JP2015212351A - インクジェット記録用インク - Google Patents

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Abstract

【課題】普通紙に記録した場合でも高い画像濃度が得られ、水溶性有機溶剤の含有量が多くなっても保存安定性に優れたインクジェット記録用インクを提供する。【解決手段】少なくとも水、水溶性溶剤、顔料、及びジホスホン酸基の塩を含む共重合体を有するインクジェット記録用インクであって、前記ジホスホン酸基の塩を含む共重合体が下記一般式(1)で表される構造単位(1)と、(メタ)アクリル基の構造単位)を少なくとも有するインクジェット記録用インク。【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用インク(以下、単に「インク」と称することもある。)インクカートリッジ、記録装置に関する。
インクジェット記録方式は、他の記録方式に比べてプロセスが簡単であり、かつフルカラー化が容易であり、簡略な構成の装置であっても高解像度の画像が得られるという利点があることから、普及してきている。このインクジェット記録方式は、熱により発生する泡や、ピエゾや静電等を利用して発生させた圧力で少量のインクを飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて素早く乾燥させること(又は記録媒体に浸透させること)により、画像形成する方式である。このインクジェット記録方式は、パーソナル及び産業用のプリンタや印刷まで用途が拡大してきている。
このようなインクジェット記録方式では、着色剤として水溶性染料を使用した水系インクが主に用いられているが、前記染料インクは、耐候性及び耐水性に劣るという欠点がある。このため、水溶性染料に代えて水不溶性の顔料を使用する顔料インクの研究が進められている。しかし、前記顔料インクは、前記染料インクに比べて発色性やインクの吐出安定性、保存安定性が未だ劣っている。
また、OA用プリンタの高画質化技術の向上に伴って、顔料インクにおいて記録媒体として普通紙を用いても高い画像濃度が要求されている。しかし、前記顔料インクは、記録媒体として普通紙を使用すると、紙中へ浸透することにより紙表面の顔料濃度が低くなり、画像濃度が低くなるという問題がある。
また、近年、特に産業用途としての需要が高まり、高速印字化が望まれている。このような高速印字化に伴ってラインヘッドを搭載したインクジェットプリンターも提案されている。高速印字化を図るため、記録媒体に付着したインクの乾燥速度を速めるために、インクに浸透剤を添加し水を記録媒体中に浸透させることにより乾燥を早める手段が試みられているが、水だけでなく顔料の記録媒体への浸透性も高くなってしまい、画像濃度が低下してしまうという問題がある。
また、記録媒体として普通紙を用いた場合には、印字直後、インクの溶媒である水により普通紙表面が膨潤し、表裏の伸び率差が大きくなり、カールが発生するという問題がある。このような現象は乾燥が進むにつれて解消するため、低速印字では問題とならなかった。
しかし、高速印字化に伴って、印字後のカールが解消されないまま記録媒体を搬送する必要があるため、紙詰まりの問題を引き起こすおそれがある。カールについては、インク中の有機溶剤の含有量を増やす手段が有効であるがインクがより疎水性に近づくため、インクの保存安定性を確保することが困難になる。
前記課題を解決するため、例えば、液体ビフィクル、着色剤、及び特定のカルシウム指数値を有する少なくとも1つの官能基を有するポリマーを含有するインクジェットインク組成物が提案されている(特許文献1参照)。この提案では、前記ポリマーを構成するモノマーとして4−メタクリルアミド−1−ヒドロキシブタン−1,1−ジホスホン酸が示されており、着色剤が紙と接触した際に、ポリマーのジホスホン酸基と紙中のCa塩とで不安定にさせ、印刷画像を向上させることができるとされている。
また、紙にCa塩を含む受理液を付着させ、リン含有基が結合した顔料、樹脂エマルジョン、及び界面活性剤を含むインクを印字するインクジェット記録方法が提案されている(特許文献2参照)。この提案には、リン含有基としてビスホスホン酸が好ましいことが記載されており、前記受理液のCa塩とリン含有基とが反応し、フェザリング及び定着性を向上させる効果があると記載されている。しかし、前記提案の技術では、ホスホン酸基含有ポリマーを顔料分散体の分散剤、及び添加剤として使用するのでなく、リン酸が結合した顔料を使用しており、普通紙に記録した場合の画像濃度の向上効果は十分なものではない。また、この方式の場合、顔料表面に予め化学修飾する必要があるため、顔料選択における汎用性が低いという問題がある。
また、着色剤、水、水溶性有機溶剤、界面活性剤、及びキレート剤を含んでなる水性インクが提案されている(特許文献3参照)。この提案では、前記キレート剤として、低分子化合物であるヒドロキシエチリデンジホスホン酸又はその塩が用いられている。前記キレート剤は、顔料等の分散体に含まれるカルシウム等を除去し、吐出安定性及び保存安定性を改善できるとされている。しかし、前記提案には、低分子化合物であるヒドロキシエチリデンジホスホン酸しか記載されておらず、ホスホン酸を含有するポリマーについては記載がなく、キレート剤と普通紙に記録した場合の画像濃度の向上効果との関係についても記載されていない。
したがって、普通紙に記録した場合でも高い画像濃度が得られ、水溶性有機溶剤の含有量が多くなっても保存安定性に優れ、汎用的な顔料を用いたインクジェット記録用インクの提供が望まれている。
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、リン含有基の化学修飾の無い顔料を使用した場合でも高い画像濃度が得られ、保存安定性に優れたインクジェット記録用インクを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明のインクジェット記録用インクは、(1)「少なくとも水、水溶性溶剤、顔料、及びジホスホン酸基の塩を含む共重合体を有するインクジェット記録用インクであって、前記ジホスホン酸基の塩を含む共重合体が下記一般式(1)で表される構造単位(1)と、一般式(2)で表される構造単位(2)を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録用インク;
Figure 2015212351
(一般式(1)中のRは水素原子またはメチル基を表し、M+は、アルカリ金属イオン又は有機アンモニウムイオン又はプロトンを表す。但し、アルカリ金属とプロトン及び有機アンモニウムイオンとプロトンは混在しても良く、前記共重合体におけるM+の半数以上がアルカリ金属イオン又は有機アンモニウムイオンである。また、一般式(1)中のXは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)
Figure 2015212351
(一般式(2)中のRは、水素原子またはメチル基を表し、Zは、炭素数6〜22の炭化水素基を表す。)」である。
本発明によると、前記従来における諸問題を解決でき、前記目的を達成することができ、リン含有基の化学修飾の無い顔料を使用した場合でも高い画像濃度が得られ、保存安定性に優れたインクジェット記録用インクを提供することができる。
本発明のインク収容容器の一例を説明するための概略平面図。 図1に示す本発明のインク収容容器のケース(外装)を含めた概略平面図。 本発明のシリアル型インクジェット記録装置の一例を示す斜視図。 図3に示すインクジェット記録装置における一部拡大断面図。 図3に示すインクジェット記録装置における他の一部拡大断面図。
以下、本発明を詳細に説明する。
前記のように、本発明は、「少なくとも水、水溶性溶剤、顔料、及びジホスホン酸基の塩を含む共重合体を含有するものであって、前記ジホスホン酸基の塩を含む共重合体が前記(1)で表される構造単位(1)と前記一般式(2)で表される構造単位(2)を少なくとも有するインクジェット記録用インク」に係るものである。この「インクジェット記録用インク」は、さらにつぎの(2)〜(7)に記載のような態様の「インクジェット記録用インク」を包含する。また、本発明は、このような「インクジェット記録用インク」を用いたつぎの(8)〜(9)に記載の「インクカートリッジ」、及び「インクジェット記録装置」をも包含するものでもあるので、これら(2)〜(9)に記載の「インクジェット記録用インク」、「インクカートリッジ」及び「インクジェット記録装置」についても併せて詳細に説明する。
(2)「少なくとも水、水溶性溶剤、顔料、及びジホスホン酸基の塩を含む共重合体を有するインクジェット記録用インクにおいて、前記ジホスホン酸基の塩を含む共重合体が少なくとも次の一般式(4)で表されるモノマー由来の部位と、一般式(5)で表されるモノマー由来の部位とを含むラジカル共重合体であることを特徴とするインクジェット記録用インク;
Figure 2015212351
(一般式(4)中のRは水素原子またはメチル基を表し、M+は、アルカリ金属イオン又は有機アンモニウムイオン又はプロトンを表す。また、一般式(4)中のXは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)
Figure 2015212351
(一般式(5)中のRは、水素原子またはメチル基を表し、Zは、炭素数6〜22の炭化水素基を表す。)。」
(3)「前記ジホスホン酸基の塩を含む共重合体における一般式(2)の構造単位(2)でZが、ベンジル基またはフェネチル基または炭素数12〜22のアルキル基であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のインクジェット記録用インク。」
(4)「前記ジホスホン酸基の塩を含む共重合体における一般式(1)の構造単位(1)の含有率が30質量%〜70質量%であることを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。」
(5)「前記ジホスホン酸基の塩を含む共重合体における一般式(1)の構造単位(1)の含有率が40質量%〜60質量%であることを特徴とする前記(4)に記載のインクジェット記録用インク。」
(6)「前記ジホスホン酸基の塩を含む共重合体の水溶液粘度(濃度10質量%、25℃)が1.5〜4.0mPa・sであることを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。」
(7)「前記ジホスホン酸基の塩を含む共重合体における一般式(1)の構造単位(1)又は一般式(4)のモノマー由来の部位でM+が、炭素数1から5のアルキル基からなるテトラアルキルアンモニウムイオンであることを特徴とする前記(1)乃至(6)のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。」
(8)「前記(1)乃至(7)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。」
(9)「前記(1)乃至(7)のいずれかに記載のインクジェット記録用インクに刺激を印加し、前記インクジェット記録用インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置。」
−−ホスホン酸基の塩を含む共重合体−−
本発明におけるホスホン酸基の塩を含む共重合体は、前記一般式(1)で表される構造単位と、前記一般式(2)で表される構造単位を少なくとも有する共重合体である。
前記一般式(1)中のMのアルカリ金属イオンにおけるアルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、などが挙げられる。
前記Mの有機アンモニウムイオンにおける有機アミンとしては、例えば、モノ、ジ或いはトリメチルアミン、モノ、ジ或いはトリエチルアミン等のアルキルアミン類;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、2−アミノ−2−エチル−1,3プロパンジオール(AEPD)等のアルコールアミン類;コリン、モルホリン、N−メチルモノホルリン、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン等の環状アミン、などが挙げられる。
また、前記Mの有機アンモニウムイオンとして4級有機アンモニウムイオンも好適に使用できる。例えば、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラアミルアンモニウムイオン、ベンジルトリメチルアンモニウムイオン、ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムイオン、メチルトリオクチルアンモニウムイオン、トリメチルステアリルアンモニウムイオン等が挙げられる。
特に画像濃度と保存安定性の両方の面からカリウムイオン、ナトリウムイオン、アルキルアンモニウムイオンが望ましい。
アルキルアンモニウムイオンの内、炭素数1〜5のアルキル基からなるテトラアルキルアンモニウムイオンを用いる場合は、低粘度で且つ保存安定性に優れるインク提供が可能となるため特に好ましい。
炭素数1〜5のアルキル基からなるテトラアルキルアンモニウムイオンの具体例としては、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、メチルトリブチルアンモニウムイオン、メチルトリアミルアンモニウムイオン、トリエチルメチルアンモニウムイオン、エチルトリメチルアンモニウムイオン等を挙げることができる。
前記Mとしては、半数以上又は全てが、アルカリ金属イオン又は有機アンモニウムイオンであり、残りは水素イオン(プロトン)であることが好ましい。
前記一般式(1)中のXの炭素数1〜3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基を挙げることができる。本発明ではプロピレン基を挙げて効果を説明する。
また、一般式(2)中のZで表される炭素数6〜22の炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基、シクロヘキシル基等の環式飽和炭化水素基、ドデシル基、ステアリル基、イソステアリル基等の鎖式飽和炭化水素基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、9−オクタデセニル基等の鎖式不飽和炭化水素基等が挙げられる。
特に、ベンジル基、フェネチル基、炭素数12〜22のアルキル基が好ましい。
炭素数12〜22のアルキル基としては、その範囲であれば特に炭素数の制限は無く、例えばドデシル基、テトラデカニル基、ヘキサデカニル基、オクタデカニル基、イコサニル基、ドコサニル基等の直鎖状または枝分れ鎖状のアルキル基が挙げられる。
前記一般式(1)で表される構造単位の質量比率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記ポリマー全量に対して、30質量%〜70質量%が好ましく、40質量%〜60質量%がより好ましく、45質量%〜55質量%が更に好ましい。
前記質量比率が、前記より好ましい範囲内であると、インクジェット記録用インクに用いた場合、高い画像濃度が得られ、分散安定性と保存安定性が良好となる点で有利である。
本発明で用いられるホスホン酸基の塩を含む共重合体は以下に説明する本発明のポリマーの製造方法により製造することができる。また、前記一般式(1)及び一般式(2)で表される構造単位を含む共重合体は、インクジェット記録用インクにおける顔料分散剤、顔料濃度向上剤、顔料用結着樹脂、粘度調整剤などとして好適に用いることができる。
<ポリマーの製造方法>
本発明で用いられるポリマーの製造方法は、少なくとも前記一般式(4)及び一般式(5)で表される化合物(モノマー)を含む重合性原料をラジカル重合させた後、得られたポリマーをアルカリ金属塩基及び有機アミン塩基又は有機アンモニウム塩基のいずれかで中和処理することで合成することができる。
中和処理では、一般式(1)中の4つの酸基のうち、0から4つまで中和する量を調整できる。中和された酸基の数、即ち一般式(1)中のM+の数は2つから4つが好ましく、2つまたは3つがさらに好ましい。
一般式(4)で表されるモノマー(1)の具体例としては、ソジウム ヒドロゲン−1−ヒドロキシ−4−メタクリルアミド−1−ホスホノブチルホスホネート、ソジウム 1−ヒドロキシ−4−メタクリルアミドブタン−1,1−ジイルビス(ヒドロゲンホスホネート)、ソジウム 1−(ヒドロゲンホスホナート)−1−ヒドロキシ−4−メタクリルアミドブチルホスホネート、ソジウム 1−ヒドロキシ−4−メタクリルアミドブタン−1,1−ジイルジホスホネート等が挙げられる。
さらに、これらのメタクリルがアクリルの場合や、ソジウムがポテシウムや有機アンモニウムイオンの場合を挙げることができる。
また、全てがプロトンの場合の1−ヒドロキシ−4−メタクリルアミドブタン−1,1−ジイルジホスホン酸等の場合もモノマーとして使用可能である。
前記一般式(4)で表されるモノマー(1)の合成法として、前記一般式(4)中のXがプロピレンの場合(即ち、1−ヒドロキシ−4−(メタ)アクリルアミドブタン−1,1−ジイルジホスホン酸の塩)を例に挙げて説明すると、アレンドロン酸を、予め1等量〜3等量の範囲でアルカリ金属塩基または有機アミン塩基又は有機アンモニウム塩基で中和処理した後、メタクリル酸クロリドまたはアクリル酸クロリドと反応させることで得ることができる。
また、反応後、中和処理して塩の数を調整することができる。
前記一般式(5)中、Zで表される炭素数6〜22の炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基、シクロヘキシル基等の環式飽和炭化水素基、ドデシル基、ステアリル基、イソステアリル基等の鎖式飽和炭化水素基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基、9−オクタデセニル基等の鎖式不飽和炭化水素基等を表す。
で表される炭素数6〜22の炭化水素基がフェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基で表されるモノマーとしては、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。Zで表される炭素数6〜22の炭化水素基がシクロヘキシル基等の鎖式飽和炭化水素基で表されるモノマーとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
で表される炭素数6〜22の炭化水素基がドデシル基、ステアリル基、イソステアリル基等の鎖式飽和炭化水素基で表されるモノマー(2)としては、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
で表される炭素数6〜22の炭化水素基がベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基で表されるモノマーとしては、ベンジル(メタ)アクリレート、フェネチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
で表される炭素数6〜22の炭化水素基が9−オクタデセニル基等の鎖式不飽和炭化水素基で表されるモノマーとしては、オレイル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、上記(メタ)アクリレートは、メタクリレートとアクリレートの両方を表す。
一般式(5)で表されるモノマー(2)の具体例としては、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェネチルアクリレート、フェネチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、ヘキサデカニルアクリレート、ヘキサデカニルメタクリレート、オクタデカニルアクリレート、オクタデカニルメタクリレート、イコサニルアクリレート、イコサニルメタクリレート、ドコサニルアクリレート、ドコサニルメタクリレート等が挙げることができる。
前記一般式(1)及び一般式(2)で表される構造単位(1)及び(2)を含むポリマーは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により重合される。
これらの重合法に限定されないが、重合操作及び分子量の調整が容易なことから、ラジカル重合開始剤を用いる方法が好ましく、有機溶剤と水の混合溶媒中で重合させる溶液重合法が更に好ましい。
前記溶液重合法でラジカル重合を行う際の操作としては、特に制限はないが、モノマー、開始剤、連鎖移動剤、溶媒は、重合反応容器に一括で仕込んでも良いし、滴下漏斗を用いて連続的に供給しても良い。また、必要に応じて、重合反応中に開始剤を追加しても良い。
前記溶液重合法でラジカル重合を行う際の溶剤としては、特に制限はない。一般式(4)のモノマー(1)を水溶液として供給し、一般式(5)のモノマー(2)を有機溶剤に溶解させて供給しながら重合させるのが好ましく、そのために有機溶剤としては水溶性のものが好ましい。
例えば、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒やテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が好ましい。
前記ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、シアノ系のアゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビス(2,2’−イソバレロニトリル)、非シアノ系のジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート等が挙げられる。これらの中でも、分子量の制御がしやすく、分解温度が低い点から、有機過酸化物、アゾ系化合物が好ましく、アゾ系化合物が特に好ましい。
前記重合開始剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、重合性モノマーの総質量に対して、1質量%〜20質量%が好ましい。
前記ポリマーの分子量を調整するために、連鎖移動剤を適量添加してもよい。
前記連鎖移動剤としては、例えば、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−プロパンチオール、2−メルカプトエタノール、チオフェノール、ノニルメルカプタン、1−ドデカンチオール、α−チオグリセロール、などが挙げられる。
重合温度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃〜150℃が好ましく、60℃〜100℃がより好ましい。
重合時間は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3時間〜48時間が好ましい。
得られたポリマーをアルカリ金属塩基及び有機アミン塩基のいずれかで中和処理する。
前記中和処理は、アルカリ金属塩基又は有機アミン塩基にてポリマーのホスホン酸基の一部又は全てを中和することで行うことができる。
一般式(4)のモノマー(1)製造工程で中和がすべて済んでいる場合は、この中和工程を省略することができるが、通常は、モノマー(1)製造工程で1〜2等量中和しておき、ポリマー化してから残りの酸基を中和する。
なお、前記アルカリ金属塩基又は有機アミン塩基の中和処理は、インクの製造工程において顔料とポリマーとを混合した状態で行うことも可能である。
より具体的には、攪拌機、温度計、及び不活性ガス(窒素又はアルゴン)導入管、コンデンサーを備えたフラスコ内に、一般式(4)のモノマー(1)を溶解させた水溶液及び一般式(5)のモノマー(2)を溶解させた有機溶媒溶液、及び重合開始剤及び分子量調整剤等を溶解させた溶液を不活性ガス下、回分又は連続して投入攪拌し、60℃〜150℃の温度で反応させた後、アルカリ金属塩基及び有機アミン塩基のいずれかで中和処理することで合成することができる。
中和の際、予め樹脂の酸価を測定し、それに応じて中和処理することで、中和度を制御できる。酸価測定は、秤量した樹脂を水又は水溶性有機溶剤又はそれらの混合溶媒に溶解又は分散させ、チモールフタレインを指示薬として規定濃度の水酸化カリウムメタノール溶液で中和滴定することにより求められる。
本発明におけるビスホスホン酸化合物は、チモールフタレインの変色時(pH=8〜9)には4つの酸基のうち、3つが中和されることがわかっている。したがって、チモールフタレインを指示薬として酸価を求め、それに応じて塩基を投入して中和した場合は、3個の酸基が中和された構造を調整することができる。
合成時における重合性モノマー総重量に対する、前記一般式(4)で表されるモノマー(1)の割合は、30〜70質量%が好ましく、40〜60質量%がさらに好ましく、45〜55質量%がさらに好ましい。
得られたポリマー(共重合体)は、重合度に応じて分子量分布を持つ。通常、分子量測定にはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって容易に測定できるが、本ポリマーは解離性のポリマーであり、GPCカラムへの吸着により測定が難しい。
そこで本発明では、ポリマーを一定濃度の溶液としたときの粘度を分子量の代用特性とした。粘度の測定方法は、次のように行うことができる。粘度計(RE500L、東機産業株式会社製)を使用し、サンプルの粘度に合わせて50回転もしくは100回転に調整して測定する。
本発明のホスホン酸基の塩を含む共重合体の水溶液粘度(10質量%、25℃)は、1.5mPa・s〜4.0mPa・sの範囲であることが好ましく、1.7mPa・s〜3.0mPa・sであることがさらに好ましい。
ポリマーの水溶液粘度が1.5mPa・s以上であれば、分子量が適度であって分散安定性が良好になり、カルシウム反応性が低下することによる画像濃度低下が起こりにくく、4.0mPa・s以下であれば分子量が過大にならず、したがってインク粘度の上昇を抑制することができ、ヘッド詰まりや吐出不良を避けやすくなり、分散性及び分散性安定性の低下に起因する、顔料分散体およびインクの保存性悪化が起こりにくくなる。
1.7mPa・s〜3.0mPa・sの範囲であれば、画像濃度低下やインク保存性悪化がさらに起こりにくくなる。インクの保存性悪化はヘッド詰まりや吐出不良につながる恐れがある。
前記一般式(1)及び一般式(2)で表される構造単位(1)及び(2)を含むポリマーの分子量は、重合温度や重合開始剤量及び反応時のモノマー濃度である程度制御が可能である。
前記重合温度に関しては、高温にて短時間で重合すると低分子量のポリマーが得られやすく、低温度にて長時間かけて重合すれば高分子量のポリマーが得られやすい傾向にある。
前記重合開始剤の含有量については、多い方が低分子量のポリマーが得られやすく、少ない方が高分子量のポリマーが得られやすい傾向にある。
前記反応時のモノマー濃度については、高濃度の方が低分子量のポリマーが得られやすく、低濃度の方が高分子量のポリマーが得られやすい傾向にある。
また、上記のように、連鎖移動剤の使用量を調節することにより、本発明における前記共重合体の分子量を制御することができる。知られているように、連鎖移動剤は、成長したポリマー鎖からラジカルを受け取りポリマーの伸長を止めるが、ラジカルを受け取った連鎖移動剤はモノマーを攻撃して再び重合を開始させることができるので、分子量分布の調節、平均分子量の調節にも寄与する。
<一般式(1)及び一般式(2)で表される構造単位を含む共重合体>
本発明のインクジェット記録用インクにおける前記一般式(1)で表される構造単位(1)を含むポリマーは、ホスホン酸基が隣接した2塩基酸の構造を有しており、低分子化合物とは異なり、分子内にジホスホン酸基を多く有している。その結果、1塩基酸に比べて、ポリマー分子内により多くの親水性基を付加でき、良好な親水性を示す。また、Caイオンと反応しやすいホスホン酸基を有し、ホスホン酸基は2塩基酸であるため、Caイオンをキレートする効果を有し、Caイオンと接触した場合には、より強い結合を示し疎水化できる。
一般式(2)で表される構造単位(2)は、ポリマーに疎水性をもたらすと共に、顔料との濡れ性や吸着性を高め、分散安定性を向上させるとともに、一般式(1)の親水性ホスホン酸基とのバランスによりCaイオンと接触した場合の樹脂の凝集性を向上させる働きがある。
また、理由は定かではないが、ポリマー内でのホスホン酸基の会合を防ぐ働きがあり水系インク中での保存安定性を更に向上させる効果がある。これらの機能発現により分散剤として使用が可能となる。
したがって、前記一般式(1)及び一般式(2)で表される構造単位(1)及び(2)を含むポリマーをインクジェット記録用インクに用いた場合には、良好なインクの分散安定性及び保存安定性を示す。さらに、紙にインクを印字した場合には、Caイオンの含有量が少ない普通紙であっても紙からインクへ溶出するCaイオンにより、前記共重合体が疎水化し、更に前記一般式(2)で表される構造単位は顔料に対する吸着性が高いため、顔料を巻き込んで凝集することで、紙面上に顔料が留まり、より高い画像濃度を実現することが可能となる。
前記一般式(1)及び一般式(2)で表される構造単位(1)及び(2)を含むポリマーの前記インクジェット記録用インクにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。固形分で、0.05質量%〜10質量%が好ましく、0.5質量%〜5質量%がより好ましく、1質量%〜3質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.05質量%以上から画像濃度の向上効果が認められる。10質量%以下であると、インクをヘッドから吐出する際に適した粘度範囲とすることが可能となる。
前記一般式(1)及び一般式(2)で表される構造単位を(1)及び(2)含むポリマーを顔料の分散剤として使用すれば、普通紙における画像濃度や、水溶性有機溶剤の含有量が多いインクでの保存安定性の一層の向上が認められる。
前記一般式(1)及び一般式(2)で表される構造単位(1)及び(2)を含むポリマーの含有量は、顔料分散剤として使用する場合には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記顔料100質量部に対して、1質量部〜100質量部が好ましく、5質量部〜80質量部がより好ましく、10質量部〜50質量部が更に好ましい。前記含有量が、前記より好ましい範囲内であると、高い画像濃度が得られ、分散安定性と保存安定性が良好となる点で有利である。
<水>
前記水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
前記水の前記インクジェット記録用インクにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<顔料>
前記顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用或いはカラー用の無機顔料や有機顔料などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを用いることができる。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、アゾメチン顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。
前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。
前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料、ローダミンBレーキ顔料、などが挙げられる。
前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
黒色用のものとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
前記カーボンブラックとしては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックで、一次粒径が15nm〜40nm、BET法による比表面積が50m/g〜300m/g、DBP吸油量が40mL/100g〜150mL/100g、揮発分が0.5%〜10%、pHが2〜9を有するものが好ましい。
前記カーボンブラックとしては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、カラーブラックFW1、プリンテックス35、スペシャルブラック6(いずれも、デグッサ社製)、などが挙げられる。
前記カラー用のものとして、イエローインクに使用できる顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー174、などが挙げられる。
マゼンタインクに使用できる顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド202、ピグメントバイオレット19、などが挙げられる。
シアンインクに使用できる顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.バットブルー60、などが挙げられる。
また、本発明で使用する顔料は、本発明のために新たに製造されたものでも使用可能である。
なお、イエロー顔料としてC.I.ピグメントイエロー74、マゼンタ顔料としてC.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントバイオレッド19、シアン顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3を用いることにより、色調、耐光性が優れ、バランスの取れたインクを得ることができる。
前記顔料の体積平均粒子径(D50)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、150nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。前記体積平均粒子径(D50)が、150nm以下であると、吐出安定性が良好となり、ノズル詰まりやインクの曲がりの発生を防止できることがある。
ここで、前記顔料の50%平均粒径は、23℃、55%RHの環境下において、日機装株式会社製マイクロトラックUPAで動的光散乱法により測定したD50%の値を示す。
前記顔料の前記インクジェット記録用インクにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜20質量%がより好ましい。
前記顔料としては、水、顔料、必要に応じて分散剤を混合した後、分散機で分散し粒径を調整した後、顔料分散体としたものを、インクに含有させることが好ましい。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、及び更に必要に応じてその他の成分を混合した後、分散機で分散し、粒径を調整して得られる。
得られた顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置等で粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
前記顔料分散体を作製する際の顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%〜50質量%が好ましく、0.1質量%〜30質量%がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
前記顔料分散体における顔料分散剤としては、前記一般式(1)で表される構造単位(1)を含むポリマーが好ましい。その他の使用可能な分散剤としては、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等の種々の界面活性剤、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物、高分子型の分散剤、などが挙げられる。
これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン塩酸、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩、などが挙げられる。
前記カチオン界面活性剤としては、例えば、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ−4−ビニルピリジン誘導体、などが挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体、などが挙げられる。
前記ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアリルキルアルキルエーテル等のエーテル系界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系界面活性剤;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール系界面活性剤、などが挙げられる。
これらの中でも、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物が特に好ましい。
前記ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物におけるナフタレンスルホン酸の2量体、3量体、4量体の合計含有率は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20質量%〜80質量%であることが好ましい。前記含有率が、20質量%以上であると、分散性が良好となり、インクの保存安定性が向上し、その結果、ノズルの目詰まりの発生が防止できることがある。一方、前記含有率が、80質量%以下であると、インクの粘度範囲が適切となり、分散性が良好となることがある。
<水溶性有機溶剤>
前記水溶性有機溶剤は、インクの乾燥を防止する湿潤剤としての効果、及び浸透剤としての効果の少なくともいずれかの効果を有する。
前記水溶性有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、イソプロピリデングリセロール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル−β−メトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミド等のアミド類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類;ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物類;3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、普通紙におけるカールを防止する点から、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、イソプロピリデングリセロール、N,N−ジメチル−β−メトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミドが特に好ましい。
また、1,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、トリエチレングリコール、グリセリンが水分蒸発による吐出不良を防止する上で優れた効果が得られる。
また、湿潤性が比較的少なく、浸透性を有する水溶性有機溶剤としては、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール[溶解度:4.2%(25℃)]、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール[溶解度:2.0%(25℃)]、などが挙げられる。
その他のポリオール化合物として、脂肪族ジオールとしては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、などが挙げられる。
その他の併用できる浸透剤としては、前記インク中に溶解し、所望の物性に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、エタノール等の低級アルコール類、などが挙げられる。
なお、水溶性有機溶剤ではない湿潤剤として、糖類を含有することができる。前記糖類としては、例えば、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類、四糖類を含む)、多糖類、などが挙げられる。具体的には、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、などが挙げられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖[例えば、糖アルコール〔一般式:HOCH(CHOH)CHOH(ただし、nは2〜5の整数を表す)で表される。〕]、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。これらの中でも、糖アルコールが好ましく、前記糖アルコールとしては、例えば、マルチトール、ソルビットなどが挙げられる。
前記顔料と前記水溶性有機溶剤の比率は、ヘッドからのインク吐出安定性に非常に影響がある。顔料固形分が高いのに水溶性有機溶剤の含有量が少ないとノズルのインクメニスカス付近の水分蒸発が進み吐出不良をもたらすことがある。
前記水溶性有機溶剤の前記インクジェット記録用インクにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10質量%〜60質量%が好ましく、20質量%〜60質量%がより好ましい。前記含有量が、10質量%以上であると、インクの吐出安定性が向上することがあり、60質量%以下であると、乾燥性が良好となることがある。前記含有量が、前記より好ましい数値範囲内であるインクは、乾燥性及び吐出信頼性が非常に良好になるという利点がある。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、pH調整剤、水分散性樹脂、防腐防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、などが挙げられる。
−界面活性剤−
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤、などが挙げられる。これらの中でも、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤が特に好ましい。
前記アニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルアリル、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルアリールエーテルリン酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルアリールエーテルエステル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンオレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、エーテルカルボキシレート、スルホコハク酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル、脂肪酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、ナフテン酸塩、などが挙げられる。
前記カチオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、脂肪族アミン塩、ベンザルコニウム塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、などが挙げられる。
前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、などが挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン誘導体、ジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、下記一般式(I)〜(III)で表される材料、などが挙げられる。
Figure 2015212351
ただし、前記一般式(I)中、mは、0〜10の整数を表す。nは、1〜40の整数を表す。
Figure 2015212351
前記一般式(II)において、Rfはフッ素含有基を表し、パーフルオロアルキル基が好ましい。
前記パーフルオロアルキル基としては、炭素数が1〜10のものが好ましく、1〜3のものがより好ましく、例えば、−C2n−1(ただし、nは1〜10の整数を表す)などが挙げられる。前記パーフルオロアルキル基としては、例えば、−CF、−CFCF、−C、−C、などが挙げられる。これらの中でも、−CF、−CFCFが特に好ましい。
m、n、及びpは、それぞれ整数を表し、nは1〜4、mは6〜25、pは1〜4が好ましい。
Figure 2015212351
前記一般式(III)において、Rfは、フッ素含有基を表し、上記一般式(II)と同様のパーフルオロアルキル基が好ましく、例えば、CF、CFCF、C、Cなどが好適に挙げられる。
はカチオン基を表し、例えば、第4級アンモニウム基;ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン;トリエチルアミン、トリエタノールアミン、などが挙げられる。これらの中でも、第4級アンモニウム基が特に好ましい。R はアニオン基を表し、例えば、COO、SO 、SO 、PO 、などが挙げられる。qは、1〜6が好ましい。
前記フッ素系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470、F1405、F−474(いずれも、DIC株式会社製);ゾニールTBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれも、デュポン社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス製);PF−151N(ソリューションズインコーポレーテッド社製)などが挙げられる。これらの中でも、信頼性と発色性の向上の点から、ゾニールFS−300、FSN、FSN−100、FSO(いずれも、デュポン社製)が特に好ましい。
前記界面活性剤の前記インクジェット記録用インクにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01質量%〜5.0質量%が好ましく、0.5質量%〜3質量%がより好ましい。前記含有量が、5.0質量%以下であると、記録媒体への浸透性が良好となり、画像濃度の低下や裏抜けの発生を防止できることがある。
−pH調整剤−
前記pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずにpHを8.5〜11に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、アルコールアミン類、アルカリ金属元素の水酸化物、アンモニウムの水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、などが挙げられる。
前記アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、などが挙げられる。
前記アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、などが挙げられる。
前記アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、などが挙げられる。
前記アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、などが挙げられる。
−水分散性樹脂−
前記水分散性樹脂は、造膜性(画像形成性)に優れ、かつ高撥水性、高耐水性、高耐候性を備えて、高耐水性で高画像濃度(高発色性)の画像記録に有用である。
前記水分散性樹脂としては、縮合系合成樹脂、付加系合成樹脂、天然高分子化合物、などが挙げられる。
前記縮合系合成樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、フッ素系樹脂、などが挙げられる。
前記付加系合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂、などが挙げられる。
前記天然高分子化合物としては、例えば、セルロース類、ロジン類、天然ゴム、などが挙げられる。
これらの中でも、ポリウレタン樹脂微粒子、アクリル−シリコーン樹脂微粒子及びフッ素系樹脂微粒子が好ましい。
前記水分散性樹脂の平均粒子径(D50)は、分散液の粘度と関係しており、組成が同じものでは粒径が小さくなるほど同一固形分での粘度が大きくなる。
インクが過剰な高粘度にならないためにも水分散性樹脂の平均粒子径(D50)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50nm以上が好ましい。
また、粒径が数十μmになるとインクジェットヘッドのノズル口より大きくなるため使用できない。ノズル口より小さくとも粒子径の大きな粒子がインク中に存在すると吐出安定性を悪化させる。そこで、インク吐出安定性を阻害させないために平均粒子径(D50)は200nm以下がより好ましい。
また、前記水分散性樹脂は、前記水分散着色剤を紙面に定着させる働きを有し、常温で被膜化して色材の定着性を向上させることが好ましい。
そのため、前記水分散性樹脂の最低造膜温度(MFT)は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30℃以下が好ましい。
また、前記水分散性樹脂のガラス転移温度が−40℃以下になると樹脂皮膜の粘稠性が強くなり印字物にタックが生じるため、ガラス転移温度が−30℃以上の水分散性樹脂であることが好ましい。
前記水分散性樹脂の前記インクジェット記録用インクにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、固形分で、1質量%〜15質量%が好ましく、2質量%〜7質量%がより好ましい。
−防腐防黴剤−
前記防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、などが挙げられる。
−防錆剤−
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸ジアンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、などが挙げられる。
−酸化防止剤−
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、などが挙げられる。
−紫外線吸収剤−
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
<インクジェット記録用インクの製造方法>
本発明のインクジェット記録用インクの製造方法は、例えば、水、水溶性有機溶剤、顔料、前記一般式(1)及び一般式(2)で表される構造単位(1)及び(2)を含むポリマー、及び必要に応じてその他の成分を水性媒体中に分散又は溶解し、攪拌混合して製造することができる。
前記インクは、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
前記分散は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等により行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
<インクの物性>
本発明のインクジェット記録用インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力等が以下の範囲であることが好ましい。
前記インクジェット記録用インクの25℃での粘度は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3mPa・s〜20mPa・sが好ましい。前記インク粘度が、3mPa・s以上であると、印字濃度や文字品位を向上させる効果が得られる。一方、前記インク粘度を、20mPa・s以下とすることで、インクの吐出性を確保できることがある。
前記粘度は、例えば、粘度計(RE500L、東機産業株式会社製)を使用して、25℃で測定することができる。
前記インクジェット記録用インクの表面張力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25℃で、40mN/m以下が好ましい。
(インクジェット記録方法、及びインクジェット記録装置)
本発明のインクジェット記録装置は、本発明のインクをインクジェットヘッドを用いて記録媒体に情報又は画像を記録する。この記録装置は、インクを吐出させるインク飛翔手段を少なくとも有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば刺激発生手段、制御手段等を有する。
前記インク飛翔手段は、本発明のインクに刺激を印加し飛翔させて画像を形成する手段である。該インク飛翔手段としては特に制限はなく、例えば、インク吐出用の各種のノズル、などが挙げられる。
前記刺激は、例えば、前記刺激発生手段により発生させることができ、該刺激としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱(温度)、圧力、振動、光、などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適である。また、前記刺激発生手段としては、例えば過熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライト等が挙げられる。具体的には、圧電素子などの圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ、などが挙げられる。
前記インクの飛翔の態様には特に制限はなく、前記刺激の種類等に応じて異なる。
例えば、前記刺激が「熱」の場合、記録ヘッド内の前記インクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを例えばサーマルヘッド等を用いて付与し、該熱エネルギーにより前記インクに気泡を発生させ、該気泡の圧力により、該記録ヘッドのノズル孔から該インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。また、前記刺激が「圧力」の場合、例えば記録ヘッド内のインク流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより、圧電素子を撓ませ、圧力室の容積を縮小させて、前記記録ヘッドのノズル孔から該インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。
なお、前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
ここで、実施例でも用いた本発明のインクジェット記録装置、及び該記録装置を用いたインクジェット記録方法について概要を説明する。
図3は、本発明のシリアル型インクジェット記録装置の一例を示す斜視図である。この記録装置は、装置本体101と、装置本体101に装着した用紙を装填するための給紙トレイ102と、装置本体101に装着され画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ103と、装置本体101の前面112の一端部側に、前面112から前方側に突き出し、上カバー111よりも低くなったインク収容容器装填部104とを有する。インク収容容器装填部104の上面には、操作キーや表示器などの操作部105が配置されている。インク収容容器装填部104は、インク収容容器200の脱着を行うための開閉可能な前カバー115を有している。
装置本体101内では、図4、図5(図3の記録装置の一部拡大断面図)に示すように、図示を省略している左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド131とステー132とで、キャリッジ133を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータによって図5に示すように矢示方向に移動走査する。
キャリッジ133には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェット記録用ヘッドからなる記録ヘッド134を、複数のインク吐出口が主走査方向と交叉するように配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド134を構成するインクジェット記録用ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどインクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。また、キャリッジ133には、記録ヘッド134に各色のインクを供給するための各色のサブタンク135を搭載している。サブタンク135には、図示しないインク供給チューブを介して、インク収容容器装填部104に装填された本発明のインク収容容器200からインクが供給されて補充される。
一方、給紙トレイ102の用紙積載部(圧板)141上に積載した用紙142を給紙するための給紙部として、用紙積載部141から用紙142を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ143)、及び給紙コロ143に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド144を備え、この分離パッド144は給紙コロ143側に付勢されている。
この給紙部から給紙された用紙142を記録ヘッド134の下方側で搬送するための搬送部として、用紙142を静電吸着して搬送するための搬送ベルト151と、給紙部からガイド145を介して送られる用紙142を搬送ベルト151との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ152と、略鉛直上方に送られる用紙142を略90°方向転換させて搬送ベルト151上に倣わせるための搬送ガイド153と、押さえ部材154で搬送ベルト151側に付勢された先端加圧コロ155とを備えている。
また、搬送ベルト151表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ156を備えている。搬送ベルト151は、無端状ベルトであり、搬送ローラ157とテンションローラ158との間に張架されて、ベルト搬送方向に周回可能である。この搬送ベルト151は、例えば、抵抗制御を行っていない厚さ40μm程度の樹脂材〔例えば、テトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)〕で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。搬送ベルト151の裏側には、記録ヘッド134による印写領域に対応してガイド部材161が配置されている。
なお、記録ヘッド134で記録された用紙142を排紙するための排紙部として、搬送ベルト151から用紙142を分離するための分離爪171と、排紙ローラ172及び排紙コロ173とが備えられており、排紙ローラ172の下方に排紙トレイ103が配されている。
装置本体101の背面部には、両面給紙ユニット181が着脱自在に装着されている。
両面給紙ユニット181は、搬送ベルト151の逆方向回転で戻される用紙142を取り込んで反転させて再度カウンタローラ152と搬送ベルト151との間に給紙する。なお、両面給紙ユニット181の上面には手差し給紙部182が設けられている。
このインクジェット記録装置においては、給紙部から用紙142が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙142は、ガイド145で案内され、搬送ベルト151とカウンタローラ152との間に挟まれて搬送される。更に先端を搬送ガイド153で案内されて先端加圧コロ155で搬送ベルト151に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。このとき、帯電ローラ156によって搬送ベルト157が帯電されており、用紙142は、搬送ベルト151に静電吸着されて搬送される。そこで、キャリッジ133を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド134を駆動することにより、停止している用紙142にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙142を所定量搬送後、次行の記録を行う。
記録終了信号又は用紙142の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより記録動作を終了し、用紙142を排紙トレイ103に排紙する。そして、サブタンク135内のインクの残量ニアーエンドが検知されると、インク収容容器200から所要量のインクがサブタンク135に補給される。
このインクジェット記録装置において、インク収容容器200中のインクを使い切ったときには、インク収容容器200における筐体を分解して内部のインク収容部だけを交換することができる。また、インク収容容器200は、縦置きで前面装填構成としても安定したインクの供給を行うことができる。したがって、装置本体101の上方が塞がって設置されているような場合、例えば、ラック内に収納したりする場合、あるいは装置本体101の上面に物が置かれているような場合でも、インク収容容器200の交換を容易に行うことができる。
なお、キャリッジが走査するシリアル型(シャトル型)インクジェット記録装置に適用した例で説明したが、ライン型ヘッドを備えたライン型インクジェット記録装置にも同様に適用することができる。
本発明のインクジェット記録装置は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
−インク記録物−
本発明のインクジェット記録方法により記録されたインク記録物は、本発明のインク記録物である。本発明のインク記録物は、記録メディア上に本発明のインク記録用インクにより記録された画像を有してなる。
本発明に用いる記録メディアとは、本発明のインクジェット記録用インクが着弾し、画像が形成されうるものであれば特に制限はない。例えば、普通紙、印刷用塗工紙、光沢紙、特殊紙などが挙げられる。上記に例示した用紙には、炭酸カルシウム、タルク、カオリンまたは硫酸アルミニウム(硫酸バンド)などが配合されており、本発明のインクジェット記録インクが同用紙に着弾した際に、多価金属イオン、具体的には、カルシウム、マグネシウム、アルミニウムなどの2価または3価の金属イオンが溶出するものである。
前記のように、本発明はどんな紙でも使用できるが、特に普通紙が好ましい。ここで、「普通紙」とは、電子写真式複写機、簡易オフセット印刷機、プリンタ、或いは旧来のジアゾ複写機等々のハードコピー形成技術を用いたオフィスユース、ホームユース或いはパーソナルユース用画像形成装置内での通紙性、搬送性ある画像支持のための紙媒体全般を指す。普通紙は、Plain Paperの訳かとも思われるが、今日、Plain Paperの主流は、上質紙である。それ故、上質紙をPlain Paperと云うことも多く、これを用いた典型的な画像形成技術としての電子写真方式の画像媒体はPPC(Plain Paper Copy)の略称で親しまれている。
本発明におけるインクジェット記録用インクは、上記の多価金属イオンと反応して顔料が凝集し、高い画像濃度が得られるものである。しかし、上記に例示した用紙のうち例えば普通紙では、高画像濃度の実現が困難であった。
普通紙に含まれる填料やサイズ剤定着剤等の多くは難水溶性の金属塩である。また、水溶性の金属塩が含まれていても含有量が少ない。よって、水溶性の多価金属塩等を紙面上に加工した紙と比べると普通紙は多価金属イオンの溶出が少なく、従来技術では画像濃度向上効果が得られなかった。
本発明においては、上記加工した紙はもちろん、普通紙の様に多価金属イオンの溶出が少ない紙でも高画像濃度を実現することができる。普通紙の市販品としては、例えば、上質紙マイペーパー(株式会社リコー製)、Xerox4024(株式会社富士ゼロックス製)などが挙げられる。
本発明のインクは、紙から溶出してくるCaイオン量が、1.0×10−4〜5.0×10−4[g/g]の紙に対して使用するのが好ましい。該Caイオン量が1.0×10−4[g/g]以上だと、顔料分散剤との反応凝集による画像濃度向上の効果が向上する。また該Caイオン量が5.0×10−4[g/g]以下であることで、紙へのインクの浸透が阻害されないのでインクの乾燥性が向上し、耐擦過性及び耐マーカー性も向上する。
上記紙から溶出してくるCaイオン量は、次の方法により算出したものである。
即ち、紙を2.5cm(±0.5cm)×3.5cm(±0.5cm)四方の紙片に裁断純水を0.8μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック社製)でろ過して紙粉等の異物を除去した後、浸漬液に含まれるCaイオンをICP発光分光分析装置によって定量する。ここで得られたCaイオン濃度[ppm]に、高純水の重量である200gを掛け、更に浸漬させた紙の重量である16gで除して、紙から溶出してくるCaイオン量[g/g]を算出する。
例えば、MyPaper(株式会社リコー製)のCaイオン量は4.3×10−4[g/g]であり、Xerox4024(株式会社富士ゼロックス製)のCaイオン量は1.7×10−4[g/g]である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例に何ら限定されるものではない。「部」は、特に明示しない限り「質量部」を表す。「%」は、特に明示しない限り「質量%」を表す。
<一般式(4)のモノマー(1)の合成>
<モノマーNo.(1)−1:ソジウム 1−ヒドロキシ−4−メタクリルアミドブタン−1,1−ジイルビス(ヒドロゲンホスホネート)>
フラスコにアレンドロン酸(東京化成工業社製)25部を入れ、次いで水酸化ナトリウム17.1部をイオン交換水200部で溶解させた水溶液を投入し、撹拌しながら完全に溶解させた。次にフラスコを5℃に冷却しながらメタクリル酸クロリド(東京化成工業社製)13.32部をゆっくり滴下した。滴下終了後さらに30分撹拌し、その後、濃塩酸14.53部を冷却しながら滴下した。反応液を塩化メチレンで3回抽出洗浄し、残った水溶液を800部のメタノール中に滴下し、目的物を析出させた。ろ過により35部の目的物を得た。
この目的物1.7部をイオン交換水176部に溶解させ、チモールフタレイン(関東化学社製)を指示薬として0.1NのKOHメタノール溶液で中和滴定し、酸価を求めたところ155(mgKOH/g)であり、アレンドロン酸の滴定結果と比較することでホスホン酸のOH基の二つがNa塩に置き換わった場合の計算値155(mgKOH/g)とよく一致した。
<モノマーNo.(1)−2:ポテシウム 1−ヒドロキシ−4−メタクリルアミドブタン−1,1−ジイルビス(ヒドロゲンホスホネート)>
モノマーNo.(1)−1の合成で水酸化ナトリウム17.1部の代わりに水酸化カリウム24部を使用するほかは同様にして、目的物40部を得た。
<モノマーNo.(1)−3:ソジウム 4−アクリルアミド−1−ヒドロキシブタン−1,1−ジイルビス(ヒドロゲンホスホネート)>
モノマーNo.(1)−1の合成でメタクリル酸クロリド13.32部を使用する代わりに、アクリル酸クロリド(東京化成工業社製)11.53部を使用するほかは同様にして目的物33部を得た。
<モノマーNo.(1)−4:トリエチルアンモニウム 4−アクリルアミド−1−ヒドロキシブタン−1,1−ジイルビス(ヒドロゲンホスホネート)>
モノマーNo.(1)−1の合成でメタクリル酸クロリド13.32部を使用する代わりに、アクリル酸クロリド11.53部を使用し、水酸化ナトリウム17.1部の代わりにトリエチルアミン(関東化学社製)43.3部を使用するほかは同様にして、目的物44部を得た。
<モノマーNo.(1)−5:テトラエチルアンモニウム 1−ヒドロキシ−4−メタクリルアミドブタン−1,1−ジイルビス(ヒドロゲンホスホネート)>
モノマーNo.(1)−1の合成で水酸化ナトリウム17.1部とイオン交換水200部の代わりにテトラエチルアンモニウムヒドロキシド(東京化成工業社製、35%水溶液)179.8部とイオン交換水83.1部を使用するほかは同様にして、目的物55部を得た。
<モノマーNo.(1)−6:テトラブチルアンモニウム 1−ヒドロキシ−4−メタクリルアミドブタン−1,1−ジイルビス(ヒドロゲンホスホネート)>
モノマーNo.(1)−1の合成で水酸化ナトリウム17.1部とイオン交換水200部の代わりにテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(東京化成工業社製、40%水溶液)277.2部とイオン交換水33.7部を使用するほかは同様にして、目的物76部を得た。
<ポリマー合成例1;ホスホン酸基の塩を含む共重合体(ポリマー1)の合成>
ガス導入管、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に、アルゴン雰囲気下にて、450部のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を入れ、75℃に加熱した。そこへ、75部のモノマーNo.(1)−1の水溶液558部とシクロヘキシルメタクリレート75部のDMF溶液525部と2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4.5部とα−チオグリセロール9部を混合したDMF溶液464部をそれぞれ12回に分けて30分毎に加えた。すべて加えた後にさらに4時間撹拌を続け、その後冷却し重合を停止した。
析出物をろ別し、ヘキサンで洗浄し、乾燥して共重合体(ポリマー1)136部を得た。
この樹脂(共重合体)1部をイオン交換水120部に溶解させ、チモールフタレインを指示薬として0.1NのKOHメタノール溶液で滴定して酸価を求めたところ、78mgKOH/gであった。モノマーNo.(1)−1の酸価から仕込み比通りに共重合されたとして計算される値77.7mgKOH/gとよく一致した。
この酸価値をもとに水酸化ナトリウムを用いて中和しながら10質量%の樹脂水溶液を作製した。この溶液の粘度を25℃で測定したところ1.84mPa・sであった。
こうして得られた10質量%の樹脂水溶液を顔料分散体作製に使用した。モノマー原料のアレンドロン酸の滴定結果からチモールフタレインの変色時にはホスホン酸の4個のOH基のうち、3個が中和されることがわかることから、中和して得られた樹脂は、4個のOH基のうち、3個がナトリウムイオンで中和されたものである。
<ポリマー合成例2;ホスホン酸基の塩を含む共重合体(ポリマー2)の合成>
表1−1に示されるように、一般式(4)のモノマーとして前記モノマーNo.(1)−2の75部を含む水溶液558部を使用し、一般式(5)のモノマーとしてシクロヘキシルメタクリレート75部を含むDMF溶液525部を使用した他は、合成例1と同様に処理して、共重合体(ポリマー2)の136部を得た。
この共重合体(ポリマー2)の樹脂水溶液を、水酸化ナトリウムの代わりに水酸化カリウムを用いて、中和しながら10質量%の樹脂水溶液を作製した。この溶液の粘度は、1.82mPa・s(25℃)であった。中和して得られた樹脂は、4個のOH基のうち、3個がカリウムイオンで中和されたものである。結果を表1−1に示す。
<ポリマー合成例3(ポリマー3の合成)〜合成例33(ポリマー33の合成)、比較合成例1(ポリマー34の合成)〜比較合成例2(ポリマー35の合成)>
表1−1に示されるような一般式(4)のモノマー(1)の質量%、一般式(5)のモノマー(2)の質量%にそれぞれ変え、表1−2に示される反応条件で合成した他は、ポリマー1の合成の場合と同様にして、表1−1に示される溶液粘度のそれぞれのポリマー3〜ポリマー31を合成し、表1−1に示されるような塩組成(一般式(1)のM)に中和し、又は中和せずそのまま、顔料分散体作製に使用した。
<比較合成例3;2−ヒドロキシエチリデンジホスホン酸中和塩の調製>
2−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸をメタノール中で2等量の水酸化カリウムで中和し、メタノールを留去してそのまま用いた。
なお、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸の塩の10質量%水溶液の25℃における粘度は、1.9mPa・sであった。
Figure 2015212351
Figure 2015212351
表中、3Na、1H等はM+がNaイオンが3個、プロトンが1個を表す。同様に2K,2HならKイオンが2個、プロトンが2個を表す。TEtAはトリエチルアンモニウムイオンを示す。TetraEtAはテトラエチルアンモニウムイオンをTetraBuAはテトラブチルアンモニウムイオンを表す。MAはメタクリレート、Aはアクリレートを表す。
<顔料分散体の調製>
(顔料分散体調製例1)
下記混合物1をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、KDL型、メディア:直径0.1mmのジルコニアボール使用)で周速10m/sで10分間循環分散した後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、顔料分散体1を得た。
「混合物1」
・カーボンブラック(NIPEX150、デグサ社製)・・・・・・・20.0質量部
・ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物(固形分10質量%)・13.0質量部
・純水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・67.0質量部
(顔料分散体調製例2(顔料分散体2の調製))
表2に示されるように、顔料分散体調製例1における混合物を、つぎの組成の混合物2に代えた他は、顔料分散体調製例1と同様に処理して顔料分散体2を得た。
「混合物2」
・カーボンブラック(NIPEX150、デグサ社製)・・・・・・・20.0質量部
・ポリマー1(固形分10質量%)・・・・・・・・・・・・・・・・50.0質量部
・純水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30.0質量部
(顔料分散体調製例3(顔料分散体3の調製)〜顔料分散体調製例40(顔料分散体40の調製))
顔料分散体調製例1における混合物を、表2に示されるような組成のものにそれぞれ代えた他は、顔料分散体調製例1と同様に処理して、顔料分散体3〜顔料分散体40を得た。表2から理解されるように、顔料分散体1はナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物を含むが、顔料分散体2〜顔料分散体40は含んでいない。また顔料分散体40はホスホン酸基の塩を含む共重合体(ポリマー)を含まず、低分子ビスホスホン酸塩を含む。
Figure 2015212351
Figure 2015212351
<インクジェット記録用インクの作製>
[実施例1]
下記材料を混合し、1.5時間攪拌後、孔径1.2μmのメンブレンフィルターでろ過して、インクを得た。
・顔料分散体1(顔料固形分20質量%)・・・・・・・・・・・・・40.0質量部
・1,3−ブタンジオール(水溶性溶剤)・・・・・・・・・・・・・20.0質量部
・グリセリン(水溶性溶剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10.0質量部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(水溶性溶剤)・・・・・・・1.0質量部
・2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオール(水溶性溶剤)・・1.0質量部
・フッ素系界面活性剤(固形分40質量%)・・・・・・・・・・・・・2.0質量部
(DuPont社製、ゾニール FS−300)
・ポリマー14の水溶液(固形分10質量%)・・・・・・・・・・・20.0質量部
・蒸留水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6.0質量部
[実施例2]
実施例1で用いた顔料分散体1に代えて、顔料分散体2(ポリマー1含有のBk分散体)を用い、実施例1で用いたポリマー14の水溶液を添加せず、実施例1における蒸留水6.0質量部に代えて蒸留水26.0質量部を用いた他は、実施例1と同様にして実施例2のインクを得た。
[実施例3]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体3(ポリマー2含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例3のインクを得た。
[実施例4]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体4(ポリマー3含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例4のインクを得た。
[実施例5]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体5(ポリマー4含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例5のインクを得た。
[実施例6]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体6(ポリマー5含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例6のインクを得た。
[実施例7]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体7(ポリマー6含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例7のインクを得た。
[実施例8]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体8(ポリマー7含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例8のインクを得た。
[実施例9]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体9(ポリマー8含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例9のインクを得た。
[実施例10]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体10(ポリマー9含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例10のインクを得た。
[実施例11]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体11(ポリマー10含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例11のインクを得た。
[実施例12]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体12(ポリマー11含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例12のインクを得た。
[実施例13]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体13(ポリマー12含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例13のインクを得た。
[実施例14]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体14(ポリマー13含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例14のインクを得た。
[実施例15]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体15(ポリマー14含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例15のインクを得た。
[実施例16]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体16(ポリマー14含有のCy分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例16のインクを得た。
[実施例17]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体17(ポリマー14含有のMa分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例17のインクを得た。
[実施例18]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体18(ポリマー14含有のYe分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例18のインクを得た。
[実施例19]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体19(ポリマー15含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例19のインクを得た。
[実施例20]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体20(ポリマー16含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例20のインクを得た。
[実施例21]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体21(ポリマー17含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例21のインクを得た。
[実施例22]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体22(ポリマー18含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例22のインクを得た。
[実施例23]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体23(ポリマー19含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例23のインクを得た。
[実施例24]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体24(ポリマー20含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例24のインクを得た。
[実施例25]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体25(ポリマー21含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例25のインクを得た。
[実施例26]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体26(ポリマー22含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例26のインクを得た。
[実施例27]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体27(ポリマー23含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例27のインクを得た。
[実施例28]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体28(ポリマー24含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例28のインクを得た。
[実施例29]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体29(ポリマー25含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例29のインクを得た。
[実施例30]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体30(ポリマー26含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例30のインクを得た。
[実施例31]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体31(ポリマー27含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例31のインクを得た。
[実施例32]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体32(ポリマー28含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例32のインクを得た。
[実施例33]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体33(ポリマー29含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例33のインクを得た。
[実施例34]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体34(ポリマー30含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例34のインクを得た。
[実施例35]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体35(ポリマー31含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例35のインクを得た。
[実施例36]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体36(ポリマー32含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例36のインクを得た。
[実施例37]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体37(ポリマー33含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして実施例37のインクを得た。
[比較例1]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体38(ポリマー34含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして比較例1のインクを得た。
[比較例2]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体39(ポリマー35含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして比較例2のインクを得た。
[比較例3]
実施例2で用いた顔料分散体2に代えて、顔料分散体40(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ビスホスホン酸の塩含有のBk分散体)を用いた他は、実施例2と同様にして比較例3のインクを得た。
これら結果は表3に纏められる。
上記記載中、Bkは黒、Cyはシアン、Maはマゼンタ、Yeはイエローを示す。
Figure 2015212351
Figure 2015212351
[評価結果]
次に、以下に示す評価方法にて、実施例1〜37、比較例1〜3の各インクジェット用インクを評価した。結果を下記表4に示す。
<画像濃度>
23℃、50%RH環境下で、インクジェットプリンター(株式会社リコー製、IPSiO GX5000)に作製したインクを充填し、Microsoft Word2000(Microsoft社製)にて作製した64point文字「JIS X0208(1997),2223」の一般記号「■」の記載のあるチャートを、普通紙1(XEROX4200、XEROX社製)、及び普通紙2(MyPaper、株式会社リコー製)に打ち出し、印字面の「JIS X0208(1997),2223」の一般記号「■」部をX−Rite938(エックスライト社製)にて測色し、下記評価基準により判定した。
なお、印字モードはプリンタ添付のドライバで普通紙のユーザー設定より「普通紙−標準はやい」モードを「色補正なし」に改変したモードを使用した。
〔評価基準〕
(ブラック)
A:1.25以上
B:1.20以上1.25未満
C:1.10以上1.20未満
D:1.10未満
E:顔料がゲル化してインク中に分散できず、印字できない
(イエロー)
A:0.80以上
B:0.75以上0.80未満
C:0.70以上0.75未満
D:0.70未満
E:顔料がゲル化してインク中に分散できず、印字できない
(マゼンタ)
A:0.95以上
B:0.85以上0.95未満
C:0.75以上0.85未満
D:0.75未満
E:顔料がゲル化してインク中に分散できず、印字できない
(シアン)
A:1.05以上
B:0.95以上1.05未満
C:0.85以上0.95未満
D:0.85未満
E:顔料がゲル化してインク中に分散できず、印字できない
<顔料分散の保存安定性>
各顔料分散体をポリエチレン容器に入れ、密封し、60℃で1週間保存し、保存前の粘度に対する保存後の粘度の変化率を下記式から求め、下記基準により評価した。
粘度の変化率(%)=(保存後の顔料分散体の粘度/保存前の顔料分散体の粘度)×100
前記粘度の測定には、粘度計(RE500L、東機産業株式会社製)を使用し、サンプルの粘度に合わせて50回転もしくは100回転に調整して測定し、下記の基準をもとに評価した。
[評価基準]
A:粘度の変化率が±5%以内
B:粘度の変化率が±5%を超え±8%以内
C:粘度の変化率が±8%を超え±10%以内
D:粘度の変化率が±10%を超え±30%以内
E:粘度の変化率が±30%を超える(ゲル化して評価不能)
<インクの保存安定性>
各インクをインクカートリッジに充填して60℃で1週間保存し、保存前の粘度に対する保存後の粘度の変化率を下記式から求め、下記基準により評価した。
粘度の変化率(%)=(保存後のインクの粘度/保存前のインクの粘度)×100
前記粘度の測定には、粘度計(RE500L、東機産業株式会社製)を使用し、サンプルの粘度に合わせて50回転もしくは100回転に調整して測定し、下記の基準をもとに評価した。
[評価基準]
A:粘度の変化率が±5%以内
B:粘度の変化率が±5%を超え±8%以内
C:粘度の変化率が±8%を超え±10%以内
D:粘度の変化率が±10%を超え±30%以内
E:粘度の変化率が±30%を超える(ゲル化して評価不能)
Figure 2015212351
表4の結果から、実施例のインクは、比較例のインクに比べて、一般的な普通紙においても高い画像濃度が得られ、水溶性有機溶剤の含有量が20質量%を超えてもインクの保存安定性が優れることがわかった。
101 装置本体
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インク収容容器装填部
105 操作部
111 上カバー
112 前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 用紙載置部
142 用紙
143 給紙コロ
144 分離パッド
145 ガイド
151 搬送ベルト
152 カウンタローラ
153 搬送ガイド
154 押さえ部材
155 先端加圧コロ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 デンションローラ
161 ガイド部材
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
182 手差し給紙部
200 インク収容容器
241 インク収容部
242 インク注入口
243 インク排出口
244 ケース(外装)
特表2009−513802号公報 特開2012−51357号公報 特開2004−123904号公報

Claims (9)

  1. 少なくとも水、水溶性溶剤、顔料、及びジホスホン酸基の塩を含む共重合体を有するインクジェット記録用インクであって、前記ジホスホン酸基の塩を含む共重合体が下記一般式(1)で表される構造単位(1)と、一般式(2)で表される構造単位(2)を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録用インク。
    Figure 2015212351
    (一般式(1)中のRは水素原子またはメチル基を表し、M+は、アルカリ金属イオン又は有機アンモニウムイオン又はプロトンを表す。但し、アルカリ金属とプロトン及び有機アンモニウムイオンとプロトンは混在しても良く、前記共重合体におけるM+の半数以上がアルカリ金属イオン又は有機アンモニウムイオンである。また、一般式(1)中のXは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)
    Figure 2015212351
    (一般式(2)中のRは、水素原子またはメチル基を表し、Zは、炭素数6〜22の炭化水素基を表す。)
  2. 少なくとも水、水溶性溶剤、顔料、及びジホスホン酸基の塩を含む共重合体を有するインクジェット記録用インクにおいて、前記ジホスホン酸基の塩を含む共重合体が少なくとも次の一般式(4)で表されるモノマー由来の部位と、一般式(5)で表されるモノマー由来の部位とを含むラジカル共重合体であることを特徴とするインクジェット記録用インク。
    Figure 2015212351
    (一般式(4)中のRは水素原子またはメチル基を表し、M+は、アルカリ金属イオン又は有機アンモニウムイオン又はプロトンを表す。また、一般式(4)中のXは炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)
    Figure 2015212351
    (一般式(5)中のRは、水素原子またはメチル基を表し、Zは、炭素数6〜22の炭化水素基を表す。)
  3. 前記ジホスホン酸基の塩を含む共重合体における一般式(2)の構造単位(2)でZが、ベンジル基またはフェネチル基または炭素数12〜22のアルキル基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インク。
  4. 前記ジホスホン酸基の塩を含む共重合体における一般式(1)の構造単位(1)の含有率が30質量%〜70質量%であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
  5. 前記ジホスホン酸基の塩を含む共重合体における一般式(1)の構造単位(1)の含有率が40質量%〜60質量%であることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録用インク。
  6. 前記ジホスホン酸基の塩を含む共重合体の水溶液粘度(濃度10質量%、25℃)が1.5〜4.0mPa・sであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
  7. 前記ジホスホン酸基の塩を含む共重合体における一般式(1)の構造単位(1)又は一般式(4)のモノマー由来の部位でM+が、炭素数1から5のアルキル基からなるテトラアルキルアンモニウムイオンであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のインクジェット記録用インク。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載のインクジェット記録用インクを容器中に収容してなることを特徴とするインクカートリッジ。
  9. 請求項1乃至7のいずれかに記載のインクジェット記録用インクに刺激を印加し、前記インクジェット記録用インクを飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置。
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