JP2015212648A - 光学式エンコーダおよびこれを備えた装置 - Google Patents

光学式エンコーダおよびこれを備えた装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光学式エンコーダにおいてクロストークを抑制して複数のトラックを読み取る。【解決手段】エンコーダは、反射パターンを含む複数のトラック8,11が設けられたスケール2との相対移動が可能で、1つの光源および複数の受光部が設けられたセンサユニット7を有する。光源と複数の受光部が透光性部材5により覆われている。複数の受光部のうち第1の受光部9と第2の受光部13とが相対移動するX方向に直交するY方向において光源に対して同じ側に配置されている。光源の発光位置をXおよびY方向の座標の原点とするとき、第1の受光部が、sqrt(L12+M2)≰(D1+D2)?tan[Asin(n0/n1)]を満足する領域に配置され、第2の受光部が、sqrt(L22+M2)≰(D1+2?D2+D3)?tan[Asin(n0/n1)]およびL2−H≧(D1+D2)?D?tan[Asin(n0/n1)]を満足する領域に配置されている。【選択図】図7

Description

本発明は、光学機器等の各種装置に用いられ、該装置内の可動部材の移動に応じたスケールとセンサとの相対移動に伴って該可動部材の位置を示す信号を出力する光学式エンコーダに関し、特に反射型光学式エンコーダに関する。
反射型光学式エンコーダは、センサに設けられた光源から、スケールに周期的に配置された複数の反射部により構成される反射パターンに光を照射し、該パターンで反射した光をセンサに設けられた受光部で受光して(パターンを読み取って)電気信号に変換する。スケールとセンサとが相対移動すると、反射パターンから受光部に入射する光量が周期的に変化するため、受光部から出力される電気信号の値も周期的に変化する。このように周期的に変化する電気信号である周期信号の位相から可動部材に取り付けられたセンサまたはスケールの位置を検出することができる。
このように反射型光学式エンコーダには、センサまたはスケールの絶対位置を検出するために、スケールに互いに周期が異なる反射パターンを含む複数のトラックを設け、該複数のトラックを、センサに設けられた複数の受光部によって読み取るものがある。特許文献1には、2つのトラックが設けられたスケールと、1つの光源の両側に1つずつ計2つの受光部が配置されたセンサとを用いた反射型光学式エンコーダが開示されている。このエンコーダでは、1つの光源から発して2つのトラックの反射パターンで反射した光がそれぞれ、各トラックに対応した受光部により受光される。また、トラックの数が3つに増えた場合は、1つの光源と1つの受光部を備えたセンサを3つ用いたり、特許文献1にて開示された1つの光源および2つの受光部を備えたセンサと1つの光源および1つの受光部を備えたセンサとを用いたりすることが考えられる。
特開2005−156549号公報
しかしながら、光源が複数存在すると、1つの光源から発して1つのトラックの反射パターンで反射した光が、そのトラックに対応する受光部ではない別の受光部に入射する、いわゆるクロストークが発生するおそれがある。クロストークが発生すると、正確な周期信号が得られなくなるため、高精度な位置検出ができなくなる。
クロストークを防止するために、受光部間の距離を増加させたり、受光部の間に遮光部材を設けたりする方法があるが、この方法ではセンサが大型化したりコストが増加したりする。さらに、複数の受光部による読み取り(複数の光源の発光)を時分割して行う方法もあるが、複数の受光部による同時刻での複数のトラック(反射パターン)の読み取りができなくなる。
本発明は、受光部間の距離を増加させたり遮光部材を設けたり時分割読み取りを行ったりすることなくクロストークの発生を抑制し、複数のトラックを読み取ることができる光学式エンコーダを提供する。
本発明の一側面としての光学式エンコーダは、周期的に配置された反射部により構成される反射パターンをそれぞれ含む複数のトラックが設けられたスケールと、該スケールとの相対移動が可能であり、1つの光源および該光源から発して複数のトラックの反射パターンで反射した光をそれぞれ受光する複数の受光部が設けられたセンサユニットとを有する。センサユニットにおいて、1つの光源と複数の受光部とが透光性部材により覆われている。また、複数の受光部のうち少なくとも第1の受光部と第2の受光部とが、スケールとセンサユニットとが相対移動するX方向に対して直交するY方向において光源に対して同じ側に配置されている。光源の発光位置をX方向およびY方向の座標の原点とするとき、第1の受光部が、
sqrt(L1+M)≦(D1+D2)×tan[Asin(n0/n1)]
なる条件を満足する領域に配置され、
第2の受光部が、
sqrt(L2+M)≦(D1+2×D2+D3)×tan[Asin(n0/n1)]
L2−H≧(D1+D2)×tan[Asin(n0/n1)]
なる条件を満足する領域に配置されていることを特徴とする。ただし、MおよびL1はそれぞれ、第1の受光部のうち光源から最も遠い端部のX方向の座標の絶対値およびY方向の座標であり、L2は、第2の受光部のうち光源から最も遠い端部のY方向の座標であり、Hは第2の受光部のY方向での受光領域幅であり、n1は透光性部材の屈折率であり、D1は、光源の発光面から透光性部材の表面までのXおよびY方向に直交する方向での距離であり、D2は、第1の受光部の受光面から透光性部材の表面までのXおよびY方向に直交する方向での距離であり、D3は、第2の受光部の受光面から透光性部材の表面までのXおよびY方向に直交する方向での距離であり、n0はセンサユニットとスケールとの間の媒質の屈折率である。
また、本発明の他の一側面としての光学式エンコーダは、周期的に配置された反射部により構成される反射パターンをそれぞれ含む複数のトラックが設けられたスケールと、該スケールとの相対移動が可能であり、1つの光源および該光源から発して複数のトラックの反射パターンで反射した光をそれぞれ受光する複数の受光部が設けられたセンサユニットとを有する。複数の受光部のうち少なくとも第1の受光部と第2の受光部とが、スケールとセンサユニットとが相対移動するX方向に対して直交するY方向において光源に対して同じ側に配置されている。光源の発光位置をX方向およびY方向の座標の原点とするとき、第2の受光部の位置(X,Y)は、
−2×M≦X≦2×M
2×(L1−H)≦Y≦2×L1
なる条件を満足する領域に配置されていることを特徴とする。ただし、MおよびL1はそれぞれ、第1の受光部のうち光源から最も遠い端部のX方向の座標の絶対値およびY方向の座標であり、Hは第1の受光部のY方向での受光領域幅である。
なお、上記エンコーダと、スケールまたはセンサとともに移動が可能な可動部材と、エンコーダから出力される位置の情報を用いて可動部材の位置または移動を制御する制御手段とを有する装置も、本発明の他の一側面を構成する。
本発明によれば、第1の受光部で反射されて第2の受光部に到達する光をほとんどなくすることができ、しかも透光性部材の内部での全反射光の影響を受光部が受けにくくなる。このため、受光部間の距離を増加させたり受光部間に遮光部材を設けたり時分割読み取りを行ったりすることなくクロストークの発生を抑制することができ、高精度の位置検出を行うことができる。
本発明の実施例1である光学式エンコーダの構成を示す図。 実施例1のエンコーダに用いられるスケールを示す図。 実施例1のエンコーダに用いられるセンサに設けられた受光素子アレイの受光面配置を示す図。 上記センサの信号処理部を説明する図。 実施例1のエンコーダによる絶対位置検出を説明する図。 本発明の実施例2である光学式エンコーダの構成を示す図。 実施例2のエンコーダの構成の特徴を説明する図。 本発明の実施例3である光学式エンコーダの構成を示す図。 実施例3のエンコーダに用いられるスケールの構成を示す図。 実施例3のエンコーダにおける第1の検出周期における受光素子アレイの受光面配置を示す図。 実施例3のエンコーダにおける第2の検出周期における受光素子アレイの受光面配置を示す図。 実施例3のエンコーダによる絶対位置検出を説明する図。 実施例3のエンコーダの変形例を示す図。 本発明の実施例4の光学式エンコーダの構成を示す図。 実施例4のエンコーダに用いられるスケールを示す図。 実施例4のエンコーダによる絶対位置検出を説明する図。 実施例4のエンコーダの変形例を示す図。 本発明の実施例5である撮像装置の構成を示す図。
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1(a)には、本発明の実施例1である反射型光学式エンコーダの構成を、スケールとセンサユニットとの相対移動方向である位置検出方向(以下、X方向ともいう)から見て示している。また、図1(b)には、該エンコーダの構成を、センサユニットの受光面の法線方向(以下、Z方向ともいう)から見て示している。
エンコーダは、該エンコーダが搭載される装置の可動部材10に取り付けられるスケール2と、該装置の固定部にスケール2に対向するよう取り付けられるセンサユニット7と、信号処理回路51と、記憶デバイス52とにより構成されている。装置内で可動部材10が移動すると、スケール2がセンサユニット7に対して位置検出方向に移動する。なお、位置検出方向(X方向)と受光面の法線方向(Z方向)に直交する方向を、スケール2とセンサユニット7の幅方向(またはY方向)という。
スケール2におけるセンサユニット7と対向する面には、それぞれ位置検出方向に延びる複数(本実施例では2つ)のトラック8,11が幅方向に並ぶように配置されている。トラック8,11には、図2に示すように、位置検出方向に互いに異なる周期で周期的に配置された複数の反射部101,102により構成される周期パターン(以下、反射パターンという)が設けられている。スケール2におけるトラック(反射パターン)8,11が設けられた面を、以下、トラック面という。反射パターンについては後に詳述する。
図1(a),(b)に示すセンサユニット7は、スケール2のトラック面に対向する面(同一面または同一の基板面)に配置された1つの光源1と複数(本実施例では2つ)の受光部としての受光素子アレイ9,13とを備えている。受光素子アレイ9はスケール2のトラック8に設けられた反射パターンを読み取るために設けられており、受光素子アレイ13はトラック11に設けられた反射パターンを読み取るために設けられている。以下、受光素子アレイ9をトラック8に対応する受光素子アレイともいい、受光素子アレイ13をトラック11に対応する受光素子アレイともいう。
センサユニット7は、光源1としてのLEDと、受光素子アレイ9,13を含む受光デバイス3とが同一のプリント基板4に実装された、つまり光源1と受光素子3とが一体的に設けられた、光源−受光素子一体型のセンサユニットである。光源1から発した発散光は、スケール2のトラック8,11に照射される。トラック8,11の反射パターンで反射した光は、受光素子アレイ9,13上に反射パターンの像(反射率分布像)を形成する。各受光素子アレイは、該反射率分布像を光電変換して(読み取って)、反射率分布像の光量分布に応じた正弦波状の波形の電気信号(以下、周期信号という)を出力する。スケール2がセンサユニット7に対して移動すると、受光素子アレイ9,13上に形成される反射率分布像の光量分布が変化するため、各受光素子アレイから出力される周期信号の位相が変化する。
受光素子アレイ9,13のそれぞれに対応するトラック8,10に設けられた反射パターンの反射部の配置周期(以下、反射パターンの周期という)は互いに異なるので、受光素子アレイ9,13からは互いに異なる変化周期を有する周期信号が出力される。なお、詳しくは後述するが、各受光素子アレイからは互いに位相が異なる4つ(4相)の周期信号が出力され、これらを2つずつ合成することで2相の周期信号が生成される。つまり、センサユニット7からは、二組の2相周期信号が出力される。
信号処理回路51は、センサユニット7から出力された二組の2相周期信号に対するI−V変換および内挿処理や、記憶デバイス52への信号の書き込みと読み出しや、位置信号の出力等を行う。なお、信号処理回路51は、センサユニット7とは別に設けてもよいし、センサユニット7に一体的に設けられて(内蔵されて)もよい。信号処理回路51が出力する位置信号は、スケール2(可動部材10)の絶対位置を示す信号である。すなわち、本実施例のエンコーダは、アブソリュート型エンコーダである。
本実施例のエンコーダの特徴を、図1(c),(d)を用いて説明する。図1(c)は、スケール2とセンサユニット7を位置検出方向(X方向)から見た図である。図1(d)は、センサユニット7をその受光面の法線方向(Z方向)から見た図である。これらの図から分かるように、受光素子アレイ9,13は、幅方向(Y方向)において光源1に対して同じ側に配置されている。
図1(c)に示すように、受光素子アレイ13には、光源1から発してスケール2のトラック8(反射パターン)で反射した光1001が入射する。ただし、以下に示す条件を満足しないと、受光素子アレイ13に、光源1から発してトラック11で反射し、受光素子アレイ9で反射し、さらにトラック8で反射した光1002も入射する可能性がある。このように、不要な光1002が受光素子アレイ13に入射すると、受光素子アレイ13から出力される信号の周期性が崩れる等して、精度の高い位置検出を行うことができなくなる。
本実施例では、このような不要な光1002が受光素子アレイ13に入射する可能性をできるだけ低減するために、つまりは位置検出精度の低下を回避するために、図1(d)に示すように、以下の条件を満足するように受光素子アレイ9,13を配置している。
すなわち、光源1の発光点の位置(発光位置)をX方向およびY方向の座標の原点とし、MおよびL1をそれぞれ、受光素子アレイ(第1の受光部)9のうち光源1から最も遠い端部のX方向の座標の絶対値およびY方向の座標とする。また、Hは受光素子アレイ9のY方向での受光面(受光領域)の幅としての受光領域幅とする。このとき、受光素子アレイ(第2の受光部)13の位置(X,Y)は、
−2×M≦X≦2×M (1)
2×(L1−H)≦Y≦2×L1 (2)
なる条件を満足する領域内に配置する必要がある。
一般に、受光素子アレイの表面(受光面)は反射率が低く作られているため、受光素子アレイ9,13を、条件(1),(2)を満足する領域内に配置することで、不要な光1002は受光素子アレイ9上でほとんど反射されないこととなる。この結果、図1(d)に破線で示す領域内には不要な光1002がほとんど到達しないため、この破線領域内に受光素子アレイ13を配置することで、受光素子アレイ13における不要な光1002によるクロストークの発生がほとんどないようにすることができる。なお、本実施例では受光素子アレイ13のY方向での受光領域幅もHであるが、必ずしもHでなくてもよい。
本実施例によれば、上記条件(1),(2)を満足することで、受光素子アレイ9で反射した不要な光1002によって受光素子アレイ13にてクロストークが発生することを回避することができ、高精度な位置検出が可能な反射型光学式エンコーダを実現できる。
図2の上側には本実施例に用いられるスケール2のトラック面を示しており、同図の下側にはトラック面上の反射パターンの一部を拡大して示している。スケール2は、例えば、ガラス基板上に、クロム膜による反射膜のパターンが形成されることで製作される。ただし、基板は、ポリカーボネート等の樹脂やSUS等の金属により製作されてもよい。また、反射膜は、アルミニウム膜等のクロム膜以外の材料の膜でもよい。
図2に示すように、スケール2上のトラック8には、位置検出方向であるX方向に周期P1で複数の反射部(反射膜)が配置されて構成された反射パターン101が設けられている。一方、トラック11には、X方向に周期P2で複数の反射部(反射膜)が配置されて構成された反射パターン102が設けられている。周期P1と周期P2とはわずかに異なっている。このため、トラック8,11を読み取った受光素子アレイ9,13の出力を用いてそれぞれ得られる変化周期がP1,P2の周期信号間の位相差を演算して、周期P1,P2とは異なる周期を有する周期信号(バーニア信号)を得るバーニア演算を行うことができる。例えば、P1とP2の周期から得られるバーニア信号の周期は、P1とP2の最小公倍数となる。周期P1,P2は、所望のバーニア信号の周期が得られるように決定される。
以下、実施例1の数値例について説明する。本数値例において、スケール2のトラック8に設けられた反射パターンの周期P1は100μmである。一方、トラック11に設けられた反射パターンの周期P2は100×(20/19)μmであり、トラック8,11の反射パターンの周期比が整数倍からわずかにずれている。また、本数値例では、トラック8,11の位置検出方向での長さ(トラック全長)が2000μmである。
図3には、実施例1(数値例)における受光素子アレイ9の構成を示している。なお、受光素子アレイ13の構成も、図3に示す構成と同じである。また、図4には、信号処理回路51の構成を示している。
図3において、受光素子アレイ9には、32個の受光素子がX方向に50μmのピッチで並んでいる。1つの受光素子のX方向幅X_pdは50μmであり、Y方向幅Y_pdは800μmである。受光素子アレイ9の全幅X_totalは1600μmである。スケール2における各トラックの反射パターンは、各受光素子アレイに対して2倍で拡大投影される。このため、スケール2上での受光素子アレイ9による読み取り範囲(検出範囲)は、X方向に800μm、Y方向に400μmの範囲となる。
32個の受光素子は、図の左側から順に、A+,B+,A−,B−の4つのラインに循環的に接続されている。A+,B+,A−,B−ラインはそれぞれ、図4に示す初段増幅器であるI−V変換アンプ34,35,36,37に接続されている。これらI−V変換アンプ34,35,36,37からは、4相周期信号S(A+),S(B+),S(A−),S(B−)がそれぞれ出力される。S(A+)を基準とすると、S(B+)は約+90度、S(A−)は約+180度、S(B−)は約+270度の位相差を有する。これら4相周期信号S(A+),S(B+),S(A−),S(B−)に対して、A相用差動アンプ39およびB相用差動アンプ40により、
S(A)=S(A+)−S(A−) (3)
S(B)=S(B+)−S(B−) (4)
なる合成(演算)が行われることで、直流成分が除去された2相周期信号S(A),S(B)が生成される。
なお、信号処理回路51は、各アンプのオフセットやゲインばらつき等に起因するS(A),S(B)に含まれるオフセット誤差やゲイン比を補正することが望ましい。例えば、所定の範囲のS(A),S(B)それぞれの(最大値−最小値)/2から振幅比を検出し、振幅を等しくするように補正を行う。同様に、(最大値+最小値)/2から、オフセット誤差量を検出し、そのオフセットの補正を行う。いずれも、補正値を記憶デバイス52に記憶しておき、位置検出時にその補正値を読み出して補正を行う。
さらに、信号処理回路51は、
Φ1=ATAN2[S(A),S(B)] (5)
を演算する。ここで、ATAN2[Y,X]は、象限を判別して0〜2πの位相に変換する逆正接演算関数である。Φ1とスケール2上での位置との関係は図5の下側の図に示すようになり、インクリメント信号としてX方向の相対位置変化の検出に用いられる。
次に、トラック11を例として、該トラック11からの位相情報の取得について説明する。トラック11から得られる周期信号は、受光素子アレイ13の検出周期(4×50μm=200μm)に対してトラック11の反射パターンの周期の2倍である100μm×(20/19)×2がわずかにずれている。このため、2相周期信号S(A)′,S(B)′間の相対位相差誤差を補正する処理を以下のように行うことが望ましい。
相対位相差誤差eを含む2相正弦波信号S(A)′,S(B)′は、位相をθとして、次の式(6),(7)で表される。
S(A)′=cos(θ+e/2) (6)
S(B)′=sin(θ−e/2) (7)
そして、これらの式(6),(7)より、2相周期信号S(A)′,S(B)′の和と差を計算すると、以下の式(8),(9)で示すように、相対位相差誤差eを分離することができる。
S(A)′+S(B)′=2×cos(θ―π/4)sin(e/2−π/4) (8)
−S(A)′+S(B)′=2×sin(θ−π/4)cos(e/2−π/4) (9)
相対位相差誤差eは、設計値より、e=(1−19/20)×πと表せる。このため、式(8),(9)に対して、それぞれの振幅成分2×sin(e/2−π/4),2×cos(e/2−π/4)の逆数を乗じる。これにより、以下の式(10),(11)に示すように、相対位相差誤差が補正された2相周期信号S(A),S(B)が算出される。
S(A)=[S(A)′+S(B)′]/[2×sin(e/2−π/4)]=cosφ (10)
S(B)=[−S(A)′+S(B)′]/[2×cos(e/2−π/4)]=sinφ (11)
ただし、φ=θ−π/4である。
なお、相対位相差誤差eについては、初期化動作によって記憶しても構わない。例えば、所定のX方向範囲におけるS(A)′+S(B)′の(最大値―最小値)/2から、振幅成分2×sin(e/2−π/4)を取得する。また、−S(A)′+S(B)′の(最大値―最小値)/2から、振幅成分2×cos(e/2−π/4)を取得し、記憶デバイス52に記憶するようにしてもよい。この場合、光源1と受光素子アレイ9の実装高さずれや、スケール2とセンサユニット7の相対傾きによる像倍率の誤差の影響を含めて補正することが可能である。 以上のようにして得られたS(A),S(B)を用いて、以下の演算を行う。
Φ3=ATAN2[S(A),S(B)] (12)
さらに、バーニア信号Sv12を、以下の演算によって取得する。
Sv12=Φ1−Φ2 (13)
ここで、Sv12<0のときはSv12=Sv12+2πの演算を行って、0〜2πの位相としての出力範囲に変換する。このようにして得られたバーニア信号Sv12とスケール2の位置との関係は、図5の上側の図に示すようになる。同図に示すように、バーニア信号Sv12の位相に対するスケール2上での位置が一意に決定されるため、絶対位置を特定することができる。
このようにして得られたバーニア信号Sv12のみを用いた場合でも絶対位置の検出はできるが、以下のようにSv12とΦ1との同期処理を行い、より高精度な絶対位置信号ABSを生成してもよい。
ABS=[ROUND({[Sv12/(2π)]×[FS/P1]−Φ1}×{2π})+Φ1/(2π)]×P1(μm) (14)
ただし、ROUND(X)は、Xに最も近い整数に変換する関数である。また、FSはX方向のトラック全長であり、本数値例では、前述したようにFS=2000μmである。
なお、本実施例では、絶対位置を検出するアブソリュート型エンコーダについて説明したが、同様の構成を有するインクリメント型エンコーダとして用いることも可能である。
なお、本実施例では2つの受光素子アレイ9,13が単一の受光素子3に設けられている場合について説明したが、受光素子アレイ9,13がそれぞれ別々の受光素子に設けられてセンサユニット7に一体的に設けられていても、条件(1),(2)を満足すればよい。
図6には、本発明の実施例2である反射型光学式エンコーダの構成を示す。本実施例において、実施例1と共通する構成要素には実施例1と同符号を付して説明に代える。本実施例では、センサユニット7Aにおける光源1と受光素子アレイ9,13を透光性部材5により一体的に覆う(封止する)ことでパッケージを構成している。光源1と受光素子アレイ9,13を透光性部材5によって覆うことで、耐環境性に優れたエンコーダを提供することができる。スケール2、信号処理回路51および記憶デバイス52については、実施例1と同じである。以下、主として実施例1と異なる部分について説明する。
図7(a)には、センサユニット7Aにおける光源1と受光素子アレイ9,13の配置を示している。本実施例のセンサユニット7Aでも、実施例1と同様に、2つの受光素子アレイ9,13が、Y方向(幅方向)において光源1に対して同じ側に配置されている。
本実施例では、光源1の発光面および受光素子アレイ9,13の受光面を、Z方向(受光面の法線方向)での位置(高さ)の基準(=0)とする。そして、光源1の発光面から透光性部材5の表面までのZ方向での距離をD1とし、受光素子アレイ9の受光面から透光性部材5の表面までのZ方向での距離をD2とする。さらに、受光素子アレイ13の受光面から透光性部材5の表面までのZ方向での距離をD3とする。透光性部材5の屈折率はn1とする。また、本実施例では、センサユニット7Aとスケール2との間の媒質(例えば、空気であり、以下、外部媒質という)の屈折率をn0とし、n1>n0の場合について説明する。
屈折率が大きい媒質から屈折率が小さい媒質に向かう光は、以下の式(15)で示す臨界角θcを超える角度の光は両媒質の界面を透過せずに全反射する。
θc=Asin(n0/n1) (15)
ただし、Asin(X)は、Xの逆正弦関数である。
このようなパッケージ内での全反射は、図7(a)に示す透光性部材5と外部媒質との界面でも発生し、特に光源1からY方向(幅方向)に以下の式(16)で示す距離以上離れた領域に全反射光2002が到達する。
(D1+D2)×tanθc (16)
また、全反射光2002が到達する領域に反射率が高い部分(例えば、受光素子3の表面や金属配線)があると、全反射光2002は該高反射率部分で再度反射されて透光性部材5と外部媒質との界面で再び全反射される。そして、光源1から以下の式(17)で示す距離以上離れた領域にも全反射光2002が到達する。
(D1+2×D2+D3)×tanθc (17)
パッケージ内での全反射光は、位置検出においては不要な光であり、該全反射光が受光素子アレイ9,13に入射すると、位置検出精度が低下する。このため、全反射光をできるだけ受光素子アレイ9,13に入射させないように、図7(b)に示すように受光素子アレイ9を以下の条件(18)を満足する領域内に配置し、受光素子アレイ13を以下の条件(19),(20)を満足する領域内に配置する必要がある。
光源1の発光点の位置(発光位置)をX方向およびY方向の座標の原点とするとき、受光素子アレイ(第1の受光部)9を配置すべき領域が満足する条件は、
sqrt(L1+M)≦(D1+D2)×tan[Asin(n0/n1)] (18)
で表される。
また、受光素子アレイ(第2の受光部)13を配置すべき領域が満足する条件は、
sqrt(L2+M)≦(D1+2×D2+D3)×tan[Asin(n0/n1)] (19)
L2−H≧(D1+D2)×tan[Asin(n0/n1)] (20)
ただし、MおよびL1はそれぞれ、受光素子アレイ9のうち光源1から最も遠い端部のX方向の座標の絶対値およびY方向の座標である。また、L2は、受光素子アレイ13のうち光源1から最も遠い端部のY方向の座標であり、Hは受光素子アレイ13のY方向での受光領域幅である。なお、本実施例では受光素子アレイ9のY方向での受光領域幅もHであるが、必ずしもHでなくてもよい。
受光素子アレイ9,13を上記条件(18)および上記条件(19),(20)をそれぞれ満足する領域内に配置することで、位置検出には不要な光であるパッケージ内での全反射光の影響を受けにくくなり、高精度な位置検出を可能とすることができる。
なお、条件(18),(19),(20)における等号を省くとより好ましい条件となり、更に言えば、これらの条件式の不等号における小さい方は大きい方の90%以下となるとより望ましい。
本実施例のエンコーダも、アブソリュート型およびインクリメント型のいずれにも用いることができる。
図8(a)には、本発明の実施例3である反射型光学式エンコーダの構成を示している。また、図8(b)には、本実施例のエンコーダに用いられるセンサユニット7Bを示している。本実施例のセンサユニット7Bの基本構成は実施例1のセンサユニットまたは実施例2のセンサユニット7Aと同じである。ただし、本実施例のセンサユニット7Bは、スイッチ回路41を介して受光素子アレイ9Bの検出周期(つまりは検出分解能)を切り替えることで、同じ受光素子アレイ9Bで互いに周期が異なる複数の反射パターンを読み取ることができる。
図8(a)に示すように、センサユニット7Bの光源1と受光素子アレイ9B,13が透光性部材により覆われていない場合は、受光素子アレイ13は光源1および受光素子アレイ9Bに対して実施例1で説明した条件(1),(2)を満足する領域内に配置される。一方、以下に説明する位置検出方法は、図13に示すように光源1と受光素子アレイ9B,13が実施例2のように透光性部材により覆われているセンサユニット7B′である場合にも適用できる。この場合、受光素子アレイ9B,13はそれぞれ、実施例2で説明した条件(18)および条件(19),(20)を満足する領域内に配置される。
図9の上側には本実施例に用いられるスケール2Bにおいてトラック8B,11が設けられたトラック面を示しており、同図の下側にはトラック面上の反射パターンの一部を拡大して示している。トラック11には、実施例1,2と同様の反射パターンとして、X方向に複数の反射部が周期P6で配置された単一の反射パターンが設けられている。本実施例では、トラック11を単一パターントラックともいう。単一パターントラック11は、センサユニット7Bにおける受光素子アレイ13によって読み取られる。一方、トラック8Bには、X方向に複数の反射部が周期P4で配置された反射パターン401とX方向に複数の反射部が周期P5で配置された反射パターン501とがY方向に交互に(循環的に)配置され、多重反射パターンを構成している。本実施例では、トラック8Bを多重パターントラックともいう。多重パターントラック8Bは、上述したように検出周期の切り替えが可能な受光素子アレイ9Bによって読み取られる。
図9では周期P4,P5,P6は、P4>P5>P6の関係にある。より高分解能のエンコーダを構成するという点で、単一パターントラックに含まれる反射パターンの周期は、多重パターントラックに含まれる複数の反射パターンの周期のうち最も短い周期と同じまたはそれ以下であることが望ましいが、これに限らない。
このような構成により、本実施例では、スケール2B上の任意のX方向位置に対して一意に位置の情報を得ることができる。すなわち、絶対位置を検出することができる。
本実施例の数値例について説明する。本数値例では、スケール2Bにおけるトラック8Bの2つの反射パターンの周期P4が1000μm、周期P5が250×(20/19)μmである。一方、トラック11の反射パターンの周期P6は125μmである。トラック全長は5000μmである。
図9から図12を用いて、本実施例(数値例)における検出周期の切り替えを用いた位置検出方法について説明する。
まず、トラック8Bから得られる周期信号の処理について説明する。図10は検出周期が周期P4の反射パターンに対応する第1の検出周期に設定されたときの受光素子アレイ9Bの状態を示している。また、図11は検出周期が周期P5の反射パターンに対応する第2の検出周期に設定されたときの受光素子アレイ9Bの状態を示している。受光素子アレイ9Bには、図3に示した実施例1の受光素子アレイ9と同様に、32個の受光素子がX方向に50μmのピッチで並んでいる。1つの受光素子のX方向幅X_pdは50μmであり、Y方向幅Y_pdは800μmである。受光素子アレイ9Bの全幅X_totalは1600μmである。
受光素子アレイ9Bを構成する32個の受光素子からの出力は、スイッチ回路41によってその接続先が4つの初段増幅器(図4におけるI−V変換アンプ34,35,36,37)における2つのうちいずれか一方に切り替えられる。スイッチ回路41は、図8に示す信号処理回路51Bからの切り替え信号に応じてその接続先を切り替える動作を行う。
例えば、切り替え信号がハイレベルである場合は、図10に示すように隣り合う4つの受光素子が1組として同一の初段増幅器に接続されるようにスイッチ回路41が接続先を切り替える。これにより、検出周期は第1の検出周期1000μm(=P4)となり、周期P4の反射パターンを読み取ることができる。一方、切り替え信号がローレベルである場合は、図11に示すように、32個の受光素子が、図の左側から順にA+,B+,A−,B−のラインに循環的に接続されるようにスイッチ回路41が接続先を切り替える。これにより、検出周期は第2の検出周期250μm(≒P5)となり、周期P5の反射パターンを読み取ることができる。
第1の検出周期で読み取りを行う場合には、該第1の検出周期が対応する反射パターンの周期P4と一致しているため、実施例1における周期P1の反射パターンの読み取り時と同様に、2相周期信号S(A),S(B)を取得する。そして、これら2相周期信号S(A),S(B)を用いて以下の演算を行う。
Φ4=ATAN2[S(A),S(B)] (21)
一方、第2の検出周期で読み取りを行う場合には、該第2の検出周期が対応する反射パターンの周期P5に対してわずかにずれている。このため、実施例1の周期P2の反射パターンの読み取り時と同様に、相対位相差誤差の補正処理を行って2相周期信号S(A),S(B)を取得する。そして、得られた2相周期信号S(A),S(B)を用いて以下の演算を行う。
Φ5=ATAN2[S(A),S(B)] (22)
Φ5とスケール2B上での位置との関係は、図12の中段の図に示すようになる。次に、バーニア信号Sv45を、以下の式(23)を用いた演算によって取得する。
Sv45=4×Φ4−Φ5 (23)
ここで、Sv45<0のときはSv45=Sv45+2πの演算を行って、0〜2πの位相としての出力範囲に変換する。このようにして得られたバーニア信号Sv45とスケール2B上での位置との関係は、図12の上側の図に示すようになる。同図に示すように、バーニア信号Sv45の位相に対するスケール2B上での位置が一意に決定されるため、絶対位置を特定することができる。
このようにして得られたバーニア信号Sv45のみを用いた場合でも絶対位置の検出はできるが、より高精度な位置検出を行うために、本実施例では以下の処理を行う。
受光素子アレイ13によりトラック11の反射パターンを読み取る場合には、受光素子アレイ13の検出周期と反射パターンの周期P6とが一致しているため、実施例1での周期P1の反射パターンの読み取り時と同様に、2相周期信号S(A),S(B)を取得する。さらに、これら2相周期信号S(A),S(B)を用いて以下の演算を行う。
Φ6=ATAN2[S(A),S(B)] (24)
そして、このようにして得られたΦ6とバーニア信号Sv45との同期処理を行い、絶対位置信号ABSを以下のように生成する。
ABS=[ROUND({[Sv45/(2π)]×[FS/P6]−Φ6}×{2π})+Φ6/(2π)]×P6(μm) (25)
実施例1でも説明したが、ROUND(X)は、Xに最も近い整数に変換する関数である。また、FSはX方向のトラック全長であり、本数値例では、前述したようにFS=5000μmである。
絶対位置信号ABSは、上述したようにSv45とΦ5との同期処理のみから算出することもできる。ただし、Φ5にはΦ4からのクロストーク成分が含まれていることから、Sv45とΦ5との同期処理を行った上で、Φ5とΦ6との同期処理を行うことで、上記式(25)で示すような値を求めることが好ましい。
本実施例では、トラック11の反射パターンの周期P6を受光素子アレイ13によって読み取り可能な(検出周期の設定可能な)範囲でより細かい周期にすることで、より高い位置検出分解能を有するエンコーダを実現できる。
また、一般に光源1は、図8(a)に示すZ方向に対してなす角度が大きくなるほど出射光量が少なくなる傾向(配光特性)がある。また、複数の反射パターンが多重配置された多重パターントラック8Bは、反射パターンの数に対応してそれぞれの反射パターンからの反射光の強度が減少する。このため、図8(a)および図9に示すように、単一パターントラック11よりも光源1に近い位置に多重パターントラック8Bを配置することにより、両トラック8B,11の全ての反射パターンからの反射光の強度の差を少なくすることができる。すなわち、このような構成を採用することにより、受光素子アレイ9B,13から得られる各周期信号のS/Nの差を低減することができる。
本実施例で説明した検出周期を切り替え可能なセンサユニット7Bを用いる場合でも、インクリメンタル型エンコーダを構成することは可能である。
なお、本実施例では、多重パターントラック8Bに設けた互いに周期が異なる反射パターンの数を2つとし、センサユニット7Bにおける検出周期の切り替え数もこれに対する2つとしたが、反射パターン数および検出周期の切り替え数は、3つ以上であってもよい。
図14(a)には、本発明の実施例4である反射型光学式エンコーダの構成を示している。また、図14(b)には、本実施例のエンコーダに用いられるセンサユニット7Cにおける光源1と受光素子アレイ9C,13,63の配置を示している。本実施例のセンサユニット7Cでも、実施例1と同様に、2つの受光素子アレイ(第1および第2の受光部)9C,13は、Y方向(幅方向)において光源1に対して同じ側に配置されている。一方、受光素子アレイ(第3の受光部)63は、Y方向において、光源1に対して受光素子アレイ9C,13は反対側に配置されている。受光素子アレイ63は、本実施例では、受光素子アレイ9C,13を備えた受光素子3とは別の受光素子62に設けられている。本実施例のセンサユニット7Cは、光源1と受光素子3と受光素子62とが一体に設けられた光源−受光素子一体型のセンサユニットである。
図14(a)に示すように、センサユニット7Cの光源1と受光素子アレイ9C,13が透光性部材により覆われていない場合は、受光素子アレイ13は光源1および受光素子アレイ9Cに対して実施例1で説明した条件(1),(2)を満足する領域内に配置される。一方、以下に説明する位置検出方法は、図17に示すように、センサユニット7C′の光源1と受光素子アレイ9C,13が実施例2のように透光性部材によって覆われている場合にも適用することができる。この場合は、受光素子アレイ9C,13はそれぞれ、実施例2にて説明した条件(18)および条件(19),(20)を満足する領域内に配置される。
図15の上側には本実施例に用いられるスケール2Cのトラック面を示しており、同図の下側にはトラック面上の反射パターンの一部を拡大して示している。スケール2Cは、3つのトラック8C,11,61を有する。
トラック(第1のトラック)11には、実施例1,2と同様の反射パターンとして、X方向に複数の反射部が周期P43で配置された単一の反射パターンが設けられている。この単一パターントラック11は、センサユニット7Cにおける受光素子アレイ13によって読み取られる。トラック(第2のトラック)8Cには、X方向に複数の反射部が周期P41で配置された反射パターンとX方向に複数の反射部が周期P42で配置された反射パターンとがY方向に交互に(循環的に)配置され、多重反射パターンを構成している。多重パターントラック8Cは、実施例3にて説明したように検出周期の切り替えが可能な受光素子アレイ9Cによって読み取られる。
さらに、多重パターントラック(第3のトラック)61には、X方向に複数の反射部が周期P41′で配置された反射パターンとX方向に複数の反射部が周期P42′で配置された反射パターンとがY方向に交互に(循環的に)配置されている。これにより、多重反射パターンが構成されている。多重パターントラック61は、実施例3にて説明したように検出周期の切り替えが可能な受光素子アレイ63によって読み取られる。
図15では周期P41,P42,P43,P41,P42′は、P41′>P41>P42′>P42>P43の関係にある。より高分解能のエンコーダを構成するという点で、単一パターントラックに含まれる反射パターンの周期は、多重パターントラックに含まれる複数の反射パターンの周期のうち最も短い周期と同じまたはそれ以下であることが望ましいが、これに限らない。
周期P41と周期P41′とがわずかに異なり、かつ周期P42と周期P42′とがわずかに異なっている。これらの周期から周期信号間の位相差を演算することによってバーニア信号を得ることは、実施例1と同様である。以下、周期P41とP41′の反射パターンを読み取って得られる周期信号および周期P42とP42′の反射パターンを読み取って得られる周期信号からバーニア信号Sv41,Sv42を生成する場合について説明する。
図16の最上段に示すように、最も長い周期のバーニア信号Sv41を上位信号として用い、同図の上から2番目に示すように、次に長い周期のバーニア信号v42を中上位信号として用いる。また、図16の上から3番目に示すように、周期P42から得られる位相Φ42を中下位信号として用いる。さらに、図16の最下段に示すように、周期P43から得られる位相Φ43を下位信号として用いる。これらのSv41,Sv42,Φ42,Φ43までの同期をとることにより、絶対位置信号ABSを生成する。
このように、本実施例では、3つ以上のトラックを用いて絶対位置信号ABSを取得するときに同期処理を複数回行うことで、より同期を取りやすくなる。このため、本実施例では、実施例2と比べて、より長いトラック全長において絶対位置の検出が可能なエンコーダを実現することができる。
本実施例でも、トラック11の反射パターンの周期P43を受光素子アレイ13によって読み取り可能な(検出周期の設定可能な)範囲でより細かい周期にすることで、より高い位置検出分解能を有するエンコーダを実現できる。
また、実施例3でも説明したが、光源1の配光特性を考慮して、図14(a)および図15に示すように、単一パターントラック11よりも光源1に近い位置に多重パターントラック8C,61を設けることが好ましい。この構成によれば、受光素子アレイ9C,13,63から得られる周期信号のS/Nの差を低減することができる。
なお、本実施例では、スケール2Cに3つのトラック8C,11,61を設けるとともにセンサユニット7Cに3つの受光素子アレイ9C,13,63を設ける場合について説明した。しかし、光源1に関してY方向に対称に2つずつ計4つの受光素子アレイを配置し、これに応じて4つのトラックをスケールに設けることも可能である。Y方向において光源1に対して同じ側に配置する受光素子アレイの数は3つ以上であってもよい。
以上説明した実施例1〜4のエンコーダによれば、光源1に対して同じ側に配置された複数の受光素子アレイ(9,13等)がある場合に、不要な反射光が光源1から遠い側の受光素子アレイにより受光されることを回避できる。しかも、この作用効果は、受光素子アレイ間の距離を増加させたり受光素子アレイ間に遮光部材を設けたり時分割読み取りを行ったりすることなく得られる。したがって、センサユニットを簡単かつコンパクトな構成としつつも、センサユニットにおけるクロストークの発生を抑制することができ、高精度の位置検出を可能とする。
図18には、上述した実施例1〜4のエンコーダのうちいずれかのエンコーダを搭載した装置の一例として、デジタルスチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置(光学機器)を示している。この撮像装置では、エンコーダをレンズ鏡筒内での光学素子の位置を検出するために用いている。
図18において、2,7はそれぞれ、実施例1〜4のうちいずれかのエンコーダを構成するスケールおよびセンサユニットを示す。また、24は実施例1〜4のうちいずれかのエンコーダを構成する信号処理部51(51B,51C)を含み、撮像装置のシステム全体を制御する制御手段としての制御部(CPU)を示す。
スケール2は、レンズ鏡筒内において光軸回りで回転する円筒形状のカム環50の内周面に取り付けられている。カム環50は、不図示のアクチュエータによって回転駆動される。
レンズ鏡筒内には、撮影光学系21が収容されている。撮影光学系21は、カム環50が回転することで、該カム環50に形成されたカムによって光軸方向に移動可能な光学素子(例えば、変倍レンズやフォーカスレンズ)22を含む。カム環50および光学素子22は、スケール2とともに移動する可動部材に相当する。
25は撮影光学系21により形成された被写体像を光電変換するイメージセンサ(撮像素子)であり、CCDセンサやCMOSセンサ等の光電変換素子により構成されている。
光学素子22を移動させるためにカム環50が回転すると、エンコーダによりカム環50の回転位置(つまりは光学素子22の位置)が検出され、その情報が制御部24に出力される。制御部24は、その回転位置の情報に基づいてカム環50を回転させるアクチュエータを駆動し、光学素子22の位置や移動(速度)を制御する。
実施例1〜4のエンコーダを撮像装置(レンズ鏡筒)に搭載することにより、センサユニットでのクロストークの発生を抑えることができ、光学素子22(またはカム環50)の高精度の位置検出を行うことができる。
なお、実施例1〜4にて説明したエンコーダは、撮像装置に限らず、プリンタ(光学機器)における印字ヘッドや給紙ローラの位置検出、複写機(光学機器)の感光ドラムの回転位置検出をはじめ、ロボットアームの位置検出等、様々な装置に適用することができる。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
高精度な位置検出が可能な反射型光学式エンコーダを提供することができる。
1 光源
2,2A,2B,2C スケール
5 透光性部材
7,7A,7B,7C センサユニット
8,8A,8B,8C,11,61 トラック
9,9A,9B,9C,13,63 受光素子アレイ

Claims (8)

  1. 周期的に配置された反射部により構成される反射パターンをそれぞれ含む複数のトラックが設けられたスケールと、
    該スケールとの相対移動が可能であり、1つの光源および該光源から発して前記複数のトラックの前記反射パターンで反射した光をそれぞれ受光する複数の受光部が設けられたセンサユニットとを有する光学式エンコーダであって、
    前記センサユニットにおいて、前記1つの光源と前記複数の受光部とが透光性部材により覆われており、
    前記複数の受光部のうち少なくとも第1の受光部と第2の受光部とが、前記スケールと前記センサユニットとが相対移動するX方向に対して直交するY方向において前記光源に対して同じ側に配置されており、
    前記光源の発光位置を前記X方向および前記Y方向の座標の原点とするとき、
    前記第1の受光部が、
    sqrt(L1+M)≦(D1+D2)×tan[Asin(n0/n1)]
    なる条件を満足する領域に配置され、
    前記第2の受光部が、
    sqrt(L2+M)≦(D1+2×D2+D3)×tan[Asin(n0/n1)]
    L2−H≧(D1+D2)×tan[Asin(n0/n1)]
    なる条件を満足する領域に配置されていることを特徴とする光学式エンコーダ。
    ただし、MおよびL1はそれぞれ、前記第1の受光部のうち前記光源から最も遠い端部の前記X方向の座標の絶対値および前記Y方向の座標であり、
    L2は、前記第2の受光部のうち前記光源から最も遠い端部の前記Y方向の座標であり、Hは前記第2の受光部の前記Y方向での受光領域幅であり、
    n1は前記透光性部材の屈折率であり、
    D1は、前記光源の発光面から前記透光性部材の表面までの前記XおよびY方向に直交する方向での距離であり、
    D2は、前記第1の受光部の受光面から前記透光性部材の表面までの前記XおよびY方向に直交する方向での距離であり、
    D3は、前記第2の受光部の受光面から前記透光性部材の表面までの前記XおよびY方向に直交する方向での距離であり、
    n0は前記センサユニットと前記スケールとの間の媒質の屈折率である。
  2. 前記センサユニットにおいて、前記複数の受光部のうち少なくとも1つの受光部は、前記複数のトラックのうち少なくとも1つのトラックに含まれる互いに異なる周期を有する複数の前記反射パターンで反射した光を受光し、
    該少なくとも1つの受光部は、その検出周期を、前記複数の反射パターンの周期に対応するように切り替え可能な構成を有することを特徴とする請求項1に記載のエンコーダ。
  3. 前記スケールにおいて、前記複数のトラックは、単一の前記反射パターンのみを含む単一パターントラックと、前記Y方向に配置された互いに周期が異なる複数の前記反射パターンを含む多重パターントラックとを有し、
    前記多重パターントラックを前記単一パターントラックよりも前記光源に近い位置に配置したことを特徴とする請求項1または2に記載の光学式エンコーダ。
  4. 前記スケールにおいて、前記単一パターントラックに含まれる前記反射パターンの周期は、前記多重パターントラックに含まれる前記複数の反射パターンの周期のうち最も短い周期と同じまたはそれ以下であることを特徴とする請求項3に記載の光学式エンコーダ。
  5. 前記スケールにおいて、前記複数のトラックは、前記第1および第2の受光部に対応する第1および第2のトラックと、少なくとも1つの第3のトラックとを有し、
    前記センサユニットにおいて、前記複数の受光部は、前記少なくとも1つの第3のトラックに対応する少なくとも1つの第3の受光部を含んでおり、
    前記第3の受光部は、前記Y方向において、前記光源に対して前記第1および第2の受光部とは反対側に配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の光学式エンコーダ。
  6. 周期的に配置された反射部により構成される反射パターンをそれぞれ含む複数のトラックが設けられたスケールと、
    該スケールとの相対移動が可能であり、1つの光源および該光源から発して前記複数のトラックの前記反射パターンで反射した光をそれぞれ受光する複数の受光部が設けられたセンサユニットとを有する光学式エンコーダであって、
    前記複数の受光部のうち少なくとも第1の受光部と第2の受光部とが、前記スケールと前記センサユニットとが相対移動するX方向に対して直交するY方向において前記光源に対して同じ側に配置されており、
    前記光源の発光位置を前記X方向および前記Y方向の座標の原点とするとき、
    前記第2の受光部の位置(X,Y)は、
    −2×M≦X≦2×M
    2×(L1−H)≦Y≦2×L1
    なる条件を満足する領域に配置されていることを特徴とする光学式エンコーダ。
    ただし、MおよびL1はそれぞれ、前記第1の受光部のうち前記光源から最も遠い端部の前記X方向の座標の絶対値および前記Y方向の座標であり、
    Hは前記第1の受光部の前記Y方向での受光領域幅であることを特徴とする光学式エンコーダ。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載のエンコーダと、
    前記スケールまたは前記センサとともに移動が可能な可動部材と、
    前記エンコーダから出力される位置の情報を用いて前記可動部材の位置または移動を制御する制御手段とを有することを特徴とする装置。
  8. 前記可動部材として光学素子を有する光学機器であることを特徴とする請求項7に記載の装置。
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