JP2015204504A - 操作ハンドル機構及び荷重支持機構 - Google Patents

操作ハンドル機構及び荷重支持機構 Download PDF

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Abstract

【課題】ハンドルを便利に操作して可動部を移動することができ、ハンドルの操作位置に拘わらず、常に円滑な操作及び移動を確保し得る操作ハンドル機構を提供する。
【解決手段】操作ハンドル部は、上下移動可能な支持フレーム部23の移動を操作するためのハンドル桿と、ハンドル桿に結合された左右の伝達ロッド123a,123bとを有する。伝達ロッドは、支持フレーム部に対してその移動方向に沿って所定の距離だけ変位可能で、その距離を超えると支持フレーム部と一体に移動する。左右の伝達ロッドは、その一方から他方へハンドル桿からの操作力の一部を伝達可能にかつそれにより両伝達ロッドが同時に等しい距離だけ移動し得るように、伝達ロッド側のラック部140a,140bとそれに噛合する歯車列134a,135bと互いに噛合する歯車列134b,135aによって連結されている。
【選択図】図32

Description

本発明は、可動部を移動操作するための操作ハンドル機構に関し、例えば物品等の荷重を移動可能に支持する支持機構において荷重の移動操作に使用するのに適した操作ハンドル機構、及び荷重支持機構に関する。
従来、コンピューターやテレビのモニター装置、他の様々な物品を所望の高さ位置にかつ昇降可能に支持するための支持機構においては、該物品の移動を手で操作するために操作ハンドルが設けられている場合が多くある。例えば、昇降式の黒板では、支持枠の水平な下部の左右中心付近に昇降用の手持ちハンドルを左右1対設けたものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1記載の黒板は、支持枠の左右両端の垂直な支柱が固定枠の上下ガイド孔を貫通して、昇降可能に保持されている。更に支持枠は、下部の左右両端付近を、共通のドラムの外周に接続された2本のワイヤーと該ドラムのカムに接続されたスプリング手段とで持ち上げるように支持され、黒板の重量を吸収して任意の高さで静止できるようにしている。
また、昇降モータを駆動してシート載置台を昇降させることにより、複写機等の画像形成装置にシートを供給するシート供給装置が知られている(例えば、特許文献2を参照)。この装置では、昇降モータのモータ軸に固着した昇降ギアとこれに噛合する同形状の別の昇降ギアとを、シート載置台に設けた左右の昇降ラックにそれぞれ噛合させることによって、比較的平面寸法の大きいシート載置台を水平状態で垂直に昇降可能にしている。
特開平11−137362号公報 特開2003−276953号公報
しかしながら、上述した従来の昇降式黒板は、その左右端部付近に使用者が立っている場合、黒板を昇降しようとする度に、手持ちハンドルが設けられている黒板の左右中心付近まで移動しなければならず、不便である。そこで、昇降式黒板のように左右方向に長大な物品を昇降させる場合、その左右両端付近にも手持ちハンドルを設けるような改善策が考えられる。
ところが、そのような物品の支持機構において、支持枠の左右片側にのみ操作力が加わると、物品の重量や支持枠の構造又は強度、操作力の大きさ等によって、支持枠にゆがみやこじれを生じる虞がある。このようなゆがみやこじれは、物品を昇降させる際にがたつき等の支障を生じたり、円滑な移動操作及び昇降を妨げる原因となり得るので、好ましくない。
別の改善策として、ハンドルを左右方向に長く設けることができる。しかしながら、その操作方向即ち物品の移動方向と交差する向きに長いロッド状のハンドルは、一方の端部に操作力が集中した場合、相当十分な剛性を有しないと、操作方向側に撓曲し易いという問題がある。その結果、ハンドルを操作する位置によっては、操作力が支持枠に左右で偏って作用し、同様に支持枠のゆがみやこじれを生じ、円滑な移動操作及び物品の昇降を確保できなくなる虞がある。
そこで、本発明の目的は、ハンドルを便利に操作して可動部を移動させることができ、かつその場合にハンドルの操作位置に拘わらず、常に円滑な操作及び移動を確保し得る操作ハンドル機構を提供することにある。
更に本発明の目的は、物品等の荷重を静止した状態でかつ変位可能に支持するために、固定支持部と、該固定支持部に関して移動可能な可動支持部とを備える荷重支持機構において、ハンドルをどの操作位置からも同様に便利に操作して可動支持部の移動を常に円滑かつ確実にできるようにすることにある。
本発明の操作ハンドル機構は、所定の方向に沿って移動可能な可動部と、
可動部の移動を操作するためのハンドルと、該ハンドルに結合された第1伝達部材及び第2伝達部材とを有する操作部とを備え、
第1及び第2伝達部材が、それぞれ可動部に対してその移動方向に沿って所定の距離だけ変位可能で、該所定の距離を超えると可動部と一体に移動可能に設けられ、
可動部が、ハンドルを操作したときに、第1伝達部材又は第2伝達部材の変位に連動して、ハンドルの操作力の一部を第1及び第2伝達部材間で伝達するように、第1伝達部材と第2伝達部材とを連結する連結部材を有することを特徴とする。
操作部の第1及び第2伝達部材が、このように可動部の連結部材によって連結されているので、ハンドルを操作したときにその操作位置に拘わらず、常に前記両伝達部材を同期させて移動させることができる。しかも、第1及び第2伝達部材が、可動部と、所定の距離だけ相対変位した後に、一体となって移動するので、可動部に大きな荷重等の負荷が作用している場合でも、ハンドルに急激な負荷を感じさせることなく、可動部の移動をスムーズに行うことができる。
或る実施態様では、可動部の移動を制動するためのブレーキ部を更に備え、該ブレーキ部が、連結部材の変位によって制動及び/又は制動解除可能である。このように連結部材の変位に対応して動作するブレーキ部を備えることによって、1つのハンドル操作で、安全を確保しながら可動部の移動を確実に行うことができる。
別の実施態様では、第1及び第2伝達部材がそれぞれラック部を有し、連結部材が、操作力を伝達可能に前記両ラック部に噛合する歯車列からなる。このようにラック部と歯車列とからなる歯車機構を用いることによって、第1及び第2伝達部材間における操作力の伝達、及び同期した両伝達部材の動作を容易に実現することができる。
また、別の実施態様では、第1及び第2伝達部材がそれぞれラック部を有し、連結部材が、操作力を伝達可能に両ラック部に噛合する歯車列からなり、該歯車列を構成するいずれかの歯車の回転によって、ブレーキ部が制動及び/又は制動解除される。このように歯車機構とブレーキ部とを組み合わせることによって、第1及び第2伝達部材間における操作力の伝達、及び同期した両伝達部材の同期を実現すると同時に、1つのハンドル操作で可動部の移動を安全にかつ確実に行うことができる。
更に或る実施態様では、可動部が、第1及び第2伝達部材をそれぞれ前記所定の距離の端部で係止するための第1及び第2係止部を有する。これにより、比較的簡単な機械的構成で、第1及び第2伝達部材と可動部とを一体に移動させることができる。
別の実施態様では、可動部が前記所定の方向に沿って両方向に移動可能であり、ハンドルが、その操作方向に沿って可動部の移動方向に対応して両方向に操作可能であり、第1及び第2伝達部材が、ハンドルの操作方向に対応してそれぞれ可動部に関して両方向に相対変位可能である。これにより、操作ハンドル機構の汎用性が向上し、より高い自由度でより広範な用途に適用することができる。
本発明の別の側面によれば、本発明の荷重支持機構は、固定支持部と、
固定支持部に関して移動可能な、荷重を受けるための可動支持部と、
可動支持部の移動を操作するための操作ハンドル部とを備え、
可動支持部と操作ハンドル部が、それぞれ上述した本発明の操作ハンドル機構の可動部と操作部からなることを特徴とする。
このように荷重を受ける可動支持部を操作ハンドル部の操作により固定支持部に関して移動させ得る荷重支持機構に、上述した本発明の操作ハンドル機構を適用することによって、ハンドルをどの操作位置からも同様に便利に操作して可動支持部の移動を常に円滑かつ確実に行うことができる。
本発明による荷重支持機構の基本構成を示す正面図である。 図1のII-II線における矢視図である。 第2カムフォロアが固定カム面の第1領域S1にある状態での要部間の関係を説明する図である。 第2カムフォロアが固定カム面の第2領域S2にある図3と同様の説明図である。 第2カムフォロアが固定カム面の第3領域S3にある図3と同様の説明図である。 本発明を適用した物品支持装置の第1実施態様の斜視図である。 図6の第1実施態様の分解斜視図である。 支持フレーム部が最上位置にある物品支持装置の正面図である。 一方のカムフォロア部材を上から見た図8の部分拡大縦断面図である。 固定カム部材を省略して示す図9(a)のIX-IX線における矢視図である。 支持フレーム部の下側の下部フレーム及び第2ばねを示す拡大図である。 支持フレーム部を上方から平面視した部分拡大図である。 図8の固定カム面及びカムフォロア部材を示す部分拡大図である。 支持フレーム部が中間位置にある図8と同様の正面図である。 図12の固定カム面及びカムフォロア部材を示す部分拡大図である。 支持フレーム部が最下位置にある図8と同様の正面図である。 図15の固定カム面及びカムフォロア部材を示す部分拡大図である。 固定カム面の上端付近を示す部分拡大図である。 固定カム面の下端付近を示す部分拡大図である。 第1実施態様のブレーキ機構を示す部分拡大斜視図である。 図19のブレーキ機構の正面図である。 図19のブレーキ機構の上昇時解除動作を示す正面図である。 図19のブレーキ機構の下降時解除動作を示す正面図である。 図19のブレーキ機構の変形例を示す正面図である。 図23のブレーキ機構の上昇時解除動作を示す正面図である。 図23のブレーキ機構の下降時解除動作を示す正面図である。 (a)図及び(b)図は、本実施態様のブレーキ装置の制動作用を概念的に説明するための模式図である。 スピードリミッター機構を物品支持装置の背面側から見た部分破砕拡大図である。 (a)及び(b)図は、それぞれ遠心ブレーキ機構の非作動時及び作動時の部分破砕拡大正面図である。 本発明を適用した物品支持装置の第2実施態様の上半分の斜視図である。 第2実施態様のブレーキ機構を正面側から示す部分拡大斜視図である。 図30のブレーキ機構を背面側から示す部分拡大斜視図である。 図30のブレーキ機構の制動状態を示す正面図である。 図30のブレーキ機構の上側のみ解除した状態を示す正面図である。 図30のブレーキ機構の全解除状態を示す正面図である。 (a)及び(b)図は、第2実施態様の物品支持装置における操作ハンドル部の動作を説明する図である。 (a)及び(b)図は、従来構造の操作ハンドル部の動作を、図35と対比して説明する図である。
以下に、添付図面を参照しつつ、本発明の好適な実施態様を詳細に説明する。尚、添付図面において、本明細書全体を通して類似の構成要素には、同様の参照符号を付して表すこととする。
図1及び図2は、本発明による荷重支持機構の基本構成を概念的に示している。同図に示すように、荷重支持機構1は、例えば床や台上に設置される固定支持部2と、物品の荷重を受ける可動支持部3と、例えば引張コイルばねからなる第1ばね4とを備える。例えばテレビのモニター装置である物品Aは、可動支持部3上に設けられた取付ステー5により、荷重支持機構1の前面側に取り付けて支持することができる。
固定支持部2は、本実施態様において、垂直な左右の縦枠部材6a,6bと、前記両縦枠部材の上端間に水平に架設された横枠部材7とからなる外枠構造を有する。一方の縦枠部材6aには、その上下方向中央付近から下端付近まで延長する固定カム8が、一体に設けられている。
固定カム8は、他方の縦枠部材6b側に向けて即ち図1において右向きに凸状に、かつその接線方向の傾きが上端から下端まで全長に亘って又は部分的に変化するように湾曲している固定カム面9を有する。好ましくは、図2に示すように、縦枠部材6aの前後側部に1つずつ、1対の固定カム8,8及び固定カム面9,9が前後対称に設けられる。
可動支持部3は、本実施態様において、固定支持部2の縦枠部材6a,6b間を水平に延長する上側及び下側の横枠部材10a,10bと、垂直な左右の縦枠部材11a,11bとからなる矩形枠構造を有する。縦枠部材11a,11bは、固定支持部2の各縦枠部材6a,6b内側のガイド12a,12bに沿って上下に移動可能に設けられる。これにより可動支持部3は、物品Aを取り付けた状態で前記ガイドに案内されて、固定支持部2に関して上下方向に移動可能である。
第1ばね4は、その上端4aが固定支持部2の横枠部材7に固定され、かつ下端4bが可動支持部3の上側の横枠部材10aに固定され、垂直方向に伸縮して垂直方向上向きの付勢力FAを発生する。この第1ばね4の付勢力FAによって、可動支持部3及び物品Aは垂直方向に変位可能に支持される。
更に可動支持部3には、該可動支持部と共に移動する可動カムとして、下側の横枠部材10bを前後方向に貫通し、かつ前記可動支持部の移動方向に直交する向きに即ち水平方向に延長するカム溝13が設けられている。カム溝13は、互いに対向する平行な上側下向きの第1可動カム面14aと下側上向きの第2可動カム面14bとを有する。
カム溝13には、カムフォロア部材15が設けられている。カムフォロア部材15は、カム溝13を前後方向に貫通する断面円形の真直ぐなロッド形状又は円管形状の第1カムフォロア16と、前記カム溝から前後に突出する第1カムフォロア16の前後両端にそれぞれ設けられたローラー状の第2カムフォロア17,17とを有する。
第1カムフォロア16は、その外周面で第1及び/又は第2可動カム面14a,14bに接触しつつ、カム溝13内を該カム溝に沿って左右に移動することができる。第2カムフォロア17は、好適には第1カムフォロア16の前記両端に関して自在に回動可能であり、それぞれ対応する固定カム8の固定カム面9に当接するように配置される。
可動支持部3の下側の横枠部材10bには、圧縮コイルばねからなる第2ばね18が外装されている。第2ばね18は、固定カム8側の端部18aが第1カムフォロア16に固定され、かつ反対側の端部18bが横枠部材10bの固定カム8とは反対側の適当な位置に固定されている。第2ばね18は、第2カムフォロア17が固定カム面9に常時押圧された状態にカムフォロア部材15を付勢するように設けられる。
このとき、第2ばね18の付勢力FBは、後述するように、固定カム面9の傾きによって第2カムフォロア17に対する垂直方向上向き又は下向きの力を生じる。また、横枠部材10bの存在によって第2ばね18は、常に座屈することなく圧縮された状態で真直に保持される。
本実施態様では、カム溝13が、横枠部材10bの固定カム8側の端部付近から反対側に向けて延長している。これによって、カムフォロア部材15が第2カムフォロア17を固定カム面9に当接させつつ水平方向に移動可能な範囲、即ち水平ストロークをできるだけ大きく設定することができる。従って、第2ばね18の付勢力FBを第2カムフォロア17による固定カム面9の押圧に利用可能な範囲を、より広くとることができる。
物品Aを荷重支持機構1に支持しているとき、物品Aの荷重Wは、第1ばね4を下向きに伸長させ、この力は可動支持部3を介して伝達され、カム溝13の下向きの第1可動カム面14aによりカムフォロア部材15を押下げるように作用する。他方、第1ばね4の付勢力FAは、同じく可動支持部3を介して伝達され、カム溝13の上向きの第2可動カム面14bによりカムフォロア部材15を押上げるように作用する。
上述したように構成することによって、第1ばね4と第2ばね18とは、図2から分かるように、可動支持部3の移動方向に直交する平面即ち水平面において上下に少なくとも部分的に重なるように配置することができる。このような配置によって、荷重支持機構1を実際の装置に実現する際に、その奥行き寸法をより小さく即ちより薄型に設計することができる。これは、支持する荷重が大きくなって第1ばね4及び/又は第2ばね18に大きな付勢力が要求され、それらのばねが大型化する場合にも有利である。
別の実施態様では、第1ばね4に、引張コイルばねに代えて圧縮コイルばねを用い、可動支持部3を押し上げるように、その下側に配置することができる。また別の実施態様では、図1の第1ばねに加えて、可動支持部3の下側にそれを押し上げるように、圧縮コイルばねを追加することができる。いずれの場合も、実際に装置化する際に、その奥行き寸法をより小さく設計することができる。
本実施態様では、図2に示すように、固定カム8と第2カムフォロア17が、それぞれ第1カムフォロア16の軸方向に沿って2つずつ、下側の横枠部材10bを挟んで前後対称の対をなすように設けられている。このような配置によって、固定カム8からカムフォロア部材15に作用する力が、第1カムフォロア16の軸方向に沿ってバランス良く前後対称に分散するので、前記第1カムフォロアに撓みや変形を生じ難く好都合である。このような力の分散により、個々の固定カム8はその負担が小さくなるので、より薄板化することができる。それにより、装置全体の薄型化、軽量化を図ることができる。
更に、第1カムフォロア16には、各固定カム8からの押圧力がそれぞれ当接位置に集中してかつ同じ向きに作用するので、その軸方向長さに長過ぎると、過度の撓みや変形を生じたり折損する虞がある。本実施態様では、カム溝13を設けた横枠部材10bと固定カム8との間に別の構成要素が存在しないので、第1カムフォロア16の軸方向長さを短くすることができ、有利である。
また、固定カム面9は、第2カムフォロア17と当接する範囲がその位置によって次の3つの領域に分けられる。第1領域S1は、前記第2カムフォロアとの接点における法線方向が水平方向に関して上向きの領域である。第2領域S2は、前記第2カムフォロアとの接点における法線方向が実質的に水平方向の領域である。別言すれば、第2領域S2では、前記第2カムフォロアとの接点における接線方向が実質的に垂直である。ここで、実質的とは、完全な水平方向よりも僅かに上向き又は下向きであるが、その程度は、本発明の作用効果上又は本実施態様の動作もしくは機能上無視できるほどに小さく、水平方向と見なし得る場合を含むという意味である。また、第3領域S3は、前記第2カムフォロアとの接点における法線方向が水平方向に関して下向きの領域である。
図1、図2では、物品Aを載せた可動支持部3が、第2カムフォロア17が固定カム面9の第1領域S1内にある上方位置で静止している。この位置では、第1ばね4の変位量が小さく、そのばね力FAの大きさは荷重Wよりも小さい。図3は、この静止位置においてカムフォロア部材15、可動支持部3及び固定カム8からなる系に作用する力の平衡状態を模式的に示している。
ここで、「平衡」とは、本願明細書を通して、或る物体又は部材(例えば、第2カムフォロア17)にいくつかの外力が作用しているときに、それらの合力が0であり、その結果、その物体又は部材が静止している状態にあることをいうものとする。また、この或る物体又は部材に作用する外力には、前記或る物体又は部材自体の荷重即ち自重に加えて、該或る物体又は部材と他の物体又は部材との間に発生する摩擦力、該或る物体又は部材に前記外力を作用させる他の物体又は部材において発生する摩擦力や抵抗等が含まれる。実際の使用において、これらの摩擦力等は、前記或る物体又は部材及び他の物体又は部材の重量を、カムフォロア周りに作用する前記力に加えたとき、それらの合力に等しいかそれより大きい場合、前記或る物体又は部材を静止位置に保持する力として働かせることができる。
また、説明を簡単化するため、可動支持部3、第2ばね18及びカムフォロア部材15の荷重、並びに固定支持部2のガイド12a,12bと可動支持部3の縦枠部材11a,11bとの間、第1カムフォロア16とカム溝13との間及び第2カムフォロア17と固定カム8との間の摩擦力は省略する。実際の設計では、これらの要素を考慮しなければならないことは言うまでもない。
このとき、前記可動支持部、第2ばね及びカムフォロア部材の荷重即ち重量を、前記カムフォロア部材、可動支持部、固定カムからなる系に作用する力に加えたとき、それらの合力が、前記ガイドと縦枠部材との間、第1カムフォロアとカム溝との間及び前記第2カムフォロアと固定カムばねとの間で発生する摩擦力に等しいかそれより小さければ、前記平衡状態は保たれる。これらの摩擦力によって可動支持部3は、前記平衡状態で或る位置に静止しているとき、その静止位置に保持することができる。
このように前記可動支持部を静止位置に保持する力としては、例えば、第1カムフォロア16と第2カムフォロア17間にトルクリミッターを設けた場合、該トルクリミッターによって前記両カムフォロア間に働く力が考えられる。また、この静止位置保持力は、第2カムフォロア17の固定カム面9との接触面をゴム等の摩擦係数の大きな材料で構成した場合、このゴム面と前記固定カム面間で働く摩擦力によっても得られる。
一般にばね定数kのコイルばねのばね力Fは、前記コイルばねの軸方向の変位x(ばねの自由長即ち無負荷状態の長さからの変位:ここでは、圧縮方向に正とする)についてF=k・xで表される。可動支持部3の上限位置において、物品Aを静止状態で支持できるように、第1ばね4は、自由長から所定の初期変位量xA0だけ予め伸張させた状態で、既に垂直方向上向きに初期ばね力(FA0=kA・xA0)を発揮し、同時に第2ばね18は、同様に自由長から所定の初期変位量xB0だけ予め圧縮させた状態で、既に垂直方向上向きに初期ばね力(FB0=kB・xB0)を発揮している。
図3において、第1カムフォロア16とカム溝13との間では、第1可動カム面14aとの接点Paにおいて、可動支持部3を介して物品Aの荷重Wが前記第1可動カム面から前記第1カムフォロアに対して垂直下向きに作用している。この状態で理想的には、第1カムフォロア16が、前記第1可動カム面との間だけでなく、第2可動カム面14bとの間でも力伝達可能に当接していると仮定することができる。その場合、それらの接点Pbでは、第1ばね4の付勢力FAが前記第1カムフォロアに対して垂直上向きに作用すると考えられる。
実際には、このような理想的な状態で第1カムフォロア16と第2可動カム面14bとが力伝達可能に当接することは困難で、その場合、それらの接点Pbで相互に作用する力は存在しない。このとき、接点Paでは、第1可動カム面14aから第1カムフォロア16に対して、恰も物品Aの荷重Wから第1ばね4の付勢力FAを差し引いた大きさの力Fvが垂直下向きに作用しているのと等価である。いずれの場合にも、カム溝13から第1カムフォロア16には、実質的に物品Aの荷重Wから第1ばね4の付勢力FAを差し引いた大きさの力Fvが、垂直下向きに作用していることになる。
第2カムフォロア17と固定カム面9との接点Pcでは、前記第2カムフォロアから前記固定カム面への押圧力と、前記固定カム面からその法線方向に作用する反力Rcとが平衡している。前記第2カムフォロアから前記固定カム面への押圧力は、第2ばね18の付勢力FBと、上述したように第1カムフォロア16に作用する垂直下向きの力Fvとの合力である。前記固定カム面の反力Rcは、上向きの垂直方向成分Rc1と、水平方向成分Rc2とを有する。
前記第2カムフォロアが前記固定カム面上の或る位置で静止しているとき、荷重Wと第1ばね4のばね力FAと反力Rcの垂直方向成分Rc1との間には、力の作用方向を垂直方向上向きを正として、次の関係が理論上常に成立する。
W+FA+Rc1=0
尚、実際の設計では、前述したように各部材の間で摩擦力が発生し、この関係式で表す合力が0でなく、僅かに値を持っていたとしても、その合力が前記各部材間の摩擦力よりも小さければ、平衡状態が保たれる。
第2ばね18の付勢力FBと反力Rcの水平方向成分Rc2の間には、水平方向に力の作用方向を図中右向きを正として、次の関係が理論上常に成立する。
FB+Rc2=0
従って、反力Rcの水平方向成分Rc2の大きさは、第2ばね18の付勢力FBに等しい。この付勢力FBの大きさによって、反力Rcの大きさ、従って垂直方向成分Rc1の大きさが決定される。
図3の場合、第1ばね4のばね力FAの大きさが荷重Wよりも小さいので、前記固定カム面から上向きに作用している反力Rcの垂直方向成分Rc1をアシスト力として加えることによって、垂直方向に荷重Wとの平衡を実現している。この状態で可動支持部3を押し下げ又は押し上げると、その力が荷重W又はばね力FAに付加されて、前記平衡が崩れるため、物品Aを比較的小さい力で簡単に昇降させることができる。
可動支持部3を昇降させると、カムフォロア部材15は、第1カムフォロア16がカム溝13に沿ってかつ第2カムフォロア17が固定カム面9に沿って、左右方向に変位しながら下方又は上方に移動する。前記第2カムフォロアが前記固定カム面の第1領域S1の範囲内にある間、反力Rcの上向きの垂直方向成分Rc1が第1ばね4のばね力FAを、荷重Wと平衡させるように補助する。
第1領域S1の範囲内において、可動支持部3が下降して第1ばね4の変位が大きくなると、それに対応してばね力FAが増大し、それに伴って反力Rcの垂直方向成分Rc1によるアシスト力も小さくて済むようになる。従って、固定カム面9の接線方向の垂直方向に対する傾きも、下方へ第2領域S2に近付くほど小さくなる。
他方、第2ばね18は、可動支持部3の下降により第2カムフォロア17が固定カム面9を下方に移動するにつれて、圧縮変位が大きくなり、ばね力FBが増大する。それに伴い、前記第2カムフォロアから前記固定カム面への押圧力、従って反力Rcが増大する。固定カム面9の傾きは、第1ばね4のばね力FAの変化に加えて、第2ばね18のばね力FBの変化をも考慮して、反力Rcの垂直方向成分Rc1によるアシスト力が最適となるように決定することが好ましい。
図4は、物品Aを載せた可動支持部3を図1の上方位置から押し下げて、図1に想像線で示すように、第2カムフォロア17が固定カム面14の第2領域S2内にある中間位置で静止させたとき、カムフォロア部材15、可動支持部3、固定カム8からなる前記系に作用する力の平衡状態を模式的に示している。同様に簡単化のため、可動支持部3、第2ばね18及びカムフォロア部材15の荷重、並びに固定支持部2のガイド12a,12bと可動支持部3の縦枠部材11a,11bとの間、第1カムフォロア16とカム溝13との間及び第2カムフォロア17と固定カム8との間の摩擦力は省略して説明する。
この場合、第1カムフォロア16とカム溝13との間では、垂直方向に第1ばね4のばね力FAと荷重Wとが実質的に平衡している。従って、ばね力FAは、固定カム面9からの反力Rcによるアシスト力を必要としない。
第2カムフォロア17と固定カム面9との接点Pcでは、固定カム面14からの反力Rcが、前記第2カムフォロアに第2ばね18から作用する付勢力FBと平衡しており、垂直方向成分を有しない。この状態でも、可動支持部3を押し下げ又は押し上げると、その力が荷重W又はばね力FAに付加されて、前記平衡が崩れるため、物品Aを比較的小さい力で簡単に昇降させることができる。
物品Aを載せた可動支持部3を更に押し下げて、図1に想像線で示すように、第2カムフォロア17が固定カム面9の第3領域S3内にある下方位置で静止させる。このとき、第1ばね4は変位が更に増大して、そのばね力FAの大きさは荷重Wよりも大きくなる。
図5は、この静止位置において、カムフォロア部材15、可動支持部3、固定カム8からなる前記系に作用する力の平衡状態を模式的に示している。同様に簡単化のため、可動支持部3、第2ばね18及びカムフォロア部材15の荷重、並びに固定支持部2のガイド12a,12bと可動支持部3の縦枠部材11a,11bとの間、第1カムフォロア16とカム溝13との間及び第2カムフォロア17と固定カム8との間の摩擦力は省略して説明する。
同図において、第1カムフォロア16とカム溝13との間では、第2可動カム面14bとの接点Pbにおいて、第1ばね4の付勢力FAが前記第1カムフォロアに対して垂直上向きに作用している。この状態で理想的には、第1カムフォロア16が、前記第2可動カム面との間だけでなく、第1可動カム面14aとの間でも力伝達可能に当接していると仮定することができる。その場合、それらの接点Paでは、可動支持部3を介して物品Aの荷重Wが前記第1可動カム面に対して垂直下向きに作用すると考えられる。
実際には、このような理想的な状態で第1カムフォロア16と第1可動カム面14aとが力伝達可能に当接することは困難で、その場合、それらの接点Paで相互に作用する力は存在しない。このとき、接点Pbでは、第2可動カム面14bから第1カムフォロア16に対して、恰も第1ばね4の付勢力FAから物品Aの荷重Wを差し引いた大きさの力Fvが垂直上向きに作用しているのと等価である。いずれの場合にも、第1カムフォロア16には、実質的に第1ばね4の付勢力FAから物品Aの荷重Wを差し引いた大きさの力Fvが、カム溝13から垂直上向きに作用していることになる。
第2カムフォロア17と固定カム面9との接点Pcでは、前記第2カムフォロアから前記固定カム面への押圧力と、前記固定カム面からその法線方向に作用する反力Rcとが平衡している。前記第2カムフォロアから前記固定カム面への押圧力は、第2ばね18の付勢力FBと、上述したように第1カムフォロア16に作用する垂直上向きの力Fvとの合力である。前記固定カム面の反力Rcは、下向きの垂直方向成分Rc1と、水平方向成分Rc2とを有する。
前記下方位置では、第1ばね4のばね力FAの大きさが荷重Wよりも大きいので、固定カム面9から下向きに作用している反力Rcの垂直方向成分Rc1が、ばね力FAによる上向きの付勢力即ち押し上げ力を削減する向きに作用することによって、垂直方向に荷重Wとの平衡を実現している。この状態でも、可動支持部3を押し下げ又は押し上げると、その力が荷重W又はばね力FAに付加されて、前記平衡が崩れるため、物品Aを比較的小さい力で簡単に昇降させることができる。
可動支持部3を昇降させると、カムフォロア部材15は、第1カムフォロア16がカム溝13に沿ってかつ第2カムフォロア17が固定カム面9に沿って、左右方向に変位しながら下方又は上方に移動する。前記第2カムフォロアが前記固定カム面の第3領域S3の範囲内にある間、反力Rcの下向きの垂直方向成分Rc1が、第1ばね4のばね力FAによる押し上げ力を削減して荷重Wと平衡させる向きに作用する。
第3領域S3の範囲内において、可動支持部3が上昇して第1ばね4の変位が小さくなると、それに対応してばね力FAが減少し、それに伴って、ばね力FAによる押し上げ力を削減する反力Rcの垂直方向成分Rc1も小さくて済むようになる。従って、固定カム面9の接線方向の垂直方向に対する傾きも、上方へ第2領域S2に近付くほど小さくなる。
他方、第2ばね18は、可動支持部3の上昇により第2カムフォロア17が固定カム面9を上方に移動するにつれて、圧縮変位が大きくなり、ばね力FBが増大する。それに伴い、前記第2カムフォロアから前記固定カム面への押圧力、従って反力Rcが増大する。固定カム面9の傾きは、第1ばね4のばね力FAの変化に加えて、第2ばね18のばね力FBの変化をも考慮して、ばね力FAによる押し上げ力の削減が最適となるように、決定することが好ましい。
このように本実施態様によれば、固定カム面9の全領域で、カムフォロア部材15、可動支持部3及び固定カム8からなる系に作用する物品Aの荷重W、第1ばね4のばね力FA、第2ばね18のばね力FB及び固定カム8からの反力が、カムフォロア部材15周りで平衡している。それにより、物品Aを載せた可動支持部3をその上下ストロークの範囲において、所望の高さ位置に静止させかつその位置を保持し、また比較的少ない力で簡単に昇降させることができる。
上述した本発明の基本構成は、様々な変形・変更を加えて実施することができる。例えば、第2ばね18は、横枠部材10bを管状部材で構成し、その中に内装することもできる。また、可動支持部3は、上述した矩形枠以外の様々な構造が可能である。
更に、図1の固定カム8、カム溝13、カムフォロア部材15及び第2ばね18をもう1組追加して、固定支持部2及び可動支持部3の左右方向の中心線に関して鏡面対称に配置することができる。このとき、前記第2ばねは1つの共通の圧縮ばねで構成し、その両端にそれぞれ前記カムフォロア部材15を設けることが好ましい。このように左右対称に構成することによって、前記固定カムが負担する荷重を少なくし、全体として、より大きな荷重を左右にバランス良く安定して支持することができる。
このような本発明の変形例を具体的に適用した物品支持装置の第1実施態様を、図6乃至図8に示す。本実施態様の物品支持装置20は、大画面テレビモニター等のような比較的大きい重量の物品Bを支持するためのもので、床面等に移動可能に設置される基台21と、該基台に固定される固定フレーム部22と、前記固定フレーム部に昇降可能に取り付けられる支持フレーム部23と、第1ばね24と、支持フレーム部23を昇降操作するための操作ハンドル部25とを備える。
物品Bは、後述するように支持フレーム部23に一体にかつ取り外し可能に取り付けられる。固定フレーム部22は、その下部を基台21の台板21a上面にステー21bによってしっかりと立設固定される。
固定フレーム部22は概ね矩形の枠構造からなり、水平に延長する上部及び下部フレーム26,27と、前記上部フレームと下部フレーム間を垂直に延長する左右側部フレーム28,29とを有する。更に固定フレーム部22には、左右側部フレーム28,29間を水平に延長する略中間高さの中間フレーム30と前記上部フレームとの間を垂直に延長する第1ブレーキレール31が中央に設けられている。
図9(a)は、固定フレーム部22の一方の側部フレーム28の断面を示しているが、他方の側部フレーム29も側部フレーム28と全く対称に構成されているので、図面は省略する。図9(a)に示すように、側部フレーム28,29には、それぞれ前記枠構造の内側に開口する断面コ字状のガイドレール32,33が、該側部フレームの略上端から下端まで形成されている。
固定フレーム部22の左右側部フレーム28,29には、中間フレーム30より下側部分の内側に、固定カム部材34,35が左右対称に取り付けられている。固定カム部材34,35は、それぞれ側部フレーム28,29の前後面に互いに平行に固定された2枚の上下方向に長いカムプレートを有する。固定カム部材34,35はそれぞれ、その上端付近から下端付近まで延長する固定カム面36,37を有する。固定カム面36,37は互いに対向する向きに凸状をなし、その接線方向の傾きが上端から下端まで全長に亘って又は部分的に変化するように湾曲するように設けられている。
支持フレーム部23は概ね矩形の枠構造からなり、垂直に延長する左右ガイドフレーム38,39と、前記両ガイドフレーム間を水平に延長する上部フレーム40及び上下に少し離隔された2つの下部フレーム41,42とを有する。支持フレーム部23は固定フレーム部22に、左右ガイドフレーム38,39をそれぞれ前記固定フレーム部の対応する左右側部フレーム28,29のガイドレール32,33内に摺動可能に嵌装させ、前記ガイドレールに沿って上下に移動可能に装着される。
左右ガイドフレーム38,39には、ガイドレール32,33内を摺動する際にその内面との間で生じ得る摩擦その他の抵抗を低減又は解消するために、前記ガイドレール内面に摺接して転動する複数のローラー43が取り付けられている。これにより、支持フレーム部23は、固定フレーム部22に対して左右にガタついたり変位することなく、上下方向に円滑に移動することができる。
このように支持フレーム部23をその外枠が固定フレーム部22の外枠に直接支持されるように取り付けることによって、支持フレーム部23それ自体及び装置全体の構造強度が向上する。それにより、物品Bの大重量化に対応可能な耐高荷重かつ高強度な構造の物品支持装置20を実現することができる。
支持フレーム部23には、物品Bを固定するために、それぞれ前記ガイドフレームの直ぐ前側を垂直に延長する左右1対の取付ステー44が設けられている。更に支持フレーム部23には、上部フレーム40の中央にブレーキ装置45が設けられている。前記ブレーキ装置は、後述するように、操作ハンドル部25を操作することによって後述するブレーキシューとブレーキレールとを係合させ又は係合解除することができる。
第1ばね24は、支持フレーム部23の左右ガイドフレーム38,39の直ぐ内側にそれぞれ2本ずつ左右対称にかつ左右方向に並列に配置された引張コイルばね46,47を有する。各引張コイルばね46,47は、上端を固定フレーム部22の上部フレーム26に固定して垂直に吊り下げられ、下端が支持フレーム部23の上側の下部フレーム41に固定されている。
図10に示すように、支持フレーム部23の下側の下部フレーム42には、該下部フレームを前後方向に貫通する2つのカム溝48、49が左右対称に設けられている。図中左側のカム溝48について図9(a)、(b)に示すように、各カム溝48、49は、下部フレーム42の左右両端付近から反対側に向けて水平に所定の長さ延長し、互いに対向する平行な上側下向きの第1可動カム面50a、51aと、下側上向きの第2可動カム面50b,51bとを有する。
下部フレーム42には、圧縮コイルばねからなる第2ばね52が外装されている。第2ばね52は、このように支持フレーム部23の一部を構成する真直ぐな下部フレーム42に外装することによって、その圧縮により生じ得る座屈を確実に防止することができる。別の実施例では、筒状をなす下部フレーム42の内部に第2ばね52を装着することもできる。
第2ばね52の左右両端には、下部フレーム42に摺動自在に外挿されたカムフォロアホルダー53,54を介して、それぞれカムフォロア部材55,56が設けられている。図中左側のカムフォロア部材55について図9(a)に示すように、カムフォロア部材55,56は、カム溝48、49を前後方向に貫通する断面円形の真直ぐなロッド状の第1カムフォロア57,58を有する。更にカムフォロア部材55,56は、前記カム溝から前後に突出する第1カムフォロア57,58の前後両端にそれぞれ設けられたローラー状の第2カムフォロア59,60を有する。
第1カムフォロア57,58は、その外周面で第1可動カム面50a、51a及び第2可動カム面50b,51bに接触しつつ、カム溝48、49内を該カム溝に沿って左右に移動することができる。第2カムフォロア59,60は、例えば転がり軸受を介して第1カムフォロア57,58の前記両端に関して回動自在に装着することもできる。
第2カムフォロア59,60は、それぞれ対応する固定カム部材34,35の固定カム面36,37に当接するように配置される。また、第2カムフォロア59,60は、第2ばね52によってそれぞれ水平方向外向きに付勢され、対応する固定カム部材34,35の固定カム面36,37に押圧される。
図中左側のカムフォロアホルダー53について図9(b)に示すように、カムフォロアホルダー53,54は、第2ばね52の軸方向に沿って外側の第1ホルダー部材61,62と内側の第2ホルダー部材63,64とからなる。前記第1ホルダー部材は、例えば軸受を介して第1カムフォロア57,58を回動自在に保持する。前記第2ホルダー部材は、その端面で第2ばね52の端部を受けるためのばね受けである。
第1ホルダー部材61,62と第2ホルダー部材63,64とは、互いに接合されて噛み合いジョイントを構成するように、相補的に係合可能な複数の段差を周方向に階段状に設けた突き合わせ面をそれぞれ有する。第1ホルダー部材61,62と第2ホルダー部材63,64とを周方向に相対的に回転させて、それらの突き合わせ位置を変えることによって、カムフォロアホルダー53,54の軸方向長さを変えることができる。
図9(a)に示すように、固定カム部材34の前記各カムプレートは、それぞれカムフォロア部材55の軸方向に沿って2つずつ前後対称をなすように配置されているので、前記各カムプレートがカムフォロア部材55を押圧する力は、その軸方向に沿って分散しかつそれぞれ前後対称に作用する。図示しないが、他方のカムフォロア部材56についても、同様に固定カム部材35の前記各カムプレートによる押圧力が、その軸方向に沿って分散しかつそれぞれ前後対称に作用する。これにより、カムフォロア部材55、56は、カム溝48、49内で安定して水平に保持される。更にこのような力の分散によって、固定カム部材35は、各前記各カムプレートの負担が小さくなるので、それらをより薄板化することができる。それにより、装置全体の薄型化、軽量化を図ることができる。
また、固定カム部材34、35の前記各カムプレートは、カム溝48、49が設けられた支持フレーム部23の下部フレーム42との間に別の構成要素が存在しないので、それらを前後方向に間隔を小さくして配置することができる。その結果、カムフォロア部材55、56は、第1カムフォロア57,58の軸方向長さを短くすることができ、それらが長過ぎる場合に生じ得る過度の撓みや変形又は折損の虞を予め解消することができる。
図11は、支持フレーム部23の図中左側部分を部分的に拡大して上方から平面視した図である。同図に示すように、本実施態様の物品支持装置20は、第1ばね24の引張コイルばね46の略全体が、第2ばね52と上下に重なるように平面配置されている。図示しないが、反対側の引張コイルばね47も同様に、略全体が、第2ばね52と上下に重なる関係に平面配置されている。このような配置によって、仮令第1ばね24及び/又は第2ばね52の外径が大きくなっても、物品支持装置20の奥行き寸法を最小に抑制して、薄型に設計することができる。
図8に示すように、固定カム面36,37は、図1に関連して説明したと同様に、第2カムフォロア59,60との当接位置によって次の3つの領域に分けられる。第1領域S1は、前記第2カムフォロアとの接点における法線方向が水平方向に関して上向きの領域である。第2領域S2は、前記第2カムフォロアとの接点における法線方向が実質的に水平方向、即ち接線方向が実質的に垂直方向の領域である。実質的とは、上述したように完全な水平方向よりも僅かに上向き又は下向きであるが、その程度は、物品支持装置20の作用効果上又はその動作もしくは機能上無視できるほどに小さく、水平方向と見なし得る場合を含むという意味である。また、第3領域S3は、前記第2カムフォロアとの接点における法線方向が水平方向に関して下向きの領域である。
操作ハンドル部25は、支持フレーム部23の左右両ガイドフレーム38,39の前部に対して相対的に上下に予め決められた僅かな範囲でスライド移動可能に取り付けられた左右の垂直な伝達ロッド65を有する。各伝達ロッド65の下部には、略L字型の連結ステー66がそれぞれ結合され、前方へ突出する両連結ステー66の先端部によって、左右方向に延長する長尺なハンドル桿67が保持されている。このハンドル桿67を手で持って操作ハンドル部25を操作することにより、支持フレーム部23及び物品Bを昇降させることができる。
図8及び図12は、物品Bを取り付けた支持フレーム部23がその移動範囲の最上位置にある場合を示している。第2カムフォロア59,60は、固定カム面36,37の第1領域S1の上端で静止している。この位置において、カムフォロア部材55、56、固定フレーム部22び支持フレーム部23からなる系に作用する物品Bの荷重W、第1ばね24のばね力FA、第2ばね52のばね力FB、及び前記固定カム面からの反力は、前記カムフォロア部材の周りで平衡している。
第1領域S1では、第1ばね24の各引張コイルばね46,47の変位が小さく、そのばね力FAは物品Bの荷重Wより小さい。第2カムフォロア59に固定カム面36から作用する反力Rcは、上向きの垂直方向成分を含むから、これをアシスト力として第1ばね24のばね力FAに加えることによって、垂直方向に荷重Wと平衡している。
図13及び図14は、物品Bを取り付けた支持フレーム部23がその移動範囲の中間位置にある場合を示している。第2カムフォロア59,60は、固定カム面36,37の第2領域S2内の位置で静止している。この中間位置でも、前記カムフォロア部材、固定フレーム部及び支持フレーム部からなる前記系に作用する物品Bの荷重W、前記第1ばねのばね力FA、前記第2ばねのばね力FB、及び前記固定カム面からの反力が、前記カムフォロア部材の周りで平衡している。
第2領域S2では、第1ばね24のばね力FAと荷重Wとが実質的に平衡している。固定カム面36,37からの反力Rcは実質的に水平方向成分だけで、第2ばね52のばね力FBと平衡しており、垂直方向成分は有しない。
図15及び図16は、物品Bを取り付けた支持フレーム部23がその移動範囲の最下位置にある場合を示している。第2カムフォロア59,60は、固定カム面36,37の第3領域S3の下端で静止している。この下端位置でも、前記カムフォロア部材、固定フレーム部及び支持フレーム部からなる前記系に作用する物品Bの荷重W、前記第1ばねのばね力FA、前記第2ばねのばね力FB、及び前記固定カム面からの反力が、前記カムフォロア部材の周りで平衡している。
第3領域S3では、第1ばね24の各引張コイルばね46,47の変位が大きく、そのばね力FAは物品Bの荷重Wより大きい。第2カムフォロア59に固定カム面36から作用する反力Rcは、下向きの垂直方向成分を含んでおり、これが、第1ばね24のばね力FAによる押し上げ力を削減する向きに作用することによって、垂直方向に荷重Wと平衡している。
物品Bの荷重Wが小さくなると、第1ばね24に変更はないから、そのばね力FAは相対的に大きくなる。従って、第1領域S1では、前記固定カム面によるばね力FAへのアシスト力を小さくし、第3領域S3では、ばね力FAによる押し上げ力を削減する下向きの力を大きくする必要がある。
逆に、物品Bの荷重Wが大きくなると、第1ばね24のばね力FAは相対的に小さくなる。従って、第1領域S1では、前記固定カム面によるばね力FAへのアシスト力を大きくし、第3領域S3では、ばね力FAによる押し上げ力を削減する下向きの力を小さくする必要がある。
物品支持装置20では、カムフォロアホルダー53,54の軸方向長さを変更して第2ばね52の圧縮変位を調節することによって、支持フレーム部23の同じ高さ位置における第2ばね52の付勢力FB、従って前記固定カム面からの反力Rcを増減するように調整する。荷重Wが小さい場合は、前記カムフォロアホルダーの軸方向長さを短くして、第2ばね52の付勢力FBを減少させ、前記固定カム面からの反力Rc及びその垂直方向成分を小さくする。逆に、荷重Wが大きい場合は、前記カムフォロアホルダーの軸方向長さを長くして、第2ばね52の付勢力FBを増加させ、前記固定カム面からの反力Rc及びその垂直方向成分を大きくする。
物品支持装置20において、物品Bは、静止位置で垂直方向に力が平衡しているので、どの高さ位置からであっても、比較的小さな力で容易に別の高さ位置に移動させることができる。その反面、物品の質量が大きくなると、それだけ移動中の物品に働く慣性力が大きくなるから、所望の位置で停止させることが困難になる虞がある。最悪の場合、物品Bを載せた支持フレーム部23が、その移動範囲即ち上下ストロークの上端又は下端で固定フレーム部22に激しく衝突する虞がある。
かかる問題を解消する手段として、一般に、運動エネルギーを減衰又は吸収するダンパー、ショックアブソーバーやゴム等の弾性体が知られている。例えば、流体抵抗を利用したガススプリングやオイルダンパーを使用すると、装置全体が複雑で大型化・重量化し、扱い難くなるだけでなく、高価格になる。ゴム等の弾性体は、常に十分な効果を得られるとは限らない。
本実施態様の物品支持装置20は、支持フレーム部23の上下ストロークの上端及び下端において支持フレーム部23の移動を減速させ、大きな衝撃を生じることなく停止させるために効果的で簡単な構成の緩衝機構を備えている。この緩衝機構は、以下に説明するように、本発明の基本的な技術思想に基づいて、第2カムフォロア59,60を従動させる固定カム部材34、35の前記カムプレートに新規で斬新な工夫を加えることによって、効果的に実現される。
図17は、図中左側の固定カム部材34の固定カム面36の上端付近を拡大して示している。同図において、実線で示す第2カムフォロア59と固定カム面36との接点が、物品Bを取り付けた支持フレーム部23を所望の高さ位置で静止させる機能が発揮される前記固定カム面の有効領域Sの上限位置C1である。固定カム面36には、上限位置C1から更に上方へ延長して、上部緩衝域L1と上部ストッパ域M1とが連続して設けられている。
上部緩衝域L1は、図中想像線で示す仮想の固定カム面延長部36’とは逆向きに大きく湾曲し、途中、その接線方向が垂直方向を向く点D1を通り、更に上部ストッパ域M1に向けて湾曲している。上部ストッパ域M1は、第2カムフォロア59の上方への移動を完全に阻止する下向きの水平面である。
上部緩衝域L1は、上限位置C1から点D1まで、垂直方向に関する接線方向の傾きが急激に小さくなり、それに伴って固定カム面36から第2カムフォロア59への反力は、上向きの垂直方向成分が急激に減少して、点D1で0となる。それにより、固定カム面36から第1ばね24の付勢力FAへのアシスト力が急激に失われて、物品B及び支持フレーム部23の上昇は大きく減速される。
点D1から上部ストッパ域M1までの範囲では、逆に、固定カム面36から第2カムフォロア59への反力が下向きの垂直方向成分を発生する。これにより、第2カムフォロア59を押し下げる力が作用するので、物品B及び支持フレーム部23の上昇は更に大きく減速される。
このように下向きの減速作用が働くことによって、支持フレーム部23のガイドフレーム38,39が固定フレーム部22のガイドレール31の上端に衝突することなく、第2カムフォロア59は、上部緩衝域L1内で停止するか、停止しない場合でも、比較的低速で上部ストッパ域M1に入って停止する。この停止位置では、物品B及び支持フレーム部23は、それらの重量が第1ばね24の押し上げ力を上回っているので、非常に僅かな時間停止した後、自重でゆっくりと僅かに下降し、第2カムフォロア59が上限位置C1付近に戻って静止する。
図18は、固定カム面36の下端付近を拡大して示している。同図において、実線で示す第2カムフォロア59と固定カム面36との接点は、前記固定カム面の有効領域Sの下限位置C2である。固定カム面36には、下限位置C2から更に下方へ延長して、下部緩衝域L2が設けられている。
下部緩衝域L2は、上部緩衝域L1は、図中想像線で示す仮想の固定カム面延長部36”とは逆向きに大きく湾曲し、途中、その接線方向が垂直方向を向く点D2を通り、更に湾曲している。下限位置C2からD2まで、垂直方向に関する接線方向の傾きが急激に小さくなり、それに伴って、固定カム面36から第2カムフォロア59への反力は、下向きの垂直方向成分が急激に減少して、点D2で0となる。これにより、第1ばね24の付勢力に抗して支持フレーム部23を押し下げる力が急激に失われて、物品B及び前記支持フレーム部の下降は大きく減速される。
点D2を超えた範囲では、逆に、固定カム面36から第2カムフォロア59への反力が上向きの垂直方向成分を発生する。これにより、第2カムフォロア59を押し上げる力が作用するので、物品B及び支持フレーム部23の下降は更に大きく減速される。
このように上向きの減速作用が働くことによって、支持フレーム部23のガイドフレーム38,39が固定フレーム部22のガイドレール31の下端に衝突することなく、第2カムフォロア59は、下部緩衝域L2内で停止する。この停止位置では、物品B及び支持フレーム部23は、それらの重量を第1ばね24の押し上げ力が上回っているので、非常に僅かな時間停止した後、前記第1ばねの付勢力で僅かに上昇し、第2カムフォロア59が固定カム面36の下限位置C2付近に戻って静止する。
図17及び図18では、図中左側の固定カム部材34についてのみ説明したが、右側の固定カム部材35についても、同様に上部緩衝域L1と上部ストッパ域M1及び下部緩衝域L2を設けることができる。当然ながら、固定カム部材34,35の一方にのみ設けてもよい。また、上部緩衝域L1と上部ストッパ域M1又は下部緩衝域L2の一方だけを設けることもできる。
本実施態様では、支持フレーム部23を上下ストロークの上端及び下端において減速かつ/又は停止させるために、固定カム面36を有効領域Sの上方及び下方に延長させ、カムフォロア部材55周りに作用する力が非平衡になる緩衝域を設けている。別の実施態様では、このように、カムフォロア部材55周りの力が非平衡になる領域を、前記カムフォロア部材周りの力が平衡になる領域の間に、即ち固定カム面36の有効領域Sの範囲内に設けることができる。
例えば、固定カム面36の第1領域S1内に、上向きのアシスト力を平衡状態よりも減じる方向の傾きの非平衡領域と再び前記アシスト力を元の大きさに戻す方向の傾きの非平衡領域とを連続させて、平衡領域と平衡領域との間に設けることができる。また、固定カム面36の第3領域S3内では、ばねの付勢力を削減する下向きの力を平衡状態よりも減じる向きの傾きの非平衡領域と再びその力を元の大きさに戻す向きの傾きの非平衡領域とを連続させて、平衡領域と平衡領域との間に設けることができる。
これによって、移動中の支持フレーム部23は、平衡領域から非平衡領域に入り、また平衡領域に戻る際に、一時的な移動速度の変動及びそれによる軽い衝撃を受けることになる。そのため、操作ハンドル部25のハンドル桿67を手で持って操作しているユーザーは、移動中の支持フレーム部23の高さ位置を知ることができる。
また、非平衡領域内で傾きの方向が変わる位置は、カムフォロア部材55周りの力が平衡状態になる。従って、この位置を予め設定しておくことによって、支持フレーム部23を所望の高さ位置で静止させることが容易になる。このような高さ位置として、例えば支持フレーム部23の上下ストロークの中間位置がある。
上述した図1及び図6の実施態様では、カム溝13,48,49が横枠部材10b又は下部フレーム42を水平に延長するように設けられている。別の実施態様では、支持機構の構造や用途、設計条件等に応じて、斜めに即ち前記可動支持部又は支持フレーム部の移動方向に関して直交しない交差方向に設けることもできる。
更に、カム溝13,48,49内の前記第1可動カム面及び第2可動カム面も、必ずしも平行に設けなくても良い。前記第1可動カム面及び第2可動カム面が互いに対向する向きに配置され、その一方とカムフォロア部材とが接触し、それらの間で荷重と第1ばねのばね力とが伝達可能に構成されていればよい。
更に、本実施態様の物品支持装置20は、外部から振動や衝撃等の力が加わった場合でも、支持フレーム部23を所望の高さ位置に保持し、簡単な操作で容易に移動させ又は停止させることができるブレーキ機構を備えている。このブレーキ機構は、支持フレーム部23のブレーキ装置45と固定フレーム部22の第1ブレーキレール31とで構成される。ブレーキ装置45は、操作ハンドル部25のハンドル桿67を操作することにより、伝達ロッド65を介して作動させ又はそれを解除することができる。
ブレーキ装置45は、図19に示すように、支持フレーム部23の上部フレーム40の直ぐ前方に僅かに離隔してそれと平行に、かつ固定支持フレーム部22の第1ブレーキレール31の直ぐ背後に配置され、左右方向に延長する伝達プレート71を有する。伝達プレート71は、例えば適当なステー72を用いて、左右両端部をそれぞれ左右の伝達ロッド65の上端部に固定して一体に取り付けられている。
伝達ロッド65は、隣接する支持フレーム部23の左右ガイドフレーム38,39に相対的に上下に予め決められた僅かな範囲で移動可能に取り付けられている。具体的には、伝達ロッド65及び伝達プレート71は、図20に示すホーム位置と、図21に示す上向き解除位置及び図22に示す下向き解除位置との間で上下に移動させることができる。
少なくとも一方の伝達ロッド65には、ラック73が一体に設けられ、該ラックに噛合するピニオン74が、前記両ガイドフレーム間に軸方向に回動自在に横架されたばね軸75に同軸にかつ一体に装着されている。ばね軸75には、ピニオン74及びラック73を介して伝達ロッド65を上向きに付勢するための、例えばコイルばねからなる戻しばね76が緩やかに巻装されている。戻しばね76は、その一端76aが、ばね軸75上のツメ75aに伝達ロッド65を上向きに付勢する向きに係着され、他端76bが、ばね軸75の回転位置によって前記ガイドフレームの係止部(図示せず)と係脱自在に設けられている。
図20のホーム位置では、戻しばね76は他端76bが前記係止部に係合して、伝達ロッド65及び伝達プレート71を上向きに付勢している。操作ハンドル部25を手で押し下げて、前記伝達ロッド及び伝達プレートを前記ホーム位置から図22の下向き解除位置に動かしたとき、戻しばね76の他端76bは依然として前記係止部に係合している。この後、手を前記操作ハンドル部から離すと、前記伝達ロッド及び伝達プレートは戻しばね76の付勢力で上方へ移動し、前記ホーム位置に復帰する。
逆に、操作ハンドル部25を手で押し上げて、前記ホーム位置から図21の上向き解除位置に動かすと、戻しばね76の他端76bは前記係止部との係合を解除し、前記戻しばねの付勢力は失われる。この後、手を前記操作ハンドルから離すと、前記伝達ロッド及び伝達プレートは自重で降下し、前記戻しばねの付勢力が再び得られる前記ホーム位置に復帰して静止する。
伝達プレート71には、第1ブレーキレール31を挟んで左右対称に各1対の伝達ピン77a,77b,78a,78bが前方に向けて一体に突設されている。伝達ピン77a,77b,78a,78bは、第1ブレーキレール31の直ぐ外側に、かつ各対が互いに上下に或る距離をもって離隔して配置されている。
支持フレーム部23の上部フレーム40には、第1ブレーキレール31を挟んで前記伝達ピンよりも外側にかつ左右対称に各1対の支軸79a,79b,80a,80bが前方に向けて一体に突設されている。上側の支軸79a,80aは上側の伝達ピン77a,78aより下方に、下側の支軸79b,80bは下側の伝達ピン77b,78bより上方に配置されている。前記各支軸の先端は伝達プレート71に開設された抜き孔(図示せず)を挿通して、該伝達プレートの前方まで延出している。伝達プレート71の前記抜き孔は、上述した操作ハンドル部25による該伝達プレートの上下移動を妨げないように十分大きく形成される。
伝達プレート71の前面から突出する各支軸79a,79b,80a,80bの先端には、それぞれブレーキアーム81a,81b,82a,82bが、該伝達プレート71の平面に沿って回動自在に枢着されている。上側のブレーキアーム81a,82aは、その先端部が隣接する上側の伝達ピン77a,78aより上方に、下側のブレーキアーム81b,82bは、その先端部が隣接する下側の伝達ピン77b,78bより下方に位置するように配置される。
前記各ブレーキアームの基端部には、その外周に歯車部83a,83b,84a,84bが形成され、上下各対のブレーキアーム81a,81bと82a,82bの前記歯車部が互いに噛合している。これにより、前記各対のブレーキアームは、一方を回転させると、他方が連動して逆向きに回転するようになっている。
互いに噛合する歯車部83aと83b及び84aと84bとの間には、バックラッシュが存在する。そのため、上下各対のブレーキアーム81a,81bと82a,82bは、一方が回転し始めたとき、それに少し遅れて他方が回転し始める。従って、支持フレーム部23を移動させたい側の前記ブレーキアームが先に第1ブレーキレール31側面との係合を解除し、それと反対側の前記ブレーキアームが遅れて前記第1ブレーキレール側面との係合を解除する。この解除遅れの間、支持フレーム部23は、移動させたい方向とは反対側に移動しないように保持される。
前記各ブレーキアームの先端には、それぞれブレーキシュー85a,85b,86a,86bが設けられている。上下各対のブレーキアーム81a,81bと82a,82bの先端部は、それらの間に引張ばね87a,87bが介装され、それにより互いに接近する向きに付勢されている。引張ばね87a,87bの付勢力によって、前記各ブレーキシューは、それぞれ図22のホーム位置において、第1ブレーキレール31の側面に押圧されている。前記各引張ばねのばね強さは、前記ブレーキシューと第1ブレーキレール31側面との間に、物品Bを取り付けた支持フレーム部23を静止位置から容易に移動させない十分な摩擦抵抗即ち制動力が発揮されるように設定される。
上側のブレーキアーム81a,82aは、支持フレーム部23の下方への移動よりも上方への移動に対して、即ち上向きよりも下向きにより大きい制動力が発揮される。逆に、下側のブレーキアーム81b,82bは、支持フレーム部23の上方への移動よりも下方への移動に対して、即ち下向きよりも上向きにより大きい制動力が発揮される。これは、後述するように、上側のブレーキアーム81a,82aは、その支点即ち支軸79a,80aがブレーキシュー85a,86aと第1ブレーキレール31側面との接点より下方に位置するように傾けて配置され、下側のブレーキアーム81b,82bは、その支点即ち支軸79b,80bがブレーキシュー85b,86bと第1ブレーキレール31側面との接点より上方に位置するように傾けて配置されているからである。
操作ハンドル部25を持ち上げて、伝達プレート71を図21に示す上向き開放位置に動かすと、上側の伝達ピン77a,78aが上側のブレーキアーム81a,82aの側縁に当接し、これを引張ばね87a,87bの付勢力に抗して上方外向きに回転させる。これに連動して、下側のブレーキアーム81b,82bが下方外向きに回転する。これによって、前記各ブレーキシューと第1ブレーキレール31側面との係合が解除されるので、そのまま操作ハンドル部25を持ち上げて、支持フレーム部23を自由に上方へ移動させることができる。
逆に、操作ハンドル部25を引き下げて、伝達プレート71を図22に示す下向き開放位置に動かすと、下側の伝達ピン77b,78bが下側のブレーキアーム81b,82bの側縁に当接し、これを引張ばね87a,87bの付勢力に抗して下方外向きに回転させる。これに連動して、上側のブレーキアーム81a,82aが上方外向きに回転する。これによって、前記各ブレーキシューと第1ブレーキレール31側面との係合が解除されるので、そのまま操作ハンドル部25を引き下げて、支持フレーム部23を自由に下方へ移動させることができる。
図23は、図19の第1実施態様のブレーキ装置45の変形例によるブレーキ装置110を示している。尚、ブレーキ装置110にかかる以下の説明及び添付図面において、図19のブレーキ装置45と同一の構成要素には、同じ参照符号を付して説明する。
ブレーキ装置110は、各ブレーキアーム111a,111b,112a,112bの基端部の外周に歯車部が設けられていない点で、図19のブレーキ装置45と相違する。そのため、上下各対のブレーキアーム111aと111b、112aと112bは、それぞれ互いに独立して回転可能である。
図23において、各ブレーキアーム111a,111b,112a,112bは、先端のブレーキシュー85a,85b,86a,86bが、引張ばね87a,87bの付勢力によって第1ブレーキレール31の側面に押圧されている。これにより、支持フレーム部23は、所望の高さ位置に静止した制動状態に保持されている。
図24は、操作ハンドル部25を持ち上げて、伝達プレート71を同図に示す上向き開放位置に動かした状態を示している。図19のブレーキ装置45と同様に、上側の伝達ピン77a,78aが上側のブレーキアーム111a,112aの側縁に当接し、これを引張ばね87a,87bの付勢力に抗して上方外向きに回転させる。このとき、下側のブレーキアーム111b,112bは、引張ばね87a,87bの付勢力によってブレーキシュー85b,86bが第1ブレーキレール31の側面を押圧した状態のまま維持されている。
その結果、ブレーキ装置110は、上側のブレーキアーム111a,112aの制動力だけが解除され、下側のブレーキアーム111b,112bの制動力はそのまま残る。前記下側のブレーキアームは、図19のブレーキ装置45について上述したように、それぞれ支軸79b,80bが、ブレーキシュー85b,86bと第1ブレーキレール31側面との接点に関して、それよりも上方に位置するように傾けて配置されている。即ち、前記下側のブレーキアームは、それぞれ支軸79b,80bを中心に第1ブレーキレール31の側面に向かって下向き斜めに設けられている。そのため、制動力が下向きよりも上向きに、即ち上方への移動よりも下方への移動に対してより大きい制動力を発揮する。
従って、操作ハンドル部25を持ち上げたとき、下側のブレーキシュー85b,86bから受ける摩擦抵抗は比較的小さいので、図19のブレーキ装置45の場合よりも大きい操作力を必要とするが、同様に支持フレーム部23を上方へ移動させることができる。逆に、下方へは比較的大きい制動力が生じるので、支持フレーム部23が、外力等によって不用意に下降することが有効に防止され、安全性が向上する。
図25は、逆に操作ハンドル部25を引き下げて、伝達プレート71を同図に示す下向き開放位置に動かした状態を示している。図19のブレーキ装置45と同様に、下側の伝達ピン77b,78bが下側のブレーキアーム111b,112bの側縁に当接し、これを引張ばね87a,87bの付勢力に抗して下方外向きに回転させる。このとき、上側のブレーキアーム111a,112aは、引張ばね87a,87bの付勢力によってブレーキシュー85a,86aが第1ブレーキレール31の側面を押圧した状態のまま維持されている。
その結果、ブレーキ装置110は、下側のブレーキアーム111b,112bの制動力だけが解除され、上側のブレーキアーム111a,112aの制動力はそのまま残る。前記上側のブレーキアームは、それぞれ支軸79a,80aが、ブレーキシュー85a,86aと第1ブレーキレール31側面との接点に関して、それよりも下方に位置するように傾けて配置されている。即ち、前記上側のブレーキアームは、それぞれ支軸79a,80aを中心に第1ブレーキレール31の側面に向かって上向き斜めに設けられている。そのため、制動力が上向きよりも下向きに、即ち下方への移動よりも上方への移動に対してより大きい制動力を発揮する。
従って、操作ハンドル部25を引き下げたとき、上側のブレーキシュー85a,86aから受ける摩擦抵抗は比較的小さいので、図19のブレーキ装置45の場合よりも大きい操作力を必要とするが、同様に支持フレーム部23を下方へ移動させることができる。逆に、上方へは比較的大きい制動力が生じるので、支持フレーム部23が、外力等によって不用意に上昇することが有効に防止され、安全性が向上する。
このように本実施態様のブレーキアームが制動力に方向性を有することの説明を、図26を用いて補足する。図26は、図19のブレーキ装置45の片側のブレーキアーム対81a,81bの制動作用を、支持フレーム部23を上昇させる場合を例にして説明する。説明を簡単にするために、各ブレーキアーム81a,81bをそれぞれ1本の直線で模式化し、引張ばね87aは、それらの各端部Ta,Tbが、それぞれブレーキシュー85a,85bと第1ブレーキレール31側面との接点Qa,Qbと、前記各ブレーキアームの支軸79a,79bとを結ぶ直線上の位置に係着されているものと仮定する。
図26(a)に示すように、上側のブレーキアーム81aは、その支点即ち支軸79aが第1ブレーキレール31側面との接点Qaに関して下方に、即ち支持フレーム部23の移動方向Uとは逆側に位置するように、前記第1ブレーキレール側面に対して角度θをもって傾けて配置されている。ブレーキアーム81aには、常時引張ばね87aの付勢力Fsが垂直下向きに作用している。
支持フレーム部23を上方へ移動させようとすると、ブレーキアーム81aには、支軸79aの位置に上向きの外力Fが作用する。外力Fによってブレーキシュー85aが第1ブレーキレール31側面を滑り始める直前において、前記ブレーキシューには、外力Fに抗して第1ブレーキレール31側面との間に最大静止摩擦力Fsaが下向きに働いている。また、前記ブレーキシューが第1ブレーキレール31側面から法線方向に受ける反力をNaとする。
このとき、支軸79a周りのモーメントは、次式のとおり釣り合っている状態にある。
Mfa+Msa−Mna=0
ここで、d1を支軸79aから接点Qaまでの距離、d2を引張ばねの端部Taまでの距離とすると、
Msa=Fs・sinθ×d2
Mfa=Fsa・sinθ×d1
Mna=Na・cosθ×d1
である。
下側のブレーキアーム81bは、図26(b)に示すように、その支点即ち支軸79bが第1ブレーキレール31側面との接点Qbに関して上方に、即ち支持フレーム部23の移動方向Uと同じ側に位置するように、前記第1ブレーキレール側面に対して角度θをもって傾けて配置されている。ブレーキアーム81bには、常時引張ばね87aの付勢力Fsが垂直上向きに作用している。
支持フレーム部23を上方へ移動させようとすると、ブレーキアーム81bには、支軸79bの位置に上向きの外力Fが作用する。外力Fによってブレーキシュー85bが第1ブレーキレール31側面を滑り始める直前において、前記ブレーキシューには、外力Fに抗して第1ブレーキレール31側面との間に最大静止摩擦力Fsbが下向きに働いている。また、前記ブレーキシューが第1ブレーキレール31側面から法線方向に受ける反力をNbとする。
このとき、支軸79b周りのモーメントは、次式のとおり釣り合っている状態にある。
Mfb−Msb+Mnb=0
ここで、同様にd1を支軸79bから接点Qbまでの距離、d2を引張ばねの端部Tbまでの距離として、
Msb=Fs・sinθ×d2
Mfb=Fsb・sinθ×d1
Mnb=Nb・cosθ×d1
である。
各ブレーキシュー85a,85bに対する第1ブレーキレール31側面の反力Na,NbによるモーメントMna,Mnbの大きさは、それぞれMna=Msa+Mfa,Mnb=Msb−Mfbであり、Msa=Msbであるから、Mna>Mnbとなる。前記各ブレーキシューと前記第1ブレーキレール側面との静止摩擦係数をμとすると、Na=μ・Fsa,Nb=μ・Fsbである。従って、Fsa>Fsbとなる。このように、ブレーキアーム81a,81bの支軸79a,79bを前記ブレーキアームと第1ブレーキレール31側面との接点に関して一方の側に傾けて位置するように配置することによって、その傾けた側に向けて、その反対側よりも大きい制動力が発揮される。
支持フレーム部23は、比較的小さい力で昇降させることができるので、ユーザーが操作ハンドル部25を思い掛けず強い力で操作したとき、所望の位置で停止できないような、又は前記緩衝機構によっても十分な減速緩衝効果を得られないような速い速度で移動する虞がある。かかる問題を解消するために、本実施態様の物品支持装置20は、支持フレーム部23の移動速度を抑制又は制限するためのスピードリミッター機構を更に備えている。
図27に示すように、本実施態様のスピードリミッター機構90は、支持フレーム部23に設けられた遠心ブレーキ装置100と、固定フレーム部22に設けられた第2ブレーキレール92とから構成される。第2ブレーキレール92は、前記固定フレーム部の第1ブレーキレール31の後側に配置され、上部フレーム26の中央から垂直下向きに、前記支持フレーム部の上下ストロークを十分にカバーする長さに延長している。第2ブレーキレール92は、正面側に開口する断面コ字状をなし、その一方の内側面には、垂直方向に延長するラック92aが一体に形設されている。
遠心ブレーキ装置100は、支持フレーム部23の上部フレーム40の背面中央に固定された中央プレート91と第2ブレーキレール92との間に配置されている。遠心ブレーキ装置100は、中央プレート91の背面に固着された円形フレーム101と、該円形フレーム内にその中心軸103aに回動自在に支持された回転プレート102とを有する。回転プレート102は、1対の平行な長辺と1対の円弧状の短辺とを有し、その中央に小歯車103が一体にかつ前記円形フレームの中心軸103aと同心に設けられている。
図28(a)に示すように、回転プレート102には、その一方の前記短辺に1対のブレーキアーム104a,104bが、それぞれ基端部において支軸105a,105bを中心に揺動可能にかつ前記回転プレートの長辺方向に関して左右対称に取り付けられている。ブレーキアーム104a,104bは、それぞれ円形フレーム101の内周面に沿って湾曲する半円弧形状をなし、それらの間に介装された引張ばね107により互いに接近する向きに付勢されている。各ブレーキアーム104a,104bは、それぞれ自由端に突設したピン109a,109bを、回転プレート102に形成された長穴108a,108b内に挿通させ、それによって揺動可能な範囲を制限している。
ブレーキアーム104a,104bには、それぞれブレーキシュー106a,106bが、少なくとも一部を該ブレーキアームの外側周縁から円形フレーム101の内周面に向けて突出させて取り付けれている。ブレーキシュー106a,106bは、遠心ブレーキ装置100の非作動時には、図28(a)に示すように円形フレーム101内周面と接触しないように、かつ該遠心ブレーキ装置の作動時には、図28(b)に示すように前記円形フレーム内周面と係合し得るように配置される。
図27に示すように、遠心ブレーキ装置100と第2ブレーキレール92との間には、ギア部材93が、中央プレート91に固設された中心軸93bの周りに回動自在に設けられている。ギア部材93は、中心軸93bと同心に小歯車からなるピニオン94と外周に沿って設けられた大歯車95とを有する。ギア部材93は、ピニオン94が第2ブレーキレール92のラック92aに噛合し、かつ大歯車95が回転プレート102の小歯車103に噛合するように装着される。
支持フレーム部23を昇降させると、ラック92aとピニオン94とによってギア部材93が回転し、それにより回転プレート102が、大歯車95と小歯車103とのギア比に応じて高速で回転する。回転プレート102の回転速度は、支持フレーム部23の昇降速度によって増減する。
支持フレーム部23が静止しているとき、又は非常に遅い速度で移動しているとき、遠心ブレーキ装置100のブレーキアーム104a,104bは、引張ばね107の付勢力によって図28(a)に示す位置から全く揺動しない。そのため、は円形フレーム101内周面と接触しないから、支持フレーム部23をそのまま遅い速度で移動させることができる。
支持フレーム部23の移動速度が速くなってくると、ブレーキアーム104a,104bが引張ばね107の付勢力に抗して離反し始める。前記支持フレーム部の移動速度が比較的低速で、前記ブレーキアームの揺動が小さい場合には、同様に前記ブレーキシューが円形フレーム101内周面と接触しないので、支持フレーム部23をそのまま移動させることができる。
支持フレーム部23の移動速度が或る程度以上速くなると、前記ブレーキアームが引張ばね107の付勢力に抗して大きく離反し、前記各ブレーキシューが、図28(b)に示すように前記円形フレーム内周面と接触するようになる。そのため、支持フレーム部23の移動は、前記ブレーキシューと前記円形フレーム内周面との摩擦の大きさに応じて減速される。支持フレーム部23の移動が或る程度まで減速されると、前記ブレーキアームは引張ばね107によって互いに接近し、前記ブレーキシューは前記円形フレーム内周面との接触から解放される。従って、その減速された速度で支持フレーム部23を円滑に移動させることができる。
支持フレーム部23の移動速度が更に高速になると、前記ブレーキアームが引張ばね107の付勢力に抗して最大限に離反して、前記各ブレーキシューが、前記円形フレーム内周面に強く押圧される。そのため、支持フレーム部23は大きく減速され、場合によっては停止させることができる。支持フレーム部23の移動が或る程度まで減速され又は停止すると、同様に、前記ブレーキアームは引張ばね107によって互いに接近し、前記ブレーキシューは前記円形フレーム内周面との接触から解放される。従って、支持フレーム部23は、その減速された速度で円滑に又は再び移動させることができる。
このように本実施態様は、上述したスピードリミッター機構90によって、支持フレーム部23の移動速度を抑制又は制限することができるので、ユーザーの不用意な又は不注意な操作によって前記支持フレーム部の移動や停止を制御できなくなる虞を未然に解消することができる。従って、特に大型テレビモニター等の重量物を支持する場合に、より安全性を高めることができる。
図29は、本発明を適用した物品支持装置の第2実施態様を示している。本実施態様の物品支持装置120は、ブレーキ機構及び操作ハンドル部が第1実施態様の物品支持装置20とは異なる。それ以外は、第1実施態様の物品支持装置20と略同一に構成されるので、詳細な説明を省略する。尚、物品支持装置120にかかる以下の説明及び添付図面において、図19のブレーキ装置45と同一の構成要素には、同じ参照符号を付して説明する。
物品支持装置120は、第1実施態様の物品支持装置20と同様に、大画面テレビモニター等の物品を支持するために、床面等に設置される基台と、前記基台に固定される固定フレーム部22と、前記固定フレーム部に昇降可能に取り付けられる支持フレーム部23と、第1ばね24と、支持フレーム部23を昇降操作するための操作ハンドル部121とを備える。
固定フレーム部22は、水平に延長する上部及び下部フレーム26,27と、前記上部フレームと下部フレーム間を垂直に延長する左右側部フレーム28,29とからなる概ね矩形の枠構造を有する。更に固定フレーム部22は、左右側部フレーム28,29間を水平に延長する略中間高さの中間フレーム30と前記上部フレームとの間を垂直に延長する第1ブレーキレール31を中央に有する。
支持フレーム部23は、垂直に延長する左右ガイドフレーム38,39と、前記両ガイドフレーム間を水平に延長する上部フレーム40及び上下に少し離隔された2つの下部フレーム41,42とからなる概ね矩形の枠構造を有する。支持フレーム部23は固定フレーム部22に、左右ガイドフレーム38,39をそれぞれ前記固定フレーム部の対応する左右側部フレーム28,29のガイドレール内に摺動可能に嵌装させ、前記ガイドレールに沿って上下に移動可能に装着される。
支持フレーム部23には、前記物品を固定するために、それぞれ前記ガイドフレームの直ぐ前側を垂直に延長する左右1対の取付ステー44a,44bが設けられている。更に支持フレーム部23には、上部フレーム40の中央にブレーキ装置122が設けられている。
本実施態様のブレーキ機構は、このブレーキ装置122と固定フレーム部22の第1ブレーキレール31とによって構成される。ブレーキ装置122は、操作ハンドル部121によってブレーキパッド145、146と第1ブレーキレール31とを係合させ又は係合解除することができる。
操作ハンドル部121は、支持フレーム部23の左右ガイドフレーム38,39の前側かつ取付ステー44a,44bの外側にそれらに近接して配置された左右の垂直な伝達ロッド123a,123bを有する。前記各伝達ロッドの下部には、略L字型の連結ステー66a,66bがそれぞれ結合され、前方へ突出する前記両連結ステーの先端部に、左右方向に延長する長尺なハンドル桿67が保持されている。このハンドル桿67を手で持って操作ハンドル部121を操作することにより、支持フレーム部23及び前記物品を昇降させることができる。
図30に示すように、伝達ロッド123a,123bは、その上部内側部に連結部材124a,124bが固着されている。連結部材124a,124bは、上下断面形状がL字形をなしかつ上下方向に或る長さを有する。取付ステー44a,44bはコ字形状をなし、その内側に上下に延長するガイド孔125a,125bが画定されている。
伝達ロッド123a,123bは、取付ステー44a,44bの外側からガイド孔125a,125bに連結部材124a,124bを挿通させて、左右ガイドフレーム38,39の前面及び取付ステー44a,44bの外面に沿って上下に相対変位し得るように設けられている。連結部材124a,124bの上下両端には、それぞれストッパー片126a,126bが設けられ、前記ガイド孔の上下両端には、それぞれ係止部127a,127bが設けられている。
連結部材124a,124bは、ストッパー片126a,126bが係止部127a,127bによって係止される範囲で、ガイド孔125a,125bにより案内されて上下に移動することができる。この前記連結部材が前記ガイド孔内を上下に移動可能な範囲によって、伝達ロッド123a,123bが支持フレーム部23に対して相対変位し得る垂直距離の範囲が決定される。
図31に示すように、連結部材124b(124a)の背面には、後方に向けて引掛片128が設けられている。支持フレーム部23の上部フレーム40には、連結部材124b(124a)の直ぐ背後に上下方向に延長する開口部129が貫設され、かつその真直ぐ上方の上部フレーム40端部に、同じく後方に向けて引掛片130が設けられている。連結部材124b(124a)の引掛片128と上部フレーム40の引掛片130との間には、引張りコイルばね131が介装され、前記連結部材を介して伝達ロッド123a,123bを常に引き上げている。
図32に示すように、左右の連結部材124a,124bの間には、左右1対の連結プレート132a,132bが設けられている。各連結プレート132a,132bは、それぞれ全体として左右方向に長い板状をなし、その中心が、支持フレーム部23の上部フレーム40の前面に突設された枢軸133a,133bによって、上部フレーム40の平面に沿って回動自在に取り付けられている。
連結プレート132a,132bは、その左右両端部が後方にクランク状に折曲され、その各端縁に歯車部134a,134b,135a,135bが形設されている。連結プレート132a,132bの左右両端部には、前記歯車部の直ぐ内側に円弧状のガイド溝136a,136b,137a,137bが貫設されている。各ガイド溝136a,136b,137a,137bには、支持フレーム部23の上部フレーム40の前面に突設されたガイドピン138a,138b,139a,139bが挿通されている。従って、連結プレート132a,132bは、枢軸133a,133bの周りに、前記ガイド溝の両端に前記ガイドピンが係止される範囲で両方向に回転させることできる。
連結部材124a,124bは、それぞれ上下方向の内側端縁にラック部140a,140bが形設されている。前記各連結プレートは、互いに内側の歯車部134b,135bを噛合させ、かつ外側の歯車部134a,135aを対応する連結部材124a,124bのラック部140a,140bに噛合するように配置される。これによって、操作ハンドル部121の左右の伝達ロッド123a,123bが、ラック部140a,140b及び歯車部134a,134b,135a,135bからなる歯車列を介して互いに連結される。
例えば、一方の伝達ロッド123aを支持フレーム部23のガイドフレーム38に対して上方に移動させると、図33に示すように、連結部材124aの上方への変位がラック部140aと歯車部134aとにより連結プレート132aを時計回りに回転させる。それにより、他方の連結プレート132bが反時計回りに回転し、歯車部135aとラック部140bとにより、他方の伝達ロッド123bが一方の伝達ロッド123aに同期して上方へ移動する。
ブレーキ装置122は、図30に示すように、支持フレーム部23の上部フレーム40と連結プレート132a,132bとの間に、第1ブレーキレール31を挟んで左右対称に配置された上下各1対のブレーキアーム141a,141b,142a,142bを有する。各ブレーキアーム141a,141b,142a,142bは、それぞれ基端部において、上部フレーム40の前面から突出する支軸143a,143b,144a,144bにより、上部フレーム40の平面に沿って回動自在に枢着されている。
前記各ブレーキアームの先端には、それぞれブレーキパッド145a,145b,146a,146bが取り付けられている。上側のブレーキパッド145a,146aは、図32の制動状態において、その押圧面の全体で第1ブレーキレール31側面に係合しているが、制動解除されるに連れて、前記第1ブレーキレール側面との間に隙間が上方から徐々に大きくなるように、斜めに傾けて装着されている。下側のブレーキパッド145b,146bは、同様に図32の制動状態では、その押圧面の全体で第1ブレーキレール31側面に係合しているが、制動解除されるに連れて、前記第1ブレーキレール側面との間に隙間が下方から徐々に大きくなるように、斜めに傾けて装着されている。
一般にブレーキパッドは、その変位方向に沿って後端側が先端側よりも大きな制動力を発揮する。従って、前記ブレーキパッドを上述したように斜めに配置することによって、第1ブレーキレール31の係合面に対して上側のブレーキパッド145a,146aは上向きに大きい制動力が、下側のブレーキパッド145b,146bは下向きに大きい制動力がそれぞれ発生する。
上下各対のブレーキアーム141a,141bと142a,142bは、それぞれ内側の辺縁部に形成された引掛片147aと147bの間、148aと148bの間に引張ばね149a,149bが介装されている。これにより、上下各対の前記ブレーキアームは互いに接近する向きに、即ち前記ブレーキパッドを第1ブレーキレール31の側面に押圧する向きに付勢されている。引張ばね149a,149bのばね強さは、前記ブレーキパッドと第1ブレーキレール31側面との間に、物品を取り付けた支持フレーム部23を静止位置から容易に移動させない十分な摩擦抵抗が生じ得るように設定される。
連結プレート132a,132bの背面には、枢軸133a,133bの上下に或る等しい距離をもって離隔して、上下各1対の第1伝達ピン150a,150b,151a,151bが後方に向けて突設されている。更に前記各連結プレートの背面には、枢軸133a,133bと第1ブレーキレール31との間に左右対称に各1つの第2伝達ピン152a,152bが、後方に向けて突設されている。
前記各ブレーキアームの基端部には、それぞれの外周に第1係合突起154a,154bが、前記ブレーキパッドとは反対側に向けて形成されている。更に前記各ブレーキアームの基端部には、第2係合突起156a,156bが、前記第1係合突起と概ね直交する向きに形成されている。尚、図32〜図34には、図中右側のブレーキアーム142a,142bについてのみ全体を、連結プレート132bを一部破砕して示した。
第1係合突起154a,154bは、図32の制動状態において、その側縁に対応する第1伝達ピン151a,151bが当接するように設けられている。上側の第1伝達ピン150a,151aは、図32の制動状態から図中左側の連結プレート132aが時計回りにかつ右側の連結プレート132bが反時計回りに回転すると、上側のブレーキアーム141a,142aの第1係合突起153a,154aの側縁を押圧して、ブレーキパッド145a,146aが第1ブレーキレール31から離間する向きにブレーキアーム141a,142aを回転させる。下側の第1伝達ピン150b,151bは、図32の制動状態から図中左側の連結プレート132aが反時計回りにかつ右側の連結プレート132bが時計回りに回転すると、下側のブレーキアーム141b,142bの第1係合突起153b,154bの側縁を押圧して、ブレーキパッド145b,146bが第1ブレーキレール31から離間する向きにブレーキアーム141b,142bを回転させる。
第2係合突起155a,155b,156a,156bは、図32の制動状態において、それぞれ対応する第2伝達ピン152a,152bから等しい距離離隔した位置に配置されている。第2伝達ピン152a,152bは、左側の連結プレート132aが時計回りにかつ右側の連結プレート132bが反時計回りに或る角度以上回転すると、下側の前記ブレーキアームの第2係合突起155b,156bの側縁に当接し、これを押圧してブレーキアーム141b,142bを、ブレーキパッド145b,146bが第1ブレーキレール31から離間する向きに回転させる。逆に、左側の連結プレート132aが反時計回りにかつ右側の連結プレート132bが時計回りに或る角度以上回転すると、上側の前記ブレーキアームの第2係合突起155a,156aの側縁に当接し、これを押圧してブレーキアーム141a,142aを、ブレーキパッド145a,146aが第1ブレーキレール31から離間する向きに回転させる。
図32に示す制動状態では、各ブレーキアーム141a,141b,142a,142bのブレーキパッド145a,145b,146a,146bがそれぞれ第1ブレーキレール31の側面に係合して、支持フレーム部23が静止位置から移動できないように制動している。この状態からハンドル桿67を持ち上げて、伝達ロッド123a,123bを上向きに動かすと、図33に示すようにラック部140a,140bと歯車部134a,135aとにより、連結プレート132aが時計回りにかつ連結プレート132bが反時計回りに回転する。
これにより、上側の第1伝達ピン150a,151aは、上側のブレーキアーム141a,142aの第1係合突起153a,154aの側縁を押圧して、ブレーキアーム141aを反時計回りにかつブレーキアーム142aを時計回りに回転させ、ブレーキパッド145a,146aを第1ブレーキレール31から離間させる。従って、ブレーキ装置122は、上向きの制動力が解除される。
このとき、下側のブレーキパッド145b,146bは、第1ブレーキレール31の側面に係合したままである。従って、ブレーキ装置122は、下向きに相当な大きさの制動力が維持されているので、ハンドル桿67を持ち上げる力が何らかの理由で急に失われても、支持フレーム部23が静止位置から急に降下することは無く、安全性が確保されている。
また、この状態では、連結部材124a,124bのストッパー片126a,126bがガイド孔125a,125bの上側の係止部127aまで到達していないから、支持フレーム部23のガイドフレーム38,39からフリーな状態で、前記ガイド孔内を移動することができる。従って、ハンドル桿67は、未だ支持フレーム部23から荷重を受けないので、比較的小さい力で持ち上げることができる。
この状態から更にハンドル桿67を持ち上げて、伝達ロッド123a,123bを支持フレーム部23のガイドフレーム38,39に対して相対的に上向きに動かすと、図34に示すように、連結部材124a,124bのストッパー片126a,126bがガイド孔125a,125bの上側の係止部127aに当接して係止される。従って、これ以上は、伝達ロッド123a,123bがガイドフレーム38,39と一体となって、支持フレーム部23を上方へ移動させることができる。
このとき、第2伝達ピン152a,152bは、左側の連結プレート132aが時計回りにかつ右側の連結プレート132bが反時計回りに回転し、下側の前記ブレーキアームの第2係合突起155b,156bの側縁に当接してこれを押圧する。これにより、ブレーキアーム141bは時計回りにかつブレーキアーム142bは反時計回りに回転し、ブレーキパッド145b,146bを第1ブレーキレール31から離間させる。従って、ブレーキ装置122は制動力が完全に解除されるので、そのままハンドル桿67を持ち上げて、支持フレーム部23を自由に上方へ移動させることができる。
本実施例では、図33に示すように、連結部材124a,124bのストッパー片126a,126bがガイド孔125a,125bの上側の係止部127aに当接するより少し以前に、第2伝達ピン152a,152bが第2係合突起155b,156bの側縁に当接している。その状態から下側のブレーキパッド145b,146bの制動力が解除されるまで、幾分余裕が設けられているので、伝達ロッド123a,123bがガイドフレーム38,39と一体となったときに、支持フレーム部23の移動をスムーズに開始することができる。
本発明の物品支持装置120の動作を、長尺なハンドル桿67の端部付近を手で掴んで持ち上げた場合について、図35を用いて概念的に説明する。尚、同図において説明を簡単にするため、操作ハンドル部121の伝達ロッド123a,123bと支持フレーム部23のガイドフレーム38,39とは、それぞれ1本の実線で表す。
図35(a)に示すように、支持フレーム部23が、固定フレーム部22に対して静止している状態では、左右の伝達ロッド123a,123b及びガイドフレーム38,39が同じ高さに維持され、所定の矩形枠構造を保持している。この静止状態でハンドル桿67の左側端部付近に上向きの操作力Fを作用させて、支持フレーム部23を上向きに移動させる。
図35(b)に示すように、ハンドル桿67は、図35(a)の静止位置から或る高さHに持ち上げるとき、操作力Fを加える位置に近い側の伝達ロッド123aとの結合部を支点として、上向きに撓みを生じる。そのため、ハンドル桿67からの操作力Fは、遠い側の伝達ロッド123bよりも近い側の伝達ロッド123aにより大きな割合で伝達されることになる。
本発明の物品支持装置120では、上述したように、一方の伝達ロッド123aが移動すると、連結部材124a,124bのラック部140a,140bと連結プレート132a,132bの歯車部134a,134b,135a,135bとからなる歯車列を介して、操作力の一部が伝達ロッド123aから他方の伝達ロッド123bに伝達される。それにより、他方の伝達ロッド123bは、伝達ロッド123aに同期して同じ向きに同じ距離移動する。従って、支持フレーム部23は、ハンドル桿67に撓みが生じても、所定の矩形枠構造を保持しつつ、固定フレーム部22の側部フレーム28,29に沿って円滑にかつ確実に移動することができる。
図36は、左右の伝達ロッド123a,123bが前記連結部材と前記連結プレートとによって連結されていない構造の物品支持装置の動作を示している。尚、図34と同一又は類似の構成要素は、同じ参照符号を付して表す。
図36(a)に示すように、支持フレーム部23が、固定フレーム部22に対して静止している状態では、左右の伝達ロッド123a,123b及びガイドフレーム38,39が同じ高さに維持され、所定の矩形枠構造を保持している。この静止状態で、同様にハンドル桿67の左側端部付近に上向きの操作力Fを作用させて、支持フレーム部23を上向きに移動させる。
図36(b)に示すように、ハンドル桿67は、図36(a)の静止位置から或る高さHに持ち上げようとすると、操作力Fを加える位置に近い側の伝達ロッド123aとの結合部だけでなく、遠い側の伝達ロッド123bとの結合部をも支点として、上向きに大きい撓みを生じる。そのため、操作位置に近い側の伝達ロッド123aを所望の高さHまで移動させても、遠い側の伝達ロッド123bはそれより低い高さまでしか移動しない。
その結果、支持フレーム部23は、所定の矩形枠構造を保持することができず、ゆがみやこじれを生じる虞がある。ゆがみ又はこじれを生じた支持フレーム部23は、固定フレーム部22の側部フレーム28,29との間にがたつきが発生し易く、円滑にかつ確実に上向きに移動させることが困難になる。
このようなゆがみやこじれは、支持フレーム部の矩形枠構造を十分剛固に形成することによって、或る程度防止することができる。しかしながら、剛固な矩形枠構造は、それだけ大型化かつ/又は重量化する虞があるので、必ずしも好ましくない。また、支持する物品が重量物又は大型の場合には、矩形枠構造を剛固に形成すること自体がかなり困難である。
これに対し、第2実施態様の物品支持装置120は、支持フレーム部23の剛性に拘わらず、常に所定の矩形枠構造を維持しながら、移動させることができる。重量物又は大型の物品を支持する場合でも、支持フレーム部23の矩形枠構造を必要以上に剛固に形成しなくても良い。また、物品が比較的軽量又は小型の場合は、それに合わせて支持フレーム部23の剛性を低くしても、常に所定の矩形枠構造を維持して、円滑な移動を確保することができる。
以上、本発明の好適な実施態様について説明したが、本発明は、上記実施態様に限定されるものでなく、その技術的範囲内において様々な変形又は変更を加えて実施することができる。例えば、操作ハンドル部の左右の伝達ロッドは、上記実施態様以外の様々な歯車列を用いて、操作力を伝達可能に連結することができる。また、ブレーキ機構は、移動させたい方向の両方向でなく一方向についてのみ、逆方向への移動が制限されるように制動力の解除を制御することもできる。例えば、重量物を支持する物品支持装置では、より危険な物品の不用意な降下を防止するように、上向きに移動させる場合にのみ、下向き制動力の解除を遅らせることができる。
1 荷重支持機構
2 固定支持部
3 可動支持部
4 第1ばね
5 取付ステー
6a,6b 縦枠部材
7 横枠部材
8 固定カム
9 固定カム面
10a,10b 横枠部材
11a,11b 縦枠部材
12a,12b ガイド
13 カム溝
14a 第1可動カム面
14b 第2可動カム面
15 カムフォロア部材
16 第1カムフォロア
17 第2カムフォロア
18 第2ばね
20,120 物品支持装置
21 基台
22 固定フレーム部
23 支持フレーム部
24 第1ばね
25,121 操作ハンドル部
26 上部フレーム
27 下部フレーム
28,29 側部フレーム
30 中間フレーム
31 第1ブレーキレール
32,33 ガイドレール
38,39 ガイドフレーム
40 上部フレーム
41,42 下部フレーム
44,44a,44b 取付ステー
45,110,122 ブレーキ装置
46,47 引張コイルばね
48、49 カム溝
50a、51a 第1可動カム面
50b,51b 第2可動カム面
52 第2ばね
53,54 カムフォロアホルダー
55,56 カムフォロア部材
57,58 第1カムフォロア
59,60 第2カムフォロア
65,123a,123b 伝達ロッド
66,66a,66b 連結ステー
67 ハンドル桿
71 伝達プレート
81a,81b,82a,82b,111a,111b,112a,112b,141a,141b,142a,142b ブレーキアーム
83a,83b,84a,84b,134a,134b,135a,135b 歯車部
85a,85b,86a,86b ブレーキシュー
90 スピードリミッター機構
91 中央プレート
92 第2ブレーキレール
100 遠心ブレーキ装置
101 円形フレーム
102 回転プレート
104a,104b ブレーキアーム
106a,106b ブレーキシュー
107 引張ばね
124a,124b 連結部材
132a,132b 連結プレート
140a,140b ラック部
145a,145b,146a,146b ブレーキパッド

Claims (7)

  1. 所定の方向に沿って移動可能な可動部と、
    前記可動部の移動を操作するためのハンドルと、前記ハンドルに結合された第1伝達部材及び第2伝達部材とを有する操作部とを備え、
    前記第1及び第2伝達部材が、それぞれ前記可動部に対してその移動方向に沿って所定の距離だけ変位可能で、前記所定の距離を超えると前記可動部と一体に移動可能に設けられ、
    前記可動部が、前記ハンドルを操作したときに、前記第1伝達部材又は前記第2伝達部材の変位に連動して、前記ハンドルの操作力の一部を前記第1及び第2伝達部材間で伝達するように、前記第1伝達部材と前記第2伝達部材とを連結する連結部材を有することを特徴とする操作ハンドル機構。
  2. 前記可動部の移動を制動するためのブレーキ部を更に備え、前記ブレーキ部が、前記連結部材の変位によって制動及び/又は制動解除可能であることを特徴とする請求項1に記載の操作ハンドル機構。
  3. 前記第1及び前記第2伝達部材がそれぞれラック部を有し、前記連結部材が、前記操作力を伝達可能に前記両ラック部に噛合する歯車列からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の操作ハンドル機構。
  4. 前記第1及び前記第2伝達部材がそれぞれラック部を有し、前記連結部材が、前記操作力を伝達可能に前記両ラック部に噛合する歯車列からなり、前記歯車列を構成するいずれかの歯車の回転によって、前記ブレーキ部が制動及び/又は制動解除されることを特徴とする請求項2に記載の操作ハンドル機構。
  5. 前記可動部が、前記第1及び第2伝達部材をそれぞれ前記所定の距離の端部で係止するための第1及び第2係止部を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の操作ハンドル機構。
  6. 前記可動部が前記所定の方向に沿って両方向に移動可能であり、前記ハンドルが、その操作方向に沿って前記可動部の移動方向に対応して両方向に操作可能であり、前記第1及び第2伝達部材が、前記ハンドルの操作方向に対応してそれぞれ前記可動部に関して両方向に相対変位可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の操作ハンドル機構。
  7. 固定支持部と、
    前記固定支持部に関して移動可能な、荷重を受けるための可動支持部と、
    前記可動支持部の移動を操作するための操作ハンドル部とを備え、
    前記可動支持部と前記操作ハンドル部が、それぞれ請求項1乃至6のいずれか1項に記載される操作ハンドル機構の可動部と操作部からなることを特徴とする荷重支持機構。
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