以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
[1.第1の実施の形態]
[1−1.カラープリンタの構成]
図1に左側面図を示すように、カラープリンタ1は、カラー用電子写真式プリンタであり、例えばA3サイズやA4サイズ等の大きさでなる用紙Pに対し、所望のカラー画像を印刷するようになっている。
画像形成装置としてのカラープリンタ1は、略箱型に形成されたプリンタ筐体2の内部に種々の部品が配置されている。因みに以下では、図1における右端部分をカラープリンタ1の正面とし、この正面と対峙して見た場合の上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義した上で説明する。
カラープリンタ1は、制御部3により全体を統括制御するようになっている。この制御部3は、図示しない通信処理部を介して、パーソナルコンピュータのような上位装置(図示せず)と無線又は有線により接続されている。制御部3は、上位装置から印刷対象のカラー画像を表す画像データが与えられると共に当該カラー画像の印刷が指示されると、用紙Pの表面に印刷画像を形成する印刷処理を実行する。
プリンタ筐体2内の最下部には、用紙Pを収容する用紙収容カセット4と、用紙収容カセット4に集積された状態で収容されている用紙Pを1枚ずつ分離して給紙する給紙部5と、当該用紙Pの色を測色する用紙色測色部6とが設けられている。給紙部5は、用紙収容カセット4の前端上側に位置しており、用紙収容カセット4の前端上側に設けられ中心軸を左右方向に向けたホッピングローラ7や、当該ホッピングローラ7の上方に設けられたレジストローラ8のような複数のローラに加え、用紙Pを案内するガイド等により構成されている。
この給紙部5は、制御部3の制御によりホッピングローラ7及びレジストローラ8等を回転させ、用紙収容カセット4に収容されている用紙Pを1枚ずつに分離して取り込むと共に、取り込んだ用紙Pを前上方へ進行させた後、プリンタ筐体2内の前端近傍における上下ほぼ中央となる位置において、後方へ折り返すように進行させる。また用紙色測色部6は、用紙Pの色を測色し、その結果を制御部3へ供給するようになっている。
プリンタ筐体2内における用紙収容カセット4の上方には、当該プリンタ筐体2内を前後に大きく横切るようにして転写ベルトユニット10が設けられている。転写ベルトユニット10は、中心軸を左右方向に向けた細長い円筒状でなるローラ11が前後に1個ずつ配置されると共に、前後のローラ11を周回するように転写ベルト12が張架されている。転写ベルト12は、左右方向の幅が広く、且つ無端状のベルトとして形成されており、ローラ11の回転に伴って走行する。転写ベルトユニット10は、制御部3の制御に基づいてローラ11を回転させることにより転写ベルト12を走行させ、給紙部5から受け渡された用紙Pを当該転写ベルト12の上面に載せて後方向へ搬送する。
一方、転写ベルトユニット10の上側、すなわちプリンタ筐体2における中央よりも上寄りには、4個のイメージドラムユニット15C、15M、15Y及び15K(以下、これらをまとめてイメージドラムユニット15と呼ぶ)が後側から前側へ向かって順に配置されている。因みにイメージドラムユニット15C、15M、15Y及び15Kは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色にそれぞれ対応している。またイメージドラムユニット15C、15M、15Y及び15Kは、互いに同様に構成されており、対応するトナーの色のみがそれぞれ相違する。画像形成ユニットとしてのイメージドラムユニット15は、用紙Pの左右幅に対応するべく、左右方向に比較的長い略箱状に形成されている。
またプリンタ筐体2内には、各イメージドラムユニット15C、15M、15Y及び15Kとそれぞれ対応するように、露光装置としてのLED(Light Emitting Diode)ヘッド16C、16M、16Y及び16K(以下、これらをまとめてLEDヘッド16と呼ぶ)が設けられている。このLEDヘッド16は、左右方向に細長い直方体状に構成されると共に、その内部に複数のLED素子が左右方向に沿って並ぶように配置されており、制御部3から供給される画像データに応じた発光パターンで各LED素子を発光させる。イメージドラムユニット15は、プリンタ筐体2に装着された際、このLEDヘッド16と極めて近接するようになっており、当該LEDヘッド16からの光により露光処理が行われる。
また各イメージドラムユニット15C、15M、15Y及び15Kは、それぞれ上方にトナーカートリッジ18C、18M、18Y及び18K(以下、これらをまとめてトナーカートリッジ18と呼ぶ)が接続されている。トナーカートリッジ18は、左右方向に長い中空の容器であり、粉末状でなる各色のトナーがそれぞれ収容されると共に、所定の撹拌機構が組み込まれている。
因みに転写ベルトユニット10には、前後のローラ11の間における各イメージドラムユニット15の真下となる4箇所に、それぞれ転写ローラ13C、13M、13Y及び13K(以下、これらをまとめて転写ローラ13と呼ぶ)が設けられている。すなわち各イメージドラムユニット15は、各転写ローラ13との間に転写ベルト12の上側部分を挟んでいる。因みに転写ローラ13は、帯電し得るように構成されている。
制御部3は、トナーカートリッジ18からトナーをイメージドラムユニット15へ供給させる。これと共に制御部3は、上位装置(図示せず)から供給された画像データに応じた発光パターンを形成するようにLEDヘッド16を発光させる。これに応じて各イメージドラムユニット15は、トナーカートリッジ18から供給されるトナーを用い、LEDヘッド16の発光パターンに応じたトナー画像を形成し、このトナー画像を用紙Pにそれぞれ転写する(詳しくは後述する)。これにより、転写ベルトユニット10によって搬送されている用紙P上には、画像データに応じた4色のトナー画像が順次転写されていく。
転写ベルトユニット10の後方、すなわちプリンタ筐体2の後端近傍における上下の中央近傍には、定着ユニット20が設けられている。定着ユニット20は、加熱ローラ21及び加圧ローラ22により構成されている。加熱ローラ21は、中心軸を左右方向に向けた円筒状に形成されており、内部にヒータが設けられている。加圧ローラ22は、加熱ローラ21と同様の円筒状に形成されており、上側の表面を加熱ローラ21における下側の表面に所定の押圧力で押し付けている。
この定着ユニット20は、制御部3の制御に基づき、加熱ローラ21を加熱すると共に当該加熱ローラ21及び加圧ローラ22をそれぞれ所定方向へ回転させる。これにより定着ユニット20は、転写ベルトユニット10から受け渡された用紙P、すなわち4色のトナー画像が重ねられた用紙Pに対して熱及び圧力を加えてトナーを定着させ、さらに後上方へ受け渡す。
定着ユニット20の後上方には、排紙部24が配置されている。排紙部24は、中心軸を左右方向に向けた複数のローラ(図示せず)や用紙を案内するガイド等の組み合わせにより構成されている。この排紙部24は、制御部3の制御に従って各ローラを適宜回転させることにより、定着ユニット20から受け渡される用紙Pを後上方へ搬送してから前方へ向けて折り返し、プリンタ筐体2の上面に形成された排出トレイ2Tへ排出する。
このようにカラープリンタ1は、印刷処理を実行する際、LEDヘッド16を発光させることにより、各色のイメージドラムユニット15によってトナー画像をそれぞれ形成し、これを用紙Pに順次転写するようになっている。
[1−2.イメージドラムユニットの構成]
次に、イメージドラムユニット15の構成について説明する。図2に模式的な断面図を示すように、イメージドラムユニット15は、その外周における大部分をフレーム31により閉塞すると共に、その内部に比較的大きな空間を形成している。
イメージドラムユニット15内の中央下寄りには、静電潜像担持体としての感光体ドラム35が設けられている。感光体ドラム35は、中心軸を左右方向に向けた円筒状に形成されており、フレーム31によりこの中心軸を中心として回転可能に支持されている。因みに感光体ドラム35は、図示しないモータから駆動力が伝達されることにより、矢印R1方向へ回転するようになっている。
フレーム31における感光体ドラム35の下面となる部分は、比較的広い範囲に渡って開放されている。このためイメージドラムユニット15は、プリンタ筐体2(図1)に装着された際に、転写ベルト12又は当該転写ベルト12上に載せられた用紙Pに感光体ドラム35の下面を接触させることができる。またフレーム31における感光体ドラム35の真上となる部分には、左右方向に細長い露光孔が穿設されている。
感光体ドラム35の後上方には、当該感光体ドラム35よりも径が小さい円筒状でなる帯電ローラ36が設けられている。帯電ローラ36は、例えば半導電性の弾性材により構成されると共に、その周側面を感光体ドラム35の周側面35Sに当接させており、当該周側面35Sの当接箇所を一様に帯電させる。
感光体ドラム35の前上方には、当該感光体ドラム35よりも径が小さい円筒状でなる現像ローラ38が設けられている。現像ローラ38は、例えばウレタンゴム材にカーボンのような導電性物質が添加されて電気抵抗が適宜調節された半導電性ウレタンゴムにより構成され、帯電し得るようになっている。この現像ローラ38は、後側においてその周側面を感光体ドラム35の周側面35Sに当接させると共に、前側において当該現像ローラ38よりも僅かに径が小さい円筒状でなる供給ローラ39にその周側面を当接させている。供給ローラ39は、例えば半導電性発泡シリコンスポンジにより構成されている。
現像ローラ38の前上方には、薄板状の現像ブレード40が設けられている。現像ブレード40は、ステンレスやリン青銅等の金属、又はシリコーンゴムのようなゴム材等により構成されている。この現像ブレード40は、後上端がフレーム31内に固定されており、その前下端と現像ローラ38の周側面との間に僅かな隙間を形成している。
さらに、感光体ドラム35の上方における左右両側には、スペーサ45が設けられている。スペーサ45は、その大きさやフレーム31に対する取付位置等が最適化されており、その上面にLEDヘッド16の下面を当接させることにより、感光体ドラム35の周側面と当該LEDヘッド16との間隔を所望の長さに合わせるようになっている(詳しくは後述する)。
かかる構成においてイメージドラムユニット15は、用紙Pに画像を印刷する際、制御部3の制御に基づき、感光体ドラム35を矢印R1方向へ回転させると共に、帯電ローラ36、現像ローラ38及び供給ローラ39を矢印R2方向へ回転させ、さらに帯電ローラ36及び現像ローラ38を帯電させる。因みにイメージドラムユニット15は、感光体ドラム35、帯電ローラ36及び現像ローラ38を互いに滑らせることなく回転させる。
感光体ドラム35は、まず周側面35Sの後上側部分が帯電ローラ36により一様に帯電され、矢印R1方向への回転によりこの帯電した箇所を上端近傍に到達させてLEDヘッド16と対向させる。このとき感光体ドラム35の周側面35Sは、LEDヘッド16から画像データに応じた発光パターンの光が照射されることにより露光され、当該画像データに応じた静電潜像が形成される。
一方、矢印R2方向へ回転する現像ローラ38は、トナーカートリッジ18から供給されるトナーが供給ローラ39によって周側面に付着し、次に現像ブレード40により余分なトナーが削ぎ落とされるため、周側面に均一な薄膜状にトナーが付着される。
感光体ドラム35は、さらに矢印R1方向へ回転することにより、現像ローラ38と当接する前端近傍において、当該現像ローラ38の周側面に薄膜状に形成されているトナーを、静電潜像に応じた箇所のみ周側面35Sに付着させる。これにより感光体ドラム35の周側面35Sには、画像データに応じたトナー画像を形成する。因みにこのとき周側面35Sに形成されるトナー画像は、最終的に印刷すべき画像のうち、このイメージドラムユニット15が担当する1色(すなわちシアン、マゼンタ、イエロー又はブラックの何れか)の成分のみを表した画像となっている。
その後感光体ドラム35は、さらに矢印R1方向へ回転することにより、トナー画像を下端近傍へ到達させる。このとき制御部3は、転写ベルトユニット10(図1)により用紙Pをイメージドラムユニット15の下側に到達させると共に、転写ローラ13をトナーと逆の特性に帯電させている。このためイメージドラムユニット15は、感光体ドラム35のうちトナー画像が形成された部分と帯電された転写ローラ13との間に用紙Pを挟持することになり、このトナー画像を用紙Pに転写する。因みにトナー画像を用紙Pに転写した後に感光体ドラム35の周側面35Sにトナーが残っていた場合、図示しないクリーニング装置によりこのトナーが除去される。
かくしてイメージドラムユニット15は、LEDヘッド16を感光体ドラム35の近傍に対向させ、当該LEDヘッド16の露光作用によりトナー画像を当該周側面35S上に形成することができる。
[1−3.LEDヘッドの構成]
次に、LEDヘッド16の構成について説明する。図3及び図4に示すように、露光装置としてのLEDヘッド16は、全体として左右方向に細長い直方体状に形成されており、支持部材としてのホルダ51に各種部品が取り付けられた構成となっている。因みに図3は前側から見た断面図を示し、図4は左側から見た断面図を示している。ホルダ51は、左右方向に細長く上下方向に薄い板状の底部51Aを中心に構成され、当該底部51Aにおける前後両辺から上方へ向けて、左右方向に細長く前後方向に薄い板状の側部51Bがそれぞれ延設されている。
底部51Aにおける前後方向のほぼ中央には、左右方向に細長いスリット状の孔部51Hが上下方向に貫通するように穿設されている。また側部51Bは、ほぼ平坦な板状に形成されており、段差等は設けられていない。さらに底部51Aの上面における孔部51Hの左右両側には、上方へ向けて遮光板52がそれぞれ立設されている。因みにホルダ51は、例えば平板状の鋼板に対し切削加工及び折曲加工等が施されることによって製造されており、その製造コストが比較的安価に抑えられている。
孔部51Hには、集束レンズアレイとしてのロッドレンズアレイ53が取り付けられている。ロッドレンズアレイ53は、全体として左右方向に細長い直方体状に形成されており、左右方向に沿って多数の微小なレンズを並べるように保持している。このレンズは、後述するLEDアレイチップ56から放射される光を収束させるような光学特性を有している。
またホルダ51には、前後の側部51Bにより挟持されるようにして、LED基板部54が取り付けられている。LED基板部54は、基板55、LEDアレイチップ56、絶縁フィルム57及び複数のアタッチメント58により構成されている。
基板55は、いわゆるガラスエポキシ基板でなり、左右方向に細長く上下方向に薄い板状に形成され、所定の配線パターンが形成された配線層が上下方向に複数積層された構成となっている。因みに基板55の上面及び下面には、それぞれ配線パターンの一部が露出している。また基板55の上面における所定箇所には、配線材を接続するためのコネクタ55Cが取り付けられている。
発光素子アレイとしてのLEDアレイチップ56は、基板55の下面に取り付けられており、下方へ向けて光を発光する発光点が左右方向に沿って所定の微小間隔ごとに並んでいる。このLEDアレイチップ56は、基板55の下面に形成された配線パターン対し、例えばダイボンディングにより物理的に固定されると共に電気的に接続される。
絶縁フィルム57は、絶縁性を有する材料により構成されており、上下方向に薄く、前後方向及び左右方向の長さが基板55とほぼ同等のフィルム状に形成されている。この絶縁フィルム57は、基板55の上面、すなわちLEDアレイチップ56の非搭載面に対し、前後方向及び左右方向の辺を互いに一致させるようにして重ねられている。因みに絶縁フィルム57には、コネクタ55C等を覆うこと無く露出させるよう、孔や切り欠き等が適宜形成されている。
保持部材としてのアタッチメント58は、例えば0.1〜0.3[mm]程度の薄い鋼板に対し切削加工及び折曲加工が施されることにより構成されている。このアタッチメント58は、鋼板の性質上、導電性を有しており、また湾曲させるような外力が加えられると弾性力を作用させることができる。
アタッチメント58は、図5に斜視図を示すと共に図6に平面図を示すように、前後方向のほぼ中央を左右方向に貫通する基部61を中心に構成されている。基部61の左右両端には、前後方向にそれぞれ伸びる保持解除部としての連結部62が接続されている。左右の連結部62には、それぞれ下方へ延接するようにして、前側辺及び後側辺をそれぞれ形成する側辺部63が連結されている。側辺部63の下端近傍は、互いに近接する方向、すなわち内側方向における斜め下方に向けて折り曲げられることにより、下端部64を形成している。
さらに基部61は、左右方向にほぼ3等分するような2箇所において、前方向及び後方向それぞれへ向けて、細長い押付部65がそれぞれ延接されている。押付部65は、基部61の近傍においては当該基部61と同様の平面を形成する一方、当該基部61から側辺部63側へやや離れた位置において、斜め下方へ向けて屈曲されている。また各押付部65における先端側、すなわち基部61との接合部分と反対側の端部は、上下方向から見て円弧を描くようにそれぞれ丸め加工が施されている。因みにアタッチメント58は、前後方向及び左右方向の何れにも対称な形状となっている。
またアタッチメント58は、図7に示すように、LED基板部54に取り付けられる前の自然状態において、基板55における前後方向及び上下方向の長さをそれぞれ長さL1及びL2とすると、この長さL1及びL2を基準として各部分の長さが設定されている。
具体的に、前後の側辺部63同士の間隔である長さL3は、長さL1よりも短くなっている(L1>L3)。また、側辺部63に対し下端部64が屈曲されている箇所と押付部65の先端との間隔である長さL4は、長さL2よりも短くなっている(L2>L4)。さらに、側辺部63に対する下端部64のなす角度θは、90°よりも小さくなっている(θ<90°)。
このアタッチメント58は、基板55等に取り付けられる際、まず当該基板55等の上方において、側辺部63同士の前後方向の間隔を広げるように、すなわち下端部64同士の前後方向の間隔を広げるようにして外力が加えられる。これによりアタッチメント58は、主に連結部62が下に凸の湾曲面を形成するように弾性変形し、下端部64同士の前後方向の間隔が一時的に基板55の長さL1よりも広げられた状態となる。
続いてアタッチメント58は、下方へ移動されることにより、側辺部63同士の間に基板55等を位置させ、当該基板55の上面に重ねられた絶縁フィルム57に対して押付部65の先端を当接させる。このときアタッチメント58は、長さL4が基板55の長さL2よりも短いために、下端部64の下端を当該基板55における側面部分の前後に位置させている。因みにアタッチメント58は、基板55の上面との間に絶縁フィルム57を挟んでいるため、当該基板55の配線パターンを不用意に導通させることは無い。
さらにアタッチメント58は、下方へ押し込まれることにより、押付部65を弾性変形させ湾曲させながら、基板55の上面に重ねられた絶縁フィルム57と基部61との距離を狭めていき、やがて下端部64を当該基板55の下面よりも下方に到達させる。この段階でアタッチメント58は、下端部64同士の間隔を押し広げるように加えられていた外力が開放され、これにより主に連結部62において弾性力を作用させる。
この結果、アタッチメント58は、図8に示すように、基板55等の前後それぞれにおける下端に対し下端部64の内側面を当接させ、前後それぞれの上端に対し側辺部63の内側面を当接させ、さらに上面に対し押付部65の先端を押し付けた状態で、当該基板55等に取り付けられた状態となる。
これを換言すれば、アタッチメント58は、挟持部としての側辺部63及び下端部64により基板55及び絶縁フィルム57を前後方向から挟持しており、さらに押付部65により当該絶縁フィルム57を介して当該基板55の上面を押さえ付けた状態となる。また他の観点から見れば、アタッチメント58は、他の部品や部材を用いること無く自らの弾性力のみを作用させることで、基板55等に対して固定される。因みにLED基板部54には、図3等に示したように、左右方向に沿って、すなわちLEDアレイチップ56における発光点の整列方向に沿って、概ね所定間隔ごとに、複数のアタッチメント58が取り付けられる。
ここでアタッチメント58の下端部64、側辺部63及び押付部65から基板55等に対し加えられる力をそれぞれ力F1、F2及びF3とする。前側及び後側それぞれにおける力F1、F2及びF3の合力である力F4は、上下方向に関しては大きさが「0」となって釣り合う一方、前後方向に関しては何れも中心方向を向いて互いに向き合い、且つその大きさが前後で同等となる。すなわちアタッチメント58は、基板55等に対し、当該基板55内で互いに釣り合うような力、換言すれば内向きの力を加えており、外部へ力を及ぼしていない。
このとき下端部64は、基板55の前後における下側の頂点のみにおいて当接しており、当該基板55の下面とは当接していない。また基部61及び連結部62は、基板55の上面及び絶縁フィルム57に対し当接若しくは近接しておらず、これらから十分に引き離されている。
その後LED基板部54は、ホルダ51における前後の側部51B同士の間に挟まれた状態で、接着剤60(図4)によりアタッチメント58の側辺部63が当該側部51Bに対し接着されることにより、当該ホルダ51に対し固定される(詳しくは後述する)。
さらにホルダ51における左右の両端近傍には、底部51Aの上面側に、上方に向けてコイルばね59が取り付けられる。このコイルばね59は、上下方向に圧縮されると、上下方向へ伸張しようとして弾性力を作用させる。このコイルばね59は、上下方向に圧縮された状態でその上端がプリンタ筐体2(図1)側に固定されることにより、ホルダ51における底部51Aの下面を、イメージドラムユニット15側のスペーサ45に押し付ける。これによりコイルばね59は、感光体ドラム35の周側面とロッドレンズアレイ53の下端との距離を、所望の距離に合わせると共に維持することができる。
このようにLEDヘッド16は、基板55等に対しアタッチメント58が弾性力を利用して取り付けられることでLED基板部54が組み立てられ、このLED基板部54がアタッチメント58を介してホルダ51に固定されるようになっている。
[1−4.LEDヘッドの製造工程]
次に、LEDヘッド16の製造工程のうち、特にLED基板部54をホルダ51に取り付ける工程を中心に説明する。ここでは、上述したように基板55等に対しLEDアレイチップ56が取り付けられると共にアタッチメント58が取り付けられ、LED基板部54が既に組み上がっているものとする。またこの製造工程では、図9に示す製造治具70が使用される。
この製造治具70は、下側左右両端近傍に1個ずつ配置されたスペーサ71、上側に配置された複数のチャック72、下側配置された複数の受光センサ73、制御部74、表示部75及び治具コネクタ76により構成されている。スペーサ71は、イメージドラムユニット15のスペーサ45(図3)に対応するものであり、その上面にホルダ51における底部51Aの下面を当接させることで、製造治具70内におけるLEDヘッド16の位置を定めるようになっている。チャック72は、吸引機能を有しており、LED基板部54の上面を吸着して当該LED基板部54を保持することができる。またチャック72は、LED基板部54を保持したまま上下方向への移動や角度の調整等を行い得るように構成されている。
受光センサ73は、感光体ドラム35に相当するものであり、上面に光を受光する受光素子が設けられており、且つスペーサ71の上面から当該受光センサ73の上面までの距離L8が、長さL5及びL7(図4)の加算値と同等となっている。この受光センサ73は、上方から入射される光を受光すると共にその受光量に応じた受光信号を生成し、これを制御部74へ送出する。制御部74は、受信した受光信号に基づいた数値やグラフ等により所定の表示画面を構成して表示部75に表示させ、この受光量を作業者等に通知するようになっている。
治具コネクタ76は、制御部74と電気的に接続された配線材の先端に取り付けられると共に複数の端子(図示せず)を有しており、基板55のコネクタ55Cと係合し得る形状に構成されている。この治具コネクタ76は、基板55のコネクタ55Cと接続され各端子同士を互いに導通させることにより、LED基板部54のLEDアレイチップ56に対し、LED素子を発光させるための電気信号を供給することができる。
LEDヘッド16が製造される場合、まず、ホルダ51に対しロッドレンズアレイ53及び2個のコイルばね59が取り付けられる。ロッドレンズアレイ53は、図3に示したように、ホルダ51の孔部51Hに挿通され、底部51Aからの下方への突出距離が所定の長さL5(図4)となるように調整された状態で、接着剤60により固定される。因みにホルダ51は、ロッドレンズアレイ53との隙間を閉塞するよう、十分な量の接着剤60により当該ロッドレンズアレイ53が接着される。
ここで長さL5は、LEDヘッド16が完成後に感光体ドラム35と対向したときに、LEDアレイチップ56の下端からロッドレンズアレイ53の上端までの距離である長さL6と、当該ロッドレンズアレイ53の下端から感光体ドラム35の上端までの距離である長さL7とがほぼ同等となるように、予め選定された値となっている。
次にホルダ51は、コイルばね59が上下方向に圧縮された状態で製造治具70に装着される。ここでコイルばね59は、その上端を製造治具70の所定箇所に当接させると共に弾性力を作用させることにより、ホルダ51に対し下方へ向かう力を印加し、底部51Aの下面をスペーサ71の上面に隙間無く押し付けるように当接させる。
ここでホルダ51は、底部51Aからロッドレンズアレイ53の下端までの距離が長さL5であり、また製造治具70は、スペーサ71の上面から受光センサ73の上面までの距離を長さL5及びL7の加算値と同等としている。このため製造治具70は、ロッドレンズアレイ53の下端から受光センサ73の上面までの距離を、カラープリンタ1におけるロッドレンズアレイ53の下端から感光体ドラム35の上端までの距離と同等の長さL7(図4)に合わせることができる。すなわち製造治具70では、このときホルダ51が一時的に適切な位置に固定されたことになる。
次に製造治具70は、チャック72をホルダ51の上方へ移動させた状態でLED基板部54を吸着する。また製造治具70は、LED基板部54における基板55のコネクタ55Cに治具コネクタ76が接続される。
この状態で製造治具70は、作業者の操作によりチャック72を下方へ移動させ、まずLED基板部54の位置をホルダ51内における理想的な取付位置におおよそ合わせる。続いて製造治具70は、治具コネクタ76を介してLED基板部54のLEDアレイチップ56に所定の信号を供給し、当該LEDアレイチップ56の各素子を発光させる。このときLEDアレイチップ56から発散光として出射された光は、ロッドレンズアレイ53により収束され、受光センサ73の上面に照射される。
製造治具70は、受光センサ73における受光量を表示部75により作業者等に視認させる。このとき作業者は、受光量を参照しながらLED基板部54を保持しているチャック72の位置や角度を微調整し、当該受光量が所望の値となる位置、すなわち最適な位置に合わせる。これによりLED基板部54は、LEDアレイチップ56の光軸をロッドレンズアレイ53の中心軸と平行な方向に向け、且つLEDアレイチップ56の下端からロッドレンズアレイ53の上端までの距離を、長さL7(図4)と同等の理想的な距離である長さL6に定めることができる。
この状態でLED基板部54は、各アタッチメント58における前後の側辺部63とホルダ51における前後の側部51Bとの間に接着剤60(図4)がそれぞれ充填されることにより、長さL6を理想的な距離としたまま、当該ホルダ51に対して最適な位置に固定される。この接着剤60は、例えば紫外線硬化型の接着剤であり、液体状ないしゲル状のまま接着箇所に塗布された後に紫外線が照射されることで、比較的短い時間で硬化するようになっている。
因みにLEDヘッド16は、ホルダ51における前後の側部51BとLED基板部54との隙間に例えばシリコンのような比較的柔らかい充填剤が充填されることにより、この隙間をほぼ密閉し、塵や埃のような異物の侵入を防ぐようになっている。この充填剤は容易に硬化せず、長期間に渡って柔らかい状態、すなわちひび割れ等を生じること無くほぼ密閉した状態を維持することができる。またLEDヘッド16は、ホルダ51における左右の遮光板52(図3)により、左右方向からの外光の入射や異物の侵入等を防ぐようになっている。
このようにLEDヘッド16は、LED基板部54のアタッチメント58とホルダ51の側部51Bとを接着剤60により固着することで、当該ホルダ51に当該LED基板部54を固定するようになっている。
ところでLEDヘッド16は、その製造段階においてはホルダ51に対しLED基板部54を適切な位置に固定できていたとしても、例えばその後の他の製造工程においてホルダ51に対し想定外の外力が加わる等して、ホルダ51に対しLED基板部54が理想的な位置からずれてしまう場合がある。しかしながらLEDヘッド16は、LED基板部54が接着剤60によってホルダ51に固定されているため、その取付位置を正しい位置に修正すること、いわば再調整することは事実上できない。
そこでLEDヘッド16では、一部の部品を敢えて破壊してホルダ51から基板55を分離することにより、当該基板55に取り付けられた比較的高価なLEDアレイチップ56を再利用するようになっている。
具体的にLEDヘッド16は、充填剤が取り除かれた上で、図10に示すように、LED基板部54におけるアタッチメント58の連結部62(図6)がニッパ等の工具によって切断され、当該アタッチメント58のうち基部61や押付部65等の部分が取り除かれる。これに伴い基板55及び絶縁フィルム57は、押付部65による下方へ押し付ける力F3(図8)が加えられなくなり、またアタッチメント58における前後の側辺部63による互いに引き合う方向の力が作用しなくなる。
これによりLEDヘッド16では、例えばホルダ51の側部51Bを互いに外方へ引き離すように弾性変形又は塑性変形されることで、アタッチメント58のうちホルダ51側に残された側辺部63同士の間隔を広げ、LEDアレイチップ56が取り付けられた基板55及び絶縁フィルム57を、損傷させること無くホルダ51から容易に取り外すことが可能となる。
その後、この基板55及び絶縁フィルム57は、新たなアタッチメント58が取り付けられることにより再度LED基板部54となる。このLED基板部54は、上述した製造工程を経ることにより、長さL6(図9)が最適に調整された状態で新たなホルダ51又は再利用されたホルダ51に固着され、再びLEDヘッド16として組み立てられる。
[1−5.動作及び効果]
以上の構成において、第1の実施の形態によるカラープリンタ1のLEDヘッド16は、製造される際、まずLEDアレイチップ56が取り付けられた基板55及び絶縁フィルム57にアタッチメント58が取り付けられることでLED基板部54が構成される。これを換言すれば、アタッチメント58は、ホルダ51に取り付けられる前の段階で、基板55等を保持した状態となる。
次にLEDヘッド16は、製造治具70を利用して、ロッドレンズアレイ53が取り付けられたホルダ51に対し、LED基板部54のアタッチメント58が接着剤60により固着される。このときLEDヘッド16は、製造治具70を利用することで、LEDアレイチップ56から出射される光をロッドレンズアレイ53により集光し、受光センサ73による受光量を基に作業者により位置が微調整された状態で、LED基板部54がホルダ51に固着される。
このためLEDヘッド16は、例えば基板55の製造誤差や当該基板55に対するLEDアレイチップ56の取付位置及び取付角度のずれが生じていたとしても、ロッドレンズアレイ53により収束される光が受光センサ73において最適な光量となるように、LED基板部54を位置決めすることができる。これによりLEDヘッド16は、プリンタ筐体2に取り付けられた場合に、LEDアレイチップ56から出射しロッドレンズアレイ53により収束される光を、感光体ドラム35の周側面35S(図2)に対し適切に収束した状態で最適な光量で照射することができる。
ところで、例えば図11に示すように、従来のLEDヘッド86として、ホルダ91における前後の側面に段差を形成しておき、基板55の下面をこの段差に当接させると共にクリップ98により当該基板55に対し下向きの力を作用させて、当該基板55をホルダ91に固定するものがあった。
しかしながらこのLEDヘッド86では、基板55に対し、下面の前後両端において上方へ向かう力が作用すると共に上面の中央において下方へ向かう力が作用し続けるため、すなわち上面及び下面における互いに異なる箇所であり互いに対向しない箇所に対し力が作用し続けるため、経年変化により当該基板55の中央付近が下降するように湾曲する可能性がある。この場合LEDヘッド86では、ロッドレンズアレイ53に対するLEDアレイチップ56の位置や角度が変化してしまうため、感光体ドラム35の周側面35Sに対し適切な光量の光を照射できなくなるおそれがあった。
これに対し本実施の形態によるLEDヘッド16では、基板55に対しアタッチメント58のみから力が加えられている(図8)。また基板55の前端近傍及び後端近傍においてアタッチメント58からそれぞれ加えられる力F1、F2及びF3の合力である力F4は、上下方向には作用せず、前後の中心方向にのみ作用する。さらにアタッチメント58は、特に押付部65の先端が絶縁フィルム57を介して基板55の上面における前端近傍及び後端近傍にそれぞれ当接することにより、当該基板55の上面及び下面における前端近傍及び後端近傍にのみ、すなわち当該基板55を上下から挟んでほぼ対向するような箇所に対してのみ、力を加えている。
このためLEDヘッド16では、基板55が前後方向の中央部分を上側又は下側へ変位させるようにして反ることが無く、ロッドレンズアレイ53に対するLEDアレイチップ56の位置や角度を変化させることが無い。これによりLEDヘッド16は、感光体ドラム35の周側面35Sに対し適切な光量の光を照射し得る状態を、長期間に渡って変化させること無く維持できる。
また、LED基板部54に取り付けるアタッチメント58は、例えば0.1〜0.3[mm]程度の薄い鋼板のように比較的安価な材料に対し、切削加工及び折曲加工のように比較的簡素な加工処理を施すことにより製造することができる。このためLEDヘッド16は、アタッチメント58を用いることによる材料費用や加工費用の増加を僅かに抑えることができる。
さらにアタッチメント58は、自らの弾性力を利用して基板55等に取り付けることができるため、当該基板55に取り付けるためのねじや接着剤等のような他の部品や部材を必要とせずに済む。これに加えてアタッチメント58は、その取付作業において、側辺部63及び下端部64を前後に広げるように力を加えさせ、基板55等を挟み込んだ状態でその力を解放させるだけで良いため、極めて容易なものとすることができる。
これに加えてLEDヘッド16は、製造後にLEDアレイチップ56とロッドレンズアレイ53との相対的な位置がずれた場合、アタッチメント58を破壊させることにより、LEDアレイチップ56が搭載された基板55をホルダ51から容易に分離できるようにした。ここで分離された基板55は、新たなアタッチメント58が取り付けられることにより新たなLED基板部54として再生でき、さらにホルダ51に組み付けられることで新たなLEDヘッド16を構成することができる。
すなわちLEDヘッド16は、構成部品のうち比較的安価なアタッチメント58を敢えて破壊させることで、比較的高価なLEDアレイチップ56に無理な外力等を加えること無く、当該アタッチメント58による基板55の保持を解除して、当該基板55をホルダ51から容易に取り外させることができる。これを換言すれば、LEDヘッド16では、アタッチメント58を容易に破壊できるように構成したことで、当該アタッチメント58に対する極めて簡易な操作である切断作業により、LEDアレイチップ56が取り付けられた基板55を再利用することができる。
特にアタッチメント58は、容易に塑性変形しない程度の剛性を保つ範囲内で、連結部62(図6)における左右方向の長さ(すなわち幅)を比較的狭く抑えた。これによりアタッチメント58は、側辺部63同士の間に基板55を挟んだ際に弾性力を作用させることと、破壊時にニッパ等により容易に切断できることとを高い次元で両立することができる。
またアタッチメント58は、基板55等に取り付けられた際、連結部62(図8)を基板55の上面及び絶縁フィルム57に当接若しくは近接させず、これらとの間に切断作業に必要な十分な距離を隔てるようにした。このためアタッチメント58は、連結部62が破壊される際、ニッパ等により誤って基板55が損傷され再利用できなくなるおそれを格段に低減できる。
さらにアタッチメント58は、押付部65(図6)をホルダ51の側部51Bに接着される側辺部63側では無く、中央の基部61側に設けた。このためアタッチメント58は、破壊時に連結部62が切断されることで、基部61と共に押付部65を側辺部63から引き離すことができ、当該基板55に対し下向きに作用する力F3(図8)を解放することができる。これによりLEDヘッド16では、ホルダ51から基板55等を分離するために移動させる方向である上方向に関し、その反対方向に作用する力F3を予め取り除くことができるので、当該ホルダ51から当該基板55等を容易に取り出させることができる。
さらにアタッチメント58は、側辺部63に対する下端部64のなす角度θを90°未満とし(図7)、また側辺部63同士の間隔L3を、基板55における前後長である長さL1よりも小さくした。このためアタッチメント58は、基板55等に取り付けられた場合、自然状態に対し側辺部63が広げられ、これに伴って下端部64の内側面を基板55の前端及び後端における辺部にのみ当接させ、特に基板55の下面には当接しない(図8)。すなわちLEDヘッド16では、基板55の下面に対し短絡防止のための絶縁材の塗布等を行う必要が無く、製造時に余分な材料や工程を追加する必要が無い。
以上の構成によれば、第1の実施の形態によるカラープリンタ1のLEDヘッド16は、LEDアレイチップ56が取り付けられた基板55にアタッチメント58を取り付け、当該アタッチメント58をホルダ51に対し接着剤60により固着させるようにした。またアタッチメント58は、弾性力の作用により基板55に取り付けられ、且つ連結部62を容易に切断できるようにした。このためLEDヘッド16は、基板55に変形を生じさせるような力を加えること無く、LED基板部54をホルダ51に固定して経年変化を未然に防止できる。さらにLEDヘッド16は、連結部62を切断させてアタッチメント58を破壊させることで、LEDアレイチップ56が取り付けられた基板55をホルダ51から容易に分離させ、再利用させることができる。
[2.第2の実施の形態]
第2の実施の形態によるカラープリンタ101(図1)は、第1の実施の形態によるカラープリンタ1と比較して、LEDヘッド16に代わるLEDヘッド116を有する点において相違するものの、他の点においては同様に構成されている。
LEDヘッド116は、図4と対応する図12に示すように、第1の実施の形態によるLEDヘッド16と比較して、ホルダ51に代わるホルダ151を有する点、絶縁フィルム57が省略されている点、及びアタッチメント58に代わるクリップ158を有する点において相違するものの、他の点については同様に構成されている。
ホルダ151は、ホルダ51と同様、底部51A及び前後の側部51Bとそれぞれ対応する底部151A及び前後の側部151Bにより構成されている。底部151Aは、底部51Aと同様に孔部151AHが穿設されており、この孔部151AHに挿通された状態でロッドレンズアレイ53が取り付けられる。前後の側部151Bは、上下の中央よりもやや上寄りとなる箇所、すなわち基板55が取り付けられた際に当該基板55の前側又は後側となる箇所に、前後方向に貫通する孔部151BHがそれぞれ穿設されている。
クリップ158は、図13に示すように、従来のLEDヘッド86(図11)におけるクリップ98と一部類似した構成となっており、全体としてホルダ151の上側並びに前側及び後側を囲むような形状となっている。
このクリップ158は、例えば薄板状の鋼板が複数箇所において屈曲されることにより形成されており、自然状態から変形されると弾性力を発生することができる。因みにクリップ158は、左右方向(すなわち図12における紙面の奥行き方向)の長さが第1の実施の形態におけるアタッチメント58と同程度若しくは当該アタッチメント58よりも十分に短く構成されている。
クリップ158は、前後方向に伸びる基部161の前後両端から下方へ向けて側辺部162がそれぞれ延接されており、さらに各側辺部162の下端に、互いに近づく方向に屈曲されてなる下端部163が形成されている。さらに各側辺部162における上下の中央よりもやや上寄りとなる箇所には、互いに近づく方向へ向けて局所的に突出するよう屈曲された挟持部162Aがそれぞれ形成されている。ここで、クリップ158に外力が加えられていない自然状態であるとき、挟持部162A同士の間隔である長さL11は、基板55における前後方向の長さL1(図7)よりも短くなっている。
またLEDヘッド116は、第1の実施の形態と同様、製造治具70(図9)を用いて製造される。ただしこのLEDヘッド116の場合、ホルダ151がスペーサ71の上面と当接することで製造治具70に位置決めされ、また基板55等にアタッチメント58が取り付けられたLED基板部54では無く、LEDアレイチップ56が取り付けられた基板55がチャック72に吸着される。
またホルダ151に対し基板55を固定する際、接着剤60は使用されず、その代わりにクリップ158が当該ホルダ151に取り付けられる。このときクリップ158は、自然状態(図13)から前後の側辺部162を前後に広げるように外力が加えられた状態でホルダ151の上側並びに前側及び後側を覆うように位置し、この外力が解放されることで弾性力を作用させる。
これによりクリップ158は、前後の側辺部162をホルダ151における前後の側部151Bにそれぞれ当接させると共に、前後の下端部163をホルダ151の底部151Aにそれぞれ当接させることで、当該ホルダ151に対する位置を固定する。さらにクリップ158は、前後の挟持部162Aを基板55における前後の各側面に当接させ、且つ弾性力を作用させることで、当該基板55を挟持してホルダ151に対する位置を保持する。
以上の構成において、第2の実施の形態によるカラープリンタ101のLEDヘッド116は、その製造段階において、製造治具70を利用してホルダ151に対する基板55の位置が定められた状態でクリップ158が取り付けられる。
クリップ158は、挟持部162Aをホルダ151の側部151Bに設けられた孔部151BHよりも内側に位置させ、当該挟持部162A同士の間に基板55を挟み込むことで、当該ホルダ151に対し当該基板55を固定し、且つその状態を保持する。
このときクリップ158は、挟持部162Aの内側面を基板55における前後の側面に当接させ、さらに弾性力を作用させることで、当該挟持部162Aから基板55に対し前後方向へ向かう力F11(図12)をそれぞれ加えることになる。すなわちクリップ158は、第1の実施の形態におけるアタッチメント58と同様、基板55に対し、当該基板55内で互いに釣り合うような力、換言すれば内向きの力を加えており、外部へ力を及ぼしていない。またクリップ158は、基板55の上面及び下面に対しては、何ら力を加えていない。
このためLEDヘッド116は、第1の実施の形態と同様、従来のLEDヘッド86(図11)において生じ得るような基板55の反りを招くおそれが無く、感光体ドラム35の周側面35Sに対し適切な光量の光を照射し得る状態を、長期間に渡って変化させること無く維持できる。
またクリップ158は、第1の実施の形態におけるアタッチメント58と同様、自らの弾性力を利用してホルダ151に取り付けられると共に基板55を挟持できるため、当該基板55に取り付けるためのねじや接着剤等のような他の部品や部材を必要とせずに済む。これに加えてクリップ158は、その取付作業において、側辺部162及び下端部163を前後に広げるように力を加えさせ、ホルダ151を挟み込んだ状態でその力を解放させるだけで良いため、極めて容易なものとすることができる。
これに加えてLEDヘッド116は、製造後にLEDアレイチップ56とロッドレンズアレイ53との相対的な位置がずれた場合、クリップ158を取り外させることにより、LEDアレイチップ56が搭載された基板55をホルダ151から容易に分離することができる。特にLEDヘッド116では、基板55に加えて、ホルダ151及びクリップ158も破壊すること無く、それぞれ分離することができる。このためこの基板55、ホルダ151及びクリップ158は、製造治具70を再度利用して、当該ホルダ151が位置決めされ当該基板55の位置が調整された状態で当該クリップ158が取り付けられることで、正常なLEDヘッド116として再生することができる。
以上の構成によれば、第2の実施の形態によるカラープリンタ101のLEDヘッド116は、製造治具70を利用してホルダ151に対し基板55の位置を調整した状態で、クリップ158を取り付けることにより、基板55に変形を生じさせるような力を加えること無く、ホルダ151に対して基板55を固定することができる。またLEDヘッド116は、クリップ158を取り外すだけで、当該クリップ158並びに基板55及びホルダ151を再利用可能な状態で容易に分離することができ、これらを再利用することができる。
[3.他の実施の形態]
なお上述した第1の実施の形態においては、アタッチメント58の側辺部63、下端部64及び押付部65により基板55に対し上下両面の互いにほぼ対向する箇所から挟むようにして力を加える場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば基板55の強度が十分に高い場合等に、当該基板55に対し、上下両面の互いに対向しない箇所から挟むようにして力を加えるようにしても良い。
また上述した第1の実施の形態においては、ホルダ51から基板55等を分離する際に、連結部62をニッパ等で切断してアタッチメント58を破壊する場合について述べた(図10)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば予め2以上の小さい部品を互いに係合させてアタッチメント58を構成しておき、当該アタッチメント58における各部品同士の係合を解除し分解することにより、ホルダ51から基板55等を分離できるようにしても良く、或いはアタッチメント58の形状を工夫することで、当該アタッチメント58を弾性変形若しくは塑性変形させることでホルダ51から基板55等を分離できるようにしても良い。
また、アタッチメント58を破壊する場合には、必ずしも4本の連結部62を全て切断することにより基部61を側辺部63から完全に分離する必要は無く、例えば前側の2本の連結部62のみを切断して基部61と後の側辺部63とを連結させたまま、後側の連結部62を折り曲げるように変形させることで基板55等をホルダ51から取り外すようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、アタッチメント58における前後の側辺部63同士を連結するのに必要な強度を保つ範囲内で、連結部62における左右方向の長さ(すなわち幅)を比較的狭くすることにより、基板55に対する取付の確実性と切断の容易性とを両立させる場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば連結部62における上下方向の長さ(すなわち厚さ)を比較的短く(薄く)することや、周囲よりもくびれた(細く又は薄くなった)箇所を設けることにより、切断の容易性を確保するようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、アタッチメント58の前後の側辺部63同士を連結する連結部62を弾性変形させることにより、側辺部63同士の間隔を一時的に広げて当該アタッチメント58を基板55等に取り付ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば連結部62を変形させること無く、側辺部63を外方へ反るように湾曲させながら下端部64同士の間隔を広げてアタッチメント58を基板55等に取り付けるようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、アタッチメント58の基部61に押付部65を設ける場合について述べた(図6)。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば連結部62や側辺部63の上端に押付部65を設けるようにしても良く、さらには押付部65を省略しても良い。この場合、側辺部63の形状や基板55に対する当接角度を最適化することにより、当該側辺部63から基板55に加える力F2(図8)と下端部64から基板55に加える力F1とを上下方向に釣り合わせるようにすれば良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、各側辺部63に対し各下端部64を互いに近接する方向へ屈曲させることにより、当該側辺部63及び下端部64を明確に区切る場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば側辺部63から下端部64にかけて、左右方向から見て連続的に湾曲した形状として両者を明確に区切らないようにしても良い。この場合、要は基板55の少なくとも下面における前後の端部において当該基板55と当接することにより、当該下面との当接を回避できれば良い。或いは、基板55の下面に絶縁材料を設けた上で、当該下端部64を当該下面に当接させるようにしても良い。
さらに上述した第1の実施の形態においては、アタッチメント58において前後の側辺部63同士を連結部62により連結した構成とする場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えば図4と対応する図13に示すLEDヘッド216のように、基板55の前端近傍及び後端近傍に、互いに独立したアタッチメント258をそれぞれ取り付けるようにしても良い。
アタッチメント258は、例えば樹脂材料により左右方向から見て「C」字状に形成されており、弾性力の作用により基板55を上下方向から挟み込むことで当該基板55に取り付けられる。またアタッチメント258は、接着剤60によりホルダ51の側部51Bに接着されることで、当該ホルダ51に対し基板55を固定することができる。さらにアタッチメント258は、上側における基板55の上面から十分に離れた箇所に、ニッパ等により容易に切断可能な切断箇所258Aが形成されている。このためアタッチメント258は、ホルダ51の側部51Bに接着された後、切断箇所258Aが切断されることで、基板55を損傷させること無く当該ホルダ51から容易に分離させることができる。
さらに上述した第1の実施の形態においては、アタッチメント58を比較的薄い鋼板により構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばアルミニウム板のような種々の金属材料や、種々の樹脂材料により構成しても良い。要は、前後の側辺部63(図5、図6等)同士の間で基板55に対し弾力性を作用させることができ、且つ連結部62において容易に切断することができれば良い。また、アタッチメント58を非導電性の材料により構成する場合には、絶縁フィルム57を省略しても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態においては、カラー印刷を行うカラープリンタ1のプリンタ筐体2に対し、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色に対応した4個のLEDヘッド16を取り付ける場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、例えばカラープリンタにおいて使用されるトナーの色数に応じて、プリンタ筐体2に対し3個以下や5個以上のLEDヘッド16を取り付けるようにしても良く、またモノクロ印刷を行うモノクロプリンタにおいて1個のLEDヘッド16を取り付けるようにしても良い。第2の実施の形態についても同様である。
さらに上述した第1の実施の形態では、画像形成装置としてのカラープリンタ1に本発明を適用したが、これに限らず、カラープリンタ1と同様に露光装置としてのLEDヘッド16を有する装置であれば、ファクシミリ、MFP(Multi Function Product:複合機)、複写機などの装置にも適用することができる。第2の実施の形態についても同様である。
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
さらに上述した実施の形態においては、基板としての基板55と、集束レンズアレイとしてのロッドレンズアレイ53と、支持部材としてのホルダ51と、保持部材としてのアタッチメント58と、保持解除部としての連結部62とによって露光装置としてのLEDヘッド16を構成する場合について述べた。しかしながら本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなる基板と、集束レンズアレイと、支持部材と、保持部材と、保持解除部とによって露光装置を構成するようにしても良い。