JP2015227988A - 転写定着ベルト、転写定着ユニット、及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
請求項3に係る発明は、前記基材は、イオン導電剤を含み、体積抵抗率が106Ωcm以上1014Ωcm以下である請求項2に記載の転写定着ベルトである。
請求項3に係る発明によれば、赤外線の透過率の低下が抑制される転写定着ベルトが提供される。
本実施形態に係る転写定着ベルトは、導電性と、600nm以上1000nm以下の少なくとも一部の波長領域の赤外線(以下、単に「赤外線」と称する場合がある。)に対する透過性と、を有して構成されている。ここで、「赤外線に対して透過性を有する」とは、赤外線の透過率が80%以上(好ましくは90%以上)であることをいう。
一方、本実施形態に係る転写定着ベルト15は赤外線に対して透過性を有するため、転写定着ベルト15の外周面に保持されたトナー像に対し、例えば、転写定着ベルト15の内周面側から赤外線のレーザ光(以下「赤外線レーザ光」と称する場合がある)を照射しても赤外線レーザ光が転写定着ベルト15を透過してトナー像が効率的に加熱され、用紙面への定着と搬送による記録媒体へのトナー像の二次転写と定着が実現される。
基材21は、無端のベルト状であり、導電性と、赤外線に対する透過性(前記赤外線の透過率が80%以上)を有するものであれば特に限定されない。
基材21に含まれる樹脂材料としては、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリケトンスルホンサン(PPSU)、ポリアリレート(PAR)、ポリエステル、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)等の透明性の優れる樹脂材料が挙げられる。
前記ポリエチレンナフタレートとしては、例えば、ポリエチレンナフタレート及びそのポリカーボネート誘導体などが挙げられる。
前記ポリエーテルスルホンとしては、例えば、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフェニレン及びそのフッ素誘導体が挙げられる。
前記ポリアリレートとしては、例えば芳香族ポリアリレート及び脂肪族ポレアリレートが挙げられる。
前記ポリエステルとしては、例えば、延伸ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、又はポリ乳酸等が挙げられ、ポリエステルとポリプロピレンとの混合物やポリエステルとポリカーボネートとの混合物又はそのコポリマーであってもよい。
前記ポリカーボネートとしては、例えば、芳香族ポリカーボネート類及び脂肪族ポリカーボネート類が挙げられる。
基材21に用いられる材料は、前記の中でも、難燃性及び耐熱性の観点から、ポリエーテルスルホンが好ましい。
さらに残留トナーの低減から該基材表面への離型処理や、そのブレードやブラシクリーニング適性の向上から透明な弾性層の付与により、画像の転写性や、厚紙、エンボス紙等への定着を上げることへの対応が、より定着性能面での向上を提供できる。
イオン導電剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
基材21に含まれるイオン導電剤の含有量は、例えば、樹脂材料100質量部に対して、0.01質量部以上10質量部以下の範囲であることがよく、好ましくは0.1質量部以上3質量部以下である。
樹脂材料100質量部に対してイオン導電剤を0.01質量部以上配合することで十分な除電性が得られ、回転転写による電荷蓄積が発生し難い。
一方、樹脂材料100質量部に対して10質量部以下の配合で基材樹脂との相溶性が高く、白化、不透明化し難く、かつ導電化によるベルト帯電性の低下が抑制される。
また、本実施形態に係る転写定着ベルトは、例えば体積抵抗率が105Ωcm以上1013Ωcm以下である。
なお、弾性率の測定は、JIS−K7162(1994、1BA形、速度1mm/min)に準拠する。
また、透明性を有し、ベルト剛性の低下を抑制し、かつ回転使用による端部疲労によるクラックの発生の防止、及び座屈や脆化を抑制する観点より、膜厚バラツキは10%以下に抑えることが好ましい。
図3は、本実施形態に係る転写定着ベルトの他の例について厚さ方向の断面の一部を示す概略図である。図3に示す転写定着ベルト25は、基材21と、基材21上に最外層として配置された離型層22を有している。
本実施形態に係る転写定着ベルトを後述する転写定着ユニットや画像形成装置に適用する場合、最外層として離型層22を有する転写定着ベルト25は、基材21のみで構成された転写定着ベルト15に比べて、転写定着ベルト25の外周面に保持されたトナー像が記録媒体に転写し易く、且つ、赤外線レーザ光による画像の定着を実現しつつ、定着画像に光沢性が付与され易い。
離型層22は、例えば、フッ素含有樹脂を含み、赤外線に対して透過性(例えば赤外線の透過率が80%以上)を有するものであれば特に限定されない。
前記フッ素含有樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体(THV)、及びポリビニリデンフルオライド(PVDF)等が挙げられ、赤外線の透過性の観点から、PFA、PVDF、全フッ化環状エーテルポリマー等が好適である。
さらにフッ素系の離型コーティング材やシリコン系の無機コーティング材などもその表面性や平滑性付与の観点から使用してもよい。
ここで、表面自由エネルギーの測定は、例えば、接触角計CAM−200(KSV社製)を用い、Zisman法を用いた装置内蔵のプログラム計算にて算出する。
また離型層22の屈折率は、トナーの屈折率よりも低い方が、離型層22と記録媒体に転写された未定着トナー像との界面における赤外線レーザ光Iの反射が抑制される点で望ましい。
赤外線に対して透過性を有する弾性層に用いられる材料としては、例えばシリコーンゴム、ウレタンゴム、及びオレフィンゴム等の弾性材料が挙げられる。
赤外線を透過するポリウレタンゴムとしては、例えば、ポリエーテルウレタン、ポリエステル系ウレタン類及びアクリル変性光硬化タイプのウレタン樹脂等が挙げられる。
赤外線を透過するオレフィンゴムとしては、例えば、EPDM、ポリプロピレンゴム、ブチルゴム、シクロオレフィン類、ノルボルネンゴム等が挙げられる。
ここで、「100℃以上の耐熱性を有する」とは、100℃以上に加熱した後でも、弾性(すなわち100Pa以下の外部圧力印加により変形しても、もとの形状に復元する性質)を損なわないことを言う。
弾性層に用いられる材料が100℃以上の耐熱性を有するものであることにより、赤外線レーザ光で加熱されても用紙走行性と剥離性を損なわない弾性が得られる。そのため、ニップ形状を用紙幅全域に渡って維持して加熱定着することにより、圧接時の圧力ムラが軽減され、かつ、連続加熱走行による加温時での弾性と形状が維持されることにより、転写定着ベルト15の外周面と記録媒体の表面との界面における密着性が安定化し、シワの発生などが抑制される。
前記耐熱性は、100℃以上が望ましく、150℃以上がより望ましく、180℃以上がさらに望ましい。
前記耐熱性の測定は、例えば以下の方法で行う。具体的には、DSC,DGA、TMAなどの熱分析装置による溶融温度および熱重量測定、機械的強度評価による100℃以下でその変化の少ない弾性層が望ましい。
赤外線に対して透過性を有する接着層に用いられる材料としては、例えば、シランカプラー、シリコーン系接着剤、またはウレタン系接着剤等が挙げられる。
次に、前記本実施形態に係る転写定着ベルトを用いた転写定着ユニットについて説明する。
本実施形態に係る転写定着ユニットは、前記本実施形態に係る転写定着ベルトと、前記転写定着ベルトの外周面に接触して周方向に回転することにより前記転写定着ベルトとの間に記録媒体を挟んで搬送する回転部材と、前記転写定着ベルトを挟んで前記回転部材の反対側で前記転写定着ベルトの内周面に接触し、前記赤外線のレーザ光に対する透過性を有する赤外線透過部材と、像保持体の表面から前記転写定着ベルトの外周面に一次転写されたトナー像に、前記赤外線透過部材及び前記転写定着ベルトを介して前記赤外線のレーザ光を照射することにより前記転写定着ベルトと前記回転部材との接触部に搬送された前記記録媒体に前記トナー像を二次転写するとともに定着させる赤外線レーザ光照射装置と、を備えて構成されている。
図4は、本実施形態に係る転写定着ユニットの構成の一例(第1実施形態)を示す概略構成図である。
図4に示す転写定着ユニット60は、前記本実施形態に係る無端状の転写定着ベルト15と、転写定着ベルト15の外周面に接触して周方向に回転する二次転写ロール36と、転写定着ベルト15を挟んで二次転写ロール36の反対側で転写定着ベルト15の内周面に接触し、赤外線レーザ光に対する透過性を有する赤外線透過部材30と、転写定着ベルト15と二次転写ロール36との接触部80に向けて赤外線レーザ光Iを照射する赤外線レーザ光照射装置70と、を備えている。
赤外線レーザ光照射装置70は、転写定着ベルト15の内側(内周面側)に配置され、波長が600nm以上1000nm以下の赤外線レーザ光を発する装置が使用される。具体的には、例えば、半導体レーザや固体レーザ等の光源を備えるレーザ光照射装置等が挙げられる。
赤外線レーザ光の照射強度としては、例えば、接触部80において10mW/cm2以上100mW/cm2以下となる強度が挙げられる。また未定着トナー像Tへの赤外線照射量としては、例えば、50mJ/cm2以上5000mJ/cm2以下が挙げられる。
また、保護部材71の内周面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部材76と、レンズ部材72、摺動部材74、及び潤滑剤供給部材76を支持する支持部材78とが設けられている。
保護部材71は、内側に配置されているレンズ部材72を保護する管状の部材であり、赤外線を透過するガラス又は樹脂によって成形されている。
保護部材71を構成する樹脂材料としては、フッ素含有樹脂を含み、赤外線に対して透過性(例えば前記赤外線の透過率が80%以上)を有するものであれば特に限定されない。
前記フッ素含有樹脂としては、例えば、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(ETFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体(THV)、及びポリビニリデンフルオライド(PVDF)等が挙げられ、PFA、ポリビニリデンフルオライド、全フッ化環状エーテルポリマー等が好ましい。
また、レンズ部材72を保護する保護部材71を設ける代わりに、転写定着ベルト15の表面保護層としてコーティング材を付与してもよい。フッ素系コート材としてルミフロン系共重合フッ素樹脂ポリマーや、シリコン系の無機ナノグラスコート等の離型性コーティングをスプレー塗布、ディップ塗装により表面保護層を設けることが好ましい。
レンズ部材72は、波長が600nm以上1000nm以下の赤外線に対して透過性を有し、赤外線レーザ光を集光するものであれば限定されない。レンズ部材72に用いられる材料としては、例えば、ガラス、PMMA等のアクリル樹脂等が挙げられる。
レンズ部材72は、例えば、接触部80に赤外線レーザ光の焦点が来る焦点距離を有するものを選択してもよく、レンズ部材72及び赤外線レーザ光照射装置70の位置を調整することで前記焦点の位置を制御してもよい。
摺動部材74は、保護部材71の回転時に保護部材71の内周面とレンズ部材72とが直接接触してこれらの部材の表面が傷つくことを防ぎ、例えばレンズ部材72の表面に傷がつくことによる赤外線の透過率低下等を防ぐための部材である。
摺動部材74としては、波長が600nm以上1000nm以下の赤外線に対して透過性を有し、保護部材71に対して摩擦係数が小さく耐摩耗性に優れた材質で構成されたものが適している。
摺動部材74の材質としては、例えば、赤外線に対して透過性を有する樹脂(具体的には、例えばPTFE等の潤滑性フィラーを分散させたウレタンゴム、オレフィンゴム等)、ガラス等の繊維によって補強されたPFA樹脂、シリコーンオイル、及びシリコン系界面活性剤等で含浸又は表面処理された透明液状シリコーンゴム等が挙げられる。
また摺動部材74の厚みとしては、例えば、0.01mm以上1mm以下が挙げられる。
さらに摺動部材74の内部に、ワックスやシリコーンオイル等を含浸させた発泡部材を設けることで潤滑性を向上させ、保護部材71が回転するときにおける摺動部材74と保護部材71との摩擦抵抗及び擦れを軽減させ、これらの部材に対する影響を軽減させてもよい。
潤滑剤供給部材76は、潤滑剤を保持し、保護部材71の内周面に潤滑剤を供給する部材である。
潤滑剤としては、例えばシリコーンオイル、パラフィンオイル、フッ素オイル、その他固形物質と液体とを混合させた合成潤滑油グリース、ワックス等が挙げられる。
なお、本実施形態では潤滑剤を保護部材71の内周面に供給する形態であるが、潤滑剤を用いない形態でもよい。
二次転写ロール36は、転写定着ベルト15の外側(外周面側)に配置され、転写定着ベルト15と接触部80を形成し、転写定着ベルト15との間に記録媒体Pを挟んで搬送する回転部材である。二次転写ロール36は、転写定着ベルト15との間で記録媒体Pを挟み込む形状のものであれば特に限定されない。二次転写ロール36の具体例としては、例えば、円柱状芯金と、円柱状芯金の外周面に設けられた透明弾性層とを有する加圧ロール等が挙げられる。該弾性層の外周面に離型層を設けてもよい。
弾性層を構成する材料としては、ウレタンやオレフィン、NBR等の発泡導電ゴム材料を用いてもよい。
なお、転写定着ベルト15に一次転写されたトナー像Tは、例えば、赤外線吸収剤(赤外線を吸収し、熱としてエネルギーを放出する成分)を内添剤又は外添剤として含んだトナーを用いて形成されたものが使用される。
そして接触部80には記録媒体Pが搬送され、転写定着ベルト15の外周面に保持されたトナー像が転写定着ベルト15と記録媒体Pとに挟み込まれた状態で赤外線レーザ光Iが照射されることでトナー像Tに含有される赤外線吸収剤が赤外線レーザ光Iを吸収したのちに熱を放出する。未定着トナー像Tは、転写定着ベルト15及び二次転写ロール36によって圧力がかけられつつ瞬間的に温度が上昇して溶融し二次転写及び定着(二次転写定着)が実現され、用紙面上に定着画像Fとなる。
次に、本実施形態に係る転写定着ベルトを用いた第2実施形態の転写定着ユニットについて説明する。
図5は、本実施形態に係る転写定着ユニットの他の一例(第2実施形態)を示す概略構成図である。図5に示す転写定着ユニット90は、転写定着ベルト15に面する側が円弧状に形成されたレンズ部材72と摺動部材74を備え、転写定着ベルト15は二次転写ロール36との接触により内側に変形して円弧状の接触部80が形成されている。なお、第1実施形態に係る転写定着ユニットと同様の構成については同様の符号を用い、ここではその詳細な説明を省略する。
また、摺動部材74が転写定着ベルト15の内周面とレンズ部材72との間に設けられていることによって、摺動部材74が転写定着ベルト15の内周面に接触した状態で転写定着ベルト15が回転する。
次に、本実施形態に係る転写定着ベルトを用いた画像形成装置について説明する
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電する帯電装置と、帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成装置と、前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、前記本実施形態に係る転写定着ベルトと、前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記転写定着ベルトの外周面に一次転写する一次転写装置と、前記転写定着ベルトの外周面に一次転写された前記トナー像に、前記転写定着ベルトを介して前記赤外線のレーザ光を照射することにより前記トナー像を記録媒体に二次転写するとともに定着させる二次転写定着装置と、を備えて構成されている。
なお、ベルトクリーナ35の形態はチ特に限定されず、ブラシ、ブレード、静電的なクリーニングロール、発泡パッドが挙げられる。
本実施形態に係る画像形成装置では、図示しない画像読取装置や図示しないパーソナルコンピュータ(PC)等から出力される画像データは、図示しない画像処理装置により画像処理が施された後、画像形成ユニット1Y,1M,1C,1Kによって作像作業が実行される。
中間転写ベルト上のトナー像を用紙に転写した後、定着装置によって定着を行う装置では、用紙の膜厚、粗さ、抵抗、表面物性の影響を受けやすく、画像劣化(ブラー、画像乱れ、スミヤ、スマッジ等)をより受けやすい。一方、本実施形態に係る転写定着ベルト15によって転写定着を行う画像形成装置では、用紙の上記影響を受け難く、搬送ベルトとしても機能するため高速での画像形成に適している。
例えば、図5に示した転写定着ユニット90を備えた画像形成装置としてもよい。
また、転写定着ベルトを挟んで赤外線透過部材に対向する回転部材として二次転写ロールを備える場合について説明したが、ロールに限らず、例えばベルト状の回転部材(駆動、テンション、寄り止め蛇行防止ロール等)を備えてもよい。
(基材1の製造)
以下のようにして、ベルト状の基材1を製造した。
具体的には、BASF社製 6010pポリエーテルスルホン100質量部に和光純薬工業社製、ベンジルトリメチルアンモニウム塩を1質量部添加して相溶させ、これを押し出し成形し、φ60mm、長さ369mmの透明チューブを作製した。
上記方法により赤外線を透過する樹脂の基材1を得た。
得られた基材1の厚みは78μmであった。
なお、前記赤外線の透過スペクトルは、測定装置として紫外可視分光光度計(日本分光社製、型番:JASCO−V560)を用い、350nmから950nm領域での測定条件において測定した。
また、基材1の外周面における表面自由エネルギーを前述の方法で測定したところ、33mN/mであった。
また、転写定着ベルトAの外周面における表面A硬度を前述の方法で測定したところ、65度であった。
(弾性層及1び離型層1の形成)
基材1の外周面に直接、以下のようにして弾性層1及び離型層1を形成し、転写定着ベルトBを得た。
具体的には、信越化学工業社製 シリコーンゴムKE1606を用い、ロールコーターで380μmの厚みに塗布し、150℃、1時間焼成し、PFAチューブ(Duppont社製)を押し出し成形で作製した。基材1の外周面にシリコーンゴム層を塗布し、ついで該PFAチューブ(厚み33μm)を同径のアルミマンドレルに装着し、圧入被覆処理し、3層構成の転写ベルトを作製した。
上記方法により基材1上にシリコーンゴムの弾性層1と赤外線を透過するフッ素含有樹脂の離型層1を形成し、転写定着ベルトBを得た。
転写定着ベルトBについて600nm以上1000nm以下の赤外線の透過スペクトルを測定したところ、後述する半導体レーザが発する赤外線レーザ光の波長(808nm)における透過率が88%であり、転写定着ベルトBが赤外線に対して透過性を有することがわかった。
また、転写定着ベルトBの外周面における表面A硬度を前述の方法で測定したところ、102度であった。
図4に示す転写定着ユニット60を備えた図6に示す画像形成装置100において、転写定着ベルトとして、上記得られた転写定着ベルトA、転写定着ベルトBを用い、赤外線吸収剤を含むトナーを用いて定着画像(ソリッド画像)の形成を行った(プロセス速度:300mm/sec)。
転写定着ベルトの内側には、レンズ部材72と、レンズ部材72を保護する保護部材71としてガラス管(内径:25mm、外径:28mm)を設けた。
保護部材71は、転写定着ベルトの内周面に接触し、転写定着ベルトの周方向への移動に伴って回転するように支持し、レンズ部材は、赤外線レーザ光が転写定着ベルトと記録媒体との接触部(用紙ニップ方向)全体にわたって照射されるように固定して、記録媒体の表面に集光させ使用した。
レンズ部材72としてはシリンドリカルレンズ(シグマ光機社製、型番:BK7)を用いた。
トナーとしては、赤外線吸収剤としてスクアリリウム系顔料を含むトナーを用いた。
得られた定着画像について、以下のようにして光沢性の評価を行った。具体的には、グロスメーター(BYK マイクロトリグロス光沢計(20+60+85゜)、ガードナー社製)を用いて、60°の角度における光沢度を指標とした。評価結果を表1に示す。
定着率の評価は、テープ剥離試験により行った。具体的には、定着画像に粘着テープ(スコットメンディングテープ;3M社製)を軽く貼り、円柱ブロックを円周方向に転がすことにより、250g/cmの線圧にて該テープを画像面に密着させ、しかる後、該テープを引き剥がし、下式で表されるテープ引き剥がし前後の画像の光学濃度比を定着率とした。評価結果を表1に示す。
ここで、定着画像の画像濃度は、分光測色計(CM−3700d;ミノルタ社製)を使用して波長域400nm〜800nmの反射光を測定し、吸光度が最も大きくなる波長での吸光度値を光学濃度とした。
10 一次転写部
11 感光体(像保持体)
12 帯電器(帯電装置)
13 レーザ露光器(潜像形成装置)
14 現像器(現像装置)
15 転写定着ベルト
16 一次転写ロール
17 感光体クリーナ
20 二次転写定着部
21 基材
22 離型層
25 転写定着ベルト
30 赤外線透過部材
31 駆動ロール
32 支持ロール
33 張力付与ロール
34 クリーニング背面ロール
35 転写定着ベルトクリーナ
36 二次転写ロール
40 制御部
42 基準センサ
43 画像濃度センサ
50 用紙収容部
51 給紙ロール
52 搬送ロール
53 搬送ガイド
55 搬送ベルト
56 ガイド
60 転写定着ユニット
70 赤外線レーザ光照射装置
71 保護部材
72 レンズ部材
74 摺動部材
76 潤滑剤供給部材
78 支持部材
80 接触部
90 転写定着ユニット
100 画像形成装置
Bm 露光ビーム
F 定着画像
P 用紙(記録媒体)
T 未定着トナー像
Claims (5)
- 導電性と、600nm以上1000nm以下の少なくとも一部の波長領域の赤外線に対する透過性とを有する転写定着ベルト。
- 基材と、前記基材上に最外層として配置された離型層と、を有する請求項1に記載の転写定着ベルト。
- 前記基材は、イオン導電剤を含み、体積抵抗率が106Ωcm以上1014Ωcm以下である請求項2に記載の転写定着ベルト。
- 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電装置と、
帯電した前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の転写定着ベルトと、
前記像保持体の表面に形成された前記トナー像を前記転写定着ベルトの外周面に一次転写する一次転写装置と、
前記転写定着ベルトの外周面に一次転写された前記トナー像に、前記転写定着ベルトを介して前記赤外線のレーザ光を照射することにより前記トナー像を記録媒体に二次転写するとともに定着させる二次転写定着装置と、
を備えた画像形成装置。 - 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の転写定着ベルトと、
前記転写定着ベルトの外周面に接触して周方向に回転することにより前記転写定着ベルトとの間に記録媒体を挟んで搬送する回転部材と、
前記転写定着ベルトを挟んで前記回転部材の反対側で前記転写定着ベルトの内周面に接触し、前記赤外線のレーザ光に対する透過性を有する赤外線透過部材と、
像保持体の表面から前記転写定着ベルトの外周面に一次転写されたトナー像に、前記赤外線透過部材及び前記転写定着ベルトを介して前記赤外線のレーザ光を照射することにより前記転写定着ベルトと前記回転部材との接触部に搬送された前記記録媒体に前記トナー像を二次転写するとともに定着させる赤外線レーザ光照射装置と、
を備えた転写定着ユニット。
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