次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る作業車両としての田植機1の側面図である。この田植機1は、前輪11と、後輪12と、運転座席9と、を備える車体2を有しており、乗用式の田植機として構成されている。
田植機1は、駆動源であるエンジン10を有している。このエンジン10の駆動力が、図略のトランスミッション等を介して前輪11及び後輪12に出力され、当該前輪11及び後輪12を回転駆動する。前記運転座席9の近傍には、操向ハンドル14等の操作具が適宜配置されている。
また、田植機1は、車体2の後方に配置された植付部3と、植付部3に取り付けられた箱施用剤散布装置(第1散布装置)4及び除草剤散布装置(第2散布装置)5と、を備えている。また、田植機1は、前記エンジン10の駆動力を後方に出力するPTO軸13を備えている。
また、車体2の後部には、植付部3を昇降するための昇降リンク機構31が設けられている。植付部3は、昇降リンク機構31を介して、車体2の後方に取り付けられている。昇降リンク機構31は、前記植付部3を車体2に対して上下方向に平行移動可能とした平行リンク構造と、当該平行リンク構造を駆動する図略の昇降シリンダから構成されている。これにより、昇降シリンダを駆動することで、植付部3を昇降駆動することができる。
前記植付部3は、植付ケース32と、植付ユニット36と、苗載台39と、を備える。
図2に示すように、本実施形態の植付部3は、8つの植付ユニット36を車体左右方向に並べて有している。つまり、本実施形態の田植機1は、8条植えの田植機として構成されている。
各植付ユニット36は、回転ケース50に2つの植付爪を備えるロータリ式の植付装置として構成されている。ロータリ式植付装置の構成は公知であるので詳細な説明は省略するが、後述の苗載台39に載せられたマット苗の下端から植付爪が1株分の苗を掻き取って、当該苗を地面に植え込むように構成されている。
植付ケース32は、昇降リンク機構31を介して車体2の後部に連結されている。植付ケース32は計4つ配設されるとともに、各植付ケース32の左右に植付ユニット36が1つずつ配置されている。
植付ケース32は、中空筒状に構成されており、その軸線方向を車体2の前後方向に沿わせて配置されている。植付ケース32の内部には、植付ユニット36に対して駆動力を伝達する伝動軸(詳細には、図4に示す後述の植付伝動軸130)が配置されている。この伝動軸には、前記エンジン10の駆動力がPTO軸13を介して入力されている。これにより、各植付ユニット36(回転ケース50)を、エンジン10の駆動力によって駆動できるように構成されている。
図1に示すように、苗載台39は、前記植付ケース32の上方に配置されている。苗載台39は、マット苗を載置できる載置面を有している。当該載置面は、後方斜め上を向いている。本実施形態の田植機1が8条用であることに伴い、苗載台39は、8条分の苗マットを車体幅方向に並べて載せることができるように構成されている。
続いて、本実施形態の田植機1における駆動伝達経路について、図3及び図4を参照して説明する。図3は、田植機1の動力伝達構成を示すスケルトン図である。図4は、植付部3、箱施用剤散布装置4、及び除草剤散布装置5に係る動力伝達構成を示すスケルトン図である。
図3に示すように、エンジン10の駆動力は、駆動伝達ベルト111を介して、エンジン10の前方に配置されたミッションケース112に入力される。ミッションケース112の内部には油圧式無段変速装置113が設けられており、この油圧式無段変速装置113によってエンジン10の駆動力が変速される。この油圧式無段変速装置113としては、例えば公知のHST(静油圧式無段変速機)等を採用することができる。油圧式無段変速装置113の変速比は、オペレータが変速ペダルを操作することにより変更することができる。
油圧式無段変速装置113からの出力の一部は、メインクラッチ114を介してギア式の主変速装置115に入力され、変速される。主変速装置115は、オペレータが主変速レバーを操作することで切換可能に構成されている。主変速レバーは、「前進」「後進」「苗継」のポジションを少なくとも選択可能に構成されている。主変速レバーが「前進」位置に操作されると、後述の車軸116,117を、車体2を前進させる方向に回転駆動させる。一方、主変速レバーが「後進」位置に操作されると、車軸116,117を、車体2を後進させる方向に回転駆動させる。また、主変速レバーが「苗継」位置に操作されると、車軸116,117、及びPTO軸13に対する駆動の伝達が切断される。
主変速装置115で変速された回転駆動力の一部は、ミッションケース112と一体的に形成されたフロントアクスルケース118に伝達され、前輪11の車軸である前車軸116L,116Rを回転駆動する。また、主変速装置115で変速された回転駆動力の一部は、ミッションケース112から後方に突出するプロペラシャフト119を介してリアアクスルケース120に入力され、後輪12の車軸である後車軸117L,117Rを駆動する。以上の構成により、前輪11及び後輪12を駆動して車体2を走行させることができる。車体2の走行速度は、オペレータが上記の変速ペダルを操作することにより任意に変更することができる。
プロペラシャフト119から左の後車軸117Lまでの駆動伝達経路の間には、左のサイドクラッチ121Lが配置されている。同様に、プロペラシャフト119から右の後車軸117Rまでの駆動伝達経路の間には、右のサイドクラッチ121Rが配置されている。左右のサイドクラッチ121L,121Rは、それぞれ独立して接続/切断を切り換えることができる。
油圧式無段変速装置113の出力の一部は、ミッションケース112の後端から取り出されて、植付駆動伝動軸122を介して植付変速部123に入力される。植付変速部123内には複数のギアからなる変速装置が設けられており、入力された駆動力を適宜変速してPTO軸13から出力するように構成されている。このPTO軸13が伝達する駆動力によって、図4に示す植付部3が駆動される。以上の構成により、植付ユニット36を駆動する速度を変速することができる。
図3に示す植付変速部123において、PTO軸13には、植付クラッチ124を介して駆動力が伝達されるように構成されている。この植付クラッチ124を切断することにより、植付部3の駆動を停止することができる。この植付クラッチ124の接続/切断は、オペレータが図略の植付クラッチ操作レバーを操作することによって切り換えることができる。また、植付クラッチ124は、田植機1の車体2や植付部3の動作を制御する図示しないコントローラによっても切換可能になっている。
植付変速部123から出力された動力は、PTO軸13を介して、図4に示す植付部3の伝動ハウジング126内に入力される。伝動ハウジング126に入力された駆動力は、複数の伝動シャフト127、複数の伝動ギア128等を介して、並べて配置される4つの植付ケース32がそれぞれ備える植付伝動軸130及び回転ケース駆動軸129に伝達される。回転ケース駆動軸129の両端には、植付ユニット36の回転ケース50が取り付けられる。
以上の構成により、回転ケース50を回転駆動することができるので、ロータリ式植付装置として構成された植付ユニット36による苗の植付けを行うことができる。
なお、4つのうち1つの植付ケース32の回転ケース駆動軸129の回転が、べべルギアを介して取り出され、後述の支持ケース33に配置された駆動出力ベベルギア60から出力される。この駆動出力ベベルギア60の回転が適宜の伝動機構を介して伝達され、箱施用剤散布装置4及び除草剤散布装置5が駆動される。なお、この伝動機構の詳細は後述する。
続いて、田植機が備える箱施用剤散布装置4について説明する。図1に示すように、箱施用剤散布装置4は、苗載台39の後方に配置されている。
箱施用剤散布装置4は、苗載台39に載置された苗マットの表面(苗の根元)に、箱施用剤を散布するものである。図2に示すように、箱施用剤散布装置4は、複数の散布ユニット44を備えている。なお、図2においては、散布ユニット44を、点線によって模式的に示している。散布ユニット44の具体的な構成は、図5の斜視図に示す。
図5に示すように、各散布ユニット44は、ホッパ45と、繰出部46と、シュータ47と、繰出駆動軸(第1駆動入力軸)48と、を一体的にまとめて構成したものである。
ホッパ45は、箱施用剤を入れるための容器である。なお、本実施形態の箱施用剤は、固体粒状の薬剤であることを想定している。ホッパ45は、その上端が開口して形成されているとともに、当該開口部を塞ぐ蓋部45bを備える。また、ホッパ45の下部は開放されており、繰出部46に連通する通路部45aとなっている。
ホッパ45には、耐候性の高い合成樹脂が用いられている。ホッパ45は透明な合成樹脂で構成されており、これにより、内部の薬剤が何であるか、及びその残量について、外部から容易に視認することができる。
繰出部46は、ホッパ45の通路部45aの下部に接続されている。繰出部46は、ホッパ45内の箱施用剤を所定量ずつ繰り出してシュータ47に落下させるように構成されている。
シュータ47はパイプ状の部材であり、その先端部がマット苗の表面(苗の根元)近傍に位置するように配置されている。なお、シュータ47はゴム等の弾性変形可能な材料で構成されているため、シュータ47に苗が絡まることを防止できている。
以上の構成で、繰出部46によってホッパ45内の箱施用剤を所定量ずつ繰り出すことにより、当該箱施用剤を、シュータ47を介してマット苗の表面に散布していくことができる。
1つの散布ユニット44は、2条分の箱施用剤を散布できるように構成されている。具体的には、ホッパ45の下部は2股に分かれており、その分かれた部分の下端部には、繰出部46に連通する通路部45aがそれぞれ形成されている。そして、各通路部45aに、繰出部46及びシュータ47が設けられている。本実施形態の田植機1は8条植えであるから、箱施用剤散布装置4は、4つの散布ユニット44を備えている。これにより、箱施用剤散布装置4は、8条分の箱施用剤を散布できる。
なお、ホッパ45の内部には、上記の2股の部分の分かれ目で内部空間を区画するように、板状の仕切り板86が設けられている。これにより、薬剤の偏りを防止することができる。
次に、図6及び図7を参照して、繰出部46の構成について詳しく説明する。繰出部46は、繰出ケース24と、繰出ロール25と、を備える。
繰出ケース24は、ホッパ45の下部に取り付けられている。繰出ロール25は、繰出ケース24及びホッパ45によって囲まれた空間の内部に配置されている(図6及び図7を参照)。繰出ロール25は、厚みのある円板状に形成されている。図6の側面断面図に示すように、繰出ロール25の周面には、複数の凹部25aが周方向で所定間隔を空けて形成されている。ホッパ45内の粒状の箱施用剤は、通路部45aを介して、繰出ロール25の上方に供給される。供給された箱施用剤は、前記各凹部25aの内部に一定量ずつ取り込まれる。この繰出ロール25を所定角度ずつ間欠回転駆動することにより、ホッパ45内の箱施用剤をシュータ47に向かって所定の供給速度で繰り出すことができる。
前記繰出ロール25は、繰出駆動軸48に、軸線を一致させて固定されている。具体的には、繰出ロール25の軸方向両端面から円柱状の軸部が突出され、この軸部及び繰出ロール25には、図6に示すように正六角形の軸孔が形成されている。一方、繰出駆動軸48は、上記の軸孔に対応する正六角形の断面を有している。従って、繰出駆動軸48の軸孔に繰出駆動軸48を差し込むことで、繰出ロール25を繰出駆動軸48と一体的に回転させることができる。
図5に示すように、当該繰出駆動軸48の一端にはユニット側クラッチ部材49が、相対回転不能に取り付けられている。このユニット側クラッチ部材49には、クラッチ爪が形成されている。このユニット側クラッチ部材49に回転駆動力が入力されることで、繰出駆動軸48(及びこれに固定されている繰出ロール25)が軸線まわりで回転駆動され、ホッパ45内の箱施用剤が繰り出される。
図6の側面断面図に示すように、繰出部46は、繰出ロール25の周面に対して接触するように配置されたシール部材26を備えている。また、図7の正面断面図に示すように、繰出ロール25の軸方向の両端部には、径方向外側に向けて突出する鍔部25bが形成されている。一方、通路部45aの下端部には、ラビリンスシール部45cが形成されている。図7に示すように、ラビリンスシール部45cは、繰出ロール25の前記鍔部25bに対して、繰出ロール25の軸方向(図7の左右方向)から接触するように配置されている。以上のように、シール部材26及びラビリンスシール部45cを設けることで、ホッパ45内の薬剤(箱施用剤)が、繰出ロール25の周囲を通過して下方に向けて流出してしまうことを防止している。
ところで、前述のように、本実施形態の箱施用剤は固体粒状の薬剤であることを想定している。このような粒状体の薬剤は、サイズ(直径)が比較的大きいので、シール部材26やラビリンスシール部45cを乗り越えることはできない。ところが、ホッパ45内や繰出ケース24内において、薬剤が砕けたり削れたりして細かい粉が発生する場合がある。このような細かい粉は、シール部材26やラビリンスシール部45cを乗り越えて、繰出ロール25と、ホッパ45又は繰出ケース24と、の間に入り込んでしまうことがある。この場合、繰出ロール25が回転駆動されたときに、当該繰出ロール25と、ホッパ45又は繰出ケース24とが、粉を介して擦れ合う結果、当該繰出ロール25、ホッパ45又は繰出ケース24の摩耗が進行するという問題がある。
そこで本実施形態の箱施用剤散布装置4では、図7に示すように、繰出ロール25の軸方向の端面と、ホッパ45と、の間に、隙間45dを形成している。また、図7に示すように、繰出ロール25の軸方向の端面と、繰出ケース24と、の間に、隙間24dを形成している。ここで、隙間45d,24dの幅としては、0.5mm以上が好適である。このように隙間45d,24dを設けることにより、繰出ロール25と、ホッパ45又は繰出ケース24の間に粉が入り込んだとしても、当該粉のサイズ(直径)に比べて隙間45d,24dの幅の方が大きいので、当該粉が、繰出ロール25とホッパ45(又は繰出ケース24)の間に挟まることがない。これにより、繰出ロール25、ホッパ45及び繰出ケース24の摩耗が進行することを防止できる。
なお、隙間45dと隙間24dは連通している。また、図7に示すように、隙間24dの下方は開放されており、前述のシュータ47(図6参照)へと連通している。この構成によれば、隙間45d又は隙間24dに粉が入り込んだとしても、当該粉は、隙間24dから下方に落下し、シュータ47を介して外部に排出される。従って、隙間45d,24dに粉が溜まることはない。
次に、ホッパ45と繰出ケース24との接合部分における防水のための構成について、図8及び図9を参照して説明する。
図8及び図9に示すように、ホッパ45の下端部及び繰出ケース24の上端部には、何れも水平な板状の接合板部が形成され、この接合板部同士がボルト及びナット等の固定手段で取り付けられることで、ホッパ45と繰出ケース24とが結合される。
そして、上記の接合板部の合わせ面には、繰出ロール25の回転軸線を挟むようにして、1対のゴムシール87が取り付けられる。図8及び図9に示すように、それぞれのゴムシール87は、繰出ロール25を迂回するように折り曲げられながら配置されている。また、繰出ロール25の軸方向両端面から突出された前記軸部の先端部には、リング状のオイルシール88がそれぞれ取り付けられ、ホッパ45及び繰出ケース24との間で密着している。これらにより、防水性及び防泥性が高められている。
続いて、除草剤散布装置5について説明する。除草剤散布装置5は、苗が植え付けられた後の地面に対して、除草剤を散布する装置である。
図1及び図2に示すように、除草剤散布装置5は、箱施用剤散布装置4の更に後方に配置されている。除草剤散布装置5は、ホッパ16と、繰出部17と、散布カバー18と、を備えている。なお、図2においては、除草剤散布装置5を点線によって模式的に示している。
除草剤散布装置5のホッパ16は、除草剤を収容するための容器である。本実施形態においては、除草剤は固体粒状の薬剤であることを想定している。なお、本実施形態の除草剤散布装置5は、ホッパを1つのみ有している。
繰出部17は、ホッパ16の下部に接続されている。繰出部17は、繰出ロール(図略)と、当該繰出ロールを回転駆動するための駆動力が入力される除草駆動軸17a(第2駆動入力軸、図1)とを備えている。上記繰出ロールが回転駆動されることにより、ホッパ16内の除草剤が所定量ずつ繰り出される。
繰出部17の下方には、散布カバー18が配置されている。この散布カバー18は、図10に示すように、車体左右方向に沿って細長く配置されている。この散布カバー18の下部は開放されている。また、当該散布カバー18の内側であって、前記繰出ロールの直下の位置には、図略の繰出羽根が配置されている。また、除草剤散布装置5は、前記繰出羽根を高速で回転駆動するための電動モータ(図略)を備えている。
この種の除草剤散布装置は、例えば特開2000−175512に記載されているように周知であるから、これ以上の詳細な説明は省略する。除草剤が散布される様子について簡単に説明すると以下のとおりである。即ち、繰出ロールによって繰り出された除草剤は、繰出羽根の上に落下する。繰出羽根は電動モータによって高速で回転駆動されているので、前記除草剤は、遠心力によって飛ばされる。飛ばされた除草剤は、散布カバー18によって案内されることにより、左右に拡散するとともに、当該散布カバーの下部から放出されて地面に落下する。
以上の構成により、ホッパ16内の除草剤を、左右に分散させて地面に散布することができる。
続いて、上記箱施用剤散布装置4と、除草剤散布装置5の支持構造について、図2、図10、図11等を参照して説明する。なお、図11においては、除草剤散布装置5の図示を省略している。また、図11においては、駆動力を伝動するための伝動軸等を、太線によって透過的に示している。
田植機1は、散布装置4,5を支持するためのメインフレーム6を備えている。図11に示すように、メインフレーム6は、水平面に対して略平行に配置されている。後で詳細に説明するが、メインフレーム6は、水平面内で移動可能となっている(図12及び図13を参照)。本明細書では、作業時(植付部3によって苗を植え付けているとき)におけるメインフレームの位置(図2等に示す位置)を、「作業位置」と呼ぶ。図2に示すように、作業位置のメインフレーム6は、車体左右方向に沿って配置されている。以下、特に断わらない限りは、メインフレーム6が「作業位置」にあるものとして説明する。
図10及び図11に示すように、田植機1は、メインフレーム6と平行に配置されたサブフレーム20を備えている。サブフレーム20は、ステー21を介して、メインフレーム6に固定されている。各散布ユニット44は、サブフレーム20に取り付けられている。また、図10に示すように、平面視において、サブフレーム20は、メインフレーム6の前方に位置している。図10に示すように、箱施用剤散布装置4が備える複数の散布ユニット44は、サブフレーム20の長さ方向に沿って、並べて配置されている。これにより、散布ユニット44が、車体2の左右方向に並べて配置される。
図10に示すように、除草剤散布装置5は、ステー22を介して、メインフレーム6に固定されている。図10に示すように、除草剤散布装置5は、散布カバー18の長手方向がメインフレーム6と平行になるように配置されている。また、平面視において、除草剤散布装置5は、メインフレーム6を挟んで箱施用剤散布装置4の反対側に配置されている。従って、平面視において、除草剤散布装置5は箱施用剤散布装置4の後方に配置されている。
以上のように、箱施用剤散布装置4及び除草剤散布装置5が、メインフレーム6に対して固定的に取り付けられている。
続いて、本実施形態の特徴的な構成について説明する。
上記のように、本実施形態の田植機1において、苗載台39の後方には、箱施用剤散布装置4と、除草剤散布装置5が配置されている。このため、このままの状態では、苗載台39へのアクセス性が悪いという問題がある。
そこで本実施形態では、箱施用剤散布装置4及び除草剤散布装置5を、苗載台39から離間する方向に移動させることができるように構成したものである。
以下、図2、図11〜図14を参照して、具体的に説明する。なお、図2、図12、図13においては、箱施用剤散布装置4及び除草剤散布装置5を点線で示している。また、図11においては、箱施用剤散布装置4を点線で示すとともに、除草剤散布装置5の図示は省略している。更に、図14においては、最も右側の植付ケース32と、メインフレーム6と、を鎖線で示すとともに、それ以外の植付ケース32、箱施用剤散布装置4及び除草剤散布装置5等の図示を省略している。
図12及び図13に示すように、本実施形態は、メインフレーム6を、苗載台39から離間するように後方に向けて移動させることができる構成である。当該メインフレーム6には箱施用剤散布装置4と除草剤散布装置5が取り付けられているから、上記のようにメインフレーム6を移動させることで、散布装置4,5を苗載台39から離間させることができる。
このように、散布装置4,5を苗載台39から離間させることで、苗載台39に対するアクセスを容易に行うことができる。例えば、苗載台39に残っているマット苗を取り除く作業などを行い易くなる。
続いて、上記のようにメインフレーム6を移動させるための構成について説明する。
図2、図11に示すように、田植機1が備える複数の植付ケース32のうち何れか1つの後端には、支持ケース33が固定されている。なお、図2に示すように、本実施形態では、右端の植付ケース32の後端に支持ケース33が固定されている。この支持ケース33は中空円筒状に構成されており、図11及び図14に示すように、その軸線を略鉛直方向に向けて配置されている。メインフレーム6は、支持ケース33の軸線を中心として回動できるため、以下、この軸線を第1回動軸51と呼ぶことがある。支持ケース33の内部には、前記第1回動軸51に軸線を一致させて第1伝動軸52が配置されている。
支持ケース33の上端には、第1ベベルケース34が接続されている。図14に示すように、第1ベベルケース34は中空円筒状に構成されており、その下端部を支持ケース33に被せることで、支持ケース33に第1ベベルケース34を回転可能に支持することができる。第1ベベルケース34は中空状に構成されており、その内部には、ベベルギア35,37が配置されている。
前記第1ベベルケース34に対して、中間フレーム38の長手方向一側の端部(図11及び図14における右側の端部)が固定されている。この中間フレーム38は中空筒状に構成されている。中間フレーム38は、その軸線が略水平となるように配置されている。また、中間フレーム38の内部には、中間軸(中間伝動部材)41が配置されている。
また、当該中間フレーム38の他側の端部(図11及び図14における左側の端部)には、第2ベベルケース53が固定されている。第2ベベルケース53は、中空状に構成されており、その内部にはベベルギア54,55が配置されている。
第2ベベルケース53の上部には、駆動出力ケース56が固定されている。駆動出力ケース56は、中空筒状に構成されており、図11及び図14に示すように、その軸線を略鉛直方向に向けて配置されている。メインフレーム6は、駆動出力ケース56の軸線を中心として回動できるため、以下、この軸線を第2回動軸57と呼ぶことがある。駆動出力ケース56の内部には、前記第2回動軸57に軸線を一致させて第2伝動軸58が配置されている。
駆動出力ケース56の外側には中空円筒状の支軸66が被せられて回転可能とされ、この支軸66に対して、図略の固定ステーやブラケットを介して前述のメインフレーム6が固定されている。これにより、メインフレーム6が、第1ベベルケース34、中間フレーム38、第2ベベルケース53、及び駆動出力ケース56を介して、支持ケース33に支持されている。
なお上記のように、本実施形態では、右端の植付ケース32に設けられた支持ケース33によってメインフレーム6を支持しているので、メインフレーム6(及びこれに支持された散布装置4,5)の全重量が、右端の植付ケース32に加わることになる。そこで本実施形態では、図11に示すように、右端以外の他の植付ケース32(本実施形態の場合は左端の植付ケース32)に支柱59を設けている。支柱59は、作業位置のメインフレーム6を、下から支えることができるように構成されている(図11の状態)。このように左端の植付ケース32に支柱59を設けたことで、メインフレーム6(及びこれに支持された散布装置4,5)の重量を、左右の植付ケース32で分散して支えることができる。これにより、右端の植付ケース32に過度に重量が集中することを防止できるとともに、作業時の振動などによってメインフレーム6がグラつくことを防止できる。
第1ベベルケース34は、支持ケース33に対して、前記第1回動軸51まわりで相対回転可能に構成されている。この第1ベベルケース34には、中間フレーム38が固定されている。これにより、当該中間フレーム38は、第1回動軸51まわりで、支持ケース33に対して相対回転可能となっている。
また、支軸66は、駆動出力ケース56に対して、前記第2回動軸57まわりで相対回転可能に構成されている。この支軸66には、メインフレーム6が固定されている。これにより、当該メインフレーム6は、第2回動軸57まわりで、中間フレーム38に対して相対回転可能となっている。
以上のように、メインフレーム6と支持ケース33の間には、2つの回動軸51,57が介在している。これにより、メインフレーム6は、支持ケース33に対して、回動軸51,57を介して移動することができる。
ここで、第2回動軸57は、第1回動軸51と同一軸線上には配置されていない。従って、メインフレーム6は、異なる2つの回動軸51,57を介して移動できる。第1回動軸51及び第2回動軸57は、略鉛直方向に沿って配置されているから、メインフレーム6は、水平面内で移動することができる。
なお、特許文献1には、施肥装置を、1つの軸まわりで回動させて苗載台から離す構成が記載されている。しかし、この構成では、軸の近くでは施肥装置が苗載台から離間する距離が短いという問題があった。
この点、上記実施形態の構成では、メインフレーム6は、異なる2つの回動軸51,57を介して移動できる。従って、散布装置4,5を、異なる2つの回動軸51,57を介して移動させることができる。これによれば、散布装置4,5の移動が、1つの軸まわりに限定されないので、当該散布装置4,5を全体的に苗載台39から離間させることができる(図12)。
また本実施形態では、図11に示すように、駆動出力ケース56は、メインフレーム6の長手方向略中央付近に設けられている。また、メインフレーム6が作業位置にあるときに、第1ベベルケース34は、メインフレーム6の端部(図11の場合は右側の端部)近傍に配置されている。つまり、本実施形態では、メインフレーム6が作業位置にあるときに、第1回動軸51はメインフレーム6の端部近傍に、第2回動軸57はメインフレーム6の長手方向中央部近傍に、それぞれ配置されている。
従って、中間フレーム38の長手方向の長さは、メインフレーム6よりも短くなっている。より具体的には、図11等に示すように、中間フレーム38は、メインフレーム6の約半分程度の長さである。このように、中間フレーム38が比較的短く構成されているため、当該中間フレーム38が第1回動軸51まわりで回動する際の軌跡は、比較的コンパクトとなっている。これにより、メインフレーム6を、比較的コンパクトな軌跡で移動させることが可能となっている。従って、例えば車庫内などの狭いスペースにおいても、メインフレーム6(及びこれに取り付けられている散布装置4,5)を移動させ易くなっている。
また、図13に示すように、苗載台39の後方を完全に開放する(苗載台39の後方に散布装置4,5が無い状態にする)ことも可能である。より具体的には、中間フレーム38を、第1回動軸51まわりで約180度回転させて、図13のように車体右側方に向けて突出するように配置する。また、メインフレーム6を、中間フレーム38に対して第2回動軸57まわりで約90度相対回転させて、図13のようにメインフレーム6の長手方向と、中間フレーム38の長手方向とが、平面視で略直交した状態とする。
このように、図13の位置までメインフレーム6を移動させることで、苗載台39の後方を完全に開放できる。また、本実施形態の構成によれば、図13に示すように、メインフレーム6の長手方向の一部を、苗載台39の右側方に並べるように配置できる。これにより、苗載台39の後方を完全に開放したときに、前後方向で必要なスペースが小さくて済む。また、この状態においては、図13に示すように、メインフレーム6の長手方向を、車体2の前後方向と略平行になるように配置できる。これにより、苗載台39の後方を完全に開放したときに、左右方向で必要なスペースが小さくて済む。従って、例えば車庫内などの狭いスペースにおいても、苗載台39の後方を完全に開放できる。
なお、本実施形態では上記のように、2軸まわりで散布装置4,5を移動させることができるので、当該散布装置4,5の移動の自由度が比較的高い。このため、仮に、当該散布装置4,5の移動に何ら制限を設けなければ、散布装置が苗載台39などに衝突してしまう可能性がある。
そこで本実施形態では、メインフレーム6の移動を制限するように、リンク機構85を設けている。このリンク機構85はリンクロッド等で構成されており、第1回動軸51まわりでの中間フレーム38の回動と、第2回動軸57まわりでのメインフレーム6の回動と、を連動させるように構成されている。
より具体的には、第1回動軸51まわりでの、支持ケース33に対する中間フレーム38の相対回動方向と、第2回動軸57まわりでの、中間フレーム38に対するメインフレーム6の相対回転方向と、が逆向きになるように、上記リンク機構85が構成されている。そして、メインフレーム6を、中間フレーム38に対して第2回動軸57まわりで作業位置から時計回りに約90度相対回転させたときに、当該中間フレーム38が、支持ケース33に対して第1回動軸51まわりで反時計回りに180度回動するように、リンク機構85が構成されている。これにより、メインフレーム6を、図2に示す位置から、図12に示す位置を経て、図13に示す位置まで移動させることができる。
上記のリンク機構85により、メインフレーム6(及びこれに取り付けられている散布装置4,5)が苗載台39等に衝突しないように、当該メインフレーム6(及びこれに取り付けられている散布装置4,5)を移動させることができる。
また、本実施形態では、前述の支柱59に図略のロック機構が設けられており、メインフレーム6を、作業位置(図11の状態)で固定できるように構成されている。これにより、メインフレーム6(及びこれに取り付けられている散布装置4,5)が、勝手に移動してしまうことを防止できる。前記ロック機構を解除すれば、メインフレーム6(及びこれに取り付けられている散布装置4,5)を、苗載台39から離れる方向に移動させることができる。
次に、箱施用剤散布装置4の繰出ロール、及び除草剤散布装置5の繰出ロールに対して駆動力を伝達するための構成について説明する。
図11及び図14に示すように、支持ケース33内には、駆動出力ベベルギア60が配置されている。この駆動出力ベベルギア60には、支持ケース33が固定されている植付ケース32(本実施形態の場合は、右端の植付ケース32)の内部にある植付伝動軸(図略)から駆動力が入力される。これにより、支持ケース33内において、駆動出力ベベルギア60が回転駆動される。
図11及び図14に示すように、支持ケース33内には、ベベルギア61が配置されている。このベベルギア61は、前記駆動出力ベベルギア60に噛み合うように配置されている。ベベルギア61は、前述の第1伝動軸52の下端部に固定されている。
第1伝動軸52の上端には、前述のベベルギア35が固定されている。一方、図11及び図14に示すように、中間軸41の一側の端部(図11及び図14においては右側の端部)には、ベベルギア37が固定されている。ベベルギア35,37は、第1ベベルケース34の内部において噛み合っている。
中間軸41の他側の端部(図11及び図14においては左側の端部)には、ベベルギア54が固定されている。一方、前述の第2伝動軸58の下端には、前記ベベルギア55が固定されている。ベベルギア54,55は、第2ベベルケース53の内部において噛み合っている。
以上の構成により、駆動出力ベベルギア60から出力された駆動力が、第1伝動軸52及び中間軸41を介して、第2伝動軸58まで伝達される。
第2伝動軸58の上端には、クランク62が固定されている。これにより、クランク62は、第2伝動軸58の軸線(第2回動軸57)まわりで回転駆動される。クランク62には、出力軸63が設けられている。この出力軸63は、第2回動軸57と平行で、かつ当該第2回動軸57とはズレた位置に偏心して配置されている。以上の構成により、出力軸63は、第2回動軸57まわりで、偏心回転運動する。
以上のようにして、支持ケース33からクランク62まで駆動力を伝達する伝達経路が構成されている。前述のように、第1伝動軸52は、第1回動軸51に軸線を一致させて配置されており、第2伝動軸58は、第2回動軸57に軸線を一致させて配置されている。これにより、メインフレーム6(及びこれに支持された散布装置4,5)を、回動軸51,57まわりで移動させたとしても、上記伝達経路は影響を受けないようになっている。
図10に示すように、クランク62の出力軸63には、第1コネクティングロッド64及び第2コネクティングロッド65の端部がそれぞれ接続されている。コネクティングロッド64,65は、出力軸63が偏心回転運動することにより往復運動する。
図10に示すように、第1コネクティングロッド64の端部は、ワンウェイクラッチ68に連結されている。ワンウェイクラッチ68は、第1コネクティングロッド64の往復運動を、間欠回転運動に変換して、箱施伝動軸72に伝達する。
箱施伝動軸72は、サブフレーム20の長手方向に沿って配置されている。図10に示すように、箱施伝動軸72の両端には、それぞれ第1駆動伝達ギア73が固定されている。また、図10に示すように、第1駆動伝達ギア73に噛み合う第2駆動伝達ギア74が設けられている。
なお、第1駆動伝達ギア73及び第2駆動伝達ギア74は、ギアケース77内に収容されている。ギアケース77は、サブフレーム20に固定されている。
図10に示すように、第2駆動伝達ギア74には、当該第2駆動伝達ギア74と一体回転するフレーム側クラッチ部材76が設けられている。フレーム側クラッチ部材76には、クラッチ爪が形成されている。そして、フレーム側クラッチ部材76は、散布ユニット44が備える前記ユニット側クラッチ部材49に噛合い可能に構成されている。
以上の構成により、ユニット側クラッチ部材49に対して、ワンウェイクラッチ68が主力する間欠回転駆動力を伝達できる。前述のように、ユニット側クラッチ部材49に駆動力が入力されることにより、繰出ロール25を軸線まわりで回転駆動できる。このように、第1コネクティングロッド64の往復運動により、各散布ユニット44が備える繰出ロール25を間欠回転駆動できる。
なお、各散布ユニット44の繰出駆動軸48には、ユニット側クラッチ部材49を前記フレーム側クラッチ部材76に向けて付勢する付勢部材(図略)が設けられている。当該付勢部材の付勢力により、ユニット側クラッチ部材49とフレーム側クラッチ部材76とを噛み合わせた状態を維持できる。
ユニット側クラッチ部材49に形成されるクラッチ爪は、図5に示すように、周方向に2つだけ設けられるシンプルな構成となっており、フレーム側クラッチ部材76に形成されるクラッチ爪も同様である。このようにクラッチ爪の枚数が2枚と少ないので、泥が付着したときの清掃等が容易になっている。更には、軸方向に移動可能なユニット側クラッチ部材49には、蛇腹状のブーツカバー89が設けられている。これらの構成により防水性及び防泥性が高められており、泥の噛込み等を防止できるようになっている。
各散布ユニット44に対応して、図示しないクラッチ操作部が配置されている。このクラッチ操作部は、前記付勢部材の付勢力に逆らって、ユニット側クラッチ部材49を、フレーム側クラッチ部材76から離間させる方向に移動させる操作が可能に構成されている。ユニット側クラッチ部材49をフレーム側クラッチ部材76から離間させることで、繰出駆動軸48に駆動力が入力されなくなるので、繰出ロール25の駆動を停止することができる。
一方、図10に示すように、第2コネクティングロッド65は、第1コネクティングロッド64とは略反対方向に向けて配置されている。この第2コネクティングロッド65の端部は、図略のワンウェイクラッチに連結されている。このワンウェイクラッチは、第2コネクティングロッド65の往復運動を、間欠回転運動に変換して、除草駆動軸17a(図2)に伝達する。
以上の構成により、第2コネクティングロッド65の往復運動により、除草剤散布装置5が備える繰出ロール(図略)を間欠回転駆動できる。
このように、1つの出力軸63に対して、2本のコネクティングロッド64,65を連結することで、箱施用剤散布装置4と、除草剤散布装置5とに、駆動力を分配させることができる。
なお、クランク62は第2回動軸57上に配置されているので、当該第2回動軸57まわりでメインフレーム6を回動させる際に、コネクティングロッド64,65を出力軸63から取り外す必要がない。即ち、本実施形態の構成によれば、コネクティングロッド64,65を取り付けたままの状態で、メインフレーム6(及びこれに支持されている散布装置4,5)を移動させることができる。
また、本実施形態では、図10に示すように、クランク62の回転軸(第2伝動軸58)方向で見たときに、出力軸63から第1コネクティングロッド64が延びる方向と、出力軸63から第2コネクティングロッド65が延びる方向と、が異なるように構成されている。
より具体的には、図10に示すように、第1コネクティングロッド64は、平面視で出力軸63から前方に向けて配置されている。一方、第2コネクティングロッド65は、平面視で出力軸63から後方に向けて配置されている。
このように、出力軸63に対して2本のコネクティングロッド64,65を略反対方向から連結しているので、クランク62が回転駆動されることによって出力軸63が第1コネクティングロッド64を押しているときには、当該出力軸63によって第2コネクティングロッド65が引っ張られることになる。逆に、出力軸63が第1コネクティングロッド64を引っ張っているときには、当該出力軸63によって第2コネクティングロッド65が押されることになる。
即ち、本実施形態では、出力軸63に対して第1コネクティングロッド64を連結する方向と、出力軸63に対して第2コネクティングロッド65を連結する方向と、を異ならせるように構成しているので、出力軸63によって引っ張られるタイミングが、2本のコネクティングロッド64,65で異なる。このため、箱施用剤散布装置4の繰出ロール25が間欠回転駆動されるタイミングと、除草剤散布装置5の繰出ロールが間欠回転駆動されるタイミングと、がズレることになる。これにより、クランク62の回転軸に加わる負荷が分散されるので、クランク62をスムーズに回転駆動することができる。
特に、本実施形態では、コネクティングロッド64を、出力軸63に対して略反対方向から接続しているので、第1コネクティングロッド64が出力軸63によって引っ張られるタイミングと、第2コネクティングロッド65が出力軸63によって引っ張られるタイミングと、が重ならないようになっている。これにより、クランク62の回転軸に掛かる負荷が略均等になり、クランク62をスムーズに回転駆動することができる。
本実施形態では、図10に示すように、平面視において、箱施用剤散布装置4と除草剤散布装置5との間に、クランク62が配置されている。これにより、2本のコネクティングロッド64,65を、クランク62の出力軸63に対して反対方向から接続するというレイアウトを、無理なく実現することができる。
以上に示すように、本実施形態の田植機1は、走行可能な車体2と、箱施用剤散布装置4と、メインフレーム6と、中間フレーム38と、支持ケース33と、を備える。メインフレーム6は、箱施用剤散布装置4を支持する。中間フレーム38は、メインフレーム6を支持する。支持ケース33は、中間フレーム38を支持する。中間フレーム38は、第1回動軸51まわりで支持ケース33に対して相対回転可能に支持されている。メインフレーム6は、第1回動軸51とは軸線が異なり、かつ当該第1回動軸51と略平行な第2回動軸57まわりで、中間フレーム38に対して相対回転可能に支持される。この田植機1は、第1伝動軸52と、第2伝動軸58と、中間軸41と、を備える伝動機構を備える。第1伝動軸52は、第1回動軸51に軸線を一致させて配置される。第2伝動軸58は、第2回動軸57に軸線を一致させて配置される。中間軸41は、第1伝動軸52から第2伝動軸58まで駆動力を伝達する。支持ケース33から回転駆動力が出力されて第1伝動軸52に入力されるともに、第2伝動軸58から出力される駆動力により、箱施用剤散布装置4が駆動される。
これにより、箱施用剤散布装置4を、第1回動軸51及び第2回動軸57を介して、平面内で移動させることができる。従って、箱施用剤散布装置4の全体を車体2から離間させることができる。また、伝動機構の第1伝動軸52及び第2伝動軸58が回動軸51,57に一致させて設けられているので、メインフレーム6を回動軸51,57まわりで移動させる際に、第1伝動軸52及び第2伝動軸58を取り外す必要がない。この結果、車体2から箱施用剤散布装置4を離間させたり戻したりする作業が極めて簡単になる。
また、本実施形態の田植機1において、第1伝動軸52に設けられたベベルギア35と、中間軸41に設けられたベベルギア37と、が噛み合っている。中間軸41に設けられたベベルギア54と、第2伝動軸58に設けられたベベルギア55と、が噛み合っている。
これにより、互いに平行に配置される第1伝動軸52及び第2伝動軸58の間で、簡素な構成で駆動力を伝達することができる。
また、本実施形態の田植機1において、中間フレーム38は中空状の部材として構成されている。中間軸41は、中間フレーム38の内部に回転可能に配置されている。
これにより、第1伝動軸52から第2伝動軸58の間の駆動伝達経路が中間フレーム38の内部に配置されるので、コンパクト化が可能になる。また、中間フレーム38の回動とともに、中間フレーム38内の駆動伝達経路も一体的に移動するので、車体2から箱施用剤散布装置4を離間させたり戻したりする作業の際に、オペレータは駆動部材との干渉等を気にする必要がない。
また、本実施形態の田植機1において、第1伝動軸52、中間軸41、及び第2伝動軸58が機械的に連結されている。この機械的な連結を保った状態で、中間フレーム38及びメインフレーム6を回転させることが可能に構成されている。
これにより、車体2から箱施用剤散布装置4を離間させたり戻したりする際に、第1伝動軸52から中間軸41を経由して第2伝動軸58に至る駆動伝達経路を切り離す必要がなくなるため、作業が一層容易になる。
また、本実施形態の田植機1は、苗を載置する苗載台39を有するとともに前記苗を地面に植え付ける植付部3を備える。箱施用剤散布装置4は、苗載台39上の苗に対して薬剤を散布する。植付部3の動力が取り出されて第1伝動軸52に伝達される。
これにより、植付部3の動力を利用して箱施用剤散布装置4を駆動することができるので、構成のコンパクト化を実現できる。
また、本実施形態の田植機1は、第2伝動軸58の駆動力が伝達されるクランク62と、クランク62の出力軸63に連結されて駆動力を箱施用剤散布装置4に伝達するコネクティングロッド64を備える。クランク62の回転軸線は、第2回動軸57と一致するように配置される。
これにより、伝動機構によって駆動力を箱施用剤散布装置4に伝達して駆動することができる。また、クランク62が第2回動軸57と同一の軸線で回転するので、当該第2回動軸57まわりでメインフレーム6を回動させる際に、コネクティングロッド64を取り外す必要がない。この結果、箱施用剤散布装置4を回動軸57まわりで容易に移動可能とすることができる。
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
上記実施形態では、箱施用剤散布装置4と除草剤散布装置5という2種類の散布装置をメインフレーム6に支持させた構成としたが、メインフレーム6に支持させる散布装置は1種類であっても良いし、3種類以上の散布装置をメインフレーム6に支持させることもできる。
上記実施形態では、支持ケース33が右端の植付ケース32に固定されているが、左端の植付ケース32に固定するように変更しても良い。
上記実施形態では、箱施用剤散布装置4の各散布ユニット44に対して、ワンウェイクラッチ68から複数のギア及びクラッチを介して駆動力を伝達する構成としたが、駆動力の伝達機構はこれに限定されず、適宜変更できる。
例えば、上記実施形態では、ユニット側クラッチ部材49を前記フレーム側クラッチ部材76に向けて付勢する付勢部材(図略)を繰出駆動軸48に設けた構成としたが、この構成においては、上記付勢部材の付勢力によってスラスト方向の負荷が繰出駆動軸48にかかってしまうため、繰出ロール25をスムーズに駆動できない場合がある。そこで、ユニット側クラッチ部材49側の付勢部材は省略し、代わりに、フレーム側クラッチ部材76側に付勢部材を設けても良い。
上記実施形態では、中間伝動部材は中間軸41としたが、これに限らない。中間伝動部材は、第1伝動軸52と第2伝動軸58の間で駆動力を伝達できる構成であれば良い。例えば、中間伝動部材を、無端環状チェーンとすることもできる。
散布装置としては、薬剤の散布装置に限らず、例えば種子などの粒状の固形物を散布する装置であれば良い。
本願発明の構成は、田植機に限らず、粒状の固形物を散布する作業車に広く適用できる。