JP2015205451A - パネル構造及びエネルギー減衰性内外装材 - Google Patents
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Abstract
【課題】パネルに生じた振動を効果的に低減してパネルの振動(共鳴音)が室内に伝達するのを抑えることができると共に、室内空間を大きく取ることができるパネル構造及びエネルギー減衰性内外装材の提供。【解決手段】エネルギー減衰性を備えたパネル構造であって、表面層13、減衰層12、粘着剤層または接着剤層14の順に積層されたエネルギー減衰性内外装材11が粘着剤層または接着剤層14を介してパネル1に固定されており、減衰層12は有機減衰フィラー15を含むポリマーが付着した繊維層からなり、有機減衰フィラー15は、音、振動、衝撃、電磁波及び熱のエネルギーを熱又は電気のエネルギーに変換して減衰することが可能な化合物であるパネル構造。【選択図】図1
Description
本発明は、例えば自動車のルーフパネル、床パネル、ドアパネル、フロントパネル、リアパネルなどのパネルに適用されるパネル構造及びエネルギー減衰性内外装材に関する。詳細には音、振動、衝撃、電磁波、電気及び熱のエネルギーを熱や電気のエネルギーに変換して効果的に減衰させることができるパネル構造及びエネルギー減衰性内外装材に関する。
自動車の車内空間の静寂性や快適性を考えたとき、パネルを通じて伝播する騒音、振動、衝撃、放射熱を減衰させることが重要である。従来、例えば自動車のルーフパネルでは、図2に示すように、ルーフパネル1の内面側に接着層5を介して拘束層を構成する金属層6を設けた制振材4を貼り付けると共に、この制振材4から空間を設けて不織布または発泡樹脂からなり、室内側に表装材3を貼り付けた内装材2を配置した構造が取られていた(例えば特許文献1参照)。
このように構成されたパネル構造では、ループパネル1の振動による共鳴音を制振材4がループパネル1の振動を抑えることで減衰させると共に空気層を介して配された不織布または発泡樹脂からなる内装材2が吸音するという騒音対策がなされるようになっていた。また、このパネル構造では、ルーフパネル1の熱の伝播を空気層と不織布または発泡樹脂からなる内装材2によって吸熱し、車室内側への熱の伝播を抑えるようになっていた。
ところが、従来のパネル構造の場合、金属層6を設けた制振材4を貼り付けることから軽量性に欠けるといった問題点を有していた。またこのパネル構造では、騒音対策及び断熱手段として制振材4と内装材2との対向面間に空間部を形成しており、その分だけ車内空間が狭くなるといった問題点も有していた。
本発明は、パネルに生じた振動を効果的に低減してパネルの振動(共鳴音)が車室内に伝達するのを抑えることができると共に、室内空間を大きく取ることができるパネル構造及びエネルギー減衰性内外装材を提供することを目的とするものである。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、エネルギー減衰性を備えたパネル構造であって、表面層、減衰層、粘着剤層または接着剤層の順に積層されたエネルギー減衰性内外装材が前記粘着剤層または接着剤層を介してパネルに固定されており、前記減衰層が有機減衰フィラーを含むポリマーが付着した繊維層または有機減衰フィラーが配合された発泡樹脂層からなり、前記有機減衰フィラーは、音、振動、衝撃、電磁波、電気及び熱のエネルギーを熱または電気のエネルギーに変換して減衰することが可能な化合物であることを特徴とするパネル構造をその要旨とした。
請求項2に記載の発明は、有機減衰フィラーは、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、及びN,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンから選択された1種若しくは2種以上の化合物からなることを特徴とする請求項1に記載のパネル構造をその要旨とした。
請求項3に記載の発明は、エネルギー減衰性を有する減衰層を備えており、前記減衰層は有機減衰フィラーを含むポリマーが付着した繊維層または有機減衰フィラーが配合された発泡樹脂層からなり、前記有機減衰フィラーは、音、振動、衝撃、電磁波、電気及び熱のエネルギーを熱または電気のエネルギーに変換して減衰することが可能な化合物であることを特徴とするエネルギー減衰性内外装材をその要旨とした。
請求項4に記載の発明は、有機減衰フィラーは、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、及びN,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンから選択された1種若しくは2種以上の化合物からなることを特徴とする請求項3に記載のエネルギー減衰性内外装材をその要旨とした。
請求項5に記載の発明は、ポリマー中にフタロシアニン化合物、ヨウ素系化合物及び金属イオンの少なくとも1種がさらに含まれていることを特徴とする請求項3または4に記載のエネルギー減衰性内外装材をその要旨とした。
本発明のパネル構造にあっては、有機減衰フィラーを含むポリマーが付着した繊維層または有機減衰フィラーが配合された発泡樹脂層からなる減衰層を備えるエネルギー減衰性内外装材が前記粘着剤層または接着剤層を介してパネルに固定された軽量且つ、単純な構造からなり、パネルの振動や衝撃をエネルギー減衰性内外装材に含まれる有機減衰フィラーが熱に変換して効果的に減衰させるので、パネルの振動、衝撃による共鳴音の室内側への伝播を確実に抑えることができる。
また、本発明のパネル構造にあっては、エネルギー減衰性内外装材の減衰層に含まれる有機減衰フィラーが熱エネルギーを電気エネルギーに変換して減衰させるので、例えばルーフパネルやドアパネルなどのアウタパネルの場合、パネルの熱を室内側に伝播させないように断熱するための空気層を設ける必要が無く、その分室内空間を大きく取ることができる。
以下、本発明の自動車のパネル構造を図面に示した形態に従って詳しく説明する。尚、エネルギー減衰性内外装材はパネル構造を説明する中で説明する。本発明のパネル構造はエネルギー減衰性内外装材を用いたことを最大の特徴とするものである。
図1に示すように、このエネルギー減衰性内外装材11は、エネルギー減衰性を有する減衰層12を備えており、減衰層12は有機減衰フィラー15を含むポリマーが付着した繊維層または有機減衰フィラー15が配合された発泡樹脂層からなる。
有機減衰フィラーは、音、振動、衝撃、電磁波、電気及び熱のエネルギーを熱または電気のエネルギーに変換して減衰することが可能な化合物である。具体的にはp−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、及びN,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンから選択された1種若しくは2種以上の化合物を挙げることができる。
減衰層は、上記有機減衰フィラーを配合したポリマーを繊維層に塗布または含浸して付着させたり、発泡成形したりするだけで作製することができる。有機減衰フィラーを配合するポリマーには、用途や使用状態に応じて、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂、ゴム、あるいは水系エマルジョン樹脂などを用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、汎用プラスチック及びエンジニアリングプラスチックから選ばれる1種若しくは2種以上を挙げることができ、汎用プラスチックとしては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、それらの共重合体、好ましくはカルボン酸とエポキシ等の極性基をグラフト又は共重合させたポリオレフィン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリルスチレン共重合体(AS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、塩素化ポリエチレン(CPE)、及びエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)から選ばれる1種若しくは2種以上を挙げることができる。
エンジニアリングプラスチックとしては、例えばポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルペンテン(TPX)、シンジオタクチック・ポリスチレン(SPS)、ポリサルフォン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、液晶ポリマー(LCP)、フッ素樹脂、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、変性ポリフェニレンエーテル(mPPE)、ポリサルホン(PSF)、およびポリアミドイミド(PAI)の群から選ばれる1種若しくは2種以上、若しくはこれらの共重合体を挙げることができる。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば熱可塑性スチレン(TPS)、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性ポリエステル系エラストマー(TPEE)、熱可塑性加硫エラストマー(TPV)、熱可塑性塩化ビニル系エラストマー(TPVC)、熱可塑性ポリアミド系エラストマー(PEBAX)、有機過酸化物で部分架橋してなるブチルゴム系熱可塑性エラストマーから選ばれる1種若しくは2種以上、若しくはこれらの共重合体、或いはスチレン−ビニルイソプレンブロック共重合体からなる熱可塑性エラストマー、ポリプロピレン及びスチレン系エラストマーの混合物又は共重合体を挙げることができる。
熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、及びケイ素樹脂から選ばれる1種若しくは2種以上、若しくはこれらの共重合体を挙げることができる。
ゴムとしては、ポリブタジエン(PB)、ニトリルゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、ブチルゴム(IIR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、フッ素系ゴム、及びシリコンゴムから選ばれる1種若しくは2種以上、若しくはこれらの共重合体を挙げることができる。
水系エマルジョン樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリスチレン(PS)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)及びポリウレタンから選ばれる1種若しくは2種以上を挙げることができる。
尚、上記ポリマーの選択に際しては、前述の有機減衰フィラーとの相溶性のほか、当該内外装材の適用される用途や使用形態に応じて、取り扱い性、成形性、入手容易性、温度性能(耐熱性や耐寒性)、耐候性、価格なども考慮するのが望ましい。
この減衰層を構成する有機減衰フィラーのポリマーへの配合量としては、ポリマー100重量部に対し1〜200重量部の割合で含まれていることが望ましい。有機減衰フィラーの含有量が1重量部を下回る場合、十分なエネルギー減衰性を得ることができず、200重量部を上回る場合には、範囲を超える分だけの減衰性が得られず不経済となるからである。
上記ポリマー中には有機減衰フィラーの他にフタロシアニン化合物、ヨウ素系化合物及び金属イオンの少なくとも1種をさらに含ませることもできる。これらフタロシアニン化合物、ヨウ素系化合物及び金属イオンは、単独で抗菌、抗ウイルス性、消臭、アレルゲン低減効果などの複数の機能を発揮するためより好ましい。
フタロシアニン化合物としては、具体的には下記式に示す金属フタロシアニン化合物又はその誘導体(式中の金属Mは、Fe、Co、Mn、Ti、V、Ni、Cu、Zn、Mo、W、Osから選択される金属である。)から選ばれる1種若しくは2種以上を挙げることができる。このフタロシアニン化合物は、単独で優れた抗菌性、抗ウイルス性、消臭性、アレルゲン低減効果を発揮するので好ましい。
ヨウ素系化合物は、優れた抗菌、抗ウイルス性、消臭性、アレルゲン低減効果を有するものである。このヨウ素系化合物としては、ヨウ素を担体に担持、吸蔵させて複合化したヨードホール、あるいは前記ヨードホールをゲスト分子として、これをホスト分子に包接させたヨウ素包接体、1−(ジヨードメチルスルホニル)−4−メチルベンゼン及び3−ヨード−2−プロピニルブチルカーボネートからなるヨウ素系抗菌剤を挙げることができる。特に1−(ジヨードメチルスルホニル)−4−メチルベンゼン及び3−ヨード−2−プロピニルブチルカーボネートからなるヨウ素系化合物は、細菌やウイルスを直ぐに死滅させるのではなく、細胞壁のみを破壊してダメージを与えることで、細菌やウイルスから警報フェロモンを放出させ、周囲の細菌やウイルスを退散させるというメカニズムで抗菌、抗ウイルス性が発揮されるようになっている。
金属イオンとしては、銀や銅などの金属を含む金属繊維を用いる態様を挙げることができる。金属繊維からは銀や銅などの金属イオンが放出されるため、この金属イオンにより優れた抗菌、抗ウイルス性が発揮されることになる。
上記ポリマー中には、例えばマイカ鱗片、ガラス片、グラスファイバー、カーボンファイバー、炭酸カルシウム、バライト、沈降硫酸バリウム等の物質や、腐食防止剤、染料、酸化防止剤、制電剤、安定剤、湿潤剤などを必要に応じて適宜加えることができる。
減衰層として発泡樹脂層の形態を採る場合、発泡樹脂層を構成するポリマーとしては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール、フッ素樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ、フェノール、メラミン、ウレタン及びケイ素樹脂の中から選ばれる少なくとも1種が望ましい。これらのポリマー素材を熱分解型発泡剤を用いた気泡発生手段など従来公知の気泡発生手段を用いて発泡成形することにより減衰層を得ることができる。発泡レベルとしては特に限定されないが、吸音性や制振性を求める用途には連続気泡構造とするのが望ましく、防振性や衝撃吸収性、断熱性を求める用途には独立気泡構造とするのが望ましい。
この減衰層は、単独で優れた制振性、吸音性、防振性、衝撃吸収性、電磁波吸収性、帯電防止性、断熱性といった性質を併せ持つため、複数の性能が同時に要求される用途にも使用することができる。
図1に示すエネルギー減衰性内外装材11は、有機減衰フィラー15を配合したエマルジョン樹脂を繊維層に付着させた減衰層12を用い、その一方面側に表面層13、他方面側に粘着剤層または接着剤層14を設けたものである。そして、前記粘着剤層または接着剤層14を介してパネル1に該エネルギー減衰性内外装材11を固定してエネルギー減衰性に優れるパネル構造をとした。
減衰層12を構成する繊維層としては、織物、編物、紙、不織布、フィルム及びこれらの複合物などを挙げることができる。繊維層を構成する繊維素材としては特に限定されず、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66などのポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリルなどのアクリル系繊維、或いはポリビニルアルコール系繊維といった合成繊維、レーヨン繊維などの再生繊維、アセテート繊維などの半合成繊維、綿や麻などの植物繊維、羊毛繊維や羽毛繊維などの動物性繊維から選ばれる1種若しくは2種以上をを挙げることができる。有機減衰フィラーを含むポリマーの繊維層への付着量は任意であるが、好ましくは10〜600g/m2である。
表面層13としては、例えば織物、編物、不織布、革、これらの複合物を挙げることができる。尚、表面層13には、上述のフタロシアニン化合物、ヨウ素系化合物及び金属イオンの少なくとも1種を含ませることもできる。
粘着剤層または接着剤層14のうち粘着剤層としては、例えばポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂等の粘着剤、ブチルゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等のゴム系粘着剤、を挙げることができ、これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの粘着剤の中でも、粘着性に優れると共にエネルギー減衰性を持つブチルゴムが好ましい。
接着剤層としては、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体などを挙げることができる。これらの中でもポリプロピレンは比較的融点が高く、接着性も優れているため好適である。
上述したとおり、減衰層は、単独で優れた制振性、吸音性、防振性、衝撃吸収性、電磁波吸収性、帯電防止性、断熱性といった性質を併せ持つため、複数の性能が同時に要求される用途にも使用することができる。例えば図2に示すように従来のルーフパネルでは、ルーフパネル1の内面側に接着層5を介して拘束層を構成する金属層6を設けた制振材4を貼り付けると共にこの制振材4から空間を設けて不織布または発泡樹脂からなり、室内側に表装材3を貼り付けた内装材2を配置した構造が取られており、ループパネル1の振動による共鳴音(例えば降雨によるドラミング現象)を制振材4がループパネル1の振動を抑えることで減衰させると共に空気層を介して配された不織布または発泡樹脂からなる内装材2が吸音するという騒音対策がなされるようになっていた。また、このパネル構造では、ルーフパネル1の熱の伝播を空気層と不織布または発泡樹脂からなる内装材2によって吸熱し、車室内側への熱の伝播を抑えるようなっていた。
これに対し、本発明のパネル構造では、ルーフパネル1にエネルギー減衰性内外装材11を固定するだけで、エネルギー減衰性内外装材11の減衰層12中に含まれる有機減衰フィラー15がルーフパネル1の振動を抑制し、ルーフパネル1からの共鳴音を吸音し、ルーフパネル1から伝播する熱または赤外線を減衰するので、軽く、スペースを取らずに振動、騒音を抑え、断熱効果を発揮し、静寂性、快適性に優れる室内空間の形成に寄与する。
また、従来のフロアパネル上には路面からの騒音や振動、衝撃を遮断するため、断熱、吸音を目的とする空気層を形成するハニカム構造体や制振層などが配されており、大きなスペースを占有していた。これに対し、本発明のパネル構造では、フロアパネルにエネルギー減衰性内外装材を固定するだけで、エネルギー減衰性内外装材の減衰層中に含まれる有機減衰フィラーがフロアパネルに伝わる振動や衝撃(突き上げ)を抑制し、パネルからの共鳴音を吸音し、パネルから伝播する熱または赤外線を減衰するので、軽く、スペースを取らずに振動、騒音、衝撃を抑え、断熱効果を発揮し、静寂性、快適性に優れる室内空間の形成に寄与する。
従来より側面ドアは、アウタパネルとインナパネルの間にドアビームが配置され、前記インナパネルの室内側にドアトリムが取り付けられた複雑な構造となっており、アウタパネルの内面側には、パネルの振動を抑制すると共に凹みを防止し、ペコペコ感のなくす為に制振シートが貼り付けられていた。また、インナパネルの室内側にはドアホールシールが貼り付けられ、その一部にも制振シートが貼り付けられていた。また、ドアトリムは、ガラス繊維等の繊維が混入された樹脂製の芯材とその表面を覆う表装材とからなり、インナパネルからの騒音、振動の減衰が図られていた。また、これらアウタパネル、インナパネル及びドアトリムの間に作られる隙間が空気層となり、制振シート、繊維が混入された樹脂芯材と協働してドアの開閉音、路面から伝わる走行音、風きり音、或いはこれらの騒音に起因する振動の減衰がなされるようになったいた。
これに対し、本発明のパネル構造では、例えばアウタパネルにエネルギー減衰性内外装材を固定するだけで、エネルギー減衰性内外装材の減衰層中に含まれる有機減衰フィラーがパネルに伝わる振動や衝撃(突き上げ)を抑制し、パネルからの共鳴音を吸音し、パネルから伝播する熱または赤外線を減衰するので、軽く、スペースを取らずに振動、騒音、衝撃を抑え、断熱効果を発揮し、静寂性、快適性に優れる室内空間の形成に寄与する。
尚、本発明は、特許請求の範囲に記載された範囲で自由に変更して実施することができる。
本発明は、例えば自動車のルーフパネル、フロアパネル、床パネル、ドアパネル、フロントパネル、リアパネル、ボンネットなどのパネル構造に適用でき、さらには自動車のフロアマット、ファーストカーペット、シート、ドアトリム、インストルメントパネルなどの内装材のほか、天井内装材、床内装材、バンパー、フェンダーライナー、エンジンカバーなどの外装材、住宅の天井や壁などの内装材、屋根のルーフィング、ドアなどの外装材などにも好適に使用することができる。
1・・・ルーフパネル
11・・・エネルギー減衰性内外装材
12・・・減衰層
13・・・表面層
14・・・粘着剤層または接着剤層
15・・・有機減衰フィラー
11・・・エネルギー減衰性内外装材
12・・・減衰層
13・・・表面層
14・・・粘着剤層または接着剤層
15・・・有機減衰フィラー
Claims (5)
- エネルギー減衰性を備えたパネル構造であって、
表面層、減衰層、粘着剤層または接着剤層の順に積層されたエネルギー減衰性内外装材が前記粘着剤層または接着剤層を介してパネルに固定されており、前記減衰層が有機減衰フィラーを含むポリマーが付着した繊維層、或いは有機減衰フィラーが配合された発泡樹脂層からなり、前記有機減衰フィラーは、音、振動、衝撃、電磁波、電気及び熱のエネルギーを熱または電気のエネルギーに変換して減衰することが可能な化合物からなることを特徴とするパネル構造。 - 有機減衰フィラーは、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、及びN,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンから選択された1種若しくは2種以上の化合物からなることを特徴とする請求項1に記載のパネル構造。
- エネルギー減衰性を有する減衰層を備えており、前記減衰層は有機減衰フィラーを含むポリマーが付着した繊維層、或いは有機減衰フィラーが配合された発泡樹脂層からなり、前記有機減衰フィラーは、音、振動、衝撃、電磁波、電気及び熱のエネルギーを熱または電気のエネルギーに変換して減衰することが可能な化合物からなることを特徴とするエネルギー減衰性内外装材。
- 有機減衰フィラーは、p−(p−トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、4,4’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、及びN,N’−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンから選択された1種若しくは2種以上の化合物からなることを特徴とする請求項3に記載のエネルギー減衰性内外装材。
- ポリマー中にフタロシアニン化合物、ヨウ素系化合物及び金属イオンの少なくとも1種がさらに含まれていることを特徴とする請求項3または4に記載のエネルギー減衰性内外装材。
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