JP2015203552A - 旋回流型流動床炉 - Google Patents

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Abstract

【課題】移動層配管に流量計やダンパを設けることなく、移動層に適切な空気量を供給することができる旋回流型流動床炉を提供する。
【解決手段】本発明に係る旋回流型流動床炉10は、炉本体11と、移動層22を支持する移動床板32aと、流動層24を支持する第1流動床板34a及び第2流動床板36aと、移動層24に気体を供給するルーツブロワ60と、流動層24に気体を供給するターボブロワ40と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、移動床と流動床とを形成して廃棄物を処理する旋回流型流動床炉に関する。
未燃物の発生を抑制して廃棄物を処理する装置として流動床炉が知られている。流動床炉は、高温に熱した砂等の流動媒体中に投入された廃棄物の乾燥、熱分解及び燃焼を行う。
この流動床炉の一つとして、砂等の流動媒体に、その中央部よりも周辺部の質量速度が大きくなるように流動化気体を供給することで、炉内の中央部に流動媒体が沈降する移動層と、炉内の周辺部に流動媒体が活発に流動化する流動層を形成した、旋回流型流動床炉が知られている(例えば、特許文献1参照)。この旋回流型流動床炉では、移動層及び流動層に供給された流動化空気により、流動媒体が移動層を下降し周辺部の流動層底部に至り、次に流動層中を上昇し、流動層上部で飛散し、再び移動層に取り込まれ、移動層を下降する、いわゆる旋回流(循環流)が形成される。
従来の旋回流型流動床炉では、炉床温度を均一に保つことが一般的であり、炉床温度の部分的な低下は流動不良の結果であると考えられていた。そこで、炉床温度が低下した部分に供給する流動化空気を増加させて、炉床温度差を解消する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、従来の旋回流型流動床炉では、炉床温度を調節するために炉床注水が行われていた。炉床注水により供給される水が高熱の炉壁に接触すると、炉壁が急激な温度低下により損傷する恐れがある。このため、炉床注水を行うときは、炉壁に水が接触しないように、炉床の中央部、すなわち移動層に炉床注水が行われ、移動層と流動層とを流動媒体が旋回することで炉床全体の温度が調節されていた。
ところで、近年、不完全燃焼に伴って発生するダイオキシン等の有害物質への対策が厳しく求められている。質や量が不均一な都市ごみ等の廃棄物を焼却する場合には、焼却炉に供給される廃棄物の量や質の変動が大きいので、燃焼量の変動が大きく、燃焼に必要な酸素を流動床炉に適切に供給することが困難になる場合がある。このため、移動層と流動層とを形成する旋回流型流動床炉においては、不完全燃焼が起こらないように流動床が制御される必要がある。そこで、移動層と流動層をそれぞれの最適な温度に制御することで、移動層で廃棄物の乾燥・ガス化を緩慢に行い、揮発分が揮散した廃棄物(未燃分)を流動層で燃焼させて流動媒体を加熱し、適切な温度を維持して移動層の熱源とし、都市ごみ等の質や量が不均一な廃棄物の処理でも燃焼を安定して行う技術が知られている(特許文献3参照)。
また、上記のように都市ごみ等の質や量が不均一な廃棄物を焼却する際に大きな燃焼量の変動が発生し、一時的に燃焼量が急増することがある。この場合に、流動空気の一部を焼却炉のフリーボードに送りこむことで燃焼量を抑制する技術が知られている(特許文献4参照)。
以上で説明した従来技術を適用した旋回流型流動床炉の構成の例を説明する。
図5は、従来の旋回流型流動床炉の概略縦断正面図である。
図5に示すように、従来の旋回流型流動床炉100は、廃棄物を処理する炉本体110を有する。炉本体110内には、砂等の流動媒体からなる流動床120が形成される。流
動床120は、後述するターボブロワ140からの空気により流動する。これにより、流動床120の中央部には、流動媒体が上方から下方に移動する移動層122が形成され、流動床120の両側部には、流動媒体が下方から上方に移動する流動層124が形成される。
旋回流型流動床炉100は、さらに、移動層122に空気を供給するための移動層風箱132と、流動層124に空気を供給するための第1流動層風箱134及び第2流動層風箱136と、移動層122の温度を測定する移動層温度計152と、流動層124の温度を測定する2つの流動層温度計154と、移動層122及び流動層124に流動化及び燃焼を目的とした空気を供給するターボブロワ140と、を有する。
炉本体110は、その両側壁に炉本体110の幅を縮小するように形成されたくぼみ部112を有する。くぼみ部112は、炉本体110の側壁が下方から上方に向かって炉本体110の内部方向に傾斜した傾斜壁112aと、傾斜壁112aの上端に設けられて下方から上方に向かって外側に広がるように傾斜した拡張壁112bとから構成される。また、炉本体110内部には、流動床120の上部空間であるフリーボード117が形成される。
炉本体110は、廃棄物を供給するための投入口115と、廃棄物を熱反応させた際に生じる排ガス等を排出する排気口116と、廃棄物に含まれる不燃物を抜き出す一対の不燃物流路118a,118bとを有する。投入口115は、拡張壁112bの上端よりも上方の炉壁に設けられ、投入された廃棄物が移動層122上に落下するように廃棄物を案内する。排気口116は炉本体110の上部に形成され、炉内で生成された排ガス等を外部に排気する。不燃物流路118a,118bは、それぞれ傾斜壁112の下部に下向きに伸びるように形成される。
移動層風箱132は、不燃物流路118a,118bの間の炉本体110の底部中央に配置され、その両側に第1流動層風箱134及び第2流動層風箱136が配置される。移動層風箱132の上面には、移動層122を支持する移動床板132aが形成される。また、第1流動層風箱134及び第2流動層風箱136の上面には、それぞれ、流動層124を支持する第1流動床板134a及び第2流動床板136aが形成される。
移動床板132aは、中央が高く、両側縁に向かうにつれ徐々に低く形成された山形状をなしている。第1流動床板134a及び第2流動床板136aは、山形状の移動床板132aの端部を延長するように、移動床板132aと略同一の傾斜角度で傾斜している。移動床板132a、第1流動床板134a、及び第2流動床板136aには、それぞれの風箱に供給された空気を炉内に噴出するための図示しない散気ノズルが配置される。
旋回流型流動床炉100は、ターボブロワ140により供給される空気量を計測する総空気流量計170と、ターボブロワ140からの空気が通過する接続配管180と、接続配管180に一端が連通し他端が移動層風箱132に連通する移動層配管184と、接続配管180に一端が連通し他端が第1流動層風箱134に連通する第1流動層配管182と、接続配管180に一端が連通し他端が第2流動層風箱136に連通する第2流動層配管183と、一端が接続配管180に連通し他端が炉本体110のフリーボード117に連通するフリーボード配管186と、を備えている。
移動層配管184は、移動層配管184を通過する空気量を調節する移動層空気量調節ダンパ176と、移動層配管184を通過する空気量を計測する移動層空気流量計172と、を備える。また、第1流動層配管182は、第1流動層配管182を通過する空気量を調節する第1流動層空気量調節ダンパ175と、第1流動層配管182を通過する空気
量を計測する第1流動層空気流量計171と、を備える。第2流動層配管183は、第2流動層配管183を通過する空気量を調節する第2流動層空気量調節ダンパ177と、第2流動層配管183を通過する空気量を計測する第2流動層空気流量計173と、を備える。また、フリーボード配管186は、フリーボード配管186を通過する空気量を調節するフリーボード空気量調節ダンパ179と、フリーボード配管186を通過する空気量を計測するフリーボード空気流量計178と、を備える。
ターボブロワ140から供給される空気は、接続配管180を通過して移動層配管184、第1流動層配管182、及び第2流動層配管183に分岐して供給される。移動層配管184、第1流動層配管182、及び第2流動層配管183に供給された空気は、それぞれ、移動層空気量調節ダンパ176、第1流動層空気量調節ダンパ175、及び第2流動層空気量調節ダンパ177の開度を調節することで流量が調節され、移動層風箱132、第1流動層風箱134、及び第2流動層風箱136に供給される。移動床板132aに配置された図示しない散気ノズルから、移動層122に比較的小さな流動化速度を与えるように流動化空気が噴出される。一方で、第1流動床板134a及び第2流動床板136aに配置された図示しない散気ノズルから、流動層124に比較的大きな流動化速度を与えるように流動化空気が噴出される。これにより、流動媒体が流動しながら比較的ゆっくりした速度で上方から下方に移動する移動層122が移動床板132aの上方に形成され、流動媒体が流動しながら下方から上方に移動する流動層124が第1流動床板134a及び第2流動床板136aの上方に形成される。
したがって、流動床120の下部では流動媒体が移動層122から流動層124へ移動し、流動床20の上部では流動媒体が流動層124から移動層122へ移動する。これにより、移動層122と流動層124との間を流動媒体が循環する循環流(旋回流)が、流動層120の左右に形成される。
特開昭57−124608号公報 特開2007−113880号公報 国際公開2012/066802 特開平11−94225号公報
不完全燃焼を回避するためには移動層への流動化空気量を減少させて流動化を抑制し、緩やかに廃棄物の乾燥・ガス化を行わせることが有効である。また、流動床温度を維持させるためには、流動層において未燃分を燃焼させ流動媒体を加熱する必要がある。さらに、燃焼量が急増する場合には、流動空気の一部をフリーボードに供給して、流動床中での熱反応を抑制して、フリーボードに燃焼に必要な空気を供給することが有効である。
しかしながら、図5に示した従来の旋回流型流動床炉100は、流動化空気を供給する装置として1つのターボブロワ140を有するので、移動層122及び流動層124のそれぞれに供給する空気量を個別に調節する場合は、ターボブロワ140の出力の調節だけでは調節することができない。即ち、移動層122への空気量を調節するためにターボブロワ140の出力を調節すると、流動層124への空気量も変動する。
また、流動層空気流量調節ダンパ175,177を開いて流動層124への空気供給量を増やすと移動層122への空気供給量が減ってしまい、そもそも空気供給量を抑制している移動層122で流動不良が生じることがある。さらに、燃焼量が急増して、フリーボ
ード空気量調節ダンパ179を開いて流動化空気をフリーボード117に供給する場合には、吐出側の圧力損失が低下するため、ターボブロワ140の特性により吐出空気量は増加するが、移動層122及び流動層124に供給する流動化空気量は減少し、移動層122では流動化不良を生ずることがある。
また、ターボブロワ140の吐出空気は接続配管180を通過して移動層配管184、第1流動層配管182、及び第2流動層配管183に分岐して供給されるので、各配管、流量調節ダンパ、散気ノズル及び流動床の圧力損失の総和が略同一になるよう分岐される。各配管、流量調節ダンパ及び散気ノズルにおける圧力損失は概ね流量の二乗に比例するが、流動床120における圧力損失は層の高さに比例し、流量によらず一定である。即ち、砂高さの低い移動層122では砂高さの高い流動層124に比べて流動床120における圧力損失が少ないため、その分配管、流量調節ダンパ及び散気ノズルにおける圧力損失を大きくしている。このため、ターボブロワ140の出力調節により、吐出空気量を減らすと、配管、流量調節ダンパ及び散気ノズルにおける圧力損失が少なくなるため、砂高さの低い移動層122への空気量が増えて砂層における圧力損失の差分とバランスするようになる。
このように、ターボブロワ140の出力調節により吐出空気量を減らすと、移動層122に空気が流れ易くなり、逆に吐出流量を増やす場合には流動層124に空気が流れ易くなる。いずれの場合にも、移動層122への空気量と流動層124への空気量との比率が不安定になり、流動媒体の旋回流が適切に維持されず、廃棄物に含まれる大型金属類等の不燃物を流動床120から排出することが困難になる場合があった。
このように、ターボ式送風機であるターボブロワ140により比較的小さい量の空気を移動層122に供給する場合には、第1流動層空気量調節ダンパ175及び第2流動層空気量調節ダンパ177の開度の調節やフリーボード空気量調節ダンパ179の動作により、移動層122に所望の空気量を供給することが困難になる場合があった。なお、ターボ式送風機とは、羽根車等を回転させて運動エネルギーを発生させることで気体を昇圧させて送風する送風機をいう。
また、移動層122へ供給する空気の流量を計測して、移動層空気量調節ダンパ176で制御する場合は、図5に示した移動層空気流量計172が必要となる。しかしながら、流量を流量計で正確に計測するためには、移動層配管184の直管部の長さを配管径の約5倍以上確保する必要があるので、移動層配管184の配置が制限されるという問題がある。また、移動層122に供給される空気の流量は比較的小さいので、小さい流量で計測に必要な導圧を確保するには、小孔径のオリフィスを移動層配管184に設置する必要がある。オリフィスを移動層配管184に設置すると、移動層配管184を通過する最大空気流量が制限されるという問題がある。
流動床温度が冷えて常温となっている定期点検後の立ち上げ(コールドスタート)時等においては、温度が低いほど空気の粘性が低下するため、流動媒体の流動化に必要な最低流動化空気量は増大する。オリフィスを設置する場合には、この立ち上げ時の流動化空気量を確保できるように、流量測定精度を犠牲にしてオリフィスの孔径を大きめに選択したり、オリフィス設置部にバイパス配管を設けたりする等の対策を余儀なくされた。
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、移動層配管に流量計やダンパを設けることなく、移動層に適切な空気量を確実に供給することができる旋回流型流動床炉を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明の第1形態に係る旋回流型流動床炉は、炉本体と、前記炉本体の底部に配置され、移動層を支持する移動床板と、前記炉本体の底部に配置され、流動層を支持する流動床板と、移動層に気体を供給するための移動層気体供給機構と、流動層に気体を供給するための流動層気体供給機構と、を有し、前記移動層気体供給機構は、容積式送風機を有する。
上記目的を達成するため、本発明の第2形態に係る旋回流型流動床炉は、第2形態に係る旋回流型流動床炉において、移動層の温度を測定する移動層温度測定部と、前記測定された前記移動層の温度に応じて、前記容積式送風機の回転数を制御する制御部と、を有する。
上記目的を達成するため、本発明の第3形態に係る旋回流型流動床炉は、第1形態又は第2形態に係る旋回流型流動床炉において、前記流動層気体供給機構は、容積式送風機を含む。
上記目的を達成するため、本発明の第4形態に係る旋回流型流動床炉は、第1形態ないし第3形態のいずれかに係る旋回流型流動床炉において、前記流動床板は、第1流動床板と、第2流動床板と、を有し、前記流動層気体供給機構は、前記第1流動床板に支持される流動層に気体を供給する第1容積式送風機と、前記第2流動床板に支持される流動層に気体を供給する第2容積式送風機と、を有する。
上記目的を達成するため、本発明の第5形態に係る旋回流型流動床炉は、第4形態に係る旋回流型流動床炉において、前記第1容積式送風機と前記炉本体のフリーボードとを接続する第1フリーボード配管と、前記第1フリーボード配管に設けられ、前記第1容積式送風機から前記フリーボードへ供給される気体の流量を調節する第1フリーボード流量調節部と、前記第2容積式送風機と前記フリーボードとを接続する第2フリーボード配管と、前記第2フリーボード配管に設けられ、前記第2容積式送風機から前記フリーボードへ供給される気体の流量を調節する第2フリーボード流量調節部と、を有する。
上記目的を達成するため、本発明の第6形態に係る旋回流型流動床炉は、第1形態又は第2形態に係る旋回流型流動床炉において、前記流動床板は、第1流動床板と、第2流動床板と、を有し、前記旋回流型流動床炉は、さらに、前記流動層気体供給機構からの気体を前記第1流動床板に支持される流動層に供給するための第1流動層配管と、前記第1流動層配管に設けられ、前記流動層気体供給機構から前記第1流動床板に支持される流動層に供給される前記気体の流量を調節する第1流動層流量調節部と、前記流動層気体供給機構からの気体を前記第2流動床板に支持される流動層に供給するための第2流動層配管と、前記第2流動層配管に設けられ、前記流動層気体供給機構から前記第2流動床板に支持される流動層に供給される前記気体の流量を調節する第2流動層流量調節部と、を有する。
上記目的を達成するため、本発明の第7形態に係る旋回流型流動床炉は、第6形態に係る旋回流型流動床炉において、前記第1流動層配管に設けられ、前記第1流動層流量調節部を通過した気体の流量を測定する第1流動層流量計と、前記第2流動層配管に設けられ、前記第2流動層流量調節部を通過した気体の流量を測定する第2流動層流量計と、を有する。
上記目的を達成するため、本発明の第8形態に係る旋回流型流動床炉は、第6形態又は第7形態に係る旋回流型流動床炉において、前記流動層気体供給機構から前記炉本体のフリーボードへ気体を供給するためのフリーボード配管と、前記フリーボード配管上に設けられ、前記流動層気体供給機構から前記フリーボードへ供給される気体の流量を調節する
フリーボード流量調節部と、を有する。
上記目的を達成するため、本発明の第9形態に係る旋回流型流動床炉は、第6形態ないし第8形態のいずれかに係る旋回流型流動床炉において、前記流動層気体供給機構は、ターボ式送風機を含む。
上記目的を達成するため、本発明の第10形態に係る旋回流型流動床炉は、第1形態ないし第9形態のいずれかに係る旋回流型流動床炉において、流動層に炉床注水する注水部を有する。
上記目的を達成するため、本発明の第11形態に係る旋回流型流動床炉は、炉本体と、前記炉本体の底部に配置された第1床板と、前記炉本体の底部に配置された第2床板と、前記第1床板を介して前記炉本体内部に気体を供給するように構成された第1気体供給機構と、前記第2床板を介して前記炉本体に前記第1気体供給機構よりも多くの流量の気体を供給するように構成された第2気体供給機構と、を有し、前記第1気体供給機構は、容積式送風機を有する。
本発明によれば、移動層配管に流量計やダンパを設けることなく、移動層に適切な空気量を供給することができる旋回流型流動床炉を提供することができる。
第1実施形態に係る旋回流型流動床炉の概略縦断正面図である。 第2実施形態に係る旋回流型流動床炉の概略縦断正面図である。 第3実施形態に係る旋回流型流動床炉の概略縦断正面図である。 第4実施形態に係る旋回流型流動床炉の概略縦断正面図である。 従来の旋回流型流動床炉の概略縦断正面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一のまたは相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る旋回流型流動床炉の概略縦断正面図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る旋回流型流動床炉10は、廃棄物Wを処理する炉本体11を有する。炉本体11内には、砂等の流動媒体からなる流動床20が形成される。流動床20は、後述するターボブロワ40及びルーツブロワ60からの空気により流動する。これにより、流動床20の中央部には、流動媒体が流動しながら上方から下方に移動する移動層22が形成され、流動床20の両側部には、流動媒体が流動しながら下方から上方に移動する流動層24が形成される。
旋回流型流動床炉10は、さらに、移動層22に空気を供給するための移動層風箱32と、流動層24に空気を供給するための第1流動層風箱34及び第2流動層風箱36と、移動層22の温度を測定する移動層温度計52と、流動層24の温度を測定する2つの流動層温度計54と、移動層22に流動化及び燃焼を目的とした気体(例えば、空気)を供給するルーツブロワ60(移動層気体供給機構)と、流動層24に流動化及び燃焼を目的とした気体を供給するターボブロワ40(流動層気体供給機構)と、を有する。
炉本体11は、その両側壁に炉本体11の幅を縮小するように形成されたくぼみ部12を有する。くぼみ部12は、炉本体11の側壁が下方から上方に向かって炉本体11の内
部方向に傾斜した傾斜壁12aと、傾斜壁12aの上端に設けられて下方から上方に向かって外側に広がるように傾斜した拡張壁12bとから構成される。また、炉本体11内部には、移動層22及び流動層24の上部空間であるフリーボード17が形成される。
炉本体11は、廃棄物Wを供給するための投入口15と、廃棄物Wを熱反応させた際に生じる燃焼排ガス等を排出する排気口16と、廃棄物Wに含まれる不燃物を抜き出す一対の不燃物流路18a,18bとを有する。投入口15は、拡張壁12bの上端よりも上方の炉壁に設けられ、投入された廃棄物Wが流動床20上に落下するように廃棄物Wを案内する。排気口16は炉本体11の上部に形成され、炉内で生成された燃焼排ガス等を外部に排気する。不燃物流路18a,18bは、それぞれ傾斜壁12aの下部に下向きに伸びるように形成される。なお、投入口15の位置は、廃棄物Wを流動床20の中央の移動層22上部に落下するように案内できれば、本第1実施形態の位置に特定されるものではない。つまり、炉本体11の側壁周囲で自在な位置に投入口15を設けることができる。
移動層風箱32は、不燃物流路18a,18bの間の炉本体11の底部中央に配置され、その両側に第1流動層風箱34及び第2流動層風箱36が配置される。移動層風箱32の上面には、移動層22を支持する移動床板32a(第1床板)が形成される。また、第1流動層風箱34及び第2流動層風箱36の上面には、それぞれ、流動層24を支持する第1流動床板34a(第2床板)及び第2流動床板36a(第2床板)が形成される。
移動床板32aは、中央が高く、両側縁に向かうにつれ徐々に低く形成された山形状に形成される。第1流動床板34a及び第2流動床板36aは、山形状の移動床板32aの端部を延長するように、移動床板32aと略同一の傾斜角度で傾斜して形成される。移動床板32a、第1流動床板34a、及び第2流動床板36aには、それぞれの風箱に供給された空気を炉内に噴出するための図示しない散気ノズルが配置される。
旋回流型流動床炉10は、さらに、ターボブロワ40からの空気が通過する接続配管80と、接続配管80に一端が連通し他端が第1流動層風箱34に連通する第1流動層配管82と、接続配管80に一端が連通し他端が第2流動層風箱36に連通する第2流動層配管83と、一端が接続配管80に連通し他端が炉本体11のフリーボード17に連通するフリーボード配管86と、を備えている。また、旋回流型流動床炉10は、一端がルーツブロワ60に連通し他端が移動層風箱32に連通する移動層配管65を有する。即ち、移動層配管65は、ルーツブロワ60により供給される空気を、移動層風箱32に移送する。
第1流動層配管82は、第1流動層配管82を通過する空気量を調節する第1流動層空気量調節ダンパ73(第1流動層流量調節部)と、第1流動層配管82を通過する空気量を計測する第1流動層空気流量計71(第1流動層流量計)と、を備える。第2流動層配管83は、第2流動層配管83を通過する空気量を調節する第2流動層空気量調節ダンパ74(第2流動層流量調節部)と、第2流動層配管83を通過する空気量を計測する第2流動層空気流量計72(第2流動層流量計)と、を備える。また、フリーボード配管86は、フリーボード配管86を通過する空気量を調節するフリーボード空気量調節ダンパ75と、フリーボード配管86を通過する空気量を計測するフリーボード空気流量計78と、を備える。また、ターボブロワ40の吸引側には、ターボブロワ40により供給される総空気量を計測する流動層空気流量計70を備える。
また、旋回流型流動床炉10は、第1流動層空気量調節ダンパ73、第2流動層空気量調節ダンパ74、フリーボード空気量調節ダンパ75、ターボブロワ40、及びルーツブロワ60と通信可能に構成され、且つそれぞれの駆動を制御可能に構成された制御部90を有する。制御部90は、移動層温度計52及び流動層温度計54から温度信号を受信可
能に構成される。また、制御部90は、第1流動層空気流量計71及び第2流動層空気流量計72からの流量信号を受信可能に構成される。
ターボブロワ40から供給される空気は、接続配管80を通過して第1流動層配管82及び第2流動層配管83に分岐して供給される。第1流動層配管82及び第2流動層配管83に供給された空気は、それぞれ、第1流動層空気量調節ダンパ73及び第2流動層空気量調節ダンパ74の開度を調節することで流量が調節され、第1流動層風箱34及び第2流動層風箱36に供給される。また、第1流動層空気流量計71及び第2流動層空気流量計72により、それぞれ、第1流動層配管82及び第2流動層配管83を通過する流量が計測される。
制御部90は、第1流動層空気量調節ダンパ73及び第2流動層空気量調節ダンパ74の開度を調節することで、第1流動層配管82及び第2流動層配管83を通過する空気量、即ち流動層24へ導入する空気量を調節する。第1流動層空気量調節ダンパ73及び第2流動層空気量調節ダンパ74の開度は流動層温度計54により計測される流動層24の温度に基づいて制御される。即ち、制御部90は、流動層温度計54から受信した流動層24の温度が目標温度よりも高い場合は、第1流動層空気量調節ダンパ73及び第2流動層空気量調節ダンパ74の開度を小さくして流動層24内の燃焼量を減少させ、流動層温度計54から受信した流動層24の温度が目標温度よりも低い場合は、第1流動層空気量調節ダンパ73及び第2流動層空気量調節ダンパ74の開度を大きくして流動層24内の燃焼量を増加させる。なお、ターボブロワ40の回転数を低下させると、第1流動床板34a及び第2流動床板36aの図示しない散気ノズルからの吐出圧力が低下し、流動層24の圧力により空気が散気ノズルから吐出されなくなる恐れがある。このため、制御部90は、流動層24を流動化させるのに必要な空気圧を維持するように、ターボブロワ40の回転数は所定値以上に維持される。
旋回流型流動床炉10は、例えば炉内の明るさを検知する照度センサ等を有していてもよい。この場合、制御部90は、照度センサにより炉内の明るさを示す信号を受信し、炉内の明るさが所定値以上となったとき、つまり炉内の燃焼量が急増したときに、フリーボード空気量調節ダンパ75の開度を一時的に大きくして、ターボブロワ40からの空気をフリーボード17へバイパスさせることができる。これにより、流動層24内に供給される空気量を一時的に減らして流動層24内の燃焼量を減らすとともにフリーボード17に供給する燃焼用空気を増加させることができる。また、制御部90は、炉内の明るさが所定値未満のとき、つまり炉内の燃焼量が適切なときは、フリーボード空気量調節ダンパ75の開度を最小となるようにし、第1流動層空気量調節ダンパ73及び第2流動層空気量調節ダンパ74の開度を調節することで、流動層24へ供給する空気量を制御する。
制御部90は、移動層温度計52で検知された移動層22の温度に基づいて、ルーツブロワ60の回転数を制御する。即ち、移動層22の温度が目標温度より高い場合は、制御部90は、ルーツブロワ60の回転数を予め設定された範囲内で下げて、移動層22に供給される流動化空気量を減少させる。一方で、移動層22の温度が目標温度より低い場合は、ルーツブロワ60の回転数を予め設定された範囲内で上げて、移動層22に供給される流動化空気量を増加させる。
ルーツブロワ60は、一定の容積の気体を送出するように構成された容積式送風機であるので、ルーツブロワ60が供給する空気量はルーツブロワ60の回転数により決定される。即ち、移動床板32aの図示しない散気ノズルから吐出される空気量は吐出圧力に関わらず、ルーツブロワ60の回転数に基づいて決定される。このため、移動層配管65は、流量を調節するためのダンパや、流量を計測するための流量計がなくとも、回転数を制御することで所望の空気量を移動層22に供給することができる。なお、容積式送風機と
は、ピストンとシリンダ等で形成される空間の膨張収縮による体積変化によって気体を昇圧させて送風する送風機をいう。
この旋回流型流動床炉10で廃棄物Wを燃焼させるときは、まず、廃棄物Wが投入口15から移動層22に供給される。このとき、制御部90は、移動床板32aに配置された図示しない散気ノズルから移動層22に比較的小さな流動化速度を与えるように(比較的少ない流量の気体を供給するように)、ルーツブロワ60を制御する。一方で、制御部90は、第1流動床板34a及び第2流動床板36aに配置された図示しない散気ノズルから流動層24に比較的大きな流動化速度を与えるように(比較的多くの流量の気体を供給するように)、ターボブロワ40を制御する。これにより、流動媒体が比較的ゆっくりした速度で流動しながら上方から下方に移動する移動層22が移動床板32aの上方に形成され、流動媒体が流動しながら下方から上方に移動する流動層24が第1流動床板34a及び第2流動床板36aの上方に形成される。
移動層22に供給される流動化空気量は、好ましくは200m(NTP)/h/m以上600m(NTP)/h/m以下に設定され、より好ましく250m(NTP)/h/m以上400m(NTP)/h/m以下に設定される。また、流動層24に供給される流動化空気量は、好ましくは400m(NTP)/h/m以上1200m(NTP)/h/m以下に設定され、より好ましく500m(NTP)/h/m以上1000m(NTP)/h/m以下に設定される。
したがって、流動床20の下部では、移動床板32a、第1流動床板34a、及び第2流動床板36aの傾斜により、流動媒体が移動層22から流動層24へ移動する。一方で、流動床20の上部では、傾斜壁12bがデフレクタとして機能し、流動媒体が流動層24から移動層22へ移動する。これにより、移動層22と流動層24との間を流動媒体が循環する循環流(旋回流)が、流動床20の左右に形成される。
移動層22に供給された廃棄物Wは、流動媒体内に取り込まれて、流動媒体と共に移動層22内を下方に移動する。このとき、供給された廃棄物Wは流動媒体の熱によって乾燥・熱分解されて廃棄物W中の可燃分から燃焼排ガス等が発生する。その結果、脆い熱分解残渣が生成される。熱分解残渣は、典型的には、不燃物、及び熱分解によって脆くなった未燃物(チャー)を含んでいる。移動層22で生成される熱分解残渣は、流動媒体の流動に従って移動床板32aに至ると、傾斜した移動床板32aに沿って流動層24に向かう。流動層24に至った熱分解残渣は激しく流動する流動媒体と接触して、未燃物が熱分解残渣から剥離する。未燃物が熱分解残渣から剥離することで残った不燃物は、一部の流動媒体と共に不燃物流路18a,18bから排出される。
一方、熱分解残渣から剥離した未燃物は、流動媒体と共に、流動層24内を上方に移動する。このとき、未燃物は、供給された流動化空気によって燃焼し、流動媒体を加熱しつつ燃焼排ガス、可燃ガス等を発生する。これにより、未燃物は微細な未燃物及び灰分粒子となる。流動層24の上部に移動した高温の流動媒体は、移動層22に流入する。流動層24において、流動媒体の温度を、廃棄物Wの熱分解を適切に行うことができる温度まで上昇させる。移動層22に流入した流動媒体は、再び廃棄物Wを受け入れて、上述した、移動層22及び流動層24における熱反応を繰り返す。
ここで、廃棄物Wが都市ごみ等の質や量が不均一な廃棄物である場合には、旋回流型流動床炉10に供給される廃棄物Wの質や量の変動が大きいので、燃焼量の変動が大きく、燃焼に必要な酸素を流動床20に適切に供給することが困難になる恐れがある。そこで、本実施形態に係る旋回流型流動床炉10では、流動層24で未燃分を燃焼させて適切な温度を維持して移動層22の熱源とし、移動層22で廃棄物Wの処理を緩慢に行うことで、
都市ごみ等の質や量が不均一な廃棄物Wでも燃焼を安定して行うことができる。
本実施形態に係る旋回流型流動床炉10では、流動床20内での廃棄物Wの乾燥及び熱分解を緩やかに行うために、移動層22の温度が500℃以上560℃以下となるようにルーツブロワ60が制御され、流動層24の温度が520℃以上580℃以下となるようにターボブロワ40が制御される。
また、移動層22及び流動層24の温度を上記のように低い温度範囲に制御するために、ルーツブロワ60及びターボブロワ40を制御するだけでなく、炉床注水が必要になる場合がある。しかしながら、温度が比較的低い移動層22に炉床注水が行われると、移動層22の温度が極端に低下し、回復が困難となることがあった。このため、本実施形態に係る旋回流型流動床炉10は、図示しない注水ノズルを備え、この注水ノズルにより流動層24に炉床注水を行うようにする。これにより、移動層22の温度の極端な低下を防止し、移動層22及び流動層24の温度を適切に維持することができる。
以上で説明したように、第1実施形態に係る旋回流型流動床炉10は、流動層24に空気を供給するためのターボブロワ40と、移動層22に気体を供給するための容積式送風機であるルーツブロワ60、即ち炉本体11内部に移動床板32aを介してターボブロワ40よりも少ない気体を供給するためのルーツブロワ60と、を有しているので、移動層22と流動層24のそれぞれに供給する空気量を個別に調節することができる。
第1実施形態に係る旋回流型流動床炉10は移動層22に気体を供給するための容積式送風機であるルーツブロワ60を有しているので、比較的少量の空気であっても確実に移動層22に供給することができる。したがって、流動媒体の循環流を確実に形成し、不燃物の排出を確実に行うことができるとともに、空気量を最小化して炉床温度を低温に維持することができ、空気量を調節するためのダンパにおける圧力損失もないので、空気を供給するための消費動力を低減することができる。その結果、廃棄物Wの乾燥及びガス化が緩やかに行われ、廃棄物Wの質や量が変動しても燃焼量の変動が抑制され、炉出口温度、炉内圧力、排ガス酸素濃度の変動が小さくなり、安定した燃焼が行われる。燃焼が安定した結果、空気比を下げても燃焼用空気の供給を的確に制御できるようになり、総空気比が1.5以下の低空気比運転が可能となり、排ガス損失を削減した高効率熱回収が可能となる。同時に、焼却施設の消費動力の大半を占める押込み送風機、二次送風機および排ガス誘引送風機の消費動力を大幅に削減することができる。
また、ルーツブロワ60の回転数を調節するだけで所望の流動化空気を移動層122に確実に供給できるので、移動層配管65に流量計及びダンパを設ける必要がなく、流量計で正確な流量を計測するために必要な配管長さを確保する必要がなく、流量計測に必要な動圧を確保するためのオリフィスを設ける必要もない。このため、コールドスタートにおいてもルーツブロワ60の回転数を上げることにより容易に流動化に必要な空気の供給を行うことができる。
また、第1実施形態に係る旋回流型流動床炉10は、移動層22の温度を測定する移動層温度計52と、測定された移動層22の温度に応じてルーツブロワ60の回転数を制御する制御部90を有する。これにより、移動層22の温度を目標温度に維持することができる。ルーツブロワ60はインバータを備えたモータにより回転数を制御され、回転駆動される。
なお、第1実施形態では、移動層22に流動空気を供給するルーツブロワ60を1台設けているが、旋回流型流動床炉10の処理能力が大きい場合には、移動層風箱32を中央で2つに分割してもよい。その場合、それぞれの移動層風箱32に対応させてルーツブロ
ワ60も2台設け、移動層温度計52も分割した移動層風箱32のそれぞれの上方に2つ設置する。それぞれの移動層22の温度に応じてそれぞれのルーツブロワ60の回転数が制御され、それぞれの移動層22の温度が目標温度に維持される。
ターボブロワ40から供給される空気は、接続配管80を通過して第1流動層配管82及び第2流動層配管83に分岐される。第1流動層配管82には第1流動層空気量調節ダンパ73が設けられ、第2流動層配管83には第2流動層空気量調節ダンパ74が設けられる。ターボブロワ40から第1流動層風箱34と第2流動層風箱36に供給する空気量は比較的多い。第1流動床板34a上の流動層24の砂高さと第2流動床板36a上の流動層24の砂高さとがほぼ同一であり、且つ第1流動床板34aに設けられた散気ノズルと第2流動床板36aに設けられた散気ノズルとがほぼ同一の条件であるので、それらの空気量が略同等となるように、流動層24に供給する空気量を適切に調節することができる。
第1流動層配管82に第1流動層空気流量計71が設けられ、第2流動層配管83に第2流動層空気流量計77が設けられているので、第1流動層風箱34及び第2流動層風箱36に供給される空気量を測定することができ、所望の空気量が流動層24に供給されているか否かを確認することができる。
旋回流型流動床炉10は、ターボブロワ40からの空気をフリーボード17に供給するためのフリーボード配管86と、フリーボード17に供給される空気量を調節するフリーボード空気量調節ダンパ75を備えるので、炉内の燃焼量が急増したときに、フリーボード空気量調節ダンパ75の開度を一時的に大きくして、ターボブロワ40からの吐出空気をフリーボード17へバイパスさせることができる。これにより、流動層24内に供給される空気量を一時的に減らして流動層24内の熱反応を抑制し、フリーボード17に燃焼に必要な空気を供給して完全燃焼を促進させることができる。この場合、フリーボード空気量調節ダンパ75を開くと、ターボブロワ40の吐出側の圧力損失が低下するため、ターボブロワ40の特性によりターボブロワ40の吐出流量が増加し、フリーボード17における燃焼量の増大に対応させてより多くの燃焼用空気をフリーボード17に供給させることができる。ただし、流動層配管部に第1流動層空気量調節ダンパ73及び第2流動層空気量調節ダンパ74を設けて圧力損失を生じさせながら流量調節を行うため、その分消費動力を要することになる。
<第2実施形態>
図2は、本発明の第2実施形態に係る旋回流型流動床炉の概略縦断正面図である。第2実施形態は、第1実施形態に比べて、ルーツブロワ42を使用している点で異なる。その他の構成は第1実施形態と同様であるので、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図示のように、第2実施形態に係る旋回流型流動床炉10は、流動層24に流動化及び燃焼を目的とした空気を供給するルーツブロワ42(流動層気体供給機構)を備えている。ルーツブロワ42は、接続配管80に接続され、第1流動層配管82及び第2流動層配管83を介して第1流動層風箱34及び第2流動層風箱36に空気を供給可能に構成されている。
第2実施形態に係る旋回流型流動床炉10は、第1実施形態に係る旋回流型流動床炉のメリットと同様のメリットを有する。これに加えて、第2実施形態に係る旋回流型流動床炉10は、容積式送風機であるルーツブロワ42を有するので、第1流動床板34a及び第2流動床板36aの図示しない散気ノズルから吐出される空気量は吐出圧力によらず、ルーツブロワ42の回転数により決定され、所望の空気量を流動床24に供給することが
できる。また、フリーボード配管86は、フリーボード配管86を通過する空気量を調節するフリーボード空気量調節ダンパ75とフリーボード配管86を通過する空気量を計測するフリーボード空気流量計78と、を備える。
旋回流型流動床炉10は、ルーツブロワ42からの空気をフリーボード17に供給するためのフリーボード配管86と、フリーボード17に供給される空気量を調節するフリーボード空気量調節ダンパ75を備えるので、炉内の燃焼量が急増したときに、フリーボード空気量調節ダンパ75の開度を一時的に大きくして、ルーツブロワ42からの吐出空気をフリーボード17へバイパスさせることができる。この場合にはルーツブロワ42の回転数は変化しない。これにより、流動層24内に供給される空気量を一時的に減らして流動層24内の熱反応を抑制し、フリーボード17に燃焼に必要な空気を供給して完全燃焼を促進させることができる。ただし、フリーボード空気量調節ダンパ75を開いてもルーツブロワ42の吐出流量は増えないので、ターボブロワを用いる場合ほど、フリーボード17に供給される空気量は増加しない。したがって、第2実施形態に係る旋回流型流動床炉10は、第1流動層空気量調節ダンパ73及び第2流動層空気量調節ダンパ74により2つの流動層24に供給する空気量をバランスさせるだけでよく、必要な圧力損失は小さいので、第1実施形態より消費動力削減効果は大きい。
<第3実施形態>
図3は、本発明の第3実施形態に係る旋回流型流動床炉の概略縦断正面図である。第3実施形態は、第1実施形態に比べて、流動層24に空気を供給するための機構が異なる。その他の構成は第1実施形態と同様であるので、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
図示のように、第3実施形態に係る旋回流型流動床炉10は、第1流動床板34aに支持される流動層24に流動化及び燃焼を目的とした気体(例えば、空気)を供給する容積式送風機であるルーツブロワ44(第1容積式送風機)と、第2流動床板36aに支持される流動層24に流動化及び燃焼を目的とした気体(例えば、空気)を供給するルーツブロワ46(第2容積式送風機)とを有する。第1流動床板34aの投影面積及び第2流動床板36aの投影面積は、それぞれ、移動層22の炉床投影面積(移動床板32aの投影面積)の略1/2であるので、ルーツブロワ44,46,60のいずれをも同一の仕様(能力)の容積式送風機にすれば、流動層24に供給する流動化空気量を移動層22に供給する流動化空気量の略2倍として、流動床の旋回流を適切に形成させることができる。
また、旋回流型流動床炉10は、一端がルーツブロワ44に連通し他端が第1流動層風箱34に連通する第1流動層配管84と、一端が第1流動層配管84に連通し他端がフリーボード17に連通する第1フリーボード配管87と、一端がルーツブロワ46に連通し他端が第2流動層風箱36に連通する第2流動層配管85と、一端が第2流動層配管85と連通し他端がフリーボード17に連通する第2フリーボード配管88と、を有する。
また、第1フリーボード配管87は、第1フリーボード配管87を通過する空気量を調節する第1フリーボード空気量調節ダンパ76(第1フリーボード流量調節部)と、第1フリーボード空気流量計91とを備え、第2フリーボード配管88は、第2フリーボード配管88を通過する空気量を調節する第2フリーボード空気量調節ダンパ77(第2フリーボード流量調節部)と、第2フリーボード空気流量計92とを備える。ルーツブロワ44からの空気は、第1流動層配管84を通過して第1流動層風箱34に供給される。また、ルーツブロワ46からの空気は、第2流動層配管85を通過して第2流動層風箱36に供給される。
制御部90は、ルーツブロワ60、ルーツブロワ44、ルーツブロワ46、第1フリー
ボード空気量調節ダンパ76、及び第2フリーボード空気量調節ダンパ77と通信可能であり、それぞれの駆動を制御可能に構成される。
制御部90は、流動層24を流動化させるのに必要な空気量を供給するために、ルーツブロワ44及びルーツブロワ46を所定の回転数以上に制御する。これと共に、制御部90は、流動層温度計54で検知された流動層24の温度に基づいて、ルーツブロワ44及びルーツブロワ46の回転数を制御する。即ち、流動層24の温度が目標温度より高い場合は、制御部90は、ルーツブロワ44及びルーツブロワ46の回転数を予め設定された範囲内で下げて、流動層24に供給される流動化空気量を減少させる。一方で、流動層24の温度が目標温度より低い場合は、ルーツブロワ44及びルーツブロワ46の回転数を予め設定された範囲内で上げて、流動層24に供給される流動化空気量を増加させる。
ルーツブロワ44及びルーツブロワ46は、一定の容積の気体を送出するように構成された容積式送風機であるので、ルーツブロワ44及びルーツブロワ46が供給する空気量はルーツブロワ44及びルーツブロワ46の回転数により決定される。即ち、第1流動床板34a及び第2流動床板36aの図示しない散気ノズルから吐出される空気量は吐出圧力に関わらず、ルーツブロワ44及びルーツブロワ46の回転数に基づいて決定される。このため、第1流動層配管84及び第2流動層配管85は、流量を調節するためのダンパや、流量を計測するための流量計がなくとも、回転数を制御することで所望の空気量を流動層24に供給することができる。
第3実施形態に係る旋回流型流動床炉10は、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、例えば炉内の明るさを検知する照度センサ等を有していてもよい。この場合、制御部90は、照度センサにより炉内の明るさを検知し、炉内の明るさが所定値以上となったとき、つまり炉内の燃焼量が急増したときに、第1フリーボード空気量調節ダンパ76及び第2フリーボード空気量調節ダンパ77の開度を一時的に大きくして、ルーツブロワ44及びルーツブロワ46からの空気をフリーボード17へバイパスさせることができる。これにより、流動層24内に供給される空気量を一時的に減らして流動層24内の熱反応を抑制し、フリーボード17に燃焼に必要な空気を供給して完全燃焼を促進させることができる。この場合、ルーツブロワ44及びルーツブロワ46の回転数は一定のまま維持され変わらない。また、制御部90は、炉内の明るさが所定値未満のとき、つまり炉内の燃焼量が適切なときは、第1フリーボード空気量調節ダンパ76及び第2フリーボード空気量調節ダンパ77は閉じられる。
第3実施形態に係る旋回流型流動床炉10は、第1実施形態に係る移動層22用にルーツブロワ60を設けたことによるメリットと同様のメリットを有する。これに加えて、第3実施形態に係る旋回流型流動床炉10は、容積式送風機であるルーツブロワ44及びルーツブロワ46を有するので、第1流動床板34a及び第2流動床板36aの図示しない散気ノズルに対する流動層24の抵抗に関わらず、ルーツブロワ44及びルーツブロワ46の回転数に基づいて所望の空気量を流動層24に供給することができる。したがって、流動媒体の循環流を確実に形成し、不燃物の排出を確実に行うことができる。また、移動層22及び流動層24への流動化空気量を、ダンパを用いずにルーツブロワ60、ルーツブロワ44及びルーツブロワ46の回転数により調節するので、流動化空気を供給するための消費動力は第1実施形態、第2実施形態よりも小さい。また、ルーツブロワ44,46,60を同一の仕様(能力)の容積式送風機とすることにより、送風機の保守に必要な予備品を共通のものとすることができ、維持管理を容易にすることができる。
また、移動層配管65、第1流動層配管84、及び第2流動層配管85に流量計及びダンパを設ける必要がないので、流量計で正確な流量を計測するために必要な配管長さを確保する必要がなく、流動空気配管をコンパクトにすることができ、移動層配管65、第1
流動層配管84及び第2流動層配管85に、流量計測に必要な動圧を確保するためのオリフィスを設ける必要もない。
<第4実施形態>
図4は、本発明の第4実施形態に係る旋回流型流動床炉の概略縦断正面図である。
図4に示すように、第4実施形態に係る旋回流型流動床炉10は、第3実施形態に比べて、炉本体11の正面視で右半分のみから構成されている点が異なる。即ち、第4実施形態に係る旋回流型流動床炉10は、第3実施形態におけるルーツブロワ44、第1流動層配管84、第1フリーボード配管87、第1フリーボード空気量調節ダンパ76、第1フリーボード空気流量計71、第1流動層風箱34、及び不燃物流路18aを備えておらず、移動層温度計52及び流動層温度計54がそれぞれ一つずつ設けられている。
また、第4実施形態の旋回流型流動床炉10の炉本体11は、その一側壁のみにくぼみ部12を有する。炉本体11のくぼみ部12が形成された側と逆側の側壁は、かかるくぼみ部が形成されてはおらず平板状に構成される。また、廃棄物Wを炉本体11に供給するための投入口15は、炉本体11のくぼみ部12が形成された側と逆側の側壁に設けられ、投入された廃棄物Wを移動層22の上部に案内する。その他の構成は第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
第4実施形態に係る旋回流型流動床炉10は、第3実施形態に係る旋回流型流動床炉のメリットと同様のメリットを有する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、又は省略が可能である。
10…旋回流型流動床炉
11…炉本体
17…フリーボード
22…移動層
24…流動層
32a…移動床板
36a…第2流動床板
34a…第1流動床板
40…ターボブロワ
42…ルーツブロワ
52…移動層温度計
54…流動層温度計
60…ルーツブロワ
71…第1流動層空気流量計
72…第2流動層空気流量計
73…第1流動層空気量調節ダンパ
74…第2流動層空気量調節ダンパ
75…フリーボード空気量調節ダンパ
76…第1フリーボード空気量調節ダンパ
77…第2フリーボード空気量調節ダンパ
82…第1流動層配管
83…第2流動層配管
86…フリーボード配管
87…第1フリーボード配管
88…第2フリーボード配管
90…制御部

Claims (11)

  1. 炉本体と、
    前記炉本体の底部に配置され、移動層を支持する移動床板と、
    前記炉本体の底部に配置され、流動層を支持する流動床板と、
    前記移動層に気体を供給するための移動層気体供給機構と、
    前記流動層に気体を供給するための流動層気体供給機構と、を有し、
    前記移動層気体供給機構は、容積式送風機を有する、旋回流型流動床炉。
  2. 前記移動層の温度を測定する移動層温度測定部と、
    前記測定された前記移動層の温度に応じて、前記容積式送風機の回転数を制御する制御部と、を有する、
    請求項1に記載された旋回流型流動床炉。
  3. 前記流動層気体供給機構は、容積式送風機を含む、
    請求項1又は2に記載された旋回流型流動床炉。
  4. 前記流動床板は、第1流動床板と、第2流動床板と、を有し、
    前記流動層気体供給機構は、前記第1流動床板に支持される前記流動層に気体を供給する第1容積式送風機と、前記第2流動床板に支持される前記流動層に気体を供給する第2容積式送風機と、を有する、
    請求項1ないし3のいずれか一項に記載された旋回流型流動床炉。
  5. 前記第1容積式送風機と前記炉本体のフリーボードとを接続する第1フリーボード配管と、
    前記第1フリーボード配管に設けられ、前記第1容積式送風機から前記フリーボードへ供給される気体の流量を調節する第1フリーボード流量調節部と、
    前記第2容積式送風機と前記フリーボードとを接続する第2フリーボード配管と、
    前記第2フリーボード配管に設けられ、前記第2容積式送風機から前記フリーボードへ供給される気体の流量を調節する第2フリーボード流量調節部と、を有する、
    請求項4に記載された旋回流型流動床炉。
  6. 前記流動床板は、第1流動床板と、第2流動床板と、を有し、
    前記旋回流型流動床炉は、さらに、
    前記流動層気体供給機構からの気体を前記第1流動床板に支持される流動層に供給するための第1流動層配管と、
    前記第1流動層配管に設けられ、前記流動層気体供給機構から前記第1流動床板に支持される前記流動層に供給される前記気体の流量を調節する第1流動層流量調節部と、
    前記流動層気体供給機構からの気体を前記第2流動床板に支持される前記流動層に供給するための第2流動層配管と、
    前記第2流動層配管に設けられ、前記流動層気体供給機構から前記第2流動床板に支持される前記流動層に供給される前記気体の流量を調節する第2流動層流量調節部と、を有する、
    請求項1または2に記載された旋回流型流動床炉。
  7. 前記第1流動層配管に設けられ、前記第1流動層流量調節部を通過した気体の流量を測定する第1流動層流量計と、
    前記第2流動層配管に設けられ、前記第2流動層流量調節部を通過した気体の流量を測定する第2流動層流量計と、を有する、
    請求項6に記載された旋回流型流動床炉。
  8. 前記流動層気体供給機構から前記炉本体のフリーボードへ気体を供給するためのフリーボード配管と、
    前記フリーボード配管上に設けられ、前記流動層気体供給機構から前記フリーボードへ供給される気体の流量を調節するフリーボード流量調節部と、を有する、
    請求項6又は7に記載された旋回流型流動床炉。
  9. 前記流動層気体供給機構は、ターボ式送風機を含む、
    請求項6ないし8のいずれか一項に記載された旋回流型流動床炉。
  10. 流動層に炉床注水する注水部を有する、
    請求項1ないし9のいずれか一項に記載された旋回流型流動床炉。
  11. 炉本体と、
    前記炉本体の底部に配置された第1床板と、
    前記炉本体の底部に配置された第2床板と、
    前記第1床板を介して前記炉本体内部に気体を供給するように構成された第1気体供給機構と、
    前記第2床板を介して前記炉本体に前記第1気体供給機構よりも多くの流量の気体を供給するように構成された第2気体供給機構と、を有し、
    前記第1気体供給機構は、容積式送風機を有する、旋回流型流動床炉。
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