JP2003084218A - 形状可変鏡及び光ディスク情報入出力装置 - Google Patents

形状可変鏡及び光ディスク情報入出力装置

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JP2003084218A
JP2003084218A JP2001278660A JP2001278660A JP2003084218A JP 2003084218 A JP2003084218 A JP 2003084218A JP 2001278660 A JP2001278660 A JP 2001278660A JP 2001278660 A JP2001278660 A JP 2001278660A JP 2003084218 A JP2003084218 A JP 2003084218A
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shape
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JP2001278660A
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Hiroyoshi Shoji
浩義 庄子
Masaki Hiroi
正樹 廣居
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鏡面の形状を変化させる際には鏡面の形状の変
化量が大きく鏡面の歪みが少ない形状可変鏡、該形状可
変鏡を有する光ピックアップ装置を備えた光情報入出力
装置、及び前記形状可変鏡を精度良く製造する方法を提
供することを目的とする。 【解決手段】形状可変鏡の鏡部は、鏡面の反対側に凹部
分を有する。鏡部の鏡基板は、シリコン基板の異方性エ
ッチングによって、凹部分に形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鏡部の鏡面の形状
が可変な形状可変鏡及び光ピックアップ装置を備えた光
情報入出力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に光ディスクを用いた情報入出力装
置としてCDやDVDなどがある。DVDなどはCDに
比べ記録密度が高いため、情報の読み書きに関する条件
がより厳しくなっている。例えば光ピックアップ装置の
光軸とディスク面は垂直であることが理想であるが、実
際には光ディスクが樹脂製である為、ディスク面はかな
りの歪みを持っていて、これを回転させると光ピックア
ップ装置の光軸とディスク面は常には垂直ではなく、デ
ィスク面が光軸に対して傾きを持つことがある(以下、
ディスク面の光軸に対する傾きをチルトと表現する)。
またCD、DVD共に光ディスクにおいては、それぞれ
図1(a)、(b)に示すように、記録層108が樹脂
層102a、102bを介在しているため、チルトすな
わちディスク面が傾くとレーザ光の光路が曲げられてコ
マ収差が発生し、図1の103a、103bに示すよう
にディスク上に正しくスポットを絞れなくなる。このコ
マ収差が許容される量よりも大きくなると、情報を正し
く読み書きできなくなるという不具合が生じる。
【0003】チルトにより発生する収差を低減する手段
としては、対物レンズと記録層との間の樹脂層の厚みを
薄くする方法がある。実際に図1(b)に示すようなD
VDにおいて、対物レンズ101bと記録層108との
間の樹脂層102bの厚みを、図1(a)に示すCDに
おける樹脂層102aの厚さの約半分にしてあるのは、
コマ収差の低減を意図したものである。しかしこの方法
では、DVDよりも記録密度を高くしようとした場合に
は樹脂層をさらに薄くしてチルトの影響を低減すること
になるが、今度はディスク上にゴミや傷が付いた場合に
信号を正しく読み書きできなくなるという不具合が生じ
る。このため、アクチュエータによって光ピックアップ
装置の光軸を傾けてチルトに対応しているのが現状であ
る。
【0004】チルトを光学的に補正する手段として、ま
ず図2に示すような特開平10−79135に記載の液
晶板を用いる方法がある。また圧電素子を用いたチルト
によるコマ収差などの補正手段として、図3に示すよう
な特開平5−144056に記載のレーザ光の光路中に
透明圧電素子を用いる方法や、図4に示すような特開平
5−333274に記載の複数のアクチェータを利用し
た形状可変鏡を用いる方法などが提案されている。
【0005】しかしながら、図2に示す特開平10−7
9135のように液晶板を用いて位相を制御することで
コマ収差を補正する方法では、レーザーが液晶板を通過
するために光量が減衰して書き込みに必要なエネルギー
を得ることが困難であり、また液晶の特性から、特にタ
ンジェンシャルチルトの制御に要求される高周波動作に
使用することは困難である。
【0006】また、図3に示す特開平5−144056
のように透明圧電素子単体で必要な厚み変化を得るため
には、実際には高電圧が必要となり光ピックアップ装置
などに用いるには現実的ではない。
【0007】さらに、図4に示す特開平5−33327
4のように形状可変鏡の鏡自体を積層型圧電素子で変形
させ位相制御する方法は、光ピックアップ装置などの小
さい部品に用いるには配線などの考慮がされておらず、
複雑になり、かつ組み付けコストも高くなる。また、配
線などの問題が解決できたとしても、積層型圧電素子を
小型化することは、技術的にもコスト的にも困難であ
る。
【0008】これらの公報に記載された発明の問題点を
解決する為、ディスク面のチルトなどにより発生する波
面収差(主としてコマ収差)を、圧電材料を使用したユ
ニモルフ又はバイモルフ形状の形状可変鏡で補正する方
法が考えられる。これは例えば図5に示すような鏡面の
形状が可変な形状可変鏡である。ここで図5(a)は形
状可変鏡の鏡基板部の斜視図であり、図5(b)は、形
状可変鏡の鏡基板部と圧電基板部を細いワイヤで接続し
た部分の斜視図であり、図5(c)は、図5(b)の部
分に鏡材を取り付けて、さらに鏡固定用部材に固定した
形状可変鏡の、図5(b)に示す線B、B’に沿った断
面図である。
【0009】図5(a)に示す形状可変鏡の鏡基板部
は、鏡基板6の鏡材を取り付ける鏡面側と反対側の面上
に、鏡基板用共通電極4bと鏡基板用個別電極5bとが
分離して設置される。図5(a)には示していないが、
鏡基板6と鏡基板用共通電極4b、鏡基板用個別電極5
bとの間には絶縁層7が取り付けてある(図5(c)参
照)。また、形状可変鏡の圧電基板部は、圧電基板2の
片面に、圧電基板用共通電極4aを、その反対側の面に
2つの圧電基板用個別電極5bが設置してある。上述の
ような鏡基板部と、圧電基板部とを、例えば接着などの
手段を用いて一体化し、鏡基板用個別電極5bと圧電基
板用個別電極5aとを、細いワイヤ20で電気的に接続
した部分が図5(b)である。また圧電基板用共通電極
4aと鏡基板用共通電極4bは、互いの面が直接接触し
ており、電気的に接続している。このような鏡基板部と
圧電基板部とを電気的に接続した部分を、鏡固定用部材
8の対向した2辺の凸部に、鏡固定部3で接触するよう
に、接着などの方法で固定して、図5(c)に示すよう
な形状可変鏡となる。なお図5の全ては、鏡面を下側に
して描いてある。
【0010】このような形状可変鏡の鏡面の形状を、圧
電基板2に電圧を印加して制御することで、レーザー光
の(コマ収差などの)波面収差を低減することができ
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、圧電基
板2による鏡面の形状の変化量と鏡基板6の厚さとの間
には密接な関係がある。鏡面の形状を変化させる際に鏡
面の形状の変化量を大きくする為には、鏡基板6の厚さ
を薄くすればよいが、鏡基板6の厚さを薄くすると鏡面
の歪みが発生し易くなる。逆に鏡基板6の厚さを厚くす
ると、鏡面の歪みの発生を抑制できるが、鏡面の形状を
変化させる場合に鏡面の形状の変化量が小さくなる。さ
らに、鏡基板6の厚さを薄くすると鏡固定用部材8に鏡
基板6を固定する際に、鏡基板6の形状、すなわち鏡面
の形状が歪んでしまうという不具合が発生する。
【0012】鏡基板6は、主として接着剤を使用して鏡
固定用部材8に固定されるが、接着剤の収縮や接着時の
歪みの影響で、鏡固定用部材8に固定した後に鏡面の歪
みが発生し、波面収差を十分に低減することが困難にな
る。
【0013】本発明は、上記問題に鑑みなされたもので
あり、鏡面の形状を変化させる際には鏡面の形状の変化
量が大きく鏡面の歪みが少ない形状可変鏡、該形状可変
鏡を有する光ピックアップ装置を備えた光情報入出力装
置、及び前記形状可変鏡を精度良く製造する方法を提供
することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
鏡部の鏡面の形状が可変な形状可変鏡において、前記鏡
部は、前記鏡面の反対側に凹部分を有することを特徴と
する。
【0015】請求項1記載の発明によれば、前記鏡部
は、前記鏡面の反対側に凹部分を有するので、鏡面の形
状を変化させる際には鏡面の形状の変化量が大きく鏡面
の歪みが少ない形状可変鏡を提供することができる。
【0016】請求項2記載の発明は、請求項1記載の形
状可変鏡において、前記鏡部は、前記凹部分の外周部分
で、前記鏡部を固定する鏡固定用部材に固定されること
を特徴とする。
【0017】請求項2記載の発明によれば、前記鏡部
は、前記凹部分の外周部分で、前記鏡部を固定する鏡固
定用部材に固定されるので、固定に使用する接着剤の収
縮による鏡面の形状の歪みが少なくなり、また平面度の
高くない鏡固定用部材でも使用できる。
【0018】請求項3記載の発明は、請求項1又は2記
載の形状可変鏡において、前記凹部分の中央部分の厚さ
は、50μm乃至300μmであることを特徴とする。
【0019】請求項3記載の発明によれば、前記凹部分
の中央部分の厚さは、50μm乃至300μmであるの
で、レーザー光の収差を容易かつ良好に低減でき、また
形状可変鏡の量産時の歩留まりが向上する。
【0020】請求項4記載の発明は、請求項1乃至3い
ずれか1項記載の形状可変鏡において、前記鏡部の鏡面
と反対側の面に電極接続用配線パターンを有することを
特徴とする。
【0021】請求項4記載の発明によれば、前記鏡部の
鏡面と反対側の面に電極接続用配線パターンを有するの
で、配線の工程が簡略化される。
【0022】請求項5記載の発明は、請求項1乃至4い
ずれか1項記載の形状可変鏡において、前記鏡部は、貫
通した穴及び/又は貫通した切り込みを有することを特
徴とする。
【0023】請求項5記載の発明によれば、前記鏡部
は、貫通した穴及び/又は貫通した切り込みを有するの
で、鏡面の形状を変化させる際には鏡面の形状の変化量
を大きくし、レーザー光の収差を容易かつ良好に低減す
ることが可能となる。
【0024】請求項6記載の発明は、請求項5記載の形
状可変鏡において、前記貫通した穴及び/又は貫通した
切り込みの開口面積は、前記鏡面と反対側の面から前記
鏡面に向って連続的に狭くなることを特徴とする。
【0025】請求項6記載の発明によれば、前記貫通し
た穴及び/又は貫通した切り込みの開口面積は、前記鏡
面と反対側の面から前記鏡面に向って連続的に狭くなる
ので、形状可変鏡の外形寸法を小さくし得る。
【0026】請求項7記載の発明は、光ディスク情報入
出力装置において、請求項1乃至6記載の形状可変鏡を
有する光ピックアップ装置を備えることを特徴とする。
【0027】請求項7記載の発明によれば、請求項1乃
至6記載の形状可変鏡を有する光ピックアップ装置を備
えるので、小型かつ軽量で、外部振動に対して安定であ
り携帯性に優れた、光ディスク情報入出力装置を提供で
きる。
【0028】請求項8記載の発明は、請求項1乃至6い
ずれか1項記載の形状可変鏡の製造方法において、前記
鏡部の凹部分は、シリコン基板の異方性エッチングによ
って形成されることを特徴とする。
【0029】請求項8記載の発明によれば、前記鏡部の
凹部分は、シリコン基板の異方性エッチングによって形
成されるので、鏡部を精度良く製造することができる。
【0030】請求項9記載の発明は、請求項5又は6記
載の形状可変鏡の製造方法において、前記貫通した穴及
び/又は貫通した切り込みは、異方性エッチングにより
開口されることを特徴とする。
【0031】請求項9記載の発明によれば、前記貫通し
た穴及び/又は貫通した切り込みは、異方性エッチング
により開口されるので、貫通した穴及び/又は貫通した
切り込みを精度良く、簡単な工程で製造できる。
【0032】請求項10記載の発明は、請求項1乃至6
いずれか1項記載の形状可変鏡の製造方法において、複
数個の、前記形状可変鏡の鏡固定用部材に固定される部
分を、溝を有する境界部分を介して一体に形成し、前記
溝で分離して、一個の前記鏡固定用部材に固定される部
分に分離することを特徴とする形状可変鏡の製造方法。
【0033】請求項10記載の発明によれば、複数個
の、前記形状可変鏡の鏡固定用部材に固定される部分
を、溝を有する境界部分を介して一体に形成し、前記溝
で分離して、一個の前記鏡固定用部材に固定される部分
に分離するので、形状可変鏡の鏡固定用部材に固定され
る部分を製造する工程が簡略化され、鏡面の損傷を防止
できる。
【0034】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て図面と共に説明する。
【0035】<実施例1>本発明の第1の実施例を図6
に基づいて説明する。図6は本発明の形状可変鏡におけ
る被固定部分の鏡面の裏側から見た平面図とA−A’方
向の断面図である。本明細書中では、形状可変鏡の被固
定部分とは、接着剤などにより鏡固定用部材に固定され
る部分を意味し、鏡材、鏡基板、圧電基板、共通電極、
個別電極、ワイヤを含む部分とする。また、鏡材を取り
付けた鏡基板を鏡部とする。さらに本明細書における形
状可変鏡とは、前述の被固定部分を接着剤などで鏡固定
用部材に固定した全体を表すものとする。ここで、図6
に示す本発明の形状可変境の被固定部分はワイヤを省略
して描いてある。
【0036】図6に示すように、鏡基板6の鏡面側と反
対側の面は、凹形状となるように加工してあり、その凹
部分の底面には、共通電極4、圧電基板2、2つの個別
電極5が接着等により順次積層されて、鏡基板6と一体
化している。圧電基板2を駆動する為の共通電極4と個
別電極5は、ワイヤ等により外部の電源と接続する。鏡
基板6の鏡面側には鏡材1が取り付けてあり、レーザー
光を効率高く反射する。
【0037】本発明の形状可変鏡においては、鏡基板6
の外周に梁9を有する構造となっている。ここで鏡面の
形状を変化させる際に鏡面の形状の変化量を大きくする
為に鏡基板6の厚さを薄く作製しても、鏡基板6の外周
に剛性の高い梁9を有する為、梁9で鏡基板6が支持さ
れ、鏡面の歪みが起こりにくい構造となっている。ただ
し図6のように梁9は、鏡面の歪みを減少させる為には
鏡基板6の外周全体に設けることが望ましいが、梁9は
必ずしも鏡基板6の外周全体に設ける必要はなく、例え
ば鏡基板6の対向する2辺であったり、梁9に切り込み
があったり、部分的に設けてもよい。
【0038】鏡基板6に取り付けた鏡材1は、鏡面側の
表面を研磨等によって、平面性を確保しつつ鏡面とな
る。このとき、鏡基板6には凹部分はまだ形成されてお
らず、鏡基板6の厚さは厚い状態であり、鏡面の歪みの
少ない平滑な鏡面を形成することが出来る。その後、鏡
基板の鏡面と反対側の面に、エッチングや研磨等によっ
て、所望の形状の凹部分を形成するので、鏡面の平滑性
を保持したまま、鏡基板6の厚さを薄くすることが可能
となる。つまり、薄い鏡基板6と厚い梁9とが一枚の基
板から一体として作製される。これによって、鏡面の形
状を変化させる際に鏡面の形状の変化量が大きく、鏡固
定用部材に取り付ける場合などに鏡面の歪みが少ない形
状可変鏡となる。
【0039】鏡材1の材料は、例えば誘電体多層膜等が
挙げられ、スパッタ法等により形成される。その後、鏡
基板6の鏡面側と反対側の面において、梁9以外の部分
にエッチング等によって凹部分を形成する。この凹部分
の底面に、共通電極4や個別電極5の形成及び圧電基板
2の接着を行った後、各電極に配線を施して被固定部材
を作成し、これを鏡固定用部材8に固定する事で、本発
明の形状可変鏡は完成する。なお、各電極の形成や配線
方法は実施例7において詳述する。
【0040】次に本発明の形状可変鏡を用いた光ディス
ク情報入出力装置の構成について説明する。図7に、本
発明の光ディスク情報入出力装置のブロック図を示す。
図7に示すように本発明の光ディスク情報入出力装置
は、本発明の形状可変鏡30、光ディスク31、対物レ
ンズ及び対物光学系32、立ち上げ鏡33、偏光ビーム
スプリッタ34、レーザ素子及びレーザ光学系35、光
検出素子及び光検出光学系36から成る。レーザー素子
から発光するレーザー光は、レーザ光学系によって平行
光となり、偏光ビームスプリッタ34を通り、形状可変
鏡30で反射され、立ち上げ鏡33でさらに反射され、
対物レンズ及び対物光学系32で集光され、光ディスク
31に焦点を結ぶ。また、光ディスク31から反射した
レーザ光は、対物レンズ及び対物光学系32を通り、立
ち上げ鏡33で反射され、形状可変鏡30で再度反射さ
れ、偏光ビームスプリッタ34を通り、光検出光学系で
集光され、光検出素子で検出する。光検出素子にはチル
ト検出用の検出素子も設置されている。なお図7におい
て、光ディスク31以外の部分が、光ピックアップ装置
に対応する。
【0041】次に本発明の形状可変鏡の動作について図
8を用いて説明する。図6に示すような構造を有する形
状可変鏡において、共通電極4を接地し、圧電材料2を
挟んだ2個の個別電極5の、片方にプラスの電圧、他方
にマイナスの電圧を印加するとする。鏡基板6自体は電
圧を印加しても伸縮しないが、圧電材料2は、電圧を印
加すれば伸縮する。個別電極5にプラスの電圧を印加し
た場合に、個別電極5の設置部分の圧電材料2が縮むと
すると、マイナスの電圧を印加した場合にはその部分の
圧電材料2は伸びることとなり、個別電極5にプラスの
電圧を印加した場合には鏡基板6上の鏡材1の鏡面は凸
面に、個別電極5にマイナスの電圧を印加した場合には
鏡基板6上の鏡材1の鏡面は凹面になる。その結果、図
6に示す構造を有する形状可変鏡のA−A’方向の断面
における鏡面の形状は、図8(d)に示すような断面形
状の曲面になる。ここで、図8(d)の横軸は鏡面にお
けるA−A’方向の座標、縦軸は鏡面の形状の変化量で
ある。ただし、鏡面の形状が変化する前は、鏡面の形状
は平面であるとしている。また2個の個別電極5に、前
述と逆の電圧をかけた場合には、図8(d)と逆の断面
形状になる。このような形状可変鏡を、図7に示す光ピ
ックアップ装置の光軸上に設置し、鏡面の形状を制御す
ることによって、チルトによるコマ収差を低減すること
が可能となる。
【0042】次に本発明の形状可変鏡を設置した光ディ
スク情報入出力装置におけるレーザ光の波面収差の低減
について図8を用いて説明する。図7に示す本発明の光
ディスク情報入出力装置において、光ディスク11にチ
ルトが起こると、光ディスク11から反射して戻ってき
たレーザ光の波面は乱れコマ収差が発生する。チルトし
た光ディスク11から戻ってきて形状可変鏡10の鏡面
に入射するレーザ光の波面収差は、光ディスクのチルト
した方向に沿って符号が変わる波面収差となる。
【0043】このようなチルトにより発生する波面収差
を打ち消すために、図6に示す本発明の形状可変鏡を、
図6の形状可変鏡のA−A’方向とレーザ光における光
ディスクのチルト方向に沿った方向とを一致させて、図
7のように光ピックアップ装置の光軸上に設置する。前
述した本発明の形状可変鏡の動作により、鏡面の形状を
図8(d)のように形状可変鏡のA−A’方向について
凸面と凹面が生じるように鏡面の形状を適切に制御すれ
ば、チルトによる波面収差(コマ収差)の補正又は低減
が可能となる。ここで簡単の為に形状可変鏡のA−A’
方向の断面にのみ注目して、レーザ光の波面収差の低減
を、図8を用いて説明する。
【0044】図8(a)は、形状可変鏡のA−A’方向
に対するレーザ光の波面収差図である。ここで、図8
(a)〜(c)の縦軸は波面収差であり、横軸は図6に
示す本発明の形状可変鏡のA−A’方向における座標で
ある。なお、光ディスク11がチルトせずレーザ光の光
軸に対し垂直であれば、図8(a)に示すような波面収
差は発生せず、波面は図の横軸に一致する。図8(b)
は、図6に示した形状可変鏡を故意に収差を発生させる
ように動作させ、無収差の光を形状可変鏡に照射した場
合の反射光の波面収差を表した図である。今、光ディス
クにチルトが生じ、光ディスクからの反射光の波面収差
が図8(a)であったとして、形状可変鏡の形状を、光
ディスクにチルトが生じていない場合に形状可変鏡で反
射した光の波面収差が図8(b)となるように制御す
る。このときには、図8(a)と図8(b)の波面収差
が互いに相殺する関係となって形状可変鏡からの反射光
の波面収差は図8(c)のようになり、8(a)と比較
して波面収差を低減させることができる。
【0045】<実施例2>本発明の第2の実施例を図9
に基づいて説明する。図9(a)は、本発明の第2の実
施例における形状可変鏡の裏側から見た平面図、図9
(b)は、A−A’方向の断面図である。図9(a)、
(b)に示すように本発明では、鏡部に貫通した穴又は
貫通した切り込み(以後まとめて、スリットと表記す
る)を設けることを特徴とする。スリット10は、鏡面
におけるレーザー光を反射させる部分の外周に一又は複
数個設ける。図9(a)ではスリット10を、A−A’
方向に平行な方向に4カ所(各辺2カ所ずつ)、垂直な
方向に2箇所(各辺1カ所ずつ)に設けてある。この
為、鏡面の歪みを減少させる為に鏡基板6に剛性のある
梁9を設けても、鏡基板6のスリット10より内側の部
分は、鏡固定用部材8に固定する支持体11が鏡面の四
隅及びA−A’方向の中央付近の二箇所と少ない為、圧
電基板2による鏡面の形状の変化は起こり易くなる。ま
た、スリット10を設ける事で、梁9が多少歪んでも、
その歪みによる鏡面の変形は起こりにくくなる。
【0046】本発明の理想的な鏡面形状は、図9(c)
に示すように、鏡基板6を支える支持体11を細く作製
し、支持体11の個数も最小限に留めた形状である。図
9(c)では、支持体11の個数は2個である。しか
し、鏡基板6の加工途中の洗浄等による破損が心配され
るので、破損防止の為には支持体11は多く設置するこ
とが好ましい。スリット10は、形状、個数や配置など
も含めて、図9に示しす形態に限定されず、本発明の趣
旨を逸脱しない範囲で任意に決定できる。
【0047】<実施例3>本発明の第3の実施例を図1
0に基づいて説明する。
【0048】図10(a)は、本発明の形状可変鏡の鏡
基板6を鏡固定用部材8に固定した状態を表した、形状
可変鏡のA−A’方向に沿った断面図である(ただし鏡
材1、ワイヤは省略)。図10(a)に示すように、鏡
基板6と鏡固定用部材8とが、鏡固定用部材8の外周部
分である梁9において接着剤12によって接着される。
このような梁9における接着によって鏡基板6を固定す
る事によって、鏡基板6の梁9より上部すなわち鏡材1
付近へ接着剤12がはみ出すことが無くなる。その結果
として接着剤の収縮応力による鏡面の歪みが少なく、鏡
基板6の鏡固定部材8への実装工程を簡略化することが
できる。
【0049】図10(b)は、本発明の形状可変鏡をA
−A’方向と垂直な方向から見た側面図であり、点線は
透視した鏡基板6及び梁9を表す。鏡固定用部材8の表
面の平面度が低い場合でも、剛性のある梁9が鏡基板6
の外側に存在するので、接着層12を介して鏡固定用部
材8に接続するときなどに、鏡面の形状の歪みは少な
い。逆に梁9が存在しない従来の鏡基板6では、図10
(c)のように、厚さの薄い鏡基板6の鏡面と反対側の
面で接着するとき、鏡基板6の剛性が低い為、鏡固定用
部材8の表面形状に沿って接着されることとなり、鏡面
の形状が歪んでしまう。
【0050】また、接着剤12にシリコーンゴムのよう
な弾性のある材料を用いて、図10(d)に示すような
スポット接着(図10(d)では梁9の両端部のみの接
着)をすることで、鏡基板6を鏡固定用部材8に固定し
た後に、鏡固定用部材8に歪みが生じたとしても、歪み
は接着剤12の弾性で吸収されると共に梁9の剛性によ
って、極端に鏡面の形状が歪む事は無くなる。
【0051】鏡固定用部材8の表面は、実際には歪みだ
けでなく微細な凹凸やうねりが存在する為、通常では面
精度の高いガラス基板等が用いられるが、価格や製造の
面で取り扱いにくい。これに対して本発明の形状可変鏡
では、鏡固定用部材8の表面に微細な凹凸やうねりがあ
っても、上述のように剛性のある梁9の存在により、鏡
面の平面度が確保される。従ってガラスエポキシ樹脂基
板のような凹凸が存在する基板でも、鏡固定用部材8と
して使用する事が可能である。
【0052】<実施例4>本発明の第4の実施例を図1
1及び図12に基づいて説明する。本発明は、鏡基板6
の材料をシリコンとし、シリコンの異方性エッチングに
より、シリコン基板に凹部分を形成する形状可変鏡の製
造方法である。シリコンの異方性エッチングは、単結晶
シリコンの結晶面で決まる正確な立体構造に加工する、
特に面方位の違いによりエッチング速度が異なる性質を
利用してシリコンを加工する方法である。例えば図11
(a)に示すように、シリコン単結晶基板の<100>
面の外周部分にマスクを施し、KOH溶液でウェットエ
ッチングすると、正四角錐の形状の凹部分を作製するこ
とができる。この場合の凹部分の側壁は、シリコン単結
晶基板の<111>面であり、図11(a)のa−a’
断面図に示すように、凹部分の側壁の角度は、<100
>面に対して54.7°傾いている。マスクの範囲とエ
ッチングの時間を調節することで図11(b)のような
正四角錐台の形状の凹部分も作製でき、鏡基板6に利用
することが可能となる。
【0053】鏡基板6の製造方法は、図12(a)に示
すように、シリコン基板の両面(図12aの上下の面)
にマスク材13を形成するが、表面は全てマスクし、裏
面はマスク材13をフォトリソグラフィ工程によりパタ
ーニングする。マスク材13は、KOH溶液に不溶で絶
縁性の膜を形成する任意の材料を使用することができ、
例えばSiO,SiON,SiN,Ta等が挙
げられる。これらの材料は、スパッタ法により成膜でき
る。シリコン基板の裏面におけるマスク材13のパター
ニングは四角形の枠であり、シリコン基板の裏面は、ド
ライエッチング又はウエットエッチングによって処理さ
れる。このとき、四角形の枠の形状であるマスクの一辺
を、シリコンウエハーのオリエンテーションフラット面
との角度が45°となるように配置することで、前述の
異方性エッチングを行うことができる。ここでオリエン
テーションフラット面は、<001>面や<010>面
となっており、マスクを45°傾けることでマスクの一
辺が<011>面上に来る。この状態で<100>面か
らエッチングすると<111>面を側壁とする正四角錐
(台)状の凹部分を形成することができる。
【0054】ここでシリコン基板のエッチングされない
部分が梁9となるが、シリコン基板の厚さと梁9の幅
は、梁としての強度を確保する為に、梁9の幅より梁9
の高さが極端に高くならないようにエッチングする必要
がある。KOH溶液を約90℃に加熱して、鏡基板6と
なるシリコン基板の中央の厚さを、例えば100μmと
なるようにウェットエッチングすることで、図10
(a)に示すような形状の鏡基板6及び梁9が得られ
る。
【0055】次に図10(b)に示すように、図10
(a)の状態のシリコン基板からマスク材13を剥離し
た後、表面に鏡材1を形成し、鏡面と反対側の面には、
共通電極4をスパッタ法や蒸着法により成膜する。この
場合、共通電極4の材料をメタルマスクによって堆積さ
せることで、パターニング工程を省略することができ
る。また鏡材1は、例えば誘電体多層膜やAl又はAu
膜等をスパッタ法や蒸着法等で成膜する。
【0056】次に図10(c)に示すように、共通電極
4の上に圧電基板2を貼り付け、さらに圧電基板2の上
に個別電極5をスパッタ法や蒸着法により成膜する。共
通電極4と個別電極5とに細いワイヤ21をそれぞれ配
線することで、本発明の形状可変鏡の被固定部分は完成
する。
【0057】<実施例5>次に本発明の第5の実施例を
説明する。本発明は、本発明の形状可変鏡において、鏡
部の凹部分の中央部分の厚さが50μm〜300μmで
あることを特徴とする形状可変鏡である。この鏡部の凹
部分の中央部分の厚さは、実験結果から得られた値であ
り、50μm以下だと鏡部の凹部分の中央部分の厚さが
薄過ぎて、共通電極4の応力や圧電基板2の貼り付けに
よって起こる接着剤の収縮等による鏡面の歪みが大きく
なる。また、300μm以上だと鏡部の凹部分の中央部
分の厚さが厚過ぎて、圧電基板2で鏡基板6を駆動した
場合に、鏡面の十分な変形が得られない。また、鏡部の
凹部分の中央部分の厚さが厚くなることで、スリットの
加工が困難であったり、外形寸法が大きくなるなどの不
具合が発生する。鏡部の凹部分の中央部分の厚さを50
μm〜300μmとすることで、低電力で波面収差を良
好に低減することができ、量産時の歩留まりが向上す
る。
【0058】<実施例6>本発明の第6の実施例を図1
3に基づいて説明する。本発明は図13に示すように、
1枚のウエハーに複数個の形状可変鏡の被固定部分を一
体に形成し、その複数個の形状可変鏡の被固定部分を分
割する境界部分(以後スクライブラインと表記する)に
溝14を設けたことを特徴とする。実施例5と同様に、
鏡部の凹部分の中央部分の厚さは50μm〜300μm
と非常に薄く作製している。その為鏡基板6は機械的な
力に対して弱く、例えばダイシングソーによる切断時に
は冷却水の水圧でも簡単に破損してしまう。この破損を
防ぐ為に、鏡基板6の鏡面と反対側の凹部分にレジスト
等を充填・乾燥して強度を確保しているが、スピンコー
ターでレジストを塗布する際に形状可変鏡の鏡面を真空
吸着しているので、鏡面に傷が付き易い。この鏡面の損
傷を防止する為、別の膜によって鏡面をコートするとい
う複雑な工程となってしまう。本発明ではスクライブラ
インに溝14を設けており、図13(b)に示すように
鏡面をテープ15で固定して溝14部分を支点に力のモ
ーメントを加えること(図13(b)の矢印)で簡単に
ダイシングすることができる。溝14のエッチングは、
鏡基板6の鏡面と反対側に凹部分を作製する際にエッチ
ングで一度に作製でき、特にシリコン基板を用いた場合
には凹部分を形成する為のマスクパターンに溝14のパ
ターンを加えるだけで簡単に製造できる。
【0059】<実施例7>本発明の第7の実施例を図1
4に基づいて説明する。本発明では、図14(a)に示
すように共通電極4及び個別電極5と外部電源との接続
のために、鏡部の鏡面と反対側の面に接続用電極16及
び17などの電極接続用配線パターンを設けている。こ
こで共通電極4は梁9の部分にまで延長してあり、接続
用電極16はその共通電極4の一部分である。また、図
14(b)に示すように鏡固定用部材8の表面には、鏡
固定用部材用電極18、19が形成されている。接続用
電極16は、梁9の部分で鏡固定用部材用電極19と接
続される。一方、2つの個別電極5は、それぞれワイヤ
ボンディングにより接続用電極17と電気的に接続さ
れ、接続用電極16と同様に梁9の部分で鏡固定用部材
用電極18と電気的に接続される。
【0060】鏡固定用部材8は、鏡固定用部材用電極1
8、19の配線を施した絶縁性の基板であり、シリコン
基板やガラス基板、ガラスエポキシ樹脂基板、又はセラ
ミック等の材料が挙げられるがこれらに限定されない。
【0061】接続用電極16及び17の材料は、任意の
ボンディングできる金属であって、例えばAu,Al,
Pt、Cu等が挙げられる。これらの接続用電極16及
び17は、フォトリソグラフィによるパターニングやメ
タルマスクによる堆積等により作製できる。実施例4に
記載したようにシリコン基板の異方性エッチングで凹部
分を作製すると、凹部分の側壁の角度は直角ではなく約
54°と緩やかなので、接続用電極16、17の折れ曲
がる位置における断線等の心配がない。
【0062】接続用電極16及び17を有する鏡基板6
と鏡固定用部材用電極18及び19を有する鏡固定用部
材8との電気的な接続は、例えば導電性接着剤や半田等
により行われる。鏡固定用部材用電極18及び19と電
源等の外部の装置との電気的接続は、半田を用いて配線
することができる。図14(c)は接続用電極16及び
17を有する鏡基板6と鏡固定用部材用電極18及び1
9を有する鏡固定用部材基板8を接続した図で、鏡基板
6を透視させて描いてあり、図14(d)はその接続し
た状態における形状可変鏡のA−A’方向の断面図であ
る。
【0063】なお、これまでの実施例では、鏡基板6上
に共通電極4を設け、圧電基板2上に個別電極5を設け
て作製してあるが、逆に鏡基板6上に個別電極5を設
け、圧電基板2上に共通電極4を設けてもよい。また共
通電極4の代わりに、それぞれ個別電極5に対応する独
立した電極を用いてもよい。また実施例では2個の個別
電極としたが、1個の個別電極でも3個以上の個別電極
でもよいことは述べるまでもない。
【0064】<実施例8>本発明の第8の実施例を図1
5に基づいて説明する。本発明は、実施例2における鏡
部に貫通した穴又は貫通した切り込み(スリット)を設
けた形状可変鏡に関する。本発明の形状可変鏡におい
て、スリット10の存在は、鏡面の形状を変化させる際
に、鏡面の形状をより大きく変化させることを可能にす
る。鏡面の形状の変化量は、支持体11の形状、位置、
及び個数による効果が大きく、支持体11を適切に設計
すればスリット形状にはあまり依存しない。ただし、ス
リット幅は支持体の長さに関係する。
【0065】ここで鏡面において波面収差の低減に使用
する面積を確保しつつ、スリット幅を広げると、鏡面全
体の面積を増加させることになり、形状可変鏡の外形寸
法も増加することになる。従って鏡面におけるスリット
幅は狭くすることが好ましい。
【0066】図15は、本発明の形状可変鏡に形成され
るスリット10の断面図である。本発明では図15
(a)に示すように、スリットの開口面積が、鏡面の反
対側から鏡面側に向って連続的に狭くなるような構造と
している。この構造は鏡面側でスリット幅を狭くしてあ
るので、鏡面において波面収差の低減に使用し得る面積
が広くなる。この面積の増加分だけスリットの位置を中
央に寄せて設計すれば、鏡部の大きさを減少させ、形状
可変鏡の外形寸法を小さくし得る。また、鏡面の反対側
でスリット幅を広げると、鏡基板6の形状を変化させ易
くなり、鏡面の形状変化させる際に鏡面の形状の変化量
を大きくし得る。このような構造により、外形寸法を増
大させることなく鏡面の形状の変化量を大きくすること
が可能となり、形状可変鏡の設計の自由度を増加させる
ことができる。
【0067】スリット10の断面の形状は、図15
(b)に示す形状でもよい。図15(b)のように、鏡
面側でスリット幅を狭くすると共に梁9付近におけるス
リットの形状が鏡面に対して垂直である場合には、鏡面
におけるスリット10の位置を、鏡面の波面収差の低減
に使用し得る面積が増加した分だけ中央に寄せると共に
梁9の位置もより内側に寄せて設計することができる。
その結果、形状可変鏡全体の外形寸法を小さくすること
ができ都合がよい。
【0068】<実施例9>本発明の第9の実施例を図1
6に基づいて説明する。本発明は第4の実施例における
形状可変鏡の製造方法において、さらにスリット10を
異方性エッチングにより形成する製造方法である。異方
性エッチングにより鏡部にスリット10を形成すること
で、スリット10の側壁の角度を正確に再現することが
できる。よって設計の精度が確保でき、製造の歩留まり
が向上する。スリット10の側壁は梁9側壁と同じシリ
コン単結晶基板の<111>面であり、梁9と同様に作
製することができ、側壁の鏡面に対する角度も54.7
°となる。
【0069】本発明の形状可変鏡の製造方法は、図15
(a)に示すように、鏡基板6となるシリコン基板にマ
スク材13を形成するが、鏡面と反対側の面には、マス
ク材13をフォトリソグラフィ工程によりパターニング
する。マスク材13は、KOH溶液に不溶で絶縁性を有
する任意の膜であり、例えばSiO,SiON,Si
N,Ta等が挙げられる。これらの材料は、スパ
ッタ法による成膜に使用できる。鏡面と反対側の面にお
けるマスク材13のパターニングは、四角形の枠でドラ
イエッチング又はウエットエッチングすることによって
行われる。このとき四角形の枠であるマスクの一辺を、
シリコンウエハーのオリエンテーションフラットとの角
度が45°となるように配置することで、図16(a)
に示す異方性エッチングを行うことができる(オリエン
テーションフラット面は<001>面又は<010>面
である)。KOH溶液を約90℃に加熱して、シリコン
基板の鏡基板6となる部分を、例えば100μmとなる
ようにエッチングすることで、図16(a)に示すよう
な形状が得られる。
【0070】次に図16(b)に示すように、鏡基板6
の鏡面の反対側において、鏡基板6の中央部分及び梁9
の側壁にマスク材13を新たに形成し、フォトリソグラ
フィ工程により、スリット形成用に鏡基板6の梁9付近
に窪みを形成する。このとき窪みの側壁の角度は54.
7°となることを考慮してスリット幅を設計する。次に
図16(c)に示すように、マスク材13を剥離した
後、鏡基板6の鏡面側に鏡材1を形成し、鏡面の裏側の
面には共通電極4をスパッタ法や蒸着法により成膜す
る。このときメタルマスクによる堆積を行うことで、パ
ターニング工程を省略することができる。鏡材1は、例
えば誘電体多層膜やAl又はAu膜等をスパッタ法や蒸
着法等で成膜したものである。さらに図16(b)で形
成した窪みをフォトリソグラフィ工程により貫通させて
スリット10を形成する。
【0071】次に図16(d)に示すように、共通電極
4の上に圧電基板2を貼り付け、さらに圧電基板2の上
に個別電極5をスパッタ法や蒸着法により成膜する。共
通電極4と個別電極5とに細いワイヤ21をそれぞれ配
線することで、本発明の形状可変鏡の被固定部分は完成
する。
【0072】<実施例10>本発明の第10の実施例を
説明する。本発明は、本発明の形状可変鏡を有する光ピ
ックアップ装置を備える、CD及びDVDなどの光ディ
スク情報入出力装置である。
【0073】本発明による形状可変鏡の特徴は、厚さの
薄い鏡基板6の外周に梁9を有しており、鏡部が梁9の
鏡固定部で鏡固定用部材に固定される為、鏡面の歪みが
少なく容易に鏡基板6を鏡固定用部材8に取り付けるこ
とが可能となる。また、鏡基板6の厚さを薄くできる
為、低電力で大きな鏡面形状の変化を得ることができる
と共に外部振動に対しても鏡面形状が安定している。さ
らに本発明の形状可変鏡は、シリコン加工の工程を用い
て製造できる為に、量産性に富む。加えて、外形寸法も
小型に製造でき、特に形状可変鏡の厚さは、製造前のシ
リコン基板の厚み程度に収まる。
【0074】この形状可変鏡を、CD及びDVDなどの
光ディスク情報入出力装置に搭載することで小型かつ軽
量で安価な装置が実現できるとともに、レーザ光の波面
収差の低減が可能であり、外部振動に対して安定する為
に携帯性に優れた、光ディスク情報入出力装置を提供す
ることが可能となる。
【0075】
【発明の効果】本発明によれば、鏡面の形状を変化させ
る際には鏡面の形状の変化量が大きく鏡面の歪みが少な
い形状可変鏡、該形状可変鏡を有する光ピックアップ装
置を備えた光情報入出力装置、及び前記形状可変鏡を精
度良く製造する方法を提供することができる。
【0076】
【図面の簡単な説明】
【図1】光ディスクのチルトによるコマ収差の発生を説
明する図であり、(a)は、CD、(b)は、DVDに
おける図である。
【図2】従来の液晶板の図である。
【図3】従来の透明圧電素子の図である。
【図4】従来の複数のアクチュエータを利用した形状可
変鏡の図である。
【図5】従来の形状可変鏡を説明する図であり、(a)
は、形状可変鏡の鏡基板部の斜視図であり、(b)は、
形状可変鏡の鏡基板部と圧電基板部を細いワイヤで接続
した部分の斜視図であり、(c)は、形状可変鏡の線
B、B’に沿った断面図である。
【図6】本発明の第1の実施例における形状可変鏡にお
ける被固定部分の、鏡面の裏側から見た平面図及びA−
A’方向の断面図である。
【図7】本発明の形状変化鏡を含めた光ディスク情報入
出力装置全体のブロック図である。
【図8】本発明の形状可変鏡のA−A’方向における波
面収差の低減を説明する図であり、(a)は、チルトに
より発生したレーザ光の波面収差図、(b)は、本発明
の形状可変鏡により発生させた波面収差図、(c)は、
本発明の形状可変鏡で低減した後の波面収差図、(d)
は、本発明の形状可変鏡の波面収差を低減する鏡面の形
状を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施例における形状可変鏡を説
明する図であり、(a)は、被固定部分の鏡面の裏側か
ら見た平面図であり、(b)は、被固定部分のA−A’
方向の断面図であり、(c)は、理想的なスリット形状
を有する形状可変鏡における鏡部の鏡面の裏側から見た
平面図である。
【図10】本発明の第3の実施例における形状可変鏡を
説明する図であり、(a)は、本発明の形状可変鏡のA
−A’方向における断面図であり、(b)は、本発明の
形状可変鏡のA−A’方向に沿って見た側面図であり、
(c)は、従来の形状可変鏡のA−A’方向に沿って見
た側面図であり、(d)は、鏡固定用部材にスポット接
合した本発明の形状可変鏡の効果を説明する図である。
【図11】本発明の第4の実施例における形状可変鏡を
作製する為の異方性エッチングによる基板の凹部分の形
成を説明する図であり、(a)は、最後までエッチング
した凹部分の図であり、(b)は、エッチングの時間を
調節した場合に形成される凹部分の図である。
【図12】本発明の第4の実施例における形状可変鏡を
作製する方法を説明するA−A’方向の断面図であり、
(a)は、鏡基板と梁を形成した図であり、(b)は、
(a)に鏡材及び共通電極を成膜した図であり、(c)
は、形状可変鏡の被固定部分の完成図である。
【図13】本発明の第6の実施例における形状可変鏡を
作製する方法を説明する図であり、(a)は、ダイシン
グ前の接合した複数個の形状可変鏡の被固定部分におけ
るA−A’方向の断面図であり、(b)は、テープを使
用したダイシングの図である。
【図14】本発明の第7の実施例における形状可変鏡を
説明する図であり、(a)は、形状可変鏡の被固定部分
を鏡面の裏側から見た平面図及びA−A’方向の断面図
であり、(b)は、鏡固定用部材の鏡面側から見た平面
図であり、(c)は、鏡基板を鏡固定用部材に固定した
状態における形状可変鏡の鏡面側から見た透視図であ
り、(d)は、鏡基板を鏡固定用部材に固定した状態に
おける形状可変鏡のA−A’方向の断面図である。
【図15】本発明の第8の実施例におけるスリットの断
面形状を説明する図であり、(a)は、鏡面側に狭く鏡
面の裏側に広がる形状のスリットを示す図であり、
(b)は、梁付近で鏡面に対して垂直な断面形状を有す
るスリットを示す図である。
【図16】本発明の第9の実施例における形状可変鏡を
作製する方法を説明するA−A’方向の断面図であり、
(a)は、鏡基板と梁を形成した図であり、(b)は、
(a)にスリットを形成する為にマスキングをした図で
あり、(c)は、(b)の鏡部にスリット10を形成
し、鏡材及び共通電極を成膜した図であり、(d)は、
形状可変鏡の被固定部の完成図である。
【符号の説明】
1 鏡材 2 圧電基板 3 鏡固定部 4 共通電極 4a 圧電基板用共通電極 4b 鏡基板用共通電極 5 個別電極 5a 圧電基板用個別電極 5b 鏡基板用個別電極 6 鏡基板 7 絶縁層 8 鏡固定用部材 9 梁 10 スリット 11 支持体 12 接着剤 13 マスク材 14 溝 15 テープ 16、17 接続用電極 18、19 鏡固定用部材用電極 20 細いワイヤ 30 形状可変鏡 31 光ディスク 32 対物レンズ及び対物光学系 33 立ち上げ鏡 34 偏光ビームスプリッタ 35 レーザ素子及びレーザ光学系 36 光検出素子及び光検出光学系 101a 対物レンズ(CD用) 101b 対物レンズ(DVD用) 102a 樹脂層(CD用) 102b 樹脂層(DVD用) 103a CDにおけるスポット 103b DVDにおけるスポット 108 記録層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H041 AA12 AB12 AB38 AC08 AZ01 AZ05 5D118 AA13 BA01 EA11 FB12 5D119 AA20 BA01 EC04 EC15 JA54 NA05 5D789 AA20 BA01 EC04 EC15 JA54 NA05

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鏡部の鏡面の形状が可変な形状可変鏡に
    おいて、 前記鏡部は、前記鏡面の反対側に凹部分を有することを
    特徴とする形状可変鏡。
  2. 【請求項2】 前記鏡部は、前記凹部分の外周部分で、
    前記鏡部を固定する鏡固定用部材に固定されることを特
    徴とする請求項1記載の形状可変鏡。
  3. 【請求項3】 前記凹部分の中央部分の厚さは、50μ
    m乃至300μmであることを特徴とする請求項1又は
    2記載の形状可変鏡。
  4. 【請求項4】 前記鏡部の鏡面と反対側の面に電極接続
    用配線パターンを有することを特徴とする請求項1乃至
    3いずれか1項記載の形状可変鏡。
  5. 【請求項5】 前記鏡部は、貫通した穴及び/又は貫通
    した切り込みを有することを特徴とする請求項1乃至4
    いずれか1項記載の形状可変鏡。
  6. 【請求項6】 前記貫通した穴及び/又は貫通した切り
    込みの開口面積は、前記鏡面と反対側の面から前記鏡面
    に向って連続的に狭くなることを特徴とする請求項5記
    載の形状可変鏡。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6記載の形状可変鏡を有す
    る光ピックアップ装置を備えることを特徴とする光ディ
    スク情報入出力装置。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至6いずれか1項記載の形状
    可変鏡の製造方法において、 前記鏡部の凹部分は、シリコン基板の異方性エッチング
    によって形成されることを特徴とする形状可変鏡の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 請求項5又は6記載の形状可変鏡の製造
    方法において、 前記貫通した穴及び/又は貫通した切り込みは、異方性
    エッチングにより開口されることを特徴とする形状可変
    鏡の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至6いずれか1項記載の形
    状可変鏡の製造方法において、 複数個の、前記形状可変鏡の鏡固定用部材に固定される
    部分を、溝を有する境界部分を介して一体に形成し、 前記溝で切断して、一個の前記鏡固定用部材に固定され
    る部分に分離することを特徴とする形状可変鏡の製造方
    法。
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