JP2015210450A - 振動素子、光走査装置、画像形成装置、画像投影装置および光学パターン読み取り装置 - Google Patents
振動素子、光走査装置、画像形成装置、画像投影装置および光学パターン読み取り装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】ミラーの変形が捻り梁に与える影響を緩和し、異常振動を発生しにくくした振動素子を提供する。【解決手段】ミラー部材301を圧電材401の中央部に配置し、保持部材201を圧電材401の周辺部で保持する振動素子11〜14が提供される。振動素子11〜14では、ミラー部材301の変形がミラー部材301を支持している第1の捻り梁101等に影響しにくくなるため、第1の捻り梁101等に撓み変形が生じにくくなる。【選択図】図1
Description
本発明は、光の走査などに用いられる振動素子およびそれを用いた光走査装置、画像形成装置、画像投影装置および光学パターン読み取り装置に関する。
近年、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)タイプの振動素子が実用化され、レーザービームプリンターやレーザープロジェクターなどに応用されている。振動素子は、ミラーをトーションバー(捻り梁)で支持するように構成された振動子を有しており、ミラーの慣性モーメントと捻り梁のばね定数で決まる共振周波数の近傍の駆動周波数で駆動される。このような振動素子を用いた光走査装置では、レーザー光のビームウエストが走査角に依らずに所定の投射面上に位置するように、走査角に応じて焦点距離を補正するアークサインレンズなどの光学系が必要となる。
焦点距離の補正は可変焦点ミラーによっても実現できる。特許文献1によれば、光走査装置の光学系に可変焦点ミラーを配置してビームウエストの走査位置を変更できる光学的情報読み取り装置が提案されている。
アークサインレンズなどの光学系に代えて可変焦点ミラーを配置すれば、焦点距離の補正に係わる光学部品を簡素化できるであろう。しかし、単純に可変焦点ミラーを配置したのでは光走査装置が大型化してしまう。
光走査装置の小型化のためには走査ミラーと可変焦点ミラーを一体化することが考えられる。つまり、振動素子の捻り梁で支持されたミラー自体を焦点可変ミラーとするのである。しかしこれには次のような課題がある。
捻り梁で支持されたミラーを焦点可変ミラーとするには、ミラーを変形させるために圧電素子などの駆動源がミラー部材の背面や周囲に配置される。この構成では、ミラーの変形がミラーを支持している捻り梁やミラーを保持している保持部に影響し、捻り梁等に撓み変形が生じうる。ミラーが大きな曲率変化を必要とする場合にこの影響が大きくなりやすい。その結果、ミラーの回転振動に撓み振動が加わって、異常振動が生じる。異常振動は光の走査速度の変動や焦点の副走査方向への変動などを招く。その結果、たとえ可変ミラーの曲率を圧電素子により精密に制御したとしても、走査光のビームウエストを投射面上の所定の位置に正確に形成することが困難となる。
そこで、本発明は、不必要な撓み変形を低減した振動素子を提供することを目的とする。
本発明は、たとえば、
第1電極が形成された第1面、および第2電極が形成された第2面を有する圧電材と、
前記圧電材を保持する保持部材と、
前記圧電材に対して固定され、当該圧電材の変形に伴って曲率が変化するミラー部材と
を有し、
前記ミラー部材は、前記圧電材の中央部に配置され、
前記保持部材は、前記圧電材の周辺部を保持することを特徴とする振動素子を提供する。
第1電極が形成された第1面、および第2電極が形成された第2面を有する圧電材と、
前記圧電材を保持する保持部材と、
前記圧電材に対して固定され、当該圧電材の変形に伴って曲率が変化するミラー部材と
を有し、
前記ミラー部材は、前記圧電材の中央部に配置され、
前記保持部材は、前記圧電材の周辺部を保持することを特徴とする振動素子を提供する。
本発明によれば、不必要な撓み変形を低減した振動素子が提供される。
[光走査装置]
図1(a)は振動素子11を例示している。図1(b)は振動素子11の構成を例示している。振動素子11は、振動部21とそれを揺動(回転振動)可能に支持する導電性を有する第1の捻り梁101と第2の捻り梁102とを有している。振動部21は、圧電材401、ミラー部材301および第1の磁石601、第2の磁石602を有している。圧電材401は第1電極501が形成された第1面と第2電極502が形成された第2面とを有している。保持部材201は、圧電材401の第1面側から圧電材401を保持している。この例では、ミラー部材301と保持部材201はそれぞれ圧電材401における異なる面に取り付けられている。つまり、圧電材401の第2面側にミラー部材301が取り付けられている。
図1(a)は振動素子11を例示している。図1(b)は振動素子11の構成を例示している。振動素子11は、振動部21とそれを揺動(回転振動)可能に支持する導電性を有する第1の捻り梁101と第2の捻り梁102とを有している。振動部21は、圧電材401、ミラー部材301および第1の磁石601、第2の磁石602を有している。圧電材401は第1電極501が形成された第1面と第2電極502が形成された第2面とを有している。保持部材201は、圧電材401の第1面側から圧電材401を保持している。この例では、ミラー部材301と保持部材201はそれぞれ圧電材401における異なる面に取り付けられている。つまり、圧電材401の第2面側にミラー部材301が取り付けられている。
図1(b)が示すように、保持部材201は、中央部に空間を有する枠体である。枠体の形状は圧電材401の周辺部の形状に沿った形状であれば十分である。この例では、圧電材401の形状が円形であるため、枠体は環状となっている。保持部材201と第1の捻り梁101との結合部付近と、保持部材201と第2の捻り梁102との結合部付近とにそれぞれ磁石保持部が設けられており、そこに第1の磁石601、第2の磁石602が取り付けられている。
第1の捻り梁101および第2の捻り梁102の各端部(基端部)は不図示の筐体に固定される。第1の捻り梁101および第2の捻り梁102の他方の各端部(先端部)はそれぞれ保持部材201に結合、接合、接続または固定されている。第1の捻り梁101および第2の捻り梁102の捻り変形によって振動部21のミラー部材301の反射方向が変化し、光走査が行われる。また、ミラー部材301のミラー面の曲率は、圧電材401の変形に伴って変化する。
図2(a)が示すように、光走査装置1の振動部21の近傍には磁界発生部700が配置され、駆動回路801からの駆動信号に基づいて発生した交番磁界により第1の磁石601および第2の磁石602に回転トルクが生じ、振動部21に回転振動が励起される。
図1(b)や図2(a)が示すように、圧電材401の第1面には第1の電極501が形成されている。さらに、第1の捻り梁101または第2の捻り梁102は保持部材201を介して第1電極501と導通可能に接続されており、配線の代わりに使用されてもよい。保持部材201のうち少なくとも周辺部は導電性を有している。圧電材401の第2面には第2の電極502が形成されている。なお、第2電極502に対しては配線202を介して駆動回路802から駆動信号が印加される。
図2(a)が示すように、第1の捻り梁101または第2の捻り梁102は駆動信号を供給する駆動回路802に接続されている。第1の捻り梁101または第2の捻り梁102は駆動回路802から供給される駆動信号を、保持部材201を介して第1の電極501に印加する。これにより圧電材401の第1の電極501と第2の電極502の間に電界Eが生じ、圧電材401が電界Eに応じて伸縮してミラー部材301に変形を生じさせる。このように圧電材401とミラー部材301を有する振動部21は曲率可変ミラーとして機能する。駆動回路802からの駆動信号の大きさによってミラー部材301の曲率が制御され、走査光の焦点位置が補正される。これにより、ビームウエストの位置が照射対象位置に合致するようになる。
図2(a)が示すように、圧電材401は、全体が同じ方向の分極Pを有している。圧電材401は、第1の電極501と第2の電極502に加えられた電圧により発生する電界Eにより電極面と平行な方向に伸縮する。
図2(b)は圧電材401が伸びたときの模式図である。圧電材401の第2面側の中央部にはミラー部材301が配置されている。この中央部は、ミラー部材301と圧電材401がユニモルフ構造をしているため、1/R1の曲率を有する変形を生じる。図2(b)ではミラー部材301と圧電材401の各中央部が右側に凸状に変形している。一方で、圧電材401の周辺部には保持部材201が配置されている。この周辺部は、保持部材201と圧電材401がユニモルフ構造をしているため、ミラー部材301とは逆方向(図2(b)の左側)に凸状に変形している。この部分の曲率は1/R2である。これにより、ミラー部材301の変形が大きくなっても、その影響が捻り梁や保持部分に及び難くなり、不必要な撓み変形による異常振動を抑制できる。
[振動素子]
図1Aおよび図1Aには示した振動素子11では、ミラー部材301と保持部材201はそれぞれ圧電材401における異なる面に取り付けられていた。しかし、ミラー部材301と保持部材201はそれぞれ圧電材401における同一の面に取り付けられていてもよい。
図1Aおよび図1Aには示した振動素子11では、ミラー部材301と保持部材201はそれぞれ圧電材401における異なる面に取り付けられていた。しかし、ミラー部材301と保持部材201はそれぞれ圧電材401における同一の面に取り付けられていてもよい。
図3(a)および図3(b)はミラー部材301と保持部材201が圧電材401の第2面側に取り付けられた振動素子12を示している。さらに、第2電極502が、圧電材401の周辺部と中央部との境界付近に沿って第3電極503と第4電極504とに分割されている。第3電極503の形状は圧電材401の周辺部の形状や保持部材201の形状に類似した形状であり、この例では環状である。第4電極504の形状は圧電材401の中央部の形状やミラー部材301の形状に類似した形状であり、この例では円形である。もちろんこれらの形状は一例に過ぎない。ミラー部材301は、圧電材401の中央部(第4電極の表面)に取り付けられている。第3電極503と第4電極504との間は絶縁されているものとする。駆動回路802は、第1の捻り梁101および保持部材201を介して第3の電極503に接続され、配線202を介して第4の電極504に接続されている。保持部材201は導電性を有しているものとする。
図4が示すように、圧電材401の分極Pの方向は、圧電材401の全体において同じ方向となっている。図4が示すように、第3電極503と第1電極501とが第1コンデンサを形成しており、第4電極504と第1電極501とが第2コンデンサを形成している。また、図4においては、第1コンデンサと第2コンデンサとが直列に接続されている。よって、駆動回路802が電圧を印加することで第3電極503と第1電極501の間に発生する電界Eの方向と第1電極501と第4電極504の間に発生する電界Eの方向とは互いに逆方向となる。このため、圧電材401は中央部で伸びれば周辺部は縮むように変形する。つまり、振動素子12も、図2(b)に例示したような変形を生じる。
振動素子12では、重量のあるミラー部材301を振動素子12の回転軸の近くに配置できるため、振動素子11と比較して、より安定して光走査を実現できる。
図5は、振動素子13の断面図である。振動素子13は振動素子12において分極方向を変更したものである。つまり、振動素子13では、圧電材401の分極方向Pが中央部と周辺部とで互いに逆方向となっている。このような分極は、圧電材401の製造時において、分割して形成された第3電極503と第4電極504の間に圧電材401の抗電界以上の電界を印加することで実現される。第3電極503と第4電極504を配線203等により接続し表面電極とし、裏面電極である第1電極501との間に電圧を印加すれば、圧電材401の中央部と周辺部とで同一方向の電界Eが発生する。これにより、圧電材401は中央部で伸び、周辺部は縮む。つまり、振動素子13も、図2(b)に例示したような変形を生じる。なお、駆動回路802は第1の捻り梁501および保持部材201を介して第3電極503と第4電極504に電気的に接続されている。同様に駆動回路802は、配線202を介して第1電極501と接続されている。配線203に代えて平板の導電性部材が採用されてもよい。
図6に示した振動素子14は、振動素子11または振動素子13を変形したものである。振動素子14においては第1電極501が第3電極503と第4電極504とに分割されている。振動素子14の圧電材401の分極については振動素子13について説明したとおりである。ミラー部材301、圧電材401および保持部材201の積層関係は振動素子11のそれと同じである。つまり、ミラー部材301は圧電材401の第2面側に取り付けられている。圧電材401の第1面側に保持部材201が取り付けられている。第3電極503と第4電極504の各形状と配置位置は振動素子13のそれと同じである。
振動素子14について駆動回路802に対する電極の接続方法は振動素子12の接続方法と同一である。第3電極503と第4電極504との間は絶縁されているものとする。駆動回路802は、第1の捻り梁101および保持部材201を介して第3の電極503に接続され、配線202を介して第4の電極504に接続されている。保持部材201は導電性を有しているものとする。
図6が示すように駆動回路802が駆動信号を印加すると、圧電材401の中央部と周辺部とではそれぞれ反対方向の電界Eが発生する。圧電材401の中央部と周辺部とではそれぞれ反対方向に分極している。これにより、圧電材401は中央部で伸び、周辺部は縮む。つまり、振動素子14も、図2(b)に例示したような変形を生じる。
[材料など]
捻り梁に用いられる材料としては、金属材料の他、カーボンを混合した樹脂材料など導電性材料であれば特に限定されるものではないが、繰り返し耐久性や耐衝撃性の観点から、SUS301やSUS631等のステンレスや銅合金、Co(コバルト)−Ni(ニッケル)基合金などの金属材料が採用されてもよい。その中でもSPRON(登録商標)510に代表されるCo−Ni−Cr(クロム)−Mo(モリブデン)合金などの時効硬化型Co−Ni基合金は特に疲労限が高く、繰り返し応力が加わる光走査装置には都合がよい。また、Co−Ni基合金は耐熱性や耐食性も高いため、通電やそれによる発熱が材料特性に影響を与えることは小さく、その点においても捻り梁に通電を行う光走査装置には適切であろう。さらに、Co−Ni基合金は内部摩擦が小さいという特徴もあり、振動素子11〜14を共振させて回転振動させる際のQ値が高く、駆動に要する消費電力を低減できる利点もある。Co−Ni−Cr−Mo合金を用いる場合には、加工率50%以上、より好ましくは90%以上の圧延加工、または、線引き加工により加工硬化処理を施した後、形状加工を行い、500〜600℃程度の温度で時効硬化処理が施されてもよい。最終的なヤング率や硬度は、加工率と時効熱処理の温度および時間で調整も可能である。形状加工には、エッチング加工やプレス加工、レーザー加工、ワイヤー放電加工等を用いることができる。加工硬化処理や形状加工において、その仕上がり具合によっては表面付近の内部摩擦が増加し、振動素子のQ値が低下してしまうことがある。そのような場合には、時効硬化処理前にエッチング処理を行うのが良く、目標寸法に対して大きめに形状加工を施したのち、硝酸系のエッチャントなどを用いて仕上げの形状加工を施すのが好ましい。また、加工硬化処理や形状加工時に生じた微少なクラックや表面の荒れがある場合にも、振動素子のQ値低下や耐久性低下の問題が生じる。そのような場合には、時効硬化処理前に電界研磨処理を行うのが良く、リン酸系やエチレングリコール系の液を用いた電界研磨処理によって表面を平滑化するのが好ましい。
捻り梁に用いられる材料としては、金属材料の他、カーボンを混合した樹脂材料など導電性材料であれば特に限定されるものではないが、繰り返し耐久性や耐衝撃性の観点から、SUS301やSUS631等のステンレスや銅合金、Co(コバルト)−Ni(ニッケル)基合金などの金属材料が採用されてもよい。その中でもSPRON(登録商標)510に代表されるCo−Ni−Cr(クロム)−Mo(モリブデン)合金などの時効硬化型Co−Ni基合金は特に疲労限が高く、繰り返し応力が加わる光走査装置には都合がよい。また、Co−Ni基合金は耐熱性や耐食性も高いため、通電やそれによる発熱が材料特性に影響を与えることは小さく、その点においても捻り梁に通電を行う光走査装置には適切であろう。さらに、Co−Ni基合金は内部摩擦が小さいという特徴もあり、振動素子11〜14を共振させて回転振動させる際のQ値が高く、駆動に要する消費電力を低減できる利点もある。Co−Ni−Cr−Mo合金を用いる場合には、加工率50%以上、より好ましくは90%以上の圧延加工、または、線引き加工により加工硬化処理を施した後、形状加工を行い、500〜600℃程度の温度で時効硬化処理が施されてもよい。最終的なヤング率や硬度は、加工率と時効熱処理の温度および時間で調整も可能である。形状加工には、エッチング加工やプレス加工、レーザー加工、ワイヤー放電加工等を用いることができる。加工硬化処理や形状加工において、その仕上がり具合によっては表面付近の内部摩擦が増加し、振動素子のQ値が低下してしまうことがある。そのような場合には、時効硬化処理前にエッチング処理を行うのが良く、目標寸法に対して大きめに形状加工を施したのち、硝酸系のエッチャントなどを用いて仕上げの形状加工を施すのが好ましい。また、加工硬化処理や形状加工時に生じた微少なクラックや表面の荒れがある場合にも、振動素子のQ値低下や耐久性低下の問題が生じる。そのような場合には、時効硬化処理前に電界研磨処理を行うのが良く、リン酸系やエチレングリコール系の液を用いた電界研磨処理によって表面を平滑化するのが好ましい。
保持部材201は、生産性の観点から、夫々捻り梁と同一材料で一体構造であるのが好ましい。しかしこれに限定されるものではなく、金属材料など導電性材料で形成して捻り梁と接合しても良い。接合する際には、形状加工を簡素化できることから捻り梁に線材を用いるのが好ましく、また、接合部の耐久性向上のために接合する線材の端部に鍛造などによって接合面を形成するのが好ましい。
圧電材401には、圧電定数の大きいチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が好適に用いられる。しかし、これに限定されるものではなく、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、ニオブ酸鉛等、圧電特性を有する材料であればよい。圧電材401は両面に電極の形成された焼結体の他、成膜可能な形状であれば、保持部材201やミラー部材301など導電性部材とミラー部材の複合構成に対して成膜によって形成されたものであってもよい。焼結体を用いる場合には、第1電極501や第2電極502と保持部材201の直接接合、または、接着剤等を用いた接着により圧電材401が保持される。接着による場合には、接着部における導電性部材と電極の間の電気容量が圧電材401の両電極間の電気容量よりも大きくなるように、できるだけ対向面積を大きくし、かつ、接着層を薄くして、導電性部材と電極を近接させるのが好ましい。また、接着剤に導電性を付与して導電性を確保しても良い。成膜で形成する場合には、保持部材201に直接成膜され、その間に電極は形成されない。成膜の方法としては、ゾルゲル法など各種の成膜方法を用いることができるが、その中でも、成膜レートが高く膜質の良い厚膜形成が容易なエアロゾルディポジション法やガスデポジション法を用いるのが好ましい。圧電材401の材料にPZTを用い、保持部材201に金属材料を用いる場合には、鉛の拡散を防止する中間層が形成されてもよい。また、圧電特性の向上には熱処理温度を上げることが有効であるため、成膜の基材となる保持部材201は耐熱性が高い材料で形成されるのが好ましく、Co−Ni基合金などが好適に用いられる。
ミラー部材301は、シリコンウエハや薄板ガラスなどの表面平坦性の良い基材に反射膜や増反射膜を形成したものの他、保持部材201に直接形成された反射膜等であってもよい。反射膜としては、蒸着等で形成されるAu、Ag、Al等の膜が挙げられる。また、必要に応じてその上に増反射膜が形成される。また、保持部材201の研磨によって鏡面を形成することも可能であり、この場合には、保持部材201がミラー部材301としても機能する。
磁石601、602は、特に限定されるものではないが、捻り振動に係わる慣性モーメントを小さくするために出来るだけ小型で磁力の強いものが好ましい。よって、磁力の強いNd−Fe−B系磁石やSm−Co系磁石等や、小型形状形成が可能な加工性に優れたFe−Cr−Co系磁石などが好適に用いられうる。
[光走査装置の動作]
次に、図7〜図11を参照して光走査装置の動作を説明する。
次に、図7〜図11を参照して光走査装置の動作を説明する。
図7(a)は振動素子11〜14のいずれかを採用した光走査装置によるレーザー光走査の状態を示したものである。図7(b)は振動部21に配置されたミラー部材301の変形の様子を示したものであり、光の走査方向、および、それに垂直な副走査方向に共通の変形である。ミラー部材301が圧電材401に加えられた電気信号により図7(b)の(R1)のような曲率を持った状態であるとき、ビームウエストが走査中心からR1の距離にある投射面P1の中央に位置しているとする。捻り梁の捻り振動により振動部21が回転して図7(b)の(R1’)の状態になったとき、ミラー部材301の曲率は圧電材401に加えられる電気信号の変化により(R1)の状態から小さくなる方向に変化し、ビームウエストは走査中心からR1’の距離にある投射面P1の右端に位置するようになる。仮に(R1)の状態から曲率が変化していない場合には、ビームウエストは走査端方向にR1の位置になり、投射面P1の右端ではビーム径が拡がってしまう。走査左端も同様に、図7(b)の(R”)の状態で曲率が変化することによりビームウエストは投射面P1上に保持される。このように、1回の往復走査の間に2回のミラー曲率変化を生じさせる制御、即ち、走査周波数に対して2倍の周波数を含む信号を用いたミラー曲率の制御を行うことにより、アークサインレンズなどのレンズ光学系を使用することなく、最小スポットが形成されるビームウエスト位置をほぼ同一平面上に保持した光走査が可能になる。図7(c)は、同様に面P1よりも投射距離の長い投射面P2にビームウエストを保持するためのミラー部材301の変形状態を示したものであり、図7(b)よりも曲率が大きい状態を維持することで、ビームウエスト位置は(R2)→(R2’)→(R2)→(R2”)→(R2)と移動する。このように、圧電材401の駆動信号の制御により、ビームウエストを保持する面を変化させることも可能である。
図8は、図7のような走査を行うための駆動信号の例である。駆動回路801が周波数f1の駆動信号を供給することで振動部21に回転振動が誘起する。一方、駆動回路802が周波数f1の2倍の周波数f2を持つ信号にオフセット電圧ΔVを加えて生成した駆動信号が捻り梁に印加される。これにより、ミラー部材301の曲率変形が誘起される。
周波数f2の駆動信号は一走査内でビームウエストを走査面上に維持するための駆動信号であり、ΔVはビームウエストを保持する面を変化させるためのオフセットである。振動部21を共振により回転振動させる場合には周波数f1の駆動信号と振動部21の回転角の位相が90度ずれる。そのため、回転角に合わせて振動部21のミラー部材301の曲率変形が制御されるよう、駆動回路802が出力する駆動信号の位相も駆動回路801が出力する駆動信号の位相とはずれている。
次に、投射面に形成されるビームスポットの移動速度について説明する。光走査装置では、ビームを走査しながら時系列データに基づいてビーム強度を変化させたり、ビーム走査時の反射光の強度変化を時系列データとして検出したりすることで、画像の形成や投影、光学パターンの読み取りなどを行う。その際、ビームの移動速度が大きく変化すると、画像の歪や読み取り分解能のばらつきが生じてしまう。時系列データを補正してビーム強度の変化をビームの移動速度の変化に対応させる方法や、読み取り速度を移動速度の変化に対応させる方法も考えられるが、それには高価な高速の制御手段が必要となる。投射面上のビームスポットの移動はできるだけ等速であるのが好ましく、サイン波状に角度変化する振動素子11〜14のビーム走査角に対して、投射面上での等速性が得られる範囲で使用するのが好ましい。
図9は図7(a)と同様に光走査の状態を示したものである。走査の中央を基準にして、ミラー部材301の回転振動によるビームの最大走査角をθo、その内実際に走査光が利用される有効範囲をθeffとし、走査中心から距離Lの位置にある投射面P上でθeffに相当する範囲をXeffとしている。投射面Pを図7(a)のP1とすると、Xeffの位置は投射面P1端部のR1’の位置に相当する。ビーム方向が角度θの方向であるとき、投射面P上に形成されるビームスポットの移動速度をVとすると、角度θ=0の時の移動速度Voを基準にして、角度θに対する移動速度Vの変化率V/Voは図10(a)のようになる。図10(a)において横軸はビームの方向を示す角度θであり、縦軸は移動速度Vの変化率V/Voである。最大走査角θoを増加させていくと図の(i)〜(v)のように角度θに対する移動速度Vが変化する。このとき、スポット移動速度の許容誤差をΔvとすると、(iii)のグラフでこの範囲内にある角度、即ち、有効走査角θeffはΘ3である。最大走査角を増加させた(iv)のグラフでは有効走査角がΘ4に拡がる。しかし、さらに最大走査角を増加させた(v)のグラフでは有効走査角がΘ5となって逆に狭まり、これ以上最大走査角を増加しても有効走査角を拡げることはできない。図10(b)はこの最大走査角θoと有効走査角θeffの関係を示したものであり、許容誤差の大きさによって有効走査角が最も広くなる最大走査角が異なる。図10(c)は、許容誤差の大きさに対する最大の有効走査角と、その有効走査角を得るために必要な最大走査角を示している。許容誤差による差はあるが、最大の有効走査角を得るには、40度以上の最大走査角が必要となる。光走査装置においては、短い投射距離で広い範囲の画像形成や読み取りを行うことができるのが望ましく、有効走査角はできるだけ広いのが好ましい。また、振動素子11〜14の小型化や消費電力の観点から最大走査角はできるだけ狭いのが好ましい。これらのことから、有効走査角がピークとなる最大走査角で振動素子を動作させるのが好ましく、そのためには、最大走査角として走査の中央に対して±40度以上、振動素子の回転振動振幅として±20度以上にするのが好ましい。小型の振動素子でこの振幅を実現するには、ミラー部材301を支持する捻り梁に高い強度と耐久性が必要であり、時効硬化型のCo−Ni基合金を用いた捻り梁はこの点からも非常に好ましい。
次に、光走査時の投射面に投射されるビームスポット径の変化について説明する。光走査装置において、ビームスポット径は光走査により形成や投影される画像の精細度や、光学パターン読み取りの分解能に大きく影響する。このため、有効走査領域内でのビームスポット径の変動は極力少ないのが好ましい。
図11(a)に投射面上の位置によるビームスポット径の変化の一例を示す。図9に示した投射距離Lを174mmに設定し、振動素子11〜14の回転振動によって投射面の中央Oからx軸方向へのビームスポットを移動したときのビームスポット径変化を示している。図11(a)の横軸は投射面中央からの距離xであり、縦軸はビームスポット径φである。また、図11(b)には、ミラー部材301の曲率を変化させるために圧電材401に印加する駆動信号の一例を示す。周波数f2の駆動信号は振動素子11〜14の回転振動の周波数、即ち、走査周波数(回転振動周波数)f1の2倍の周波数f2を持つ駆動信号であり、図8に示した周波数f2の駆動信号と同じである。周波数f4の駆動信号は周波数f1の4倍の周波数f4を持つ信号であり、周波数f2+f4の駆動信号は周波数f2の駆動信号と周波数f4の駆動信号を適当な比率で重畳した信号である。走査面上の位置によるビームスポット径の変化は、走査周波数と同期したミラー変形を行わない場合には図11(a)の“f2なし”のグラフに示されたものとなり、走査端に向うに従って急激にスポット径が増大する。これに対して、周波数f2の駆動信号によりミラー部材301の曲率を変化させた場合には、図11(a)の“f2のみ”のグラフに示されたものとなり、Xeffの有効走査範囲内でのビームスポット径の変動を大幅に抑えることができる。さらに、周波数f2とf4を重畳させた駆動信号でミラー部材301の曲率を変化させた場合には、図11(a)の“f2+f4”のグラフに示されたものとなり、位置に依らずにほぼ一定のビームスポット径を得ることができる。
上に述べた等速性やビームスポット径の安定化の効果は、振動素子11〜14が異常振動などを生じずに安定した光走査を行うことができる場合に限って得られるものである。振動素子11〜14を用いて最大走査角を適切に設定し、また、走査周波数の2倍および4倍の周波数を持つ信号で振動部21の曲率を制御することにより、画像の形成や投影、光学パターンの読み取りなどを高精度に行うことが可能な光走査装置を実現できる。
[画像形成装置]
図12に光走査装置の実施例である画像形成装置7を示す。振動素子10は上述した振動素子11〜14のいずれか1つであり、振動部周辺の構成は省略してある。光源971は、画像データに応じて制御回路970が出力した駆動信号に基づき強度変調した光を射出する。射出された光は射出光学系972を通って振動素子10のミラー部材301で反射され、像担持体の一例である感光体975上を走査する。走査された光は、BDセンサ973、974で検出される。制御回路970は、BDセンサ973、974が出力する検出信号を基に走査角を制御するための制御信号を生成して出力する。制御信号は振動素子10の駆動回路870の駆動回路801にフィードバックされる。これにより駆動回路801は振動素子10の最大走査角を安定的に適切な値に維持する。また、駆動回路870に含まれている駆動回路802は検出信号に基づいてミラー曲率を制御するための制御信号を出力する。これにより、感光体975上でのビームスポット径がほぼ一定の大きさに維持される。
図12に光走査装置の実施例である画像形成装置7を示す。振動素子10は上述した振動素子11〜14のいずれか1つであり、振動部周辺の構成は省略してある。光源971は、画像データに応じて制御回路970が出力した駆動信号に基づき強度変調した光を射出する。射出された光は射出光学系972を通って振動素子10のミラー部材301で反射され、像担持体の一例である感光体975上を走査する。走査された光は、BDセンサ973、974で検出される。制御回路970は、BDセンサ973、974が出力する検出信号を基に走査角を制御するための制御信号を生成して出力する。制御信号は振動素子10の駆動回路870の駆動回路801にフィードバックされる。これにより駆動回路801は振動素子10の最大走査角を安定的に適切な値に維持する。また、駆動回路870に含まれている駆動回路802は検出信号に基づいてミラー曲率を制御するための制御信号を出力する。これにより、感光体975上でのビームスポット径がほぼ一定の大きさに維持される。
振動素子11〜14を用いた画像形成装置7は、断線や異常振動などが生じにくくなり安定した光走査およびミラー曲率制御を行うことができる。このため、最大走査角の適切化やミラー曲率制御信号の適切化により、等速性やビームスポット径の安定化の効果を発揮する。つまり、高精度で信頼性の高い画像形成が可能となる。また、振動素子11〜14を用いた画像形成装置7では、走査速度の変動を補正するレンズ光学系を簡素化できる。また、走査速度の変動に対応するための画像データの補正やレーザー光の強度変調信号の補正などが不要となる。これにより、小型で安価な画像形成装置が実現できる。
[画像形成装置]
図13(a)に光走査装置の実施例である画像投影装置8を示す。振動素子10は上記の振動素子11〜14のいずれか1つである。RGB3原色を含む光源装置981は、画像データに基づいて制御回路980から出力された信号にしたがって強度変調した光を射出する。振動素子10および垂直走査装置982により光は2次元走査され、スクリーン983に映像として投射される。垂直走査装置982の走査速度は振動素子10よりも遅い。垂直走査装置982には、たとえば、非共振駆動で高精度な位置決めができるガルバノミラーが用いられる。制御回路980から出力される制御信号に基づいて駆動回路880に含まれる駆動回路801は振動素子10の走査角を制御する。また、垂直走査装置982も同様に、制御回路980からの出力に基づいて走査角が制御される。さらに、駆動回路880の駆動回路802がミラー曲率制御信号(駆動信号)を出力することで、スクリーン983上でのビームスポット径がほぼ一定の大きさに維持される。また、制御回路980は、入力部984を通じて画像の台形補正が設定されると、垂直走査装置982の駆動信号の変化に応じてミラー曲率制御信号を変化させる。これにより、図13(b)のように斜め投影を行う際にも、スクリーン上部の走査では焦点距離を長く、下部では焦点距離を短くしてスクリーン上のビームスポット径をほぼ一定の大きさに維持することができる。
図13(a)に光走査装置の実施例である画像投影装置8を示す。振動素子10は上記の振動素子11〜14のいずれか1つである。RGB3原色を含む光源装置981は、画像データに基づいて制御回路980から出力された信号にしたがって強度変調した光を射出する。振動素子10および垂直走査装置982により光は2次元走査され、スクリーン983に映像として投射される。垂直走査装置982の走査速度は振動素子10よりも遅い。垂直走査装置982には、たとえば、非共振駆動で高精度な位置決めができるガルバノミラーが用いられる。制御回路980から出力される制御信号に基づいて駆動回路880に含まれる駆動回路801は振動素子10の走査角を制御する。また、垂直走査装置982も同様に、制御回路980からの出力に基づいて走査角が制御される。さらに、駆動回路880の駆動回路802がミラー曲率制御信号(駆動信号)を出力することで、スクリーン983上でのビームスポット径がほぼ一定の大きさに維持される。また、制御回路980は、入力部984を通じて画像の台形補正が設定されると、垂直走査装置982の駆動信号の変化に応じてミラー曲率制御信号を変化させる。これにより、図13(b)のように斜め投影を行う際にも、スクリーン上部の走査では焦点距離を長く、下部では焦点距離を短くしてスクリーン上のビームスポット径をほぼ一定の大きさに維持することができる。
このように振動素子11〜14のいずれかを用いた画像投影装置8は、断線や異常振動などを生じずに安定した光走査およびミラー曲率制御を行うことができる。このため、最大走査角の適切化やミラー曲率制御信号の適切化により、等速性やビームスポット径の安定化の効果を発揮することができる。その結果、高精度で信頼性の高い画像投影が可能となる。また、画像投影装置8では、ミラー曲率制御信号の調整により斜め投影でもスクリーン上でビームスポット径をほぼ一定にすることができる。これにより、限られたスペースでも使用可能な高精細の画像投影装置8を実現できる。
[光学パターン読み取り装置]
図14に光走査装置の実施例である光学パターン読み取り装置9を示す。振動素子10は振動素子11〜14のいずれか1つである。光源991から射出された光は射出光学系992を通って振動素子10のミラー部材301で反射され、光学パターン上を走査する。光学パターンに応じて強度が変化する反射光は、振動素子10で再び反射された後に検出光学系994によって集光され、光センサ995で検出される。デコーダ996は、光センサ995が出力する検出信号を2値化する。これにより光学パターンの情報が読み取られる。駆動回路890は制御回路990からの信号に基づいて振動素子10の回転振動の駆動信号およびミラー曲率制御信号を出力する。これにより、光学パターンのある投射面上でビームスポット径がほぼ一定の大きさに維持される。
図14に光走査装置の実施例である光学パターン読み取り装置9を示す。振動素子10は振動素子11〜14のいずれか1つである。光源991から射出された光は射出光学系992を通って振動素子10のミラー部材301で反射され、光学パターン上を走査する。光学パターンに応じて強度が変化する反射光は、振動素子10で再び反射された後に検出光学系994によって集光され、光センサ995で検出される。デコーダ996は、光センサ995が出力する検出信号を2値化する。これにより光学パターンの情報が読み取られる。駆動回路890は制御回路990からの信号に基づいて振動素子10の回転振動の駆動信号およびミラー曲率制御信号を出力する。これにより、光学パターンのある投射面上でビームスポット径がほぼ一定の大きさに維持される。
振動素子11〜14のいずれかを用いた光学パターン読み取り装置9は、断線や異常振動などを生じずに安定した光走査およびミラー曲率制御を行うことができる。このため、最大走査角の適切化やミラー曲率制御信号の適切化により、等速性やビームスポット径の安定化の効果を発揮できる。その結果、高精度でかつ信頼性の高い読み取りが可能となる。
[まとめ]
本実施例によれば、ミラー部材301を圧電材401の中央部に配置し、保持部材201を圧電材401の周辺部で保持する振動素子11〜14が提供される。振動素子11〜14では、ミラー部材301の変形がミラー部材301を支持している第1の捻り梁101等に影響しにくくなるため、第1の捻り梁101等に撓み変形が生じにくくなる。たとえば、ミラー部材301に大きな曲率変化が生じたとしても、第1の捻り梁101等には撓み変形が生じにくい。よって、ミラー部材301の回転振動に対して加わる撓み振動も小さくなり、異常振動が生じにくくなる。このように、ミラー部材301の変形が第1の捻り梁101等に与える影響が緩和されるため、異常振動を発生しにくくした振動素子11〜14を提供される。なお、振動素子11〜14では、走査ミラーと可変焦点ミラーが一体化されるため、光走査装置の小型化も期待できる。
本実施例によれば、ミラー部材301を圧電材401の中央部に配置し、保持部材201を圧電材401の周辺部で保持する振動素子11〜14が提供される。振動素子11〜14では、ミラー部材301の変形がミラー部材301を支持している第1の捻り梁101等に影響しにくくなるため、第1の捻り梁101等に撓み変形が生じにくくなる。たとえば、ミラー部材301に大きな曲率変化が生じたとしても、第1の捻り梁101等には撓み変形が生じにくい。よって、ミラー部材301の回転振動に対して加わる撓み振動も小さくなり、異常振動が生じにくくなる。このように、ミラー部材301の変形が第1の捻り梁101等に与える影響が緩和されるため、異常振動を発生しにくくした振動素子11〜14を提供される。なお、振動素子11〜14では、走査ミラーと可変焦点ミラーが一体化されるため、光走査装置の小型化も期待できる。
図1等に示したように、保持部材201は、中央部に空間を有する枠体である。よって、保持部材201を軽量化することが可能となる。図3や図4に示したように、この空間にはミラー部材301を収容することができる。ミラー部材301は比較的に重い。よって、図3や図4、図5に示した構造は、回転軸の中央に重量物を配置できるため、回転振動の安定化に寄与する。
図1等に示したように、枠体は環状であってもよい。環状構造は比較的に作成しやすいこと、軽量化に役立つこと、および圧電材401をしっかりと保持しやすいなど、メリットが多い。
図1や図6に示したように、ミラー部材301と保持部材201はそれぞれ圧電材401における異なる面に取り付けられていてもよい。また、図3や図4、図5に示したように、ミラー部材301と保持部材201はそれぞれ圧電材401における同一の面に取り付けられていてもよい。後者は、前者と比較して回転振動の安定化の面で有利な構造を採用しやすい。
図3ないし図6を用いて説明したように、第2電極502は、圧電材401の周辺部と中央部との境界付近に沿って第3電極503と第4電極504とに分割されていてもよい。これは、第1電極501を一方の電極とする複数のコンデンサを形成することに役立つ。これは、たとえば、中央部で延び、周辺部で伸縮するような圧電材401を構成しやすくなる利点をもたらすであろう。
たとえば、図5に示したように、第1電極501と第3電極503または第4電極504との間に駆動回路802から駆動信号が印加されてもよい。また、図4や図6に示したように、第3電極503と第4電極504との間に駆動信号が印加されてもよい。図2に示したように、1第1電極501と第2電極502との間に駆動信号が印加されてもよい。
このように本実施例で示した振動素子は駆動信号の供給パスについて自由度が高い。
このように本実施例で示した振動素子は駆動信号の供給パスについて自由度が高い。
図2(b)に例示したように、駆動信号が印加されると、圧電材401の周辺部と圧電材401の中央部とで異なる側に凸状に変形する。つま、中央部で延び、周辺部で伸縮するような圧電材401を構成しやすくなる。これは、圧電材401の変形の影響を捻り梁に伝えにくくする上で効果があろう。
図5や図6に示したように、圧電材401の周辺部における分極の方向と当該圧電材401の中央部における分極の方向とが異なっていてもよい。これは、図5や図6に示した電極構造や配線構造を実現する上で有利となろう。
保持部材201に結合した第2の捻り梁102をさらに備えられていてもよい。図1ないし図6ではこのような両持ち支持構造の振動素子について説明したが、第2の捻り梁102のない片持ち支持構造の振動素子に上記の実施例が採用されてもよい。片持ち支持構造は、振動素子のサイズを小さくできる利点がある。両持ち支持構造は片持ち支持構造と比較して、全体のサイズは大きくなるが、より撓み剛性が高くなり、走査線の副走査方向への変動を抑えやすくなる。
保持部材201と第1の捻り梁101との結合部付近と、保持部材201と第2の捻り梁102との結合部付近とにそれぞれ磁石が取り付けられていてもよい。結合部付近は回転振動の軸に近い。よって、結合部付近に磁石を配置することで、回転振動を安定させることができる。
第1の捻り梁101は導電性を有し、導電性の保持部材201を介して圧電材401への駆動信号を伝達してもよい。これにより、配線を減らすことができ、配線の断線という問題を軽減できる。
なお、振動素子11〜14のいずれかと、圧電材401に駆動信号を供給する駆動回路801、802と、ミラー部材301を揺動させる磁界を発生する磁界発生部700とを有し、光源からの光をミラー部材301により走査する光走査装置がさらに提供されてもよい。振動素子11〜14を採用することで、安定した光り走査を実現できる。
駆動回路は、ミラー部材301の回転振動周波数f1の2倍の周波数f2の信号と4倍の周波数f4の信号とを重畳して駆動信号を生成してもよい。これにより、位置に依らずにほぼ一定のビームスポット径を得ることができる。
ミラー部材301の回転角は±20度以上であってもよい。これはミラー部の走査角を広くしつつ、消費電力を削減するうえで有効である。
図12を用いて説明したように、光走査装置と像担持体とを備え、当該光走査装置によって走査された光によって当該像担持体に画像を形成することを特徴とする画像形成装置7が提供されてもよい。振動素子11〜14を用いた画像形成装置7は、断線や異常振動などが生じにくくなり安定した光走査およびミラー曲率制御を行うことができる。このため、最大走査角の適切化やミラー曲率制御信号の適切化により、等速性やビームスポット径の安定化の効果を発揮する。つまり、高精度で信頼性の高い画像形成が可能となる。また、振動素子11〜14を用いた画像形成装置7では、走査速度の変動を補正するレンズ光学系を簡素化できる。また、走査速度の変動に対応するための画像データの補正やレーザー光の強度変調信号の補正などが不要となる。これにより、小型で安価な画像形成装置が実現できる。
図13を用いて説明したように、光走査装置によって走査された光によってスクリーンに画像を投影することを特徴とする画像投影装置8が提供されてもよい。振動素子11〜14のいずれかを用いた画像投影装置8は、断線や異常振動などを生じずに安定した光走査およびミラー曲率制御を行うことができる。このため、最大走査角の適切化やミラー曲率制御信号の適切化により、等速性やビームスポット径の安定化の効果を発揮することができる。その結果、高精度で信頼性の高い画像投影が可能となる。また、画像投影装置8では、ミラー曲率制御信号の調整により斜め投影でもスクリーン上でビームスポット径をほぼ一定にすることができる。これにより、限られたスペースでも使用可能な高精細の画像投影装置8を実現できる
図14を用いて説明したように、光走査装置を備えたことを特徴とする光学パターン読み取り装置9が提供されてもよい。振動素子11〜14のいずれかを用いた光学パターン読み取り装置9は、断線や異常振動などを生じずに安定した光走査およびミラー曲率制御を行うことができる。このため、最大走査角の適切化やミラー曲率制御信号の適切化により、等速性やビームスポット径の安定化の効果を発揮できる。その結果、高精度でかつ信頼性の高い読み取りが可能となる。
図14を用いて説明したように、光走査装置を備えたことを特徴とする光学パターン読み取り装置9が提供されてもよい。振動素子11〜14のいずれかを用いた光学パターン読み取り装置9は、断線や異常振動などを生じずに安定した光走査およびミラー曲率制御を行うことができる。このため、最大走査角の適切化やミラー曲率制御信号の適切化により、等速性やビームスポット径の安定化の効果を発揮できる。その結果、高精度でかつ信頼性の高い読み取りが可能となる。
Claims (20)
- 第1電極が形成された第1面、および第2電極が形成された第2面を有する圧電材と、
前記圧電材を保持する保持部材と、
前記圧電材に対して固定され、当該圧電材の変形に伴って曲率が変化するミラー部材と
を有し、
前記ミラー部材は、前記圧電材の中央部に配置され、
前記保持部材は、前記圧電材の周辺部を保持することを特徴とする振動素子。 - 前記保持部材は、中央部に空間を有する枠体であることを特徴とする請求項1に記載の振動素子。
- 前記枠体は環状であることを特徴とする請求項2に記載の振動素子。
- 前記ミラー部材と前記保持部材とはそれぞれ前記圧電材における異なる面に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の振動素子。
- 前記ミラー部材と前記保持部材とはそれぞれ前記圧電材における同一の面に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の振動素子。
- 前記第2電極は、前記圧電材の周辺部と中央部との境界付近に沿って第3電極と第4電極とに分割されていることを特徴とする請求項5に記載の振動素子。
- 前記第1電極と前記第3電極または前記第4電極との間に駆動信号が印加されることを特徴とする請求項6に記載の振動素子。
- 前記第3電極と前記第4電極との間に駆動信号が印加されることを特徴とする請求項6に記載の振動素子。
- 前記第1電極と前記第2電極との間に駆動信号が印加されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の振動素子。
- 前記駆動信号が印加されると、前記圧電材の周辺部と前記圧電材の中央部とで異なる側に凸状に変形することを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載の振動素子。
- 前記圧電材の周辺部における分極の方向と当該圧電材の中央部における分極の方向とが異なっていることを特徴とする請求項7に記載の振動素子。
- 前記保持部材に結合した第1の捻り梁と、第2の捻り梁とをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の振動素子。
- 前記保持部材と前記第1の捻り梁との結合部付近と、前記保持部材と前記第2の捻り梁との結合部付近とにそれぞれ磁石が取り付けられていることを特徴とする請求項12に記載の振動素子。
- 前記第1の捻り梁は導電性を有し、前記圧電材への駆動信号を伝達することを特徴とする請求項1ないし13のいずれか1項に記載の振動素子。
- 請求項1ないし14のいずれか1項に記載された振動素子と、
前記振動素子の第1の捻り梁を介して前記圧電材に駆動信号を供給する駆動回路と、
前記振動素子のミラー部を揺動させる磁界を発生する磁界発生部と
を有し、光源からの光を前記ミラー部により走査することを特徴とする光走査装置。 - 前記駆動回路は、前記ミラー部の回転振動周波数の2倍の周波数の信号と4倍の周波数の信号とを重畳して前記駆動信号を生成することを特徴とする請求項15に記載の光走査装置。
- 前記ミラー部の回転角は±20度以上であることを特徴とする請求項15または16に記載の光走査装置。
- 請求項15ないし17のいずれか1項に記載の光走査装置を備え、当該光走査装置によって走査された光によってスクリーンに画像を投影することを特徴とする画像投影装置。
- 請求項15ないし17のいずれか1項に記載の光走査装置と像担持体とを備え、当該光走査装置によって走査された光によって当該像担持体に画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項15ないし17のいずれか1項に記載の光走査装置を備えたことを特徴とする光学パターン読み取り装置。
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DE102016012822A1 (de) | 2015-10-27 | 2017-04-27 | Suzuki Motor Corporation | Fahrzeug mit Fahrsattel und Eintragvorrichtung für Antriebsmaschine mit Auflader |
JP2017156453A (ja) * | 2016-02-29 | 2017-09-07 | 株式会社デンソー | 可変焦点ミラーおよび光走査装置 |
JP2019039960A (ja) * | 2017-08-22 | 2019-03-14 | 株式会社デンソー | 可変焦点ミラーシステム |
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2014
- 2014-04-28 JP JP2014093158A patent/JP2015210450A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102016012822A1 (de) | 2015-10-27 | 2017-04-27 | Suzuki Motor Corporation | Fahrzeug mit Fahrsattel und Eintragvorrichtung für Antriebsmaschine mit Auflader |
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WO2017149946A1 (ja) * | 2016-02-29 | 2017-09-08 | 株式会社デンソー | 可変焦点ミラーおよび光走査装置 |
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