JP2015205942A - 抗菌性樹脂組成物、及びそのフィルム - Google Patents

抗菌性樹脂組成物、及びそのフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】サービス安定性の向上した抗菌性熱可塑性樹脂組成物を提供すること。抗菌性を有し、サービス安定性が高く、紙のような風合いが有り、ブツ等の欠陥がなく、耐水性、耐粘着テープ剥離性、手切れ性、及び印刷性に優れた抗菌性フィルムを容易に得ることのできる抗菌性ポリエチレン系樹脂組成物を提供すること。【解決手段】熱可塑性樹脂、好ましくはポリエチレン系樹脂と、セルロース又は炭酸カルシウム、好ましくはセルロール及び炭酸カルシウムとを含む樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、抗菌性樹脂組成物、及びそのフィルムに関する。更に詳しくは、抗菌性を有し、サービス安定性が高く、紙のような風合いが有り、ブツ等の欠陥がなく、耐水性、耐粘着テープ剥離性、手切れ性、及び印刷性に優れた抗菌性フィルムを容易に得ることのできる抗菌性ポリエチレン系樹脂組成物に関する。
従来から、熱可塑性樹脂(例えば、ポリオレフィン系樹脂やポリエステル系樹脂。)と木材パルプ等のセルロースとを含む樹脂組成物からなるフィルムは、熱可塑性樹脂の耐水性などの特徴を残しつつ木材パルプを主原料とした紙の持つ白さ、隠蔽性、印刷性、及び手切れ性などの特徴を付与した製品として、カーテンや壁紙などの建装材に用いられている。一方、熱可塑性樹脂とセルロースとを均一に混合し、ブツ等の欠陥のないフィルムを得ることは、工業的に容易なことではなく、製造方法について多くの提案がなされている(例えば、特許文献1及び2)。しかし、特許文献1の技術は多くの工程を必要とする点で、特許文献2の技術はセルロース配合量を低く抑制する必要のある点で、十分に満足のできるものではない。
また病院、老人ホ―ム、及び保育園などでは、細菌感染症対策として、カーテンや壁紙などの建装材にも抗菌性が要求されており、熱可塑性樹脂と抗菌剤との樹脂組成物を含む物品が提案されている(例えば、特許文献3)。しかし、これらの技術では、抗菌剤によりプロセス安定性やサービス安定性が低下するという問題があった。
特開2007−084713号公報 特開2010−059263号公報 特開平05−309795号公報
本発明の課題は、サービス安定性の向上した抗菌性熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。本発明の更なる課題は、抗菌性を有し、サービス安定性が高く、紙のような風合いが有り、ブツ等の欠陥がなく、耐水性、耐粘着テープ剥離性、手切れ性、及び印刷性に優れた抗菌性フィルムを容易に得ることのできる抗菌性ポリエチレン系樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、鋭意研究した結果、セルロースや炭酸カルシウムを含む熱可塑性樹脂組成物が、驚くべきことに抗菌性を発現し、上記課題を達成できることを見出した。
すなわち、本発明は、(A)熱可塑性樹脂 100質量部;及び(B)セルロース 5〜300質量部;を含む抗菌性樹脂組成物である。
第2の発明は、(A)熱可塑性樹脂 100質量部;及び(C)炭酸カルシウム 5〜300質量部;を含む抗菌性樹脂組成物である。
第3の発明は、(A)熱可塑性樹脂 100質量部;(B)セルロース 5〜300質量部;及び(C)炭酸カルシウム 5〜300質量部;を含み、ここで上記成分Bと上記成分Cの合計は300質量部以下である、抗菌性樹脂組成物である。
第4の発明は、上記成分Aが、(a)ポリエチレン系樹脂であることを特徴とする第1〜3の発明の何れか1に記載の抗菌性樹脂組成物である。
第5の発明は、上記成分aが、バイオマス原料由来のα−オレフィンモノマーを用いて製造されたポリエチレン系樹脂であることを特徴とする第4の発明に記載の抗菌性樹脂組成物である。
第6の発明は、上記成分Cが、(c)平均粒子径が0.01〜5μmの炭酸カルシウムであることを特徴とする第2〜5の発明の何れか1に記載の抗菌性樹脂組成物である。
第7の発明は、上記(a)ポリエチレン系樹脂 100質量部;上記(B)セルロース 5〜60質量部;及び上記(c)平均粒子径が0.01〜5μmの炭酸カルシウム 5〜60質量部;を含む抗菌性樹脂組成物である。
第8の発明は、第1〜7の発明の何れか1に記載の抗菌性樹脂組成物からなる抗菌性フィルムである。
第9の発明は、第8の発明に記載の抗菌性フィルムの使用である。
本発明の抗菌性熱可塑性樹脂組成物は、抗菌性を有し、かつサービス安定性も高い。また本発明の抗菌性フィルムは、抗菌性を有し、サービス安定性が高く、紙のような風合いが有り、ブツ等の欠陥がなく、耐水性、耐粘着テープ剥離性、手切れ性、及び印刷性に優れている。そのため、抗菌性の、カーテンや壁紙などの建装材及びタイル表層材などの床材として、一般家庭及び医療施設や介護施設などの公共施設において、好適に用いることができる。
本発明の抗菌性樹脂組成物の1つは、(A)熱可塑性樹脂;及び(B)セルロースを含む。
(A)熱可塑性樹脂
本発明の成分Aは熱可塑性樹脂であり、上記成分Bや上記成分Cなどを受容し、本発明の樹脂組成物の成形加工性を担保する。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1、塩素化ポリエチレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、及びエチレン・アクリル酸エステル共重合体等のポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、及び塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体等のポリ塩化ビニル系樹脂;ナイロン11、及びナイロン12等のポリアミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂;非結晶性、低結晶性又は結晶性のポリエステル系樹脂;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体(ABS樹脂);スチレン・共役ジエン共重合体の水素添加物などの水添スチレン系エラストマー;アクリル系樹脂;シリコン系樹脂;ポリ塩化ビニリデン系樹脂;クロロプレン系樹脂などをあげることができる。上記成分Aとしては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
これらの中で、上記成分Aとしては、(a)ポリエチレン系樹脂が好ましい。本発明の樹脂組成物のフィルム製膜性を良好にし、本発明のフィルムに耐水性や耐粘着テープ剥離性などを付与することができる。
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンとα−オレフィン(例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、2−メチル−1−プロペン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−エチル−1−ブテン、2,3−ジメチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、及び4−メチル−1−ペンテンなどの1種又は2種以上。)とのランダム共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、及びエチレン−アクリル酸エステル共重合体;及びこれらに不飽和カルボン酸及びその誘導体からなる群から選択される1種以上の化合物をグラフト重合した変性ポリエチレン系樹脂;などをあげることができる。上記成分aとしては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分aの密度(JIS K7112:1999に準拠し、水中置換法で測定。)は、手切れ性の観点から、好ましくは935Kg/m以上、より好ましくは945Kg/m以上である。また上記成分Bや上記成分Cなどの受容性、及びフィルム製膜性の観点から、好ましくは965Kg/m 以下、より好ましくは962Kg/m以下である。
上記成分aのメルトマスフローレート(JIS K 7210:1999に準拠し、190℃、21.18Nの条件で測定。以下、MFRと略すことがある。)は、フィルム製膜性、及び手切れ性の観点から、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.3g/10分以上である。また上記成分Bや上記成分Cなどの受容性、及びフィルム製膜性の観点から、好ましくは20g/10分以下、より好ましくは10g/10分以下である。
また近年は、バイオマス原料由来のα−オレフィンモノマー(例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、及び1−オクテンなど)を用いて製造されたポリエチレン系樹脂(以下、バイオマスポリエチレン系樹脂と略すことがある。)もあり、市販されている。一般社団法人日本有機資源協会のバイオマスマークや日本バイオプラスチック協会のバイオマスプラマークの対象となるように、上記成分aとして、バイオマスポリエチレン系樹脂を用いることは、より好ましい実施態様の1つである。
(B)セルロース
本発明の成分Bはセルロースであり、これを含む熱可塑性樹脂組成物は、驚くべきことに抗菌性を発現する。また本発明のフィルムに白さ、紙のような風合い、隠蔽性、印刷性、及び手切れ性などを付与する働きをする。
セルロースはD−グルコースがβ−1,4−グルコシド結合した多糖類であり、通常は、綿、麻、木本植物等から得られ、パルプと呼称されることもある。本発明の成分Bとしては、本発明のフィルムが白さを必要とするときは、高純度のケミカルパルプを用いることが好ましい。白さを必要としないときは、ヘミセルロースやリグニン等のセルロース以外の成分を多量に含んだパルプ、例えば、メカニカルパルプを用いてもよい。上記成分Bとしては、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
上記成分Bの粒子径は、本発明のフィルムに木材パルプを主原料とした紙の持つ風合いを付与する観点からは、大きい方が好ましい。一方、フィルム製膜性の観点からは、小さい方が好ましい。そのため4000メッシュパスが90質量%以上〜40メッシュパスが90質量%以上の粒度が好ましく、1000メッシュパスが90質量%以上〜50メッシュパスが90質量%以上の粒度がより好ましい。
上記成分Bの配合量は、抗菌性の観点から、上記成分A100質量部に対して5質量部以上、好ましくは10質量部以上である。また樹脂組成物の製造性の観点から、上記成分A100質量部に対して300質量部以下、好ましくは200質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。本発明のフィルムに手切れ性、及び木材パルプを主原料とした紙の持つ風合いを付与する観点から、上記成分A100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上である。またフィルム製膜性の観点から上記成分A100質量部に対して好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下である。
本発明の抗菌性樹脂組成物の他の1つは、(A)熱可塑性樹脂;及び(C)炭酸カルシウムを含む。成分Aについては上述した。
(C)炭酸カルシウム
本発明の成分Cは、炭酸カルシウムであり、これを含む熱可塑性樹脂組成物は、驚くべきことに抗菌性を発現する。また樹脂組成物の製造(溶融混練)工程において上記成分Bの分散を助け、その結果、本発明のフィルムはブツ等の欠陥のないものとなる。
上記成分Cの平均粒子径は、フィルム製膜性の観点から好ましくは5μm以下、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.5μm以下である。一方、上記成分Bの分散を助け、ブツ等の欠陥の発生を防止する観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.02μm以上である。
なお本明細書において、上記成分Cの平均粒子径は、日機装株式会社のレーザー回折・散乱式粒度分析計「MT3200II(商品名)」を使用して測定した粒子径分布曲線において、粒子の小さい方からの累積が50質量%となる粒子径である。
上記成分Cの配合量は、抗菌性の観点から、上記成分A100質量部に対して5質量部以上、好ましくは10質量部以上である。また樹脂組成物の製造性の観点から、上記成分A100質量部に対して300質量部以下、好ましくは250質量部以下、より好ましくは200質量部以下である。本発明のフィルムをブツ等の欠陥のないものにする観点、及び本発明のフィルムの手切れ性の観点から、上記成分A100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上である。フィルム製膜性の観点から好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下である。
本発明の抗菌性樹脂組成物は、好ましくは、(A)熱可塑性樹脂、(B)セルロース、及び(C)炭酸カルシウムを含む。
上記成分Bや上記成分Cを含む樹脂組成物は、これらを単独で含む場合も抗菌性を発現するが、驚くべきことに、成分Bと成分Cの両方を含ませると、抗菌性の相乗効果を得ることができる。
上記成分Bの配合量は、抗菌性の観点から、上記成分A100質量部に対して5質量部以上、好ましくは10質量部以上である。また樹脂組成物の製造性の観点から、上記成分A100質量部に対して300質量部以下、好ましくは200質量部以下、より好ましくは100質量部以下である。上記成分Cの配合量は、抗菌性の観点から、上記成分A100質量部に対して5質量部以上、好ましくは10質量部以上である。また樹脂組成物の製造性の観点から、上記成分A100質量部に対して300質量部以下、好ましくは250質量部以下、より好ましくは200質量部以下である。また上記成分Bと上記成分Cの合計は、樹脂組成物の製造性の観点から、上記成分A100質量部に対して300質量部以下、好ましくは200質量部以下である。
本発明の抗菌性樹脂組成物は、上記成分A〜C、及び所望に応じて用いるその他の任意成分を、任意の溶融混練機を使用して溶融混練することにより得られる。本発明のフィルムは、本発明の樹脂組成物を、任意の製膜装置を使用してフィルム製膜することにより得られる。
上記溶融混練機としては、加圧ニーダー及びミキサー等のバッチ混練機;遊星型多軸押出機、同方向二軸押出機、異方向二軸押出機、及び単軸押出機等の押出機;及びカレンダーロール混練機などをあげることができる。これらを任意に組み合わせて使用してもよい。得られた樹脂組成物は、任意の方法でペレット化した後、例えばカレンダーロール加工機を用いて、又は押出機とTダイを用いて、フィルムに製膜することができる。ペレット化は、ホットカット、ストランドカット及びアンダーウォーターカットなどの方法により行うことができる。あるいは、溶融混練された樹脂組成物をそのまま、カレンダーロール加工機又はTダイに送ってフィルムに製膜してもよい。カレンダーロール加工機は任意のものを使用することができ、例えば、2本ロール、直立型3本ロール、直立型4本ロール、L型4本ロール、逆L型4本ロール及びZ型ロールなどをあげることができる。押出機は任意のものを使用することができ、例えば、単軸押出機、同方向回転二軸押出機及び異方向回転二軸押出機などをあげることができる。Tダイは任意のものを使用することが出来、例えば、マニホールドダイ、フィッシュテールダイ及びコートハンガーダイなどをあげることができる。
本発明のフィルムは、抗菌性を有し、サービス安定性が高いだけでなく、紙のような風合いを有し、特に手切れ性に優れたものである。手切れ性は、切ろうとする方向の引裂力と強く相関しており、下記(チ)に従い測定した引裂力が、通常15N以下、好ましくは10N以下のときに;下記(リ)に従い測定した引裂力が、通常10N以下、好ましくは6N以下のときに;優れたものになる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
測定方法
(イ)抗菌性:
JIS Z 2801:2010に従い試験を行った。検体は清浄化を行わずに試験に供した。また参考としてメチシリン耐性黄色ぶどう球菌(以下、MRSAと略すことがある。)についても試験を行った。菌液調整溶液は1/200NB培地を用いた。使用した菌種を以下に示す。表中の数値は試験片1cm当たりの生菌数であり、「ND」は、生菌を検出しなかったことを意味する。なお抗菌性は、一般財団法人日本食品分析センターなどの検査機関に依頼して行うことができる。
黄色ぶどう球菌「Staphylococcus aureus subsp. aureus 12732」
大腸菌「Escherichia coli NBRC 3972」
MRSA「Staphylococcus aureus IID 1677」
(ロ)サービス安定性:
フィルムを、温度60℃、相対湿度95%の恒温高湿槽内に1日静置した後の色目を目視観察し、以下の基準で評価した。
○:フィルムの色目は処理前と処理後とでほとんど変化しなかった。
×:フィルムの色目が処理により大きく変化した。
(ハ)フィルム製膜性:
8インチ2本ロールタイプのカレンダーロール混練機、及び引巻取装置を使用し、ロール上における溶融混練物の温度155℃、ロール回転速度15rpmの条件で、樹脂組成物の製造とフィルム製膜とを連続的に行い、厚さ150μmのフィルムを得る際の製膜性を、以下の基準で評価した。
○:問題なく外観の良好なフィルムを得ることができた。
△:外観の良好なフィルムを得ることができたが、溶融フィルムのロール剥離性に難があった。
×:フィルムに穴あき等の外観不良の生じるときがあった。
(ニ)ブツ等の欠陥の有無(セルロースの分散性):
目視によりフィルム表面を観察し、ブツの大きさ(財務省印刷局製造の「きょう雑物測定図表」と目視(肉眼)で直接比較計測した。)と、当該大きさのブツのフィルム100cmあたりの個数をカウントし、以下の基準で評価した。
○:0.05mm以上の大きさのブツなし。
△:0.1mm以上の大きさのブツなし。
×:0.1mm以上の大きさのブツが1個以上あり。
(ホ)耐水性:
フィルムから半径10cmの円形のサンプルを切り出し、これを折って、略円錐形状の器を作成した。作成した器を、100ccのビーカーの口に、円錐の頂点が、ビーカー内側に来るように置き、器に50ccの水を注いだ。1時間後、ビーカー内に水があるか否か(器から水が漏れたか否か)で評価した。
○:水なし
×:水あり
(へ)テープ剥離性:
ニチバン株式会社の15mm幅のテープ「セロテープ(登録商標)」を用い、接着部分の長さが50mmになるようにフィルム表面へ貼り付け、指の腹でこすってテープを完全に貼着させた。2分後、テープの一方の端を持ち、フィルム表面に対して直角の方向へ、瞬間的に引き剥がした。フィルム表面のテープが貼着していた箇所の状態を目視観察し、以下の基準で評価した。
○:フィルム表面のテープ貼着箇所に変化なし。
×:フィルムが材料破壊した。フィルム表面のテープ貼着箇所に剥れが生じた。
(ト)手切れ性:
フィルムから長方形のサンプルを切り出し、該サンプルの長辺の中央部近傍を、左手の親指と人差し指とで、同様に右手の親指と人差し指とで、4本の指が略近接するように持ち、一方の手は手前に、他方の手は反対の方向に、引裂くようにして千切った。このときの切れ易さを以下の基準で評価した。
○:引裂き方向が、フィルムのマシン方向(長さ方向)と横方向(幅方向)の何れの場合も、容易にフィルムを千切ることができた。
△:少なくとも何れかの方向について、フィルムを千切る際にフィルムが伸びて、千切り難さを感じた。
×:少なくとも何れかの方向について、フィルムが伸びて千切ることができなかった。
(チ)引裂力1(直角形引裂法):
手で紙を千切るときの速さを想定し、試験速度を50mm/分としたこと以外は、JIS K7128−3:1998に準拠して測定した。なお表中の縦は試験片の採取方向が該規格図1の縦のときの値であり、横は横のときの値である。
(リ)引裂力2(トラウザー引裂法):
手で紙を千切るときの速さを想定し、試験速度を50mm/分としたこと以外は、JIS K7128−1:1998に準拠して測定した。なお表中のMDは、引裂き方向をフィルムのマシン方向(長さ方向)とし、引裂きの進行がフィルムの製膜(加工)方向と同方向となるようにして測定した値であり、CDは引裂き方向をフィルムの横方向(幅方向)として測定した値である。
(ヌ)印刷適性
ぺんてる株式会社の水性マーカー「サインペン(商品名)」を用い、フィルムに筆頭発明者の名前を記入し、以下の基準で評価した。
○:かすれ、はじきのない、きれいな文字が書けた。
△:書いた文字に僅かにかすれ、はじきが認められた。
×:かすれ、はじきにより、書いた文字に不明瞭な部分があった。
使用した原材料
(A)ポリエチレン系樹脂
(A−1)ブラスケム社のバイオマスポリエチレン系樹脂「SGE7252(商品名)」、密度953Kg/m、MFR 2.2g/10分。
(A−2)ブラスケム社のバイオマスポリエチレン系樹脂「SGF4960(商品名)」、密度961Kg/m、MFR 0.34g/10分。
(A−3)ブラスケム社のバイオマスポリエチレン系樹脂「SHE150(商品名)」、密度948Kg/m、MFR 1g/10分。
(A−4)株式会社プライムポリマーの中密度ポリエチレン「ネオゼックス3510F(商品名)」、密度933Kg/m、MFR 1.6g/10分。
(B)セルロース
(B−1)日本製紙株式会社の高純度ケミカルパルプ「KCフロックW−10MG2(商品名)」、粒度1000メッシュパス90質量%以上、平均粒子径10μm。
(B−2)日本製紙株式会社の高純度ケミカルパルプ「KCフロックW−400G(商品名)」、粒度400メッシュパス90質量%以上、平均粒子径24μm。
(B−3)日本製紙株式会社の高純度ケミカルパルプ「KCフロックW−50G(商品名)」、粒度50メッシュパス90質量%以上、平均粒子径45μm。
(C)炭酸カルシウム
(C−1)白石工業株式会社の炭酸カルシウム「Vigot10(商品名)」、平均粒子径0.1μm。
(C−2)白石工業株式会社の炭酸カルシウム「ソフトン2200(商品名)」、平均粒子径1.0μm。
(C−3)白石工業株式会社の炭酸カルシウム「ソフトン1000(商品名)」、平均粒子径2.2μm。
(C−4)白石工業株式会社の炭酸カルシウム「BF300(商品名)」、平均粒子径8μm。
(D)市販の無機抗菌剤
(D−1)株式会社抗菌研究所の焼成カルシウム系抗菌剤「スカローHK(商品名)」。
(D−2)株式会社シナネンゼオミックの銀ゼオライト系抗菌剤「AJ−10D(商品名)」。
(E)任意成分
(E−1)株式会社ADEKAのステアリン酸亜鉛。
実施例1
上記成分(A−1)100質量部、上記成分(B−1)20質量部、上記成分(C−1)40質量部、上記成分(D−1)3質量部を、8インチ2本ロールタイプのカレンダーロール混練機、及び引巻取装置を使用し、ロール上における溶融混練物の温度155℃、ロール回転速度15rpmの条件で、樹脂組成物の製造とフィルム製膜とを連続的に行い、厚さ150μmのフィルムを得た。上記試験(イ)〜(ヌ)を行った。結果を表1に示す。
実施例2〜15、比較例1〜3、参考例1
用いる原材料を表1〜3の何れか1に示すように変更したこと以外は、全て実施例1と同様に行った。結果を表1〜3の何れか1に示す。
Figure 2015205942
Figure 2015205942
Figure 2015205942
本発明の樹脂組成物は、抗菌性を有し、サービス安定性も高い。一方、比較例1は、成分Bと成分Cの何れも含まないため、抗菌性を有していない。比較例2と比較例3は、一般的な抗菌剤を含む実験例であるが、サービス安定性が低く、湿熱処理により、比較例2は焦げ茶色に、比較例3は黒色に、強く着色してしまった。また成分Bと成分Cとを併用することにより、特異的に抗菌性の相乗効果を得られることが、実施例1〜3、比較例2、及び参考例1から分かる。

Claims (9)

  1. (A)熱可塑性樹脂 100質量部;及び
    (B)セルロース 5〜300質量部;を含む抗菌性樹脂組成物。
  2. (A)熱可塑性樹脂 100質量部;及び
    (C)炭酸カルシウム 5〜300質量部;を含む抗菌性樹脂組成物。
  3. (A)熱可塑性樹脂 100質量部;
    (B)セルロース 5〜300質量部;及び
    (C)炭酸カルシウム 5〜300質量部;
    を含み、ここで上記成分Bと上記成分Cの合計は300質量部以下である、
    抗菌性樹脂組成物。
  4. 上記成分Aが、(a)ポリエチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の抗菌性樹脂組成物。
  5. 上記成分aが、バイオマス原料由来のα−オレフィンモノマーを用いて製造されたポリエチレン系樹脂であることを特徴とする請求項4に記載の抗菌性樹脂組成物。
  6. 上記成分Cが、(c)平均粒子径が0.01〜5μmの炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項2〜5の何れか1項に記載の抗菌性樹脂組成物。
  7. 上記(a)ポリエチレン系樹脂 100質量部;
    上記(B)セルロース 5〜60質量部;及び
    上記(c)平均粒子径が0.01〜5μmの炭酸カルシウム 5〜60質量部;
    を含む抗菌性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載の抗菌性樹脂組成物からなる抗菌性フィルム。
  9. 請求項8に記載の抗菌性フィルムの使用。
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