気的条件で実施してもよい。いくつかの実施形態では、再循環は嫌気的条件で実施してもよい。いくつかの実施形態では、再循環は微好気的条件で実施してもよい。
いくつかの実施形態では、炭素基質は、オリゴ糖類、多糖類、単糖類、およびそれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、炭素基質は、フルクトース、グルコース、乳糖、マルトース、ガラクトース、スクロース、デンプン、セルロース、原材料、エタノール、乳酸、コハク酸、グリセロール、コーンマッシュ、サトウキビ、バイオマス、キシロースおよびアラビノースなどのC5糖、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、イソブタノールが生成される条件下で、微生物を炭素基質と接触させる。いくつかの実施形態では、適切な培地と共に、所与の細胞密度の微生物を発酵容器に添加してもよい。いくつかの実施形態では、培地は炭素基質を含有してもよく、または炭素基質は別に添加してもよい。いくつかの実施形態では、炭素基質は、イソブタノール生産開始時および/または生産中に、あらゆる濃度で存在してもよい。いくつかの実施形態では、炭素基質の最初の濃度は約60〜80g/Lの範囲である。発酵の適切な温度は当業者に知られており、用いられる微生物の属および/または種に左右される。いくつかの実施形態では、適切な温度は25℃〜43℃の範囲である。
いくつかの実施形態では、接触は、少なくとも約90%のスクロースが利用されるまで、または所望のイソブタノール有効力価に達するまで行われる。いくつかの実施形態では、イソブタノール有効力価は、少なくとも約40g/L、少なくとも約50g/L、少なくとも約60g/L、少なくとも約70g/L、少なくとも約80g/L、少なくとも約90g/L、少なくとも約100g/L、または少なくとも約110g/Lである。
いくつかの実施形態では、微生物は、30℃〜37℃の温度範囲で培養されてもよい。いくつかの実施形態では、微生物は、1〜5時間培養されてもよい。いくつかの実施形態では、微生物は、振盪機(Innova 44R、New Brunswick Scientific,CT,USA)内で撹拌しながら(例えば100〜400rpm)培養されてもよい。
微生物と炭素基質の間の接触時間は、イソブタノールが生成されるあらゆる長さでもよい。いくつかの実施形態では、微生物を1つまたは複数の炭素基質と接触させるステップは、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、少なくとも約24時間、少なくとも約36時間、少なくとも約48時間、少なくとも約72時間、少なくとも約96時間、少なくとも約120時間、少なくとも約144時間、少なくとも約168時間、少なくとも約192時間、少なくとも約216時間、またはそれを上回る。いくつかの実施形態では、接触させるステップ後に、微生物を酸洗浄する。いくつかの実施形態では、接触は8時間未満である。
いくつかの実施形態では、微生物は、炭素基質との第1の接触において、少なくとも約0.5gdcw/Lの細胞密度で存在する。いくつかの実施形態では、微生物は、イソブタノール生産のために炭素基質と接触させるのに先だって、少なくとも約6gdcw/Lの細胞密度で培養されてもよい。いくつかの実施形態では、炭素基質と接触させるのに先だって、細胞密度は、少なくとも約20gdcw/L、少なくとも約25gdcw/L、または少なくとも約35gdcw/Lであってもよい。
いくつかの実施形態では、微生物は、少なくとも約0.1g/gdcw/hの比生産性を有する。いくつかの実施形態では、炭素基質との第1の接触の間に、ブタノールが少なくとも約0.1g/gdcw/hの有効速度で生成される。いくつかの実施形態では、炭素基質との第1の接触は、抽出剤の存在下で行われる。いくつかの実施形態では、微生物は、少なくとも約1.0g/gdcw/hの糖取り込み速度を維持する。いくつかの実施形態では、微生物は、少なくとも約0.5g/gdcw/hの糖取り込み速度を維持する。いくつかの実施形態では、グルコース利用速度は、少なくとも約2.5g/gdcw/hである。いくつかの実施形態では、スクロース取り込み速度は、少なくとも約2.5g/gdcw/hである。いくつかの実施形態では、合わせたグルコースおよびフルクトース取り込み速度は、少なくとも約2.5g/gdcw/hである。
いくつかの実施形態では、炭素基質との第1の接触は、抽出剤の存在下で行われてもよい。いくつかの実施形態では、抽出剤の存在下での炭素基質との第1の接触は、嫌気的条件下で行われる。いくつかの実施形態では、抽出剤の存在下での炭素基質との第1の接触は、微好気的条件下で行われる。
いくつかの実施形態では、微生物は、少なくとも約90%の有効収率、少なくとも約91%の有効収率、少なくとも約92%の有効収率、少なくとも約93%の有効収率、少なくとも約94%の有効収率、少なくとも約95%の有効収率、少なくとも約96%の有効収率、少なくとも約97%の有効収率、少なくとも約98%の有効収率、または少なくとも約99%の有効収率でブタノールを生成する。いくつかの実施形態では、微生物は、少なくとも約55%〜少なくとも約75%の有効収率、少なくとも約50%〜少なくとも約80%の有効収率、少なくとも約45%〜少なくとも約85%の有効収率、少なくとも約40%〜少なくとも約90%の有効収率、少なくとも約35%〜少なくとも約95%の有効収率、少なくとも約30%〜少なくとも約99%の有効収率、少なくとも約25%〜少なくとも約99%の有効収率、少なくとも約10%〜少なくとも約99%の有効収率または少なくとも約10%〜少なくとも約100%の有効収率でブタノールを生成する。
いくつかの実施形態では、微生物は、組換え宿主細胞であってもよい。いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞は、ブタノール生合成経路を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、ブタノール生合成経路は、イソブタノール生合成経路である。いくつかの実施形態では、イソブタノール生合成経路は、(a)ピルビン酸からアセト乳酸;(b)アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸;(c)2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸から2−ケトイソ吉草酸;(d)2−ケトイソ吉草酸からイソブチルアルデヒド;および(e)イソブチルアルデヒドからイソブタノールからなる群から選択される、基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなる。いくつかの実施形態では、イソブタノール生合成経路は、アセト乳酸シンターゼ活性、ケト酸レダクトイソメラーゼ活性、ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ活性、ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性、およびアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなる。
いくつかの実施形態では、イソブタノール生合成経路は、(a)ピルビン酸からアセト乳酸;(b)アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸;(c)2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸からα−ケトイソ吉草酸;(d)α−ケトイソ吉草酸からイソブチリル−CoA;(e)イソブチリル−CoAからイソブチルアルデヒド;および(f)イソブチルアルデヒドからイソブタノールからなる群から選択される、基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、イソブタノール生合成経路は、アセト乳酸シンターゼ活性;アセトヒドロキシ酸レダクトイソメラーゼ活性;アセトヒドロキシ酸デヒドラターゼ活性;分枝鎖ケト酸デヒドロゲナーゼ活性;アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性;および分枝鎖アルコールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリヌクレオチドをコードするポリペプチドを含んでなる。
いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞は、ブタノール生合成経路を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、1−ブタノール生合成経路は、(a)アセチル−CoAからアセトアセチル−CoA;(b)アセトアセチル−CoAから3−ヒドロキシブチリル−CoA;(c)3−ヒドロキシブチリル−CoAからクロトニル−CoA;(d)クロトニル−CoAからブチリル−CoA;(e)ブチリル−CoAからブチルアルデヒド;および(f)ブチルアルデヒドから1−ブタノールからなる群から選択される、基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、1−ブタノール生合成経路は、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ活性;3−ヒドロキシブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ活性;クロトナーゼ活性;ブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ活性;ブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性、およびブタノールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリヌクレオチドをコードするポリペプチドを含んでなってもよい。
いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞は、ブタノール生合成経路を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、2−ブタノール生合成経路は、(a)ピルビン酸からα−アセト乳酸;(b)α−アセト乳酸からアセトイン;(c)アセトインから3−アミノ−2−ブタノール;(d)3−アミノ−2−ブタノールから3−アミノ−2−ブタノールリン酸;(e)3−アミノ−2−ブタノールリン酸から2−ブタノン;および(f)−ブタノンから2−ブタノールからなる群から選択される、基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなる。いくつかの実施形態では、2−ブタノール生合成経路は、アセト乳酸シンターゼ活性;アセト乳酸デカルボキシラーゼ活性;アセトニンアミナーゼ活性;アミノブタノールキナーゼ活性;アミノブタノールリン酸ホスホリラーゼ活性;およびブタノールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリヌクレオチドをコードするポリペプチドを含んでなる。
いくつかの実施形態では、2−ブタノール生合成経路は、(a)ピルビン酸からα−アセト乳酸;(b)α−アセト乳酸からアセトイン;(c)アセトインから2,3−ブタンジオール;(d)2,3−ブタンジオールから2−ブタノン;および(e)2−ブタノンから2−ブタノールからなる群から選択される、基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、2−ブタノール生合成経路は、アセト乳酸シンターゼ活性;アセト乳酸デカルボキシラーゼ活性;ブタンジオールデヒドロゲナーゼ活性;ジアールデヒドラターゼ活性;およびブタノールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリヌクレオチドをコードするポリペプチドを含んでなる。
いくつかの実施形態では、基質から産物への変換の1つまたは複数は、補助因子としてNADHまたはNADPH利用する。いくつかの実施形態では、NADHが好ましい補助因子である。
いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞のブタノール経路は、以下の酵素番号を有する酵素群から選択されるポリペプチドの少なくとも1つを含んでなってもよい:EC 2.2.1.6、EC 1.1.1.86、EC 4.2.1.9、EC 4.1.1.72、EC 1.1.1.1、EC 1.1.1.265、EC 1.1.1.2、EC 1.2.4.4、EC 1.3.99.2、EC 1.2.1.57、EC 1.2.1.10、EC 2.6.1.66、EC 2.6.1.42、EC 1.4.1.9、EC 1.4.1.8、EC 4.1.1.14、EC 2.6.1.18、EC 2.3.1.9、EC 2.3.1.16、EC 1.1.130、EC 1.1.1.35、EC 1.1.1.157、EC 1.1.1.36、EC 4.2.1.17、EC 4.2.1.55、EC 1.3.1.44、EC 1.3.1.38、EC 5.4.99.13、EC 4.1.1.5、EC 2.7.1.29、EC 1.1.1.76、EC 1.2.1.57、およびEC 4.2.1.28。
いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞のブタノール経路は、以下の酵素群から選択される少なくとも1つのポリペプチドを含んでなる:アセト乳酸シンターゼ、アセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼ、アセトヒドロキシ酸デヒドラターゼ、分枝鎖α−ケト酸デカルボキシラーゼ、分枝鎖アルコールデヒドロゲナーゼ、アシル化アルデヒドデヒドロゲナーゼ、分枝鎖ケト酸デヒドロゲナーゼ、ブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ、ブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ、トランスアミナーゼ、バリンデヒドロゲナーゼ、バリンデカルボキシラーゼ、ωトランスアミナーゼ、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ、3−ヒドロキシブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ、クロトナーゼ、ブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ、イソブチリル−CoAムターゼ、アセト乳酸デカルボキシラーゼ、アセトニンアミナーゼ、ブタノールデヒドロゲナーゼ、ブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アセトインキナーゼ、アセトインリン酸アミナーゼ、アミノブタノールリン酸ホスホリアーゼ、アミノブタノールキナーゼ、ブタンジオールデヒドロゲナーゼ、およびブタンジオールデヒドラターゼ。
いくつかの実施形態では、生合成経路からの酵素は細胞質ゾルに局在化する。いくつかの実施形態では、通常はミトコンドリアに局在化する生合成経路からの酵素が、細胞質ゾルに局在化する。いくつかの実施形態では、ミトコンドリア標的配列を除去することで、生合成経路からの酵素が細胞質ゾルに局在化する。いくつかの実施形態では、例えばその内容全体を参照によって本明細書に援用する、米国特許第7,851,188号明細書に記載される新しい開始コドンを作成することで、ミトコンドリア標的が除去される。いくつかの実施形態では、細胞質ゾルに局在化する生合成経路からの酵素はDHADである。いくつかの実施形態では、細胞質ゾルに局在化する生合成経路からの酵素はKARIである。
いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞は、cAMP情報伝達経路の1つまたは複数の構成要素の発現および/または活性を変化させる、1つまたは複数の修飾を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞は、1つまたは複数のリン酸ジエステラーゼの発現および/または活性を変化させる1つまたは複数の修飾を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞は、リン酸ジエステラーゼおよび/またはリン酸ジエステラーゼ活性の低下または排除を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞は、リン酸ジエステラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド中に、修飾を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞は、リン酸ジエステラーゼ活性を有するポリヌクレオチドをコードする内在性ポリペプチド中に、挿入、欠失、変異、および/または置換を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、リン酸ジエステラーゼ活性を有するポリペプチドは、酵素番号EC 3.1.4.17に相当する。いくつかの実施形態では、を有するポリペプチドリン酸ジエステラーゼ活性は、PDE1である。
いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞は、ピルビン酸デカルボキシラーゼを発現しない、または発現が低下している。いくつかの実施形態では、発現低下は、ピルビン酸デカルボキシラーゼをコードする遺伝子中の挿入、欠失、変異、および/または置換の結果である。いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞は、ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド中に、修飾を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞は、ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリヌクレオチドをコードする内在性ポリペプチド中に、挿入、欠失、変異、および/または置換を含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドは、PDC1、PDC5、PDC6、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、ピルビン酸デカルボキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする内在性ポリヌクレオチドは、PDC1、PDC5、PDC6、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞は、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼを発現しない、または発現が低下している。いくつかの実施形態では、発現低下は、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子中の挿入、欠失、変異、および/または置換の結果である。いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞は、BDH1を発現しない、または発現が低下している。いくつかの実施形態では、発現低下は、BDH1をコードする遺伝子中の挿入、欠失、変異、および/または置換の結果である。いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞は、アセト乳酸還元酵素をコードする遺伝子を発現しない、または発現が低下している。いくつかの実施形態では、発現低下は、YMR226cをコードする遺伝子中の挿入、欠失、変異、および/または置換の結果である。
本発明はまた、本明細書に記載される組換え宿主細胞を含んでなる組成物を対象とする。いくつかの実施形態では、組成物はまた富栄養培地も含んでなる。いくつかの実施形態では、組成物は少なくとも約2のpHを有してもよい。いくつかの実施形態では、組成物は約2以下のpHを有してもよい。いくつかの実施形態では、組成物は約2〜約4のpHを有してもよい。いくつかの実施形態では、組成物の組換え宿主細胞は、サッカロミセス属(Saccharomyces)、分裂酵母属(Schizosaccharomyces)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、カンジダ属(Candida)、クリベロミセス属(Kluyveromyces)、ヤロウィア属(Yarrowia)、イサタケンキア属(Issatchenkia)、またはピキア属(Pichia)のメンバーであってもよい。いくつかの実施形態では、組成物の組換え宿主細胞は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞は、アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸への基質から産物への変換を触媒する改変酵素を含んでなってもよい。
ブタノール産生菌
いくつかの実施形態では、組換え宿主細胞は、ブタノール産生菌(butanolgen)であってもよい。いくつかの実施形態では、ブタノール産生菌は、イソブタノール産生菌であってもよい。いくつかの実施形態では、適切なイソブタノール産生菌としては、遺伝子修飾および組換え遺伝子発現に有用なあらゆる酵母宿主が挙げられる。いくつかの実施形態では、イソブタノール産生菌宿主細胞は、分裂酵母属(Schizosaccharomyces)、イサタケンキア属(Issatchenkia)、クリベロミセス属(Kluyveromyces)、ヤロウィア属(Yarrowia)、ピキア属(Pichia)、カンジダ属(Candida)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、またはサッカロミセス属(Saccharomyces)のメンバーであってもよい。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クリベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、クリベロミセス・サーモトレランス(Kluyveromyces thermotolerans)、クリベロミセス・マルキシアナス(Kluyveromyces marxianus)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、ピキア・スティピティス(Pichia stipitis)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、大腸菌(E.coli)、またはラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)であってもよい。なおも別の実施形態では、宿主細胞は酵母宿主細胞である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、サッカロミセス属(Saccharomyces)のメンバーである。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、クリベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)またはシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)である。いくつかの実施形態では、宿主細胞は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)酵母は当該技術分野で公知であり、米国微生物系統保存機関(Rockville、MD)、オランダ微生物株保存センター(Centraalbureau voor Schimmelcultures)(CBS)Fungal Biodiversity Centre、LeSaffre、GertStrandAB、Ferm Solutions、North American Bioproducts、Martrex、およびLallemandをはじめとするが、これに限定されるものではない、多様な供給元から入手できる。サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)としては、BY4741、CEN.PK113−7D、Ethanol Red(登録商標)酵母、Ferm Pro(登録商標)酵母、Bio−Ferm(登録商標)XR酵母、Gert Strand Prestige Batch Turboアルコール酵母、Gert Strand Pot Distillers酵母、Gert Strand Distillers Turbo酵母、FerMax(商標)Green酵母、FerMax(商標)Gold酵母、Thermosacc(登録商標)酵母、BG−1、PE−2、CAT−1、CBS7959、CBS7960、およびCBS7961が挙げられるが、これに限定されるものではない。
「PNY860」は、米国微生物系統保存機関Patent Depository 10801,University Boulevard,Manassas,VA 20110−2209において、2011年7月21日にブダペスト条約の下にATCCに寄託されて、特許寄託名PTA−12007を有する、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来株を指す。
いくつかの実施形態では、イソブタノール産生菌はPNY860の誘導体である。いくつかの実施形態では、イソブタノール産生菌は、PNY860株の半数体誘導体である。いくつかの実施形態では、イソブタノール産生菌は、PNY860の非胞子形成誘導体である。いくつかの実施形態では、イソブタノール産生菌は、PNY860の非交雑誘導体である。
炭素基質
適切な炭素基質としては、フルクトースまたはグルコースなどの単糖類;乳糖、マルトース、ガラクトース、またはスクロースなどのオリゴ糖類;デンプンまたはセルロースなどの多糖類、またはその混合物、そして乳清透過液、コーンスティープリーカー、甜菜糖蜜、および大麦麦芽などの再生可能原料からの未精製混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。その他の炭素基質としては、エタノール、乳酸、コハク酸、またはグリセロールが挙げられる。
「糖」としては、フルクトースまたはグルコースなどの単糖類;乳糖、マルトース、ガラクトース、またはスクロースなどのオリゴ糖類;デンプンまたはセルロースなどの多糖類;キシロースおよびアラビノースなどのC5糖類;およびそれらの混合物が挙げられる。
さらに炭素基質は、主要生化学的中間体への代謝的変換が実証されている、二酸化炭素、またはメタノールなどの一炭素基質であってもよい。一および二炭素基質に加えて、メチロトローフ生物は、代謝活性のために、メチルアミン、グルコサミンおよび多様なアミノ酸などの、いくつかのその他の炭素含有化合物を利用することもまた知られている。例えばメチロトローフ酵母は、メチルアミンからの炭素を利用して、トレハロースまたはグリセロールを形成することが知られている(Bellion,et al.,Microb.Growth C1 Compd.,[Int.Symp.],7th(1993),415−32,Editor(s):Murrell,J.Collin;Kelly
,Don P.Publisher:Intercept,Andover,UK)。同様に、カンジダ属(Candida)の様々な種が、アラニンまたはオレイン酸を代謝する(Sulter,et al.,Arch.Microbiol.153:485−489,1990)。したがって本発明で用いられる炭素源は、多種多様な炭素含有基質を包含してもよく、微生物の選択によってのみ制限されることが考察される。
前述の炭素基質およびそれらの混合物の全てが、本発明で適切であることが検討されるが、いくつかの実施形態では、C5糖類を利用するように修飾された酵母細胞にとって、炭素基質は、グルコース、フルクトース、およびスクロース、またはこれらと、キシロースおよび/またはアラビノースなどのC5糖類との混合物である。スクロースは、サトウキビ、甜菜、キャッサバ、サトウモロコシ、およびそれらの混合物などの再生可能な糖原料に由来してもよい。グルコースおよびデキストロースは、コーン、小麦、ライ麦、大麦、オート麦、およびそれらの混合物などの穀物をはじめとする、デンプンベースの原材料の糖化を通じて、再生可能な穀物原料に由来してもよい。さらに例えば参照によって本明細書に援用する米国特許出願公開第2007/0031918A1号明細書に記載されるように、発酵性糖類は、前処理および糖化工程による再生可能なセルロース系またはリグノセルロース系バイオマスに由来してもよい。バイオマスとしては、セルロースを含んでなり、任意選択的にヘミセルロース、リグニン、デンプン、オリゴ糖類および/または単糖類をさらに含んでなる、材料が挙げられる。バイオマスはまた、タンパク質および/または脂質などの追加的な成分を含んでなってもよい。バイオマスは単一起源に由来してもよく、またはバイオマスは2つ以上の起源に由来する混合物を含んでなり得る;例えばバイオマスは、トウモロコシ穂軸とトウモロコシ茎葉の混合物、または草と葉の混合物を含んでなってもよい。バイオマスとしては、バイオエネルギー作物、農業残渣、都市固形廃棄物、産業固形廃棄物、製紙業汚泥、庭ごみ、木材および林業廃棄物が挙げられるが、これに限定されるものではない。バイオマスの例としては、トウモロコシ穀粒、トウモロコシ穂軸、トウモロコシ苞葉などの作物残渣、トウモロコシ茎葉、草本、小麦、麦藁、大麦、大麦藁、乾草、稲藁、スイッチグラス、古紙、糖サトウキビバガス、モロコシ、大豆、穀物製粉から得られる成分、葉、木片、おがくず、家畜糞尿、およびそれらの混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。
いくつかの実施形態では、炭素基質はトウモロコシに由来するグルコースである。いくつかの実施形態では、炭素基質は小麦に由来するグルコースである。いくつかの実施形態では、炭素基質はサトウキビに由来するスクロースである。
適切な炭素源に加えて、発酵培地は、適切なミネラル、塩、補助因子、緩衝液、および本明細書に記載される培養物の成長と酵素経路の促進に適する、当業者に知られているその他の構成要素を含有してもよい。
発酵条件
典型的に細胞は、適切な培地中で約20℃〜約40℃の範囲の温度で培養される。本発明の適切な成長培地としては、サブローデキストロース(SD)ブロス、酵母培地(YM)ブロス、または酵母窒素原礎培地と硫酸アンモニウムと(炭素/エネルギー源として)デキストロースとを含むブロス、または最大量のサッカロをミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)株を培養するための最適比率のペプトンと酵母抽出物とデキストロースとの配合物であるYPD培地などの、一般的な商業的に調製された培地が挙げられる。その他の規定培地または合成増殖培地もまた使用してよく、特定の微生物の成長に適した培地は、微生物学または発酵化学当業者に知られている。例えば環状アデノシン2’:3’一リン酸など、異化代謝産物抑制を直接または間接的に調節することが知られている作用薬の使用もまた、発酵培地中に組み込まれてもよい。
発酵のための適切なpH範囲は、約pH5.0〜約pH9.0である。一実施形態では、約pH6.0〜約pH8.0が、初期条件のために使用される。酵母の発酵のための適切なpH範囲は、典型的に約pH3.0〜約pH9.0である。一実施形態では、約pH5.0〜約pH8.0が、初期条件のために使用される。その他の微生物の発酵のための適切なpH範囲は、典型的に約pH3.0〜約pH7.5である。一実施形態では、約pH4.5〜約pH6.5が、初期条件のために使用される。
発酵は、好気的または嫌気的条件下で実施してもよい。一実施形態では、発酵のために、嫌気的または微好気的条件を使用してもよい。
工業的バッチおよび連続発酵
イソブタノール、またはその他の発酵産物は、バッチ発酵法を使用して生産されてもよい。古典的なバッチ発酵は閉鎖システムであり、そこでは培養液の組成が発酵の初めに設定され、発酵プロセス中に人為的に変更されない。標準バッチ系の変法が、流加系である。流加発酵工程もまた本発明で使用するのに適し、発酵が進行するにつれて、基質が徐々に添加されることを除いては、典型的なバッチ系を含んでなる。流加バッチ系は、異化代謝産物抑制が細胞の代謝を阻害する傾向があって、培地中に限定量の基材を有することが望ましい場合に有用である。バッチおよび流加発酵は一般的で、当該技術分野で周知であり、例はThomas D.Brock in Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology,Second Edition(1989)Sinauer Associates,Inc.,Sunderland,MA.,or Deshpande,Appl.Biochem.Biotechnol.36:227,1992にある。
イソブタノール、またはその他の発酵産物はまた、連続発酵法を使用して生成されてもよい。連続発酵は開放系であり、限定発酵培地が発酵容器(例えばバイオリアクター)に連続的に添加されて、同時に処理のために等しい量の熟成培地が取り出される。連続発酵は、一般に、細胞が主に対数成長期にある一定の高密度に培養を維持する。連続発酵は、細胞成長または最終生成物濃度に影響を及ぼす、1つの要素またはいくつもの要素の調節を可能にする。連続発酵工程のために栄養素と増殖因子を調節する方法、ならびに生成物形成速度を最大化する技術は、工業微生物学の技術分野で周知であり、多様な方法が前出のBrockに詳述される。
イソブタノール、またはその他の発酵産物の生産は、バッチ、流加、または連続工程を使用して実施してもよく、あらゆる既知の発酵様式が適切であることが意図される。さらにホールセル触媒として基質上に細胞を固定化し、イソブタノール生産のための発酵条件に置いてもよいことが考察される。
発酵培地からのイソブタノール単離法
生物生産されたイソブタノールまたはその他の発酵性アルコールは、ABE発酵技術分野で公知の方法を使用して発酵培地から単離してもよい(例えばDurre,Appl.Microbiol.Biotechnol.49:639−648(1998)、Groot,et al.,Process.Biochem.27:61−75(1992)およびその中の参考文献を参照されたい)。例えば遠心分離、濾過、デカンテーションなどによって、発酵培地から固形物を除去してもよい。次に蒸留、共沸性蒸留、液−液抽出、吸着、ガスストリッピング、膜蒸発、浸透気化法またはそれらの組み合わせなどの方法を使用して、イソブタノールを発酵培地から単離してもよい。
イソブタノールは水と低沸点の共沸混合物を形成するので、蒸留を使用して、混合物がその共沸性組成物になるまで分離してもよい。蒸留を別の分離方法と組み合わせて使用して、共沸混合物周辺での分離を得てもよい。イソブタノールを単離して精製するために組み合わせて使用してもよい方法としては、デカンテーション、液体−液体抽出、吸着、および膜ベースの技術が挙げられるが、これに限定されるものではない。さらにイソブタノールは、共留剤を使用した共沸蒸留を使用して単離してもよい(例えばDoherty and Malone,Conceptual Design of Distillation Systems,McGraw Hill,New York,2001を参照されたい)。
イソブタノール−水混合物は不均一共沸混合物を形成するので、蒸留をデカンテーションと組み合わせて使用して、イソブタノールを単離し精製してもよい。この方法では、イソブタノール含有発酵ブロスを共沸組成物近くまで蒸留する。次に共沸性混合物を濃縮し、デカンテーションによってイソブタノールを発酵培地から分離する。デカントされた水相を還流としての蒸留カラムに戻してもよい。例えば第2の蒸留カラム中での蒸留によって、イソブタノールに富む有機相をさらに精製してもよい。
イソブタノールは、蒸留と組み合わせた液体−液体抽出を使用して、発酵培地から単離してもよい。この方法では、適切な溶剤での液体−液体抽出を使用して、イソブタノールが発酵ブロスから抽出される。次にイソブタノール含有有機相を蒸留して、イソブタノールを溶剤から分離する。
吸着と組み合わせた蒸留もまた使用して、イソブタノールを発酵培地から単離してもよい。この方法では、イソブタノール含有発酵ブロスを共沸組成物近くに蒸留し、次に分子ふるいなどの吸着材の使用によって残留水を除去する(Aden et al.,Lignocellulosic Biomass to Ethanol Process Design and Economics Utilizing Co−Current Dilute Acid Prehydrolysis and Enzymatic Hydrolysis for Corn Stover,Report NREL/TP−510−32438,National Renewable Energy Laboratory,June 2002)。
さらに浸透気化法と組み合わせた蒸留を使用して、発酵培地からイソブタノールを単離、精製してもよい。この方法では、イソブタノール含有発酵ブロスを共沸性組成物近くまで蒸留し、次に親水性膜を通じた浸透気化法によって水を除去する(Guo,et al.,J.Membr.Sci.245:199−210,2004)。それぞれの内容全体を参照によって本明細書に援用する、米国特許出願公開第2011/0162953号明細書;米国特許出願公開第2011/0162954号明細書;米国特許出願公開第2011/0288345号明細書;米国特許出願公開第2011/0288344号明細書;および米国特許出願公開第2011/0315541号明細書に記載されるものはじめとする、その他の蒸留法を用いてもよい。
原位置生成物除去(ISPR)(抽出発酵とも称される)を使用して、イソブタノールまたはその他の発酵性アルコールが生成されるに従って、それを発酵容器から除去してもよく、それによって微生物がイソブタノールを高収率で生成できるようにする。1つのISPR法では、当該技術分野で液液抽出と説明される、発酵性アルコールを除去するステップを有する。一般に例えばイソブタノール発酵に関しては、イソブタノール濃度が毒性レベルに達する前に、微生物を含む発酵培地を有機抽出剤(例えば有機抽出剤)と接触させる。抽出剤と発酵培地は、二相混合物を形成する。イソブタノールは有機抽出剤相に分配され、微生物を含有する水相中の濃度が低下し、それによって阻害性イソブタノールに対する微生物の曝露が制限される。
液−液抽出は、例えばその開示全体を本明細書に組み込んだ、米国特許出願公開第2009/0305370号明細書に記載される方法に従って実施してもよい。米国特許出願公開第2009/0305370号明細書は、液−液抽出を使用して発酵ブロスからイソブタノールを生産して回収する方法について記載し、方法は、発酵ブロスに水不混和性抽出剤を接触させて、水相と有機相を含んでなる二相混合物を形成するステップを含んでなる。典型的に抽出剤は、飽和、一価不飽和、多不飽和C12〜C22脂肪アルコール、C12〜C22脂肪酸、C12〜C22脂肪酸エステル、C12〜C22脂肪アルデヒド、およびそれらの混合物からなる群から選択される有機抽出剤であってもよい。ISPRの抽出剤は、非アルコール抽出剤であってもよい。ISPR抽出剤は、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、アルキルアルカノール,1−ウンデカノール、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸メチル、オレイン酸メチル、ウンデカナール、ラウリンアルデヒド、20−メチルウンデカナール、トリオクチル酸化ホスフィン、およびそれらの混合物などの外来性有機抽出剤であってもよい。その他の抽出剤および方法は、それぞれの内容全体を参照によって本明細書に援用する、米国特許出願公開第2010/0143994号明細書;米国特許出願公開第2010/0143995号明細書;米国特許出願公開第2010/0143992号明細書;米国特許出願公開第2010/0143993号明細書;米国特許出願公開第2011/0097773号明細書;米国特許出願公開第2011/0159558号明細書;米国特許出願公開第2011/0136193号明細書に記載される。
いくつかの実施形態では、発酵培地中のエステルを、有機酸(例えば脂肪酸)とアルコールを有機酸でエステル化できる触媒とに接触させることで、アルコールが形成されてもよい。このような実施形態では、有機酸は、その中にアルコールエステルが分配される、ISPR抽出剤の役割を果たしてもよい。有機酸は、発酵容器に提供されてもよく、および/または発酵容器に供給される発酵性炭素を提供するバイオマスに由来してもよい。原材料中に存在する脂質は、触媒的に有機酸に加水分解されてもよく、同一触媒(例えば酵素)が有機酸をアルコールでエステル化してもよい。触媒は、発酵前に原材料に提供されてもよく、または原材料供給の前またはそれと同時に発酵容器に提供されてもよい。触媒を発酵容器に提供する場合、脂質の有機酸への加水分解と、発酵容器内に存在するアルコールによる実質的に同時の有機酸のエステル化によって、アルコールエステルが得られてもよい。原材料に由来しない有機酸および/または天然油もまた、発酵容器に供給されてもよく、天然油が有機酸に加水分解される。アルコールでエステル化されないあらゆる有機酸が、ISPR抽出剤の役割の一部を果たしてよい。アルコールエステルを含有する抽出剤を発酵培地から分離してもよく、アルコールを抽出剤から回収してもよい。いくつかの実施形態では、抽出剤は、発酵容器内に再循環させてもよい。したがってイソブタノール生成の場合、例えばイソブタノールからエステルへの変換は、発酵培地中の遊離イソブタノール濃度を低下させ、ブタノール濃度増大の毒性効果から微生物を遮蔽する。これに加えて、脂質は触媒的に有機酸に加水分解されてもよく、それによってISPR抽出剤中の脂質の蓄積速度が低下するので、未分画穀物をその中の脂質を分離させることなく原材料として使用してもよい。それぞれの内容全体を参照によって本明細書に援用する、米国特許出願公開第2009/0305370号明細書;米国特許出願公開第2010/0221802号明細書;米国特許出願公開2010/0279370第号明細書;米国特許出願公開第号明細書2011/0097773;米国特許出願公開第2011/0312044号明細書;米国特許出願公開第2011/0312043号明細書;米国特許出願公開第2012/0035398号明細書;米国特許出願公開第2012/0211348号明細書;および米国特許出願公開第2012/0156738号明細書に記載されるものをはじめとする、その他のアルコール生成物回収率および/またはISPR方法を用いてもよい。
原位置生成物除去は、バッチ様式または連続様式で実施してもよい。ISPRの連続様式では、生成物は発酵漕(例えば反応装置)から絶えず取り出される。バッチ式のISPRでは、一定容積の有機抽出剤が発酵容器に添加され、抽出剤は工程中に取り出されない。ISPRでは、有機抽出剤発を、酵開始時に発酵培地と接触させて、二相性発酵培地を形成させてもよい。代案としては、有機抽出剤は、微生物が、培養物の光学濃度測定によって判定してもよい所望の成長量を達成した後に、発酵培地と接触させてもよい。さらに有機抽出剤は、発酵培地中のアルコールレベルが事前選択されたレベルに達した時点で、発酵培地と接触させてもよい。本発明のいくつかの実施形態によるイソブタノール生産の場合、イソブタノールを有機酸でエステル化してイソブタノールエステルを生成させ、結果的に発酵容器内のイソブタノール濃度を低下させるように、イソブタノール濃度が毒性レベルに達する前の時点で、有機酸抽出剤を発酵培地と接触させ得る。エステル含有有機相は、イソブタノールエステルの所望の有効力価が達成された後に、発酵容器から取り出してもよい(そして水相を構成する発酵ブロスから分離し得る)。いくつかの実施形態では、エステル含有有機相は、発酵容器内の利用可能発酵性糖の発酵が実質的に完了した後に、水相から分離される。あらゆる段階のイソブタノール力価は、例えば参照によって本明細書に援用する、米国特許出願公開第2009/0305370号明細書に記載されるような、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)またはガスクロマトグラフィーなどの当該技術分野で公知の方法によって測定し得る。
本発明を以下の実施例でさらに定義する。これらの実施例は、本発明の実施形態を示しながら、例証としてのみ提供されるものと理解すべきである。上の考察およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的特性を見極め得て、その精神と範囲を逸脱することなく、本発明に様々な変更と修正を加えて、それを様々な用途と条件に適応させ得る。
一般方法
実施例で使用される標準組換えDNAおよび分子クローニング技術は当該技術分野で周知であり、Sambrook,et al.(Sambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.(Molecular Cloning:A Laboratory Manual;Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,1989)and by Ausubel,et al.(Ausubel,et al.,Current Protocols in Molecular Biology,pub.by Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscience,1987)に記載される。
細菌培養の維持および成長に適した材料および方法もまた、技術分野で周知である。以下の実施例で使用するのに適した技術は、Manual of Methods for General Bacteriology(Phillipp et al.,eds.,American Society for Microbiology,Washington,DC.,1994)または Thomas D.Brock in(Brock,Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology,Second Edition,Sinauer Associates,Inc.,Sunderland,MA(1989)に記載される。細菌細胞の増殖および維持のために使用される、全ての試薬、制限酵素および材料は、特に断りのない限り、Sigma−Aldrich Chemicals(St.Louis,MO)、BD Diagnostic Systems(Sparks,MD)、Invitrogen(Carlsbad,CA)、HiMedia(Mumbai,India)、SD Fine chemicals(India)、またはタカラバイオ株式会社(日本、滋賀県)から得られた。
略称の意味は、次の通りである。「sec」は秒を意味し、「min」は分を意味し、「h」は時間を意味し、「nm」はナノメートルを意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「mg/mL」はミリリットルあたりミリグラムを意味し、「L」はリットルを意味し、「nm」はナノメートルを意味し,「mM」はミリモル濃度を意味し、「M」はモルを意味し、「mmol」はミリモルを意味し、「μmole」はマイクロモルを意味し、「kg」はキログラムを意味し、「G」はグラムを意味し、「μg」はマイクログラムを意味して「ng」はナノグラムを意味し、「PCR」はポリメラーゼ連鎖反応を意味し、「OD」は光学濃度を意味し、「OD600」は600nmの波長で測定された光学濃度を意味し、「kDa」はキロダルトンを意味し、「g」は重力定数もまた意味し得て、「bp」は塩基対を意味し、「kbp」はキロ塩基対を意味し、「kb」はキロベースを意味し、「%」はパーセントを意味し、「%w/v」は重量/容積パーセントを意味し、「%v/v」は容積/容積パーセントを意味し、「HPLC」は高速液体クロマトグラフィーを意味し、「g/L」は1リットルあたりグラムを意味し、「μg/L」は1リットルあたりマイクログラムを意味し、「ng/μL」はマイクロリットルあたりナノグラムを意味し、「pmol/μL」はマイクロリットルあたりピコモルを意味し「RPM」は毎分回転数を意味し、「μmol/min/mg」はミリグラムあたり毎分マイクロモルを意味し、「w/v」は容積あたり重量を意味し、「v/v」は容積あたり容積を意味する。
実施例1
PDE1欠失があるサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)株の構築
PNY1500株は、CEN.PK113−7D(CBS 8340;オランダ微生物株保存センター(Centraalbureau voor Schimmelcultures)(CBS)Fungal Biodiversity Centre,Netherlands)から誘導されて、URA3およびHIS3遺伝子の欠失を含有する。
URA3欠失
内在性URA3コード領域を欠失させるために、ura3::loxP−kanMX−loxPカセットをpLA54テンプレートDNA(配列番号132)からPCR増幅した。pLA54は、K.ラクチス(K.lactis)TEF1プロモーターおよびkanMXマーカーを含有し、loxP部位で挟まれて、Creリコンビナーゼによる組換えおよびマーカー除去を可能にする。PCRは、Phusion(登録商標) DNAポリメラーゼ(New England BioLabs Inc;Ipswich,MA)、およびプライマーBK505およびBK506(配列番号133および134)を使用して実施した。各プライマーのURA3部分は、URA3プロモーター上流の5’領域およびコード領域下流の3’領域に由来し、loxP−kanMX−loxPマーカーの組み込みは、URA3コード領域の置換をもたらした。PCR産物は、標準遺伝子技術(Methods in Yeast Genetics,2005,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,pp.201−202)を使用してCEN.PK113−7Dに形質転換され、形質転換体は、30℃でG418(Geneticin(登録商標)、100μg/mL)含有YPD上で選択された。プライマーLA468およびLA492(配列番号135および136)を使用して、PCRにより形質転換体をスクリーニングして正しい組み込みを確認し、CEN.PK113−7D ura3Δ::kanMXと命名した。
HIS3欠失
HIS3欠失は、Akada,et al.,(Yeast 23:399−405,2006)から適応された無瘢痕欠失手順によって作成した。無瘢痕欠失のためのPCRカセットは、4つの断片A−B−U−Cを組み合わせ、オーバーラップPCRによって作成した。PCRカセットは、プロモーター(URA3遺伝子の250bp上流)およびターミネーター(URA3遺伝子の150bp下流)領域がある天然CEN.PK113−7DURA3遺伝子からなる、選択可能な/逆選択可能なマーカーURA3(断片U)を含有する。各500bp長さの断片AおよびCは、標的遺伝子のすぐ上流の500bp(断片A)、および標的遺伝子の3’の500bp(断片C)に相当した。相同組換えによる、染色体へのカセット組み込みのために、断片AおよびCを使用した。断片B(500bp長さ)は標的遺伝子のすぐ下流の500bpに相当し、URA3マーカー切除のために使用され、相同組換えによる染色体からの断片Cは、断片Bに対応する配列の直接反復として、染色体へのカセット組み込みに際して生じた。
Phusion(登録商標)High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs Inc.;Ipswich,MA)を使用して、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)により調製されたCEN.PK 113−7DゲノムDNAをテンプレートとして、無瘢痕HIS3欠失のためのPCRカセットのための4つの断片を増幅した。HIS3断片Aは、HIS3断片Bの5’末端との相同性がある5’テールを含有する、プライマーoBP452(配列番号137)とプライマーoBP453(配列番号138)によって増幅した。HIS3断片Bは、HIS3断片Aの3’末端との相同性がある5’テールを含有するプライマーoBP454(配列番号139)、およびHIS3断片Uの5’末端との相同性がある5’テールを含有するプライマーoBP455(配列番号140)によって増幅した。HIS3断片Uは、HIS3断片Bの3’末端との相同性がある5’テールを含有するプライマーoBP456(配列番号141)、およびHIS3断片Cの5’末端との相同性がある5’テールを含有するプライマーoBP457(配列番号142)によって増幅した。HIS3断片Cは、HIS3断片Uの3’末端との相同性がある5’テールを含有するプライマーoBP458(配列番号143)、およびプライマーoBP459(配列番号144)によって増幅した。PCR産物は、PCR精製キット(Qiagen,Valencia,CA)によって精製した。HIS3断片AとHIS3断片Bを混合し、プライマーoBP452(配列番号137)およびoBP455(配列番号140)で増幅することで、HIS3断片ABをオーバーラップPCRによって作成した。HIS3断片UとHIS3断片Cを混合し、プライマーoBP456(配列番号141)およびoBP459(配列番号144)で増幅することで、HIS3断片UCをオーバーラップPCRによって作成した。得られたPCR産物をアガロースゲル上で精製し、ゲル抽出キット(Qiagen,Valencia,CA)がそれに続いた。HIS3断片ABとHIS3断片UCとを混合し、プライマーoBP452(配列番号137)およびoBP459(配列番号144)で増幅することで、HIS3 ABUCカセットをオーバーラップPCRによって作成した。PCR産物は、PCR精製キット(Qiagen,Valencia,CA)によって精製した。
CEN.PK113−7Dura3Δ::kanMXのコンピテント細胞を作成し、Frozen−EZ Yeast Transformation II(商標)キット(Zymo Research Corporation,Irvine,CA)を使用して、HIS3 ABUC PCRカセットで形質転換した。形質転換混合物をウラシル欠損2%グルコース添加合成完全培地上に、30℃で播種した。Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)によって調製されたゲノムDNAを使用して、プライマーoBP460(配列番号145)およびoBP461(配列番号146)を用いたPCRによって、his3ノックアウトがある形質転換体をスクリーニングした。正しい形質転換体をCEN.PK113−7Dura3Δ::kanMXhis3Δ::URA3株として選択した。
ura3Δ部位からのKanMXマーカー除去およびhis3Δ部位からのURA3マーカー除去
Frozen−EZ Yeast Transformation II(商標)キット(Zymo Research Corporation,Irvine,CA)を使用して、CEN.PK113−7Dura3Δ::kanMXhis3Δ::URA3をpRS423::PGAL1−cre(配列番号147)で形質転換し、ヒスチジンおよびウラシル欠損2%グルコース添加合成完全培地上に30℃で播種して、KanMXマーカーを除去した。形質転換体をYP添加10g/Lガラクトース中において30℃で約6時間培養して、CREリコンビナーゼおよびKanMXマーカー切除を誘発し、回収のためにYPD(20g/Lグルコース)プレート上に30℃で播種した。単離株をYPD中で一晩培養し、5−フルオロオロチン酸(5−FOA、1g/L)含有合成完全培地上に30℃で播種して、URA3マーカーを喪失した単離株を選択した。pRS423::PGAL1−cre(配列番号147)プラスミドの除去のために、5−FOA耐性分離株をYPD中で培養し、その上に播種した。YPD+G−418プレート、ウラシル欠損合成完全培地プレート、およびヒスチジン欠損合成完全培地プレート上の増殖をアッセイすることで、KanMXマーカー、URA3マーカー、およびpRS423::PGAL1−creプラスミドの喪失について、単離株をチェックした。Gー418感受性でウラシルおよびヒスチジン栄養要求性である、正しい単離株をCEN.PK113−7Dura3Δ::loxPhis3Δ株として選択し、PNY1500(BP857)と命名した。欠失およびマーカー除去は、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)によって調製されたゲノムDNAを使用して、ura3ΔではプライマーoBP450(配列番号148)およびoBP451(配列番号149)を用い、his3ΔではプライマーoBP460(配列番号145)およびoBP461(配列番号146)を用いた、PCRおよび配列決定によって確認した。
遺伝子欠失をPNY01500半数体株中で作成した。染色体の遺伝子欠失は、標的遺伝子の相同性上流および下流を含有する、カセットとの相同組換えによって作成した。形質転換体は、G−418耐性マーカーまたはウラシル欠損培地上の成長のいずれかを使用して選択した。遺伝子破壊カセットは、妨害される遺伝子の上流および下流の側面に位置する50〜55bpの特異的プライマーを使用して、PCRによって作成された。Cre−loxシステムを使用して、マーカーの再循環を達成した。
内在性PDE1コード領域を欠失させるために、URA3マーカー除去のための縮重loxP71およびloxP66部位で挟まれたURA3p−URA3−URA3tカセットを含有するpLA59(配列番号150)から、欠失カセットをPCR増幅した。PCRは、Phusion(登録商標)DNAポリメラーゼ(New England BioLabs Inc.,Ipswich,MA)と、プライマーPDE1 F URA3(配列番号151)およびPDE1 R URA3(配列番号152)とを使用して実施した。標準遺伝子技術(Methods in Yeast Genetics,2005,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,pp.201−202)を使用してPCR産物をPNY01500に形質転換し、合成完全培地(1×アミノ酸非含有酵母窒素原礎培地、1×ウラシル欠損20g/Lのグルコース添加アミノ酸混合物)上において30℃で選択した。プライマーURAIRおよびPDE1F(配列番号153および154)を用いたコロニーPCRによって、形質転換体をスクリーニングして、組み込みカセットと、プライマーURAIFおよびPDE1R(配列番号155および156)との存在を確認した。カセットのURA3マーカーを除去するために、細胞をpRS423::GAL1
p−cre(配列番号147)で形質転換して、ヒスチジンドロップアウト合成完全培地(1×酵母窒素原礎培地、1×ヒスチジン除去アミノ酸混合物20g/Lのグルコース添加)上で、形質転換体を30℃で選択した。5g/Lのガラクトース添加酵母抽出物+ペプトン(YP)寒天プレート上に形質転換体を播種して、Creリコンビナーゼの発現を誘導した。ウラシル欠損20g/Lのグルコース添加合成完全培地上に、コロニーをパッチで植えて成長不在を立証することで、マーカー除去を確認した。欠失およびマーカー除去はまた、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)で調製されたゲノムDNAを使用した、プライマーPDE1FおよびPDE1R(配列番号154および156)を用いた、PCRおよび配列決定によっても確認された。得られたPNY01500のPDE1欠失株は、PNY03001((MATa ura3Δ::loxP his3Δ pde1Δ::loxp71/66)と命名された。
実施例2
イソブタノール生産のための株の構築
ローラードラム内の2mLの胞子形成前培地(0.8%酵母抽出物、0.3%ペプトン、10%グルコース)中の30℃での一晩成長と、それに続く新鮮な胞子形成前培地での1:10希釈、そしてさらなる4時間の成長によって、酵母株PNY860(ATCC特許寄託名PTA−12007、2011年7月21日に寄託)を胞子形成能力について試験した(Codon,et al.,Appl.Environ.Microbiol.61:630−638,1995)。遠心分離によって細胞を回収して、2mLの胞子形成培地(0.5%酢酸カリウム)に再懸濁して、ローラードラム内において30℃で4日間培養した。顕微鏡検査は、胞子形成が起きたことを明らかにした。およそ30%の細胞はasciの形態であり、asciの約半数は4個の胞子を含有した。胞子形成培養物(100μL)を遠心分離によって回収し、Zymolyase(登録商標)(1Mソルビトール中の50μg/mL)に再懸濁して、室温で20分間培養した。アリコート(5μL)をペトリ皿に移し、製造会社の使用説明書に従って、Singer MSM解剖顕微鏡(Singer Instrument Co.Ltd.,Somerset UK)を使用して、18個の四分子を解体した。プレートを30℃で3日間培養し、胞子生存度をスコアした。図1は、四分子切開プレートを示す。
交雑型を同定するために、3つのオリゴヌクレオチドプライマー、AK09−1_MAT(配列番号272)、AK09−2_HML(配列番号273)、およびAK09−03_HMR(配列番号274)によって、Phusion(登録商標)High Fidelity PCR MasterMix(New England BioLabs Inc.;Ipswich,MA)を使用して、2つの四分子からの4つの胞子コロニーを、コロニーPCR(例えばHuxley,et al.,Trends Genet.6:236,1990を参照されたい)によって分析した。
コロニーからの細胞は、0.02MのNaOH中で懸濁し、99℃で10分間加熱して溶解した。次に製造会社が推奨する通りにTaqポリメラーゼを使用して(Promega,Madison WI)、この溶解産物の一部をPCR反応中でテンプレートとして使用した。PCR産物は、アガロースゲル電気泳動によって分析した。交雑型α株は404bpの産物を生じることが予測され、交雑型a株は544bpの産物を生じることが予測され、二倍体は双方のバンドを生じるべきである。図2は、親株PNY860が、2本のバンドを生じて、胞子子孫が約400bpまたは約550bpの1本の顕著なバンドのみを生じることを示す(しかしいくつかは、その他のサイズの薄いバンドを生じる)。これらの結果は、PNY860が二倍体であり、大部分異株性であることを示唆する(しかし低レベルの交雑型交換が起きたかもしれない)。
PCR断片サイズに基づいて、交雑型は表4のように推測され得る。
Figure 2015503350
これらの帰属を確認するために、四分子1(PNY860−1)からの胞子を交雑し、顕微鏡検査で接合子形成を探すことで交雑をスコアして、結果は表5に示すようである。
Figure 2015503350
酵母株は、次のように命名された:PNY860−1AはPNY891と命名され、PNY860−1BはPNY0892と命名され、PNY860−1CはPNY893と命名され、およびPNY860−1DはPNY0894と命名された。
半数体株(PNY891 MATaおよびPNY0894 MATα)を、イソブタノール生産のための宿主として選択した。半数体株中で遺伝子欠失および組み込みを実施して、イソブタノール生産に適する株背景を作り出した。染色体の遺伝子欠失は、標的遺伝子の相同性上流および下流と、形質転換体選択のためのG−418耐性マーカーまたはURA3遺伝子のいずれかとを含有する、PCRカセットによる相同組換えによって実施した。遺伝子組み込みのために、組み込まれる遺伝子をPCRカセットに含めた。Cre−loxシステムまたは無瘢痕欠失法のいずれかを使用して、選択マーカー再循環を達成した(Akada,et al.,Yeast 23:399,2006)。
第1に、PNY891 MATa中で遺伝子欠失(URA3、HIS3、PDC6、およびPDC1)および組み込み(PDC1部位へのilvD)を実施して、PNY1703(=MATa ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvD)を作成した。第2に、PNY1703をPNY0894 MATαと交雑させて、二倍体を作成した。得られた二倍体を胞子形成させ、次に四分子を解体して、グルコースおよびエタノール培地上での成長表現型と、ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvDを保有する遺伝子型とについて、胞子分離個体をスクリーニングした。2つの交雑型半数体、PNY1713(=MATα ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilv)、およびPNY1714(=MATa ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvD)が単離された。第3に、遺伝子欠失(PDC5、FRA2、GPD2、BDH1、およびYMR226c)および組み込み(それぞれPDC5、FRA2、GPD2、およびBDH1部位への、kivD、ilvD、alsS、およびilvD−adh)をPNY1714株背景で実施して、PNY1758(=MATa ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvD pdc5Δ::kivD(y)fra2Δ::UAS(PGK1)−FBA1p−ilvD(y)gpd2Δ::loxP71/66−FBA1p−alsS bdh1Δ::UAS(PGK1)−ENO2p−ilvD−ILV5p−adh ymr226cΔ)を構築した。第4に、K9D3.KARI遺伝子を含有するpWZ009(配列番号158)と、ilvD遺伝子を含有するpWZ001(配列番号159)との2つのプラスミドで、PNY1758を形質転換して、サトウキビイソブタノール産生菌PNY1775(=MATa ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvD pdc5Δ::kivD(y)fra2Δ::UAS(PGK1)−FBA1p−ilvD(y)gpd2Δ::loxP71/66−FBA1p−alsS bdh1Δ::UAS(PGK1)−ENO2p−ilvD−ILV5p−adh ymr226cΔ/pWZ009,pWZ001)を構築した。
URA3欠失
内在性URA3コード領域を欠失させるために、loxP部位で挟まれたTEF1p−kanMX−TEF1tカセットを含有するpLA54(配列番号132)から、欠失カセットをPCR増幅し、生体内で相同組換えして、引き続いてKanMXマーカーを除去した。Phusion(登録商標)DNAポリメラーゼ(New England BioLabs Inc.,Ipswich,MA)およびプライマーBK505(配列番号133)およびBK506(配列番号134)を使用して、PCRを実施した。各プライマーのURA3部分は、KanMXカセットの組み込みがURA3コード領域の置換をもたらすように、URA ATGの180bp上流の5’領域およびコード領域の78bp下流の3’領域から誘導された。標準遺伝子技術(Methods in Yeast Genetics,2005,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,pp.201−202)を使用して、半数体株であるPNY891にPCR産物を形質転換し、2%グルコースおよびG−418(ジェネテシン(登録商標)、100μg/mL)添加富栄養培地上において、30℃で形質転換体を選択した。2%グルコース添加富栄養培地上に形質転換体をパッチに植えて、ウラシル欠損2%グルコース添加合成完全培地上にレプリカ播種し、ウラシル栄養要求株を同定した。プライマーLA468(配列番号135)およびLA492(配列番号136)を用いたコロニーPCRによって、これらのパッチをスクリーニングして、組み込みカセットの存在を確認した。URA3変異体が得られた;NYLA96(=MATa ura3Δ::loxP−kanMX−loxP)。
HIS3欠失
内在性HIS3コード領域を欠失させるために、loxP部位で挟まれたURA3p−URA3−URA3tカセットを含有するpLA33(配列番号160)から、欠失カセットをPCR増幅し、生体内で相同組換えして、引き続いてURA3マーカーを除去した。Phusion(登録商標)DNAポリメラーゼ(New England BioLabs Inc.,Ipswich,MA)およびプライマー315(配列番号161)および316(配列番号162)を使用して、PCRを実施した。各プライマーのHIS3部分は、URA3カセットの組み込みが、HIS3コード領域の置換をもたらすように、HIS3 ATGの50bp上流の5’領域およびコード領域の50bp下流の3’領域から誘導された。標準遺伝子技術(Methods in Yeast Genetics,2005,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,pp.201−202)を使用してPCR産物をNYLA96に形質転換し、ウラシル欠損2%グルコース添加合成完全培地上において、30℃で選択した。プライマー92(配列番号163)および346(配列番号164)を用いたコロニーPCRによって、形質転換体をスクリーニングして、組み込みカセットの存在を確認した。pRS423::GAL1p−cre(配列番号147)で形質転換し、ヒスチジン欠損2%エタノール添加合成完全培地上に30℃で播種することで、URA3マーカーを再循環させた。0.5%ガラクトース添加酵母抽出物+ペプトン(YP)寒天プレート上に形質転換体を播種して、Creリコンビナーゼの発現を誘導した。ウラシル欠損2%グルコース添加合成完全培地上に、コロニーをパッチで植えて成長不在を立証することで、マーカー除去を確認した。また、URA3を欠失させるために使用したKanMXカセットのマーカー除去は、2%グルコースおよびG−418(ジェネテシン(登録商標)、100μg/mL)が添加された富栄養培地に、30℃でコロニーをパッチで植えて、成長の不在を立証することで確認した。得られたURA3およびHIS3欠失株は、NYLA107(=MATa ura3Δ::loxP his3Δ::loxP)と命名された。
PDC6欠失
サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)ピルビン酸デカルボキシラーゼの3つの異なるイソ酵素をコードする、3つのPDC遺伝子(PDC1、PDC5、PDC6)を有する。ピルビン酸デカルボキシラーゼは、エタノール発酵の第1段階を触媒して、解糖中に生じたピルビン酸からアセトアルデヒドを生成する。
無瘢痕欠失法(Akada,et al.,Yeast 23:399,2006)に従って、PDC6コード領域の相同性上流(断片A)および下流(断片B)と、形質転換体の選択のためのプロモーター(URA3遺伝子の250bp上流)およびターミネーター(URA3遺伝子の150bp下流)(断片U)があるURA3遺伝子と、PDC6コード領域の3’領域(断片C)とを含有するPCRカセット(A−B−U−c)を用いた相同組換えによって、PDC6コード配列を欠失させた。Phusion(登録商標)High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs Inc.;Ipswich,MA)を使用して、テンプレートとしてのPNY891ゲノムDNAから、無瘢痕PDC6欠失のためのPCRカセットのための4つの断片(A、B、U、C)を増幅した。PNY891ゲノムDNAは、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)によって調製した。PDC6断片Aは、PDC6断片Bの5’末端との相同性がある3’テールを含有する、プライマーoBP440(配列番号165)とプライマーoBP441(配列番号166)によって増幅した。PDC6断片Bは、PDC6断片Aの3’末端と相同性の5’テールを含有するプライマーoBP442(配列番号167)、およびPDC6断片Uの5’末端と相同性の5’テールを含有するプライマーoBP443(配列番号168)によって増幅した。PDC6断片Uは、PDC6断片Bの3’末端との相同性がある5’テールを含有するプライマーoBP444(配列番号169)、およびPDC6断片Cの5’末端との相同性がある5’テールを含有するプライマーoBP445(配列番号170)によって増幅した。PDC6断片Cは、PDC6断片Uの3’末端との相同性がある5’テールを含有するプライマーoBP446(配列番号171)、およびプライマーoBP447(配列番号172)によって増幅した。PCR産物は、PCR精製キット(Qiagen,Valencia,CA)によって精製した。PDC6断片AとPDC6断片Bを混合し、プライマーoBP440(配列番号165)およびoBP443(配列番号168)で増幅することで、PDC6断片A−BをオーバーラップPCRによって作成した。PDC6断片UとPDC6断片Bを混合し、プライマーoBP444(配列番号169)およびoBP447(配列番号172)で増幅することで、PDC6断片U−CをオーバーラップPCRによって作成した。得られたPCR産物をアガロースゲル上でゲル精製し、ゲル抽出キット(Qiagen,Valencia,CA)がそれに続いた。PDC6断片A−BとPDC6断片U−Cを混合し、プライマーoBP440(配列番号165)およびoBP447(配列番号172)で増幅することで、PDC6A−B−U−CカセットをオーバーラップPCRによって作成した。PCR産物は、PCR精製キット(Qiagen,Valencia,CA)によって精製した。
NYLA107のコンピテント細胞を作成し、Frozen−EZ Yeast Transformation II(商標)キット(Zymo Research Corporation,Irvine,CA)を使用して、PDC6A−B−U−CPCRカセットで形質転換した。形質転換混合物をウラシル欠損2%グルコース添加合成完全培地上に、30℃で播種した。Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)によって調製されたゲノムDNAを使用して、プライマーoBP448(配列番号173)およびoBP449(配列番号174)を用いたPCRによって、pdc6ノックアウトがある形質転換体をスクリーニングした。染色体からURA3マーカーを除去するために、正しい形質転換体をYPD中で一晩培養し、5−フルオロオロチン酸(0.1%)含有合成完全培地上に30℃で播種して、URA3マーカーが欠失した分離株を選択した。欠失およびマーカー除去は、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)によって調製されたゲノムDNAを使用して、プライマーoBP448(配列番号173)およびoBP449(配列番号174)を用いた、PCRおよび配列決定によって確認した。単離株中のPDC6遺伝子の不在は、PDC6、oBP554(配列番号175)、およびoBP555(配列番号176)のコード配列に対して特異的なプライマーを使用した、陰性PCR結果によって実証された。正しい単離株をPNY1702株(=MATa ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ)として選択した。
PDC1欠失およびilvD組み込み
PDC1コード領域を欠失させて、PDC1コード領域の相同性上流(断片A)および下流(断片B)と、ilvDコード領域(断片ilvD)と、形質転換体の選択のためのプロモーターおよびターミネーター(断片U)があるURA3遺伝子と、PDC1コード領域(断片C)の3’領域とを含有するPCRカセット(A−ilvD−B−U−c)での相同組換えによって、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)ATCC番号700610からのilvDコード領域で置換した。Phusion(登録商標)High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs Inc.;Ipswich,MA)を使用して、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)により調製されたNYLA83(参照によって本明細書に援用する米国特許出願公開第2011/0312043号明細書に記載される)ゲノムDNAをテンプレートとして、PDC1欠失−ilvD組み込みのためのPCRカセットのためのストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)からのilvDコード領域がそれに続くA断片を増幅した。PDC1断片A−ilvDは、PDC1断片Bの5’末端との相同性がある5’テールを含有する、プライマーoBP513(配列番号177)、およびプライマーoBP515(配列番号178)によって増幅した。Phusion(登録商標)High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs Inc.;Ipswich,MA)を使用して、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)により調製されたPNY891ゲノムDNAをテンプレートとして、PDC1欠失−ilvD組み込みのためのPCRカセットのためのB、U、およびC断片を増幅した。PDC1断片Bは、PDC1断片A−ilvDの3’末端との相同性がある5’テールを含有するプライマーoBP516(配列番号179)と、PDC1断片Uの5’末端との相同性がある5’テールを含有するプライマーoBP517(配列番号180)とによって増幅した。PDC1断片Uは、PDC1断片Bの3’末端との相同性がある5’テールを含有するプライマーoBP518(配列番号181)、およびPDC1断片Cの5’末端との相同性がある5’テールを含有するプライマーoBP519(配列番号182)によって増幅した。PDC1断片Cは、PDC1断片Uの3’末端との相同性がある5’テールを含有するプライマーoBP520(配列番号183)、およびプライマーoBP521(配列番号184)によって増幅した。PCR産物は、PCR精製キット(Qiagen,Valencia,CA)によって精製した。PDC1断片A−ilvDおよびPDC1断片Bを混合し、プライマーoBP513およびoBP517で増幅することで、PDC1断片A−ilvD−BをオーバーラップPCRによって作成した。PDC1断片UとPDC1断片Cを混合し、プライマーoBP518(配列番号181)およびoBP521(配列番号184)で増幅することで、PDC1断片U−CをオーバーラップPCRによって作成した。得られたPCR産物をアガロースゲル上でゲル精製し、ゲル抽出キット(Qiagen,Valencia,CA)がそれに続いた。PDC1断片A−ilvD−BとPDC1断片U−Cを混合し、プライマーoBP513(配列番号177)およびoBP521(配列番号184)で増幅することで、PDC1A−ilvD−B−U−CカセットをオーバーラップPCRによって作成した。PCR産物は、PCR精製キット(Qiagen,Valencia,CA)によって精製した。
PNY1702のコンピテント細胞を作成し、Frozen−EZ Yeast Transformation II(商標)キット(Zymo Research Corporation,Irvine,CA)を使用して、PDC1A−ilvD−B−U−CPCRカセットで形質転換した。形質転換混合物をウラシル欠損2%グルコース添加合成完全培地上に30Cで播種した。Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)によって調製されたゲノムDNAを使用して、プライマーoBP511(配列番号185)およびoBP512(配列番号186)を用いたPCRによって、pdc1ノックアウトilvD組み込みがある形質転換体をスクリーニングした。単離株中のPDC1遺伝子の不在は、PDC1、oBP550(配列番号187)、およびoBP551(配列番号188)のコード配列に対して特異的なプライマーを使用した、陰性PCR結果によって実証された。染色体からURA3マーカーを除去するために、正しい形質転換体をYPD中で一晩培養し、5−フルオロオロチン酸(0.1%)含有合成完全培地上に30℃で播種して、URA3マーカーが欠失した分離株を選択した。PDC1欠失、ilvD組み込み、およびマーカー除去は、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)によって調製されたゲノムDNAを使用して、プライマーilvDSm(1354F)(配列番号189)およびoBP512(配列番号186)を用いたPCRと、プライマーilvDSm(788R)(配列番号190)およびilvDSm(1354F)(配列番号189)を用いた配列決定とによって確認した。正しい単離株をPNY1703株(=MATa ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvD)として選択した。
PNY1713(=MATα ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvD)およびPNY1714(=MATa ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvD)を単離するための、PNY1703 MATa×PNY0894 MATα交雑、胞子形成、および四分子切開。
YPD上でPNY1703 MATaおよびPNY0894 MATαを30℃で一晩交雑して、二倍体(MATa/α)細胞を作成した。可能な二倍体をYPDプレート上に画線塗抹して、30℃で4日間培養して、単一コロニーを単離した。二倍体を同定するために、MAT遺伝子座の右側でその方向を向く配列に相当するMAT1(配列番号191)、MATαおよびHMLαに位置する特異的領域内の配列に相当するMAT2(配列番号192)、およびMATaおよびHMRaに位置するα特異的領域内の配列に相当するMAT3(配列番号193)の3つのオリゴヌクレオチドプライマーによって、Phusion(登録商標)High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs Inc.;Ipswich,MA)を使用して、コロニーPCR(Huxley,et al.,Trends Genet.6:236,1990)を実施した。二倍体コロニーは、MATα特異的404bpおよびMATa特異的544bpの2つのPCR産物を生じることから、判定された。得られた二倍体を胞子形成前培地中で培養し、次に胞子形成培地に接種した(Codon,et al.,Appl Environ Microbiol.61:630,1995)。3日後、胞子形成効率を顕微鏡でチェックした。胞子を0.05mg/mLのZymolyase(登録商標)で消化した(Zymo Research Corporation,Irvine,Methods in Yeast Genetics,2000,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NYからの手順を使用した)。8枚のプレートの四分子をYPDプレート上で解体し(プレートあたり18個の四分子、合計144個の四分子、576個の胞子)、30℃に4日間おいた。遺伝子型ura3Δおよびhis3Δ、およびエタノールおよびグルコース培地上の成長表現型について胞子子孫をスクリーニングするために、YPDプレート上の胞子を、酵母レプリカ平板法装置(Corastyles,Hendersonville,NC)を使用して、1)ウラシル(ura)欠損2%グルコース添加合成完全(SC)培地、2)ヒスチジン(his)欠損2%グルコース添加SC次に3)0.5%エタノール培地添加SCに順次レプリカ播種した。SC−uraプレートおよびSC−hisプレート上で成長できなかったが、SC+0.5%エタノールプレートおよびYPDプレート上で成長した胞子を選択してPCR分析し、それらの交雑型を判定した(Huxley,et al.,Trends Genet.6:236,1990)。胞子がpdc1Δ::ilvDを含有するかどうかを判定するために、選択された胞子を、プライマーoBP512(配列番号186)およびilvDSm(1354F)(配列番号189)を使用したコロニーPCRによってチェックした。pdc1Δ::ilvDを含有する胞子は、予測された962bpのPCR産物を生成したが、欠失がないものはPCR産物を生成しなかった。次にプライマーBP448(配列番号173)およびBP449(配列番号174)を使用して、陽性の胞子をPDC6欠失についてPCRチェックした。予測されたPCRサイズの断片は、pdc6Δを含有する細胞では1.3kbpであり、野生型PDC6遺伝子を含有する細胞では2.9kbpであった。双方の交雑型について正しい単離株を選択し、PNY1713(=MATα ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvD)およびPNY1714(=MATa ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvD)と命名した。
PDC5欠失およびkivD(y)組み込み
PDC5コード領域を欠失させて、PDC5コード領域の相同性上流(断片A)および下流(断片B)と、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)中の発現のためにコドン最適化されたkivD(y)コード領域(断片kivD(y))と、形質転換体の選択のためのプロモーターおよびターミネーター(断片U)があるURA3遺伝子と、PDC5コード領域の3’領域(断片C)とを含有するPCRカセット(A−kivD(y)−B−U−c)での相同組換えによって、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis)からのkivDコード領域で置換した。
PDC5断片Aは、kivD(y)の5’末端との相同性がある3’テールを含有する、プライマーT−A(PDC5)(配列番号194)とプライマーB−A(kivD)(配列番号195)を用いて、Phusion(登録商標)High Fidelity PCR Master Mix(New England Biolabs Inc.;Ipswich,MA)を使用して、テンプレートとしてのPNY891ゲノムDNAから増幅した。コード配列kivD(y)は、PDC5断片Aの3’末端との相同性がある5’テールを含有するプライマーT−kivD(a)(配列番号197)、およびPDC5断片Bの5’末端との相同性がある3’テールを含有するプライマーB−kivD(b)(配列番号198)によって、テンプレートとしての(配列番号196)から増幅した。PDC5断片AおよびkivD(y)を混合し、プライマーT−A(PDC5)およびB−A(kivD)で増幅することで、PDC5断片A−kivD(y)をオーバーラップPCRによって作成した。PDC5断片BをpUC19−URA3MCSにクローン化して、PDC5A−kivD(y)−B−U−CPCRカセットのB−U部分を作成した。得られたプラスミドは、pUC19−URA3−sadB−PDC5断片B(配列番号199)と命名された。プラスミドpUC19−URA3−sadB−PDC5断片Bは、kivD(y)断片の3’末端との相同性がある5’テールを含有するプライマーT−B(kivD)(配列番号200)、およびPDC5断片Cの5’末端との相同性がある3’テールを含有するoBP546(配列番号201)を使用した、PDC5断片B−断片Uの増幅のためのテンプレートとして使用した。PDC5断片Cは、PDC5断片Bー断片Uの3’末端との相同性がある5’テールを含有するプライマーoBP547(配列番号202)、およびプライマーoBP539(配列番号203)によって増幅した。PCR産物は、PCR精製キット(Qiagen,Valencia,CA)によって精製した。PDC5断片B−断片UおよびPDC5断片Cを混合し、プライマーT−B(kivD)(配列番号200)およびoBP539(配列番号203)で増幅することで、PDC5断片B−断片U−断片CをオーバーラップPCRによって作成した。得られたPCR産物をアガロースゲル上で精製し、ゲル抽出キット(Qiagen,Valencia,CA)がそれに続いた。PDC5断片A−kivD(y)断片とPDC5断片B−断片U−PDC5断片Cを混合し、プライマーT−A(PDC5)(配列番号194)およびoBP539(配列番号203)で増幅することで、PDC5A−kivD(y)−B−U−CカセットをオーバーラップPCRによって作成した。PCR産物は、PCR精製キット(Qiagen,Valencia,CA)によって精製した。
PNY1714のコンピテント細胞を作成し、Frozen−EZ Yeast Transformation II(商標)キット(Zymo Research Corporation,Irvine,CA)を使用して、PDC5A−kivD(y)−B−U−CPCRカセットで形質転換した。形質転換混合物をウラシル欠損0.5%エタノール添加(グルコース無添加)合成完全培地上に、30℃で播種した。Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)によって調製されたゲノムDNAを使用して、プライマーoBP540(配列番号204)およびkivD(652R)(配列番号205)を用いたPCRによって、pdc5ノックアウトkivD組み込みがある形質転換体をスクリーニングした。単離株中のPDC5遺伝子の不在は、PDC5、oBP552(配列番号206)、およびoBP553(配列番号207)のコード配列に対して特異的なプライマーを使用した、陰性PCR結果によって実証された。染色体からURA3マーカーを除去するために、双方のMATαおよびMATa株の正しい各形質転換体をYPE(0.5%エタノール)中で一晩培養し、エタノール添加(グルコース無添加)5−フルオロオロチン酸(0.1%)含有合成完全培地上に30℃で播種して、URA3マーカーが欠失した分離株を選択した。PDC5欠失、kivD(y)組み込み、およびマーカー除去は、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)で調製されたゲノムDNAを使用して、プライマーoBP540およびoBP541を用いたPCRによって確認した。kivD(y)コード領域の正しい組み込みは、プライマーkivD(652R)(配列番号205)、kivD(602f)(配列番208)、およびkivD(1250F)(配列番号209)を用いたDNA配列(DNA sequence)によって確認した。正しい単離株は、PNY1716(=MATa ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvD pdc5Δ::kivD(y))株と命名された。
FRA2欠失およびUAS(PGK1)−FBA1p−ilvD(y)−TEF1t組み込み
FRA2コード領域を欠失させ、相同組換えによってカセットUAS(PGK1)−FAB1p−ilvD(y)−TEF1t−HisG−URA3−HisGで置換した。カセットUAS(PGK1)−FAB1p−ilvD(y)−TEF1t−HisG−URA3−HisGは、雑種プロモーターUAS(PGK1)−FAB1pと、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)での発現のためにコドン最適化されたストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)ATCC番号700610からのilvD(y)コード領域と、TEF1tターミネーターと、HisG断片で挟まれたプロモーターとミネーターがあるURA3遺伝子とを含有する。
プラスミドpRS423−TPI1p−ilvD(y)(配列番号210)を制限酵素NotIおよびSalIで消化して、アガロースゲル上で2,270bpのTPI1p−ilvD(y)断片を精製し、ゲル抽出キット(Qiagen,Valencia,CA)がそれに続いた。TPI1p−ilvD(y)断片をpMOD−URA3r2(配列番号211)上のNotIおよびSalI部位にクローン化して、pMOD−URA3r2−TPI1p−ilvD(y)を構築した。pMOD−URA3r2はpUC19ベースであり、HisG断片で挟まれたURA3遺伝子の配列を含有する。プライマーT−TEF1t(NotI)(配列番号212)およびプライマーB−TEF1t(NotI)(配列番号213)によって、テンプレートとしてのサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)ゲノムDNAから、Phusion(登録商標)High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs Inc.;Ipswich,MA)を使用して、PCRTEF1t(285bp)を増幅した。PCRTEF1t断片を制限酵素NotIで消化し、次にpMOD−URA3r2−TPI1p−ilvD(y)上のNotI部位にクローン化した。TEF1tの正しい配向は、2,009bpの予想サイズで、T−DSmo(RPS5p)(配列番号214)およびB−TEF1t(NotI)(配列番号213)を用いたコロニーPCR解析によって確認された。得られたプラスミドは、pMOD−URA3r2−TPI1p−ilvD(y)−TEF1tと命名された。次に、pMOD−URA3r2−TPI1p−ilvD(y)−TEF1t上のTPI1pプロモーターを雑種プロモーターUAS(PGK1)−FBA1p(配列番号215)で置換した。プライマーT−U/PGK1(XhoApa)(配列番号217)およびプライマーB−FBA1(SpeI)(配列番号218)によって、Phusion(登録商標)High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs Inc.;Ipswich,MA)を使用して、プラスミドpRS316−UAS(PGK1)−FBA1p−GUS(配列番号216)から、PCRUAS(PGK1)−FBA1pカセットを増幅した。PCRUAS(PGK1)−FBA1p産物を制限酵素XhoIおよびSpeIで消化し、PCR断片をアガロースゲル上で精製してゲル抽出キット(Qiagen,Valencia,CA)がそれに続いた。pMOD−URA3r2−TPI1p−ilvD(y)−TEF1tを制限酵素SalIおよびSpeIで消化し、次にTPI1pを欠く6,887bpのプラスミド断片をアガロースゲル上で精製して、ゲル抽出キット(Qiagen,Valencia,CA).がそれに続いた。XhoIおよびSpeIで消化されたUAS(PGK1)−FBA1p産物に、6,887bpのpMOD−URA3r2−ilvD(y)−TEF1tをライゲートして、pMOD−URA3r2−UAS(PGK1)−FBA1p−ilvD(y)−TEF1t(配列番号219)を作成した。FRA2ATGの50bp上流の5’領域を含有するプライマーT−FRA(Dsm)(配列番号220)、およびFRA2コード領域の50bp下流の3’領域を含有するB−FRA(Dsm)(配列番号221)によって、Phusion(登録商標)High Fidelity PCR Master Mix(New England BioLabs Inc.;Ipswich,MA)を使用して、プラスミドpMOD−URA3r2−UAS(PGK1)−FBA1p−ilvD(y)−TEF1tから、PCRカセットUAS(PGK1)−FAB1p−ilvD(y)−TEF1t−HisG−URA3−HisGを増幅した。PCR産物は、PCR精製キット(Qiagen,Valencia,CA)によって精製した。
PNY1716のコンピテント細胞を作成し、Frozen−EZ Yeast Transformation II(商標)キット(Zymo Research Corporation,Irvine,CA)を使用して、PCRカセットUAS(PGK1)−FAB1p−ilvD(y)−TEF1t−HisG−URA3−HisGで形質転換した。形質転換混合物をウラシル欠損0.5%エタノール添加(グルコース無添加)合成完全培地上に、30℃で播種した。Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)によって調製されたゲノムDNAを使用して、プライマーoBP602(配列番号222)およびB−TEF1t(NotI)を用いたPCRによって、fra2ノックアウトUAS(PGK1)−FAB1p−ilvD(y)−TEF1t−HisG−URA3−HisG組み込みがある形質転換体をスクリーニングした。染色体からURA3マーカーを除去するために、正しい各形質転換体をYPE(0.5%エタノール)中で一晩培養し、エタノール添加(グルコース無添加)5−フルオロオロチン酸(0.1%)含有合成完全培地上に30℃で播種して、URA3マーカーが欠失した分離株を選択した。FRA2欠失、ofUAS(PGK1)−FAB1p−ilvD(y)−TEF1t組み込み、およびURA3マーカー除去は、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)によって調製されたゲノムDNAを使用して、プライマーDSm(o)50R(配列番号223)、DSm(o)1F(配列番号224)、DSm(o)688F(配列番号225)、およびDSm(o)1352F(配列番号226)を用いたDNA配列決定によって確認した。正しい単離株は、PNY1720(=MATa ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvD pdc5Δ::kivD(y)fra2Δ::UAS(PGK1)−FBA1p−ilvD(y))と命名された。
GPD2欠失およびFBA1p−alsS組み込み
GPD2コード領域を欠失させ、変性loxP71/loxP66部位で挟まれたURA3p−URA3−URA3tカセットと、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)からのFBA1プロモーターと、バチルス・サブティリス(Bacillus subtilis)亜種サブティリス(subtilis)168株(GenBankNo.NC_000964)からのalsSとを含有するPCRカセット(URA3−FBA1p−alsS)を用いた、相同組換えによって、FAB1プロモーターおよびalsSコード領域で置換した。
loxP71/loxP66部位で挟まれたPCRURA3p−URA3−URA3t断片は、GPD2ATGの5’領域60bp上流を含有するプライマーT−URA(gpd_60bp)(配列番号227)、およびFBA1p−alsS断片の5’末端との相同性がある3’テールを含有するB−URA(alsS)(配列番号228)によって、Phusion(登録商標)DNAポリメラーゼ(New England BioLabs Inc.,Ipswich,MA)を使用して、pLA59(配列番号150)から増幅した。PCRFBA1p−alsS断片は、URA3p−URA3−URA3t断片の3’末端との相同性がある5’テールを含有するプライマーT−alsS(URA)(配列番号230)、およびGPD2遺伝子の60bp下流の3’領域を含有するB−alsS(gpd_60bp)(配列番号231)によって、Phusion(登録商標)DNAポリメラーゼ(New England BioLabs Inc.,Ipswich,MA)を使用して、pUC19−kan::pdc1::FBA−alsS::TRX1(配列番号229)から増幅した。得られたPCR産物をアガロースゲル上で精製し、ゲル抽出キット(Qiagen,Valencia,CA)がそれに続いた。URA3p−URA3−URA3t断片とFBA1p−alsS断片を混合し、プライマーT−URA(gpd_60bp)およびB−alsS(gpd_60bp)で増幅することで、URA3−FBA1p−alsSカセットをオーバーラップPCRによって作成した。PCR産物は、PCR精製キット(Qiagen,Valencia,CA)によって精製した。
PNY1720のコンピテント細胞を作成し、Frozen−EZ Yeast Transformation II(商標)キット(Zymo Research Corporation,Irvine,CA)を使用して、PCRカセットURA3−FBA1p−alsSで形質転換した。形質転換混合物をウラシル欠損0.5%エタノール添加(グルコース無添加)合成完全培地上に、30℃で播種した。Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)によって調製されたゲノムDNAを使用して、プライマーFBA−als1557(配列番号232)およびgpd2−down178(配列番号233)を用いたPCRによって、gpd2ノックアウトURA3−FBA1p−alsS組み込みがある形質転換体をスクリーニングした。pRS423::PGAL1−cre(配列番号147)で形質転換し、ウラシル欠損0.5%エタノール添加合成完全培地上に30℃で播種することで、URA3マーカーを再循環させた。0.5%エタノール添加5−フルオロオロチン酸(0.1%)含有合成完全培地上に、形質転換体を画線塗抹して30℃で培養し、URA3マーカーを喪失した単離株を選択した。pRS423::PGAL1−creプラスミドの除去のために、5−FOA耐性分離株をYPE(0.5%エタノール)中で培養したGPD2欠失、FBA1p−alsS組み込み、およびマーカー除去は、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)で調製されたゲノムDNAを使用して、プライマーgpd2−up229(配列番号234)およびB−FBA1(SpeI)(配列番号218)を用いたPCRによってチェックし、プライマーT−alsS(URA)、FBA−als752(配列番号235)、FBA−als1557(配列番号232)、およびgpd2−down178を用いたDNA配列決定によって確認した。正しい単離株は、PNY1725(=MATa ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvD pdc5Δ::kivD(y)fra2Δ::UAS(PGK1)−FBA1p−ilvD(y)gpd2Δ::loxP71/66−FBA1p−alsSと命名された。
BDH1欠失およびUAS(PGK1)−ENO2p−ilvD−TEF1t−ILV5p−adh組み込み
BDH1コード領域を欠失させ、相同組換えによって、カセットUAS(PGK1)−ENO2p−ilvD−TEF1t−ILV5p−adhで置換した。BDH1欠失およびUAS(PGK1)−ENO2p−ilvD−TEF1t−ILV5p−adh組み込みカセット(A−UAS(PGK1)−ENO2p−ilvD−TEF1t−ILV5p−adh−B−U−c)は、BDH1コード領域の相同性上流(断片A)および下流(断片B)と、雑種プロモーターUAS(PGK1)−ENO2pと、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)ATCC番号700610からのilvDコード領域と、TEF1tターミネーターと、ILV5pプロモーターと、ベイジェリンキア・インディカ(Beijerinckia indica)からのターミネーターがあるadhコード領域と、形質転換体の選択のためのプロモーターおよびターミネーター(断片U)mがあるURA3遺伝子と、BDH1コード領域(断片C)の3’領域とを含有する。断片A、UAS(PGK1)−ENO2p、ilvD、TEF1t、ILV5p、adh、断片B、断片U、および断片CをpUC19ベースのプラスミドにクローン化して、pBP1339(=pA−UAS(PGK1)−ENO2p−ilvD−TEF1t−ILV5p−adh−B−U−c)(配列番号236)を作成した。Phusion(登録商標)DNAポリメラーゼ(New England BioLabs Inc.,Ipswich,MA)を使用して、プライマーoBP685(配列番号237)およびoBP690(配列番号238)によって、PCRカセットA−UAS(PGK1)−ENO2p−ilvD−TEF1t−ILV5p−adh−B−U−CをpBP1339から増幅した。PCR産物は、PCR精製キット(Qiagen,Valencia,CA)によって精製した。
コンピテント細胞ofPNY1725を作成し、Frozen−EZ Yeast Transformation II(商標)キット(Zymo Research Corporation,Irvine,CA)を使用して、PCRカセットA−UAS(PGK1)−ENO2p−ilvD−TEF1t−ILV5p−adh−B−U−Cで形質転換した。形質転換混合物をウラシル欠損0.5%エタノール添加(グルコース無添加)合成完全培地上に、30℃で播種した。Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)を用いて調製されたゲノムDNAを使用して、プライマーoBP726(配列番号239)およびDSm1354F(配列番号240)を用いたPCRによって、bdh1ノックアウトUAS(PGK1)−ENO2p−ilvD−TEF1t−ILV5p−adh−B−U組み込みがある形質転換体をスクリーニングした。染色体からURA3マーカーを除去するために、正しい各形質転換体をYPE(0.5%エタノール)中で一晩培養し、エタノール添加(グルコース無添加)5−フルオロオロチン酸(0.1%)含有合成完全培地上に30℃で播種して、URA3マーカーが欠失した分離株を選択した。BDH1欠失、UAS(PGK1)−ENO2p−ilvD−TEF1t−ILV5p−adh組み込み、およびURA3マーカー除去は、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)で調製されたゲノムDNAを使用して、プライマーDSm788R(配列番号241)、DSm696F(配列番号242)、DSm1354F(配列番号240)、ADHBi643R(配列番号243)、およびADHBi554F(配列番号244)を用いたDNA配列決定によって確認した。正しい単離株は、PNY1730(=MATa ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvD pdc5Δ::kivD(y)fra2Δ::UAS(PGK1)−FBA1p−ilvD(y)−gpd2Δ::loxP71/66−FBA1p−alsS bdh1Δ::UAS(PGK1)−ENO2p−ilvD−ILV5p−adh)と命名された。
YMR226c欠失
PNY1730株中の遺伝子YMR226cを相同組換えによって欠失させ、2.0kbの直鎖無瘢痕欠失カセットを使用してPCR増幅した。カセットは、選択可能なマーカーとしてのその固有のプロモーターおよびターミネーターがあるURA3遺伝子と、欠失カセットの組み込みおよび天然介在配列の除去を促進するためのYMR226c遺伝子染色体遺伝子座側面に位置する上流および下流相同配列と、URA3マーカーの組換えおよび除去を促進するための反復配列とを含んでなる、スプライスされたPCR増幅断片から、構築された。1,208bpのURA3発現カセットは、順方向および逆方向PCRプライマーN1251(配列番号245)およびN1252(配列番号246)によって、pLA33(配列番号160)からPCR増幅された。順方向および逆方向プライマーN1253(配列番号247)およびN1254(配列番号248)は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)PNY2211株(MATa ura3Δ::loxP his3Δ pdc6Δ pdc1Δ::P[PDC1]−DHAD|ilvD_Sm−PDC1t−P[FBA1]−ALS|alsS_Bs−CYC1t pdc5Δ::P[PDC5]−ADH|sadB_Ax−PDC5t gpd2Δ::loxP fra2Δ adh1Δ::UAS(PGK1)P[FBA1]−kivD_Ll(y)−ADH1t)のゲノムDNA調製品からの3’URA3重複配列タグがある、250bpの下流相同配列を増幅した。順方向および逆方向PCRプライマーN1256(配列番号249)およびN1255(配列番号250)は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)PNY2211株のゲノムDNA調製品からの5’URA3重複配列タグがある、250bpの反復配列を増幅した。順方向および逆方向PCRプライマーN1257(配列番号251)およびN1258(配列番号252)は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)PNY2211株のゲノムDNA調製品からの5’反復重複配列タグがある、250bpの上流相同配列を増幅した。
Frozen−EZ Yeast Transformation II(商標)キット(Zymo Research Corporation,Irvine,CA)を使用して、およそ1.5μgのPCR増幅カセットをPNY1730株に形質転換して資化能力を持たせ、組み込まれたymr226cΔ::URA3カセットがある細胞を選択するために、ウラシル欠損0.5%エタノール添加(グルコース無添加)合成完全培地上に、形質転換混合物を30℃で播種した。72〜96時間後に出現した形質転換体は、引き続いて同一培地上に短く画線塗抹して、30℃で24〜48時間培養した。PCRによって、短い画線培養をymr226cΔ::URA3についてスクリーニングし、5’外向きURA3欠失カセット特異的内部プライマーN1249(配列番号253)を、側面に位置する内向き染色体特異的プライマーN1239(配列番号254)と対合させ、3’外向きURA3欠失カセット特異的プライマーN1250(配列番号255)を、側面に位置する内向き染色体特異的プライマーN1242(配列番号256)と対合させた。PNY1730 ymr226cΔ::URA3の陽性のPCRスクリーニングは、それぞれ598および726bpの5’および3’PCR産物をもたらした。
陽性PNY1730 ymr226cΔ::URA3クローンをYPE(0.5%エタノール)中で一晩培養し、次にエタノール添加(グルコース無添加)5−フルオロオロチン酸(0.1%)含有合成完全培地上に30℃で播種して、URA3マーカーが欠失した分離株を選択した。5’および3’染色体特異的プライマーN1239およびN1242を用いて、24から48時間後に出現したコロニーをマーカー喪失についてPCRスクリーニングした。PNY1730 ymr226cΔマーカー喪失の陽性PCRスクリーニングは、801bpのPCR産物をもたらした。PNY1730 ymr226cΔ株は、PNY1758(=MATa ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvD pdc5Δ::kivD(y)fra2Δ::UAS(PGK1)−FBA1p−ilvD(y)gpd2Δ::loxP71/66−FBA1p−alsS−bdh1Δ::UAS(PGK1)−ENO2p−ilvD−ILV5p−adh ymr226cΔ)と命名された。
イソブタノール産生菌PNY1775の構築
アナエロスティペス・カカエ(Anaerostipes caccae)DSM14662からのK9D3.KARI遺伝子を保有するpWZ009(配列番号158)と、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)ATCC番号700610からのilvD遺伝子を保有するpWZ001(配列番号159)との2つのプラスミドで、PNY1758を形質転換した。PNY1775のコンピテント細胞を作成し、Frozen−EZ Yeast Transformation II(商標)キット(Zymo Research Corporation,Irvine,CA)を使用して、プラスミドpWZ009およびpWZ001で同時形質転換した。形質転換細胞をウラシルおよびヒスチジン欠損0.5%エタノール添加(グルコース無添加)合成完全培地上に、30℃で播種した。得られた形質転換体は、イソブタノール生成株PNY1775(=MATa ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvD pdc5Δ::kivD(y)fra2Δ::UAS(PGK1)−FBA1p−ilvD(y)−gpd2Δ::loxP71/66−FBA1p−alsS bdh1Δ::UAS(PGK1)−ENO2p−ilvD−ILV5p−adh ymr226cΔ/pWZ009,pWZ001)と命名された。
イソブタノール産生菌PNY1789の構築
PNY1730(=MATa ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvD pdc5Δ::kivD(y)fra2Δ::UAS(PGK1)−FBA1p−ilvD(y)−gpd2Δ::loxP71/66−FBA1p−alsS bdh1Δ::UAS(PGK1)−ENO2p−ilvD−ILV5p−adh)株を使用して、イソブタノール産生菌PNY1789を作成した。
pdc5Δ::kivD(y)withpdc5Δ::kivD.Lg.yの置換
PNY1730中のpdc5Δ欠失領域に組み込まれたラクトコッカス・ラクチス(Lactococusslactis)kivD(y)コード領域を、サッカロミセス・セレビシエ(Saccahromyces cerevisiae)(=kivD.Lg.y)のためにコドン最適化されたリステリア・グレイー(Listeria grayi)kivD遺伝子で、相同組換えによって置換した。
kivD.Lg.y組み込みカセット(A−KivD.Lg.y−B−U−c)は、PDC5コード領域の相同性上流(断片A)および下流(断片B)と、リステリア・グレイー(Listeria grayi)からのkivD.Lg.yコード領域、形質転換体の選択のためのプロモーターおよびターミネーター(断片U)があるURA3遺伝子と、kivD.Li.yコード領域(断片C)の3’領域とを含有する。断片Aは、kivD.Li.yの5’末端との相同性がある5’テールを含有する、プライマーT−A(PDC5)(配列番号194)とB−A(kivDLg)(配列番号257)によって、テンプレートとしてのPNY0891ゲノムDNAから増幅した。kivD.Li.yコード領域は、断片Aの3’末端との相同性がある5’テールを含有するプライマーT−kivDLg(A)(配列番号259)、および断片Bの5’末端との相同性がある5’テールを含有するB−kivDLg(B)(配列番号260)によって、pBP1719(=pUC19−ura3MCS−U(PGK1)Pfbai−kivD Lg(y)−ADH1 BAC−kivD。LI断片C(配列番号258)から増幅した。断片B−Uは、kivD.Li.yの3’末端との相同性がある5’テールを含有するプライマーT−B(kivDLg)(配列番号262)、および断片Cの5’末端との相同性がある5’テールを含有するoBP546(new)(配列番号263)によって、pBP904(=pUC19−URA3−sadB−PDC5断片B)(配列番号261)から増幅した。断片Cは、断片Uの3’末端との相同性がある5’テールを含有する、プライマーoBP547(new)(配列番号264)、およびプライマーoBP539(new)(配列番号265)によって増幅した。PCR産物は、PCR精製キット(Qiagen,Valencia,CA)によって精製した。断片Aと断片KivD.Lg.yを混合し、プライマーT−A(PDC5)およびB−kivDLg(B)で増幅することで、断片A−KivD.Lg.yをオーバーラップPCRによって作成した。断片B−Uおよび断片C混合し、プライマーT−B(kivDLg)およびoBP539(new)で増幅することで、断片B−U−CをオーバーラップPCRによって作成した。得られたPCR産物をアガロースゲル上でゲル精製し、ゲル抽出キット(Qiagen,Valencia,CA)がそれに続いた。断片A−KivD.Lg.yと断片B−U−Cを混合し、プライマーT−A(PDC5)およびoBP539(new)で増幅することで、A−KivD.Lg.y−B−U−CカセットをオーバーラップPCRによって作成した。PCR産物は、PCR精製キット(Qiagen,Valencia,CA)によって精製した。
コンピテント細胞ofPNY1730を作成し、Frozen−EZ Yeast Transformation II(商標)キット(Zymo Research Corporation,Irvine,CA)を使用して、PCRカセットA−KivD.Lg.y−B−U−Cで形質転換した。形質転換混合物をウラシル欠損0.5%エタノール添加(グルコース無添加)合成完全培地上に、30℃で播種した。Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)で調製されたゲノムDNAを使用して、プライマーセットoBP540/kivDLg(569R)およびkivDLg(530F)/oBP541を用いたPCRによって、A−KivD.Lg.y−B−U−C組み込みがある形質転換体をスクリーニングした。染色体からURA3マーカーを除去するために、正しい各形質転換体をYPE(0.5%エタノール)中で一晩培養し、エタノール添加(グルコース無添加)5−フルオロオロチン酸(0.1%)含有合成完全培地上に30℃で播種して、URA3マーカーが欠失した分離株を選択した。kivD.Lg.yによるkivD(y)の置換、およびURA3マーカー除去は、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)で調製されたゲノムDNAを使用して、プライマーkivDLg(569R)(配列番号266)、kivDLg(530F)(配列番号267)、およびkivDLg(1162F)(配列番号268)を用いたDNA配列決定によって確認した。正しい単離株は、PNY1787(=MATa ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvD pdc5Δ::kivD.Lg.y fra2Δ::UAS(PGK1)−FBA1p−ilvD.y gpd2Δ::loxP71/66−FBA1p−alsS bdh1Δ::UAS(PGK1)−ENO2p−ilvD−ILV5p−adh)と命名された。
HIS3+復元
欠失させたHIS3コード配列を、HIS3コード領域と上流および下流相同性とを含有するPCRカセットを用いた相同組換えによって、PNY1787株中で復元させた。
プライマーT−HIS3(up300)(配列番号269)およびプライマーB−HIS3(down273)(配列番号270)によって、テンプレートとしてのPNY891ゲノムDNAから、HIS3コード領域と側面に位置する上流および下流領域とを含有するHIS3コーディングPCRカセットを増幅した。得られたPCR産物をアガロースゲル上でゲル精製し、ゲル抽出キット(Qiagen,Valencia,CA)がそれに続いた。PNY1773のコンピテント細胞を作成し、Frozen−EZ Yeast Transformation II(商標)キット(Zymo Research Corporation,Irvine,CA)を使用して、HIS3+PCRカセットで形質転換した。形質転換混合物をヒスチジン欠損0.5%エタノール添加(グルコース無添加)合成完全培地上に、30℃で播種した。ヒスチジン欠損0.5%エタノール添加(グルコース無添加)合成完全培地上での成長について、HIS3+組み込みがある形質転換体をスクリーニングし、プライマーセットT−HIS3(up300)およびプライマーB−HIS3(down273)を用いたコロニーPCRによって確認した。正しい単離株は、PNY1788(=MATa ura3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvD pdc5Δ::kivD.Lg.y fra2Δ::UAS(PGK1)−FBA1p−ilvD.y gpd2Δ::loxP71/66−FBA1p−alsS bdh1Δ::UAS(PGK1)−ENO2p−ilvD−ILV5p−adh)と命名された。
PNY1788は、アナエロスティペス・カカエ(Anaerostipes caccae)DSM14662からのK9D3.KARI遺伝子と、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)ATCC番号700610からのilvD遺伝子とを保有するプラスミドpNZ001(配列番号271)で形質転換した。PNY1788のコンピテント細胞を作成し、Frozen−EZ Yeast Transformation II(商標)キット(Zymo Research Corporation,Irvine,CA)を使用して、プラスミドpNZ001で同時形質転換した。形質転換細胞をウラシル欠損0.5%エタノール添加(グルコース無添加)合成完全培地上に、30℃で播種した。得られた形質転換体は、イソブタノール生成株PNY1789(=MATa ura3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvD pdc5Δ::kivD(y)fra2Δ::UAS(PGK1)−FBA1p−ilvD(y)−gpd2Δ::loxP71/66−FBA1p−alsS bdh1Δ::UAS(PGK1)−ENO2p−ilvD−ILV5p−adh / pNZ001)と命名された。
実施例3
PDE1欠失があるイソブタノール産生菌の構築
PNY01758中の内在性PDE1コード領域を欠失させるために、URA3マーカー除去のための縮重loxP71およびloxP66部位で挟まれたURA3p−URA3−URA3tカセットを含有するpLA59(配列番号150)から、欠失カセットをPCR増幅した。PCRは、Phusion(登録商標)DNAポリメラーゼ(New England BioLabs Inc.,Ipswich,MA)と、プライマーPDE1FU R A3(配列番号151)およびPDE1 R URA3(配列番号152)とを使用して実施した。標準遺伝子技術(Methods in Yeast Genetics,2005,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,pp.201−202)を使用してPCR産物をPNY01758に形質転換し、5g/Lのエタノール添加合成完全培地(1×アミノ酸無添加酵母窒素原礎培地、1×ウラシル欠損アミノ酸混合物)上において30℃で選択した。プライマーURAIRおよびPDE1F(配列番号153および154)を用いたコロニーPCRによって、形質転換体をスクリーニングして、組み込みカセットと、プライマーURAIFおよびPDE1R(配列番号155および156)との存在を確認した。カセットのURA3マーカーを除去するために、細胞をpRS423::GAL1p−cre(配列番号147)で形質転換して、5g/Lのエタノール添加合成完全培地(1×アミノ酸無添加酵母窒素原礎培地、1×ヒスチジン欠損アミノ酸混合物)上で、形質転換体を30℃で選択した。0.5%ガラクトース添加酵母抽出物+ペプトン(YP)寒天プレート上に形質転換体を播種して、Creリコンビナーゼの発現を誘導した。ウラシル欠損5g/Lのエタノール添加合成完全培地上に、コロニーをパッチで植えて成長不在を立証することで、マーカー除去を確認した。欠失およびマーカー除去はまた、Gentra(登録商標)Puregene(登録商標)Yeast/Bactキット(Qiagen,Valencia,CA)で調製されたゲノムDNAを使用した、プライマーPDE1FおよびPDE1R(配列番号154および156)を用いた、PCRおよび配列決定によっても確認された。得られたPNY01758のPDE1欠失株は、PNY03040(=MATa ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvD pdc5Δ::kivD(y)fra2Δ::UAS(PGK1)−FBA1p−ilvD(y)gpd2Δ::loxP71/66−FBA1p−alsS bdh1Δ::UAS(PGK1)−ENO2p−ilvD−ILV5p−adh ymr226cΔ PDE1Δ::loxP71/66)と命名された。
イソブタノール産生菌PNY01759およびPNY03041の構築
アナエロスティペス・カカエ(Anaerostipes caccae)DSM14662からのK9D3.KARI遺伝子を保有して、ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptococcus mutans)ATCC番号700610からのilvD遺伝子を保有するプラスミドpK9D3.OLE1p.IlvD(配列番号157)で、PNY01758およびPNY03040を形質転換した。PNY01758およびPNY03040のコンピテント細胞を作成し、Frozen−EZ Yeast Transformation II(商標)キット(Zymo Research Corporation,Irvine,CA)を使用して、プラスミドpK9D3.OLE1p.IlvD(配列番号157)で形質転換した。形質転換細胞をウラシル欠損0.5%エタノール添加(グルコース無添加)合成完全培地上に、30℃で播種した。得られた形質転換体は、イソブタノール生成株PNY01759(=MATa ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvD pdc5Δ::kivD(y)fra2Δ::UAS(PGK1)−FBA1p−ilvD(y)gpd2Δ::loxP71/66−FBA1p−alsS bdh1Δ::UAS(PGK1)−ENO2p−ilvD−ILV5p−adh ymr226cΔ/pK9D3.OLE1p.IlvD)and PNY03041(=MATa ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvD pdc5Δ::kivD(y)fra2Δ::UAS(PGK1)−FBA1p−ilvD(y)gpd2Δ::loxP71/66−FBA1p−alsS bdh1Δ::UAS(PGK1)−ENO2p−ilvD−ILV5p−adhymr226cΔPDE1Δ::loxP71/66/ pK9D3.OLE1p.IlvD)と命名された。
125mL通気フラスコ内において、2g/Lのスクロースおよび5g/Lのエタノールが添加された、合成培地(1×アミノ酸非含有酵母窒素原礎培地およびウラシル非含有酵母合成ドロップアウト培地補給剤)中で、イソブタノール産生菌PNY01759およびPNY03041を培養した。細胞を250rpmで振盪しながら、30℃で一晩培養した。PNY03041の2つの独立したコロニー、すなわち3041#5および3041#18を、ウラシル欠損5g/Lのエタノール添加(グルコース無添加)および2g/Lのスクロース添加合成完全培地上において30℃で純化して、引き続く実験で使用した。
実施例4
スクロース加水分解に対するPDE1欠失の影響
細胞をYPDプレート(10g/Lのペプトン、5g/Lの酵母抽出物、および20g/Lのグルコース)上において30℃で24時間培養した。20mLの20g/Lのグルコース含有合成完全培地(SC)(1×アミノ酸なしの酵母窒素原礎培地、1×ウラシルおよびヒスチジン添加アミノ酸混合物)中に、(プレートからの)白金時1杯のPNY01500細胞またはPNY03001(PDE1Δ)細胞を接種して、30℃で24時間培養した。細胞を遠心分離して、43〜44g/Lのスクロースを含有するSC培地に再懸濁した。細胞の光学濃度を10(OD600)に調節し、試験管を30℃および220rpmでインキュベートした。サンプル(10mL容積)を50mLねじ蓋管に入れた。接種の2、6、および8時間後に、各ねじ蓋管からおよそ0.5mLのサンプルを取り出して遠心分離し、残留糖含有量の分析前に濾過滅菌した。YSI 2300 STAT添加(商標)Glucose & Lactate Analyzer(YSI Life Sciences,Yellow Springs,Ohio)を使用して、培地の残留スクロースおよびグルコース含有量を推定した。
スクロースを炭素源として含有する合成完全培地中で培養した、PNY01500およびPNY03001(PDE1Δ)の残留糖含有量は、表6に示される。PNY01500細胞およびPNY03001細胞は、SC培地中で、同様のスクロース加水分解および糖消費パターンを示した。PDE1の欠失は、スクロース加水分解および糖消費に悪影響を与えなかった。
Figure 2015503350
実施例5
イソブタノール存在下におけるスクロース加水分解
20g/Lのグルコースを含む20mLのSC培地(1×アミノ酸なしの酵母窒素原礎培地、1×ウラシルおよびヒスチジン添加アミノ酸混合物)中に、プレートからの白金時1杯のPNY01500細胞またはPNY03001(PDE1Δ)細胞を接種して、30℃で24時間培養した。細胞を遠心分離して、43〜44g/Lのスクロースと15g/Lのイソブタノールとを含有するSC培地に再懸濁した。細胞の光学濃度を10(OD600)に調節して、試験管を30℃および220rpmで16時間インキュベートした。サンプル(10mL容積)を50mLねじ蓋管に入れた。接種0時間目および3および5時間後に、各ねじ蓋管からおよそ0.5mLのサンプルを採取した。残留糖含有量分析前に、サンプルを遠心分離して濾過滅菌した。HPX 87N Aminex(登録商標)カラム、300×7.8mm(BioRad Laboratories,Hercules,CA)を使用したHPLC(1260 Infinity System,Agilent Life Sciences,Santa Clara,CA)によって、残留スクロース、グルコース、フルクトース、およびエタノール含量を推定した。
スクロースおよびイソブタノールを炭素源として含有する合成完全培地中で培養したPNY01500およびPNY03001(PDE1Δ)の残留糖含有量は、表7に示される。15g/Lのイソブタノールを含有する合成完全培地中のPNY01500と、PNY03001のスクロース加水分解速度を比較した。PNY01500細胞およびPNY03001細胞は、15g/Lのイソブタノールを含有する中SC培地で、スクロース加水分解および糖消費の異なるパターンを示した。PNY03001細胞は、PNY01500よりも迅速な速度でスクロースを加水分解した。5時間の培養後に、PNY03001は、加水分解糖類もまた消費して、PNY01500と比較して、50%より多くのエタノールを生成した。PDE1欠失は、イソブタノール存在下で、スクロース加水分解および糖代謝に良い影響を与えた。PDE1欠失は、発酵能力を改善したようである。
Figure 2015503350
実施例6
PDE1ノックアウト株中のスクロース加水分解およびイソブタノール力価
PNY01759およびPNY03041細胞(3041#5および3041#18)を実施例5に記載されるように培養して、25℃および3000rpmで5分間の遠心分離によって細胞を沈殿させ、上清を廃棄した。
生産期
50mLねじ蓋管内の生産培地(PM)(表8および9)を使用して、細胞を10(OD600)、約7〜8g/Lの乾燥細胞重量に希釈した。0.22μm濾紙を使用して、使用前に培地を濾過滅菌した。ねじ蓋管を30℃および200rpmで20時間撹拌し、4000rpmで5分間遠心分離した。生成した残留スクロースおよびイソブタノールのHPLCによる分析のために、サンプルを保存した。次に細胞ペレットを酸洗浄した。
Figure 2015503350
Figure 2015503350
酸洗浄期
細胞ペレットを10mLの酸洗浄培地(AWM)、pH2に再懸濁して(表10)、200rpmおよび30℃で120分間撹拌した。
Figure 2015503350
細胞再循環
酸洗浄期後、3000rpmで4分間の遠心分離によって細胞を収集し;上清を廃棄して、10mLの新鮮PMを細胞に添加した。細胞を培養して、HPLCのためにサンプルを収集して、残留スクロース含有量を測定した。各生産期後、細胞を酸洗浄し、次に細胞を再循環させた。
PM中で20時間の培養後の培養物中の残留スクロースの定量化は、細胞の酸洗浄後に、PNY01759内でスクロース分解が徐々に低下したことを示した(表11)。PNY03041(PDE1Δ)は、スクロースを効率的に加水分解し、細胞の3回の酸洗浄後に、スクロース蓄積はなかった。培養物の残留スクロース含有量は、2回目および3回目の酸洗浄後に増大した。PNY0341細胞は、PNY01759と比較して、細胞の酸洗浄後により多くのイソブタノールを生成した(表12)。これらの結果は、PDE1欠失がスクロース加水分解を改善し、イソブタノール産生菌のイソブタノール力価を改善することを示す。
Figure 2015503350
Figure 2015503350
実施例7
酸洗浄後のPDE1ノックアウトの細胞生存度
125mL通気フラスコ内において、2g/Lのスクロースおよび5g/Lのエタノールが添加された、合成培地(1×アミノ酸非含有酵母窒素原礎培地およびウラシル非含有酵母合成ドロップアウト培地)中で、イソブタノール産生菌株PNY01759およびPNY03041(PDE1Δ)を培養した。細胞を250rpmで振盪しながら、30℃で一晩培養した。3000rpmおよび25℃で5分間の遠心分離によって細胞を沈殿させて、上清を廃棄し、初期OD60020で細胞をCPMに再懸濁した。実施例6に記載されるように、細胞を厳密な酸洗浄期および生産期の対象とした。生細胞数(CFU/mL)アッセイのために、酸洗浄期の終わりにサンプルを1回取り出した。この目的で、0.1mLの培養物を、1×酵母窒素原礎培地中で10−7に希釈して、ウラシルが欠損し炭素源として5g/Lのエタノールを添加した合成完全培地の寒天プレート上に、0.005mLの希釈培養物をスポットした。30℃で48〜72時間のプレート培養後、コロニーを計数した後に、1mLの培養物あたりのコロニー形成単位(CFU)を計算した。
3回の酸洗浄後に、PNY01759の生細胞数が4×10に低下したのに対し、3回の酸洗浄後のPNY03041の生細胞数は、6.5×10であった(表13)。イソブタノール産生菌中のPDE1遺伝子ノックアウトは、細胞の酸洗浄後細胞生存度を改善した。
Figure 2015503350
実施例8
合成培地中におけるPDE1ノックアウトの成長速度
125mL通気フラスコ内において、2g/Lのスクロースおよび5g/Lのエタノール添加合成完全培地(1×アミノ酸非含有酵母窒素原礎培地およびウラシル非含有酵母合成ドロップアウト培地)中に、0.5の初期OD600で、PNY03041(PDE1Δ)およびPNY01759細胞を接種した。フラスコを220rpmで撹拌しながら30℃で24時間培養した。サンプルを2時間間隔で採取して、光学濃度に基づいて成長速度を計算した。PDE1ノックアウトPNY03041の成長速度(μ)は、PNY01759と比較してより大きかった。PNY03041の成長速度は0.2であり、PNY01759の成長速度は0.12であった。富栄養培地YPE(10g/Lの酵母抽出物、5g/Lのペプトン、および5g/Lのエタノール)中において、PNY03041およびPNY01759は、同様の成長速度(0.27〜0.28)を有した。
実施例9
PDE1ノックアウトのイソブタノール耐性
125mL通気フラスコ内において、2g/Lのスクロースおよび5g/Lのエタノール添加合成完全培地(1×アミノ酸非含有酵母窒素原礎培地およびウラシル非含有酵母合成ドロップアウト培地)中に、0.5の初期OD600で、PNY03041(PDE1Δ)およびPNY01759細胞を接種した。フラスコを220rpmで撹拌しながら30℃で24時間培養した。遠心分離によって細胞を回収して、30g/Lのイソブタノールを添加した同一培地で、20(OD600)に懸濁した。細胞を200rpmで撹拌しながら、11時間培養した。炭素源としてエタノールを添加した合成完全培地中で、0時間および11時間目に生菌数を数えた。この目的で、培養を1×酵母窒素原礎培地で10−7に希釈し、0.005mLの希釈細胞懸濁液を寒天プレート上にスポットした。プレートを30℃で48〜72時間培養し、プレート上のコロニー計数後、CFU/mLを計算した。
結果は、表14に示される。30g/Lのイソブタノールを含有する培地中では、PNY01759と比較して、PNY03041中で細胞死が低下した。PDE1欠失が、イソブタノール耐性を改善したと結論付けてもよい。
Figure 2015503350
実施例10
細胞再循環
5g/Lのエタノールを炭素源として含有する、合成完全培地プレート(1×アミノ酸非含有酵母窒素原礎培地、1×ヒスチジンおよびウラシル非含有アミノ酸ドロップアウト、1%w/v寒天)上に、PNY01775細胞をグリセロール保存株から画線塗抹した。30℃で48時間の培養後、125mLフラスコ内で、炭素源として2g/Lのスクロースおよび5g/Lのエタノールを含有する20mLの合成完全液体培地に、プレートからの細胞パッチを接種した。振盪機内において細胞を200rpmで撹拌しながら、30℃で24時間培養した(Innova 44R、New Brunswick Scientific,CT,USA)。この培養を使用して、500mLの成長培地CIG#2に接種した(表15)。
Figure 2015503350
培養は、0.3〜0.5の初期OD600で、500mLフラスコ中の100mLの培地中で培養し、30℃および200rpmで培養した。24時間後、4000rpmで5分間の遠心分離によって細胞を収集し、再循環および生産培地CRP#2培地(表16)中で、10の初期OD600に再懸濁した。
Figure 2015503350
生産期は、10mLの生産培地、および5mLの高圧蒸気滅菌抽出剤Isofol(登録商標)16(Sasol Olefins & Surfactants GmbH、Germany)または抽出剤混合物Isofol(登録商標)16+トリオクチル酸化ホスフィン(TOPO)(Sigma−Aldrich Co,St.Louis,MO,USA)を含有する、50mLねじ蓋管内で実施された。抽出剤混合物(Isofol(登録商標)16+TOPO)は、50gのTOPOを40mLの高圧蒸気滅Isofol(登録商標)16中に緩慢に溶解することで調製された。0時間目(T=0h)のためのサンプルは、生産培地と抽出剤を添加した直後に回収した。0時間試料採取中の細胞損失を回避するために、試料採取に先だって、ねじ蓋管を4000rpmで2分間遠心分離した。各期(水性ならびに有機抽出期)から、1ミリリットルのサンプルを採取した。ねじ蓋管をチューブホルダ内で45°の角度に傾けて、160rpmで撹拌しながら30℃でインキュベートした。7時間のインキュベーション後、サンプルを4000rpmで2分間遠心分離して、各期から1mLのサンプルを採取した。全てのサンプルは、HPX 87N Aminex(登録商標)カラム、300×7.8mm(BioRad Laboratories,Hercules,CA)を使用したHPLC(1260 Infinity System,Agilent Life Sciences,Santa Clara,CA)と、HP−INNOWAXカラム(30m×0.32mm、および0.25μmのフィルム、Agilent Life Sciences、Santa Clara、CA)を使用したガスクロマトグラフィー(7890A GC System,Agilent Life Sciences,Santa Clara,CA)とによって、糖類および代謝産物をさらに分析するまで、−80℃で保存した。生産培地(CRP#2)中での7時間の培養を生産期と見なした。各生産期後、細胞を遠心分離によって収集し、酸洗浄した。
酸洗浄では、細胞を4000rpmでの遠心分離によって収集し、1mLの酸洗浄培地(硫酸を使用してpH2に調節されたCRP#2培地)に再懸濁して、ボルテックスによって混合した。ねじ蓋管をで45°の角度に傾けて、底への細胞沈降を妨げ、30℃および200rpmで1時間培養した。この時期を酸洗浄期と見なした。酸洗浄細胞は、イソブタノール生産のために使用された(細胞再循環、R)。
細胞再循環のために、各酸洗浄期後に4000rpmでの遠心分離によって、細胞を収集し、10mLの新鮮生産培地(CRP#2)および5mLの高圧蒸気滅菌抽出剤に再懸濁した。
PNY1775は、抽出剤Isofol(登録商標)16(表17)の存在下、またはIsofol(登録商標)16およびTOPO(表18)の混合物の存在下で、酸洗浄ありまたはなしで再循環された。R−0、R−1、などは細胞が受けた再循環回数を指す。酸洗浄不在下では、再循環7回後に、3つのパラメータ(イソブタノール力価、糖総消費量、および糖比取り込み速度)の漸進的低下が観察された。試験条件下では、酸洗浄存在下において、再循環3回後に、イソブタノール力価、糖総消費量、および糖比取り込み速度の低下が観察された。サイクル6の終了時、酸洗浄細胞は、対照の40%の糖消費速度を有した。結果は、抽出剤Isofol(登録商標)16または抽出剤混合物Isofol(登録商標)16+TOPOが、酸洗浄なしのイソブタノール生成に悪影響を及ぼさないことを示した。
Figure 2015503350
Figure 2015503350
実施例11
再生
本実施例は、イソブタノール産生菌PNY1775中における、糖消費速度およびイソブタノール生成の復元を実証する。再循環7回目の酸洗浄期の終わりに、Isofol(登録商標)16の存在下で、細胞を4000rpmで5分間遠心分離した。ペレットを除去せずに、培地を注意深く除去し、5mLのCIG#2培地を添加した。細胞を200rpmおよび30℃で4時間培養した。富栄養培地によるこの細胞処理は、再生期と称される。再生期後、細胞を上記のように再度遠心分離して、ペレットを新鮮生産培地(CRP#2)に再懸濁した。
イソブタノール産生菌PNY01775に対する再生の効果は、表19に示される。再生後、イソブタノール産生菌は、0.52g/g/hの糖消費速度を有し、それは再生されなかった細胞と比較して5倍高かった。さらに、糖消費速度は、次の2サイクルにわたり、0.92g/g/hの速度に回復した。
Figure 2015503350
実施例12
細胞再循環および再生
本実施例は、イソブタノール産生菌PNY1789中のイソブタノール力価、残留糖、および糖比取り込み速度に対する、再循環および再生の影響を記載する。5g/Lのエタノールを炭素源として含有する、合成完全培地プレート(1×アミノ酸非含有酵母窒素原礎培地、1×ヒスチジンおよびウラシル非含有アミノ酸ドロップアウト、1%w/v寒天)上に、PNY01789細胞をグリセロール保存株から画線塗抹した。30℃で48時間の培養後、125mLフラスコ内において、炭素源として2g/Lのスクロースおよび5g/Lのエタノールを含有する20mLの合成完全液体培地に、プレートからの細胞パッチを接種した。細胞を200rpmで撹拌しながら、30℃で24時間培養したこの培養を使用して、500mLの成長培地CIG#2に接種した。この段階では、培養は、0.3〜0.5の初期OD600で、500mLフラスコ中の100mLの培地中で培養し、30℃および200rpmで培養した。24時間後、4000rpmで5分間の遠心分離によって細胞を収集し、再循環および生産培地(CRP#2)中で、初期OD60010に再懸濁した。生産期は、10mLの生産培地および抽出剤としての5mLの高圧蒸気滅菌Isofol(登録商標)16を含有する、50mLねじ蓋管内で実施された。0時間目(T=0h)のためのサンプルは、生産培地と抽出剤を添加した直後に回収した。0時間試料採取中の細胞損失を回避するために、試料採取に先だって、ねじ蓋管を4000rpmで2分間遠心分離した。各期(水性ならびに有機抽出期)から、1ミリリットル(1mL)のサンプルを採取した。ねじ蓋管をチューブホルダ内で45°の角度に傾けて、160rpmで撹拌しながら30℃でインキュベートした。10時間のインキュベーション後、サンプルを4000rpmで2分間遠心分離して、各期から1mLのサンプルを採取した。全てのサンプルは、HPX 87N Aminex(登録商標)カラム、300×7.8mm(BioRad Laboratories,Hercules,CA)を使用したHPLC(1260 Infinity System,Agilent Life Sciences,Santa Clara,CA)と、HP−INNOWAXカラム(30m×0.32mm、および0.25μmのフィルム、Agilent Life Sciences,Santa Clara,CA)を使用したガスクロマトグラフィー(7890A GC System,Agilent Life Sciences,Santa Clara,CA)とによって、糖類および代謝産物をさらに分析するまで、−80℃で保存した。生産培地(CRP#2)中での7時間の培養を生産期と見なした。各生産期後、細胞を遠心分離によって収集し、酸洗浄した。
酸洗浄では、細胞を4000rpmでの遠心分離によって収集し、1mLの酸洗浄培地(硫酸を使用してpH2に調節されたCRP#2培地)に再懸濁して、ボルテックスによって混合した。ねじ蓋管を45°の角度に傾けて、底への細胞沈降を妨げ、30℃および200rpmで1時間培養した。この時期を酸洗浄期と見なした。酸洗浄細胞は、イソブタノール生産のために使用された(細胞再循環、R)。
細胞再循環のために、各酸洗浄期後に4000rpmでの遠心分離によって、細胞を収集し、10mL新鮮生産培地(CRP#2)および5mLのIsofol(登録商標)16に再懸濁した。
再生のために、酸洗浄期の再循環7回目の終了時に、細胞を4000×rpmで5分間遠心分離した。ペレットを除去せずに、培地を注意深く除去し、5mLのCIG#2培地を添加した。細胞を200rpmおよび30℃で4時間培養した。再生期後、細胞を上記のように再度遠心分離して、ペレットを新鮮生産培地(CRP#2)に再懸濁した。
PNY1789を酸洗浄ありで、Isofol(登録商標)16の存在で再循環した。結果は、表20に示される。酸洗浄存在下において、再循環3回後に、イソブタノール力価、糖総消費量、および糖比取り込み速度の低下が観察された。酸洗浄のサイクル7の終了時に、細胞は、糖消費量速度に、サイクル1と比較して>30%の低下を有した。サイクル7後の再生は、後続のサイクルにおける糖消費速度を2倍以上改善した。
Figure 2015503350
実施例13
酸洗浄
125mL通気フラスコ内において、76mg/Lのトリプトファン、380mg/Lのロイシン、100mM MES、pH6.0、0.2%スクロース、および0.5%エタノールを添加した合成培地(アミノ酸非含有酵母窒素原礎培地およびウラシル、ヒスチジン、トリプトファン、およびロイシンなしの酵母合成ドロップアウト培地補給剤)中で、イソブタノール産生菌株PNY1775を培養した。細胞を250rpmで振盪しながら、30℃で一晩培養した。一晩培養物を4000rpmで5分間遠心分離し、1mLのCIG#2培地に再懸濁して、125mL通気フラスコ内の50mLのCIG#2培地に接種した。振盪機(Innova 44R、New Brunswick Scientific,CT,USA)内で250rpm振盪しながら、細胞を30℃で一晩培養した。一晩培養物を4000rpmで5分間遠心分離して、1mLCRP#2培地に再懸濁し、15mL円錐管内の9mLのCRP#2培地に接種して、栓をしてローラードラム内において30℃で培養した。24時間後、参照によって本明細書に援用する米国特許出願公開第2007/0092957号明細書に記載されるようにして、培養上清(Spin−X遠心管フィルターユニット、Costarカタログ番号8169を使用して収集された)をHPLCによって分析した。イソブタノール力価(g/L)は、6.76+0.23(n=2)であった。
PNY1775株を新鮮SE−His−Ura(1%エタノール)プレート上に画線塗抹して、30℃でおよそ48時間培養した。細胞をプレートから取り出し、無菌微量遠心管内の1mLのSE−His−Ura(1%エタノール)培地に再懸濁して、ボルテックスして均一懸濁液とした。次に細胞を通気栓付き125mL無菌フラスコ(二重反復試験フラスコ)内の25mLSE−His−Ura培地中に接種して、120rpmで振盪しながら30℃で培養した。培養物の初期OD600は、約0.5であった。20時間の培養後、OD600は3.3に達した。培養を2本の50mL遠心管内において、4500rpmで5分間遠心分離した。上清を廃棄して、細胞を500mLのCIG#2培地に再懸濁し、それぞれ125mLの培養物を含有する4本の500mLフラスコに、初期OD600約0.5で分配した。22時間の培養後、各培養物のOD600が測定されて、3.23〜3.62の範囲であった。2つの培養物が遠心分離されてプールされ、80mLのCRP#2に再懸濁されて、培養物のODは10.02(6gdcw/L)であった。
この培養物の10ミリリットル(10mL)をそれぞれ6本の15mL円錐ねじ蓋遠心管にピペットで移し、培養物を回転ドラム内で30℃で培養した。これによって、対照および酸洗浄処理の双方のための三重反復試験サンプルを作成した。
生産期のために、ねじ蓋管を7時間培養した。7時間の終わりに、ねじ蓋管を遠心分離して、上清を収集して、HPLC分析のために一部を濾過した。全ての上清は、4℃で保存した。次にねじ蓋管に栓をして、対照サンプルペレットを室温に1時間置いた。酸洗浄サンプルペレットをそれぞれ1mLの酸洗浄培地に再懸濁した。細胞を再懸濁して、ピペット操作によって穏やかに混合した。次に120rpmで振盪しながら、サンプルを30℃でおよそ50分間培養した。酸洗浄培養の終わりに、酸洗浄培養物を4500rpmで3分間遠心分離した(centriguged)。いかなる細胞も乱さないように、ピペットで酸洗浄上清を注意深く取り出して、上清を廃棄した。
全ての細胞ペレットを10mLの新鮮CRP#2に再懸濁した。ねじ蓋管をしっかり閉じて、次に回転ドラム内において30℃で培養して、生産期を開始した。
全ての培養上清(Spin−X遠心管フィルターユニット、Costarカタログ番号8169を使用して収集された)は、(米国特許出願公開第2007/0092957号明細書に記載されるようにして)HPLCによって分析した。スクロース、グルコース、およびフルクトースは、Aminex(登録商標)カラム、300×7.8mm(BioRad Laboratories,Hercules,CA)を使用して、HPLCによって分析した。その他の化合物は、Shodex(商標)糖カラム、300mm長さ×8mm内径を使用してHPLCによって分析した。結果は、表21に示される。
Figure 2015503350
表21のデータは、2回のサイクル後に、対象および酸洗浄処理培養物の双方で糖利用速度が改善されたことを示した。さらに対象および酸洗浄処理サンプルの双方において、イソブタノールの収率はサイクル1〜10で同様であった。経路中間体(αKIV、DHIV、およびイソ酪酸)の濃度は、対象および酸洗浄処理の双方において、様々なサイクルで同様であり、イソブタノール生合成経路酵素が活性であり、低いpHへの曝露によって不活性化されなかったことを実証した。
上の記述から、本発明の目的が達成されたことは、明らかである。特定の実施形態のみが記載されたが、上記の説明から、当業者には代案の実施形態および様々な修正形態が明らかであり、本発明の精神および範囲内である。当業者は、単に通例の実験法を使用して、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態の多くの均等物を認識し、または見極めることができるであろう。このような均等物は、以下の特許請求の範囲に包含されることが意図される。
本明細書で言及される全ての刊行物、特許、および特許出願は、本発明が関係する当業者の技能レベルを示すものであり、あたかも個々の出版物、特許、または特許出願が、あらゆる目的のために参照によって援用されると具体的かつ個別に示されるのと同じ程度に、参照によって本明細書に援用される。

Claims (71)

  1. (a)ブタノール産生菌を提供するステップと、
    (b)ブタノールが有効収率で生成される条件下で、前記ブタノール産生菌を1つまたは複数の炭素基質と接触させるステップと;
    (c)前記ブタノール産生菌を収集するステップと;
    (d)ブタノールを少なくとも約6g/Lの濃度で回収するステップと;
    (e)ブタノールが(b)の有効収率の少なくとも約90%である有効収率で生成される条件下で、(c)の収集されたブタノール産生菌を1つまたは複数の炭素基質と接触させるステップと;
    (f)ステップ(c)〜(e)を反復するステップと;
    任意選択的に、(c)の収集されたブタノール産生菌を、少なくとも約0.3%のブタノールの存在下で少なくとも約1時間にわたり約2.0以下のpH条件に曝露するステップと
    を含んでなる、ブタノールを生産する方法。
  2. 前記ブタノール産生菌が、イソブタノール産生菌である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記生成されたブタノールが、イソブタノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−ブタノン、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  4. ステップc)〜e)が少なくとも10回繰り返される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記ブタノール産生菌が、改変ブタノール生合成経路を含んでなる、請求項1に記載の方法。
  6. 前記改変ブタノール生合成経路が、改変イソブタノール生合成経路である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記改変ブタノール経路が、EC 2.2.1.6、EC 1.1.1.86、EC 4.2.1.9、EC 4.1.1.72、EC 1.1.1.1、EC 1.1.1.265、EC 1.1.1.2、EC 1.2.4.4、EC 1.3.99.2、EC
    1.2.1.57、EC 1.2.1.10、EC 2.6.1.66、EC 2.6.1.42、EC 1.4.1.9、EC 1.4.1.8、EC 4.1.1.14、EC 2.6.1.18、EC 2.3.1.9、EC 2.3.1.16、EC 1.1.130、EC 1.1.1.35、EC 1.1.1.157、EC 1.1.1.36、EC 4.2.1.17、EC 4.2.1.55、EC 1.3.1.44、EC 1.3.1.38、EC 5.4.99.13、EC 4.1.1.5、EC 2.7.1.29、EC 1.1.1.76、EC 1.2.1.57、およびEC 4.2.1.28の酵素番号を有する一群の酵素から選択される、少なくとも1つのポリペプチドを含んでなる、請求項5に記載の方法。
  8. 前記改変ブタノール経路が、アセト乳酸シンターゼ、アセトヒドロキシ酸イソメロレダクターゼ、アセトヒドロキシ酸デヒドラターゼ、分枝鎖α−ケト酸デカルボキシラーゼ、分枝鎖アルコールデヒドロゲナーゼ、アシル化アルデヒドデヒドロゲナーゼ、分枝鎖ケト酸デヒドロゲナーゼ、ブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ、ブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ、トランスアミナーゼ、バリンデヒドロゲナーゼ、バリンデカルボキシラーゼ、ωトランスアミナーゼ、アセチル−CoAアセチルトランスフェラーゼ、3−ヒドロキシブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ、クロトナーゼ、ブチリル−CoAデヒドロゲナーゼ、イソブチリル−CoAムターゼ、アセト乳酸デカルボキシラーゼ、アセトニンアミナーゼ、ブタノールデヒドロゲナーゼ、ブチルアルデヒドデヒドロゲナーゼ、アセトインキナーゼ、アセトインリン酸アミナーゼ、アミノブタノールリン酸ホスホリアーゼ、アミノブタノールキナーゼ、ブタンジオールデヒドロゲナーゼ、およびブタンジオールデヒドラターゼの酵素群から選択される、少なくとも1つのポリペプチドを含んでなる、請求項5に記載の方法。
  9. 前記ブタノール産生菌が、酵母である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記酵母が、サッカロミセス属(Saccharomyces)、分裂酵母属(Schizosaccharomyces)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、カンジダ属(Candida)、クリベロミセス属(Kluyveromyces)、ヤロウィア属(Yarrowia)、イサタケンキア属(Issatchenkia)、またはピキア属(Pichia)のメンバーである、請求項9に記載の方法。
  11. 前記酵母が、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記ブタノール産生菌が、PNY860の誘導体である、請求項1に記載の方法。
  13. 前記ブタノール産生菌が、さらにピルビン酸デカルボキシラーゼを発現しない、または発現が低下している、請求項1に記載の方法。
  14. 前記ブタノール産生菌が、さらにグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼを発現しない、または発現が低下している、請求項1に記載の方法。
  15. 前記ブタノール産生菌が、さらにリン酸ジエステラーゼを発現しない、または発現が低下している、請求項1に記載の方法。
  16. 前記リン酸ジエステラーゼがPDE1である、請求項に15記載の方法。
  17. 前記ブタノール産生菌が、さらにBDH1を発現しない、または発現が低下している、請求項1に記載の方法。
  18. ステップ(e)において、ブタノールが、(b)の有効収率の少なくとも約99%で生成される、請求項1に記載の方法。
  19. 前記ブタノール産生菌が、(b)の接触させるステップにおいて、少なくとも約2gdcw/Lの細胞密度で存在する、請求項1に記載の方法。
  20. (b)のブタノール産生菌が、少なくとも10回の反復する(c)〜(e)のステップにわたり、その比生産性を維持する、請求項1に記載の方法。
  21. (b)において、ブタノールが、少なくとも約0.1g/gdcw/hの有効速度で生成される、請求項1に記載の方法。
  22. (b)の接触させるステップが、抽出剤の存在下で実施される、請求項1に記載の方法。
  23. 前記炭素基質が、オリゴ糖類、多糖類、単糖類、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  24. 前記炭素基質が、フルクトース、グルコース、乳糖、マルトース、ガラクトース、スクロース、デンプン、セルロース、原材料、エタノール、乳酸、コハク酸、グリセロール、コーンマッシュ、サトウキビ、バイオマス、キシロースおよびアラビノースなどのC5糖、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  25. (b)および(e)の接触させるステップが、嫌気的または微好気的条件下で実施される、請求項1に記載の方法。
  26. 前記改変イソブタノール生合成経路が、
    a.ピルビン酸からアセト乳酸への
    b.アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸への
    c.2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸からα−ケトイソ吉草酸への
    d.α−ケトイソ吉草酸からイソブチルアルデヒドへの、および
    e.イソブチルアルデヒドからイソブタノールへの
    基質から生成物への変換を含んでなる、請求項6に記載の方法。
  27. 前記基質から産物への変換の1つまたは複数が、補助因子としてNADHを利用する、請求項26に記載の方法。
  28. 約2未満のpHを有し、改変イソブタノール経路を含んでなるスクロース利用イソブタノール産生菌を含んでなる、組成物。
  29. 前記スクロース利用イソブタノール産生菌が、サッカロミセス属(Saccharomyces)、分裂酵母属(Schizosaccharomyces)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、カンジダ属(Candida)、クリベロミセス属(Kluyveromyces)、ヤロウィア属(Yarrowia)、イサタケンキア属(Issatchenkia)、またはピキア属(Pichia)のメンバーである、請求項28に記載の組成物。
  30. 前記スクロース利用イソブタノール産生菌が、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である、請求項29に記載の組成物。
  31. 前記スクロース利用イソブタノール産生菌が、PNY860の誘導体である、請求項28に記載の組成物。
  32. 前記スクロース利用イソブタノール産生菌が、アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸への基質から産物への変換を触媒する改変酵素を含んでなる、請求項28に記載の組成物。
  33. 前記発現低下が、ピルビン酸デカルボキシラーゼをコードする遺伝子の挿入、変異、置換、および/または欠失の結果である、請求項13に記載の方法。
  34. 前記発現低下が、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の挿入、変異、置換、および/または欠失の結果である、請求項14に記載の方法。
  35. 前記発現低下が、リン酸ジエステラーゼをコードする遺伝子の挿入、変異、置換、および/または欠失の結果である、請求項15に記載の方法。
  36. 前記リン酸ジエステラーゼが、PDE1である、請求項に35記載の方法。
  37. 前記発現低下が、BDH1をコードする遺伝子の挿入、変異、置換、および/または欠失の結果である、請求項17に記載の方法。
  38. 前記ブタノール産生菌が、さらにアセト乳酸還元酵素をコードする遺伝子を発現しない、または発現が低下している、請求項13、14、15、16、17、33、34、35、36、または37のいずれか一項に記載の方法。
  39. 前記発現低下が、YMR226Cをコードする遺伝子の挿入、変異、置換、および/または欠失の結果である、請求項38に記載の方法。
  40. 結果として得られた株の遺伝子型が、MATa ura3Δ::loxP his3Δ::loxP pdc6Δ pdc1Δ::ilvD pdc5Δ::kivD(y) fra2Δ::UAS(PGK1)−FBA1p−ilvD(y) gpd2Δ::loxP71/66−FBA1p−alsS bdh1Δ::UAS(PGK1)−ENO2p−ilvD−ILV5p−adh ymr226cΔ/pWZ009,pWZ001である、請求項13に記載の方法。
  41. リン酸ジエステラーゼおよび/またはリン酸ジエステラーゼ活性の低下または排除を含んでなる、ブタノールを生成する微生物。
  42. 微生物が、リン酸ジエステラーゼ活性を有するポリペプチドをコードする内在性ポリヌクレオチド中の、挿入、欠失、変異、および/または置換を含んでなる、請求項41に記載の微生物。
  43. 前記ポリペプチドが、酵素番号EC 3.1.4.17に相当するリン酸ジエステラーゼ活性を有する、請求項41または42に記載の微生物。
  44. 前記リン酸ジエステラーゼ活性を有するポリペプチドが、PDE1である、請求項41〜43のいずれか一項に記載の微生物。
  45. 前記微生物が、改変ブタノール生合成経路をさらに含んでなる、請求項41に記載の微生物。
  46. 前記改変ブタノール生合成経路が、改変イソブタノール生合成経路である、請求項45に記載の微生物。
  47. 前記改変イソブタノール生合成経路が、
    (a)ピルビン酸からアセト乳酸;
    (b)アセト乳酸から2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸;
    (c)2,3−ジヒドロキシイソ吉草酸から2−ケトイソ吉草酸;
    (d)2−ケトイソ吉草酸からイソブチルアルデヒド;および
    (e)イソブチルアルデヒドからイソブタノール
    からなる群から選択される、基質から産物への変換を触媒するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなる、請求項46に記載の微生物。
  48. 前記改変イソブタノール生合成経路が、アセト乳酸シンターゼ活性、ケト酸レダクトイソメラーゼ活性、ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ活性、ケトイソ吉草酸デカルボキシラーゼ活性、およびアルコールデヒドロゲナーゼ活性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含んでなる、請求項47に記載の微生物。
  49. 前記微生物が、さらにピルビン酸デカルボキシラーゼを発現しない、または発現が低下している、請求項45に記載の微生物。
  50. 前記発現低下が、ピルビン酸デカルボキシラーゼをコードする遺伝子の挿入、変異、置換、および/または欠失の結果である、請求項49に記載の微生物。
  51. 前記ピルビン酸デカルボキシラーゼが、PDC1、PDC5、PDC6、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項50に記載の微生物。
  52. 前記微生物が、さらにグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼを発現しない、または発現が低下している、請求項45に記載の微生物。
  53. 前記発現低下が、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼをコードする遺伝子の挿入、変異、置換、および/または欠失の結果である、請求項52に記載の微生物。
  54. 前記微生物が、さらにBDH1を発現しない、または発現が低下している、請求項45に記載の微生物。
  55. 前記発現低下が、BDH1をコードする遺伝子の挿入、変異、置換、および/または欠失の結果である、請求項54に記載の微生物。
  56. 前記微生物が、さらにアセト乳酸還元酵素をコードする遺伝子を発現しない、または発現が低下している、請求項45〜55のいずれか一項に記載の微生物。
  57. 前記発現低下が、YMR226Cをコードする遺伝子の挿入、変異、置換、および/または欠失の結果である、請求項56に記載の微生物。
  58. 前記微生物が酵母細胞である、請求項45〜57のいずれか一項に記載の微生物。
  59. 前記酵母細胞が、サッカロミセス属(Saccharomyces)、分裂酵母属(Schizosaccharomyces)、ハンゼヌラ属(Hansenula)、カンジダ属(Candida)、クリベロミセス属(Kluyveromyces)、ヤロウィア属(Yarrowia)、イサタケンキア属(Issatchenkia)、およびピキア属(Pichia)からなる群から選択される酵母属のメンバーである、請求項58に記載の微生物。
  60. (a)アルコール発酵から微生物を収集するステップと;
    (b)前記微生物を富栄養培地と接触させるステップと
    を含んでなる、細胞生存度および生産性を改善する方法。
  61. (a)アルコール発酵から微生物を収集するステップと;
    (b)前記微生物を低pH条件に曝露するステップと;
    (c)ステップ(b)からの微生物を収集するステップと;
    (d)前記微生物を富栄養培地と接触させるステップと
    を含んでなる、細胞生存度および生産性を改善する方法。
  62. (a)請求項45〜59のいずれか一項に記載のアルコール産生微生物を提供するステップと;
    (b)アルコールが生成される条件下で、前記微生物を1つまたは数複の炭素基質と接触させるステップと;
    (c)前記微生物を収集するステップと;
    (d)前記アルコールを回収するステップと;
    (e)ステップ(c)の微生物を富栄養培地と接触させるステップと;
    (f)ステップ(e)の微生物を収集するステップと;
    (g)アルコールが生成される条件下で、前記微生物を1つまたは数複の炭素基質と接触させるステップと;
    (h)任意選択的に、ステップ(c)〜(g)を反復するステップと
    を含んでなる、アルコールを生産する方法。
  63. (a)請求項45〜59のいずれか一項に記載のアルコール産生微生物を提供するステップと;
    (b)前記アルコールが生成される条件下で、前記微生物を1つまたは数複の炭素基質と接触させるステップと;
    (c)前記微生物を収集するステップと;
    (d)前記アルコールを回収するステップと;
    (e)ステップ(c)の微生物を低pH条件に曝露するステップと;
    (f)ステップ(e)からの微生物を収集するステップと;
    (g)ステップ(f)の微生物を富栄養培地と接触させるステップと;
    (h)ステップ(g)の微生物を収集するステップと;
    (i)前記アルコールが生成される条件下で、ステップ(i)の微生物を1つまたは複数の炭素基質と接触させるステップと;
    (j)任意選択的に、ステップ(c)〜(i)を反復するステップ
    を含んでなる、アルコールを生産する方法。
  64. 前記微生物を富栄養培地と接触させるステップが、好気的条件下で実施される、請求項62または63に記載の方法。
  65. 前記pHが約2以下である、請求項61に記載の方法。
  66. 前記pHが約2以下である、請求項63に記載の方法。
  67. 前記pHが約2〜約4である、請求項61に記載の方法。
  68. 前記pHが約2〜約4である、請求項63に記載の方法。
  69. 前記アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、およびヘキサノールから選択される、請求項62または63に記載の方法。
  70. 前記ブタノールが、1−ブタノール、2−ブタノール、2−ブタノン、イソブタノール、tert−ブタノール、またはその混合物から選択される、請求項69に記載の方法。
  71. 富栄養培地と、請求項45〜59のいずれか一項に記載の微生物とを含んでなる組成物。
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