JP2015227665A - 内接歯車式ポンプ - Google Patents
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Abstract
【目的】インナーロータが接するアウターロータの位置を変更させることにより流体の吐出量を可変可能としたものであって、製造において高い精度を維持しつつ製造を簡単にする内接歯車式ポンプとすること。【構成】インナーロータ3と、その回転中心P3に対して所定の偏心量eを有して回転するアウターロータ4と、これを回転自在に包持し少なくとも3個のカム突起部53が形成されるアウターリング5と、ロータ室1を有するポンプハウジングAと、ロータ室の内周側面1bに形成され、カム突起部53と同数の突出壁面部6と、アウターリング5を揺動させる操作手段7とからなる。操作手段7にてアウターリング5の包持内周部51の直径中心P5が、インナーロータ3の回転中心P3に対して偏心量eを半径とする軌跡円Q上に沿う移動が行われるように突出壁面部6の位置を設定する。突出壁面部6のみ仕上加工とし、それ以外のロータ室の内周側面1bは鋳造とする。【選択図】 図1
Description
本発明は、インナーロータに対して、該インナーロータが接するアウターロータの位置を変更させることにより流体の吐出量を可変可能としたものにおいて、その製造において高い精度を維持しつつ、製造を簡単にすることができる内接歯車式ポンプに関する。
従来、インナーロータと、該インナーロータが接するアウターロータからなる内接歯車式ポンプが存在する。そして、この種の内接歯車式ポンプにおいて、インナーロータの位置を不動とした回転中心に対して、偏心する位置に回転中心を有すると共に前記インナーロータの回転中心を中心として前記偏心量を半径とする軌跡円をアウターロータの回転中心が移動する可変容量タイプとした内接歯車式ポンプが存在する。
この可変容量タイプとした内接歯車式ポンプは、インナーロータの回転中心と、アウターロータの回転中心とを結ぶ線を基準線とすると、該基準線がインナーロータの回転中心を中心として回転することになる。
このようにアウターロータを所定の軌跡に沿って移動させる手段を具備した内接歯車式ポンプは、種々存在するが、その一例として特許文献1を挙げる。以下に、特許文献1について概略する。なお、以下の説明において、部材に付された符号は、特許文献1に記載されたものをそのまま使用する。
特許文献1では、アウターロータ13を所定の軌跡で移動させるための調整リング14が備わってる。また、ケーシング1側にはガイド溝等の凹形状部分や、ガイドピンや突起等の凸形状部分が設けられている。そして、前記調整リング14は、移動手段を介して、凹形状部分や、凸形状部分等に沿って移動する。
特許文献1については、以下に述べるような課題(欠点)が存在する。一般にオイルポンプのケーシング1は、アルミ合金の鋳造によって製造される。そして、前述したように、ケーシング1の内部の前記凹形状及び凸形状は、特に高い寸法精度が要求され、これは、オイルポンプのロータの歯形の寸法精度と略同等の寸法精度を必要とする。具体的には±20〜30μm程度の寸法精度が必要である。
このような、アルミ合金の鋳造のみ(切削加工レス)で、±20〜30μmの寸法精度を出すことは困難である。そのために、アルミ合金の鋳造により製造されたケーシング1側の凹形状部や凸形状部は、全て切削加工により高い寸法精度を出す必要がある。そのために、非常に高価となり、且つ製造時間が長いものとなってしまう。
さらに、オイル中には少量のコンタミ(異物)等が存在し、このコンタミ(異物)等がケーシング1のガイド溝等の凹形状に付着した場合、凹形状のため逃げ場が無く、コンタミ等はガイド溝等の凹形状部分に留まり続ける。このような状況になると、調整リング14の凸形状部分がケーシング1の凹形状部分を摺動してきた場合に、コンタミ部分で引っ掛かり、円滑な調整リングの移動を阻害する恐れがある。
そこで、本発明の目的(解決しようとする技術的課題)は、インナーロータと該インナーロータが接するアウターロータからなる可変容量タイプの内接歯車式ポンプにおいて、極めて簡単な構造にすると共に、その製造において高い精度に仕上げることである。
そこで、発明者は上記課題を解決すべく、鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、 インナーロータと、該インナーロータの回転中心に対して所定の偏心量を有して回転するアウターロータと、該アウターロータを回転自在に包持する包持内周部と外周面の周方向に沿って少なくとも3個のカム突起部が形成されてなるアウターリングと、該アウターリングが揺動自在に配置されるロータ室を有するポンプハウジングと、前記ロータ室の内周側面に形成され且つ前記カム突起部と同数で且つ該カム突起部と常時当接する突出壁面部と、前記アウターリングを揺動させる操作手段とからなり、該操作手段により前記アウターリングの包持内周部の直径中心が前記インナーロータの回転中心に対して前記偏心量を半径とする軌跡円上に沿う移動が行われるように前記突出壁面部の位置が設定される構成としてなり、該突出壁面部のみ仕上げ加工が行われると共に該突出壁面部以外の前記ロータ室の内周側面は鋳造としてなることを特徴とする内接歯車式ポンプとしたことにより、上記課題を解決した。
請求項2の発明を、請求項1において、前記突出壁面部と前記カム突起部との当接及び摺動では、前記突出壁面部は、前記カム突起部に対して同一部分の点接触としてなる内接歯車式ポンプとしたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1又は2において、前記突出壁面部は、前記カム突起部と当接する部分を円弧形状としてなる内接歯車式ポンプとしたことにより、上記課題を解決した。
請求項4の発明を、請求項1,2又は3のいずれか1項の記載において、前記ロータ室内には前記アウターリングの揺動角度を所定範囲内に規制するために前記カム突起部が当接するストッパ壁面部が形成されてなる内接歯車式ポンプとしたことにより、上記課題を解決した。
請求項1の発明では、アウターロータを移動させるアウターリングには、アウターロータを回転自在に包持する包持内周部と、外周面の周方向に沿って少なくとも3個のカム突起部が所定間隔をおいて形成されたものである。また、ポンプハウジングのロータ室の内周側面には、前記アウターリングのカム突起部と同数の突出壁面部が形成され、それぞれの突出壁面部は、それぞれのカム突起部と常時当接する構造とした。
そして、アウターリングが操作手段によって揺動すると共に、アウターリングのカム突起部が前記突出壁面部と常時当接する構成としているので、アウターリングは、突出壁面部と当接するカム突起部の形状に従って所定の軌跡(軌跡円)に沿って案内移動することができ、これによって、内接歯車式ポンプの吐出量を調整することができる。
本発明は以上の構成としたことにより、アウターリングは、ポンプハウジングのロータ室の内周側面の凸状部や、凹状部によって移動軌跡が設定されるものではなく、アウターリングに形成されたカム突起部の形状に沿って、移動軌跡が設定される構成である。
つまり、請求項1の発明では、ロータ室の内周側面は高い寸法精度によって仕上げられる必要がなく、突出壁面部が形成される箇所のみ切削加工等による仕上げ加工を行えばよい。これによって、従来技術のようにケーシングの内面を複雑な曲線に切削加工するよりも、仕上げ範囲が少ないので格段に安く、且つ精度も高く、製造時間も短く済ませることができるものである。
請求項2の発明では、請求項1において、突出壁面部とカム突起部との当接及び摺動では、突出壁面部は、カム突起部に対して同一部分の点接触としたことにより、精度が必要なのは、接触する一箇所のみであり、製造及び検査時間を最小にできる。
請求項3の発明では、突出壁面部は、カム突起部と当接する部分を円弧形状としたことにより、突出壁面部とカム突起部との当接する角度が多少変化しても円弧状の面として、常に点接触となるので、接触の仕方は常に変わらず、安定した制御が行える。
請求項4の発明では、ロータ室内にはアウターリングの揺動角度を所定範囲内に規制するためにカム突起部が当接するストッパ壁面部が形成されることにより、アウターリングは、所定の揺動範囲内で確実に作動させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明は、図1(A),図2等に示すように、主に、ポンプハウジングAと、インナーロータ3と、アウターロータ4と、案内手段Bと、操作手段7とから構成される。また、案内手段Bは、アウターリング5と、突出壁面部6とから構成される。
ポンプハウジングAには、図1(A),(E)に示すように、ロータ室1と操作室2が形成される。ロータ室1の底面1aには、ポンプ駆動用の駆動軸が装着される軸孔11が形成され、該軸孔11の周囲に吸入ポート12と吐出ポート13が形成されている。また、吸入ポート12と吐出ポート13との間には間仕切部が形成されている。
この間仕切部は、ロータ室1内の2箇所に形成され、その一方は、吸入ポート12の終端部12bから吐出ポート13の始端部13aの間に位置するもので、この間仕切部を第1間仕切部14と称する〔図1(E),図2(A)参照〕。また、他方の間仕切部は、吐出ポート13の終端部13bから吸入ポート12の始端部12aの間に位置するものであり、これを第2間仕切部15と称する〔図1(E),図2(A)参照〕。
ロータ室1には、インナーロータ3、アウターロータ4及びアウターリング5が内装される〔図1(A),図3(A)等参照〕。また、操作室2には、操作手段7を構成する部材等が装着される。前記ロータ室1と操作室2とは連通されている。また、前記底面1aの周囲は内周側面1bとなっている。
インナーロータ3は、トロコイド形状又は略トロコイド形状とした歯車である。なお、本発明の説明においては、インナーロータ3とアウターロータ4との回転方向は、図中において時計回り方向とした。インナーロータ3は、複数の外歯31,31,…が形成されている。また、直径方向中心位置には、駆動軸用のボス孔32が形成され、該ボス孔32には、駆動軸が貫通固定される。ボス孔32は、非円形として形成され、ボス孔32と略同一形状の軸固定部が圧入等の固定手段にて駆動軸がインナーロータ3に固定され、インナーロータ3は駆動軸の回転駆動にて回転する。
アウターロータ4は、環状に形成され、内周側に複数の内歯41,41,…が形成されている。そして、インナーロータ3の外歯31の数は、アウターロータ4の内歯41の数よりも1つ少ない歯数として構成されている。インナーロータ3の外歯31,31,…と、アウターロータ4の内歯41,41,…によって複数の歯間空間S,S,…が構成され、前記歯間空間Sが前記第1間仕切部14を通過するときに閉鎖された空間を構成し、また最大容積の最大歯間空間Smaxとなる。
インナーロータ3の回転中心をP3とする(図2参照)。この回転中心P3は、ロータ室1に対して位置は不動である。アウターロータ4の回転中心は、P4とする。そして、回転中心P3と、回転中心P4とを結ぶ仮想の線を基準線Lと称する。該基準線Lは、後述する初期基準線Laと終端基準線Lbとの間を案内手段B及び操作手段7によって操作されインナーロータ3の回転中心P3を中心として周方向に揺動する。
インナーロータ3の回転中心P3と、アウターロータ4の回転中心P4とは離間しており、その離間距離を偏心量eと称する。該偏心量eは、インナーロータ3とアウターロータ4とが、常に一定の間隔を維持しながら回転し、内歯41,41,…と外歯31,31,…とのチップクリアランスを最適に維持するものである(図2参照)。
案内手段Bは、基準線Lを初期基準線Laから終端基準線Lbとなるまでの角度θの範囲で前記アウターロータ4を、揺動させる役目をなすものである(図3乃至図5参照)。案内手段Bは、アウターリング5,突出壁面部6とから構成される。アウターリング5は、前記アウターロータ4の回転中心P4を揺動させて、前記基準線Lの角度を変更させる役目をなすものである。アウターリング5は、略円環状に形成され、その内周側を包持内周部51と称する〔図2(A)参照〕。さらに、アウターリング5には、後述する操作手段7によって揺動されるための揺動操作突起部54が外周側面より直径外側方向に突出形成されている〔図1(A),図3(A)参照〕。
前記包持内周部51は、円形の内壁面として形成されたものであり、包持内周部51の内径は、アウターロータ4の外径と同一である。実際には、包持内周部51の内径は、アウターロータ4の外径よりも僅かに大きく、前記アウターロータ4が円滑に回転自在となるように、包持内周部51とアウターロータ4の間にクリアランスを有して挿入されるようになっているものであるが、この構成も同一の概念に含むものである。
つまり、アウターリング5の包持内周部51の直径中心P5は、該包持内周部51に挿
入された状態のアウターロータ4の回転中心P4と位置が一致するように構成されている
(図2参照)。アウターリング5は、ロータ室1内において、アウターロータ4を包持内周部51に配置して、これを安定した状態に支持すると共に、後述する操作手段7を介してインナーロータ3の回転中心P3を中心とした半径を偏心量eとする軌跡円Qに沿って
揺動させる(図3,図4参照)。
入された状態のアウターロータ4の回転中心P4と位置が一致するように構成されている
(図2参照)。アウターリング5は、ロータ室1内において、アウターロータ4を包持内周部51に配置して、これを安定した状態に支持すると共に、後述する操作手段7を介してインナーロータ3の回転中心P3を中心とした半径を偏心量eとする軌跡円Qに沿って
揺動させる(図3,図4参照)。
アウターリング5は、ポンプハウジングAのロータ室1に内装されるものであり、該ロータ室1内で、揺動可能となる構成となっている。そのために、アウターリング5の外形状に対して、ロータ室1は、僅かに広く形成され、アウターロータ4が揺動するためのスペースが余分に設けられている。
アウターリング5は、その揺動の軌跡が決まっており、アウターリング5の直径中心P5は、インナーロータ3の回転中心P3を中心とし、半径を偏心量eとする軌跡円Qに沿って揺動する(図2参照)。偏心量eは、前述したように、インナーロータ3の回転中心P3と、アウターロータ4の回転中心P4との離間距離である。そして、前記アウターリング5の包持内周部51の内径と、前記アウターロータ4の外径とは略等しいため、包持内周部51の直径中心P5と、該包持内周部51に挿入されたアウターロータ4の回転中心P4とは一致した状態である。
したがって、アウターリング5の揺動によって、アウターロータ4の回転中心P4は、
前記インナーロータ3の回転中心P3と偏心量eを維持しつつ、軌跡円Qに沿って、回転
中心P3の周囲を揺動する。これによって、回転中心P3と回転中心P4とを結ぶ基準線Lの角度も変化することになる(図2参照)。
前記インナーロータ3の回転中心P3と偏心量eを維持しつつ、軌跡円Qに沿って、回転
中心P3の周囲を揺動する。これによって、回転中心P3と回転中心P4とを結ぶ基準線Lの角度も変化することになる(図2参照)。
本発明において、アウターロータ4がインナーロータ3に対して揺動することによって、アウターロータ4には、初期位置と終端位置とが存在する。初期位置は、前記基準線Lが初期基準線Laと一致した状態であり、この状態でインナーロータ3の外歯31,31,…と、アウターロータ4の内歯41,41,…によって形成される歯間空間S,S,…において、最大容積となる最大歯間空間Smaxが前記吸入ポート12を通過する〔図2(A),図3(A)参照〕。
また、終端位置は、前記基準線Lが終端基準線Lbと一致した状態であり、この状態で前記最大歯間空間Smaxの位置は終端基準線Lb上を通過し、前記第1間仕切部14上で
最大歯間空間Smaxが通過する〔図4(B)参照〕。
最大歯間空間Smaxが通過する〔図4(B)参照〕。
そして、実際にアウターリング5が初期位置から終端位置に揺動する角度をθ’とし、初期基準線Laと終端基準線Lbとのなす角度はθとする。角度θ’は、角度θよりも小さくなる。つまり、操作手段7により、アウターリング5の揺動操作突起部54の僅かな移動により、初期基準線Laと終端基準線Lbに亘ってインナーロータ3とアウターロータ4との相対角度を大きく変更することができる(図2参照)。
アウターリング5の外周面52の周方向に沿って少なくとも3個のカム突起部53,53,…が所定間隔をおいて形成されている〔図1,図2(A),図5等参照〕。カム突起部53は、後述する突出壁面部6と当接し、且つ突出壁面部6に対して摺動する部位である。具体的には、アウターリング5の外周面52の周方向に略等間隔で形成され、カム突起部53が3個形成される場合では、略120度の角度をおいてカム突起部53,53,…が形成されている。
カム突起部53は、外周面52の周方向に対して所定の範囲に形成されている。この範囲とは、アウターリング5が最大に揺動した場合において、アウターリング5が突出壁面部6に対して摺動する範囲に略等しい。カム突起部53には、カム摺動面53aが形成されており、カム突起部53のカム摺動面53aの形状は、周方向に沿って、一端から他端に向かって次第に外周面52から離間するような傾斜面となる。
具体的には、カム摺動面53aは、外周面52を基準としたトロコイド曲線に近似した曲線に形成される。また、隣接するカム突起部53,53の傾斜方向も、同一ではなく、反対となることもある。また、カム突起部53のカム摺動面53aの形状は、トロコイド曲線形状に限定されず、平坦状の傾斜面として形成されることもある。前記カム突起部53,53,…の数は、3個としたが、それ以上の個数が形成されることもある。
突出壁面部6は、前記ロータ室1の内周側面1bから中心に向かって該内周側面1bと一体的に突出形成された部位である〔図1(E)参照〕。突出壁面部6は、前記アウターリング5のカム突起部53の個数と同数で形成され、ロータ室1の内周側面1bに形成される複数個所の突出壁面部6,6,…は、前記アウターリング5を包囲すると共に、それぞれのカム突起部53,53,…に常時当接するように設けられている〔図2(A),図3乃至図5参照〕。そして、後述する操作手段により前記アウターリング5の包持内周部51の直径中心P5が、インナーロータ3の回転中心P3に対して偏心量eを半径とする
軌跡円Q上に沿う移動が行われるように、それぞれの突出壁面部6,6,…の位置が設定され、カム摺動面53aの形状が設定される。
軌跡円Q上に沿う移動が行われるように、それぞれの突出壁面部6,6,…の位置が設定され、カム摺動面53aの形状が設定される。
突出壁面部6は、断面円形状に形成されることで、前記アウターリング5のカム突起部53のカム摺動面53aとの当接する部位は、常に同一部分であり、且つ略点接触となるようにしている〔図1(A),(B),(C),(D),図2等参照〕。突出壁面部6とカム突起部53のカム摺動面53aとの接触を同一部分の略点接触とすることにより、高い寸法精度が必要な範囲を最小にできる。
突出壁面部6は、カム突起部53のカム摺動面53aと当接する部分のみを円弧形状とした実施形態も存在する。また、突出壁面部6とカム突起部53のカム摺動面53aとの当接が点接触となるように、突出壁面部6の長手方向に直交する断面形状を三角形状とすることもある。本発明では、アウターリング5の移動はカム摺動面53aの形状で決まり、突出壁面部6は押え部材であるため、突出壁面部6は外側から押えてさえいれば良いため、突出壁面部6の形状の自由度が高い。
また、ロータ室1の内周側面1bには、アウターリング5の揺動角度を所定範囲内に規制するためにカム突起部53が当接するストッパ壁面部1dが形成される。該ストッパ壁面部1dは、具体的には、内周側面1bに周方向に段差となる部位が形成され、該段差部分をストッパ壁面部1dとしている。アウターリング5が最大限、周方向に揺動すると、ストッパ壁面部1dにカム突起部53が当接して、それ以上アウターリング5は揺動することが出来ないようになっている。
ここで、アウターリング5のそれぞれのカム突起部53のカム摺動面53aの形状は、以下の式で描画される(図6参照)。まず、インナーロータ3の回転中心P3をX−Y座標における原点つまり座標 (0,0)とする。そして、アウターリング5の初期位置(低回転時)におけるカム摺動面53aと突出壁面部6との当接点の座標Mを(x,y)とする。該座標Mは、アウターロータ4及びアウターリング5が初期状態の位置(図2参照)にあり、初期基準線La上に最大歯間空間Smaxが存在する。そして、初期基準線Laの位
置から基準線Lが、任意の角度だけ移動する。この移動角度における変数をθmとすると
、座標Mm(x’,y’)は以下のようになる。
置から基準線Lが、任意の角度だけ移動する。この移動角度における変数をθmとすると
、座標Mm(x’,y’)は以下のようになる。
そして、初期基準線Laに対して、角度θmが次第に増加して、基準線Lが終端基準線
Lbに到達するまでの座標Mm(x’,y’)の移動軌跡がカム突起部53のカム摺動面53aの形状を決定する(図6参照)。上記式によって形成されるカム摺動面53aは、3個の全てのカム突起部53,53,…に適応される。
Lbに到達するまでの座標Mm(x’,y’)の移動軌跡がカム突起部53のカム摺動面53aの形状を決定する(図6参照)。上記式によって形成されるカム摺動面53aは、3個の全てのカム突起部53,53,…に適応される。
したがって、アウターリング5のそれぞれのカム突起部53,53,…におけるカム摺動面53a,53a,…は、上記式を満たす形状となる。突出壁面部6,6,…と当接しつつ揺動し、アウターリング5は、その直径中心P5が、軌跡円Qに沿って移動する〔図
5(A),(B)参照〕。
5(A),(B)参照〕。
ここで、インナーロータ3とアウターロータ4とが初期位置にあるときは、初期基準線Laが吸入ポート12の周方向中間箇所を通過するものであって、吸入ポート12において、歯間空間Sが最大の最大歯間空間Smaxとなり、吐出ポート13で最小の最深噛み合
い部Sminとなるものである。
い部Sminとなるものである。
また、インナーロータ3とアウターロータ4とが終端位置にあるときは、歯間空間Sの容積が最大の最大歯間空間Smaxと、容積が最小となる最深噛み合い部Sminは終端基準線Lb上に移動する。したがって、第1間仕切部14において、歯間空間Sは最大となり、同時に第2間仕切部15で最小となる。
操作手段7は、ソレノイドバルブタイプ,油圧バルブタイプ等が使用され、直接に油圧をアウターリング5の揺動操作突起部54にかけて、該揺動操作突起部54を操作し、アウターリング5を周方向に揺動させる〔図1(A),(E)参照〕。操作手段7におけるバルブは、バルブポンプハウジング71にバルブ72とスプリング73が装着され、さらに二つの流路74,75を有するものである。
前記アウターリング5の揺動操作突起部54は外周面52から直径方向外側に突出するように形成されている。前記揺動操作突起部54は、ロータ室1に隣接且つ連通する操作室2に配置される。
該操作室2内において、揺動操作突起部54はその幅(周)方向両側がオイルの受圧面となっており、該揺動操作突起部54は操作室2を水密的に2つに分ける構造となっている。したがって、揺動操作突起部54には、スプリング付きのシール部材55が具備され、該シール部材55を介して揺動操作突起部54が操作室2を水密的に区分けしている。
前記操作手段7の二つの流路74,75がそれぞれ別の位置から連通するように接続されている。そして、一方の流路74又は流路75からオイルを送ると共に他方の流路74,75からオイルを流出させ、操作室2内で揺動操作突起部54を周方向に揺動させ、これによって、アウターリング5が揺動される。
次に、本発明における動作を説明する。ここで、操作手段7は、油圧にてバルブ72が作動する構造とし、その油圧は、ポンプの吐出圧と共に変化する構造のものとする。まず、ポンプ始動時から低回転時には、駆動軸の回転に伴ってインナーロータ3とアウターロータ4とが互いの外歯31,31,…と内歯41,41,…とを噛み合わせながら回転すると、前記歯間空間Sが吸入ポート12の前半で容積が拡大し、吸入ポート12の後半及び第1間仕切部14を通過した後に容積が収縮し、かかる容積を変化させることによってポンプ作用が行なわれる。
そして、ポンプ始動前あるいは始動直後のポンプ吐出圧がゼロあるいは極めて低い場合には、インナーロータ3の回転中心P3に対するアウターロータ4の位置を示す基準線L
は、初期位置線Laにある。これによって、インナーロータ3とアウターロータ4との初期位置状態では、ポンプ吐出量が最小となる〔図3(A),図5(A)参照〕。
は、初期位置線Laにある。これによって、インナーロータ3とアウターロータ4との初期位置状態では、ポンプ吐出量が最小となる〔図3(A),図5(A)参照〕。
ポンプ回転数の増加に伴い、中回転状態になり、ポンプ吐出圧が上昇すると、操作手段7が作用して、流路75から操作室2にオイルが流れアウターリング5がインナーロータ3とアウターロータ4との回転とは同一方向(本発明においては時計回りの方向)へ揺動を開始する〔図3(B),図4(A)参照〕。これによって、基準線Lは初期基準線Laから角度θm移動し、終端基準線Lbに近接してゆく。角度θmは、変数である。
そして、基準線Lが終端基準線Lbに到達する高回転状態になると、最大歯間空間Smaxの通過位置は、第1間仕切部14上の位置となる〔図4(B),図5(B)参照〕。そ
して、歯間空間Sの容積が最大になる状態で第1間仕切部14を通過することになる〔図4(B)参照〕。したがって、基準線Lが終端基準線Lbと一致する高回転となった状態で、ポンプ吐出量が最大となる〔図5(B)参照〕。
して、歯間空間Sの容積が最大になる状態で第1間仕切部14を通過することになる〔図4(B)参照〕。したがって、基準線Lが終端基準線Lbと一致する高回転となった状態で、ポンプ吐出量が最大となる〔図5(B)参照〕。
本発明では、アウターロータ4が回転自在に挿入されたアウターリング5は、操作手段7によってロータ室1内を揺動する。ここで、アウターリング5は、操作手段7によって、ロータ室1の略接線方向に移動するものであり、操作手段7による揺動角度(角度θ’)は小さいものである。しかし、アウターリング5自体は、包持内周部51の直径中心P5がインナーロータ3の回転中心P3を中心とし、偏心量eを半径とした軌跡円Qに沿って移動するものである。
そのために、前述した操作手段7によるロータ室1の接線方向における移動に加えて、アウターリング5の包持内周部51の直径中心P5が軌跡円Qに沿って上下方向への移動
も行われることとなり、アウターリング5に挿入されたアウターロータ4は、アウターリング5が操作手段7により揺動した角度θ’よりも、大きな角度θでアウターロータ4の回転中心P4を移動させることができる。
も行われることとなり、アウターリング5に挿入されたアウターロータ4は、アウターリング5が操作手段7により揺動した角度θ’よりも、大きな角度θでアウターロータ4の回転中心P4を移動させることができる。
この大きな移動により、初期位置の状態では第1間仕切部14でインナーロータ3とアウターロータ4による歯間空間Sは小さいものであったものが、高回転になるにつれその位相がずれて、第1間仕切部14での歯間空間Sは最大状態で通過することになる。つまり、このことによって、回転数の増加にともない、初期基準線Laの歯間空間Sは、終端基準線Lbに向かう間に増加し、終端基準線Lbにて最大状態となり、回転数に対するポンプの吐出量を増加させることができる。
また、ロータ室1にはアウターリング5を所定間隔で弾性付勢する押圧部材16が設けられている〔図1(A),図2(A)参照〕。該押圧部材16は、押圧頭部16aがバネ16bによりアウターリング5の外周面52を弾性付勢し、それぞれのカム突起部53,53,…と対応する突出壁面部6,6,…との当接箇所の当接圧力を略等しくし、アウターリング5が円滑に揺動できる構成としている。またオイルをシールする機能も有する。
なお、本発明において、特に図示しないが、前記ポンプハウジングAのロータ室1を覆うためのカバー部材が具備され、該カバー部材に突出壁面部6が装着されることもある。
A…ポンプハウジング、1…ロータ室、1d…ストッパ壁面部、3…インナーロータ、4…アウターロータ、5…アウターリング、51…包持内周部、52…外周面、
53…カム突起部、6…突出壁面部、7…操作手段、
P3…(インナーロータの)回転中心、P4…(アウターロータの)回転中心、
P5…(アウターリングの)直径中心、Q…軌跡円、e…偏心量。
53…カム突起部、6…突出壁面部、7…操作手段、
P3…(インナーロータの)回転中心、P4…(アウターロータの)回転中心、
P5…(アウターリングの)直径中心、Q…軌跡円、e…偏心量。
Claims (4)
- インナーロータと、該インナーロータの回転中心に対して所定の偏心量を有して回転するアウターロータと、該アウターロータを回転自在に包持する包持内周部と外周面の周方向に沿って少なくとも3個のカム突起部が形成されてなるアウターリングと、該アウターリングが揺動自在に配置されるロータ室を有するポンプハウジングと、前記ロータ室の内周側面に形成され且つ前記カム突起部と同数で且つ該カム突起部と常時当接する突出壁面部と、前記アウターリングを揺動させる操作手段とからなり、該操作手段により前記アウターリングの包持内周部の直径中心が前記インナーロータの回転中心に対して前記偏心量を半径とする軌跡円上に沿う移動が行われるように前記突出壁面部の位置が設定される構成としてなり、該突出壁面部のみ仕上げ加工が行われると共に該突出壁面部以外の前記ロータ室の内周側面は鋳造としてなることを特徴とする内接歯車式ポンプ。
- 請求項1において、前記突出壁面部と前記カム突起部との当接及び摺動では、前記突出壁面部は、前記カム突起部に対して同一部分の点接触としてなることを特徴とする内接歯車式ポンプ。
- 請求項1又は2において、前記突出壁面部は、前記カム突起部と当接する部分を円弧形状としてなることを特徴とする内接歯車式ポンプ。
- 請求項1,2又は3のいずれか1項の記載において、前記ロータ室内には前記アウターリングの揺動角度を所定範囲内に規制するために前記カム突起部が当接するストッパ壁面部が形成されてなることを特徴とする内接歯車式ポンプ。
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- 2015-09-17 JP JP2015183801A patent/JP2015227665A/ja active Pending
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