JP2015202761A - 自動車のフロントピラーの構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】衝撃時にゾーンイントルージョンが生じた際、弓なり形状を有するフロントピラーの中央部においてフロントウインドシールドが外れてしまうことを防止できるフロントピラーの構造を提供する。
【解決手段】フロントピラー10の上半部10Bには衝撃時にゾーンイントルージョンが生じた際、ゾーンイントルージョンによる変形を許容しない非変形許容領域R1と、非変形許容領域R1の下部に隣接するとともに前記衝撃時に変形を許容する変形許容領域R2を備える。また、変形許容領域R2は、フロントピラー10の曲げモーメントを抑制する上半部10Bの下部に配置されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、自動車のフロントピラーの構造に関する。
図9に示すように運転者の運転視界の確保のためにフロントピラー100を平面視で車両外側に弓なり形状にする場合、フロントピラー100の断面を車両内側に拡大することは、前記運転視界を狭くする方向となるため、好ましくない。また、フロントピラー100の外側には意匠部材、例えば樹脂製ガーニッシュを取付けるため、フロントピラー100の断面を車両外側に拡大することも意匠的に限界がある。このため、フロントピラーの断面の確保をする代わりに、アンダーボデー、例えばフロントサイドメンバーを変更して車両特性をコントロールすることが考えられる。しかし、これはプラットホームの変更や、フロントサイドメンバーの変更に繋がるため、搭載性、生産性の影響が大きくなり、開発期間がかかる問題がある。
また、上記対応をとらない場合は、車両のアッパーボデーの強度アップで対応することが考えられる。この場合は、アッパーボデーの材質や、板厚のみで対応することとなり、コストアップ及び車両重量の増加となるため、好ましくない。
特許文献1は、フロントピラーリインフォースメントの上端面とサイドレールリインフォースメントの下端面の間にフロントピラーのインナパネルに設けられたビードを介在配置するようにしている。そして、車両の前面衝突時に、前記フロントピラーリインフォースメントが移動した際、前記ビードを前記フロントピラーリインフォースメントの上端面及びサイドレールリインフォースメントの下端面で挟み込むようにしている。この構成により前面衝突時におけるフロントピラーの反力を向上させるようにしている。
特許文献2は、フロントピラー本体の前側縦壁部とフロントピラーリインフォースメントとの間にバルクヘッドが設けられ、前記バルクヘッドに脆弱部が設けられている。この脆弱部は、車両前方側からの入力荷重に対してはカウルトップサイドを車両前後方向に所定量変形させる荷重値で変形を行うように設定されている。
特開2011−111081号公報 特開2013−226929号公報
ところで、図9に示すようにフロントピラー100を弓なり形状にすると、車両前後方向の略中央部において平面視曲げモーメントが発生し易い。このため、前面衝突時にフロントピラーの中央部に折れモードが発生し、フロントピラーの中央部においてフロントウインドシールドが外れてしまう虞がある。
なお、特許文献1及び特許文献2は、フロントピラーを弓なり形状にした場合において、前面衝突時のフロントピラーにおける平面視曲げモーメントに対応できるものとはなっていない。また、特許文献1、特許文献2は、ゾーンイントルージョンが生じた場合の対策が施されていない。なお、ゾーンイントルージョンは、車両が他の障害物と衝突した場合等に、その衝突荷重によってフロントフードが車両後方側に押されてフロントウインドシールドに当接することをいう。
本発明の目的は、衝撃時にゾーンイントルージョンが生じた際、弓なり形状を有するフロントピラーの中央部においてフロントウインドシールドが外れてしまうことを防止できるフロントピラーの構造を提供することにある。
上記問題点を解決するために、本発明の自動車のフロントピラーの構造は、インナパネルとアウタパネルとにより閉断面が形成されて、上半部が傾斜姿勢で後方に延びて形成されるとともに平面視した状態で車両外側へ弓なり形状を有し、下半部が下方に延出形成され、前記上半部の前記インナパネル及び前記アウタパネルには相互に重ねられた状態でフロントウインドシールドを載せるフランジがそれぞれ設けられている自動車のフロントピラーの構造において、前記インナパネルの前記上半部には、衝撃時にゾーンイントルージョンが生じた際、当該ゾーンイントルージョンによる変形を許容しない非変形許容領域と、前記非変形許容領域の下部に隣接するとともに前記衝撃時に変形を許容する変形許容領域を備え、前記変形許容領域がフロントピラーの曲げモーメントを抑制する前記上半部の下部に配置されているものである。
また、前記上半部の前記アウタパネルの内面には、リインフォースメントパネルが配設され、前記変形許容領域の前記インナパネル及び前記リインフォースメントパネルの少なくともいずれか一方には、前記衝撃時の変形を許容する脆弱部が設けられていることが好ましい。
また、前記インナパネル、前記リインフォースメントパネル、及び前記アウタパネルのそれぞれの前記フランジ同士が複数のスポット溶接で溶接されており、前記変形許容領域におけるスポット溶接の打点間隔が、前記非変形許容領域のスポット溶接の打点間隔よりも広くされていることが好ましい。
また、前記リインフォースメントパネルの前後方向における前端部は、前記変形許容領域における前記インナパネルの前端部よりも後方に配置され、前記衝撃時において、前記脆弱部の破壊により前記インナパネルの前端部の移動とともに、前記リインフォースメントパネルの後方向における前端部の移動が許容される範囲をクラッシュストロークとすることが好ましい。
前記リインフォースメントパネルの前後方向における前端部は、前記変形許容領域における前記インナパネルの前端部よりも後方に配置され、前記衝撃時において、前記脆弱部の破壊により前記インナパネルの前端部が移動可能な分を含む範囲をクラッシュストロークに含むことが好ましい。
また、前記非変形許容領域における前記インナパネルの内面にはインナパッチが固定されて前記変形許容領域には、前記インナパッチが存しないように配置されていることが好ましい。
本発明によれば、衝撃時にゾーンイントルージョンが生じた際、弓なり形状を有するフロントピラーの中央部においてフロントウインドシールドが外れてしまうことを防止できる効果を奏する。
一実施形態のフロントピラー及びその周辺の車両の骨格構造の分解斜視図。 一実施形態のフロントピラー及びその周辺の車両の骨格構造の斜視図。 図2の3−3線の断面図。 図2の4−4線の断面図。 フロントピラーの下端部において、アウタパネルを省略して見た場合のインナパネルとアウタリインフォースメントの組立て斜視図。 フロントピラーの下端部において、アウタパネルを省略して見た場合のインナパネルとアウタリインフォースメントの分解斜視図。 フロントピラーの平面視曲げモーメントと時間の線図。 フロントピラーの車両幅方向の変位と時間の線図。 弓なり形状を有するフロントピラーの平面視図。
以下、本発明の自動車のフロントピラーの構造を具体化した一実施形態について図1〜図8を参照して説明する。
図1、図2に示すように、フロントピラー10は全体がインナパネル12とアウタパネル14とにより構成されている。
具体的にはフロントピラー10は剛性を有する金属製のインナパネル12と剛性を有する金属製のアウタパネル14の前縁及び後縁のフランジをそれぞれ重ね合わせて溶接された閉断面の柱状部材であって、上下方向において中央付近でく字形に屈曲している。フロントピラー10の中央付近の屈曲部では前縁を車両前方に張り出して幅を広くした幅広部10Cが形成されている。幅広部10Cは車両前方に向かって山形形状に張り出しされている。そして、幅広部10Cの前端は図示しないエプロンアッパメンバの後端に結合されている。
また、図1、図2に示すようにフロントピラー10は、前記屈曲した部位を境に、上下方向に延びる下半部10Aと上方に向かって傾斜姿勢で後方に延びる上半部10Bを有する。
図1に示すようにインナパネル12は、フロントピラー10の下半部10Aに含まれるロアインナパネル13と、上半部10B及び幅広部10Cに含まれるアッパインナパネル15とを有する。ロアインナパネル13の上端部は、フロントピラー10の幅広部10Cと対応するように設けられたアッパインナパネル15の幅広部17の下端部に対して一体に連結されている。
また、フロントピラー10の上半部10Bは、図9のフロントピラー100と同様に平面視した場合、車両外側へ湾曲した弓なり形状を有する。
具体的には、フロントピラー10の上半部10Bに含まれるアッパインナパネル15、アッパリインフォースメント34、及びアウタパネル14は、平面視した場合、その中央部が車両外側へ湾曲した弓なり形状を有する。
図4に示すように、上半部10Bにおけるアッパインナパネル15は、側壁15dと、前記側壁15dの両側縁に連結された前側壁15e,後側壁15fとを備えて車室側に膨らんだ断面形状を有している。前記アッパインナパネル15の前側壁15eの前縁には車両幅方向に折り込まれたフランジ15aを有し、後側壁15fの後縁には後方向に向かうように折り込まれたフランジ15bを有する。
図4に示すように上半部10Bにおけるアウタパネル14は、前方から順に側壁14c〜14gを備えていて、側壁14dが前方及び車幅方向の車外側に出るように形成した断面形状を有している。側壁14c及び側壁14gにはフランジ14a及びフランジ14bをそれぞれ有する。
図2、図3に示すように、幅広部10Cにおける側壁14dは前記上半部10Bに配置された側壁14dの前後方向の幅よりも幅広く形成されるとともに車両幅方向の車外側に向いて配置されている。図3はインナパネル12の幅広部10Cにおいて、アウタパネル14を前後方向に切断したときの断面図である。
図1、図2に示すように、幅広部10Cにおいて、側壁14dの前部には、前方へ突出した突出部19を有する。突出部19の上部は、前記フランジ14aが延出形成されている。突出部19の前縁は、車両内側に屈曲した前側壁19aを有する。図2に示すように、突出部19の下縁は、車両内側に屈曲した底壁19bを有している。底壁19bは後述する側壁14m、フランジ14hと一体に連結されている。
図2に示すように突出部19よりも下方に位置する幅広部10Cの側壁14dには、車両内側に屈曲した側壁14mが一体に連結されている。図3に示すように前記側壁14mの前縁に設けられたフランジ14hは、インナパネル12(アッパインナパネル15)のフランジ17aに一体にスポット溶接されている。
図2に示すようにフロントピラー10の下端部は後方に屈曲して閉断面構造のフロアサイドレール16の前端に結合されている。また、図2に示すようにフロントピラー10の上端部は閉断面構造のルーフサイドレール18の前端に結合されている。図1、図2に示すようにフロントピラー10と、フロアサイドレール16とルーフサイドレール18間に形成された閉断面構造のセンターピラー20と、フロアサイドレール16及びルーフサイドレール18により、フロントドア開口Fが形成されている。なお、図1では、フロアサイドレール16、ルーフサイドレール18及びセンターピラー20は、分解された状態で示されている。
図1、図3、図4〜図6に示すように、フロントピラー10の閉断面内部にはフロントピラー10の全長にわたってリインフォースメントパネル30が設けられている。
図1に示すようにリインフォースメントパネル30は、フロントピラー10の下半部10Aに含まれるロアリインフォースメント32と、フロントピラー10の上半部10Bに含まれるアッパリインフォースメント34とを有する。図1に示すようにロアリインフォースメント32は、幅広部10Cに位置するようにアッパリインフォースメント34の前端部に設けられた幅広部35の下部に対して連結されている。前記幅広部35は、アッパリインフォースメント34において、フロントピラー10の上半部10Bに含まれる部位の前後の幅よりも拡幅にしたものである。
図4に示すように上半部10Bに位置するアッパリインフォースメント34は車両幅方向の車外側に折曲げ形成されて断面略コ字状とされた側壁30c〜30eを有し、側壁30c、30eにはフランジ34a,34bをそれぞれ有する。そして、アッパリインフォースメント34は、前後の両端縁のフランジ34a,34bがアッパインナパネル15のフロントウインドシールド開口側縁のフランジ15a及びフロントドア開口Fの前縁側のフランジ15bに対して一体にスポット溶接されている。アッパリインフォースメント34により、図4に示すようにフロントピラー10の閉断面が仕切られている。
アウタパネル14のフランジ14a,14bは、アッパインナパネル15のフランジ15a,15bとそれぞれ協働して、アッパリインフォースメント34の各フランジ34a,34bを挟み込みした状態でフランジ15a,15bと一体にスポット溶接されている。
図4に示すように、アウタパネル14のフロントウインドシールド開口側縁のフランジ14a上には、フロントウインドシールドGが取付けられる。
図3に示すように、アッパリインフォースメント34の幅広部35は、前方から順に前端壁35a、側壁35b、後端壁35cを備えて断面略コ字状に形成されている。前端壁35aはリインフォースメントパネル30の前後方向における前端部に相当するとともに、図3に示すように、前端壁35aは、インナパネル12(アッパインナパネル15)におけるフランジ17aを有する幅広部17の前端部よりも後方に位置する。
図3に示すように前端壁35a、及び側壁35bは、アウタパネル14の側壁14m、側壁14dにそれぞれ近接配置されるとともに、後端壁35cは、アウタパネル14の側壁14e〜14gに近接して配置されている。
図3に示すように前端壁35aは、その車両側端がL字状に曲げられている。図3に示すフランジ17aの位置から、前端壁35aが折れ曲がった位置までは、車室(キャビン)の一部をクラッシュストロークとするクラッシュストローク範囲R3としている。このクラッシュストローク範囲R3は、図2に示すように前後方向において後述する変形許容領域R2以下とされている。
また、図3に示すように後端壁35cは、フランジ34bに連結されている。図6に示すように側壁35bの上縁は、側壁30cに一体に連結されている。また、後端壁35cは、側壁30dに一体に連結されている。
また、図5に示すように幅広部35の側壁30cに設けられたフランジ34aの前端は、アッパインナパネル15の切欠15gの後端と合致するように配置されている。すなわち、切欠15g上、及び、切欠15gよりも前方に位置するフランジ15a上にはフランジ34aは存在しないようにされている。切欠15gは脆弱部の一例である。
また、図2に示すアウタパネル14の突出部19の前側壁19aは、図5に示すフランジ17aに対して一体にスポット溶接されている。
また、図2に示すアウタパネル14のフランジ14aは、図5に示すアッパインナパネル15のフランジ15a上及びアッパリインフォースメント34のフランジ34a上に「×」で示す位置を打点において、スポット溶接されている。図2に示すように、これらのスポット溶接により、アッパインナパネル15のフランジ15a及びアッパリインフォースメント34のフランジ34aにアウタパネル14が一体に固定されている。なお、前記打点間隔は、切欠15gを除いて、等ピッチとなっている。すなわち、本実施形態では、切欠15gがある部分では溶接ができないため、この部位の打点間隔は他の打点間隔よりも広く設定されている。また、変形許容領域R2においては、切欠15gの有無に関係なく、非変形許容領域R1における打点間隔よりも広くしてもよい。
図1に示すロアリインフォースメント32は、ほぼ全長にわたりフロントピラー10の下半部10Aのアウタパネル14の断面形状とほぼ同じ断面形状で、フロントピラー10の下半部10Aから幅広部10Cの下縁にかけて設けられている。ロアリインフォースメント32は、前縁のフランジ32a及び後縁のフランジ32bがロアインナパネル13及びアウタパネル14の前後のフランジ13a,14aにてそれぞれ挟み込まれて一体にスポット溶接されている。また、ロアリインフォースメント32の幅方向の中間部がアウタパネル14の内面にスポット溶接されている。
次に、本実施形態の特徴的な構成について説明する。
図2、図5、図6に示すようにインナパネル12の上半部10Bは、ゾーンイントルージョンによる変形を許容しない非変形許容領域R1と、非変形許容領域R1の下部に隣接するとともに衝撃時に変形を許容する変形許容領域R2とに区分されている。
具体的には、図6に示すようにアッパインナパネル15のフランジ15aは、幅広部17の前端から若干後方に位置する部位に設けられた切欠15gを除いてアッパインナパネル15の全長に亘って形成されている。そして、図6に示すように幅広部17の前縁に設けられたフランジ17aから切欠15gの後端までが変形許容領域R2とされている。
なお、図5、図6に示すようにフランジ17aは、幅広部17の上下方向に延びる前端において、車内側に折曲げられるとともに、上端がフランジ15aに一体に連結されている。また、アッパインナパネル15において、切欠15gの後端から後方に位置するフランジ15aを有する部分が非変形許容領域R1とされている。
変形許容領域R2に対応するフロントウインドシールドGの部分は、車室の前部に設けられた図示しないダッシュボードの前部と相対する部分である。前記ダッシュボードの前部とフロントウインドシールドGとの間は人が侵入できないほどの短い距離となっている。
前記変形許容領域R2が設けられた部分は、フロントピラーの曲げモーメントを抑制する上半部10Bの下部に相当するものである。
また、図4、図6に示すように、非変形許容領域R1内に位置するように、アッパインナパネル15の前側壁15e、側壁15d及び後側壁15fの内面には、剛性を有する金属製のインナパッチ40が一体にスポット溶接されている。
図4、図6に示すようにインナパッチ40はアッパインナパネル15の各側壁15e,15d,15fにそれぞれ面接触した側壁40a,40b,40cと、側壁40cに形成されてフランジ15bに面接触して固定された複数のフランジ固定片40dを有する。
図6に示すように、インナパッチ40は、切欠15gの後端から後方へ向かって延出されて変形許容領域R2には存在しないようにされている。インナパッチ40により、非変形許容領域R1におけるアッパインナパネル15の剛性が高められている。
(実施形態の作用)
次に、上記のように構成された自動車のフロントピラーの構造の作用を説明する。
前面衝突時に、一方のフロントピラー10にはその幅広部10Cの前端に図示しないエプロンアッパメンバから大きな衝突荷重が作用する。この衝突荷重により、フロントピラー10(アッパインナパネル15)において、幅広部10Cにおける脆弱部としての切欠15gが変形する。この変形により、突出部19が後方に移動して、幅広部10Cの前部全体が屈曲変形し、この変形により衝突荷重が吸収される。
このとき、リインフォースメントパネル30の前端壁35aまでのクラッシュストローク範囲R3までの幅広部10Cの変形を許容する。
この幅広部10Cの変形は、インナパッチ40と、アッパリインフォースメント34の側壁35bとによりフロントピラー10の範囲R3までで抑制される。この結果、フロントピラー10への衝突荷重の入力がコントロールされて、弓なり形状のフロントピラー10の車両幅方向への変位を抑制することができる。
このため、フロントピラー10の平面視折れモードが抑制されて、フロントピラー10の中央部においてフロントウインドシールドGが外れてしまうことがない。また、クラッシュストローク範囲R3では、フロントウインドシールドGがフロントピラー10から外れることがあっても、このクラッシュストローク範囲R3では、ダッシュボードの前部とフロントウインドシールドGとの間は人が侵入できないほどの短い距離であるため、人への影響はない。
図7は、上記のように構成されたフロントピラーに前面衝突を想定して衝撃を付与した場合をシミュレーション装置で平面視曲げモーメントを計算した結果を示している。図7において、横軸は時間軸であり、縦軸は平面視曲げモーメントである。図7において、Aモデルは、本実施形態に相当する例を示し、Bモデルは、フランジ15aに切欠15gを有しないモデルで計算したものである。同図に示すように、Aモデルの方が曲げモーメントが抑制されていることが分かる。
図8は、フロントピラー10に車両幅方向への変位を上記AモデルとBモデルで算出した結果を示している。図8において、横軸は時間軸、縦軸は、車両幅方向への変位値を示している。同図に示すように、Aモデルは、車両幅方向への変位は小さく抑制されているのに対して、Bモデルは、大きく変位していることが分かる。
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態の自動車のフロントピラー10の構造は、インナパネル12とアウタパネル14とにより閉断面が形成されて、上半部10Bが傾斜姿勢で後方に延びて形成されるとともに平面視した状態で車両外側へ弓なり形状を有する。また、フロントピラー10の下半部10Aが下方に延出形成され、上半部10Bのインナパネル12及びアウタパネル14には相互に重ねられた状態でフロントウインドシールドGを載せるフランジ14a,15aがそれぞれ設けられている。フロントピラー10の上半部10Bには衝撃時にゾーンイントルージョンが生じた際、ゾーンイントルージョンによる変形を許容しない非変形許容領域R1と、非変形許容領域R1の下部に隣接するとともに前記衝撃時に変形を許容する変形許容領域R2を備える。また、変形許容領域R2は、フロントピラー10の曲げモーメントを抑制する上半部10Bの下部に配置されている。
この結果、本実施形態によれば、衝撃時にゾーンイントルージョンが生じた際、弓なり形状を有するフロントピラーの中央部においてフロントウインドシールドが外れてしまうことを防止できる。
また、本実施形態によれば、フロントピラーを平面視弓なり形状にした場合、プラットホームやフロントサイドメンバーの変更、並びに車両のアッパーボデーの強度アップで対応する必要がなく、ボデーの強度アップ、及び重量アップを最小限に抑えることができる。
また、本実施形態では上記構成により、意匠及び運転者の運転視界の確保を優先してデザインや、設計ができる利点がある。
(2)本実施形態では、上半部10Bのアウタパネル14の内面には、リインフォースメントパネル30が配設され、変形許容領域R2のインナパネル12には、衝撃時の変形を許容する切欠15g(脆弱部)が設けられている。
この結果、本実施形態によれば、変形許容領域R2のインナパネル12に脆弱部を設けることにより、容易に上記(1)の効果を実現することができる。
(3)本実施形態では、インナパネル12(アッパインナパネル15)、リインフォースメントパネル30、及びアウタパネル14のそれぞれのフランジ同士が複数のスポット溶接で溶接されている。また、変形許容領域R2おけるスポット溶接の打点間隔が、非変形許容領域R1のスポット溶接の打点間隔よりも広くされている。この結果、本実施形態によれば、スポット溶接の打点間隔を変形許容領域R2では非変形許容領域R1よりも広くすることにより、脆弱部の脆弱性を向上することができる。
(4)本実施形態では、リインフォースメントパネル30の前後方向における前端壁35a(前端部)は、変形許容領域R2におけるインナパネル12(アッパインナパネル15)の幅広部17の前端部よりも後方に配置されている。また、衝撃時において、脆弱部の破壊によりインナパネル12(アッパインナパネル15)の幅広部17の前端部の移動とともに、リインフォースメントパネル30の後方向における前端部の移動が許容される範囲をクラッシュストローク範囲R3としている。この結果、本実施形態では、クラッシュストローク範囲R3をコントロールすることが可能となる。
(5)本実施形態では、非変形許容領域R1におけるインナパネル12(アッパインナパネル15)の内面にはインナパッチ40が固定されて、変形許容領域R2にはインナパッチ40が存しないように配置されている。この結果、本実施形態によれば、非変形許容領域R1の変形をインナパッチ40によって抑制できる。
なお、本実施形態は以下のように変更した実施形態としてもよい。
・前記実施形態では、変形許容領域R2のインナパネル12には、衝撃時の変形を許容する切欠15g(脆弱部)が設けられている。この構成に代えて、変形許容領域R2のリインフォースメントパネル30に脆弱部を設けてもよい。また、変形許容領域R2のインナパネル12及びリインフォースメントパネル30の両方に脆弱部を設けてもよい。
・前記実施形態では、切欠をフランジ15aに設けたが、フランジに限定するものではなく、変形許容領域R2に位置する側壁等に脆弱部を設けるようにしてもよい。
・前記脆弱部は切欠としたが、切欠に限定するものではなく、薄肉部を形成してもよい。
・インナパッチ40は必須の構成ではなく、省略してもよい。
・前記実施形態において、リインフォースメントパネル30の前端壁35aをL字状に曲げる代わりに、図3の二点鎖線で示すように斜め前方に向けられて、幅広部17に対しては溶接等によっては固定されていない自由端としてもよい。そして、前記前端壁35aを図3に示す実線の位置まで折れ曲がり可能としてもよい。このように構成すると、エプロンアッパメンバから大きな衝突荷重が作用して、幅広部10Cにおける脆弱部としての切欠15gが変形した際、突出部19が後方に移動して、幅広部10Cの前部全体が屈曲変形する。この変形の際、リインフォースメントパネル30の前端壁35aはインナパネル12(アッパインナパネル15)とは結合されていないため、図3の二点鎖線位置から、実線位置まで変形する。すなわち、クラッシュストローク範囲R3までの幅広部10Cの変形を許容する。
10…フロントピラー、10A…下半部、10B…上半部、10C…幅広部、
12…インナパネル、14…アウタパネル、14a…フランジ、
15…アッパインナパネル、15…フランジ、17…幅広部、
17a…フランジ、30…リインフォースメントパネル、35…幅広部、
35a…前端壁、40…インナパッチ、R1…非変形許容領域、
R2…変形許容領域、R3…クラッシュストローク範囲。

Claims (5)

  1. インナパネルとアウタパネルとにより閉断面が形成されて、上半部が傾斜姿勢で後方に延びて形成されるとともに平面視した状態で車両外側へ弓なり形状を有し、下半部が下方に延出形成され、前記上半部の前記インナパネル及び前記アウタパネルには相互に重ねられた状態でフロントウインドシールドを載せるフランジがそれぞれ設けられている自動車のフロントピラーの構造において、
    前記インナパネルの前記上半部には、衝撃時にゾーンイントルージョンが生じた際、当該ゾーンイントルージョンによる変形を許容しない非変形許容領域と、前記非変形許容領域の下部に隣接するとともに前記衝撃時に変形を許容する変形許容領域を備え、前記変形許容領域がフロントピラーの曲げモーメントを抑制する前記上半部の下部に配置されている自動車のフロントピラーの構造。
  2. 前記上半部の前記アウタパネルの内面には、リインフォースメントパネルが配設され、
    前記変形許容領域の前記インナパネル及び前記リインフォースメントパネルの少なくともいずれか一方には、前記衝撃時の変形を許容する脆弱部が設けられている請求項1に記載の自動車のフロントピラーの構造。
  3. 前記インナパネル、前記リインフォースメントパネル、及び前記アウタパネルのそれぞれの前記フランジ同士が複数のスポット溶接で溶接されており、
    前記変形許容領域におけるスポット溶接の打点間隔が、前記非変形許容領域のスポット溶接の打点間隔よりも広くされている請求項2に記載の自動車のフロントピラーの構造。
  4. 前記リインフォースメントパネルの前後方向における前端部は、前記変形許容領域における前記インナパネルの前端部よりも後方に配置され、
    前記衝撃時において、前記脆弱部の破壊により前記インナパネルの前端部の移動とともに、前記リインフォースメントパネルの前後方向における前端部の移動が許容される範囲をクラッシュストロークとする請求項2又は請求項3に記載の自動車のフロントピラーの構造。
  5. 前記非変形許容領域における前記インナパネルの内面にはインナパッチが固定されて前記変形許容領域には、前記インナパッチが存しないように配置されている請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の自動車のフロントピラーの構造。
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