JP2015202969A - 光ファイバ素線の製造方法および光ファイバ素線製造装置 - Google Patents

光ファイバ素線の製造方法および光ファイバ素線製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】加熱溶融された光ファイバ母材を連続的に線引きして光ファイバ裸線とし、更にその光ファイバ裸線を樹脂被覆用のコーティング装置に連続的に通して保護用樹脂を被覆する光ファイバ素線の製造方法において、被覆層への気泡の混入を少なくし、被覆層内の気泡に起因する光ファイバ素線製品の線径のばらつきや樹脂被覆層の偏肉、強度低下などの問題が生じることなく、高品質の光ファイバ素線を製造し得る方法を提供する。【解決手段】線引き開始の立ち上げ時から、所定の経過時間に至るまでの初期期間中に、定常被覆状態での樹脂供給圧力よりも高い樹脂供給圧力とする高圧力期間を設けて線引きし、その後定常被覆状態での樹脂供給圧力まで樹脂供給圧力を低下させて定常被覆を行う。【選択図】図3

Description

本発明は、線引きされた光ファイバ裸線に保護被覆層として樹脂を被覆して光ファイバ素線を製造するための光ファイバ素線製造方法、およびその製造方法の実施に使用される光ファイバ素線製造装置に関するものである。
石英系光ファイバ素線を連続的に製造する方法としては、図1に示すような方法が代表的である。この製造方法について、次に説明する。
光ファイバ母材1を、加熱用ヒータ2Aを備えた加熱炉2に挿入し、母材1の先端側から加熱溶融させて、光ファイバ裸線3を加熱炉2の下方に引き出す。そして引き出した光ファイバ裸線3を、コーティング可能となる温度まで冷却装置4等により冷却する。続いて、冷却された光ファイバ裸線3を、コーティング装置5に連続的に通し、光ファイバ裸線表面の保護を目的として、樹脂被覆(コーティング)を施す。さらに、被覆樹脂の種類に応じて、紫外線(UV)照射装置や熱架橋装置などの樹脂硬化装置6によって被覆樹脂を硬化させ、得られた光ファイバ素線7を、引取りキャプスタン8を経て巻き取り装置8に巻き取る。
ここで、コーティング層としては、一般的には,内側にヤング率の低い材料を用いたプライマリ層を設け、外側にヤング率の高い材料を用いたセカンダリ層を設けた2層構造とするのが一般的である。2層コーティングを施す場合、プライマリ層の樹脂を塗布し、硬化させた後、セカンダリ層の樹脂を塗布し、硬化させる、いわゆる単独コーティング方式と、プライマリ層の樹脂とセカンダリ層の樹脂を一括して塗布した後、硬化させる、いわゆる一括コーティング方式があるが、図1では、コーティング装置5が,1箇所のみである一括コーティング方式を適用した場合を示している。単独コーティング方式の場合は、コーティング装置と被覆硬化装置とが、それぞれ直列に2箇所に設けられる。
コーティング材料としては,ウレタンアクリレート系の紫外線硬化樹脂や、シリコン系の熱可塑性樹脂などが使用され、コーティング材料の液体状態で粘度は、一般には、コーティング時の温度で、0.1Pa・s〜5Pa・s程度とされる。
ところで近年では、光ファイバ素線の製造工程においては、生産性の向上を目的として、製造線速を従来よりも格段に速くするようになっており、それに伴い、光ファイバ裸線を樹脂によってコーティングする工程に起因する種々の問題が生じており、そこで樹脂コーティング工程について、従来から種々の改良が試みられている(例えば特許文献1、特許文献2など)。
例えば特許文献1の提案には、光ファイバの線引き方法において、製造開始時の停止状態から定常製造線速に至るまでの間に、樹脂塗布装置(コーティング装置)への樹脂供給圧力の上昇割合を、ある定めた線速領域毎に適切に設定しながら、線速および樹脂供給圧力を上昇させる光ファイバ素線の製造方法が記載されている。この方法では、急激な線速の変動があっても、樹脂供給圧力の変化幅を小さくすることができ、それに伴って断線等の事故を少なくした光ファイバ素線の製造方法を提供できる、とされている。
また例えば特許文献2には、光ファイバの線引き方法において,光ファイバに被覆するコーティング樹脂の圧力を含むいくつかのパラメータ(母材送りの基本となる速度、実線引き速度の目標変化量、線引き炉の温度など)のうちいずれか1つまたは2以上の要素(運転パラメータ)を、実線引き速度の変化に応じて変化させる光ファイバ線引き装置が記載されている。そしてこの装置によれば、線引き停止状態からの立上げ時の立上終端部(目標線速付近)においてハンチングやオーバーシュート、あるいは断線等の不具合を引き起こす可能性を極めて低くすることができる、とされている。
特許第3430987号公報 特許第4927388号公報
前述のように、光ファイバ素線製造の高速化、すなわち引き抜き速度の高線速化に伴う問題、例えば断線や偏肉などの問題を解決するため、従来から種々の対策が提案されているが、本発明者等は、高線速化に伴って、従来は特に注目されていなかった問題が生じることを新たに認識した。その問題について、図2A〜図2Dを参照して説明する。
図2A〜図2Dには、簡略化した樹脂コーティング装置5の構成、すなわち最も単純な単層コーティング用のコーティング装置5を使用しての、線引き開始から定常被覆状態(定常線引き状態)に至るまでの、コーティング装置内での状況を段階的かつ模式的に示している。
ここで、コーティング装置5は、全体として、逆円錐台状の形状となっている。そしてその底部5Aがダイスに相当し、上蓋5Bがニップルに相当し、底部5Aと上蓋5Bとの間の空間が周壁部5Cによって取り囲まれている。そして周壁部5Cによって取り囲まれる空間は、垂直円筒状の隔壁5Dによって内外に2分され、外側の空間は樹脂貯留室(樹脂供給室)5E、内側の空間は光ファイバ裸線が通過する樹脂被覆室5Fとされている。上蓋5Bの中央には、コーティング対象となる光ファイバ裸線3を樹脂被覆室5Fに装入するためのニップル孔5Gが形成され、また上蓋5Bの周縁近くの位置には、液体樹脂を、樹脂貯留室5Eに注入するための樹脂注入孔5Hと、樹脂貯留室5E内の空気を排出するための排気孔5Iが形成されている。また周壁部5Cには、外側の樹脂貯留室5Eと内側の樹脂被覆室5Fを連通させて、樹脂貯留室5Eから液体樹脂を樹脂被覆室5Fに導くための連通孔5Jが形成されている。さらに底部5Aの中央には、液体樹脂がコーティングされた光ファイバ裸線3を下方に引き出すためのダイス孔5Kが形成されている。
図2Aは、線引き立ち上げ時の状況、すなわち光ファイバ裸線3をコーティング装置5の挿通させた際の状況を示す。線引き立ち上げ時においては、未だ樹脂は注入されておらず、コーティング装置5内には、空気などの気体Gが存在する。
次いで図2Bに示すように、コーティング装置5内に所定の圧力で液体樹脂Mを注入する。これによってコーティング装置5内の気体Gが、排気孔5Iやニップル孔5G、あるいはダイス孔5Kから外部に追い出される。また同時に、ダイス孔5Kから引き出される光ファイバ裸線3の外周面に液体樹脂被覆層Nが形成されていく。
そして図2Cに示すように、コーティング装置5内に液体樹脂Mが満たされれば、定常的な線引きコーティングが行われる。なお排気孔5Iに連続する図示しない排気管には開閉バルブもしくは圧力調整用バルブが設けられていて、定常被覆状態では、コーティング装置5内に注入される樹脂供給圧力が所定の圧力を維持するように設定される。
ここで、図2Cに示す定常線引き中においては、コーティング装置5の内部にはほぼ気体が存在せず、コーティングされた光ファイバ被覆層にできるだけ気泡が混入しないようにする必要がある。すなわち、光ファイバ裸線3に液体樹脂Mがコーティングされた状態でコーティング装置5のダイス孔5Kから外部に出た際に樹脂中に気泡が存在すれば、コーティング装置5の外部で樹脂中の気泡が膨張し、そのため気泡が多量に存在する箇所では被覆層が変形して、光ファイバ素線製品において線径のばらつきや被覆層の偏肉が生じてしまう。さらに、気泡が被覆層内に存在すれば、光ファイバ素線のスクリーニング試験において張力を負荷した際や、巻取り時の張力、あるいは曲げなどによって被覆層が破損あるいは剥離しやすくなるなど、種々の問題を招く。
コーティング装置内の気体は、液体樹脂の注入時において,気体抜き用の排気孔5Iやニップル孔5G、あるいはダイス孔5Kから追い出されるのが一般的であるが、最近のコーティング装置では、線引き速度の高速化に伴って、高線速でも安定したコーティングを施すために内部の構造が複雑になっていることが多く、そのため内部構造に妨げられて、図2Dに示しているように、気体が液体樹脂中の気泡Gpとして内部に残留してしまいやすくなっている。
このように最近では、被覆層内に気泡が混入しやすい条件が多くなっており、そこで、光ファイバ素線の高品質化のために、樹脂被覆層内に気泡ができるだけ混入しないような被覆方法を開発することが急務であることを本発明者等は認識した。
しかしながら、前記特許文献1や特許文献2に示されるような従来技術では、コーティング装置内の残留気泡、及びそれによる悪影響については全く認識されておらず、したがって当然のことながら、残留気泡に対する対処策は全く講じられていなかったのが実情である。
なお、前述のようなコーティング装置内の残留気泡Gpは、樹脂圧力によって圧縮され、定常線引きコーティング状態となった状態でも、樹脂の流れに乗って樹脂とともにダイス孔5Kから追い出され、光ファイバ裸線の外周上のコーティング層内に入った状態でコーティングされてしまう。このとき、樹脂圧力が高いほど残留気泡が小さく圧縮されて、ダイス出口から追い出されやすくなる。
しかるに前記各特許文献に示されるような従来技術においては、コーティング樹脂圧力を、区分けされた実線引き速度に応じて変化させる(上昇させる)ため、最終的な目標線速(定常線速)に達した時が、最高コーティング樹脂圧力となる。そのため、コーティング装置内部の残留気泡の一部が、目標線速に到達してからようやく追い出される場合もあり,それにより光ファイバ素線の被覆層に気泡混入の不良部が発生し、良品歩留りが悪くなってしまっていたのである。
本発明は以上の事情を背景としてなされたもので、光ファイバ素線を製造するにあたって、樹脂コーティング時における被覆層への気泡の混入を少なくし、これによって、樹脂被覆層内の気泡に起因する光ファイバ素線製品の線径のばらつきや樹脂被覆層の偏肉、あるいは強度低下などの問題が生じることなく、高品質の光ファイバ素線を製造し得る方法を提供し、併せてそれに使用される光ファイバ素線製造装置を提供することを課題としている。
前述のような課題を解決するため、本発明者等が種々実験・検討を重ねた結果、線引き立ち上げ時において、良品部(製品部)を製造する以前の段階において、コーティング樹脂の供給圧力を、定常線速での良品部(製品部)の製造期間(すなわち定常被覆状態での被覆期間)の圧力(上限)よりも高くする期間(高圧力期間)を設けることによって、定常被覆状態において被覆層への気泡の混入が少ない光ファイバ素線を製造し得ることを見い出し、本発明をなすに至った。
なおここで、定常被覆状態とは、線引き開始から線速を増速させて、定常線速に至っており、しかも樹脂供給圧力が定常線速に応じた所定の圧力(定常圧力)となっている状態を意味する。したがって、上記の高圧力期間は、基本的には、線速を増速させている期間(増速期間)を過ぎた後まで及ぶことが許容される。但し、より良品歩留まりを向上させるためには、後述するように、増速期間中に前記高圧力期間を設けることが望ましい。
したがって本発明の基本的な態様(第1の態様)による光ファイバ素線製造方法は、
加熱溶融された光ファイバ母材を連続的に線引きして光ファイバ裸線とし、更にその光ファイバ裸線を樹脂被覆用のコーティング装置に連続的に通して保護用樹脂を被覆する光ファイバ素線の製造方法であって、線引き開始の立ち上げ時から線引き速度を増速させて、定常線速でかつその定常線速に応じた樹脂供給圧力での、定常被覆状態に至らしめる光ファイバ素線の製造方法において、
線引き開始の立ち上げ時から、所定の経過時間に至るまでの初期期間中に、定常被覆状態での樹脂供給圧力よりも高い樹脂供給圧力とする高圧力期間を設けて線引きし、その後定常被覆状態での樹脂供給圧力まで樹脂供給圧力を低下させて定常被覆を行うことを特徴とするものである。
ここで、定常被覆状態とは、前述のように線引き開始から線速を増速させて、定常線速に至っており、しかも樹脂供給圧力が定常線速に応じた所定の圧力(定常圧力)となっている状態を意味する。したがって、上記の高圧力期間は、基本的には、線速を増速させている期間(増速期間)を過ぎた後まで及ぶことが許容される。但し、より良品歩留まりを向上させるためには、後述するように、増速期間中に前記高圧力期間を設けることが望ましい。
また定常被覆状態とは、上述のように、線速が良品部(製品部)を製造するための目標線速に維持されており(定常線速)、しかもその目標線速に応じた樹脂供給圧力(定常圧力)に維持されている状態を意味するが、これは厳密な意味での一定線速、一定樹脂圧力に維持されていることを意味するのではなく、線速が、目標線速に対してある許容範囲内、例えば±50m/minの範囲内に維持され、かつ目標線速に応じた樹脂圧力に対してある許容範囲内、例えば±0.05Paの範囲内にある状態を意味する。
このような第1の態様の光ファイバ素線製造方法においては、定常被覆状態に至る以前の段階で、定常圧力よりも高い圧力で樹脂を供給する期間(高圧力期間)を設けておくことによって、その高圧力によりコーティング装置内の液体樹脂中に存在する気泡を圧縮して、気泡をより小径に潰すことができる。そしてこのように高圧力によって圧縮されて小径(微細)となった気泡は、コーティング装置のダイス孔から、液体樹脂の流れにともなって液体樹脂とともに容易に追い出され、その結果、定常被覆が開始されるまでに、コーティング装置内の液体樹脂中に残留する気泡を少なくすることができる。したがって、定常被覆状態で、樹脂被覆層中に気泡が混入するおそれを少なくすることができる。なおこの場合、定常被覆が開始される前の高圧力期間においては、コーティング装置から引き出される光ファイバ裸線上の樹脂被覆層内に、比較的多量の気泡が混入することになるが、その部分は、もともと線引き立ち上げ時の不良部分として切り捨てられる部分であるから、その部分の気泡は特に問題とはならない。
そしてまた、上述のように定常被覆状態となった後には、気泡がほとんど混入しないため、良品部(製品部)として得られた部分についても、被覆層中の気泡に起因する偏肉や外径変動、あるいは機械的特性の低下などのない、高品質の光ファイバ素線を得ることができる。
また本発明の第2の態様による光ファイバ素線の製造方法は、前記第1の態様の光ファイバ素線の製造方法において、
前記高圧力期間が、線引き開始の立ち上げ時から、定常線速に至るまでの増速期間内とされることを特徴とするものである。
このような第2の態様の光ファイバ素線の製造方法においては、コーティング装置内の液体樹脂中に残留する気泡を追い出すための高圧力期間が、定常線速に至るまでの増速期間内とされているため、定常線速となった時点では、既に高圧力によってコーティング装置内の液体樹脂中の気泡がほとんど追い出されていることになる。したがって、定常線速となった時点、あるいはそれ以前に、樹脂圧力を定常圧力まで低下(減圧)させることによって、定常線速となった時点から、定常被覆状態とすることができる。言い換えれば、定常線速となった時点から、良品部(製品部)の製造を開始することができる。
このことは、増速期間中の気泡の混入を含む不良部分の切り捨てるべき部分の長さが、従来の一般的な製造方法の場合と変わらないことを意味する。したがって高圧力期間を設けることによって歩留まりの低下を招くような事態を回避することができる。
また本発明の第3の態様による光ファイバ素線の製造方法は、前記第2の態様の光ファイバ素線の製造方法において、
前記高圧力期間における最大圧力となるタイミングが、定常線速の30〜50%の線速となる期間内にあり、かつ最大圧力到達後の線速の増速量が、最大圧力到達時の線速から定常線速に至るまでの増速量の50〜100%となる期間内に、定常被覆状態での樹脂供給圧力に到達するように、最大圧力到達後に、樹脂供給圧力を減圧することを特徴とするものである。
このような第3の態様による光ファイバ素線の製造方法においては、高圧力期間における最大圧力となるタイミングが、定常線速の30〜50%の線速となる期間内に設定することによって、残留気泡の圧縮を行うと同時に、ある程度の樹脂流速を得ることができるため、残留気泡の排出も効率よく行われる。また最大圧力到達時の線速から、最大圧力到達後の線速の増速量が、最大圧力到達時の線速から定常線速に至るまでの増速量の50〜100%となる期間内に、定常被覆状態での樹脂供給圧力に到達するように、樹脂供給圧力を減圧する間は、樹脂圧力を減圧させながらも、定常被覆状態よりも高い圧力が維持されるため、最大圧力到達後も、さらに残留気泡の排出時間を稼ぐことができ、そのため残留気泡の排出をより確実に行うことができる。またその減圧に引き続いて最終的な定常圧力とすることによって、定常被覆状態での製品部の製造にスムーズに移行することができる。
また本発明の第4の態様による光ファイバ素線の製造方法は、前記第1の光ファイバ素線の製造方法において、
前記高圧力期間における最大圧力となるタイミングが、定常線速の30〜50%の線速となっている期間内にあり、かつ最大圧力到達後の線速の増速量が、最大圧力到達時の線速から定常線速に至るまでの増速量の50〜95%となる期間内に、定常被覆状態の目標定常線速に応じた圧力より低くかつ定常線速の許容範囲下限に対応する圧力以上の圧力まで、最大圧力到達後に樹脂供給圧力を減圧し、更に定常線速に至るまでの期間内に定常被覆状態の目標定常線速に応じた樹脂供給圧力に達するように、樹脂供給圧力を増圧することを特徴とするものである。
このような第4の態様による光ファイバ素線の製造方法においては、第3の態様として記載した前述の手段に加えて、最大圧力到達後の減圧過程で、定常被覆状態の目標定常線速に応じた圧力より低くかつ定常線速の許容範囲下限に対応する圧力以上の圧力まで減圧することによって、定常被覆状態前の被覆外径が、定常被覆状態での被覆径に近づき、さらにその後の定常被覆状態直前の区間で改めて増圧することによって、被覆外径径定常被覆状態での被覆外径に、より近づけることができ、そのため、よりスムーズに製品部製造に移行することができる。
また本発明の第5の態様による光ファイバ素線の製造方法は、前記第1の態様の光ファイバ素線の製造方法において、
前記高圧力期間が、線引き開始の立ち上げ時から、定常線速に至るまでの増速期間を過ぎた期間を含むことを特徴とすることを特徴とするものである。
ここで、“増速期間を過ぎた期間を含む”とは、定常線速に至った時点から、もしくはその直後から高圧力期間を設定する場合と、定常線速に至るよりも前に増圧を開始して、増速期間を跨いで高圧力期間を設定する場合との両者を含むことを意味する。また後者の場合の高圧力期間の最大圧力となるタイミングは、定常線速に至る前でも、また定常線速に至った後のいずれでもよい。
このような第5の態様による光ファイバ素線の製造方法においても、既に述べたと同様に、高圧力期間中に、コーティング装置内の液体樹脂中に存在する気泡を液体樹脂とともに追い出すことができる。またこの場合、定常線速に至るまでの増速期間を過ぎた期間を含むように高圧力期間を設定することによって、増速期間を過ぎた樹脂の流れが速い期間でも高圧力が加えられるため、高速の樹脂の流れに乗って短時間で多量の気泡を排出することができる。なおこの態様では、定常線速に至った後にも気泡が樹脂に乗って排出され、したがってその部分は気泡の多い不良部分(切り捨てるべき部分)となるが、上述のように短時間で多量の気泡を排出することができるから、高圧力期間は短時間で済み、したがって歩留まりへの影響は少ない。
さらに本発明の第6の態様による光ファイバ素線の製造方法は、前記第1〜第5のいずれかの態様の光ファイバ素線の製造方法において、
前記高圧力期間における最大の樹脂供給圧力を、定常線引き状態で線速に応じて設定される設定圧力の上限値の1.05倍以上、1.2倍の範囲内とすることを特徴とするものである。
コーティング時の樹脂供給圧力は、定常被覆状態での最高圧力より高ければ高いほど、残留気泡の圧縮効果が大きくなり、ダイス孔からの気泡の排出がより効率的に行われる。但し、樹脂供給圧力が高すぎれば、ダイス孔出口から液体樹脂が噴出してコーティング不良が生じたり、またニップル孔から上部に樹脂が溢れる場合がある。したがって高圧力期間の樹脂供給圧力は、これらの異常が生じない範囲内に設定することが望ましい。本発明者等が鋭意検討した結果、第6の態様として記載したように、高圧力期間での樹脂供給圧力は、定常線引き状態で線速に応じて設定される設定圧力の上限値の1.05倍以上、1.2倍の範囲内とすることによって、これらの異常の発生を防止できることが判明している。
さらに本発明の第7の態様による光ファイバ素線の製造方法は、前記第1〜第6のいずれかの態様の光ファイバ素線の製造方法において、
前記高圧力期間においては、線引き張力を、定常被覆状態での線引き張力よりも小さく設定することを特徴とするものである。
残留気泡をダイス孔出口から液体樹脂被覆層に含ませて排出する際に、残留気泡が小さい場合は問題ないが、高圧力期間を設けて大きな残留気泡を樹脂圧力により圧縮して小さくした気泡を排出する場合、ダイス孔出口から排出された時に、樹脂圧力が解放されて大気圧しか加わらない状態となって、被覆層中の気泡が膨張する。ここで、膨張した気泡サイズが被覆厚よりも大きい場合は、被覆層が破裂したようになる。その部分はコーティング厚が不均一であるため、光ファイバ線引きのコーティング後の硬化や引取り、巻取りの部分で断線する可能性がある。そこで、断線の確率を少しでも下げるため、第7の態様で規定しているように、高圧力期間においては、引取張力を、定常被覆状態での線引き張力より小さい張力に設定することが望ましい。なお張力が低すぎれば、線ブレやコーティングが不安定になるおそれがあるから、高圧力期間における引取張力は、定常張力の50%〜100%未満の範囲内とすることが望ましい。
さらに本発明の第8の態様による光ファイバ素線の製造方法は、前記第1〜4、第6、第7のいずれかの態様の光ファイバ素線の製造方法において、
前記高圧力期間で、被覆径を、定常被覆状態での被覆径よりも大きく設定することを特徴とするものである。
定常線速に至る前の期間(増速期間)では、線速が遅いため、コーティング装置からの樹脂排出量(排出速度)も小さい。そのため、定常線速に至る前の増速期間中に高圧力期間を設定すれば、気泡の排出速度も遅くなることが懸念される。しかるに、第8の態様で規定しているように、圧力期間で、被覆径を、定常被覆状態での被覆径よりも大きく設定して、その期間での液体樹脂排出量を大きくすれば、気泡の排出を効果的に行うことができる。
さらに本発明の第9の態様による光ファイバ素線の製造装置は、
加熱溶融された光ファイバ母材を加熱炉から連続的に線引きして光ファイバ裸線とし、更にその光ファイバ裸線を樹脂被覆用のコーティング装置に連続的に通して保護用樹脂を被覆し、さらに樹脂を硬化させて、光ファイバ素線として引取装置によって連続的に引き取るようにした光ファイバ素線の製造装置において、
前記コーティング装置に供給する樹脂圧力を制御するための圧力制御装置が、
増速前の初期の線速をVi(m/min)、コーティング装置における初期の樹脂圧力をPi(MPa)とし、定常被覆状態での線引き線速をVf(m/min)、樹脂圧力をPf(MPa)としたときに、線引き中の樹脂圧力P(v)を、線引き線速Vfに応じて下記(1)式、(2)式を満たすように制御する構成とされたことを特徴とするものである。
Figure 2015202969
Figure 2015202969
但し、(1)式及び(2)式において、α、βは、それぞれ、0.3≦α≦0.5、1.05<β≦1.2の範囲内の定数とする。
上記の第9の態様による光ファイバ素線の製造装置は、第3の態様として記載した光ファイバ素線の製造方法を実施するための装置である。
また本発明の第10の態様による光ファイバ素線の製造装置は、
加熱溶融された光ファイバ母材を加熱炉から連続的に線引きして光ファイバ裸線とし、更にその光ファイバ裸線を樹脂被覆用のコーティング装置に連続的に通して保護用樹脂を被覆し、さらに樹脂を硬化させて、光ファイバ素線として引取装置によって連続的に引き取るようにした光ファイバ素線の製造装置において、
前記コーティング装置に供給する樹脂圧力を制御するための圧力制御装置が、
増速前の初期の線速をVi(m/min)、コーティング装置における初期の樹脂圧力をPi(MPa)とし、定常被覆状態での線引き線速をVf(m/min)、樹脂圧力をPf(MPa)としたときに、線引き中の樹脂圧力P(v)を、線引き線速Vfに応じて下記(3)式、(4)式を満たすように制御する構成とされたことを特徴とするものである。
Figure 2015202969
Figure 2015202969
但し、(3)式及び(4)式において、α、β、γは、それぞれ、0.3≦α≦0.5、1.05<β≦1.2、0.5≦γ≦0.95の範囲内の定数とする。
上記の第10の態様による光ファイバ素線の製造装置は、第4の態様として記載した光ファイバ素線の製造方法を実施するための装置である。
本発明によれば、光ファイバ素線を製造するにあたって、樹脂被覆層への気泡の混入を最小限に抑えることができ、そのため、気泡の混入に起因する諸問題、例えば被覆外径の変動や被覆層の偏肉、更には被覆層強度低下などの問題が発生することを有効に防止して、高品質の光ファイバ素線を得ることができ、また気泡の混入による不良部分を少なくして、製品歩留まりを高い水準に維持することができる。
光ファイバ素線製造方法を実施するための装置(光ファイバ素線製造装置)の全体構成の代表的な例を示す略解図である。 光ファイバ素線製造方法における線引き開始時のコーティング装置の状況の一例を示す模式図である。 光ファイバ素線製造方法における線引き開始後、樹脂注入を開始した際のコーティング装置の状況の一例を示す模式図である。 光ファイバ素線製造方法における定常被覆状態でのコーティング装置の状況の一例、すなわち正常にコーティングされている際の状況を示す模式図である。 光ファイバ素線製造方法における定常被覆状態でのコーティング装置の状況の他の例、すなわち樹脂被覆層に気泡が混入した際の状況を示す模式図である。 本発明の光ファイバ素線製造方法の第1の実施形態を説明するための線図で、線引き立ち上げ(増速開始)から定常被覆状態に至るまでの線速とコーティング装置における樹脂供給圧力との関係を模式的に示す線図である。 本発明の光ファイバ素線製造方法の第2の実施形態を説明するための線図で、線引き立ち上げから定常被覆状態に至るまでの線速とコーティング装置における樹脂供給圧力との関係を模式的に示す線図である。 本発明の光ファイバ素線製造方法の第3の実施形態を説明するための線図で、線引き立ち上げから定常被覆状態に至るまでの線速とコーティング装置における樹脂供給圧力と被覆径との関係を模式的に示す線図である。 本発明の光ファイバ素線製造方法の第4の実施形態を説明するための線図で、線引き立ち上げから定常被覆状態に至るまでの線速とコーティング装置における樹脂供給圧力と被覆径との関係を模式的に示す線図である。 本発明の光ファイバ素線製造方法の第5の実施形態を説明するための線図で、線引き立ち上げから定常被覆状態に至るまでの線速とコーティング装置における樹脂供給圧力との関係を模式的に示す線図である。 本発明の光ファイバ素線製造方法の第6の実施形態を説明するための線図で、線引き立ち上げから定常被覆状態に至るまでの線速とコーティング装置における樹脂供給圧力と被覆径と線引き張力との関係を模式的に示す線図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
図3には、本発明の光ファイバ素線製造方法を第1の実施形態における、線引き立ち上げ(増速開始)から定常被覆状態に至るまでの線速とコーティング装置における樹脂供給圧力との関係を模式的に示す。
この第1の実施形態では、線引き開始の立ち上げ時から、定常線速に至るまでの増速期間TA内に、定常被覆状態での樹脂供給圧力よりも高い樹脂供給圧力とする高圧力期間TCを設けて線引きし、その後定常被覆状態での樹脂供給圧力まで樹脂供給圧力を低下させて定常被覆を行う(定常被覆期間TB)。
ここで、一般に製品部分(良品部)の製造においては、定常線速(目標中心線速)が設定され、ある制御プログラムによって、線速が目標中心線速付近で維持されるように制御されている。すなわち、実際にはある範囲内で線速変動が生じるが、一定の品質を保証するため、最大の線速変動幅(許容変動幅)が設定されている。例えば、目標中心線速±50m/minの範囲を超えて製造された部分は、不良部分として、製品としないことが行われている。そして定常被覆期間TBでは、目標中心線速を含む許容線速範囲内において、コーティング樹脂圧力を一定とする場合や、ある設定のもとに、許容線速範囲内の線速に応じて樹脂圧力を変化させる場合がある。
そして本発明では、定常被覆状態で、許容線速範囲内で樹脂圧力を一定とする場合は、高圧力期間TCでは、目標中心線速に応じた樹脂圧力よりも高い樹脂圧力に設定する。一方、定常被覆状態で、許容線速範囲内の線速に応じて樹脂圧力を変化させる場合は、高圧力期間TCでは、定常被覆状態での樹脂圧力の最大値(上限)を超える圧力まで、樹脂圧力を上昇させる。
このような高圧力期間TCを設けておけば、その期間中の高圧力によってコーティング装置内の液体樹脂中に存在する気泡が圧縮されて小さくなり、その気泡を液体樹脂の流れにのせて、ダイス孔出口から被覆層(不良被覆層)に混入した状態で、容易に排出させることができる。
ここで、本実施形態では、コーティング装置内から気泡を追い出すための高圧力期間TCが、定常線速に至るまでの増速期間TA内とされているため、定常線速となった時点では、既に高圧力によってコーティング装置内の液体樹脂中の気泡がほとんど追い出されていることになる。したがって、定常線速となった時点、あるいはそれ以前に、樹脂圧力を定常圧力まで低下(減圧)させることによって、定常線速となった時点から直ちに定常被覆状態とすることができる。言い換えれば、定常線速となった時点から、良品部(製品部)の製造を開始することができる。
このことは、気泡の混入による不良部分の切り捨てるべき部分の長さが、従来の一般的な製造方法の場合と変わらないことを意味する。したがって高圧力期間を設けることによって歩留まりの低下を招くような事態を回避することができる。
図4には、本発明の光ファイバ素線製造方法の第2の実施形態における、線引き立ち上げ(増速開始)から定常被覆状態に至るまでの線速とコーティング装置における樹脂供給圧力との関係を模式的に示す。
この第2の実施形態も、第1の実施形態と同様に、コーティング装置内から気泡を追い出すための高圧力期間TC、定常線速に至るまでの増速期間TA内としており、しかもその高圧力期間TCを、増速過程での線速に応じて定めている。すなわち、高圧力期間TC内における最大圧力となるタイミングtmは、定常線速の30〜50%の線速となる期間内としている。しかも最大圧力到達後の減圧過程では、最大圧力到達後の線速の増速量が、最大圧力到達時の線速から定常線速に至るまでの増速量の50〜100%となる期間内に定常被覆状態での樹脂供給圧力に到達するように設定して、高圧力期間TCを設けている。
ここで、例えば定常線速を1000mm/minと仮定すれば、前者の「最大圧力となるタイミングtmは、定常線速の30〜50%の線速となる期間内」であるとは、線速が300〜500mm/minの期間内にあるタイミングを意味する。
また後者の最大圧力到達後の減圧過程についての、「最大圧力到達後の線速の増速量が、最大圧力到達時の線速から定常線速に至るまでの増速量の50〜100%となる期間内に定常被覆状態での樹脂供給圧力に到達するように設定する」とは、例えば上記同様に定常線速が1000mm/minであって、しかも最大圧力に到達するタイミングが線速400mm/minの時点であると仮定すれば、その最大圧力到達時の線速(400mm/min)からに定常線速(1000mm/min)に達するまでの増速量は600mm/min(=1000mm/min−400mm/min)であるから、最大圧力到達時の線速から定常線速に至るまでの増速量の50〜100%となる期間とは、最大圧力到達時の線速(400mm/min)からの増速量が300〜600mm/minの期間に相当する。すなわち、線速が700mm/min(=400mm/min+300mm/min)〜1000mm/min(=400mm/min+600mm/min)の期間に相当する。
このように高圧力期間TCにおける最大圧力となるタイミングtmが、定常線速の30〜50%の線速となる期間内に設定することによって、残留気泡の圧縮を行うと同時に、ある程度の樹脂流速を得ることができるため、残留気泡の排出も効率よく行われる。また、最大圧力到達後の線速の増速量が最大圧力到達時の線速から定常線速に至るまでの増速量の50〜100%となる期間内に、定常被覆状態での樹脂供給圧力に到達するように、最大圧力到達後に樹脂供給圧力を減圧する間は、樹脂圧力を減圧させながらも、定常被覆状態よりも高い圧力が維持されるため、最大圧力到達後も、さらに残留気泡の排出時間を稼ぐことができ、そのため残留気泡の排出をより確実に行うことができる。またその減圧に引き続いて最終的な定常圧力とすることによって、定常被覆状態での製品部の製造にスムーズに移行することができる。
ここで、高圧力期間TCにおける最大圧力となるタイミングtmが、定常線速の30%に達しない時点である場合には、低線速のために充分に気泡を排出することが困難となるおそれがある。一方、高圧力期間TCにおける最大圧力となるタイミングtmが、定常線速の50%を超える時点である場合には、定常線速まで減圧する期間(但し定常圧力より高い樹脂圧力の期間)の長さが短くなり、定常線速に至るまでに十分に気泡を排出できなくなるおそれがある。また、最大圧力到達後の線速から、その後の増速量の50%に達しない時点までに樹脂圧力を定常圧力まで減圧してしまった場合には、高圧力期間を十分に確保できないため、充分に気泡を排出することが困難となるおそれがある。一方、最大圧力到達後の増速量が100%となった時点を過ぎた後(すなわち定常線速まで増速された後)に樹脂圧力が定常圧力に達するように減圧した場合、不良部分として切り捨てるべき部分が長くなって、歩留まりが低下するおそれがある。
ところで、コーティング装置内部の残留気泡の排出は、ある樹脂圧力を超えると行われるわけではなく、残留気泡のサイズに応じて、ダイス孔出口からの排出が行われる。本発明の場合、残留気泡サイズは、高圧力期間の高い樹脂圧力により圧縮されて小さくなるため、比較的容易に気泡を排出することができる。但し、定常線速に至る前の期間(増速期間)では、線速が遅いため、コーティング装置からの樹脂排出量(排出速度)も小さい。そのため、定常線速に至る前の増速期間中に高圧力期間を設定すれば、気泡の排出速度も遅くなることが懸念される。しかしながら、図5に第3の実施形態として示しているように、高圧力期間TCを含む増速期間TAにおける被覆径を、定常被覆状態での被覆径よりも大きく設定して、その期間での液体樹脂排出量を大きくすれば、気泡の排出を効果的に行うことができる。したがって、被覆径が、定常被覆状態(製品製造時)の外径より太い状態を保ちながら増速することが望ましい。
なお図5の第3の実施形態では、増速期間TAの全期間において被覆径を定常被覆状態の外径より大きくするように示しているが、要は気泡を排出するための高圧力期間TCにおいて被覆径を定常被覆状態の外径より大きくすればよく、必ずしも増速期間TAの全期間にわたって被覆径を定常被覆状態の外径より大きくする必要はない。
図6には、本発明の光ファイバ素線製造方法の第4の実施形態における、線引き立ち上げ(増速開始)から定常被覆状態に至るまでの線速とコーティング装置における樹脂供給圧力との関係を模式的に示す。
この第4の実施形態も、第1の実施形態と同様に、コーティング装置内から気泡を追い出すための高圧力期間TCを、定常線速に至るまでの増速期間TA内としており、しかもその高圧力期間TCのタイミングを、増速過程での線速に応じて定めている。すなわち、高圧力期間TCにおける最大圧力となるタイミングtmを、定常線速の30〜50%の線速となっている期間内にあるように設定している点は、前記第2の実施形態と同様であるが、最大圧力到達後の線速からの減圧過程について、最大圧力到達後の線速の増速量が最大圧力到達時の線速から定常線速に至るまでの増速量の50〜95%となる期間内に、定常被覆状態の目標定常線速に応じた圧力より低くかつ定常線速の許容範囲下限に対応する圧力以上の圧力まで、樹脂供給圧力を減圧し(減圧期間TD)、更に定常線速に至るまでの期間内に定常被覆状態の目標定常線速に応じた樹脂供給圧力に達するように、樹脂供給圧力を増圧することしている点が、第2の実施形態とは異なる。
このように、最大圧力到達後の減圧過程で、定常被覆状態の目標定常線速に応じた圧力より低くかつ定常線速の許容範囲下限に対応する圧力以上の圧力まで減圧することによって、定常被覆状態前の被覆外径が、定常被覆状態での被覆径に近づき、さらにその後の定常被覆状態直前の期間で改めて増圧することによって、被覆外径径定常被覆状態での被覆外径に、より近づけることができ、そのため、よりスムーズに製品部製造に移行することができる。
ここで、最大圧力到達後の減圧過程についての、「最大圧力到達後の線速の増速量が、最大圧力到達時の線速から定常線速に至るまでの増速量の50〜95%となる期間内に定常被覆状態での樹脂供給圧力に到達するように設定する」とは、例えば前記と同様に定常線速が1000mm/minであって、しかも最大圧力に到達するタイミングが線速400mm/minの時点であると仮定すれば、その最大圧力到達時の線速(400mm/min)からに定常線速(1000mm/min)に達するまでの増速量は600mm/min(=1000mm/min−400mm/min)であるから、最大圧力到達時の線速から定常線速に至るまでの増速量の50〜95%となる期間とは、最大圧力到達時の線速(400mm/min)からの増速量が300〜570mm/minの期間に相当する。すなわち、線速が700mm/min(=400mm/min+300mm/min)
〜970mm/min(=400mm/min+570mm/min)の期間に相当する。
ここで、最大圧力到達後の線速から、その後の増速量の50%に達しない時点までに樹脂圧力を定常圧力まで減圧してしまった場合には、高圧力期間を十分に確保できないため、充分に気泡を排出することが困難となるおそれがある。一方、最大圧力到達後の増速量が95%の時点を過ぎた後に、定常被覆状態の目標定常線速に応じた圧力より低くかつ定常線速の許容範囲下限に対応する圧力以上の圧力まで、樹脂供給圧力を減圧した場合は、前述の減圧期間TDを設定したことによる効果が充分に得られなくなる。
なお図6に示す第4の実施形態の場合も、既に第3の実施形態として示したと同様に、被覆径が、定常被覆状態(製品製造時)の外径より太い状態を保ちながら増速するように示しているが、場合によってはこのように増速中の被覆径を定常被覆状態(製品製造時)の外径より太い径としないことも許容される。
図7には、本発明の光ファイバ素線製造方法の第5の実施形態における、線引き立ち上げ(増速開始)から定常被覆状態に至るまでの線速とコーティング装置における樹脂供給圧力との関係を模式的に示す。
この第5の実施形態では、高圧力期間TCを、線引き開始の立ち上げ時から、定常線速に至るまでの増速期間TAを過ぎた期間(定常線速期間TB)を含むように設定している。このような第5の実施形態による光ファイバ素線の製造方法においても、既に述べたと同様に、高圧力期間TC中に、コーティング装置内の液体樹脂中に存在する気泡を液体樹脂とともに追い出すことができる。またこの場合、定常線速に至るまでの増速期間TAを過ぎた期間を含むように高圧力期間TCを設定することによって、増速期間TAを過ぎた樹脂の流れが速い期間でも高圧力が加えられるため、高速の樹脂の流れに乗って短時間で多量の気泡を排出することができる。
なおこの実施形態では、定常線速に至った後にも気泡が樹脂に乗って排出され、したがってその部分は気泡の多い不良部分(切り捨てるべき部分)となるが、上述のように短時間で多量の気泡を排出することができるから、高圧力期間は短時間で済み、したがって歩留まりへの影響は少ない。
図8には、本発明の光ファイバ素線製造方法の第6の実施形態における、線引き立ち上げ(増速開始)から定常被覆状態に至るまでの線速と、線引き張力と、コーティング装置における樹脂供給圧力との関係を模式的に示す。
この第6の実施形態では、高圧力期間TCを含む増速期間TAにおいて、線引き張力を、定常被覆状態での線引き張力よりも小さく設定している。このように張力を設定している理由は次の通りである。
すなわち、残留気泡をダイス孔出口から液体樹脂被覆層に含ませて排出する際に、残留気泡が小さい場合は問題ないが、高圧力期間を設けて大きな残留気泡を樹脂圧力により圧縮して小さくした気泡を排出する場合、ダイス孔出口から排出された時に、樹脂圧力が解放されて大気圧しか加わらない状態となって、液体樹脂被覆層中の気泡が膨張する。ここで、膨張した気泡サイズが被覆厚よりも大きい場合は、被覆層が破裂したようになる。その部分はコーティング厚が不均一であるため、光ファイバ線引きのコーティング後の硬化や引取り、巻取りの部分で断線する可能性がある。そこで、断線の確率を少しでも下げるため、第6の実施形態では、高圧力期間TCにおいて、引取張力を、定常被覆状態での線引き張力より小さい張力に設定している。なお張力が低すぎれば、線ブレやコーティングが不安定になるおそれがあるから、高圧力期間における引取張力は、定常張力の50%〜100%未満の範囲内とすることが望ましい。
なお図8の第6の実施形態では、増速期間TAの全期間において線引き張力を定常被覆状態の線引き張力より小さくするように示しているが、要は気泡を排出するための高圧力期間TCにおいて線引き張力を定常被覆状態の線引き張力外径より小さくすればよく、必ずしも増速期間TAの全期間にわたって線引き張力を定常被覆状態の線引き張力より小さくする必要はない。
以上の各実施形態において、高圧力期間TCにおける最大の樹脂供給圧力は、定常線引き状態で線速に応じて設定される設定圧力の上限値の1.05倍以上、1.2倍の範囲内とすることが望ましい。
すなわち、コーティング時の樹脂供給圧力は、定常被覆状態での最高圧力より高ければ高いほど、残留気泡の圧縮効果が大きくなり、ダイス孔からの気泡の排出がより効率的に行われるが、樹脂供給圧力が高すぎれば、ダイス孔出口から液体樹脂が噴出してコーティング不良が生じたり、またニップル孔から上部に樹脂が溢れる場合がある。一方、定常被覆状態での樹脂圧力に近い場合には、高圧力期間を設けることによる樹脂排出効果が充分に得られなくなるおそれがある。本発明者等の詳細な実験によれば、高圧力期間での樹脂供給圧力は、定常線引き状態で線速に応じて設定される設定圧力の上限値の1.05倍以上、1.2倍以上の範囲内とすることが望ましいことが判明している。すなわちこの範囲内とすることによって、過大な樹脂圧力に起因する上述のような異常発生を回避でき、しかも充分な気泡排出効果を得ることができる。
なお本発明の光ファイバ素線の製造方法は、保護被覆層として、単層構造の被覆層を有する光ファイバ素線の製造に適用し得ることはもちろん、最近の一般的な2層被覆構造の光ファイバ素線、すなわち内側にヤング率の低い材料を用いたプライマリ層を設け、外側にヤング率の高い材料を用いたセカンダリ層を設けた2層構造の被覆層を有する光ファイバ素線の製造に適用することができる。そして、一般に2層構造の被覆層を有する光ファイバ素線の製造に適用する場合、図1に示したように、コーティング装置5が1箇所のみである一括コーティング方式を適用する場合と、コーティング装置と被覆硬化装置とを、それぞれ直列に2箇所に設ける単独コーティング方式を適用する場合とがあるが、いずれの方式にも本発明は適用可能である。なお一括コーティング方式を適用する場合、1層目の樹脂圧力と2層目の樹脂圧力とは若干の差を設けるのが通常であるが、本発明の方法を適用する場合、1層目の樹脂圧力及び2層目の樹脂圧力について、それぞれ本発明で規定するような高圧力期間を設定することが望ましい。すなわち、一括コーティング方式のコーティング装置における1層目のコーテイィングのための1層目内部構造と2層目のコーテイィングのための2層目内部構造とのうち、いずれか一方の層の側の内部構造が、気泡が排出されにくい構造となっている場合は、少なくとも、その気泡が排出されにくい内部構造の側の層の樹脂の供給圧力について、本発明を適用することが必要であり、また1層目、2層目の両方の層の樹脂の供給圧力について、本発明を適用してもよいことはもちろんである。
また本発明の光ファイバ素線製造方法を実施する場合において、定常被覆状態での線速(定常線速)の速さは限定されないが、通常は、1500〜2500m/min程度の範囲内とすればよい。すなわち本発明によれば、1500m/min以上の高速で線引きする場合でも、気泡の混入が少なくなって、本発明の効果を有効に発揮することができる。
次に本発明の光ファイバ素線の製造方法を実施するための装置、即ち光ファイバ素線製造装置について説明する。
本発明の光ファイバ素線製造装置の第1の実施形態は、前述の第2の実施形態として示した製造方法を実施するための製造装置である。この製造装置は、例えば図1に示されるような装置のコーティング装置5に供給する樹脂の供給圧力を制御するための圧力制御装置(図示せず)が、次のように線引き中の樹脂圧力P(v)を、線引き線速Vfに応じて制御するように構成される。
すなわち、線速制御装置は、増速前の初期の線速をVi(m/min)、コーティング装置における初期の樹脂圧力をPi(MPa)とし、定常被覆状態での線引き線速をVf(m/min)、樹脂圧力をPf(MPa)としたときに、線引き中の樹脂圧力P(v)を、線引き線速Vfに応じて下記(1)式、(2)式を満たすように制御する構成とされている。
Figure 2015202969
Figure 2015202969
但し、(1)式及び(2)式において、α、βは、それぞれ、0.3≦α≦0.5、1.05<β≦1.2の範囲内の定数とする。
このように樹脂供給圧力制御装置を構成することによって、既に述べた第2の実施形態として示した製造方法にしたがって、高圧力期間を増速期間中に設定して気泡を排出し、製品部(良品部)における気泡の混入を抑えた光ファイバ素線を製造することができる。
なおここで、実際の樹脂供給圧力制御装置においては、上記の(1)式、(2)式に従った制御プログラムを内蔵、もしくは書き込んだ構成とすればよい。
本発明の光ファイバ素線製造装置の第2の実施形態は、前述の第4の実施形態(図6参照)として示した製造方法を実施するための製造装置である。この場合も、例えば図1に示されるような装置の、コーティング装置5に供給する樹脂の供給圧力を制御するための圧力制御装置(図示せず)が、次のように線引き中の樹脂圧力P(v)を、線引き線速Vfに応じて制御するように構成される。
すなわち、樹脂供給圧力制御装置は、増速前の初期の線速をVi(m/min)、コーティング装置における初期の樹脂圧力をPi(MPa)とし、定常被覆状態での線引き線速をVf(m/min)、樹脂圧力をPf(MPa)としたときに、
線引き中の樹脂圧力P(v)を、線引き線速Vfに応じて下記(3)式、(4)式を満たすように制御する構成とされている。
Figure 2015202969
Figure 2015202969
但し、(3)式及び(4)式において、α、β、γは、それぞれ、0.3≦α≦0.5、1.05<β≦1.2、0.5≦γ≦0.95の範囲内の定数とする。
このように樹脂供給圧力制御装置を構成することによって、既に述べた第4の実施形態として示した製造方法にしたがって、高圧力期間を増速期間中に設定して気泡を排出し、製品部(良品部)における気泡の混入を抑えた光ファイバ素線を製造することができる。
なおここで、実際の樹脂供給圧力制御装置においては、上記の(3)式、(4)式に従った制御プログラムを内蔵、もしくは書き込んだ構成とすればよい。
以下に、本発明の光ファイバ素線の製造の実施例を、比較例とともに説明する。
〔実施例1〕
図1に示した光ファイバ製造装置にて、光ファイバ母材を加熱炉にて加熱溶融してφ125μmの光ファイバ裸線を引出し、ついで、冷却装置にて適切な温度まで光ファイバ裸線を冷却した後、コーティング装置を使用して光ファイバ裸線に紫外線硬化樹脂を2層コーティングし、UV照射装置にてコーティング層を硬化して光ファイバ素線を製造した。コーティング装置は、2箇所でコーティングおよび硬化を行う単独コーティング方式のものを使用した。
定常被覆時の線引き条件は、線速2500m/min、紡糸張力3Nであり、このときのコーティング時の樹脂供給圧力は、プライマリ層が0.4MPa、セカンダリ層が0.5MPaで、紡糸線速2500m/min±100m/minの変動に対し、樹脂圧力は一定とした。被覆径は、プライマリ層がφ200μm、セカンダリ層がφ250μmである。線引き立ち上げ時の設定として、線速が2500m/minに到達時にプライマリ樹脂圧力が0.48MPa、セカンダリ樹脂圧力が0.6MPaとなるように線速に対して線形に増圧した。また、紡糸張力は常に3N以下の張力になるように調整しながら増速した。2500m/minに到達後、線速変動の調整等を実施し、増速完了から5分後に樹脂圧力を設定圧力まで減圧した後、コーティング径を含む製造条件を合わせ、その後、製品製造を開始した。その後、光ファイバ母材がなくなるまで線引きし、製造完了した。結果として、製品製造中のコーティング状態は良好であり、光ファイバ製品の被覆層には気泡の混入は認められなかった。
〔実施例2〕
実施例1と同様の製造条件で線引きを実施した。ただし、コーティング装置は、1箇所でコーティング及び硬化を行う一括コーティング方式のものを使用した。また、増速時の被覆径は、常に製品時の被覆径(プライマリ層/セカンダリ層でφ200μm/φ250μm)より太い状態(線速により変動するが、φ203〜210μm/φ255〜270μm程度の間での変動)とした。増速完了から樹脂圧力の減圧までの時間を3分としたが、結果として得られた光ファイバ製品の被覆層には気泡の混入は認められなかった。
〔実施例3〕
実施例1と同様の製造条件で線引きを実施した。線引き立ち上げ時の設定として。線速が750m/minに到達時にプライマリ樹脂圧力が0.42MPa、セカンダリ樹脂圧力が0.53MPaとなるように線速に対して線形に増圧した。その後、2500m/minになるまで、徐々に減圧し、最終的に樹脂圧力は、プライマリ層が0.4MPa、セカンダリ層が0.5MPaの設定樹脂圧力にした。増速時の被覆径は常に製品時の被覆径(プライマリ層/セカンダリ層でφ200μm/φ250μm)より太い状態(線速により変動するが、φ203〜210μm/φ255〜270μm程度の間での変動)とした。また、紡糸張力は常に3N以下の張力になるように調整しながら増速した。2500m/minに到達後、線速変動の調整等を実施し、コーティング径調整を行い製品製造を開始した。その後、光ファイバ母材がなくなるまで線引きし、製造完了した。結果として、製品製造中のコーティング状態は良好であり、光ファイバ製品の被覆層に気泡の混入は認められなかった。
〔実施例4〕
実施例2と同様の製造条件で線引きを実施した。線引き立ち上げ時の設定として、線速が1250m/minに到達時にプライマリ樹脂圧力が0.45MPa、セカンダリ樹脂圧力が0.55MPaとなるように線速に対して線形に増圧した。その後、1875m/minになるまで、徐々に減圧し、樹脂圧力は、プライマリ層が0.4MPa、セカンダリ層が0.5MPaの設定樹脂圧力にした。その後の2500m/minは設定樹脂圧力のまま保持した。増速時の被覆径は常に製品時の被覆径(プライマリ層/セカンダリ層でφ200μm/φ250μm)より太い状態(線速により変動するが、φ203〜210μm/φ255〜270μm程度の間での変動)とした。また、紡糸張力は常に3N以下の張力になるように調整しながら増速した。2500m/minに到達後、線速変動の調整等を実施し、コーティング径調整を行い製品製造を開始した。その後、光ファイバ母材がなくなるまで線引きし、製造完了した。結果として、製品製造中のコーティング状態は良好であり、光ファイバ製品の被覆層には泡の混入はみられなかった。
〔実施例5〕
実施例1と同様の製造条件で線引きを実施した。線引き立ち上げ時の設定として、線速が750m/minに到達時にプライマリ樹脂圧力が0.473MPa、セカンダリ樹脂圧力が0.578MPaとなるように線速に対して線形に増圧した。その後、2375m/minになるまで、徐々に減圧し、樹脂圧力は、プライマリ層が0.35MPa、セカンダリ層が0.45MPaまで減圧後、さらに2500m/minの増速までに樹脂圧力は、プライマリ層が0.4MPa、セカンダリ層が0.5MPaの設定樹脂圧力に増圧した。増速時の被覆径は常に製品時の被覆径(プライマリ層/セカンダリ層でφ200μm/φ250μm)より太い状態(線速により変動するが,φ203〜210μm/φ255〜270μm程度の間での変動)とした。また、紡糸張力は、常に、3N以下の張力になるように調整しながら増速した。2500m/minに到達後、線速変動の調整等を実施し、コーティング径調整を行い製品製造を開始した。なお、製品製造時は、樹脂圧力は一定とせず、線速変動に応じて±100m/minで樹脂圧力±0.05MPa変化するように設定した。その後光ファイバ母材がなくなるまで線引きし、製造完了した。結果として、製品製造中のコーティング状態は良好であり、光ファイバ製品の被覆層には気泡の混入は認められなかった。
〔実施例6〕
実施例2と同様の製造条件で線引きを実施した。線引き立ち上げ時の設定として、線速が1250m/minに到達時にプライマリ樹脂圧力が0.473MPa、セカンダリ樹脂圧力が0.578MPaとなるように線速に対して線形に増圧した。その後、1875m/minになるまで徐々に減圧し、樹脂圧力は、プライマリ層が0.35MPa、セカンダリ層が0.45MPaまで減圧後、さらに2500m/minの増速までに樹脂圧力は、プライマリ層が0.4MPa、セカンダリ層が0.5MPaの設定樹脂圧力に増圧した。増速時の被覆径は常に製品時の被覆径(プライマリ層/セカンダリ層でφ200μm/φ250μm)より太い状態(線速により変動するが,φ203〜210μm/φ255〜270μm程度の間での変動)とした。また紡糸張力は、常に3N以下の張力になるように調整しながら増速した。2500m/minに到達後、線速変動の調整等を実施し、コーティング径調整を行い製品製造を開始した。なお、製品製造時は、樹脂圧力は一定とせず、線速変動に応じて±100m/minで樹脂圧力±0.05MPa変化するように設定した。その後光ファイバ母材がなくなるまで線引きし、製造完了した。結果として、製品製造中のコーティング状態は良好であり、光ファイバ製品の被覆層に気泡の混入は認められなかった。
〔比較例1〕
実施例1と同様の製造条件で線引きを実施した。線引き立ち上げ時の設定として、線速が2500m/minに到達時にプライマリ樹脂圧力が0.4MPa、セカンダリ樹脂圧力が0.5MPaの設定圧力となるように線速に対して線形に増圧した。2500m/minに到達後、線速変動の調整等を実施し、増速完了から5分後にコーティング径を含む製造条件を合わせた後、製品製造を開始した。その後光ファイバ母材がなくなるまで線引きし、製造完了した。結果として、製品製造開始時にコーティング層に気泡が混入したことが原因の外径変動がみられ、当該部分の光ファイバ製品の被覆層には気泡の混入が認められ、これによる歩留低下が生じ、0.51%の不良が発生した。
〔比較例2〕
比較例1と同様の製造条件で線引きを実施した。ただし、増速時のコート径は常に製品時のコート径プライマリ層/セカンダリ層でφ200μm/φ250μmより太い状態(線速により変動するが,φ203〜210μm/φ255〜270μm程度の間での変動)とした。増速完了から3分後に製品製造を開始したが、結果として製品製造開始時にコーティング層に気泡が混入ことに起因する外径変動が認められ、当該部分の光ファイバ製品の被覆層には気泡の混入が認められ、これによる歩留低下が生じ、0.45%の不良が発生した。
以上、本発明の好ましい実施形態、および実験例を説明したが、本発明はこれらの実施形態、実験例に限定されないことはもちろんである。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
1・・・光ファイバ裸線、2…加熱炉、3・・・光ファイバ裸線、5・・・コーティング装置、6・・・樹脂効果装置、7・・・光ファイバ素線、8・・・引取りキャプスタン(引き取り装置)、G・・・気体(空気)、Gp・・・残留気泡、M・・・液体樹脂、N・・・液体樹脂被覆層、TA・・・増速期間、TB・・・定常被覆期間、TC・・・高圧力期間。

Claims (10)

  1. 加熱溶融された光ファイバ母材を連続的に線引きして光ファイバ裸線とし、更にその光ファイバ裸線を樹脂被覆用のコーティング装置に連続的に通して保護用樹脂を被覆する光ファイバ素線の製造方法であって、線引き開始の立ち上げ時から線引き速度を増速させて、定常線速でかつその定常線速に応じた樹脂供給圧力での、定常被覆状態に至らしめる光ファイバ素線の製造方法において、
    線引き開始の立ち上げ時から、所定の経過時間に至るまでの初期期間中に、定常被覆状態での樹脂供給圧力よりも高い樹脂供給圧力とする高圧力期間を設けて線引きし、その後定常被覆状態での樹脂供給圧力まで樹脂供給圧力を低下させて定常被覆を行うことを特徴とする光ファイバ素線の製造方法。
  2. 前記高圧力期間が、線引き開始の立ち上げ時から、定常線速に至るまでの増速期間内とされることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ素線の製造方法。
  3. 前記高圧力期間における最大圧力となるタイミングが、定常線速の30〜50%の線速となる期間内にあり、かつ最大圧力到達後の線速の増速量が、最大圧力到達時の線速から定常線速に至るまでの増速量の50〜100%となる期間内に、定常被覆状態での樹脂供給圧力に到達するように、最大圧力到達後に樹脂供給圧力を減圧することを特徴とする請求項2に記載の光ファイバ素線の製造方法。
  4. 前記高圧力期間における最大圧力となるタイミングが、定常線速の30〜50%の線速となっている期間内にあり、かつ最大圧力到達後の線速の増速量が、最大圧力到達時の線速から定常線速に至るまでの増速量の50〜95%となる期間内に、定常被覆状態の目標定常線速に応じた圧力より低くかつ定常線速の許容範囲下限に対応する圧力以上の圧力まで、最大圧力到達後に樹脂供給圧力を減圧し、更に定常線速に至るまでの期間内に定常被覆状態の目標定常線速に応じた樹脂供給圧力に達するように、樹脂供給圧力を増圧することを特徴とする請求項2に記載の光ファイバ素線の製造方法。
  5. 前記高圧力期間が、線引き開始の立ち上げ時から、定常線速に至るまでの増速期間を過ぎた期間を含むことを特徴とする請求項1に記載の光ファイバ素線の製造方法。
  6. 前記高圧力期間における最大の樹脂供給圧力を、定常線引き状態で線速に応じて設定される設定圧力の上限値の1.05倍以上、1.2倍の範囲内とすることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかの請求項に記載の光ファイバ素線の製造方法。
  7. 前記高圧力期間においては、線引き張力を、定常被覆状態での線引き張力よりも小さく設定することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかの請求項に記載の光ファイバ素線の製造方法。
  8. 前記高圧力期間においては、被覆径を、定常被覆状態での被覆径よりも大きく設定することを特徴とする請求項1〜4、請求項6、請求項7のいずれかの請求項に記載の光ファイバ素線の製造方法。
  9. 加熱溶融された光ファイバ母材を加熱炉から連続的に線引きして光ファイバ裸線とし、更にその光ファイバ裸線を樹脂被覆用のコーティング装置に連続的に通して保護用樹脂を被覆し、さらに樹脂を硬化させて、光ファイバ素線として引取装置によって連続的に引き取るようにした光ファイバ素線の製造装置において、
    前記コーティング装置に供給する樹脂の圧力を制御するための圧力制御装置が、
    増速前の初期の線速をVi(m/min)、コーティング装置における初期の樹脂圧力をPi(MPa)とし、定常被覆状態での線引き線速をVf(m/min)、樹脂圧力をPf(MPa)としたときに、
    線引き中の樹脂圧力P(v)を、線引き線速Vfに応じて下記(1)式、(2)式を満たすように制御する構成とされたことを特徴とする光ファイバ素線の製造装置。
    Figure 2015202969
    Figure 2015202969
    但し、(1)式及び(2)式において、α、βは、それぞれ、0.3≦α≦0.5、1.05<β≦1.2の範囲内の定数とする。
  10. 加熱溶融された光ファイバ母材を加熱炉から連続的に線引きして光ファイバ裸線とし、更にその光ファイバ裸線を樹脂被覆用のコーティング装置に連続的に通して保護用樹脂を被覆し、さらに樹脂を硬化させて、光ファイバ素線として引取装置によって連続的に引き取るようにした光ファイバ素線の製造装置において、
    前記コーティング装置に供給する樹脂の圧力を制御するための圧力制御装置が、
    増速前の初期の線速をVi(m/min)、コーティング装置における初期の樹脂圧力をPi(MPa)とし、定常被覆状態での線引き線速をVf(m/min)、樹脂圧力をPf(MPa)としたときに、
    線引き中の樹脂圧力P(v)を、線引き線速Vfに応じて下記(3)式、(4)式を満たすように制御する構成とされたことを特徴とする光ファイバ素線の製造装置。
    Figure 2015202969
    Figure 2015202969
    但し、(3)式及び(4)式において、α、β、γは、それぞれ、0.3≦α≦0.5、1.05<β≦1.2、0.5≦γ≦0.95の範囲内の定数とする。
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