JP2015217778A - 車両外装部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】クリップの種類を増やすことなく、アウターパネル適切に取り付ける。
【解決手段】サイドプロテクタ20は、アウターパネルにクリップを取り付ける際にクリップを支える支持構造30を有している。支持構造30は、インテグラルヒンジ32を介して接続されたベース部34と、設置部24に開設された挿通部28を介して設置部24と部材本体22との間に突出し、クリップのアウターパネルへの取り付け時に部材本体22に当接し得る支持部36と、挿通部28の開口縁に引っ掛かって挿通部28からの支持部36の抜け止めをする規制部38とを備えている。
【選択図】図2

Description

この発明は、車体のアウターパネルに装着される車両外装部材に関するものである。
フロントドアやリアドアのアウターパネルの下部には、サイドプロテクタと呼ばれる車両外装部材が取り付けられることがある。サイドプロテクタは、合成樹脂の成形部材が用いられ、アウターパネルの塗装を飛石から保護したり、意匠性を向上することなどを目的として取り付けられている。サイドプロテクタは、意匠面を構成する本体部分とは別にクリップ取付座を該本体部分の裏側に一体形成し、このクリップ取付座にクリップを設置している。そして、サイドプロテクタは、裏側へ向けて突出するクリップの係合突起をアウターパネルに開設された係合孔に押し込み、係合突起を係合孔に嵌め合わせることで該アウターパネルに装着される。ここで、サイドプロテクタは、クリップ取付座を本体部分に一体成形すると、クリップ取付座の形成に起因して本体部分の意匠面にヒケなどの成形不良が発生してしまい、見栄えが悪化することがある。そこで、サイドプロテクタは、本体部分の上端部を裏側に鉤状に折り返すように形成し、この折り返し部分にクリップ取付座を形成することが行われている。
前記サイドプロテクタをアウターパネルに装着する際に、折り返し部分がたわみ変形してしまうとクリップの係合突起を係合孔に押し込むことができないので、特許文献1のように、クリップにおける本体部分裏面に臨む頭部を、該本体部分裏面と折り返し部分との間の端部空間に合わせて形成することが提案されている。これによれば、サイドプロテクタをアウターパネルに取り付ける際に、クリップの頭部が本体部分裏面に当接することでクリップが変位しないように支持されて、クリップの係合突起を係合孔に適切に押し嵌めすることができる。
実公平5−27686号公報
前記サイドプロテクタでは、該サイドプロテクタの意匠面の形状やアウターパネルの形状などに応じて本体部分裏面と折り返し部分との間隔が、クリップ取付座毎にばらばらになってしまう。このため、クリップ取付座が設けられる位置における本体部分裏面と折り返し部分との間隔毎に合わせて、頭部の高さや形状が異なる複数種類のクリップを用意しなければならず、コストアップに繋がっている。また、種類の異なるクリップの取り付け間違いなどのエラーを防止するために管理負担が大きくなり、これもコストアップの要因となっている。
すなわち本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、クリップの種類を増やすことなく、アウターパネルに適切に装着できる車両外装部材を提供することを目的とする。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の車両外装部材は、
部材本体の端縁部から該部材本体の裏面と対向するように延在する設置部を有し、該設置部に形成された取付部に取り付けたクリップを、車体のアウターパネルに装着して該アウターパネルに取り付けられる合成樹脂製の車両外装部材において、
前記設置部の延出端に前記取付部に隣接するようにインテグラルヒンジを介して接続され、インテグラルヒンジで折り曲げて、設置部に対して開いた展開姿勢から該設置部における部材本体側と反対面に重なる取付姿勢に変位可能に形成されたベース部と、
前記取付姿勢にある前記ベース部における前記設置部に重なる側の面に立ち上がるように形成された支持部と、
前記設置部に開口状に形成され、前記取付姿勢に向けて姿勢変位する前記ベース部に伴って変位する前記支持部の挿通を許容する挿通部と、
前記取付姿勢で前記挿通部を介して前記設置部と前記部材本体との間に突出する前記支持部に形成され、該取付姿勢で前記挿通部の開口縁に引っ掛かって該支持部の該挿通部からの抜け出しを規制する規制部とを備え、
前記ベース部の取付姿勢において前記支持部と前記部材本体の裏面との当接により、前記取付部に取り付けたクリップの該部材本体の裏面に向けた変位を規制するよう、前記設置部を支える構成としたことを要旨とする。
請求項1に係る発明によれば、部材本体の端縁部から該部材本体の裏面と対向するように延在する設置部に取付部が形成されているので、クリップを取り付けるための取付部の形成によって、意匠面を構成する部材本体に悪影響を与えない。クリップをアウターパネルに取り付ける際に、部材本体と設置部との間に突出する支持部が部材本体の裏面に当接することで設置部を支持して、クリップの部材本体側への変位を規制し得るから、クリップをアウターパネルに適切に取り付けることができる。また、車両外装部材自体に形成された支持部によって設置部を支える構成であるから、クリップに部材本体に当接する部分を設ける必要がなく、部材本体と設置部との間隔に合わせた複数種類のクリップを用意する必要もない。すなわち、用意するクリップの種類を減らすことができるから、クリップにかかるコストを低減できると共に、クリップの管理手間を軽減できる。しかも、車両外装部材は、支持部が形成されたベース部を、設置部に対して開いた展開姿勢で成形することができるから、型構造を簡単にすることができる。
請求項2に係る発明では、前記支持部は、前記ベース部に対して前記インテグラルヒンジによる回転軸線方向に傾く傾斜面により、該回転軸線方向の寸法が該ベース部から離れるにつれて小さくなるように形成され、
前記挿通部は、前記設置部に対して起立した前記ベース部の展開姿勢において該設置部における前記部材本体と反対側に延在する前記支持部と重なる位置に形成されると共に、該支持部の傾斜面に対応する開口縁が該傾斜面に沿って形成され、
前記規制部は、前記傾斜面と交差して前記回転軸線方向に延在するように、該傾斜面における前記ベース部側の端縁に連ねて形成されたことを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、ベース部を展開姿勢から取付姿勢にインテグラルヒンジを中心に姿勢変位して支持部を挿通部に挿通する際に、姿勢変位初期に支持部が挿通部の開口縁に干渉しないので姿勢変位作業を行い易く、ベース部を取付姿勢にした際には、挿通部の開口縁と規制部との係合により支持部の挿通部からの抜け出しを適切に規制し得る。
請求項3に係る発明では、前記支持部は、その突出端縁が前記取付姿勢で前記部材本体の裏面に相対し、
前記突出端縁は、該突出端縁において前記展開姿勢から取付姿勢への変位に際して前記挿通部を先に通過する端を通る前記インテグラルヒンジを中心とした仮想円上または該仮想円よりも該中心側に延在するように形成されたことを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、ベース部を展開姿勢から取付姿勢にインテグラルヒンジを中心に姿勢変位して支持部を挿通部に挿通する際に、支持部の突出端縁が挿通部の開口縁に引っ掛かるのを回避でき、ベース部の姿勢変位作業を行い易い。
本発明に係る車両外装部材によれば、クリップの種類を増やすことなく、アウターパネルに適切に装着できる。
本発明の好適な実施例に係るサイドプロテクタを示す縦断面図である。 実施例のサイドプロテクタの要部を示す斜視図であり、ベース部が取付姿勢にある。 実施例のサイドプロテクタの要部を示す斜視図であり、ベース部が展開姿勢にある。 (a)は実施例のサイドプロテクタの要部を一部破断して示す底面図であり、(b)は実施例のサイドプロテクタの要部を裏側から示す側面図であり、(a)および(b)はベース部が取付姿勢にある。 (a)は実施例のサイドプロテクタの要部を一部破断して示す底面図であり、(b)は実施例のサイドプロテクタの要部を裏側から示す側面図であり、(a)および(b)はベース部が展開姿勢にある。 実施例のサイドプロテクタの要部を示す縦断面図であり、(a)はベース部が展開姿勢にあり、(b)はベース部が取付姿勢にある。
次に、本発明に係る車両外装部材につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、実施例では、車両外装部材として、車両におけるドアパネルの外側を構成するアウターパネルの下部外面に取り付けられるサイドプロテクタを例示する。また、以下の説明において、サイドプロテクタは、車両の側面を構成するドアパネルに取り付けた状態を基準として方向を指称する。
図1に示すように、サイドプロテクタ20は、アウターパネル10の外面に相対するよう形成された板状の部材本体22と、この部材本体22の上縁部から部材本体22の裏面と離間して対向するように延在形成された板状の設置部24とを備えている。サイドプロテクタ20の上部には、部材本体22および設置部24により裏側へ鉤状に曲がって、下方に開放する空間を画成する折り返し部分が形成されている。なお、実施例のサイドプロテクタ20では、前記折り返し部分の上部が上方に先細りになっている。設置部24は、サイドプロテクタ20の上部全体に亘って前後方向に延在するよう形成される。そして、設置部24には、クリップ12を取り付けるための取付部26が前後方向に離間して複数箇所設けられている。取付部26は、クリップ12の構成に合わせて形成され、実施例の取付部26は、設置部24における部材本体22の裏面に対向する位置に、該設置部24の板厚方向(車幅方向)に貫通するように形成された開口である。
図1および図4に示すように、前記クリップ12は、クリップベース13の一面から突出するよう形成され、該クリップベース13からの突出方向と交差する方向に延出する爪14aを有するクリップ係合部14と、クリップベース13の他面に形成されたクリップ取着部15とを有している。クリップ12は、クリップ取着部15を取付部26に嵌め込むことで、クリップ係合部14がアウターパネル10側(裏側)へ向けて突出する姿勢で取付部26に位置決め固定される。そして、サイドプロテクタ20は、クリップ12のクリップ係合部14をアウターパネル10に開設された係合孔10aに嵌め合わせることで、上部がアウターパネル10に対して固定される。実施例では、サイドプロテクタ20と別体に形成されたインナー部材18を爪嵌合によりサイドプロテクタ20の下部裏側に取り付け、インナー部材18に設けられたクリップ台座19に取り付けたクリップ12のクリップ係合部14をアウターパネル10の係合孔10aに嵌め合わせることで、サイドプロテクタ20の下部がアウターパネル10に対して固定される。そして、サイドプロテクタ20は、アウターパネル10に装着した際に、部材本体22の表面が外方に露出する意匠面を構成し、設置部24が部材本体22および/またはアウターパネル10によって隠されるようになっている。
図2および図3に示すように、前記サイドプロテクタ20は、取付部26に取り付けたクリップ12をアウターパネル10に装着する際に、該クリップ12を支持する支持構造30を備えている。支持構造30は、設置部24にインテグラルヒンジ32を介して連設されたベース部34と、このベース部34に設けられ、設置部24に開設された挿通部28に挿通して部材本体22と設置部24との間に突出する支持部36と、この支持部36を部材本体22と設置部24との間に突出する状態で位置規制する規制部38とから基本的に構成されている。実施例のサイドプロテクタ20は、各取付部26に隣接して、該取付部26を挟む前後両側に支持構造30が夫々設けられている。なお、取付部26を挟んで対をなす支持構造30,30は、取付部26を挟んで対称な構成であるから、片方の支持構造30のみを以下説明する。
図2〜図5に示すように、前記ベース部34は、設置部24の下端(延出端)における取付部26に隣接する位置に、インテグラルヒンジ32を介して形成されている。ベース部34は、インテグラルヒンジ32で折り曲げて、設置部24に対して開いた展開姿勢(図3,図5および図6(a)参照)から設置部24の裏面(部材本体22側と反対面)に重なる取付姿勢(図2,図4および図6(b)参照)に変位可能に構成されている。ベース部34は、板状に形成されると共に、取付部26から前後にずらして配置され、取付姿勢とした際に、取付部26に重ならず、設置部24における取付部26の前側または後側に隣接した部位に重なるようになっている。また、ベース部34は、設置部24の上下寸法より小さく形成され、取付姿勢とした際に、サイドプロテクタ20の上縁から突出しないよう設定される。インテグラルヒンジ32は、設置部24の下端とベース部34の一縁との間の全体に亘って両者を接続している。インテグラルヒンジ32は、設置部24およびベース部34よりも薄肉に形成され(図6(a)参照)、自身が変形することで、設置部24の下端に沿う前後方向(回転軸線方向)周りに、ベース部34の姿勢変位を許容するよう構成される。実施例のベース部34は、設置部24に対してなす角が90°より少し超えた鈍角になるように起立した展開姿勢で成形され、この展開姿勢から設置部24に重なるように変位して取付姿勢とされる。なお、成形時のベース部34の展開姿勢は、型構造などに応じて設置部24に対する角度が90°〜180°の範囲で適宜に設定し得る。
前記支持部36は、ベース部34における取付姿勢で設置部24に重なる側の面に立ち上がるように形成され、ベース部34の展開姿勢で設置部24の裏側に位置している(図3,図5および図6(a)参照)。支持部36は、ベース部34の取付姿勢において、設置部24に開設された挿通部28を介して該設置部24より部材本体22の裏面に向けて突出して、取付部26に隣接して設置部24と部材本体22との間に臨むように構成される(図2,図4および図6(b)参照)。支持部36は、ベース部34に連なる根元部分37がベース部34と略同じ板厚で該ベース部34と直交するように形成され、この根元部分37が前記取付姿勢において挿通部28を通るようになっている(図4参照)。支持部36には、ベース部34側の根元部分37から前後方向(インテグラルヒンジ32によるベース部34の回転軸線方向)に延出して、前記取付姿勢において挿通部28の開口縁と少なくとも一部がラップする規制部38が形成されている。そして、支持部36は、前記取付姿勢において、規制部38が挿通部28の開口縁に引っ掛かって、挿通部28からの抜け出しが規制される。
図1および図6(b)に示すように、前記支持部36は、取付姿勢にあるベース部34の上下方向(展開姿勢にあるベース部34における設置部24からの延出方向)に亘って延在するように形成されている。実施例の支持部36は、ベース部34における取付部26側となる前縁辺または後縁辺からベース部34と直交するように立設されている。支持部36は、ベース部34の取付姿勢において上面(ベース部34の延出端側の面)および下面(ベース部34のインテグラルヒンジ32側の面)が略水平方向に延在して互いに平行するよう形成されている(図1参照)。また、支持部36は、前記取付姿勢において挿通部28から突出する本体部分が、取付部26と反対側に向く一方の面(支持通過面)36aがベース部34と直交するように延在している(図4(a)および図5(b)参照)。これに対して、支持部36の本体部分は、取付部26側に向く他方の面(支持傾斜面)36bが、ベース部34から該支持部36の突出端に向かうにつれて前記支持通過面36a側に傾くよう、ベース部34に対して傾斜形成されている(図4(a)および図5(b)参照)。すなわち、支持部36の本体部分は、前記支持通過面36aと支持傾斜面36bとによって規定される前後方向(インテグラルヒンジ32によるベース部34の回転軸線方向)の寸法が、ベース部34から離間するにつれて小さくなるよう設定され、該本体部分は先細り形状になっている。なお、実施例において支持部36の本体部分は、前後方向の厚みが取付姿勢における上下位置によって変化しないように設定されている。
図4および図5に示すように、前記規制部38は、支持部36の根元部分37から前後方向(インテグラルヒンジ32による回転軸線方向)に沿って取付部26側に延出する面部分である。規制部38は、支持部36の突出方向と交差するように延出し、該規制部38の延出端と支持傾斜面36bにおける根元部分37側(ベース部34側)の端とが連なっている。支持部36には、ベース部34に連なる幅狭な根元部分37と該根元部分37より幅広に設定された本体部分とがなす段差部分に規制部38が設けられている。規制部38は、根元部分37からの前後方向の延出幅が一定になるよう形成されており、実施例では、該規制部38の延出端が取付姿勢で上下方向に沿って延在している。
図2および図3に示すように、前記挿通部28は、設置部24を板厚方向(車幅方向)に貫通する開口状に形成されている。挿通部28は、設置部24に対して起立したベース部34の展開姿勢において該設置部24における部材本体22と反対側に延在する支持部36に対してサイドプロテクタ20の内外方向(車幅方向)に重なるように設置部24に形成され、設置部24の延出端側にも開放している。挿通部28は、前記展開姿勢において、支持部36の支持通過面36aに対応する取付部26から遠い側の開口縁(通過開口縁)28aが支持通過面36aに沿って上下に延在するよう形成されている。挿通部28は、支持部36の支持傾斜面36bに対応する取付部26に近い側の開口縁(傾斜開口縁)28bが該支持傾斜面36bに沿って形成されている。すなわち、挿通部28の傾斜開口縁28bは、下方(設置部24の延出端側)から上方(設置部24の部材本体22への連設側)に向かうにつれて取付部26から離れるように延在しており、挿通部28は、下方から上方に向かうにつれて前後方向の開口寸法が小さくなるよう設定される。実施例の挿通部28は、支持部36の支持通過面36aと支持傾斜面36bと突出端縁36cとがなす外形よりひとまわり大きく略相似する形状になっており(図5(b)参照)、支持部36を挿通部28に挿通する前の前記展開姿勢において挿通部28の開口範囲に支持部36が整合している。
前記支持部36を挿通部28に挿通する前の前記展開姿勢において、挿通部28の傾斜開口縁28bと、この挿通部28に重なる支持部36の支持傾斜面36bとが互いに沿うように形成されている(図5(b)参照)。これに対して、前記取付姿勢とすることで、挿通部28の傾斜開口縁28bとこの挿通部28に重なる規制部38の延出端が交差するように構成されている(図4(b)参照)。挿通部28の傾斜開口縁28bは、下方から上方へ向かうにつれて取付部26から離れる側へ傾くよう延在するのに対し、規制部38の延出端は、上下方向に延在しており、規制部38の上部が挿通部28の傾斜開口縁28bに重なるよう構成される。すなわち、支持部36は、規制部38の延出端下部(インテグラルヒンジ32側)が挿通部28の開口範囲に臨む一方で、規制部38の延出端上部(ベース部34の延出端側)が挿通部28の開口範囲外に位置するように設定される。
前記支持部36は、その突出端縁36cが前記取付姿勢で部材本体22の裏面に相対するようになっている。図6に示すように、支持部36の突出端縁36cは、該突出端縁36cにおいて前記展開姿勢から取付姿勢への変位に際して挿通部28を先に通過する端を通るインテグラルヒンジ32を中心とした仮想円上または該仮想円よりも該中心側に延在するように形成される。実施例の突出端縁36cは、前記取付姿勢において、下端(インテグラルヒンジ32側の端)が最もベース部34から延出するよう設定され、下端(インテグラルヒンジ32側の端)から上端(ベース部34の延出端側の端)に向かうにつれてベース部34からの突出寸法が短くなるように斜めに傾斜形成されている。また、実施例の突出端縁36cは、前記取付姿勢において、上方から下方へ向かうにつれて設置部24から離れるように斜めに延在する部材本体22の裏面に沿うように傾斜している。
前記サイドプロテクタ20は、後付けされるクリップ12を除いて、部材本体22、設置部24および取付部26や、支持構造30を構成するインテグラルヒンジ32、ベース部34、支持部36、挿通部28および規制部38が、ポリプロピレンやABSなどの合成樹脂の型成形により一体的に形成される。
〔実施例の作用〕
次に、実施例に係るサイドプロテクタ20の作用について説明する。意匠面を構成する部材本体22の裏面にクリップ12を取り付ける台座等の構造物を直接形成するのではなく、部材本体22の上縁部から該部材本体22の裏面に対向するように延在する設置部24に形成された取付部26にクリップ12を取り付ける構成であるから、合成樹脂による型成形で設置部24および取付部26を部材本体22と一体的に形成しても、部材本体22の意匠面にヒケなどの成形不良が生じることはなく、意匠面の見栄えを向上することができる。同様に、支持構造30は、設置部24または該設置部24に連ねて形成される構成であるので、支持構造30を部材本体22と合成樹脂から型成形で一体的に形成しても、部材本体22の意匠面に悪影響を与えない。しかも、サイドプロテクタ20は、支持部36が形成されたベース部34を、設置部24に対して開いた展開姿勢で成形することができるから、ベース部34の延在方向や支持部36の突出方向や規制部38の延在方向などによる型抜きの制約が少なくなる。これにより、例えば設置部24と部材本体22の裏面との間の空間に構造物を形成するときのように複雑なスライド型を用いる必要がなく、サイドプロテクタ20の型成形に用いる型構造を簡単にすることができる。
前記サイドプロテクタ20は、ベース部34を設置部24に対して起立した展開姿勢で、クリップ12を除く構成が一体成形され、インテグラルヒンジ32を支点としてベース部34を展開姿勢から設置部24に重ねるように姿勢変位することで、取付姿勢とされる。ベース部34の展開姿勢において、挿通部28と支持部36とが左右方向(サイドプロテクタ20の表裏方向)に重なるように配置された際に、支持部36の支持傾斜面36bが挿通部28の傾斜開口縁28bに沿うように延在すると共に支持部36の支持通過面36aが挿通部28の通過開口縁28aに沿うように延在している。これにより、ベース部34を展開姿勢から取付姿勢に向けて姿勢変位した際に、姿勢変位初期段階では、挿通部28の開口縁に支持部36が引っ掛かることなくベース部34の姿勢変位に伴う支持部36の変位が許容される。そして、ベース部34の姿勢変位の途中で支持部36の支持傾斜面36bが挿通部28の傾斜開口縁28bに交錯するが、挿通部28に既に挿入された支持部36の部分が該挿通部28との当接により案内されると共に、取付姿勢に向けた支持部36の変位につれて該支持傾斜面36bと傾斜開口縁28bとの交錯範囲が次第に大きくなる関係になっているから、支持部36を挿通部28に挿通するのに要する力を軽減し得る。また、支持部36の支持通過面36aと挿通部28の通過開口縁28aとは、インテグラルヒンジ32による回転軸線と直交するように延在しているので、展開姿勢から取付姿勢への姿勢変位に際して互いに干渉しない。このように、支持部36を挿通部28に挿通し易く構成してあるから、ベース部34を展開姿勢から取付姿勢にする姿勢変位作業を行い易い。そして、ベース部34を取付姿勢として支持部36を挿通部28に挿通して該支持部36を設置部24と部材本体22との間に突出させた際には、規制部38が挿通部28の開口縁に引っ掛かり、支持部36が挿通部28から抜け出すことを適切に規制し得る。
実施例の支持部36は、前記取付姿勢における突出端縁36cの下端が最もベース部34から延出するよう形成されているから、ベース部34を展開姿勢から取付姿勢にインテグラルヒンジ32を中心に姿勢変位して支持部36を挿通部28に挿通する際に、支持部36の突出端縁36cが挿通部28の開口縁に引っ掛かるのを回避でき、ベース部34の姿勢変位作業を行い易い。
前記サイドプロテクタ20は、クリップ12をアウターパネル10に取り付ける際に、部材本体22と設置部24との間に突出する支持部36が部材本体22の裏面に当接することで設置部24を支持して、クリップ12の部材本体22側への変位を規制し得るから、クリップ12を係合孔10aに押し込むことができる。これにより、クリップ12の係合孔10aへの取り付け不良を回避して、サイドプロテクタ20をアウターパネル10に適切に装着することができる。また、サイドプロテクタ20自体に形成された支持部36によって設置部24(クリップ12)を支える構成であるから、クリップ12に部材本体22に当接する部分を設ける必要がなく、部材本体22と設置部24との間隔に合わせた複数種類のクリップ12を用意する必要もない。すなわち、用意するクリップ12の種類を減らすことができるから、クリップ12にかかるコストを低減できると共に、クリップ12の管理手間を軽減できる。従って、サイドプロテクタ20によれば、クリップ12の種類を増やすことなく、アウターパネル10に適切に装着できる。
(変更例)
前述した実施例の構成に限定されず、例えば以下のようにも変更可能である。
(1)実施例では、1つの取付部の両側に対をなす支持構造を設けたが、取付部の片方のみに支持構造を設ける構成であってもよい。
(2)取付部は、クリップの取り付け構造に合わせて形成され、閉じた開口形状に限られず、設置部の延出端に開放する切欠形状や、または突起などの位置決め片を立設する構成などであってもよい。
(3)実施例では、支持部の片面だけを傾斜面としたが、両面を傾斜面としてもよい。この場合は、挿通部の対向する開口縁の両方を前記展開姿勢で対応する傾斜面に沿うように形成するのが好ましい。
(4)実施例では、支持部の片側だけに規制部を設けたが、支持部の両側に互いに反対向きに延出する規制部を夫々形成してもよい。
(5)挿通部の開口形状は、実施例に限定されず、例えば設置部の延出端に開放しない閉じた開口などであってもよい。
(6)実施例では車両外装部材としてサイドプロテクタを例示したが、スポイラなどにも適用することができる。
(7)実施例では、成形性を考慮して設置部に対して90°を少し超えた角度でベース部が開いた展開姿勢で成形するよう設定したが、設置部に対するベース部の角度が90°であってもよい。ベース部の設置部に対する角度が90°以上であれば、成形型のスライド構造の複雑化を抑えることができる。
10 アウターパネル,12 クリップ,22 部材本体,24 設置部,26 取付部,
28 挿通部,32 インテグラルヒンジ,34 ベース部,36 支持部,
36b 支持傾斜面(傾斜面),36c 突出端縁,38 規制部

Claims (3)

  1. 部材本体の端縁部から該部材本体の裏面と対向するように延在する設置部を有し、該設置部に形成された取付部に取り付けたクリップを、車体のアウターパネルに装着して該アウターパネルに取り付けられる合成樹脂製の車両外装部材において、
    前記設置部の延出端に前記取付部に隣接するようにインテグラルヒンジを介して接続され、インテグラルヒンジで折り曲げて、設置部に対して開いた展開姿勢から該設置部における部材本体側と反対面に重なる取付姿勢に変位可能に形成されたベース部と、
    前記取付姿勢にある前記ベース部における前記設置部に重なる側の面に立ち上がるように形成された支持部と、
    前記設置部に開口状に形成され、前記取付姿勢に向けて姿勢変位する前記ベース部に伴って変位する前記支持部の挿通を許容する挿通部と、
    前記取付姿勢で前記挿通部を介して前記設置部と前記部材本体との間に突出する前記支持部に形成され、該取付姿勢で前記挿通部の開口縁に引っ掛かって該支持部の該挿通部からの抜け出しを規制する規制部とを備え、
    前記ベース部の取付姿勢において前記支持部と前記部材本体の裏面との当接により、前記取付部に取り付けたクリップの該部材本体の裏面に向けた変位を規制するよう、前記設置部を支える構成とした
    ことを特徴とする車両外装部材。
  2. 前記支持部は、前記ベース部に対して前記インテグラルヒンジによる回転軸線方向に傾く傾斜面により、該回転軸線方向の寸法が該ベース部から離れるにつれて小さくなるように形成され、
    前記挿通部は、前記設置部に対して起立した前記ベース部の展開姿勢において該設置部における前記部材本体と反対側に延在する前記支持部と重なる位置に形成されると共に、該支持部の傾斜面に対応する開口縁が該傾斜面に沿って形成され、
    前記規制部は、前記傾斜面と交差して前記回転軸線方向に延在するように、該傾斜面における前記ベース部側の端縁に連ねて形成された請求項1記載の車両外装部材。
  3. 前記支持部は、その突出端縁が前記取付姿勢で前記部材本体の裏面に相対し、
    前記突出端縁は、該突出端縁において前記展開姿勢から取付姿勢への変位に際して前記挿通部を先に通過する端を通る前記インテグラルヒンジを中心とした仮想円上または該仮想円よりも該中心側に延在するように形成された請求項1または2記載の車両外装部材。
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