JP2015232465A - 高分子材料のシミュレーション方法 - Google Patents

高分子材料のシミュレーション方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2015232465A
JP2015232465A JP2014118913A JP2014118913A JP2015232465A JP 2015232465 A JP2015232465 A JP 2015232465A JP 2014118913 A JP2014118913 A JP 2014118913A JP 2014118913 A JP2014118913 A JP 2014118913A JP 2015232465 A JP2015232465 A JP 2015232465A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
model
polymer
filler
polymer material
mesh
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014118913A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6283267B2 (ja
Inventor
真一 上野
Shinichi Ueno
真一 上野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2014118913A priority Critical patent/JP6283267B2/ja
Publication of JP2015232465A publication Critical patent/JP2015232465A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6283267B2 publication Critical patent/JP6283267B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Management, Administration, Business Operations System, And Electronic Commerce (AREA)

Abstract

【課題】平均場理論に基づく高分子材料の物理量の計算を安定して収束させることができる。
【解決手段】平均場理論に基づいて、フィラーが配合された高分子材料の物理量を、コンピュータ1を用いて計算するためのシミュレーション方法である。このシミュレーション方法では、コンピュータ1に、メッシュ8に区分された複数の微小領域9を含む仮想空間3を定義する工程S1、及び、コンピュータ1が、仮想空間3内に定義されたフィラーモデル4とポリマーモデル6とを用いて、高分子材料の物理量を計算する工程S5を含んでいる。フィラーモデル4は、複数の微小領域9を囲むようにメッシュ8に沿った凸凹の輪郭線10で定義される。ポリマーモデル6は、メッシュ8の交点8pに定義された複数のポリマーセグメント7でモデル化される。フィラーモデル4の輪郭線10の最小単位長さL1は、メッシュ8の最小単位長さL2の2倍以上である。
【選択図】図3

Description

本発明は、高分子材料の物理量を安定して計算することができる高分子材料のシミュレーション方法に関する。
ゴム等の高分子材料には、カーボンブラックやシリカといったフィラーが配合されている。近年、ゴム配合の開発のために、フィラーが配合された高分子材料の物理量を、コンピュータを用いて計算するためのシミュレーション方法(数値計算)が種々提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
また、フィラーが配合された高分子材料の物理量(例えば、計算系の自由エネルギー)を計算するために、平均場理論に基づくシミュレーション方法が考えられている。この種のシミュレーション方法では、先ず、メッシュに区分された仮想空間をコンピュータに設定し、そこにフィラーをモデル化したフィラーモデル、及び、高分子材料をモデル化したポリマーモデルが配置される。そして、ポリマーモデルの配置のエントロピーを考慮したSCF法( Self-Consistent Field Method )に基づいて、自由エネルギー等が計算される。
特開2006−64658号公報
従来の平均場理論に基づくシミュレーション方法では、フィラーモデルの輪郭形状等が、オペレータの経験や勘によって定義されていた。このため、場合によっては、高分子材料の物理量が急激に上昇し、計算の発散を招くという問題があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、フィラーモデルの輪郭線の最小単位長さL1を、メッシュの最小単位長さL2の2倍以上に設定することを基本として、平均場理論に基づく高分子材料の物理量の計算を安定して収束させることができる高分子材料のシミュレーション方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、平均場理論に基づいて、フィラーが配合された高分子材料の物理量を、コンピュータを用いて計算するためのシミュレーション方法であって、前記コンピュータに、メッシュに区分された複数の微小領域を含む仮想空間を定義する工程、前記仮想空間に、前記フィラーをモデル化したフィラーモデルを設定する工程、前記仮想空間に、前記高分子材料をモデル化したポリマーモデルを設定する工程、及び、前記コンピュータが、前記仮想空間内に定義された前記フィラーモデルと前記ポリマーモデルとを用いて、前記高分子材料の物理量を計算する工程を含み、前記フィラーモデルは、複数の前記微小領域を囲むように前記メッシュに沿った凸凹の輪郭線で定義され、前記ポリマーモデルは、前記メッシュの交点に定義された複数のポリマーセグメントでモデル化され、前記フィラーモデルの前記輪郭線の最小単位長さL1は、前記メッシュの最小単位長さL2の2倍以上であることを特徴とする。
本発明に係る前記高分子材料のシミュレーション方法において、前記フィラーモデルの前記最小単位長さL1は、前記フィラーモデルの直径L3よりも小さいのが望ましい。
本発明に係る前記高分子材料のシミュレーション方法において、前記フィラーモデルの前記最小単位長さL1、前記メッシュの最小単位長さL2、及び、前記フィラーモデルの前記直径L3は、下記の関係を満たすのが望ましい。
L1≦L3−L2×4
本発明に係る前記高分子材料のシミュレーション方法において、前記フィラーモデルは、三次元モデルとして定義されるのが望ましい。
本発明は、平均場理論に基づいて、フィラーが配合された高分子材料の物理量を、コンピュータを用いて計算するためのシミュレーション方法である。この高分子材料のシミュレーション方法では、コンピュータに、メッシュに区分された複数の微小領域を含む仮想空間を定義する工程、仮想空間に、フィラーをモデル化したフィラーモデルを設定する工程、仮想空間に、高分子材料をモデル化したポリマーモデルを設定する工程、及び、コンピュータが、仮想空間に定義されたフィラーモデルとポリマーモデルとを用いて、高分子材料の物理量を計算する工程を含んでいる。
本発明では、フィラーモデルが、複数の前記微小領域を囲むようにメッシュに沿った凸凹の輪郭線で定義される。一方、ポリマーモデルは、メッシュの交点に定義された複数のポリマーセグメントでモデル化される。フィラーモデルの輪郭線の最小単位長さL1は、メッシュの最小単位長さL2の2倍以上に設定される。従って、本発明の方法によれば、輪郭線の最小単位長さの両端間、即ち、凸凹の輪郭線の入隅又は出隅の中間に、少なくとも一つのメッシュの交点を設定することができる。
複数のポリマーセグメントは、メッシュの交点に順次配置される。中間の交点に配置されるポリマーセグメントは、入隅に配置されるポリマーセグメントに比べて、次に配置されるポリマーセグメントが配置可能な交点の個数が多い。平均場理論に基づくシミュレーションでは、ポリマーセグメントが配置可能な交点の個数が多いほど、そのポリマーモデルの安定性が高くなる。従って、中間の交点に配置されるポリマーセグメントを含むポリマーモデルは、入隅に配置されるポリマーセグメントを含むポリマーモデルに比べて、平均場理論での安定性が高い。
一方、前記中間の交点に配置されるポリマーセグメントは、出隅に配置されるポリマーセグメントに比べて、次に配置されるポリマーセグメントが配置可能な交点の個数が少ない。従って、中間の交点に配置されるポリマーセグメントを含むポリマーモデルは、出隅に配置されるポリマーセグメントを含むポリマーモデルに比べて、平均場理論での安定性が低い。
このように、本発明の方法によれば、ポリマーセグメントが出隅から入隅に順次配置されるポリマーモデル安定性を、中間の交点を介して、段階的に低下させることができる。平均場理論に基づくシミュレーションでは、ポリマーセグメントの安定性が低いほど、高分子材料の物理量(計算系の自由エネルギー)が上昇する。従って、本発明では、計算系の自由エネルギーが急激に上昇するのを防ぐことができるため、計算系の自由エネルギーの計算を安定して収束させることができる。
本実施形態のシミュレーション方法を実行するコンピュータの斜視図である。 本実施形態のシミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本実施形態の仮想空間の概念図である。 フィラーモデル及びポリマーモデルを示す概念図である。 従来のフィラーモデルを有する仮想空間の概念図である。 本実施形態のフィラーモデルの部分拡大図である。 本実施形態のシミュレーション工程の一例を示すフローチャートである。 (a)は、一対のフィラーモデルが当接した仮想空間の概念図である。(b)は、一対のフィラーモデルが離間した仮想空間の概念図である。 計算系の自由エネルギーと、フィラーモデルの粒子間距離との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態の高分子材料のシミュレーション方法(以下、単に「シミュレーション方法」ということがある。)は、フィラーが配合された高分子材料の物理量を、コンピュータを用いて計算するための方法である。
フィラーとしては、例えば、カーボンブラック、シリカ又はアルミナ等が含まれる。また、高分子材料としては、例えば、ゴム、樹脂又はエラストマー等が含まれる。
図1は、本実施形態のシミュレーション方法を実行するコンピュータの斜視図である。コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dを含んで構成されている。この本体1aには、例えば、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリ、磁気ディスクなどの記憶装置、及び、ディスクドライブ装置1a1、1a2が設けられている。また、記憶装置には、本実施形態のシミュレーション方法を実行するための処理手順(プログラム)が予め記憶されている。
図2は、本実施形態のシミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態のシミュレーション方法では、先ず、コンピュータ1に、仮想空間が定義される(工程S1)。図3は、本実施形態の仮想空間の概念図である。
本実施形態の仮想空間3は、横長矩形状に形成された二次元系として設定されている。仮想空間3を囲む一対の縦辺3a、3a及び一対の横辺3b、3bには、周期境界条件がそれぞれ設定されている。また、各縦辺3aの長さL5a、及び、各横辺3bの長さL5bについては、適宜設定することができる。各長さL5a、L5bは、例えば、後述するフィラーモデル4及びポリマーモデル6の慣性半径(図示省略)の2倍以上、より好ましくは10倍以上に設定されるのが望ましい。
仮想空間3には、メッシュ8に区分された複数の微小領域9が設けられている。本実施形態のメッシュ8は、平均場理論( Flory-Huggins 理論等)に基づくシミュレーションの最小単位として扱われる。ここで、平均場理論とは、着目したポリマーが周辺から受ける相互作用を平均場近似するのに用いられる高分子溶液の統計熱力学理論である。
本実施形態の微小領域9は、一対の縦辺、及び、一対の横辺が同一の長さに設定された正方形状に形成されている。従って、各縦辺及び各横辺の各長さは、メッシュ8の最小単位長さL2として設定される。メッシュ8の最小単位長さL2は、シミュレーションに求められる精度に応じて、適宜設定することができる。本実施形態の最小単位長さL2は、例えば、仮想空間3の横辺3bの長さL5bの1/4〜1/100に設定されている。仮想空間3は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、仮想空間3に、フィラーをモデル化したフィラーモデル4が設定される(工程S2)。本実施形態のフィラーモデル4は、仮想空間3に、2つ定義されている。このフィラーモデル4内には、後述するポリマーモデル6の配置が許容されない。
フィラーモデル4は、実際のフィラーの形状の近似するように定義される。本実施形態のフィラーモデル4は、複数の微小領域9を囲むように、メッシュ8に沿った輪郭線10で定義されている。本実施形態の輪郭線10は、複数の入隅10i及び出隅10oが設けられている。これにより、フィラーモデル4は、その輪郭線10に凸凹が形成される。
本実施形態のフィラーモデル4の輪郭線10の最小単位長さL1は、メッシュ8の最小単位長さL2の2倍以上に設定されている。これにより、各最小単位長さL1の両端間、即ち、凸凹の輪郭線10の入隅10i又は出隅10oの中間に、少なくとも一つ(本実施形態では1つ)のメッシュ8の交点8pを設定することができる。
なお、フィラーモデル4の最小単位長さL1は、フィラーモデル4の直径L3よりも小さいのが望ましい。これにより、フィラーモデル4の輪郭には、複数の入隅10iが確実に形成されるため、フィラーモデル4の形状を、実際のフィラーの形状に近似させることができる。従って、フィラーモデル4は、シミュレーション精度を向上させることができる。なお、フィラーモデル4の輪郭の径が変化する場合、直径L3は、フィラーモデル4の径の最大値とする。
フィラーモデル4の最小単位長さL1、メッシュ8の最小単位長さL2、及び、フィラーモデル4の直径L3は、下記式(1)の関係を満たすのが望ましい。
L1≦L3−L2×4 …(1)
上記式(1)において、フィラーモデル4の輪郭線10の最小単位長さL1は、フィラーモデル4の直径L3から、メッシュ8の4個分の最小単位長さL2を減じた値以下に限定されている。これにより、フィラーモデル4は、輪郭線10の最小単位長さL1を小さくして、輪郭線10により多くの入隅10iを形成することができる。従って、フィラーモデル4は、実際のフィラーの形状により近似させることができる。フィラーモデル4は、コンピュータ1に記憶される。
次に、仮想空間3に、高分子材料をモデル化したポリマーモデル6が設定される(工程S3)。図4は、フィラーモデル及びポリマーモデルを示す概念図である。
図3及び図4に示されるように、ポリマーモデル6は、メッシュ8の交点8pに定義された少なくとも一つのポリマーセグメント7でモデル化される。本実施形態のポリマーモデル6は、複数のポリマーセグメント7でモデル化されている。このようなポリマーモデル6は、高分子材料の高分子鎖を精度よくモデル化することができる。ポリマーセグメント7は、フィラーモデル4と同様に、平均場理論に基づくシミュレーションにおける最小単位として取り扱われる。
ポリマーセグメント7、7間には、それらを拘束する結合鎖16が設けられている。この結合鎖16の長さK1は、例えば、メッシュ8の最小単位長さL2(図3に示す)と同一の長さに設定される。これにより、ポリマーモデル6は、ポリマーセグメント7、7間の相対距離が安定して保持される直鎖状のニ次元構造に定義される。
本実施形態のポリマーモデル6は、予め定められた体積分率(例えば、50%〜99%程度)に基づいて、仮想空間3に複数配置されている。ポリマーモデル6のポリマーセグメント7と、他のポリマーモデル6のポリマーセグメント7との間には、相互作用パラメータであるχパラメータK2が設定される。このχパラメータK2は、例えば、0.0〜10.0程度に設定されている。これにより、ポリマーセグメント7、7間には、斥力相互作用の強さが定義される。ポリマーモデル6は、コンピュータ1に記憶される。
次に、コンピュータ1に、フィラーモデル4とポリマーモデル6との相互作用パラメータであるχパラメータK3が設定される(工程S4)。図4に示されるように、χパラメータK3は、フィラーモデル4とポリマーセグメント7との間にそれぞれ設定されている。本実施形態のχパラメータK3は、例えば0.0〜10.0に設定される。これにより、フィラーモデル4とポリマーセグメント7との間には、斥力相互作用の強さが定義される。
χパラメータK3が10.0を超えると、平均場理論に基づくシミュレーションにおいて、フィラーモデル4及びポリマーモデル6の配置が安定する状態(平衡状態)に近づいても、直前の計算ステップとのエネルギー差が大きくなり、計算が収束しなくなるおそれがある。このような観点より、χパラメータK3は、より好ましくは5.0以下である。χパラメータK3は、コンピュータ1に記憶される。
次に、コンピュータ1が、平均場理論に基づいて、高分子材料の物理量を計算する(シミュレーション工程S5)。
本実施形態の平均場理論に基づくシミュレーション工程S5では、ポリマーモデル6の配置のエントロピーを考慮したSCF法( Self-Consistent Field Method )に基づいて、フィラーモデル4とポリマーモデル6とを含む系全体(仮想空間3)の平衡状態における自由エネルギーFが計算される。各自由エネルギーFは、ヘルムホルツの自由エネルギーである。このような平均場理論に基づくシミュレーションは、例えばOCTAに含まれるSUSHIを用いて処理することができる。
平均場理論に基づくシミュレーションでは、シミュレーションの単位ステップ毎に、現ステップのポリマーモデル6の配置情報(濃度分布)が、直前のステップのポリマーモデル6の配置情報に近似するように、各ポリマーセグメント7が、交点8pに逐次配置される。なお、各ポリマーセグメント7は、フィラーモデル4の輪郭線10よりも内側の交点8pに配置できない。このため、ポリマーセグメント7が輪郭線10上に配置された場合、そのポリマーセグメント7に連結された次のポリマーセグメント7は、配置可能な交点8pの数が少なくなる。
図5は、従来のフィラーモデルを有する仮想空間の概念図である。このフィラーモデル4では、輪郭線10の最小単位長さL1が、メッシュ8の最小単位長さL2と同一に設定されている。このため、凸凹の輪郭線10の入隅10iに配置される交点8pと、出隅10oに配置される交点8pとが隣り合って定義される。
出隅10oの交点8pに配置されたポリマーセグメント7(以下、単に「出隅10oのポリマーセグメント7」ということがある。)に結合した次のポリマーセグメント7は、入隅10iの交点8p、出隅10oの上側の交点8p、出隅10oの右側の交点8p、及び、出隅10oの下側の交点8pに配置可能である(合計4個)。一方、入隅10iの交点8pに配置されたポリマーセグメント7(以下、単に「入隅10iのポリマーセグメント7」ということがある。)に結合した次のポリマーセグメント7は、出隅10oの交点8p、及び、入隅10iの上側の交点8pに配置可能である(合計2個)。
平均場理論に基づくシミュレーションでは、次のポリマーセグメント7の配置先の交点8pの個数が少ないほど、そのポリマーモデル6の安定性が低くなる。従って、従来のフィラーモデル4を有する仮想空間3では、出隅10oのポリマーセグメント7に結合された次のポリマーセグメント7が、入隅10iに配置されると、そのポリマーモデル6の安定性が急激に低下する。
さらに、平均場理論に基づくシミュレーションでは、ポリマーモデル6安定性が低いほど、高分子材料の物理量(計算系の自由エネルギーF)が上昇する。従って、従来のフィラーモデル4を用いたシミュレーションでは、出隅10oのポリマーセグメント7に結合された次のポリマーセグメント7が、入隅10iに配置されることにより、安定性の低いポリマーモデル6の配置形態となり、計算系の自由エネルギーFが急激に上昇する。このように、高分子材料の物理量が急激に上昇すると、計算の発散を招く場合があった。
図6は、本実施形態のフィラーモデル4の部分拡大図である。本実施形態のフィラーモデル4は、フィラーモデル4の輪郭線10の最小単位長さL1が、メッシュ8の最小単位長さL2の2倍以上に設定されている。このため、フィラーモデル4は、凸凹の輪郭線10の入隅10iに配置される交点8p又は出隅10oに配置される交点8pの中間に、少なくとも一つのメッシュ8の交点8pを設定することができる。
中間10cの交点8pに配置されたポリマーセグメント7(以下、単に「中間10cのポリマーセグメント7」ということがある。)に結合された次のポリマーセグメント7は、入隅10iの交点8p、出隅10oの交点8p、及び、中間10cの上側の交点8pに配置可能である(合計3個)。このため、中間10cのポリマーセグメント7は、入隅10iのポリマーセグメント7に比べて、次のポリマーセグメント7が配置可能な交点8pの個数が多い。従って、中間10cポリマーセグメント7を含むポリマーモデル6は、入隅10iのポリマーセグメント7を含むポリマーモデル6に比べて、平均場理論での安定性が高い。
一方、中間10cのポリマーセグメント7は、出隅10oのポリマーセグメント7に比べて、次のポリマーセグメント7が配置可能な交点8pの個数が少ない。従って、中間10cポリマーセグメント7を含むポリマーモデル6は、出隅10oのポリマーセグメント7を含むポリマーモデル6に比べて、平均場理論での安定性が低い。
このように、本実施形態のシミュレーション方法によれば、例えば、ポリマーセグメント7が出隅10oから入隅10iに順次配置されるポリマーモデル6の安定性を、中間10cの交点8pを介して、段階的に低下させることができる。従って、本実施形態のフィラーモデル4を用いたシミュレーション方法では、高分子材料の物理量が急激に上昇するのを防ぐことができるため、該物理量の計算を安定して収束させることができる。
このような作用を効果的に発揮させるために、フィラーモデル4の輪郭線10の最小単位長さL1は、好ましくは、メッシュ8の最小単位長さL2の2倍以上、さらに好ましくは3倍以上である。これにより、フィラーモデル4は、凸凹の輪郭線10の入隅10i又は出隅10oの中間10cに、複数の交点8pを設定することができるため、ポリマーセグメント7が入隅10iに配置されるまでの距離を大きくすることができる。従って、ポリマーモデル6の安定性が急激に低下するのを抑制でき、高分子材料の物理量が急激に上昇するのを確実に防ぐことができる。
図7は、本実施形態のシミュレーション工程S5の一例を示すフローチャートである。本実施形態のシミュレーション工程S5では、仮想空間3に、一対のフィラーモデル4、4が配置されている。このため、本実施形態のシミュレーション工程S5では、フィラーモデル4、4間の粒子間距離に応じた計算系の自由エネルギーFの変化を計算することができる。
本実施形態のシミュレーション工程S5では、先ず、一対のフィラーモデル4、4を当接させて、計算系の自由エネルギーの最小値Fsが計算される(工程S51)。図8(a)は、一対のフィラーモデル4、4が当接した仮想空間の概念図である。図8(b)は、一対のフィラーモデル4、4が離間した仮想空間の概念図である。図8(a)及び(b)では、ポリマーモデル6(図3に示す)を省略して表示している。
工程S51では、図8(a)に示されるように、一対のフィラーモデル4、4が当接される。これにより、一対のフィラーモデル4、4が当接した状態での計算系の自由エネルギーFが計算される。なお、一対のフィラーモデル4、4が当接した状態では、フィラーモデル4近傍に配置されるポリマーモデル6(図3に示す)が最も少なくなるため、ポリマーモデル6の配置のエントロピー低下が抑えられ、自由エネルギーFが最小となる。
工程S51では、一対のフィラーモデル4、4が当接した状態の粒子間距離R(最小粒子間距離Rs)が計算される。なお、粒子間距離Rは、フィラーモデル4が配置される領域5、5の重心5c、5c間の距離として定義される。工程S51では、自由エネルギーの最小値Fs、及び、最小粒子間距離Rsが、コンピュータ1に記憶される。
次に、一対のフィラーモデル4、4を離間させて、計算系の自由エネルギーの最大値Fmが計算される(工程S52)。図8(b)に示されるように、工程S52では、一対のフィラーモデル4、4が当接した状態から一定の間隔で離間させて、各粒子間距離Rでの計算系の自由エネルギーFが計算される。各粒子間距離R、及び各粒子間距離Rでの計算系の自由エネルギーFは、コンピュータ1に記憶される。図9は、計算系の自由エネルギーFと、フィラーモデル4の粒子間距離Rとの関係を示すグラフである。
一対のフィラーモデル4、4の粒子間距離Rが大きくなると、フィラーモデル4とポリマーモデル6との接する部分が大きくなる。このため、計算系の自由エネルギーFが大きくなる。本実施形態の工程S52では、計算系の自由エネルギーFの増分がゼロになるまで、一対のフィラーモデル4、4の粒子間距離Rを大きくして、計算系の自由エネルギーFが計算される。これにより、工程S52では、計算系の自由エネルギーFの最大値Fmを求めることができる。工程S52では、自由エネルギーの最大値Fmが、コンピュータ1に記憶される。
このように、本実施形態のシミュレーション工程S5では、仮想空間3に一対のフィラーモデル4、4が設けられているため、フィラーモデル4、4間の粒子間距離に応じた計算系の自由エネルギーFの変化を求めることができる。このような計算系の自由エネルギーFの変化は、例えば、フィラー間の相互作用ポテンシャルのパラメータを推定するのに用いることができる。
次に、コンピュータ1が、高分子材料の物理量が許容範囲内であるかを判断する(工程S6)。この工程S6では、高分子材料の物理量が許容範囲内であると判断された場合、フィラーモデル4及びポリマーモデル6の諸条件に基づいて、系全体の変形シミュレーションが実施される(工程S7)。変形シミュレーションは、従来と同様に、OCTAに含まれるKAPSELを用いて処理することができる。そして、変形シミュレーションの結果が良好であれば、フィラーを含む高分子材料が製造される(工程S8)。
一方、高分子材料の物理量が許容範囲外と判断された場合は、フィラーモデル4及びポリマーモデル6の諸条件が変更されて(工程9)、工程S1〜工程S6が再度実施される。このように、本実施形態では、高分子材料の物理量が許容範囲内になるまで、フィラーモデル4及びポリマーモデル6の諸条件が変更されるため、所望の性能を有する高分子材料を、効率よく設計することができる。
本実施形態では、仮想空間3及びフィラーモデル4が、二次元モデルとして定義されたものが例示されたが、三次元モデルとして定義されてもよい。この場合、仮想空間3は、3次元の直方体として定義されるのが望ましい。また、フィラーモデル4は、例えば、走査型透過電子顕微鏡を用いて取得されたフィラーの電子線透過画像に基づいて、モデル化されるのが望ましい。このようなフィラーモデル4を用いたシミュレーション方法では、フィラーの形状を精度よくモデル化することができるため、計算系の自由エネルギーFの計算精度を、さらに高めることができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図2及び図6に示した手順に従い、図3に示したフィラーモデルを有する仮想空間が定義され、平均場理論に基づく高分子材料の物理量が計算された(実施例)。実施例のフィラーモデルは、輪郭線の最小単位長さL1が、メッシュ8の最小単位長さL2の2倍に設定されている。
また、比較のために、図5に示したフィラーモデルを有する仮想空間が定義され、平均場理論に基づく高分子材料の物理量が計算された(比較例)。比較例のフィラーモデルは、輪郭線の最小単位長さL1と、メッシュ8の最小単位長さL2とが同一に設定されている。
実施例及び比較例において、各シミュレーション方法がそれぞれ10回実施され、高分子材料の物理量の計算が収束するか否かが確認された。各パラメータは、明細書中の記載通りであり、共通仕様は次のとおりである。
平均場理論のシミュレーション:
仮想空間:
長さL5a:30σ
長さL5b:60σ
メッシュの微小単位長さL2:1σ
フィラーモデル:
仮想空間に配置される個数:2個
直径:6σ
ポリマーモデル:
仮想空間に配置される体積分率:80%
ポリマーセグメントの鎖長:50(直鎖分子)
ポリマーセグメントの直径(隣接セグメント間の距離):1σ
ポリマーセグメント間のχパラメータK2:0.0
ポリマーセグメント・フィラーセグメント間のχパラメータK3:3.0
テストの結果、実施例では、全ての計算において収束できた。一方、比較例では、計算の発散が5回発生した。従って、実施例のシミュレーション方法では、平均場理論に基づく高分子材料の物理量の計算を安定して収束させることができることが確認できた。
3 仮想空間
4 フィラーモデル
6 ポリマーモデル
7 ポリマーセグメント
8 メッシュ
9 微小領域
10 輪郭線

Claims (4)

  1. 平均場理論に基づいて、フィラーが配合された高分子材料の物理量を、コンピュータを用いて計算するためのシミュレーション方法であって、
    前記コンピュータに、メッシュに区分された複数の微小領域を含む仮想空間を定義する工程、
    前記仮想空間に、前記フィラーをモデル化したフィラーモデルを設定する工程、
    前記仮想空間に、前記高分子材料をモデル化したポリマーモデルを設定する工程、及び
    前記コンピュータが、前記仮想空間内に定義された前記フィラーモデルと前記ポリマーモデルとを用いて、前記高分子材料の物理量を計算する工程を含み、
    前記フィラーモデルは、複数の前記微小領域を囲むように前記メッシュに沿った凸凹の輪郭線で定義され、
    前記ポリマーモデルは、前記メッシュの交点に定義された複数のポリマーセグメントでモデル化され、
    前記フィラーモデルの前記輪郭線の最小単位長さL1は、前記メッシュの最小単位長さL2の2倍以上であることを特徴とする高分子材料のシミュレーション方法。
  2. 前記フィラーモデルの前記最小単位長さL1は、前記フィラーモデルの直径L3よりも小さい請求項1記載の高分子材料のシミュレーション方法。
  3. 前記フィラーモデルの前記最小単位長さL1、前記メッシュの最小単位長さL2、及び、前記フィラーモデルの前記直径L3は、下記の関係を満たす請求項1又は2記載の高分子材料のシミュレーション方法。
    L1≦L3−L2×4
  4. 前記フィラーモデルは、三次元モデルとして定義される請求項1乃至3のいずれかに記載の高分子材料のシミュレーション方法。
JP2014118913A 2014-06-09 2014-06-09 高分子材料のシミュレーション方法 Active JP6283267B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014118913A JP6283267B2 (ja) 2014-06-09 2014-06-09 高分子材料のシミュレーション方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014118913A JP6283267B2 (ja) 2014-06-09 2014-06-09 高分子材料のシミュレーション方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015232465A true JP2015232465A (ja) 2015-12-24
JP6283267B2 JP6283267B2 (ja) 2018-02-21

Family

ID=54934001

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014118913A Active JP6283267B2 (ja) 2014-06-09 2014-06-09 高分子材料のシミュレーション方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6283267B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017219503A (ja) * 2016-06-10 2017-12-14 横浜ゴム株式会社 複合材料の解析用モデルの作成方法、複合材料の解析用モデルの作成用コンピュータプログラム、複合材料の解析方法及び複合材料の解析用コンピュータプログラム

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005208930A (ja) * 2004-01-22 2005-08-04 Sumitomo Rubber Ind Ltd フィラー間相互作用のシミュレーション方法
JP2009282569A (ja) * 2008-05-19 2009-12-03 Sumitomo Rubber Ind Ltd 解析モデルの作成方法
JP4533045B2 (ja) * 2004-08-30 2010-08-25 住友ゴム工業株式会社 ゴム材料の評価方法
JP2010205165A (ja) * 2009-03-05 2010-09-16 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴム材料のシミュレーション方法
JP2011242336A (ja) * 2010-05-20 2011-12-01 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴム材料のシミュレーション方法
JP2014025909A (ja) * 2012-06-21 2014-02-06 Sumitomo Rubber Ind Ltd 高分子材料のシミュレーション方法
JP2014062891A (ja) * 2012-08-31 2014-04-10 Sumitomo Rubber Ind Ltd 高分子材料のシミュレーション方法
JP6085224B2 (ja) * 2013-06-25 2017-02-22 住友ゴム工業株式会社 フィラー間の相互作用ポテンシャルの計算方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005208930A (ja) * 2004-01-22 2005-08-04 Sumitomo Rubber Ind Ltd フィラー間相互作用のシミュレーション方法
JP4533045B2 (ja) * 2004-08-30 2010-08-25 住友ゴム工業株式会社 ゴム材料の評価方法
JP2009282569A (ja) * 2008-05-19 2009-12-03 Sumitomo Rubber Ind Ltd 解析モデルの作成方法
JP2010205165A (ja) * 2009-03-05 2010-09-16 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴム材料のシミュレーション方法
JP2011242336A (ja) * 2010-05-20 2011-12-01 Sumitomo Rubber Ind Ltd ゴム材料のシミュレーション方法
JP2014025909A (ja) * 2012-06-21 2014-02-06 Sumitomo Rubber Ind Ltd 高分子材料のシミュレーション方法
JP2014062891A (ja) * 2012-08-31 2014-04-10 Sumitomo Rubber Ind Ltd 高分子材料のシミュレーション方法
JP6085224B2 (ja) * 2013-06-25 2017-02-22 住友ゴム工業株式会社 フィラー間の相互作用ポテンシャルの計算方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017219503A (ja) * 2016-06-10 2017-12-14 横浜ゴム株式会社 複合材料の解析用モデルの作成方法、複合材料の解析用モデルの作成用コンピュータプログラム、複合材料の解析方法及び複合材料の解析用コンピュータプログラム

Also Published As

Publication number Publication date
JP6283267B2 (ja) 2018-02-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5186015B2 (ja) フィラー配合ゴムの有限要素モデルの作成方法
JP6085224B2 (ja) フィラー間の相互作用ポテンシャルの計算方法
JP6097130B2 (ja) 高分子材料のシミュレーション方法
JP6294613B2 (ja) 高分子材料のシミュレーション方法
JP2014062891A (ja) 高分子材料のシミュレーション方法
JP2012521591A5 (ja)
JP6353290B2 (ja) 高分子材料モデル作成方法
Fierz et al. Maintaining large time steps in explicit finite element simulations using shape matching
JP2013184248A (ja) 重心軌道生成装置、その生成方法及びプログラム
JP6283267B2 (ja) 高分子材料のシミュレーション方法
JP5324820B2 (ja) 解析モデルの作成方法
EP2500868B1 (en) Method for creating finite element model of rubber composite
Rodríguez et al. Real-time simulation of hydraulic components for interactive control of soft robots
JP6152003B2 (ja) タイヤモデルの作成方法
JP5503618B2 (ja) ゴム材料のシミュレーション方法
JP2011238008A (ja) 接続関係決定処理プログラム、コンピュータ支援装置及びコンピュータ支援方法
JP2005078416A (ja) 解析モデル生成方法および装置ならびにプログラムおよびその記憶媒体
Liu et al. Topology optimization of continuum structures with uncertainty in loading direction
JP6711186B2 (ja) 高分子材料のシミュレーション方法
JP2014002696A (ja) 設計データ生成装置、その生成方法及びプログラム
JP2014032473A (ja) 情報処理装置およびその方法
Zhao et al. Adaptive finite element methods on quadrilateral meshes without hanging nodes
Adell et al. Modelling and Design of a Paul Ion Trap
JP7115048B2 (ja) 高分子材料のボンドポテンシャルの定義方法
JP2005352818A (ja) 不均質材料のシミュレーションモデル作成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170405

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171129

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180109

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180126

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6283267

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250