JP2015193931A - 希土類元素の回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移して熱処理することで、希土類元素を酸化物として鉄族元素から分離して回収する方法において、低処理コストで、効率よく希土類元素の酸化物を鉄族元素から分離することができるとともに、処理容器をその消耗や損傷を抑制して長期に亘って繰り返し用いることができる方法を提供すること。【解決手段】 酸化処理を行った処理対象物を炭素供給源としての石油コークスと混合して処理容器に収容し、不活性ガス雰囲気中または真空中において950℃〜1150℃(ただし1150℃を除く)の温度で熱処理することを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、例えばR−Fe−B系永久磁石(Rは希土類元素)などの、少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物から希土類元素を回収する方法に関する。
R−Fe−B系永久磁石は、高い磁気特性を有していることから、今日様々な分野で使用されていることは周知の通りである。このような背景のもと、R−Fe−B系永久磁石の生産工場では、日々、大量の磁石が生産されているが、磁石の生産量の増大に伴い、製造工程中に加工不良物などとして排出される磁石スクラップや、切削屑や研削屑などとして排出される磁石加工屑などの量も増加している。とりわけ情報機器の軽量化や小型化によってそこで使用される磁石も小型化していることから、加工代比率が大きくなることで、製造歩留まりが年々低下する傾向にある。従って、製造工程中に排出される磁石スクラップや磁石加工屑などを廃棄せず、そこに含まれる金属元素、特に希土類元素をいかに回収して再利用するかが今後の重要な技術課題となっている。また、R−Fe−B系永久磁石を使用した電化製品などから循環資源として希土類元素をいかに回収して再利用するかについても同様である。
少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物から希土類元素を回収する方法については、これまでにもいくつかの方法が提案されており、例えば特許文献1では、処理対象物を酸化性雰囲気中で加熱して含有金属元素を酸化物とした後、水と混合してスラリーとし、加熱しながら塩酸を加えて希土類元素を溶液に溶解させ、得られた溶液に加熱しながらアルカリ(水酸化ナトリウムやアンモニアや水酸化カリウムなど)を加えることで、希土類元素とともに溶液に浸出した鉄族元素を沈殿させた後、溶液を未溶解物と沈殿物から分離し、溶液に沈殿剤として例えばシュウ酸を加えて希土類元素をシュウ酸塩として回収する方法が提案されている。この方法は、希土類元素を鉄族元素と効果的に分離して回収することができる方法として注目に値する。しかしながら、工程の一部に酸やアルカリを用いることから、工程管理が容易ではなく、また、回収コストが高くつくといった問題がある。従って、特許文献1に記載の方法は、低コストと簡易さが要求されるリサイクルシステムとして実用化するには困難な側面を有するといわざるを得ない。
また、特許文献2では、処理対象物に含まれる鉄族元素を酸化することなく希土類元素のみを酸化することによって両者を分離する方法として、処理対象物を炭素るつぼの中で加熱する方法が提案されている。この方法は、特許文献1に記載の方法のように酸やアルカリを必要とせず、また、炭素るつぼの中で処理対象物を加熱することで理論的にるつぼ内の雰囲気が鉄族元素が酸化されることなく希土類元素のみが酸化される酸素分圧に自律的に制御されることから、特許文献1に記載の方法に比較して工程が簡易であるという点において優れていると考えられる。しかしながら、単に処理対象物を炭素るつぼの中で加熱すればるつぼ内の雰囲気が所定の酸素分圧に自律的に制御されて希土類元素と鉄族元素を分離できるのかといえば、現実的には必ずしもそうではない。特許文献2では、るつぼ内の雰囲気の望ましい酸素含有濃度は1ppm〜1%であるとされているが、本質的には雰囲気を制御するための外的操作は必要とされないとある。しかしながら、本発明者らの検討によれば、少なくとも酸素含有濃度が1ppm未満の場合には希土類元素と鉄族元素は分離できない。従って、炭素るつぼの中で処理対象物を加熱すれば、理論的にはるつぼ内の雰囲気が鉄族元素が酸化されることなく希土類元素のみが酸化される酸素分圧に自律的に制御されるとしても、現実的にはるつぼ内を酸素含有濃度が1ppm以上の雰囲気に人為的に制御する必要がある。こうした制御は、特許文献2にも記載されているように酸素含有濃度が1ppm以上の不活性ガスをるつぼ内に導入することで行うことができるが、工業用不活性ガスとして汎用されているアルゴンガスの場合、その酸素含有濃度は通常0.5ppm以下である。従って、酸素含有濃度が1ppm以上のアルゴンガスをるつぼ内に導入するためには、汎用されているアルゴンガスをそのまま用いることはできず、その酸素含有濃度をわざわざ高めた上で用いる必要がある。結果として、特許文献2に記載の方法は、一見工程が簡易に思えるものの実はそうではなく、特許文献1に記載の方法と同様、低コストと簡易さが要求されるリサイクルシステムとして実用化するには困難な側面を有するといわざるを得ない。
そこで本発明者らは、低コストで簡易なリサイクルシステムとして実用化が可能な、少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物から希土類元素を回収する方法として、処理対象物に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移し、1150℃以上の温度で熱処理することで、希土類元素を酸化物として鉄族元素から分離して回収する方法を特許文献3において提案している。
特開2009−249674号公報 国際公開第2010/098381号 国際公開第2013/018710号
特許文献3において本発明者らが提案した方法によれば、酸化処理を行った処理対象物に含まれる希土類元素の酸化物は高温で酸化物のままで溶融するのに対し、鉄族元素は炭素を固溶して合金化して溶融し、また、鉄族元素の酸化物は炭素によって還元された後に炭素を固溶して合金化して溶融し、結果として、希土類元素の酸化物の溶融物と、鉄族元素の炭素との合金の溶融物が、相溶することなく互いに独立して存在することで、処理容器内に生成する2種類の塊状物として両者を分離することができる。しかしながら、処理容器として炭素るつぼを用いて熱処理すると、炭素るつぼが酸化処理を行った処理対象物に対してその表面からの炭素供給源としての役割を果たすことで、効率的に希土類元素の酸化物を回収することができるものの、炭素るつぼは次第に消耗する。また、熱処理物として生成する2種類の塊状物が、処理容器の内面と反応することでその内部に拡散することなどによってこびりついてしまい、これらを除去しようとすると処理容器に損傷を与えてしまうことがある。こうした2種類の塊状物の処理容器の内面へのこびりつきは、非炭素製の処理容器、例えばアルミナや酸化マグネシウムや酸化カルシウムなどの金属酸化物や酸化ケイ素でできたセラミックスるつぼに、酸化処理を行った処理対象物と炭素供給源を収容して熱処理した場合においても起こる。従って、特許文献3において本発明者らが提案した方法は、これらの点において改善の余地があることに加え、処理コストの点に鑑みれば、より安価にかつ低温で希土類元素の酸化物を鉄族元素から分離することができることが望ましい。
そこで本発明は、少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移して熱処理することで、希土類元素を酸化物として鉄族元素から分離して回収する方法において、低処理コストで、効率よく希土類元素の酸化物を鉄族元素から分離することができるとともに、処理容器をその消耗や損傷を抑制して長期に亘って繰り返し用いることができる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記の点に鑑みて鋭意検討を行った結果、炭素供給源として安価な石油コークスを用い、酸化処理を行った処理対象物を石油コークスと混合して処理容器に収容し、不活性ガス雰囲気中または真空中において熱処理した場合、1150℃未満の温度であっても希土類元素の酸化物を鉄族元素から分離することができ、しかも処理容器の消耗や損傷を引き起こすことがないことを見出した。
上記の知見に基づいてなされた本発明の少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移して熱処理することで、希土類元素を酸化物として鉄族元素から分離して回収する方法は、請求項1記載の通り、酸化処理を行った処理対象物を炭素供給源としての石油コークスと混合して処理容器に収容し、不活性ガス雰囲気中または真空中において950℃〜1150℃(ただし1150℃を除く)の温度で熱処理することを特徴とする。
また、請求項2記載の方法は、請求項1記載の方法において、石油コークスが125μm以下の粒径を有する粒状ないし粉末状であることを特徴とする。
また、請求項3記載の方法は、請求項1記載の方法において、処理対象物の少なくとも一部が500μm以下の粒径を有する粒状ないし粉末状であることを特徴とする。
また、請求項4記載の方法は、請求項1記載の方法において、処理対象物の鉄族元素含量が30mass%以上であることを特徴とする。
また、請求項5記載の方法は、請求項1記載の方法において、処理対象物がR−Fe−B系永久磁石であることを特徴とする。
また、請求項6記載の方法は、請求項1記載の方法において、熱処理物として得られる塊状物を粉砕した後、希土類元素の酸化物を主成分とする粉末を、鉄族元素の炭素との合金から、磁気的方法によって分離して回収することを特徴とする。
本発明の方法によれば、少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物から、低コストで、効率よく希土類元素の酸化物を鉄族元素から分離することができるとともに、処理容器をその消耗や損傷を抑制して長期に亘って繰り返し用いることができる。
実施例1における、熱処理後のるつぼの内部の様子と得られた塊状物の粉砕物の外観である。 同、塊状物の粉砕物の個々の粒子の断面SEM像とるつぼの底面近傍の断面SEM像である。 同、磁石に付着した粉末とエタノール中に残留した粉末のSEM像である。 実施例4における、塊状物の粉砕物の個々の粒子の断面SEM像とるつぼの底面近傍の断面SEM像である。 同、磁石に付着した粉末とエタノール中に残留した粉末のSEM像である。 比較例4における、熱処理後のるつぼの内部の様子とるつぼの底面近傍の断面SEM像である。 比較例5における、熱処理後のるつぼの内部の様子とるつぼの底面近傍の断面SEM像である。 参考例1における、各種の温度による熱処理で得られる熱処理物のX線回折チャートである。
本発明の少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移して熱処理することで、希土類元素を酸化物として鉄族元素から分離して回収する方法は、酸化処理を行った処理対象物を炭素供給源としての石油コークスと混合して処理容器に収容し、不活性ガス雰囲気中または真空中において950℃〜1150℃(ただし1150℃を除く)の温度で熱処理することを特徴とするものである。
本発明の方法の適用対象となる少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物は、Nd,Pr,Dy,Tb,Smなどの希土類元素とFe,Co,Niなどの鉄族元素を含むものであれば特段の制限はなく、希土類元素と鉄族元素に加えてその他の元素として例えばホウ素などを含んでいてもよい。具体的には、例えばR−Fe−B系永久磁石などが挙げられるが、とりわけ本発明の方法は鉄族元素含量が30mass%以上である処理対象物に好適に適用することができる(例えばR−Fe−B系永久磁石の場合、その鉄族元素含量は、通常、60mass%〜82mass%である)。処理対象物の大きさや形状は特段制限されるものではなく、処理対象物がR−Fe−B系永久磁石の場合には製造工程中に排出される磁石スクラップや磁石加工屑などであってよい。処理対象物に対して十分な酸化処理を行うためには、処理対象物は500μm以下の粒径を有する粒状ないし粉末状であることが望ましい(例えば調製の容易性に鑑みれば粒径の下限は1μmが望ましい)。しかしながら、処理対象物の全てがこのような粒状ないし粉末状である必要は必ずしもなく、粒状ないし粉末状であるのは処理対象物の一部であってよい。
まず、本発明の方法における処理対象物に対する酸化処理は、処理対象物に含まれる希土類元素を酸化物に変換することを目的とするものである。特許文献2に記載の方法と異なり、処理対象物に対する酸化処理によって処理対象物に含まれる鉄族元素が希土類元素とともに酸化物に変換されてもよい。処理対象物に対する酸化処理は、酸素含有雰囲気中で処理対象物を熱処理したり燃焼処理したりすることによって行うことが簡便である。酸素含有雰囲気は大気雰囲気であってよい。処理対象物を熱処理する場合、例えば350℃〜1000℃で1時間〜12時間行えばよい。処理対象物を燃焼処理する場合、例えば自然発火や人為的点火により行えばよい。また、処理対象物に対する酸化処理は、アルカリ水溶液中で処理対象物の酸化を進行させるアルカリ処理によって行うこともできる。アルカリ処理に用いることができるアルカリとしては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、アンモニアなどが挙げられる。また、アルカリ水溶液の濃度としては0.1mol/L〜10mol/Lが挙げられる。処理温度としては60℃〜150℃が挙げられるが、より効果的な酸化処理を行うためには100℃以上が望ましく、より安全性を高めるためには130℃以下が望ましい。処理時間としては30分間〜10時間が挙げられる。処理対象物に対する酸化処理は、単一の方法で行ってもよいし、複数の方法を組み合わせて行ってもよい。処理対象物に対してこうした酸化処理を行うと、処理対象物に含まれる酸素モル濃度は希土類元素のモル濃度の1.5倍以上となり、希土類元素の酸化物への変換をより確実なものにすることができる。酸化処理によって処理対象物に含まれる酸素モル濃度は希土類元素のモル濃度の2.0倍以上になることが望ましい。また、処理対象物に対する酸化処理は、炭素の非存在下で行うことが望ましい。炭素の存在下で処理対象物に対する酸化処理を行うと、処理対象物に含まれる希土類元素が炭素と望まざる化学反応を起こして所望する酸化物への変換が阻害される恐れがあるからである(従ってここでは「炭素の非存在下」は処理対象物に含まれる希土類元素の酸化物への変換が阻害されるに足る化学反応の起因となる炭素が存在しないことを意味する)。
次に、酸化処理を行った処理対象物を石油コークスと混合して処理容器に収容し、不活性ガス雰囲気中または真空中において950℃〜1150℃(ただし1150℃を除く)の温度で熱処理することで、その内部において希土類元素の酸化物が鉄族元素と微視的に分離した粗い粒子が、わずかな力で壊れる程度に接合した単一の塊状物(熱収縮した焼成体であって例えば粒径が1mm〜5mm程度の粒子を含む)が得られる。これは、酸化処理を行った処理対象物に対して石油コークスを炭素供給源として供給しながら、不活性ガス雰囲気中または真空中において上記の温度で熱処理すると、酸化処理を行った処理対象物に含まれる希土類元素の酸化物は酸化物のまま存在するのに対し、鉄族元素は石油コークスに由来する炭素を固溶して合金化し、また、鉄族元素が酸化処理によって酸化物に変換された場合には鉄族元素の酸化物は石油コークスに由来する炭素によって還元された後に炭素を固溶して合金化し、結果として、希土類元素の酸化物と、鉄族元素の炭素との合金が、微視的に互いに独立して存在するという本発明者らによって見出された現象に基づくものであり、処理対象物に含まれる鉄族元素を酸化することなく希土類元素のみを酸化するために炭素が利用される特許文献2に記載の方法とは炭素の役割が全く異なることに加え、希土類元素の酸化物と、鉄族元素の炭素との合金を、2種類の塊状物として分離する特許文献3に記載の方法と現象が全く異なる。熱処理温度を950℃以上に規定するのは、950℃未満であると、処理対象物に含まれる鉄族元素の炭素との合金化が十分に進行しなかったり、鉄族元素が酸化物に変換された場合の鉄族元素の酸化物の炭素による還元が十分に進行しないことにより、希土類元素の酸化物と、鉄族元素の炭素との合金が、互いに独立して存在しにくくなることで、両者の分離が困難になるからである。一方、熱処理温度を1150℃未満に規定するのは、1150℃以上であると、希土類元素の酸化物と、鉄族元素の炭素との合金が、いずれも溶融することにより、両者が2種類の塊状物として分離するが、これらが処理容器の内面と反応することでその内部に拡散することなどによってこびりついてしまったりするからである。熱処理温度は1000℃〜1100℃が望ましい。酸化処理を行った処理対象物と石油コークスの混合物に対する熱処理を不活性ガス雰囲気中または真空中で行うのは、大気雰囲気などの酸素含有雰囲気中で熱処理すると、雰囲気中の酸素が石油コークスと反応することで二酸化炭素を生成し、石油コークスが酸化処理を行った処理対象物に対する炭素供給源としての役割を効率的に果さないおそれがあるからである。また、石油コークスが熱処理の際に消費されずに残る場合、熱処理後における処理容器内の余剰の石油コークスを回収して再利用できるようにするためである。酸素含有雰囲気中で熱処理すると、処理容器内の余剰の石油コークスは雰囲気中の酸素と反応することによって二酸化炭素となって処理容器から排出されてしまうのでもはや回収することはできない。不活性ガス雰囲気はアルゴンガスやヘリウムガスや窒素ガスなどを用いて形成することができる。その酸素含有濃度は1ppm未満が望ましい。また、真空の程度は1000Pa未満が望ましい。なお、熱処理時間は例えば1分間〜24時間が適当である。
本発明の方法において酸化処理を行った処理対象物に対する炭素供給源として用いる石油コークスは、石油から作られるコークスを意味し、具体的には、例えば、常圧蒸留残油や減圧蒸留残油などの重質油を、コーキングという熱分解処理を行うことで得られる炭素を主成分とする物質である。石油コークスには、一般に石油コークスと呼ばれるディレード・コークス(delayed coke)の他、コーキング装置から採取されたそのままの生コークス(raw coke)や、生コークスを焼いて揮発分を除去したか焼コークス(calcined coke)などがあり、また、コーキングの方法によっては、フルード・コークス(fluid coke)と呼ばれる粉状で燃料に用いられるものがあるが、本発明の方法においては、こうしたいずれの石油コークスも炭素供給源として用いることができる。石油コークスは、炭素供給源としての役割を効果的に果たすためには、125μm以下の粒径を有する粒状ないし粉末状であることが望ましい(例えば調製の容易性に鑑みれば粒径の下限は1μmが望ましい)。石油コークスの使用量は、先に行った酸化処理による処理対象物に含まれる鉄族元素の酸化の程度にも依存するが、処理対象物に含まれる鉄族元素に対してモル比で0.3倍以上であることが望ましく、0.5倍以上であることがより望ましく、0.7倍以上であることがさらに望ましい。石油コークスの使用量を処理対象物に含まれる鉄族元素に対してモル比で0.7倍以上に調整することで、処理対象物に含まれる鉄族元素の全てが酸化処理によって酸化物に変換されてもその還元を確実なものとして炭素との合金化を進行させることができる。なお、石油コークスの使用量の上限は特段限定されるものではなく、過剰量の石油コークスを用いても消費されなかった石油コークスが希土類元素と鉄族元素の分離に対して悪影響を及ぼすことはない。
酸化処理を行った処理対象物と石油コークスの混合物は、単に混合しただけのものであってもよいし、プレスしてブリケット状に成形したものなどであってもよい。
酸化処理を行った処理対象物と石油コークスの混合物を収容する処理容器の材質は特段限定されるものではなく、特許文献2に記載の方法において用いられている炭素るつぼの他、非炭素製の処理容器、例えばアルミナや酸化マグネシウムや酸化カルシウムなどの金属酸化物や酸化ケイ素でできたセラミックスるつぼ(単一の素材からなるものであってもよいし複数の素材からなるものであってもよい)などを用いることもできる。中でも、本発明の方法によれば、処理容器として炭素るつぼに比較して安価なアルミナるつぼなどのセラミックスるつぼを用いて、少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物から効率的に希土類元素を回収することができるとともに、処理容器をその消耗や損傷を抑制して長期に亘って繰り返し用いることができることは、本発明の方法を低コストと簡易さが要求されるリサイクルシステムとして実用化する上において有利である。
酸化処理を行った処理対象物と石油コークスの混合物を処理容器に収容する際、両者の混合物が処理容器の内面に接触しないように、両者の混合物と処理容器の内面の間に石油コークスを介在させてもよい。こうすることで、酸化処理を行った処理対象物と処理容器の内面の反応を抑制することができるとともに、処理容器として炭素るつぼを用いる場合でも、炭素るつぼが炭素供給源としての役割を果たして消耗することを抑制することができる。
こうして酸化処理を行った処理対象物と石油コークスの混合物を熱処理してから冷却すると、上記の通り、処理容器内には、粗い粒子がわずかな力で壊れる程度に接合した単一の塊状物(熱収縮した焼成体)が存在する。この塊状物を構成する個々の粒子は微視的に分離した2相構造を有しており、その一方が希土類元素の酸化物を主成分とする相であって、他方が鉄族元素の炭素との合金を主成分とする相である。従って、この塊状物を構成する個々の粒子を例えば10μm以下の大きさに粉砕した後(粉砕の程度は5μm以下が望ましく3μm以下がより望ましく1μm以下がさらに望ましい。下限は例えば0.1μmである)、磁気的方法によって鉄族元素の炭素との合金を主成分とする相に由来する粉末を分離することで、希土類元素の酸化物を主成分とする相に由来する粉末を回収することができる。この希土類元素の酸化物を主成分とする相に由来する粉末の希土類元素含量は、少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物の希土類元素含量、酸化処理を行った処理対象物と石油コークスの混合物の熱処理条件、熱処理によって得られる塊状物の粉砕条件などにも依存するが、50mass%以上が望ましく60mass%以上がより望ましく70mass%以上がさらに望ましい。また、その鉄族元素含量は10mass%以下が望ましく5mass%以下がより望ましく3mass%以下がさらに望ましい。塊状物を構成する個々の粒子の粉砕は容易であり、例えば、エタノールなどのアルコールを溶媒として用いたボールミル粉砕による方法や、擂潰機を用いて粉砕する方法などによって行うことができる。回収された希土類元素の酸化物は、例えば溶融塩電解法などによって還元することで希土類金属に変換することができる。熱処理後に処理容器内に余剰の石油コークスが存在する場合、処理容器内に存在する塊状物と石油コークスは、磁気的方法や篩を用いて容易に分離することができる。分離された石油コークスは回収して再利用できることは前述のとおりである。また、処理容器内に存在する単一の塊状物を、1300℃以上の温度で熱処理することによって溶融することで、希土類元素の酸化物と、鉄族元素の炭素との合金を、2種類の塊状物として分離することもできる(この処理による上述したような処理容器の消耗や損傷はあってもわずかである)。
本発明の方法の適用対象となる少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物が例えばR−Fe−B系永久磁石などのようにその他の元素としてホウ素を含む場合、本発明の方法によって鉄族元素の炭素との合金から分離することで回収された希土類元素の酸化物にはホウ素が多少なりとも含まれる。ホウ素を含む希土類元素の酸化物をフッ素を含む溶融塩成分を用いた溶融塩電解法によって還元すると、希土類元素の酸化物に含まれるホウ素がフッ素と反応することで有毒なフッ化ホウ素が発生する恐れがある。従って、こうした場合には予め希土類元素の酸化物のホウ素含量を低減しておくことが望ましい。ホウ素を含む希土類元素の酸化物のホウ素含量の低減は、例えばホウ素を含む希土類元素の酸化物をアルカリ金属の炭酸塩(炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)や酸化物とともに例えば炭素の存在下で熱処理することで行うことができる。アルカリ金属の炭酸塩や酸化物は、例えばホウ素を含む希土類元素の酸化物1重量部に対して0.1重量部〜2重量部用いればよい。
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
実施例1:
R−Fe−B系永久磁石の製造工程中に発生した約10μmの粒径を有する磁石加工屑(自然発火防止のため水中で7日間保管したもの)に対し、吸引ろ過することで脱水してからロータリーキルンを用いて燃焼処理することで酸化処理を行った。こうして酸化処理を行った磁石加工屑のSEM・EDX分析(使用装置:日立ハイテクノロジーズ社製S4500。以下同じ)の結果を表1に示す。酸化処理を行った磁石加工屑に含まれる酸素モル濃度は希土類元素のモル濃度の4.2倍であった。
寸法が外径70mm×高さ70mm×肉厚10mmの炭素るつぼ(黒鉛製)に、酸化処理を行った磁石加工屑50gと石油コークス(ダイネン社製Rコークス、粒径<5mm)4g(磁石加工屑に含まれる鉄に対するモル比率:0.75)を一緒に乳鉢と乳棒を用いて粒径が125μm以下になるまで粉砕して得た混合物を収容し、工業用アルゴンガス雰囲気(酸素含有濃度:0.2ppm、流量:5L/分。以下同じ)中で1050℃で12時間熱処理した。その後、炭素るつぼを室温まで炉冷した。その結果、るつぼ内には、粗い粒子がわずかな力で壊れる程度に接合した単一の塊状物がるつぼに固着せずに存在した。この塊状物は、乳鉢と乳棒を用いて容易に粉砕することができた。熱処理後のるつぼの内部の様子と得られた塊状物の粉砕物の外観を図1に示す。また、塊状物の粉砕物の個々の粒子の断面のSEM・EDX分析の結果を図2(断面SEM像)と表2に示す。図2にはるつぼの底面近傍の断面SEM像をあわせて示す。図2と表2から明らかなように、塊状物の粉砕物の個々の粒子は相Aと相Bからなる2相構造を有し、相Aは鉄と炭素を主成分とし、相Bは希土類元素と酸素を主成分とすることがわかった。なお、相Bが希土類元素の酸化物であることは、別途の標準サンプルを用いたX線回折分析(使用装置:リガク社製RINT2400。以下同じ)によって確認した(以下同じ)。また、るつぼに、酸化処理を行った磁石加工屑との反応に起因する変化や消耗は認められなかった(るつぼの重量減少は認められるがその程度は0.1%未満でありるつぼのみを熱処理した場合の重量減少とほぼ同じ)。
塊状物の粉砕物20gを、ジルコニアボール(YTZボール)1000gとエタノール250mLとともに密閉容器に収容し、ボールミル粉砕を室温で6時間行って10μm以下の大きさに微粉砕した後、ジルコニアボールを除去してからエタノール中で撹拌しながら磁気選別を行った。磁石に付着した粉末とエタノール中に残留した粉末のSEM・EDX分析の結果を図3(SEM像)と表3に示す。表3には微粉砕する前の塊状物の粉砕物のEDX分析の結果をあわせて示す。表3から明らかなように、エタノール中に残留した粉末の鉄含量と希土類元素含量はそれぞれ0.9mass%と55.7mass%(NdとPrとDyの合計含量。以下同じ)であることから、処理対象物とした磁石加工屑から希土類元素を酸化物として効果的に分離できたことがわかった(希土類元素の酸化物であることは別途の標準サンプルを用いたX線回折分析によって確認。以下同じ)。このエタノール中に残留した粉末は、希土類元素の酸化物を主成分とする相Bに由来する粉末と考えられる。
実施例2:
熱処理温度を1000℃にすること以外は実施例1と同様にして塊状物を得、乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、さらにボールミル粉砕を行って微粉砕した後、磁気選別を行って、磁石に付着した粉末とエタノール中に残留した粉末を得た。それぞれの粉末のEDX分析の結果を表4に示す。表4には微粉砕する前の塊状物の粉砕物のEDX分析の結果をあわせて示す。表4から明らかなように、エタノール中に残留した粉末の鉄含量と希土類元素含量はそれぞれ1.9mass%と78.9mass%であることから、処理対象物とした磁石加工屑から希土類元素を酸化物として効果的に分離できたことがわかった。
実施例3:
熱処理温度を950℃にすること以外は実施例1と同様にして塊状物を得、乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、さらにボールミル粉砕を行って微粉砕した後、磁気選別を行って、磁石に付着した粉末とエタノール中に残留した粉末を得た。それぞれの粉末のEDX分析の結果を表5に示す。表5には微粉砕する前の塊状物の粉砕物のEDX分析の結果をあわせて示す。表5から明らかなように、エタノール中に残留した粉末の鉄含量と希土類元素含量はそれぞれ6.9mass%と74.3mass%であることから、処理対象物とした磁石加工屑から希土類元素を酸化物として効果的に分離できたことがわかった。
実施例4:
処理容器として寸法が外径67mm×高さ50mm×肉厚2.5mmのアルミナるつぼを用いること以外は実施例1と同様にして塊状物の粉砕物を得た。塊状物の粉砕物の個々の粒子の断面のSEM・EDX分析の結果を図4(断面SEM像)と表6に示す。図4にはるつぼの底面近傍の断面SEM像をあわせて示す。図4と表6から明らかなように、塊状物の粉砕物の個々の粒子は相Aと相Bからなる2相構造を有し、相Aは鉄と炭素を主成分とし、相Bは希土類元素と酸素を主成分とすることがわかった。また、るつぼに、酸化処理を行った磁石加工屑との反応に起因する変化や消耗は認められなかった(るつぼの重量減少は認められるがその程度は0.1%未満でありるつぼのみを熱処理した場合の重量減少とほぼ同じ)。
塊状物の粉砕物20gを実施例1と同様にして微粉砕した後、磁気選別を行って、磁石に付着した粉末とエタノール中に残留した粉末を得た。それぞれのSEM・EDX分析の結果を図5(SEM像)と表7に示す。表7には微粉砕する前の塊状物の粉砕物のEDX分析の結果をあわせて示す。表7から明らかなように、エタノール中に残留した粉末の鉄含量と希土類元素含量はそれぞれ6.3mass%と76.1mass%であることから、処理対象物とした磁石加工屑から希土類元素を酸化物として効果的に分離できたことがわかった。
比較例1:
熱処理温度を900℃にすること以外は実施例1と同様にして塊状物を得、乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、さらにボールミル粉砕を行って微粉砕した後、磁気選別を行って、磁石に付着した粉末とエタノール中に残留した粉末を得た。それぞれの粉末のEDX分析の結果を表8に示す。表8には微粉砕する前の塊状物の粉砕物のEDX分析の結果をあわせて示す。表8から明らかなように、エタノール中に残留した粉末の鉄含量と希土類元素含量はそれぞれ11.4mass%と59.3mass%であり、鉄含量が10mass%を超えることから、処理対象物とした磁石加工屑から希土類元素を酸化物として効果的に分離できたとはいえなかった。
比較例2:
熱処理温度を850℃にすること以外は実施例1と同様にして塊状物を得、乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、さらにボールミル粉砕を行って微粉砕した後、磁気選別を行って、磁石に付着した粉末とエタノール中に残留した粉末を得た。それぞれの粉末のEDX分析の結果を表9に示す。表9には微粉砕する前の塊状物の粉砕物のEDX分析の結果をあわせて示す。表9から明らかなように、エタノール中に残留した粉末の鉄含量と希土類元素含量はそれぞれ28.3mass%と35.7mass%であり、鉄含量が10mass%をはるかに超えることから、処理対象物とした磁石加工屑から希土類元素を酸化物として効果的に分離できたとはいえなかった。
比較例3:
熱処理温度を800℃にすること以外は実施例1と同様にして塊状物を得、乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、さらにボールミル粉砕を行って微粉砕した後、磁気選別を行って、磁石に付着した粉末とエタノール中に残留した粉末を得た。それぞれの粉末のEDX分析の結果を表10に示す。表10には微粉砕する前の塊状物の粉砕物のEDX分析の結果をあわせて示す。表10から明らかなように、エタノール中に残留した粉末の鉄含量と希土類元素含量はそれぞれ16.3mass%と20.1mass%であり、鉄含量が10mass%をはるかに超えることから、処理対象物とした磁石加工屑から希土類元素を酸化物として効果的に分離できたとはいえなかった。
比較例4:
熱処理温度を1450℃にすること以外は実施例1と同様にして塊状物を得た。熱処理後のるつぼの内部の様子とるつぼの底面近傍の断面SEM像を図6に示す。図6から明らかなように、熱処理温度が1450℃の場合、希土類元素の酸化物と、鉄族元素の炭素との合金が、いずれも溶融することにより、両者が2種類の塊状物として分離したが、酸化処理を行った磁石加工屑との反応に起因する変化としてるつぼ内部への鉄の拡散が認められた。
比較例5:
熱処理温度を1450℃にすること以外は実施例4と同様にして塊状物を得た。熱処理後のるつぼの内部の様子とるつぼの底面近傍の断面SEM像を図7に示す。図7から明らかなように、熱処理温度が1450℃の場合、希土類元素の酸化物と、鉄族元素の炭素との合金が、いずれも溶融することにより、両者が2種類の塊状物として分離したが、酸化処理を行った磁石加工屑との反応に起因する変化としてるつぼ内部への希土類元素の酸化物の拡散が認められた。
参考例1:
酸化処理を行った磁石加工屑を乳鉢と乳棒を用いて粉砕することで得た粉砕物と、800℃(比較例3)、850℃(比較例2)、900℃(比較例1)、950℃(実施例3)、1000℃(実施例2)、1050℃(実施例1)のそれぞれで熱処理することで得た塊状物の粉砕物と、1450℃(比較例4)で熱処理することで得られた希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物を乳鉢と乳棒を用いて粉砕することで得た粉砕物について、X線回折を行った。結果を図8に示す。図8から明らかなように、酸化処理後の磁石加工屑の粉砕物(スラッジ)はFeを主成分としているが、熱処理を行うことでFeのピークが徐々に低下し、かわりにNdFeOのピークが徐々に増大した。しかしながら、熱処理温度が950℃以上になると、NdFeOのピークが消滅し、3価の鉄が完全に還元されることでFeのピークが顕在化するが、そのX線回折パターンは、Feのピークを除いて、1450℃で熱処理することで得られた希土類元素の酸化物を主成分とする塊状物の粉砕物(スラグ)のものとほぼ同じであった。以上の結果から、処理対象物とする磁石加工屑から希土類元素を酸化物として効果的に分離するためには、熱処理温度を950℃以上にする必要があることがわかった。
実施例5:
熱処理温度を1100℃にすること以外は実施例1と同様にして塊状物を得、乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、さらにボールミル粉砕を行って微粉砕した後、磁気選別を行って、磁石に付着した粉末とエタノール中に残留した粉末を得た。それぞれの粉末のEDX分析の結果を表11に示す。表11には微粉砕する前の塊状物の粉砕物のEDX分析の結果をあわせて示す。表11から明らかなように、エタノール中に残留した粉末の鉄含量と希土類元素含量はそれぞれ0.7mass%と70.3mass%であることから、処理対象物とした磁石加工屑から希土類元素を酸化物として効果的に分離できたことがわかった。
本発明は、少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移して熱処理することで、希土類元素を酸化物として鉄族元素から分離して回収する方法において、低処理コストで、効率よく希土類元素の酸化物を鉄族元素から分離することができるとともに、処理容器をその消耗や損傷を抑制して長期に亘って繰り返し用いることができる方法を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。

Claims (6)

  1. 少なくとも希土類元素と鉄族元素を含む処理対象物に対して酸化処理を行った後、処理環境を炭素の存在下に移して熱処理することで、希土類元素を酸化物として鉄族元素から分離して回収する方法において、酸化処理を行った処理対象物を炭素供給源としての石油コークスと混合して処理容器に収容し、不活性ガス雰囲気中または真空中において950℃〜1150℃(ただし1150℃を除く)の温度で熱処理することを特徴とする方法。
  2. 石油コークスが125μm以下の粒径を有する粒状ないし粉末状であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 処理対象物の少なくとも一部が500μm以下の粒径を有する粒状ないし粉末状であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 処理対象物の鉄族元素含量が30mass%以上であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  5. 処理対象物がR−Fe−B系永久磁石であることを特徴とする請求項1記載の方法。
  6. 熱処理物として得られる塊状物を粉砕した後、希土類元素の酸化物を主成分とする粉末を、鉄族元素の炭素との合金から、磁気的方法によって分離して回収することを特徴とする請求項1記載の方法。
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