JP2015224266A - 樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】緻密性・微細性に優れた発泡層からなる中間層(コア層)と非発泡のスキン層とを有するサンドイッチ構造の樹脂発泡体及びその製造方法を提供する。【解決手段】本発明の樹脂発泡体は、中間層(コア層)と該中間層の両面に形成されたスキン層とからなるサンドイッチ型構造の樹脂発泡体であって、中間層が、ポリテトラフルオロエチレンと、ポリテトラフルオロエチレン以外の樹脂とからなる発泡体であり、その発泡倍率が2倍以上であり、短径として500μmより小さい空孔が50%以上連結している。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂発泡体及びその製造方法に関する。
微細な空孔(セル)が緻密に内在した発泡体の開発は、工業製品の軽量化、資源使用量削減に繋がり、緩衝性、浮揚性、断熱性、吸音性、電気的特性等の機能性を付与した製品開発を可能にする。発泡体の素材として、成形加工性に優れた熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を用いると、その有用性は一層高められる。例えば、バッチ発泡、押出発泡、射出発泡等の方法によって、より効率よく成形加工できるように、熱可塑性樹脂の改良が進められている。特に射出発泡成形機を用いて製造できれば実用化に有利であるが、他の発泡成形方法に比べて難易度が高い。
また、発泡剤として、二酸化炭素、窒素等を用いる物理発泡技術の活用が社会的に期待されている。
最近は更に、微細発泡体の内部構造を制御する技術開発が進められている。例えば、各発泡セルが独立したクローズドセル型や、隣り合った発泡セルの境界面が連通しているオープンセル型等を、目的に応じて選択して、各用途に適する形態で提供する試みがなされている。
例えば、グラスウールが、断熱材、吸音材として、従来からよく用いられている。グラスウールのように、多数の微細な空孔が複雑に連結した構造体は、熱が伝わり難く、空気が通過するとき粘性摩擦が生じるため、音が熱に変わると説明されている。しかしながら、グラスウールのような飛散し易く吸水し易い物質を、断熱材、吸音材として使用する場合、施工する際に作業者及び周囲の防護を必要とし、施工後に上記の微細空孔構造が崩れ落ちて、機能が失われ回復できない場合があり、低周波の吸音特性に劣るという問題があった。そこで、それらを改良する方法として、微細発泡成形の構造制御技術を応用する試みがなされている。
ところで、最近の発泡技術開発では、熱可塑性樹脂としてポリオレフィンや脂肪族ポリエステルが選択されるケースが増えている。ポリプロピレン等のポリオレフィンは、経済性、環境適合性に優れ、機械的及び熱的な性能バランスに優れる汎用プラスチックとして好ましい。また、ポリ乳酸等の脂肪族ポリエステルは、非石油系原料から製造することができ、生分解性を有するバイオプラスチックとして注目されている。
また、生体適合性に優れるポリ乳酸樹脂を多孔化し、細胞培養時の足場材料として応用する試みが進められている。樹脂を多孔化する際、有機溶媒を用いると細胞が損傷するため、二酸化炭素、窒素等を用いる射出発泡成形の応用が期待されている。
しかしながら、ポリプロピレンやポリ乳酸の場合、標準的な品種では、緻密かつ微細な樹脂発泡体の内部構造制御に適さないため、ポリマーに分岐や架橋を導入する、又は立体規則性を高くする改良等が試みられている。しかし、特殊な工程が加わる程、これらの樹脂の本来の特徴である汎用性や環境適合性が失われるため、標準的な品種のポリプロピレンやポリ乳酸に対して、少量の添加剤を添加することによって、発泡成形性を改良する方法が望まれていた。
以上のように、汎用プラスチック、バイオプラスチック等からなる、断熱性、吸音性等に優れる樹脂発泡体を工業的に製造する方法は、未だ見出されていないのが現状であった。
例えば、特許文献1には、非発泡体からなる外層の間に発泡体からなる中間層を挟んだサンドイッチ状の構造体が、吸音特性に優れることが示されている。しかしながら、そのような構造体を具体的に製造する方法は、記載されてなかった。
特許文献2には、ポリプロピレン系樹脂組成物を、化学発泡剤を用いて射出発泡成形する方法が示されており、そのような製造方法によって得られる樹脂発泡体は、サンドイッチ構造を有しており、軽量かつ剛性に優れることが記載されていた。しかしながら、その中間層は粗大な空孔であり、断熱性や吸音性が発現し得るものではなかった。
特許文献3には、汎用的な非架橋直鎖状のホモポリプロピレンに、少量のポリテトラフルオロエチレンを添加した樹脂組成物を、発泡剤として二酸化炭素を用いて発泡成形する方法が示されており、発泡構造の緻密性・微細性に優れたオープンセル型樹脂発泡体が得られることが記載されている。しかしながら、押出発泡であるため、成形加工性に問題があった。
特表2008−545903号公報 特開2012−20544号公報 国際公開第2013/137301号
本発明の課題は、緻密性・微細性に優れた発泡層からなる中間層(コア層)と非発泡のスキン層とを有するサンドイッチ構造の樹脂発泡体及びその製造方法を提供することにある。
前記課題は、以下の発明によって解決される。
本発明の第1の態様の樹脂発泡体の製造方法は、ポリテトラフルオロエチレンと、ポリテトラフルオロエチレン以外の樹脂とを含有する樹脂組成物を、射出発泡成形機を用いて発泡成形する。
本発明の第2の態様の樹脂発泡体の製造方法は、ポリテトラフルオロエチレンと、ポリテトラフルオロエチレン以外の樹脂とを含有する樹脂組成物を、窒素を発泡剤として発泡成形する。
本発明の樹脂発泡体の製造方法においては、ポリテトラフルオロエチレンがポリテトラフルオロエチレン含有粉体であり、ポリテトラフルオロエチレン以外の樹脂が、非架橋直鎖型のプロピレン系樹脂又は非架橋直鎖型の乳酸系樹脂であることが好ましい。
本発明の樹脂発泡体は、中間層と該中間層の両面に形成されたスキン層とからなるサンドイッチ型構造の樹脂発泡体であって、中間層が、ポリテトラフルオロエチレンと、ポリテトラフルオロエチレン以外の樹脂とからなる発泡体であり、その発泡倍率が2倍以上であり、短径として500μmより小さい空孔が50%以上連結している。
本発明の樹脂発泡体においては、ポリテトラフルオロエチレンがポリテトラフルオロエチレン含有粉体であり、ポリテトラフルオロエチレン以外の樹脂が、非架橋直鎖型のプロピレン系樹脂又は非架橋直鎖型の乳酸系樹脂であることが好ましい。
本発明の樹脂発泡体は、緻密性・微細性に優れた発泡層からなる中間層(コア層)と非発泡のスキン層とを有するサンドイッチ構造を有する。
本発明の樹脂発泡体の製造方法によれば、上記樹脂発泡体を容易に製造できる。
本樹脂発泡体は、住宅、病院、音響設備等の建築材料、自動車、鉄道車両、航空機等乗り物の部品、家電、OA、コンピューター、通信用の電気・電子機械機器のハウジングとして、好適に使用することができる。
オープンセル測定用サンプルの構造及び寸法の模式図である。 実施例1で得られたポリプロピレン系樹脂発泡体の走査型電子顕微鏡写真であって、(1):コアバック方向に対して平行断面のスキン層の写真、(2):コアバック方向に対して平行断面のコア層の写真、(3):(2)の拡大写真、(4):コアバック方向に対して垂直断面の写真、(5):(4)の拡大写真、である。 実施例2aで得られた発泡構造の走査型電子顕微鏡写真であって、(1):コアバック方向に対して平行断面のコア層の写真、(2):コアバック方向に対して垂直断面の写真、である。 実施例2bで得られたオープンセル型発泡構造の走査型電子顕微鏡写真であって、(1):コアバック方向に対して平行断面のコア層の写真、(2):コアバック方向に対して垂直断面の写真、である。 実施例3bで得られたオープンセル型発泡構造の走査型電子顕微鏡写真であって、コアバック方向に対して垂直断面の写真である。 比較例1aで得られたクローズドセル型発泡構造の走査型電子顕微鏡写真であって、コアバック方向に対して垂直断面の写真である。 実施例2,3及び比較例1において、保圧時間がコア層のオープンセル率に及ぼす影響を示したグラフである。 実施例2,3及び比較例1において、保圧時間がコア層のセル径に及ぼす影響を示したグラフである。 実施例2,3及び比較例1において、保圧時間がコア層の発泡倍率に及ぼす影響を示したグラフである。 実施例5aで得られた、ポリ乳酸系樹脂発泡体の走査型電子顕微鏡写真であって、(1):コアバック方向に対して平行断面のスキン層の写真、(2):(1)の拡大写真、である。 実施例5aで得られた、ポリ乳酸系樹脂発泡体の走査型電子顕微鏡写真であって、(3):コアバック方向に対して平行断面のコア層の写真、(4):(3)の拡大写真、(5):コアバック方向に対して平行断面のコア層(但し、(3)とは異なる場所)の写真、(6):(5)の拡大写真である。 実施例5aで得られた、ポリ乳酸系樹脂発泡体の走査型電子顕微鏡写真であって、(7):コアバック方向に対して垂直断面の写真、(8):(7)の拡大写真、である。 実施例5bで得られた、ポリ乳酸系樹脂発泡体の走査型電子顕微鏡写真であって、(1):コアバック方向に対して平行断面のスキン層の写真、(2):(1)の拡大写真、である。 実施例5bで得られた、ポリ乳酸系樹脂発泡体の走査型電子顕微鏡写真であって、(3):コアバック方向に対して平行断面のコア層の写真、(4):(3)の拡大写真、である。 実施例5bで得られた、ポリ乳酸系樹脂発泡体の走査型電子顕微鏡写真であって、(5):コアバック方向に対して垂直断面の写真、(6):(5)の拡大写真、である。 比較例2cで得られた、ポリ乳酸系樹脂発泡体の走査型電子顕微鏡写真であって、(1):コアバック方向に対して平行断面のスキン層の写真、(2):(1)の拡大写真、である。 比較例2cで得られた、ポリ乳酸系樹脂発泡体の走査型電子顕微鏡写真であって、(3):コアバック方向に対して平行断面のコア層の写真、(4):(3)の拡大写真、である。 比較例2cで得られた、ポリ乳酸系樹脂発泡体の走査型電子顕微鏡写真であって、(5):コアバック方向に対して垂直断面の写真、(6):(5)の拡大写真、である。 実施例6〜7及び比較例3で得られた、変性PTFE(A−1)の配合量及び発泡温度が異なるポリ乳酸系発泡体の垂直断面の走査型電子顕微鏡写真である。
以下、本発明を詳細に説明する。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。
[樹脂組成物]
本発明における樹脂組成物は、ポリテトラフルオロエチレンと、ポリテトラフルオロエチレン以外の樹脂とを含有する。
以下、ポリテトラフルオロエチレンを、PTFEという。また、ポリテトラフルオロエチレン以外の樹脂を、樹脂成分(B)という。
<PTFE>
PTFEは、例えば、テトラフルオロエチレンモノマーを、含フッ素界面活性剤を用いて乳化重合することで得られる。
テトラフルオロエチレンモノマーの乳化重合の際は、PTFEの特性を損なわない範囲で、テトラフルオロエチレンモノマーと共重合可能な共重合成分を併用してもよい。共重合成分としては、例えば、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエチレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素オレフィン;パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート等の含フッ素アルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。共重合成分の割合は、テトラフルオロエチレンモノマー100質量部に対して10質量部以下であることが好ましい。
テトラフルオロエチレンモノマーを乳化重合すると、PTFE粒子が水に分散した水性分散液の状態で得られる。
PTFE粒子の水性分散液として、市販品を用いることもできる。具体的には、旭硝子社製の「フルオンAD−1」、「フルオンAD−939L」;ダイキン工業社製の「ポリフロンD−1」、「ポリフロンD−2」;三井・デュポンフロロケミカル社製の「テフロン(登録商標)30J」が挙げられる。
本発明では、PTFE粒子の水性分散液から得られるPTFE粒子(a1)を、樹脂成分(B)に直接配合してもよい。
また、PTFE粒子(a1)と後述する有機系重合体粒子(a2)とを用いてPTFE含有粉体(A)を形成し、これを樹脂成分(B)に配合してもよい。ここで、有機系重合体粒子(a2)とは、PTFE以外の樹脂であり、樹脂成分(B)に相当するものである。
PTFE含有粉体(A)は、樹脂成分(B)に対する分散性が良好であることから、発泡倍率が高く、緻密性及び微細性に優れ、セル密度が高い樹脂発泡体を製造するために有用である。
即ち、本発明ではPTFEとして、PTFE粒子(a1)、又は、PTFE含有粉体(A)を用いることができる。この中では、発泡倍率が高く、緻密性及び微細性に優れ、セル密度が高い樹脂発泡体が得られることから、PTFE含有粉体(A)を用いることが好ましい。
PTFE粒子(a1)の平均粒子径は10μm以下であることが好ましく、0.01〜5.0μmがより好ましく、0.05〜1.0μmが更に好ましい。
また、PTFE粒子(a1)は、PTFE含有粉体(A)中で凝集していてもよいが、その場合は、平均粒子径10μmを超える大きさの凝集体を形成していないことが好ましい。
PTFE粒子(a1)やその凝集体の平均粒子径が10μm以下であれば、PTFE含有粉体(A)を後述する樹脂成分(B)と混合したときに、樹脂成分(B)に対する分散性が向上する。
尚、PTFE粒子(a1)の平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定される質量平均粒子径である。
<PTFE含有粉体(A)>
PTFE含有粉体(A)は、PTFE粒子(a1)と有機系重合体粒子(a2)を含有する。
PTFE含有粉体(A)は、PTFE粒子(a1)の水性分散液と有機系重合体粒子(a2)の水性分散液とを混合して粉体化する方法、PTFE粒子(a1)の水性分散液の存在下で、有機系重合体粒子(a2)を得るための単量体を乳化重合した後、粉体化する方法等により製造できる。
粉体化の方法としては、PTFE粒子の水性分散液と有機系重合体粒子の水性分散液とを混合した混合分散液、又はPTFE粒子の水性分散液中で乳化重合した後の水性分散液を、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、酢酸カルシウム等の金属塩を溶解した熱水中に投入し、塩析、凝固し、凝固物を乾燥する方法、混合分散液又は乳化重合後の水性分散液をスプレードライにより粉体化する方法等が挙げられる。
有機系重合体粒子(a2)としては特に制限されないが、後述する樹脂成分(B)と混合する際の分散性の観点から、樹脂成分(B)との相溶性が高いものであることが好ましい。
このような有機系重合体粒子(a2)を得るための単量体としては、エチレン性不飽和結合を有する単量体が挙げられ、具体的には、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−クロルスチレン、o−クロルスチレン、p−メトキシスチレン,o−メトキシスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル単量体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン系単量体;ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン等のジエン系単量体が挙げられる。これらの単量体は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
PTFEの分子量としては、特に限定されるものではない。例えば、発泡させる際に樹脂組成物に溶融張力が求められる場合はPTFEの分子量は高い方が好ましく、樹脂中における分散性が求められる場合はPTFEの分子量は低い方が好ましい。
詳しくは後述するが、樹脂成分(B)としてプロピレン系樹脂(B1)を用いる場合、該プロピレン系樹脂(B1)との相溶性に優れる有機系重合体粒子(a2)を得るためには、芳香族ビニル単量体、(メタ)アクリレート、オレフィン系単量体を用いることが好ましく、特に、炭素数4以上の直鎖状アルキル基又は炭素数4以上の分岐状アルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、オレフィン系単量体からなる群より選ばれる1種以上の単量体を、全単量体100質量%中、20質量%以上用いることが好ましい。
有機系重合体粒子(a2)の製造方法は特に制限されないが、例えば、イオン性乳化剤を用いる乳化重合法、イオン性重合開始剤を用いるソープフリー乳化重合法、レドックス系重合開始剤を用いる乳化重合法が挙げられる。
イオン性乳化剤としては、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性イオン乳化剤のいずれを用いてもよい。また所望によりこれらのイオン性乳化剤と共にノニオン性乳化剤を併用してもよい。
アニオン性乳化剤としては、例えば、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、脂肪族アミン及び脂肪族アマイドの硫酸塩類、脂肪族アルコールリン酸エステル塩類、二塩基性脂肪酸エステルのスルホン酸塩類、脂肪酸アミドスルホン酸塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類、ホルマリン縮合物のナフタリンスルホン酸塩類が挙げられる。
カチオン性乳化剤としては、例えば、脂肪族アミン塩類、第四アンモニウム塩類、アルキルピリジニウム塩が挙げられる。
両性イオン乳化剤としては、例えば、アルキルベタインが挙げられる。
ノニオン性乳化剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシアルキレン誘導体が挙げられる。
イオン性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、アゾビス(イソブチロニトリルスルホン酸塩)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアニオン性重合開始剤;2,2’−アゾビス(アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビスイソブチルアミド二水和物等のカチオン性重合開始剤が挙げられる。
レドックス系重合開始剤としては、例えば、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の過酸化物と、還元剤として硫酸第一鉄、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、アスコルビン酸等とを組み合わせて用いることができる。
重合の際には、連鎖移動剤を用いることができ、例えば、n−ブチルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクタデシルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマーが挙げられる。
有機系重合体粒子(a2)の平均粒子径は特に制限されるものではないが、PTFE粒子(a1)との凝集状態の安定性の観点から、下記式(1)を満足することが好ましい。尚、式(1)中、「d」は有機系重合体粒子(a2)の平均粒子径であり、「D」はPTFE粒子(a1)の平均粒子径である。また、有機系重合体粒子(a2)の平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定される質量平均粒子径である。
0.1D<d<10D ・・・(1)
PTFE含有粉体(A)100質量%中のPTFEの含有量は、0.1〜90質量%であることが好ましい。
尚、PTFE含有粉体(A)は、後述する樹脂成分(B)とペレット化されたり、または一部の樹脂成分(B)とマスターペレット化されたりする場合もある。
PTFE含有粉体(A)として、市販品を用いることもできる。具体的には、三菱レイヨン社製の「メタブレンA−3000」、「メタブレンA−3750」、「メタブレンA−3800」が挙げられる。
PTFE含有粉体(A)中のPTFEの含有率としては、1〜99質量%が挙げられ、5〜95質量%が好ましく、10〜90質量%より好ましい。
得られる樹脂発泡体が緻密性・微細性において特に優れるためには、PTFE含有粉体(A)中のPTFEの含有率が高い方が好ましく、具体的には、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましい。
一方、緻密性・微細性の他にも、樹脂組成物が発泡成形における流動性・成形加工性に優れ、樹脂発泡体が均質性に優れるためには、PTFE含有粉体(A)中のPTFEの含有率が低い方が好ましく、60質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
PTFE含有粉体(A)中のPTFEの含有率は、例えば、有機溶剤を用いて、不溶分として求めることができる。例えば、予め秤量したPTFE含有粉体(A)を、アセトン、トルエン、キシレン等の溶剤中で、加温しながら、一週間撹拌した後、不溶分を集めて乾燥し秤量する方法、ソックスレー抽出法が挙げられる。
樹脂組成物中でのPTFEの含有率は、樹脂組成物100質量%に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましく、0.3〜2質量%が更に好ましい。PTFEの含有率が0.01質量%以上であると、得られる樹脂発泡体は難燃性に優れる。また、PTFEの含有率が10質量%以下であると、樹脂成分(B)の本来の性質を損なわない。
<樹脂成分(B)>
樹脂成分(B)は、PTFE以外の樹脂である。
樹脂成分(B)としては、公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂を用いることができる。製造方法、機械的性質、熱的性質等を考慮すると、オレフィン系樹脂、脂肪族ポリエステル系樹脂が好ましく、その中でもプロピレン系樹脂(B1)、乳酸系樹脂(B2)がより好ましい。
プロピレン系樹脂(B1)は、プロピレンの単独重合体でもよいし、プロピレンとオレフィン(プロピレンを除く)との共重合体でもよい。
プロピレン系樹脂(B1)として単独重合体又は共重合体を用いる場合、非架橋直鎖型のプロピレン系樹脂の方が、分岐状の構造や架橋体よりも、得られる樹脂発泡体の構造の成形加工性に優れる傾向にあって好ましい。
プロピレン系樹脂(B1)として共重合体を用いる場合、オレフィンとしてはプロピレンと共重合可能であれば特に限定されないが、例えば、エチレン、炭素数4〜10のα−オレフィンが挙げられる。これらオレフィンは、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
炭素数4〜10のα−オレフィンとしては、例えば、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3,4−ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセンが挙げられる。
また、プロピレン系樹脂(B1)の結晶化温度の測定条件としては、降温速度5〜15℃/分を挙げることができ、プロピレン系樹脂(B1)としてプロピレン単独重合体を用いる場合、結晶化温度の測定例としては、80〜150℃を挙げることができ、100〜140℃が好ましい。結晶化温度が高いプロピレン単独重合体を用いる場合、射出発泡条件を調整することによって、特定のタイプの発泡構造を選択的に製造することが容易になる。
プロピレン系樹脂(B1)は、直鎖状であり、かつメルトフローレート(MFR)が0.5g/10分を超える樹脂(以下、「プロピレン系樹脂(β1)」という。)を含有することが好ましい。樹脂成分(B)がプロピレン系樹脂(β1)を含有することで、得られる樹脂発泡体の成形外観がより優れるようになる。
プロピレン系樹脂(β1)のMFRは0.5g/10分以上が好ましく、2g/10分以上がより好ましい。MFRが0.5g/10分以上であると、得られる樹脂発泡体の成形外観が向上する。プロピレン系樹脂(β1)のMFRは20g/10分以下が好ましく、10g/10分以下がより好ましい。MFRが20g/10分以下であると、得られる樹脂発泡体の発泡セルの微細性、緻密性が損なわれにくい。
尚、プロピレン系樹脂(β1)のMFRは、ISO 1133:1997(JIS K7210:1999)に準じて測定した値である。
プロピレン系樹脂(β1)としては、例えば、前記オレフィン系樹脂(特にプロピレン系樹脂(B1))と同様の樹脂が挙げられる。
プロピレン系樹脂(β1)の含有量は、樹脂成分(B)100質量%中、60質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。プロピレン系樹脂(β1)の含有量が60質量%以上であれば、得られる樹脂発泡体の成形外観がより優れるようになる。
乳酸系樹脂(B2)は、乳酸の単独重合体でもよいし、乳酸と、エステル形成能を有する化合物(乳酸を除く)との共重合体でもよい。
乳酸系樹脂(B2)として単独重合体又は共重合体を用いる場合、非架橋直鎖型の乳酸系樹脂の方が、分岐状の構造や架橋体よりも、得られる樹脂発泡体の構造の成形加工性に優れる傾向にあって好ましい。
乳酸系樹脂(B2)として共重合体を用いる場合、エステル形成能を有する化合物としては乳酸と共重合可能であれば特に限定されないが、例えば、ヒドロキシカルボン酸、ポリオール、ポリカルボン酸が挙げられる。これらエステル形成能を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸が挙げられる。
ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
ポリカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸が挙げられる。
また、乳酸系樹脂(B2)の結晶化温度としては、70〜150℃を挙げることができ、80〜140℃が好ましく、90〜130℃がより好ましく、100〜120℃が更に好ましい。結晶化温度が高い場合、得られる樹脂発泡体は、緻密性、微細性により優れる。
乳酸系樹脂(B2)は、直鎖状であり、かつメルトフローレート(MFR)が0.1g/10分を超える樹脂(以下、「乳酸系樹脂(β2)」という。)を含有することが好ましい。樹脂成分(B)が乳酸系樹脂(β2)を含有することで、得られる樹脂発泡体の成形外観がより優れるようになる。
乳酸系樹脂(β2)のMFRは0.5g/10分以上が好ましく、2g/10分以上がより好ましい。MFRが0.5g/10分以上であると、得られる樹脂発泡体の成形外観が向上する。乳酸系樹脂(β2)のMFRは15g/10分以下が好ましく、10g/10分以下がより好ましい。MFRが15g/10分以下であると、得られる樹脂発泡体の発泡セルの緻密性、微細性が損なわれない。
尚、乳酸系樹脂(β2)のMFRは、ISO 1133:1997(JIS K7210:1999)に準じて測定した値である。
乳酸系樹脂(β2)としては、例えば、前記脂肪族ポリエステル系樹脂(特に乳酸系樹脂(B2))と同様の樹脂が挙げられる。
乳酸系樹脂(β2)の含有量は、樹脂成分(B)100質量%中、60質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。乳酸系樹脂(β2)の含有量が60質量%以上であれば、得られる樹脂発泡体の成形外観がより優れるようになる。
<その他の成分>
樹脂組成物は、必要に応じて、気泡調整剤、無機充填剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤等の添加剤を含有することができる。
気泡調整剤としては、例えば、タルク、シリカ等の無機粉末、多価カルボン酸の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムとの反応混合物が挙げられる。樹脂組成物が気泡調整剤を含有すれば、得られる樹脂発泡体の緻密性及び微細性がより向上する。
無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウムが挙げられる。樹脂組成物が無機充填剤を含有すれば、得られる樹脂発泡体の弾性率や耐熱性が向上し、焼却処理における燃焼カロリーを軽減することができる。
<樹脂組成物の組成>
樹脂組成物の組成としては、PTFE含有粉体(A)が0.001〜10質量%、プロピレン系樹脂(B1)又は乳酸系樹脂(B2)が90〜99.999質量%(但し、PTFE含有粉体(A)とプロピレン系樹脂(B1)又は乳酸系樹脂(B2)との合計を100質量%とする。)であることが好ましく、PTFE含有粉体(A)が0.01〜5質量%、プロピレン系樹脂(B1)又は乳酸系樹脂(B2)が95〜99.99質量%であることがより好ましい。
PTFE含有粉体(А)の含有量が多い程、緻密性・微細性に優れる樹脂発泡体を得ることができる。プロピレン系樹脂(B1)又は乳酸系樹脂(B2)の含有量が多い程、発泡倍率が高い樹脂発泡体を得ることができ、樹脂組成及び発泡温度の変動に対して、得られる発泡構造の安定性が高いため、工業的に生産する場合、運転条件の管理幅が広くても、高い歩留まりを確保することが可能である。
特に、立体規則性が[mmmm]90%以上である、プロピレン系樹脂を用いる場合、PTFE含有粉体(A)が0.1〜4質量%であることが好ましく、プロピレン系樹脂(B1)が96〜99.9質量%であることが更に好ましく、PTFE含有粉体(A)が0.1〜2質量%、プロピレン系樹脂(B1)が98〜99.9質量%であることが特に好ましい。
一方、立体規則性が[mmmm]90%より低い、プロピレン系樹脂(B1)を用いる場合、PTFE含有粉体(A)が2〜5質量%であることが好ましく、プロピレン系樹脂(B1)が95〜98質量%であることが特に好ましい。
乳酸系樹脂(B2)を用いる場合、PTFE含有粉体(A)が2〜5質量%、乳酸系樹脂(B2)が95〜98質量%であることが更に好ましい。
<樹脂組成物の製造方法>
樹脂組成物は、公知の方法で製造でき、例えば、バッチ式のニーダー、単軸押出機又は二軸等の多軸押出機、二本ロールを用いて製造できる。これらの中でも、二軸押出機を用いる方法が好ましい。
二軸押出機を用いて樹脂組成物を製造する場合、公知の二軸押出機を使用することができ、例えば、東芝機械社製、日本製鋼所社製、WERNER&PFLEIDERER社製、LEISTRITZ社製の二軸押出機を用いることができる。
また、押出機スクリューのL/D(有効長さ/直径の比)としては特に限定されないが、例えば、3〜300が好ましく、10〜200がより好ましく、30〜100が更に好ましく、30〜60が特に好ましい。
押出機のスクリュー構成としては公知の形状のものを用いることができ、例えば、フライト型、リバース型、ニーディングディスク型、分配混合型、ピン型、分散混合型のセグメントを組み合わせて用いることができる。
例えば、押出機スクリューのL/Dが小さい場合は、ニーディングディスク型、分配混合型、ピン型、分散混合型のセグメントの組み込みを適切に行うことにより、得られる樹脂組成物におけるPTFE含有粉体(A)の分散性が高まり、発泡成形性が向上し、セルの均一性、微細性、緻密性に優れる樹脂発泡体が得られやすくなる。
押出温度としては特に限定されないが、例えば、150〜400℃が好ましく、160〜300℃がより好ましく、170〜240℃が更に好ましく、180〜200℃が特に好ましい。押出温度を適切に設定することにより、押出機中に溶融状態の樹脂が受ける混合作用が働いて、得られる樹脂組成物におけるPTFE含有粉体(A)の分散性が高まり、発泡成形性が向上し、セルの均一性、微細性、緻密性に優れる樹脂発泡体が得られやすくなる。
[樹脂発泡体の製造方法]
本発明の樹脂発泡体の製造方法は、上記の樹脂組成物を、発泡剤を用いて、射出発泡成形することを特徴とする。
<発泡剤>
本発明では、発泡剤として、化学発泡剤、物理発泡剤を用いることができ、特に、物理発泡剤として、超臨界流体を用いることができる。
超臨界流体とは、臨界点以上の温度・圧力におかれた物質のことであり、一般的には、気体又は液体の区別がつかず、気体の拡散性と液体の溶解性を併せ持つとされている。
超臨界流体として用いる物質としては、例えば、二酸化炭素、窒素が挙げられる。中でも、窒素(臨界点は、臨界温度−147℃、臨界圧力3.4MPaである。)が好ましい。
発泡剤の使用量については特に制限されない。
<樹脂発泡体の製造装置>
樹脂発泡体は、樹脂組成物を公知の成形機を用いて発泡させることにより得られる。成形機としては、射出成形機、特に射出発泡成形機を使用することができる。
射出発泡成形機の装置を用いて樹脂発泡体を得る方法は下記の通りである。
まず、樹脂組成物をシリンダー内圧縮スクリュー部で計量し、その途中で発泡剤を注入し、所望の圧力及び温度に調節した後、シリンダー先端のシャットオフノズルから、温調機を接続した金型キャビティへ射出する。続いて、可動型を後退(コアバック)することによって、金型キャビティの容積を膨張させながら、発泡剤を揮発させ、更に冷却することによって、樹脂発泡体を製造することができる。
<製造条件>
樹脂組成物を発泡させて得られる樹脂発泡体には、詳しくは後述するが、セル(空孔)とセルの境界面が連通しているオープンセル型、セルが独立しているクローズドセル型等の構造がある。
これら樹脂発泡体の構造は、樹脂組成物の組成や製造条件等によって容易に制御できる。ここで、「製造条件」とは、樹脂組成物に発泡剤(超臨界流体)を溶解させるときの溶解条件(温度及び時間、圧力)や、樹脂組成物を発泡させるときの発泡条件(温度)等のことである。
以下に示す樹脂組成物の組成は、樹脂成分(B)としてプロピレン系樹脂(B1)又は乳酸系樹脂(B2)を用いる場合を例にしている。
(溶解条件)
温度:
樹脂組成物を溶融し、発泡剤を溶解させるときの圧力は特に制限されないが、例えば、発泡剤として窒素を用いる場合、窒素の臨界温度を考慮して−147℃以上が好ましい。
例えば、射出成形機を用いて樹脂発泡体を製造する場合、シリンダーで、樹脂組成物を溶融し、発泡剤を溶解し、ノズルから射出する。そのシリンダー及びノズルの温度は、例えば、樹脂成分(B)の熱変形開始温度に20℃を加えた温度以上、90℃を加えた温度以下にでき、20℃を加えた温度以上、80℃を加えた温度以下が好ましく、30℃を加えた温度以上、70℃を加えた温度以下がより好ましい。
熱変形開始温度としては、例えば、示差走査熱量分析により測定される、融点、ガラス転移点を挙げることができる。
例えば、プロピレン系樹脂(B1)や乳酸系樹脂(B2)の融点の測定条件としては、昇温速度5〜20℃/分を挙げることができ、例えば、プロピレン単独重合体やポリ乳酸の融点の測定例として130〜190℃を挙げることができる。
したがって、上記シリンダー及びノズル温度は、150〜260℃であることが好ましく、160〜250℃であることがより好ましく、170〜240℃が更に好ましい。
シリンダー及びノズル温度をある程度高くすることによって、樹脂組成物の流動性及び成形性が向上し、発泡倍率が高い樹脂発泡体が得られる。一方、シリンダー及びノズル温度をある程度低くすることによって、緻密性・微細性により優れる樹脂発泡体が得られる。
圧力:
超臨界流体を樹脂組成物に溶解させるときの圧力は特に制限されないが、例えば、超臨界流体として窒素を用いる場合、窒素の臨界圧力を考慮して3.4MPa以上が好ましい。
時間:
超臨界流体を樹脂組成物に溶解させるときの時間は特に制限されない。射出成形条件を設定する場合、成形サイクルとして、短時間であることが好ましく、例えば、10分以内が好ましく、5分以内がより好ましく、3分以内が更に好ましく、1分以内が特に好ましい。
注入量:
樹脂組成物に注入させる発泡剤の量(注入量)については特に制限されないが、窒素を用いる場合、樹脂組成物と発泡剤の合計に対して、0.001〜1質量%注入することが好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。発泡剤が不足すると発泡倍率が不十分となり、多過ぎると鬆が入り易く、発泡倍率に応じて適宜調節することによって、緻密性・微細性に優れる樹脂発泡体が得られる。例えば、プロピレン系樹脂(B1)を5倍発泡する場合、発泡剤注入量は、0.1〜0.2質量%が特に好ましく、乳酸系樹脂(B2)を2〜3倍に発泡する場合、0.05〜0.15質量%が特に好ましい。
(発泡条件)
温度:
本発明の樹脂発泡体の製造方法では、例えば、射出成形機型の装置を用いて、樹脂組成物に発泡剤を注入し、温調機を接続した金型のキャビティ内へ射出した後、コアバックする。コアバックする際に発泡構造を形成する。
その際、温調機を用いて、水又は油系の媒体を、金型内部に循環させることができるが、媒体の性質を考慮すると、温調機の設定温度としては0〜150℃が好ましい。
例えば、プロピレン系樹脂(B1)を含有する樹脂組成物の場合、25〜90℃の設定温度が好ましい。
また、金型温調に関する設定は、射出発泡成形サイクルの途中で、変更することができる。例えば、所定の保圧時間が経過した後、コアバックを開始する際、冷却をかけることができる。具体的には、乳酸系樹脂(B2)を含有する樹脂組成物の場合、金型温調機の設定温度としては、射出工程では40〜90℃、コアバック工程では0〜40℃とすることが好ましい。温度を途中で変更することによって、得られる発泡構造が微細化する。
または、金型に温度センサーを備え付けて、コアバック工程の樹脂温度を、発泡温度として測定することができる。例えば、ポリ乳酸を射出発泡成形する場合、発泡温度としては、50〜240℃が好ましく、90〜200℃がより好ましい。発泡温度が高過ぎると成形品内部が中空化しやすくなり、低過ぎると成形品内部に孔が形成されにくくなる。
<作用効果>
本発明の樹脂発泡体の製造方法によれば、例えば、射出発泡成形機を用いて、及び/又は、発泡剤として窒素を用いて、PTFEと樹脂成分(B)とを含む樹脂組成物を発泡させることができる。これにより、発泡倍率が高く、緻密性及び微細性に優れ、セル密度が高い樹脂発泡体を容易に製造することができる。
具体的には、発泡倍率50倍以下の樹脂発泡体を製造できる。発泡倍率が高いほど、得られる樹脂発泡体は、製品の軽量化、省資源化において有利である。
発泡倍率は、成形体の密度を、液体中に浸漬する方法や、成形体の質量と体積から算出して、発泡前後の比をとることができる。
また、金型キャビティ内に樹脂を充填する(射出)工程の後、可動型が成形体厚み方向に後退する(コアバック)工程において、発泡倍率は次式で求めることができる。
発泡倍率=コアバック後の成形体厚み/金型キャビティの初期クリアランス
但し、キャビティ内部では発泡層(コア層)が形成されるが、金型接触面では未発泡層(スキン層)が形成される。スキン層の厚みは500μm未満が好ましい。発泡倍率は、金型キャビティ拡張倍率に対して、85%以上であれば、樹脂の金型追随性に優れると言える。
本発明の樹脂発泡体の製造方法によれば、例えば、射出発泡成形機を用いて、樹脂組成物及び発泡剤を、金型キャビティへ射出する工程において、射出圧力、射出速度、保圧を調節し、それに続くコアバック工程として、可動型が後退を開始するまでの時間(保圧時間)、移動速度等を調節することによって、緻密性・微細性に優れる樹脂発泡体を製造することができる。
更には、クローズドセル型、オープンセル型の発泡構造を選択的に製造することができる。また、コアバック工程に伴い、発泡構造がコアバック方向に伸張することもある。例えば、射出発泡成形におけるコアバック方向に対して、平行断面のコア層を観察して、発泡構造を評価することができる。
例えば、型締め力35トン、スクリュー径20mmの射出成形機を用いて、プロピレン系樹脂(B1)を含有する樹脂組成物に窒素0.001〜1質量%(樹脂組成物と窒素の合計100質量%に対して)を溶解させ、射出投影面積30〜50cmのキャビティに対して、射出圧力100〜200MPa、射出速度5〜150mm/秒、保圧圧力5〜100MPaで充填し、それ続いて初期クリアランス0.1〜5mmのキャビティを、保圧時間1〜15秒、コアバック速度2〜60mm/秒で、2〜10倍に拡張し、10〜90秒冷却することによって、例えば、セル径500μm未満のクローズド又はオープンセル型の発泡構造を有する樹脂発泡体を製造することができる。
特に、結晶化温度が105℃以上(降温速度10℃/分)及び/又は立体規則性が[mmmm]90%以上である、プロピレン系樹脂(B1)を含有する樹脂組成物の場合、セル径50μm未満のオープンセル型の発泡構造が形成され易い。
もう一つの具体例として、上記と同様の仕様を有する射出成形機を用いて、乳酸系樹脂(B2)を含有する樹脂組成物に窒素0.001〜1質量%(樹脂組成物と窒素の合計100質量%に対して)を溶解させ、射出投影面積30〜50cmのキャビティに対して、射出圧力100〜200MPa、射出速度5〜150mm/秒、保圧圧力5〜100MPa等で充填し、それに続いて初期クリアランス0.1〜5mmのキャビティを、保圧時間1〜15秒、コアバック速度2〜60mm/秒で、1.2〜6倍に拡張し、10〜300秒冷却することによって、例えば、セル径500μm未満のクローズド又はオープンセル型の発泡構造を有する樹脂発泡体を製造することができる。
保圧時間が適切な範囲であれば、クローズド又はオープンセル型の発泡構造が形成され、保圧時間が短い場合、微細性、緻密性に優れるオープンセル型が形成され易い。但し、保圧時間が短過ぎると成形品内部が中空化し、長過ぎると成形品内部に孔が形成されない。
(樹脂発泡体)
本発明の樹脂発泡体は、上述した本発明の樹脂発泡体の製造方法により得られたものである。具体的には、PTFEと樹脂成分(B)とを含有する樹脂組成物を、射出発泡成形機を用いて発泡成形させたものである。得られる発泡構造のタイプとしては、クローズドセル型、オープンセル型が挙げられる。
射出成形機を用いて発泡成形する場合、キャビティ内部では発泡層(コア層)が形成され、金型接触面では未発泡層(スキン層)が形成されて、いわゆるサンドイッチ構造が形成される。サンドイッチ構造の中間層において、発泡倍率が少なくとも2倍以上であり、発泡セルの短径が少なくとも500μmより小さければ、本発明の樹脂発泡体としての特徴が現れる。さらに発泡セルが少なくとも50%以上連結していれば、オープンセル型発泡体としての特徴が現れる。
尚、本発明の樹脂発泡体の構造は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)、X線CTスキャン等の観察手段を用いて確認することができる。
<クローズドセル型の樹脂発泡体>
クローズドセル型の樹脂発泡体としては、一般にその呼称が適用される公知の形態を意味するが、具体的には樹脂発泡体中に形成された空孔(セル)が繋がらず(連通せず)、一つ一つ独立している構造を挙げることができる。
空孔の大きさは樹脂発泡体の用途に応じて適宜決定されるが、例えば、直径が500μm以下を挙げることができ、200μm以下であることが好ましく、より好ましくは100μm以下であり、更に好ましくは50μm以下であり、特に好ましくは20μm以下である。特に、空孔の直径が200μm以下であれば、材料軽量化と機械的強度のバランス、断熱性、光学的反射特性、音響特性、物質透過/分離性において有利である。また、空孔は大きさ(平均直径)が均一であることが特に好ましい。
空孔の直径の下限値については特に制限されないが、0.01μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましく、1μm以上が特に好ましく、2μm以上がより最も好ましい。
空孔の直径は、SEM写真の観察により求められる。
更に、空孔は10μm未満の間隔で形成されていることが好ましい。空孔が10μm未満の間隔で形成されていることで、緻密性及び微細性がより向上する。間隔の下限値については特に制限されず、隣り合う空孔同士が接していてもよい。
尚、間隔とは、隣り合う空孔同士の距離のことであり、SEM写真の観察により求められる。
<オープンセル型の樹脂発泡体>
オープンセル型の樹脂発泡体としては、一般にその呼称が適用される公知の形態を意味するが、具体的には隣り合う空孔同士の間が隔てられず、境界面が連通している構造を挙げることができる。中でも、例えば、大きさの異なる空孔が連通している構造を挙げることができ、特に、大きさの異なる空孔が規則的に50%以上の割合で連通していることが好ましい。
オープンセル型の樹脂発泡体の空孔の大きさは、上記クローズドセル型の場合と同様である。
空孔の間隔としては、上記クローズドセル型の場合と同様に、形成されていることが好ましい。
クローズドセル型のように、連通性に乏しい空孔からなる構造の場合、材料軽量化と機械的強度のバランス、断熱性、光学的反射特性において有利である。
一方、オープンセル型のように、連通性に優れる空孔からなる構造の場合、断熱性、吸音特性、光学的反射特性、物質透過性/分離性の支持体、細胞を培養するための基材において有利である。
空孔の連通性は、測定により求めることができる。例えば、得られた樹脂発泡体を、図1に表される構造と寸法で切り出した場合、オープンセル率(OCC)として、次式により求めることができる。
ここで、Vmea.:ピクノメータによって測定された試料の体積、lskin:試料のスキン層厚み。
異なる樹脂発泡体のOCCを測定して比較する場合、切り出される測定用サンプルにおいて、コア層の直方体の表面積(Acore)に対する、スキン層で閉塞された面積(Askin)の割合(次式のa)を一定に揃える必要がある。
本発明で得られる樹脂発泡体のオープンセル率としては、特に限定されるものではないが、例えば、得られる樹脂発泡体の断熱特性、吸音特性、物質透過性/分離性の支持体、細胞を培養するための基材としての適応性を考慮すると、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、65%以上が更に好ましい。
<作用効果>
以上説明した本発明の樹脂発泡体は、上述した本発明の樹脂発泡体の製造方法により得られたものである。具体的には、PTFEと樹脂成分(B)とを含有する樹脂組成物を、射出発泡成形機を用いて発泡成形したものである。樹脂発泡体の構造(クローズドセル型、オープンセル型)は、例えば、射出発泡成形条件を調節することで制御される。
<用途>
樹脂発泡体は各種用途に使用することができる。具体的には、軽量化・省資源化のための材料、断熱性、緩衝性、遮音性、光学的反射効果、物質透過/分離性に優れる材料、細胞接着性に優れる培養基材として好適であり、例えば、建築物、自動車、電気製品、音響製品、浄化施設、フィルター、蓄電池、太陽電池、細胞チップを構成するために使用することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
各種測定方法及び評価方法と、樹脂組成物の原料を以下に示す。
尚、各例において、「部」の表記は、「質量部」を意味する。
[測定・評価方法]
<発泡倍率>
射出発泡成形において、次式のように定めた。
発泡倍率 = コアバック後の成形品厚み ÷ コアバック前の金型キャビティ厚み
<樹脂の金型追従性>
射出発泡成形における、樹脂の金型追従性を、以下に示す評価基準より、評価した。
○:発泡倍率が、キャビティ拡張倍率の85%以上である。
×:発泡倍率が、キャビティ拡張倍率の85%未満である。
<発泡構造のタイプ>
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、樹脂発泡体の平行断面のコア層及び垂直断面を観察し、次の基準により、発泡構造のタイプを表した。尚、一つの樹脂発泡体に複数のタイプの発泡構造が認められた場合、複数のタイプを併記した。
クローズドセル(Cl):
隣接した空孔は、蜂の巣状に区切られ、境界に開口部はなく、独立している。
オープンセル(Op):
隣接した空孔は、蜂の巣状に区切られ、境界に開口部があり、連結している。
その他(−):
射出発泡成形において、金型をコアバックした際、樹脂が膨らまなかったか、又は、樹脂は膨らんだが、中空化した。
<セル径>
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、樹脂発泡体の平行断面のコア層を観察し、得られた画像に基づいて、各オープン又はクローズドセルの短径及び長径の平均値を求めた。
<オープンセル率>
樹脂発泡体のオープンセル率(OCC)は、次式により求めた。
ここで、Vapp:ノギス等で測定した見かけ体積,Vmea.:ピクノメータ(島津製作所製)を用いてで測定した体積。
<発泡構造の緻密性・微細性>
目視及び/又は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、樹脂発泡体の平行断面のコア層及び垂直断面を観察し、次の基準により、緻密性・微細性を評価した。
A:観察エリア面積の80%以上で、クローズド又はオープンセル型発泡構造が認められ、セル壁の厚みが10μm未満であり、セル径が50μm未満である。
B:観察エリア面積の80%以上で、クローズド又はオープンセル型発泡構造が認められ、セル壁の厚みが10μm未満であり、セル径が50μm以上100μm未満である。
C:観察エリア面積の80%以上で、クローズド又はオープンセル型発泡構造が認められ、セル壁の厚みが10μm未満であり、セル径が100μm以上500μm未満である。
−:上記の要件を満たす発泡構造が認められない。
[樹脂組成物の原料]
樹脂組成物として、以下に示す原料を用いた。
PP(B1−1):日本ポリプロピレン社製、「ポリプロピレン樹脂FY4」
MFR 5g/10分(JIS K7210準拠、温度230℃/荷重21.2N)、非架橋直鎖型
PP(B1−2):プライムポリマー社製、「ポリプロピレン樹脂F133A」
MFR 3g/10分(JIS K7210準拠、温度230℃/荷重21.2N)、非架橋直鎖型
結晶化温度112℃(示差走査熱量分析、降温速度10℃/分)
立体規則性[mmmm]=97%
PLA(B2−1):ネイチャーワーク社製、「4032D102C−14400」
MFR 7g/10分(JIS K7210準拠、温度210℃/荷重21.2N)、非架橋直鎖型
[実施例1]
<PTFE含有粉体(A)>
PTFE含有粉体(A)として、三菱レイヨン(株)製メタブレンA3000(商品名)を用いた。
以下、メタブレンA3000を、変性PTFE(A−1)という。
<樹脂組成物の調製>
PTFE成分であるPTFE含有粉体(A)として変性PTFE(A−1)を3部と、樹脂成分としてPP(B1−1)を97部とを、押出機(スクリュー:直径26mm、L/D=40、同方向二軸、東芝機械社製)を用い、バレル温度190℃、スクリュー回転数50rpmの条件で溶融混練し、樹脂組成物を得た。
<樹脂発泡体の製造>
得られた樹脂組成物を、射出発泡成形機(日本製鋼所社製J35ELIII−F)を用いて、次の条件で射出発泡成形を行った。
<計量工程>
発泡剤:窒素、注入量:0.15質量%(樹脂組成物と窒素の合計100質量%に対して)
<射出工程>
ノズル温度:195℃、金型温調:40℃
射出圧力:140MPa、射出速度:40mm/秒
保圧圧力:40MPa
<コアバック工程>
金型温調:40℃、初期クリアランス:2mm、保圧時間:5秒、コアバック速度:20mm/秒
キャビティ拡張倍率:5倍、冷却時間:40秒
実施例1で得られた射出発泡成形の評価結果の一覧を表1に示す。得られた樹脂発泡体は、金型追随性、発泡構造の緻密性・微細性に優れていた。
また、実施例1で得られた発泡構造の観察結果を図2に示す。得られた発泡構造はオープンセル型であった。
[実施例2]
変性PTFE(A−1)を1部と、樹脂成分としてPP(B1−2)を99部とを、用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。尚、得られた樹脂組成物の結晶化温度(示差走査熱量分析、降温速度10℃/分)を測定したところ129℃であった。
但し、保圧時間は、適宜調整した。いくつかの条件を、表2の中で、実施例番号に添え字を付けて示す。
[実施例3,4、比較例1]
変性PTFE(A−1)とPP(B1−2)の配合量を、表2及び表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。
但し、保圧時間は適宜調整した。いくつかの条件を、表2の中で、実施例番号に添え字を付けて示す。
実施例2〜3及び比較例1で得られた射出発泡成形の評価結果の一覧を表2に示す。実施例2〜3の樹脂発泡体は、金型追随性、発泡構造の緻密性・微細性に優れていた。しかし、比較例1の樹脂発泡体は、緻密性・微細性に劣っていた。
尚、実施例2a及び実施例2bで得られた発泡構造の観察結果を図3及び図4に示す。実施例2aのように保圧時間が短い場合、図3に示すようにオープンセル型であった。これに対して、実施例2bのように保圧時間が長い場合、図4に示すようにセル構造がより微細化した。尚、実施例3aと実施例3bでも、同様の傾向がみられた。
また、実施例3b及び比較例1aで得られた発泡構造の観察結果を図5及び図6に示す。実施例3bで得られた発泡構造は、図5に示すように、セル間の壁は薄く、所々に開口部が生じていた(オープンセルであった)。これに対して、比較例1aの場合、図6に示すように、セル間の壁は厚く、開口部はなかった(クローズドセルであった)。
更に、一連の各評価項目を、表3及び図7〜9のように整理した。即ち、比較例1及び実施例2〜4で得られた、発泡構造タイプ(表3)、オープンセル率(図7)、セル径(図8)、発泡倍率(図9)について、変性PTFEの添加量及び保圧時間が及ぼす影響を、マトリクス及びグラフで表した。
これらより、PPの射出発泡成形において、変性PTFEを添加することによって、オープンセル率が高い樹脂発泡体が得られることが解る。
以上、実施例1〜4より、次のことが明らかになった。本発明のように、非架橋直鎖型のポリプロピレンに、PTFE成分を分散した樹脂組成物を、射出発泡成形する方法によって、緻密性・微細性に優れる発泡構造を製造することが可能となる。
それ対して、比較例1のように、PTFE成分を含まない樹脂を射出発泡成形した場合、得られる発泡構造体は、発泡構造のタイプが制限され、微細性・緻密性に劣る。
[実施例5、比較例2]
樹脂成分として、PLA(B2−1)を用い、射出発泡成形条件を、次のように、変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。
<計量工程>
発泡剤:窒素、注入量:0.1質量%(樹脂組成物と窒素の合計100質量%に対して)
<射出工程>
ノズル温度:210℃、金型温調:適宜変更
射出圧力:140MPa、射出速度:40mm/秒
保圧圧力:60MPa
<コアバック工程>
金型温調:適宜変更、初期クリアランス:2mm、保圧時間:適宜変更、コアバック速度:20mm/秒
キャビティ拡張倍率:適宜変更、冷却時間:60秒
但し、変性PTFE(A−1)の配合量、保圧時間、金型温調、キャビティ拡張倍率は、適宜調整した。いくつかの条件を、表4に、実施例番号に添え字を付けて示す。
実施例5及び比較例2で得られた評価結果の一覧を表4に示す。また、実施例5a〜5b及び比較例2cで得られた発泡構造の観察結果を図10〜18に示す。
これらの結果が示す通り、PLAの射出発泡成形において、変性PTFEを添加することによって、オープンセル率が高い樹脂発泡体が得られる。
即ち、実施例5より、次のことが明らかになった。本発明のように、非架橋直鎖型のポリ乳酸に、PTFE成分を分散した樹脂組成物を、射出発泡成形する方法によって、緻密性・微細性に優れる発泡構造を製造することが可能となる。
それに対して、比較例2のように、PTFE成分を含まない樹脂を射出発泡成形した場合、得られる発泡構造体は、発泡構造のタイプが制限され、微細性・緻密性に劣る。
[実施例6〜7及び比較例3]
樹脂成分として、PLA(B2−1)を用い、射出発泡成形条件を、次のように、変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。
但し、金型内に備え付けた温度センサーでコアバック工程における樹脂温度を測定することによって、保圧時間の代わりに発泡温度を求めた。
<計量工程>
発泡剤:窒素、注入量:0.1質量%(樹脂組成物と窒素の合計100質量%に対して)
<射出工程>
ノズル温度:210℃、金型温調:60℃
射出圧力:140MPa、射出速度:40mm/秒
保圧圧力:40MPa
<コアバック工程>
金型温調:30℃
初期クリアランス:2mm、保圧時間:適宜変更、コアバック速度:20mm/秒
キャビティ拡張倍率:3倍、冷却時間:60秒
但し、変性PTFE(A−1)の配合量、発泡温度は、適宜調整した。得られた発泡構造の観察結果を図19に示す。
これらの結果が示す通り、PLAに変性PTFEを添加して射出発泡成形する場合、樹脂組成及び発泡温度の変動に対して、得られる発泡構造の安定性が高い。そのため、工業的に生産するときには、運転条件の管理幅が広くても、高い歩留まりを確保することが可能である。

Claims (5)

  1. ポリテトラフルオロエチレンと、ポリテトラフルオロエチレン以外の樹脂とを含有する樹脂組成物を、射出発泡成形機を用いて発泡成形する、樹脂発泡体の製造方法。
  2. ポリテトラフルオロエチレンと、ポリテトラフルオロエチレン以外の樹脂とを含有する樹脂組成物を、窒素を発泡剤として発泡成形する、樹脂発泡体の製造方法。
  3. ポリテトラフルオロエチレンがポリテトラフルオロエチレン含有粉体であり、ポリテトラフルオロエチレン以外の樹脂が、非架橋直鎖型のプロピレン系樹脂又は非架橋直鎖型の乳酸系樹脂である、請求項1又は2に記載の樹脂発泡体の製造方法。
  4. 中間層と該中間層の両面に形成されたスキン層とからなるサンドイッチ型構造の樹脂発泡体であって、
    中間層が、ポリテトラフルオロエチレンと、ポリテトラフルオロエチレン以外の樹脂とからなる発泡体であり、その発泡倍率が2倍以上であり、短径として500μmより小さい空孔が50%以上連結している、樹脂発泡体。
  5. ポリテトラフルオロエチレンがポリテトラフルオロエチレン含有粉体であり、ポリテトラフルオロエチレン以外の樹脂が、非架橋直鎖型のプロピレン系樹脂又は非架橋直鎖型の乳酸系樹脂である、請求項4に記載の樹脂発泡体。
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