JP2011083970A - ポリ乳酸系樹脂組成物からなる層を有する積層体 - Google Patents

ポリ乳酸系樹脂組成物からなる層を有する積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】 環境適応性の高いポリ乳酸系樹脂組成物層を用いていながら、この層がガスバリア性及び耐ピンホール性に優れた樹脂層と接着層フリーで強固に接着しており、且つ、柔軟性に優れ、靭性、折れ皺、ブロッキング及びメヤニが発生し難い積層体を提供する。
【解決手段】 以下の(a)層及び(b)層を有する積層体。
(a)層:ポリ乳酸系樹脂と熱可塑性エラストマーを含む樹脂組成物からなる層であって、前記ポリ乳酸系樹脂と前記熱可塑性エラストマーの合計量に対し、前記ポリ乳酸系樹脂を25〜80重量部、前記熱可塑性エラストマーを20〜75重量部含有し、前記熱可塑性エラストマーの210℃、剪断速度6.08E+02sec-1における溶融粘度が5.0E+00〜3.0E+02Pa・sである層
(b)層:ポリオレフィン系樹脂組成物からなる層
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂組成物からなる層とポリ乳酸系樹脂組成物からなる層とを有する積層体に関するものである。
近年、石油資源枯渇や二酸化炭素排出量の削減に対する関心が高まってきている。こうした中、植物を発酵して得られる乳酸を原料とするポリ乳酸系樹脂は、環境に優しい材料として注目を浴びている。現在、乳酸の原料は、トウモロコシ等の可食作物であるが、非可食原料から乳酸を発酵・精製する技術も開発が進められている。また、特に、多量の樹脂を消費する食品包装分野等において、環境適応性の高いポリ乳酸系樹脂への切り替えが強く望まれている。
但し、ポリ乳酸系樹脂は、剛性が高く、脆いため、包装分野への適用には適していない。また、特に、ポリ乳酸系樹脂を食品包装分野に用いる場合、酸素や水蒸気などのガスに対するバリア性や耐ピンホール性等を改善させる必要がある。ガスバリア性を改善させる一般的な手段としては、ガスバリア性を有するポリオレフィン系樹脂やエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等の樹脂との積層体とすることが考えられるが、ポリ乳酸系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂やEVOH等の樹脂と共押出成形により接着しない。
ポリ乳酸系樹脂層とポリオレフィン系樹脂層との接着性を高めた積層体としては、例えば、ポリ乳酸系樹脂層とポリオレフィン系樹脂層との間に塩素化ポリオレフィン系樹脂層を有する層を有する積層体が開示されている(特許文献1参照)。しかしながら、塩素化ポリオレフィン系樹脂は、ハロゲンを含有しているため、焼却時のダイオキシン発生などの環境問題への配慮が必要と考えられる。
ポリエステル系樹脂とポリオレフィン系樹脂との接着については、酸無水物で変性させたポリオレフィン系樹脂とカルボジイミド化合物からなる接着層を挟むことで接着強度を向上させる手法が開示されている(特許文献2参照)。しかしながら、この接着層を用いても、ポリ乳酸系樹脂とポリオレフィン系樹脂との接着では殆ど効果が無い上に、変性ポリオレフィン系樹脂とカルボジイミド化合物との固定化反応に伴いフィッシュアイが発生しやすいという問題もあった。
ポリ乳酸系樹脂層とポリオレフィン系樹脂層を有する積層体としては、オレフィン系樹脂セグメントとアクリル単量体からなるセグメントを有する共重合体からなる樹脂組成物の接着層を用いた積層体も開示されている(特許文献3参照)。しかしながら、この接着層では、本発明の比較例として後述するように、接着強度が不十分である上に、ポリ乳酸系樹脂の剛性がそのまま維持されているために積層体の柔軟性も損なわれてしまい、ポリ乳酸系樹脂と接着性樹脂との剛性の差が大きいために厚みのある積層体を屈曲させると層間に折れ皺が発生してしまう。
なお、以上の方法は、何れも2つの層を接着層を介して積層体としているが、一般的に、積層体中における接着層の厚みは、接着層以外の層本来の特性を損なわないように薄くするのが好ましい。しかしながら、押出成形で接着層が薄い積層体を作製する場合、接着層の吐出量を他層の吐出量よりも抑えることになるため、接着性樹脂の押出機中における滞留時間が長くなり、接着性樹脂のメヤニ等の劣化物が発生しやすくなるという問題が発生しやすいことが知られている。
特開2005−119125号公報 特開2002−273838号公報 特開2009−12464号公報
本発明は、かかる背景技術に鑑みてなされたものであり、その課題は、環境適応性の高いポリ乳酸系樹脂組成物層を有する積層体であって、柔軟性、靭性、ガスバリア性、耐ピンホール性に優れ、層間剥離や折れ皺が生じ難く、接着層フリーの積層体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行った。その結果、ポリ乳酸系樹脂組成物層に特定物性の熱可塑性エラストマーを含有させることにより、ポリオレフィン系樹脂組成物層との接着性に優れ、上述の物性を兼ね備えた積層体が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の要旨は、以下の(a)層及び(b)層を有する積層体に存する。
(a)層:ポリ乳酸系樹脂と熱可塑性エラストマーを含む樹脂組成物からなる層であって、前記ポリ乳酸系樹脂と前記熱可塑性エラストマーの合計量に対し、前記ポリ乳酸系樹脂を25〜80重量部、前記熱可塑性エラストマーを20〜75重量部含有し、前記熱可塑性エラストマーの210℃、剪断速度6.08E+02sec-1における溶融粘度が5.0E+00〜3.0E+02Pa・sである層
(b)層:ポリオレフィン系樹脂組成物からなる層
本発明によれば、ポリ乳酸系樹脂組成物層に特定物性の熱可塑性エラストマーを含有させることにより、ポリオレフィン系樹脂組成物層との接着性に優れ、上述の物性を兼ね備えた積層体を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。
本発明の積層体は、(a)層:ポリ乳酸系樹脂と熱可塑性エラストマーを含む樹脂組成物からなる層であって、前記ポリ乳酸系樹脂と前記熱可塑性エラストマーの合計量に対し、前記ポリ乳酸系樹脂を25〜80重量部、前記熱可塑性エラストマーを20〜75重量部含有し、前記熱可塑性エラストマーの210℃、剪断速度6.08E+02sec-1における溶融粘度が5.0E+00〜3.0E+02Pa・sである層及び(b)層:ポリオレフィン系樹脂組成物からなる層を有する。
<(a)層:ポリ乳酸系樹脂と熱可塑性エラストマーを含む樹脂組成物からなる層>
本発明の積層体を構成する(a)層は、ポリ乳酸系樹脂と熱可塑性エラストマーを含む樹脂組成物からなる層である。
(a)層に含まれるポリ乳酸系樹脂は、ポリ乳酸を主成分とするポリエステル樹脂である。ここで、主成分とは、ポリ乳酸系樹脂中にポリ乳酸を好ましくは50重量%以上、更に好ましくは75重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、最も好ましくは95重量%以上含むことをいう。
ポリ乳酸系樹脂に含まれるポリ乳酸以外の成分としては、乳酸以外の脂肪族ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族ジオール及びテレフタル酸などの芳香族化合物などの有機酸から得られるホモポリマー、コポリマー、ならびにこれらの混合物などが挙げられる。
ポリ乳酸系樹脂の原料として用いられる乳酸としては、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸及び/又は乳酸の環状2量体であるラクタイドを用いることができる。また、乳酸以外の脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、炭素数2〜10であるものが好ましく、具体的には、例えば、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などが挙げられる。脂肪族ジカルボン酸としては、炭素数2〜30であるものが好ましく、具体的には、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、フェニルコハク酸及び1,4−フェニレンジ酢酸などが挙げられる。脂肪族ジオールとしては、炭素数2〜30であるものが好ましく、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ一ル、1,4−ベンゼンジメタノール及びポリトリメチレンエーテルグリコールなどが挙げられる。芳香族化合物としては、具体的には、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸及び安息香酸などが挙げられる。これらの原料は、1種単独で用いても、2種以上を組合せて用いてもよい。
ポリ乳酸系樹脂は、上述の原料有機酸と少量の脂肪族多価アルコール、脂肪族多塩基酸、多価アルコール類との共重合体でもよい。ここで、脂肪族多価アルコールとしては、トリメチロールプロパン及びグリセリンなどが、脂肪族多塩基酸としては、ブタンテトラカルボン酸などが、多価アルコール類としては多糖類などが各々挙げられる。
ポリ乳酸系樹脂の製造方法については、特に制限されないが、例えば上述の原料有機酸を直接脱水重縮合する方法、及び、ラクタイドのような乳酸の環状2量体やグリコライドのようなヒドロキシカルボン酸類の環状2量体又はε−カプロラクトンのような環状エステル中間体を開環重合させる方法などが挙げられる。
ポリ乳酸系樹脂の市販品としては、例えば、NatureWorks社製「Ingeo」、三井化学株式会社製「LACEA」、浙江海正生物材料股悒有限公司製「REVODE」、及び東洋紡績株式会社製「バイロエコール」などが挙げられる。
(a)層のポリ乳酸系樹脂に含まれるポリ乳酸は、機械的強度、耐熱性及び寸法安定性の点から架橋しているのが好ましい。架橋ポリ乳酸は、上述のポリ乳酸に分子鎖架橋を付与することにより得ることができる。架橋の形態としては、ポリ乳酸同士が直接架橋したもの及び/又はポリ乳酸同士が架橋助剤を介して間接的に架橋したものがある。なお、本発明においては、ゲル分率測定法によってゲル分として検出されるもののみではなく、ポリ乳酸同士が架橋状態になり、ポリ乳酸の分子量の増大が起こっているものも含め、架橋ポリ乳酸とする。
ポリ乳酸を架橋させる方法は、特に制限されないが、例えば、電子線照射、多官能性化合物の使用などが挙げられる。これらは、何れか1つの方法でも、2つ以上の方法の組み合わせでもよい。また、これらの方法に更に有機過酸化物等のラジカル開始剤を併用して、架橋効果を増大させてもよい。
多官能性化合物としては、多価イソシアネート化合物、多価エポキシ化合物、イミン化合物等が挙げられる。多官能性化合物を用いる場合の使用量は、架橋効率の点では多い方が好ましく、また、一方、フィッシュアイの発生し難さ等の外観の点では少ない方が好ましい。具体的には、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上であるのが好ましく、0.3重量部以上であるのが更に好ましく、また、一方、20重量部以下であるのが好ましく、10重量部以下であるのが更に好ましい。
多官能性化合物としては、具体的には、エチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート等の多官能性アクリル酸系化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート等の多官能性メタクリル酸系化合物;ジビニルフタレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレエート、ビスアクリロイルオキシエチルテレフタレート等の脂肪族及び芳香族多価カルボン酸のポリビニルエステル;ポリアリルエステル、ポリアクリロイルオキシアルキルエステル、ポリメタクリロイルオキシアルキルエステル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ヒドロキノンジビニルエーテル、ビスフェノールAジアリルエーテル等の脂肪族及び芳香族多価アルコールのポリビニルエーテル及びポリアリルエーテル;トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート等のシアヌール酸及びイソシアヌール酸のアリルエステル;トリアリルホスフェート、トリスアクリルオキシエチルホスフェート、N−フェニルマレイミド、N,N‘−m−フェニレンビスマレイミド等のマレイミド系化合物;フタル酸ジプロパギル、マレイン酸ジプロパギル等の多官能性モノマーなどを使用することができる。これらのうち、架橋反応性などの点から、多官能メタクリル酸系化合物が好ましく、メタクリル酸エステル化合物が特に好ましい。
メタクリル酸エステル化合物としては、生分解性樹脂との反応性、低毒性、反応後の残留モノマー成分及び着色の少なさ等から、分子内に2個以上のメタクリル基を有する化合物又は1個以上のメタクリル基と1個以上のグリシジル基もしくはビニル基を有する化合物が好ましい。好ましいメタクリル酸エステル化合物としては、例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリセロールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノアクリレート、アリロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート;これらのアルキレングリコール部が異種のアルキレン基をもつアルキレングリコールの共重合体;ブタンジオールメタクリレート、ブタンジオールアクリレートなどが挙げられる。
また、有機過酸化物を多官能性化合物や架橋助剤と共に併用することも好適である。有機過酸化物と多官能性化合物を併用すると、多官能性化合物との反応部位が増大することによって、架橋効率が向上する。また、有機過酸化物と架橋助剤を用いて架橋したポリ乳酸では、架橋助剤成分を介して、ポリエステル成分が架橋される。架橋助剤としては、ジビニルベンゼン、ジアリルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルフェニル、ジビニルカルバゾール、ジビニルピリジン及びこれらの核置換化合物や近縁同族体等が挙げられる。架橋助剤を用いる場合の使用量は、架橋度の点では多い方が好ましく、また、一方、外観の点では少ない方が好ましい。具体的には、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上であるのが好ましく、0.05重量部以上であるのが更に好ましく、0.2重量部以上であるのが特に好ましく、また、一方、20重量部以下であるのが好ましく、10重量部以下であるのが更に好ましく、8重量部以下であるのが特に好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)トリメチルシクロヘキサン、ビス(ブチルパーオキシ)シクロドデカン、ブチルビス(ブチルパーオキシ)バレレート、ジクミルパーオキサイド、ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキサイド、ビス(ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジメチルジ(ブチルパーオキシ)ヘキシン、ブチルパーオキシクメン等が挙げられる。有機過酸化物を用いる場合の使用量は、架橋効率の点では多い方が好ましく、また、一方、オリゴマー成分生成の点では少ない方が好ましい。具体的には、ポリ乳酸系樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上であるのが好ましく、0.2重量部以上であるのが更に好ましく、また、一方、10重量部以下であるのが好ましく、5重量部以下であるのが更に好ましい。
(a)層に含まれるポリ乳酸系樹脂のJIS規格K 7210の試験条件4に従って測定した230℃、2.16kg荷重におけるメルトマスフローレート(以下、MFRと略記する場合がある)は、成形加工性の点から0.1g/10min以上であるのが好ましく、0.2g/10min以上であるのが更に好ましい。また、一方、本発明の積層体の表面硬度の点から10g/10min以下であるのが好ましく、8g/10min以下であるのが更に好ましい。
次に、(a)層に含まれる熱可塑性エラストマーについて説明する。本発明において、熱可塑性エラストマーは、加熱により可塑性を示すエラストマーをいう。
(a)層に含まれる熱可塑性エラストマーは、JIS規格K6253に従って測定したデュロA硬度が2以上95以下の樹脂である。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、エチレン・プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合ゴム(EPDM)、エチレン・ブテン共重合ゴム(EBM)、エチレン・プロピレン・ブテン共重合ゴム等のエチレン系エラストマー;スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、スチレン・イソプレン共重合体ゴム等のスチレン系エラストマー;メチルメタアクリレート・ブチルアクリレート共重合ゴム等のアクリル系エラストマー;ポリアミド・ポリオール共重合体等のポリアミド系エラストマー;ポリエステル・ポリオール共重合体等のポリエステル系エラストマー;ポリウレタン系エラストマー;ポリ塩化ビニル系エラストマー及びポリブタジエン系エラストマーなどが挙げられる。また、上述のデュロA硬度の範囲に含まれれば、これらのエラストマー成分と他の熱可塑性樹脂との混合物、これらのエラストマー成分を酸無水物等により変性して極性官能基を導入させたもの、これらのエラストマー成分に他の単量体をグラフト、ランダム及び/又はブロック共重合させたものなども(a)層に含まれる熱可塑性エラストマーに含まれる。
(a)層に含まれる熱可塑性エラストマーのデュロA硬度は、本発明の優れた効果が発現しやすいことから、低い方が好ましい。具体的には、積層体の(a)層を上面として、JIS規格K6253に従って測定されるデュロA硬度が、2以上であるのが好ましく、5以上であるのが更に好ましく、また、一方、95以下であるのが好ましく、90以下であるのが更に好ましい。
(a)層に含まれる熱可塑性エラストマーの溶融粘度は、シート及びフィルム加工性の点では高い方が好ましく、本発明の積層体の柔軟性の点では低い方が好ましい。具体的には、(a)層に含まれる熱可塑性エラストマーの210℃、剪断速度6.08E+02sec-1における溶融粘度は、通常5.0E+00Pa・s以上、好ましくは8.0E+00Pa・s以上であり、また、一方、通常3.0E+02Pa・s以下、好ましくは1.8E+02Pa・s以下、更に好ましくは1.7E+02Pa・s以下であるのがよい。ここで、(a)層に含まれる熱可塑性エラストマーの210℃、剪断速度6.08E+02sec-1における溶融粘度の測定は、具体的には、以下の機器及び条件に基づいて行う。
(測定条件)
機 器:東洋精機製作所株式会社製「キャピログラフ 型式1D」
キャピラリー半径:1mm
キャピラリー長:10mm
温 度:210℃
ピストン押出速度:50mm/min
(a)層に含まれる熱可塑性エラストマーの重量平均分子量は、機械的強度の点では大きい方が好ましいが、成形外観及び流動性の点では小さい方が好ましい。具体的には、1万以上であるのが好ましく、5万以上であるのが更に好ましく、また、一方、45万以下であるのが好ましく、40万以下であるのが更に好ましく、20万以下であるのが特に好ましく、18万以下であるのが最も好ましい。ここで、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCと略記する場合がある)により、以下の条件で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
なお、(a)層に含まれる熱可塑性エラストマーの重量平均分子量が上述の好ましい範囲を外れている場合であっても、熱可塑性エラストマーが後述のゴム成分とゴム用軟化剤を含み、ゴム成分中のゴム用軟化剤が好ましくは50〜75重量%、更に好ましくは55〜75重量%含まれている場合は、好適に使用することが可能である。
(測定条件)
機 器:日本ミリポア株式会社製「150C ALC /GPC」
カラム:昭和電工株式会社製「AD80M/S」3本
検出器:FOXBORO社製赤外分光光度計「MIRANIA」測定
波長3.42μm
溶 媒:o−ジクロロベンゼン
温 度:140℃
流 速:1c/分
注入量:200マイクロリットル
濃 度:2mg/cm3
酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−フェノール0.2重量%添加。
(a)層に含まれる熱可塑性エラストマーには、ゴム成分が含まれるのが好ましい。(a)層に含まれる熱可塑性エラストマーは、前述の通り、硬度の条件を満たせば、複数の樹脂の混合物であっても良いが、特に柔軟で弾性を有するゴム成分を含むことによって、幅広い材料設計が可能となる。例えば、結晶性硬質樹脂と柔軟なゴム成分との混合物とすることにより、結晶性樹脂の耐薬品性と柔軟性を併せ持ったものとすることが可能となる。
ゴム成分とは、加熱による可塑性を示し、25℃においてゴム弾性を有し、且つJIS規格K6253に従って測定したデュロA硬度が2以上95以下の樹脂である。ゴム成分の具体例としては、上述の熱可塑性エラストマーと同様のものが挙げられる。
ゴム成分は、柔軟性及び伸び率の点から多い方が好ましい。具体的には、熱可塑性エラストマーに含まれるゴム成分は、20重量%以上であるのが好ましく、30重量%以上であるのが更に好ましく、40重量%以上であるのが特に好ましく、また、一方、上限は通常100重量%である。なお、(a)層に含まれる熱可塑性エラストマーに、ゴム成分と共に炭化水素系ゴム用軟化剤が存在する場合は、ゴム用軟化剤も含めゴム成分とする。
ゴム成分としては、耐熱性及び柔軟性の点から、スチレン系のブロック共重合体が好ましく、以下の(1)式及び/又は(2)式で表されるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンブロックとの共重合体及びその水素添加誘導体(以下、水添ブロック共重合体と略記する場合がある)であるのが更に好ましく、以下の(1)式及び/又は(2)式で表されるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンブロックとの共重合体の水素添加誘導体であるのが特に好ましい。
A−(B−A)m (1)
(A−B)n (2)
(式中Aはビニル芳香族炭化水素単位からなる重合体ブロックを表し、Bは共役ジエン単位からなる重合体ブロックを表し、m及びnは1〜5の整数を表す)
上述のブロック共重合体は、直鎖状、分岐状及び/又は放射状の何れでもよい。
Aの重合体ブロックを構成する単量体のビニル芳香族炭化水素としては、スチレン又はα−メチルスチレンなどのスチレン誘導体が好ましい。
Bの重合体ブロックを構成する共役ジエン単量体としては、ブタジエン及び/又はイソプレンが好ましい。また、(1)式及び/又は(2)式で表されるブロック共重合体が水添ブロック共重合体であり、Bの重合体ブロックがブタジエンのみから構成される場合は、Bブロックのミクロ構造中の1,2−付加構造が20〜70重量%であるのが水添後のエラストマーとしての性質を保持する上で好ましい。
m及びnは、秩序−無秩序転移温度を下げる意味では大きい方がよいが、製造しやすさ及びコストの点では小さい方がよい。また、m及びnが0であると、ブロック共重合体にならない。
ブロック共重合体(水添ブロック共重合体も含む)としては、ゴム弾性に優れることから、式(2)で表されるブロック共重合体(水添ブロック共重合体も含む)よりも式(1)で表されるブロック共重合体(水添ブロック共重合体も含む)が好ましく、mが3以下である式(1)で表されるブロック共重合体(水添ブロック共重合体も含む)が更に好ましく、mが2以下である式(1)で表されるブロック共重合体(水添ブロック共重合体も含む)が特に好ましい。
(1)式及び/又は(2)式で表されるブロック共重合体(水添ブロック共重合体も含む)中の「Aの重合体ブロック」の割合は、熱可塑性エラストマーの機械的強度及び熱融着強度の点から多い方が好ましく、また、一方、柔軟性、異形押出成形性、ブリードアウトのしやすさの点から少ない方が好ましい。式(1)のブロック共重合体(水添ブロック共重合体も含む)中の「Aの重合体ブロック」の割合は、具体的には、10重量%以上であるのが好ましく、15重量%以上であるのが更に好ましく、20重量%以上であるのが特に好ましく、また、一方、50重量%以下であるのが好ましく、45重量%以下であるのが更に好ましく、40重量%以下であるのが特に好ましい。
上述のブロック共重合体の製造方法としては、上述の構造と物性が得られればどのような方法でもよい。具体的には、例えば、特公昭40−23798号公報に記載された方法により、リチウム触媒等を用いて不活性溶媒中でブロック重合を行うことによって得ることができる。また、ブロック共重合体の水添は、例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特開昭59−133203号公報及び特開昭60−79005号公報などに記載された方法により、不活性溶媒中で水添触媒の存在下で行うことができる。この水添処理では、重合体ブロック中のオレフィン性二重結合の50%以上が水添されているのが好ましく、80%以上が水添されているのが更に好ましく、且つ、重合体ブロック中の芳香族不飽和結合の25%以下が水添されているのが好ましい。
このような水添されたブロック共重合体の市販品としては、シェルケミカルズジャパン株式会社製「KRATON−G」、株式会社クラレ製「セプトン」、旭化成株式会社製「タフテック」等が挙げられる。
ゴム用軟化剤としては、ゴム成分への親和性及び安定性から、鉱物油系又は合成樹脂系の軟化剤が好ましく、鉱物油系軟化剤が更に好ましい。鉱物油系軟化剤は、一般的に、芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素の混合物であり、全炭素原子の50%以上がパラフィン系炭化水素であるものがパラフィン系オイル、全炭素原子の30〜45%以上がナフテン系炭化水素であるものがナフテン系オイル、全炭素原子の35%以上が芳香族系炭化水素であるものが炭素原子芳香族系オイルと各々呼ばれている。ゴム用軟化剤は、上述の各種軟化剤の何れか1種でも、複数種の混合物でも構わないが、これらのうち、色相良好であることから、パラフィン系オイルが好ましい。また、合成樹脂系軟化剤としては、ポリブテン及び低分子量ポリブタジエン等が挙げられる。
ゴム用軟化剤の40℃における動粘度は、熱可塑性エラストマーの流動性という点では高い方が好ましいが、フォギング性等の点では低い方が好ましい。具体的には、20センチストークス以上であるのが好ましく、50センチストークス以上であるのが更に好ましく、また、一方、800センチストークス以下であるのが好ましく、600センチストークス以下であるのが好ましい。ゴム用軟化剤の引火点(COC法)は、200℃以上であるのが好ましく、250℃以上であるのが更に好ましい。
ゴム成分中のゴム用軟化剤の量は、ゴム成分の流動性の点では多い方が好ましいが、ブリードアウトが生じにくい点では少ない方が好ましい。具体的には、75重量以下であるのが好ましく、70重量%以下であるのが更に好ましく、65重量%以下であるのが特に好ましい。なお、ゴム用軟化剤は、ゴム成分の流動性が十分であれば使用しない方が良いので、下限は0重量%である。
ゴム成分以外の熱可塑性エラストマーは、ポリプロピレン・エチレン−プロピレン−ジエンゴムの溶融混合物や、ポリエステル・スチレン系ブロック共重合体の溶融混合物等のポリマーブレンド物が挙げられる。
(a)層中のポリ乳酸系樹脂と熱可塑性エラストマーの割合は、ポリ乳酸系樹脂と熱可塑性エラストマーの合計量を100重量%に対し、ポリ乳酸系樹脂が25〜80重量%であり、熱可塑性エラストマーが20〜75重量%である。ここで、低環境負荷という点ではポリ乳酸系樹脂が多い方が好ましく、柔軟性の点では熱可塑性エラストマーが多い方が好ましい。具体的には、ポリ乳酸系樹脂が25重量%以上であるのが好ましく、30重量%以上であるのが更に好ましく、また、一方、80重量%以下であるのが好ましく、65重量%以下であるのが更に好ましい。そして、熱可塑性エラストマーが20重量%以上であるのが好ましく、35重量%以上であるのが更に好ましく、また、一方、75重量%以下であるのが好ましく、70重量%以下であるのが更に好ましい。
(a)層には、本発明の効果を著しく妨げなければ、ポリ乳酸系樹脂と熱可塑性エラストマー以外の樹脂や成分が含まれていてもよい。
必須成分以外の樹脂としては、上述の必須成分以外の樹脂やエラストマー等が挙げられる。具体的には、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体等のエチレン・α−オレフィン共重合体;ポリエチレン、ポリブテン−1等のポリオレフィン樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ナイロン66、ナイロン11等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂及びポリメチルメタクリレート系樹脂等を挙げることができる。
その他任意成分としては、各種の熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、結晶核剤、衝撃改良剤、顔料、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、充填剤等が挙げられる。
熱安定剤及び酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物等が挙げられる。難燃剤には、ハロゲン系難燃剤及び非ハロゲン系難燃剤に大別されるが、環境に配慮した場合、非ハロゲン系難燃剤が好ましい。非ハロゲン系難燃剤としては、リン系難燃剤、水和金属化合物(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム)難燃剤、窒素含有化合物(メラミン系、グアニジン系)難燃剤及び無機系化合物(硼酸塩、モリブデン化合物)難燃剤等が挙げられる。結晶核剤は、有機結晶核剤と無機結晶核剤に大別される。有機結晶核剤としては、ソルビトール化合物及びその金属塩;安息香酸及びその金属塩;燐酸エステル金属塩;ロジン化合物;エチレンビスオレイン酸アミド、メチレンビスアクリル酸アミド、エチレンビスアクリル酸アミド、ヘキサメチレンビス−9,10−ジヒドロキシステアリン酸ビスアミド、p−キシリレンビス−9,10−ジヒドロキシステアリン酸アミド、デカンジカルボン酸ジベンゾイルヒドラジド、ヘキサンジカルボン酸ジベンゾイルヒドラジド、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジアニリド、N,N‘,N“−トリシクロヘキシルトリメシン酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアニリド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド、N,N’−ジベンゾイル−1,4−ジアミノシクロヘキサン、N,N‘−ジシクロヘキサンカルボニル−1,5−ジアミノナフタレン、エチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビス(12−ヒドロキシステアリン酸)アミド、オクタンジカルボン酸ジベンゾイルヒドラジド等アミド化合物等が挙げられる。また、無機結晶核剤としては、タルク、カオリン等が挙げられる。充填剤は、有機充填剤と無機充填剤に大別される。有機充填剤としては、澱粉、セルロース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然由来のポリマーやこれらの変性品等が挙げられる。また、無機充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、炭素繊維等が挙げられる。
なお、これら任意の樹脂や成分は、1種類のみを用いても、2種類以上を併用しても良い。また、これらの樹脂や成分を必須成分と混合する方法についても特に限定されない。
(a)層にこれらの任意の樹脂や成分が含まれている場合の(a)層中のポリ乳酸系樹脂と熱可塑性エラストマーの合計量は、本発明の優れた効果の発現のしやすさ等から、50重量%以上であるのが好ましく、70重量%以上であるのが更に好ましく、80重量%以上であるのが特に好ましく、90重量%以上であるのが最も好ましい。なお、ここでの上限は、100重量%である。
<(b)層:ポリオレフィン系樹脂組成物からなる層>
本発明の積層体を構成する(b)層は、ポリオレフィン系樹脂組成物からなる層である。
ポリオレフィン系樹脂組成物からなる層は、ポリオレフィン系樹脂を通常50重量%以上、更に好ましくは55重量%以上、特に好ましくは65重量%以上含んでいる。なお、ここでの上限は、100重量%である。
ポリオレフィン系樹脂は、炭素数2〜20脂肪族α−ポリオレフィン及び/又は芳香族ポリオレフィンの単独重合体及び/又は炭素数2〜20脂肪族α−ポリオレフィン及び/又は芳香族ポリオレフィンを主原料とする共重合体である。ここで、主原料とするとは、原料モノマー中の通常50モル%以上、好ましくは60モル%以上、更に好ましくは、70モル%以上が炭素数2〜20脂肪族α−ポリオレフィン及び/又は芳香族ポリオレフィンであることをいう。
炭素数2〜20脂肪族α−オレフィン及び/又は芳香族オレフィンの炭素数は、柔軟性の点では多い方が好ましいが、耐熱性の点では少ない方が好ましい。具体的には、炭素数が2以上であるのが好ましく、3以上であるのが更に好ましく、また、一方、10以下であるのが好ましく、8以下であるのが更に好ましい。これらのポリオレフィンは、1種類のみでも2種類以上を用いてもよい。
すなわち、ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン及びスチレンの単独重合体又は共重合体などを好ましく用いることができる。
ポリオレフィン系樹脂の密度は、耐熱性の点では高い方が好ましいが、柔軟性の点では低い方が好ましい。具体的には、通常0.8g・cm3以上であり、好ましくは0.85g・cm3以上であり、また、一方、通常1.5g・cm3以下であり、好ましくは1.2g・cm3以下であり、更に好ましくは1.1g・cm3以下であるのが良い。
このようなポリオレフィン系樹脂は、従来公知の各種製法によって得ることができ、例えば、チタン系触媒、バナジウム系触媒、メタロセン触媒などを用いた重合により得ることができる。
ポリオレフィン系樹脂の構造は、アイソタクチック、シンジオタクチックのどちらでもよく、立体規則性についても特に制限はない。
これらの市販のポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレンとしては、日本ポリエチレン株式会社製「ノバテックHD」、「ノバテックLD」、「ノバテックLL」及び「カーネル」、三井化学株式会社製「タフマーA」及び「タフマーP」、旭化成株式会社製「サンテックHD」及び「サンテックLD」、株式会社プライムポリマー製「ウルトゼックス」、「ハイゼックス」、「エボリュー」、及び「モアテック」、宇部興産株式会社製「UBEポリエチレン」及び「UMERIT」、日本ユニカー株式会社製「NUCポリエチレン」及び「ナックフレックス」、ダウ・ケミカル株式会社製「Engage」などが挙げられる。また、ポリプロピレンとしては、日本ポリプロ株式会社製「ノバテックPP」、「WINTEC」及び「WELNEX」、三井化学株式会社製「タフマーXR」及び「三井ポリプロ」、住友化学株式会社製「住友ノープレン」、「タフセレン」及び「エクセレンEPX」、株式会社プライムポリマー製「プライムポリプロ」及び「プライムTPO」、サンアロマー株式会社製「Adflex」及び「Adsyle」などが挙げられる。なお、これらのポリオレフィン系樹脂は、1種類のみでも2種類以上を用いてもよい。
(b)層に含まれていてもよいポリオレフィン系樹脂以外の樹脂や成分としては、以下のものが挙げられる。
必須成分以外の樹脂としては、上述の必須成分以外の樹脂やエラストマー等が挙げられる。具体的には、例えば、スチレン・ブタジエン共重合体ゴム、スチレン・イソプレン共重合体ゴム等のスチレン系エラストマー;メチルメタアクリレート・ブチルアクリレート共重合ゴム等のアクリル系エラストマー;ポリアミド・ポリオール共重合体等のポリアミド系エラストマー;ナイロン66、ナイロン11等のポリアミド系樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレンホモポリマー、ポリオキシメチレンコポリマー等のポリオキシメチレン系樹脂及びポリメチルメタクリレート系樹脂等を挙げることができる。
その他任意成分としては、上述の(a)層と同様の成分が挙げられる。なお、これら任意の樹脂や成分は、1種類の成分のみが含まれていても、2種類以上の成分が任意の組み合わせ及び比率で含まれていてもよい。また、これらの樹脂や成分を必須成分と混合する方法についても特に限定されない。
<本発明の積層体の作製方法>
(a)層及び(b)層の作製方法については、特に制限は無い。(a)層及び(b)層の原料等は、通常、同時に又は任意の順序で溶融混合することにより、各成分が均一に分布した組成物を成形する。具体的には、例えば、本発明の樹脂組成物に含まれる各成分を任意の順序で混合してから加熱しても良いし、全成分を溶融させながら混合しても良いし、各成分の混合物を成形時に溶融混合してもよい。混合条件は、各成分が均一に混合されれば特に制限は無いが、生産性の観点から、単軸押出機や2軸押出機のような連続混練機又はミルロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等のバッチ式混練機等の公知の溶融混練方法を用いるのが好ましい。溶融混合時の温度は、原料成分等が溶融状態となる温度であれば構わないが、通常170〜280℃で行う。
本発明の積層体の作製方法については、特に制限は無い。各々成形しておいた(a)層及び(b)層を積層してもよいし、どちらか一方の層を予め成形しておき、これに他層を積層してもよいし、(a)層及び(b)層を同時に成形しながら積層体としてもよい。具体的には、例えば、単軸又は二軸の押出機を用いた多層の共押出成形、予め成形しておいた層に溶融樹脂を射出する二色成形、ラミネート成形、多層インフレーション成形等が挙げられる。成形温度は、未溶融物の表面析出等による外観不良が起こり難いことから、溶融樹脂中に含まれる各成分の中で最も融点が高い成分の融点より高温であることが好ましく、最も融点が高い成分の融点より10℃以上高いのが更に好ましいが、一方、含有成分の熱分解による変色や物性低下が起こりにくい点では、低い方が好ましい。具体的には、成形温度は、180℃以上であるのが好ましく、190℃以上であるのが更に好ましく、また、一方、280℃以下であるのが好ましく、260℃以下であるのが更に好ましい。
<積層体の形状>
本発明の積層体は、上述の(a)層と(b)層を有する積層体であれば、どのような形状でも構わないが、特に、以下の形状を有するものが好ましい。本発明の積層体における(a)層の厚みは、植物を原料としたポリ乳酸系樹脂を含むため、環境適応性の観点から厚い方が好ましいが、ガスバリア性や機械的強度の点では薄い方が好ましい。具体的には、特に、(a)層の厚みが、本発明の積層体の厚みに対して10%以上であるのが好ましく、20%以上であるのが更に好ましく、また、一方、90%以下であるのが好ましく、80%以下であるのが更に好ましい。
<本発明の積層体の物性>
(1)ヤング率
本発明の積層体は、JIS規格K6251に従って測定したヤング率が低く、柔軟性が高い。ヤング率は、具体的には、積層体を3号ダンベルの試験片に打ち抜き、これをオートグラフにより10mm/minの速度で引っ張り、0〜0.5mm変位における引張り応力から算出する。ここで、本発明の積層体のうち、特に好ましいもののヤング率は、200MPa以下である。
(2)接着強度
本発明の積層体における(a)層と(b)層は、非常に強く接着している。積層体の接着強度は、以下の方法により測定することができ、本発明の積層体のうち、特に好ましいものの接着強度は、35N/15mmである。接着強度は、積層体を積層時の引き取り方向(以下、MDと略記する場合がある)に150mm、その垂直方向(以下、TDと略記する場合がある)に15mmの大きさに切断し、片側のTD端面の(a)層と(b)層を一部剥離させ、両層を引っ張り試験機のチャックにそれぞれ挟み、MD方向に対して、試験速度30mm/minで180度剥離試験を行うことにより評価できる。ここで、剥離試験で得られる荷重が安定した値を示す領域における5点の平均値を層間剥離強度とする。なお、接着強度が非常に強く、剥離させることが出来なかったものについては、剥離不可として評価する。但し、この測定方法で、剥離強度は50N/15mmまで計測できていることから、この方法で剥離不可と評価されるものの接着強度は、50N/15mm超であるといえる。
(3)折り皺の発生し難さ
本発明の積層体は、(a)層と(b)層の曲げ弾性率の差が少なく、接着強度が高いために、変形による皺が発生し難い。なお、変形による皺の生じやすさは、本発明の積層体をTD方向に90度変形させた際に、表面に皺が発生するか否かで評価することができる。
(4)メヤニの発生し難さ
本発明の積層体は、溶融状態における金属摩擦性が低いために、メヤニが発生しにくい。なお、メヤニの発生し難さは、成形開始から30分経過した時点において、成形品表面に、ダイリップ部に付着しているメヤニによる筋が発生しないか否かで評価を行った。
<その他の層>
本発明の積層体は、本発明の優れた効果を著しく損なわなければ、(a)層及び(b)層以外の層を有していてもよい。その他の層としては、例えば、ナイロン層等のように酸素バリア性を有する層や表面平滑性を付与するためのコーティング層などが挙げられる。
<本発明の積層体の用途>
本発明の積層体は、環境適応性の高いポリ乳酸系樹脂組成物層を有する積層体でありながら、柔軟性、靭性、ガスバリア性、耐ピンホール性に優れ、層間剥離や折れ皺が生じ難く、接着層フリーとできることから、各種包装材、容器などの幅広い用途に好適に用いることができると考えられる。これらの内、包装体、特に食品包装等の幅広い温度領域での使用が想定される包装体に非常に好適である。
以下に本発明の積層体の用途及び利用分野の例を挙げる。包装用ストレッチフィルム、業務用又は家庭用ラップフィルム、パレットストレッチフィルム、ストレッチラベル、シュリンクフィルム、シュリンクラベル、シーラント用フィルム、レトルト用フィルム、レトルト用シーラントフィルム、熱溶着フィルム、熱接着フィルム、熱封緘用フィルム、バッグ・イン・ボックス用シーラントフィルム、レトルトパウチ、スタンディングパウチ、スパウトパウチ、ラミネートチューブ、重袋、繊維包装フィルム等の食品並びに雑貨等包装分野;ハウス用フィルム、マルチフィルム等の農業用フィルム分野;輸液バッグ、高カロリー輸液や腹膜透析用(CAPD)等の複室容器、腹膜透析用の排液バッグ、血液バッグ、尿バッグ、手術用バッグ、アイス枕、アンプルケース、PTP包装等の医療用フィルム並びにシート分野;土木遮水シート、止水材、目地材、床材、ルーフィング、化粧フィルム、表皮フィルム、壁紙等の建材関連分野;レザー、天井材、トランクルーム内張、内装表皮材、制震シート、遮音シート等の自動車部品分野;ディスプレーカバー、バッテリーケース、マウスパッド、携帯電話ケース、ICカード入れ、CD−ROMケース等の弱電分野;ハブラシケース、パフケース、化粧品ケース、目薬等医薬品ケース、ティッシュケース、フェイスパック等のトイレタリー及びサニタリー分野;文具用フィルム・シート、クリアファイル、ペンケース、手帳カバー、デスクマット、キーボードカバー、ブックカバー、バインダー等の事務用品関連分野;家具用レザー、ビーチボール等の玩具、傘、レインコート等の雨具、テーブルクロス、ブリスターパッケージ、風呂蓋、タオルケース、ファンシーケース、タグケース、ポーチ、お守り袋、保険証カバー、通帳ケース、パスポートケース、刃物ケース等の一般家庭用並びに雑貨分野;再帰反射シート及び合成紙等が挙げられる。
これらのうち、特に基材に粘着材が塗布された粘着性フィルム・シート分野については、粘着テープ、マーキングフィルム、半導体又はガラス用ダイシングフィルム、表面保護フィルム、鋼鈑及び合板保護フィルム、自動車保護フィルム、包装及び結束用粘着テープ、事務及び家庭用粘着テープ、接合用粘着テープ、塗装マスキング用粘着テープ、表面保護用粘着テープ、シーリング用粘着テープ、防食及び防水用粘着テープ、電気絶縁用粘着テープ、電子機器用粘着テープ、貼布フィルム、バンソウコウ基材フィルム等の医療及び衛生材用粘着テープ、識別及び装飾用粘着テープ、表示用テープ、包装用テープ、サージカルテープ、ラベル用粘着テープ等が挙げられる。
また、特に、射出成形及び押出成形品については、電線、コード類、ワイヤーハーネス等の被覆材料、絶縁シート等の電気及び電子部品;コントロールケーブル被覆材、エアーバッグ・カバー、マッドガード、バンパー、ウェザーストリップ、グラスランチャンネル、グロメット、制震部材、遮音部材、ブーツ、エアホース等の自動車部品;カテーテル、シリンジ、シリンジガスケット、点滴筒、チューブ、ポート、キャップ、ゴム栓、ディスポーザブル容器等の医療用部品;レザー調物品、咬合具、ソフトな触感の人形等の玩具、ペングリップ、ハブラシ柄等の一般雑貨;ランプパッキン、足ゴム、家電、弱電分野におけるパッキン等の固定用部材;OA機器用各種ロール類;ホース、チューブ等の管状成形体;タッパーウェア等の容器類;輸液ボトル、食品用ボトル、化粧品用等のパーソナルケア用等の各種ボトルが挙げられる。
また、発泡成形による用途も可能である。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
本発明の実施例及び比較例では、以下の原料を用いた。
(1)ポリ乳酸樹脂
1−1)三井化学株式会社製ポリ乳酸樹脂「LACEA H−100」。ポリ乳酸樹脂の純度100%。重量平均分子量のカタログ値は15万。190℃、2.16kg荷重(kgf)で測定したMFRは8g/10min。JIS規格K7210の試験条件4に従い、230℃、2.16kg荷重(kgf)で測定したMFRは50g/10min。非架橋。
1−2)浙江海正生物材料股悒有限公司製ポリ乳酸樹脂「REVODE101」。ポリ乳酸樹脂の純度100%。重量平均分子量のカタログ値は17万。190℃、2.16kg荷重(kgf)で測定したMFRは5g/10min。JIS規格K7210の試験条件4に従い、230℃、2.16kg荷重(kgf)で測定したMFRは20g/10min。非架橋。
(2)スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン水添ブロック共重合体
2−1)シェル・ケミカル株式会社社製スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン水添ブロック共重合体「KRATON G−1650」。JIS規格K6253に従って測定したデュロA硬度が78。重量平均分子量のカタログ値は9万。スチレン含量29重量%。
2−2)シェル・ケミカル株式会社製スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン水添ブロック共重合体「KRATON G−1651H」。JIS規格K6253に従って測定したデュロA硬度が82。重量平均分子量のカタログ値は21万。チレン含量33重量%。
(3)炭化水素系ゴム用軟化剤
出光興産株式会社製パラフィン系プロセスオイル「PW−90」。
(4)ポリオレフィン系樹脂
4−1)日本ポリエチレン株式会社製エチレン−αオレフィン共重合体「カーネルKS240T」。密度0.880g・cm-3
4−2)日本ポリエチレン株式会社製ポリエチレン「ノバテックC6 SF240」。密度0.920g・cm-3
(5)架橋助剤
東亞合成株式会社製グリシジルメタクリレート−スチレン−メタクリル酸メチル共重合体「ARFON UG4040」
(6)添加剤
6−1)チバジャパン株式会社製フェノール系酸化防止剤「イルガノックス1010」。
6−2)株式会社ADEKA製イオウ系酸化防止剤「アデカスタブAO−412S」。
(7)接着性樹脂
日油株式会社製 エチレン−酢酸ビニル共重合体と変性ポリメタクリル酸メチルのグラフト共重合体「モディパーA4300」。
(製造例1)
ポリ乳酸樹脂(1−1)100重量部に、架橋助剤3重量部、添加剤(6−1)0.2重量部及び添加剤(6−2)0.2重量部を加えた混合物を、二軸押出機(株式会社池貝製二軸押出機「PCM−30」。口径30mm。L/D30)を用いて、加工温度200℃で溶融混練し、吐出された樹脂組成物を角状ペレットに切断し、スピードドライヤーを用いて、窒素雰囲気下で60℃で12時間乾燥させて、架橋されたポリ乳酸樹脂のペレットを得た。得られたペレットについて、JIS規格K7210の試験条件4に従い、230℃、2.16kg荷重(kgf)で測定したMFRは、0.4g/10minであった。
(製造例2)
スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン水添ブロック共重合体「KRATON G−1650」(2−1)100重量部と炭化水素系ゴム用軟化剤100重量部をヘンシェルミキサーを用いて混合した。この混合物の210℃、剪断速度6.08E+02sec-1における溶融粘度を測定したところ、8.2E+01Pa・sであった。
(製造例3)
スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン水添ブロック共重合体「KRATON G−1651H」(2−2)100重量部と炭化水素系ゴム用軟化剤100重量部をヘンシェルミキサーを用いて混合した。この混合物の210℃、剪断速度6.08E+02sec-1における溶融粘度を測定したところ、3.2E+02Pa・sであった。
[実施例1]
製造例1で得たペレット35重量部、製造例2で得た組成物60重量部及びエチレン−αオレフィン共重合体「カーネルKS240T」ポリオレフィン系樹脂(4−1)5重量部からなる樹脂組成物100重量部に対して、フェノール系酸化防止剤「イルガノックス1010」(6−1)0.2重量部をヘンシェルミキサーで1分間混合した後、二軸押出機を用いて加工温度200℃で溶融混練し、得られたストランドを角状ペレットに切断し、スピードドライヤーを用いて、窒素雰囲気下60℃で12時間乾燥させて、ペレットを得た。このペレットを(a)層、ポリエチレン「ノバテックC6 SF240」(4−2)を(b)層として、(a)層及び(b)層の厚みが各々1.5mmとなるように、二機の単軸押出機と二種二層ダイスを用いて、押出機のシリンダー設定温度190℃で共押出成形を行い、50℃のキャストロールにこれを引き取り、冷却固化させ、長さ200×幅3cm×厚さ3mmの積層体を得た。
[実施例2]
実施例1の原料比を、製造例1で得たペレット50重量部、製造例2で得た組成物46重量部、ポリオレフィン系樹脂4重量部からなる樹脂組成物100重量部に対して、「イルガノックス1010」0.2重量部とした以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
[実施例3]
実施例2で、製造例1で得たペレットの代わりにポリ乳酸樹脂(1−2)を用いた以外は、実施例2と同様にして、積層体を得た。
[比較例1]
実施例3で、製造例2で得た組成物の代わりに製造例3で得た組成物を用いた以外は、実施例3と同様にして、積層体を得た。
[比較例2]
実施例1で、(a)層の代わりにポリ乳酸樹脂(1−2)の層を用い、(b)層の代わりに接着性樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
[比較例3]
実施例1で、(a)層の代わりにポリ乳酸樹脂(1−2)の層を用い、(b)層としてポリオレフィン系樹脂(4−1)を用いた以外は、実施例1と同様にして、積層体を得た。
実施例及び比較例で得られた各積層体について、以下の条件で、ヤング率、接着強度、折り皺及びメヤニの発生しやすさを評価した。これらの結果を表1に示す。
(1)ヤング率
JIS規格K6251に従って測定した。具体的には、積層体を3号ダンベルの試験片に打ち抜き、これをオートグラフにより10mm/minの速度で引っ張り、0〜0.5mm変位における引張り応力から、積層体のヤング率を算出した。
(2)接着強度
積層体を、実施例での積層体の引き取り方向(以下、MDと略記する場合がある)に150mm、その垂直方向(以下、TDと略記する場合がある)に15mmの大きさに切断した。片側のTD端面の(a)層と(b)層を一部剥離させ、両層を引っ張り試験機のチャックにそれぞれ挟み、MD方向に対して、試験速度30mm/minで180度剥離試験を行った。剥離試験で得られる荷重が安定した値を示す領域における5点の平均値を層間剥離強度とした。また、接着強度が非常に強く、剥離させることが出来なかったものについては、剥離不可として評価した。なお、この測定方法で、比較例2の剥離強度が50N/15mmであったことから、本願実施例で剥離不可と評価されたものの接着強度は、50N/15mm超であるといえる。
(3)折り皺の発生し難さ
積層体をTD方向に90度変形させた際に、表面に皺が発生しないものを皺なし(○)、発生するものを皺あり(×)とした。
(4)メヤニの発生し難さ
積層体を成形し始めてから30分経過した時点におけるダイリップ部を観察し、成形品表面に、付着したメヤニによる筋が発生したものを×とし、発生しなかったものを○とした。
また、ポリ乳酸樹脂のMFR及び(a)層に含まれる熱可塑性エラストマーの溶融粘度とデュロA硬度は、各々以下のようにして測定した。
(5)MFR
ポリ乳酸樹脂の190℃、2.16kg荷重(kgf)におけるMFRは、JIS規格K7210の試験条件4に従って測定した。また、230℃、2.16kg荷重(kgf)におけるMFRも同様に測定した。
(6)溶融粘度
(a)層に含まれる熱可塑性エラストマーの溶融粘度は、東洋精機製作所株式会社製のキャピログラフ型式1D(キャピラリー長:10mm,キャピラリー半径:1mm)を用い、バレル温度210℃、ピストン押出速度50mm/minにおける溶融粘度を測定した。
(7)デュロA硬度
(a)層に含まれる熱可塑性エラストマーのデュロA硬度は、積層体の(a)層を上面として、JIS規格K6253に従って測定した。
これらの結果を表1に纏める。この実施例と比較例との対比から、以下の点が明らかとなった。
ポリ乳酸系樹脂組成物層からなる層に本発明に係る熱可塑性エラストマーが含有されている実施例3と熱可塑性エラストマーが含有されていない比較例3とを比較すると、本発明の積層体の層間接着強度が非常に強く、柔軟性も高く、折り皺も発生していないことがわかった。
ポリ乳酸系樹脂組成物からなる層に本発明に係る熱可塑性エラストマーが含有されている実施例3と本発明に係る熱可塑性エラストマーより溶融粘度が高い熱可塑性エラストマーを含有している比較例1とを比較すると、実施例3が接着強度に非常に優れている上に、折り皺及びメヤニも発生し難いことがわかった。また、実施例3と比較例1は、実施例3の方がヤング率も低く、熱可塑性エラストマーに含まれるブロック共重合体のデュロA硬度が同程度(実施例3は78、比較例1は82)でありながら、(a)層に含まれる熱可塑性エラストマーのデュロA硬度も低く、柔軟であることもわかった。
比較例2は、特許文献3記載の技術と同様に、オレフィン系樹脂セグメントとアクリル単量体からなるセグメントを有する共重合体からなる樹脂組成物の接着層を用いた積層体である。この比較例2と実施例1〜3との比較から、本発明の積層体の層間接着強度が、接着層を用いていないにも関わらず、この接着層を用いた場合よりも遥かに強いことがわかった。また、この接着層を用いると生じてしまう折れ皺も、本願実施例には見られなかった。
また、実施例2と3を比較すると、架橋されたポリ乳酸樹脂を用いた実施例2は、非架橋のポリ乳酸樹脂を用いた実施例3より柔軟でありながら、実施例3同様の強固な接着力を示すことがわかった。
以上の結果より、本発明の積層体は、環境適応性の高いポリ乳酸系樹脂組成物層を用いていながら、これがガスバリア性及び耐ピンホール性に優れた樹脂層と接着層フリーで強固に接着しており、柔軟性に優れ、靭性、折れ皺、ブロッキング及びメヤニが発生し難いことが明らかとなった。
Figure 2011083970

Claims (6)

  1. 以下の(a)層及び(b)層を有することを特徴とする積層体。
    (a)層:ポリ乳酸系樹脂と熱可塑性エラストマーを含む樹脂組成物からなる層であって、前記ポリ乳酸系樹脂と前記熱可塑性エラストマーの合計量に対し、前記ポリ乳酸系樹脂を25〜80重量部、前記熱可塑性エラストマーを20〜75重量部含有し、前記熱可塑性エラストマーの210℃、剪断速度6.08E+02sec-1における溶融粘度が5.0E+00〜3.0E+02Pa・sである層
    (b)層:ポリオレフィン系樹脂組成物からなる層
  2. 請求項1記載の積層体であって、前記熱可塑性エラストマー中に、25℃においてゴム弾性を有し、JIS規格K6253に従って測定したデュロA硬度が2以上95以下である樹脂が20〜100重量%含有されていることを特徴とする積層体。
  3. 請求項1又は2記載の積層体であって、前記ポリ乳酸系樹脂のJIS規格K7210に従って測定した230℃、2.16kgfにおけるメルトマスフローレートが0.1〜10g/10minであることを特徴とする積層体。
  4. 請求項1乃至3の何れかに記載の積層体であって、前記熱可塑性エラストマーがビニル芳香族炭化水素単位からなる重合体ブロックと共役ジエン単位からなる重合体ブロックとを有するブロック共重合体であることを特徴とする積層体。
  5. 請求項1乃至3の何れかに記載の積層体であって、前記ポリ乳酸系樹脂が架橋ポリ乳酸であることを特徴とする積層体。
  6. 請求項1乃至5の何れかに記載の積層体からなる包装用成形体。
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