JP2015193775A - 硬化性組成物、積層フィルム、タッチセンサー、タッチパネル及びデバイス装置 - Google Patents

硬化性組成物、積層フィルム、タッチセンサー、タッチパネル及びデバイス装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐擦傷性及び密着性に優れると共にアウトガスが抑制された硬化層を形成できる硬化性組成物の提供。
【解決手段】式(1)で表される化合物を含有する硬化性組成物。
Figure 2015193775

(R及びRは各々独立して、式(i)又は式(ii)で表される基;R及びRは各々独立して、H又はメチル基;R5aはC2〜6のアルカンジイル基;mは0〜20の整数;但し、R及びRが共に式(i)で表される場合、mの合計は1以上;R5bはC1〜14のアルカンジイル基;nは1〜10の整数)
【選択図】図1

Description

本発明は、硬化性組成物、この硬化性組成物により形成される硬化層を備える積層フィルム、並びにこの積層フィルムを備えるタッチセンサー、タッチパネル及びデバイス装置に関する。
近年、フィルムの傷付き(擦傷)防止や汚染防止のために、硬化性組成物の塗工により基材層の表面に硬化層を設けた積層フィルムが広く使用されている。このような積層フィルムは、タッチパネル等の表示装置、メンブレンスイッチ、キーパッド等の表面材料、液晶表示素子を構成する液晶セルの電極基板、位相差フィルム、タッチパネル用透明電極付フィルム等の光学フィルムとして用いられている。
かかる積層フィルムには、その硬化層が、耐擦傷性、基材層との密着性、硬度等の種々の性能に優れることが要求される。また、これらに加えて、例えば、積層フィルムに蒸着やスパッタリング等によりさらに積層する加工を行う場合等には、上記硬化層などからのアウトガスを抑制することがさらに求められる。
上記要求に対し、上記硬化層を形成する硬化性組成物の諸成分について種々検討されている(特開2012−66481号公報参照)が、上記諸性能を共に満たすことができ、かつアウトガスを十分なレベルまで抑制することはできていない。
特開2012−66481号公報
本発明は、上述のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、耐擦傷性及び密着性に優れると共にアウトガスが抑制された硬化層を形成できる硬化性組成物を提供することにある。
発明者は鋭意検討した結果、硬化性組成物の成分として特定の重合性化合物を用いることで、形成される積層フィルムの高い耐擦傷性及び密着性を満たしつつ、発生するアウトガスを低減できることを見い出し、本発明の完成に至った。
上記課題を解決するためになされた発明は、
下記式(1)で表される化合物(I)を含有する硬化性組成物である。
Figure 2015193775
(式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、下記式(i)で表される基又は下記式(ii)で表される基である。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基である。Rは、炭素数1〜5のアルキル基である。kは、0〜14の整数である。kが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。)
Figure 2015193775
(式(i)及び(ii)中、R5aは、炭素数2〜6のアルカンジイル基である。mは、0〜20の整数である。但し、R及びRが共に上記式(i)で表される場合、mの合計は1以上である。R5bは、炭素数1〜14のアルカンジイル基である。nは、1〜10の整数である。R5a及びR5bがそれぞれ複数の場合、複数のR5a及びR5bはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。*は、上記式(1)の(メタ)アクリロイル基に結合する部位を示す。)
当該硬化性組成物は、上記特定構造の化合物(I)を用いることで、形成される硬化層の高い耐擦傷性及び密着性を満たしつつ、アウトガスを抑制することができる。
上記化合物(I)とは異なる化合物であって重合性基を有する化合物(II)をさらに含有することが好ましい。
化合物(I)に加え、化合物(II)をさらに用いることで、硬化性をより高めることができ、その結果、形成される硬化層の耐擦傷性、密着性及びアウトガス抑制性をより高めることができる。
上記化合物(II)の重合性基としては(メタ)アクリロイル基が好ましい。化合物(II)の重合性基を上記特定基とすることで、化合物(I)と化合物(II)との共重合性を高めることができ、その結果、アウトガスをより抑制することができる。
上記化合物(II)はウレタン結合をさらに有することが好ましい。このような硬化性組成物を用いることにより、硬化層の高い耐擦傷性、密着性及びアウトガス抑制性を満たしつつ、さらに耐屈曲性等を高めることができる。
基材層と、
この基材層に積層される硬化層と
を備え、
上記硬化層が、当該硬化性組成物により形成されている積層フィルムも本発明に含まれる。
このような積層フィルムは、硬化層が上述の当該硬化性組成物を用いて形成されるので、耐擦傷性及び密着性に優れると共に、アウトガスの発生が抑制されている。
上記基材層は、透明樹脂製であることが好ましい。
基材層に透明樹脂を用いることにより、当該積層フィルムは、タッチパネル等の材料として好適に用いることができる。
当該積層フィルムを備えるタッチセンサー、このタッチセンサーを備えるタッチパネル及びこのタッチパネルを備えるデバイス装置も本発明に含まれる。
上述のように、当該積層フィルムは、高い耐擦傷性及び密着性を有すると共に、その高いアウトガス抑制性により、蒸着等の加工をより効果的に行うことができるので、これを用いたタッチセンサー等は、より優れた性能を発揮することができる。
以上説明したように、本発明の硬化性組成物によれば、耐擦傷性及び密着性に優れると共に、アウトガスが抑制された硬化層を形成することができる。本発明の積層フィルムは、耐擦傷性、密着性及びアウトガス抑制性に優れる。本発明のタッチセンサー、これを備えるタッチパネル及びこれを備えるデバイス装置は、積層フィルムの高い耐擦傷性、密着性及びアウトガス抑制性を発揮して、より優れた性能のものとすることができる。
本発明の一実施形態に係る積層フィルムを示す模式的断面図である。
<硬化性組成物>
当該硬化性組成物は、化合物(I)を含有し、好適成分として、化合物(II)を含有する(以下、化合物(I)と化合物(II)とを合わせて「化合物(A)」ともいう)。また、当該硬化性組成物は、化合物(A)以外にも、反応性粒子(B)等の無機粒子、ラジカル重合開始剤(C)、溶媒(D)等の他の成分を含有することができる。
以下、各成分について説明する。
<化合物(A)>
<化合物(I)>
化合物(I)は、下記式(1)で表される化合物である。当該硬化性組成物は、上記特定構造の化合物(I)を含有することで、耐擦傷性及び密着性に優れると共に、アウトガスが抑制された硬化層を形成することができる。当該硬化性組成物が上記構成を有することで上記効果を奏する理由としては必ずしも明確ではないが、例えば以下のように推察することができる。すなわち、化合物(I)は、トリシクロデカン環の嵩高い脂環構造を有している。形成される硬化層は、この嵩高い脂環構造に起因して、高い耐擦傷性及び基材層との高い密着性を発揮することができる。また、化合物(I)は、このトリシクロデカン環にポリオキシアルキレン基又はオキシカルボニルアルカンジイルオキシ基を介して重合性基である(メタ)アクリロイル基が結合する特定構造を有するので、化合物の揮発性が抑えられる一方、重合性は高まると考えられる。その結果、形成される硬化層からのアウトガスを抑制することができる。
Figure 2015193775
上記式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、下記式(i)で表される基又は下記式(ii)で表される基である。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基である。Rは、炭素数1〜5のアルキル基である。kは、0〜14の整数である。kが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。
Figure 2015193775
上記式(i)及び(ii)中、R5aは、炭素数2〜6のアルカンジイル基である。mは、0〜20の整数である。但し、R及びRが共に上記式(i)で表される場合、mの合計は1以上である。R5bは、炭素数1〜14のアルカンジイル基である。nは、1〜10の整数である。R5a及びR5bがそれぞれ複数の場合、複数のR5a及びR5bはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。*は、上記式(1)の(メタ)アクリロイル基に結合する部位を示す。
上記式(i)におけるR5aで表される炭素数2〜6のアルカンジイル基としては、例えば、エタンジイル基、直鎖状又は分岐状のプロパンジイル基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、ヘキサンジイル基等が挙げられる。
これらの中で、エタンジイル基、直鎖状又は分岐状のプロパンジイル基が好ましく、1,2−プロパンジイル基がより好ましい。
mとしては、1〜10の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1又は2がさらに好ましく、2が特に好ましい。
上記R及びRが共に上記式(i)で表される場合のmの合計としては、1以上20以下が好ましく、2以上10以下がより好ましく、2又は4がさらに好ましく、4が特に好ましい。
上記式(ii)におけるR5bで表される炭素数1〜14のアルカンジイル基としては、例えば、メタンジイル基、エタンジイル基、直鎖状又は分岐状のプロパンジイル基、ブタンジイル基、ペンタンジイル基、ヘキサンジイル基、ヘプタンジイル基、オクタンジイル基、デカンジイル基、ドデカンジイル基、テトラデカンジイル基等が挙げられる。
これらの中で、メタンジイル基、エタンジイル基、直鎖状のペンタンジイル基が好ましく、1,5−ペンタンジイル基がより好ましい。
上記式(ii)におけるnとしては、1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましく、1がさらに好ましい。
及びRとしては、当該硬化性組成物により形成される硬化層のアウトガスがより低減される観点から、上記式(i)で表される基が好ましい。
上記Rで表される炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
及びRとしては、重合性がより高くなる観点から、水素原子が好ましい。
化合物(I)としては、例えば、下記式(1−1)〜(1−14)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2015193775
上記式(1−1)〜(1−14)中、R及びRは、上記式(1)と同義である。
これらの中で、化合物(I)としては、上記式(1−2)で表される化合物、上記式(1−6)で表される化合物、上記式(1−8)で表される化合物が好ましい。
化合物(A)における化合物(I)の含有率としては、通常、3質量%〜80質量%であり、5質量%〜60質量%が好ましく、7質量%〜50質量%がより好ましく、10質量%〜40質量%がさらに好ましく、15質量%〜35質量%が特に好ましく、20質量%〜30質量%がさらに特に好ましい。
<化合物(I)の製造方法>
上記化合物(I)は、例えば、ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンと、プロピレンオキサイド等のエポキシド(上記式(1)におけるR及びRが上記式(i)の場合)又はε−カプロラクトン等のラクトン(上記式(1)におけるR及びRが上記式(ii)の場合)とを、トルエン等の溶媒中、水酸化ナトリウム等のアルカリの存在下で反応させることにより得られるジヒドロキシ化合物に、2−ヒドロキシエチルアクリレート等の(メタ)アクリル基含有化合物を、パラトルエンスルホン酸等の酸の存在下で反応させることにより製造することができる。
<化合物(II)>
化合物(II)は、化合物(I)以外の化合物であって、重合性基を有する化合物である。当該硬化性組成物は、上述の化合物(I)に加え、化合物(II)をさらに含有することで、硬化性をより高めることができ、その結果、形成される硬化層の耐擦傷性、密着性及びアウトガス抑制性をより高めることができる。
上記重合性基としては、重合可能な基であれば特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、シンナモイル基、マレエ−ト基等の炭素−炭素二重結合を含む基、エチニル基等の炭素−炭素三重結合を含む基等が挙げられる。これらの中で、炭素−炭素二重結合を含む基が好ましく、(メタ)アクリロイル基、スチリル基がより好ましく、(メタ)アクリロイル基がさらに好ましい。化合物(II)の重合性基を上記基とすることで、化合物(I)との共重合性が向上し、その結果、積層フィルムのアウトガス抑制性をより高めることができる。
化合物(II)としては、重合性基を有している限り、特に限定されないが、例えば、上記重合性基が(メタ)アクリロイル基である(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。この(メタ)アクリレート化合物としては、ウレタン結合をさらに有するウレタン(メタ)アクリレート化合物(以下、「ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A2)」ともいう)、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A2)以外の他の(メタ)アクリレート化合物(以下、「他の(メタ)アクリレート化合物(A3)」ともいう)等が挙げられる。当該硬化性組成物は、化合物(II)として、上記(メタ)アクリレート化合物以外のその他の重合性化合物(以下、「その他の重合性化合物(A4)」ともいう)を含有してもよい。
[ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A2)]
上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A2)は、形成される硬化層の耐屈曲性等を高める機能を有する。
ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A2)は、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有することが好ましく、2個以上15個以下の(メタ)アクリロイル基を有することがさらに好ましい。
上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A2)としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)における、ポリスチレン換算数平均分子量が500〜50,000であるウレタン(メタ)アクリレートが好適に使用される。ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A2)のGPCパターンは、HLC−8020型高速液体クロマトグラフ(東ソー製)を用い、GPC用カラムとしてスチレン・ジビニルベンゼン共重合体樹脂を用い、溶離液としてテトラヒドロフランを用いて測定する。
上記ウレタン(メタ)アクリレート化合物(A2)としては、(メタ)アクリロイル基及びウレタン結合を有する化合物であれば特に制限されるものではなく、その市販品としては、例えば、アートレジンUN−333、KY−111、UN−2600、UN−2700、H−34、UN−3320HA、UN−3320HS、UN−904、UN−905(以上、根上工業製)、EBECRYL230、EBECRYL270、EBECRYL4858、EBECRYL8807、EBECRYL9260、EBECRYL9270(以上、ダイセル・サイテック製)、U−4HA、U−6HA、U−6LPA、UA−1100H、UA−200PA、UA−4200、UA−122P、UA−53H(以上、新中村化学工業製)等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[他の(メタ)アクリレート化合物(A3)]
他の(メタ)アクリレート化合物(A3)は、硬化層と基材層との密着性を上げ、硬度を調節するために好適に用いられる。(メタ)アクリレート化合物(A3)は、1分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であり、例えば、(メタ)アクリルエステル類等が挙げられる。
(メタ)アクリルエステル類としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート類、及びこれらの水酸基へのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物のポリ(メタ)アクリレート類、分子内に2以上の(メタ)アクリロイル基を有するオリゴエステル(メタ)アクリレート類、オリゴエーテル(メタ)アクリレート類、オリゴウレタン(メタ)アクリレート類、及びオリゴエポキシ(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
これらの中でも、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートが好ましい。
このような(メタ)アクリレート化合物(A3)の市販品としては、例えば、東亞合成製アロニックスM−400、M−408、M−450、M−305、M−309、M−310、M−315、M−320、M−350、M−360、M−208、M−210、M−215、M−220、M−225、M−233、M−240、M−245、M−260、M−270、M−1100、M−1200、M−1210、M−1310、M−1600、M−221、M−203、TO−924、TO−1270、TO−1231、TO−595、TO−756、TO−1343、TO−902、TO−904、TO−905、TO−1330、日本化薬製KAYARAD D−310、D−330、DPHA、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、DN−0075、DN−2475、SR−295、SR−355、SR−399E、SR−494、SR−9041、SR−368、SR−415、SR−444、SR−454、SR−492、SR−499、SR−502、SR−9020、SR−9035、SR−111、SR−212、SR−213、SR−230、SR−259、SR−268、SR−272、SR−344、SR−349、SR−601、SR−602、SR−610、SR−9003、PET−30、T−1420、GPO−303、TC−120S、HDDA、NPGDA、TPGDA、PEG400DA、MANDA、HX−220、HX−620、R−551、R−712、R−167、R−526、R−551、R−712、R−604、R−684、TMPTA、THE−330、TPA−320、TPA−330、KS−HDDA、KS−TPGDA、KS−TMPTA、共栄社化学製ライトアクリレート PE−4A、DPE−6A、DTMP−4A、日立化成工業製FA−511AS、FA−512AS、新中村化学工業製NKエステルA−TMM−3LM−N、A−DPH等が挙げられる。
[その他の重合性化合物(A4)]
当該硬化性組成物は、その他の重合性化合物(A4)を含有していてもよい。この重合性化合物(A4)としては、例えば、ビニル化合物類等が挙げられる。
このビニル化合物類としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。
化合物(A)における化合物(II)の含有率としては、通常20質量%〜97質量%であり、40質量%〜95質量%が好ましく、50質量%〜93質量%がより好ましく、60質量%〜90質量%がさらに好ましく、65質量%〜85質量%が特に好ましく、70質量%〜80質量%がさらに特に好ましい。
当該硬化性組成物における化合物(A)の含有量としては、全固形分中、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。
<その他の成分>
<無機粒子>
当該硬化性組成物は、その他の成分として、無機粒子を含有してもよい。この無機粒子としては、特に限定されないが、酸化物粒子が好ましく、反応性粒子(B)がより好ましい。
<反応性粒子(B)>
上記反応性粒子(B)は、酸化物粒子(以下、「酸化物粒子(B1)」ともいう)と、特定の反応性基を有する有機化合物(B2)とを結合させて得ることができる。
[酸化物粒子(B1)]
上記酸化物粒子(B1)は、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物の粒子が好ましい。このような酸化物粒子(B1)を用いることで、透明性の高い硬化層を得ること等が可能になる。
上記酸化物粒子(B1)としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化アンチモン、酸化セリウム等の粒子が挙げられる。これらの中でも、高硬度の観点から、シリカ、アルミナ、ジルコニア及び酸化アンチモンの粒子が好ましい。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記酸化物粒子(B1)は、粉体状又は分散ゾルとして用いるのが好ましい。分散ゾルとして用いる場合、他の成分との分散性等の観点から、分散媒は有機分散媒が好ましい。このような有機分散媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類等が挙げられる。これらの中でも、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレンが好ましい。
なお、この粒子の分散性を改良するために各種の界面活性剤やアミン類等を添加してもよい。
ケイ素酸化物粒子(例えば、シリカ粒子)として市販されている商品としては、例えば、コロイダルシリカとして、日産化学工業製メタノ−ルシリカゾル、IPA−ST−S、IPA−ST−ZL、IPA−ST−L、IPA−ST−UP、MEK−ST−L、MEK−ST−UP、MEK−ST−ZL、NBA−ST、XBA−ST、DMAC−ST、ST−UP、ST−OUP、ST−20、ST−40、ST−C、ST−N、ST−O、ST−50、ST−OL等が挙げられる。また粉体シリカとしては、例えば、日本アエロジル製アエロジル130、アエロジル300、アエロジル380、アエロジルTT600、アエロジルOX50、旭硝子製シルデックスH31、H32、H51、H52、H121、H122、日本シリカ工業製E220A、E220、富士シリシア化学製SYLYSIA470、日本板硝子製SGフレ−ク等が挙げられる。
アルミナ粒子の水分散品としては、日産化学工業製アルミナゾル−100、−200、−520;アルミナ粒子のイソプロパノール分散品としては、住友大阪セメント製AS−150I;アルミナ粒子のトルエン分散品としては、住友大阪セメント製AS−150T;ジルコニア粒子のトルエン分散品としては、住友大阪セメント製HXU−110JC;アンチモン酸亜鉛粉末の水分散品としては、日産化学工業製セルナックス;アルミナ、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛等の粉末及び溶媒分散品としては、シーアイ化成製ナノテック;アンチモンドープ酸化スズの水分散ゾルとしては、石原産業製SN−100D;ITO粉末としては、三菱マテリアル製の製品;酸化セリウム水分散液としては、多木化学製ニードラール等が挙げられる。
ジルコニア粒子の市販品としては、第一稀元素化学工業製 商品名:EP、UEP、RC、日本電工製 商品名:N−PC、PCS、東ソー製 TZ−3Y−E、TZ−4YS、TZ−6YS、TZ−8YS、TZ−10YS、TZ−0等が挙げられる。
上記酸化物粒子(B1)の形状は、特に限定されず、球状、中空状、多孔質状、環状、棒状、板状、繊維状、鎖状、不定形状等のものを用いることができ、好ましくは、球状及び鎖状である。鎖状とは、単位長さ0.05μm以下、好ましくは0.02μm以下の酸化物粒子単位が2〜200個、好ましくは10〜100個程度鎖状に細長い形状に結合したものをいう。また、鎖状の酸化物粒子は、直鎖構造であっても、枝分かれ構造であってもよい。
なお、上記酸化物粒子としては、球状の粒子と鎖状の粒子とを混合して用いることが好ましい。理由は定かではないが、この2種の形状の酸化物粒子を用いることで、透明性の低下を抑えつつ、高い耐屈曲性、耐ブロッキング性及び硬度を有する硬化層を形成することができる。
上記酸化物粒子(B1)の平均粒子径は、0.001μm以上2μm以下が好ましく、0.003μm以上1μm以下がさらに好ましく、0.005μm以上0.5μm以下が特に好ましい。平均粒子径が2μmを超えると、硬化後の透明性が低下したり、硬化層の表面の平滑性が低下する傾向がある。逆に、平均粒子径が0.001μm未満の場合は、十分な耐ブロッキング性等を発揮できない場合がある。
上記平均粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、HORIBA LB−550)を用いてバッチ式測定法により測定された散乱光データからMie理論により粒度分布を自動計算させることによって得たメジアン径を意味する。メジアン径は頻度分布が累積50%に相当する粒子径である。
[有機化合物(B2)]
上記有機化合物(B2)は、反応性基として重合性不飽和基及び加水分解性シリル基を有する有機化合物である。
上記重合性不飽和基としては、特に制限はないが、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエ−ト基、アクリルアミド基等が挙げられる。この重合性不飽和基は、活性ラジカル種により付加重合をする基である。
上記加水分解性シリル基とは、シラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する基である。シラノール基を生成する基としては、例えば、ケイ素原子にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が結合した基等が挙げられるが、ケイ素原子にアルコキシ基又はアリールオキシ基が結合した基、すなわち、アルコキシシリル基又はアリールオキシシリル基を含有する有機化合物が好ましい。ここでアルコキシ基としては炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、アリールオキシ基としては、炭素数6〜18のアリールオキシ基が好ましい。この加水分解性シリル基(シラノール基又はシラノール基を生成する基)は、縮合反応又は加水分解に続いて生じる縮合反応によって、酸化物粒子(B1)と結合する基である。
上記有機化合物(B2)として、例えば、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−メタクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、2−アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、2−メタクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、2−アクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどから選択される、少なくとも1種のシラン化合物が挙げられる。
これらの中でも、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランから選択される少なくとも1種のシラン化合物が、酸化物粒子(B1)との反応性が優れる点などから好ましい。
有機化合物(B2)は、重合性不飽和基及び加水分解性シリル基に加えて、さらに、下記式(2)で表される基を有することが好ましい。
Figure 2015193775
上記式(2)中、Xは、NH、O又はSである。Yは、O又はSである。
上記式(2)で表される基は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]の6種である。これらの基は、単独又は2種以上有していてもよい。これらの中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基に加えて、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1つを有することが好ましい。上記式(2)で表される基は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材層との密着性及び耐熱性、柔軟性等の特性を付与することができる。
有機化合物(B2)としては、下記式(3)で表される化合物が好ましい。
Figure 2015193775
上記式(3)中、R、R及びRのうち少なくとも一つは、ヒドロキシ基、アルコキシ基又はアリールオキシ基であり、残余は、水素原子、アルキル基又はアリール基である。Rは、炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基である。R10は、2価の有機基である。R11は、(q+1)価の有機基である。Zは、活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を有する1価の有機基である。qは、1〜20の整数である。
上記式(3)中、R、R及びRで表されるアルコキシ基及びアルキル基としては炭素数1〜8のものが挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基が好ましい。また、アリールオキシ基及びアリール基としては炭素数6〜18のものが挙げられ、フェノキシ基、キシリルオキシ基、フェニル基、キシリル基が好ましい。R(R)(R)Si−で表される基(加水分解性シリル基)としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等が挙げられる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基が好ましい。
は、その構造中に鎖状、分岐状又は環状構造を含んでいてもよい。このような構造として、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、メチルプロピレン基、オクタメチレン基、ドデカメチレン基等の炭素数1〜12の脂肪族基;シクロヘキシレン基等の炭素数3〜12の脂環式基;フェニレン基、2−メチルフェニレン基、3−メチルフェニレン基、ビフェニレン基等の炭素数6〜12の芳香族基等が挙げられる。これらの中で、メチレン基、プロピレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基が好ましい。
10としては、分子量(基を構成する原子の合計原子量)14〜1万、特に分子量76〜500の2価の有機基が好ましい。これらの有機基としては、脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基が挙げられ、その構造として鎖状、分岐状又は環状構造を含んでいてもよい。そのような構造単位として、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、2,2,4−トリメチルヘキサメチレン基、1−(メチルカルボキシル)−ペンタメチレン基等の鎖状構造の骨格を有する2価の有機基;イソフォロン、シクロヘキシルメタン、メチレンビス(4−シクロヘキサン)、水添ジエニルメタン、水添キシレン、水添トルエン等の脂環式構造の骨格を有する2価の有機基;及びベンゼン、トルエン、キシレン、パラフェニレン、ジフェニルメタン、ジフェニルプロパン、ナフタレン等の芳香環構造の骨格を有する2価の有機基から選ぶことができる。
11としては、(q+1)価の直鎖状又は分岐状の飽和炭化水素基若しくは不飽和炭化水素基が挙げられる。より具体的には、上述したR10の2価の有機基の他、2−エチル−2−メチレンプロピレン等の3価の有機基、イソシアヌル骨格を有する3価の有機基、2,2−ジメチレンプロピレン等の置換アルキレン等の4価の有機基、ジペンタエリスリトール由来のアルキレン等の6価の有機基が挙げられる。これらのうち、エチレン、2−エチル−2−メチレンプロピレン、イソシアヌル骨格を有する3価の有機基、2,2−ジメチレンプロピレン等の置換アルキレン、ジペンタエリスリトール由来のアルキレンが好ましい。
Zとしては、例えばアクリロキシ基、メタクリロキシ基、ビニル基、プロペニル基、ブタンジエニル基、スチリル基、エチニル基、シンナモイル基、マレエート基、アクリルアミド基等を例示することができる。これらのうち、アクリロキシ基、メタクリロキシ基及びビニル基がより好ましい。
qは、1〜20の整数であるが、1〜10の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましい。
これらの有機化合物(B2)は、例えば、特開平9−100111号公報に記載の方法により製造することができる。
酸化物粒子(B1)と有機化合物(B2)とを結合させる方法としては、特に限定されないが、
酸化物粒子(B1)と有機化合物(B2)とを、水を含む有機溶媒に混合し、加水分解・縮合反応を一度に行う方法、
予め有機化合物(B2)を水を含む有機溶媒の存在下で加水分解処理した後、酸化物粒子(B1)と縮合反応させる方法、
酸化物粒子(B1)と有機化合物(B2)とを水、有機溶媒、及び他の成分、例えば、分子内に2以上の重合性不飽和基を有する化合物、ラジカル重合開始剤等と混合し、加水分解・縮合反応を一度に行う方法
等が挙げられる。
これらの方法により酸化物粒子(B1)表面のケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、ゲルマニウム、インジウム、スズ、アンチモン及びセリウムよりなる群から選ばれる少なくとも一つの元素と、有機化合物(B2)分子中のケイ素原子が酸素原子を介して結合することにより、酸化物粒子(B1)と有機化合物(B2)とが化学的に結合した反応性粒子(B)が得られる。
なお、酸化物粒子(B1)がシリカ粒子であり、有機化合物(B2)がシラノール基又はシラノール基を生成する基を有する有機化合物(B2)である場合などには、これらを水又は水を含む有機溶媒に混合後、水又は有機溶媒を減圧又は常圧下で留去することにより、シリカ粒子と有機化合物(B2)とがシリルオキシ基を介して結合してなる重合反応性シリカ粒子を製造することができる。この反応は、例えば特開平9−100111号公報の記載に基づいて行うことができる。
複数の酸化物粒子(B1)を用いる場合は、それぞれの酸化物粒子(B1)を別々に有機化合物(B2)と加水分解・縮合反応を行ってもよいし、複数の酸化物粒子(B1)を事前に混合したのち、有機化合物(B2)と加水分解・縮合反応を行ってもよい。なお、球状及び鎖状の酸化物粒子(B1)を同時に有機化合物(B2)と反応させることにより、耐ブロッキング性に優れた硬化物が得られるため好ましく用いられる。
有機化合物(B2)の結合量は、反応性粒子(B)(酸化物粒子(B1)及び有機化合物(B2)の合計)を100質量%として、好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは1質量%以上、特に好ましくは3質量%以上40質量%以下である。結合した有機化合物(B2)の結合量が0.01質量%未満であると、組成物中における反応性粒子(B)の分散性が十分でなく、得られる硬化層の透明性、耐ブロッキング等が十分でなくなる場合がある。
当該硬化性組成物における反応性粒子(B)の含有量としては、全固形分中、25質量%以上85質量%以下が好ましく、30質量%以上80質量%以下がさらに好ましい。25質量%未満であると、硬化物としたときに十分な硬度が得られない場合がある。逆に、85質量%を超えると、成膜性が不十分となり、また基材層との密着性が低下することなどがある。なお、反応性粒子(B)の含有量は、固形分を意味し、反応性粒子(B)が分散媒分散ゾルの形態で用いられるときは、その含有量には分散媒の量を含まない。
<ラジカル重合開始剤(C)>
当該硬化性組成物は、さらにラジカル重合開始剤(C)を含有していてもよい。上記ラジカル重合開始剤(C)としては、例えば、放射線(光)照射により活性ラジカル種を発生させる化合物(放射線(光)重合開始剤)、熱的に活性ラジカル種を発生させる化合物(熱重合開始剤)等が挙げられる。なお、必要に応じて放射線(光)重合開始剤と熱重合開始剤とを併用することができる。
放射線(光)重合開始剤としては、光照射により分解してラジカルを発生して重合を開始せしめるものであれば特に制限はなく、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、オリゴ(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパノン)等が挙げられる。
放射線(光)重合開始剤の市販品としては、例えば、BASF製 商品名:Irgacure184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI1850、CG24−61、ダロキュア1116、1173、BASF製 商品名:ルシリンTPO、UCB製 商品名:ユベクリルP36、フラテツリ・ランベルティ製 商品名:エザキュアーKIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B等が挙げられる。
熱重合開始剤としては、例えば、過酸化物及びアゾ化合物を挙げることができ、具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチル−パーオキシベンゾエート、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
上記ラジカル重合開始剤(C)の含有量としては、全固形分中、0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がより好ましい。0.01質量%未満であると硬度が不十分となることがあり、10質量%を超えると内部(基材層2側)まで十分に硬化しないことがある。
<溶媒(D)>
当該硬化性組成物は、通常、粘度(塗工性)や塗膜の厚さを調整すること等のため、溶媒で希釈して用いられる。当該硬化性組成物の粘度としては、通常0.1〜50,000mPa・秒/25℃、好ましくは0.5〜10,000mPa・秒/25℃である。
上記溶媒(D)としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;イソプロピルアルコール、エチルアルコールなどのアルコール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メトキシベンゼン、1,2−ジメトキベンゼンなどの芳香族炭化水素類;フェノール、パラクロロフェノールなどのフェノール類;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類等があげられる。これら溶媒は1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
上記溶液(D)の含有量は、70質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%以上60質量%以下である。
[他の添加剤]
当該硬化性組成物は、さらに他の添加剤を含有していてもよい。上記添加剤としては、レベリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、顔料、染料、充填剤、分散剤、可塑剤、界面活性剤、チキソトロビー化剤等が挙げられる。
上記レベリング剤としては、シリコーン系又はフッ素系のレベリング剤を適宜選択して使用するのが好ましい。シリコーン系レベリング剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、(メタ)アクリル基を有するポリシロキサン等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、シアノアクリレート系の各紫外線吸収剤等が挙げられる。
上記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、硫黄系、リン系の各酸化防止剤が挙げられる。
上記光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられる。
これらの各添加剤は、単独で使用されてもよいし、2種類以上併用されてもよい。また、これらの他の添加剤の含有量としては、全固形分中、10質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。
当該硬化性組成物の塗布方法は、特に制限されず、公知の方法を用いることができ、例えばディッピングコート、スプレーコ−ト、フローコ−ト、シャワーコート、ロールコート、スピンコート、刷毛塗り等が挙げられる。
当該硬化性組成物の塗布後、好ましくは0〜200℃で溶媒(揮発成分)を乾燥させた後、熱及び/又は放射線で硬化処理を行うことにより硬化層を形成することができる。
熱による場合、その熱源としては、例えば、電気ヒーター、赤外線ランプ、熱風等を用いることができる。熱による場合の好ましい硬化条件は20〜150℃であり、10秒〜24時間の範囲内で行われる。
放射線(光)による場合、その線源としては、組成物を塗布後短時間で硬化させることができるものである限り特に制限はないが、例えば、赤外線の線源として、ランプ、抵抗加熱板、レーザー等を、また可視光線の線源として、日光、ランプ、蛍光灯、レーザー等を、また紫外線の線源として、水銀ランプ、ハライドランプ、レーザー等を、また電子線の線源として、市販されているタングステンフィラメントから発生する熱電子を利用する方式、金属に高電圧パルスを通じて発生させる冷陰極方式およびイオン化したガス状分子と金属電極との衝突により発生する2次電子を利用する2次電子方式等が挙げられる。また、アルファ線、ベータ線及びガンマ線の線源として、例えば、Co60等の核分裂物質を用いることができ、ガンマ線については加速電子を陽極へ衝突させる真空管等を利用することができる。これら放射線は1種単独で又は2種以上を同時に又は一定期間をおいて照射することができる。
上記放射線としては、紫外線又は電子線を用いることが好ましい。そのような場合、好ましい紫外線の照射光量は0.01〜10J/cmであり、より好ましくは、0.1〜2J/cmである。また、好ましい電子線の照射条件は、加速電圧は10〜300kV、電子密度は0.02〜0.30mA/cmであり、電子線照射量は1〜10Mradである。
当該積層フィルムは、上述のように耐擦傷性、密着性及びアウトガス抑制性に優れる。従って、当該積層フィルムは、タッチパネル等の表示装置、メンブレンスイッチ、キーパッド等の表面材料として好適に用いられる。
<積層フィルム>
図1の積層フィルム1は、基材層2と、この基材層2の少なくとも一方の面(表面側)に積層される硬化層3とを備える。
(基材層2)
基材層2を形成する材料としては、特に限定されないが、透明樹脂が好ましい。基材層2を透明樹脂製とすることで、当該積層フィルムは、タッチパネル等の材料として好適に用いることができる。上記材料としては、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、環状オレフィン系樹脂、トリアセチルセルロース、ABS、AS等の合成樹脂、ガラス等が挙げられる。これらの中でも、合成樹脂が好ましく、環状オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂がより好ましく、環状オレフィン系樹脂がさらに好ましい。このような樹脂を用いることで、より高い耐熱性、耐久性及び透明性を発揮させることができる。
上記環状オレフィン系樹脂としては、環状オレフィン(シクロオレフィン)を含むモノマーを重合してなる樹脂であれば特に限定されるものではない。この環状オレフィン系樹脂としては、シクロオレフィンポリマー(COP)又はシクロオレフィンコポリマー(COC)のいずれであってもよいが、シクロオレフィンコポリマーがより好ましい。環状オレフィン系樹脂としては、下記式(X)で表される単量体及び下記式(Y)で表される単量体からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む単量体を重合して得られる樹脂、並びにこの樹脂を水素添加して得られる樹脂が好ましい。上記重合としては、付加重合、開環メタセシス重合等が挙げられる。
Figure 2015193775
上記式(X)中、Rx1〜Rx4は、それぞれ独立して、下記(i’)〜(ix’)より選ばれる原子又は基である。k、m及びpは、それぞれ独立して、0又は正の整数である。
(i’)水素原子
(ii’)ハロゲン原子
(iii’)トリアルキルシリル基
(iv’)酸素原子、硫黄原子、窒素原子又はケイ素原子を含む連結基を有する置換又は非置換の炭素数1〜30の炭化水素基
(v’)置換又は非置換の炭素数1〜30の炭化水素基
(vi’)極性基(但し、上記(iv’)を除く)
(vii’)Rx1とRx2又はRx3とRx4が、相互に結合して形成されたアルキリデン基(但し、上記結合に関与しないRx1〜Rx4は、それぞれ独立して、上記(i’)〜(vi’)より選ばれる原子又は基である)
(viii’)Rx1とRx2又はRx3とRx4が相互に結合して形成された単環若しくは多環の炭化水素環又は複素環(但し、上記結合に関与しないRx1〜Rx4は、それぞれ独立して、上記(i’)〜(vi’)より選ばれる原子又は基である)
(ix’)Rx2とRx3とが、相互に結合して形成された単環の炭化水素環又は複素環(但し、上記結合に関与しないRx1とRx4は、それぞれ独立して、上記(i’)〜(vi’)より選ばれる原子又は基である)
Figure 2015193775
上記式(Y)中、Ry1及びRy2は、それぞれ独立して、上記(i’)〜(vi’)より選ばれる原子又は基であるか、又はRy1とRy2とが相互に結合して形成された単環若しくは多環の脂環式炭化水素環、芳香族炭化水素環又は複素環である。k及びpは、それぞれ独立して、0又は正の整数である。
上記基材層2には、その他添加剤として、例えば紫外線吸収剤、可塑剤、安定剤等が含有されていてもよい。
上記基材層2の平均厚みとしては、特に限定されないが、10μm以上500μm以下が好ましく、20μm以上200μm以下がより好ましい。基材層2を上記範囲の平均厚みとすることで、耐屈曲性や強度等をよりバランスよく高めることができる。
上記基材層2の製造方法としては、特に限定されないが、上記樹脂等を主成分とする材料を製膜すること等により製造することができる。かかる製膜方法としては、特に限定されないが、例えば溶剤キャスト法、溶融押出法、カレンダー法等の公知の成膜方法が挙げられる。なお、成膜後、基材層2には延伸処理が施されていてもよい。
(硬化層3)
上記硬化層3は、本発明の硬化性組成物の塗布により形成される。
上記硬化層3の平均厚みとしては、0.05μm以上10μm以下が好ましく、0.1μm以上5μm以下がより好ましい。硬化層3の平均厚みを上記範囲とすることで、耐擦傷性、密着性及びアウトガス抑制性を維持しつつ、透明性等を高めることができる。
<タッチセンサー>
本発明のタッチセンサーは、上述の当該積層フィルムを備える。
当該タッチセンサーは、上述の当該積層フィルムの少なくとも一方の面に透明導電層等の導電層をさらに備えている。この導電層は、通常、当該積層フィルム1の基材層2に対して硬化層3とは反対側の面に形成される。
上記導電層としては、導電性を示す限り特に制限されないが、透明導電層が好ましい。この透明導電層としては、例えば、酸化スズ、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)等の金属酸化物層、これらの金属酸化物を主体とする複合膜、金、銀、銅、錫、ニッケル、アルミニウム、パラジウム等の金属層などが挙げられる。また、ポリチオフェン系やポリアニリン系の導電性ポリマーを上記積層フィルム上に塗布し、成膜することで透明導電層を形成しても良い。上記導電膜は1層でもよいし、多層からなっていてもよい。上記導電層が多層からなる場合には、同一の材料からなる多層膜であってもよいし、異なる材料からなる多層膜であってもよい。
上記導電層の形成方法としては、特に制限されず、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法、化学蒸着(CVD)法などの公知の方法が挙げられるが、膜の均一性や積層フィルムへの層の密着性の観点から、真空蒸着法、スパッタリング法が好ましく、スパッタリング法がより好ましい。
当該タッチセンサーは、アウトガスが抑制された上述の当該積層フィルムを用いるので、上記導電層を真空蒸着法、スパッタリング法等で形成する場合も効果的に形成を行うことができ、その結果、導電層と積層フィルムとの密着性を高めることができる。また、上述のように、表面の耐擦傷性及び基材層と硬化層との密着性に優れている。従って、当該タッチセンサーは、従来のものに比べ、より優れた性能を発揮することができる。
当該タッチセンサを静電容量方式のタッチパネルに用いる場合には、上記導電層をパターニングすることが好ましい。パターニングする方法としては、上記導電層上にレジストを塗布し、パターンを露光・現像により形成した後に導電膜を化学的に溶解させる方法、真空中で化学反応により気化させる方法、レーザーにより導電層を昇華させる方法等が挙げられるが、パターンの形状、精度等により、適宜選択することができる。
<タッチパネル>
本発明のタッチパネルは、上述の当該タッチセンサーを備える。
当該タッチパネルは、上述の当該タッチセンサーの下に、表示パネルユニットをさらに備える。この表示パネルユニットは、一般的なLCD(Liquid Crystal Display)等が用いられる。
当該タッチパネルは、上述の当該タッチセンサーを備えているので、従来のものに比べ、より優れた性能を発揮することができる。
<デバイス装置>
当該デバイス装置は、上述の当該タッチパネルを備える。このようなデバイス装置としては、例えば、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末、タブレットPC、ノートパソコン、販売機器、ATM、FA機器、OA機器、医療機器、カーナビゲーションシステム等の表示装置などが挙げられる。
当該デバイス装置は、上述の当該タッチパネルを備えているので、従来のものに比べて、より優れた性能を発揮することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。「固形分」とは、組成物から溶媒等の揮発成分を除いた成分を意味し、具体的には、組成物を所定温度(175℃)のホットプレート上で1時間乾燥して得られる残渣物(不揮発成分)を意味する。
[有機化合物(B2)の合成]
合成例1
乾燥空気下、メルカプトプロピルトリメトキシシラン7.8質量部及びジブチルスズジラウレート0.2質量部からなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート20.6質量部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間攪拌した。これにペンタエリスリトールトリアクリレート71.4質量部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間加熱攪拌することで有機化合物(B2)を得た。生成物中の残存イソシアネ−ト量を分析したところ0.1%以下であり、反応がほぼ定量的に終了したことを示した。
[反応性粒子(B)の製造]
製造例1
合成例1で合成した有機化合物(B2)15.0質量部、シリカ粒子ゾル(メチルエチルケトンシリカゾル、日産化学工業製MEK−ST−L、数平均粒子径0.056μm、シリカ濃度30質量%、球状)166.7質量部(シリカ粒子として50質量部)及びイオン交換水0.2質量部の混合液を、60℃で3時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル2.4質量部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで反応性粒子(B)分散液(分散液(B−1))を得た。この分散液(B−1)をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、30.2質量%であった。
製造例2
合成例1で合成した有機化合物(B2)30.0質量部、シリカ粒子ゾル(メチルエチルケトンシリカゾル、日産化学工業製MEK−ST−L、数平均粒子径0.056μm、シリカ濃度30質量%、球状)166.7質量部(シリカ粒子として50質量部)、シリカ粒子ゾル(メチルエチルケトンシリカゾル、日産化学工業製MEK−ST−UP、数平均粒子径0.042μm、シリカ濃度21質量%、鎖状)238.1質量部(シリカ粒子として50質量部)、及びイオン交換水0.4質量部の混合液を、60℃で3時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル4.8質量部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで反応性粒子(B)分散液(分散液(B−2))を得た。この分散液(B−2)をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、25.3質量%であった。
製造例3
合成例1で合成した有機化合物(B2)45.0質量部、シリカ粒子ゾル(メチルエチルケトンシリカゾル、日産化学工業製MEK−ST−L、数平均粒子径0.056μm、シリカ濃度30質量%、球状)166.7質量部(シリカ粒子として50質量部)、シリカ粒子ゾル(メチルエチルケトンシリカゾル、日産化学工業製MEK−ST−UP、数平均粒子径0.042μm、シリカ濃度21質量%、鎖状)238.1質量部(シリカ粒子として50質量部)、及びイオン交換水0.6質量部の混合液を、60℃で3時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル7.2質量部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで反応性粒子(B)分散液(分散液(B−3))を得た。この分散液(B−3)をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、31.2質量%であった。
[化合物(I)の製造]
硬化性組成物の調製に用いる化合物(A1−1)〜(A1−3)(下記式(A1−1)〜(A1−3)で表される化合物)を以下の方法に従い製造した。
製造例4
合成攪拌機、攪拌モーター、温度計及びブラインコンデンサーを備えた4つ口フラスコに、3(4),8(9)−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(三菱化学製)1,141g(5モル)、プロピレンオキシド(昭和化学製)1,162g(20モル)(モル比1:4)及びトルエン2,000gを仕込み、室温で窒素気流下、水酸化ナトリウム存在下で反応させた。
得られた生成物溶液を、分液漏斗を用い、0.1規定塩酸で水層のpHがリトマス試験紙で中性となるまで水洗を行い、有機層を回収した。
上記回収した有機層と、2−ヒドロキシエチルアクリレート(大阪有機化学製)1,160g(10モル)と、パラトルエンスルホン酸1.72g(0.01モル)を、合成攪拌機、攪拌モーター、温度計及びディーンスターク管を備えた4つ口フラスコに仕込み、110℃で反応させた。反応により発生する水はディーンスターク管にて適宜系外へ排出し、水の排出がなくなった時点で反応を終了させた。
反応終了後、反応溶液を分液漏斗を用い、0.1規定硫酸で水層のpHがリトマス試験紙で中性となるまで水洗を行い、有機層を回収した。
上記回収した有機層をエバポレーターを用いて乾固させることにより、化合物(A1−1)207gを得た。ガスクロマトグラフィー分析の結果、化合物(A1−1)の純度は、99.2%であった。
製造例5
製造例4において、プロピレンオキシドの使用量を、3(4),8(9)−ビス(ヒドロキシメチル)−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンに対して2倍モルとした以外は、製造例4と同様にして化合物(A1−2)184gを得た。化合物(A1−2)の純度は、99.4%であった。
製造例6
製造例4において、プロピレンオキシドの代わりに、これと同モル量のε−カプロラクトンを用いた以外は、製造例4と同様にして化合物(A1−3)210gを得た。化合物(A1−3)の純度は、98.2%であった。
[硬化性組成物の調製]
硬化性組成物の調製に用いた反応性粒子(B)以外の成分について以下に示す。
(化合物(I))
A1−1:下記式(A1−1)で表される化合物(上記製造例4で製造した化合物)
A1−2:下記式(A1−2)で表される化合物(上記製造例5で製造した化合物)
A1−3:下記式(A1−3)で表される化合物(上記製造例6で製造した化合物)
Figure 2015193775
(化合物(II))
A2−1:根上工業製アートレジンH−34(4官能のウレタンアクリレート)
A2−2:根上工業製アートレジンUN−904(10官能のウレタンアクリレート)
A3−1:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(下記式(A3−1)で表される化合物)
A3−2:新中村化学工業製A−DPH(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
Figure 2015193775
(ラジカル重合開始剤(C))
C−1:2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASF製Irgacure907)
C−2:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン(BASF製Irgacure184)
(溶媒(D))
D−1:メチルエチルケトン(MEK)
[実施例1]
化合物(I)としての(A1−1)21.4質量部、化合物(II)としての(A2−1)48.2質量部及び(A2−2)19.4質量部、製造例1で製造した分散液(B−1)106.6質量部(反応性粒子32.2質量部を含む。分散媒メチルエチルケトン(MEK))、ラジカル重合開始剤(C)としての(C−2)2.0質量部、並びに溶媒(D)としての(D−1)60.0質量部を混合し、40℃で2時間攪拌することで均一な硬化性組成物を得た。
得られた硬化性組成物を、基材層としてのノルボルネン系樹脂フィルム(JSR製アートンFEKE100、膜厚100μm)の片面上にバーコーターを用いて乾燥膜厚1.7μmになるように塗布した。次いで、80℃の熱風式乾燥機中で3分間乾燥し、コンベア式水銀ランプを用いて、窒素雰囲気下、1J/cmの光量で照射して、硬化層を形成した。基材層のもう一方の面にも同様にして硬化層を形成することにより、積層フィルムを得た。
[実施例2〜5並びに比較例1〜7及び9]
表1及び表2に示す組成に変えた以外は実施例1と同様の操作により実施例2〜5並びに比較例1〜7及び9の各硬化性組成物を調製し、これらを用いて実施例1と同様の操作により各積層フィルムを得た。
[実施例6〜10並びに比較例8及び10]
表1及び表2に示す組成に変えた以外は実施例1と同様の操作により実施例6〜10並びに比較例8及び10の各硬化性組成物を調製し、これらを用い、基材層としてポリエステル系樹脂フィルム(東レ製PETフィルム ルミラーU48、膜厚50μm)を用いた以外は実施例1と同様の操作により各積層フィルムを得た。
[評価]
得られた各積層フィルムについて、以下の各評価を行った。評価結果を表1及び表2に合わせて示す。
(1)耐スチールウール(SW)擦傷性
テスター産業製学振型耐磨耗試験機にて、200g荷重をかけた#0000スチールウールにて10往復し、試験した塗膜面の傷つき状態を目視にて評価した。傷が10本以下である場合は「○」と、傷が10本を越える場合は「×」と評価した。
(2)硬化層と基材層との密着性
JIS−K5400における碁盤目セロハンテ−プ剥離試験に準拠し、1mm角、計100個の碁盤目における残膜率(%)で評価した。
(3)アウトガス量
清浄度を確認したガラス管に、4mm×40mmの大きさにカットした試料(質量約20mg)を入れ、高純度ヘリウムガスを通気しながら、150℃で10分間加熱し、試料から発生したガス成分を冷却濃縮させた後、ガスクロマトグラフ−質量分析計(GC−MS)でその量を測定した(単位:ppm)。なお、質量分析計のイオン化方式は、電子衝撃法(EI法、70eV)を用いた。
(4)鉛筆硬度
JIS−K5600−5−4に準拠して測定した。
(5)クラック試験
積層フィルムの片面上にスズ−インジウム複合酸化物からなる透明薄膜を製膜した。製膜は、ターゲットに酸化インジウムを10質量%含有した酸化スズ(三井金属鉱業製)を用いて7W/cmのDC電力を印加し、次いでArガスを190sccm、Oガスを3.5sccmの流速で流し、0.4Paの雰囲気下におけるDCマグネトロンスパッタリング法により行った。この際のセンターロールの温度を24℃としてスパッタ膜を形成した。このスパッタ膜が形成された積層フィルムから50mm×70mmサイズに切り出したサンプルを作製し、150℃×60分にて加熱処理した。
次に、ガラス板100mm×100mm(厚み5mm)と積層フィルムのサンプルのスパッタした面とを粘着シート(住友スリーエム製粘着シート 8146−4)で気泡が入らないように貼合した。
次いで、作製した貼合サンプルを、鉛筆硬度試験(JIS−K5600−5−4に準じる方法で、鉛筆はHBに、重りは80gに固定した)を行った後、スライドさせずに10秒間静置し、鉛筆が接した部位を目視にて観察した。
目視観察の結果、クラックが認められなかった場合は「○」と、クラックが認められた場合は「×」と評価した。
Figure 2015193775
Figure 2015193775
表1及び表2で示されるように、実施例の硬化性組成物によれば、耐擦傷性及び密着性に優れると共に、アウトガスが抑制された硬化層を形成することができる。
本発明の硬化性組成物によれば、耐擦傷性及び密着性に優れると共に、アウトガスが抑制された硬化層を形成することができる。本発明の積層フィルムは、耐擦傷性、密着性及びアウトガス抑制性に優れる。本発明のタッチセンサー、これを備えるタッチパネル及びこれを備えるデバイス装置は、積層フィルムの高い耐擦傷性、密着性及びアウトガス抑制性を発揮して、より優れた性能のものとすることができる。
1 積層フィルム
2 基材層
3 硬化層

Claims (9)

  1. 下記式(1)で表される化合物(I)を含有する硬化性組成物。
    Figure 2015193775
    (式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して、下記式(i)で表される基又は下記式(ii)で表される基である。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又はメチル基である。Rは、炭素数1〜5のアルキル基である。kは、0〜14の整数である。kが2以上の場合、複数のRは同一でも異なっていてもよい。)
    Figure 2015193775
    (式(i)及び(ii)中、R5aは、炭素数2〜6のアルカンジイル基である。mは、0〜20の整数である。但し、R及びRが共に上記式(i)で表される場合、mの合計は1以上である。R5bは、炭素数1〜14のアルカンジイル基である。nは、1〜10の整数である。R5a及びR5bがそれぞれ複数の場合、複数のR5a及びR5bはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。*は、上記式(1)の(メタ)アクリロイル基に結合する部位を示す。)
  2. 上記化合物(I)とは異なる化合物であって重合性基を有する化合物(II)をさらに含有する請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 上記化合物(II)の重合性基が(メタ)アクリロイル基である請求項2に記載の硬化性組成物。
  4. 上記化合物(II)がウレタン結合をさらに有する請求項3に記載の硬化性組成物。
  5. 基材層と、
    この基材層に積層される硬化層と
    を備え、
    上記硬化層が、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の硬化性組成物により形成されている積層フィルム。
  6. 上記基材層が、透明樹脂製である請求項5に記載の積層フィルム。
  7. 請求項5又は請求項6に記載の積層フィルムを備えるタッチセンサー。
  8. 請求項7に記載のタッチセンサーを備えるタッチパネル。
  9. 請求項8に記載のタッチパネルを備えるデバイス装置。
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