JP2015228004A - 液晶シール剤及びそれを用いた液晶表示セル - Google Patents

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早紀 木村
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早紀 木村
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Abstract

【課題】本発明は、光及び/又は熱によって硬化する液晶シール剤に関するものであり、低液晶汚染性、および接着強度に極めて優れる為、液晶表示素子の高精細化、高速応答化、低電圧駆動化、長寿命化を可能とし、さらには保存安定性にも優れる為、作業性が非常に良い液晶滴下工法用液晶シール剤を提案するものである。【解決手段】(A)下記式で表される放射線硬化性化合物を含有する液晶滴下工法用液晶シール剤。【化1】(式中nは0〜6の整数を表し、R1はエチレン、n-プロピレン、またはi-プロピレン基を表し、R2は水素原子またはメチル基を表す、またR3は同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1〜C10の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、またはC1〜C10の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基を示す。)【選択図】なし

Description

本発明は、光及び/又は熱によって硬化する液晶シール剤であって、液晶滴下工法に使用される液晶シール剤に関する。より詳細には、液晶汚染性が低く、さらに接着強度が高い液晶滴下工法用液晶シール剤に関する。
近年の液晶表示セルの大型化に伴い、液晶表示セルの製造法として、より量産性の高い、いわゆる液晶滴下工法が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。具体的には、一方の基板に形成された液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせることにより液晶が封止される液晶表示セルの製造方法である。
しかし、液晶滴下工法は、未硬化の状態の液晶シール剤が液晶に接触するため、その際に液晶シール剤の成分が液晶に溶解(溶出)して液晶の抵抗値を低下させ、シール近傍の表示不良を発生させるという問題点がある。
この課題を解決する為、現在は液晶滴下工法用の液晶シール剤として光熱併用型のものが用いられ、実用化されている(特許文献3、4)。この液晶シール剤を使用した液晶滴下工法では、基板に挟まれた液晶シール剤に光を照射して一次硬化させた後、加熱して二次硬化させることを特徴とする。この方法によれば、未硬化の液晶シール剤を光によって速やかに硬化でき、液晶シール剤成分の液晶への溶解(溶出)を抑えることが可能である。さらに、光硬化のみでは光硬化時の硬化収縮等による接着強度不足という問題も発生するが、光熱併用型であれば加熱による二次硬化によって応力緩和効果が得られ、そういった問題も解消できるという利点を有する。
しかしながら、近年では、液晶表示素子の小型化に伴い、液晶表示素子のアレイ基板のメタル配線部分やカラーフィルター基板のブラックマトリックス部分により液晶シール剤に光が当たらない遮光部が生じ、シール近傍の表示不良の問題が以前よりも深刻なものとなっている。すなわち、遮光部の存在によって上記光による一次硬化が不十分となり、液晶シール剤中に未硬化成分が多量に残存する。この状態で熱による二次硬化工程に進んだ場合、当該未硬化成分の液晶への溶解は、熱によって促進されてしまうという結果をもたらし、液晶シール剤近傍の表示不良を引き起こす。
また更に最近では、製造工程の短縮や、上記遮光部の課題を解決する為に、液晶シール剤の硬化を熱のみによって行う工法も提案されている(特許文献5)。しかし、この工法では、液晶と未硬化の液晶シール剤が接触した状態で加熱工程に入る為、液晶シール剤の更なる低液晶汚染性が要求されている。
これらの課題を解決する為に、硬化性樹脂の反応性を改善し、液晶への溶解前に硬化を進行させることを目的とした、熱反応性改良の様々な検討がなされている。例えば、特許文献5乃至7では、熱ラジカル開始剤を用いる方法が開示されている。また、特許文献8では、硬化促進剤として多価カルボン酸を用いる方法が開示されている。
しかし、これら熱ラジカル開始剤や多価カルボン酸のような硬化促進剤の添加は、反応速度を上げる効果から、逆に硬化収縮率を大きくし、接着強度を低下させたり、また保存安定性を悪くするといったデメリットを内包する。
以上述べたように、液晶滴下工法用液晶シール剤の開発は非常に精力的に行われているにもかかわらず、低液晶汚染性を実現しながら、良好な接着強度や保存安定性をも併せ持つ液晶シール剤は未だ実現していない。
特開昭63−179323号公報 特開平10−239694号公報 特許第3583326号公報 特開2004−61925号公報 国際公開2011/061910号 特開2004−126211号公報 特開2009−8754号公報 国際公開2008/004455号
本発明は、光及び/又は熱によって硬化する液晶シール剤に関するものであり、低液晶汚染性、および接着強度に極めて優れる為、液晶表示素子の高精細化、高速応答化、低電圧駆動化、長寿命化を可能とし、さらには保存安定性にも優れる為、作業性が非常に良い液晶滴下工法用液晶シール剤を提案するものである。
本願発明は、本発明者らがアルキレンオキサイド付加ビスフェノールS型骨格を有する本願記載の(メタ)アクリレート化合物が、液晶への溶解性が低く、更には接着強度に優れることを発見したことに基づく発明である。即ち本発明は、次の1)〜9)に関するものである。なお、本明細書中、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」及び/又は「メタクリル」を意味し、同様に「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」及び/又は「メタクリロイル」を意味する。また、「液晶滴下工法用液晶シール剤」を単に「液晶シール剤」と記載する場合もある。
すなわち、本発明は、
1)
(A)下記式で表される放射線硬化性化合物を含有する液晶滴下工法用液晶シール剤、
Figure 2015228004
(式中nは0〜6の整数を表し、Rはエチレン、n-プロピレン、またはi-プロピレン基を表し、Rは水素原子またはメチル基を表す。またRは同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1〜C10の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、またはC1〜C10の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基を示す。)
2)
上記(A)放射線硬化化合物が、下記式(2)で表される上記1)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
Figure 2015228004
(式中nは0〜6の整数を表し、Rはエチレン、n-プロピレン、またはi-プロピレン基を表し、Rは水素原子またはメチル基を表す)
3)
更に(B)光ラジカル重合開始剤及び/又は熱ラジカル重合開始剤を含有する上記1)又は2)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
4)
更に(C)エポキシ樹脂を含有する上記1)乃至3)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
5)
更に(D)熱硬化剤を含有する上記1)乃至4)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
6)
上記成分(D)が、有機酸ヒドラジド化合物である上記5)に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
7)
更に(E)シランカップリング剤を含有する上記1)乃至6)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤、
8)
2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された上記1)乃至7)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後紫外線及び/又は熱により硬化することを特徴とする液晶表示セルの製造方法。
9)
上記1)乃至7)のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤を硬化して得られる硬化物でシールされた液晶表示セル、
に関する。
上記式(1)で表される放射線硬化性化合物は、酸化、光、熱に対して化学的に安定なスルフォニル結合をもち、寸法安定性が良いことから、基材に対する歪を小さくすることができ、非常に接着性に優れる。また、液晶滴下工法により製造した液晶表示素子において、アルキル骨格を含むビスフェノール型(メタ)アクリレート化エポキシ樹脂(ビスフェノールA等)を用いたシール剤は液晶とシール剤が接触した際、特に加熱時に液晶中への溶出量が多く表示部の配向を乱す原因となるが、上記式(1)で表される放射線硬化性化合物はその極性の高さから液晶と混ざりにくく、そのような現象は起こらず、極めて良好な表示特性を示す。
本発明の液晶滴下工法用液晶シール剤は、低液晶汚染性、および接着強度に極めて優れる為、液晶表示素子の高精細化、高速応答化、低電圧駆動化、長寿命化を可能とし、さらには保存安定性にも優れる為、作業性が非常に良いものである。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の液晶滴下工法用液晶シール剤は、成分(A)として、上記式(1)で表される放射線硬化性化合物を含有する。
この化合物は、酸化、光、熱に対して化学的に安定なスルフォニル結合をもち、寸法安定性が良いことから、基材に対する歪を小さくすることができ、非常に接着性に優れる。またその極性の高さから液晶と混ざりにくい為、液晶を汚染せず、極めて良好な表示特性を実現する。
上記式(1)で表される放射線硬化性化合物は例えば次の方法で合成することができる。
[工程1]アルキレンオキサイド付加ビスフェノールS型エポキシ樹脂の合成
温度計、滴下ロート、冷却管、攪拌器を取り付けたフラスコにアルキレンオキサイド付加ビスフェノールS(例えば日華化学製;商品名SEO−2)、エピクロルヒドリン、ジメチルスルホキシド、テトラメチルアンモニウムクロライドを加え撹拌下で溶解し、50℃にまで昇温する。次いでフレーク状の水酸化ナトリウム60gを100分かけて分割添加した後、更に50℃で3時間、後反応を行う。反応終了後、水洗、溶剤留去を行いエチレンオキサイド付加ビスフェノールS型エポキシ樹脂を得ることができる。
[工程2]アルキレンオキサイド付加ビスフェノールS型エポキシ樹脂の(メタ)アクリルエステル化
上記工程1で得られたアルキレンオキサイド付加ビスフェノールS型エポキシ樹脂に重合禁止剤(例えばジブチルヒドロキシトルエン)、(メタ)アクリル酸、反応触媒(例えばトリメチルアンモニウムクロライド)を加えて、加熱下で攪拌することで、上記式(1)で表される放射線硬化性化合物を得ることができる。
なお、中国特許CN102617426Aに基づいても合成することができる。
上記式(1)において、Rは、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基を表し、好ましくはエチレン基、n−プロピレン基であり、更に好ましくはエチレン基である。
上記式(1)において、Rは、水素原子、又はメチル基を表し、好ましくは水素原子である。
上記式(1)において、Rは、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1〜C10の直鎖、分岐若しくは環状のアルキル基、又はC1〜C10の直鎖、分岐若しくは環状のアルコキシ基、を表し、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C10の直鎖、更に好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、C1〜C2の直鎖、特に好ましくは水素原子、塩素原子、臭素原子、メチル基である。
上記式(1)において、nは0〜6の整数を表し、好ましくは0〜3、更に好ましくは0〜1の整数である。
本発明の液晶シール剤中、上記式(1)で表される放射線硬化性化合物の含有量は、液晶シール剤総量に対し、5〜98質量%が好ましく、更に好ましくは20〜98質量%であり、特に好ましくは50〜98質量%である。
本発明の液晶シール剤は、更に成分(B)として光ラジカル重合開始剤及び/又は熱ラジカル重合開始剤を含有する場合が好ましい。
成分(B)における光ラジカル重合開始剤とは、紫外線や可視光の照射によって、ラジカルを発生し、連鎖重合反応を開始させる化合物であれば特に限定されないが、例えば、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ジエチルチオキサントン、ベンゾフェノン、2−エチルアンスラキノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスヒンオキサイド、カンファーキノン、9−フルオレノン、ジフェニルジスルヒド等を挙げることができる。具体的には、IRGACURERTM 651、184、2959、127、907、396、379EG、819、784、754、500、OXE01、OXE02、DAROCURERTM1173、LUCIRINRTM TPO(いずれもBASF社製)、セイクオールRTMZ、BZ、BEE、BIP、BBI(いずれも精工化学株式会社製)等を挙げることができる。なお、本明細書中、上付きのRTMは登録商標を意味する。
また、液晶汚染性の観点から、分子内に(メタ)アクリル基を有するものを使用する事が好ましく、例えば2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートと1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2メチル−1−プロパン−1−オンとの反応生成物が好適に用いられる。この化合物は国際公開第2006/027982号記載の方法にて製造して得ることができる。
光重合開始剤を用いる場合の液晶シール剤総量中の含有率は、通常0.001〜3質量%、好ましくは0.002〜2質量%である。
成分(B)における熱ラジカル重合開始剤とは、加熱によりラジカルを生じ、連鎖重合反応を開始させる化合物であれば特に限定されないが、有機過酸化物、アゾ化合物、ベンゾイン化合物、ベンゾインエーテル化合物、アセトフェノン化合物、ベンゾピナコール等が挙げられ、ベンゾピナコールが好適に用いられる。例えば、有機過酸化物としては、カヤメックRTMA、M、R、L、LH、SP-30C、パーカドックスCH−50L、BC−FF、カドックスB−40ES、パーカドックス14、トリゴノックスRTM22−70E、23−C70、121、121−50E、121−LS50E、21−LS50E、42、42LS、カヤエステルRTMP−70、TMPO−70、CND−C70、OO−50E、AN、カヤブチルRTMB、パーカドックス16、カヤカルボンRTMBIC−75、AIC−75(化薬アクゾ株式会社製)、パーメックRTMN、H、S、F、D、G、パーヘキサRTMH、HC、パTMH、C、V、22、MC、パーキュアーRTMAH、AL、HB、パーブチルRTMH、C、ND、L、パークミルRTMH、D、パーロイルRTMIB、IPP、パーオクタRTMND、(日油株式会社製)などが市販品として入手可能である。また、アゾ化合物としては、VA−044、V−070、VPE−0201、VSP−1001(和光純薬工業株式会社製)等が市販品として入手可能である。
上記熱ラジカル重合開始剤として、好ましいものは、分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)又は窒素−窒素結合(−N=N−)を有さない熱ラジカル重合開始剤である。分子内に酸素−酸素結合(−O−O−)や窒素−窒素結合(−N=N−)を有する熱ラジカル重合開始剤は、ラジカル発生時に多量の酸素や窒素を発するため、液晶シール剤中に気泡を残した状態で硬化し、接着強度等の特性を低下させる虞がある。ベンゾピナコール系の熱ラジカル重合開始剤(ベンゾピナコールを化学的に修飾したものを含む)が特に好適である。具体的には、ベンゾピナコール、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジエトキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ジメトキシ−1,1,2,2−テトラ(4−メチルフェニル)エタン、1,2−ジフェノキシ−1,1,2,2−テトラ(4−メトキシフェニル)エタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリエチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(t−ブチルジメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン等、が挙げられ、好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−トリエチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1−ヒドロキシ−2−t−ブチルジメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンであり、さらに好ましくは1−ヒドロキシ−2−トリメチルシロキシ−1,1,2,2−テトラフェニルエタン、1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンであり、特に好ましくは1,2−ビス(トリメチルシロキシ)−1,1,2,2−テトラフェニルエタンである。
上記ベンゾピナコールは東京化成工業株式会社、和光純薬工業株式会社等から市販されている。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をエーテル化することは、周知の方法によって容易に合成可能である。また、ベンゾピナコールのヒドロキシ基をシリルエーテル化することは、対応するベンゾピナコールと各種シリル化剤をピリジン等の塩基性触媒下で加熱させる方法により合成して得ることができる。シリル化剤としては、一般に知られているトリメチルシリル化剤であるトリメチルクロロシラン(TMCS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)やトリエチルシリル化剤としてトリエチルクロロシラン(TECS)、t−ブチルジメチルシリル化剤としてt−ブチルメチルシラン(TBMS)等が挙げられる。これらの試薬はシリコン誘導体メーカー等の市場から容易に入手することが出来る。シリル化剤の反応量としては対象化合物の水酸基1モルに対して1.0〜5.0倍モルが好ましい。さらに好ましくは1.5〜3.0倍モルである。1.0倍モルより少ないと反応効率が悪く、反応時間が長くなるため熱分解を促進してしまう。5.0倍モルより多いと回収の際に分離が悪くなったり、精製が困難になったりしてしまう。
熱ラジカル重合開始剤は粒径を細かくし、均一に分散することが好ましい。その平均粒径は、大きすぎると狭ギャップの液晶表示セル製造時に上下ガラス基板を貼り合わせる際のギャップ形成が上手くできない等の不良要因となるため、5μm以下が好ましく、より好ましくは3μm以下である。また、際限なく細かくしても差し支えないが、通常下限は0.1μm程度である。粒径はレーザー回折・散乱式粒度分布測定器(乾式)(株式会社セイシン企業製;LMS−30)により測定できる。
熱ラジカル重合開始剤の含有量としては、液晶シール剤の総量中、0.0001〜10質量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.0005〜5質量%であり、0.001〜3質量%が特に好ましい。
本発明の液晶シール剤は、更に成分(C)としてエポキシ樹脂を含有する場合が好ましい。該エポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、2官能以上のエポキシ樹脂が好ましく、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他、二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素添加物などが挙げられる。これらのうち液晶汚染性の観点より好ましいのはビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂である。エポキシ基を有する硬化性樹脂の液晶シール剤中に占める含有率は、1〜30質量%程度が好ましく、1〜20質量%がさらに好ましい。
本発明の液晶シール剤は、更に成分(D)として熱硬化剤を含有する場合が好ましい。
この成分(D)は、上記成分(B)において説明した熱ラジカル重合開始剤とは異なり、ラジカルを発生しない熱硬化剤を意味する。具体的には、非共有電子対や分子内のアニオンによって、求核的に反応するものであって、例えば多価アミン類、多価フェノール類、有機酸ヒドラジド化合物等を挙げる事ができる。ただしこれらに限定されるものではない。これらのうち有機酸ヒドラジド化合物が特に好適に用いられる。例えば、芳香族ヒドラジドであるテレフタル酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、2,6−ピリジンジヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、ピロメリット酸テトラヒドラジド等をあげることが出来る。また、脂肪族ヒドラジド化合物であれば、例えば、ホルムヒドラジド、アセトヒドラジド、プロピオン酸ヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、N,N’−ヘキサメチレンビスセミカルバジド、クエン酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド、シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン等のヒダントイン骨格、好ましくはバリンヒダントイン骨格(ヒダントイン環の炭素原子がイソプロピル基で置換された骨格)を有するジヒドラジド化合物、トリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(1−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート等をあげることができる。硬化反応性と潜在性のバランスから好ましくは、イソフタル酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、トリス(1−ヒドラジノカルボニルメチル)イソシアヌレート、トリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレート、トリス(3−ヒドラジノカルボニルプロピル)イソシアヌレートであり、特に好ましくはイソフタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドとトリス(2−ヒドラジノカルボニルエチル)イソシアヌレートである。
成分(D)熱硬化剤の含有率は、液晶シール剤の総量中、0.1〜10質量%である場合が好ましく、1〜5質量%である場合が更に好ましい。
本発明の液晶シール剤は、更に成分(E)としてシランカップリング剤を含有する場合が好ましい。成分(E)シランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのシランカップリング剤はKBMシリーズ、KBEシリーズ等として信越化学工業株式会社等によって販売されている為、市場から容易に入手可能である。シランカップリング剤(E)の液晶シール剤に占める含有率は、0.05〜3質量%が好適である。
本願発明の液晶シール剤は上記成分以外にも、例えばラジカル重合防止剤、無機フィラー、有機フィラー、有機酸やイミダゾール化合物等の硬化促進剤、顔料、レベリング剤、消泡剤、溶剤などの添加剤を配合することができる。
上記ラジカル重合防止剤としては、光重合開始剤や熱ラジカル重合開始剤等から発生するラジカルと反応して重合を防止する化合物であれば特に限定されるものではなく、キノン系、ピペリジン系、ヒンダードフェノール系、ニトロソ系等を用いることができる。具体的には、ナフトキノン、2−ヒドロキシナフトキノン、2−メチルナフトキノン、2−メトキシナフトキノン、2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6,−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6,−テトラメチル−4−メトキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6,−テトラメチル−4−フェノキシピペリジン−1−オキシル、ハイドロキノン、2−メチルハイドロキノン、2−メトキシハイドロキノン、パラベンゾキノン、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルクレゾール、ステアリルβ−(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β―(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]、2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネート)メタン、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−sec−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、パラメトキシフェノール、4−メトキシ−1−ナフトール、チオジフェニルアミン、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミンのアルミニウム塩、商品名アデカスタブLA−81、商品名アデカスタブLA−82(株式会社アデカ製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうちナフトキノン系、ハイドロキノン系、ニトロソ系ピペラジン系のラジカル重合防止剤が好ましく、ナフトキノン、2−ヒドロキシナフトキノン、ハイドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチル−P−クレゾール、ポリストップ7300P(伯東株式会社製)が更に好ましく、ポリストップ7300P(伯東株式会社製)が最も好ましい。
ラジカル重合防止剤を添加する場合の含有量としては本発明の液晶シール剤総量中、0.0001〜1質量%が好ましく、0.001〜0.5質量%が更に好ましく、0.01〜0.2質量%が特に好ましい。
上記無機フィラーとしては、溶融シリカ、結晶シリカ、シリコンカーバイド、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸リチウムアルミニウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、硝子繊維、炭素繊維、二硫化モリブデン、アスベスト等が挙げられ、好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、アルミナ、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウムであり、更に好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、タルクである。これら無機フィラーは2種以上を混合して用いても良い。その平均粒径は、大きすぎると狭ギャップの液晶セル製造時に上下ガラス基板の貼り合わせ時のギャップ形成がうまくできない等の不良要因となるため、3μm以下が適当であり、好ましくは2μm以下である。粒径はレーザー回折・散乱式粒度分布測定器(乾式)(株式会社セイシン企業製;LMS−30)により測定することができる。
本発明の液晶シール剤において、無機フィラーを使用する場合には、液晶シール剤の総量中、通常5〜50質量%、好ましくは5〜40質量%である。無機フィラーの含有量が5質量%より低い場合、ガラス基板に対する接着強度が低下し、また耐湿信頼性も劣るために、吸湿後の接着強度の低下も大きくなる場合がある。又、無機フィラーの含有量が50質量%より多い場合、フィラー含有量が多すぎるため、つぶれにくく液晶セルのギャップ形成ができなくなってしまう場合がある。
上記有機フィラーとしては、例えばウレタン微粒子、アクリル微粒子、スチレン微粒子、スチレンオレフィン微粒子及びシリコーン微粒子等が挙げられる。
スチレンオレフィン微粒子としてはセプトンRTMSEPS2004、SEPS2063が好ましい。
これら有機フィラーは単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また2種以上を用いてコアシェル構造としても良い。これらのうち、好ましくは、アクリル微粒子、シリコーン微粒子である。
上記アクリル微粒子を使用する場合、2種類のアクリルゴムからなるコアシェル構造のアクリルゴムである場合が好ましく、特に好ましくはコア層がn−ブチルアクリレートであり、シェル層がメチルメタクリレートであるものが好ましい。これはゼフィアックRTMF−351としてアイカ工業株式会社から販売されている。
また、上記シリコーン微粒子としては、オルガノポリシロキサン架橋物粉体、直鎖のジメチルポリシロキサン架橋物粉体等があげられる。また、複合シリコーンゴムとしては、上記シリコーンゴムの表面にシリコーン樹脂(例えば、ポリオルガノシルセスキオキサン樹脂)を被覆したものがあげられる。これらの微粒子のうち、特に好ましいのは、直鎖のジメチルポリシロキサン架橋粉末のシリコーンゴム又はシリコーン樹脂被覆直鎖ジメチルポリシロキサン架橋粉末の複合シリコーンゴム微粒子である。なおシリコーン微粒子としてはKMP−594、KMP−597、KMP−598(信越化学工業製)、トレフィルRTME−5500、9701、EP−2001(東レダウコーニング社製)が好ましく、ウレタン微粒子としてはJB−800T、HB−800BK(根上工業株式会社)、スチレン微粒子としてはラバロンRTMT320C、T331C、SJ4400、SJ5400、SJ6400、SJ4300C、SJ5300C、SJ6300C(三菱化学製)が好ましい。これらのものは、単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。また、好ましくは、ゴム粉末の形状は、添加後の粘度の増粘が少ない球状が良い。
本発明の液晶シール剤において、有機フィラーを使用する場合には、液晶シール剤の総量中、通常5〜50質量%、好ましくは5〜40質量%である。
上記硬化促進剤としては、有機酸やイミダゾール等を挙げることができる。
有機酸としては、有機カルボン酸や有機リン酸等が挙げられるが、有機カルボン酸である場合が好ましい。具体的には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、フランジカルボン酸等の芳香族カルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ドデカン二酸、セバシン酸、チオジプロピオン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリス(2−カルボキシメチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート、トリス(2−カルボキシプロピル)イソシアヌレート、ビス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレート等を挙げることができる。
また、イミダゾール化合物としては、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−ウンデシルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−エチル−4−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2’−メチルイミダゾール(1’))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2−メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
本発明の液晶シール剤において、硬化促進剤を使用する場合には、液晶シール剤の総量中、通常0.1〜10質量%、好ましくは1〜5質量%である
本発明の液晶シール剤を得る方法の一例としては、次に示す方法がある。まず、成分(A)に、必要に応じ、成分(B)、成分(C)を加熱混合し、室温まで冷却後、成分(B)及び成分(D)、必要に応じ、成分(E)、消泡剤、レベリング剤、及び溶剤等を添加し、公知の混合装置、例えば3本ロール、サンドミル、ボールミル等により均一に混合し、金属メッシュにて濾過することにより本発明の液晶シール剤を製造する。
本発明の液晶表示セルは、基板に所定の電極を形成した一対の基板を所定の間隔に対向配置し、周囲を本発明の液晶シール剤でシールし、その間隙に液晶が封入されたものである。封入される液晶の種類は特に限定されない。ここで、基板とはガラス、石英、プラスチック、シリコン等からなる少なくとも一方に光透過性がある組み合わせの基板から構成される。その製法としては、本発明の液晶シール剤に、グラスファイバー等のスペーサー(間隙制御材)を添加後、該一対の基板の一方にディスペンサー、またはスクリーン印刷装置等を用いて該液晶シール剤を塗布した後、必要に応じて、80〜120℃で仮硬化を行う。その後、該液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下し、真空中にてもう一方のガラス基板を重ね合わせ、ギャップ出しを行う。ギャップ形成後、90〜130℃で1〜2時間硬化することにより本発明の液晶表示セルを得ることができる。このようにして得られた本発明の液晶表示セルは、液晶汚染による表示不良が無く、接着性、耐湿信頼性に優れたものである。スペーサーとしては、例えばグラスファイバー、シリカビーズ、ポリマービーズ等があげられる。その直径は、目的に応じ異なるが、通常2〜8μm、好ましくは4〜7μmである。その使用量は、本発明の液晶シール剤100質量%に対し通常0.1〜4質量%、好ましくは0.5〜2質量%、更に、好ましくは0.9〜1.5質量%程度である。
本発明の液晶シール剤は、極めて液晶汚染性が低い。従って、本発明の液晶シール剤を用いて作成した液晶表示セルは、電圧保持率が高く、イオン密度が低いという液晶表示セルとして必要な特性が充足される。
また硬化時の硬化収縮が小さい為、基材に対する歪が小さく、非常に高い接着強度を有する。そして、その硬化物は耐熱性、耐湿性等の各種硬化物特性にも優れる為、本発明の液晶シール剤を用いることにより、信頼性に優れる液晶表示セルを作成することが可能である。
また更に、保存安定性や、液晶の差込への耐性も良好である為、作業効率が良く、優れた液晶表示セルの製造を容易にすることができる。
以下、合成例、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特別の記載のない限り、本文中「部」及び「%」とあるのは質量基準である。
[合成例1]
[エチレンオキサイド付加ビスフェノールS型エポキシアクリレートの合成]
[工程1]
温度計、滴下ロート、冷却管、攪拌器を取り付けたフラスコに4,4’−ビス(2−ヒドロキシエチルオキシ)ジフェニルスルホン(日華化学社製:SEO−2)845g、エピクロルヒドリン1850gジメチルスルホキシド925g、テトラメチルアンモニウムクロライド25部を加えて撹拌下で溶解し、50℃にまで昇温した。次いで、フレーク状の水酸化ナトリウム300部を100分かけて分割添加した後、更に50℃で3時間、後反応を行った。反応終了後水2000gを加えて推薦を行った。油層からロータリーエバポレーターを用いて130℃で減圧下、過剰のエピクロルヒドリンなどを留去した。残留物にメチルイソブチルケトン2250gを加えて溶解し、70℃にまで昇温した。撹拌下で30%の水酸化ナトリウム水溶液50gを加え、1時間反応を行った後、水洗を3回行い、ロータリーエバポレーターを用いて180℃で減圧下、メチルイソブチルケトンを留去し、エチレンオキサイド付加ビスフェノールビスフェノールS型エポキシ樹脂を1060g得た。
[工程2]
得られたエチレンオキサイド付加ビスフェノールS型エポキシ樹脂(WPE=232g/eq.)940.0gをメチルイソブチルケトン1294.05gに溶解させ、ジブチルヒドロキシトルエン2.588gを加え、60℃まで昇温させた。続いて、アクリル酸354.05gを加え15分撹拌した後、ライオンスペシャリティケミカルズ社製TPAH−40(テトラプロピルアンモニウムハイドレートの40%水溶液)を加えた。5℃/30分で98℃まで昇温し、98℃で22時間反応を行い、該当のエチレンオキサイド付加ビスフェノールS型エポキシアクリレートを得た。
[合成例2]
[エチレンオキサイド付加ビスフェノールS型エポキシメタクリレートの合成]
上記合成例1の工程1で得られたエチレンオキサイド付加ビスフェノールS型エポキシ樹脂(WPE=232g/eq.)940.0gをメチルイソブチルケトン1294.05gに溶解させ、ジブチルヒドロキシトルエン2.588gを加え、60℃まで昇温させた。続いて、メタクリル酸422.98gを加え15分撹拌した後、ライオンスペシャリティケミカルズ社製TPAH−40(テトラプロピルアンモニウムハイドレートの40%水溶液)を加えた。5℃/30分で98℃まで昇温し、98℃で22時間反応を行い、該当のエチレンオキサイド付加ビスフェノールS型エポキシメタクリレートを得た。
[参考合成例1]
[ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシアクリレートの合成]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂282.5g(製品名:YD−8125、新日鉄化学株式会社製)をトルエン266.8gに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.8gを加え、60℃まで昇温した。その後、エポキシ基の100%当量のアクリル酸117.5gを加え更に80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド0.6gを添加して、98℃で約30時間攪拌し、反応液を得た。この反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、目的とするビスフェノールA型のエポキシアクリレート(アクリル化ビスフェノールA型エポキシ樹脂)395gを得た。
[参考合成例2]
[ビスフェノールA型エポキシ樹脂のエポキシメタクリレートの合成]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂282.5g(製品名:YD−8125、新日鉄化学株式会社製)をトルエン266.8gに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.8gを加え、60℃まで昇温した。その後、エポキシ基の100%当量のメタクリル酸140.4gを加え更に80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド0.6gを添加して、98℃で約30時間攪拌し、反応液を得た。この反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、目的とするビスフェノールA型のエポキシアクリレート(アクリル化ビスフェノールA型エポキシ樹脂)395gを得た。
[参考合成例3]
[レゾルシンジグリシジルエーテルの合成]
レゾルシン5500g、エピクロルヒドリン37000g、テトラメチルアンモニウムクロライド500gを加え撹拌下で溶解し70℃にまで昇温した。次いでフレーク状の水酸化ナトリウム4000gを100分かけて分割添加した後、更に70℃で1時間、後反応を行った。反応終了後、水15000gを加えて水洗した後、油層から、130℃で減圧下、過剰のエピクロルヒドリンなどを留去した。残留物にメチルイソブチルケトン22200gを加え溶解し、70℃にまで昇温した。撹拌下で30重量%水酸化ナトリウム水溶液1000gを加え、1時間反応を行った後、水5550gで水洗を3回行い、180℃で減圧下メチルイソブチルケトンを留去し、レゾルシンのジグリシジル化物10550gを得た。得られたエポキシ樹脂のエポキシ当量は129g/eqであった。
[参考合成例4]
[レゾルシンジグリシジルエーテルの全アクリル化物の合成]
レゾルシンジグリシジルエーテル181.2g(上記合成例2で合成したもの)をトルエン266.8gに溶解し、これに重合禁止剤としてジブチルヒドロキシトルエン0.8gを加え、60℃まで昇温した。その後、エポキシ基の100%当量のアクリル酸117.5gを加え更に80℃まで昇温し、これに反応触媒であるトリメチルアンモニウムクロライド0.6gを添加して、98℃で約30時間攪拌し、反応液を得た。この反応液を水洗し、トルエンを留去することにより、目的とするレゾルシンジグリシジルエーテルのエポキシアクリレート293gを得た。得られたエポキシアクリレートの反応性基当量は理論値で183である。
[実施例1,2]
下記表1に示す割合で本願発明のビスフェノールS型(メタ)アクリレート化エポキシ樹脂に、光重合開始剤を加え、90℃で加熱溶解した。室温まで冷却し、シランカップリング剤を加え、液晶シール剤を調製した。
[比較例1〜4]
硬化剤性樹脂として、実施例1、2で合成した化合物に代えて、表中に記載したものを用いた以外は、実施例1、2と同様にして、液晶シール剤を調製した。
Figure 2015228004
評価試験は下記の方法で実施した。
[硬化収縮率試験]
離型フィルム(リンテック社製:PET−38 AL−5)2枚の間に液晶シール剤をはさみ、ラミネーターを用いて100um厚みにした後、フィルム越しにUV照射器(ウシオ電気社製:UVX―02516S1AFL01)を用い、照度100mw/cm2で
積算光量3000mJ/cm2照射し、その後離型フィルムを剥離して硬化膜を作成した。
JIS K 7112 B法に準拠し、ザルトリウス株式会社製 固体比重計:Quintixを用いて25℃での硬化物の比重(DS)を測定した。また、Mirage社製 電子比重計:ED−102Tを用い液晶シール剤の液比重(DL)を測定した。DS及びDLの測定結果から、次式より硬化収縮率を算出した。結果を表2にまとめる。
硬化収縮(%)=(DS−DL)/DS×100
[硬化膜反り試験]
離型フィルム(リンテック社製:PET−38 AL−5)2枚の間に液晶シール剤をはさみ、ラミネーターを用いて100um厚みにした後、フィルム越しにUV照射機(ウシオ電気社製:UVX―02516S1AFL01)を用い、照度100mw/cm2で
積算光量3000mJ/cm2照射し、その後離型フィルムを剥離して硬化膜を作成した。
得られた硬化膜を5cm角に切断し、その接地面からの4隅の反りを測定した。結果を表2にまとめる。
[接着強度試験]
ガラス基板を12mm×24mm、18mm×30mmの2種類にカットし、12mm×24mmのガラス基板にディスペンサーまたはスクリーン印刷機で液晶シール剤(5.25umギャップ剤(日本電気硝子社製:PF−50Sを含む)1%を含むもの)を塗布し、18mm×30mmのガラス基板をクロスするように貼り合わせ、UV照射機(ウシオ電気社製:UVX―02516S1AFL01)を用い、照度100mw/cm2で積算光量3000mJ/cm2照射し試験片を作成した。得られた試験片をボンドテスター(西進商事社製:SS−30WD)を用いてガラス端を持ち上げ接着強度を測定した。結果を表2にまとめる。
[液晶中への溶出性試験]
サンプル瓶に液晶シール剤0.1gを入れ、液晶(メルク社製:MLC−3007)1gを加えた後120℃オーブンに1時間投入した。液晶がN−I点を超えている状態で液晶を取り出し、この液晶中に溶出した成分をペンタデカンを内部標準に用い、ガスクロマトグラフィーにてアクリル樹脂A〜Fの溶出量を定量した。結果を表2にまとめる。
Figure 2015228004
表2の結果より、本願発明の液晶滴下工法用液晶シール剤は、液晶汚染性(アクリル樹脂の液晶への溶出性)も低く、かつ高い接着強度を有することが確認された。また、硬化収縮率や硬化膜の反りも小さく、寸法安定性に優れることも確認された。以上から、本願発明の液晶滴下工法用液晶シール剤は、優れた液晶表示セルの製造を容易にすることができるものである。
本願発明の液晶滴下工法用液晶シール剤は、低液晶汚染性、および接着強度に極めて優れる為、液晶表示素子の高精細化、高速応答化、低電圧駆動化、長寿命化を可能とし、さらには保存安定性にも優れる為、作業性が非常に良いものである。

Claims (9)

  1. (A)下記式で表される放射線硬化性化合物を含有する液晶滴下工法用液晶シール剤。
    Figure 2015228004
    (式中nは0〜6の整数を表し、Rはエチレン、n-プロピレン、またはi-プロピレン基を表し、Rは水素原子またはメチル基を表す、またRは同じであっても異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、C1〜C10の直鎖、分岐、若しくは環状のアルキル基、またはC1〜C10の直鎖、分岐、若しくは環状のアルコキシ基を示す。)
  2. 前記(A)放射線硬化化合物が、下記式(2)で表される請求項1に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
    Figure 2015228004
    (式中nは0〜6の整数を表し、Rはエチレン、n-プロピレン、またはi-プロピレン基を表し、Rは水素原子またはメチル基を表す)
  3. 更に(B)光ラジカル重合開始剤及び/又は熱ラジカル重合開始剤を含有する請求項1又は2に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  4. 更に(C)エポキシ樹脂を含有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  5. 更に(D)熱硬化剤を含有する請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  6. 前記成分(D)が、有機酸ヒドラジド化合物である請求項5に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  7. 更に(E)シランカップリング剤を含有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤。
  8. 2枚の基板により構成される液晶表示セルにおいて、一方の基板に形成された請求項1乃至7のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤の堰の内側に液晶を滴下した後、もう一方の基板を貼り合わせ、その後紫外線及び/又は熱により硬化することを特徴とする液晶表示セルの製造方法。
  9. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の液晶滴下工法用液晶シール剤を硬化して得られる硬化物でシールされた液晶表示セル。
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