JP2015201481A - ナノ結晶軟磁性合金粉末を用いた圧粉磁芯とその製造方法 - Google Patents

ナノ結晶軟磁性合金粉末を用いた圧粉磁芯とその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ナノ結晶軟磁性合金粉末を用いたコア損失が小さい圧粉磁芯とその製造方法を提供する。
【解決手段】αFe(−Si)結晶相を有するナノ結晶軟磁性合金粉末1と、ナノ結晶軟磁性合金粉末1の平均粒子径に対する比が、0.04以上0.15以下である平均粒子径を有する軟磁性金属微粉末6と、バインダーを含む圧粉磁芯の断面において、ナノ結晶軟磁性合金粉末1の粒子断面の外周2に、軟磁性金属微粉末の平均粒子径を直径とする円3を密接して配列できる最大数をNsとし、次に、ナノ結晶軟磁性合金粉末1の粒子断面の外周2からナノ結晶軟磁性合金粉末の粒子断面の円相当径の0.2倍の長さ4の距離範囲5に含まれる軟磁性金属微粉末6の個数をNとしたとき、N/Nsの平均値が0.5以上0.9以下である圧粉磁芯を得る。
【選択図】図2

Description

本発明は、トランス、チョークコイル、リアクトル等のインダクタに用いられる、ナノ結晶軟磁性合金粉末を用いた圧粉磁芯とその製造方法に関する。
アモルファス相の軟磁性合金粉末と絶縁性のバインダーを用いた圧粉磁芯は、飽和磁束密度が大きく比透磁率が高い優れた軟磁気特性を有するので、磁芯の小型化とコア損失の低減が可能である。
特許文献1では、非晶質軟磁性合金からなる粉末Aと軟磁性合金微細粉末Bと結合材とを混合し、加圧成形して得られる圧粉磁芯において、粉末Aの粒度分布の最頻値が粉末Bのそれの5倍以上であり、かつ粉末Aと粉末Bの体積の和全体に対する粉末Bの体積百分率が3%以上50%以下とすることにより、金型の耐久性の問題から大きな成形圧が適用できなかった複雑な形状においても、成形圧を低下させつつ成形密度を高くし、高飽和磁束密度、低損失の圧粉磁芯を得る技術が開示されている。
特開2001−196216号公報
熱処理によってアモルファス相中に微細なαFe(−Si)結晶相を析出させるナノ結晶軟磁性合金粉末を圧粉磁芯に使用する場合、アモルファス相の軟磁性合金粉末と軟磁性金属微粉末をバインダーと共に混合して加圧成形した後に、微細なαFe(−Si)結晶相を析出させる熱処理を行う必要がある。
軟磁性金属微粉末は、αFe(−Si)結晶相の析出に伴って発生する熱の放散性を改善するが、ナノ結晶軟磁性合金粉末と比較して粒子サイズに起因するヒステリシス損失が大きいため、多量に混合すると、圧粉磁芯全体のコア損失が増加する問題がある。
したがって、コア損失を増加させないためには、軟磁性金属微粉末の量は少ない方が良いが、一方でαFe(−Si)結晶相の析出に伴って発生する熱の放散性が悪くなるため、過加熱や熱暴走によってFe−B相やFe−P相などの化合物相が析出し易くなり、軟磁気特性が劣化してコア損失が増加する問題がある。
本発明の課題は、ナノ結晶軟磁性合金粉末を用いたコア損失の小さい圧粉磁芯とその製造方法を提供することである。
上記の目的を達成するため、本発明は、αFe(−Si)結晶相を有するナノ結晶軟磁性合金粉末と、前記ナノ結晶軟磁性合金粉末よりも平均粒子径が小さい軟磁性金属微粉末と、バインダーを含む圧粉磁芯であって、前記圧粉磁芯の断面において、前記軟磁性金属微粉末の平均粒子径を直径とする円が、前記ナノ結晶軟磁性合金粉末の粒子断面の外周に密接して配列できる最大数をNsとし、前記ナノ結晶軟磁性合金粉末の前記粒子断面の外周から前記ナノ結晶軟磁性合金粉末の前記粒子断面の円相当径の0.2倍の長さの距離範囲に、少なくとも一部が含まれる前記軟磁性金属微粉末の粒子の数をNとしたとき、N/Nsの平均値が0.5以上0.9以下であることを特徴とする。
本発明では、前記ナノ結晶軟磁性合金粉末の平均粒子径に対する前記軟磁性金属微粉末の平均粒子径の比が、0.04以上0.15以下であることが望ましい。
また本発明では、前記ナノ結晶軟磁性合金粉末の平均粒子径は、40μmを超え60μm未満であることが望ましい。
さらに本発明では、前記ナノ結晶軟磁性合金粉末の含有量に対する前記軟磁性金属微粉末の添加量が、質量比において1mass%を超え15mass%未満であることが望ましい。
本発明においては、前記軟磁性金属微粉末の主たる成分が、Feであることが望ましい。
また、前記ナノ結晶軟磁性合金粉末の組成が、組成式FeSiCuで表され、79.0≦a≦86.0、5.0≦b≦13.0、0.0≦c≦8.0、1.0≦x≦10.0、0.0≦y≦5.0、0.4≦z≦1.4および0.06≦z/x≦1.20で、Feの一部をTi、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Cr、Co、Ni、Al、Mn、Zn、S、Sn、As、Sb、Bi、N、O、Ca、V、Mgおよび希土類元素、貴金属元素のうち1種類以上の元素で、組成全体の3at%以下を置換し、Feとの合計が79.0at%以上、86.0at%以下であることが望ましい。
本発明の圧粉磁芯の製造方法は、熱処理によりナノ結晶を析出させるアモルファス相の軟磁性合金粉末と、バインダーを混合して前記軟磁性合金粉末の表面に前記バインダーを付着させ、前記バインダーを付着させた前記軟磁性合金粉末と、前記軟磁性合金粉末よりも平均粒子径が小さい軟磁性金属微粉末とを混合して、前記軟磁性合金粉末の粒子表面に前記バインダーを介して前記軟磁性金属微粉末を付着させ、前記軟磁性金属微粉末が付着した前記軟磁性合金粉末に、バインダーを追加し、混合して造粒粉を作製し、前記造粒粉を金型に充填して加圧成形により圧粉体を作製し、前記圧粉体を熱処理して前記軟磁性合金粉末にαFe(−Si)結晶相を析出させることを特徴とする。
本発明の圧粉磁芯は、ナノ結晶軟磁性合金粉末の粒子が、軟磁性金属微粉末で囲まれている構造を有し、断面におけるN/Nsの平均値を、0.5以上0.9以下とすることで、αFe(−Si)結晶相の析出による発熱量の効果的な放散を可能とする。これにより過加熱や熱暴走が起こりにくくなって化合物相の析出が抑制され、ナノ結晶軟磁性合金粉末が有している優れた軟磁性特性が得られる。
また本発明の圧粉磁芯の製造方法は、最初にアモルファス相の軟磁性合金粉末の粒子表面をバインダーで覆い、次いで軟磁性金属微粉末を添加して混合することでアモルファス相の軟磁性合金粉末の粒子表面に軟磁性金属微粉末を付着させる工程を有することを特徴とする。これにより、断面におけるN/Nsの平均値が0.5以上0.9以下の圧粉磁芯が、質量比で1mass%を超え15mass%未満の少量の軟磁性金属微粉末の添加で得られるため、軟磁性金属微粉末によるヒステリシス損失の増加が抑制できる。
さらに、ナノ結晶軟磁性合金粉末の周囲に、軟磁性金属微粉末の粒子が存在することによって、ナノ結晶軟磁性合金粉末の粒子同士が密接し難くなるため、ナノ結晶軟磁性合金粉末の粒子間に距離を持たせることができる。このため、軟磁性金属微粉末の粒子とバインダーとを介して熱の放散がより容易となり、過加熱や熱暴走がより起こりにくくなって化合物相の析出が抑制され、本来有している優れた軟磁性特性が得られる。
以上述べた様に、本発明の圧粉磁芯とその製造方法によれば、αFe(−Si)結晶相の析出を行う熱処理時の過加熱や熱暴走を防止し、Fe−B相やFe−P相などの化合物相の析出が抑制され、コア損失の小さい優れた軟磁気特性を有する圧粉磁芯を得ることができる。
本発明による圧粉磁芯の、走査型電子顕微鏡(SEM)による断面写真を示す図。 本発明による圧粉磁芯のN/Nsを測定する方法を示す概念図。図2(a)は、Nsを求める方法を示す概念図。図2(b)は、Nを求める方法を示す概念図。
本発明の圧粉磁芯は、ナノ結晶軟磁性合金粉末の粒子が、軟磁性金属微粉末で囲まれている構造を有し、N/Nsの平均値が0.5以上0.9以下で、コア損失の小さい軟磁気特性が得られる。図2に、N/Nsの測定方法についての概念図を示す。まず、図2(a)において、任意に選択した1個のナノ結晶軟磁性合金粉末1の粒子断面の外周2に、軟磁性金属微粉末の平均粒子径を直径とする円3が、密接して配列できる最大数をNsとする。
次に、図2(b)において、ナノ結晶軟磁性合金粉末1の粒子断面の外周2の円相当径を求め、粒子断面の外周2から円相当径の0.2倍の長さ4の距離範囲5に含まれる軟磁性金属微粉末6の個数をNとし、N/Nsを得る。
上述の作業を、任意の10個のナノ結晶軟磁性合金粉末1に対して行い、任意の10個のN/Nsの平均値を求める。
本発明に用いるナノ結晶軟磁性合金粉末は、アモルファス相の軟磁性合金粉末を熱処理し、αFe(−Si)結晶相を析出させることで得られる。アモルファス相の軟磁性合金粉末の作製には、高圧の水やガスを噴射することで融解した合金を分断して急冷し固体化するアトマイズ装置などを使用することができる。特に水アトマイズ装置は、冷却速度が速いので、均一なアモルファス相の軟磁性合金粉末が得られるので好ましい。
ナノ結晶軟磁性合金粉末の組成としては、組成式FeSiCuで表され、79.0≦a≦86.0、5.0≦b≦13.0、0.0≦c≦8.0、1.0≦x≦10.0、0.0≦y≦5.0、0.4≦z≦1.4および0.06≦z/x≦1.20である組成が適用できる。
Fe元素は、磁性を担う主たる元素であるので、その含有量は飽和磁束密度向上のためには多い方が好ましく、特に81at%以上で有ることが望ましい。しかしながら86at%を超えると、アモルファス相の形成能が低下するので好ましくない。
また、耐食性の改善や電気抵抗の調整などを目的として、Feの一部をTi、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Cr、Co、Ni、Al、Mn、Zn、S、Sn、As、Sb、Bi、N、O、Ca、V、Mgおよび希土類元素、貴金属元素のうち1種類以上の元素で、組成全体の3at%以下を置換し、Feとの合計が79.0at%以上、86.0at%以下としても良い。
ナノ結晶軟磁性合金粉末の平均粒子径は、40μmを超え60μm未満で有ることが好ましい。平均粒子径が40μm以下では、保磁力が大きくなり圧粉磁芯としたときのヒステリシス損失が大きくなって好ましくない。また平均粒子径が60μm以上では、水アトマイズ法によるアモルファス相の軟磁性合金粉末の作製が困難となる。
ナノ結晶軟磁性合金粉末よりも平均粒子径が小さい軟磁性金属微粉末としては、FeまたはFe−Si系の合金などのFeを主成分とする材料が、飽和磁束密度が高いので好ましい。ナノ結晶軟磁性合金粉末の平均粒子径に対する、軟磁性金属微粉末の平均粒子径の比は、0.04以上0.15以下とするのが好ましい。平均粒子径の比が0.15よりも大きいと、軟磁性金属微粉末がナノ結晶軟磁性合金粉末の粒子間に入り難くなるので、ナノ結晶軟磁性合金粉末の粒子同士が密接し易くなり、αFe(−Si)結晶相の析出に伴う発熱量の放散性が悪くなるため好ましくない。また平均粒子径の比が0.04より小さいと、軟磁性金属微粉末を多量に製造することが困難となるので好ましくない。
ナノ結晶軟磁性合金粉末の含有量に対する軟磁性金属微粉末の添加量は、質量比において1mass%を超え15mass%未満が好ましい。αFe(−Si)結晶相の析出に伴う発熱量をより効果的に放散させるには3mass%以上10mass%以下がより好ましい。15mass%以上の軟磁性金属微粉末の添加は、軟磁性金属微粉末のヒステリシス損失の影響が大きくなり、圧粉磁芯のコア損失を増加させるため好ましくない。また1mass%以下では、αFe(−Si)結晶相の析出に伴う発熱量を放散する効果が小さい。
アモルファス相の軟磁性合金粉末とバインダー(第1のバインダー)を混合して軟磁性合金粉末の粒子表面に第1のバインダーを付着させ、さらに軟磁性金属微粉末と混合して、アモルファス相の軟磁性合金粉末の粒子表面に、第1のバインダーを介して軟磁性金属微粉末を付着させる方法としては、一般的な造粒機や混合機による撹拌効果を利用することができる。例えば撹拌造粒機、ドラム型造粒機、振動型造粒機、あるいはV型混合機などが使用できる。
本発明で使用する第1バインダーは、熱硬化性の樹脂を使用することができる。特に耐熱性に優れ絶縁性が良好な熱硬化性のシリコーン樹脂が好ましい。第1のバインダーは、そのまま混合しても良いが、適当な溶媒で希釈して用いると、混合時間を短縮することができる。
軟磁性金属微粉末が付着したアモルファス相の軟磁性合金粉末に、バインダー(第2のバインダー)を追加して造粒粉を作製する工程も、前述の一般的な造粒機を使用することができる。またここで使用する第2のバインダーは、第1のバインダーと同じでも良いし、耐熱性に優れ絶縁性が良好な熱硬化性の樹脂であれば、第1のバインダーと異なる種類のバインダーを使用しても良い。
造粒粉は、金型に充填し、加圧成形する。その後、αFe(−Si)結晶相の析出と、熱硬化性の樹脂を硬化させる熱処理を行って圧粉磁芯を作製する。熱処理における熱処理温度と熱処理時間は、アモルファス相の軟磁性合金粉末にαFe(−Si)結晶相が析出し、Fe−B、Fe−Pなどの化合物相が析出しない熱処理温度と熱処理時間を選択すれば良い。
(実施例1〜3)
原料としてFe、Fe−Si、Fe−B、Fe−PおよびCuを用い、組成式でFe82.4Si5.07.05.0Cu0.6となる様に秤量し、高周波加熱炉で溶解して合金組成物を得た。その後、水アトマイズ装置を用いてアモルファス相の軟磁性合金粉末を作製した。アモルファス相の軟磁性合金粉末の平均粒子径は約45μmであった。
次に、上記で得られたアモルファス相の軟磁性合金粉末と、第1のバインダーとして熱硬化型のシリコーン樹脂を撹拌造粒機を使用して混合し、アモルファス相の軟磁性合金粉末の粒子の表面にシリコーン樹脂を付着させた。シリコーン樹脂の量は、粉末全体に対する樹脂分の質量比が2mass%となる様にした。
続いて、カルボニル法で製造された平均粒子径が約3.6μmのFe粉末を軟磁性金属微粉末として、粒子の表面にシリコーン樹脂が付着したアモルファス相の軟磁性合金粉末と混合し、アモルファス相の軟磁性合金粉末の粒子表面にシリコーン樹脂のバインダーを介してFe粉末を付着させた。本実施例では、アモルファス相の軟磁性合金粉末の平均粒子径に対するFe粉末の平均粒子径の比は、0.08である。Fe粉末の量は、アモルファス相の軟磁性合金粉末に対して質量比で、実施例1では3mass%、実施例2では7mass%、そして実施例3では10mass%とした。
Fe粉末がシリコーン樹脂のバインダーを介して粒子表面に付着したアモルファス相の軟磁性合金粉末に、粉末全体に対する樹脂分の質量比で1mass%の熱硬化型のシリコーン樹脂を第2のバインダーとして追加して混合し、造粒を行って造粒粉とした。
得られた造粒粉2.5gを金型に投入し、980MPaで加圧成形を行いトロイダル形状の圧粉体を作製した。圧粉体の寸法は、外径13mm、内径8mm、厚さが5mmである。
圧粉体は、赤外線加熱型の環状炉を用いて、熱処理温度450℃、熱処理時間20分で熱処理を行ってαFe(−Si)結晶相の析出と熱硬化性シリコーン樹脂の硬化を行い、圧粉磁芯を作製した。
上記で作製した圧粉磁芯に巻線を行い、B−Hアナライザーを用いて周波数20kHz、磁束密度100mTにおけるコア損失を測定した。
また、圧粉磁芯を任意の断面で切断し、切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察を行い、N/Nsを測定した。図1は、実施例3の圧粉磁芯のSEMによる断面写真の一例である。ナノ結晶軟磁性合金粉末1の粒子を軟磁性金属微粉末6が取り囲んでいることが判る。
(比較例1、2)
比較例1、2は、アモルファス相の軟磁性合金粉末に対するFe粉末の量を質量比で、比較例1では1mass%、比較例2では15mass%とした以外は、実施例1〜3と同様にして圧粉磁芯の作製を行い、コア損失と、N/Nsの平均値を測定した。
(比較例3)
比較例3は、実施例1〜3と同じアモルファス相の軟磁性合金粉末と、バインダーとして実施例1〜3と同じ熱硬化型のシリコーン樹脂を、粉末全体に対する樹脂分が質量比で3mass%となる様に加えて混合し造粒粉を作製した。その後、実施例1〜3と同様にして圧粉磁芯の作製を行い、コア損失の測定を行った。比較例3では軟磁性金属微粉末を加えていないので、N/Nsは測定しなかった。
(比較例4)
比較例4は、実施例1〜3と同じアモルファス相の軟磁性合金粉末に、実施例1〜3と同じFe粉末と実施例1〜3と同じ熱硬化型のシリコーン樹脂を同時に加えて混合して造粒粉を作製した。Fe粉末の量は、アモルファス相の軟磁性合金粉末に対して質量比で10mass%である。また熱硬化型のシリコーン樹脂の量は、粉末全体に対する樹脂分が質量比で3mass%となる様にした。その後、実施例1〜3と同様にして圧粉磁芯の作製を行い、コア損失と、N/Nsの平均値の測定を行った。
Figure 2015201481
表1に、実施例1〜3と比較例1〜4について、加えた軟磁性金属微粉末の量、測定したN/Nsの平均値、およびコア損失の値を示す。表1の実施例1〜3と比較例1〜3を対比すると、軟磁性金属微粉末の量が質量比で1mass%超え15mass%未満で、N/Nsの平均値が0.5以上0.9以下の本発明による圧粉磁芯は、比較例と比べてコア損失が小さいことが判る。また、軟磁性金属微粉末の量が質量比で15mass%以上では、ヒステリシス損失の増加によってコア損失が大きくなっていることが判る。
また、表1の実施例3と比較例4を対比すると、本発明による圧粉磁芯の製造方法は、加えた軟磁性金属微粉末の質量比が同じ従来の製造方法と比較して、N/Nsの平均値は大きくなり、コア損失の小さい圧粉磁芯が得られることが判る。
以上述べた様に、本発明は、軟磁性金属微粉末の量が質量比で1mass%超え15mass%未満で、N/Nsの平均値が0.5以上0.9以下とすることにより、コア損失の小さい優れた軟磁気特性を有する圧粉磁芯を得ることができる。
本発明は、以上に説明した実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により多くの変形が可能である。
1 ナノ結晶軟磁性合金粉末
2 粒子断面の外周
3 軟磁性金属微粉末の平均粒子径を直径とする円
4 ナノ結晶軟磁性合金粉末の粒子断面の円相当径の0.2倍の長さ
5 距離範囲
6 軟磁性金属微粉末

Claims (7)

  1. αFe(−Si)結晶相を有するナノ結晶軟磁性合金粉末と、前記ナノ結晶軟磁性合金粉末よりも平均粒子径が小さい軟磁性金属微粉末と、バインダーを含む圧粉磁芯であって、
    前記圧粉磁芯の断面において、
    前記軟磁性金属微粉末の平均粒子径を直径とする円が、前記ナノ結晶軟磁性合金粉末の粒子断面の外周に密接して配列できる最大数をNsとし、
    前記ナノ結晶軟磁性合金粉末の前記粒子断面の外周から前記ナノ結晶軟磁性合金粉末の前記粒子断面の円相当径の0.2倍の長さの距離範囲に、少なくとも一部が含まれる前記軟磁性金属微粉末の粒子の数をNとしたとき、
    N/Nsの平均値が0.5以上0.9以下であることを特徴とする圧粉磁芯。
  2. 前記ナノ結晶軟磁性合金粉末の平均粒子径に対する前記軟磁性金属微粉末の平均粒子径の比が、0.04以上0.15以下である請求項1に記載の圧粉磁芯。
  3. 前記ナノ結晶軟磁性合金粉末の平均粒子径は、40μmを超え60μm未満である請求項1または2に記載の圧粉磁芯。
  4. 前記ナノ結晶軟磁性合金粉末の含有量に対する前記軟磁性金属微粉末の添加量が、質量比において1mass%を超え15mass%未満である請求項1乃至3のいずれかに記載の圧粉磁芯。
  5. 前記軟磁性金属微粉末の主たる成分が、Feである請求項1乃至4のいずれかに記載の圧粉磁芯。
  6. 前記ナノ結晶軟磁性合金粉末の組成が、組成式FeSiCuで表され、
    79.0≦a≦86.0、5.0≦b≦13.0、0.0≦c≦8.0、1.0≦x≦10.0、0.0≦y≦5.0、0.4≦z≦1.4および0.06≦z/x≦1.20で、
    Feの一部をTi、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Cr、Co、Ni、Al、Mn、Zn、S、Sn、As、Sb、Bi、N、O、Ca、V、Mgおよび希土類元素、貴金属元素のうち1種類以上の元素で、組成全体の3at%以下を置換し、Feとの合計が79.0at%以上、86.0at%以下である請求項1乃至5のいずれかに記載の圧粉磁芯。
  7. 熱処理によりナノ結晶を析出させるアモルファス相の軟磁性合金粉末と、バインダーを混合して前記軟磁性合金粉末の表面に前記バインダーを付着させ、
    前記バインダーを付着させた前記軟磁性合金粉末と、前記軟磁性合金粉末よりも平均粒子径が小さい軟磁性金属微粉末とを混合して、前記軟磁性合金粉末の粒子表面に前記バインダーを介して前記軟磁性金属微粉末を付着させ、
    前記軟磁性金属微粉末が付着した前記軟磁性合金粉末に、バインダーを追加し、混合して造粒粉を作製し、
    前記造粒粉を金型に充填して加圧成形により圧粉体を作製し、
    前記圧粉体を熱処理して前記軟磁性合金粉末にαFe(−Si)結晶相を析出させることを特徴とする圧粉磁芯の製造方法。
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