以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図8を参照して、本発明の第1実施形態による吸気装置90の構成について説明する。
本発明の第1実施形態による吸気装置90は、図1に示すように、自動車用の直列4気筒型のエンジン100に設けられている。また、吸気装置90は、図2に示すように、サージタンク10と、サージタンク10の出口側(吸気の流れ方向における下流側)に接続された吸気ポート20とを備えている。吸気ポート20は、サージタンク10から4本に枝分かれした吸気通路20aを有している。また、各々の吸気通路20aの出口部近傍には吸気流制御弁30が組み込まれている。構造的には、共に樹脂製のサージタンク10と4本の吸気ポート20とが振動溶着により一体的に形成されている。そして、吸気ポート20の開口端部21がエンジン100のシリンダヘッド203に連結されている。なお、エンジン100は、本発明の「内燃機関」の一例である。
また、ピストン201を内蔵するシリンダブロック202の上端にシリンダヘッド203が連結されている。各シリンダヘッド203には、燃焼室203aに吸気を行う吸気バルブ204と、燃焼ガスを排出する排気バルブ205と、燃焼室203aの混合気に点火を行う点火プラグ206と、燃焼室203aに燃料を供給するインジェクタ(図示せず)とが設けられている。ピストン201の吸気作動時に吸気バルブ204が開放され燃焼室203aに吸気が行われるとともに、燃焼室203aにインジェクタから燃料が供給される。圧縮作動に続いて点火プラグ206により燃焼室203aの混合気に点火して燃焼が行われ、この燃焼による膨張力がピストン201からクランクシャフト(図示せず)に伝達される。エンジン100では、動力がクランクシャフトから取り出される。
また、エンジン100は、吸気装置90を含めてその上流側に配置された吸気系を有している。吸気系は、エアクリーナ(図示せず)とエアダクト(図示せず)とスロットルバルブ(図示せず)とが吸気の流れ方向に沿ってこの順に接続されている。そして、スロットルバルブがサージタンク10の入口部(図示せず)に接続されている。
また、エンジン100は、燃焼室203aから外部に排気された排気ガスの一部を吸気系に再循環させるEGR(Exhaust Gas Recirculation)に対応している。具体的には、図1に示すように、吸気ポート20には、吸気通路20aと隔壁(後述する収容部25)を隔てて1つのEGRチャンバ22が設けられている。また、EGRチャンバ22から各々の吸気通路20aに向けて延びるEGR導入路23が設けられている。そして、EGRチャンバ22の底部には、EGR弁41から延びるEGR配管42が接続されている。これにより、EGR配管42を通過した排気ガスは、EGRチャンバ22に充満した後、各々のEGR導入路23を介して対応する吸気通路20a内に導入されるように構成されている。
エンジン100にEGRが適用されることにより、ポンピングロス(吸排気損失)が低減されて燃料消費率が改善される。ただし、排気ガスの導入量(EGR率)は、エンジン100の運転状態(回転数および負荷状態)に応じて異なる。EGR率は、エンジン100が低回転数域かつ低負荷状態で運転される際に相対的に多いのがポンピングロス軽減のためにも好ましい。また、EGR率は、エンジン100が高回転数域かつ高負荷状態で運転される際に相対的に少ないのが高出力を得るためにも好ましい。
また、吸気装置90では、吸気流制御弁30により吸気通路20aを流通する吸気流の偏向度合が制御可能に構成されている。すなわち、吸気流制御弁30が開閉されることにより吸気通路20aの断面形状(流路断面積)が制御されて、燃焼室203aに供給される吸気空気に、所定の気流形状が付与される。エンジン100では、所定の回転数域(負荷状態)において燃焼室203aに縦渦(タンブル流)が作り出される。また、燃焼室203a内でのタンブル流が制御されることにより、混合空気の燃焼効率が改善されて窒素酸化物を含む排気ガス成分の改善につながる。したがって、エンジン100の運転状態(回転数および負荷状態)に応じて吸気流制御弁30が適切(最適)に制御されるように構成されている。
具体的には、図2に示すように、吸気装置90には、吸気流制御弁30を駆動するアクチュエータ50と、吸気流制御弁30の開度を検出するセンサ部60とが設けられている。エンジン100は図示しないECU(制御部)を備えており、センサ部60により検出される吸気流制御弁30の開度がECU側で把握される。そして、吸気流制御弁30の開度情報に基づいてアクチュエータ50が駆動されることにより、エンジン100の運転状態(負荷状態)に応じた最適な開度になるように吸気流制御弁30の姿勢制御が行われる。
ここで、吸気流制御弁30まわりの構造について簡潔に説明する。図2に示すように、4つの吸気ポート20には、各々をX方向に連続的に貫通する貫通孔24が形成されている。貫通孔24は、開口端部21よりも若干上流側(Y2側)に配置されている。また、吸気流制御弁30は、4つのバルブ本体31が回動軸32を介して互いに接続されている。また、各々の回動軸32には、軸受部材33が回転可能に嵌め込まれている。そして、軸受部材33がフレーム部材34に嵌め込まれた状態で、フレーム部材34を含む吸気流制御弁30全体が吸気ポート20内部に組み込まれる。そして、最もX1側の吸気ポート20の外側面にアクチュエータ50が取り付けられ、最もX2側の吸気ポート20の外側面にセンサ部60が取り付けられる。この際、吸気流制御弁30とアクチュエータ50とは、軸部材51を介して連結され、吸気流制御弁30とセンサ部60とは、軸部材52を介して連結される。そして、開口端部21側から矢印Y2方向に差し込まれたスペーサ91により回動軸32が回動可能に保持される。そして、吸気ポート20は、ガスケット92を介して、開口端部21がシリンダヘッド203(図1参照)に締結されている。なお、バルブ本体31は、本発明の「吸気流制御弁」の一例である。
次に、吸気流制御弁30が吸気ポート20に組み込まれた状態でのバルブ本体31まわりの詳細な構造について説明する。
図2、図3および図5に示すように、樹脂製のバルブ本体31は、吸気の流れ方向(矢印Y1方向)に沿って見た場合、U字状の断面形状を有している。すなわち、バルブ本体31は、X1側およびX2側の各々に軸部31aを有する一対の支持部31bと、支持部31bの軸部31aとは反対側の端部同士を横方向(X方向)に繋ぐ主弁部31cとを有している。また、図5に示すように、主弁部31cは、平坦な上面31dと、上面31dとは反対側に凸状に突出する下面31eとを有している。なお、図3に示すように、下面31eは、軸部31aを中心に所定の曲率半径からなる円弧形状を有している。また、下面31eは、概略Y方向に沿って円弧形状を有して延びている。
また、図5および図6に示すように、バルブ本体31(図1参照)が配置された位置に対応するように、吸気ポート20には内底面25aを有する収容部25が設けられている。収容部25の内底面25aは、バルブ本体31の軸部31aを中心に所定の曲率半径からなる凹状の円弧形状を有している。すなわち、主弁部31cの下面31eの凸状の円弧形状が、収容部25の内底面25aの凹状の円弧形状に対応している。また、主弁部31cの断面形状は、収容部25の空間の断面形状に対応している。これにより、収容部25には、上方(Z1側)の軸部31aを中心として回動された主弁部31cが収容されるように構成されている。なお、吸気通路20aは、収容部25の内底面25a以外の部分として、顕著な凹凸などのない内面20bを有している。
バルブ本体31は、吸気通路20a内において、軸部31aを中心に矢印P方向または矢印Q方向に回動される。具体的には、アクチュエータ50(図2参照)が作動することによって、バルブ本体31は、図6に示す全開状態(開放姿勢)と、図7に示す中間開度状態(姿勢制御状態)と、図8に示す全閉状態(姿勢制御状態)との間の任意の姿勢に無段階で制御される。
バルブ本体31が後述する図8に示された全閉状態から矢印Q方向に回動されて図6に示される全開状態(開放姿勢)に制御されたとする。この場合、主弁部31cは、収容部25に完全に収容(退避)される。また、主弁部31cの上面31dが、吸気通路20aの内面20bと同一面状になる。すなわち、上流側端部31fおよび下流側端部31gを含む主弁部31cの下面31eの全ての領域が収容部25内に隠される。したがって、全開状態(図6参照)では吸気通路20aの断面形状(吸気流の通過断面積)は最大となる。これにより、吸気はバルブ本体31によって気流を制御されることなく燃焼室203a(図1参照)へと引き込まれる。
また、図6に示された状態からアクチュエータ50(図2参照)の作動とともにバルブ本体31が矢印P方向へ回動されたとする。この場合、主弁部31cは、収容部25から下流側(Y1側)に向かって矢印Z1方向に斜めに立ち上がる。すなわち、主弁部31cは、図7に示された状態を経て図8に示された状態へと、下流側端部31gが収容部25から徐々に吸気通路20a中に突出される。したがって、図7および図8に示された姿勢制御状態では、吸気通路20aの断面形状(吸気流の通過断面積)が主弁部31cの傾斜に応じて低減される。
そして、図8に示すように、バルブ本体31の下流側端部31gが収容部25から最大量突出した場合、主弁部31cの上面31dは、吸気通路20aの内面20bに対して最大角度を有して傾斜される。すなわち、主弁部31cの下流側端部31gと吸気通路20aのZ1側の内面20cとの間の隙間が最も狭められる。この場合、吸気通路20aの断面形状(吸気流の通過断面積)は最小となる。また、吸気通路20aの断面積が低減されることにより、吸気は気流制御されてタンブル流(縦渦(偏向流))が作り出される。これにより、エンジン100では、燃焼室203a(図1参照)にタンブル流が作り出された状態で混合空気が燃焼される。
なお、上記した吸気流制御弁30による気流制御を機能させるための制御テーブル(制御マップ)(図示せず)が、予めECU内の記憶領域に記憶されている。制御テーブルには、エンジン100の運転状態(回転数域および負荷状態)に対応した吸気流制御弁30の開度が設定されている。制御テーブルにおいて参照された開度設定情報に基づいてアクチュエータ50が駆動されることにより、バルブ本体31の姿勢が最適制御される。また、センサ部60により検出されるバルブ本体31の開度情報が駆動制御にフィードバックされることにより、吸気流制御弁30の姿勢制御が繰り返し行われる。
なお、エンジン100が相対的に低回転数域かつ低負荷状態で運転される際にはバルブ本体31が閉状態へと制御され、タンブル流を有する吸気空気が燃料に混合されて燃焼される。反対に、エンジン100が相対的に高回転数域かつ高負荷状態で運転される際にはバルブ本体31が開状態へと制御され、タンブル流の割合が減らされた吸気空気が燃料に混合されて燃焼される。制御テーブルにはこのような制御を行うための開度設定情報が設定されている。
ここで、第1実施形態では、エンジン100の運転中においては、吸気流制御弁30による吸気流の気流制御とともに、バルブ本体31の回動動作を利用して排気ガスを吸気通路20aに導入して再循環させるように構成されている。
具体的には、図1および図6に示すように、収容部25の内底面25aには、EGR導入路23が開口する開口部23aが設けられている。また、開口部23aは、排気ガスの流通する方向に対して直交する断面が、内径A(図6参照)を有して円形状に形成されている。また、開口部23aは、収容部25の下流側端部25b(図6参照)に配置されており、EGR導入路23は、斜め下方から斜め上方に向かって内底面25aを貫通している。そして、図6に示された全開状態からバルブ本体31(主弁部31c)が収容部25に対して矢印P方向に回動された場合、図7および図8に示すように、開口部23aを含む排気ガス通路が吸気通路20aに向けて開かれるように構成されている。これにより、吸気装置90においては、吸気の流れの制御とともに、吸気通路20aへの排気ガス導入の有無も同時に制御可能に構成されている。さらには、吸気流制御弁30の開度に応じて、排気ガスの導入量(EGR率)が制御(増減)可能に構成されている。なお、開口部23aは、本発明の「排気ガス導入口」の一例である。
より詳細には、図3〜図5に示すように、バルブ本体31には、排気ガス通路を構成するための溝部35が設けられている。溝部35は、収容部25(図6参照)に対向するバルブ本体31(主弁部31c)の下面31eに設けられている。また、溝部35は、下面31eにおいてバルブ本体31の回動方向(矢印P方向)に沿って延びている。すなわち、図3および図4に示すように、溝部35は、下面31eにおける上流側端部31fと下流側端部31gとの間の部分を起点として矢印P方向に延びている。そして、溝部35は、下流側端部31gの手前まで延びて終点を迎える。また、溝部35は、下面31eが有する凸状の円弧形状に沿って延びている。
また、図6に示すように、溝部35は、収容部25のEGR導入路23の開口部23aに接続されるとともに、溝部35によって主弁部31cと収容部25との間に空間(排気ガス通路)が形成されている。したがって、吸気ポート20は、収容部25の凹状の内底面25aとバルブ本体31(主弁部31c)の凸状の下面31eとの対向領域に、内径Aを有する開口部23aを通過した排気ガスを流通させて吸気通路20aへと排出する排気ガス通路が形成されるように構成されている。この際、主弁部31cの開度に応じて、排気ガス通路の最小断面積S(図7参照)が変化されるように溝部35の形状が形成されている。
すなわち、図4に示すように、溝部35は、上流側端部31f側に形成された入口部35aと、下流側端部31g側に形成された出口部35bとを有している。入口部35aは、溝深さD1および溝幅W1を有している。また、出口部35bは、入口部35aよりも小さい溝深さD2および溝幅W2を有している。そして、溝部35の溝深さD(図5参照)および溝幅W(図5参照)の両方が変化することにより、溝部35は、排気ガス通路の最小断面積Sがバルブ本体31の開度に応じて変化するように構成されている。
また、図5に示すように、溝部35は、縦横比(D対W)が1に近い正方形の断面形状を有した状態で溝深さDおよび溝幅Wの両方を変化させている。図4においては、入口部35aにおいて溝深さD1:溝幅W1=1:1である。また、出口部35bにおいても溝深さD2:溝幅W2=1:1である。また、入口部35aと出口部35bとの間の中間部35cにおいても、縦横比は1が保たれている。なお、図4では、円弧形状を有する下面31eを平面的に見ているので、溝部35の縦横比が、見かけ上、1でないように図示されている。また、図5に示すように、溝部35の内側面35dの両端部(X方向)はアールを有しており、溝部35の内側面35dは、Y方向に見て逆さU字状の断面形状を有している。
また、第1実施形態では、バルブ本体31(主弁部31c)の開度と、溝部35の大きさ(断面積)とは、以下の関係を有している。言い換えると、主弁部31cが所定位置に回動された際に開口部23aが対向する位置での溝部35の流路断面積(排気ガスの流通する方向に対して直交する断面の最小断面積S)は、以下のようにして定められている。
具体的には、まず、図6に示すように、バルブ本体31の開度が全開状態のときに排気ガス通路の最小断面積Sが最小(この場合、ゼロ)になるように溝部35の形状は形成されている。すなわち、バルブ本体31(主弁部31c)の開度が全開およびその近傍の状態では、溝部35の下流側端部31gと吸気通路20aとは連通せずに閉塞される。これにより、バルブ本体31の開度が全開近傍となった状態では、排気ガスが吸気通路20aに導入されないように構成されている。
次に、上記とは反対に、図8に示すように、バルブ本体31の開度が全閉状態のときに排気ガス通路の最小断面積Sが最大になるように、溝部35の形状は形成されている。また、バルブ本体31の開度が全閉状態では、排気ガス通路のうちのEGR導入路23との境界部分において排気ガス通路が最小断面積S(最大値)になるように構成されている。つまり、内径Aを有する開口部23aの断面積は、バルブ本体31が全閉状態となった場合の溝部35の断面積よりも小さい。すなわち、バルブ本体31が全閉状態のときの排気ガス導入量は、溝部35の入口部35a近傍の断面積ではなく内径Aを有する開口部23aの断面積によって律則されている。これにより、バルブ本体31の開度が全閉状態の場合には、内径Aを有する開口部23aを通過した排気ガスは、溝部35によりその流量を抑制されることなく吸気通路20aへと導かれる。
また、第1実施形態では、図8の状態から図7の状態を経て図6の状態へとバルブ本体31(主弁部31c)の開度が増加するにしたがって、排気ガス通路の最小断面積Sが最大値から最小値へと連続的に減少するように溝部35の形状が構成されている。すなわち、溝部35は、図3および図4に示すように、最大断面積を有する入口部35aから最小断面積を有する出口部35bに向かってU字状(正方形状)の内側面35dが連続的に減少するような形状に形成されている。これにより、図8の状態からバルブ本体31の開度を増加させて吸気通路20aの断面積を増加させるのとともに、排気ガスの吸気通路20aへの導入量(排気ガスの再循環量)が連続的に減少される。たとえば、図7に示すように、バルブ本体31の開度が中間開度状態の場合には、開口部23aを通過した排気ガスは、その回動位置での溝部35が有する排気ガス通路の最小断面積Sによって流量が抑制された状態で吸気通路20aへと導かれる。また、反対に、図6の状態からバルブ本体31の開度を減少させて吸気通路20aの断面積を減少させるのとともに、排気ガスの吸気通路20aへの導入量(排気ガスの再循環量)が連続的に増加される。なお、図4においては、バルブ本体31が回動された際の開口部23aの相対的な移動軌跡を1点鎖線で示す。
このように、エンジン100が相対的に低回転数域かつ低負荷状態で運転される際にはバルブ本体31が閉状態になるように吸気流制御弁30が制御され、排気ガスとともにタンブル流を有する吸気空気が燃料に混合される。したがって、ポンピングロスの軽減と混合空気の燃焼効率の改善とが共に図られる。また、エンジン100が相対的に高回転数域かつ高負荷状態で運転される際にはバルブ本体31が開状態に制御され、排気ガスが導入されることなくタンブル流の割合も減らされた吸気空気が燃料に混合される。したがって、エンジン100は、慣性過給効果の低下(エンジン100の出力低下)が抑制されるとともに高出力を得ることが最優先となった状態で運転される。
また、上記に加えて、エンジン100が中速回転域(中負荷状態)で運転されるのに応じてバルブ本体31が中間的ないずれかの姿勢に回動にされた場合には、バルブ本体31の開度に応じた量の排気ガスが導入され、かつ、タンブル流を有する吸気空気が燃料に混合される。この際も、バルブ本体31がどのような開度に制御されても排気ガスは常に溝部35の最小断面積Sを有する部分(たとえば図7を参照)を介して導入量(再循環量)が最小限に抑制される。すなわち、吸気通路20aとEGR導入路23(開口部23a)との連通に伴う吸気通路20aの内容積拡大が常に最小限に抑えられている。したがって、中速回転域で運転されるエンジン100は、慣性過給効果の低下(エンジン100の出力低下)が最小限に抑制されるように構成されている。
なお、ECU内の制御テーブル(図示せず)においては、エンジン100の運転状態に応じて最適なタンブル流(縦渦)が形成されるように吸気流制御弁30(バルブ本体31)の開度が定義される。そして、吸気流制御弁30の各開度に応じて最適なEGR率(排気ガス導入量)が得られるように溝部35の形状(溝深さDおよび溝幅W)が決定される。これにより、吸気流制御弁30を用いた吸気流の最適制御に妥協することなく、慣性過給効果の低下を最小限に抑制しながら必要最小限の排気ガスを吸気ポート20内に供給することが可能に構成されている。
また、図1に示すように、排気ガス通路および収容部25は、吸気通路20aの下流側(燃焼室203aにより近い側)に向かって、下り勾配になっている。そして、収容部25の下流側端部25b(図6参照)は、収容部25の垂直方向における最下点であり、かつ、吸気通路20aの内面20bに接続されている。これにより、排気ガスに含まれる水分(排気凝縮水)を排気ガスとともに排気ガス通路(EGR導入路23および溝部35)を介して吸気通路20a側に排出しやすいように構成されている。このようにして、エンジン100における吸気装置90は構成されている。
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、収容部25に対向する主弁部31cの下面31eに、収容部25の開口部23aと接続するとともに収容部25との間の空間により排気ガス通路を構成する溝部35を設ける。そして、主弁部31cの溝部35を排気ガス通路の最小断面積Sがバルブ本体31の開度に応じて変化するような形状に形成するとともに、排気ガス通路の最小断面積Sがバルブ本体31の開度に応じて変化するように溝部35の溝深さおよび溝幅の少なくとも一方が変化するように溝部35を構成する。これにより、吸気流制御弁30の開閉状態に応じて排気ガス導入量が2段階でしか調整されないような場合と異なり、吸気流制御弁30を所望の開度に回動させて吸気流に対する最適制御を行うことができる。そして、この吸気流制御弁30の最適制御が行われる際に、バルブ本体31がどのような開度に姿勢制御されても、排気ガスは常にバルブ本体31の下面31eの溝部35の最小断面積Sを有する部分を介して導入量が最小限に抑制される。すなわち、吸気通路20aとEGR導入路23(開口部23a)との連通に伴う吸気通路20aの内容積拡大を常に最小限に抑えることができるので、吸気流制御弁30のいずれの開度においても慣性過給効果の低下(エンジン100の出力低下)を最小限に抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、溝深さDおよび溝幅Wの両方が変化するような溝部35をバルブ本体31に設けることによって、バルブ本体31の開度に応じて排気ガス通路の最小断面積Sを変化させる吸気流制御弁30を容易に得ることができる。これにより、慣性過給効果の低下を招くことなく吸気流制御弁30の最適制御とともに常に必要最小量の排気ガスを再循環させることができる。
また、第1実施形態では、凹状の円弧形状を有するように収容部25を構成し、凹状の円弧形状の収容部25に対応する凸状の円弧形状を有するように主弁部31cの下面31eを構成する。また、収容部25よりも上方に位置する回動軸32(軸部31a)まわりに回動されてバルブ本体31の開度が全開となった状態で主弁部31cの上面31dが吸気通路20aの内面20bと同一面状になるようにバルブ本体31を設ける。そして、主弁部31cの凸状の円弧形状の下面31eに、バルブ本体31の回動方向に沿って延びるように溝部35を設ける。これにより、収容部25の凹状の内底面25aと主弁部31cの凸状の下面31eとの対向領域に、バルブ本体31の回動姿勢に応じて溝部35の最小断面積Sが変化するような排気ガス通路を容易に形成することができる。すなわち、姿勢制御により吸気通路20aの断面形状(吸気流の通過断面積)を変化させる吸気流制御30を使用して、慣性過給効果の低下を最小限に抑制しつつエンジン100の運転状況に応じた吸気流の最適制御と排気ガス導入量の最適制御とを両立させることができる。
また、第1実施形態では、バルブ本体31(主弁部31c)の開度が全開のときに排気ガス通路の最小断面積Sが最小になり、かつ、バルブ本体31(主弁部31c)の開度が全閉のときに排気ガス通路の最小断面積Sが最大になるように溝部35の形状を構成する。これにより、エンジン100が高出力域におかれた場合にバルブ本体31(吸気流制御弁30)の開度を全開にして慣性過給効果の低下(エンジン100の出力低下)を抑制しつつ最小限の排気ガスを再循環させて燃費を向上させることができる。また、エンジン100が低出力域におかれた場合にバルブ本体31の開度を全閉にして排気ガスを最大限に再循環させることによって、ポンピングロス(吸排気損失)を軽減することができる。この結果、低出力域から高出力域にわたって慣性過給効果の低下を最小限に抑制しつつエンジン100の燃費を常に向上させることができる。
また、第1実施形態では、バルブ本体31(主弁部31c)の開度が増加するにしたがって排気ガス通路の最小断面積Sが連続的に減少するように溝部35の形状を構成する。これにより、バルブ本体31の開度を増加させて吸気通路20aの断面積を増加させるのとともに、排気ガスの吸気通路20aへの導入量(再循環量)を無段階かつ連続的に減少させることができる。すなわち、吸気通路20aの断面積を狭めて吸気の流れを大きく制御するバルブ本体31の全閉状態と、吸気の流れをほとんど制御しない全開状態との間で、吸気通路20aへの排気ガス導入量(再循環量)をきめ細かく調整することができる。その結果、慣性過給効果の低下を最小限に抑制しつつ、常に最適な燃焼状態のもとでエンジン100を運転することができる。
また、第1実施形態では、主弁部31cの下面31eのうちの上流側端部31fと下流側端部31gとの間の部分から下流側端部31gの手前まで延びるように溝部35を形成する。そして、バルブ本体31の開度が全開近傍の状態においては、溝部35の下流側端部31gと吸気通路20aとが連通しないように構成する。これにより、バルブ本体31の開度が全開近傍となった状態では、吸気通路20aと、排気ガス通路(溝部35)およびEGR導入路23とが連通されるのを防止することができる。すなわち、吸気通路20aと排気ガス通路(EGR導入路23)との連通に伴う吸気通路20aの内容積拡大が阻止される分、エンジン100の高出力域において慣性過給効果が低下するのを確実に防止することができる。したがって、エンジン100に高出力を確実に発揮させることができる。
また、第1実施形態では、バルブ本体31の開度が全閉のときに排気ガス通路の最小断面積となる部分は、排気ガス通路のうちのEGR導入路23との境界部分である。すなわち、バルブ本体31の開度が全閉のときの排気ガス導入量は、開口部23aにより一義的に決定される。これにより、バルブ本体31が全閉の状態(吸気通路20aの通過断面積が最も減少された状態)では、バルブ本体31の下面31eに設けられた溝部35の断面積ではなくEGR導入路23の開口部23a近傍の断面積によって排気ガス導入量を一義的に決定することができる。これにより、排気ガスの再循環量を最も多く必要とする運転状態においては、EGR導入路23の開口部23a近傍の断面積によって流量(再循環量)を安定的に制御することができる。したがって、エンジン100の良好な燃費状態を維持することができる。
また、第1実施形態では、排気ガス通路の最小断面積Sがバルブ本体31(主弁部31c)の開度に応じて変化するように、縦横比が1に近い断面形状を有した状態で溝部35の溝深さDおよび溝幅Wの両方を変化させる。これにより、バルブ本体31の開度制御時に、最小断面積としての縦横比(溝深さD:溝幅W)が1:1に近い正方形の断面形状を有する溝部35の部分を介して排気ガスを排気ガス通路に流通させることができる。これにより、たとえば溝深さDが大きく溝幅Wが狭いような長方形状(細溝状)の溝部の場合と異なり、排気ガスに含まれるカーボンの堆積物(カーボンデポジット)が溝部35に固着して溝部35を閉塞しにくくすることができる。
また、第1実施形態では、溝部35を構成する排気ガス通路および収容部25は、吸気通路20aの下流側に向かって下り勾配になっており、収容部25の下流側端部31gは、収容部25の最下点であり、かつ、吸気通路20aの内面20bに接続されるように吸気装置90を構成する。これにより、排気ガスに含まれる水分(排気凝縮水)を排気ガスとともに排気ガス通路を介して吸気通路20a側に容易に排出することができる。
(第2実施形態)
図6、図9および図10を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、バルブ本体31(図6参照)の開度が全開近傍の状態で排気ガス通路が閉塞するように構成した上記第1実施形態とは異なる。すなわち、バルブ本体231(主弁部231c)の開度が全開近傍の状態(図10参照)でも排気ガス通路が吸気通路20aと連通されるように吸気流制御弁230を構成した例について説明する。なお、バルブ本体231は、本発明の「吸気流制御弁」の一例である。また、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。
本発明の第2実施形態によるエンジン200は、吸気装置290を備えている。また、図9に示すように、吸気装置290においては、吸気ポート20内に吸気流制御弁230が組み込まれている。また、吸気流制御弁230は、4つのバルブ本体231を備えている。なお、エンジン200は、本発明の「内燃機関」の一例である。
ここで、第2実施形態では、図10に示すように、各々のバルブ本体231には、排気ガス通路を構成する溝部235が下面231eに設けられている。また、溝部235は、下面231eにおける上流側端部231fと下流側端部231gとの間の部分から下流側端部231gまで延びている。したがって、バルブ本体231の開度が全開の状態においても、溝部235の下流側端部231gと吸気通路20aとが連通するように構成されている。
これにより、エンジン200では、高回転数域かつ高負荷状態で運転される際にはバルブ本体231が開状態に制御されるのとともに、溝部235を介して排気ガスが吸気通路20aに最小量だけ導入される。したがって、エンジン200では、慣性過給効果の低下が抑制されて高出力を得るような運転状態においても、ポンピングロス(吸排気損失)が軽減される分、燃費(燃料消費率)が改善されるように構成されている。なお、第2実施形態による吸気装置290のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記のように、主弁部231cの下面231eのうちの上流側端部231fと下流側端部231gとの間の部分から下流側端部231gまで延びるように溝部235を形成する。そして、バルブ本体231(主弁部231c)の開度が全開の状態においても、溝部235の下流側端部231gと吸気通路20aとが連通するように構成する。これにより、主弁部231cが全開になり吸気通路20aの断面積が最も増加された状態においても、最小断面積Sを有して吸気通路20aに連通される溝部235の下流側端部231gを介して排気ガスを吸気通路20aに導入することができる。したがって、エンジン200の高出力域において慣性過給効果の低下(エンジン200の出力低下)を最小限に抑制しつつ、最小限の排気ガスを再循環させて燃費を容易に向上させることができる。
また、第2実施形態では、主弁部231cの下面231eのうちの上流側端部231fと下流側端部231gとの間の部分から下流側端部231gまで延びるように溝部235を形成する。これにより、主弁部231cが全開状態になった際にも微量(最小量)の排気ガスを吸気通路20aに導入するための排気ガス通路をバルブ本体231(主弁部231c)側に容易に設けることができる。なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
図4、図11および図12を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、排気ガス通路の最小断面積Sが連続的に減少するように溝部35(図4参照)の形状を構成した上記第1実施形態と異なる。すなわち、排気ガス通路の最小断面積Sが段階的に減少する溝部335(図12参照)をバルブ本体331に形成した例について説明する。なお、バルブ本体331は、本発明の「吸気流制御弁」の一例である。また、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、第1実施形態と同じ符号を付して図示している。
本発明の第3実施形態によるエンジン300は、吸気装置390を備えている。また、図11に示すように、吸気装置390は、吸気ポート20内に吸気流制御弁330が組み込まれている。また、吸気流制御弁330は、4つのバルブ本体331を備えている。なお、エンジン300は、本発明の「内燃機関」の一例である。
また、図12に示すように、各々のバルブ本体331(主弁部331c)には、排気ガス通路を構成する溝部335が下面331eに設けられている。溝部335は、上流側端部331f側に形成された入口部335aと、下流側端部331g側に形成された出口部335bとを有している。入口部335aは、溝深さD1および溝幅W1を有している。また、出口部335bは、入口部335aよりも小さい溝深さD2および溝幅W2を有している。また、溝部335は、下面331eにおける上流側端部331fと下流側端部331gとの間の部分から下流側端部331gまで延びている。なお、主弁部331cは、本発明の「吸気流制御弁」の一例である。
ここで、第3実施形態では、バルブ本体331の開度が増加するにしたがって排気ガス通路の最小断面積Sが段階的に減少するように、溝部335の形状が構成されている。すなわち、溝部335は、溝深さD1および溝幅W1を有する入口部335aおよび溝深さD2および溝幅W2を有する出口部335bに加えて、入口部335aと出口部335bとの間に中間的な溝深さD3および溝幅W3を有する中間部335cを有している。また、入口部335a近傍においては溝深さD1および溝幅W1が矢印Y1方向に一定距離だけ維持される。そして、中間部335c近傍においては溝深さD3および溝幅W3が矢印Y1方向に一定距離だけ維持される。最後に、出口部335b近傍においては溝深さD2および溝幅W2が矢印Y1方向に一定距離だけ維持される。なお、下面331eにおける入口部335a、中間部335cおよび出口部335bの各々の延びる距離の割合は、エンジン300の特性によって適宜変更されうる。
また、溝部335は、下面331eにおける上流側端部331fと下流側端部331gとの間の部分から下流側端部331gまで延びている。したがって、バルブ本体331の開度が全開の状態においても、溝部335の下流側端部331gと吸気通路20aとが連通するように構成されている。
これにより、エンジン300(図11参照)では、図12に示すように、バルブ本体331の開度が全開状態の場合と全開状態から第1の角度範囲の間で傾斜された状態までは、開口部23a(1点鎖線で示す)は、溝深さD2および溝幅W2に対応する溝部335の部分(出口部335b近傍領域)に対向する。そして、排気ガス通路の最小断面積Sは、最小値が維持される。また、バルブ本体331の開度がさらに第1の角度範囲よりも大きい第2の角度範囲内において傾斜された状態では、開口部23aは、溝深さD3および溝幅W3に対応する溝部335の部分(中間部335c近傍領域)に対向する。そして、排気ガス通路の最小断面積Sは、最小値よりも大きい中間的な大きさに維持される。また、バルブ本体331の開度が第2の角度範囲よりも大きい第3の角度範囲までとその最大値を迎える全閉状態では、開口部23aは、溝深さD1および溝幅W1に対応する溝部335の部分(入口部335a近傍領域)に対向する。そして、排気ガス通路の最小断面積Sは、最大値(この場合は開口部23aの断面積である)が維持される。
このように、バルブ本体331の開度に応じた吸気通路20aへの排気ガスの導入量(EGR率)が段階的(3段階)に増減されるように構成されている。なお、図12においては、バルブ本体331が回動された際の開口部23aの相対的な移動軌跡を1点鎖線で示す。なお、第3実施形態による吸気装置390のその他の構成は、上記第2実施形態と同様である。
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第3実施形態では、上記のように、バルブ本体331(主弁部331c)の開度が増加するにしたがって排気ガス通路の最小断面積が段階的(3段階)に減少するように溝部335の形状を構成する。これにより、バルブ本体331の開度を増加させて吸気通路20aの断面積を増加させるのとともに、排気ガスの吸気通路20aへの導入量(排気ガスの再循環量)を段階的に減少させることができる。すなわち、吸気流制御弁330の開度を多段階(3段階)方式で最適制御するようなエンジン300においては、吸気流制御弁330の多段階開度制御に対応させた排気ガスの再循環量の制御を容易に行うことができる。なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第2実施形態と同様である。
(第4実施形態)
図4、図10、図13および図14を参照して、第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、収容部425の側にも溝部436を形成した例について説明する。なお、図中において、上記第1および第2実施形態と同様の構成には、第1および第2実施形態と同じ符号を付して図示している。
本発明の第4実施形態によるエンジン400は、吸気装置490を備えている。また、図13に示すように、吸気装置490は、吸気ポート20内に吸気流制御弁30が組み込まれている。なお、エンジン400は、本発明の「内燃機関」の一例である。
ここで、第4実施形態では、図14に示すように、収容部425の側にも溝部436が形成されている。溝部436は、収容部425の最も下流側に位置する端部領域425bが、主弁部31cの下流側端部31gから下方に所定の間隔を隔てて窪まされた細長い流路である。また、溝部436によって開口部23aを通過した排気ガスを吸気通路20aへと排出する排気ガス通路が形成されるように構成されている。
これにより、バルブ本体31(主弁部31c)の開度が全開の状態においても、EGR導入路23の開口部23aと、溝部35の一部と、溝部436と、吸気通路20aとが連通するように構成されている。なお、溝部436も、溝部35と同様に、縦横比が1に近い正方形の断面形状を有した状態の溝深さおよび溝幅を有している。また、溝部436の溝深さおよび溝幅は、溝部35の出口部35における溝深さD2および溝幅W2(図4参照)を引き継ぐようにして吸気通路20aまで直線的に延びている。
これにより、エンジン400では、上記第2実施形態におけるエンジン200(図10参照)の場合と同様に、高回転数域かつ高負荷状態で運転される際にはバルブ本体231が開状態に制御されるのとともに、溝部436を介して排気ガスが吸気通路20aに最小量だけ導入される。したがって、エンジン200では、慣性過給効果の低下が最小限に抑制された高出力の運転状態においてもポンピングロスが軽減される分、燃費が改善されるように構成されている。なお、第4実施形態による吸気装置490のその他の構成は、上記第2実施形態と同様である。
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第4実施形態では、上記のように、バルブ本体31(主弁部31c)の開度が全開の状態においても、溝部436を介してEGR導入路23の開口部23aと、溝部35の一部(出口部35b近傍)と、溝部436と、吸気通路20aとが連通するように構成する。これにより、主弁部31cが全開になり吸気通路20aの断面積が最も増加された状態においても、最小断面積Sを有して吸気通路20aに連通される溝部436を介して、排気ガスを吸気通路20aに導入することができる。したがって、エンジン400の高出力域において慣性過給効果の低下(エンジン400の出力低下)を最小限に抑制しつつ、最小限の排気ガスを再循環させて燃費を容易に向上させることができる。
また、第4実施形態では、収容部425の側に溝部436を設ける。これにより、主弁部31cが全開状態になった際に排気ガスを吸気通路20aに導入するための排気ガス通路を収容部425の側に容易に設けることができる。また、排気ガス通路および収容部25が吸気通路20aの下流側(燃焼室203aに近い側)に向かって下り勾配になるように吸気装置490が配置された状況下では、エンジン400における吸気系の垂直方向におけるより最下部に溝部436を配置することができる。これにより、排気ガスに含まれる排気凝縮水を排気ガスとともに排気ガス通路を介して吸気通路20a側に確実に排出することができる。なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第2実施形態と同様である。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1〜第4実施形態では、吸気装置90〜490を、自動車用の直列4気筒型のエンジン100〜400に適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明の内燃機関の吸気装置を、直列4気筒型以外の多気筒型エンジンやV型多気筒型エンジンなどに適用してもよい。また、自動車用のエンジンのみならず自動車用以外のエンジンに適用してもよい。たとえば、設備機器などに搭載された内燃機関(エンジン)の吸気装置に対して本発明を適用してもよい。また、内燃機関としては、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジンおよびガスエンジンなどのいずれにも適用可能である。
また、上記第1〜第4実施形態では、溝部35〜335に関して、縦横比が1に近い断面形状を有した状態で溝深さDおよび溝幅Wの両方を変化させた例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、溝深さDを一定としたまま溝幅Wのみを変化させて、排気ガス通路の最小断面積Sがバルブ本体31の開度に応じて変化するように構成してもよい。また、溝幅Wを一定としたまま溝深さDのみを変化させて、排気ガス通路の最小断面積Sがバルブ本体31の開度に応じて変化するように構成してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、斜め下方から斜め上方に向かって収容部25の内底面25aを貫通するようにEGR導入路23を形成した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、収容部25の内底面25aに対して直交する方向に貫通するようにEGR導入路23を形成してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、排気ガス通路および収容部25が吸気通路20aの下流側に向かって下り勾配になるように吸気装置90〜490を配置した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、エンジン(内燃機関)が縦置きや水平置きで車両に搭載された状態であっても、本発明の吸気流制御弁が組み込まれた吸気装置をエンジンに搭載することが可能である。したがって、吸気ポート20のシリンダヘッド203に対する取付角度は、水平方向であってもよいし、垂直方向であってもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、燃焼室203aに縦渦(タンブル流)が作り出されるように吸気流制御弁30を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。すなわち、吸気流の偏向度合が制御可能な吸気流制御弁30であるならば、燃焼室203aに横渦(スワール流)が作り出されるように吸気流制御弁30を構成してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、樹脂製のバルブ本体31(231、331)を用いて吸気流制御弁30〜330を構成した例について示したが、本発明はこれに限られない。金属製のバルブ本体31を用いて吸気流制御弁30を構成してもよい。すなわち、金属加工を施すことによって主弁部31cの下面31eに溝部35を形成してもよい。