JP2015230421A - 画像加熱装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Koichi Kakuhari
光一 覚張
中山 敏則
Toshinori Nakayama
敏則 中山
太一 竹村
Taichi Takemura
太一 竹村
理久 矢後
Toshihisa Yago
理久 矢後
有元 孝太
Kouta Arimoto
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良 鈴木
Ryo Suzuki
良 鈴木
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Abstract

【課題】非通紙部昇温・定着フィルムの温度ムラによって引き起こる生産性の低下や光沢ムラ、ホットオフセットなどの発生させることのないフィルム式の加熱定着装置及びこの加熱定着装置を備えた画像形成装置を提供する。【解決手段】抵抗発熱体620の両端に、記録材の搬送方向に電圧を印加するために配置された良導電性の電極640を有し、電極640は記録材搬送方向の上流および下流の両側に複数存在し、抵抗発熱体620中央付近に記録材の搬送上・下流に存在する中央電極対と、該発熱体両端付近に記録材の搬送上・下流に存在する両端電極対の2組以上の電極対を有し、中央電極対に電圧を印加することによって発熱する通電状態1と、両端電極対に電圧を印加することによって発熱する通電状態2と、の少なくとも2種類の通電状態を有する。【選択図】図4

Description

本発明は、シート上のトナー像を加熱する画像加熱装置に関する。この画像加熱装置としては、シート上の未定着トナー像を定着する定着装置や、シートに定着されたトナー像を加熱することにより画像の光沢度を向上させる光沢向上装置を挙げることができる。また、この画像加熱装置は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、もしくはこれらの機能を複数備えた複合機などの画像形成装置に用いられる。
従来、画像形成装置の加熱装置として、熱ローラ方式が多く用いられていた。また近年、クイックスタートや省エネルギーの観点からフィルム加熱方式の加熱装置が実用化されている。
フィルム加熱方式の定着装置として、セラミックス製の基板上に抵抗発熱体を有するヒータと、ヒータに接触しつつ移動する可撓性部材と、可撓性部材を介してヒータとニップ部を形成する加圧ローラと、を有するものがある。未定着トナー画像を担持する記録材は定着装置のニップ部で挟持搬送されつつ加熱され、これにより記録材上の画像は記録材に加熱定着される。この定着装置は、ヒータへの通電を開始し定着可能温度まで昇温するのに要する時間が短いというメリットを有する。従って、この定着装置を搭載するプリンタは、プリンタ指令の入力後、一枚目の画像を出力するまでの時間を短くできる。またこのタイプの定着装置は、プリント指令を待つ待機中の消費電力が少ないというメリットもある。
しかし、フィルム加熱方式の定着装置においては、熱ローラ方式の定着装置に比べ、加熱部材となるフィルムの熱容量が小さいので、最大通紙幅の記録材(以下、最大サイズ紙と記す)よりも幅の小さい記録材(以下、小サイズ紙と記す)の連続通紙時の非通紙部昇温という課題がある。上記フィルム加熱式の定着装置を搭載するプリンタで小サイズ紙を最大サイズ紙と同じプリント間隔で連続プリントすると、ヒータの記録材が通過しない領域(非通紙領域)が過度に昇温する現象が起きる(いわゆる非通紙部昇温)。ヒータの非通紙領域が過昇温すると、ヒータを保持するホルダや加圧ローラが熱により損傷する場合がある。
この様な定着装置の非通紙部昇温の対策として、以下に挙げる対策法が知られている。
フィルムの回転軸移動方向と直交する方向を長手とする、抵抗発熱体の長手両側部において、抵抗発熱体の給電電極が、それぞれ発熱体長手に沿って設ける方法が知られている(特許文献1参照)。
また、特許文献1のような抵抗発熱体の給電電極が、それぞれ発熱体長手に沿って設けられている定着装置において、記録材を通紙していないにも拘わらず基板の長手方向において発熱抵抗体に発熱分布ムラが発生する。その対策として、抵抗発熱体への給電電極の抵抗値を発熱体長手方向において連続的に変化する方法が知られている(特許文献2参照)。
特開平5−19652号公報 特開2009−103881号公報
抵抗発熱体の給電電極が、それぞれ発熱体長手に沿って設けられている定着装置において、長手の温度ムラが生じる原因は抵抗発熱体への給電電極の抵抗にある。基板の長手方向に沿って設けた二本の電極は導電性は高いが抵抗値はゼロではない。従って電極にも自身の抵抗による電圧降下が生じる。
例えば特許文献1記載の画像加熱装置である図1のような抵抗発熱体で、給電電極がそれぞれ発熱体長手に沿って設けられ、給電部が片側端部に電力が供給される系では、記録材を通紙していない状態であるにも拘わらず、給電コネクタと接触する給電領域に近い側(図1の発熱体のうち左側)の発熱量が大きく、給電領域から遠い側(図1の発熱体のうち右側)の発熱量が小さくなってしまう。
さらに、特許文献2のような加熱装置を搭載しても、長手の温度ムラが解消されても小サイズ紙を連続通紙した場合の通紙領域外側の昇温、すなわち、非通紙部昇温が解消されない。つまり、特許文献2に記載の構成では電極への給電部位置の抵抗の比率が大きく、結局は給電位置近傍に電流が流れ易くなり、連続通紙中は温度差が顕著となり温度ムラが生じる。
そこで、本発明の目的は、基板の長手方向において抵抗発熱体の発熱分布ムラを低減し、非通紙部昇温が抑制できるようにした加熱体、及びその加熱体を有する加熱装置を提供することにある。
本発明は、抵抗発熱体に電圧を印加することによって発熱する加熱体と、加熱体に密着して移動する耐熱性フィルムと、該耐熱性フィルムの加熱体側とは反対側に対向し、被加熱材を加圧しつつ被加熱材を加熱及び搬送する加圧部材と、を有する加熱装置であって、該抵抗発熱体の両端に、記録材の搬送方向に電圧を印加するために配置された良導電性の電極を有する加熱装置において、電極は記録材搬送方向の上流および下流の両側に複数存在し、すくなくとも該抵抗発熱体中央付近に記録材の搬送上・下流に存在する中央電極対と、該発熱体両端付近に記録材の搬送上・下流に存在する両端電極対の2組以上の電極対を有し、該中央電極対に電圧を印加することによって発熱する通電状態1と、該両端電極対に電圧を印加することによって発熱する通電状態2と、の少なくとも2種類の通電状態を有することを特徴とする加熱装置を有する画像形成装置である。
また、抵抗発熱体に電圧を印加することによって発熱する加熱体と、加熱体に密着して移動する耐熱性フィルムと、該耐熱性フィルムの加熱体側とは反対側に対向し、被加熱材を加圧しつつ被加熱材を加熱及び搬送する加圧部材と、を有する加熱装置であって、該抵抗発熱体の両端に、記録材の搬送方向に電圧を印加するために配置された良導電性の電極を有する加熱装置において、電極は記録材搬送方向の上流および下流の両側に少なくとも1対存在し、該電極対は記録材の搬送方向に直行する位置の座標が異なり、且つ、該電極対は記録材の搬送方向の幅より内側に配置されていることを特徴とする加熱装置を有する画像形成装置である。
また、抵抗発熱体に電圧を印加することによって発熱する加熱体と、加熱体に密着して移動する耐熱性フィルムと、該耐熱性フィルムの加熱体側とは反対側に対向し、被加熱材を加圧しつつ被加熱材を加熱及び搬送する加圧部材と、を有する加熱装置であって、該抵抗発熱体の両端に、記録材の搬送方向に電圧を印加するために配置された良導電性の電極を有する加熱装置において、電極は記録材搬送方向の上流および下流の両側に複数存在し、すくなくとも記録材の搬送方向の中央付近に存在する2組以上の複数中央電極対を有し、複数中央電極対は記録材の搬送方向の幅より内側に配置されていることを特徴とする加熱装置を有する画像形成装置である。
また、抵抗発熱体に電圧を印加することによって発熱する加熱体と、加熱体に密着して移動する耐熱性フィルムと、該耐熱性フィルムの加熱体側とは反対側に対向し、被加熱材を加圧しつつ被加熱材を加熱及び搬送する加圧部材と、を有する加熱装置であって、該抵抗発熱体の両端に、記録材の搬送方向に電圧を印加するために配置された良導電性の電極を有する加熱装置において、電極は記録材搬送方向の上流および下流の両側に複数存在し、すくなくとも記録材の搬送方向の中央付近に存在する2組以上の複数中央電極対を有し、複数の電極対に分かれる分岐点ら抵抗発熱体に引火されるまでの導体部の抵抗が、各複数電極対において同じとなることを特徴とする加熱装置を有する画像形成装置である。
本発明によれば、抵抗発熱体長手方向において発熱分布ムラの低減、非通紙部昇温を低減した加熱体、及び加熱体を有する加熱装置の提供を実現できる。
従来の短手方向通電ヒータに関する図 画像形成装置の一例の構成模型図 定着装置の一例の構成模型図 実施例1のヒータについて説明する為の上面図 実施例1のブロック図 実施例1のヒータのサーミスタ配置図 温度制御方式を説明する図 実施例1のヒータの中央給電について説明する為の上面図と温度分布 実施例1のヒータの端部給電について説明する為の上面図と温度分布 実施例1の目標温度を補正する制御のフローチャート(i) 実施例1の目標温度を補正する制御のフローチャート(ii) 本実施例と比較する為の従来の短手方向通電ヒータに関する図 比較例1の各ヒータにおける温度分布 比較例2の各ヒータにおける温度分布 実施例1のヒータの中央給電についてムラが生じた時の温度分布 実施例2のヒータについて説明する為の上面図 実施例2のヒータについて本体での効果を説明する為の図 実施例2と実施例1を組み合わせたヒータについての図 実施例3を説明する為の上面図 実施例3と実施例1を組み合わせたヒータについての図 実施例3の他の例 パターンの抵抗を変化させたときの課題 パターンの抵抗を変化させたときの課題を説明する為の回路図 実施例4のヒータについて説明する為の上面図
以下、本発明に係る画像加熱装置について図面に則して詳細に説明する。
以下の説明において、定着装置又はその定着装置を構成している部材に関し、長手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と直交する方向をいう。短手方向とは記録材の面において記録材搬送方向と平行な方向をいう。厚み方向とは長手方向及び短手方向と直交する方向をいう。また、長さとは長手方向の寸法をいう。幅とは短手方向の寸法をいう。厚さとは厚み方向の寸法をいう。
また、本実施例に示す画像形成装置は、使用可能な最大サイズの記録材はA3サイズ(297mm×420mm)であり、A3サイズの記録材の長辺(420mm)を搬送方向と平行にして搬送できる。また、記録材の搬送基準は後述する定着装置20内の抵抗発熱体620の長手方向中央になっている。本実施例ではA3サイズを最大サイズの記録材としたが、A3以外の記録材を最大サイズ紙とした場合でも適応可能である。
[実施例1]
まず、画像形成装置の画像形成部の説明を行う。
(1)画像形成部
図2は本発明に従う画像加熱装置を定着装置として搭載した画像形成装置の一例である電子写真フルカラープリンタの概略構成を示す縦断面模式図である。まず、画像形成部の概略を説明する。
このプリンタは、制御回路部(制御基板:CPU)(不図示)と通信可能に接続した外部ホスト装置(不図示)からの入力画像情報に応じて作像動作して、記録材上にフルカラー画像を形成して出力することができる。
外部ホスト装置は、コンピュータ、イメージリーダー等である。制御回路部は、外部ホスト装置と信号の授受をする。また各種作像機器と信号の授受をし、作像シーケンス制御を司る。
8は無端状でフレキシブルな中間転写ベルト(以下、ベルトと略記する)であり、二次転写対向ローラ9とテンションローラ10との間に張架されていて、ローラ9が駆動されることにより矢印の反時計方向に所定の速度で回転駆動される。11は二次転写ローラであり、上記の二次転写対向ローラ9に対してベルト8を介して圧接させてある。ベルト8と二次転写ローラ11との当接部が二次転写部である。
1Y・1M・1C・1Bkは第1〜第4の4つの画像形成部であり、ベルト8の下側においてベルト移動方向に沿って所定の間隔をおいて一列に配置されている。各画像形成部はレーザ露光方式の電子写真プロセス機構であり、それぞれ、矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動される像担持体としてのドラム型の電子写真感光体(以下、ドラムと略記する)2を有する。各ドラム2の周囲には、一次帯電器3、現像装置4、転写手段としての転写ローラ5、ドラムクリーナ装置6が配置されている。各転写ローラ5はベルト8の内側に配置してあり、ベルト8の下行き側ベルト部分を介して対応するドラム2に対して圧接させてある。
各ドラム2とベルト8との当接部が一次転写部である。7は各画像形成部のドラム2に対するレーザ露光装置であり、与えられる画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応した発光を行うレーザ発光手段、ポリゴンミラー、反射ミラー等で構成されている。
制御回路部は外部ホスト装置から入力されたカラー色分解画像信号に基づいて、各画像形成部を作像動作させる。これにより、第1〜第4の画像形成部1Y・1M・1C・1Bkにおいて、それぞれ回転するドラム2の面に対して所定の制御タイミングで、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの色トナー像が形成される。なお、ドラム2にトナー像を形成する電子写真作像原理・プロセスは公知に属するからその説明は省略する。
画像形成部のドラム2の面に形成される上記のトナー像はそれぞれ一次転写部にて、各ドラム2の回転方向と順方向に、かつ各ドラム2の回転速度に対応した速度で回転駆動されているベルト8の外面に対して順次に重畳転写される。これにより、ベルト8の面に上記の4つのトナー像の重ね合わせによる未定着のフルカラートナー像が合成形成される。
一方、所定の給紙タイミングにて、それぞれ大小各種幅サイズの記録材Pを積載収容させた上下多段のカセット給紙部13A・13B・13Cのうちの選択された段位の給紙カセットの給紙ローラ14が駆動される。これにより、その段位の給紙カセットに積載収納されている記録材Pが1枚分離給紙されて縦搬送パス15を通ってレジストローラ16に搬送される。手差し給紙が選択されているときには、給紙ローラ18が駆動される。これにより、手差しトレイ(マルチ・パーパス・トレイ)17上に積載セットされている記録材が1枚分離給紙されて縦搬送パス15を通ってレジストローラ16に搬送される。
レジストローラ16は、回転するベルト8上の上記のフルカラートナー像の先端が二次転写部に到達するタイミングに合わせて記録材Pの先端部が二次転写部に到達するように記録材Pをタイミング搬送する。これにより、二次転写部において、ベルト8上のフルカラーのトナー像が一括して記録材Pの面に順次に二次転写されていく。
二次転写部を出た記録材は、ベルト8の面から分離され、縦ガイド19に案内されて、定着装置(定着器)20に導入される。この定着装置20により、上記の複数色のトナー像が溶融混色されて記録材表面に永久固着像として定着される。定着装置20を出た記録材はフルカラー画像形成物として搬送パス21を通って排紙ローラ22により排紙トレイ23上に送り出される。
二次転写部にて記録材分離後のベルト8の面はベルトクリーニング装置12により二次転写残トナー等の残留付着物の除去を受けて清掃され、繰り返して作像に供される。
モノ黒プリントモードの場合には、ブラックトナー像を形成する第4の画像形成部Bkのみが作像動作制御される。両面プリントモードが選択されている場合には、第1面プリント済みの記録材が排紙ローラ22により排紙トレイ23上に送り出されていき、後端部が排紙ローラ22を通過する直前時点で排紙ローラ22の回転が逆転に変換される。これにより、記録材はスイッチバックされて再搬送パス24に導入される。そして、表裏反転状態になって再びレジストローラ16に搬送される。以後は、第1面プリント時と同様に、二次転写部、定着装置20に搬送されて、両面プリント画像形成物として排紙トレイ23上に送り出される。
(2)定着装置
図3は、定着装置20の概略構成模型図である。ヒータユニット60は、加熱体としてのヒータ600と、該ヒータ600を支持する支持体としての横断面半円弧桶形のヒータホルダ660(ヒータステー)と、ヒータユニット60が、加圧ローラ70により加圧された際に変形しないために設けられた逆U字形の補給板金670と、円筒形状の耐熱性フィルムからなる定着ベルト650とを備えている。
上記ヒータ600は、記録材20の搬送方向に直交する方向を長手とする絶縁性、耐熱性、低熱容量の基板610と、抵抗発熱体620、温度検知素子としてのサーミスタ630とを備えており、上記ヒータホルダ660に、上記抵抗発熱体620を露呈させ、かつ断熱、固定的に支持されている。
ヒータ600はヒータホルダ660に固定して支持される。更に、定着ベルト650との接触面(加熱面)側には摺動層として厚さ10μm程度のポリイミド層が設けられている。このポリイミド層により、定着ベルト650と定着ヒータ600との摺擦抵抗を低減することで、駆動トルクの低減および定着ベルト650内面の磨耗を防止している。
定着ベルト650は、ステンレスを厚み30μmの円筒状に形成した円筒状の基材上に、厚み約300μmのシリコーンゴム層(弾性層)をリングコート法により形成されている。さらに、その上に、厚み20μmのPFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)樹脂チューブが最表面層に被覆された構造となっている。そして、定着ベルト650はヒータホルダ660にルーズに外嵌されている。
ヒータホルダ660は、耐熱性の高い液晶ポリマー樹脂で形成されており、ヒータ600を保持するとともに定着ベルト650をガイドする役割を果たしている。本例では、液晶ポリマーとして、デュポン社のゼナイト7755(商品名)を使用した。
ヒータホルダ660の両端部は不図示の加圧機構によりその一端側が156.8N(16kgf)、総圧313.6N(32kgf)の力で加圧ローラ70の軸線方向に付勢されている。その結果、ヒータ600の下面(加熱面)を、定着ベルト650を介して加圧ローラ70の弾性層に抗して所定の押圧力をもって圧接させ、定着に必要な所定幅の定着ニップ部Nが形成されている。
また、以上のようなヒータユニット60の下方には、加圧部材としての加圧ローラ70が平行に配設されており、該加圧ローラ70は、芯金71と、厚み約3mmのシリコーンゴムからなる弾性層72と、厚み約40μmのPFA樹脂チューブからなる表層73とで構成される。この加圧ローラ70は、記録材の搬送方向に、駆動系(図示せず)により回転駆動(反時計回り)される。これにより、円筒形定着ベルト650がヒータ600の発熱体表面に密着摺動して、ヒータホルダ660の周囲を回動する。
加圧ローラ70は矢印の方向に所定の周速度で回転駆動される。これと圧接された関係にある定着ベルト650は加圧ローラ70によって従動し所定の速度で回転する。このとき、定着ベルト650の内面がヒータ600の下面に密着して摺動しながらヒータホルダ660の外回りを矢印の方向に従動回転状態になる。定着ベルト650内面にはグリスが塗布され、ヒータホルダ660と定着ベルト650内面との摺動性を確保している。
加圧ローラ70が回転駆動され、それに伴って円筒状の定着ベルト650が従動回転状態になると、ヒータ600に通電が行われる。そして、ヒータ600の温度が設定温度に立ち上がり温調された状態のとき、定着ニップ部Nに未定着トナー像を担持したシートPが入り口ガイドに沿って案内されて導入される。
定着ニップ部Nにおいて、シートのトナー像担持面側が定着ベルト650の外面に密着し、シートが定着ベルト650と共に移動する。シートが定着ニップでの挟持搬送過程において、ヒータ600からの熱が定着ベルト650を介してシートPに付与され、未定着トナー像がシートP上に溶融定着される。定着ニップ部Nを通過したシートPは定着ベルト650から分離され排出される。
630は、それぞれ温度検知手段としてのサーミスタである。サーミスタ630(ヒータ温度センサ、温度検知素子)は、熱源であるヒータ600の裏面(加熱面とは反対側の面)に設置され、ヒータ600の温度を検知する機能を担っている。サーミスタ630は、A/Dコンバータを介して制御手段としての制御回路部(CPU)100に接続されている。この制御回路部100はそれぞれのサーミスタからの出力を所定の周期でサンプリングしており、このように得られた温度情報を温度制御に反映させる構成となっている。
つまり、制御回路部100は、サーミスタ630の出力をもとに、ヒータ600の温調制御内容を決定し、電力供給部であるヒータ駆動回路部51によってヒータ600への通電を制御する。
(3)実施例1の加熱ヒータ
図4は、本発明に従う加熱ヒータ600の一例を表す図であり、ヒータ600を基板610表面側から見た図である。図4においてヒータ600は、厚さ1.0mmの耐熱・電気絶縁材料で、高い熱伝導を有するアルミナ(Al2O3)などの平板短冊状の高剛性絶縁基板610と、この上に、基板610の長手方向に沿って平行に比較的抵抗値の高い酸化ルテニウム(RuO2)などの導電ペーストをスクリーン印刷法によって均一に10μm程度の厚さの膜状に塗布され、体積抵抗としては1000Ω/□となる発熱抵抗体620を焼成することにより絶縁基板上610に固着させた。また、発熱抵抗体620はチタン酸バリウムなどの正の抵抗温度特性(PTC特性)をもつ自己温調制御型の焼成成形体などでも良い。
基板610は、長手方向の長さは約330mmとし、短手方向の幅は約10mmの大きさのものを使用した。また、抵抗発熱体620の長手方向の長さは約300mmであり、短手方向の幅は約4.0mmとし、中心位置が記録材Pの搬送中心となるよう基板610上に配設した。
次に、抵抗発熱体620に接続された配線パターン640a・640b、接続パターン640c・640d・640e・640fについて説明する。それぞれのパターンには例えばAgやAg/Pt等の電気導電材料にガラス粉末を混ぜたペーストを基板上にスクリーン印刷をしたものであり、電気導電材料へのガラス粉末の配合を変えることで体積抵抗の調整は可能である。本実施例のパターンでは厚みは10μmとし、体積抵抗としては10mΩ/□になるよう調整を行った。上記電気導電材料を抵抗発熱体620の長手方向に沿って配線パターン640a・640bを配設した。
配線パターン640aの記録材Pの搬送中心位置である長手中心部に接続パターン640cの一端を一体的に接続し、接続パターン640cの他端を電極640gに一体的に接続した。また、配線パターン640a長手方向端部に配線パターン640dの一端を一体的に接続し、他端を電極640hに一体的に接続した。
一方、配線パターン640bの記録材Pの搬送中心位置である長手中心部に接続パターン640eの一端を一体的に接続し、接続パターン640eの他端を電極640iに一体的に接続した。また、配線パターン640b長手方向端部、且つ、配線パターン640aと接続パターン640dを接続した位置に対し、抵抗発熱体620の中心と点対象の位置に、配線パターン640fの一端を配線パターン640bと一体的に接続し、他端を電極640jに一体的に接続した。
配線パターン640a・bは抵抗発熱体620の長手方向に沿って約1.0mm幅で全域を囲うように配設されている。また、接続パターン640c・d・e・fは長手方向長さ約3.0mm幅で配線パターン640a・bと一体的に接続され、長手方向に平行に約1.0mmの幅で電極640g・h・i・jに一体的に接続されている。また、それぞれの配線・接続パターン間の短手方向間隔は1.0mm以上の間隔になるように這い回しされている。
なお、図示しないが、配線パターン640aと発熱抵抗体620及び配線パターン640bと発熱抵抗体620は、長手方向にそれぞれ一部が重層形成される。この場合の重層部分は、発熱抵抗体620を配線パターン640a・640bに対して上側に配置する関係にしてある。この関係は逆でも構わない。
本実施例のヒータ600は、基板610上の発熱抵抗体620や配線パターン・接続パターンには、耐圧ガラスによるガラスコート(不図示)が施されたセラミックヒータとされている。ガラスコートの厚みは20μm〜100μm程度で熱伝導率が例えば2W/m・K以上のアルミナなどの熱伝導に優れた無機酸化物フィラーを25〜35wt%加えることで、摺動性を向上させたガラスなどのオーバーコート層である。このガラスコートにより、抵抗発熱体及び配線パターン、接続パターンを機械的、化学的、電気的に保護することができる。
続いて、電極640g・h・i・jは、厚さ10μm、長手長さ2.0mm、短手幅2.0mmでそれぞれ形成され、制御回路CPU100へは給電用コネクタにより接続できるようになっている。そこで、CPUでは以下で説明するように用紙サイズやサーミスタ温度により電極間の電源をスイッチで選択的に切り換えて電力を供給するようにできる。本実施例では制御回路部100により電極640gと電極640i間で電力を供給する機構(以下、中央給電)と、電極640hと電極640j間で電力を供給する機構(以下、端部給電)を切り換えるスイッチを内蔵している。
(4)加熱定着動作
図5に本実施例におけるブロック図を示す。定着装置及び画像形成部はCPUとメモリーからなる制御回路部によって動作を制御されている。ユーザーは不図示の汎用的なインターフェースを用いてプリントデータを画像形成装置に転送し、出力命令を行う。画像出力命令があると、制御部は画像形成部に画像形成命令と画像データを転送し、定着部に加熱定着動作の命令を送る。
加熱定着動作として、制御回路部100は、通電制御手段としてのトライアック51をオンする。これにより交流電源30からヒータ600の電極640g・640i間、若しくは、電極640h・640j間を通じて発熱抵抗体620に通電される。これにより発熱抵抗体620が発熱し、基板610が加熱され、ヒータ600全体が急速昇温する。その昇温に応じて加熱されるヒータ600の温度をサーミスタ630が検知する。制御回路部100は、サーミスタ630の出力(検知温度)をA/D変換して取り込む。
そしてサーミスタ630からの出力に基づいて、トライアック51によりヒータ600に通電する電力を位相制御或いは波数制御等により制御して、ヒータ600の温度制御を行う。即ち、制御回路部100は、記録材P上のトナー像を加熱定着する工程中、サーミスタ630の検知温度が設定温度(目標温度)を維持するようにヒータ600への通電を制御する。つまり、サーミスタ630の検知温度が所定の設定温度より低い場合にはヒータ600が昇温するように、高い場合にはヒータ600が降温するように通電を制御することによって、ヒータ600を設定温度に温調している。
加熱定着工程中の設定温度は、加圧ローラ70の温まり具合(連続プリント時のプリント枚数をカウントしたり、連続プリント時の時間をカウントしたりして推測できる)や記録材Pの種類(普通紙、厚紙、樹脂シート等)等に応じて制御回路部100により設定される。従って、本実施例のプリンタは、記録材Pの種類に応じた複数の設定温度を有するものである。
而して、上記の加圧ローラ70及び定着ベルト650の回転とヒータ600への通電を行わせた状態において、未定着トナー像を担持した記録材Pがニップ部Nにトナー像担持面を上向きにして導入される。その記録材Pは定着ベルト650と一緒にニップ部Nで挟持搬送され、該ニップ部Nにおいて定着ベルト650内面に接しているヒータ600の熱エネルギーが定着ベルト650を介して記録材Pに付与され、ニップ部Nにおける加圧力によってトナー像の熱圧定着がなされる。
本実施例では、サーミスタ630を図6に示すような位置に配置し、中央部・端部の温度を検知し、ヒータ600への通電制御を行った。図6のように抵抗発熱体620の中央部の温度を検知する為に、抵抗発熱体620長手中央部の位置に抵抗発熱体620に接するようにメインサーミスタ630aを配設し、抵抗発熱体620の長手端部の温度を検知する為に、抵抗発熱体620長手端部の位置に抵抗発熱体620に接するようにサブサーミスタ630bを配設した。それぞれのサーミスタは制御回路部100と接続され、温度を検知し、所望の設定温度になるよう温調制御を行っている。
(5)定着装置の温調制御
次に制御回路100による定着装置の温調制御(加熱ヒータへの通電制御)について説明する。
本実施例では、抵抗発熱体620の裏面に設置されたサーミスタ630の温度検出結果を基に定着ベルト650の温度制御を行っている。つまり、図7に示すように、サーミスタ630の検知温度とその目標温度との偏差(温度差)に比例した電力を、ヒータ600に印加する制御を行っている。ここで、この制御方式を比例制御方式と呼ぶが、制御方式としてはこのような方式に限らず、所謂PID制御方式等他の方式を採用可能である。
尚、ここで、本例で用いたトナーは、坪量が64g/mの記録材を用いる場合、定着ベルトの温度が220℃以上となると、所謂ホットオフセットが発生してしまう。また、坪量が105g/mの記録材を用いる場合、定着ベルトの温度が180℃以下となると、所謂コールドオフセットが発生し、画像品質が著しく損なわれてしまう。従って、定着ベルトの温度が上述した温度とならないように後述する温度制御を行っている。
(6)温度分布
ここで、上記説明した本実施例の構成で、中央給電(電極640g・640i間)と端部給電(電極640h・640j間)に電力を供給した場合のそれぞれの温度分布を示す。
図8は中央給電(電極640g・640i間)に電力を供給し、メインサーミスタ630aの温度検知が200℃を維持するよう設定した場合の長手の温度分布をサーモグラフィーで測定した結果を示す。
また、図8下部に中央給電の抵抗発熱体620に流れる電流を説明する為に、模式的に描いた回路図である。このモデルはヒータ600を7分割し、それぞれ同上図と位置関係を同じくし、配線・接続パターン・抵抗発熱体の抵抗を示した図である。図の斜線部は発熱抵抗体である。ここで、図8のエリアDにおける抵抗発熱体の抵抗値をR1、エリアGにおける抵抗発熱体をR2とする。抵抗値R1とR2は略等しいと考える。さらに配線パターンの抵抗値をrとした。
中央給電の場合、図8の温度分布結果に示すように、抵抗発熱体620へ流れる電流は接続パターン640c・eの配線パターン640a・bとの接続位置近傍に電流が流れ易く(図8破線枠部)、中央近傍部が両端部に比べ、発熱量が大きくなり、中央部の温度分布が高くなっていることが分かる。
回路図で説明すると、分岐点aから分岐点bに向かって抵抗R1に流れる電流I1は、配線パターンの抵抗rを通過せず、抵抗R1に電流が流れる。抵抗R2には配線パターンの抵抗rを3回通過した後、抵抗R2に電流I2が流れる。よって、抵抗R2は配線パターンrの電圧降下により、抵抗R1に流れる電流よりも低い電流量(I1>I2)となり、結果として抵抗発熱体の発熱量(I12×R1>I22×R2)が減少する結果となることが分かる。
従って、中央給電では中央部近傍の温度を高くしたい、或いは、端部の温度を下げたい場合に適しており、小サイズ紙の連続通紙に起きる非通紙部昇温時に効果が現れる。
同様に、図9に端部給電(電極640h・j間)に電力を供給した場合の長手の温度分布を上記方法で測定した結果を示す。
また、図9下部に中央給電の抵抗発熱体620に流れる電流を説明する為に、模式的に描いた回路図である。エリアDにおける抵抗発熱体の抵抗値をR1’、エリアGにおける抵抗発熱体をR2’とする。抵抗値R1’とR2’は略等しいと考える。さらに配線パターンの抵抗値をr’とした。
端部給電の場合、図9に示すように、抵抗発熱体620へ流れる電流は接続パターン640d・f間で電流が流れる(図9破線枠部)、つまり全域に電流が流れるが、接続位置近傍の温度が高くなり中央部と比べて長手方向の温度分布として端部が高くなっている。
回路図で説明すると、分岐点a’から分岐点b’に向かって抵抗R1’に流れる電流I1’は、配線パターンの抵抗r’を3回通過した後、抵抗R1’に電流が流れる。抵抗R2’には配線パターンの抵抗r’を通過せず、抵抗R2’に電流I2’が流れる。よって、抵抗R1’は配線パターンr’の電圧降下により、抵抗R2’に流れる電流よりも低い電流量(I1’<I2’)となり、結果として抵抗発熱体の発熱量(I1’2×R1’<I2’2×R2’)が減少する結果となることが分かる。
従って、端部給電では端部の温度を高くしたい場合に適しており、最大サイズ紙を通紙する場合の端部温度ダレ時に効果が現れる。
端部温度ダレとは、加圧ローラ70の温度が低い状態で動作を開始する時、ヒータ600より発熱された熱が定着ベルト650を介し、加圧ローラ70に一部吸収され、加圧ローラ70の長手端部へと流れてしまい、温度分布として端部が低い状態のことをいう。端部温度ダレが起きると最大サイズ紙を通紙した場合、端部の温度が低い為に定着不良(コールドオフセット・光沢ムラなど)として、出力される画像に欠陥が生じてしまう。
(7)切り換えタイミング
次に、中央給電と端部給電を制御回路100において切り換えるタイミングの例を示す。
(i)非通紙部昇温対策
図10では長手端部の温度を検知するサブサーミスタ630bによる、端部の温度が上昇した場合、すなわち非通紙部昇温が起き易い小サイズ紙の連続通紙時における温調制御のフローチャートを示す。
ここで、メインサーミスタ630aの目標温度をT1、検知した温度をT1’、サブサーミスタ630bの目標温度をT2、検知した温度をT2’、とした。
本制御例ではサブサーミスタ630bの検知温度T2’と、サブサーミスタ630bに設定されている目標温度T2の差分値に応じて中央給電(電極640g・i間)と端部給電(電極640h・j間)の電力供給を切り換える温調制御となっている。
なお、メインサーミスタ630a、及び、サブサーミスタ630bの目標温度T1・T2は記憶手段としての不揮発性メモリに格納されており、制御回路部が必要に応じてこれらのデータを読み出す構成となっている。
動作ジョブの信号を受けると、複写モードの設定が行われる。この複写モードの設定工程では、画像形成に用いられる記録材の種類やサイズの設定が行われる。今回の制御ではペーパーモードが普通紙の場合について説明する。続いて、記録材の設定が行われると、ペーパーモードに応じてメインサーミスタ用の目標温度T1および、サブサーミスタ用の目標温度T2が設定される。このように設定された目標温度に基づき、ヒータ600への通電が開始される。本制御例では、通電開始時はヒータ600全域の温度を上げる為、端部給電により温度制御を行っている。
ここで、メインサーミスタ630aの検知温度T1’が目標温度T1を越えると、画像形成動作が開始される。この場合、メインサーミスタ630aの検知温度T1’が目標温度T1に達するタイミングでシートが定着ニップに達するように各種タイミングが設定されている。
画像形成動作が開始されると、記録材が搬送される通紙領域の温度は目標のT1温度近傍を推移するが、通紙領域外の非通紙部は温度上昇が起こる。そこで、通紙中サブサーミスタ630bの温度を検知し、サブサーミスタ630bの目標温度T2に達した場合、通電を端部給電を中央給電に切り換えるように、制御回路100によりスイッチを切り換える。この切り換え動作を入力されたジョブの信号である画像形成動作が終了するまで、各サーミスタの検知により給電を切り換える。
後述するように、上記温調制御を行うことで、小サイズ通紙を行ったとき端部の温度が上がってしまった場合、中央給電に切り換えることで非通紙部昇温を低減させることが可能となる。
(ii)長手温度ムラ
本制御例は、メインサーミスタ630aとサブサーミスタ630bの検知温度の差分値に応じて中央給電(電極640g・i間)と端部給電(電極640h・j間)の電力供給を切り換える温調制御のフローチャートを図11に示す。
本例では画像形成開始までは上記説明と同じであるが、ここでは、通紙中のメインサーミスタ630a検知温度T1’とサブサーミスタ620b検知温度T2’の差分を常時読み、制御回路100より中央給電と端部給電を判断し、電力切り換えを行う。本制御例では、T1’>T2’の場合は端部給電、T1’<T2’の場合は中央給電を行う動作をする。
後述するように、上記温調制御により、異なるサイズを連続通紙する場合などは長手の温度ムラが低減され、長手の温度ムラによる画像不良を低減することができる。
また、本実施例では2つのサーミスタによる温調制御を例に挙げた。上記サーミスタ(温度検知手段)を複数配置することで、様々な異なる紙サイズを通紙した場合の長手の温度ムラを防止することが可能となる。
(比較例1)
本実施例の短手方向通電の構成で上記温調制御(ii)を用いた場合、ヒータの長手方向での抵抗発熱体の温度分布を従来の短手方向通電ヒータを例に挙げて比較実験を行った結果を以下に説明する。
図12に従来の短手方向通電の構成を並べた。今回は比較の為に、抵抗発熱体620の形状(幅・長さ・厚さ)は同じ形状のものを使用した。また、配線パターンの形状も同じとし、接続パターンの位置を変更した構成となっている。
従来例1は、接続パターンを発熱抵抗体片側端部に接続した場合の構成である。従来例2は、接続パターンを記録材Pの搬送方向中心に接続した場合の構成である。従来例3は、接続パターンは抵抗発熱体中心に対し、対称端部に接続を設けている構成である。
それぞれのヒータに対し、温度が200℃になるよう120Vで通電したときの、長手温度ムラをサーモグラフィーで測定した時の結果を示す。中心部のメインサーミスタの検知温度が200℃を維持するよう温調制御を行った。ここでは、記録材の通紙は行っていない。
上記の実験結果を図13に示す。従来例1では接続部である片側の発熱量が大きく、接続部から逆側端部に向かって温度が下がっている事がわかる。従来例2は、中央部が主に発熱し、端部はほとんど発熱していない結果となった。従来例3は、両端部の温度が高くなっている。以上、従来例と比較して、本実施例では中央部・端部共に温度ムラが小さく、長手で均一な温度を保っている。
(比較例2)
本実施例と従来例において実際に記録材を通紙した場合についての比較を行った。
今回の比較実験では、小サイズ紙(B5R送り・画像は白画像)を1000枚連続通紙した直後の温度分布をサーモグラフィーで測定した。
図14に長手の温度分布の結果を示す。また、表1に連続通紙時の画像を確認した状態を記した。非通紙部昇温の判定として、通紙中の非通紙部の温度をサーモグラフィーで測定し、240℃を超えていた場合を×としている。△は片側のみ超えた場合。画像欠陥の判定として、1000枚連続通紙した直後、最大サイズ紙(A3サイズ)にベタ画像を通紙し、記録材に載せたトナー画像を目視で判断し、定着不良(コールドオフセット・ホットオフセット・光沢ムラなど)の発生により評価を行った。
上記結果で、○は特に問題がない場合を意味する。
以上の結果をまとめると、
従来例1は、接続部側の温度上昇が顕著であり、機械故障温度近傍まで上昇してしまった。また、接続部と逆側では温度低下を起こし、コールドオフセットが発生した。
従来例2は、非通紙部の温度は低く収まっているが、最大サイズ紙を通紙した時、中央部と記録材端部の温度差が生じ、端部の画像欠陥(コールドオフセット・濃度ムラ・光沢ムラ)が生じた。
従来例3は、両端部の温度上昇が顕著に表れ、いわゆる非通紙部昇温が発生し、定着装置を故障させる結果となってしまった。また、非通紙部の温度が高い為、最大サイズ紙を通紙した場合、B5R幅内とその外側とでベタ画像に濃度・グロス差が大きくなり画像欠陥が著しく生じた。
以上、従来例と比較して、本実施例では通紙中も長手全域でほぼ均一な温度分布となり、安定した画像を出力することが可能であることを確認した。
本実施例で使用しているトナーでは、本構成の定着器では200±20℃の条件を満たすことで、良好な画像を出力できることが分かっており、本実施例による構成では用紙サイズに関わらず上記条件で長手方向全域に対し達成できた。
[実施例2]
本実施例では、基本的な画像形成部および定着器の構成は実施例1と同じで、抵抗発熱体620に接続された配線パターン・接続パターンの構成が異なっている。
実施例1では抵抗発熱体620の中央給電と端部給電の給電を切り換えることで長手の温度ムラを抑制する構成であった。しかし、実施例1では従来例に比べ均一な温度分布になるよう飛躍的な効果はあるが、長時間動作を行う場合で、主に中央給電のように、接続パターンの配線パターンへの接続位置を長手方向の座標を揃えてしまう(短手方向に直列に並ぶ)と、図15破線枠部のように接続部に電流が少なくとも他の部分と比べ多く流れてしまい、接続部近傍における温度が長手で若干の温度ムラが生じる。
これは、配線パターンと接続パターンの接続部における導体の抵抗が他と比べ低く、接続部に電流が流れ易いからである。また、この温度ムラとしては数℃(数%)程度の変化であるが、高画質が求められる昨今では、この温度ムラが画像欠陥として現れる可能性がある。
そこで、本実施例では配線パターンと接続パターンの接続箇所での温度上昇を抑制し、さらに均一な温度分布が得られる構成を説明する。
(8)実施例2の加熱ヒータ
図16に本実施例のヒータ構成と従来の中央給電とを比較する図を示す。本実施例は配線パターン640a・bに対し、接続パターン640c・dを長手方向の座標をずらした位置(接続位置640m・n)で接続されている。また、接続パターン640c・dはそれぞれ搬送中心に対し略同一距離に配置されている。さらに、接続位置640m・nは最小通紙サイズ幅内に位置するように接続されている。例えば、本体として最小通紙サイズが葉書サイズとした場合は、葉書サイズ幅内に接続位置の長手方向座標をずらしに配置する。電極対の座標がずれていれば対称でなくても良い。
(比較例)
図16に本実施例と、従来の中央給電において、中央メインサーミスタ検知温度が200℃を維持するように長時間(今回は1時間)、温度制御した直後の温度分布をサーモグラフィーで測定した結果を示す。
結果のように、従来の中央給電のような接続位置の座標が揃っている構成では、接続位置に流れる電流量が多い為、温度が上昇し、中央部近傍で温度ムラが生じる結果となった。しかし、本実施例のように、接続位置の座標をずらすことで抵抗発熱体620に流れる電流が1対の電極間に集中することがなく、長手方向に電流が分散して流れるので温度ムラが軽減されていることが分かる。
図17に実際に本実施例のヒータと従来の中央給電のヒータ、そして、接続位置m・nを最小通紙幅外に設定したヒータの3種類のヒータで本体動作確認を行った結果を示す。本体動作確認としては本実施形態の画像形成装置で、通紙可能最小サイズ紙である葉書を1000枚通紙した後の温度分布をサーモグラフィーで測定した結果を示す。
図の結果より、実際の画像形成動作中は最小通紙幅内に接続位置を配置することで、少なくとも接続位置は記録材が通過するので、記録材に温度が吸収・均一化されることで記録材幅内の温度ムラはより軽減される。しかし、最小通紙幅外に接続位置を配置すると、最小サイズ紙を通紙した場合、記録材と触れず温度上昇が起きてしまうので接続位置の温度ムラが生じ、最大サイズ紙などを直後に通紙すると光沢ムラなどが起きてしまう。
また、接続位置を搬送中心に対し対称配置することで、対称的な温度分布となり、効率的にヒータ600を加熱することが可能となる。
以上の結果より、配線パターンと接続パターンの接続位置m・nを長手方向の座標をずらし、且つ、最小通紙幅内に配置することで、接続位置による温度ムラを低減することができる。
さらに、図18に示すような実施例1のよう中央給電を実施例2の給電方法に変えることでさらなる温度ムラの低減が可能となる。図18は実施例1の接続位置640m・nの長手方向の座標をずらした構成であり、他の構成は同じである。実施例1記載の温調制御を用いることで、更に接続位置近傍の温度ムラが低減され、長手全域に渡り均一な温度分布を維持することができる。よって、実施例2では最小サイズ紙を葉書のような比較的小さい紙を設定できる場合、A3サイズなど幅の広い紙を通紙する場合、端部の温度が低下しがちであるが、実施例1の中央給電と端部給電を組み合わせることで、更なる温度ムラの軽減が実現可能である。
また、本実施例で使用しているトナーでは、本構成の定着器では200±20℃の条件を満たすことで、良好な画像を出力できることが分かっており、本実施例による構成では用紙サイズに関わらず上記条件で長手方向全域に対し達成できた。
[実施例3]
本実施例では、基本的な画像形成部および定着器の構成は実施例1・2と同じで、抵抗発熱体620に接続された配線パターン・接続パターンの構成が異なっている。
実施例2では長時間動作を行う場合で、主に中央給電で、接続パターンの配線パターンへの接続位置を長手方向の座標を変えることで長手の温度ムラを防止することができた。本実施例も同様に前述した電極対間の接続温度ムラに対する構成として、他の例を用いて説明する。
(9)実施例3の加熱ヒータ
図19に本実施例のヒータ構成と実施例2を比較する図を示す。本実施例は配線パターン640a・bに対し、長手方向でそれぞれ複数の接続パターン640c・d・e・fを接続位置640m・n・r・sで接続し、接続位置640mと640r、接続位置640sと640nは搬送中心に対し略線対称の位置で接続されている。さらに、接続位置640m・n・r・sは本体の最小通紙幅内になるように接続されている。例えば、本体として最小通紙幅が葉書サイズとした場合は、葉書サイズ幅内に接続位置640m・n・r・sを配置する。ここで、最小通紙幅内でそれぞれ複数あれば電極対の位置はどこに配置しても良い。
(比較例)
図19に本実施例と、実施例2において、中央メインサーミスタ検知温度が200℃を維持するように長時間(今回は1時間)、温度制御した直後の温度分布をサーモグラフィーで測定した結果を示す。
結果のように、実施例2と比較して、実施例3は接続位置を複数持つことで、抵抗発熱体620に流れる電流が長手でより分散され、接続位置近傍の温度ムラがほぼ解消される結果となった。
さらに、実施例2同様に、実際の画像形成動作中は最小通紙幅内に接続位置を配置することで、少なくとも接続位置に記録材が通過するので、記録材に温度が吸収・均一化されることで記録材幅内の温度ムラはより軽減される。最小通紙幅外に接続位置を配置すると、最小サイズ紙を通紙した場合、記録材と触れず温度上昇が起きてしまうので適応できない。
以上の結果より、配線パターンと接続パターンの接続位置m・n・r・sを最小通紙幅内に複数配置することで、温度ムラを低減することができる。
さらに、図20に示すような実施例1のよう中央給電を実施例3のように最小通紙幅内に複数配置することでさらなる温度ムラの低減が可能となる。図20の構成は実施例1の接続位置640m・nを複数に増やし、実施例2のように長手方向の座標をずらした位置を複数有し、接続位置640m・n・r・sとして、他の構成・温調は実施例1と同じである。実施例1記載の温調制御を用いることで、更に接続位置近傍・長手の温度ムラが低減される。
このように、少なくとも記録材搬送方向の中央付近に存在する2組以上の複数中央電極対を、記録材の最小通紙幅内に存在していれば、記録材内温度ムラの発生を防止することが可能となる。
本実施例で使用しているトナーでは、本構成の定着器では200±20℃の条件を満たすことで、良好な画像を出力できることが分かっており、本実施例による構成では用紙サイズに関わらず上記条件で長手方向全域に対し達成できた。
また、図21に示すように、本実施例で説明した最小サイズ紙幅内に複数接続位置を配置した例をいくつか載せた。図21のどの構成も上記で説明した実施例3の効果は同様に得られる。
[実施例4]
本実施例では、基本的な画像形成部および定着器の構成は実施例1・2・3と同じで、抵抗発熱体620に接続された接続パターンについての構成が異なっている。
実施例3では抵抗発熱体620に対して配線パターンが長手に沿って平行に接続され、1つの配線パターンに対し複数の接続パターンを有している。しかし、前述したように制御回路部と接続された接続パターンも導電性は高いが抵抗値はゼロではない。例えば図22のように実施例3の構成を例に挙げると、電極640g・iからそれぞれの接続位置640m・n・r・sまでの距離を接続−電極間距離d1・d2・d3・d4とすると、接続−電極間距離はd1>d2、d3<d4の関係になっている。
実施例3の構成では配線パターン・接続パターンはそれぞれ厚み10μm、幅約1.0mmで体積抵抗10mΩ/□の材料を用いてきた。実施例3の構成では長手の温度ムラに対し、所望の効果が得られるが、複数の接続位置を這い回す場合、ヒータ全体としての幅を広めなければいけない。そこで、同材料で小型化を試みた場合の一例を実施例3’として挙げる。実施例3’では配線パターン・接続パターンの厚さ・幅をそれぞれ半分(厚さ5μm・幅0.5mm)とした場合の温度分布と実施例3の温度分布を比較した結果を図22に示す(ここで、図は配線パターンの厚さ・幅を変えただけで、図面としてはほぼ等しいので不図示)。
図の結果より、厚み・幅を小さくしたことで、各接続位置近傍の温度差が顕著になった。この結果を図23を用いて説明する。図は実施例3’のヒータ600を回路図で表した図である。図23は、図22でヒータ600を7分割(A・B・C・D・E・F)にした時のそれぞれ抵抗発熱体・パターンの抵抗を模式的に表している。
各抵抗値R1・R2・R3・R4・R(1+2)・R(3+4)・ΔR12・ΔR34はそれぞれ厚み・幅を狭くすることで抵抗値が上昇し、接続−電極間距離の合成抵抗値は長さd1・d2・d3・d4に比例して大きくなっている。従って、電極から発熱抵抗体600に到達するまでの電圧降下により接続−電極間距離が大きければ大きいほど発熱抵抗体600に流れる電流が低下し、ヒータの長手温度ムラが顕著に現れる。また、接続パターンが薄く・狭いほど、距離に対する感度が大きくなってしまう。
そこで、本実施例は図24に示すように、接続−電極間の合成抵抗値を等しくすることで、発熱抵抗体に流れる電流量にムラを生じさせない構成である。
具体的には、接続−電極間の距離d1=d2・d3=d4の関係式を満たす条件にすることで実現が可能である。例えば、電極640gから接続位置640m・rに向かう経路で、分岐点640tまでは同一接続パターンを通り、接続位置640m・640rに向かう経路の距離を等しく設定している。
また、電極640iを電極640gとは長手逆側に配置し、接続位置640s・640nに向かう経路で、分岐点640uまでは同一接続パターンを通り、接続位置640s・640n向かう経路の距離を等しく設定している。
この結果、図23記載のそれぞれ合成抵抗を変えているΔR12・ΔR34を除くことで、つまり、給電電極640g・iから抵抗発熱体600までパターンを通る経路を等しくすることで、経路d1・d2・d3・d4のそれぞれの電極からの合成抵抗Rd1=Rd2・合成抵抗Rd3=Rd4が等しくなり、抵抗発熱体の長手の温度ムラが軽減される。
本実施例では、同一パターン内の接続−電極間距離を等しくすることで、配線・接続パターンの電圧降下による電流ムラを防止することができた。これとは別に、接続パターンの接続−電極間の合成抵抗が等しければ良く、材料や形状(例えば断面積など)等で調整しても良い。
本実施例で使用しているトナーでは、本構成の定着器では200±20℃の条件を満たすことで、良好な画像を出力できることが分かっており、本実施例による構成では用紙サイズに関わらず上記条件で長手方向全域に対し達成できた。
20 定着装置、51 ヒータ駆動回路部、60 ヒータユニット、
100 制御回路部(CPU)、600 ヒータ、610 絶縁基板、
620 抵抗発熱体、630 サーミスタ、630a メインサーミスタ、
630b サブサーミスタ、640 パターン、640a・640b 配線パターン、
640c・640d・640e・640f 接続パターン、
640g・640h・640i・640j 電極、
640m・640n・640p・640q・640r・640s 接続位置、
640t・640u 接続パターン分岐点、650 定着ベルト、
660 ヒータホルダ、d1・d2・d3・d4 接続−電極間距離、
N 定着ニップ部、P 記録材

Claims (4)

  1. 抵抗発熱体に電圧を印加することによって発熱する加熱体と、加熱体に密着して移動する耐熱性フィルムと、該耐熱性フィルムの加熱体側とは反対側に対向し、被加熱材を加圧しつつ被加熱材を加熱及び搬送する加圧部材と、を有する加熱装置であって、該抵抗発熱体の両端に、記録材の搬送方向に電圧を印加するために配置された良導電性の電極を有する加熱装置において、
    電極は記録材搬送方向の上流および下流の両側に複数存在し、すくなくとも該抵抗発熱体中央付近に記録材の搬送上・下流に存在する中央電極対と、該発熱体両端付近に記録材の搬送上・下流に存在する両端電極対の2組以上の電極対を有し、該中央電極対に電圧を印加することによって発熱する通電状態1と、該両端電極対に電圧を印加することによって発熱する通電状態2と、の少なくとも2種類の通電状態を有することを特徴とする加熱装置を有する画像形成装置。
  2. 抵抗発熱体に電圧を印加することによって発熱する加熱体と、加熱体に密着して移動する耐熱性フィルムと、該耐熱性フィルムの加熱体側とは反対側に対向し、被加熱材を加圧しつつ被加熱材を加熱及び搬送する加圧部材と、を有する加熱装置であって、該抵抗発熱体の両端に、記録材の搬送方向に電圧を印加するために配置された良導電性の電極を有する加熱装置において、
    電極は記録材搬送方向の上流および下流の両側に少なくとも1対存在し、該電極対は記録材の搬送方向に直行する位置の座標が異なり、且つ、該電極対は記録材の搬送方向の幅より内側に配置されていることを特徴とする加熱装置を有する画像形成装置。
  3. 抵抗発熱体に電圧を印加することによって発熱する加熱体と、加熱体に密着して移動する耐熱性フィルムと、該耐熱性フィルムの加熱体側とは反対側に対向し、被加熱材を加圧しつつ被加熱材を加熱及び搬送する加圧部材と、を有する加熱装置であって、該抵抗発熱体の両端に、記録材の搬送方向に電圧を印加するために配置された良導電性の電極を有する加熱装置において、
    電極は記録材搬送方向の上流および下流の両側に複数存在し、すくなくとも記録材の搬送方向の中央付近に存在する2組以上の複数中央電極対を有し、複数中央電極対は記録材の搬送方向の幅より内側に配置されていることを特徴とする加熱装置を有する画像形成装置。
  4. 抵抗発熱体に電圧を印加することによって発熱する加熱体と、加熱体に密着して移動する耐熱性フィルムと、該耐熱性フィルムの加熱体側とは反対側に対向し、被加熱材を加圧しつつ被加熱材を加熱及び搬送する加圧部材と、を有する加熱装置であって、該抵抗発熱体の両端に、記録材の搬送方向に電圧を印加するために配置された良導電性の電極を有する加熱装置において、
    電極は記録材搬送方向の上流および下流の両側に複数存在し、すくなくとも記録材の搬送方向の中央付近に存在する2組以上の複数中央電極対を有し、複数の電極対に分かれる分岐点ら抵抗発熱体に引火されるまでの導体部の抵抗が、各複数電極対において同じとなることを特徴とする加熱装置を有する画像形成装置。
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