JP2015500023A - 風味付け原材料としての酵素加水分解した脂質 - Google Patents

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Abstract

動物脂質を、その脂質中に存在する少なくとも一部のトリグリセリドが加水分解するようにリパーゼ酵素と接触させて、遊離脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリド及び非加水分解トリグリセリドの混合物を得るステップ、混合物を加熱して、リパーゼを不活化するステップ、混合物を、少なくとも1種の還元糖及び少なくとも1種のアミノ酸を含有する水溶液と一緒に加熱して、風味濃縮物を得るステップを含む、食肉の風味及び/又は芳香を有する風味濃縮物の製造方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、強力な風味、及びメイラード型風味生成反応において良好な乳化特性を有する風味濃縮物の脂肪原材料を創出するための、脂質の酵素部分加水分解に関する。特に、本発明は、食肉の風味及び/又は芳香を生じさせるために風味濃縮物で用いることができる、遊離脂肪酸、モノグリセリド及びジグリセリド、並びに非加水分解トリグリセリドのインサイチュ(in situ)混合物を生じさせるための、動物油脂のリパーゼ触媒部分加水分解を含む、風味付け原材料の製造方法に関する。
背景
食物、特に食肉の、調理中に生じる風味及び芳香は複雑である。そのため、調理前の食物調製工程中及び調理工程中自体のどちらも、特定の風味又は芳香の発生を制御することは困難である。さらに、洗練性に対する消費者の嗜好性は高くなり続けており、したがって、消費者の要望を満たすために食物の風味及び芳香に対する制御を早急に向上させる必要性がある。この洗練性及び繊細さの1つの例は、いくつかの食物において、ローストした鶏肉の風味よりむしろ茹でた鶏肉の風味に類似した芳香が要求されることである。しかし、茹でた鶏肉の風味の芳香成分は複雑であり、この風味を発生又は向上させるために、多くの基礎的芳香要素が通常必要とされる。
メイラード反応及び脂質酸化反応は、食物における風味の発生に関与する最も重要な2タイプの反応であることがよく知られている。適切なマトリックスにおけるこれらの反応の実施は、メイラード反応と脂質酸化反応との間の相互作用を最大化させることによって、実際の食物系を模倣して、特定の食物における所望の風味及び芳香を発生及び/又は強化するのに有効な手段とすることができる。この1つの例として、国際公開第2010/008452号に記載のとおりの油中水エマルションの使用がある。記載された発明は、メイラード風味を発生させるための、内部自己集合構造(ISA)として知られている構造脂質相の使用に関する。ISA構造は、水と、低減された反応時間及び温度によってメイラード反応が起こる外因性乳化剤(すなわち、市販のモノグリセリドであるディモダン(Dimodan)(登録商標))とを、脂肪又は油と組み合わせて使用することによって生じる。
しかし、ISA系は、いくつかの食品製品への適用に関しては限界がある。1つの欠点は、ISA系において生じた風味をいくつかの食品製品に対する風味付け原材料として使用すると、口にまとわりつくような強い感覚及び苦味をもたらす。このことは、ISAによって生じた風味を少量のみ使用することによって対処することができるが、その際、その風味付け効果は、かなり限定される。別の不利点は、水分を多く含む、その他の加工風味の風味強度を高めるための風味前駆体、又は食品を含有するISA系を添加することは、加工上の困難性、特に、おそらく乳化剤/水の立方相の形成による、組み込まれたISA系の凝集を引き起し得ることである。
鶏肉の風味を作製するための最近の工業プロセスは、炭水化物(例えばグルコース、キシロース)、アミノ酸(例えばグリシン、システイン、プロリン)及び鶏脂の混合物の加熱を伴う。乳化剤が使用されない場合、脂質原材料との相互作用を最大化させて鶏肉の風味を得るためには、高い反応温度及び/又は長い反応時間が必要である。これらの条件におけるメイラード反応、及び脂質原材料との限定された相互作用の結果として、ローストチキンの風味が得られる。このことは、いくつかの食物風味付け用途には許容可能であるが、茹でた鶏肉の風味が強く好まれるその他のものに対しては制限となり得る。乳化剤(すなわち外因性乳化剤)の添加によって、反応時間及び温度を低減することが可能になり、メイラード生成物と脂質酸化生成物との間の相互作用を最大化させ、それによって、茹でた鶏肉の風味を発生させるための条件を創出する。しかし、乳化剤は、使用される典型的な乳化剤の不自然な特質に加えて、上述の問題、すなわち口にまとわりつくような強い感触、苦み、水分が豊富なマトリックスにおける困難な加工性をもたらす傾向がある。
さらに、乳化剤の存在によってより低い反応温度が可能になるにもかかわらず、特定の乳化剤を使用してさえも、茹でた鶏肉の特質が低く、風味強度が低いという欠点を有する鶏肉の風味をもたらし得る。
外因性乳化剤の使用による別の不利点は、植物油由来の乳化剤が、鶏肉の風味とは無関係の油の自動酸化によって臭気物質を発生させる傾向があることである。したがって、これらの臭気物質が形成することは、このような乳化剤を使用して調製される風味原材料において、一般に、鶏肉の風味の所望の特性が不足していることを意味する。
食品製品の自然性は、消費者に求められている、ますます重要になっている性質である。食物工業で使用される多くの乳化剤は、添加剤として食品製品のパッケージング上での識別が必要とされるので、乳化剤の存在又は使用は不自然であると認識され、したがって少なくとも一部の消費者はこのような製品を使用しないようにすると判断するだろう。
このような問題のいくつかを回避又は克服するために、生物学的なプロセスを使用して、いくつかの試みがなされてきた。
中国特許出願番号第200710172681号(中国特許公開第101194704A号として公開)は、市販の酵素を使用する異なる動物由来の脂肪組織の酵素加水分解、続く酸素流下での非常に高温(150℃〜300℃)の熱クラッキングによって、食肉の風味を作製する方法を開示している。この方法は、肉様の風味を有する脂肪質の製品をもたらす。しかし、この方法がメイラード反応を介する食肉風味及び/又は芳香のいずれのインプロセス生成も伴わないので、風味の複雑さは限定される。
Zhong Quiら(Journal of Chinese Institute of Food Science and Technology、2010,10(4)、124−129)は、酵素触媒作用によって酸化され、続いて熱反応がなされた鶏脂からの鶏肉の風味料の調製を開示している。鶏脂は、脱脂大豆かすから抽出した粗リポキシゲナーゼを使用して酸化され、トリグリセリドヒドロペルオキシドをもたらした。得られた酸化鶏脂を、アミノ酸及び還元糖との熱反応にかけて、強い鶏肉の風味を発生させた。ここでもまた、この方法を使用して生じた芳香の豊かさ及び風味プロフィールは限定されている。この方法は、鶏肉の風味及び芳香への脂肪質原材料の寄与としてのみ、トリグリセリドヒドロペルオキシドの形成を報告している。ここでは遊離脂肪酸、モノグリセリド又はジグリセリドを生じる加水分解はない。
本出願人は、遊離脂肪酸、モノグリセリド及びジグリセリドがインサイチュで生じることが、より高い酸化反応性及びより高い乳化能をもたらし、それによって風味を生じる間のメイラード生成物と脂質酸化生成物との間の相互作用が強化されることを、今や見出した。これによって、家庭で調理した鶏肉の料理に近い、より複雑な風味プロフィールがもたらされる。
したがって、本発明の目的は、既知の風味組成物における上記の不利点の1つ又は複数を少なくともある程度まで克服する風味濃縮物を調製する方法を提供することである。
本発明の第一の態様において、
a)動物脂質を含む組成物を、その脂質中に存在する少なくとも一部のトリグリセリドが加水分解するようにリパーゼ酵素と接触させて、遊離脂肪酸(FFA)、モノグリセリド(MG)、ジグリセリド(DG)及びトリグリセリド(TG)の混合物を得るステップであって、動物脂質がリパーゼ酵素によって部分的に加水分解されるステップと、
b)混合物を加熱して、リパーゼを不活化するステップと、
c)混合物を、少なくとも1種の還元糖及び少なくとも1種のアミノ酸を含有する水溶液と一緒に加熱して、風味濃縮物を得るステップと
を含む、食肉の風味及び/又は芳香を有する風味濃縮物の製造方法を提供する。
本発明の方法の好ましい実施形態において、ステップa)の組成物は、少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%の動物脂質を含む。更により好ましくは、ステップa)の組成物は、動物脂質からなる。
脂質は、鶏脂、牛脂、豚脂又は羊脂などの動物脂肪であることが好ましい。本発明の好ましい脂質は、鶏脂である。
任意の適したリパーゼを使用することができ、外因性酵素又は内在性酵素であってよい。外因性酵素の例として、市販の酵素であるリポザイムTLが挙げられる。内在性酵素は、オレンジ、デシオレンジ(desi orange)、グレープフルーツ、レモン、サルダー(sardah)、ガルマ(garma)、マスクメロン、リンゴ、グアバ、マンゴー、パパイヤ、又はシンバル(simbal)、カブ、ラディッシュ、香味野菜若しくはトマト由来のリパーゼから選択される酵素など、果物又は野菜から得ることができる。別法として、内在性酵素は、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorecens)又はリゾムコール・ミエヘイ(Rhizomucor miehei)由来のリパーゼなど、微生物から得ることができる。
本発明の好ましい実施形態において、ステップb)の混合物は、10〜30分間、100℃を超える温度に加熱される。
ステップc)において、還元糖は、デキストロース又はキシロースとすることができ、アミノ酸は、グリシン、システイン又はプロリンとすることができる。
本発明の第2の態様では、第1の態様に従って調製される風味濃縮物が提供される。濃縮物は、好ましくは、ローストチキンよりも茹でた鶏肉に近い、調理した鶏肉の風味プロフィールを有する。
本発明の別の態様において、本発明の風味濃縮物を含有する食品製品が提供される。食品製品は、スープ、固形ブイヨン、調理補助食品(culinary aid)、ソース、塩味のスナック、焼いたラザニア若しくはマカロニアンドチーズ、ピザ若しくはホットポケット(Hot Pockets)(登録商標)などの調理済み料理、又は押出し乾燥キブル、ベイクドキブル、若しくはレトルトウェットペットフードなどの動物による消費用の食物とすることができるが、これらだけには限らない。
図1は実施例1.3に従って調製された参照用鶏肉風味料と比較した、実施例1.4に従って調製された鶏肉風味料の知覚プロフィールを示す図である。
図2は実施例1.3に従って調製された参照用鶏肉風味料と比較した、実施例2.4に従って調製された鶏肉風味料の知覚プロフィールを示す図である。
図3は実施例1.3に従って調製された参照用鶏肉風味料と比較した、実施例3.3に従って調製された鶏肉風味料の知覚プロフィールを示す図である。
図4は実施例1.3に従って調製された参照用鶏肉風味料と比較した、実施例1.4、2.4及び3.3に従って調製された鶏肉風味料の知覚プロフィールを示す図である。
発明の詳細
本発明は、食肉の風味及び/又は芳香を有する風味濃縮物を調製する方法に関する。第1のステップにおいて、動物脂質は、脂質成分のトリグリセリドが少なくとも部分的に加水分解するのに適した条件下で、リパーゼ酵素で処理される。この部分加水分解によって、遊離脂肪酸、モノグリセリド及びジグリセリド並びに非加水分解トリグリセリドの混合物がもたらされる。加水分解ステップに続いて、混合物を加熱することによって、リパーゼが不活化される。次いで、少なくとも1種の還元糖及び少なくとも1種のアミノ酸を含有する水溶液が添加され、混合物を加熱することによって、風味を生じるメイラード反応が開始され、それによって風味濃縮物が作られる。
本明細書で使用する用語「脂質」は、脂肪、油、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド及びリン脂質を含む、疎水性又は両親媒性の天然起源の小分子の群を意味する。
本明細書で使用する用語「脂肪酸」は、飽和又は不飽和であってよい、脂肪族長鎖を有するカルボン酸を意味する。たいていの天然起源の脂肪酸は、4〜28個の偶数の炭素原子の鎖を有する。その他の分子に結合していない場合、これらは「遊離」脂肪酸として知られている。
本明細書で使用する用語「モノグリセリド」は、グリセロール及び1種の脂肪酸から形成されるエステルを意味し、モノアシルグリセロールとしても知られている。用語「ジグリセリド」は、1つのグリセロール分子及び2つの脂肪酸から形成されるエステルを意味し、ジアシルグリセロールとしても知られている。用語「トリグリセリド」は、1つのグリセロール分子及び3つの脂肪酸から形成されるエステルを意味し、トリアシルグリセロールとしても知られている。
本明細書で使用する用語「リパーゼ」は、脂質の加水分解を触媒する酵素を意味する。
本明細書で使用する用語「還元糖」は、アルデヒド基を有する、又は異性化を介し水溶液中でアルデヒド基を形成することができる、任意の糖を意味する。
本発明は、動物脂質に適用可能である。様々な動物脂質、例えば牛脂、豚脂又は羊脂中に存在するものを使用することができるが、現在知られている鶏肉風味の製品よりも、茹でた鶏肉の風味により酷似している、より高い強度及び深みのある鶏肉の風味を見出す必要性から、鶏脂が好ましい。
本発明は、リパーゼ酵素を使用するトリグリセリドの部分加水分解に基づく。すべてのトリグリセリドが加水分解されて遊離脂肪酸になる完全な加水分解とは対照的に、部分加水分解によって、遊離脂肪酸、モノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドの混合物がもたらされる。重要な利点は、このような混合物が、良好な乳化特性を有することである。したがって、反応時間及び温度を低減できるようにするために、又は、自家製の料理に酷似した複雑で豊かな風味を生じさせるための、水溶性原材料と脂質原材料との間の相互作用を最大化するために、外因性乳化剤を添加する必要性はない。したがって、乳化剤の添加に関連した共通の問題、すなわち口にまとわりつくような強い感触、苦み、及び水を多く含むマトリックスの困難な加工性が、回避される。
別の重要な利点は、得られる風味の全体の強度が、未処理の脂質が使用される場合の風味強度より著しく高いことである。例えば、部分的に酵素加水分解した鶏脂を使用すると、より高い強度の風味がもたらされることが見出され、より詳細には、茹でた鶏肉の風味の特性が、例えば国際公開第2010/008452号に記載されたとおりのISA系において作製される鶏肉の風味と比較して、著しく向上した。酵素加水分解した鶏脂は、揮発性化合物、詳細には、鶏肉の風味の強度及び特性に寄与するアルデヒドを生じると考えられ、これは、未処理の鶏脂が使用される場合又は外因性乳化剤が添加される場合には、同じ程度には見出されない。
リパーゼ加水分解は、任意の適した温度で実行することができるが、典型的に、使用される脂質が溶けるように30℃〜50℃の範囲とすることができる。任意の適したリパーゼ、例えばリポザイムTL(以下の実施例で使用されるとおり)などの市販の酵素や、オレンジ、デシオレンジ、グレープフルーツ、レモン、サルダー、ガルマ、マスクメロン、リンゴ、グアバ、マンゴー、パパイヤ、シンバル、カブ、ラディッシュ、香味野菜及びトマト由来のリパーゼを含めた、果実及び野菜由来の内在性酵素、並びに微生物由来のリパーゼ、例えばシュードモナス・フルオレセンス及びリゾムコール・ミエヘイ由来のリパーゼを使用することができる。典型的なリパーゼ加水分解反応において、脂質を30分間例えば600rpmで撹拌しながらリパーゼで処理した後、加熱して、リパーゼを失活させる。リパーゼを失活させるステップは、通常、100℃より高い、例えば160℃で行われる。しかし、所望の加水分解をもたらす任意の反応条件がこの発明に適用可能であることを、理解されたい。
この脂質加水分解ステップの後、混合物は、混合物中に存在する動物脂質の総量当たりで測定した1〜35%の量で遊離脂肪酸(FFA)を含むことが好ましい。より好ましくは、混合物は、動物脂質の総量当たり1〜15%の量で遊離脂肪酸(FFA)を含む。
さらに、この加水分解ステップの後、混合物は、混合物中に存在する動物脂質の総量当たりで測定した40〜98%の量でトリグリセリド(TG)を含むことが好ましい。別の実施形態において、混合物は、動物脂質の総量当たり60〜97%の量でトリグリセリド(TG)を含む。
脂質の加水分解に続いて、1種又は複数種の糖及びアミノ酸を水溶液で添加し、混合物を加熱して、風味を生じるメイラード反応及び脂質酸化反応の発生及び相互作用を可能にする。デキストロース又はキシロースを含むがこれらだけには限らない任意の適した還元糖を添加することができる。添加される典型的なアミノ酸として、グリシン、システイン又はプロリンを挙げることができるが、この場合もこれらだけには限らない。精製又は半精製したアミノ酸を添加する必要はないが、アミノ酸は、タンパク質、ペプチド及びそれらの断片などのアミノ酸残渣を含有する任意の混合物又はその他の化合物の形態で添加することができることを理解されたい。
本発明の好ましい実施形態において、未処理の鶏脂とディモダン(登録商標)モノグリセリド乳化剤(ISA系)の代わりに、部分的に酵素加水分解した鶏脂を使用して、食品産業で使用するための加工した鶏肉の風味料を作製する。卵様の、硫黄質の、脂肪質の、及び茹でた鶏肉の風味の特徴(すべてが茹でた鶏肉の風味の特質に寄与する)は、未処理の鶏脂及びディモダン(登録商標)(ISA系)で処理した参照用のISAの鶏肉の風味料と比較して増加する。全体の強度も、茹でた鶏肉の強度及び鶏肉の特性と同様に増加し、同時に雑味の欠点(例えば口にまとわりつくような強い感覚及び収斂性/苦み)及びディモダン(登録商標)による加工性の制限が、驚くほど激減した。
鶏肉の風味の特性の強化は、ディモダン(登録商標)などの外因性乳化剤の回避に起因し得る。植物油由来の乳化剤は、鶏肉の風味とは無関係の臭気物質を生じる可能性があり、望ましい鶏肉の風味の強度及び特性を減退させ得る。
図4は、参照用鶏肉風味料と比較した、実施例1〜3に従って調製した鶏肉風味料の知覚プロフィールを示すレーダーチャートである。以下の実施例1及び2は、実施例1及び実施例2による部分的に酵素加水分解した鶏脂の使用が、参照用鶏肉風味料又は国際公開第2010/008452号に従って調製した鶏肉風味料と比較した場合、知覚審査員らによって評価される鶏肉の風味の強化及び性質における著しい違いをもたらすことをはっきりと示している。
本発明の風味濃縮物は、様々な形態、例えば液体懸濁液又は溶液、粘性溶液又はゲル、固体粉末又は顆粒とすることができる。
本発明の風味濃縮物から調製される食品製品として、ヒト又は別の動物による消費用であるかに関わらず、任意の食物、餌、スナック、栄養補助食品、おやつ、代替食又はミールリプレイスメントを挙げることができる。特に、本発明の風味濃縮物から調製される食品製品として、スープ、固形ブイヨン、調理補助食品、ソース、塩味のスナック及びおやつ、焼いたラザニア又はマカロニアンドチーズ、冷凍若しくは冷蔵のピザ又はホットポケット(登録商標)などの調理済み料理だけでなく、押出し乾燥キブル若しくはおやつ、ベイクドキブル若しくはおやつ、又はレトルトウェットペットフードなどの、動物による消費用の食物も挙げられる。
本発明を、以下の実施例に関して更に説明する。特許請求された本発明は、これらの実施例によって決して限定されるものではないことが理解されるであろう。
原料及び方法
鶏脂の部分酵素加水分解中の遊離脂肪酸(FFA)、モノグリセリド(MG)、ジグリセリド(DG)及びトリグリセリド(TG)プロフィールの展開を、トリメチルシリルクロリド(TMSCl)及びN,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)を用いるシリル化による誘導体化後に、定量的にGC−FIDによって追跡した。
シリル化プロトコル:0.5gの検体を、1.5mLのジクロロメタンと混合し、ボルテックスして、硫酸ナトリウムで乾燥した。次いで、0.2mLの上清を、1%のTMSClのBSTFA溶液と混合し、65℃で2時間乾燥炉に置いた。GC−FID分析の前に、試料を5倍に希釈した。
GC−FID分析:GC−FID分析を、Zebron ZB−5HT infernoカラムを備えたHP6890クロマトグラフで実施した。適用した温度プロフィールは以下のとおりであった:最初の温度を、80℃に設定し、続いて第1の勾配は、180℃まで2℃/分、第2の勾配は、360℃まで10℃/分、最終段階は360℃で25分間あった。
知覚評価を、参照を0として、−5〜+5の範囲の比較プロフィーリングの尺度を使用して、参照用鶏肉風味料に対する比較プロフィーリングによって実施した。事前に知覚能力の審査を受けた12人の試験員の訓練された審査団によって、知覚分析を実施した。審査団の成果を、審査団の成果試験によって検証した。風味付けした試料を、以下の知覚特質について評価した:全体の強度、鶏肉、その他の食肉、ローストした、BBQ/グリルした、茹でた、卵様の、硫黄質の、脂肪質の、その他の特徴。
実施例1
実施例1.1:部分的に酵素加水分解した鶏脂の調製。
90gの鶏脂を溶かして、50℃までショット瓶中で加熱して、600prmで撹拌した。pH7.6の1.0Mのリン酸緩衝液中20%のリパーゼミックス(リポザイムTL 100L)からなる2.25mLの溶液を鶏脂に添加して、ショット瓶を閉じた。反応混合物を、30分間600rpmで撹拌した。次いで、リパーゼを不活化して更なる活性を停止させるために、部分的に酵素加水分解した鶏脂試料を入れたショット瓶を、15分間、160℃で予熱した油浴に移した。この試料のGC−FID分析は、以下のグリセリドプロフィールを示した:FFA 1.4%、MG 0%、DG 1.9%及びTG 96.5%。
実施例1.2:還元糖溶液及びアミノ酸溶液の調製。
0.2Mのリン酸緩衝液中の還元糖の溶液及びアミノ酸の溶液を、メイラード反応が室温で開始されるのを防ぐために、別々に調製した。6.0gのデキストロース一水和物及び1.11gのキシロース粉末を、10mL容メスフラスコ中のpH7.5の0.2Mのリン酸緩衝液5mLに、室温で溶解した。pHを、1.0MのNaOH数滴で目標値(pH7.5)に再調整し、混合物をリン酸緩衝液と調合して10mLにした。1.37gのグリシン、1.03gのL−システイン塩酸塩一水和物及び0.17gのL−プロリンを、10mL容メスフラスコ中のpH7.5の0.2Mのリン酸緩衝液5mLに、室温で溶解した。pHを、5.0MのNaOH数滴で目標値(pH7.5)に再調整し、混合物をリン酸緩衝液と調合して10mLにした。
実施例1.3:参照用鶏肉風味料の調製。
参照用鶏肉風味料を、以下のとおり調製した:1.5mLの上記還元糖溶液(0.9gのデキストロース一水和物及び0.16gのキシロース粉末を含有)、3.5mLの上記アミノ酸溶液(0.48gのグリシン、0.36gのL−システイン塩酸塩一水和物及び0.06gのL−プロリンを含有)及び5mLの水から作製した10.0mLの水性混合物を、ガラス反応器中の40℃で予熱した90gの鶏脂に添加した。次いで、反応器を閉じて、反応混合物を、1000rpmで撹拌しながら30分間85℃で加熱した。次いで、得られた参照用鶏肉風味料を、室温まで冷却した。
実施例1.4:本発明による鶏肉風味料の調製。
鶏肉風味料を、以下のとおりに調製した:1.5mLの上記還元糖溶液(0.9gのデキストロース一水和物及び0.16gのキシロース粉末を含有)、3.5mLの上記アミノ酸溶液(0.48gのグリシン、0.36gのL−システイン塩酸塩一水和物及び0.06gのL−プロリンを含有)及び2.75mLの水で作製した7.75mLの水性混合物を、ガラス反応器中の40℃で予熱した92.25gの上述のとおり調製した部分的酵素加水分解鶏脂(リパーゼミックス由来の2.25mLの水を既に含有している)に添加した。次いで、反応器を閉じて、反応混合物を、1000rpmで撹拌しながら85℃で30分間加熱した。次いで、得られた鶏肉風味料を室温まで冷却した。
実施例1.5:実施例1.4に従って調製した鶏肉の風味料の知覚評価。
実施例1.4で得られた鶏肉風味料を、実施例1.3の参照用鶏肉風味料と比較した。結果を図1に示す。実施例1.3の参照用鶏肉風味料と比較した際に、実施例1.4に従って調製した鶏肉風味料において「全体の強度」、「茹でた」、「脂肪質の」及び「その他」の特質の著しい増加が観測された。鶏肉の風味の茹でた場合の特質に寄与する「卵様の」及び「硫黄質の」性質に対する増加傾向も観測された。これらの結果は、本発明の方法に従って鶏肉の風味濃縮物を調製する利点をはっきりと立証している。
実施例2
実施例2.1:部分的に酵素加水分解した鶏脂の調製。
90gの鶏脂を溶かして、ショット瓶中で40℃まで加熱して、600prmで撹拌した。pH7.6の1.0Mのリン酸緩衝液中の20%のリパーゼミックス(リポザイムTL 100L)からなる4.5mLの溶液を鶏脂に添加して、ショット瓶を閉じた。次いで、反応混合物を、600rpmで30分間撹拌した。次いで、部分的に酵素加水分解した鶏脂試料を入れたショット瓶を、リパーゼを不活化して更なる活性を停止させるために、15分間、160℃で予熱した油浴に移した。この試料のGC−FID分析は、以下のグリセリドプロフィールを示した:FFA 10.3%、MG 1.4%、DG 15.1%及びTG 73.1%。
実施例2.2:還元糖溶液及びアミノ酸溶液の調製。
0.2Mのリン酸緩衝液中の還元糖の溶液及びアミノ酸の溶液を、メイラード反応が室温で開始されるのを防ぐために、別々に調製した。6.0gのデキストロース一水和物及び1.11gのキシロース粉末を、10mL容メスフラスコ中のpH7.5の0.2Mのリン酸緩衝液5mLに、室温で溶解した。pHを、1.0MのNaOH数滴で目標値(pH7.5)に再調整し、混合物をリン緩衝液と調合して10mLにした。1.37gのグリシン、1.03gのL−システイン塩酸塩一水和物及び0.17gのL−プロリンを、10mL容メスフラスコ中のpH7.5の0.2Mのリン酸緩衝液5mLに、室温で溶解した。pHを、5.0MのNaOH数滴で目標値(pH7.5)に再調整し、混合物をリン酸緩衝液と調合して10mLにした。
実施例2.3:参照用鶏肉風味料の調製。
参照用鶏肉風味料を、実施例1.3に記載したとおりに調製した。
実施例2.4:本発明による鶏肉風味料の調製。
本発明による鶏肉風味料を、以下のとおりに調製した:1.5mLの上記還元糖溶液(0.9gのデキストロース一水和物及び0.16gのキシロース粉末を含有)、3.5mLの上記アミノ酸溶液(0.48gのグリシン、0.36gのL−システイン塩酸塩一水和物及び0.06gのL−プロリンを含有)及び0.5mLの水で作製した5.5mLの水性混合物を、ガラス反応器中の40℃で予熱した上述のとおり調製した94.5gの部分的に酵素加水分解した鶏脂(リパーゼミックス由来の4.5mLの水を既に含有している)に添加した。次いで、反応器を閉じて、反応混合物を、1000rpmで撹拌しながら85℃で30分間加熱した。次いで、得られた鶏肉風味料を室温まで冷却した。
実施例2.5:実施例2.4に従って調製した鶏肉の風味料の知覚評価。
実施例2.4で得られた鶏肉の風味料を、実施例2.3の参照用鶏肉風味料と比較した。結果を、図2に示す。実施例2.3の参照用鶏肉風味料と比較した際に、実施例2.4に従って調製した鶏肉風味料に対する「全体の強度」、「茹でた」、「脂肪質の」及び「その他」の性質における著しい増加を観測した。鶏肉の風味の茹でた場合の特質に寄与する「卵様の」及び「硫黄質の」性質に対する増加傾向も観測された。これらの結果は、本発明の方法に従って鶏肉の風味濃縮物を調製する利点をはっきりと立証している。
実施例3
実施例3.1:還元糖溶液及びアミノ酸溶液の調製。
0.2Mのリン酸緩衝液中の還元糖の溶液及びアミノ酸の溶液を、室温で既に開始されるメイラード反応を防ぐために、別々に調製した。6.0gのデキストロース一水和物及び1.11gのキシロース粉末を、10mL容メスフラスコ中のpH7.5の0.2Mのリン酸緩衝液5mLに、室温で溶解した。pHを、1.0MのNaOH数滴で目標値(pH7.5)に再調整し、混合物をリン酸緩衝液と調合して10mLにした。1.37gのグリシン、1.03gのL−システイン塩酸塩一水和物及び0.17gのL−プロリンを、10mL容メスフラスコ中のpH7.5の0.2Mのリン酸緩衝液5mLに、室温で溶解した。pHを、5.0MのNaOH数滴で目標値(pH7.5)に再調整し、混合物をリン酸緩衝液と調合して10mLにした。
実施例3.2:参照用鶏肉風味料の調製。
参照用鶏肉風味料を、実施例1.3に記載したとおりに調製した。
実施例3.3:国際公開第2010/008452号によるISA系における鶏肉風味料の調製。
1.5mLの上記還元糖溶液(0.9gのデキストロース一水和物及び0.16gのキシロース粉末を含有)、3.5mLの上記アミノ酸溶液(0.48gのグリシン、0.36gのL−システイン塩酸塩一水和物及び0.06gのL−プロリンを含有)及び5mLの水から作製した10.0mLの水性混合物を、40℃で予熱した、ガラス反応器中の鶏脂31.6g及び乳化剤のディモダンU/J 58.4gの混合物に添加した。この混合物を、透明で均質な混合物が形成されるまで1600rpmで撹拌した。次いで、反応器を閉じて、反応混合物を、1000rpmで撹拌しながら85℃で30分間加熱した。次いで、得られた参照用鶏肉風味料を室温まで冷却した。
実施例3.4:国際公開第2010/008452号に従って調製した鶏肉風味料の知覚評価。
実施例3.3に従って得られた鶏肉風味料を、実施例3.2の参照用鶏肉風味料と比較した。この比較の結果を図3に示す。図3からわかるように、実施例3.3に従って調製した鶏肉風味料では、評価した10種の性質の観点において、実施例3.2の参照用鶏肉風味料と比較した際に著しい差異は観測されなかった。
実施例4
実施例1.4(5、10、25重量%)、実施例2.4(5、10、25重量%)及び実施例3.3(5、10、25重量%)に従って調製した鶏肉風味濃縮物を標準鶏脂中に薄めることによって、食物試料を調製した。これらの食物試料を、小さいパン切れ(1部当たり脂肪約1.0g)上で試食して、標準鶏脂と比較した。実施例1.4及び2.4に従って調製した(すなわち本発明に従って調製した)鶏肉風味濃縮物を含有する試料について、知覚評価員らは、インサイチュで生じた乳化剤を最も高いレベルで含む試料(実施例2に従って調製した25%に薄めた風味付け濃縮物)においてさえ、茹でた鶏肉の強烈な風味を表するものの、口にまとわりつくような感覚及び苦みの観点で標準鶏脂と比較して、顕著な差異はないことを報告した。実施例3.3に従って調製した(すなわち国際公開第2010/008452号に従って調製した)鶏肉風味濃縮物を含有する試料については、著しく対照的に、知覚評価員は、5%に薄めたもので口にまとわりつく強い感覚及び苦い感覚を報告したので、したがって、より高用量の試料の評価は除外した。これらの結果は、本発明の方法に従って鶏肉風味濃縮物を調製する別の利点をはっきりと立証している。
実施例5
NaCl(6.5g/L)、ショ糖(1.6g/L)、MSG(4.0g/L)、IMP/GMP(0.2g/L)及び酵母抽出物(4.0g/L)を熱湯(65〜70℃)に溶解することによって、試食用のベースを調製した。実施例1.3、2.4及び3.3に従ってそれぞれ調製した鶏肉風味濃縮物0.815g(ベース原材料に対して5重量%)を、この試食用のベース500mLに添加した。比較用に、標準鶏脂を含有する参照用の試料(このベース500mL中の鶏脂0.815g)も評価した。実施例1.3及び実施例2.4に従って(すなわち本発明に従って)調製した鶏肉風味濃縮物を含有するベースに対して、評価員は、標準鶏脂を含有するベースと比較して顕著な視覚的な差異がないことを報告した:3つの試料すべては、類似の側面を有し、脂肪の目(eye)を示すだけであり、凝集現象に起因する不溶性の白色粒子は示さなかった。これらの3つの試料を試食した際、知覚評価員は、口にまとわりつくこと及び苦みの観点で顕著な差異はなく、茹でた鶏肉の強烈な風味があることを報告した。実施例3.3に従って調製した(すなわち国際公開第2010/008452号に従って調製した)鶏肉風味濃縮物を含有する試料は、著しく対照的に、知覚評価員は、標準鶏脂を含有するベースと比較すると、試料を試食した際に、視覚的な差異(凝集現象から生じた白色の粒子の存在)、並びに口にまとわりつく強い感覚及び苦い感覚を観測した。これらの結果は、本発明の方法に従って鶏肉風味濃縮物を調製する別の利点をはっきりと立証している。
実施例6
実施例6.1:部分的に酵素加水分解した鶏脂の調製。
100gの鶏脂を溶かし、45℃まで反応器中で加熱して、IKA撹拌機を用いて150prmで撹拌した。10%(w/w)の水及び5%(w/w)のリパーゼ(リポザイムTL 100L)を、鶏脂に添加して、反応器を閉じた。次いで、系を、150prmで2時間撹拌した。部分的に酵素加水分解した鶏脂を入れた反応器を、リパーゼを不活化させて更なる活性を停止させるために、15分間100℃で、加熱撹拌機上で加熱した。FFA分析の結果はFFA 30%である。
実施例6.2:鶏肉のメイラード反応溶液の反応ベースの調製。
自然性を保持するための食物原材料から構成され、化学前駆体が添加されないベースを、以下のとおりに調製した:還元糖源として選ばれた蜂蜜を5%(w/w)の用量で添加した。18%(w/w)の酵母抽出物、5%(w/w)の小麦グルテンソース粉末、5%(w/w)の卵黄粉末及び5%(w/w)のトマトペーストを窒素源として添加した。1%(w/w)の生の春タマネギ及び1%(w/w)の生のショウガ、23%(w/w)の塩及び22%(w/w)の砂糖を添加した。さらに、15%(w/w)の水を添加して、水性混合物を作製した。
実施例6.3:鶏脂を含む鶏肉メイラード反応溶液の調製。
参照用の鶏肉メイラード反応溶液を、以下のとおりに調製した:6gの通常の鶏脂及び94gの上記反応ベースを、1つの反応器に添加し、次いで撹拌しながら98℃で70分間加熱した。次いで、得られた参照用の鶏肉メイラード反応溶液を室温まで冷却した。
実施例6.4:部分的に酵素加水分解した鶏脂を含む鶏肉メイラード反応溶液の調製。
部分的に酵素加水分解した鶏脂を含む鶏肉のメイラード反応溶液を、以下のとおりに調製した:6gの部分的に酵素加水分解した鶏脂及び94gの上記反応ベースを1つの反応器に添加し、次いで、撹拌しながら95℃で50分間加熱した。次いで、得られた鶏肉メイラード反応溶液を室温まで冷却した。
実施例6.5:実施例6.4に従って調製した鶏肉メイラード反応溶液の知覚評価。
実施例6.4の鶏肉メイラード反応溶液を、実施例6.3の参照用鶏肉メイラード反応溶液と比較した。鶏肉の「肉らしい」、「脂肪質の」芳香及び味が強化された。これらの結果は、本発明の方法に従って鶏肉メイラード反応溶液濃縮物を調製する利点をはっきりと立証している。
実施例7
実施例7.1:部分的に酵素加水分解した牛脂の調製。
100gの牛脂を溶かし、55℃まで反応器中で加熱して、IKA撹拌機を用いて150prmで撹拌した。10%(w/w)の水及び5%(w/w)のリパーゼ(リポザイムTL 100L)を牛脂に添加して、反応器を閉じた。次いで、系を150prmで4時間撹拌した。部分的に酵素加水分解した牛脂を入れた反応器を、リパーゼを不活化させて更なる活性を停止させるために、100℃で15分間、加熱撹拌機で加熱した。FFA分析の結果はFFA 34.02%であった。
実施例7.2:牛肉メイラード反応溶液の反応ベースの調製。
自然性を保持するための食物原材料から構成され、化学前駆体が添加されないベースを、以下のとおりに調製した:還元糖源として選ばれた蜂蜜を、13%(w/w)の用量で添加した。20%(w/w)の酵母抽出物、5%(w/w)の小麦グルテンソース粉末及び10%(w/w)のトマトペーストを、窒素源として添加した。次いで、0.5%(w/w)の黒コショウ、5%(w/w)の生のシャロット、23%(w/w)の塩及び15.5%(w/w)の糖を添加した。8%(w/w)の水を添加して、水性混合物を作製した。
実施例7.3:通常の牛脂を含む牛肉メイラード反応溶液の調製。
通常の牛脂を含む牛肉メイラード反応溶液を以下のとおりに調製した:6gの通常の牛脂及び94gの上記反応ベースを1つの反応器に添加し、次いで、撹拌しながら93℃で50分間加熱した。次いで、対照として得られた牛肉メイラード反応溶液を室温まで冷却した。
実施例7.4:部分的に酵素加水分解した牛脂を含む牛肉メイラード反応溶液の調製。
部分的に酵素加水分解した牛脂を含む牛肉メイラード反応溶液を、以下のとおりに調製した:6gの部分的に酵素加水分解した牛脂及び94gの上記反応ベースを1つの反応器に添加し、次いで、撹拌しながら15分間93℃で加熱した。次いで、得られた牛肉メイラード反応溶液を室温まで冷却した。
実施例7.5:実施例7.4に従って調製した牛肉メイラード反応溶液の知覚評価。
実施例7.4の牛肉メイラード反応溶液を、実施例7.3の参照としての牛肉メイラード反応溶液と比較した。牛肉の「肉らしい」、「脂肪質の」芳香及び味の著しい増加を得た。これらの結果は、本発明の方法に従って牛肉メイラード反応溶液濃縮物を調製する利点をはっきりと立証している。
本発明を特定の実施形態に関して記載してきたが、特許請求の範囲に記載した本発明の範囲を逸脱しない限り、変更及び改変を行うことができることを理解されたい。さらに、知られている等価物が特定の特徴に対して存在する場合、このような等価物は、この明細書において具体的に言及されている場合と同様に、組み込まれる。

Claims (15)

  1. a)動物脂質を含む組成物を、当該脂質中に存在する少なくとも一部のトリグリセリドが加水分解するようにリパーゼ酵素と接触させて、遊離脂肪酸(FFA)、モノグリセリド(MG)、ジグリセリド(DG)及びトリグリセリド(TG)の混合物を得るステップであって、前記動物脂質が前記リパーゼ酵素によって部分的に加水分解されるステップと、
    b)前記混合物を加熱して、前記リパーゼを不活化するステップと、
    c)前記混合物を、少なくとも1種の還元糖及び少なくとも1種のアミノ酸を含有する水溶液と一緒に加熱して、風味濃縮物を得るステップと
    を含む、食肉の風味及び/又は芳香を有する風味濃縮物の製造方法。
  2. ステップa)の前記組成物が、少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%の動物脂質を含む、請求項1に記載の方法。
  3. ステップa)の前記組成物が動物脂質からなる、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記動物脂質が、鶏脂、牛脂、豚脂、羊脂又はこれらの組合せから選択される脂肪である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記リパーゼ酵素が、リポザイムTL、及び/又は、オレンジ、デシオレンジ、グレープフルーツ、レモン、サルダー、ガルマ、マスクメロン、リンゴ、グアバ、マンゴー、パパイヤ、シンバル、カブ、ラディッシュ、香味野菜又はトマト由来のリパーゼ酵素である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記リパーゼ酵素が、シュードモナス・フルオレセンス又はリゾムコール・ミエヘイなどの微生物から得られる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  7. ステップb)の前記混合物が、10〜30分間、100℃を超える温度に加熱される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記少なくとも1種の還元糖が、デキストロース又はキシロースである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記少なくとも1種のアミノ酸が、グリシン、システイン又はプロリンである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記混合物が、前記動物脂質の総量当たり1〜35%の量で前記遊離脂肪酸(FFA)を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記混合物が、前記動物脂質の総量当たり40〜98%、好ましくは60〜97%の量で前記トリグリセリド(TG)を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法によって得ることができる、風味濃縮物。
  13. 請求項12に記載の風味濃縮物を含む食品製品。
  14. スープ、固形ブイヨン、調理補助食品、ソース、塩味のスナック、調理済み料理、ピザ又はホットポケット(Hot Pocket)(登録商標)である、請求項13に記載の食品製品。
  15. 押出し乾燥キブル、ベイクドキブル又はレトルトウェットペットフードから選択される、動物による消費用の、請求項13に記載の食品製品。
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