JP2015210448A - 振動素子、光走査装置、画像形成装置、画像投影装置および光学パターン読み取り装置 - Google Patents
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第1電極が形成された第1面と第2電極および第3電極が形成された第2面とを有する圧電材と、
前記第2電極に結合した第1の導電性部材と、
前記第1の導電性部材に結合した導電性の第1の捻り梁と、
前記第3電極に結合した第2の導電性部材と、
前記第2の導電性部材に結合した導電性の第2の捻り梁と、
前記圧電材とともに前記第1の導電性部材および前記第2の導電性部材を挟持するように当該圧電材に対して固定され、当該圧電材の変形に伴って曲率が変化するミラー部材と
を有することを特徴とする振動素子を提供する。
図1Aは光走査装置1を例示している。図1Bは振動素子11の構成を例示している。図1Cは振動部21の断面を例示している。振動素子11は、振動部21とそれを揺動(回転振動)可能に支持する導電性を有する第1の捻り梁101と第2の捻り梁102とを有している。振動部21は、導電性部材、圧電材、ミラー部材および磁石を有している。この例の振動部21は平板状の第1の導電性部材201、平板状の第2の導電性部材202、それらによって挟持される圧電材401、第1の導電性部材201および第2の導電性部材202に取り付けられたミラー部材301、圧電材401に取り付けられた磁石601を有している。第1の捻り梁101および第2の捻り梁102の各端部(基端部)は不図示の筐体に固定される。第1の捻り梁101および第2の捻り梁102の他方の各端部(先端部)はそれぞれ第1の導電性部材201と第2の導電性部材202とに結合、接合、接続または固定されている。第1の捻り梁101および第2の捻り梁102の捻り変形によって振動部21のミラー部材301の反射方向が変化し、光走査が行われる。振動部21の近傍には磁界発生部700が配置され、駆動回路801からの駆動信号に基づいて発生した交番磁界により磁石601に回転トルクが生じ、振動部21に回転振動が励起される。第1の捻り梁101および第2の捻り梁102は第1の導電性部材201および第2の導電性部材202にそれぞれ配線等を介さずに電気的に接続されている。圧電材401の第1面には第1電極501が形成されている。圧電材401の第2面には第2電極502および第3電極503が形成されている。第2電極502に対して第1の導電性部材201が結合している。第3電極503に対して第2の導電性部材202が結合している。
図1Aおよび図1Aには示した振動素子11では、第1の捻り梁101と第2の捻り梁102とがそれぞれ圧電材401およびミラー部材301のそれぞれ異なる側に存在することで圧電材401およびミラー部材301を両持ち支持している。つまり、第1の捻り梁101と第2の捻り梁102とがそれぞれ振動素子11の回転軸に沿ってそれぞれ異なる方向に延び、圧電材401およびミラー部材を両持ち支持している。また、第2電極502および第3電極503は振動素子11の回転軸に沿って並んで配置されている。つまり、第2電極502および第3電極503は、1つの電極を回転軸と直交する方向に沿って分割されている。なお、第1の導電性部材201と第2の導電性部材202についても第2電極502および第3電極503と同様の位置関係が採用されている。しかし、このような構成は一例にしかすぎない。図2ないし図7を用いて振動素子11の他の実施形態について説明する。
捻り梁に用いられる材料としては、金属材料の他、カーボンを混合した樹脂材料など導電性材料であれば特に限定されるものではないが、繰り返し耐久性や耐衝撃性の観点から、SUS301やSUS631等のステンレスや銅合金、Co(コバルト)−Ni(ニッケル)基合金などの金属材料が採用されてもよい。その中でもSPRON(登録商標)510に代表されるCo−Ni−Cr(クロム)−Mo(モリブデン)合金などの時効硬化型Co−Ni基合金は特に疲労限が高く、繰り返し応力が加わる光走査装置には都合がよい。また、Co−Ni基合金は耐熱性や耐食性も高いため、通電やそれによる発熱が材料特性に影響を与えることは小さく、その点においても捻り梁に通電を行う光走査装置には適切であろう。さらに、Co−Ni基合金は内部摩擦が小さいという特徴もあり、振動素子11〜16を共振させて回転振動させる際のQ値が高く、駆動に要する消費電力を低減できる利点もある。Co−Ni−Cr−Mo合金を用いる場合には、加工率50%以上、より好ましくは90%以上の圧延加工、または、線引き加工により加工硬化処理を施した後、形状加工を行い、500〜600℃程度の温度で時効硬化処理が施されてもよい。最終的なヤング率や硬度は、加工率と時効熱処理の温度および時間で調整も可能である。形状加工には、エッチング加工やプレス加工、レーザー加工、ワイヤー放電加工等を用いることができる。加工硬化処理や形状加工において、その仕上がり具合によっては表面付近の内部摩擦が増加し、振動素子のQ値が低下してしまうことがある。そのような場合には、時効硬化処理前にエッチング処理を行うのが良く、目標寸法に対して大きめに形状加工を施したのち、硝酸系のエッチャントなどを用いて仕上げの形状加工を施すのが好ましい。また、加工硬化処理や形状加工時に生じた微少なクラックや表面の荒れがある場合にも、振動素子のQ値低下や耐久性低下の問題が生じる。そのような場合には、時効硬化処理前に電界研磨処理を行うのが良く、リン酸系やエチレングリコール系の液を用いた電界研磨処理によって表面を平滑化するのが好ましい。
次に、図7〜図11を参照して光走査装置の動作を説明する。
図12に光走査装置の実施例である画像形成装置7を示す。振動素子10は上述した振動素子11〜16のいずれか1つであり、振動部周辺の構成は省略してある。光源971は、画像データに応じて制御回路970が出力した駆動信号に基づき強度変調した光を射出する。射出された光は射出光学系972を通って振動素子10のミラー部材301で反射され、像担持体の一例である感光体975上を走査する。走査された光は、BDセンサ973、974で検出される。制御回路970は、BDセンサ973、974が出力する検出信号を基に走査角を制御するための制御信号を生成して出力する。制御信号は振動素子10の駆動回路870の駆動回路801にフィードバックされる。これにより駆動回路801は振動素子10の最大走査角を安定的に適切な値に維持する。また、駆動回路870に含まれている駆動回路802は検出信号に基づいてミラー曲率を制御するための制御信号を出力する。これにより、感光体975上でのビームスポット径がほぼ一定の大きさに維持される。
図13(a)に光走査装置の実施例である画像投影装置8を示す。振動素子10は上記の振動素子11〜16のいずれか1つである。RGB3原色を含む光源装置981は、画像データに基づいて制御回路980から出力された信号にしたがって強度変調した光を射出する。振動素子10および垂直走査装置982により光は2次元走査され、スクリーン983に映像として投射される。垂直走査装置982の走査速度は振動素子10よりも遅い。垂直走査装置982には、たとえば、非共振駆動で高精度な位置決めができるガルバノミラーが用いられる。制御回路980から出力される制御信号に基づいて駆動回路880に含まれる駆動回路801は振動素子10の走査角を制御する。また、垂直走査装置982も同様に、制御回路980からの出力に基づいて走査角が制御される。さらに、駆動回路880の駆動回路802がミラー曲率制御信号(駆動信号)を出力することで、スクリーン983上でのビームスポット径がほぼ一定の大きさに維持される。また、制御回路980は、入力部984を通じて画像の台形補正が設定されると、垂直走査装置982の駆動信号の変化に応じてミラー曲率制御信号を変化させる。これにより、図13(b)のように斜め投影を行う際にも、スクリーン上部の走査では焦点距離を長く、下部では焦点距離を短くしてスクリーン上のビームスポット径をほぼ一定の大きさに維持することができる。
図14に光走査装置の実施例である光学パターン読み取り装置9を示す。振動素子10は振動素子11〜16のいずれか1つである。光源991から射出された光は射出光学系992を通って振動素子10のミラー部材301で反射され、光学パターン上を走査する。光学パターンに応じて強度が変化する反射光は、振動素子10で再び反射された後に検出光学系994によって集光され、光センサ995で検出される。デコーダ996は、光センサ995が出力する検出信号を2値化する。これにより光学パターンの情報が読み取られる。駆動回路890は制御回路990からの信号に基づいて振動素子10の回転振動の駆動信号およびミラー曲率制御信号を出力する。これにより、光学パターンのある投射面上でビームスポット径がほぼ一定の大きさに維持される。
本実施例によれば、圧電材401は第1電極501が形成された第1面と第2電極502および第3電極503が形成された第2面とを有する。第1の導電性部材201は第2電極502に結合し、導電性の第1の捻り梁101が第1の導電性部材201に結合している。第2の導電性部材202は第3電極503に結合し、導電性の第2の捻り梁102が第2の導電性部材202に結合している。ミラー部材301は圧電材401とともに第1の導電性部材201および第2の導電性部材202を挟持するように当該圧電材401に対して固定され、当該圧電材401の変形に伴って曲率が変化する。このように第1の導電性部材201、第2の導電性部材202に加え、第1の捻り梁101および第2の導電性部材202が導電性材料により構成されているため、配線を用いなくても電力を圧電材401に供給できる。よって、断線などの不良が生じずにくくなり、安定した回転振動(揺動)を実現できる。なお、走査ミラーと可変焦点ミラーが一体化されるため、光走査装置の小型化も期待できる。さらに、本実施例では、圧電材401の一方の面のみにミラー部材301、第1の導電性部材201および第2の導電性部材202などを配置できる。そのため、理想的なユニモルフ構造が実現され、一様な曲率分布が得られる。これにより、反射ビームの歪みを抑えることができる。
図14を用いて説明したように、光走査装置を備えたことを特徴とする光学パターン読み取り装置9が提供されてもよい。振動素子11〜16のいずれかを用いた光学パターン読み取り装置9は、断線や異常振動などを生じずに安定した光走査およびミラー曲率制御を行うことができる。このため、最大走査角の適切化やミラー曲率制御信号の適切化により、等速性やビームスポット径の安定化の効果を発揮できる。その結果、高精度でかつ信頼性の高い読み取りが可能となる。
Claims (26)
- 第1電極が形成された第1面と第2電極および第3電極が形成された第2面とを有する圧電材と、
前記第2電極に結合した第1の導電性部材と、
前記第1の導電性部材に結合した導電性の第1の捻り梁と、
前記第3電極に結合した第2の導電性部材と、
前記第2の導電性部材に結合した導電性の第2の捻り梁と、
前記圧電材とともに前記第1の導電性部材および前記第2の導電性部材を挟持するように当該圧電材に対して固定され、当該圧電材の変形に伴って曲率が変化するミラー部材と
を有することを特徴とする振動素子。 - 前記第1の捻り梁と前記第2の捻り梁とがそれぞれ前記振動素子の回転軸に沿ってそれぞれ異なる方向に延び、前記圧電材および前記ミラー部材を両持ち支持していることを特徴とする請求項1に記載の振動素子。
- 前記第2電極および前記第3電極は前記振動素子の回転軸に沿って並んで配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の振動素子。
- 前記第2電極および前記第3電極は前記振動素子の回転軸と直交する方向に沿って並んで配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の振動素子。
- 前記第1の捻り梁と前記第2の捻り梁とが平行に配置され、前記圧電材および前記ミラー部材を片持ち支持していることを特徴とする請求項1に記載の振動素子。
- 前記第1の捻り梁と前記第2の捻り梁との間には空間が存在することを特徴とする請求項5に記載の振動素子。
- 平行に配置された第3の捻り梁と第4の捻り梁とをさらに有し、
前記第3の捻り梁は前記第1の導電性部材に結合しており、
前記第4の捻り梁は前記第2の導電性部材に結合していることを特徴とする請求項5または6に記載の振動素子。 - 前記第1の捻り梁は前記第1の導電性部材との結合部の近傍に曲げ加工が施されており、前記第1の捻り梁の長手方向の中心線と前記振動素子の回動軸とが概ね一致しており、
前記第2の捻り梁は前記第2の導電性部材との結合部の近傍に曲げ加工が施されており、前記第2の捻り梁の長手方向の中心線と前記振動素子の回動軸とが概ね一致していることを特徴とする請求項2または4に記載の振動素子。 - 前記第1の導電性部材を保持する導電性の第1の保持部を介して前記第1の捻り梁が前記第1の導電性部材に結合していることを特徴とする請求項2または3に記載の振動素子。
- 前記第1の保持部は、前記振動素子の回動軸に対して対称となる2箇所において前記第1の導電性部材を保持していることを特徴とする請求項9に記載の振動素子。
- 前記第1の保持部を挟むように2つの磁石が固定されていることを特徴とする請求項9または10に記載の振動素子。
- 前記第2の導電性部材を保持する導電性の第2の保持部を介して前記第2の捻り梁が前記第2の導電性部材に結合していることを特徴とする請求項2、3、9、10または11に記載の振動素子。
- 前記第2の保持部は、前記振動素子の回動軸に対して対称となる2箇所において前記第2の導電性部材を保持していることを特徴とする請求項12に記載の振動素子。
- 前記第2の保持部を挟むように2つの磁石が固定されていることを特徴とする請求項12または13に記載の振動素子。
- 前記第1の導電性部材は前記ミラー部材に形成された溝に収納されていることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記載の振動素子。
- 前記第2の導電性部材は前記ミラー部材に形成された溝に収納されていることを特徴とする請求項1ないし15のいずれか1項に記載の振動素子。
- 前記第1の導電性部材は厚みが一定の平板であることを特徴とする請求項1ないし16のいずれか1項に記載の振動素子。
- 前記第2の導電性部材は厚みが一定の平板であることを特徴とする請求項1ないし17のいずれか1項に記載の振動素子。
- 前記第1の導電性部材は複数のフレームを有していることを特徴とする請求項1ないし16のいずれか1項に記載の振動素子。
- 前記第2の導電性部材は複数のフレームを有していることを特徴とする請求項1ないし17および19のいずれか1項に記載の振動素子。
- 請求項1ない20のいずれか1項に記載された振動素子と、
前記振動素子の第1の捻り梁および第2の捻り梁を介して前記圧電材に駆動信号を供給する駆動回路と、
前記振動素子のミラー部を揺動させる磁界を発生する磁界発生部と
を有し、光源からの光を前記ミラー部により走査することを特徴とする光走査装置。 - 前記駆動回路は、前記ミラー部の回転振動周波数の2倍の周波数の信号と4倍の周波数の信号とを重畳して前記駆動信号を生成することを特徴とする請求項21に記載の光走査装置。
- 前記ミラー部の回転角は±20度以上であることを特徴とする請求項21または22に記載の光走査装置。
- 請求項21ないし23のいずれか1項に記載の光走査装置を備え、当該光走査装置によって走査された光によってスクリーンに画像を投影することを特徴とする画像投影装置。
- 請求項21ないし23のいずれか1項に記載の光走査装置と像担持体とを備え、当該光走査装置によって走査された光によって当該像担持体に画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項21ないし23のいずれか1項に記載の光走査装置を備えたことを特徴とする光学パターン読み取り装置。
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