JP2015227155A - ハイブリッド車両の駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動機のロータ軸とスプライン嵌合する回転軸を備えた駆動装置において、歯打ち音を低減できるハイブリッド車両の駆動装置を提供する【解決手段】トルクが伝達されない場合には、キー材60の付勢力(弾性復帰力)によって元の状態に復帰し、互いのスプライン歯56、58が離間する。従って、第2電動機MG2の第2ロータ軸28のスプライン歯56と動力伝達軸26のスプライン歯58とが当接した状態で維持されるのを抑制することができる。これより、エンジン14の出力トルク(トルク変動)がカウンタ軸30と動力伝達軸26とのギヤ対(リダクションギヤ38、カウンタドリブンギヤ40)を介してスプライン嵌合部50に伝達されても、キー材60の弾性復帰力によって緩衝効果を得ることができる。【選択図】図6
Description
本発明は、ハイブリッド車両の駆動装置に係り、特に、電動機のロータ軸とスプライン嵌合する回転軸を備えた駆動装置において発生する歯打ち音を低減する技術に関するものである。
エンジンなどの駆動源および電動機を備えたハイブリッド形式の車両の駆動装置がよく知られている。例えば、特許文献1に記載のハイブリッド駆動装置もその1つである。特許文献1のハイブリッド駆動装置にあっては、4軸構成となっており、不図示のエンジンとモータ13とが第1軸上に配置され、モータ12が第2軸上に配置されている。エンジンに一体的に連結された出力軸15とモータ13のロータ軸16とは、プラネタリギヤ21を介して連結され、プラネタリギヤ21のリングギヤRがエンジン側ドライブギヤ22に連結されている。このエンジン側ドライブギヤ22が、第3軸として機能するカウンタシャフト24のモータ側ドリブンギヤ26に噛み合わされている。また、モータ12のロータ軸17は、駆動軸18にスプライン嵌合で連結されており、その駆動軸18のモータ側ドライブギヤ27がカウンタシャフト24のモータ側ドリブンギヤ26と噛み合わされている。ここで、モータ12のロータ軸17が駆動軸18にスプライン嵌合で連結されているが、このモータ12のロータ軸17と駆動軸18とのスプライン嵌合部に起因する歯打ち音を低減するため、ロータ軸17の端部と駆動軸18の端部との相互に重複する部位において、スプライン嵌合部以外の部分の全周に渡って弾性部材70(Oリング)が介挿されている。このOリングが介挿されることで、ロータ軸17と駆動軸18との径方向の相対的な移動が抑制されて歯打ち音が低減される。
しかしながら、上記特許文献1に開示された構造では、モータ12がトルクを出力して駆動軸18にトルク伝達される場合には、モータ12のロータ軸17との間に設けられたOリングが回転方向に滑ることとなる。そして、トルク伝達停止後には、モータ12のロータ軸17に形成されているスプライン歯が、駆動軸18に形成されているスプライン歯に対して回転方向の一方(片側)に詰まった状態で維持される。
この状態で、駆動源がトルクを出力する場合には、トルクはスプライン嵌合部よりもトルク伝達経路上流側に配置されたギヤ対(駆動源と駆動輪との間に設けられたギヤ対)を介してモータ12のロータ軸17に伝達されることとなる。このとき、モータ12のロータ軸17のスプライン歯と駆動軸18のスプライン歯とが当接した状態であるため、Oリングによる緩衝効果が働かない状態となっている。このため、駆動源が出力するトルク(回転変動)によって、スプライン嵌合部よりもトルク伝達経路上流側に配置されたギヤ対の歯打ち音が発生するという問題がある。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、電動機のロータ軸とスプライン嵌合する回転軸を備えた駆動装置において、スプライン嵌合部よりもトルク伝達経路上流側に配置されたギヤ対の歯打ち音を低減できるハイブリッド車両の駆動装置を提供することにある。
上記目的を達成するための、第1発明の要旨とするところは、(a)駆動源の出力軸に動力伝達可能に連結された第1の回転軸と、電動機の回転軸にスプライン嵌合された第2の回転軸と、前記第1の回転軸および前記第2の回転軸のそれぞれに動力伝達可能に連結され、且つ、駆動輪に動力伝達可能に連結された第3の回転軸とを、含み、前記第2の回転軸と前記第3の回転軸とがギヤ対を介して連結されているハイブリッド車両の駆動装置であって、(b)前記電動機の回転軸と前記第2の回転軸とのスプライン嵌合部であって、その電動機の回転軸とその第2の回転軸とが径方向に重なる部位には、前記電動機の回転軸と前記第2の回転軸との回転方向の相対位置を規定する位置決め部材が設けられており、(c)前記位置決め部材は、前記電動機の回転軸のスプライン歯と前記第2の回転軸のスプライン歯との回転方向の相対位置が所定位置となるように、前記電動機の回転軸と前記第2の回転軸とに回転方向の付勢力を付与するものであり、(d)前記位置決め部材は、周方向の一部に間隙が形成された部材であり、(e)前記電動機の回転軸に形成された第1の切欠と前記第2の回転軸に形成されその第1の切欠と回転方向において同じ位相の第2の切欠とで形成される空間に、その第1の切欠およびその第2の切欠に当接した状態で介挿されていることを特徴とする。
このように構成されると、電動機がトルクを出力する際には、電動機の回転軸がトルク伝達するのに伴って位置決め部材が回転方向に変形させられ、例えば電動機の回転軸のスプライン歯と第2の回転軸のスプライン歯とが当接した状態となるが、電動機がトルクの出力を停止すると位置決め部材が前記空間内で元の形状に変形(復帰)し、この変形に伴ってその位置決め部材とそれぞれ当接する電動機の回転軸および第2の回転軸の相対位置が所定位置になるまで相対回転させられて互いのスプライン歯が離間する。従って、電動機の回転軸のスプライン歯と第2の回転軸のスプライン歯とが当接した状態で維持されるのを抑制することができる。これより、駆動源の出力トルク(トルク変動)が第3の回転軸と第2の回転軸とのギヤ対を介してスプライン嵌合部に伝達されても、位置決め部材の弾性復帰力によって緩衝効果を得ることができる。結果として、第3の回転軸と第2の回転軸との間に設けられたギヤ対、すなわちスプライン嵌合部よりもトルクの伝達経路上流側に配置されたギヤ対の歯打ち音を抑制することができる。また、位置決め部材は、周方向の一部に間隙が形成された部材であるので、その間隙の大きさ等を調整することで、容易に所望する付勢力(剛性)を得ることができる。
また、第2発明の要旨とするところは、第1発明のハイブリッド車両の駆動装置において、前記所定位置は、前記電動機の回転軸のスプライン歯と、前記第2の回転軸のスプライン歯との間に周方向の間隙が形成される位置である。このように構成されると、電動機からトルクが出力されなくなると、位置決め部材の付勢力によって、電動機の回転軸のスプライン歯と第2の回転軸のスプライン歯との間に間隙が形成される。従って、駆動源のトルク変動が第3の回転軸と第2の回転軸とのギヤ対を介してスプライン嵌合部に伝達されても、位置決め部材の弾性復帰力によって緩衝効果を得ることができる。
また、第3発明の要旨とするところは、第1発明または第2発明のハイブリッド車両の駆動装置において、前記電動機の回転軸と前記第2の回転軸との間に所定値以上のトルクが付与された際には、前記位置決め部材の付勢力に抗って前記電動機の回転軸のスプライン歯と前記第2の回転軸のスプライン歯が当接させられるように、前記位置決め部材の剛性が設定されている。このように構成されると、所定値以上のトルクが伝達されると、電動機の回転軸のスプライン歯と第2の回転軸のスプライン歯とによってそのトルクを受けることで、位置決め部材に所定値以上のトルクが負荷されることが防止され、位置決め部材の耐久性低下が抑制される。
また、第4発明の要旨とするところは、第1発明から第3発明の何れか1のハイブリッド車両の駆動装置において、前記位置決め部材は、周方向の一部にスリットが形成されている円筒状の部材である。このように構成されると、電動機からトルクが出力されると位置決め部材にスリットが形成されるために、トルクに応じて位置決め部材が弾性変形させられる。一方、電動機からトルクが出力されなくなると、位置決め部材が自らの弾性復帰力によって元の形状に戻ることで、電動機の回転軸のスプライン歯と第2の回転軸のスプライン歯の相対位置を所定位置に戻すことができる。
また、第5発明の要旨とするところは、第1発明から第3発明の何れか1のハイブリッド車両の駆動装置において、前記位置決め部材は、周方向の一部が円筒形状に形成され、周方向の残部が非円筒形状であって前記間隙が形成された長手状の部材である。このように構成されると、周囲全体に渡って円筒形状の場合、位置決め部材が回転すると、位置決め部材による付勢力が変化する可能性が生じるが、周方向の一部が非円筒形状に形成されることで、位置決め部材が回転することが防止され、常に同じ付勢力を得ることができる。
また、第6発明の要旨とするところは、第1発明から第3発明の何れか1のハイブリッド車両の駆動装置において、前記位置決め部材は、内周側に配置される円筒部材および外周側に配置される円筒部材からなる二重円筒状の部材で構成され、前記内周側の円筒部材および外周側の円筒部材にはそれぞれスリットが形成されており、その内周側の円筒部材に形成されるスリットおよびその外周側の円筒部材に形成されるスリットは、周方向において異なる位置に設定されている。このように構成されると、位置決め部材の回転に拘わらず、位置決め部材による付勢力を略一定に維持することができる。
また、第7発明の要旨とするところは、第1発明から第3発明の何れか1のハイブリッド車両の駆動装置において、前記位置決め部材は、断面U字形状を有する長手状の部材と周方向の一部にスリットが形成された円筒状の部材とから構成され、前記長手状の部材の内側に前記円筒状の部材が互いに接触した状態で配置された構造であることを特徴とする。このように位置決め部材が構成されると、外側に断面U字形状の長手状の部材が配置されるため、車両走行中に位置決め部材が回転することもないので、付勢力が変化することも抑制される。
また、第8発明の要旨とするところは、第1発明から第3発明の何れか1のハイブリッド車両の駆動装置において、前記位置決め部材は、断面U字形状を有する長手状の第1部材と、断面U字形状を有する長手状の第2部材とから構成され、前記第1部材の内側に前記第2部材が互いに接触しつつ入れ子で配置されていることを特徴とする。このように位置決め機構が構成されると、位置決め部材が断面U字形状を有するため、車両走行中に位置決め部材が回転することもないので、付勢力が変化することも抑制される。
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用されたハイブリッド車両10に備えられる駆動装置12の構造を説明するための骨子図である。駆動装置12は、走行用駆動力源(動力源)として機能し公知のガソリンエンジンやディーゼルエンジン等であるエンジン14と、エンジン14の動力を駆動輪16に伝達する車両用動力伝達装置18(以下、動力伝達装置18という)とを含んでいる。動力伝達装置18は、その動力伝達装置18の筺体であるケース19内に互いに平行な4つの回転軸心(C1〜C4)を備えて構成されている。第1軸心C1はエンジン14の回転軸心に一致しており、第1軸心C1上には、出力軸20、動力分配機構22、および第1電動機MG1の第1ロータ軸24が回転可能に支持されている。第2軸心C2上には、動力伝達軸26および第2電動機MG2の第2ロータ軸28が回転可能に支持されている。第3軸心C3上には、カウンタ軸30が回転可能に配置されている。また、第4軸心C4上には、差動歯車装置すなわちデフギヤ32が回転可能に支持されている。なお、第1ロータ軸24が本発明の第1の回転軸に対応し、動力伝達軸26が本発明の第2の回転軸に対応し、第2ロータ軸28が本発明の電動機の回転軸に対応し、カウンタ軸30が本発明の第3の回転軸に対応し、第2電動機MG2が本発明の電動機に対応している。
第1軸心C1上において、出力軸20はダンパ装置34を介してエンジン14に連結されており、出力軸20と第1電動機MG1との間に動力分配機構22が介挿されている。動力分配機構22は、第1軸心C1まわりに回転可能なサンギヤSおよびリングギヤRとそれらと噛み合うピニオンギヤを自転および公転可能に支持するキャリヤCAとから主に構成されている。サンギヤSは第1電動機MG1の第1ロータ軸24に相対回転不能に連結され、キャリヤCAは出力軸20、ダンパ装置34等を介してエンジン14に接続され、リングギヤRは、カウンタドライブギヤ35が形成されている複合ギヤ軸36の内周部に一体的に形成されている。従って、リングギヤRの回転は、カウンタドライブギヤ35に伝達される。
第2軸心C2上において、第2電動機MG2の第2ロータ軸28がスプライン嵌合部50を介して動力伝達軸26に接続されている。動力伝達軸26には、リダクションギヤ38が形成され、カウンタ軸30に形成されているカウンタドリブンギヤ40と噛み合っており、リダクションギヤ38およびカウンタドリブンギヤ40によって構成されるギヤ対を介して動力伝達軸26とカウンタ軸30とが連結される。
第3軸心上に配置されているカウンタ軸30には、カウンタドライブギヤ35およびリダクションギヤ38と噛み合うカウンタドリブンギヤ40と、デフギヤ32に形成されているデフリングギヤ46と噛み合うデフドライブギヤ42とが一体的に形成されている。このように、カウンタドリブンギヤ40がカウンタドライブギヤ35およびリダクションギヤ38と噛み合うことで、カウンタ軸30は、第1ロータ軸24および動力伝達軸26に動力伝達可能に連結されている。
第4軸心上に配置されているデフギヤ32は、デフドライブギヤ42と噛み合うデフリングギヤ46を含んで構成されており、左右一対の駆動輪16に適宜回転速度差を付与する差動機構を備えて構成されている。これより、カウンタ軸30はデフギヤ32等を介して駆動輪16に動力伝達可能に連結される。
図2は、図1の破線で囲まれる第2電動機MG2の第2ロータ軸28と動力伝達軸26とのスプライン嵌合部50周辺を詳細に説明する断面図である。図2に示すように、第2電動機MG2の第2ロータ軸28は、その第2ロータ軸28の軸方向の端部に設けられている玉軸受52によって回転可能に支持されている。動力伝達軸26は、その動力伝達軸26の軸方向の端部近傍に設けられている玉軸受54によって回転可能に支持されている。そして、スプライン嵌合部50において第2ロータ軸28と動力伝達軸26とがスプライン嵌合によって相対回転不能に接続される。なお、玉軸受52、54は、何れもケース19によって支持されている。
スプライン嵌合部50は、第2ロータ軸28の内周部において軸心と平行に形成されているスプライン歯56と、動力伝達軸26の外周部において軸心と平行に形成されているスプライン歯58とから構成されている。また、第2ロータ軸28のスプライン歯56と動力伝達軸26のスプライン歯58とが互いにスプライン嵌合する部位に隣接して、位置決め部材として機能するキー材60が設けられている。詳細には、キー材60は、軸方向において第2ロータ軸28の開口端部であって、且つ、第2ロータ軸28と動力伝達軸26とが径方向において重なる部位に設けられており、第2ロータ軸28と動力伝達軸26との間に介挿されている。キー材60は、軸方向において所定の長さを有する長手状の部材であり、例えばバネ鋼などから構成されている。また、キー材60は、第2ロータ軸28および動力伝達軸26と同一ないしはそれに近い線膨張率を有するものが選択される。キー材60が第2ロータ軸28および動力伝達軸26と同一ないしはそれに近い線膨張率を有することで、キー材60の熱膨張に応じて第2ロータ軸28および動力伝達軸26も熱膨張し、キー材60の膨張や収縮による付勢力の変化も低減される。なお、スプライン歯56が本発明の電動機の回転軸のスプライン歯に対応し、スプライン歯58が本発明の第2の回転軸のスプライン歯に対応し、キー材60が本発明の位置決め部材に対応している。
図3は、図2の破断線Aで切断したA−A断面図であり、図4は、図3のキー材60周辺を拡大して示した部分拡大図である。図3に示すように、キー材70は、断面がU字状に形成されており、周方向に等角度間隔で4個設けられている。また、図4に示すように、キー材60は、動力伝達軸26に形成されている内側キー溝62と、第2ロータ軸28に形成されている外側キー溝64とによって形成される空間内で内側キー溝62および外側キー溝64に当接した状態で介挿されている。なお、内側キー溝62および外側キー溝64は、回転方向において同じ位相に形成され、その溝幅はそれぞれ同じ寸法とされている。また、内側キー溝62が本発明の第2の切欠に対応し、外側キー溝64が本発明の第1の切欠に対応している。
キー材60は、周方向の一部が円筒形状に形成され、周方向の残部が非円筒形状に形成されている。具体的には、断面が略半円形状の円弧部66と、その円弧部66の両端に接続されて互いに平行な一対の平板部68とから構成されている。また、一対の平板部68が設けられることで、一対の平板部68の間に間隙Lが形成される。そして、円弧部66が第2ロータ軸28の外側キー溝64と当接し、一対の平板部68が動力伝達軸26の内側キー溝62の周方向の両端と当接している。このように一対の平板部68が内側キー溝62と当接することで、キー材60が内側キー溝62に係合し、キー材60と動力伝達軸26との相対回転は生じない。また、平板部68が回転止めとして機能し、キー材60の回転が防止される。また、図4に示すように第2ロータ軸28の外側キー溝64には、径方向に向かうに従ってキー溝64の周方向の幅が狭くなる方向のテーパ70が形成されている。このテーパ70が形成されることで、キー材60の円弧部66が周方向に渡って外側キー溝64と当接して外側キー溝64との接触面積が大きくなり、キー材60がキー溝と局所的にあたって破損することも防止される。
上記のように構成される駆動装置12の作動について説明する。図5は、第2ロータ軸28のスプライン歯56と動力伝達軸26のスプライン歯58との噛合状態を平面上に展開した展開図である。図5(a)が本実施例のスプライン歯56およびスプライン歯58(以下、特に区別しない場合にはスプライン歯56、58と記載)の噛合状態を示しており、図5(b)が従来構造のスプライン歯56、58の噛合状態を示している。また、実線で示すスプライン歯56がトルクが伝達された場合の状態を示し、破線で示すスプライン歯56がトルクが伝達されない場合の状態を示している。
図5(a)に示す本実施例にあっては、エンジン14からトルクが伝達されない場合、破線で示す第2ロータ軸28のスプライン歯56と実線で示す動力伝達軸26のスプライン歯58との間の周方向の間隙sが略均等に形成される。これは、キー材60が介挿されることで、トルクが伝達されなくなるとキー材60の弾性復帰力に起因する付勢力によって、互いのスプライン歯56、58が図5(a)に示す間隙sが略均等となる所定位置(相対位置)に復帰するためである。すなわち、キー材60は、キー溝62、64に介挿された状態で、第2ロータ軸28および動力伝達軸26の回転方向の相対位置が、互いのスプライン歯56、58の周方向の間隙sが略均等となる所定位置に規定(付勢)されるように設計されている。この図5(a)に示す状態でトルク(トルク変動)が伝達された場合、実線で示すように、スプライン歯56とスプライン歯58との相対位置が変動するが、キー材60が変形すると元の形状に復帰させる弾性復帰力が発生するため、比較的低トルク域ではスプライン歯56、58同士の衝突が防止される。
一方、図5(b)に示す従来構造にあっては、前回のトルク伝達などが影響し、トルクが伝達されない状態であっても、図5(b)の破線で示すように互いのスプライン歯56、58の周方向の間隔が不均一となる場合がある。この状態で動力伝達軸26にエンジン14からのトルクが伝達されると、図5(b)の実線で示すように、第2ロータ軸28のスプライン歯56と動力伝達軸26のスプライン歯58とが衝突する可能性がある。
図6は、第2ロータ軸28のスプライン歯56と動力伝達軸26のスプライン歯58との噛合状態に対応するキー材60の状態を示している。図6(a)〜図6(c)において、それぞれ左側がスプライン歯56およびスプライン歯58の噛合状態を示し、右側がそのときのキー材70の状態を示している。また、図6(a)が動力伝達軸26からトルクが伝達されない状態を示し、図6(b)が動力伝達軸26から低トルクが伝達された場合を示し、図6(c)が動力伝達軸26から高トルクが伝達された場合を示している。
動力伝達軸26からトルクが伝達されない状態では、キー材60の弾性復帰力によって、第2ロータ軸28のスプライン歯56と動力伝達軸26のスプライン歯58との間の周方向のsが略均等となるように、キー材60とキー溝62、64との間で矢印で示すような付勢力が発生する。これより、第2ロータ軸28と動力伝達軸26にあっては、互いのスプライン歯56、58の間隙sが略均等となる回転位置(相対位置)に規定される。
また、図6(a)に示す状態から予め設定されている所定値Ta未満の低トルクが伝達されると、図6(b)に示す状態となる。所定値Ta未満の低トルクが伝達される場合、キー材60がそのトルクによって変形させられるが、そのトルクが小さいためにキー材60の弾性復帰力が作用して互いのスプライン歯56、58の衝突が防止される。また、図6(a)に示す状態から前記所定値Ta以上の高トルクが伝達(付与)された際には、図6(c)に示す状態となる。この高トルクが伝達される場合、キー材60がさらに変形させられ、キー材60の付勢力に抗ってスプライン歯56とスプライン歯58とが当接させられる。このように、前記所定値Ta以上の高トルクが伝達される場合には、トルクを互いのスプライン歯56、58で受けることで、キー材60に所定値Ta以上の負荷がかかることが防止され、キー材60の破損も防止される。ここで、スプライン歯56、58に所定値Ta以上の高トルクが伝達される場合には、その力が歯面分離を抑制する方向に作用するので、スプライン歯56、58が当接しても歯打ち音は発生しにくい。なお、前記トルクの所定値Taは、予め実験等に基づいてキー材60の耐久性が低下しない程度の値に設定され、キー材60は、その所定値Taが伝達された場合にスプライン歯56、58同士が当接するようにキー材60の剛性(材質、形状)や個数等が設定されている。
上述のように、本実施例によれば、第2電動機MG2がトルクを出力する際には、第2電動機MG2の第2ロータ軸28がトルク伝達するのに伴ってキー材60が回転方向に変形させられ、例えば第2電動機MG2のロータ軸28のスプライン歯56と動力伝達軸26のスプライン歯58とが当接した状態となるが、第2電動機MG2がトルクの出力を停止するとキー材60が内側キー溝62と外側キー溝とで形成される空間内で元の形状に変形(復帰)し、この変形に伴って、キー材60とそれぞれ当接する第2電動機MG2の第2ロータ軸28および動力伝達軸26の相対位置が所定位置になるまで相対回転させられ、互いのスプライン歯56、58が離間する。従って、第2電動機MG2の第2ロータ軸28のスプライン歯56と動力伝達軸26のスプライン歯58とが当接した状態で維持されるのを抑制することができる。これより、エンジン14の出力トルク(トルク変動)がカウンタ軸30と動力伝達軸26とのギヤ対(リダクションギヤ38、カウンタドリブンギヤ40)を介してスプライン嵌合部50に伝達されても、キー材60の弾性復帰力によって緩衝効果を得ることができる。結果として、カウンタ軸30と動力伝達軸26との間に設けられたギヤ対、すなわちスプライン嵌合部50よりもトルクの伝達経路上流側に配置されたギヤ対の歯打ち音を抑制することができる。また、キー材60は、周方向の一部に間隙Lが形成された部材であるので、その間隙Lの大きさ等を調整することで、容易に所望する付勢力(剛性)を得ることができる。
また、本実施例によれば、第2電動機MG2からトルクが出力されなくなると、キー材60の付勢力(弾性復帰力)によって、第2電動機MG2の第2ロータ軸28のスプライン歯56と動力伝達軸26のスプライン歯58との間に間隙sが形成される。従って、エンジン14のトルク変動がカウンタ軸30と動力伝達軸26とのギヤ対(リダクションギヤ38、カウンタドリブンギヤ40)を介してスプライン嵌合部50に伝達されても、キー材60の弾性復帰力によって緩衝効果を得ることができる。
また、本実施例によれば、キー材60は、第2電動機MG2の第2ロータ軸28に形成された外側キー溝64と、動力伝達軸26に形成されその外側キー溝64と回転方向において同じ位相の内側キー溝62とで形成される空間に介挿されている。このように構成されると、第2電動機MG2からトルクが出力されなくなると、外側キー溝64と内側キー溝62とによって形成される空間に介挿されているキー材60が弾性復帰力によって元の形状に復帰することで第2電動機MG2の第2ロータ軸28と動力伝達軸26とが相対回転させられ、第2電動機MG2の第2ロータ軸28と動力伝達軸26とが所定位置に復帰する。
また、本実施例によれば、所定値Ta以上のトルクが伝達されると、第2電動機MG2の第2ロータ軸28のスプライン歯56と動力伝達軸26のスプライン歯58とによってそのトルクを受けることで、キー材60に所定値Ta以上のトルクが負荷されることが防止され、キー材60の耐久性低下が抑制される。
また、本実施例によれば、キー材60は、周方向の一部(円弧部66)が円筒形状に形成され、周方向の残部が非円筒形状であって前記間隙Lが形成された長手状の部材(平板部68)であるため、周囲全体に渡って円筒形状の場合、キー材60が回転すると、キー材60による付勢力が変化する可能性が生じるが、周方向の一部が非円筒形状に形成されることで、キー材60が回転することが防止され、常に同じ付勢力を得ることができる。
つぎに、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
図7は、本発明の他の実施例であるキー材80の形状を示す図である。なお、キー材80の形状以外の構造については、前述した実施例と変わらないのでその説明を省略する。図7において、左側がキー材80の正面図に対応し、右側がキー材80の側面図に対応している。図7に示すキー材80は、長手状に形成された断面略円還の円筒状の部材であり、周方向の一部に内周と外周とを連通するするスリット82が形成されている。このスリット82が形成されることで、周方向の一部に間隙Lが形成されてキー材80を変形させることができ、キー材80を弾性部材として機能させることができる。なお、キー材80が、本発明の位置決め部材に対応している。
上記のように構成されるキー材80において、第2ロータ軸28と動力伝達軸26との間にトルクが伝達されない状態では、キー材80の弾性復帰力によってスプライン歯56とスプライン歯58との周方向の間隙sが略均等となる位置に復帰させられる。また、第2ロータ軸28と動力伝達軸26との間でトルクが伝達されると、そのトルクの大きさに応じてキー材80が弾性変形させられ(捩れ)、トルクが所定値以上となるとスプライン歯56とスプライン歯58とが当接するまで変形するように設定されている。このようにキー材80が設定されることで、キー材80においても前述の実施例のキー材60と同様に機能させることができる。
上述のように、本実施例によっても前述の実施例と同様の効果を得ることができる。また、キー材80は、周方向の一部にスリット82が形成されて間隙Lが形成されている円筒状の部材であるため、第2電動機MG2からトルクが出力されると、そのトルクに応じてキー材80が弾性変形させられる。一方、第2電動機MG2からトルクが出力されなくなると、キー材80が自らの弾性復帰力によって元の形状に戻ることで、第2電動機MG2の第2ロータ軸28のスプライン歯56と動力伝達軸26のスプライン歯58との相対位置を所定位置に戻すことができる。また、キー材80は、円筒部材にスリットを入れるだけで済むため、小型で高い剛性を得ることもできる。
図8は、本発明のさらに他の実施例であるキー材90の形状を示す図である。なお、キー材90の形状以外の構造については、前述の実施例と変わらないのでその説明を省略する。図8において、左側がキー材90の正面図に対応し、右側がキー材90の側面図に対応している。図8に示すキー材90も同様に、軸方向に長手状に形成された筒状の部材であり、周方向の一部が円弧状に形成され、周方向の残部が非円弧状に形成されている。なお、キー材90が、本発明の位置決め部材に対応している。
キー材90は、図9において一点鎖線で示す軸心Cより上方に円弧状に形成された円弧部92と、その円弧部92に連結された一対の部材96から構成されている。部材96は、円弧部92の周方向の両端から所定の長さまで略平行に伸び、さらに内部側に向かってU字状に折り曲げられて構成されている。
そして、部材96の両端の間には間隙Lが形成されており、この間隙Lが形成されることで、キー材90を変形させてキー材90を弾性部材として機能させることができる。なお、円弧部92が第2ロータ軸28に形成されている外側キー溝64側に当接するようにして収容され、一対の部材96が動力伝達軸26に形成されている内側キー溝62の両端に当接するようにして収容される。
そして、部材96の両端の間には間隙Lが形成されており、この間隙Lが形成されることで、キー材90を変形させてキー材90を弾性部材として機能させることができる。なお、円弧部92が第2ロータ軸28に形成されている外側キー溝64側に当接するようにして収容され、一対の部材96が動力伝達軸26に形成されている内側キー溝62の両端に当接するようにして収容される。
上記のように構成されるキー材90において、第2ロータ軸28と動力伝達軸26との間にトルクが伝達されない状態では、キー材90の弾性復帰力によってスプライン歯56とスプライン歯58との周方向の間隙sが略均等となる位置に復帰させられる。また、第2ロータ軸28と動力伝達軸26との間でトルクが伝達されると、そのトルクの大きさに応じてキー材90が弾性変形させられ、さらにトルクが所定値以上となるとスプライン歯56とスプライン歯58とが当接するまで変形するように設定されている。また、一対の部材96が内側キー溝62に当接するようにして収容されることで、キー材90が回転することも防止される。このように、キー材90においても、前述の実施例のキー材60と同様に機能する。
上述のように、本実施例においても前述の実施例と同様の効果を得ることができる。また、キー材90は、周方向の一部(円弧部92)が円筒形状に形成され、周方向の残部が非円筒形状であって前記間隙Lが形成された長手状の部材96であるため、周囲全体に渡って円筒形状の場合、キー材90が回転すると、キー材90による付勢力が変化する可能性が生じるが、周方向の一部が非円筒形状に形成されることで、キー材90が回転することが防止され、常に同じ付勢力を得ることができる。
図9は、本発明のさらに他の実施例であるキー材100の形状を示す図である。なお、キー材100の形状以外の構造については、前述の実施例と変わらないのでその説明を省略する。図9において、左側がキー材100の正面図に対応し、右側がキー材100の側面図に対応している。なお、キー材100が、本発明の位置決め部材に対応している。
キー材100は、外周側に配置されている外側円筒部102と、その外側円筒部102の内周側に配置されている内側円筒部104とから構成される二重円筒状の部材である。外側円筒部102にはスリット106が形成され、内側円筒部104にはスリット108が形成されている。このスリット108が形成されることで内側円筒部104の周方向の一部に間隙L1が形成され、スリット106が形成されることで外側円筒部102の周方向の一部に間隙L2が形成される。これらスリット106およびスリット108は、周方向において異なる位置に設定され、本実施例では、軸心Cを中心にして対向する位置に設定されている。なお、外側円筒部102が本発明の外周側の円筒部材に対応し、内側円筒部104が本発明の内周側の円筒部材に対応している。
上記のように構成されるキー材100において、第2ロータ軸28と動力伝達軸26との間にトルクが伝達されない状態では、キー材100の弾性復帰力によってスプライン歯56とスプライン歯58との周方向の間隙sが略均等となる位置に復帰させられる。また、第2ロータ軸28と動力伝達軸26との間にトルクが伝達されると、そのトルクの大きさに応じてキー材100が弾性変形させられ、トルクが所定値以上となるとスプライン歯56とスプライン歯58とが当接するまで変形させられるように設定されている。また、キー材100にあっては、二重円筒状に形成され、それぞれに形成されているスリット106、108が周方向において異なる位置に設定されているので、キー材100の回転位置に拘わらず同じ捩れ剛性(弾性復帰力)を得ることができる。すなわち、キー材100が回転した場合であっても略等しい弾性復帰力(捩れ剛性)を得ることができる。このようにキー材100が設定されることで、キー材100においても前述の実施例のキー材60と同様に機能する。
上述のように、本実施例によっても前述の実施例と同様の効果を得ることができる。また、キー材100は、内周側に配置される内側円筒部104および外周側に配置される外側円筒部102からなる二重円筒状の部材で構成され、内側円筒部104および外側円筒部102にはそれぞれスリット106、108が形成されており、その内側円筒部104に形成されるスリット108および外側円筒部102に形成されるスリット106は、周方向において異なる位置に設定されている。このように構成されると、キー材100の回転に拘わらず、キー材100による付勢力を略均等に維持することができる。
図10は、本発明のさらに他の実施例であるキー材120の構造を示す図である。なお、キー材120以外の構造については、前述の実施例と変わらないためその説明を省略する。図10(a)がキー材120の正面図に対応し、図10(b)が図10(a)のA−A断面図に対応している。なお、キー材120が、本発明の位置決め部材に対応している。
キー材120は、断面U字形状の長手方向に所定の寸法を有する第1部材122と、略円筒形状の第2部材124とから構成されている。第1部材122は、長手方向に所定の寸法を有し、断面がU字形状を有することで、その開口側に幅L1の第1間隙126が形成されている。また、第2部材124は、長手方向に所定の寸法を有する円筒形状を有し、周方向の一部に幅L2の第2間隙128が形成されている。なお、第1部材122が本発明の長手状の部材に対応し、第1間隙126が本発明の間隙に対応し、第2部材124が本発明の円筒状の部材に対応し、第2間隙128が本発明の間隙およびスリットに対応している。
キー材120は、第1部材122の内側に形成されている第1間隙126の間に、第2部材124が配置される入れ子構造を有している。第1部材122の内側壁面と第2部材124の外周壁面とは、互いに接触させられている。また、第2部材124に形成されている第2間隙128が、第1部材122の第1間隙126から遠ざかる位置(対向する位置)に組み付けられている。
上記のように構成されるキー材120が、第2ロータ軸28の外側キー溝64と動力伝達軸26の内側キー溝62とによって形成される空間に配置されると、トルクが伝達されない状態では、キー材120の弾性復帰力によってスプライン歯56とスプライン歯58との周方向の間隙sが略均等となる位置に付勢されるように設計されている。また、第2ロータ軸28と動力伝達軸26との間にトルクが伝達されると、そのトルクの大きさに応じてキー材120が変形させられる。具体的には、トルクが予め設定されている所定値未満の低トルク領域では、スプライン歯56とスプライン歯58との当接が防止される程度に変形させられ、トルクが所定値以上となるとスプライン歯56とスプライン歯58とが当接するまで変形させられる。このとき、キー材120に弾性復帰力が発生し、キー材120が緩衝部材として機能するため、スプライン歯56とスプライン歯58との接触による歯打ち音が低減される。
上述した本実施例のキー材120によっても、前述した実施例と同様の効果を得ることができる。また、キー材120にあっては、第1部材122がU字形状を有するので、円筒形状のキー材と違って車両走行中に回転することもないため、スプライン歯56とスプライン歯58との相対位置がずれることも防止されるとともに、付勢力が変化することも抑制される。
図11は、本発明のさらに他の実施例であるキー材140の構造を示す図である。なお、キー材140以外の構造については、前述した実施例と変わらないためその説明を省略する。図11(a)がキー材140の正面図に対応し、図11(b)が図11(a)のA−A断面図に対応している。なお、キー材140が、本発明の位置決め部材に対応している。
キー材140は、断面U字形状であって長手方向に所定の寸法を有する第1部材142と、断面U字形状であって長手方向に所定の寸法を有する第2部材144とから構成されている。第1部材142は、断面U字形状を有することで、その開口側に幅L1の第1間隙146が形成されている。第2部材144は、断面U字形状を有することで、その開口側に幅L2の第2間隙148が形成されている。
キー材140は、第1部材142の内側に形成されている第1間隙146の間に第2部材144が配置される入れ子構造となっている。また、第1部材142の内側の壁面と第2部材144の外側の壁面とが互いに接触させられている。また、第1部材142の開口を塞ぐようにして第2部材144が配置されている。すなわち、第1部材142の開口と第2部材144の開口とが、互いに対向するようにして配置されている。
上記のように構成されるキー材140が、第2ロータ軸28の外側キー溝64と動力伝達軸26の内側キー溝62とによって形成される空間に配置されると、トルクが伝達されない状態では、キー材140の弾性復帰力によってスプライン歯56とスプライン歯58との周方向の間隙sが略均等となる位置に付勢されるように設計されている。また、第2ロータ軸28と動力伝達軸26との間にトルクが伝達されると、そのトルクの大きさに応じてキー材140が変形させられる。具体的には、トルクが予め設定されている所定値未満の低トルク領域では、スプライン歯56とスプライン歯58との当接が防止される程度に変形させられ、トルクが所定値以上になると、スプライン歯56とスプライン歯58とが当接するまで変形させられる。このとき、キー材140には弾性復帰力が発生し、キー材140が緩衝部材として機能するため、スプライン歯56とスプライン歯58との接触による歯打ち音が低減される。
上述した本実施例のキー材140によっても、前述した実施例と同様の効果を得ることができる。また、キー材140にあっては、第1部材142がU字形状を有するので、円筒形状のキー材と違って車両走行中に回転することもないため、スプライン歯56とスプライン歯58との相対位置がずれることも防止されるとともに、付勢力が変化することも抑制される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例のキー材60、90にあっては、回転止め用の非円筒部が形成されているが、この非円筒部の形状は一例であって、回転を阻止する限りにおいてその形状を適宜変更することができる。
また、前述の実施例では、キー材(60、80、90、100)は、周方向に4個設けられていたが、キー材の個数は特に限定されず、1つ以上の個数であれば特に限定されない。
また、前述の実施例では、第2ロータ軸28に内周歯であるスプライン歯56が形成され、動力伝達軸26に外周歯であるスプライン歯58が形成されているが、スプライン嵌合部50において第2ロータ軸28が内周側に配置されて外周歯(スプライン歯)が形成され、動力伝達軸26が外周側に配置されて内周歯(スプライン歯)が形成されも構わない。
また、前述の実施例では、キー材(60、80、90、100)は、動力伝達軸26に形成されている内側キー溝62と、第2ロータ軸28に形成されている外側キー溝64とによって形成される空間内で内側キー溝62および外側キー溝64に当接した状態で介挿されているとしたが、キー材は、その外周全てが内側キー溝62および外側キー溝64に当接する必要はなく、その一部が内側キー溝62および外側キー溝64に当接するものであっても構わない。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:ハイブリッド車両
12:駆動装置
14:エンジン(駆動源)
16:駆動輪
20:出力軸
24:第1ロータ軸(第1の回転軸)
26:動力伝達軸(第2の回転軸)
28:第2ロータ軸(電動機の回転軸)
30:カウンタ軸(第3の回転軸)
38:リダクションギヤ(ギヤ対の一方)
40:カウンタドリブンギヤ(ギヤ対の他方)
56:スプライン歯(電動機の回転軸のスプライン歯)
58:スプライン歯(第2の回転軸のスプライン歯)
60、80、90、100、120、140:キー材(位置決め部材)
62:内側キー溝(第2の切欠)
64:外側キー溝(第1の切欠)
82、106、108:スリット
102:外側円筒部(外周側の円筒部材)
104:内側円筒部(内周側の円筒部材)
122:第1部材(長手状の部材)
124:第2部材(円筒状の部材)
142:第1部材
144:第2部材
MG2:第2電動機(電動機)
12:駆動装置
14:エンジン(駆動源)
16:駆動輪
20:出力軸
24:第1ロータ軸(第1の回転軸)
26:動力伝達軸(第2の回転軸)
28:第2ロータ軸(電動機の回転軸)
30:カウンタ軸(第3の回転軸)
38:リダクションギヤ(ギヤ対の一方)
40:カウンタドリブンギヤ(ギヤ対の他方)
56:スプライン歯(電動機の回転軸のスプライン歯)
58:スプライン歯(第2の回転軸のスプライン歯)
60、80、90、100、120、140:キー材(位置決め部材)
62:内側キー溝(第2の切欠)
64:外側キー溝(第1の切欠)
82、106、108:スリット
102:外側円筒部(外周側の円筒部材)
104:内側円筒部(内周側の円筒部材)
122:第1部材(長手状の部材)
124:第2部材(円筒状の部材)
142:第1部材
144:第2部材
MG2:第2電動機(電動機)
Claims (8)
- 駆動源の出力軸に動力伝達可能に連結された第1の回転軸と、電動機の回転軸にスプライン嵌合された第2の回転軸と、前記第1の回転軸および前記第2の回転軸のそれぞれに動力伝達可能に連結され、且つ、駆動輪に動力伝達可能に連結された第3の回転軸とを、含み、前記第2の回転軸と前記第3の回転軸とがギヤ対を介して連結されているハイブリッド車両の駆動装置であって、
前記電動機の回転軸と前記第2の回転軸とのスプライン嵌合部であって、該電動機の回転軸と該第2の回転軸とが径方向に重なる部位には、前記電動機の回転軸と前記第2の回転軸との回転方向の相対位置を規定する位置決め部材が設けられており、
前記位置決め部材は、前記電動機の回転軸のスプライン歯と前記第2の回転軸のスプライン歯との回転方向の相対位置が所定位置となるように、前記電動機の回転軸と前記第2の回転軸とに回転方向の付勢力を付与するものであり、
前記位置決め部材は、周方向の一部に間隙が形成された部材であり、前記電動機の回転軸に形成された第1の切欠と前記第2の回転軸に形成され該第1の切欠と回転方向において同じ位相の第2の切欠とで形成される空間に、該第1の切欠および該第2の切欠に当接した状態で介挿されている
ことを特徴とするハイブリッド車両の駆動装置。 - 前記所定位置は、前記電動機の回転軸のスプライン歯と、前記第2の回転軸のスプライン歯との間に周方向の間隙が形成される位置であることを特徴とする請求項1のハイブリッド車両の駆動装置。
- 前記電動機の回転軸と前記第2の回転軸との間に所定値以上のトルクが付与された際には、前記位置決め部材の付勢力に抗って前記電動機の回転軸のスプライン歯と前記第2の回転軸のスプライン歯が当接させられるように、前記位置決め部材の剛性が設定されていることを特徴とする請求項1または2のハイブリッド車両の駆動装置。
- 前記位置決め部材は、周方向の一部にスリットが形成されている円筒状の部材であることを特徴とする請求項1から3の何れか1のハイブリッド車両の駆動装置。
- 前記位置決め部材は、周方向の一部が円筒形状に形成され、周方向の残部が非非円筒形状であって前記間隙が形成された長手状の部材であることを特徴とする請求項1から3の何れか1のハイブリッド車両の駆動装置。
- 前記位置決め部材は、内周側に配置される円筒部材および外周側に配置される円筒部材からなる二重円筒状の部材で構成され、
前記内周側の円筒部材および外周側の円筒部材にはそれぞれスリットが形成されており、該内周側の円筒部材に形成されるスリットおよび該外周側の円筒部材に形成されるスリットは、周方向において異なる位置に設定されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1のハイブリッド車両の駆動装置。 - 前記位置決め部材は、断面U字形状を有する長手状の部材と周方向の一部にスリットが形成された円筒状の部材とから構成され、前記長手状の部材の内側に前記円筒状の部材が互いに接触した状態で配置された構造であることを特徴とする請求項1から3の何れか1のハイブリッド車両の駆動装置。
- 前記位置決め部材は、断面U字形状を有する長手状の第1部材と、断面U字形状を有する長手状の第2部材とから構成され、前記第1部材の内側に前記第2部材が互いに接触しつつ入れ子で配置されていることを特徴とする請求項1から3の何れか1のハイブリッド車両の駆動装置。
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JP2021052454A (ja) * | 2019-09-24 | 2021-04-01 | 株式会社デンソー | モータハウジング、及びステータ部材 |
-
2015
- 2015-01-21 JP JP2015009868A patent/JP2015227155A/ja active Pending
Cited By (2)
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JP2021052454A (ja) * | 2019-09-24 | 2021-04-01 | 株式会社デンソー | モータハウジング、及びステータ部材 |
JP7331580B2 (ja) | 2019-09-24 | 2023-08-23 | 株式会社デンソー | ステータ部材 |
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