以下、本発明による各実施形態の遮蔽装置を説明する。本発明に係る遮蔽装置には、アコーディオンカーテンや折戸・引き戸・横引きロール状又はプリーツ状網戸等の框を利用するものや、カーテンレール(レール下方にカーテンを垂下するもの)、縦型ブラインド、パネルカーテン等の框を利用しないものが想定される。そこで、框を利用する代表例としてアコーディオンカーテン1を第1実施形態及び第2実施形態とし、框を利用しない代表例としてカーテンレールを第1実施形態及び第2実施形態として説明する。
また、本願明細書中、例えば図1に示すアコーディオンカーテン1の正面図に対して、図示上方及び図示下方をアコーディオンカーテン1の吊り下げ方向に準じてそれぞれ上方向(又は上側)及び下方向(又は下側)と定義し、図示右方向をアコーディオンカーテン1の右方向(又は右側)、及び、図示左方向をアコーディオンカーテン1の左方向(又は左側)、図示を視認する側をアコーディオンカーテン1の前方向(又は前側)、これに相対して奥側をアコーディオンカーテン1の後方向(又は後側)と定義して説明する。例えば、アコーディオンカーテン1の前後方向と称するときは、図1の正面図においてその図示面に対して垂直な方向を云う。また、高さについて言及するときは、アコーディオンカーテン1を設置する床面に対して垂直に延びる上方向の長さを云う。
〔第1実施形態〕
(遮蔽装置を構成するアコーディオンカーテン)
まず、本発明による第1実施形態の遮蔽装置を構成するアコーディオンカーテン1の構成を説明する。以下に説明する第1実施形態の遮蔽装置は、ハンガーレール2内を移動可能な先頭ランナー4を用いて遮蔽材(カーテン材65)を開閉可能に吊下支持するように構成される。図1は、本発明による第1実施形態の遮蔽装置を構成するアコーディオンカーテン1の全体構成を示す正面図である。図2は、本発明による第1実施形態の遮蔽装置を構成するアコーディオンカーテン1について全閉状態時の上方から見て各要素の配置関係を示す平面図である。図3は、本発明による第1実施形態の遮蔽装置を構成するアコーディオンカーテン1について全開状態時の右端側から見て各要素の配置関係を示す側面図である。
図1〜図3に示すように、アコーディオンカーテン1は、ハンガーレール2と、先頭ランナー4と、操作ユニット6と、移動框7と、カーテン本体14と、コードストッパ装置70と、閉ループ用コード26、牽引コード51とを主要な構成要素としている。
ハンガーレール2は、遮蔽材(カーテン材65)を吊下支持するランナー3及び先頭ランナー4が移動可能なように下端側が開口している略四角筒状の部材である。ハンガーレール2の上面にはブラケット15と嵌合する嵌合部が設けられる。したがって、ハンガーレール2の上端面は、このブラケット15を介して天井側の取付面に固定される。
ランナー3は、カーテン材65を吊下支持するとともに、ハンガーレール2の内部を移動可能に構成される。
先頭ランナー4は、移動框7の上端部に固着される。より具体的には、先頭ランナー4の下端部には、段付きに折り曲げられたアタッチ部材20が設けられる。アタッチ部材20は、移動框7に固定する固定部23と、先頭ランナー4に固定する吊下部材22と、ハンガーレール2の下面開口部に差し込み、移動框7やカーテン本体14がスライドする際に生じうる先頭ランナー4の回動を抑制するよう機能する回動案内バー21からなる。
また、先頭ランナー4の右端部には、アダプタ25が一体的に設けられ、アダプタ25は、錘コード29の一端が取着されるとともに、閉ループ用コード26の一端が取着される。錘コード29の他端は、操作ユニット6内に設けられる滑車31により向きを転向して垂れ下がり、加力手段としての錘部材30に連結されている。閉ループ用コード26の他端は、操作ユニット6内に設けられる滑車27により向きを転向し、ハンガーレール2の上部の複数個所に配置されるブラケット15の内側部を挿通し、操作コード42とともにコードイコライザ9に取着される。
取付フレーム5は、上下方向に立設しているフレーム部材であり、操作ユニット6を介してハンガーレール2を固着している。取付フレーム5の左端面は、移動框7の右端面が当接する部分となっている。また、取付フレーム5の内部では、先頭ランナー4に一体的に設けられたアダプタ25から操作ユニット6内の滑車31により向きを転向して垂れ下がる錘コード29が挿通され、錘コード29に連結する錘部材30が収容されている。尚、錘部材30は、カーテン本体14を自動的に閉じるのに利用する質量を有している。ただし、後述するコイルスプリング64の付勢力により、カーテン本体14を自動的に閉じるのに錘部材30の設置を不要とする構成とすることもできる。錘部材30を不要とする際には、取付フレーム5の左右方向の幅を薄型化することにより、カーテン本体14の開空間を拡大させることが可能となる。尚、滑車31は、取付フレーム5の上に設けてもよい。
操作ユニット6は、ハンガーレール2の上端部に固着される。操作ユニット6には、図1の正面図に対して、アコーディオンカーテン1の前側と後側にそれぞれガイドポール41が連結され、図2に示すように、操作コード42の一端側の末端がガイドポール41内部の挿通孔を通り操作グリップ40の内部に取着される。また、操作ユニット6は、操作用プーリー43を備え、操作用プーリー43により、操作コード42の他端側の末端を、ハンガーレール2の上端部にて複数個所に配設させるブラケット15の内側部を挿通するように向きを転向させる。その後、当該操作コード42の他端側の末端は、閉ループ用コード26とともに、コードイコライザ9に取着される。
また、操作ユニット6は、滑車27を備え、滑車27により、先頭ランナー4に一体的に設けられたアダプタ25に一端を取着した閉ループ用コード26の他端をコードイコライザ9に取着するべく向きを転向させる。また、操作ユニット6は、滑車31を備え、滑車31により、先頭ランナー4に一体的に設けられたアダプタ25に一端を取着した錘コード29の他端を錘部材30に連結するべく向きを転向させる。
移動框7は、上下方向に延伸しているフレーム状の部材であり、移動框7の取付フレーム5に当接する右端面にはクッション材7aを有する。移動框7はカーテン本体14の一端部を覆うように上方から見て略U字形状を有する。これにより、移動框7の内部を外から見えないようにするとともに、操作者の指や手を挟んで損傷させることを防止する。移動框7の上端側では先頭ランナー4を固着しているため、移動框7がハンガーレール2に沿って移動した際には、カーテン本体14が併せて移動することになり、カーテン材65の開閉が行われる。尚、取手は設けられておらず、框に指がかかる段差もない為、開方向に押すことは可能でも閉方向に引くことは容易ではない点に留意する。
固定框8は、アコーディオンカーテン1の左端部に設けられている。固定框8は、左壁面に固定され、移動しないように設けられる。尚、固定框8の右端面は、カーテン本体14の一端部を覆うように上方から見て略U字形状を有する。
コードイコライザ9は、操作コード42の一端及び閉ループ用コード26の一端を取着する第1連結部と、2本の牽引コード51a,51b(総括して、「牽引コード51」とも称する)の各一端を取着する第2連結部とを備える。コードイコライザ9は、ブラケット15の内側部を挿通可能な大きさを有し、操作コード42の操作に応じてハンガーレール2の上側部にてその長尺方向に移動可能に設けられる。
転向滑車ユニット10は、固定框8の上端部に固着される。転向滑車ユニット10は、内部に滑車52を備える。コードイコライザ9の一端部に設けられる第2連結部に取着された2本の牽引コード51a,51bがコードストッパ装置70を経た後、滑車52を介して下方に転向して牽引コード51aについては滑車ユニット11を介してハンガーレール2の長尺方向と略平行に左端から右端に向けて転向し、牽引コード51bについては滑車ユニット12を介してハンガーレール2の長尺方向と略平行に左端から右端に向けて転向する。その後、牽引コード51aは、移動框7に固着されたコード調整器13にて係止される。牽引コード51bも同様に、移動框7に固着されたコード調整器(図示せず)にて係止される。尚、転向滑車ユニット10は、ハンガーレール2の左端部に設けてもよい。
滑車ユニット11は、転向滑車ユニット10を経て下方に向かう牽引コード51aをハンガーレール2の長尺方向と略平行に左端から右端に向けて転向させる。その後、牽引コード51aは、移動框7に固着されたコード調整器13にて係止される。
滑車ユニット12は、転向滑車ユニット10を経て下方に向かう牽引コード51bをハンガーレール2の長尺方向と略平行に左端から右端に向けて転向させる。その後、牽引コード51bは、移動框7に固着されたコード調整器(図示せず)にて係止される。
コード調整器13は、移動框7に固着され、カーテン材65が全閉状態時に、滑車ユニット11に対する牽引コード51aの経路がハンガーレール2の長尺方向と略平行となるように牽引コード51aの長さを調整して係止する。また、コード調整器13と同様のコード調整器(図示せず)が、牽引コード51bを同様に係止するよう移動框7に固着される。
操作コード42は、紐状の部材であり、その一端側の末端は操作グリップ40の内部に取り付けられている。一方、閉ループ用コード26、及び牽引コード51a,51bは、操作コード42よりも直径が小さく設けられている。即ち、閉ループ用コード26、及び牽引コード51a,51bについては操作者の操作の必要がないが、操作コード42は、操作者の操作に係るものであるため、その直径は大きく設けられている。また、牽引コード51a,51bは、固定框8の上端部に固着した転向滑車ユニット10内の滑車52を介して下方に向かうため、牽引コード51a,51bの直径は、操作コード42の直径よりも小さく設けられている。
ここで、操作コード42、牽引コード51a,51b、及び閉ループ用コード26の経路に関して改めて説明する。操作グリップ40側から操作コード42に沿って進行すると、操作コード42は、ガイドポール41の挿通孔を通り、操作用プーリー43によってハンガーレール2の上部でその長尺方向に沿ってブラケット15の内側部を挿通するように向きを転向させられ、閉ループ用コード26とともに、コードイコライザ9の第1連結部に取着される。
コードイコライザ9の第2連結部に取着された2本の牽引コード51a,51bは、コードストッパ装置70を通過し、固定框8の上端部に固着した転向滑車ユニット10内の滑車52を介して転向する。滑車52により転向した牽引コード51aは、滑車ユニット11により向きを転向し、移動框7に固着されたコード調整器13に係止される。滑車52により転向した牽引コード51bも同様に、滑車ユニット12により向きを転向し、移動框7に固着されたコード調整器(図示せず)に係止される。コードイコライザ9の第1連結部に取着された閉ループ用コード26は、ハンガーレール2の上部でその長尺方向に沿って操作ユニット6へと向かい、操作ユニット6内の滑車27を介してアダプタ25へと連結される。従って、閉ループ用コード26、牽引コード51、及び移動框7による閉ループが形成される。
これにより、操作グリップ40が操作され、ハンガーレール2の上部では操作コード42が右方向に移動すると、コードイコライザ9も右方向に移動して牽引コード51も移動するため、牽引コード51も移動に併せて移動框7が左方向(カーテン材65の開方向)に移動する。この移動框7の左方向の移動に併せて移動框7の上端部に固着された先頭ランナー4に連結する閉ループ用コード26が引張られるため、当該コードイコライザ9の右方向への移動を助力し協働するようになる。
カーテン本体14は、カーテン材65及びパンタグラフ状に伸縮させる骨組みとしての伸縮機構からなり、この伸縮機構の一端部は移動框7に固定され、その他端部は固定框8に固定されている。より具体的には、図1及び図2に示すように、伸縮機構は、支軸61及び連結軸62を介して回動可能に端部を連結するリンク片60と、複数のコイルスプリング64から構成される。尚、連結軸62は、例えば1つおきの間隔で、ランナー3の吊下部材により吊り下げられている。また、図1に示す例では、この伸縮機構は、上下方向に例えば3セット設けられているが、アコーディオンカーテン1においては、伸縮機構を設ける個数は、2つ以上であれば幾つであってもよい。
複数のコイルスプリング64は、カーテン材65を閉方向に付勢するよう、当該骨組みとして各菱形部分を構成する略平行なリンク片60(前側リンク片と後側リンク片)との間に、カーテン材65の厚さ方向に山形に突出する頂部近傍で連結し、複数個所にて配設されている(図2参照)。移動框7が取付フレーム5に当接している状態から移動框7を開方向に操作すると、当該骨組みが畳み込まれ、複数のコイルスプリング64には付勢力が蓄勢される。この状態で、操作グリップ40を手放すと、コードストッパ装置70により牽引コード51の移動状態を阻止するクラッチ動作が機能するときは、当該移動框7の停止位置でカーテン材65が開状態に維持される。一方、操作グリップ40を手放すときに、コードストッパ装置70により牽引コード51の移動状態を許容するクラッチ動作が機能するときは、コイルスプリング64の付勢力により、移動框7が取付フレーム5に当接する全閉状態まで自動的に移動する。
リンク片60の外側には、カーテン材65が取り付けられている。このカーテン材65は、平面状の布状部材や皮状部材となっている。カーテン材65は、伸縮機構や牽引コード51等を覆い、これらが外部から見えないようになっている。
ブラケット15は、取付面に対してハンガーレール2を位置決めして固着するための部材である。このブラケット15は、取付面に固定するための固定部と、当該ブラケット15を回動嵌合によりハンガーレール2と一体化させるための嵌合部とを有する。この固定部は、取付面とハンガーレール2の上面との間に所定のコードを挿通可能な隙間を有するように屈曲成形された形状を有する。
コードストッパ装置70は、その内部を通る牽引コード51の移動作用に伴って(即ち、操作者の操作による操作コード42の移動作用に伴って)、牽引コード51の移動状態を許容するか、又はその移動状態を阻止するようロックするかを切換動作する所謂クラッチ動作を行う装置であり、操作性を高めるために設けられる。コードストッパ装置70に関する実施例は後述する。
このように構成したアコーディオンカーテン1は、把手を掴んでカーテン本体を引き出す構造ではなく、框に取手は設けられず、框の断面で前後面には閉方向に向かって手指で引くことが可能な深さ5mmを超えるような段差も無く、框を誤って閉方向に引っ張ることは困難となっている。また、操作コードを介してカーテン本体を引き出す構造であるため、移動框の移動に伴い操作者が移動する必要もなく、例えば車椅子使用者が正対した状態での引き出し操作も容易となり、操作性が良好となる。
また、操作グリップ40に連結する操作コード42を用いてアコーディオンカーテン1の開閉を直接的に可能とするため、操作のダイレクト感が生じるため、操作性が良好となる。
(実施例1のコードストッパ装置)
次に、実施例1のコードストッパ装置70について説明する。図1に示すように、ハンガーレール2に、実施例2のコードストッパ装置70が取り付けられる。図4(a),(b)は、本発明による第1実施形態の遮蔽装置を構成するアコーディオンカーテン1における実施例1のコードストッパ装置70の構成を示す断面正面図である。特に、図4(a)は、ストッパカム170が牽引コード51を噛んでいない状態を示し、(b)はストッパカム170が牽引コード51を噛んでいる状態を示している。図5は、コードストッパ装置70を構成する台車150、押圧部材160及びストッパカム170を示す分解斜視図である。
実施例1のコードストッパ装置70は、次のような動作を実現可能としている。即ち、コードストッパ装置70の内部を通る牽引コード51がカーテン材65の閉方向に対応する左方向への移動を阻止し、コイルスプリング64の付勢力により自動的にカーテン本体140が閉じるのを阻止するロック状態を実現可能としている。また、ロック状態から牽引コード51を若干右方向に戻すことにより、ロック状態が解除される。これにより、コイルスプリング64の付勢力により自動的にカーテン本体140が閉じる状態となる。尚、コイルスプリング64の付勢力の代わりに、或いはコイルスプリング64の付勢力に付加して、加力手段としての錘部材30を利用することが可能であることに留意する。
このような動作を実現するため、コードストッパ装置70は、ケース140を備えており、そのケース140の内部には、台車150が左右方向に移動可能に支持されている。この台車150の上部には、後述する押圧部材160との間で牽引コード51を挿通させる挿通部151が形成されている。図4及び図5に示す構成では、挿通部151は、平板状に設けられている。また、ケース140の右端部には牽引コード51の左右方向の移動を支持するための滑車141が設けられている。
また、台車150には、押圧部材160が取着されている。押圧部材160は、挿通部151と対向して設けられ、その挿通部151との間で牽引コード51を挟持する部材である。この押圧部材160は、弾性を有する金属プレートから形成され、平板状の上面部161の幅方向の両端側は下方に向かうように折り曲げられた側面部162となっている。その側面部162には、切欠部162aが設けられ、その切欠部162aには台車150の側面部152の右側且つ上方のフック部153が嵌め込まれる。これにより、押圧部材160は、台車150に対して相対的に移動しない状態となっている。
また、上面部161には湾曲部163が連続しており、この湾曲部163には、押圧部164が連続している。尚、湾曲部163は上面部161の左端部で湾曲するように折り曲げられている部分であり、押圧部164は左側の湾曲部163から右側に向かう部分である。また、押圧部164の右端部は、上方に向かうように折り曲げられている。
押圧部164は、挿通部151上に位置する牽引コード51を、付勢力を有する状態で押圧している。このため、押圧部164と牽引コード51との間には、所定の摩擦力が生じる。これにより、ケース140内で牽引コード51が移動すると、その移動には、押圧部材160と台車150とが伴う状態となっている。ただし、牽引コード51が移動する状態で、ケース140内で台車150の移動が阻止されると、押圧部材160の移動も阻止される。この場合、牽引コード51は、押圧部164に対し当該摩擦力の加わった状態で摺動する。
図5に示すように、台車150の側面部152には、横長孔154aと縦長孔154bとが設けられている。横長孔154aは、その長手が左右方向に沿っていて、縦長孔154bは、その長手が上下方向に沿っている。尚、横長孔154aの幅は、縦長孔154bの幅よりも大きく設けられている。横長孔154aには、ストッパカム170の基軸171が挿入される。基軸171は、横長孔154a内を移動するため、上下方向の移動は規制されるが、左右方向の移動は、横長孔154a内であれば規制されない状態となっている。一方、縦長孔154bには、ストッパカム170の係合軸172が挿入される。係合軸172は、縦長孔154b内を移動可能となっている。したがって、基軸171と係合軸172の距離は一定であるため、横長孔154a内の基軸171の位置に応じて、縦長孔154b内の係合軸172の位置が定まり、それによってストッパカム170の傾倒度合いが定まる。
図5に示すように、ストッパカム170は、それぞれの側面の下方に基軸171を備えており、この基軸171は上述した横長孔154aに挿入される。また、ストッパカム170の下方側からは、さらに下方に向かうように舌片173が突出しており、その舌片173はケース140の底面側を切り欠いて形成された当接部140aに当接する。
ストッパカム170のうち、基軸171及び舌片173から離間する外周側には、歯車状の噛合部174が設けられている。この噛合部174は、ケース140の対向片142と対向して設けられている。ここで、噛合部174は、左端側が基軸171に最も近く、そこから右端側に向かうにつれて基軸171から遠くなるように設けられている。このため、図4(a)に示す状態では、噛合部174と対向片142との間には、牽引コード51を挿通させるのに十分な隙間が存在している。ただし、図4(b)に示す状態では、噛合部174と対向片との間の隙間が狭くなる。このとき、噛合部174は、牽引コード51を噛んで、その牽引コード51が左方向に移動するのを阻止する。
また、ストッパカム170のそれぞれの側面には、係合軸172が設けられており、この係合軸172は、噛合部174の側面左端側に設けられている。この係合軸172は、上述した縦長孔154bに挿入される。
ところで、ケース140には、保持片143が設けられている。図4(a)に示すような基軸171が横長孔154aの左端部に位置する状態において、台車150が左方向に向かい移動すると、ストッパカム170は、暫くは台車150と共に移動する。そして、基軸171が保持片143に保持されると、台車150は更に左方向に移動できる状態でも、ストッパカム170のそれ以上の左方向への相対移動が阻止される。このため、基軸171は横長孔154aの右方向に向かって相対移動する。
上述のように基軸171が横長孔154a内で移動すると、その基軸171に対して一定の距離を隔てている係合軸172も縦長孔154b内で移動する。このとき、係合軸172は、縦長孔154b内を上方に向かって移動するが、その際には台車150が右方向へ移動する。このため、図4(b)に示すように、ストッパカム170の噛合部174は、対向片143に接近し、牽引コード51を挟持する。
また、ケース140と台車150との間には、カム軸144と案内溝155から構成されるカム機構CMが設けられている。カム軸144は、ケース140の軸取付部145に取り付けられ、上方に向かい突出している。カム軸144は、ケース140の幅方向(前後方向)への移動は許容するものの、長手方向(左右方向)への移動は許容しない状態となっている。また、案内溝155は、台車150の挿通部151の下面側に形成され、カム軸144が入り込む位置に設けられている。
図6は、案内溝155におけるカム軸144の位置を示す底面図である。図6に示すように、案内溝155は台車150の移動にともなって、カム軸144を第1位置P1から第4位置P4の順に移動させ、それら位置P1〜P4のいずれの位置でも、案内溝155はカム軸144を保持可能となっている。
ここで、牽引コード51が噛合部174と対向片143との間で挟持されている状態では、牽引コード51の左方向に向かう移動は阻止され、カーテン本体140が閉じるのが規制されている。このとき、カム軸144は第1位置P1に位置している。
このP1にカム軸144が位置する状態から、牽引コード51を右方向に向けて僅かに引き出す。そして、フリーの状態として、コイルスプリング64の付勢力によって、台車150は牽引コード51の移動方向と同方向に移動し、その移動に基づいて、カム軸144は第1位置P1から第2位置P2に向かう。このとき、図6に示す変位最低移動量R未満であれば第1位置P1の挟持状態に戻り、変位最低移動量R以上であれば、第2位置P2から第3位置P3にまで達する。このとき、ストッパカム170の噛合部174は、対向片143との間で牽引コード51を挟持していない。このため、カーテン本体140は、閉じ状態まで自動的に移動する。
そして、完全に閉じ状態となった後に、操作コード42を引いて、再びカーテン本体140を開く方向に移動させる場合、その動作に伴って、牽引コード51は右方向に移動させられる。そのとき、台車150は牽引コード51の移動方向と同じく右方向に向かい図6に示す第2の変位最低移動量T以上移動すれば、その移動に基づいて、カム軸144は第3位置P3から第4位置P4に移動する。尚、第2の変位最低移動量T未満であれば第3位置P3に戻る。第4位置P4のとき、台車150はケース140の右端部側に位置する。また、ストッパカム170の噛合部174は、対向片143との間で牽引コード51の挟持を解除している。このため、カーテン本体140を所望の位置まで開くことが可能である。
そして、カーテン本体140を所望の位置まで開いた後に、操作グリップ40から手を離すと、コイルスプリング64の付勢力によって、牽引コード51とともに台車150が左方向に移動させられる。すると、図4に示すように、ストッパカム170の噛合部174が対向片143に近付くように回動し、噛合部174と対向片143との間で牽引コード51を挟持する。これにより、左方向に向かう牽引コード51の移動が阻止され、カーテン本体140が閉じようとするのが規制される。このとき、カム軸144は第4位置P4から第1位置P1に移動する。
このように構成された実施例1のコードストッパ装置70により、その内部を通る牽引コード51の移動作用に伴って(即ち、操作者の操作による操作コード42の移動作用に伴って)、牽引コード51の移動状態を許容するか、又はその移動状態を阻止するようロックするかを切換動作する所謂クラッチ動作を行うことが可能となる。ここで、図7に示すように、牽引コード51及び閉ループ用コード26は、移動框7を介して閉ループとなっており、閉ループ用コード26が操作コード42により矢印A方向に引かれると、コードストッパ装置70が動作するのは上述の通りである。また、移動框7が外力で直接矢印C方向(開方向)に押された場合も、閉ループ用コード26の下方が矢印B方向に移動し上方がA方向に移動して閉ループが開方向に転回し、コードストッパ装置70がその移動を検知できるようになっている。そして、上述の通り、操作コード42又は移動框7の開方向への移動距離により移動状態を阻止するようロックするかを切換できるため、操作者が直感的に操作できるようになる。そして、先頭ランナー4を開方向に移動させる手段として当該閉ループを開方向に移動可能な操作コード42のみ操作ユニット6から露出させ垂下するよう構成したため、操作者は操作を迷いにくくなる。
(実施例2のコードストッパ装置)
次に、実施例2のコードストッパ装置70について説明する。図1に示すように、ハンガーレール2に、実施例2のコードストッパ装置70が取り付けられる。図8(a),(b),(c)は、本発明による第1実施形態の遮蔽装置を構成するアコーディオンカーテン1における実施例2のコードストッパ装置70の構成を示す説明図である。特に、図8(a)は解除状態において台車240がケース220に収納された状態を示す平面図であり、図8(b)は解除状態における断面正面図であり、図8(c)は解除状態におけるケース220を除いた状態を示す底面図である。図9は、実施例2のコードストッパ装置70を構成する台車240、押圧部材250及びストッパカム260を示す分解斜視図である。図10は、実施例2のコードストッパ装置70のケース220に関する斜視図である。図11は、実施例2のコードストッパ装置70の案内溝300の底面図である。そして、図12(a),(b),(c)は、実施例2のコードストッパ装置70の構成を示す説明図であり、(a)はロック状態において台車240がケース220に収納された状態を示す平面図であり、(b)はロック状態における断面正面図であり、(c)はロック状態におけるケース220を除いた状態を示す底面図である。
実施例2のコードストッパ装置70は、次のような動作を実現可能としている。即ち、コードストッパ装置70の内部を通る牽引コード51がカーテン材65の閉方向に対応する左方向への移動を阻止し、コイルスプリング64の付勢力により自動的にカーテン本体140が閉じるのを阻止するロック状態を実現可能としている。また、ロック状態から牽引コード51を若干右方向に戻すことにより、ロック状態が解除される。これにより、コイルスプリング64の付勢力により自動的にカーテン本体140が閉じる状態となる。尚、コイルスプリング64の付勢力の代わりに、或いはコイルスプリング64の付勢力に付加して、加力手段としての錘部材30を利用することが可能であることに留意する。
実施例2のコードストッパ装置70では、ロック状態から、操作コード42を下方に長引きし(牽引コード51を右方向へと長引きし)、その長引き後に操作グリップ40から手を離すと、再びロック状態が実現される。
また、操作コード42を長引きしない状態で、操作グリップ40から手を離すと、牽引コード51の移動が阻止されない解除状態となる。このため、カーテン本体140への付勢力によって、カーテン本体140は閉方向へ移動する。
そして、牽引コード51の移動を許容する解除状態から、操作コード42を引き、その後操作グリップ40から手を離すと、再びロック状態が実現される。尚、解除状態からロック状態へ移行させる場合には、後述する凹部311からカム軸230が外れる程度以上に操作コード42を引く必要がある。
このような動作を実現するため、実施例2のコードストッパ装置70は、次のように構成されている。即ち、実施例2のコードストッパ装置70は、ケース220と、カム軸230と、台車240と、押圧部材250と、ストッパカム260とを主要な構成としている。以下、各構成について順次説明する。
まず、コードストッパ装置70が備えるケース220及びカム軸230について説明する。図10は、ケース220を示す斜視図である。ケース220は、上方側と、両側の端部が開口して設けられている。ここで、右端側の開口からは、ケース220に移動自在に取り付けられる台車240が飛び出し可能となっているが、左端側の開口からは、台車240はほとんど飛び出さない状態となっている。これは、図8(b)及び図8(c)に示すように、ケース220の左端側上方には、台車240の飛び出しを規制する規制片221が存在するためである。規制片221は、台車240の上方突出部241aと衝突することで、台車240の左端側の開口からの飛び出しが規制される。
また、ケース220の右端側の上方には、その上方の開口部分の一部を塞ぐ対向片222が設けられている。対向片222は、左右方向に延伸する平板状部222aを有しているが、牽引コード51のガイド性を良好にするために、平板状部222aから左端部に向かうにつれて上方に傾斜して設けられている。また、平板状部222aの右端部は、角が取られたR形状に設けられている。
この対向片222は、ストッパカム260の噛合部264と対向して設けられている。ストッパカム260が倒れた状態では、対向片222と噛合部264との間には、牽引コード51を挿通させるのに十分な隙間が存在しているが、ストッパカム260が起立した状態では、対向片222と噛合部264との間の隙間が狭くなる。このとき、噛合部264は、牽引コード51を噛んで、その牽引コード51が左方向に移動するのを阻止する。
また、図8(b)に示すように、ケース220の底面220a側には、当該底面220aを切り欠いた切欠部223が設けられており、その切欠部223には、ストッパカム260の舌片263が挿入される。舌片263は、切欠部223の右側の内壁である当接部223aに当接して、ストッパカム260が図8(b)において反時計回りに倒れるのを規制する。
また、ケース220には、保持片224が設けられている。保持片224は、ケース220側において、ストッパカム260の基軸261に当接する部分である。図9に示すような基軸261が台車240の横長孔244aの左端部に位置する状態において、台車240及びストッパカム260が左方向に向かい移動して、基軸261が保持片224に保持されると、台車240は左方向に移動できる状態でも、ストッパカム260のそれ以上の左方向への相対移動が阻止される。
また、図8(b)に示すように、底面220aからは上方に向かい突出部225が突出している。突出部225は、ケース220の幅方向(前後方向)を長手方向としている。この突出部225の上方には、カム軸230が入り込むことが可能な摺動溝226が設けられている。摺動溝226は、幅方向に向かい延伸している溝部分であり、段付きの溝形状に設けられている。摺動溝226での案内により、カム軸230は、ケース220の幅方向への移動は許容されるものの、ケース220の長手方向(左右方向)への移動は許容しない状態となっている。
尚、ケース220と台車240との間には、カム軸230と案内溝300から構成されるカム機構CMが設けられている。カム機構CMを構成するカム軸230には、円盤状の台座部231と、台座部231の両面側から上下方向にそれぞれ突出する突出部232b,232aとを有している。台座部231の下面側の突出部232aは、摺動溝226のうち幅狭の下段側の溝部分に入り込むが、台座部231は摺動溝226のうち幅広の上段側の溝部分に入り込む。一方、台座部231の上面側の突出部232bは、台車240の案内溝300に入り込む。
続いて、台車240及び押圧部材250について説明する。台車240は、ケース220に対してスライド自在に設けられている。この台車240は、スライド部材に対応する。図9に示すように、台車240には、一対の側壁部241が設けられており、その側壁部241の左端側上方の部位には、上方に向かい突出する上方突出部241aが設けられている。上方突出部241aには、フック部242が設けられており、このフック部242が押圧部材250の切欠部252aに嵌まり込むことで、押圧部材250が台車240に対して移動不能に取り付けられる。
また、台車240には、ガイド板部243が設けられている。ガイド板部243は、その上面側が押圧部材250と対向して設けられており、このガイド板部243と押圧部材250との間で牽引コード51を挟持する。また、ガイド板部243の下面側には、案内溝300が形成されている。
尚、ガイド板部243と対向する押圧部材250は、弾性を有する金属プレートから形成されており、平板状の上面部251の幅方向(前後方向)の両端側は下方に向かうように折り曲げられた側面部252となっている。側面部252には、切欠部252aが設けられており、この切欠部252aには台車240のフック部242が嵌め込まれる。これにより、押圧部材250が台車240に対して取り付けられる。
また、上面部251には湾曲部253が連続していて、その湾曲部253には、押圧部254が連続している。湾曲部253は、上面部251の右端部で湾曲するように折り曲げられている部分である。押圧部254は、右端側の湾曲部253から左方向に向かう部分である。尚、押圧部254の左端部は、上方に向かうように折り曲げられている。
押圧部254は、ガイド板部243上に位置する牽引コード51を、付勢力を有する状態で押圧している。そのため、押圧部254と牽引コード51との間には、所定の摩擦力が作用する。これにより、ケース220内で牽引コード51が移動すると、その移動には、押圧部材250と台車240とが伴う状態となっている。しかし、牽引コード51が移動する状態で、ケース220内で台車240の移動が阻止されると、押圧部材250の移動も阻止される。この場合、牽引コード51は、押圧部254に対し当該摩擦力の加わった状態で摺動する。
また、図9に示すように、台車240の側壁部241の右端側の部位には、横長孔244aと縦長孔244bとが設けられている。横長孔244aは、その長手が左右方向に沿っていて、縦長孔244bは、その長手が上下方向に沿っている。尚、横長孔244aの幅は、縦長孔244bの幅よりも大きく設けられている。
横長孔244aには、ストッパカム260の基軸261が挿入される。基軸261は、横長孔244a内を移動するため、上下方向の移動は規制されるが、左右方向の移動は、横長孔244a内であれば規制されない状態となっている。一方、縦長孔244bには、ストッパカム260の係合軸262が挿入される。係合軸262は、縦長孔244b内を移動可能となっている。したがって、基軸261と係合軸262の距離は一定であるため、横長孔244a内の基軸261の位置に応じて、縦長孔244b内の係合軸262の位置が定まり、それによってストッパカム260の傾倒度合いが定まる。
次に、ストッパカム260について説明する。図9に示すように、ストッパカム260は、それぞれの側面の下方に基軸261を備えており、この基軸261は上述した横長孔244aに挿入される。また、ストッパカム260のそれぞれの側面には、係合軸262が設けられており、この係合軸262は、噛合部264の側面左端側に設けられている。この係合軸262は、上述した縦長孔244bに挿入される。
また、ストッパカム260の下方側からは、さらに下方に向かうように舌片263が突出していて、その舌片263はケース220を切り欠いて形成された当接部223aに当接する。また、ストッパカム260のうち、基軸261及び舌片263から離間する外周側には、歯車状の噛合部264が設けられている。噛合部264は、ケース220の対向片222と対向して設けられている。ここで、噛合部264は、左端側が基軸261に最も近く、そこから右端側に向かうにつれて基軸261から遠くなるように設けられている。また、図8(b)に示す状態では、噛合部264と対向片222との間には、牽引コード51を挿通させるのに十分な隙間が存在している。しかし、図12(b)に示す状態では、噛合部264と対向片222との間の隙間が狭くなる。このとき、噛合部264は、牽引コード51を噛んで、その牽引コード51が左方向に移動するのを阻止する。
ところで、ストッパカム260においては、基軸261が横長孔244a内で移動すると、その基軸261に対して一定の距離を隔てている係合軸262も縦長孔244b内で移動する。このとき、係合軸262は、縦長孔244b内を上方に向かって移動するが、その際には台車240が左方向へ移動する。そのため、図12(b)に示すように、ストッパカム260の噛合部264は、対向片222に接近し、牽引コード51を挟持する。
次に、カム機構CMを構成する案内溝300について説明する。上述したように、ケース220と台車240との間には、摺動溝226、カム軸230及び案内溝300から構成されるカム機構CMが設けられている。このうち、案内溝300は、台車240のガイド板部243の下面側に形成され、且つカム軸230が入り込む位置に設けられている。尚、案内溝300は、ガイド部に対応する。また、案内溝300は、カム軸230が円滑に移動可能となっている。
図11は、案内溝300の形状を示すと共に、カム軸230の案内溝300における位置を示す図である。図11に示すように、ガイド板部243の下面側には、第1ランド部310と、第2ランド部320とが案内溝300で囲まれる状態で設けられている。カム軸230は、この第1ランド部310と第2ランド部320の周囲の案内溝300を摺動する。第1ランド部310及び第2ランド部320は、その表面がガイド板部243の下面と同程度の高さとなるように設けられていて、カム軸230が第1ランド部310の表面及び第2ランド部320の表面に位置しないようにしている。
また、第1ランド部310は、左方に開口した凹部311が存在する略V字形状(概ねハート形状)に設けられている。尚、凹部311は、第1ランド部310を構成する壁面312に囲まれることで構成されている。また、第1ランド部310は、単純なV字形状を変形させた形状に設けられ、これによって、案内溝300の溝幅が広がってしまうのを防止して、案内溝300でのカム軸230のガイド性を良好としている。
具体的には、第1ランド部310の大部分の部位は、左右方向及び前後方向に傾斜した壁面を有しているが、第1ランド部310の後方(図示上方)の部位には、左右方向に沿った壁面312aが存在している。また、第1ランド部310の後方(図示上方)の左端部と前方(図示下方)の左端部は、カム軸230が摺動しつつも大きくガタ付かない程度に設けられている。
また、第2ランド部320は、略平行四辺形の形状に設けられている。ただし、第2ランド部320の後方(図示上方)の壁面321は、第1ランド部310の後方(図示上方)の壁面312aに対して、左右方向の位置が同程度の位置となるように設けられている。ただし、第2ランド部320の前方(図示下方)の壁面322は、第1ランド部310の前方(図示下方)の壁面312bよりも、後方(図示上方)に位置するように設けられている。特に、壁面312bは、壁面322と対向する内壁面304に対して、前後方向の位置が同程度か、又は壁面304よりも前方に位置している。壁面304の壁面312bに対する位置が、このような位置となることにより、カム軸230が凹部311に位置する解除状態を実現可能としている。
ここで、案内溝300には、上述した第1ランド部310及び第2ランド部320を取り巻くように、第1ループ溝301と第2ループ溝302とが設けられている。第1ループ溝301は、図11において、カム軸230が第1位置p1、第2位置p2、第3位置p3、第4位置p4と順次移行し、再び第1位置p1に戻るようなループを描く溝部分である。
尚、第2ループ溝302の前方(図示下方)の溝部分302a(第5位置p5に到達しない部分であり、直線状の部分に対応)は、直線状を為すように設けられている。即ち、第2ループ溝302のうち、第1位置p1から第5位置p5に向かう経路には、直線状の溝部分302aと、その溝部分302aから左上方に向かう(図11で左斜め上に向かう)溝部分302cとが存在している。
また、溝部分302a以外に、第2ループ溝302のうち後方(図示上方)の溝部分302bも直線状に設けられ、これら溝部分302aと溝部分302bとは平行となっている。また、直線状の溝部分302a,302bが延伸する方向は、台車240がスライドする方向(左右方向)と平行となっている。ただし、溝部分302aと溝部分302bとは平行を為していなくても良い。また、溝部分302a,302bの方向は、台車240がスライドする方向(左右方向)と平行でないものとしてもよい。
また、案内溝300のうち、第5位置p5から第4位置p4を経て壁面312a付近までの溝部分は、直線状に設けられている。即ち、案内溝300には、第1ループ溝301と第2ループ溝302とに跨って直線状をなす部分が存在している。この直線状をなす部分は、第2ループ溝302の後方(図示上方)の溝部分302bと、第1ループ溝301の壁面312a付近の溝部分301aとを備え、それらが直線状に連続して一体的な状態を為している。
尚、図11に示す構成では、第1位置p1は、第1ループ溝301のループ状の部分には存在していなく、ループ状の部分から右方向に飛び出す部分に存在している。しかしながら、この右方向に飛び出す部分も、第1ループ溝301に含めるようにしてもよい。尚、第1位置p1は、ロック位置に対応する。
これに対して、第2ループ溝302は、第2ランド部320の周囲を囲む溝形状部分である。第2ループ溝302は、第1ループ溝301と連続している。そのため、カム軸230が案内溝300を摺動する際には、第1ループ溝301と第2ループ溝302とで摺動状態が切り替わることなく、スムーズに摺動する。尚、第2ループ溝302は、第1ループ溝301の一部と重なっていてもよい。
第2ループ溝302においては、カム軸230は、第2位置p2から第2ループ溝302の前方(図示下方)の溝部分302aを通って第5位置p5に至り、その第5位置p5を経た後に、第2ループ溝302の後方(図示上方)の溝部分302bを通って第4位置p4へと至る。そして、カム軸230が第4位置p4に至った後には、第1ループ溝301の右方向に進行し、最終的に第1位置p1へと戻る。
以上のような構成における、第1位置p1〜第5位置p5にカム軸230が存在する場合の動作について、以下に説明する。先ず、図11に示す第1位置p1(ロック位置)にカム軸230が存在する場合、牽引コード51は、対向片222と噛合部264との間で挟持されたロック状態となっている。この時のコードストッパ装置70の状態は、図12に示す通りである。
このロック状態では、牽引コード51の左方向に向かう移動は阻止され、カーテン本体140が付勢力に追従した追従方向に移動するのが規制される。
この第1位置p1から牽引コード51を右方向に移動させて(操作グリップ40を下方に引くか、又は移動框を開方向に移動させ)、カム軸230を図11の第2位置p2まで移動させる。図11に示す所定の最低移動量R以上、牽引コード51が移動した場合である。尚、所定の最低移動量R未満であれば第1位置p1の阻止状態に戻る。尚、第2位置p2は、牽引コード51を長く引かずに、短く引いた場合(以下、短引きとする。)に対応するが、第2位置p2は第2ループ溝302の前方(図示下方)の溝部分302aに入り込んでいてもよい(この状態が図13である)。ただし、このときの牽引コード51の移動量として、カム軸230の中心が図11における第1ランド部310の前方の左端部よりも後方(図示上方)に位置していることが必要である。この場合、ガイド板部243と押圧部254との間の摩擦力により、台車240も右方向に移動する。このとき、ストッパカム260は、牽引コード51の右方向への移動に伴って図12(b)から図13(b)の状態へと移行し、時計回りに倒れる。
尚、第2位置p2よりも第5位置p5寄りの第2ループ溝302の溝部分302aにカム軸230が位置する状態を示した図が図13である。図13は、実施例2のコードストッパ装置70の構成を示す図であり、図13(a)はカム軸230が第2位置p2よりも第5位置p5寄りに位置する状態を示す平面図であり、図13(b)は同じ状態の断面正面図であり、図13(c)は同じ状態においてケース220を除いた状態を示す底面図である。
第2位置p2にカム軸230が位置する状態において、操作者が操作グリップ40を下方に引くのを止め、操作グリップ40から手を離すと、カーテン本体140への付勢力によって牽引コード51は左方向に移動する。このとき、ガイド板部243と押圧部254との間の摩擦力により、台車240も左方向に移動して、台車240がケース220の内部に再び収納される。このとき、図11に示すように、カム軸230が案内溝300の内部において相対的に右方向に向かう。しかし、カム軸230は、この右方向への移動において、第1ランド部310を構成する壁面312と衝突するため、カム軸230は第1位置p1へは戻らずに、凹部311に入り込み、第3位置p3に位置する状態となる。尚、第3位置p3は、解除位置に対応する。
このときの台車240の位置は、図8に示す通りである。図8に示すように、台車240は、図12に示す場合よりも、若干右側に位置する状態となる。そのため、基軸261は保持片224によって押し込まれずに、ストッパカム260が倒れたままの状態となる。これにより、牽引コード51の移動が阻止されない解除状態となり、操作グリップ40から手を離すと、カーテン本体140の閉方向への付勢力によって牽引コード51が移動自在となる。
図11の第3位置p3(解除位置)にカム軸230が位置する状態において、操作者が操作グリップ40を把持して、図8において操作グリップ40を下方に移動させる(牽引コード51を右方向に移動させる)。すると、ガイド板部243と押圧部254との間の摩擦力により、台車240も右方向に移動する。このとき、図11に示すように、カム軸230が案内溝300の内部において相対的に右方向に向かう。第2の変位最低移動量T以上移動すると、このとき、カム軸230は、第2ランド部320を構成する壁面321との衝突により、第4位置p4に位置する状態となる。なお、第4位置p4は、第2ループ溝302の溝部分102bに入り込んでいてもよい(最も左側に位置した状態が図14である)。尚、第2の変位最低移動量T未満であると解除位置p3に戻る。
図11の第4位置p4に位置する状態において、操作者が操作グリップ40を下方に引くのを止めて、当該操作グリップ40から手を離すと、カーテン本体140の閉方向への付勢力により、牽引コード51は、左方向に移動する。このとき、ガイド板部243と押圧部254との間の摩擦力により、台車240も左方向に移動して、再び台車240がケース220の内部に収納される。このとき、カム軸230が案内溝300の内部において相対的に右方向に向かい、図11における第1位置p1(ロック位置)へ戻る。そのため、台車240は、ケース220内において、再び図12に示す位置に位置し、牽引コード51が、対向片222と噛合部264との間で挟持されたロック状態となる。
以上が、短引きを行う場合の、動作サイクルである。纏めると、カム軸230が第1位置p1(ロック位置)にあるときに牽引コード51のロック状態(図12)となり、そこから牽引コード51を短引きするとカム軸230が第2位置p2に移動し、その後に操作グリップ40から手を離すと、カム軸230が第3位置p3(解除位置)に位置するロックの解除状態となる(図8)。その後、操作グリップ40を引いてカム軸230が第4位置p4に移動した後に、操作グリップ40から手を離すと、再びカム軸230が第1位置p1に位置するロック状態(図12)となる。
ところで、図12に示すような牽引コード51のロック状態において、操作グリップ40を長く引いた場合(以下、長引きとする。)、カム軸230は、案内溝300の内部において、第1位置p1から第5位置p5まで図11の所定の長引き移動量Sを移動する。第5位置p5は、案内溝300のうち最も左端側に位置する部分であり、迂回位置に対応する。この第5位置p5(迂回位置)は、次のような位置となっている。即ち、第5位置p5(迂回位置)にカム軸230が位置する場合、そのカム軸230が案内溝300において右方向に相対的に移動すると、第2ループ溝302のうち前方の溝部分302aを通らずに、後方の溝部分302bを通過して第1位置p1に至る。以上のような位置が、第5位置p5の位置(迂回位置)となっている。
尚、カム軸230が第5位置p5にあるときの台車240の位置は、図14に示す通りである。図14は、コードストッパ装置70の構成を示す図であり、(a)はカム軸230が第5位置p5にあるときの状態を示す平面図であり、(b)は同じ状態の断面正面図であり、(c)は同じ状態においてケース220を除いた状態を示す底面図である。
牽引コード51のロック状態(図12)において、牽引コード51を長引きすると、カム軸230は、台車240が図14に示す位置に移動し、カム軸230が第1位置p1(ロック位置)から第5位置p5(迂回位置)に移動する。その後、操作グリップ40から操作者が手を離すと、牽引コード51は、カーテン本体140の閉方向への付勢力によって左方向に移動する。このとき、ガイド板部243と押圧部254との間の摩擦力により、台車240も左方向に移動する。これにより、カム軸230は、案内溝300における第1位置p1に位置し、噛合部264と対向片222との間で牽引コード51が挟み込まれたロック状態となる。これにより、牽引コード51の左方向に向かう移動は阻止され、カーテン本体140の閉方向への付勢力に追従するのが規制される。
以上のように、牽引コード51を長引きすると、短引きを行う場合とは異なる動作サイクルが実現される。この場合、カム軸230が第1位置p1(ロック位置)にあるときに牽引コード51のロック状態(図12)となり、そこから牽引コード51を長引きするとカム軸230が第5位置p5(迂回位置)に移動し(台車240の位置は図14参照)、その後に操作グリップ40から手を離すと、カム軸230が第1位置p1(ロック位置)に位置して牽引コード51のロック状態となる(図12)。
上述の各実施例では、特定の形状を有する台車150,240について説明したが、車輪等を備えるなど他の形態とすることもできる。また、上述の作用効果を生じさせるものであれば、案内溝300についても様々な実現例で実現させることができる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明による第2実施形態の遮蔽装置を構成するアコーディオンカーテン1の構成を説明する。以下に説明する第2実施形態の遮蔽装置は、ハンガーレール2内を移動可能な先頭ランナー4を用いて遮蔽材(カーテン材65)を開閉可能に吊下支持するように構成される。図15は、本発明による第2実施形態の遮蔽装置を構成するアコーディオンカーテン1の全体構成を示す正面図である。尚、図15において、図1に示す第1実施形態と同様な構成要素には同一の参照番号を付している。第2実施形態では、コードストッパ装置70の配置位置が第1実施形態と相違しており、その他の構成要素は同様に機能する。
(コードストッパ装置)
図15乃至図20を参照して、本発明による第2実施形態の遮蔽装置における一実施例のコードストッパ装置70を説明する。図16は、本発明による第2実施形態の遮蔽装置を構成するアコーディオンカーテン1における一実施例のコードストッパ装置70におけるクラッチ機構74の概略構成を示す分解斜視図である。図17は、本発明による第2実施形態の遮蔽装置を構成するアコーディオンカーテン1における一実施例のコードストッパ装置70におけるスライダ71の概略構成を示す透視斜視図である。図18(a)は、本発明による第2実施形態の遮蔽装置を構成するアコーディオンカーテン1における一実施例のコードストッパ装置70の概略構成を示す正面図であり、図18(b)は、一実施例のコードストッパ装置70の概略構成を示す断面図である。図19は、本発明による第2実施形態の遮蔽装置を構成するアコーディオンカーテン1における一実施例のコードストッパ装置70におけるガイド溝747の説明図である。図20(a),(b),(c)は、本発明による第2実施形態の遮蔽装置を構成するアコーディオンカーテン1における一実施例のコードストッパ装置70における組み込み時、駆動時及びロック時の状態を説明する説明図である。
本実施例のコードストッパ装置70は、図15に示すように、スライダ71とクラッチ機構72とを備えるように構成される。スライダ71は、牽引コード51の移動方向に回転可能な滑車76を有し、牽引コード51に対して滑車76をスプリング(圧縮バネ)73の付勢力により押圧する機能を有する(図15参照)。クラッチ機構72は、牽引コード51の移動方向に回転可能なドラム74を有する(後述するように、ドラム74は、回転ドラム74a及びブレーキドラム74bの2重ドラム構造を有する。)。このドラム74は、操作コード42の所定の移動作用に伴って牽引コード51の移動状態を阻止するか、又は移動状態を許容するクラッチ動作の機能を有する。また、ドラム74は牽引コード51に対して該滑車76の対向側に配置される(図15参照)。尚、本実施例のクラッチ機構72は固定框8に固定され、スライダ71はクラッチ機構72に対して左右方向への移動が可能なように案内される。したがって、滑車76とドラム74との間に挿通する牽引コード51は当該スプリング73の付勢力により押圧される。
まず、図16を参照して、本実施例のクラッチ機構72について説明する。クラッチ機構72が有するドラム74は、略円柱状に構成され、2重ドラム構造を有し、牽引コード51に当接する外側には回転ドラム74aが位置し、内側にはブレーキドラム74bが位置している。回転ドラム74aの外表面は高摩擦性の表面形状746を有し、その内表面は高摺動性の表面形状を有する。また、回転ドラム74aの内表面には当該回転ドラム74aの軸方向(即ち、アコーディオンカーテン1の前後方向)にクラッチボール75の移動を案内する案内溝745が設けられる。また、ブレーキドラム74bの外表面も高摺動性の表面形状を有し、その表面には、ガイド溝747が形成されている。
ドラム74の組み付けは、まず、ブレーキドラム74bのガイド溝747の任意箇所にクラッチボール75を載置し、該クラッチボール75の位置に案内溝745の位置を合わせてブレーキドラム74bを回転ドラム74a内に収容する。続いて、ドラムキャップ741の案内溝用蓋部744の位置を回転ドラム74aの案内溝745の位置に合わせて、ドラムキャップ741の嵌合用突起部742と回転ドラム74aの嵌合用受部743とを嵌合させることにより、ドラムキャップ741を回転ドラム74aに嵌着し一体化する。このように構成されたドラム74では、クラッチボール75が当該案内溝745に規制された状態でガイド溝747上を移動可能にすることで、回転ドラム74aがブレーキドラム74bに対して相対回転可能となっている。
ドラムキャップ741が回転ドラム74aに嵌着された状態で一体化されたドラム74の略円状の両側面からは、ブレーキドラム74bの両側面にそれぞれ設けられた中心軸部748及び案内軸部749aが突出するように構成される。略円柱状の中心軸部748は、ブレーキドラム74bの中心軸上にて両側面にそれぞれ設けられる。また、略円柱状の案内軸部749aは、ブレーキドラム74bの中心軸とその外周との間の位置に、当該中心軸と略平行な軸上の両側面にそれぞれ設けられる。
ここで、本実施例のコードストッパ装置70においては、中心軸部748と案内軸部749aは、それぞれ略同一径ではあるが、案内軸部749aの略円柱形状の長さは、中心軸部748の略円柱形状の長さよりも短く、クラッチ機構72の本体の側壁部に設けられた係合溝725に中心軸部748が係合する状態では、案内軸部749aは係合用案内溝724に係合しない(案内軸部749aは、スライダ71の略鉤状の係合溝713aに対してのみ係合する)。したがって、この状態においてブレーキドラム74bは、クラッチ機構72に対して回転可能に支持される。
そして、図16に示すように、クラッチ機構72の本体の側壁部に設けられた係合溝725に中心軸部748が係合するよう、中心軸部748及び案内軸部749aを係合用案内溝724に合わせて、クラッチ機構72の本体の上方から、その収容部723に当該ドラム74を収容させる。ドラム74の中心軸部748がクラッチ機構72の係合溝725に係合した状態は、意図的に取り外さない限り容易には外れないようになっている。
また、クラッチ機構72の一側面には、所定の取付ネジにより、取付孔722を経て固定框8へと固定可能とする固定台部721が設けられ、この固定台部721には、スプリング(圧縮バネ)73を位置決めして係合させるための圧縮バネ用突起部726が2箇所に設けられている。また、それぞれの圧縮バネ用突起部726に位置決めされる各スプリング73が、当該クラッチ機構72における内側に配置して係合させるスライダ71側の圧縮バネ用突起部715にも位置決めして係合するよう、クラッチ機構72の側壁部には側壁開口部727が2箇所に設けられている。
そして、このようにドラム74を収容したクラッチ機構72には、その上下方向に牽引コード51を挿通可能とするためのコード挿通用開口部728が設けられている。また、クラッチ機構72の前後側壁部のそれぞれには、左右方向へのスライダ71の相対移動を可能とする態様で、スライダ71側の係合用突起部714と係合させるための係合孔729が2箇所ずつ設けられている。
次に、図17を参照して、本実施例のスライダ71について説明する。スライダ71は、その内部に滑車76を有する。滑車76は、その回転軸76aがスライダ71の内壁側に設けられた係合溝712に係合させることで、回転可能に設置されている。また、スライダ71は、その内部に当該ドラム74を収容可能な空間部711を有し、且つスライダ71の側壁が、クラッチ機構72の内側に収まるように形成されている。
また、スライダ71の前後側壁部のそれぞれには、クラッチ機構72に対する左右方向へのスライダ71の相対移動を可能とする態様で、クラッチ機構72の係合孔729と係合させるための係合用突起部714が2箇所ずつ設けられている。そして、スライダ71は、当該案内軸部749aが略鉤状の係合溝713aに対して、クラッチ機構72に対する左右方向へのスライダ71の相対移動を可能に係合するよう構成されるが、中心軸部748は、略鉤状の係合溝713aに対して当該相対移動を不能に係合するよう構成される。この場合のブレーキドラム74bの動作については詳細に後述する。
また、クラッチ機構72におけるそれぞれの圧縮バネ用突起部726に位置決めされる各スプリング73が、クラッチ機構72のそれぞれの側壁開口部727を介してスライダ71を押圧するよう付勢可能とするために、スライダ71の一側壁部にて各スプリング73を位置決めして係合するための圧縮バネ用突起部715が2箇所に設けられている。
そして、このように空間部711にてクラッチ機構72のドラム74を収容可能とするスライダ71には、その上下方向に牽引コード51を挿通可能とするための上側開口部717と底側開口部718が設けられている。
このように、スライダ71とクラッチ機構72とを係合させることで、本実施例のコードストッパ装置70は、図18に示すように構成される。そして、図18(a)に示すように、本実施例のコードストッパ装置70では、案内軸部749aが係合用案内溝724に係合せず、スライダ71の略鉤状の係合溝713aに対してのみ係合するように構成される。係合溝725に係合した中心軸部748を有するブレーキドラム74bは、案内軸部749aと係合用案内溝724との作用により、クラッチ機構72に対してわずかに相対回転可能に支持され、クラッチ機構72は、固定台部721により固定框8へと固定される。そして、係合用突起部714が左右方向へのスライダ71の相対移動を可能とする態様で係合孔729に係合され、スプリング73の付勢力により、スライダ71が図示する右方向に付勢されることにより、図18(b)に示すように、牽引コード51が、滑車76とドラム74(クラッチボール75を挟む回転ドラム74a及びブレーキドラム74b)との間に挿通された状態で押圧される。これにより、その内部を通る牽引コード51の移動作用に伴って(即ち、操作者の操作による操作コード42の移動作用に伴って)、牽引コード51の移動状態を許容するか、又はその移動状態を阻止するようロックするかを切換動作するクラッチ動作が可能に構成される。
次に、クラッチ動作を実現するクラッチボール95とガイド溝747の動作に関して説明する。クラッチ動作に係るクラッチボール95とガイド溝747の形態は、例えば、回転ドラム74aの代わりに巻取軸として、後述する移動溝747aの代わりに引き上げ溝及び引下げ溝として構成される特公平6−013825号公報、或いは特許第3124716号明細書等に開示される内容と同様とすることができる。ここでは、この技法を応用して構成した本実施例のコードストッパ装置70のクラッチ動作に関して、図19を参照しながら説明する。
上述したように、回転ドラム74aの内表面とブレーキドラム74bの外表面との間の位置にクラッチボール75が配置され、このため、回転ドラム74aの内表面には当該回転ドラム74aの軸方向(即ち、アコーディオンカーテン1の前後方向)にクラッチボール75の移動を案内する案内溝745が設けられている。また、ブレーキドラム74bの外表面には当該クラッチ動作を作用させるガイド溝747が設けられている。図19は、ブレーキドラム74bの外表面の一周分の展開状態を示している。図19において、操作グリップ40により操作コード42をコイルスプリング64の付勢力に抗して引き下げ、牽引コード51が上方に移動する方向(カーテン材65の開方向)に移動するときは、クラッチボール75は矢印A方向へ移動し、操作グリップ40を手放して、コイルスプリング64の付勢力により牽引コード51が下方に移動するときは、矢印B方向へ移動するものとする。
ガイド溝747は、当該ドラム74の回転方向に沿って、クラッチボール75の移動を拘束しない移動溝747aと、クラッチボール75の移動を拘束するストップ溝747bが形成され、ストップ溝747bから移動溝747aへとクラッチボール75が移動可能な戻り溝747cが形成されている。
したがって、クラッチボール75は、当該回転ドラム74aの案内溝745によって規制された状態でブレーキドラム74bのガイド溝747内を移動可能に案内されるようになっている。
その動作について説明するに、操作グリップ40により操作コード42をコイルスプリング64の付勢力に抗して引き下げるときは、クラッチボール75がガイド溝747の一部を構成する移動溝747a(クラッチボール75の移動を拘束しない溝)内を周回して、コードストッパ装置70の内部を挿通する牽引コード51が上方に移動する方向(カーテン材65の開方向)への回転ドラム74aの回転が許容される。ここで、クラッチボール75が当該移動溝747a内に位置している状態から操作グリップ40を手放せば、コイルスプリング64の付勢力により牽引コード51が下方に移動する方向(カーテン材65の閉方向)へ移動しはじめ、クラッチボール75がガイド溝747の一部を構成するストップ溝747b(クラッチボール75の移動を拘束する溝)内へ移動してストップ溝747b内の終点部747dに係合すると、当該回転ドラム74aの回転が阻止され、カーテン材65が所望位置に停止される。
続いて、クラッチボール75が当該終点部747dに係合してカーテン材65が所望位置に停止している状態から、操作グリップ40により操作コード42をコイルスプリング64の付勢力に抗してわずかに引き下げ回転ドラム74aを所定角度の範囲内で回転させた後に、操作グリップ40を手放せば、コイルスプリング64の付勢力により、牽引コード51が下方に移動する方向(カーテン材65の閉方向)へ移動してクラッチボール75が戻り溝747cを経て当該移動溝747aに移動し、回転ドラム74aの回転に伴ってクラッチボール75が当該移動溝747a内を周回するようになり、カーテン材65が閉方向に自動的に移動する。
また、カーテン材65が所望位置に停止している状態から、更に操作コード42をコイルスプリング64の付勢力に抗して引き下げ、回転ドラム74aを所定角度以上回転させるときは、クラッチボール75は当該ストップ溝747bから戻り溝747cを経て当該移動溝747a内に移動し回転ドラム74aの回転が許容され、この状態で操作グリップ40を手放すと、コイルスプリング64の付勢力による回転ドラム74aの回転により、クラッチボール75がストップ溝747b内に移動して、カーテン材65の移動が停止される。
ただし、本実施例のコードストッパ装置70においては、案内軸部749aが係合用案内溝724に係合せず、スライダ71の略鉤状の係合溝713aに対してのみ係合するように構成されるため、スライダ71をクラッチ機構72に組み込んだ状態(図20(a)参照)と比較して、当該クラッチ動作におけるロック時では、回転ドラム74aがわずかに回転し、この回転ドラム74aの回転に伴い中心軸部748及び案内軸部749aが略鉤状の係合溝713aに案内され、ドラム74自体がクラッチ機構72に対して相対回動する(図20(c)参照)。即ち、当該クラッチ動作におけるロック時では、中心軸部748及び案内軸部749aがスライダ71を引っ張るように機能する。
このような中心軸部748及び案内軸部749aの機能は、牽引コード51の移動状態を許容する駆動時(図20(b)参照)と、その移動状態を阻止するロック時(図20(c)参照)との間でも作用し、当該駆動時に比較して、ロック時では、中心軸部748及び案内軸部749aがスライダ71を引っ張るように機能し、牽引コード51を滑車76とドラム74との間で押圧する付勢力を助力するようになる。
したがって、以上のように構成した本実施例のコードストッパ装置70によれば、所定のコードによりカーテン本体140の駆動を円滑化した遮蔽装置(例えば、アコーディオンカーテン1)にて、ロック時にスプリング73の付勢力を助力するように作用するため、操作者の操作力の増大化を抑制させ、良好な操作性を維持することが可能となる。
尚、本実施例の説明では、クラッチ機構72を固定框8に固定し、スライダ71をクラッチ機構72に対してスライド可能に構成する例を説明したが、スライダ71を固定框8に固定し、クラッチ機構72をスライダ71に対してスライド可能に構成することも可能である。また、ロック時におけるスプリング73の付勢力の助力が要求されない用途の場合には、ドラム74におけるブレーキドラム74bをクラッチ機構72に対して回転不能に支持するように構成することができる。
以上のような構成の各実施例のコードストッパ装置70によると、牽引コード51に対して、(1)挟持(ロック状態)→(長引き)→挟持(ロック状態)、という操作と、(2)挟持(ロック状態)→(短引き)→解除(解除状態)、という操作とを実現できる。このため、カーテン本体140の位置調整を行う場合には、(1)のように操作することで、カーテン本体140の位置調整を容易に行うことができる。
更に、上述の各実施形態における各実施例の説明では、コードストッパ装置70により牽引コード51についてクラッチ動作を行うように構成する例を説明したが、操作コード42に対してクラッチ動作を行うようコードストッパ装置70を配置してもよい。
また、上述の各実施形態では、操作ユニット6内にて、操作用プーリー43を用いて操作コード42の移動を転向させる例を説明したが、この限りではない。例えば、図21に、操作ユニット6の変形例を示す。図21(a)は、変形例の操作ユニット6の平面透視図であり、(b)は、変形例の操作ユニット6の断面側面図である。操作ユニット6は、ハンガーレール2の上端部に固着されるような固定部6bを有し、固定部6bは、ハンガーレール2の上面形状に合わせた形状で構成される。また、操作ユニット6の下方中央部に形成される凸状空洞部6aは、滑車27を設置するように形成されている。図21(a),(b)を参照するに、本変形例の操作ユニット6は、操作用プーリー43の代わりに案内プレート601を設けるように構成されている。案内プレート601は、操作ユニット6内で操作コード42の転向に合わせて成形された内部壁6cに固定され、内部壁6cに対する固定を安定化させるべく、基端側には係止部601aが設けられ、先端側は、内部壁6cに鉤状に係止するようになっている。案内プレート601は、例えばステンレスやセラミック等を用いて耐久性及び摺動性の優れたものを用いるのが好適である。
このように、操作用プーリー43の代わりに案内プレート601を用いることで、その収容体積を削減することができ、操作ユニット6の本体部の中心位置へと向かうよう操作コード42の転向を可能とする。即ち、この操作ユニット6の本体部の中心位置に寄せられた双方の操作コード42の各他端がコードイコライザ9に取着されるため、図2に示す操作ユニット6よりもコードイコライザ9における当該前後方向への移動ブレを抑制することができる。
また、上述の各実施形態では、図22(a)に示すように、X字状のリンク片60からなる伸縮機構に設けられたコイルスプリング64の閉方向の付勢力Frに抗して、牽引コード51及び閉ループ用コード26により開動作に関する閉ループが構成されており、操作グリップ40を下方に引くことにより、当該閉ループに接続される操作コード42を引き込んで、コードイコライザ9を介して移動框7に接続される牽引コード51を移動させるように構成されている。即ち、操作グリップ40を下方に引くことのみで開操作を行い、閉動作はコイルスプリング64等の付勢力によるように構成したため、操作性が向上する。
このような構成を実現するためには、図22(a)に示す例ではハンガーレール2の上面と取付面との間にブラケット15を介して操作コード42及び牽引コード51を挿通するよう構成しているが、この代わりに、図22(b)に示すように、ハンガーレール2の内部に操作コード42と接続される牽引コード51を挿通して当該閉ループとするように構成することができる。操作コード42と牽引コード51との連結は、上述したコードイコライザ9の形態に寄らず、直接結び付けるような構成としてもよい。したがって、ブラケット15を用いずにハンガーレール2を直接、取付面に固着するように構成することができる。
また、閉ループ用コード26は、移動框7の左方向の移動に併せて移動框7の上端部に固着された先頭ランナー4に連結することで、当該コードイコライザ9の右方向への移動を助力し協働するようになる点で操作性の改善に有利である。しかしながら、図22(a),(b)と対比可能にそれぞれ図示した図23(a),(b)に示すように、閉ループ用コード26を要しない用途においては不要とすることも可能であり、X字状のリンク片60からなる伸縮機構に設けられたコイルスプリング64の閉方向の付勢力Frに抗して、操作コード42に連結される牽引コード51のみにより開動作に関する開ループを構成することも可能である。
〔第3実施形態〕
(遮蔽装置を構成するカーテンレール)
次に、框を利用しない代表例として、本発明による第3実施形態の遮蔽装置を構成するカーテンレールの構成を説明する。以下に説明する第3実施形態の遮蔽装置は、ハンガーレール2内を移動可能な先頭ランナー504を用いて遮蔽材(カーテン材507)を開閉可能に吊下支持するように構成される。図24は、本発明による第3実施形態の遮蔽装置を構成するカーテンレール500の全体構成を示す正面図であり、図25はその平面図である。また、図26は、図24及び図25に示すカーテンレール500の概念図である。図27(a)は、本発明による第3実施形態の遮蔽装置を構成するカーテンレール500における第1ユニット502の構成を示す断面正面図であり、図27(b)は本発明による第3実施形態の遮蔽装置を構成するカーテンレール500における第1ユニット502における第1プーリー512の底面図である。
図24及び図25に示すように、本実施形態のカーテンレール500は、主要な構成要素として、ハンガーレール501と、第1ユニット502と、第2ユニット503と、先頭ランナー504と、カーテン材507と、操作コード509(第1操作コード509a及び第2操作コード509b)と、駆動ユニット511と、エンドレスベルト514とを主要な構成要素としている。
ハンガーレール501は、遮蔽材(カーテン材507)を吊下支持する先頭ランナー504(従動ランナー505)が移動可能なように下端側が開口している略四角筒状の部材である。ハンガーレール501の上端面は、天井側の取付面に固定される。先頭ランナー504及び従動ランナー505は、カーテンフック506を介してカーテン材507を吊下支持するとともに、ハンガーレール501の内部を移動可能に構成される。
第1ユニット502は、ハンガーレール501の一端部に固着される。第1ユニット502の内部には、円柱状の第1プーリー512が設けられ、エンドレスベルト514が巻き掛けられる。また、第1ユニット502の下端部には、駆動ユニット511が設けられており、全体として略円柱状に一体化して形成されている。
第2ユニット503は、ハンガーレール501の他端部に固着される。第1ユニット502の内部には、円柱状の第2プーリー513が設けられ、エンドレスベルト514が巻き掛けられる。エンドレスベルト514は、第1プーリー512と第2プーリー513との間で滑りが生じないように構成される。
先頭ランナー504は、カーテン材507を吊下支持するとともに、ハンガーレール501の内部を移動可能に構成される。更に、先頭ランナー504は、エンドレスベルト514の一部に固着する先頭ランナー固定部504aを有し、これにより、先頭ランナー504、エンドレスベルト514、第1プーリー512及び第2プーリー513は、巻掛伝動機構として構成される。
カーテン材507は、先頭ランナー504及び従動ランナー505によってカーテンフック506を介してカーテン材507を吊下支持されるとともに、第1ユニット502と一体化した略円柱状の駆動ユニット511の外周面に沿って、カーテン材507の開動作時に巻き取られるように構成されている。
操作コード509は、エンドレスベルト514の一部に固着する操作コード固定部515を介して、1本のコードから2本の第1操作コード509a及び第2操作コード509bが形成される(以下、総括して、単に、「操作コード509」とも称する)。操作コード固定部515からエンドレスベルト514に沿って延伸する第1操作コード509aは、第2ユニット503における第1導出孔510aによって向きを転向して下方に垂れ下がり、その端部が第1操作グリップ508aに取着されている。また、操作コード固定部515からエンドレスベルト514に沿って延伸する第2操作コード509bは、第2ユニット503における第2導出孔510bによって向きを転向して下方に垂れ下がり、その端部が第2操作グリップ508bに取着されている。以下、第1操作グリップ508a及び第2操作グリップ508bを総括して、操作グリップ508とも称する。
駆動ユニット511は、略円柱状の形状を有し、第1ユニット502に対して一体化して固定されている。ただし、図27(a)に示すように、駆動ユニット511の内部には、その上端側にて略円柱状の中心を支軸として回転可能に構成される回転プラグ517aと、その下端側にて回転可能に構成される固定プラグ517bと、捩りコイルスプリング516が収容されている。回転プラグ517aは、その上面中心部から上方に延びる回転軸部525を介して第1プーリー512の下面中心部と連結されており、第1プーリー512の回転に伴い回転プラグ517aも回転可能となっている。ただし、回転プラグ517aには、捩りコイルスプリング516の上端部が取着され、捩りコイルスプリング516の下端部は、固定ピン519により固定されているため、回転プラグ517aの回転、即ち、第1プーリー512の回転は、その捩りコイルスプリング516の付勢力を伴うように構成されている。
即ち、捩りコイルスプリング516は、第1プーリー512によってカーテン材507の全閉状態から全開状態となるのに十分な付勢力を有するように畜勢された状態で駆動ユニット511内に取着されている。このように構成された本実施形態のカーテンレール500では、前述した第1実施形態及び第2実施形態と同様に、操作グリップ508を下方に引くことのみで開操作を行い、閉動作は、捩りコイルスプリング516の付勢力によるように構成したため、操作性が向上する。
また、図27(a)に示すように、第1ユニット502の内側底部には、クラッチボール524を規制するスライド溝522が形成され、更に、当該第1ユニット502の内側底部に対向する第1プーリー512の底面には、図27(b)に示すように、このクラッチボール524の移動を案内するガイド溝523が形成されている。このクラッチボール524、スライド溝522及びガイド溝523により、クラッチ機構521が構成される。
以下、図28乃至図31を参照して、クラッチ機構521の動作について説明する。図28は、本発明による第3実施形態の遮蔽装置を構成するカーテンレール500の第1ユニット502におけるクラッチ動作の停止状態時の説明図である。図29は、その第2ユニット503におけるクラッチ動作の短引き操作時の説明図である。図30及び図31は、それぞれ第2ユニット503におけるクラッチ動作の第1及び第2の長引き操作時の説明図である。
まず、図28は、カーテン材507の自動閉動作に対応する第1プーリー512の付勢方向(A方向)に抗して、操作グリップ508を下方に引くと、この引き操作方向(B方向)に従って第1プーリー512に回転し、カーテン材507の開方向の動作となるように図示されている。そこで、先ず、図28に示す略ハート状の中央に位置するポケット部523a(ロック位置)にクラッチボール524が存在する場合、第1プーリー512の回転が停止され、これに伴いエンドレスベルト514の移動も停止されることから、操作コード509はロック状態となっている。
(短引き操作時)
次に、図29に示すように、この停止時からの短引き操作として、停止時から操作コード509を開方向へ変位最低移動量R以上S未満で引いてから、操作者が操作グリップ508を下方に引くのを止め、操作グリップ508から手を離すと、ポケット部523a(ロック位置)に位置していたクラッチボール524が解除溝523bを経て外溝523cとの境界Bd1を超え、外溝523cを周回するようになり、従って、A方向の回転を許容され、捩りコイルスプリング516の付勢力によりカーテン材507の自動閉動作が行われる。図29において、Moは、外溝523cにおける自動閉動作中のクラッチボール524の相対移動経路方向を示しており、全閉状態となるまで捩りコイルスプリング516の付勢力により第1プーリー512は回転する。尚、操作者が操作グリップ508を用いずにカーテン材507を直接的に開方向に操作することやバトンで先頭ランナー504を開方向に引く場合も、操作グリップ508を用いた操作と同様に動作することに留意する。
(第1の長引き操作時)
一方、図30に示すように、この停止時からの第1の長引き操作として、停止時から操作コード509を開方向へ変位最低移動量Rを超えて引き続けると、ポケット部523a(ロック位置)に位置していたクラッチボール524が解除溝523bを経て外溝523cとの境界Bd1を超え、外溝523cを周回する。更に長引き移動量S以上引くと、クラッチボール524が外溝523cから引込溝523dを経由して境界Bd2を超え内溝523eに入る。この状態(即ち、停止時から操作コード509を開方向へ長引き移動量S以上引いた状態)で、操作者が操作グリップ508を下方に引くのを止め、操作グリップ508から手を離すと、内溝523eに入っていたクラッチボール524は、引込溝523fを経由して、ポケット部523a(ロック位置)に停止する。したがって、停止時からの第1の長引き操作として、変位最低移動量Rを超えて引き続け、長引き移動量S以上引いてから手を離すと、A方向の回転を拘束するため、この手を放した途中状態でカーテン材507の移動が停止する。図30において、Miは、S以上引き操作し、手を離して閉方向への移動に転じたときのボールの相対移動経路方向を示している。
(第2の長引き操作時)
また、図31に示すように、この停止時からの第2の長引き操作として、停止時から操作コード509を開方向へ変位最低移動量Rを超えて引き続けると、ポケット部523a(ロック位置)に位置していたクラッチボール524が解除溝523bを経て外溝523cとの境界Bd1を超え、外溝523cを周回する。更に長引き移動量SS以上引くと、クラッチボール524が外溝523cから引込溝523dを経由して境界Bd2を超え内溝523eに入る。この状態(即ち、停止時から操作コード509を開方向へ長引き移動量S以上引いた状態)で、操作者が操作グリップ508を下方に引くのを止め、操作グリップ508から手を離すと、第1の長引き操作時と同様に、内溝523eに入っていたクラッチボール524は、引込溝523fを経由して、ポケット部523a(ロック位置)に停止する。したがって、停止時からの第2の長引き操作として、変位最低移動量Rを超えて引き続け、長引き移動量SS以上引いてから手を離すと、A方向の回転を拘束するため、この手を放した途中状態でカーテン材507の移動が停止する。
以上のような構成のクラッチ機構521によると、ガイド溝523の工夫により、操作コード509(又は操作グリップ510)に対して、(1)挟持(ロック状態)→(長引き)→挟持(ロック状態)、という操作と、(2)挟持(ロック状態)→(短引き)→解除(解除状態)、という操作とを実現できる。このため、カーテン材507の位置調整を行う場合には、(1)のように操作することで、カーテンレール途中での停止状態からさらに長引きして停止させることが可能であり、カーテン材507の位置調整を容易に行うことができる。
〔第4実施形態〕
(遮蔽装置を構成するカーテンレール)
次に、本発明による第4実施形態の遮蔽装置を構成するカーテンレールの構成を説明する。以下に説明する第4実施形態は、第3実施形態の遮蔽装置を構成するカーテンレール500の変形例である。図32は、第4実施形態の遮蔽装置を構成するカーテンレール500の概念図である。また、図33及び図34は、本発明による第4実施形態の遮蔽装置を構成するカーテンレール500の構成に関する説明図である。尚、同様な構成要素には同一の参照番号を付している。
まず、図32を参照するに、第4実施形態のカーテンレール500は、第3実施形態に対して第2ユニット503にて歯車機構を設けた例である。
即ち、第4実施形態のカーテンレール500における第2ユニット503は、第3実施形態と比較して、略円柱状の第2プーリー513の代わりに、エンドレスベルト514が巻き掛けられる領域は略円柱状とし、その下端部に被動傘歯車540が設けられた第2プーリー513aが設けられている点で相違する。
また、第3実施形態と比較して、第1導出孔510a及び第2導出孔510bの代わりに、歯車機構として、第1操作プーリー550a及び第1傘歯車551aと第2操作プーリー550b及び第1傘歯車551bが設けられている点で相違する。ただし、第4実施形態においても、前述した第1実施形態及び第2実施形態と同様に、操作グリップ508を下方に引くことのみで開操作を行い、閉動作は、捩りコイルスプリング516の付勢力によるように構成され、当該歯車機構により更に操作性を向上させている。
より具体的には、まず、図33(a)を参照するに、本例の操作コード509(第1操作コード509a及び第2操作コード509b)は、ボールチェーンで構成される。そして、第4実施形態において、第1操作プーリー550a及び第1傘歯車551aと第2操作プーリー550b及び第1傘歯車551bは、第2ユニット503内に収容され、小型化が実現されている。
そして、図33(b)におけるA‐A’断面平面図を参照するに、操作コード固定部515からエンドレスベルト514に沿って延伸する第2操作コード509bは、エンドレスベルト514が巻き掛けられた第2プーリー513aの更に外周側を迂回して、当該ボールチェーンのボール部535の形状に合わせて凹凸が設けられた第2操作プーリー550bに巻き掛けられ向きを転向して下方に垂れ下がり、その端部が第2操作グリップ508bに取着されている。
また、図33(c)におけるB‐B’断面平面図を参照するに、操作コード固定部515からエンドレスベルト514に沿って延伸する第1操作コード509aは、エンドレスベルト514が巻き掛けられた第1プーリー513aの側部にて、当該ボールチェーンのボール部535の形状に合わせて凹凸が設けられた第1操作プーリー550aに巻き掛けられ向きを転向して下方に垂れ下がり、その端部が第1操作グリップ508aに取着されている。
そして、図34(a)におけるF‐F’断面平面図を参照するに、第1操作プーリー550aと連動して回転可能な第1傘歯車551aは、第2プーリー513aの下端部に設けられている被動傘歯車540と噛み合うように構成される。同様に、第2操作プーリー550bと連動して回転可能な第2傘歯車551bも、当該被動傘歯車540と噛み合うように構成されている。
従って、図32及び図34(b),(c)に示すように、第1操作プーリー550aと第2操作プーリー550bの開方向の回転方向は逆となるが、第1操作グリップ508aと第2操作グリップ508bの引き操作によって、第1操作プーリー550aと第2操作プーリー550bはカーテン材507の開方向に回転するように構成されている。
したがって、当該歯車機構が無い第3実施形態と比べ、第3実施形態の引き操作時の引き操作量以上となるように、第1傘歯車551a及び第2傘歯車551bと被動傘歯車540との変速比を設定することにより、第3実施形態よりも引き操作力を軽減させ、操作性を向上させることができる。
また、このような歯車機構を多段構成にして、引き操作力を軽減させるように構成することも可能である。
さらに、第1及び第2操作コード509a,509bの各一端は、それぞれの操作グリップ508a,508bに取着し、第1及び第2操作コード509a,509bの各他端は、第1操作プーリー550a及び第2操作プーリー550bにそれぞれ取着して巻き取るように構成し、該第1操作プーリー550aに連結する第1傘歯車551aと該第2操作プーリー550bに連結する第1傘歯車551bを上述したように被動傘歯車540と噛み合うように構成してもよい。この場合でも、操作グリップ508を下方に引くことのみで開操作を行い、閉動作は、捩りコイルスプリング516の付勢力によるように構成することができ、当該歯車機構により更に操作性を向上させることができる。
尚、各実施形態の遮蔽装置において、操作グリップ40,508が床面に接しない範囲で遮蔽材の一方向への動作(全閉状態から全開状態までの動作)が完了するように構成するのが好適である。例えば、第1実施形態を代表して図35に示すように、全閉状態での操作グリップ40の床面からの高さを1200〜1300mmとし、全開状態での操作グリップ40の床面からの高さを100mm程度となるよう構成することができる。また、引き操作力を軽減させる歯車機構を第1実施形態や第2実施形態に適用して構成することもでき、この場合には、操作グリップ40が床面に接しない範囲で遮蔽材の一方向への動作が完了する範囲に関する設計に自由度が増大する。
以上、各実施形態の遮蔽装置によれば、カーテン材等の遮蔽材を自動的に閉鎖するとともに、当該自動的に閉鎖させるための動力に抗した方向への付勢力を不要としつつ、当該遮蔽材を開放状態又は途中状態に保持可能とすることができる。
また、各実施形態の遮蔽装置によれば、先頭ランナー4,504を開方向に移動させる手段として当該閉ループを開方向に移動可能な操作コード42,509のみ操作ユニット6又は第2ユニット503から露出させ垂下するよう構成したため、操作者は操作を迷いにくくなり、操作性を改善した使い勝手の良い構成とすることができる。
そして、いずれの実施形態の各実施例においても、第3実施形態で説明したような移動量を基に、ストッパ(コードストッパ70、クラッチ機構521)が制御するよう構成することができる。
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、框を利用する代表例としてアコーディオンカーテン1を第1実施形態及び第2実施形態とし、框を利用しない代表例としてカーテンレール500を第3実施形態及び第4実施形態として説明したが、所定のコードにより遮蔽材の駆動を円滑化した遮蔽装置であれば、本発明に係る構成を適用することができる。また、施工時に長さ調節を行う牽引コード51に関して、特定の例を説明したが、その一部にテンション部材(引っ張りバネ)を設けることにより、例えば張設を容易にすることが可能である。
また、本発明に係る遮蔽装置について、以下のように総括することができる。
まず、本発明による第1態様の遮蔽装置は、先頭ランナー4,504をハンガーレール2,501に沿って移動可能に支持し、ハンガーレール2,501の下面側に遮蔽材(カーテン材65,507)を備え、先頭ランナー4,504の移動により当該遮蔽材の開閉を可能とした装置として構成される。
この第1態様の遮蔽装置において、先頭ランナー4,504に連動して開閉方向に移動する伝動体(牽引コード51やエンドレスベルト514、或いはその他のコード、ベルト、チェーン等の紐又は細幅体)を設け、先頭ランナー4,504を直接又は間接的に閉方向に付勢する付勢手段(コイルスプリング64、捩りコイルスプリング511、或いは框を支持するランナーに付勢しランナーから付勢力を受ける構造を含め、その他の付勢力を生じさせるもの)を設け、更に、当該伝動体の移動を拘束又は許容するストッパ(コードストッパ70、クラッチ機構521、或いはその他の同様の機能を有するもの)を設ける。
そして、当該第1態様の遮蔽装置において、当該伝動体は直接又は間接的に開動作に関する閉ループを構成し、該ストッパは、該閉ループの移動状態を基に、当該伝動体の開方向への移動を直接又は間接的に検知し、当該伝動体の開方向への移動の後、該付勢手段により閉方向への移動に転じるときに、当該伝動体の閉方向への移動を直接又は間接的に拘束する状態(ロック状態)と、閉方向への移動を許容する状態(駆動又は解除状態)とを選択的に制御するように構成する。ここで、直接的に開動作に関する閉ループを構成する当該伝動体の例としては、前述した第1及び第2実施形態のようになり、間接的に開動作に関する閉ループを構成する当該伝動体の例としては、前述した第3及び第4実施形態のようになる。そして、閉ループに対して間接的に開方向に移動させる動力(張力)として、例えば操作コード509を介して第1プーリー512により伝動体(エンドレスベルト514)に駆動張力を与える構造とすることができる。これにより、遮蔽材を自動的に閉鎖するとともに、当該自動的に閉鎖させるための動力に抗した方向への付勢力を不要としつつ、当該遮蔽材を開放状態又は途中状態に保持することが可能となり、操作性が向上する。
そして、当該第1態様の遮蔽装置において、該ストッパは、当該伝動体の閉方向への移動を拘束する状態(ロック状態)から、変位最低移動量R未満であることを検知した場合は拘束する状態に戻り、変位最低移動量R以上であることを検知した場合には閉方向への移動を許容する状態(駆動又は解除状態)となるように構成するのが好適である。これにより、当該第1態様の遮蔽装置において、ストッパの操作性を向上させ、操作に関する安定化が可能となる。
また、当該第1態様の遮蔽装置において、該ストッパは、当該伝動体の閉方向への移動を拘束する状態(ロック状態)から、変位最低移動量R未満であることを検知した場合は拘束する状態に戻り、変位最低移動量R以上且つ長引き移動量S未満であることを検知した場合には閉方向への移動を許容する状態(駆動又は解除状態)となり、長引き移動量S以上であることを検知した場合には拘束する状態となるように構成するのが好適である。これにより、当該第1態様の遮蔽装置において、ストッパの操作性を向上させ、操作に関する安定化が可能となる。
また、当該第1態様の遮蔽装置において、該ストッパは、当該伝動体の閉方向への移動を許容する状態(駆動又は解除状態)から、第2の変位最低移動量T(<R)未満であることを検知した場合は許容する状態に戻り、第2の変位最低移動量T以上で、且つS以上であることを検知した場合には閉方向への移動を拘束する状態(ロック状態)となるように構成するのが好適である。これにより、当該第1態様の遮蔽装置において、ストッパの操作性を向上させ、操作に関する安定化が可能となる。
また、当該第1態様の遮蔽装置において、当該閉ループに接続される操作コード42,509を備え、該操作コードの引っ張り力が当該閉ループを開方向に移動させる動力となるように構成するのが好適である。これにより、操作性が更に向上する。
また、当該第1態様の遮蔽装置において、先頭ランナー4,504から框(上述の例では先頭框7)を支持し、当該框に対して直接加わる開方向への外力が当該閉ループに対する開方向への動力となり、該動力による閉ループの移動状態を基に、当該ストッパは当該伝動体の開方向への移動を直接又は間接的に検知するように構成するのが好適である。これにより、操作性が更に向上するとともに、ストッパが確実にクラッチ動作するようになる。
また、当該第1態様の遮蔽装置において、該ストッパは当該伝動体の閉方向への移動を直接的に拘束又は許容するよう構成するのが好適である。これにより、直接的な操作をも包含するところとなり、操作性が向上するようになる。
また、当該第1態様の遮蔽装置において、該ストッパは、当該伝動体(上述の例では操作コード509)と係合し連動して回転する回転体(上述の例では第1プーリー512)に対し当該伝動体の閉方向への回転を拘束又は許容するよう構成するのが好適である。これにより、特定の用途においても上述した作用効果を発揮させ、操作性が向上するようになる。
また、当該第1態様の遮蔽装置において、当該閉ループは、遮蔽材の基端側に配設された第1転向手段(上述の例では滑車52、滑車ユニット11,12)と、先頭ランナーよりも先端側に配設された第2転向手段(上述の例では操作用プーリー43)との間に当該伝動体が張設され、当該伝動体の一端が框(上述の例では先頭框7)に接続され、他端が框(上述の例では先頭框7)を支持する先頭ランナーに接続され間接的に閉ループが形成されるよう構成することが好適である。これにより、特定の用途においても上述した作用効果を発揮させ、操作性が向上するようになる。
また、当該第1態様の遮蔽装置において、当該第1転向手段は、ハンガーレールの一端部に配置される第1転向部(上述の例では滑車52)と、第1転向部より下方の固定部(上述の例では固定框8)に配設される第2転向部(上述の例では滑車ユニット11,12)とを備え、当該第2転向手段は、ハンガーレールの他端部に配設される第3転向部(上述の例では操作用プーリー43)を備えるよう構成することが好適である。これにより、特定の用途においても上述した作用効果を発揮させ、操作性が向上するようになる。
また、当該第1態様の遮蔽装置において、当該伝導体は、1本で構成する第1部分(上述の例では閉ループ用コード26)と複数本で構成する第2部分(上述の例では牽引コード51a、51b)とが連結して構成され、前記第2転向部を前記第2部分の本数と同数設け、当該第1部分と第2部分の各端部を複数個所で当該框に固定するよう構成することが好適である。これにより、特定の用途においても上述した作用効果を発揮させ、操作性が向上するようになる。
また、当該第1態様の遮蔽装置において、当該伝導体(上述の例ではエンドレスベルト514)をハンガーレール501の両端部に設けられた1対の転向手段(上述の例では第1ユニット502、第2ユニット503)間で閉ループとなるよう張設するよう構成することが好適である。これにより、特定の用途においても上述した作用効果を発揮させ、操作性が向上するようになる。
また、当該第1態様の遮蔽装置において、伝動体の開方向への移動は、操作コードによる引っ張り操作で機能するよう構成するのが好適である。これにより、特定の用途においても上述した作用効果を発揮させ、操作性が向上するようになる。
一方、本発明による第2態様の遮蔽装置は、先頭ランナー4,504をハンガーレール2,501に沿って移動可能に支持し、ハンガーレール2,501の下面側に遮蔽材(上述の例ではカーテン材65,507)を備え、先頭ランナー4,504の移動により当該遮蔽材の開閉を可能とし、操作ユニット(上述の例では操作ユニット6、第2ユニット503)から垂下した操作コード(上述の例では操作コード42,509)により操作可能な装置として構成される。この本発明による第2態様の遮蔽装置においては、上述した閉ループに係わらず、開ループで構成する場合も含む。
この本発明による第2態様の遮蔽装置において、先頭ランナー4,504に連動して開閉方向に移動する伝動体(牽引コード51や操作コード42,509、エンドレスベルト514、或いはその他のコード、ベルト、チェーン等の紐又は細幅体)を設け、先頭ランナー4,504を直接又は間接的に第1の方向に付勢する付勢手段(コイルスプリング64、捩りコイルスプリング511、或いは框を支持するランナーに付勢しランナーから付勢力を受ける構造を含め、その他の付勢力を生じさせるもの)を設け、先頭ランナー4,504を当該第1の方向とは逆方向に移動させるためにのみ当該操作コードを設け、伝動体を該逆方向に移動可能とするよう操作コードを当該操作ユニット(上述の例では操作ユニット6、第2ユニット503)から垂下するように構成する。これにより、当該開ループであっても、遮蔽材を自動的に閉鎖するとともに、当該自動的に閉鎖させるための動力に抗した方向への付勢力を不要としつつ、操作性が向上する。
そして、当該本発明による第2態様の遮蔽装置において、当該一方向の移動を阻止又は許容の選択可能なストッパ(コードストッパ70、クラッチ機構521、或いはその他の同様の機能を有するもの)を設けることが好適である。これにより、当該遮蔽材を開放状態又は途中状態に保持することが可能となり、操作性が向上する。
また、当該本発明による第2態様の遮蔽装置において、操作グリップ40,509が床に接しない範囲で遮蔽材(上述の例ではカーテン材65,507)の開閉動作を可能とするよう構成するのが好適である。これにより、操作性が更に向上する。
また、当該本発明による第2態様の遮蔽装置において、操作コード42,509は、操作ユニット(上述の例では操作ユニット6、第2ユニット503)の前後から垂下されるよう構成するのが好適である。これにより、操作性が更に向上する。
また、当該本発明による第2態様の遮蔽装置において、当該一方向は閉方向、当該逆方向は開方向とするよう構成するのが好適である。これにより、付勢手段の付勢力とクラッチ動作の停止力とのバランスを画一化することができ、操作性の向上に役立つ動力バランスを高度に設定することができるようになる。
また、当該本発明による第2態様の遮蔽装置において、伝動体(牽引コード51や操作コード42,509、エンドレスベルト514、或いはその他のコード、ベルト、チェーン等の紐又は細幅体)は直接又は間接的に当該閉ループを構成し、操作コード42,509が閉ループに対し閉方向に引っ張り力を伝えるよう構成するのが好適である。これにより、引っ張り力源を画一化することができ、操作性の向上に役立つ動力バランスを高度に設定することができるようになる。
また、当該本発明による第2態様の遮蔽装置において、操作コード42,509の一端側は操作ユニット(上述の例では操作ユニット40、第2ユニット503)から垂下し他端側はハンガーレール2又は操作ユニット(上述の例では第2ユニット503)内に収容するように構成するのが好適である。これにより、美観を損ねるような大型化を避けることができる。
また、前述した第1及び第2実施形態の遮蔽装置として例示したアコーデンカーテン1では、全開状態時の畳み込み寸法Wcは、骨組みとカーテン材65に依存することになる。また、第3及び第4実施形態の遮蔽装置として例示したカーテンレール500では、畳み込み寸法Wcは、用いるランナー個数に依存する。
このとき、代表的にアコーデンカーテン1について説明するが、図36(a)に示す概念図のように、取付フレーム5を用いてアコーデンカーテン1を構成すると、その開口幅Wo1は、カーテン材65が畳み込まれた位置から取付フレーム5までの距離となる。この開口幅に関して、全開状態時ではより広い開口幅が所望されることが多い。
そこで、図36(b)に示す概念図のように、取付フレーム5を無くして構成することも可能である。この場合、開口幅Wo2は、開口幅Wo1よりも広くなる。また、操作グリップ40が揺れても取付フレーム5に当接して損傷するような懸念もなくなるため、好ましい。例えば、第1及び第2実施形態の遮蔽装置として例示したアコーデンカーテン1において、閉方向への付勢力として錘部材30を用いずにコイルスプリング64のみで構成し、操作グリップ40を支持する操作ユニット6については、ハンガーレール2に取着することで安定化させることができるため、取付フレーム5を無くして構成することが可能である。したがって、全閉状態時では、当該遮蔽装置が遮蔽する面の幅方向における前後の操作コード42で挟まれる位置に遮蔽材(カーテン材65)が存在し、当該全閉状態から開動作に移行する際に当該前後の操作コード42で挟まれる位置関係で遮蔽材(カーテン材65)が開方向に移動するよう構成するのが好適である。また、各実施形態の遮蔽装置として、操作ユニット6や第2ユニット503にて前述した歯車機構を有しない形態では、操作グリップ40,508のストロークHsと開口幅Wo2はほぼ同一となるが、各実施形態の遮蔽装置の変形例として、当該歯車機構を多段構成として増速すればHs<Wo2とすることができる。
また、前述した第4実施形態の遮蔽装置の変形例として、図37に示すような形態とすることができる。図37は、本発明による第4実施形態の遮蔽装置に関する変形例の説明図であり、図37(a)は、第2ユニット503について部分的に拡大した正面概念図であり、図37(b)は、第2ユニット503について部分的に拡大した側面概念図である。同様な構成要素には同一の参照番号を付している。この第4実施形態の遮蔽装置の変形例では、第4実施形態の第1操作プーリー550a及び第2操作プーリー550bに代えて、それぞれ巻き取り式の第1操作プーリー555a及び第2操作プーリー555bが設けられている。
そして、第1及び第2操作コード509a,509bの各一端は、それぞれの操作グリップ508a,508bに取着し、第1及び第2操作コード509a,509bの各他端は、第1操作プーリー555a及び第2操作プーリー555bにそれぞれ取着して巻き取るように構成し、該第1操作プーリー555aに連結する第1傘歯車551aと該第2操作プーリー555bに連結する第1傘歯車551bを上述したように被動傘歯車540と噛み合うように構成されている。また、第1操作プーリー555a及び第2操作プーリー555bは、第2操作ユニット503内に収容されるように構成されている。この場合でも、操作グリップ508を下方に引くことのみで開操作を行い、閉動作は、捩りコイルスプリング516の付勢力によるように構成することができ、当該歯車機構により更に操作性を向上させることができる。
また、図37(b)に示すように、第1操作プーリー555a及び第2操作プーリー555bのいずれか一方、又は双方に、間接的にクラッチ動作を機能させるためのクラッチ機構512aを設けるように構成することができる。このようなクラッチ機構512aは、例えば、前述した第4実施形態の技法を応用して、操作ユニット503の外枠に固定軸を設け、この固定軸にガイド溝521を設けるとともに、操作プーリー側にスライド溝522を設け、この固定軸のガイド溝521と操作プーリー側のスライド溝522との間にクラッチボール524を設けることで実現することができる。
尚、第1及び第2実施形態の変形例として、開方向に自動動作させるよう構成するには、蝶番間のコイルスプリング64を圧縮バネに変更し錘コード29を取付フレーム5側からハンガーレール2に沿って延ばしハンガーレール2の非操作部側でターンさせて移動框7に接続するよう構成することで開方向に付勢させることができる。また、操作コード42は、直接移動框7に接続して閉方向に移動可能とし、コードストッパ70の左右方向の動作向きを逆転させ牽引コード51の開方向の移動を阻止又は許容するよう構成することで実現できる。
また、第3及び第4実施形態の変形例として、開方向に自動動作させるよう構成するには、捻りコイルスプリング516の捻り方向を逆転させ操作コード509のエンドレスベルト514に対する接続位置を前後逆転させ、ストッパ(クラッチ機構521)の向きを逆転させることで実現できる。
また、第3及び第4実施形態の変形例として、先頭ランナー504を2個設け、それぞれエンドレスベルト514の前側及び後側に取着し、左右両端部から中央まで移動可能となるよう構成し、遮蔽材507を両側から中央に向かって閉動作させる両開き形式とすることも可能である。