JP2021042318A - 樹脂組成物、および、その樹脂組成物からなる成形品 - Google Patents

樹脂組成物、および、その樹脂組成物からなる成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】カーボンニュートラルな物質を含有しており廃棄時の環境負荷が小さいにもかかわらず、そのカーボンニュートラルな物質と合成樹脂との馴染みが良好であり、ボイドやクラックがない上、合成樹脂本来の特性を発現した成形品を成形可能な樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリエチレン 15重量部、および、サトウキビ由来のバイオマス系ポリエチレン 20重量部を、190℃の温度で加熱することにより溶融させて、その溶融させた混合樹脂中に、スギを乾燥させた木質材を粉砕してなる植物由来材の粒子 60質量部、および、界面活性剤含有ポリエチレン樹脂 5重量部を添加して十分に撹拌混合することによって樹脂組成物を得た。【選択図】なし

Description

本発明は、廃棄する際の環境負荷が小さい樹脂組成物、および、その樹脂組成物によって形成される生活用品、台所用品、事務用品、インテリア用品、土木建築用資材等の各種の成形品に関するものである。
生活用品、台所用品、事務用品、インテリア用品、土木建築用資材等の各種の製品を製造する際の原料として、各種の合成樹脂が広く用いられている。たとえば、食品、薬品、化粧品等の各種の液体や粉体等を包装・収納するための包装材料としては、合成樹脂製のフィルムからなる包装袋が多く使用されている(特許文献1)。
一方、近年では、廃棄された合成樹脂を燃焼させる際に排出されるCOが環境問題になっているが、上記従来の合成樹脂製の製品(たとえば、包装フィルムや包装袋等)は、燃焼時に多くのCOを排出させるものであるため、廃棄時の環境負荷が小さいとは言い難い。それゆえ、特許文献2の如く、カーボンニュートラルな性質(燃やしても大気中のCOの増減に影響を与えない性質)を有する竹等の木質材を、主原料である合成樹脂中に添加した樹脂組成物によって合成樹脂フィルムを製造する技術も開発されている。
特開2017−88180号公報 特開2016−23282号公報
しかしながら、特許文献2の如き従来の木質材入りの合成樹脂フィルムは、主原料である合成樹脂中に竹材からなる粒子を単純に添加して製造するものであるため、合成樹脂と木質材との馴染みが悪く、成形品中にボイドやクラックを発生しやすい上、合成樹脂中における木質材粒子の分散性が悪いことに起因して合成樹脂本来の特性が発現されにくい、という不具合がある。
本発明の目的は、上記従来の成形品の原料である樹脂組成物が有する問題点を解消し、カーボンニュートラルな性質を有する物質を含有しており、成形品の廃棄時の環境負荷が小さいにもかかわらず、その物質と合成樹脂との馴染みが良好であり、成形品の成形時にボイドやクラックが形成されにくく、合成樹脂本来の特性を発現する成形品を成形可能な樹脂組成物を提供することにある。また、当該樹脂組成物によって形成される廃棄時の環境負荷が小さく、かつ、合成樹脂本来の特性を発現可能な成形品を提供することにある。
本発明の内、請求項1に記載された発明は、植物由来材の粒子を樹脂成分中に添加してなる樹脂組成物であって、前記植物由来材の粒子の添加割合が1〜50質量%であり、前記植物由来材の粒子の最大径の平均値が100〜300μmであるとともに、前記樹脂成分が、ベース樹脂中にバイオマス由来のバイオマス系樹脂を含有させたものであることを特徴とするものである。なお、植物由来材とは、各種の木質材、竹、竹炭、食品残渣からなるセルロース、あるいはそれらの混合物のことである。
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記ベース樹脂が、ポリオレフィンを主成分とするものであることを特徴とするものである。
請求項3に記載された発明は、請求項1、または請求項2に記載された発明において、
前記バイオマス系樹脂が、サトウキビ由来のポリオレフィンを主成分とするものであることを特徴とするものである。
請求項4に記載された発明は、請求項1〜3のいずれかに記載された発明において、前記ベース樹脂が、酸変性ポリオレフィンを含むものであることを特徴とする。
請求項5に記載された発明は、請求項4に記載された発明において、前記ベース樹脂の酸変性度が0.3〜2.5mol%であることを特徴とするものである。
請求項6に記載された発明は、請求項1〜5のいずれかに記載された発明において、前記樹脂成分のバイオマス由来度が5〜60質量%であることを特徴とするものである。
請求項7に記載された発明は、請求項1〜6のいずれかに記載された発明において、全ての成分のバイオマス由来度が10〜85質量%であることを特徴とするものである。
請求項8に記載された発明は、請求項1〜7のいずれかに記載された発明において、前記樹脂成分の190℃におけるメルトフローレートが5〜50であることを特徴とするものである。
請求項9に記載された発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物によって形成されていることを特徴とする成形品である。なお、そのような成形品としては、生活用品、台所用品、事務用品、インテリア用品、工業製品(フィルム、シート、機械部品等)、土木建築用資材等を挙げることができる。
本発明に係る樹脂組成物は、バイオマス由来の樹脂中に植物由来材の粒子を添加したものであるので、成形後の成形品を廃棄する際の環境負荷が小さい。また、それにもかかわらず、バイオマス系樹脂と植物由来材の粒子との馴染みが良好であるため、成形品中にボイドやクラックが形成されにくく、樹脂本来の特性を発現し易い。さらに、本発明に係る樹脂組成物は、成形品に成形する場合に、それらの成形品に、植物由来材独特の質感(木質感やヒンヤリ感等)を付与することができる。それゆえ、本発明に係る樹脂組成物は、シート、フィルムや包装袋等をはじめとする各種の成形品の原料として幅広く利用することができる。
また、本発明に係る成形品は、廃棄する際の環境負荷が小さい上、バイオマス系樹脂と植物由来材の粒子との馴染みが良好であるためボイドやクラックが少なく、樹脂本来の特性を発現することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、各成分の特性、含有量、添加量に関する“〜”は、原則的に、左側の数値以上右側の数値以下を意味するものとする。
本発明に係る樹脂組成物は、バイオマス由来のバイオマス系樹脂を含有させたベース樹脂中に特定の形状の植物由来材の粒子を添加したものである。ベース樹脂としては、各種の樹脂を用いることができるが、ポリオレフィンを主成分とするポリオレフィン系樹脂(すなわち、ポリオレフィンの比率が概ね80質量%以上である樹脂)を用いると、樹脂組成物のハンドリング性が良好なものとなるので好ましい。また、ポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを単独で、あるいは、それらの内の2種以上を混合して用いることができる。
また、ベース樹脂として、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等、グラフト変性されたポリオレフィンを単独で、あるいは、それらの内の2種以上を混合して、もしくは、それらの内の1種以上を他の樹脂(たとえば、ポリオレフィン樹脂)と混合して用いると、バイオマス系樹脂を含有させたベース樹脂と植物由来材の粒子との親和性が良好なものとなり、樹脂組成物から成形品を成形する際にボイドやクラックが形成されにくくなるので好ましい。さらに、上述の如く、ベース樹脂として(あるいはその一部として)、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の酸変性されたポリオレフィンを用いる場合には、酸変性度(すなわち、ベース樹脂全体の質量に対する酸変性された樹脂の割合(モル比))が0.3〜2.5mol%であると、バイオマス系樹脂を含有させたベース樹脂中での植物由来材の粒子の分散性が良好なものとなる上、成形品の成形時にベース樹脂の本来の特性が損なわれにくいので好ましく、酸変性度が0.5〜2.0mol%であるとより好ましい。加えて、ベース樹脂として(あるいはその一部として)、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の酸変性されたポリオレフィンを用いる場合には、分子量が5,000〜50,000のものを用いると、酸変性されたポリオレフィンの低分子成分が成形後の成形品の表面に析出して表面が粘着状になる事態が生じない上、樹脂組成物からシートやフィルムを成形する際に可撓性が損なわれにくいので好ましい。
一方、ベース樹脂中に含有させるバイオマス系樹脂としては、各種のものを用いることができ、トウモロコシ、サトウキビ、ビート、マニオク等の植物原料から得られるバイオマス由来のエタノール(発酵エタノール)を原料としたものを好適に用いることができる。また、それらの中でも、バイオマス由来のエタノールを原料として製造されるポリオレフィン系樹脂を用いると、植物由来材の粒子を添加した場合に均一に分散されやすくなるので好ましい。さらに、それらの中でも、サトウキビ由来のポリエチレンを用いると、樹脂成分中での植物由来材の粒子の分散性がきわめて良好なものとなるので特に好ましい。
また、ベース樹脂中に含有させるバイオマス系樹脂の質量割合(バイオマス由来度)は、5〜60%であると好ましい。ベース樹脂におけるバイオマス由来度が5%未満であると、樹脂組成物を成形した成形品を廃棄する際の環境負荷が大きくなるため好ましくなく、ベース樹脂におけるバイオマス由来度が60%を上回ると、樹脂組成物を成形した成形品の強度や耐久性が不十分となる虞れがあるので好ましくない。ベース樹脂におけるバイオマス由来度は、5〜50%であるとより好ましく、5〜30%であると特に好ましい。
また、バイオマス系樹脂を含有させたベース樹脂中に添加する植物由来材の粒子としては、分級粉砕機等の粉砕装置等を利用して木質材、竹、竹炭、食品残渣からなるセルロース、あるいはそれらの混合物を粒子状に粉砕したものを好適に用いることができる。また、植物由来材として木質材を利用する場合には、ヒノキ、スギ、パイン(松)、スプルース等の針葉樹や、ローズウッド、カリン、チーク、マホガニー、ウォールナット、ナラ(オーク)、ブナ、タモ、キリ、サクラ、ラワン、カバ等の広葉樹、あるいはそれらを混合したものを好適に用いることができる。そのような植物由来材の粒子の中でも、スギを粒子状に粉砕したものを用いると、バイオマス系樹脂を含有させたベース樹脂中での植物由来材の粒子の分散性がきわめて良好なものとなり、均一に分散しやすくなるので好ましい。一方、植物由来材の粒子として、竹や竹炭を粒子状に粉砕したものを用いると、樹脂組成物を成形品に加工した際に、独特な風合いを発現するので好ましい。
上述した植物由来材の粒子の大きさは、特に限定されないが、粒子径の最大径が50〜500μmであると、バイオマス系樹脂を含有させたベース樹脂と混ざりやすくなり、樹脂組成物を成形した際に、物性に斑のない均一な成形品が得られるので好ましく、粒子径が100〜300μmであるとより好ましく、粒子径が150〜250μmであると特に好ましい。なお、粒子の最大径は、数平均径として、顕微鏡の画像解析により得ることができ、粒子100点の直径(粒子が円形でない場合には粒子径の長さが最も長くなる径)の平均値を採用することができる。また、植物由来材の粒子として、表面をアセチル化処理(アセチレンによる処理等)した粒子を用いると、バイオマス系樹脂を含有させたベース樹脂中での分散性が一段と良好なものとなるので好ましい。植物由来材の粒子として針状のものを用いると、成形品の強度が良好なものとなるので特に好ましい。また、植物由来の粒子にカビが生えないように、植物由来材の粒子中に防カビ剤を添加するのが好ましい。
また、植物由来材の粒子は、バイオマス系樹脂を含有させたベース樹脂(樹脂全体)に対して、1〜50質量%の割合で添加する必要がある。植物由来材の粒子の添加量が1%未満であると、成形された成形品を廃棄する際の環境負荷が大きくなる上、成形品に植物由来材独特の風合いを発現させることができなくなるので好ましくない。反対に、植物由来材の粒子の添加量が50%を上回ると、バイオマス系樹脂を含有させたベース樹脂と混ざりにくくなって成形しにくくなる上、ベース樹脂本来の特性が発現されにくくなるので好ましくない。植物由来材の粒子の含有量は、10%以上40%以下であるとより好ましく、20%以上30%以下であると特に好ましい。
また、本発明に係る樹脂組成物を製造する際には、バイオマス系樹脂を含有させたベース樹脂を溶融させた状態で植物由来材の粒子を添加し、しかる後に混合物を十分に撹拌する方法を好適に用いることができる。さらに、本発明に係る樹脂組成物を製造する際には、バイオマス系樹脂を含有させたベース樹脂中に、植物由来材の粒子とともに、相溶化剤を添加することも可能である。かかる相溶化剤としては、ワックス成分、界面活性剤、酸変性樹脂組成物、脂肪族エステル化合物、多価アルコールエステル、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、ステアリン酸、ポリアルキレングリコール等を好適に用いることができる。それらの相溶化剤の中でも、酸変性樹脂組成物を用いるのが好ましく、酸変性ポリオレフィンを用いるのが特に好ましい。そのように相溶化剤を添加することによって、バイオマス系樹脂を含有させたベース樹脂中での植物由来材の粒子の分散性が一段と良好なものとなる。さらに、相溶化剤を添加する際には、相溶化剤の添加量を、0.1〜30重量%に調整すると、バイオマス系樹脂を含有させたベース樹脂と植物由来材の粒子との親和性が良好なものとなり、樹脂組成物を成形品に加工する際にボイドやクラックが形成されにくくなるので好ましい。
一方、本発明の樹脂組成物は、樹脂組成物全体におけるバイオマス成分(すなわち、バイオマス系樹脂および植物由来材の粒子)の質量割合であるバイオマス由来度が10〜80%であると好ましい。当該バイオマス由来度が10%未満であると、樹脂組成物を成形した成形品を廃棄する際の環境負荷が大きくなるため好ましくなく、バイオマス由来度が80%を上回ると、樹脂組成物を成形した成形品の強度や耐久性が不十分なものとなる虞れがあるので好ましくない。かかるバイオマス由来度は、10〜50%であるとより好ましく、10〜30%であると特に好ましい。
加えて、本発明に係る樹脂組成物は、MFR(メルトフローレート)が2.0〜50.0の範囲内にあると、押し出し成形等の方法によって各種の成形品(フィルムやシート等)を形成するときのハンドリング性(成形性)が良好なものとなり、効率良く成形することが可能となるので好ましく、MFRが10.0〜40であると、より好ましい。
一方、本発明に係る樹脂組成物は、各種の生活用品、台所用品、事務用品、インテリア用品、工業製品(フィルム、シート、機械部品等)、土木建築用資材等の成形に好適に用いることができる。特に、本発明に係る樹脂組成物を用いて、フィルムやシートを成形すると、当該フィルムやシートが植物由来の独特の風合い、質感や手触りを呈するものとなるので、特に好ましい。
以下、本発明に係る樹脂組成物および成形品について実施例によって詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。また、実施例(参考例)・比較例における物性、特性の評価方法は以下の通りである。
<メルトフローレート(MFR)>
東洋精機製作所製メルトインデックサ F−F01を用いて、JIS K6921−1に準拠した方法により、温度:190℃、荷重:2.16kg、単位:g/10minの条件下で測定した。
<環境への負荷>
実施例(参考例)・比較例で得られた樹脂組成物中に含まれるカーボンニュートラルな性質(燃やしても大気中のCOの増減に影響を与えない性質)を有する原料の量によって下記の2段階で評価した。
◎:カーボンニュートラルな性質を有する原料の含有量が35質量%以上である
○:カーボンニュートラルな性質を有する原料の含有量が20質量%以上35%未満である
△:カーボンニュートラルな性質を有する原料の含有量が10質量%以上20%未満である
×:カーボンニュートラルな性質を有する原料の含有量が10質量%未満である
<耐衝撃性:樹脂組成物>
実施例・比較例で得られた樹脂組成物を用いて、射出成型を行い、170mm×20mm×4mmのサイズの試験用ダンベル状サンプルを作製した。そして、(株)東洋精機製作所製シャルピー衝撃試験機を用いて、25℃×65%RHの雰囲気下で以下の測定条件にて、作製された試験用ダンベル状サンプルのシャルピー衝撃強さを測定した(n=10)。
・容量:10kg・cm
・ハンマー重量:1.019kg
・ハンマーの空持ち上げ角度:127度
・軸心より重心までの距離:6.12cm
そして、測定されたシャルピー衝撃強さの平均値を、試験用サンプルの断面積(試験用サンプルの厚み×試験用サンプルの幅)で除すことによって単位断面積当たりのシャルピー衝撃強さ(MJ/m)を算出した。そして、算出された単位断面積当たりのシャルピー衝撃強さの数値によって、下記の3段階で評価した。
◎:5MJ/m以上
○:3MJ/m以上5MJ/m未満
△:3MJ/m未満
<耐衝撃性:シート>
実施例・比較例で得られた樹脂組成物を熱溶融させて、フィルム状に成形した後、長さ=180mm、幅=20mmのストリップ状に裁断することによって試験用サンプルを作成した。そして、樹脂組成物の耐衝撃性の評価と同様な方法で、作成されたストリップ状の試験用サンプルの耐衝撃性を評価した。
<見た目の質感(風合い)>
実施例・比較例で得られたシートの質感(木質感)を、目視によって下記の3段階で官能評価した。
◎:十分な木質感があるとともに、表面が艶消しされており、ほとんどてからない
○:若干の木質感があるとともに、表面がわずかに艶消しされており、あまりてからない
△:木質感がない上、表面がほとんど艶消しされておらず、表面のてかり度合いが高い
<表面の触感>
実施例・比較例で得られたシートの表面の触感を、目視によって下記の3段階で官能評価した。
◎:木質材(スギ)独特のざらついた触感を強く感じる
○:木質材独特のざらついた触感を感じる
△:樹脂の触感以外の触感を感じない
[実施例1]
ベース樹脂としてのポリエチレン(数平均分子量:MFR=10.0) 15重量部、および、サトウキビ由来のバイオマス系ポリエチレン(数平均分子量:MFR=5.5) 20重量部を、190℃の温度で加熱することにより溶融させて、その溶融させた混合樹脂中に、木質材(スギを乾燥させたもの)を粉砕してなる植物由来材の粒子(数平均粒子径=120μm) 60質量部、および、相溶加剤であるマレイン酸変性ポリプロピレン樹脂 5重量部を添加して十分に撹拌混合することによって実施例1の樹脂組成物を得た。そして、得られた樹脂組成物の特性(メルトフローレート、耐衝撃性)を、上記した方法によって評価した。
さらに、得られた樹脂組成物を、200℃の条件でシート状に押し出すことによって、厚さ200μmの樹脂シートを得た。そして、その合成樹脂シートの特性(耐衝撃性、質感)を、上記した方法によって評価した。実施例1の樹脂組成物、樹脂シートの特性の評価結果を、性状とともに表1に示す。
[実施例2]
ポリエチレン、バイオマス系ポリエチレン、植物由来材の粒子の添加量を、それぞれ以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の樹脂組成物を得た。そして、得られた樹脂組成物の特性(メルトフローレート、耐衝撃性)を、上記した方法によって評価した。
・ポリエチレン 25重量部
・バイオマス系ポリエチレン 40重量部
・植物由来材の粒子 30重量部
さらに、得られた樹脂組成物を、実施例1と同様にシート状に押し出すことによって、厚さ200μmの樹脂シートを得た。そして、その合成樹脂シートの特性(耐衝撃性、質感)を、上記した方法によって評価した。実施例2の樹脂組成物、樹脂シートの特性の評価結果を、性状とともに表1に示す。
[実施例3]
ポリエチレン、バイオマス系ポリエチレン、植物由来材の粒子の添加量を、それぞれ以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の樹脂組成物を得た。そして、得られた樹脂組成物の特性(メルトフローレート、耐衝撃性)を、上記した方法によって評価した。
・ポリエチレン 80重量部
・バイオマス系ポリエチレン 10重量部
・植物由来材の粒子 5重量部
さらに、得られた樹脂組成物を、実施例1と同様にシート状に押し出すことによって、厚さ200μmの樹脂シートを得た。そして、その合成樹脂シートの特性(耐衝撃性、質感)を、上記した方法によって評価した。実施例3の樹脂組成物、樹脂シートの特性の評価結果を、性状とともに表1に示す。
[実施例4]
変性ポリオレフィン樹脂であるマレイン酸変性ポリプロピレン(変性度=1.5mol%、MFR=8.0) 19重量部、および、サトウキビ由来のバイオマス系ポリエチレン(MFR=5.5) 30重量部を、190℃の温度下で加熱することによって溶融させて、その溶融させた混合樹脂中に、木質材(スギを乾燥させたもの)を粉砕してなる植物由来材の粒子(数平均粒子径=85μm) 50質量部、および、相溶加剤である界面活性剤含有ポリエチレン 1重量部を添加して十分に撹拌混合することによって実施例4の樹脂組成物を得た。そして、得られた樹脂組成物の特性(メルトフローレート、耐衝撃性)を、上記した方法によって評価した。
さらに、得られた樹脂組成物を、200℃の条件でシート状に押し出すことによって、厚さ200μmの樹脂シートを得た。そして、その合成樹脂シートの特性(耐衝撃性、質感)を、上記した方法によって評価した。実施例4の樹脂組成物、樹脂シートの特性の評価結果を、性状とともに表1に示す。
[実施例5]
サトウキビ由来のバイオマス系ポリエチレン(MFR=5.5) 65重量部を、190℃の温度下で加熱することによって溶融させて、その溶融させた混合樹脂中に、実施例1と同じ植物由来材の粒子 30質量部、および、実施例1と同じ界面活性剤含有ポリエチレン樹脂(相溶加剤) 5重量部を添加して十分に撹拌混合することによって実施例5の樹脂組成物を得た。そして、得られた樹脂組成物の特性(メルトフローレート、耐衝撃性)を、上記した方法によって評価した。
さらに、得られた樹脂組成物を、200℃の条件でシート状に押し出すことによって、厚さ200μmの樹脂シートを得た。そして、その合成樹脂シートの特性(耐衝撃性、質感)を、上記した方法によって評価した。実施例5の樹脂組成物、樹脂シートの特性の評価結果を、性状とともに表1に示す。
[比較例1]
実施例1と同じポリエチレン 69重量部を、190℃の温度下で加熱することによって溶融させて、その溶融させた混合樹脂中に、実施例1と同じ植物由来材の粒子 30質量部、および、実施例4と同じ界面活性剤含有ポリエチレン(相溶化剤) 1重量部を添加して十分に撹拌混合することによって比較例1の樹脂組成物を得た。そして、得られた樹脂組成物の特性(メルトフローレート、耐衝撃性)を、上記した方法によって評価した。
さらに、得られた樹脂組成物を、200℃の条件でシート状に押し出すことによって、厚さ200μmの樹脂シートを得た。そして、その合成樹脂シートの特性(耐衝撃性、質感)を、上記した方法によって評価した。比較例1の樹脂組成物、樹脂シートの特性の評価結果を、性状とともに表1に示す。
[比較例2]
ポリエチレン、バイオマス系ポリエチレン、植物由来材の粒子の添加量を、それぞれ以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の樹脂組成物を得た。そして、得られた樹脂組成物の特性(メルトフローレート、耐衝撃性)を、上記した方法によって評価した。
・ポリエチレン 85重量部
・バイオマス系ポリエチレン 5重量部
・植物由来材の粒子 5重量部
さらに、得られた樹脂組成物を、実施例1と同様にシート状に押し出すことによって、厚さ200μmの樹脂シートを得た。そして、その合成樹脂シートの特性(耐衝撃性、質感)を、上記した方法によって評価した。比較例2の樹脂組成物、樹脂シートの特性の評価結果を、性状とともに表1に示す。
[比較例3]
ポリエチレン、バイオマス系ポリエチレン、植物由来材の粒子の添加量を、それぞれ以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例3の樹脂組成物の調製を試みた。しかしながら、十分に混練することができず、ポリエチレン、バイオマス系ポリエチレンの混合樹脂中に植物由来材が均一に分散した樹脂組成物を得ることができなかった。
・ポリエチレン 5重量部
・バイオマス系ポリエチレン 10重量部
・植物由来材の粒子 80重量部
[比較例4]
ポリエチレン、バイオマス系ポリエチレン、植物由来材の粒子の添加量を、それぞれ以下のように変更するとともに、混合溶融樹脂中に、植物由来材の粒子および界面活性剤含有ポリエチレン樹脂(相溶化剤)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4の樹脂組成物を得た。そして、得られた樹脂組成物の特性(メルトフローレート、耐衝撃性)を、上記した方法によって評価した。
・ポリエチレン 90重量部
・バイオマス系ポリエチレン 10重量部
さらに、得られた樹脂組成物を、実施例1と同様にシート状に押し出すことによって、厚さ200μmの樹脂シートを得た。そして、その合成樹脂シートの特性(耐衝撃性、質感)を、上記した方法によって評価した。比較例4の樹脂組成物、樹脂シートの特性の評価結果を、性状とともに表1に示す。
Figure 2021042318
表1から、実施例1〜5で得られた樹脂組成物は、いずれも環境負荷が小さく、耐衝撃性に優れていることが分かる。また、実施例1〜5で得られた樹脂シートは、いずれも耐衝撃性に優れており、見た目の木質感、木質の触感があるため意匠性に優れていることが分かる。
それに対して、混合樹脂中にバイオマス由来樹脂を含有しない比較例1の樹脂組成物は、環境負荷が大きい上、耐衝撃性が不良であり、比較例1で得られた樹脂シートは、耐衝撃性が不良な上、見た目の木質感がなく意匠性が低いことが分かる。また、植物由来材の粒子の添加量が少ない比較例2,4で得られた樹脂組成物は、耐衝撃性が良好であるものの、環境負荷が大きく、比較例2,4で得られた樹脂シートは、見た目の木質感がなく意匠性が低いことが分かる。さらに、大量の植物由来材の粒子を混合樹脂中に添加した比較例3においては、成形に適した樹脂組成物が得られなかったことが分かる。
本発明に係る樹脂組成物は、は、上記の如く優れた効果を奏するものであるから、生活用品、台所用品、事務用品、インテリア用品、工業製品(フィルム、シート、機械部品等)、土木建築用資材等の各種の成形品の原料として好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. 植物由来材の粒子を樹脂成分中に添加してなる樹脂組成物であって、
    前記植物由来材の粒子の添加割合が1〜50質量%であり、
    前記植物由来材の粒子の最大径の平均値が100〜300μmであるとともに、
    前記樹脂成分が、ベース樹脂中にバイオマス由来のバイオマス系樹脂を含有させたものであることを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記ベース樹脂が、ポリオレフィンを主成分とするものであることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記バイオマス系樹脂が、サトウキビ由来のポリオレフィンを主成分とするものであることを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ベース樹脂が、酸変性ポリオレフィンを含むものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 前記ベース樹脂の酸変性度が0.3〜2.5mol%であることを特徴とする請求項4に記載の樹脂組成物。
  6. 前記樹脂成分のバイオマス由来度が5〜60質量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
  7. 全ての成分のバイオマス由来度が10〜85質量%であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. 前記樹脂成分の190℃におけるメルトフローレートが5〜50であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物によって形成されていることを特徴とする成形品。
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