JP2015199995A - 自動車部材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高濃度塩水水溶液浸漬下における塗装密着性を高めた自動車部材の製造方法を提供する。
【解決手段】本実施形態による自動車部材の製造方法は、鋼板を準備する工程と、鋼板に対して、質量%で0.10〜0.15%のAl濃度を有する溶融亜鉛めっき浴を利用した溶融亜鉛めっき処理を実施する工程と、溶融亜鉛めっき処理された鋼板をAc3点〜950℃に加熱した後、金型を用いて鋼板をプレスしながら焼入れしてホットスタンプ鋼材を成形する工程と、ホットスタンプ鋼材に対して、ジルコニウム及び/又はチタニウムイオンとフッ素とを含有し、100〜1000ppmの遊離フッ素イオンを含有する水溶液を用いて化成処理を実施する工程とを備える。
【選択図】なし

Description

本発明は、部材の製造方法に関し、さらに詳しくは、自動車部材の製造方法に関する。
自動車等に用いられる部材を高強度にするために、ホットスタンプにより自動車部材が製造される場合がある。ホットスタンプでは、Ac3点以上に加熱された鋼板を、金型でプレスしつつ、金型で鋼板を急冷する。つまり、ホットスタンプでは、プレスと焼入れとを同時に行う。ホットスタンプにより、形状精度が高く、高強度の自動車部材を製造できる。
鋼板に対してホットスタンプを実施した場合、鋼板表面に鉄酸化物が形成される。鉄酸化物は鋼板の塗装密着性を低下する。つまり、鉄酸化物が形成された場合、鋼板表面を塗装しても、塗膜が剥離しやすい。
特開2003−73774号公報(特許文献1)及び特開2003−129209号公報(特許文献2)及び特開2003−126921号公報(特許文献3)は、塗装密着性を改善する技術を提案する。
特許文献1〜特許文献3では、ホットスタンプ用鋼板として、溶融亜鉛めっき鋼板を利用する。溶融亜鉛めっき鋼板をホットスタンプに利用することにより、鉄酸化物が表面に形成されることなく、構造部材を成形できる。
特開2003−73774号公報 特開2003−129209号公報 特開2003−126921号公報 国際公開第2002/103080号
しかしながら、溶融亜鉛めっき鋼板や合金化溶融亜鉛めっき鋼板をホットスタンプに利用した場合、りん酸塩処理により形成されるりん酸塩皮膜が付着しにくい(つまり、りん酸塩処理性が低い)場合がある。特に、通電加熱又は誘導加熱により鋼板をAc3点以上に急速に加熱した後、速やかにプレス成形を行う場合、りん酸塩処理性が低下する。さらに、高濃度塩水水溶液に部材を浸漬した場合の塗装密着性も低下する。
本発明の目的は、高濃度塩水水溶液浸漬下における塗装密着性を高めた自動車部材の製造方法を提供することである。
本実施形態による自動車部材の製造方法は、質量%で、C:0.05〜0.4%、Si:0.5%以下、Mn:0.5〜2.5%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、sol.Al:0.1%以下、N:0.01%以下、B:0〜0.005%、Ti:0〜0.1%、Cr:0〜0.5%、Nb:0〜0.1%、Ni:0〜1.0%、及び、Mo:0〜0.5%を含有し、残部がFe及び不純物からなる化学組成を有する鋼板を準備する工程と、鋼板に対して、質量%で0.10〜0.15%のAl濃度を有する溶融亜鉛めっき浴を利用した溶融亜鉛めっき処理を実施する工程と、溶融亜鉛めっき処理された鋼板をAc3点〜950℃に加熱した後、金型を用いて鋼板をプレスしながら焼入れしてホットスタンプ鋼材を成形する工程と、ホットスタンプ鋼材に対して、Zrイオン及び/又はTiイオンとフッ素とを含有し、100〜1000ppmの遊離フッ素イオンを含有する水溶液を用いて化成処理を実施する工程とを備える。
本実施形態の製造方法により製造された自動車部材は、高濃度塩水水溶液浸漬下における塗装密着性に優れる。
以下、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明者らは、自動車部材の塗装密着性に関して調査及び検討を行った。その結果、本発明者らは次の知見を得た。
溶融亜鉛めっき処理に利用される溶融亜鉛めっき浴(以下、単にめっき浴という)には、Alが含有される。めっき浴の温度は440〜480℃程度であり、高温である。このような高温下でFeとZnとが接触すると、FeとZnとが継続的に合金化して、ドロスが発生する。めっき浴にAlが含有されれば、FeとZnとが反応する前に、FeとAlとが反応するため、ドロスの発生が抑制される。そのため、通常、めっき浴にはAlが含有される。
めっき浴にAlが含有されるため、溶融亜鉛めっき鋼板のめっき層にもAlが含有される。めっき層中のAlは易酸化性であり、めっき後の表面に既に数nmの厚みのAl酸化皮膜が形成されている。Alはさらに、Ac3点以上のホットスタンプの加熱時に拡散してZn含有層(ホットスタンプ後に元来Znめっき中に含まれていたZnを含有する層を以下(加熱後の)Zn含有層と区別して表現することとする)の表層に移動して、より厚みの大きいAl及びZnの酸化膜を形成する。Al酸化皮膜を含む酸化皮膜は、りん酸に溶解しにくい。そのため、りん酸塩(りん酸亜鉛)との反応が阻害され、塗装密着性が低下する。
そこで、本実施形態では、りん酸塩の代わりに、Zrイオン及び/又はTiイオンとフッ素とを含有し、100〜1000ppmの遊離フッ素イオンを含有する水溶液(以下、FF化成処理液という)を用いて化成処理を実施する。遊離フッ素は(以下FFと略する)、Al酸化皮膜及びZn酸化皮膜を溶解する。そのため、FFは、Al酸化皮膜及びZn酸化皮膜の一部又は全部を溶解しながら、ホットスタンプ工程にて形成されたZn含有層をエッチングする。その結果、Zr及び/Tiの酸化物、又は、Zr及び/Tiの酸化物とフッ化物との混合物からなる化成処理層(以下、特定化成処理層という)が形成される。Al酸化皮膜及びZn酸化皮膜をエッチングできるようFF濃度を制御すれば、Al酸化皮膜及びZn酸化皮膜がエッチングされ、特定化成処理層が形成される。その結果、塗装密着性が高まる。
りん酸塩処理においては、Al酸化皮膜との反応性を高めるために、FF濃度を所定値以上に高めることは知られている。しかしながら、りん酸塩処理のpHは2〜3程度の酸性領域である。したがって、りん酸塩処理において、FFをFF化成処理液と同様の濃度まで高めた場合、Zn含有層へのエッチングが過多になり、りん酸塩皮膜の過剰析出やりん酸塩及びフッ化物等を含むスラッジが多く発生する原因となる。りん酸塩皮膜が過剰に析出すれば、塗装密着性が改善されにくくなり、さらに、化成処理工程において、Zn含有層の過度な溶損の原因となる。
以上の知見に基づいて完成した本実施形態の自動車部材の製造方法は、質量%で、C:0.05〜0.4%、Si:0.5%以下、Mn:0.5〜2.5%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、sol.Al:0.1%以下、N:0.01%以下、B:0〜0.005%、Ti:0〜0.1%、Cr:0〜0.5%、Nb:0〜0.1%、Ni:0〜1.0%、及び、Mo:0〜0.5%を含有し、残部がFe及び不純物からなる化学組成を有する鋼板を準備する工程と、鋼板に対して、質量%で0.10〜0.15%のAl濃度を有する溶融亜鉛めっき浴を利用した溶融亜鉛めっき処理を実施する工程と、溶融亜鉛めっき処理された鋼板をAc3点〜950℃に加熱した後、金型を用いて鋼板をプレスしながら焼入れしてホットスタンプ鋼材を成形する工程と、ホットスタンプ鋼材に対して、Zrイオン及び/又はTiイオンとフッ素とを含有し、100〜1000ppmの遊離フッ素イオンを含有する水溶液を用いて化成処理を実施する工程とを備える。
上記溶融亜鉛めっき処理を実施する工程は、溶融亜鉛めっき処理された鋼板を加熱して合金化処理を実施する工程を含んでもよい。
本実施形態による製造方法で用いるFF化成処理液のFF濃度は、通常のりん酸亜鉛処理液に含まれるFF濃度よりも高い。そのため、化成処理工程中の鋼材表層のAl酸化皮膜及びZn酸化皮膜の影響を抑えることができる。さらに、特定化成処理層の塗装耐食性は高い。そのため、FF化成処理液の高いFF濃度と、特定化成処理層との相乗効果により、優れた塗装密着性が得られる。
以下、上述の自動車部材の製造方法について詳述する。
[製造工程]
本実施形態による自動車部材の製造方法は、準備工程と、溶融亜鉛めっき処理工程と、ホットスタンプ工程と、化成処理工程とを備える。以下、各工程について詳述する。
[準備工程]
初めに、鋼板素材を準備する。鋼板素材は、次の化学組成を有する。以下、元素に関する「%」は、質量%を意味する。
C:0.05〜0.4%
炭素(C)は、ホットスタンプ後の鋼材の強度を高める。C含有量が低すぎれば、上記効果が得られない。一方、C含有量が高すぎれば、ホットスタンプ後の強度は高くなるが、鋼板の靭性が低下する。すなわち所望の強度と靱性が得られるようC量は調整されればよい。その際に好ましいC含有量は、0.05〜0.4%である。C含有量の好ましい下限は0.10%である。C含有量の好ましい上限は0.35%である。
Si:0.5%以下
シリコン(Si)は一般的に鋼の脱酸目的で使用されることが多く、その場合不可避的に含有される。しかしながら、Si含有量が高すぎれば、ホットスタンプにおける加熱中に鋼中のSiが拡散し、鋼板表面に酸化物を形成する。酸化物はりん酸塩処理性を低下し得る。Siはさらに、鋼板のAc3点を上昇させる働きがあり、Ac3点が上昇するとホットスタンプ時の加熱温度が、Znめっきの蒸発温度を超えてしまう。したがって、Si含有量は0.5%以下である。好ましいSi含有量の上限は0.3%である。Si含有量の好ましい下限は、求められる脱酸レベルによるが、0.05%である。
Mn:0.5〜2.5%
マンガン(Mn)は、焼入れ性を高め、ホットスタンプ後の鋼材の強度を高める。Mn含有量が低すぎれば、その効果が得られない。一方、Mn含有量が高すぎれば、その効果が飽和する。したがって、Mn含有量は0.5〜2.5%である。Mn含有量の好ましい下限は0.6%である。Mn含有量の好ましい上限は2.4%である。
P:0.03%以下
りん(P)は鋼中に含まれる不純物である。Pは粒界に偏析して鋼の靭性を低下し、耐遅れ破壊性を低下する。したがって、P含有量はなるべく低い方が好ましい。P含有量は0.03%以下である。
S:0.01%以下
硫黄(S)は鋼中に含まれる不純物である。Sは硫化物を形成して鋼の靭性を低下し、耐遅れ破壊性を低下する。したがって、S含有量はなるべく低い方が好ましい。S含有量は0.01%以下である。
sol.Al:0.1%以下
アルミニウム(Al)は一般的に鋼の脱酸目的で使用されることが多く、その場合不可避的に含有される。一方、Al含有量が高すぎれば、脱酸は十分となるが、鋼板のAc3点が上昇して、ホットスタンプ時の必要な加熱温度がZnめっきの蒸発温度を超える。したがって、Al含有量は0.1%以下である。Al含有量の好ましい上限は0.05%である。Al含有量の好ましい下限は0.01%である。本明細書におけるAl含有量は、sol.Al(酸可溶Al)の含有量を意味する。
N:0.01%以下
窒素(N)は鋼中に不可避的に含まれる不純物である。Nは窒化物を形成して鋼の靭性を低下する。Nはさらに、Bが含有される場合、Bと結合して固溶B量を減らす。その結果、焼入れ性が低下する。したがって、N含有量はなるべく低い方が好ましい。N含有量は0.01%以下である。
本実施形態の鋼板の化学組成の残部はFe及び不純物からなる。本明細書において、不純物とは、鉄鋼材料を工業的に製造する際に、原料としての鉱石、スクラップ、または製造環境などから混入するものを意味する。
本実施形態による鋼板はさらに、B及びTiを含有してもよい。
B:0〜0.005%
ボロン(B)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Bは鋼の焼入れ性を高め、ホットスタンプ後の鋼材の強度を高める。しかしながら、B含有量が高すぎれば、その効果が飽和する。したがって、B含有量は、0〜0.005%である。B含有量の好ましい下限は0.0001%である。
Ti:0〜0.1%
チタン(Ti)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、TiはNと結合して窒化物を形成する。そのため、BとNとの結合が抑制され、BN形成による焼入れ性の低下を抑制できる。しかしながら、Ti含有量が高すぎれば、上記効果が飽和し、さらに、Ti窒化物が過剰に析出して鋼の靭性が低下する。したがって、Ti含有量は0〜0.1%である。Tiはそのピン止め効果により、ホットスタンプ加熱時のオーステナイト粒径を微細化し、それにより鋼材の靱性等を高める。Ti含有量の好ましい下限は0.01%である。
本実施形態による鋼板はさらに、Cr及びMoからなる群から選択される1種以上を含有する。これらの元素は任意元素であり、鋼の焼入れ性を高める。
Cr:0〜0.5%
クロム(Cr)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Crは鋼の焼入れ性を高める。しかしながら、Cr含有量が高すぎれば、Cr炭化物が形成され、ホットスタンプの加熱時に炭化物が溶解しにくくなる。そのためオーステナイト化が進行しにくくなり、焼き入れ性が低下する。したがって、Cr含有量は0〜0.5%である。Cr含有量の好ましい下限は0.1%である。
Mo:0〜0.5%
モリブデン(Mo)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Moは鋼の焼入れ性を高める。しかしながら、Mo含有量が高すぎれば、上記効果が飽和する。したがって、Mo含有量は0〜0.5%である。Mo含有量の好ましい下限は0.05%である。
本実施形態による鋼板はさらに、Nb及びNiからなる群から選択される1種以上を含有してもよい。これらの元素は任意元素であり、鋼の靭性を高める。
Nb:0〜0.1%
ニオブ(Nb)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Nbは炭化物を形成して、ホットスタンプ時に結晶粒を微細化する。細粒化により、鋼の靭性が高まる。しかしながらNb含有量が高すぎれば、上記効果が飽和する。Nb含有量が高すぎればさらに、焼入れ性が低下する。したがって、Nb含有量は0〜0.1%である。Nb含有量の好ましい下限は0.02%である。
Ni:0〜1.0%
ニッケル(Ni)は任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Niは鋼の靭性を高める。Niはさらに、ホットスタンプでの加熱時に、溶融Znに起因した脆化を抑制する。しかしながら、Ni含有量が高すぎれば、上記効果が飽和する。したがって、Ni含有量は0〜1.0%である。Ni含有量の好ましい下限は0.1%である。
上述の化学組成を有する鋼板は、次の方法で製造される。上述の化学組成を有する溶鋼を製造する。製造された溶鋼を用いて、鋳造法によりスラブを製造する。製造された溶鋼を用いて、造塊法によりインゴットを製造してもよい。製造されたスラブ又はインゴットを熱間圧延して鋼板(熱延鋼板)を製造する。必要に応じて、熱延鋼板に対して酸洗処理を実施し、酸洗処理後の熱延鋼板に対して冷間圧延を実施して鋼板(冷延鋼板)としてもよい。
[溶融亜鉛めっき処理]
上記鋼板に対して、溶融亜鉛めっき処理を実施する。具体的には、鋼板をめっき浴(溶融亜鉛めっき浴)に浸漬して鋼板表面にめっきを付着させる。めっきが付着した鋼板をめっき浴から引きあげる。好ましくは、鋼板表面のめっき付着量を調整して20〜100g/m2にする。鋼板の引き上げ速度や、ワイピングのガスの流量を調整することにより、めっき付着量を調整できる。めっき付着量のさらに好ましい下限は25g/m2である。めっき付着量のさらに好ましい上限は80g/m2である。
溶融亜鉛めっき浴中のAl濃度は0.10〜0.15質量%である。めっき浴中のAl濃度が低すぎれば、鋼板とめっき界面におけるFeAl合金相の形成が不十分となり、めっき皮膜が不均一に形成される。Al濃度が低すぎればさらに、鋼板中のFeがめっき浴中に溶出する。溶出されたFeはドロスを生成する。Al濃度が高すぎれば、めっき皮膜中のFeAl合金層が過剰に厚く形成される。後述する合金化処理を実施する場合、FeAl合金層が厚すぎれば、反応速度が遅くなり生産性が低下する。したがって、めっき浴中のAl濃度は0.10〜0.15質量%である。Al濃度の好ましい上限は0.135質量%である。溶融亜鉛めっき処理後の鋼板に対して、調質圧延等を適宜実施してもよい。以上の工程により、鋼板(ホットスタンプ用鋼板)が製造される。
[ホットスタンプ工程]
鋼板に対して、ホットスタンプを実施する。ホットスタンプには、緩加熱によるホットスタンプと、急速加熱によるホットスタンプとがある。
緩加熱によるホットスタンプでは、主に輻射熱を加熱に利用する。初めに、ホットスタンプ用鋼板を加熱炉(ガス炉、電気炉、赤外線炉等)に装入する。加熱炉内で、ホットスタンプ用鋼板をAc3点〜950℃に加熱し、この温度で保持(均熱)する。加熱により、めっき層中のZnが液化する。しかしながらホットスタンプ用鋼板を上記温度で均熱することにより、めっき層中の溶融ZnがFeと結合して固相(Fe−Zn固溶体相)となる。めっき層中の溶融ZnをFeと結合して固相化した後、加熱炉から鋼板を抽出する。
均熱によりめっき層中の溶融ZnをFeと結合してFe−Zn固溶体相として加熱炉から抽出し鋼板を準備してもよいし、加熱炉から抽出後、ZnFe合金相として固相化するまで降温させ、プレス用の鋼板を準備してもよい。なお液体のZnが存在する状態の鋼板に対してプレスを実施すれば、液体金属脆性により粒界に液体Znが浸入し、ホットスタンプ部材に割れが生じる場合がある。そのため、液体Znが固相化した後、プレスを実施する。
加熱後の鋼板を、金型を用いてプレスする。鋼板をプレスするとき、金型により鋼板を焼入れする。金型内には冷却媒体(たとえば水)が循環しており、金型が鋼板を抜熱して焼入れする。以上の工程により、緩加熱によりホットスタンプ鋼材を製造する。
急速加熱によるホットスタンプでは、次の工程を実施する。初めに、鋼板をAc3点〜950℃まで急速加熱する。急速加熱はたとえば、通電加熱又は誘導加熱により実施される。平均加熱速度は20℃/秒以上である。急速加熱の場合、鋼板をAc3点〜950℃に加熱した後、めっき層中の溶融ZnがFeと結合して固相(Fe−Zn固溶体相又はZnFe合金相)になるまで、プレス成形等、鋼材に応力を付与することなく冷却する。具体的には、少なくとも鋼板の温度が782℃以下になるまで冷却する。冷却後、金型を用いて鋼板をプレスしながら焼入れする。
緩加熱及び急速加熱のいずれの工程においても、成形されたホットスタンプ鋼材の組織は、体積率で90%以上のマルテンサイトを含有する。そのため、ホットスタンプ鋼材は高い強度を有する。
本実施形態のように、亜鉛めっき皮膜(溶融亜鉛めっき皮膜、又は、後述の合金化溶融亜鉛めっき皮膜)を有する鋼板に対してホットスタンプを実施する場合、加熱雰囲気は酸化雰囲気であることが好ましい。酸素濃度が小さいと、亜鉛めっき皮膜の表面にAl及びZn酸化皮膜が十分に形成されず、Znが蒸発する場合がある。Znが蒸発すると、鋼板表面でFeが露出する。この場合、Feの酸化が生じてスケールが形成される。したがって、加熱雰囲気中の好ましい酸素濃度は1%以上である。
大気雰囲気で鋼板を加熱した後、ホットスタンプを実施してもよい。鋼板表面に酸化皮膜が形成されるのは、亜鉛系めっき皮膜を有する鋼板に対してホットスタンプを実施する場合に不可避な現象である。したがって、鋼板表面に酸化皮膜が形成されることを前提として、化成処理及び塗装設計がされる。
[ホットスタンプ工程後の工程]
ホットスタンプ後の鋼材(ホットスタンプ鋼材)に対して化成処理工程を実施する前に、ホットスタンプ鋼材に対してアルカリ脱脂を実施してもよい。アルカリ脱脂により、鋼材表面が洗浄され、鋼材表面のダストや酸化粉が除去される。
アルカリ脱脂は通常、冷間成形された鋼材(ブランク)の油分を除去する目的で実施される。ホットスタンプ鋼材の表面には、その製造工程上、油分が付着しにくい。しかしながら、ホットスタンプ鋼材の表面に対してアルカリ脱脂を実施した場合、表面のダストや酸化粉が除去され、さらに、鋼材表面の水濡れ性が高まる。鋼材表面の水濡れ性が高まれば、後工程である化成処理工程での鋼材表面の反応性が高まる。
[化成処理工程]
溶融亜鉛めっき鋼板の表面には、Al酸化皮膜及びZn酸化皮膜が形成されている。ホットスタンプ時の加熱により、鋼材表層に既に形成されているAl酸化皮膜及びZn酸化皮膜が成長する。
Al酸化皮膜は上述のとおり、りん酸塩処理液への溶解が不十分である。そのため、りん酸塩皮膜が十分に形成されない。この場合、カチオン電着塗装を実施したホットスタンプ鋼材の塗装密着性が低下する。したがって、化成処理工程において、塗装密着性がりん酸亜鉛よりも優れ、かつ、化成処理工程中にてAl酸化皮膜及びZn酸化皮膜の影響を抑えることができる方が好ましい。
本実施形態では、Zrイオン及び/又はTiイオンとフッ素とを含有し、かつ、一定濃度以上のFFを含有する化成処理水溶液(以下、FF化成処理液という)を用いて、化成処理を実施する。FF化成処理液をホットスタンプ鋼材に塗布する。FFは、鋼材表面のAl酸化皮膜及びZn酸化皮膜を溶解する。そのため、FF化成処理液により、Al酸化皮膜及びZn酸化皮膜の一部又は全部を溶解しながら、鋼材表層のZn含有層をエッチングする。この結果、鋼材表面に、Zr及び/又はTiの酸化物、又は、Zr及び/又はTiの酸化物及びフッ化物の混合物からなる化成処理層(特定化成処理層)が形成される。
FF化成処理液のFF濃度は、通常のりん酸亜鉛処理液に含まれるFF濃度よりも高い。そのため、化成処理工程中の鋼材表層のAl酸化皮膜及びZn酸化皮膜の影響を抑えることができる。さらに、特定化成処理層の塗装耐食性は高い。FF化成処理液のFF濃度と、特定化成処理層との相乗効果により、優れた塗装耐食性が得られる。
具体的には、FF化成処理液は、100〜1000ppmのFFを含有する。この場合、特定化成処理層が効率良く緻密に形成され、塗装密着性がさらに高まる。FF濃度が100ppm未満の場合、エッチング能が低いため、塗装密着性が低くなる。一方、FF濃度が1000ppmを超えれば、エッチング能が高くなりすぎる。この場合、化成処理層の形成が不十分になる。FF化成処理液中のFF濃度の好ましい上限は500ppmである。
好ましくは、FF化成処理液はさらに、500〜5000ppmのZrイオン及び/又はTiイオンと、1000〜25000ppmのフッ素とを含有する。ここで、Zrイオン及び/又はTiイオン濃度は、FF化成処理液中にZrイオン及びTiイオンが存在する場合、Zrイオン及びTiイオンの総含有量を意味する。
FF化成処理液中のZrイオン及び/又はTiイオンが500ppm未満である場合、化成処理層が効率的に形成されにくい。一方、Zrイオン及び/又はTiイオンが5000ppmを超えれば、化成処理層が過度に形成され、生産コストが高くなる。FF化成処理液中のZrイオン及び/又はTiイオン濃度の好ましい下限は1000ppmであり、好ましい上限は3000ppmである。FF化成処理液中のフッ素含有量が1000ppm未満、又は、25000ppmを超える場合、形成される化成処理層が不十分である。
ホットスタンプ鋼材へのFF化成処理液の塗布方法は特に限定されない。たとえば、スプレーによりFF化成処理液をホットスタンプ鋼材表面に塗布してもよい。また、FF化成処理液からなる浴を準備して、浴にホットスタンプ鋼材を浸漬してもよい。この場合も、ホットスタンプ鋼材表面にFF化成処理液が付着される。
ホットスタンプ鋼材表面で均一な反応を促進するためには、浸漬によりFF化成処理液をホットスタンプ鋼材表面に付着させる方が好ましい。FF化成処理液を鋼材に付着させる際のFF化成処理液の好ましい温度は30〜50℃である。
FF化成処理液の鋼材表面で付着時間(浴を使用する場合は浸漬時間)は、好ましくは30秒以上であり、通常は、120秒程度である。FF化成処理液の鋼材表面での付着時間の好ましい上限は300秒である。化成処理後、鋼材表面を水洗等により洗浄し、鋼材表面からFF化成処理液を除去する。水洗後の鋼材表面を脱イオン水で水洗した後乾燥する。これにより、ホットスタンプ鋼材表面でのイオン性物質の残留を極力抑える方が好ましい。以上の工程により、化成処理が実施され、自動車部材が製造される。
[化成処理後の工程]
自動車部材に対して、周知のカチオン電着塗装を実施する。カチオン電着塗装を行った後その上層に、中塗り、上塗りといった意匠性及び耐食性を目的としたスプレー塗装を実施してもよい。またカチオン電着塗装の替わりに、上述のスプレー塗装をそのまま施してもよい。カチオン電着塗装の場合、現在、15μm程度のカチオン電着塗装膜の厚みが標準的に使用される。使用されるカチオン電着塗装厚膜の厚みに応じて、化成処理条件(浸漬時間)を設定することが好ましい。
[合金化溶融亜鉛めっき鋼板を用いたホットスタンプの製造方法]
上述の製造方法では、溶融亜鉛めっき鋼板(GI:Galvanized Iron)を用いてホットスタンプ鋼材を製造した。しかしながら、本実施形態の自動車部材の製造方法では、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA:Galvannealed Iron)を用いてホットスタンプを実施してもよい。
具体的には、溶融亜鉛めっき処理工程において、合金化処理工程を実施する。
[合金化処理工程]
合金化処理工程では、溶融亜鉛めっき層が形成された鋼板(溶融亜鉛めっき鋼板)をたとえば、470〜600℃で加熱する。加熱後、たとえば30秒以内で均熱し、その後、冷却する。上記加熱温度まで加熱した直後に冷却してもよい。加熱温度及び均熱時間は上述の加熱温度及び均熱時間に限定されない。めっき層中の所望のFe濃度に応じて、加熱温度及び均熱時間は適宜設定される。
合金化処理における加熱温度の好ましい下限は540℃である。この場合、合金化処理工程において、めっき層中のFe濃度が増加して、表層に形成されるAl酸化膜の量が増加する。またZn酸化膜も生成する。
以上の合金化処理により、めっき層が合金化溶融亜鉛めっき層であるホットスタンプ用鋼板(つまり、合金化溶融亜鉛めっき鋼板)が製造される。以降の工程(ホットスタンプ工程及び化成処理工程)は、上述のとおりである。本実施形態の製造方法では、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)であっても、溶融亜鉛めっき鋼板(GI)と同様の効果が得られる。
[防錆油膜形成工程]
上述の製造方法はさらに、ホットスタンプ工程の前に、防錆油膜形成工程を含んでもよい。
防錆油膜形成工程では、アルカリ洗浄工程を実施後のホットスタンプ用鋼板の表面に、防錆油を塗布して防錆油膜を形成する。ホットスタンプ用鋼板が製造されてから、ホットスタンプ工程が実施されるまでの期間が長い場合があり得る。その場合、ホットスタンプ用鋼板の表面が酸化又は発錆する場合があり得る。本工程により防錆油膜が形成された鋼板の表面は酸化しにくく、スケールの発生がより抑制される。
[ブランキング加工工程]
上述の製造方法はさらに、防錆油膜形成工程の後であって、ホットスタンプ工程の前に、ブランキング加工工程を実施してもよい。
ブランキング加工では、ホットスタンプ用鋼板を剪断加工及び/又は打ち抜き加工等により、特定の形状に成形する。ブランキング加工後の鋼板の剪断面が酸化しやすくなる。鋼板表面に防錆油膜が形成されていれば、剪断面にも防錆油がある程度広がる。そのため、ブランキング加工後の鋼板の酸化が抑制される。
表1に示す化学組成を有する鋼A〜Hの鋼板を準備した。
Figure 2015199995
表1を参照して、いずれの鋼の化学組成も、本実施形態の鋼板素材の化学組成を満たした。
上記化学組成の各鋼の溶鋼を製造した。溶鋼を用いて連続鋳造法によりスラブを製造した。スラブを熱間圧延し、熱延鋼板を製造した。熱延鋼板を酸洗した後、冷間圧延を実施して、冷延鋼板を製造した。冷延鋼板をホットスタンプ用の鋼板とした。表1に示すとおり、各鋼種の鋼板の板厚はいずれも1.6mmであった。
鋼A〜Hの鋼板を利用して、表2中の試験番号1〜16、及び、表3の試験番号17〜28の製造条件でホットスタンプ鋼材を製造した。
Figure 2015199995
Figure 2015199995
具体的には、試験番号1〜28の鋼板に対して、溶融亜鉛めっき処理を実施した。各試験番号で用いためっき浴のAl濃度は表2及び表3に示すとおりであった。溶融亜鉛めっき処理後、試験番号1〜17及び19〜27の鋼板に対しては、合金化処理を実施した。合金化処理での最高温度はいずれも530℃であり、約30秒加熱した後、室温まで冷却した。
以上の工程により、試験番号1〜17及び19〜27では、合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)を製造し、試験番号18及び28では、溶融亜鉛めっき鋼板(GI)を製造した。表2,3中の「鋼板種類」欄の「GA」は合金化溶融亜鉛めっき鋼板を意味し、「GI」は溶融亜鉛めっき鋼板を意味する。溶融亜鉛めっき処理を実施した後、常法によりめっき付着量及びFe濃度を測定した。
表2の鋼板について、輻射加熱(緩加熱)によるホットスタンプを実施した。また表3の鋼板について、通電加熱(急速加熱)によるホットスタンプを実施した。各々の条件は以下の通りであった。
[輻射加熱(緩加熱)]
表2の各試験番号において、100mm×300mmの鋼板を準備した。加熱には大気雰囲気の遠赤外線加熱炉を使用した。炉温設定を900℃とした。鋼板を加熱炉に挿入後、880℃までおよそ120秒で昇温し、その後鋼板挿入後240秒となるまで加熱した。
その後、加熱炉から鋼板を取り出し、そのまま水冷ジャケットを備えた平板金型まで移送し、平板金型に鋼板を挟み込んでホットスタンプ鋼材(鋼板)を製造した。平板金型に鋼板を挟み込んだときの鋼板温度は約800℃であった。このときマルテンサイト変態開始点である360℃程度まで、50℃/秒以上の冷却速度となるようにホットスタンプ条件を調整し焼入れした。
[通電加熱(急速加熱)]
表3の各試験番号において、70mm×420mmの鋼板を準備した。鋼板の両端を電極金属(Cu)にて挟み込み、その後約870℃まで加熱した。この時の加熱速度はおよそ85℃/秒であった。その後通電を終了し、鋼板温度が650℃になるまで冷却した。冷却後、輻射加熱時と同様に、水冷ジャケットを備えた平板金型を利用して、鋼板を挟み込んでホットスタンプ鋼材(鋼板)を製造した。ホットスタンプ時冷却速度が遅い部分でも、マルテンサイト変態開始点である360℃程度まで、50℃/秒以上の冷却速度となるように焼入れした。
[評価試験]
上記製造工程により製造されたホットスタンプ用鋼板及びホットスタンプ鋼材に対して、次の評価試験を実施した。
[めっき付着量及びFe濃度測定試験]
ホットスタンプ用鋼板については製造された溶融亜鉛めっき鋼板(GI)及び合金化された溶融亜鉛めっき鋼板(GA)からめっき層を含むサンプルを採取した。JIS H0401に準拠してサンプルのめっき層を塩酸で溶解した。溶解前のサンプル重量と、溶解後のサンプル重量と、めっき層が形成されていた面積とに基づいて、めっき付着量(g/m2)を求めた。
各溶融亜鉛めっき鋼板(GI及びGA)のめっき層のFe濃度は、次の方法により求めた。各溶融亜鉛めっき鋼板(GI及びGA)からサンプルを採取した。採取されたサンプルのめっき層を、10%HCl水溶液で溶解し、ICP法によりめっき層の組成分析を行った。分析結果に基づいてFe濃度を求めた。
[化成処理工程と塗装密着性評価試験]
各試験番号の板状のホットスタンプ鋼材から70mm×150mmの試験片を採取した。試験片に対して、以下の方法で化成処理を実施した。化成処理された試験片に対して、カチオン電着塗装を実施した。カチオン電着塗装された試験片に対して、塗装密着性試験を実施した。
[化成処理工程]
日本ペイント株式会社製のアルカリ脱脂剤EC90(商品名)を用いて、45℃で2分間、浸漬脱脂を実施した。脱脂後の試験片を水道水で洗浄後、さらに、イオン交換水で洗浄した。洗浄及び乾燥後、試験片に対して次の化成処理液を用いて化成処理を実施した。
(りん酸亜鉛)
試験番号16及び28の試験片に対して、日本ペイント株式会社サーフダイン5000(商品名)を使用し、40℃で2分間でりん酸亜鉛処理を行い、水道水で 洗浄後、イオン交換水で洗浄した。
(FF化成処理液での化成処理)
試験番号1〜15、及び、試験番号17〜27の試験片に対して、次のFF化成処理液を準備した。表2及び表3に示すとおり、ヘキサフルオロジルコン酸(Zrの場合)、又は、ヘキサフルオロチタン酸(Tiの場合)を所定の金属濃度となるよう容器に入れ、イオン交換水で希釈した。その後、フッ酸および水酸化ナトリウム水溶液を容器に入れ、溶液中のフッ素濃度及び遊離フッ素濃度が所定値となるよう調整した。遊離フッ素濃度の測定は市販の測定機を用いて行った。調整後、容器をイオン交換水で定容し、FF化成処理液とした。
FF化成処理液は40℃に加温したウォータバス内に設置した。FF化成処理液全体が加温されてから、前述のアルカリ脱脂を行った試験片を所定時間(表2及び表3の「反応時間」参照)浸漬して化成処理を実施した。化成処理後、試験片を水洗乾燥した。
[塗装密着性評価試験]
上述の化成処理を実施した後、各試験片に対して、日本ペイント株式会社製のカチオン型電着塗料を電圧160Vのスロープ通電で電着塗装を実施し、さらに、焼き付け温度170℃で20分間焼き付け塗装した。電着塗装後の塗料の膜厚の平均は、いずれの試験番号も13μmであった。
電着塗装後50℃の温度を有する5%NaCl水溶液に500時間浸漬した。浸漬後、試験面60mm×120mmの領域(面積A10=60mm×120mm=7200mm2)全面に、ポリエステル製テープを貼り付けた。その後、テープを引きはがした。テープの引きはがしにより剥離した塗膜の面積A1(mm2)を求め、式(3)に基づいて塗膜剥離率(%)を求めた。
塗膜剥離率=A1/A10×100 (3)
[試験結果]
表2及び表3を参照して、試験番号1〜4、7〜15及び17〜27では、FF化成処理液を用いて化成処理を実施し、FF化成処理液中の遊離フッ素濃度が100〜1000ppmであった。そのため、化成処理層は均一に形成され、塗膜剥離率は5%以下であった。
一方、試験番号5のFF化成処理液の遊離フッ素濃度は低すぎた。そのため、化成処理層が不均一に形成され、塗膜剥離率は5%を超えた。
試験番号6のFF化成処理液の遊離フッ素濃度は高すぎた。そのため、化成処理層が不均一に形成され、塗膜剥離質は5%を超えた。
試験番号16及び試験番号28では、りん酸亜鉛を用いて化成処理を実施した。そのため、塗膜剥離率が5%を大幅に超えた。
以上、本発明の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。

Claims (2)

  1. 質量%で、C:0.05〜0.4%、Si:0.5%以下、Mn:0.5〜2.5%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、sol.Al:0.1%以下、N:0.01%以下、B:0〜0.005%、Ti:0〜0.1%、Cr:0〜0.5%、Nb:0〜0.1%、Ni:0〜1.0%、及び、Mo:0〜0.5%を含有し、残部がFe及び不純物からなる化学組成を有する鋼板を準備する工程と、
    前記鋼板に対して、質量%で0.10〜0.15%のAl濃度を有する溶融亜鉛めっき浴を利用した溶融亜鉛めっき処理を実施する工程と、
    前記溶融亜鉛めっき処理された前記鋼板をAc3点〜950℃に加熱した後、金型を用いて前記鋼板をプレスしながら焼入れしてホットスタンプ鋼材を成形する工程と、
    前記ホットスタンプ鋼材に対して、Zrイオン及び/又はTiイオンとフッ素とを含有し、100〜1000ppmの遊離フッ素イオンを含有する水溶液を用いて化成処理を実施する工程とを備える、自動車部材の製造方法。
  2. 請求項1に記載の自動車部材の製造方法であって、
    前記溶融亜鉛めっき処理を実施する工程は、前記溶融亜鉛めっき処理された前記鋼板を加熱して合金化処理を実施する工程を含む、自動車部材の製造方法。
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