以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図15は、本実施の形態による硬貨処理装置およびこの硬貨処理装置を備えた貨幣処理システムを示す図である。
まず、図1を用いて本実施の形態による硬貨処理装置を備えた貨幣処理システムの全体構成について説明する。図1に示すように、本実施の形態による貨幣処理システム10は略直方体形状の筐体12を有しており、当該貨幣処理システム10において紙幣処理装置100および硬貨処理装置200が並列に配設されている。より詳細には、本実施の形態による貨幣処理システム10を正面側から見て左側に紙幣処理装置100が配置されているとともに右側に硬貨処理装置200が配置されている。ここで、紙幣処理装置100は、紙幣の入出金処理等を行う紙幣入出金装置であり、硬貨処理装置200は、硬貨の入出金処理等を行う硬貨入出金装置である。
図1に示すように、紙幣処理装置100の前面には上方から順に紙幣入金口102および紙幣出金口104が設けられている。また、紙幣処理装置100の前面において紙幣出金口104の下方には紙幣収納カセット110が貨幣処理システム10の筐体12に対して着脱自在に設置されている。このような紙幣収納カセット110は紙幣処理装置100の高さ方向における中間位置に配置されている。また、紙幣処理装置100の前面において紙幣収納カセット110の更に下方には出金リジェクト部114が設けられている。
また、図1に示すように、硬貨処理装置200の前面上部には硬貨入金口202が設けられており、この硬貨処理装置200の前面中段には硬貨出金ボックス236が貨幣処理システム10の筐体12に対して着脱自在に設置されている。ここで、紙幣処理装置100の機体内に紙幣を投入するための紙幣入金口102と、硬貨処理装置200の機体内に硬貨を投入するための硬貨入金口202とが、貨幣処理システム10の高さ方向における略同一位置に配置されている。
また、図1に示すように、貨幣処理システム10の上面前方の両端部にはそれぞれ第1の占有ボタン14および第2の占有ボタン16が設けられている。銀行等の金融機関において、図1に示す貨幣処理システム10が窓口の2人のテラーの間に配置され、2人のテラーにより貨幣処理システム10の双頭運用が行われる場合には、各テラーは対応する占有ボタン14、16を押下することにより、貨幣処理システム10の占有を行うことができるようになる。
本実施の形態の貨幣処理システム10においては、紙幣処理装置100の機体から着脱自在となっている紙幣収納カセット110、および硬貨処理装置200の機体から着脱自在となっている硬貨回収カセット237(後述)は、個別に取り出し可能となっている。具体的には、紙幣処理装置100の機体から紙幣収納カセット110を引き出した後、硬貨処理装置200の機体から硬貨回収カセット237を引き出すような構造となっている。
次に、本実施の形態による硬貨処理装置200の構成について図2乃至図5等を用いて説明する。図2は、図1に示す貨幣処理システム10における硬貨処理装置200の内部構成を示す構成図であり、図3は、図2に示す硬貨処理装置200における硬貨搬送部220の上面図である。また、図4は、図3に示す硬貨搬送部220における収納分岐部241および硬貨収納機構242の拡大上面図であり、図5は、図3に示す硬貨搬送部220における収納分岐部241および硬貨収納機構242の縦断面図である。なお、図5において、硬貨収納機構242の硬貨収納部247に収納された硬貨を参照符号Cで示している。また、図2における硬貨処理装置200の左側面部は当該硬貨処理装置200の正面側となっており、図2における右方向が硬貨処理装置200の奥行き方向となっている。
図2および図3に示すように、硬貨入金口202の下部には硬貨繰出ベルト204および逆転ローラ205が設けられており、操作者により硬貨入金口202に投入された硬貨は硬貨繰出ベルト204により硬貨処理装置200の奥方に繰り出され、この際に硬貨繰出ベルト204と逆転ローラ205との間の隙間を通ることにより、硬貨繰出ベルト204により搬送される硬貨は1枚ずつに分離されるようになる。硬貨処理装置200の機体内において硬貨繰出ベルト204の奥方には硬貨搬送部220が設けられており、硬貨繰出ベルト204から硬貨搬送部220に硬貨が1枚ずつ受け渡され、この硬貨搬送部220により硬貨が更に搬送されるようになっている。
硬貨搬送部220は、硬貨処理装置200の奥行き方向に沿って延びる搬送通路214を通るよう、硬貨を1枚ずつ搬送するようになっている。より詳細には、硬貨搬送部220は、循環移動を行う無端状の搬送ベルト221を有しており、この搬送ベルト221は、搬送通路214の前端および後端にそれぞれ水平方向に回転可能に軸支されたプーリ222によって張設されている(なお、図3では、搬送通路214の前端に設けられたプーリ222のみを図示しており、搬送通路214の後端に設けられたプーリ222の図示は省略している)。搬送ベルト221には内周側に歯を有するタイミングベルトが用いられ、プーリ222にも外周に歯を有するタイミングプーリが用いられている。また、搬送ベルト221の内周側には溝部が設けられ、プーリ222の外周には搬送ベルト221の溝部に係合する突起部が設けられており、プーリ222によって搬送ベルト221の高さ方向の位置が規制され、搬送ベルト221と搬送通路214の硬貨搬送面216(図5参照、図3では図示せず)との間隔が、処理されるべき硬貨のうちの最大厚み硬貨の厚みよりも少し広い寸法に保たれている。
搬送ベルト221には、当該搬送ベルト221の下面から下方に向かって突出し、搬送通路214内の硬貨を1枚ずつ押動搬送する複数のピン223(図4および図5参照)が搬送ベルト221の長手方向に沿って所定の間隔毎に設けられている。複数のピン223の間隔は、搬送方向前後のピン223間に硬貨を1枚ずつ受け入れて搬送可能とする寸法とされている。ピン223と搬送通路214の硬貨搬送面216との間には、処理されるべき硬貨のうちの最小厚み硬貨の厚みよりも小さい寸法の間隙が空けられている。
このような硬貨搬送部220において、複数のプーリ222のうちある一つのプーリ222が駆動モータ(図示せず)によって正逆回転駆動される。そして、このような駆動モータによるプーリ222の駆動によって、搬送通路214上の搬送ベルト221が、搬送通路214の前側から後側方向へ向けた入金搬送方向F1、および搬送通路214の後側から前側方向へ向けた出金搬送方向F2にそれぞれ循環移動させられる。また、プーリ222の軸には、このプーリ222の回転位置を検知する検知センサが設けられており、この検知センサの検知に基づいて搬送通路214上における搬送ベルト221の位置および各ピン223の位置を検知することができるようになっている。
また、図2および図3に示すように、硬貨搬送部220には、搬送通路214を通って搬送される硬貨の金種、真偽、正損、表裏等の識別を行う識別部225が設けられている。
また、硬貨処理装置200の奥行き方向において、硬貨搬送部220の搬送通路214における識別部225の奥側には、当該識別部225による識別結果に基づいて硬貨を金種別に分岐させる金種別の収納分岐部241が配設されている。さらに、搬送通路214の一側部には、各収納分岐部241に対応して金種別に硬貨を収納する硬貨収納機構242が配設されている。
収納分岐部241は、搬送通路214の硬貨搬送面216(図5参照)から上方に突出可能な振分ゲート245を有しており、この振分ゲート245は、ソレノイド等の駆動手段により、入金搬送方向F1の下流側の水平な軸を中心として入金搬送方向F1の上流側が上下に移動し、このことにより搬送通路214の硬貨搬送面216から上方に突出することができるようになっている。ここで、振分ゲート245は、通常時は搬送通路214の硬貨搬送面216の下方に退避し、この振分ゲート245上を硬貨が通過するようになっているが、搬送ベルト221により搬送される硬貨のうち、識別部225で該当金種と識別された硬貨が搬送されてくる所定のタイミングで、振分ゲート245の入金搬送方向F1の上流側が搬送通路214の硬貨搬送面216から上方に突出し、この振分ゲート245により該当金種の硬貨が当該振分ゲート245に対応する硬貨収納機構242へ向けて案内される。また、硬貨収納機構242から搬送通路214に硬貨を繰り出す際にも、振分ゲート245が搬送通路214の硬貨搬送面216から上方に突出した状態で、硬貨収納機構242から繰り出された硬貨を搬送通路214内に案内するようになる。なお、図4に示すように、硬貨処理装置200の奥行き方向における最も奥側にある搬送通路214の端部には振分ゲート245ではなく案内部材246が設けられており、搬送通路214から最も奥側にある硬貨収納機構242の収納筒248へはこの案内部材246により硬貨が案内されるようになっている。
硬貨収納機構242は、搬送通路214から硬貨を受け入れて収納するとともに、収納している硬貨を搬送通路214に繰り出すものである。硬貨収納機構242は、上下方向(鉛直方向)を集積方向として硬貨を積層状態で収納する硬貨収納部247を構成する収納筒248、および搬送通路214および収納筒248の両方に跨がった状態でそれらの上方に配置される押動部材249を備えている(図5参照)。収納筒248の上端は開口されており、この上端の開口から硬貨の収納および繰出が行われるようになっている。
図2乃至図4に示すように、硬貨処理装置200の奥行き方向に沿って6つの硬貨収納機構242が設けられており、これらの6つの硬貨収納機構242は、硬貨処理装置200の手前側から順に(すなわち、図2における左側から順に)、1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨および500円硬貨をそれぞれ収納するようになっている。
図4および図5に示すように、搬送通路214の一側方に収納筒248の上端が配置されており、搬送通路214と収納筒248の上端との間にはこれらの搬送通路214と収納筒248の上端との間で硬貨を案内する案内通路250が形成されている。図4に示すように、案内通路250は、搬送通路214から収納筒248の上端へ向けて湾曲した形状となっている。さらに、案内通路250の上方には、押動部材249の一部が配置されている。
押動部材249は、収納筒248の集積方向と平行な回転軸255を中心に水平方向に回転する回転板256を有している。この回転板256の下面周辺部には、3つの突起257が周方向に等間隔で設けられている。回転板256の回転軸255の上端は駆動モータ258(図2参照)に連結されており、この駆動モータ258によって回転板256が回転可能に支持されている。
回転板256の下面と搬送通路214の硬貨搬送面216との間には硬貨の1枚分の厚みより大きく2枚分の厚みより小さい間隙が空けられ、また、突起257の下面と搬送通路214の硬貨搬送面216との間には硬貨の1枚分の厚みより小さい間隙が空けられている。したがって、回転板256の下側に1枚の硬貨のみが進入し、その硬貨の側面に突起257が当接して押動可能となる。このようにして、回転板256が120°回転することにより1枚の硬貨の収納筒248への収納動作または1枚の硬貨の収納筒248からの繰出動作を行うようになる。
押動部材249には、回転板256の回転位置を検知する検知部(図示せず)が設けられている。具体的には、回転板256の周縁部には、3つの突起257の位置に対応して3つの開口262が形成されている。また、回転板256の回転位置を検知する検知部は、回転板256または回転軸255に取り付けられた検知板およびこの検知板の周辺部に対して上下方向から対向配置されたフォトインタラプタである定位置検知センサを有しており、定位置検知センサに対して検知板の周縁部が対向する状態から開口262が対向する状態となって、定位置検知センサが遮光状態から透光状態に切り換わることにより、回転板256の定位置を検知する。回転板256の定位置は、図4に示すように、いずれの突起257も搬送通路214の外に位置している回転板256の回転位置としている。このような回転板256の定位置では、1つの突起257が案内通路250の出入口の中央に位置し、搬送通路214から案内通路250に硬貨が進入するのを防止している。
そして、回転板256は、駆動モータ258により、硬貨の収納時(押込動作時)に図4の時計回りの方向の押込回転方向に回転駆動され、硬貨の繰出時(押出動作時)に押込回転方向と反対になる図4の反時計回りの方向の押出回転方向に回転駆動されるようになっている。さらに、駆動モータ258による回転板256の各方向への回転は、硬貨搬送部220による硬貨の搬送に同期されている。すなわち、上述したように、プーリ222の回転位置を検知する検知センサが設けられており、この検知センサの検知に基づいて搬送通路214上における搬送ベルト221の位置および各ピン223の位置を検知することができるようになっているため、入金時には、ピン223の検知位置と識別部225での識別結果とに基づいて該当する金種の硬貨を分岐させるように駆動モータ258で回転板256を回転させ、また、出金時にはピン223の位置に基づいて該当するピン223に硬貨を受け渡すように駆動モータ258で回転板256を回転させる。
また、図4に示すように、各押動部材249の回転板256の近傍における搬送通路214上には、硬貨の通過を検知する通過確認センサ270が各押動部材249に対応して設けられている。このような通過確認センサ270により、各硬貨収納機構242の収納筒248から搬送通路214に繰り出された硬貨の計数が行われるようになっている。なお、各硬貨収納機構242の収納筒248から搬送通路214に繰り出された硬貨の計数を通過確認センサ270により行うにあたり、繰出直後の搬送通路214上での硬貨の挙動は不安定であり、硬貨が二重に計数されるおそれがあるため、硬貨が収納筒248から搬送通路214に繰り出された直後に位置する通過確認センサ270ではなく、この通過確認センサ270よりも出金搬送方向F2の下流側に設けられた通過確認センサ270が用いられるようになっている。
図2および図3に示すように、硬貨処理装置200の奥行き方向における識別部225と各硬貨収納機構242との間には、識別部225で識別不能または不適切と識別されたリジェクト硬貨を硬貨搬送部220の搬送通路214から分岐するリジェクト分岐部227が設けられている。このリジェクト分岐部227は、搬送通路214の通路底面に形成された分岐口、およびこの分岐口を開閉してリジェクト硬貨のみを選択的に分岐させる分岐ゲートを有している。分岐ゲートは、ソレノイド等の駆動手段により、入金搬送方向F1の下流側の水平な軸を支点として入金搬送方向F1の上流側が上下に移動し、分岐口を開閉する。そして、識別部225で識別された硬貨が各硬貨収納機構242に収納される場合には、分岐ゲートによって分岐口を閉塞する状態で分岐ゲート上を硬貨が通過する。また、入金搬送方向F1に搬送される硬貨が識別部225でリジェクト硬貨と識別された場合には、分岐ゲートの入金搬送方向F1の上流側が上方に移動して分岐口を開放し、分岐ゲートでリジェクト硬貨を分岐口に落とし込んで分岐させる。
図2に示すように、リジェクト分岐部227の分岐口の下方には、この分岐口により分岐されたリジェクト硬貨を、硬貨処理装置200の前面に設けられた硬貨出金ボックス236に導くリジェクトシュート231が設けられている。
また、図2および図3に示すように、硬貨処理装置200の奥行き方向における硬貨繰出ベルト204と識別部225との間には、硬貨を硬貨搬送部220の搬送通路214から分岐する出金分岐部233が設けられている。この出金分岐部233は、リジェクト分岐部227と同様に分岐口および分岐ゲートを有しているが、分岐ゲートは、ソレノイド等の駆動手段により、出金搬送方向F2の下流側の水平な軸を支点として出金搬送方向F2の上流側が上下に移動し、分岐口を開閉するようになっている。そして、出金分岐部233において、硬貨が出金されない場合には、分岐ゲートによって分岐口を閉塞する状態で分岐ゲート上を硬貨が通過する。また、出金処理、返却処理および回収処理等において、分岐ゲートの出金搬送方向F2の上流側が上方に移動して分岐口を開放し、出金搬送方向F2に搬送される硬貨を分岐ゲートで分岐口に落とし込んで分岐させるようになっている。
出金分岐部233の分岐口の下方には、この分岐口により分岐された硬貨を、硬貨処理装置200の前面に設けられた硬貨出金ボックス236に導く出金シュート235が設けられている。また、出金シュート235の中間部には、硬貨処理装置200の機体内に着脱可能に配置された硬貨回収カセット237に硬貨を導くための回収シュート238が接続されている。また、出金シュート235と回収シュート238との接続部には、分岐口から分岐された硬貨を出金シュート235または回収シュート238に振り分ける切換レバー239が配設されている。
図2、図9、図10等に示すように、各硬貨収納機構242の収納筒248内には、当該収納筒248内で上下方向に集積される硬貨を下方から支えるステージ264が上下方向に移動可能に配置されている。また、図2に示すように、各収納筒248の下部には、当該収納筒248内にあるステージ264を上下方向に移動させるステージ用モータ267が設けられている。より詳細には、各硬貨収納機構242において、収納筒248の長手方向と平行に螺旋軸(図示せず)が配設されており、ステージ用モータ267によってこの螺旋軸が回転させられるようになっている。そして、ステージ264を支持する支持部が、収納筒248の一部に上下方向に沿って形成された溝を通じて螺旋軸に螺合されており、ステージ用モータ267の駆動によって螺旋軸が回転することによりステージ264が上下方向に移動するようになっている。
また、図6乃至図8に示すように、各硬貨収納機構242には、各収納筒248内でステージ264上に集積された硬貨を、収納済み硬貨と一時保留硬貨とに分離させるセパレータ272が設けられている。例えば、図10(a)において、収納筒248内にある硬貨のうち、ステージ264とセパレータ272との間にある硬貨は収納済み硬貨であり、セパレータ272上に集積された硬貨は一時保留硬貨となる。なお、図6は、図2に示す硬貨処理装置200における各硬貨収納機構242の斜視図であり、図7は、図6に示す硬貨収納機構242におけるセパレータ272および支持機構282の構成を示す斜視図である。また、図8は、図7等に示すセパレータ272の駆動系を示す上面図であって、(a)は、各セパレータ272が各硬貨収納部247の収納筒248内に進入したときの状態を示す図であり、(b)は、各セパレータ272が各硬貨収納部247の収納筒248から退避したときの状態を示す図である。
図6乃至図8に示すように、セパレータ272は、略L字状に形成されており、その先端部分が収納筒248内に進入した進出位置と、収納筒248の側方外部に退避した退避位置との間で水平方向に揺動可能となっている。なお、図7では、セパレータ272は退避位置に位置する状態が示されている。図7に示すように、セパレータ272の基端部分を支持するセパレータ支持部材273には第1の筒状部材274および第2の筒状部材275が取り付けられており、これらの第1の筒状部材274および第2の筒状部材275の中空部分には、上下方向(鉛直方向)に延びる第1の棒状部材276および第2の棒状部材277が通るようになっている。このことにより、第1の筒状部材274および第2の筒状部材275は、それぞれ、第1の棒状部材276および第2の棒状部材277の長手方向に沿って、上下方向に昇降自在となっている。なお、第1の筒状部材274および第2の筒状部材275を昇降させる駆動機構は設けられていないため、セパレータ272に何ら力が加えられていないときには、セパレータ272やセパレータ支持部材273等の自重により、第1の筒状部材274および第2の筒状部材275は、それぞれ、第1の棒状部材276および第2の棒状部材277に沿って下降し、セパレータ272は最降下位置に位置するようになる。一方、セパレータ272が上述した進出位置にあるときに、ステージ264が上昇すると、このステージ264上に集積された硬貨またはステージ264自体によってセパレータ272の下面が上方に押され、このことによりセパレータ272は上昇するようになる。
また、図7に示すように、第1の筒状部材274および第2の筒状部材275の上端部にはピニオン280が設けられており、このピニオン280は回転支点280aを中心として水平方向に回転するようになっている。ここで、第2の棒状部材277の上端部はピニオン280の回転支点280aに取り付けられており、第1の棒状部材276の上端部は、ピニオン280における回転支点280aから外れた偏心点280b(図8参照)に取り付けられている。このことにより、ピニオン280が回転支点280aを中心として水平方向に回転すると、第1の棒状部材276が水平方向に揺動することにより、セパレータ272が上述した進出位置と退避位置との間で水平方向に揺動するようになる。
また、図7に示すように、第1の棒状部材276や第2の棒状部材277の近傍には上下方向(鉛直方向)に延びる支持機構282が設けられており、この支持機構282には第1の退避ガイド283、第2の退避ガイド284および第3の退避ガイド285がそれぞれ下方から順に設けられている。ここで、セパレータ272が上述した退避位置にあるときに、セパレータ支持部材273は各退避ガイド283、284、285上に載置されるようになっている。より詳細には、セパレータ272が退避位置にあり、セパレータ支持部材273が第1の退避ガイド283上に載置されたときには、セパレータ272は50枚の硬貨を一時保留する際に用いられる硬貨50枚保留用位置P1に位置するようになる。また、セパレータ272が退避位置にあり、セパレータ支持部材273が第2の退避ガイド284上に載置されたときには、セパレータ272は10枚の硬貨を一時保留する際に用いられる硬貨10枚保留用位置P2に位置するようになる。また、セパレータ272が退避位置にあり、セパレータ支持部材273が第3の退避ガイド285上に載置されたときには、セパレータ272は待機位置P3に位置するようになる。これらの硬貨50枚保留用位置P1、硬貨10枚保留用位置P2および待機位置P3は、図9(a)にも示されている。硬貨50枚保留用位置P1においてセパレータ272が硬貨収納部247の収納筒248内に進入すると、このセパレータ272上に最大で50枚の硬貨を一時的に保留することができるようになる。また、硬貨10枚保留用位置P2においてセパレータ272が硬貨収納部247の収納筒248内に進入すると、このセパレータ272上に最大で10枚の硬貨を一時的に保留することができるようになる。
なお、上記の説明ではセパレータ272が硬貨50枚保留用位置P1、硬貨10枚保留用位置P2および待機位置P3にそれぞれ位置することができるような態様について述べたが、本実施の形態はこのような態様に限定されることはない。他の例では、待機位置P3が設けられておらず、セパレータ272が硬貨50枚保留用位置P1および硬貨10枚保留用位置P2にそれぞれ位置することができるようになっていてもよい。この場合には、支持機構282に第3の退避ガイド285が設けられないようになる。また、この場合は、硬貨10枚保留用位置P2が待機位置を兼ねるようになる。すなわち、図7等における位置P2は硬貨10枚保留用位置および待機位置の両方の機能を果たすようになる。
図6および図8に示すように、各硬貨収納機構242に対応するよう設けられた6つのピニオン280は、一つの駆動系により同時に回転させられるようになっている。より詳細には、図8に示すように、各ピニオン280に対応して6つのラック281がそれぞれ設けられており、各ラック281は第1の駆動アーム286に取り付けられている。また、第1の駆動アーム286の基端部分には第2の駆動アーム287が取り付けられており、この第2の駆動アーム287は駆動モータ288により当該第2の駆動アーム287の長手方向に沿って往復移動させられるようになっている。より詳細には、図8に示すように、駆動モータ288の回転軸には回転板288aが取り付けられており、第2の駆動アーム287の基端部分がこの回転板288aに回転自在に取り付けられている。そして、駆動モータ288が回転板288aを水平方向に回転させることにより、第2の駆動アーム287の基端部分が移動し、この第2の駆動アーム287が当該第2の駆動アーム287の長手方向に沿って移動させられる。このようにして、第1の駆動アーム286もその長手方向に沿って往復移動させられ、この際に、当該第1の駆動アーム286に取り付けられた各ラック281に噛み合っている各ピニオン280が回転するようになる。より詳細には、第1の駆動アーム286は、図8(a)に示すような、各セパレータ272の先端部分が収納筒248内に進入した進出位置にあるような第1の位置と、図8(b)に示すような、各セパレータ272の先端部分が収納筒248の側方外部に退避した退避位置にあるような第2の位置との間で往復移動を行うようになっている。
また、図8に示すように、駆動モータ288の回転軸に取り付けられた回転板288aの突出部分を検知するための第1の検知センサ289および第2の検知センサ290がそれぞれ設置されている。ここで、第1の駆動アーム286が図8(a)に示すような第1の位置にあるときには、第1の検知センサ289により回転板288aの突出部分が検知され、また、第1の駆動アーム286が図8(b)に示すような第2の位置にあるときには、第2の検知センサ290により回転板288aの突出部分が検知される。このように、各検知センサ289、290による検知情報に基づいて、各セパレータ272が進出位置および退避位置のうち何れの位置にあるかを検知することができるようになる。
また、図9および図10に示すように、各硬貨収納機構242の収納筒248の上部側には上端検知センサ292が設けられている。上端検知センサ292は発光素子および受光素子を有しており、発光素子から発せられた光が受光素子により受けられるようになっている。このような上端検知センサ292が透光状態から遮光状態、または遮光状態から透光状態に切り換わることで、硬貨が集積されていない場合のステージ264またはステージ264上に集積されている硬貨の上端位置が検知される。
また、図2に示すように、本実施の形態の硬貨処理装置200には、当該硬貨処理装置200の各構成部材の制御を行う制御部210が設けられている。このような制御部210により、硬貨繰出ベルト204、搬送ベルト221、リジェクト分岐部227、出金分岐部233、切換レバー239、振分ゲート245、回転板256、駆動モータ258、ステージ用モータ267、駆動モータ288等の各構成部材の制御が行われるようになっている。また、識別部225による硬貨の識別結果や通過確認センサ270、各検知センサ289、290、上端検知センサ292等による検知結果は制御部210に送られるようになっている。
本実施の形態では、上述した硬貨搬送部220により、硬貨収納部247に硬貨を送るための硬貨送り手段が構成されている。また、上述したステージ264およびセパレータ272等により、硬貨収納部247を、硬貨送り手段としての硬貨搬送部220により硬貨収納部247に送られた硬貨を一時的に保留する一時保留領域(すなわち、収納筒248内においてセパレータ272よりも上方の領域)および一時保留領域から硬貨が送られる収納領域(すなわち、収納筒248内においてステージ264とセパレータ272との間に形成される領域)に区画するための仕切手段が構成されている。より詳細には、ステージ264は、鉛直方向に沿って移動可能となっており硬貨収納部247に収納された硬貨が積層状態で載置される載置部として用いられ、また、セパレータ272は、載置部としてのステージ264の上方において、硬貨収納部247(具体的には、収納筒248)の内部領域に進出する進出位置と、硬貨収納部247の内部領域から退避する退避位置との間で移動可能となっている仕切部材として用いられるようになっている。
また、本実施の形態では、ステージ264およびセパレータ272等からなる仕切手段は、一時保留領域の大きさを変えることができるようになっている。具体的には、制御部210がステージ用モータ267や駆動モータ288の制御を行うことにより、硬貨収納部247の長手方向(すなわち、鉛直方向)におけるステージ264やセパレータ272の位置を変えることによって、一時保留領域の大きさが変えられるようになる。なお、本実施の形態では、一時保留領域の大きさとして、最低でも10枚の硬貨を保留可能な大きさが維持されるようになっている。また、後述する硬貨の入金計数処理や収納処理が行われる際にステージ264には一時的に最大で180枚の硬貨を集積することができるが、一時保留領域および収納領域の合計の大きさは最大で170枚の硬貨を収容可能な大きさとなっている。このような仕切手段が一時保留領域の大きさを変える態様の具体例については後述する。
次に、このような構成からなる硬貨処理装置200の動作について図9乃至図15を用いて以下に説明する。図9(a)〜(d)および図10(a)〜(f)は、それぞれ、各硬貨収納部247の収納筒248内の硬貨やセパレータ272、ステージ264等の位置を示す構成図である。また、図11(a)〜(f)は、図2に示す硬貨処理装置200において各硬貨収納部247の収納筒248内に硬貨を収納する動作を順に示す上面図であり、図12(a)〜(f)は、図2に示す硬貨処理装置200において各硬貨収納部247の収納筒248から硬貨を繰り出す動作を順に示す上面図である。また、図13(a)〜(c)は、硬貨収納部247の一時保留領域の大きさとして50枚の硬貨を保留可能な大きさが設定されているときの各硬貨収納部247の収納筒248内の硬貨やセパレータ272、ステージ264等の位置を示す構成図であり、図13(d)〜(f)は、硬貨収納部247の一時保留領域の大きさとして10枚の硬貨を保留可能な大きさが設定されているときの各硬貨収納部247の収納筒248内の硬貨やセパレータ272、ステージ264等の位置を示す構成図である。また、図14は、硬貨収納部247の一時保留領域に一時的に保留された硬貨の一部のみが収納領域に送られる際の各硬貨収納部247の収納筒248内の硬貨やセパレータ272、ステージ264等の位置を示す構成図であり、図15は、硬貨収納部247の一時保留領域に一時的に保留される硬貨の枚数が変えられたときの各硬貨収納部247の収納筒248内の硬貨やセパレータ272、ステージ264等の位置を示す構成図である。なお、図9乃至図15において、硬貨を参照符号Cで示している。また、前述したように、実際にはセパレータ272を支持するセパレータ支持部材273が各退避ガイド283、284、285に載置させられるが、図9、図10、図13乃至図15では簡略化のためにセパレータ支持部材273ではなくセパレータ272自体を各退避ガイド283、284、285に載置させるような図示を行っている。本実施の形態では、以下に示すような硬貨処理装置200の動作は、制御部210が硬貨処理装置200の各構成部材を制御することにより行われるようになっている。
まず、硬貨処理装置200が待機状態にあるときには、各硬貨収納機構242において各セパレータ272は各硬貨収納部247の収納筒248から側方外部に退避した退避位置にあり(図8(b)参照)、セパレータ支持部材273が第3の退避ガイド285に載置されている。この際に、各セパレータ272は待機位置P3に位置するようになる。また、図9(b)に示すように、各硬貨収納機構242の収納筒248内において、ステージ264に集積された1または複数の硬貨のうち最上層にある硬貨の上面が、待機位置Cにあるセパレータ272よりもわずかに低くなるよう収納筒248内でのステージ264の上下方向における位置が定められている。
〔硬貨の入金計数処理〕
次に、硬貨処理装置200における硬貨の入金計数処理について説明する。硬貨の入金計数処理開始の指令が硬貨処理装置200の制御部210に与えられると、各硬貨収納機構242においてセパレータ272が硬貨収納部247の収納筒248内に進入し、その後、ステージ264が上昇することにより、このステージ264に集積された硬貨に押されてセパレータ272も上昇し、当該セパレータ272は図9(c)に示すような硬貨保留位置P4に位置するようになる。ここで、セパレータ272が硬貨保留位置P4に位置しているときに、搬送通路214の硬貨搬送面216と、セパレータ272の上面である硬貨保留面218との間には、硬貨立ちが生じることのないような大きさの隙間(具体的には例えば数ミリの大きさの隙間)が形成されるようになる。
そして、操作者により硬貨入金口202に投入された硬貨は硬貨繰出ベルト204により硬貨処理装置200の奥方に繰り出され、この際に硬貨繰出ベルト204と逆転ローラ205との間の隙間を通ることにより、硬貨繰出ベルト204により搬送される硬貨は1枚ずつ分離される。その後、硬貨繰出ベルト204から硬貨搬送部220に硬貨が1枚ずつ受け渡され、この硬貨搬送部220により硬貨が更に搬送される。具体的には、搬送通路214に沿って、搬送ベルト221の下面から下方に向かって突出したピン223により硬貨が押動され、この硬貨は硬貨処理装置200の奥方に向かって搬送されるようになる。また、搬送ベルト221により搬送される硬貨は、識別部225により識別が行われる。
識別部225での識別の結果、正常な硬貨ではないリジェクト硬貨が識別されると、リジェクト分岐部227の分岐ゲートが開かれ、リジェクト硬貨は搬送通路214から分岐してリジェクトシュート231を介して硬貨出金ボックス236に送られるようになる。また、識別部225での識別の結果、正常な硬貨であると識別された硬貨は、リジェクト分岐部227を通過し、対応する金種の収納分岐部241で搬送通路214から分岐されて、対応する金種の硬貨収納機構242の収納筒248内に収納されてセパレータ272上で一時的に保留される。なお、搬送通路214から分岐した硬貨が硬貨収納機構242の収納筒248内に収納されてセパレータ272上で一時的に保留される度に、ステージ264が硬貨1枚の厚さ分だけ下降し、それに合わせてセパレータ272の位置を下げ、当該セパレータ272上に一時的に保留された1または複数の硬貨のうち最上層にある硬貨の上面を硬貨保留面218に一致させることにより、次の硬貨を収納筒248内に受け入れ可能とするようになっている。なお、硬貨がその上面に集積されていないときのセパレータ272の上面の位置や、このセパレータ272上に一時的に保留された硬貨の上面の位置は、上端検知センサ292により検知されるようになっている。
ここで、硬貨を硬貨収納機構242の収納筒248内に収納する動作について図11を用いて説明する。図11(a)に示すように、収納分岐部241では、該当金種の硬貨が搬送されてくるタイミングに合わせて振分ゲート245の先端が上昇する。これにより、搬送ベルト221のピン223で押動されている硬貨が振分ゲート245のガイド面に当接し、硬貨がこのガイド面に沿って搬送通路214の側方の案内通路250へ向けて移動する。
図11(b)に示すように、振分ゲート245の先端が上昇してから所定のタイミングで押動部材249の回転板256が定位置から押込回転方向(図11における矢印方向)に回転を開始する。これにより、図11(c)および図11(d)に示すように、案内通路250の出入口に位置していた突起257が収納筒248上へ向けて移動し、搬送ベルト221のピン223で押動されているとともに振分ゲート245によって案内される硬貨が案内通路250に進んでいく。
そして、図11(e)に示すように、搬送通路214内に進出した突起257が硬貨に当接してピン223から硬貨を受け取り、この突起257で硬貨を押動して案内通路250内に押し込んでいく。そして、突起257による押動動作により、硬貨を案内通路250に沿って移動させながら、収納筒248における硬貨の集積方向に対して直交する方向から硬貨を当該収納筒248の上部に押し込んでいく。
図11(f)に示すように、突起257による押動動作により、硬貨を収納筒248の上部に押し込み、セパレータ272上に集積させる。この突起257による押込動作により、硬貨を収納筒248内に強制的に押し込んで収納させるため、硬貨が自由落下する場合と比べて硬貨の挙動が安定し、収納筒248内での硬貨の安定した集積が可能となる。さらに、突起257による押込動作により、収納筒248における硬貨の集積方向に対して直交する方向から硬貨を当該収納筒248の上部に押し込むため、硬貨立ちが生じにくく、硬貨の安定した集積が可能となる。その後、硬貨に当接して押動していた突起257が案内通路250の出入口に位置する定位置に到達すると回転板256の回転が停止する。
前述したように、硬貨を収納した収納筒248では、ステージ264を硬貨1枚の厚さ分だけ下降させ、収納筒248の上部に次の硬貨を受け入れ可能とするスペースを形成する。これにより、収納筒248への1枚の硬貨の保留動作が完了する。
また、続けて硬貨を収納筒248に保留する場合にも、上述のように振分ゲート245、押動部材249およびステージ264が同様に動作し、セパレータ272上に既に集積されている硬貨上に続けて送り込む硬貨を順次集積する。図9(d)には、収納筒248内において複数枚の硬貨をセパレータ272上で一時保留した状態が示されている。
そして、識別部225で硬貨を所定時間識別しなくなることで、硬貨入金口202に投入された硬貨についての入金計数処理が完了したものとなる。
〔硬貨の収納処理〕
次に、硬貨処理装置200における硬貨の収納処理について説明する。各硬貨収納機構242の収納筒248内においてセパレータ272上で硬貨が一時的に保留された後、操作者によって入金確定指令が硬貨処理装置200の制御部210に与えられると、図10(a)に示すように、セパレータ272が硬貨50枚保留用位置P1または硬貨10枚保留用位置P2に位置するようステージ264が下降する(なお、図10(a)では、セパレータ272が硬貨50枚保留用位置P1に位置している状態が示されている)。そして、図10(b)に示すように、セパレータ272が収納筒248の側方外部に退避する。この際に、セパレータ272を支持するセパレータ支持部材273が第1の退避ガイド283または第2の退避ガイド284に載置されるようになる。このことにより、セパレータ272上で一時的に保留された硬貨がステージ264上に集積されるようになり、このステージ264上に集積された硬貨は収納済み硬貨として取り扱われるようになる。その後、図10(c)に示すように、ステージ264上に集積された1または複数の硬貨のうち最上層にある硬貨の上面が硬貨50枚保留用位置P1または硬貨10枚保留用位置P2よりもわずかに下方に位置するよう、ステージ264が更に下降する。そして、図10(d)に示すように、セパレータ272が退避位置から収納筒248内に進入し、このセパレータ272は、ステージ264上に集積された収納済み硬貨の上方に位置するようになる。その後、各硬貨収納機構242における硬貨の収納処理が完了すると、図10(e)に示すように、セパレータ272が待機位置P3に到達するまでステージ264が上昇し、その後、セパレータ272が収納筒248の側方外部に退避する。このようにして、硬貨処理装置200は待機状態に戻るようになる。
なお、本実施の形態では、上述した硬貨の入金計数処理および収納処理が行われる際における各硬貨収納部247の一時保留領域(すなわち、収納筒248内におけるセパレータ272よりも上方の領域)の大きさとして、10枚の硬貨を保留可能な大きさおよび50枚の硬貨を保留可能な大きさのうち何れかの大きさが制御部210において予め設定されている。そして、各金種の硬貨について、硬貨入金口202に投入された硬貨の枚数がこの一時保留領域に保留可能な硬貨の枚数(10枚または50枚)よりも多い場合には、一時保留領域に保留することができない余剰分の硬貨はオーバーフロー硬貨としてリジェクト分岐部227により硬貨搬送部220の搬送通路214からリジェクトシュート231に分岐され、硬貨出金ボックス236に送られるようになる。この場合、各硬貨収納機構242において一時保留領域から収納領域に硬貨が送られた後、操作者は硬貨出金ボックス236に送られたオーバーフロー硬貨を当該硬貨出金ボックス236から取り出して硬貨入金口202に再投入するようになる。
なお、硬貨収納部247において一時保留領域に保留することができない余剰分の硬貨は、オーバーフロー硬貨として硬貨出金ボックス236に送られる代わりに、他の金種の硬貨収納部247の一時保留領域(より詳細には、フル状態ではない一時保留領域)に送られるようにしてもよい。この場合には、硬貨入金口202に投入されたある金種の硬貨の枚数が当該金種に対応する硬貨収納部247の一時保留領域に保留可能な硬貨の枚数より多いときでも、余剰分の硬貨を他の金種の硬貨収納部247の一時保留領域で一時的に保留することにより、できるだけ多くの硬貨を一時的に保留することができるようになる。なお、この際に、他の金種の硬貨収納部247の一時保留領域では、複数の金種の硬貨が混合状態で一時的に保留されるようになるため、この一時保留領域に一時的に保留された硬貨は全て硬貨収納部247から硬貨搬送部220の搬送通路214に繰り出され、当該硬貨搬送部220により硬貨回収カセット237に送られるようになる。
硬貨収納部247の一時保留領域の大きさとして、50枚の硬貨を保留可能な大きさが制御部210において設定されている場合には、硬貨搬送部220から硬貨収納部247の一時保留領域に硬貨が1枚ずつ送られる際に、図13(a)に示すように、セパレータ272の位置が硬貨50枚保留用位置P1となるまでステージ264が下降する。そして、セパレータ272の位置が硬貨50枚保留用位置P1に達すると、このセパレータ272の上の硬貨保留領域には最大で50枚の硬貨が保留されるようになる。その後、セパレータ272が収納筒248の側方外部に退避し、この際に、セパレータ272を支持するセパレータ支持部材273が第1の退避ガイド283に載置されるようになる。このことにより、セパレータ272上で一時的に保留された最大で50枚の硬貨がステージ264上に集積されるようになり、このステージ264上に集積された硬貨は収納済み硬貨として取り扱われるようになる。その後、図13(b)に示すように、ステージ264上に集積された複数の硬貨のうち最上層にある硬貨の上面が硬貨50枚保留用位置P1よりもわずかに下方に位置するよう、ステージ264が更に下降する。そして、セパレータ272が退避位置から収納筒248内に進入し、このセパレータ272は、ステージ264上に集積された収納済み硬貨の上方に位置するようになる。そして、図13(c)に示すように、セパレータ272が待機位置P3に到達するまでステージ264が上昇し、その後、セパレータ272が収納筒248の側方外部に退避する。このようにして、硬貨処理装置200は待機状態に戻るようになる。
一方、硬貨収納部247の一時保留領域の大きさとして、10枚の硬貨を保留可能な大きさが制御部210において設定されている場合には、硬貨搬送部220から硬貨収納部247の一時保留領域に硬貨が1枚ずつ送られる際に、図13(d)に示すように、セパレータ272の位置が硬貨10枚保留用位置P2となるまでステージ264が下降する。そして、セパレータ272の位置が硬貨10枚保留用位置P2に達すると、このセパレータ272の上の硬貨保留領域には最大で10枚の硬貨が保留されるようになる。その後、セパレータ272が収納筒248の側方外部に退避し、この際に、セパレータ272を支持するセパレータ支持部材273が第2の退避ガイド284に載置されるようになる。このことにより、セパレータ272上で一時的に保留された最大で10枚の硬貨がステージ264上に集積されるようになり、このステージ264上に集積された硬貨は収納済み硬貨として取り扱われるようになる。その後、図13(e)に示すように、ステージ264上に集積された複数の硬貨のうち最上層にある硬貨の上面が硬貨10枚保留用位置P2よりもわずかに下方に位置するよう、ステージ264が更に下降する。そして、セパレータ272が退避位置から収納筒248内に進入し、このセパレータ272は、ステージ264上に集積された収納済み硬貨の上方に位置するようになる。そして、図13(f)に示すように、セパレータ272が待機位置P3に到達するまでステージ264が上昇し、その後、セパレータ272が収納筒248の側方外部に退避する。このようにして、硬貨処理装置200は待機状態に戻るようになる。
このように、本実施の形態では、ステージ264およびセパレータ272からなる仕切手段は、硬貨収納部247の一時保留領域の大きさを、50枚の硬貨を保留可能な大きさと10枚の硬貨を保留可能な大きさとの間で変えることができるようになっている。このため、硬貨の処理状況に応じて硬貨収納部247の一時保留領域および収納領域の大きさをそれぞれ調整することにより硬貨の収納効率を改善することができるようになる。
〔硬貨の返却処理〕
次に、硬貨処理装置200における硬貨の返却処理について説明する。各硬貨収納機構242の収納筒248内においてセパレータ272上で硬貨が一時的に保留された後、操作者によって返却指令が硬貨処理装置200の制御部210に与えられると、各硬貨収納機構242の収納筒248内においてセパレータ272上で一時的に保留された硬貨が1金種ずつ順に搬送通路214に繰り出され、硬貨出金ボックス236に払い出されて返却される。収納筒248から搬送通路214への硬貨の繰出動作は、以下に詳述する硬貨の出金処理において説明する。
〔硬貨の補充処理〕
次に、硬貨処理装置200における硬貨の補充処理について説明する。硬貨の補充処理開始の指令が硬貨処理装置200の制御部210に与えられ、操作者により硬貨入金口202に硬貨が投入されると、この投入された硬貨は硬貨繰出ベルト204により硬貨処理装置200の奥方に繰り出され、この際に硬貨繰出ベルト204と逆転ローラ205との間の隙間を通ることにより、硬貨繰出ベルト204により搬送される硬貨は1枚ずつに分離される。その後、硬貨繰出ベルト204から硬貨搬送部220に硬貨が1枚ずつ受け渡され、この硬貨搬送部220により硬貨が更に搬送され、識別部225によりその金種、真偽、正損、表裏等が識別される。その後、識別部225での識別の結果、正常な硬貨であると識別された硬貨は、リジェクト分岐部227を通過し、対応する金種の収納分岐部241で搬送通路214から分岐されて、対応する金種の硬貨収納機構242の収納筒248内に収納される。なお、硬貨の補充処理では、上述した硬貨の入金計数処理とは異なり、セパレータ272は常に収納筒248から側方外部に退避した退避位置にあり、搬送通路214から分岐した硬貨が硬貨収納機構242の収納筒248内に収納されると、この硬貨はステージ264上に直接集積されるようになる。
〔硬貨の出金処理〕
次に、硬貨処理装置200における硬貨の出金処理について説明する。硬貨の出金処理開始の指令が硬貨処理装置200の制御部210に与えられると、操作者等によって入力される出金額や出金金種等の出金データに基づいて、出金該当金種の硬貨収納機構242に収納されている硬貨を1金種ずつ順番に出金する。具体的には、図10(f)に示すように、収納筒248内でステージ264上に集積されている1または複数の硬貨のうち最上層にある硬貨を回転板256の下面に押し当てるようステージ264を上昇させる。このことにより、この最上層にある硬貨が案内通路250の底面よりも上方に位置されるようになる。
そして、図12(a)に示すように、硬貨搬送部220の搬送ベルト221が出金搬送方向F2に循環移動しているときに、図12(b)に示すように、搬送ベルト221のピン223とピン223との間に硬貨を繰り出すように、搬送ベルト221の循環移動に同期して押動部材249の回転板256を定位置から押出回転方向(図12における矢印方向)に回転させる。
図12(c)に示すように、回転する回転板256の1つの突起257が、最上層にある硬貨に当接し、この硬貨を案内通路250に押し出していく。このときに、最上層から2番目の硬貨は、収納筒248の内壁に当接して最上層の硬貨とともに連れ出されることはなく、1枚の硬貨のみが案内通路250に押し出されていく。
図12(d)に示すように、突起257による押出動作により、硬貨を案内通路250に沿って移動させながら搬送通路214内に押し出していく。図12(e)に示すように、搬送通路214内に押し出される硬貨は、搬送ベルト221のピン223とピン223との間に進入する。
そして、図12(f)に示すように、硬貨に当接して押動していた突起257が案内通路250の出入口に位置する定位置で、回転板256の回転が停止する。硬貨は、突起257で押動されていた慣性によって搬送通路214内に移動する。そして、搬送通路214内に移動した硬貨に搬送ベルト221のピン223が当接し、硬貨を出金搬送方向F2に搬送する。その後、搬送ベルト221により搬送される硬貨は識別部225により識別が行われ、出金分岐部233で分岐される。より詳細には、出金分岐部233の分岐ゲートは開放されており、搬送通路214から硬貨が出金シュート235に分岐され、この出金シュート235により硬貨が硬貨出金ボックス236に送られる。なお、識別部225により正常な硬貨ではないと識別されたリジェクト硬貨は硬貨入金口202に一度送られ、硬貨の出金処理が完了した後にこの硬貨入金口202から再び硬貨搬送部220によって硬貨処理装置200の奥行き方向に搬送されることにより、識別部225により識別された後に各硬貨収納機構242に収納されるようになる。
出金が完了した金種の硬貨収納機構242の収納筒248では、ステージ264が下降する。このようにして、硬貨処理装置200は待機状態に戻るようになる。
硬貨出金ボックス236に出金硬貨が送られた後、操作者は、貨幣処理システム10の筐体12から硬貨出金ボックス236を引き出すことにより、出金硬貨を取り出すことができる。
〔硬貨の回収処理〕
次に、硬貨処理装置200における硬貨の回収処理について説明する。硬貨の回収処理開始の指令が硬貨処理装置200に与えられると、上述した硬貨の出金処理と同様の方法により各硬貨収納機構242の収納筒248から搬送通路214に硬貨が1枚ずつ繰り出され、この繰り出された硬貨は搬送ベルト221により出金搬送方向F2に搬送される。そして、搬送ベルト221により搬送される硬貨は識別部225により識別され、出金分岐部233で分岐される。より詳細には、出金分岐部233の分岐ゲートは開放されており、搬送通路214から硬貨が出金シュート235に分岐され、切換レバー239により出金シュート235から回収シュート238に硬貨が送られ、この回収シュート238により硬貨が硬貨回収カセット237に収納される。なお、識別部225により正常な硬貨ではないと識別されたリジェクト硬貨は硬貨入金口202に一度送られ、硬貨の回収処理が完了した後にこの硬貨入金口202から再び硬貨搬送部220によって硬貨処理装置200の奥行き方向に搬送されることにより、識別部225により識別された後に各硬貨収納機構242に収納されるようになる。
硬貨回収カセット237に回収硬貨が送られた後、操作者は、貨幣処理システム10の筐体12から硬貨回収カセット237を取り出すことにより、この硬貨回収カセット237ごと硬貨を回収することができる。
〔硬貨の自動精査処理〕
次に、硬貨処理装置200における硬貨の自動精査処理について説明する。本実施の形態における硬貨の自動精査処理では、1金種ごとに硬貨収納機構242の収納筒248から搬送通路214に硬貨を繰り出して硬貨搬送部220の搬送ベルト221により硬貨入金口202に送った後、この硬貨入金口202から硬貨を硬貨搬送部220の搬送ベルト221により硬貨収納機構242の収納筒248に戻すようになっている。より詳細には、硬貨の自動精査処理開始の指令が硬貨処理装置200に与えられると、上述した硬貨の出金処理と同様の方法により各硬貨収納機構242の収納筒248から搬送通路214に硬貨が1枚ずつ繰り出され、この繰り出された硬貨は搬送ベルト221により出金搬送方向F2に搬送される。そして、搬送ベルト221により搬送される硬貨は識別部225により識別された後、硬貨入金口202に送られる。そして、ある金種の硬貨収納機構242の収納筒248から硬貨が全て搬送通路214に繰り出されて硬貨入金口202に送られると、上述した硬貨の補充処理と同様の方法により、硬貨入金口202から硬貨が1枚ずつ硬貨搬送部220に繰り出され、硬貨搬送部220の搬送ベルト221により入金搬送方向F1に搬送されながら識別部225により識別され、対応する金種の硬貨収納機構242の収納筒248内に収納される。
ところで、本実施の形態では、硬貨処理装置200の制御部210において硬貨の処理モードとして入金優先モードおよび出金優先モードを含む複数の運用モードが設定されるようになっており、各々の運用モードに対応して硬貨収納部247の一時保留領域の大きさが設定されている。ここで、入金優先モードとは、硬貨処理装置200において入金処理(上述した入金計数処理および収納処理を組み合わせたもの)が比較的多く実行される際に設定されるモードであり、出金優先モードとは、硬貨処理装置200において上述した出金処理が比較的多く実行される際に設定されるモードである。そして、本実施の形態では、入金優先モードに対応する一時保留領域の大きさは50枚の硬貨を保留可能な大きさに設定されているのに対し、出金優先モードに対応する一時保留領域の大きさは10枚の硬貨を保留可能な大きさに設定されており、入金優先モードに対応する一時保留領域の大きさは出金優先モードに対応する一時保留領域よりも大きくなっている。このことにより、入金処理が比較的多く実行される入金優先モードでは硬貨収納部247の一時保留領域の大きさをできるだけ大きくすることによってより多くの枚数の硬貨を一時保留領域に一時的に保留させることができ、硬貨の入金処理にかかる時間を短縮することができるようになる。一方、出金処理が比較的多く実行される出金優先モードでは硬貨収納部247の一時保留領域の大きさをできるだけ小さくすることによって当該硬貨収納部247の収納領域の大きさをできるだけ大きくすることができ、硬貨収納部247に出金用の硬貨をできるだけ多く収納することができるようになるため、上述した補充処理が行われる回数を減らすことができるようになる。
また、本実施の形態では、硬貨処理装置200の制御部210において硬貨の各金種に対応して各硬貨収納部247の一時保留領域の大きさが設定されていてもよい。具体的には、入金処理において硬貨処理装置200の硬貨入金口202に投入される枚数が多いと考えられる10円硬貨や100円硬貨に対応する硬貨収納部247の一時保留領域の大きさについては、50枚の硬貨を保留可能な大きさに設定し、一方、その他の金種の硬貨に対応する硬貨収納部247の一時保留領域の大きさについては、10枚の硬貨を保留可能な大きさに設定するようにしてもよい。この場合には、一度の入金処理で硬貨処理装置200に入金される枚数が比較的多い10円硬貨や100円硬貨については硬貨収納部247の一時保留領域の大きさをできるだけ大きくすることによってより多くの枚数の硬貨を一時保留領域に一時的に保留させることができ、これらの硬貨の入金処理にかかる時間を短縮することができるようになる。一方、その他の金種の硬貨については一度の入金処理で硬貨処理装置200に入金される枚数がそれほど多くないため、硬貨収納部247の一時保留領域の大きさを小さくしても硬貨処理装置200に入金された当該金種の全ての硬貨を一時保留領域に保留させることができ、また、これらの金種の硬貨については硬貨収納部247の収納領域の大きさをできるだけ大きくすることができるようになる。
また、本実施の形態では、制御部210は、硬貨収納部247の収納領域に既に収納されている硬貨の枚数に基づいて、当該硬貨収納部247の一時保留領域から収納領域に送られる硬貨の枚数を変えるようになっていてもよい。具体的には、硬貨収納部247の一時保留領域の大きさとして、50枚の硬貨を保留可能な大きさが制御部210において設定されている場合において、硬貨収納部247の収納領域に既に収納されている硬貨の枚数が比較的多いときには、硬貨収納部247の一時保留領域から収納領域に送られる硬貨の枚数が49枚以下となってもよい。このことについて図14(a)〜(d)を用いて説明する。図14(a)に示すように、硬貨収納部247の収納領域に90枚の硬貨が既に収納されているときに、上述した入金計数処理において50枚の硬貨がセパレータ272の上方の一時保留領域に一時的に保留されたときには、この一時的に保留された50枚の硬貨を全て収納領域に収納しようとするとステージ264が下降する際に当該ステージ264は硬貨収納部247の下端部に衝突してしまうため、硬貨収納部247において一時保留領域から収納領域に送られる硬貨の枚数を50枚から減らす必要がある。このため、図14(b)に示すように、上述した硬貨の出金処理と同様の方法により硬貨収納部247の一時保留領域から硬貨搬送部220の搬送通路214に合計で20枚の硬貨が1枚ずつ繰り出され、一時保留領域に一時的に保留される硬貨の枚数が30枚まで減らされる。なお、硬貨収納部247の一時保留領域から硬貨搬送部220の搬送通路214に繰り出された硬貨は搬送ベルト221により出金搬送方向F2に搬送される。そして、搬送ベルト221により搬送される硬貨は出金分岐部233により出金シュート235に分岐され、切換レバー239により出金シュート235から回収シュート238に硬貨が送られ、この回収シュート238により硬貨が硬貨回収カセット237に収納される。
その後、セパレータ272の位置が再び硬貨50枚保留用位置P1となるまでステージ264が下降し、このセパレータ272は収納筒248の側方外部に退避する。この際に、セパレータ272を支持するセパレータ支持部材273が第1の退避ガイド283に載置されるようになる。このことにより、セパレータ272上で一時的に保留された30枚の硬貨がステージ264上に集積されるようになり、このステージ264上に集積された合計120枚の硬貨は収納済み硬貨として取り扱われるようになる。その後、図14(c)に示すように、ステージ264上に集積された複数の硬貨のうち最上層にある硬貨の上面が硬貨50枚保留用位置P1よりもわずかに下方に位置するよう、ステージ264が更に下降する。そして、セパレータ272が退避位置から収納筒248内に進入し、このセパレータ272は、ステージ264上に集積された収納済み硬貨の上方に位置するようになる。その後、図14(d)に示すように、セパレータ272が待機位置P3に到達するまでステージ264が上昇し、その後、セパレータ272が収納筒248の側方外部に退避する。このようにして、硬貨処理装置200は待機状態に戻るようになる。
本実施の形態では、硬貨収納部247の収納領域に既に収納されている硬貨の枚数が70枚以下の場合には、硬貨収納部247の一時保留領域に一時的に保留された最大50枚の硬貨を全て一時保留領域から収納領域に送ることができる。これに対し、硬貨収納部247の収納領域に既に収納されている硬貨の枚数が71枚以上110枚の場合には、硬貨収納部247の一時保留領域に一時的に保留された硬貨のうち、(120枚−収納領域に既に収納されている硬貨の枚数)分の硬貨のみを一時保留領域から収納領域に送る一方、残りの硬貨は硬貨収納部247から硬貨搬送部220の搬送通路214に1枚ずつ繰り出され、硬貨回収カセット237に送られるようになる。すなわち、図14(a)〜(d)で示した例では、硬貨収納部247の収納領域に既に収納されている硬貨の枚数が90枚であるため、硬貨収納部247の一時保留領域に一時的に保留された硬貨のうち、30枚(=120枚−90枚)分の硬貨のみを一時保留領域から収納領域に送る一方、残りの20枚の硬貨は硬貨収納部247から硬貨搬送部220の搬送通路214に1枚ずつ繰り出され、硬貨回収カセット237に送られるようになる。また、硬貨収納部247の収納領域に既に収納されている硬貨の枚数が111枚以上130枚の場合には、硬貨収納部247の一時保留領域に一時的に保留された硬貨のうち、最大で10枚の硬貨のみを一時保留領域から収納領域に送る一方、残りの硬貨は硬貨収納部247から硬貨搬送部220の搬送通路214に1枚ずつ繰り出され、硬貨回収カセット237に送られるようになる。
また、本実施の形態では、制御部210は、硬貨収納部247の収納領域に既に収納されている硬貨の枚数に基づいて、当該硬貨収納部247の一時保留領域の大きさ(すなわち、一時保留領域に一時的に保留される硬貨の枚数)を変えるようになっていてもよい。具体的には、硬貨収納部247の一時保留領域の大きさとして、50枚の硬貨を保留可能な大きさが制御部210において設定されている場合において、硬貨収納部247の収納領域に既に収納されている硬貨の枚数が比較的多いときには、硬貨収納部247の一時保留領域に一時的に保留される硬貨の枚数が49枚以下となってもよい。このことについて図15(a)〜(d)を用いて説明する。図15(a)に示すように、硬貨収納部247の収納領域に140枚の硬貨が既に収納されているときに、上述した入金計数処理において硬貨搬送部220から硬貨が1枚ずつセパレータ272の上方の一時保留領域に送られる際に、一時保留領域に50枚の硬貨を一時的に保留させようとするとステージ264が下降する際に当該ステージ264は硬貨収納部247の下端部に衝突してしまうため、一時保留領域に一時的に保留される硬貨の枚数を50枚から減らす必要がある。このため、硬貨収納部247の収納領域に140枚の硬貨が既に収納されているときには一時保留領域には最大で30枚の硬貨が一時的に保留されるようになる。
また、硬貨収納部247の一時保留領域に一時的に保留された30枚の硬貨を全て収納領域に収納しようとするとステージ264が下降する際に当該ステージ264は硬貨収納部247の下端部に衝突してしまうため、硬貨収納部247の一時保留領域から収納領域に送られる硬貨の枚数を30枚から更に減らす必要がある。このため、図15(b)に示すように、上述した硬貨の出金処理と同様の方法により硬貨収納部247の一時保留領域から硬貨搬送部220の搬送通路214に合計で20枚の硬貨が1枚ずつ繰り出され、一時保留領域に一時的に保留される硬貨の枚数が10枚まで減らされる。なお、硬貨収納部247の一時保留領域から硬貨搬送部220の搬送通路214に繰り出された硬貨は搬送ベルト221により出金搬送方向F2に搬送される。そして、搬送ベルト221により搬送される硬貨は出金分岐部233により出金シュート235に分岐され、切換レバー239により出金シュート235から回収シュート238に硬貨が送られ、この回収シュート238により硬貨が硬貨回収カセット237に収納される。
その後、セパレータ272は収納筒248の側方外部に退避する。この際に、セパレータ272を支持するセパレータ支持部材273が第2の退避ガイド284に載置されるようになる。このことにより、セパレータ272上で一時的に保留された10枚の硬貨がステージ264上に集積されるようになり、このステージ264上に集積された合計150枚の硬貨は収納済み硬貨として取り扱われるようになる。その後、図15(c)に示すように、ステージ264上に集積された複数の硬貨のうち最上層にある硬貨の上面が硬貨10枚保留用位置P2よりもわずかに下方に位置するよう、ステージ264が更に下降する。そして、セパレータ272が退避位置から収納筒248内に進入し、このセパレータ272は、ステージ264上に集積された収納済み硬貨の上方に位置するようになる。その後、図15(d)に示すように、セパレータ272が待機位置P3に到達するまでステージ264が上昇し、その後、セパレータ272が収納筒248の側方外部に退避する。このようにして、硬貨処理装置200は待機状態に戻るようになる。
本実施の形態では、硬貨収納部247の収納領域に既に収納されている硬貨の枚数が130枚以下の場合には、硬貨収納部247の一時保留領域に最大50枚の硬貨を一時的に保留させることができる。これに対し、硬貨収納部247の収納領域に既に収納されている硬貨の枚数が131枚以上170枚の場合には、硬貨収納部247の一時保留領域には、(170枚−収納領域に既に収納されている硬貨の枚数)分の硬貨のみが一時的に保留されるようになる。すなわち、図15(a)〜(d)で示した例では、硬貨収納部247の収納領域に既に収納されている硬貨の枚数が140枚であるため、硬貨収納部247の一時保留領域には、30枚(=170枚−140枚)分の硬貨のみを一時的に保留させることができるようになる。また、この場合には、一時保留領域に一時的に保留された硬貨のうち、10枚分の硬貨のみを一時保留領域から収納領域に送る一方、残りの硬貨は硬貨収納部247から硬貨搬送部220の搬送通路214に1枚ずつ繰り出され、硬貨回収カセット237に送られるようになる。
以上のような構成からなる本実施の形態の硬貨処理装置200および硬貨処理方法によれば、硬貨収納部247を、硬貨送り手段としての硬貨搬送部220により硬貨収納部247に送られた硬貨を一時的に保留する一時保留領域および一時保留領域から硬貨が送られる収納領域に区画するための仕切手段としてステージ264およびセパレータ272が設けられており、この仕切手段は、一時保留領域の大きさを変えることができるよう構成されている。このように、硬貨収納部247を一時保留領域および収納領域に区画する際に一時保留領域の大きさを変えることができるようになっているため、硬貨の処理状況に応じて一時保留領域および収納領域の大きさをそれぞれ調整することにより硬貨の収納効率を改善することができる。
また、本実施の形態の硬貨処理装置200においては、上述したように、制御部210において硬貨の処理モードとして複数の運用モードが設定されているとともに、各々の運用モードに対応して硬貨収納部247の一時保留領域の大きさが設定されており、制御部210は、実行される運用モードに対応する一時保留領域の大きさに基づいて仕切手段(具体的には、ステージ264およびセパレータ272)を制御するようになっている。この場合には、運用モード毎に一時保留領域の大きさを変えることができるため、運用モードに応じて一時保留領域および収納領域の大きさをそれぞれ調整することにより硬貨の収納効率をより一層改善することができる。
また、この場合、制御部210において複数の運用モードとして少なくとも入金優先モードおよび出金優先モードが設定されており、入金優先モードに対応する一時保留領域は出金優先モードに対応する一時保留領域よりも大きくなっている。このことにより、入金処理が比較的多く実行される入金優先モードでは硬貨収納部247の一時保留領域の大きさをできるだけ大きくすることによってより多くの枚数の硬貨を一時保留領域に一時的に保留させることができ、硬貨の入金処理にかかる時間を短縮することができるようになる。一方、出金処理が比較的多く実行される出金優先モードでは硬貨収納部247の一時保留領域の大きさをできるだけ小さくすることによって当該硬貨収納部247の収納領域の大きさをできるだけ大きくすることができ、硬貨収納部247に出金用の硬貨をできるだけ多く収納することができるようになるため、硬貨収納部247に硬貨を補充するための補充処理が行われる回数を減らすことができるようになる。
また、本実施の形態の硬貨処理装置200においては、上述したように、制御部210において硬貨の各金種に対応して一時保留領域の大きさが設定されており、制御部210は、硬貨の各金種に対応する一時保留領域の大きさに基づいて仕切手段(具体的には、ステージ264およびセパレータ272)を制御するようになっていてもよい。この場合には、一度の入金処理で硬貨処理装置200に入金される枚数が比較的多い硬貨の金種については硬貨収納部247の一時保留領域の大きさをできるだけ大きくすることによってより多くの枚数の硬貨を一時保留領域に一時的に保留させることができ、これらの硬貨の入金処理にかかる時間を短縮することができるようになる。一方、その他の金種の硬貨については一度の入金処理で硬貨処理装置200に入金される枚数がそれほど多くないため、硬貨収納部247の一時保留領域の大きさを小さくしても硬貨処理装置200に入金された当該金種の全ての硬貨を一時保留領域に保留させることができ、また、これらの金種の硬貨については硬貨収納部247の収納領域の大きさをできるだけ大きくすることができるようになる。
また、本実施の形態の硬貨処理装置200においては、図15(a)〜(d)に示すように、制御部210は、硬貨収納部247の収納領域に既に収納されている硬貨の枚数に基づいて一時保留領域の大きさを変えるようになっている。このことにより、硬貨収納部247に既にある程度の枚数の硬貨が収納されている場合でも、硬貨収納部247の長手方向における全長(すなわち、鉛直方向の全長)を最大限利用して一時保留領域にできるだけ多くの硬貨を一時的に保留させることができ、よって硬貨収納部247にできるだけ多くの硬貨を新たに収納させることができるようになる。
また、本実施の形態の硬貨処理装置200においては、図14(a)〜(d)に示すように、制御部210は、硬貨収納部247に既に収納されている硬貨の枚数に基づいて一時保留領域から収納領域に送られる硬貨の枚数を変えるようになっている。このことにより、硬貨収納部247に既にある程度の枚数の硬貨が収納されている場合でも、硬貨収納部247の長手方向における全長(すなわち、鉛直方向の全長)を最大限利用して一時保留領域から収納領域にできるだけ多くの硬貨を送ることができ、よって硬貨収納部247にできるだけ多くの硬貨を新たに収納させることができるようになる。
また、この場合、制御部210は、硬貨収納部247の一時保留領域に一時的に保留された硬貨のうち収納領域に送られない硬貨を繰出部としての押動部材249の回転板256により硬貨収納部247から繰り出して回収部としての硬貨回収カセット237に送るようになっている。このことにより、硬貨収納部247の一時保留領域に一時的に保留された硬貨のうち当該硬貨収納部247に収納されない硬貨を硬貨回収カセット237により回収することができる。
なお、本実施の形態による硬貨処理装置200や硬貨処理方法は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、硬貨収納部247を一時保留領域および収納領域に区画するための仕切手段は、ステージ264およびセパレータ272から構成されるものに限定されることはない。このような仕切手段として、ステージ264およびセパレータ272から構成されるもの以外の様々な構成とすることができる。例えば、仕切手段として、硬貨収納部247の収納筒248の内部領域に進出する進出位置と、収納筒248の内部領域から退避する退避位置との間で移動可能となっているとともに、収納筒248に収納される硬貨の収納方向に沿って移動可能となっているセパレータ等の仕切部材(図示しない)を用いてもよい。この場合には、収納筒248内において鉛直方向に移動可能なステージ264上に硬貨を集積させず、位置固定の載置台(図示せず)に硬貨を集積させた場合でも、この載置台上の領域を上記の仕切部材により一時保留領域および収納領域に区画することができるようになる。
また、各硬貨収納部247において一時保留領域および収納領域の大きさをそれぞれ固定するような運用を行うこともできる。具体的には、各硬貨収納部247に既に収納されている硬貨の枚数にかかわらず一時保留領域に50枚の硬貨を一時的に保留させたい場合には、各硬貨収納部247に収納可能な硬貨の枚数を130枚とし、それ以上の枚数の硬貨については硬貨回収カセット237等に送るようにしてもよい。
また、各硬貨収納部247の収納筒248に収納された硬貨を硬貨搬送部220の搬送通路214に繰り出す際に、収納筒248に収納されている硬貨のうち最上層にある硬貨が図16(a)に示すように「への字」形に折れ曲がって変形している場合には(図16(a)(b)において変形硬貨を参照符号C´で表示)、回転板256の突起257が当該硬貨に当接して硬貨搬送部220の搬送通路214に向かって押動する際に、突起257により押動される変形硬貨が案内通路250の下面の隅部250pに衝突してしまい、繰出不良となってしまうおそれがある。これに対し、図16(b)に示すような変形例に係る硬貨処理装置200の硬貨収納機構242では、収納筒248の天井部における硬貨出口とは反対側の箇所に凸部248aを設けている。このことにより、収納筒248に収納されている硬貨のうち最上層にある硬貨が「への字」形に折れ曲がって変形している場合でも、このような変形硬貨における硬貨出口側(案内通路250に近い側)の端部の位置が上がるようになる。このため、当該変形硬貨が回転板256の突起257により硬貨搬送部220の搬送通路214に向かって押動される際に案内通路250の下面の隅部250pに衝突してしまうことを防止することができる。このように、図16(b)に示すような変形例に係る硬貨処理装置200の硬貨収納機構242では、収納筒248の天井部における硬貨出口とは反対側の箇所に凸部248aを設けることにより、収納筒248に変形硬貨が収納されている場合でも繰出不良が発生することが抑制されスムーズに硬貨の繰出動作を行うことができるようになる。
また、各硬貨収納部247の収納筒248に収納された硬貨を硬貨搬送部220の搬送通路214に繰り出す際に、図17(a)(b)に示すように収納筒248に収納されている硬貨のうち最上層にある硬貨の端部(具体的には、硬貨出口とは反対側の端部)が下方に出っ張っている場合には(図17(a)(b)において変形硬貨を参照符号C´で表示)、回転板256の突起257が当該硬貨に当接して硬貨搬送部220の搬送通路214に向かって押動する際に、上から2番目の硬貨も最上層にある硬貨に引っ掛かってしまい2枚の硬貨が重なった状態で繰り出されるようになるため案内通路250において硬貨の詰まり現象が発生してしまうおそれがある。なお、図17(b)は、図17(a)において参照符号Rで示される領域の拡大縦断面図である。このような硬貨の詰まり現象は、ステージ264が当該ステージ264上に集積された硬貨を回転板256に向かって上方に押す力が強い場合に発生しやすい。これに対し、更なる変形例に係る硬貨処理装置200の硬貨収納機構242では、案内通路250において硬貨の詰まり現象が発生した場合には、回転板256を一旦停止させた後にステージ264を下降させ、再びステージ264を上昇させて最上層にある硬貨を回転板256の下面に押し当てた後に回転板256を再び回転させるようなリカバリー動作を行い、このようなリカバリー動作においてステージ264が当該ステージ264上に集積された硬貨を回転板256に向かって上方に押す力を弱めるようにする。このことにより、最上層にある硬貨の端部が下方に出っ張っている場合でも、この硬貨と上から2番目の硬貨との引っかかり度合いが弱められるため、硬貨の詰まり現象を解消することができるようになる。なお、上述したリカバリー動作が複数回行われる場合には、ステージ264が当該ステージ264上に集積された硬貨を回転板256に向かって上方に押す力について、通常の押圧力および弱い押圧力を交互に繰り返すようにしてもよい。
また、更なる変形例に係る硬貨処理装置200では、各硬貨収納部247の収納筒248に収納された硬貨を硬貨搬送部220の搬送通路214に繰り出す際に「への字」形に折れ曲がった変形硬貨が案内通路250で詰まって繰出不良となってしまうことを防止するために、図18に示すように、案内通路250の下面250aの中央部には上方に盛り上がる部分250bが形成されており、この上方に盛り上がる部分250bと案内通路250の上面250cとの間の距離を、硬貨1枚の厚さよりもわずかに大きくしている。すなわち、案内通路250の下面250aと上面250cとの間の距離は、下面250aの中央部に設けられた上方に盛り上がる部分250bと上面250cとの間の距離よりも大きくなるため、「への字」形に折れ曲がった変形硬貨が案内通路250に送られた際にもこの変形硬貨の端部が案内通路250の下面250aと上面250cとの間の空間を通過することができるようになる。また、案内通路250において硬貨の詰まり現象が発生した場合には上述したリカバリー動作を行うが、このようなリカバリー動作においてステージ264を下降させた後にセパレータ272を図8(b)に示すような退避位置から図8(a)に示すような進出位置に移動させ、ステージ264上に集積された複数の硬貨のうち最上層の硬貨の上にセパレータ272を載せるようにする。そして、最上層の硬貨の上に載ったセパレータ272を図8(a)に示すような進出位置から図8(b)に示すような退避位置に移動させることにより、この最上層の硬貨の回転方向の位置を変えるようにする。このことにより、最上層の硬貨が再び回転板256の突起257により押動されて案内通路250に送られた際に、硬貨の回転方向の位置が変わっていることにより図18に示すような断面形状の案内通路250を通過することができるようになり、硬貨の繰出不良を解消することができる。
また、上記の硬貨処理装置200では、硬貨の入金処理や補充処理を行う際に硬貨入金口202に大量の硬貨が投入されたときに、図19に示すように硬貨入金口202で複数の硬貨(図19において参照符号Cで表示)がびっしりと詰まった状態で互いに隣り合うよう立位状態となってしまい硬貨のいわゆるケイリン現象が発生した場合には、硬貨繰出ベルト204により硬貨入金口202から硬貨を硬貨搬送部220に繰り出そうとしても当該硬貨繰出ベルト204により硬貨が搬送されず繰出不良が発生してしまう。これに対し、更なる変形例に係る硬貨処理装置200では、硬貨入金口202において硬貨のいわゆるケイリン現象が発生したときに、各硬貨収納部247の一時保留領域に一時的に保留されている硬貨を当該硬貨収納部247から硬貨搬送部220の搬送通路214に繰り出し、この繰り出された硬貨を搬送ベルト221および硬貨繰出ベルト204により出金搬送方向F2に搬送することによって硬貨入金口202に送るようにする。このことにより、図20に示すように、硬貨入金口202において発生した硬貨のいわゆるケイリン現象が、当該硬貨入金口202に送られる硬貨(図20において参照符号C1で表示)により崩されるようになり、再び硬貨繰出ベルト204により硬貨入金口202から硬貨を繰り出したときに硬貨の繰出不良が発生することが抑制される。また、硬貨収納部247の一時保留領域に一時的に保留されている硬貨は未だ計数が確定していないため、このような一時的に保留されている硬貨を硬貨入金口202に送っても違算等の問題は発生しない。
なお、各硬貨収納部247の一時保留領域に硬貨が一時的に保留されていない場合には、硬貨入金口202において図19に示すような硬貨のいわゆるケイリン現象が発生したときに、各硬貨収納部247に収納済の硬貨を硬貨入金口202に送るようにしてもよい。この場合には、各硬貨収納部247から硬貨入金口202に硬貨を送る際に識別部225により当該硬貨の識別および計数を行うことにより、各硬貨収納部247の在高から硬貨入金口202に送られた硬貨の金額を差し引く必要がある。
また、上述した硬貨の自動精査処理を行う際に硬貨入金口202において図19に示すような硬貨のいわゆるケイリン現象が発生した場合にも、各硬貨収納部247に収納済の硬貨を硬貨入金口202に送ることにより、硬貨入金口202において発生した硬貨のいわゆるケイリン現象を崩すことができる。この際に、硬貨入金口202においていわゆるケイリン現象が発生している硬貨と同じ金種の硬貨が硬貨収納部247に収納されていない場合には、自動精査処理が未だ行われていない金種の硬貨を硬貨収納部247から硬貨搬送部220の搬送通路214に繰り出して硬貨入金口202に送るようにする。