JP2015231271A - グロメット - Google Patents
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Abstract
【課題】グロメットの大径筒部の係合凹部の貫通穴の縁部への嵌合力を向上させることができる、新規な構造のグロメットを提供すること。【解決手段】グロメット10の大径筒部20は、環状突部24とフランジ部26を有し、環状突部24は第1テーパ部28と第2テーパ部30を有し、フランジ部26には、環状突部24側の面に開口する凹部32が形成されており、凹部32と第2テーパ部30により大径筒部20の外周面に開口する係合凹部18が構成されている。係合凹部18の内縁部において、第2テーパ部30の小径側端部から大径筒部20の径方向内方に延びる段差面36と、段差面36の径方向内方の端部から大径筒部20の軸方向内方に延びる縦壁部38が設けられているようにした。【選択図】図1
Description
本発明は、ワイヤハーネスに外装された状態で、支持体に形成された貫通穴に装着されるグロメットに関するものである。
従来から、自動車に配索されるワイヤハーネスが、ドアパネルや車体パネル等の支持体に設けた貫通穴から引き出されて配索される部位には、ワイヤハーネスに外装された状態で、貫通穴に装着されるグロメットが装着されている。このグロメットは、特開2012−100384号公報(特許文献1)等に記載されているように、支持体の貫通穴に嵌合されて貫通穴を覆蓋する大径筒部と、大径筒部に連接されて大径筒部よりも小さな径で形成されてワイヤハーネスの外周面に密接して固定される小径筒部とが一体的に設けられており、ゴムやエラストマー等の弾性体にて構成されている。このようなグロメットを装着することにより、貫通穴を通じたパネル外からパネル内への水入り等が防止されるようになっている。
ところで、グロメットの大径筒部を支持体の貫通穴に嵌合する際には、グロメットの小径筒部を貫通穴の内部から外部に引き出すことにより大径筒部の外周面に形成された係合凹部に貫通穴の縁部を嵌め入れる場合の他、特許文献1に記載のように、貫通穴の外部から内部に向かってグロメットの大径筒部を押し込んで、大径筒部の外周面の係合凹部に貫通穴の縁部を嵌め入れる場合もある。後者の場合、特許文献1の図5に示されるように、グロメットの大径筒部は、その先端側に設けられて貫通穴に挿入される環状突部と、大径筒部の基端側に設けられて大径筒部の外周面から径方向外方に突出するフランジ部を備えている。また、環状突部の外周面が先端側から基端側に向かって次第に大径化する第1テーパ部と、第1テーパ部の大径側端部に連接してさらに基端側に向かって次第に小径化する第2テーパ部を有している。加えて、フランジ部には、環状突部側の面に凹部が形成されており、第2テーパ部とフランジ部の凹部によって大径筒部の係合凹部が構成されている。
このような構成により、貫通穴にグロメットの大径筒部を押し込む際には、はじめに、環状突部の第1テーパ部により、貫通穴に対してグロメットをセンタリングしつつ容易に挿入することができる。さらに、グロメットを押し込むことにより、貫通穴の縁部に圧接されてフランジ部の凹部側に弾性変形された第1テーパ部の大径側端部が貫通穴を乗り越えて貫通穴の内側で弾性復帰する。これにより、貫通穴の縁部が係合凹部に嵌め入れられて第2テーパ部とフランジ部の間で挟持されて、貫通穴が大径筒部により覆蓋されるのである。
ところが、大径筒部の係合凹部を構成する第2テーパ部は、貫通穴の縁部を構成する支持体表面に対して傾斜していることから、グロメットが外装されたワイヤハーネスに小径筒部側から引張力が加わった際に、第2テーパ部が弾性変形して第2テーパ部の支持体表面に対する傾斜角度がさらに大きくなり、グロメットが支持体から離脱するおそれがあった。
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、グロメットの大径筒部の係合凹部の貫通穴の縁部への嵌合力を向上させることができる、新規な構造のグロメットを提供することにある。
本発明の第一の態様は、ワイヤハーネスに外装された状態で、支持体に形成された貫通穴に装着されるグロメットであって、外周面に開口する係合凹部を有し、該係合凹部が前記貫通穴に嵌合されて前記貫通穴を覆蓋する大径筒部と、前記大径筒部に連接されて該大径筒部よりも小さな径で形成された小径筒部と、を備え、前記大径筒部は、該大径筒部の先端側に設けられて前記貫通穴に挿入される環状突部と、前記大径筒部の基端側に設けられて前記大径筒部の径方向外方に突出するフランジ部を有し、前記環状突部の外周面が前記先端側から前記基端側に向かって次第に大径化する第1テーパ部と、該第1テーパ部の大径側端部に連接してさらに前記基端側に向かって次第に小径化する第2テーパ部を有し、前記フランジ部には、前記環状突部側の面に開口する凹部が形成されており、該凹部と前記第2テーパ部により前記大径筒部の前記係合凹部が構成されており、前記係合凹部の内縁部において、前記第2テーパ部の小径側端部から前記大径筒部の径方向内方に延びる段差面と、該段差面の前記径方向内方の端部から前記大径筒部の軸方向内方に延びる縦壁部が設けられていることを特徴とする。
本態様によれば、第2テーパ部と係合凹部によって構成される係合凹部の径方向内縁部に、大径筒部の径方向内方に延びる段差面が設けられている。これにより、係合凹部に嵌め入れられた貫通穴の縁部を、第2テーパ部とフランジ部の間で挟持する際に、段差面の広い面積で貫通穴の縁部を面接触させて保持することができる。それ故、従来構造の如き第2テーパ部で貫通穴の縁部を係止する場合に比して、貫通穴の縁部にグロメットの係合凹部を安定して係合させることができ、係合凹部の貫通穴の縁部への嵌合力の向上を図ることができる。
しかも、段差面に連接して大径筒部の軸方向内方に延びる縦壁部が設けられていることから、貫通穴の縁部を係合凹部の径方向内方まで確実に嵌め入れて保持することができ、貫通穴の縁部の段差面に対する接触面積を確実に確保して、嵌合力を安定して発揮させることができる。それ故、仮に、グロメットが外装されたワイヤハーネスに小径筒部側から引張力が加わった場合でも、貫通穴の縁部である支持体の表面に対して係合凹部の段差面が十分な当接面積で傾斜することなく当接される。その結果、貫通穴からグロメットが離脱することを安定して阻止することができる。
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記フランジ部の前記環状突部側の面に開口形成された前記凹部が、前記大径筒部の前記径方向内方に行くに従って、前記大径筒部の前記軸方向内方に傾斜する傾斜面によって構成されているものである。
本態様によれば、フランジ部の凹部が、大径筒部の径方向内方に行くに従って、大径筒部の軸方向内方に傾斜する傾斜面によって構成されていることから、係合凹部に嵌め入れられた貫通穴の縁部に対するフランジ部の圧接力を、径方向内方側よりも径方向外方側で高くすることができる。それ故、貫通穴の縁部を径方向内方に位置する段差面とフランジ部の圧接力が高くなる径方向外方に位置する部位、すなわち、径方向で離隔する2点の間で板厚方向両側から挟持できる。従って、貫通穴の縁部をグロメットの係合凹部で一層安定して保持することができる。
本発明によれば、係合凹部の径方向内縁部に段差面が設けられている。これにより、係合凹部に嵌め入れられた貫通穴の縁部を挟持する際に、段差面の広い面積で面接触させて保持することができる。それ故、従来構造の如き第2テーパ部で貫通穴の縁部を係止する場合に比して、貫通穴の縁部にグロメットの係合凹部を安定して係合させることができ、係合凹部の貫通穴の縁部への嵌合力の向上を図ることができる。しかも、段差面に連接して大径筒部の軸方向内方に延びる縦壁部が設けられていることから、貫通穴の縁部を係合凹部の径方向内方まで確実に嵌め入れて保持することができ、貫通穴の縁部の段差面に対する接触面積を確実に確保して、嵌合力を安定して発揮させることができる。それ故、貫通穴からグロメットが離脱することを安定して阻止することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1〜4には、本発明の一実施形態としてのグロメット10が示されている。図1に示されているように、グロメット10は、ワイヤハーネス12に外装された状態で、支持体である車体パネル14に形成された貫通穴16に嵌合装着されて使用される。グロメット10は全体として筒形状とされており、外周面に径方向外方に向かって開口する環状の係合凹部18を有している。加えて、グロメット10は、係合凹部18が貫通穴16の周縁部に嵌合されることで貫通穴16を覆蓋する大径筒部20と、大径筒部20に連接されて大径筒部20よりも小さな径で形成され、ワイヤハーネス12の外周面に密接して固定される小径筒部22と、を備えて構成されており、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、SI(シリコンゴム)等のゴム材料によって一体的に形成されている。なお、理解を容易とするため、ワイヤハーネス12は仮想線で記載されている。また、以下の説明において、前方とは、図1中の左方、後方とは、図1中の右方、また上方とは、図1中の上方、下方とは、図1中の下方を言うものとする。
大径筒部20は、上下方向に開口する平面視で略楕円状の筒形状とされており、軸方向中間部分には外周面に開口する係合凹部18が全周に亘って設けられている。大径筒部20の係合凹部18よりも先端側(図1、2、4中、上側)には、貫通穴16に対して挿入される略台形断面形状で環状に延びる環状突部24が設けられている一方、大径筒部20の係合凹部18よりも基端側(図1、2、4中、下側)には、略矩形断面形状で全周に亘って径方向外方に突出するフランジ部26が設けられている。
環状突部24の外周面には、先端側から基端側に向かって次第に大径化する第1テーパ部28と、第1テーパ部28の大径側端部すなわち基端側(図1、2、4中、下側)に連接してさらに基端側に向かって次第に小径化する第2テーパ部30が形成されている。
一方、フランジ部26の環状突部24側(図1、4中、上側)の面には上方に向かって開口する略矩形断面形状で環状に延びる凹部32が形成されており、凹部32は大径筒部20の径方向内方(図4中、右側)に行くに従って、大径筒部20の軸方向内方(図4中、下側)に傾斜する傾斜面34によって構成されている。そして、かかる凹部32と環状突部24の第2テーパ部30によって大径筒部20の係合凹部18が構成されているのである。
図4に示されているように、係合凹部18の内縁部には、第2テーパ部30の小径側(図4中、下側)端部から大径筒部20の径方向内方(図4中、右側)に延びる段差面36と、段差面36の径方向内方の端部から大径筒部20の軸方向内方(図4中、下側)に延びる縦壁部38が設けられている。
一方、小径筒部22は、上方及び後方斜め下方に開口する略円筒形状とされており、基端側にはテープ止めリブ40が全周に亘って設けられている。かかるテープ止めリブ40により、小径筒部22に挿通されたワイヤハーネス12の外周面と小径筒部22の外周面が図示しないテープ巻きにより強固に固定されるようになっている。
このようなグロメット10が、ワイヤハーネス12が挿通された状態で、図1に示すように車両に組み付けられる。より詳細には、グロメット10(図4参照)にワイヤハーネス12を挿通後、図1に示されているように、車体パネル14の貫通穴16に対して下方からグロメット10の大径筒部20の先端側に設けられた環状突部24を挿入する。環状突部24の先端部には、先端側から基端側に向かって次第に大径化する第1テーパ部28が設けられていることから、環状突部24の先端部がフランジ部26の凹部32側に弾性変形されることにより、環状突部24の先端部を車体パネル14の貫通穴16に容易に挿入することができる。さらに環状突部24を奥方(図1中、上方)に向かって押し込むことにより、貫通穴15の縁部に圧接されて弾性変形された第1テーパ部28の大径側端部が貫通穴16を乗り越えて弾性復帰する。これにより、貫通穴16の縁部が係合凹部18に嵌め入れられて、貫通穴16が大径筒部20により覆蓋されるようになっているのである。
かかる嵌合状態では、図1に示されているように、貫通穴16の縁部が係合凹部18に嵌合することによってフランジ部26の凹部32の外周壁42が下方に押されて、傾斜面34が大径筒部20の径方向外方に行くに従って大径筒部20の軸方向内方(図1中、下側)に傾斜するように弾性変形される。その結果、係合凹部18に嵌め入れられた貫通穴16の縁部に対するフランジ部26の圧接力を、径方向内方側よりも径方向外方側で高くすることができる。これにより、貫通穴16の縁部を、径方向内方に位置する段差面36と、フランジ部26の圧接力が高くなる径方向外方に位置する凹部32の外周壁42の、径方向で離隔する2点の間で板厚方向両側から挟持することができる。従って、貫通穴16の縁部をグロメット10の係合凹部18で一層安定して保持することができるのである。
また、係合凹部18に嵌め入れられた貫通穴16の縁部を挟持する際に、段差面36の広い面積で貫通穴16の縁部を面接触させて保持することができる。それ故、従来構造の如き第2テーパ部で貫通穴の縁部を係止する場合に比して、貫通穴16の縁部にグロメット10の係合凹部18を安定して係合させることができ、係合凹部18の貫通穴16の縁部への嵌合力の向上を図ることができる。
しかも、段差面36に連接して大径筒部20の軸方向内方に延びる縦壁部38が設けられていることから、貫通穴16の縁部を係合凹部18の径方向内方まで確実に嵌め入れて保持することができる。それ故、ワイヤハーネス12に小径筒部22側から引張力が加わった場合でも、貫通穴16の縁部が係合凹部18の段差面36に対して十分な当接面積で傾斜することなく当接されるので、貫通穴16からグロメット10が離脱することを安定して阻止することができる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの具体的な記載によって限定されない。例えば、本実施形態では、グロメット10が嵌合装着される支持体として車体パネル14を例示したが、支持体としてドアやトランクリッド等の可動パネルも勿論採用可能である。また、本実施形態では、小径筒部22がワイヤハーネス12の外周面に密接して固定される態様を示したが、小径筒部22とワイヤハーネス12の間に隙間が形成されており、結束テープやコルゲートチューブ等の他部材を介して小径筒部22がワイヤハーネス12に固定されていてもよい。
10:グロメット、12:ワイヤハーネス、14:車体パネル(支持体)、16:貫通穴、18:係合凹部、20:大径筒部、22:小径筒部、24:環状突部、26:フランジ部、28:第1テーパ部、30:第2テーパ部、32:凹部、34:傾斜面、36:段差面、38:縦壁部
Claims (2)
- ワイヤハーネスに外装された状態で、支持体に形成された貫通穴に装着されるグロメットであって、
外周面に開口する係合凹部を有し、該係合凹部が前記貫通穴に嵌合されて前記貫通穴を覆蓋する大径筒部と、
前記大径筒部に連接されて該大径筒部よりも小さな径で形成された小径筒部と、を備え、
前記大径筒部は、該大径筒部の先端側に設けられて前記貫通穴に挿入される環状突部と、前記大径筒部の基端側に設けられて前記大径筒部の径方向外方に突出するフランジ部を有し、
前記環状突部の外周面が前記先端側から前記基端側に向かって次第に大径化する第1テーパ部と、該第1テーパ部の大径側端部に連接してさらに前記基端側に向かって次第に小径化する第2テーパ部を有し、
前記フランジ部には、前記環状突部側の面に開口する凹部が形成されており、該凹部と前記第2テーパ部により前記大径筒部の前記係合凹部が構成されており、
前記係合凹部の内縁部において、前記第2テーパ部の小径側端部から前記大径筒部の径方向内方に延びる段差面と、該段差面の前記径方向内方の端部から前記大径筒部の軸方向内方に延びる縦壁部が設けられている
ことを特徴とするグロメット。 - 前記フランジ部の前記環状突部側の面に開口形成された前記凹部が、前記大径筒部の前記径方向内方に行くに従って、前記大径筒部の前記軸方向内方に傾斜する傾斜面によって構成されている請求項1に記載のグロメット。
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- 2014-06-04 JP JP2014115708A patent/JP2015231271A/ja not_active Abandoned
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