JP2015217578A - 指紋防止フィルム及びこれを用いた自動車部品 - Google Patents

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Yuji Noguchi
雄司 野口
甲斐 康朗
Yasuaki Kai
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Abstract

【課題】自動車などの過酷な耐久性を要求される分野において長期間の耐久性と指紋防止性を両立し得る指紋防止フィルム、及びこれを用いた自動車部品を提供すること。
【解決手段】指紋防止フィルム200は、表面に複数の微細突起100を有する第1の層10と、微細突起を被覆し撥水性を有する第2の層20と、第1の層における微細突起と反対側の面に配置された第3の層とを備える。第1の層の弾性率E1、第2の層の弾性率E2、第3の層の弾性率E3がE2>E1>E3の関係を満たす。第2の層20で被覆された微細突起間に、第2の層との表面自由エネルギー差が10mJ/m以下であり、皮脂と相溶性を持つ液体60を保持する。
指紋防止フィルム200を貼り付けた自動車部品である。
【選択図】図1

Description

本発明は、建造物や自動車、食品容器、電子デバイスなど様々な分野で指紋付着を防ぎ、建物や自動車等では、優れた外観や視認性を長期にわたって実現する指紋防止表面に関する。
更に詳細には、摩耗や損傷が抑制された微細突起を有する積層フィルムであって、所定の液体を保持させた指紋防止フィルム、及びこの指紋防止フィルムを貼り付けた指紋防止性を有する自動車部品に関するものである。
従来、指紋防止表面として一般的に利用されているフッ素系材料でコーティングした表面は、表面自由エネルギーが小さく、様々な汚れの付着を防止できる。
しかし、フッ素は分子内での極性が大きいため、汚れの種類によっては却って付着性が強くなるものもあった。特に指紋が付着した場合、ふき取るだけでは皮脂を塗り広げるだけで、容易に表面を清浄にすることは困難であった。
指紋除去のもう一つの方策として、表面を超親水性にし、水を流したときに、指紋と親水表面の間に水を浸入させて汚れを剥離することが考えられる。
この方策はいわばカタツムリの殻を模倣するものであり、特許文献1に提案されている親水性反射防止構造はかかる方策に適用することが可能と思われるが、水を使用し指紋を除去することは特にディスプレイ表面などの電子デバイスでは故障の原因となるため不適切である。
一方、非特許文献1には、表面にフッ素液体を保持させることにより、様々な汚れを滑落させる技術が報告されている。
特許3830742号公報
Tak−Sing Wong,Bioinspired self−repairing slippery surfaces with pressure−stable omniphobicity,NATURE 477 443−447(2011)
しかしながら、特許文献1に記載の技術を超親水表面に適用しようとすると、ふき取りによる指紋除去は容易であるが、指紋が付着しないという観点からは不十分なものである。また、指紋除去に水を使用するという観点から電子デバイスなどに使用することは困難である。
この一方で、非特許文献1に記載の技術は、依然として学術的な領域の研究に属するものであり、実際の耐久性や透明性などにおいて実用化できる分野が限定される。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、自動車などの過酷な耐久性を要求される分野において長期間の耐久性と指紋防止性を両立し得る指紋防止フィルム、及びこれを用いた自動車部品を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、指紋防止フィルムを構成する各層の弾性率を制御し、且つ所定液体を適切に保持させることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の指紋防止フィルムは、表面に複数の微細突起を有する第1の層と、上記微細突起を被覆し撥水性を有する第2の層と、上記第1の層における微細突起と反対側の面に配置された第3の層と、を備えるフィルムである。
上記第1の層の弾性率をE1、上記第2の層の弾性率をE2、上記第3の層の弾性率をE3とするとき、E2>E1>E3の関係を満たし、
上記第2の層で被覆された微細突起間に、上記第2の層との表面自由エネルギー差が10mJ/m以下であり、皮脂と相溶性を持つ液体を保持することを特徴とする。
また、本発明の自動車部品は、上記のような指紋防止フィルムを有することを特徴とする。
本発明によれば、指紋防止フィルムを構成する各層の弾性率を制御し、且つ所定液体を適切に保持させることとしたため、自動車などの過酷な耐久性を要求される分野において長期間の耐久性と指紋防止性を両立し得る指紋防止フィルム、及びこれを用いた自動車部品を提供することができる。
本発明の一実施形態に係る指紋防止フィルムの一例を示す部分断面図である。 本発明の一実施形態に係る指紋防止フィルムにおける微細突起の形状例を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る指紋防止フィルムにおける微細突起の形態例を示す概略図である。 本発明の一実施形態に係る指紋防止フィルムにおける、微細突起に対する圧縮方向及びせん断方向の入力の状態を説明する概略図である。 本発明の一実施形態に係る指紋防止フィルムを三次元曲面に貼り付けた場合の各層の伸び挙動を示す概略図である。 本発明の一実施例形態に係る指紋防止フィルムにおいて、微細突起を被覆する層の膜厚が大きくなっていく状態を示す断面説明図である。
以下、本発明の指紋防止フィルム及びこれを備えた自動車用部品について図面を用いて詳細に説明する。
なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。また、本明細書において、濃度及び含有量等についての「%」は特記しない限り質量百分率を表すものとする。
[指紋防止フィルム]
本発明の一実施形態に係る指紋防止フィルム200は、表面に複数の微細突起100を有する第1の層10と、微細突起100の表面を被覆し、かつ撥水性を有する第2の層20とを備えている。また、第1の層10における微細突起100が形成された面と反対側の面には、第3の層30が配置されている。さらに、第2の層20で被覆された微細突起100−100間には、液体60が保持されている(図1参照)。
そして、第1の層10の弾性率をE1とし、第2の層20の弾性率をE2とし、第3の層30の弾性率をE3とするとき、E2>E1>E3の関係を満たしている。
図1は、本発明の一実施形態に係る指紋防止フィルム200を示す。この指紋防止フィルム200では微細突起100は錐台状に形成されている。微細突起100の形状としては、このような円錐台や角錐台等の錐台状、さらに円錐や角錐等の錐体状が好適に用いられる。
また、微細突起100の形状としては、釣り鐘形や椎の実形等の変形円錐体状、曲面から成る側面を有する変形角錐体状、先端部を丸めた形状、中心線から傾斜した形状など様々な形状を用いることができる。図2に、本発明の指紋防止フィルムにおける微細突起100が取り得る断面形状の例を示す。
また、微細突起100の底面の形状としては多角形や略円形状が好適に用いられるが、その他に星形状や楕円形状等、様々な形状を用いることができる。本発明の指紋防止フィルムは、図3に示すように、微細突起100が所定のピッチで二次元的に配列されている限り、微細突起100の間に凹部101を備えたものであっても差し支えない。
なお、本明細書において、図3(a)に示すように、各凹部101の底102を通る面B’を仮定した場合、面B’のうち微細突起100の周りを囲む凹部101の底102で区画される領域を、微細突起100の底面と定める。また、図3(b)に示すように、微細突起100の根元部103が曲面を有するような実施形態においても同様に、微細突起100の根元部103の間の底104を通る面B’を仮定した場合、面B’のうち微細突起100の周りを囲む根元部103の間の底104で区画される領域を、微細突起100の底面と定める。
ここで、各微細突起100のピッチAは、フィルム自体の構造からすれば本来的には50μm以下であることが好ましい。互いに隣接する微細突起100の間のピッチAが50μmを超えると、そのフィルムを用いた各種ウインドウパネルでは撥水機能が有効に発揮されにくくなる。つまり、霧雨の水滴は50μm程度なので、水滴が微細突起の間隙に侵入してしまい、指紋防止フィルムの表面から水滴が移動し難くなる。
但し、本発明の指紋防止フィルムでは、微細突起100上に形成される第2の層20の表面に、必要に応じて撥水材料等で表面処理を施し、さらに液体60を保持させているので、ピッチAが50μmを超えた場合でも撥水性や指紋防止性を示す。
なお、本明細書において、各微細突起100のピッチAとは、図1及び図3に示すように、互いに隣接する微細突起100の底面における重心点間の距離をいう。
なお、指紋防止フィルム200に反射防止機能を付与する場合、微細突起100のピッチAが380nm以下であることが好ましい。つまり、微細突起100のピッチAは可視光線の波長380〜750nm以下であることが好ましい。ピッチAが380nmを超えると可視光の一部が微細突起100によって拡散や回折するため、光の反射率が大きくなる場合がある。なお、微細突起100のピッチAが150nm以下であることがより好ましい。ピッチAが150nm以下であれば人間の爪の平均的な表面粗さ以下となるため、その指紋防止フィルムを用いた各種ウインドウパネルでは爪引っ掻きに対する耐擦傷性が有効に発揮される。
以上のようなことを勘案すると、本発明の指紋防止フィルムでは、ピッチAは380nm以下が望ましく、好ましくは10nm〜200nm、さらに好ましくは50nm〜150nmである。
ピッチAが380nmを超えるとフィルムが白濁し、フィルムを貼りつけた部品の視認性や下地の材料の鮮明性が低下することがある。
また、第1の層10において、微細突起100の高さHはフィルム自体の構造からすれば本来的には100nm以上であることが好ましい。微細突起100の高さHが100nm未満であると反射防止効果が低下する虞がある。一方、微細突起100の高さが大きすぎると折損しやすくなると共に成形性も低下する可能性があることから、600nm以下とすることが望ましい。但し、本発明の指紋防止フィルムでは、上述のように、第2の層20の表面に、必要に応じて撥水処理等を施しさらに液体60を保持させるので、高さHが100nm未満の場合でも高い指紋防止性や撥水性を示す。
具体的には、微細突起100の高さHは50〜600nmとすることが好ましい。50nm未満では液体60の保持性が低下することがあり、600nmを超えると上述のように耐摩耗性が悪化することがある。
なお、微細突起100の高さとは、微細突起100の底104から突起の先端までの、底面B’に垂直な方向の距離を意味する。また、図3に記号Hで示すように、微細突起100間に凹部101が存在する場合には、凹部101の底(最深部)102から突起の先端までの、底面B’に垂直な方向の距離を意味する。
上記指紋防止フィルム200において、微細突起100が錐体状や錐台状(先細り形状)を成し、380nm以下のピッチAで二次元的に配置されている場合、表面の微細な凹凸が可視光によって認識できない大きさとなる。そのため、光の干渉による発色がなくなり、透明材料として用いることができる。また、反射防止効果により景色の映り込みを減らすことができるので、車両や船舶、航空機等のウインドウパネルに好適に用いることができる。更に、微細突起100間の間隙部が細長くなり、水滴衝突による水の浸入が抑制されるので、材料の選択によっては、雨等の水滴が全く付着しないほどの超撥水性を示す。更にまた、微細突起100間には液体60が保持されているので、後述するように優れた指紋防止性を発揮する。
本発明の指紋防止フィルムにおける微細突起100の大きさは、上述のようにナノメートルオーダーである。そのため、微細突起100の形状やピッチは、製造上の制約から、完全な幾何学的形状ではなく、ある程度ばらつきが発生してしまう。しかし、たとえ微細突起の形状やピッチにばらつきが発生したとしても、本発明の技術的範囲は何ら限定されるものではない。
上述のように、本実施形態の指紋防止フィルム200は、複数の微細突起100を有する第1の層10と、微細突起100の表面全体を被覆し、撥水性を有する第2の層20と、上記第1の層10における微細突起100と反対側の面に配置される第3の層30とを備えている。
そして、第1の層10の弾性率をE1、第2の層20の弾性率をE2、第3の層30の弾性率をE3とするとき、E2>E1>E3の関係を満たす。このような構成とすることによって、微細突起100の破壊、すなわち摩耗及び損傷を防止することができる。
つまり、布拭き取り等の外部入力は、第1の層10の表面にほぼ沿ったせん断方向の入力と、表面にほぼ垂直な圧縮方向の入力とに大きく分けられる。このうち、せん断方向の入力に対しては、第2の層20が第1の層10よりも高い弾性率E2を有することで摩耗し難くなり、さらに第1の層10へ伝播するせん断入力を緩和し、分散する。また、第1の層10が第2の層20よりも低い弾性率E1を有することで、微細突起100へのせん断入力を柔軟に緩和する。
一方、圧縮方向の入力に対しては、第1の層10よりも低い弾性率E3を有する第3の層30がこの入力を主に受けて弾性的に変形することで、微細突起100の破壊を抑制する。ここで、第1の層10は、微細突起100の成形時の寸法精度を高める、また微細突起100を爪引っ掻きから保護するという観点から、ある水準の弾性率E1を必要とする。しかし、第1の層10をより高い弾性率E2を有する第2の層20で被覆しただけの状態では、圧縮方向の入力に対して第1の層10が主に弾性変形を担い、第2の層20はさほど弾性変形しない。この分、第1の層10の弾性変形量が相対的に大きくなるために、耐摩耗性の確保が難しくなる。しかし、第1の層10の微細突起100と反対側の面に、第1の層10よりも低い弾性率E3を有する第3の層30が存在すると、第3の層30が弾性的な変形を担うことで、第1の層10や第2の層20の弾性変形量を抑制できる。
微細突起に対する圧縮方向及びせん断方向の入力の影響について、さらに詳細に説明する。
図4の(a)〜(c)では、第2の層が形成されていない指紋防止フィルムを示している。さらに図4(b)では第3の層30の弾性率E3と第1の層10の弾性率E1の関係がE3>E1となっており、図4(c)では第3の層30の弾性率E3と第1の層10の弾性率E1の関係がE1>E3となっている。
この状態で図4(b)に示すように圧縮方向の荷重Wが掛かった場合、第3の層30の弾性率E3は第1の層10の弾性率E1より大きいことから、第1の層10が主として変形し、第3の層30が変形しにくい状態となる。そのため、微細突起100に荷重Wが集中し、微細突起100が押し潰されてしまう(符号C参照)。しかし、図4(c)に示すように、第3の層30の弾性率E3が第1の層10の弾性率E1より小さい場合には、第1の層10だけでなく第3の層30も変形し、微細突起100に掛かる荷重Wが分散される。その結果、微細突起100が押し潰されるのを防止することができる。
ただ、指紋防止フィルムに第2の層が形成されていない場合には、特に第1の層10が後述する樹脂系材料のような弾性率E1を有する材料であると、せん断方向の連続入力に対して、先端から摩耗しやすい。そのため、本発明の指紋防止フィルムでは、耐摩耗性を向上させるために、弾性率が高く硬直な第2の層を形成している。
しかし、たとえ第2の層20を形成したとしても、第3の層30の弾性率E3が第1の層10の弾性率E1より大きい場合、または第3の層を設けない場合には、図4(d)に示すように、微細突起100が折れやすくなる。つまり、第2の層の表面が剛直であるため、せん断方向(水平方向)の入力に対し、微細突起100の稜線の一部Dにモーメントが集中し、折れやすくなってしまう。
また、荷重Wが第2の層の表面に均一に接地した状態で摺動した場合には、第2の層の表面が硬いため摩耗し難いが、不均一に接地した状態で摺動すると、局部的に入力が大きくなり、微細突起100が第2の層20の脆性により折れてしまう。しかし、上述のように、第3の層30の弾性率E3が第1の層10の弾性率E1より小さい場合には、第3の層30が変形し、微細突起100に掛かる荷重Wが分散される。そのため、微細突起100へのモーメントの集中を防止し、微細突起100を折れにくくすることができる。
以上の様に、第1の層10、第2の層20及び第3の層30が布拭き取り等の外部入力に対する機能を分担し合うことにより、微細突起100の破壊を抑制することができる。
第1の層10の弾性率E1は具体的には0.1GPa〜5GPaであることが好ましく、第2の層20の弾性率E2は50GPa〜210GPaであることが好ましい。第1の層の弾性率E1が上記範囲内であることにより、第2の層20がせん断方向の外部入力を分散する効果を第1の層が阻害することなく、十分に発揮させることができる。また、第2の層20の弾性率が50GPa以上であれば、第2の層20の摩耗や第1の層10の塑性変形又は破断をより確実に抑制できる。第2の層20の弾性率が210GPa以下であれば、せん断方向の外部入力に対して第2の層20の脆性破壊をより確実に抑制できる。
本実施形態の指紋防止フィルムでは、上述のように、第2の層20で被覆した微細突起100−100間に液体60を保持させている。そして、この指紋防止フィルムにおいては、液体60と層20との表面自由エネルギーの差が10mJ/m以下となるようにしている。
この第2の層20は一層単独であってもよいが、微細突起100が樹脂からなるため(後述する)、まず当該樹脂よりも弾性率の高い無機化合物、特に無機酸化物を密着層として被覆し、さらにその上に、上記表面自由エネルギー差を実現できる材料を表面処理層として被覆することが好ましい。
上述のように、第2の層20を二層構造とすることにより微細突起100間の距離を短縮することができる。このような距離の短縮は第2の層20の膜厚を増大させることによって行うことができるが、指紋防止特性の観点からは以下のような利点がある。
即ち、図6に示すように、微細突起100を被覆する層20の膜厚を大きくすれば、まずは微細突起100全体が均一に被覆されるが、微細突起100の先端の方が被覆され易いので、層20の形状は次第にピラー状に変形してゆく。
本発明の指紋防止フィルムにおいて、液体60は毛管力によって保持されるので、層20の形状がピラー状となって微細突起100間が狭くなり、微細突起100間に層20がむら無く均一被覆された方が液体60の保持力が向上する。よって、層20の膜厚増大によって、本発明の指紋防止フィルムは長期に亘って指紋防止性を発揮し易くなると考えられる。
微細突起100に対する表面処理層の表面自由エネルギーと液体60の表面自由エネルギーとの差が10mJ/m以下であれば、液体60の保持性が強化される。本発明においては、このような表面自由エネルギーの関係を実現できる限り、表面処理層の構成材料と保持液体の種類等については、特に限定されることなく種々選択することができる。
例えば、酸化ケイ素を密着層兼表面処理層(層20)として施工した微細突起付きの指紋防止フィルムでは、層20の表面自由エネルギーは水の表面自由エネルギーに近く、液体60として水を保持できる。但し、この状態は従来の超親水表面において分子水が表面に残存している状態とは大きく異なっており、液体60が水膜を形成しているので、この水膜が存在する限り、水しみや水垢が残らず、優れた指紋防止フィルムとしての機能を発揮する。
また、本発明の指紋防止フィルムにおいては、上記の表面自由エネルギー差を満足する液体と第2の層の構成材料について、液体60の表面自由エネルギーを20mJ/m以下、第2の層20の構成材料の表面自由エネルギー20mJ/m以下とすることにより、親水から親油性までのほとんど全ての汚れの付着を抑制できる。
例えば、酸化ケイ素の密着層にフッ素系シランカップリング剤を積層させて表面処理層を形成すれば、その表面自由エネルギーを20〜50mJ/mにすることができる。この場合、表面自由エネルギーが20〜50mJ/mの液体としては炭化水素系又はシリコーン系のオイルを使用することができる。
かかる炭化水素系のオイルとしては、オレイン酸などの不飽和脂肪酸、デカン、ヘキサデカンなどの飽和脂肪酸、パーム油、オリーブオイル、綿実油などの植物油、スクワラン、スクワレンなどの肝油抽出物、シリコーン系のオイルとしては、ジメチルシリコーンオイルやその一部を水酸基やカルボキシル基、アミノ基などに変性したジメチルシリコーン変性体などがあげられる。これらのオイルの粘度や蒸気圧を調整するため、ハロゲン元素またはハロゲンを有する官能基を有する場合もある。
これらのオイルの長期的な保持性はオイルの蒸発減量も関係し、120℃で24時間加熱した際の蒸発減量が35%未満のものが好ましい。35%を超えると、長期使用において微細突起先端部が露出し、汚れの滑落性や構造の耐久性が低下することがある。
この蒸発減量については、オイルを加熱前後で秤量して評価するが、オイルの蒸気圧がわかれば蒸発減量を予測することも可能である。
オイルの粘度としては1〜160mm/sが良い。160mm/sを超えると粘性が大きすぎて汚れの転落速度が低下することがある。好ましくは3〜100mm/s、さらに好ましくは、5〜30mm/sである。
以上に説明した本実施形態の指紋防止フィルムにおいて、第1の層10の厚さT1は、1〜30μmが好ましい。第1の層10の厚さが1μm以上であれば、圧縮方向の入力により第3の層30が変形した際にも、第1の層10の脆性破壊(割れ)の発生を抑制することができる。また、第1の層10の厚さが30μm以下であれば、指紋防止フィルム200を三次元曲面を有する成形品に適用する際の曲面追従性の確保が容易となる。さらに、第1の層10の材料に活性エネルギー線硬化性樹脂を用いる際の成形性の確保も容易となる。
また、第2の層20の膜厚T2は、微細突起100の形状を損なわなければ特に限定されないが、密着層と表面処理層の合計膜厚が15nm以上100nm以下であれば、微細突起100の形状を損なうことなく液体を保持できる。5nm未満では表面を均一に処理できずフッ素系オイルが容易に流出してしまうことがある。また、100nmを超えると微細突起100が埋没してしまう可能性がある。
第1の層10の構成材料としては、例えば、非架橋アクリル、架橋アクリル、架橋アクリル−ウレタン共重合体、架橋アクリル−エラストマー共重合体、シリコーンエラストマ、ポリエチレン、ポリプロピレン、架橋ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、液晶性ポリマー、フッ素樹脂、ポリアレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、熱可塑性ポリイミド等の熱可塑性樹脂、ポリスチレン等のスチレン系エラストマ、ウレタン系エラストマ、シリコーンエラストマ、各種ゲル材料等を挙げることができる。
第2の層は単層又は必要であれば2層以上の複層でもよく、特に表面処理の定着性を向上させるため、無機酸化物などで密着層を形成し、その上に表面処理層(炭化水素系液体を含浸するためには炭化水素系表面処理層)を形成する。
密着層の厚みは5nm以上あれば特に問題はないが、表面処理層は以下の(1)式で表される関係を満足することが好ましい。
0.06<F/H≦0.6…(1)
ここで、Fは表面処理層(炭化水素基含有薄膜)の厚み、Hは微細突起の高さを示す。
さらにこの表面処理層は、表面処理の均一性が微細突起のアスペクト比により影響を受けるため、微細突起のアスペクト比は以下の(2)式で表される関係を満足することが好ましい。
0.5<H/A≦5…(2)
ここで、式中のHは微細突起の高さ、Aは微細突起のピッチを示す。
第2の層20の構成材料、特に密着層材料としては、例えば、ガラス、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の透明無機材料、窒化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、ITO(インジウム−錫酸化物)、チタン酸バリウムなどのセラミック材料等を挙げることができる。特にハフニア(酸化ハフニウム、HfO)は接触角が90°以上であるため、表面を撥水性に化学処理しなくても高い撥水性を実現できる。
第2の層20の表面21に塗布する表面処理材としては、例えば、CH−(Si(CH−O)−Si(CHOCH(n>13;接触角95〜105°)、CH−(Si(CH−O)−SiCH(OCH(n>13;接触角95〜105°)、CH−(Si(CH−O)n−Si(OCH(n>13;接触角95〜105°)、CH−(Si(CH−O)−Si(OC(n>13;接触角95〜105°)、CH−(Si(CH−O)−Si(CH(CHOCHCH(OH)CHNH(CHSi(OCH(n>13;接触角95〜105°)、(CH−(Si(CH−O)−Si(CH(CHOCHCH(OH)CHN(CHSi(OCH(n>13;接触角95〜105°)、CH−(Si(CH−O)−Si(OH)(n>13;接触角95〜105°)、CH−(Si(CH−O)Si(CHCl(n>13;接触角95〜105°)、CH−(Si(CH−O)−Si(CH(CHSiCHCl(n>13;接触角95〜105°)、CH−(Si(CH−O)−SiCl(n>13;接触角95〜105°)、CH−(Si(CH−O)−Si(OCOCH(n>13;接触角95〜105°)、CH−(Si(CH−O)−Si(NCO)(n>13;接触角95〜105°)、CH3−(Si(CH3)2−O)−Si(CH(CHO(CHOCONHSi(NCO)(n>13;接触角95〜105°)、Rf−(CH−(Si(CH−O)−Si(CH(CHOCHCH(OH)CHNHSi(OCH(n>13;接触角95〜115°)等のシリコーン化合物を挙げることができる(RfはCF−(CF)m−、又はCF−(OCF)m;m=1〜20)。また、上記シラン化合物の置換基をイソシアネートに変更したものも用いることが可能である。
なお、水以外の液体と接触するような用途、例えば各種プラント装置における反応器や蒸留塔等の覗き窓パネル、内視鏡のレンズ表面等に、本発明の指紋防止フィルムを適用する場合には、それぞれの用途に応じて表面処理等により、接触する液体に対する接触角を90°以上とすることが好ましい。
図1に示すように、本発明の指紋防止フィルム200は、第1の層10における微細突起100と反対側の面に第3の層30が接合されている。さらに、第3の層30における第1の層10と反対側の面には用途に合わせて粘着剤を付与することができる。また、反射防止などの用途に使用する場合には、透明材料の両面に微細突起が付されている必要があるが、透明材料から成る第3の層30の両面に第1の層10及び第2の層20を対称的に設けることで、反射防止効果を得ることができる。
そして、この第3の層30の弾性率E3は、第1の層10の弾性率E1よりも低いものとする必要がある。このような第3の層30として用いる材料は、汎用樹脂フィルムやエンジニアリングプラスチックフィルムなどを用いることができる。具体的には、(メタ)アクリル;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系;ポリカーボネート系;ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)、フルオレン誘導体などのポリエステル系;塩化ビニル;シリコーン;ポリビニルアルコール(PVA);エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA);セルロース;アミド系などのフィルムを用いることができる。更に透明性が必要な部位に撥水フィルムを用いる場合は、透明な第3の層を選択する。透明な第3の層の材料としては、(メタ)アクリル;ポリカーボネート;PETなどが好ましく、(メタ)アクリルやPETが更に好ましい。
第3の層30は、第1の層10を脆性が発現しない程度の厚さとしたときに、第1の層10の剛性やフィルム強度を補う役割を有する。また、第1の層より弾性率を低く設定することで、圧縮方向の外部入力に対して第3の層が第1の層よりも変形し易くなり、微細突起100に掛かる入力を緩和する効果がある。
第3の層30の厚さT3については、三次元曲面に追従する、または成形できる厚さであれば特に限定されない。しかし、第3の層30の厚さT3は、第1の層10の厚さよりも厚いことが好ましい。これにより、第3の層30が第1の層10よりも変形し易くなり、微細突起100に掛かる圧縮方向の入力を緩和することができる。この作用に加えて、成形や貼付の施工性を考慮した場合、第3の層30の厚さT3は、20〜250μm程度であることが好ましく、25〜200μmが更に好ましく、25〜70μmが最も好ましい。第3の層30の厚さT3が20〜200μmの範囲であれば、指紋防止フィルム200に圧縮方向の荷重が入力したときの第3の層30の変位量が適度に小さく抑えられる。そのため、摩擦入力時に摩擦子の片当たりがなく、均一に荷重が分散され、微細突起100が摩耗しにくくなる。
また、第3の層30の弾性率E3は前述の材料種類を考慮すると高くてもせいぜい6GPa程度なので、変位に関しては、第1の層10よりも第3の層30の厚さ変化の方が効果が大きい。さらに、本発明の指紋防止フィルム200のような積層フィルムのハンドリングや圧縮変形時の第3の層の破損を考慮すると、第3の層30の破断伸び率εmaxが50%以上であることが好ましい。なお、第3の層30の破断伸び率εmaxの上限は特に制限がないが、500%以下とすることができる。
[指紋防止フィルムの製造方法]
次に、本発明の指紋防止フィルムの製造方法について説明する。
本発明の指紋防止フィルムは、まず、第3の層30となるフィルムを準備する。次に、そのフィルムに微細突起100を備えた第1の層10を形成する。上記微細突起100を第1の層に設ける方法としては特に限定はされない。例えば、第1の層に直接形成する方法や、成形が容易な材料を上記フィルムに塗布した薄膜に、微細突起形状を備えた凹凸成形型を押圧し、微細突起形状を転写する方法等により、微細突起100を形成することができる。
具体的には、公知の方法で製造した第1の層と第3の層とからなるフィルムを準備する。
次に、複数の微細突起を成形するための成形型を用意し、この成形型と、第1の層及び第3の層からなるフィルムの一方、又は双方を加熱した状態で両者を相対的に押し当てる。これにより、当該第1の層の表面に微細突起100を形成することができる。
また、まず第3の層となるフィルム上に、活性エネルギー線硬化性樹脂を塗布する。次に、上記成形型と第3の層となるフィルムの間に、活性エネルギー線硬化性樹脂を介在させた状態で活性エネルギー線を照射し、当該樹脂を硬化させる。これにより、第3の層の表面に微細突起100を有する第1の層10を形成することができる。なお、活性エネルギー線硬化性樹脂としては、例えば紫外線硬化樹脂を挙げることができる。
上述の方法等により、微細突起100を有する第1の層を形成した後、公知の方法により第2の層20を形成する。第2の層20、特に密着層の形成方法としては、例えば、Langmuir−Blodgett法(LB法)、物理気相成長法(PVD)法、化学気相成長法(CVD法)、自己組織化法、スパッタ法、気相重合法及び蒸着法が使用できる。
さらに、上述のように、密着層上に表面処理材を固定する場合には、上記表面処理材を溶剤で希釈したものを塗布して乾燥する。なお、塗布後、密着層と表面処理材との反応を促進するために、必要に応じて加熱処理を施してもよい。
なお、このような表面処理は特に限定されずドライ法でもウェット法でも行うことができるが、膜厚のコントロール性からはドライ法又はウェット法ではディップコートが有利である。
そして、以上のようにして得られた微細突起付き積層フィルムの微細突起間に液体を保持させて本発明の指紋防止フィルムを得ることができる。
この液体の保持は、得られた微細突起付き積層フィルムに液体を塗布するか又はこのフィルムを液体に浸漬し、必要に応じて余剰液体を拭き取ることにより行うことができる。
[指紋防止フィルムを備えた部品]
本発明の指紋防止フィルムを備えた部品(成形品)としては、例えば、自動車やバイクのメーターパネル、ウインドパネル、携帯電話や電子手帳などのモバイル機器、看板、時計など、最前面での反射防止機能を必要とし、雨などの水や油汚れに曝される可能性がある表示装置に好適に使用される。表示装置の形式は特に限定されず、例えばアナログメーターのように機械的な表示と照明を組み合わせた方式を挙げることができる。さらに、デジタルメーターやモニターのように、液晶や発光ダイオード(LED)、エレクトロルミネセンス(EL)などのバックライトや発光面を用いた方式、モバイル機器のように反射方式の液晶を用いた方式などを挙げることができる。
これらの部品は、主に光に曝される場所で用いられるので、光による劣化を防止するために、第1の層や第3の層に紫外線吸収剤や酸化防止剤、ラジカル補足剤などを添加しておくことができる。また、樹脂の劣化による黄変を補うためのブルーイング剤や蛍光発色顔料を用いることもできる。
なお、本発明の指紋防止フィルムは、上記の部品以外にも自動車用塗装やグレージング材、カメラレンズなどに貼るだけで、優れた指紋防止表面を有する部品を簡易に提供するものでもある。
例えば、自動車用塗装に適用すれば長期に亘って洗車の必要が無くなると考えられる。また、車載カメラなどに適用すれば雨天や悪路においてもクリアな視界を確保できる。この他にもミラーやラジエーターフィンやエバポレーターなどに使用することができ、種々の利点をもたらすと考えられる。
上述のように、これら指紋防止フィルムを備えた部品の製造方法としては、対象となる部品の表面に当該フィルムを貼り付けることができる手法であれば特に限定されない。
フィルムを曲面に温度をかけながら手貼りで貼る手法でもよい。成形品が曲面でない場合はラミネーターなどを用いることも可能である。また、必要に応じて、本発明の指紋防止フィルムを接着剤を用いて部品に貼り付けてもよい。
本発明の指紋防止フィルムを表示装置内に組み込む場合には、最前面に設けることが最も効果的である。また本発明の指紋防止フィルムにおける第3の層の、第1の層と反対側の面には、従来の反射防止方法を適用することもできる。従来の反射防止方法としては、例えば、光の波長以下のピッチで微細突起が配置されたのみの反射防止構造を適用する方法、反射防止層の膜厚を制御した薄膜表面と第3の層の接着面との反射光同士を干渉させて弱め合う方法等を挙げることができる。
なお、本発明の指紋防止フィルムを三次元曲面に貼り付けることを想定した場合、三次元曲面の曲率半径により第3の層や第1の層に求められる物性が決まる。特に三次元曲面への成形や施工において重要な物性は破断伸び限界値Bである。
すなわち、図6に示すように、第1の層10の厚さをT1、第3の層30の厚さをT3、第3の層30の第1の層10が形成された面と反対側の面に塗布した粘着層40の厚さをT4とする。このとき、部品50における曲率半径Rの凸面に、撥水フィルム200を貼り付ける場合、粘着層40の粘着面41を基準に曲げられる。そのため、曲率の中心Oから粘着面41までの距離R(曲率半径)に対して、最も延びる第1の層10の最表面の一次元伸びを計算することにより、破断伸び限界値Bが数式1のように算出できる。そのため、少なくとも第1の層10は、破断伸び限界値Bよりも大きい破断伸び率を有する材料を用いる必要がある。
Figure 2015217578
一方、部品50の凹面に貼り付ける場合には、第1の層10の弾性率は第3の層30や粘着層40に対して高いため、第1の層10の最表面を基準として、粘着層40側が伸ばされることになるが、粘着層40の破断伸びは第1の層10に較べて遥かに大きいので、破断は起こらない。
以上に述べたように、本発明の指紋防止フィルムは、上記のような第1の層、第2の層、第3の層及び液体を有するものであるため、指紋防止性に優れ、しかも微細突起の耐摩耗性や液体の保持性にも優れるので、指紋防止性を長期間に亘って維持できる。
さらに、微細突起間のピッチを380nm以下にすることによって、可視光の反射を極めて低レベルに抑えることもできる。そのため、自動車を始めとする各種の部品、例えばメーターカバーやウインドシールドに適用することによって、指紋防止性を確保しつつも屋外景色や内装などの映り込みを防止することができる。
さらにまた、本発明の指紋防止フィルムは、種々の部品に対し貼り付けるだけで優れた指紋防止表面を付与するものであり、極めて汎用性の高いものである。
なお、本発明の指紋防止フィルムは、ガラスやアナログメーターなどに用いる場合、指紋防止フィルムに含まれる第1の層、第2の層、第3の層及び液体の全てが透明であることが好ましい。一方、デジタルメーターやカーナビゲーション画面などの場合は、防眩機能や偏光解消機能を追加する目的で、第1の層及び第3の層に不透明な部分があってもよい。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜12)
(微細突起フィルムの作製)
第3の層としてTAC(アセチルセルロース)を用い、その片面に紫外線硬化モノマー(三菱レイヨン社製:ダイヤビームMP−141)を塗布した。次いで、このモノマーに円錐台形状かつ六方細密配列でピッチが100又は300nm、高さ150〜400nmである微細突起を形成する金型を押し当て、第3の層側から紫外線照射を行い、モノマーを硬化させた。その後、金型からフィルムを剥離し、第1層に表1に示す微細突起を有する各例の微細突起フィルムを作製した。
(微細突起フィルムの表面処理)
得られた微細突起フィルムの表面処理を表1に示すような条件で行い、第2の層を形成した。具体的には、密着層の酸化ケイ素はシリコンターゲットからシリコンをスパッタしながら酸化させる反応性スパッタにより成膜し、その上の表面処理層(炭化水素処理層)はオクタデシルシランをエタノールで1質量%の濃度に希釈し、ディップコート(引き上げ速度0.1mm/sec)により成膜し、120℃で1時間加熱した。
(液体(オイル)含浸)
表1に示すように、オレイン酸、ヘキサデカン及びパラフィンなどの上記記載の液体のうちのいずれかを、表面処理後における各例の微細突起フィルム表面に塗布し、表面の余剰分のオイルをふき取って、各例の指紋防止フィルムを作製した。
各例の指紋防止フィルムの仕様を表1に、第1〜第3の層における弾性率E1〜E3を表2に示す。
<性能評価>
以上のようにして得られた各例の指紋防止フィルムを下記の性能評価に供し、得られた結果を表3に示す。
[耐摩耗性評価]
洗車機試験機を用いて168サイクル摩耗し、転落角を測定し、接触角保持率が80%以上を◎、70%〜80%を○、50%〜70%を△、50%未満を×とした。
[透明性評価]
ヘイズメーター(村上色彩社製)により、サンプルのヘイズを測定した。ヘイズがH≦1%のときを◎、1<H≦3のときを○、3<H≦10のときを△、H>10のときを×とした。
[オイル保持性評価]
100℃のオーブン中に、上記のフィルムを垂直に設置して、3時間後の水滴転落角を測定した。この時、水滴転落角が10°以下であれば◎、10°〜15°であれば○、15°〜30°を△、30°を超えるものを×とした。
[指紋防止性評価]
(指紋付着性)
指紋を試験片に付着させ、まったく視認できない時を◎、わずかに付着物がみられる状態を○、わずかに指紋の輪郭がわかる状態を△、明確に指紋が付着しているものを×とした。
Figure 2015217578
Figure 2015217578
Figure 2015217578
以上、本発明を若干の実施形態及び実施例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
本発明を適用することにより自動車の洗車回数を大きく減らすことができ、また、車載カメラやミラー、ウィンドウなどに適用すれば雨天や悪路においてもクリアな視界を確保できる。このように、各種分野における製品の意匠性を長期間維持できるのみならず、長期に亘る視認性も確保できるので、安全性なども向上できる。
A ピッチ
10 第1の層
20 第2の層
30 第3の層
60 液体
100 微細突起
200 指紋防止フィルム

Claims (9)

  1. 表面に複数の微細突起を有する第1の層と、上記微細突起を被覆し撥水性を有する第2の層と、上記第1の層における微細突起と反対側の面に配置された第3の層と、を備え、
    上記第1の層の弾性率をE1、上記第2の層の弾性率をE2、上記第3の層の弾性率をE3とするとき、E2>E1>E3の関係を満たし、
    上記第2の層で被覆された微細突起間に、上記第2の層との表面自由エネルギー差が10mJ/m以下であり、皮脂と相溶性を持つ液体を保持することを特徴とする指紋防止フィルム。
  2. 上記液体の表面自由エネルギーが20〜50mJ/mであり、かつ上記第2の層の表面自由エネルギーが20〜50mJ/mであることを特徴とする請求項1に記載の指紋防止フィルム。
  3. 上記液体の0℃での粘度が160mm/s以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の指紋防止フィルム。
  4. 上記液体を120℃で24時間放置した際の蒸発減量が35質量%未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の指紋防止フィルム。
  5. 上記液体が、不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸、植物油及び肝油抽出物から成る群より選ばれた少なくとも1種の炭化水素系オイル、又はジメチルシリコーンオイル及び変性ジメチルシリコーンオイルから成る群より選ばれた少なくとも1種のシリコーン系オイルであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つの項に記載の指紋防止フィルム。
  6. 上記微細突起が、錐体状、錐台状又は円柱状をなしていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの項に記載の指紋防止フィルム。
  7. 上記第2の層が少なくとも無機酸化物層と炭化水素含有薄膜の2層以上の層から成り、この無機酸化物層の厚みが5nm以上で、かつ上記フッ素含有薄膜の厚みFが、次式(1)
    0.06H<F≦0.6H…(1)
    (式中のHは微細突起の高さ、Fは炭化水素含有薄膜の厚みを示す。)で表される関係を満足することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つの項に記載の指紋防止フィルム。
  8. 上記微細突起のピッチが50〜200nmであり、H/Aで表される微細突起のアスペクト比が、次式(2)
    0.5<H/A≦5…(2)
    (式中のHは微細突起の高さ、Aは微細突起のピッチを示す。)で表される関係を満足することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つの項に記載の指紋防止フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の指紋防止フィルムを有することを特徴とする自動車部品。
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