JP2015225718A - ツイスト線製造装置 - Google Patents
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Abstract
Description
ツイスト線は、外部からのノイズの影響を受けにくく、ノイズの発生を抑制できる撚り対線である。例えば、図2(A)に示される2本の電線W1、W2を図2(B)に示すように撚ることによりツイスト線Wtは製造される。このツイスト線Wtに電流が流れると、ツイスト線Wtに発生する磁束(電磁誘導)は相殺される。
図6は、従来のツイスト線製造装置の斜視図である。
従来のツイスト線製造装置100は、2本の電線W1、W2を撚り合わせてツイスト線を製造する装置を2組(101、102)並列に配置して成るものである。このツイスト線製造装置100は、ほぼ同じ長さの2本のツイスト線Wtを同時に製造することができる。
ツイスト線製造装置100の各ツイスト線製造装置101、102は共用のレール100Rと、電線W1、W2の第1ペアと電線W1、W2の第2ペアそれぞれの一端をそれぞれ把持し、かつ、把持した各電線の部分が動かぬように回転する回転側チャック100K、100Kと、回転側チャック100K、100Kを回転させる共用のモータ100Mと、電線W1、W2の第1ペアと電線W1、W2の第2ペアそれぞれの他端をそれぞれ把持し、かつ、把持した各電線の部分が動かぬように固定する固定側チャック100C、100Cと、これら固定側チャック100C、100Cを介して電線W1、W2の第1ペアと電線W1、W2の第2ペアそれぞれに張力を付与するテンション用バネ100S、100Sと、テンション用バネ100S、100Sを収容しかつ支持する角状筒体が固定された共用のテンションバネ支持台100Hと、これらの部品を所定の高さまで持ち上げて支持する基台100Bと、を備える。
図6において、まず、電線W1、W2の第1ペアと電線W1、W2の第2ペアそれぞれの一端をそれぞれ回転側チャック100K、100Kで把持し、そして電線W1、W2の第1ペアと電線W1、W2の第2ペアそれぞれの他端を固定側チャック100C、100Cでそれぞれ把持する。
次に、4本の電線W1、W2、W1、W2それぞれが引っ張られる方向にテンションバネ支持台100Hを移動し、そして4本の電線W1、W2、W1、W2それぞれをピンと引張した状態にしてテンション用バネ支持台100Hを固定する。このとき、4本の電線W1、W2、W1、W2は、テンション用バネ100S、100Sの介在により図2(A)のようにそれぞれ引張された状態になる。
そして、この状態で、モータ100Mが回転駆動されると、回転側チャック100K、100Kがそれぞれ回転する。回転側チャック100K、100Kがそれぞれ1回転すると、第1ペアの電線W1、W2間ならびに第2ペアの電線W1、W2間にそれぞれ撚り(ツイスト)が1つ形成される。したがって、回転側チャック100K、100KがそれぞれN回転すると、第1ペアの電線W1、W2間ならびに第2ペアの電線W1、W2間にそれぞれ撚りがN個形成されて、例えば図2(B)のツイスト線Wtが製造される。
ここで、回転側チャック100K、100Kが1回転すると、第1ペアの電線W1、W2間ならびに第2ペアの電線W1、W2間にそれぞれ撚りが1つ形成される原理について、図2(C)の(1)〜(6)を参照しながら説明する。図2(C)の(1)〜(6)は同軸回転で撚りが形成される原理を説明する図である。図2(C)の(1)〜(6)では、回転側チャック100K、100Kにより不動に把持された電線Aと電線Bの部分が示される。
(1):図2(C)の(1)において、電線Aと電線Bは図2(C)の(1)の水平方向に電線Aが左、そして電線Bが右に配置されるように回転側チャック100K、100Kによって把持されている。
(2):回転側チャック100K、100Kが電線Aと電線Bを把持したまま(すなわち、電線を滑らせずに)90°時計方向に回転されると、電線Aと電線Bはそれぞれ90°捩(ねじ)れて、図2(C)の(2)のように、垂直方向に電線Aが上、そして電線Bが下になる。
(3):回転側チャック100K、100Kがさらに電線Aと電線Bを把持したまま90°時計方向に回転されると、電線Aと電線Bはそれぞれ90°捩れて、図2(C)の(3)のように、水平方向に電線Aが右、そして電線Bが左になる。
(4):回転側チャック100K、100Kがさらに電線Aと電線Bを把持したまま90°時計方向に回転されると、電線Aと電線Bはそれぞれ90°捩れて、図2(C)の(4)のように、垂直方向に電線Aが下、そして電線Bが上にくる。
(5):回転側チャック100K、100Kがさらに電線Aと電線Bを把持したまま90°時計方向に回転されると、電線Aと電線Bはそれぞれ90°捩れて、図2(C)の(5)のように、水平方向に電線Aが左、そして電線Bが右にくる。すなわち、電線Aと電線Bの間で撚りが1個形成されると共に、電線Aと電線B自体もそれぞれ1回、360°捩れた状態になっている。もし電線Aと電線B自体がそれぞれ1回捩れた状態にならなければ、電線Aと電線Bが回転側チャック100K、100Kと固定側チャック100C、100Cとから外されたとき、電線Aと電線Bから成るツイスト電線はバラバラと撚りが緩んだツイスト線になる。2束(たば)の藁(わら)を撚って藁縄を編むとき、各束にこの捩れが加えられると共に2束で撚りが加えられて藁縄が作られる原理と同じである。
(6):回転側チャック100K、100Kがさらに電線Aと電線Bを把持したまま90°時計方向に回転されると、電線Aと電線Bはさらに捩れて、元の状態から450°捩れ、図2(C)の(6)のように、垂直方向に電線Aが上、そして電線Bが下になる。
この同軸回転を多数回のN回繰り返すと、電線Aと電線BはそれぞれN回捩れた状態になると共に、電線Aと電線Bの間で撚りがN個形成された図2(B)のようなツイスト線が製造される。
しかしながら、従来のツイスト線製造装置100には、次のような改良すべき点が存在していた。
(1)電線W1、W2の両端を把持して、常時引張状態で捩りを加えないと、ツイスト線の中間にキンク(こぶ)が発生し、ツイスト線の品質上の問題が生じること。
(2)電線W1、W2を常時引張状態に保つには、基台100Bは電線W1、W2の長さ以上のものが必要となるため、設備サイズもまた床面積も大きくなること。
(3)ツイスト線の線長変更に際し、作業者は固定側チャック100Cの設置位置を変更しなければならず、長尺台である基台100Bの他端側まで歩行しなければならないこと。
(4)電線のセット、およびツイスト線の取り出しに際し、作業者は固定側チャック100Cの位置まで歩行しなければならないこと。
また、その他の公知のツイスト線製造装置として、特許公報1、2記載にツイスト製造装置が開示されている。
(1)特許公報1記載のツイスト製造装置は、設備サイズが短くなり、作業者の歩行も改善されるが、1つのドラムを2軸で回転させる駆動装置が必要であり、コスト面で課題があった。
(2)特許公報2記載のツイスト製造装置は、2個の円錐ゴマのそれぞれのガイド孔にケーブルを通してその後2個のローラ間を通過させるものであり、2個のローラ間を通過させるセット作業が面倒であり、生産性が悪いという課題があった。
(1)複数の電線が外周面に巻き付けられる円柱状シャフトと、前記円柱状シャフトを挟んで両側にそれぞれ前記円柱状シャフトの外周面に接触しながら回転することで前記円柱状シャフトに巻き付けられた前記複数の電線を付勢する一対の捩じりローラと、前記円柱状シャフトの軸方向の一端の近傍に互いに対向配置されて、前記円柱状シャフトの前記軸方向の前記一端から前記複数の電線を挟んで引き出すように回転する一対の送り出しローラと、を備え、前記円柱状シャフトに巻き付けられた前記複数の電線が前記回転する一対の送り出しローラの間に挟まれかつ送り出されることによりツイスト線が製造されること。
(2)前記(1)のツイスト線製造装置において、前記円柱状シャフトに巻き付けられる前の前記複数の電線をそれぞれ通過させる一対の回転抑止用ローラ(16、17)を前記円柱状シャフトの近傍に固定、または前記円柱状シャフトに沿って移動可能に配置したこと。
(3)前記回転抑止用ローラは千鳥配置された複数個のローラから成ること。
(4)複数の電線を円柱状シャフトの外周面に1回だけ巻き付ける工程と、前記円柱状シャフトに1回巻き付けられた前記複数の電線を前記円柱状シャフトから引き出す工程と、により、ツイスト線を製造すること。
(5)複数の電線を円柱状シャフトの外周面に所定回数巻き付ける工程と、
前記円柱状シャフトに所定回数巻き付けられた前記複数の電線を前記円柱状シャフトから引き出す工程と、により、ツイスト線を製造すること。
上記(2)のツイスト線製造装置によれば、供給される電線が軸方向に回転して絡むことを防止できる。また、円柱状シャフトに沿って移動可能に配置できるので、ピッチを所望の長さのものに変えることができる。
上記(3)のツイスト線製造装置によれば、千鳥配置された複数個のローラ間を電線が通過することで電線がそれまで有していた曲がりグセが矯正され、真っ直ぐな電線にすることができる。
上記(4)および(5)のツイスト線製造方法によれば、設置面積を狭くでき、ツイスト線の長尺対応が簡単であり、ツイスト線の長さ変更のために設備の段取り無く、ピッチ精度も良く、生産性がよく、ツイスト線が短時間で得られる。
図1(A)は本発明のツイスト線製造装置の平面図、そして図1(B)は図1(A)の1B−1B矢視断面図である。図1(A)において、本発明に係るツイスト線製造装置10は、円柱状シャフト11と、円柱状シャフト11の外周面と対向するように円柱状シャフト11を間に挟んで円柱状シャフト11の外周面とそれぞれ接触しながら回転可能に設けられる捩じりローラ12、13と、円柱状シャフト11の軸方向先端に近接配置された送り出しローラ14、15と、2個の回転抑止用ローラ16、17と、を備える。
以下、これらツイスト線製造装置10の部品について説明する。
円柱状シャフト11は金属製の細長い円柱体である。この円柱状シャフト11の外周面に2本の電線W1、W2が並んで常に少なくとも1回巻き付けられた状態でツイスト線製造装置10によりツイスト線Wtが製造される。円柱状シャフト11は、支柱11Hに軸受を介して回転可能に片持ち支持されているが、回転不能に固定される形態でもよい。
捩じりローラ12は、軸心部に穴が形成された円柱形を有する本体12Bと、支柱12Hに軸受を介して回転可能に支持され且つ一端部が本体12Bの穴に内嵌する円柱体12Sと、本体12Bの外周面に外嵌した円筒状のゴム部材12Rと、を有する。捩じりローラ12のゴム部材12Rはそのグリップ力で電線W1、W2が周方向に滑ることを抑止しつつ、且つ電線W1、W2を円柱状シャフト11の外周面に対し付勢する。捩じりローラ12は、その円柱体12Sの他端部がカップリング12Cに接続されており、このカップリング12Cを介して捩じりローラ用モータ12Mにより回転される。
捩じりローラ13は、捩じりローラ12と部分的に同じ形状を有しており、軸心部に穴が形成された円柱形を有する本体13Bと、支柱13Hに軸受を介して回転可能に片持ち支持され且つ一端部が本体12Bの穴に内嵌した円柱体13Sと、本体13Bの外周面に外嵌した円筒状のゴム部材13Rと、を有する。捩じりローラ13のゴム部材13Rはそのグリップ力で電線W1、W2が周方向に滑ることを抑止しつつ、且つ電線W1、W2を円柱状シャフト11の外周面に対し付勢する。捩じりローラ13は、捩じりローラ用モータ12Mの回転を伝動する伝動手段(不図示。例として、歯車伝動手段、ベルト伝動手段、等が挙げられる。)によって捩じりローラ12と同一方向に同一回転速度で回転する。
図1(B)は図1(A)の1B−1B矢視断面図で、捩じりローラ12と捩じりローラ13は同一方向に同一回転速度で回転しており、その間で円柱状シャフト11が捩じりローラ12および捩じりローラ13それぞれと接触しながら回転している様子を示す。
ツイスト線製造装置10によるツイスト線Wtの製造開始前の準備段階では、図1(A)および図1(B)から明らかなように2本の電線W1、W2を束ねて円柱状シャフト11の外周に1回巻き、そこから延出した電線W1、W2の先端部を送り出しローラ14、15の間に挟み、そして送り出すように送り出しローラ14、15を回転させる。その後、送り出しローラ14、15の回転を停止した状態で円柱状シャフト11を捩じりローラ12および捩じりローラ13それぞれと接触させる。この状態で、再び送り出しローラ14、15を回転させつつ捩じりローラ12、13をそれぞれ回転させる。そうすると、捩じりローラ12と円柱状シャフト11との間(つまり接触部位内)に送り込まれていく電線W1、W2の部分は、捩じりローラ12の回転に伴って円柱状シャフト11に沿って案内され、さらには捩じりローラ13の回転に伴って捩じりローラ13と円柱状シャフト11との間(つまり接触部位内)から出てくる。換言すれば、捩じりローラ12と捩じりローラ13が例えば図1(B)中の矢印方向に回転すると、捩じりローラ12と円柱状シャフト11の間に挿入された電線W1、W2の部分が、捩じりローラ12の奥に進み、捩りローラ13と円柱状シャフト11の間から再び挿入側に出てくるように、電線W1、W2に力が働く。
このように円柱状シャフト11上を1周巻回された電線W1、W2は1回撚られており、ツイスト線Wtとして変形しながら送り出しローラ14、15の間に送られる。2本の電線が円柱状シャフト11上を1周回すると、1ツイスト(1撚り)が形成される。
円柱状シャフト11の外周面に2本の電線W1、W2が2回以上巻き付けられた状態でもツイスト線Wtは製造される。しかし、円柱状シャフト11への電線W1、W2の巻き付け回数については、2回以上よりも1回の方が良い。
その理由は、(1)捩り自体は1周で完了するので2周目にしても意味がないこと。
(2)2回であると、円柱状シャフト11に巻き付けた電線を送り出しローラ14が引き出す際、引き出し抵抗が2倍になり、引き出しローラ14が大出力のものが必要となること。
(3)引き出し時間が長くかかるようになること。
(4)ピッチはシャフトに電線が巻き付く位置とシャフトから電線が離れる位置の距離で決まる。そして、シャフトに電線が巻き付く位置とシャフトから電線が離れる位置はそれぞれ位置決めできる。そこで1回巻きだと、シャフトに電線が巻き付く位置の後はシャフトから電線が離れる位置となるが、2回巻きであると、シャフトに電線が巻き付く位置の後はシャフトから電線が離れる位置との間にもう1周回があり、シャフトに電線が巻き付く位置(巻き始め)とシャフトから電線が離れる位置(巻き終わり)はそれぞれ位置決めできても、その間の途中の1周回の位置は前後に自由に動き易く(前に動くと短ピッチと長ピッチのツイスト線となり、逆に、後ろにスライドすると、長ピッチと短ピッチのツイスト線となる。)、そしてこの途中の1周回の位置は位置決めができないので、結局、軸方向の前後でピッチの変わるツイスト線が製造されることになるからである。
図2(D)の(1)〜(6)は本発明に係るツイスト線製造装置10により360度偏心旋回で撚りが形成される原理を説明する図である。図2(D)の(1)〜(6)は、電線Aと電線Bの位置を理解しやすいように、電線Aと電線Bを図2(C)の(1)〜(6)と同様な形に簡略化して描いた図である。図2(D)の(1)〜(6)では、円柱状シャフトの外周面上に周方向に回転せずに乗っている電線Aと電線Bの軌道が、1点鎖線の円で示される。
(1)図2(D)の(1)において、電線Aと電線Bは、軌道の頂部、換言すれば、時計に見立てて12時を指す針を中央に、電線Aが左、そして電線Bが右に配置される。
(2)電線Aと電線Bの後端部(供給する側)は周方向に自由回転できないように回転抑止用ローラで挟まれているため、円柱状シャフトが90°時計方向に回転すると、円柱状シャフトの外周面上の電線Aと電線Bの部分はそれぞれ90°捩れ、図2(D)の(2)のように、時計の3時を指す針を中央にして垂直方向に電線Aが上、そして電線Bが下になる。
(3)円柱状シャフトがさらに90°時計方向に回転すると、円柱状シャフトの外周面上の電線Aと電線Bの部分は図2(D)の(3)のように、さらに捩れ(すなわち、元の状態から180°捩れ)、図2(D)の(3)のように時計の6時を指す針を中央に、電線Aが右、電線Bが左にくる。
(4)円柱状シャフトがさらに90°時計方向に回転すると、円柱状シャフトの外周面上の電線Aと電線Bの部分はそれぞれ元の状態から270°捩れ、図2(D)の(4)のように、時計の9時を指す針を中央にして垂直方向に電線Aが下、電線Bが上にくる。
(5)円柱状シャフトがさらに90°時計方向に回転すると、図2(D)の(5)のように、円柱状シャフトの外周面上の電線Aと電線Bの部分はそれぞれ元の状態から360°捩れた状態になると共に、電線Aと電線Bの間で撚り(ツイスト)が1個形成される。
(6)円柱状シャフトがさらに90°時計方向に回転すると、円柱状シャフトの外周面上の電線Aと電線Bの部分はそれぞれ元の状態から450°捩れ、図2(D)の(6)のように時計の3時を指す針を中央にして垂直方向に電線Aが上、そして電線Bが下になる。
以下、この偏心旋回を多数回のN回繰り返すと、電線Aと電線BはそれぞれN回捩れた状態になると共に、電線Aと電線Bの間で撚り(ツイスト)がN個形成されたN回巻きのコイル電線になる。
参考として、図2(C)の同軸回転で撚りが形成されたコイル電線からツイスト線を作る工程を図3の(1)〜(3)を参照しながら説明する。
図3の(1)は円柱状シャフト11の外周面に電線Aと電線Bの撚り(ツイスト)がN個形成されたN回巻きのコイル電線Wcを示している。
図3の(2)はコイル電線Wcを円柱状シャフト11から外す途中を描いている。円柱状シャフト11から外されたばかりの電線Wdはまだコイル形状をしている。
図3の(3)は円柱状シャフト11から外された電線Wdの両端を互いに離間する方向に強く引っ張った後の電線形状を示しており、ここではピッチがPtに揃った均一ピッチのツイスト線Wtとなる。
図1に戻って、送り出しローラ14は送り出しローラ用モータ14Mで直接回転される駆動ローラであり、送り出しローラ15は送り出しローラ14と接触することによって回転する従動ローラである。円柱状シャフト11と捩じりローラ13との間の電線W1、W2は、送り出しローラ14、15の回転により、送り出しローラ14、15の間に挟まれながら送り出される。このように、電線W1、W2は送り出しローラ14、15によって引っ張られるため、ツイスト線Wtはそれまでの偏心旋回(コイル)状態のピッチから、真っ直ぐな仕上がり時の均一な撚りピッチ(すなわち、図3の(3)の電線Wdの両端を互いに離間する方向に強く引っ張って、ピッチがPtに揃った均一な撚りピッチ)のツイスト線Wtとなって、送り出しローラ14、15から反対側に送り出される。
送り出しローラ14は捩じりローラ12、13と連動しており、円柱状シャフト11の外周面に2本の電線W1、W2が2周以上(すなわち2回以上)巻き付かないように送り出しローラ14、15によりツイスト線Wtが引き出される。
回転抑止用ローラ16、17は両者同じ機能・形状・構造をしている。回転抑止用ローラ16は、千鳥配置された複数のローラ161、162、163、164(図1の場合、4個)を有する。回転抑止用ローラ16に挿入された電線W1は千鳥配置の複数のローラ161、162、163、164間を通過することで、回転抑止用ローラ16に入る前までロール(不図示。)などに巻かれていた電線W1が持っていた曲がり癖が矯正されて、真っ直ぐな電線W1になって、回転抑止用ローラ16から送り出され、円柱状シャフト11に巻回される。また、回転抑止用ローラ16は、回転抑止用ローラ16から円柱状シャフト11に向けて延長する電線W1の部分がその周方向に回転することを防止する。
回転抑止用ローラ17も回転抑止用ローラ16と同じ機能・形状・構造をしている。すなわち、回転抑止用ローラ17は、千鳥配置された複数のローラ171、172、173、174(図1の場合、4個)を有する。回転抑止用ローラ17に挿入された電線W2は千鳥配置の複数のローラ171、172、173、174間を通過することで、回転抑止用ローラ17に入る前までロール(不図示。)などに巻かれていた電線W2が持っていた曲がり癖が矯正されて、真っ直ぐな電線W2になって、回転抑止用ローラ17から送り出され、円柱状シャフト11に巻回される。また、回転抑止用ローラ17は、回転抑止用ローラ17から円柱状シャフト11に向けて延長する電線W2の部分がその周方向に回転することを防止する。
なお、一対の回転抑止用ローラ16、17は、できるだけ円柱状シャフト11の外周面の近くに固定される。そして、ピッチを長い方に変えたい場合は、一対の回転抑止用ローラ16、17を移動可能にして、所望のピッチとなる位置に移動させて配置すればよい。
次に、ツイスト線製造装置10の使用法ついて説明する。
まず、円柱状シャフト1から捩じりローラ12と捩じりローラ13とをそれぞれ離間させる。
次に、回転抑止用ローラ16、17から電線W1、W2を引き出し、電線W1、W2の先端を揃えて、これらの先端部を離間した状態の捩じりローラ12と円柱状シャフト11との間に挿入し、電線W1、W2を円柱状シャフト11の外周面をやや斜めに1周半巻回させた後、電線W1、W2の先端部を送り出しローラ14、15の間に挟み、ローラ14、15を若干回転させて、電線W1、W2の先端部を送り出しローラ14、15から送り出して、送り出しローラ14、15の回転を停止させる。
この状態で電線W1、W2が円柱状シャフト11が捩じりローラ12、13との間に挟持されるように円柱状シャフト11に捩じりローラ12と捩じりローラ13を接触させる。
そして、再び少し送り出しローラ14、15を回転させつつ捩じりローラ12、13をそれぞれ回転させることで、回転抑止用ローラ16、17から円柱状シャフト11に向けて延長する電線W1、W2の部分が弛み無く張られる。これで、ツイスト線製造装置10によるツイスト線Wtの製造開始前の準備段階が完了する。
そこで、ツイスト線製造装置10による製造を開始すると、捩じりローラ12、13と送り出しローラ14、15が回転されるのに伴ない、電線W1、W2が回転抑止用ローラ16、17からそれぞれ引き出され、捩じりローラ12、13と円柱状シャフト11との間を通り、そして送り出しローラ14、15の間を通って1回巻きのツイスト線Wtとなって送り出される。これが連続して繰り返されることにより、多数回巻きのツイスト線Wtが得られる。そしてこのように円柱状シャフト11に360度巻き付いた電線は、図2(D)の(1)〜(6)で説明したように、それぞれの電線W1、W2自体に1回の捩りが形成されているので、巻き戻りがなく品質のよいツイスト線Wtが得られる。
1.ツイスト線製造装置10は、例えば30cm×30cm程度の設置面積で済むので、電線W1、W2を従来装置100のように長ながと張ることなく撚ることができるため、省スペース化を図ることができる。
2.電線W1、W2を長ながと張ることなく撚ることができるため、回転の高速化による電線W1、W2の縄跳び状の振幅が起きないため、撚りの高速化ができる。
3.電線W1、W2の変更やピッチ変更には円柱状シャフト11のシャフト径の変更又は電線供給角度の変更で対処すればよいので、線長変更に際して機械的段取りを特段必要としない。
4.線長変更には特に何も変更箇所はなく、運転時間の長短で対処すればよい。
5.1撚りずつ、撚りと巻き取り行なうため、従来装置の撚りのような電線外周の絶縁被覆の滑り抵抗による撚りの入り難さが無いため、密度の高い撚りが作られる。
6.電線W1、W2の両端を張る必要がないため、
(イ)電線W1、W2の終端を固定するために終端を探す行為が、不要となる。
(ロ)電線W1、W2の終端を固定冶具まで運搬する行為が、不要となる。
(ハ)電線W1、W2の終端を固定冶具にセットする行為が、不要となる。
(ニ)電線W1、W2の撚り後、電線終端を固定冶具より外す行為が、不要となる。
図4は本発明に係るツイスト線製造装置の外観の具体例を示す斜視図である。
図4のツイスト線製造装置は、円柱状シャフト11と、円柱状シャフト11を間に挟んで円柱状シャフト11とそれぞれ接触しながら円柱状シャフト11の両側に回転可能に設けられる捩じりローラ12、13と、円柱状シャフト11の軸方向先端に近接配置された送り出しローラ14、15から構成されている。捩じりローラ用モータ12Mで捩じりローラ12、13とが回転される。2本の電線W1、W2は円柱状シャフト11と捩じりローラ12、13を通り、そして送り出しローラ14、15を通る。図4のツイスト線製造装置は、設置面積が狭く、長尺対応でき、長さ変更のために設備の段取り無く、ピッチ精度も良く、生産性もよく、ツイスト線Wtを短時間で得ることができる。
ツイスト線Wtの撚りピッチは、円柱状シャフト11のシャフト径の大小で変えられるが、同一径の円柱状シャフト11の場合であっても、巻き付け(挿入)角の大小で変えることができる。円柱状シャフト11のシャフト径を変えずにツイスト線Wtの撚りピッチを変える方法について図5(A)および図5(B)を用いて説明する。図5(A)は回転抑止用ローラ16S、17Sが狭ピッチ位置にある図、図5(B)は回転抑止用ローラ16W、17Wが幅広ピッチ位置にある図を示している。
図5(A)の回転抑止用ローラ16S、17Sから出た電線W1、W2が円柱状シャフト11の軸方向に対して直角に近い傾斜で円柱状シャフト11に巻き付けられるように回転抑止用ローラ16S、17Sは円柱状シャフト11の軸方向に対して直角に近い傾斜位置に置かれる。この場合、撚りピッチが狭いので円柱状シャフト11への巻き付け位置は送り出しローラ14、15(図1(A)参照。)に近い方の端部近傍にする。こうすると撚りピッチは円柱状シャフト11のほぼ1周当たりの電線長となり、狭ピッチとなる。
一方、幅広ピッチにする場合、図5(B)のように回転抑止用ローラ16W、17Wから出た電線W1、W2が円柱状シャフト11の軸方向に対して鋭角になる傾斜位置に巻き付けられるように回転抑止用ローラ16S、17Sは円柱状シャフト11の軸方向に対して鋭角に近い傾斜位置に置かれる。この場合、撚りピッチが広いので円柱状シャフト11への巻き付け位置は送り出しローラ14、15(図1(A)参照。)から遠い位置にする。こうすると撚りピッチは円柱状シャフト11の1周よりもかなり長い電線長となり、幅広ピッチとなる。
ここで、上述した本発明に係るツイスト線製造装置(10)の特徴をそれぞれ以下i項〜iii項に簡潔に纏め、同じく、ツイスト線製造方法の特徴をそれぞれ以下iv項〜v項に簡潔に纏めて列記する。
(i)複数の電線(W1、W2)が外周面に巻き付けられる円柱状シャフト(11)と、前記円柱状シャフトを挟んで両側にそれぞれ前記円柱状シャフトの外周面に接触しながら回転することで前記円柱状シャフトに巻き付けられた前記複数の電線を付勢する一対の捩じりローラ(12、13)と、前記円柱状シャフトの軸方向の一端部の近傍に互いに対向配置されて、前記円柱状シャフトの前記軸方向の前記一端から前記複数の電線を挟んで引き出すように回転する一対の送り出しローラ(14、15)と、を備え、前記円柱状シャフトに巻き付けられた前記複数の電線が前記回転する一対の送り出しローラの間に挟まれかつ送り出されることによりツイスト線(Wt)が製造されることを特徴とするツイスト線製造装置(10)。
(ii)前記ツイスト線製造装置(10)が、前記円柱状シャフトに巻き付けられる前の前記複数の電線をそれぞれ通過させる一対の回転抑止用ローラ(16、17)をさらに備え、前記回転抑止用ローラは、円柱状シャフトの近傍に固定、または前記円柱状シャフトに沿って移動可能に配置したツイスト線製造装置(10)。
(iii)前記回転抑止用ローラ(16、17)は千鳥配置された複数個のローラ(4個の場合、161〜164、171〜174)から成るツイスト線製造装置(10)。
(iv)複数の電線を円柱状シャフトの外周面に1回だけ巻き付ける工程と、前記円柱状シャフトに1回巻き付けられた前記複数の電線を前記円柱状シャフトから引き出す工程と、によりツイスト線を製造するツイスト線製造方法。
(v)複数の電線を円柱状シャフトの外周面に所定回数巻き付ける工程と、前記円柱状シャフトに所定回数巻き付けられた前記複数の電線を前記円柱状シャフトから引き出す工程と、によりツイスト線を製造するツイスト線製造方法。
上記(ii)のツイスト線製造装置によれば、供給される電線が軸方向に回転して絡むことを防止できる。また、円柱状シャフトに沿って移動可能に配置できるので、ピッチを所望の長さのものに変えることができる。
上記(iii)のツイスト線製造装置によれば、千鳥配置された複数個のローラ間を電線が通過することで電線がそれまで有していた曲がりグセが矯正され、真っ直ぐな電線にすることができる。
上記(iv)および(v)のツイスト線製造方法によれば、設置面積を狭くでき、ツイスト線の長尺対応が簡単であり、ツイスト線の長さ変更のために設備の段取り無く、ピッチ精度も良く、生産性がよく、ツイスト線が短時間で得られる。
11:円柱状シャフト
11H:支柱
12、13:捩じりローラ
12H、13H:支柱
12M:捩じりローラ用モータ
14、15:送り出しローラ
14M:送り出しローラ用モータ
16、17:回転抑止用ローラ
16S、17S:回転抑止用ローラ(狭ピッチ位置)
16W、17W:回転抑止用ローラ(幅広ピッチ位置)
W1、W2:電線
Wt:ツイスト線
Claims (5)
- 複数の電線が外周面に巻き付けられる円柱状シャフトと、
前記円柱状シャフトを挟んで両側にそれぞれ前記円柱状シャフトの外周面に接触しながら回転することで前記円柱状シャフトに巻き付けられた前記複数の電線を付勢する一対の捩じりローラと、
前記円柱状シャフトの軸方向の一端の近傍に互いに対向配置されて、前記円柱状シャフトの前記軸方向の前記一端から前記複数の電線を挟んで引き出すように回転する一対の送り出しローラと、を備え、
前記円柱状シャフトに巻き付けられた前記複数の電線が前記回転する一対の送り出しローラの間に挟まれかつ送り出されることによりツイスト線が製造されることを特徴とするツイスト線製造装置。 - 前記円柱状シャフトに巻き付けられる前の前記複数の電線をそれぞれ通過させる一対の回転抑止用ローラを前記円柱状シャフトの近傍に固定、または前記円柱状シャフトに沿って移動可能に配置したことを特徴とする請求項1記載のツイスト線製造装置。
- 前記回転抑止用ローラは千鳥配置された複数個のローラから成ることを特徴とする請求項2記載のツイスト線製造装置。
- 複数の電線を円柱状シャフトの外周面に1回だけ巻き付ける工程と、
前記円柱状シャフトに1回巻き付けられた前記複数の電線を前記円柱状シャフトから引き出す工程と、により、ツイスト線を製造することを特徴とするツイスト線製造方法。 - 複数の電線を円柱状シャフトの外周面に所定回数巻き付ける工程と、
前記円柱状シャフトに所定回数巻き付けられた前記複数の電線を前記円柱状シャフトから引き出す工程と、により、ツイスト線を製造することを特徴とするツイスト線製造方法。
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JPS6091508A (ja) * | 1983-10-24 | 1985-05-22 | 株式会社日立製作所 | ツイスト線製造方法及び装置 |
JP2003242846A (ja) * | 2002-02-15 | 2003-08-29 | Sumitomo Wiring Syst Ltd | 通信ケーブル、通信ケーブルの製造方法、通信ケーブル用の撚り合わせ装置及び撚り合わせ方法 |
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2014
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