JP2015193712A - 樹脂組成物及び食品包装フィルム - Google Patents

樹脂組成物及び食品包装フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 防曇性、透明性に優れ、かつ、食品包装容器底材の材質に関わりなくヒートシール性に優れたシーラント層の形成に資する樹脂組成物、及び、該樹脂組成物からなる層を少なくとも一方の最外層に有する食品包装フィルムを提供すること。【解決手段】 エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を主成分とする樹脂組成物であって、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体100質量部に対し、モノグリセリン脂肪酸エステルを0.3質量部以上、1.0質量部以下含有し、さらに、エチレンオキサイド付加物を0.1質量部以上、1.0質量部以下、及び/又は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.1質量部以上、1.0質量部以下含有する樹脂組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、防曇性、透明性、及びヒートシール性に優れた樹脂組成物、及び食品包装フィルムに関する。
市場の拡大や消費者のニーズの多様化に伴い、食品包装容器には保存時に内容物の視認が可能な透明性、酸素・水蒸気バリア性、耐衝撃性など様々な特性が要求される。中でも水分を含んだ内容物を包装し、電子レンジやボイルなどにより加熱した場合の容器内面への水滴の付着や、冷蔵保存した場合の容器内面での結露に対する防曇性の要求レベルは非常に高いものとなっている。
これらの食品包装容器の底材は、食品の品質管理の観点から主にポリオレフィンやポリエステルなどを基材とするトレー容器となっていることが一般的である。この底材に食品を収納して密封する際、容器の蓋材として使用するフィルムにはヒートシール可能なシーラント層が設けられている。
すなわち、食品を包装容器の底材であるトレー容器に収納し、蓋材のフィルムを被せた後で、トレー容器の蓋または顎にフィルムをヒートシールするレトルト処理を施して密封し食品を保護することによって、長期保存することが可能となる。
この場合、シーラント層を有する蓋材のフィルムには高い密封性や防曇性が求められる一方で、最終的に消費者によって開封されることから易開封性(イージーピール性)も共に備えていることが望まれている。
このようなシーラント層を有する食品包装フィルムに関しては、これまでに様々な提案がなされている。
例えば特許文献1には、オレフィン系熱可塑性エラストマーからなる樹脂組成物を芯層(中間層)とし、その少なくとも片面に直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルを添加配合してなる食品包装用ストレッチフィルムが開示されており、防曇性、フィルム開反性、フィルム滑り性、透明性、耐寒性、ヒートシール性に優れるとされている。
特許文献2には、耐熱性エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(hrEVOH)樹脂層やポリアミド樹脂層、各種ポリオレフィン系樹脂層から構成される易開封共押出フィルムが開示されており、酸素バリア性、イージーピール性、耐熱性、透明性などに優れるとされている。
特許文献3には、ポリオレフィン系樹脂と、脂肪族多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸との部分エステル化合物、又はアルカリ金属塩などからなる樹脂組成物で成形されたフィルム層の被包装物と接触する面に、脂肪族多価アルコールと脂肪族モノカルボン酸との部分エステル化合物、又はアルキルジエタノールアミンなどを塗布してなる包装用積層フィルムが開示されており、透明性、防曇性、滑性、ヒートシール性に優れるとされている。
特開2004−209696号公報 特開2006−281675号公報 特開2007−290338号公報
上記特許文献に開示されているフィルムに代表されるように、食品包装フィルムのシーラント層は、主にポリオレフィン又はオレフィン系共重合体に防曇剤を配合した樹脂組成物が用いられている。しかし、前述の食品包装容器の底材としてはポリオレフィンのみならず、例えばポリエステルなども使用されており、従来のポリオレフィン系のシーラント層では、被着体によってはヒートシール強度が十分ではなく、改良が望まれていた。
そこで本発明は、防曇性、透明性に優れ、かつ、食品包装容器底材の材質に関わりなくヒートシール性に優れたシーラント層の形成に資する樹脂組成物、及び、該樹脂組成物からなる層を少なくとも一方の最外層に有する食品包装フィルムを提供することを目的とする。
本発明者は上記の課題を鑑みて鋭意検討した結果、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体に対し、防曇剤として作用する特定の複数の化合物を所定の範囲の量で含有する樹脂組成物、及び該樹脂組成物からなる層を少なくとも一方の最外層に有する食品包装フィルムが、低温防曇性、高温防曇性、透明性に優れ、かつ、食品包装容器底材の材質に関わりなくヒートシール性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下のとおりである。
[1]エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を主成分とする樹脂組成物であって、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体100質量部に対し、モノグリセリン脂肪酸エステルを0.3質量部以上、1.0質量部以下含有し、さらに、エチレンオキサイド付加物を0.1質量部以上、1.0質量部以下、及び/又は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.1質量部以上、1.0質量部以下含有する樹脂組成物。
[2]前記エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体のエチレン含有量が80%モル以上、99モル%以下である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]前記エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の結晶融解ピーク温度Tmが80℃以上、110℃以下である、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]前記エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体が、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体である、[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]前記モノグリセリン脂肪酸エステルが、グリセリンと炭素原子数が12〜20の飽和脂肪酸のモノエステル又はジエステルである、[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]前記エチレンオキサイド付加物が、エチレンオキサイド付加数が1〜10モルのポリオキシエチレンアルキルエーテルである、[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7][1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂組成物からなる層を少なくとも一方の最外層に有する食品包装フィルム。
本発明の樹脂組成物は、低温防曇性、高温防曇性、透明性に優れ、かつ、食品包装容器底材の材質に関わりなくヒートシール性に優れたシーラント層の形成に資する樹脂組成物であり、該樹脂組成物からなる層を少なくとも一方の最外層に有する食品包装フィルムは、食品包装容器の蓋材等として好適に利用することができる。
以下、本発明の実施形態の一例としての樹脂組成物(以下「本樹脂組成物」とも称する)、及び該樹脂組成物からなる層を少なくとも一方の最外層に有する食品包装フィルム(以下「本フィルム」とも称する)について説明する。但し、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
<エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体>
本樹脂組成物は、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を主成分とする。ここで「主成分」とは、本樹脂組成物を構成する成分に中で最も多い含有比率を占める成分を称し、本発明においては50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。
エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を主成分とすることにより、本フィルムがポリエステル等、ポリオレフィン以外の食品包装容器底材に対しても、材質に関わりなくヒートシール性を発現するため好ましい。また、透明性と熱安定性に優れ、加熱により分解して揮発成分が生じるおそれも小さいため好ましい。
本発明で用いるエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体において、エチレンと共重合する「(メタ)アクリル酸エステル」とは、アクリル酸と1価アルコールのエステル、又はメタクリル酸と1価アルコールのエステルのいずれでも良い。
具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、などが挙げられるがこれらに限定されない。
これらの中でも、透明性や熱安定性、ヒートシール性の観点からアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、又はメタクリル酸メチルが好ましく、メタクリル酸メチルが特に好ましい。すなわち、本発明で用いるエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体が特に好ましい。
本発明に用いるエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体のエチレン含有量は、80モル%以上、99モル%以下であることが好ましく、85モル%以上、95モル%以下であることがさらに好ましい。
エチレン含有量が80モル%以上であれば、耐熱性、耐衝撃性を有するため好ましい。また、エチレン含有量が99モル%以下であれば、アクリル酸エステルによる接着性を有するため好ましい。
本発明に用いるエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の、JIS K7121(2012年)に基づき示差走査熱量測定において昇温速度10℃/分で測定される結晶融解ピーク温度Tmは、80℃以上、110℃以下であることが好ましく、85℃以上、105℃以下であることがさらに好ましい。
結晶融解ピーク温度Tmが80℃以上であれば、耐熱性を有するため好ましい。また、結晶融解ピーク温度Tmが110℃以下であれば、ヒートシール性に優れるため好ましい。
なお、市場において入手可能なエチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体としては、住友化学(株)製の商品名「アクリフト」、三井・デュポンポリケミカル(株)製の商品名「エルバロイAC」、ヤスハラケミカル(株)製の商品名「ヒロダイン」などが挙げられる。
<モノグリセリン脂肪酸エステル>
本樹脂組成物には、モノグリセリン脂肪酸エステルを含有することが重要である。モノグリセリン脂肪酸エステルを含有することにより、本フィルムの防曇性、特には後述する高温防曇性が向上するため好ましい。
本発明に用いるモノグリセリン脂肪酸エステルとしては特に限定されないが、中でもグリセリンと炭素原子数が12〜20の飽和脂肪酸とのモノエステル又はジエステルを用いることが、前記エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体との相溶性や、本フィルムの防曇性、透明性の向上の観点から好ましい。
これらの中でも、グリセリンと炭素原子数が12〜20の飽和脂肪酸とのモノエステルが好ましく、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレートがさらに好ましく、グリセリンモノステアレートが高温防曇性や防曇性の経時安定性の観点から特に好ましい。
本樹脂組成物中におけるモノグリセリン脂肪酸エステルは、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体100質量部に対し、0.3質量部以上、1.0質量部以下含有することが重要であり、0.4質量部以上、1.0質量部以下含有することがさらに好ましい。
モノグリセリン脂肪酸エステルを0.3質量部以上含有することにより、本フィルムの防曇性、特には後述する高温防曇性が向上するため好ましい。一方、モノグリセリン脂肪酸エステルを1.0質量部以下含有することにより、本フィルムの表面へのモノグリセリン脂肪酸エステルのブリードアウトのおそれが小さく、本フィルムのヒートシール性が向上するため好ましい。
<エチレンオキサイド付加物及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステル>
本樹脂組成物には、さらにエチレンオキサイド付加物及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することが重要である。
前記モノグリセリン脂肪酸エステルに加え、エチレンオキサイド付加物及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルを必須成分として所定量併用することにより、本フィルムが後述するように高温防曇性だけでなく低温防曇性にも優れ、さらに防曇性の経時安定性やヒートシール性にも優れるため好ましい。
本発明に用いるエチレンオキサイド付加物としては、特に限定されないが、ポリオキシエチレンアルキルエステルやポリオキシエチレンアルキルエーテルが挙げられ、中でもエチレンオキサイド付加数が1〜10モルのポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いることが、前記エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体との相溶性や、本フィルムの防曇性、透明性の向上の観点から好ましい。エチレンオキサイド付加数が1モル以上であれば防曇性(親水性)の点で好ましく、10モル以下であれば主にポリオレフィンやポリエステルなどを基材とのヒートシール性の点で好ましい。
具体的には、ポリオキシエチレングリセリンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンオレートなどが挙げられ、中でもポリオキシエチレンモノラウリルエーテルが特に好ましい。
本発明に用いるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリンステアレート、ポリグリセリンラウレート、ポリグリセリンオレート、デカグリセリンステアレート、デカグリセリンラウレートなどが挙げられ、中でもデカグリセリンオレートが特に好ましい。
本樹脂組成物にエチレンオキサイド付加物を含有する場合の含有量は、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体100質量部に対し、0.1質量部以上、1.0質量部以下含有することが重要であり、0.2質量部以上、1.0質量部以下含有することがさらに好ましい。
エチレンオキサイド付加物を0.1質量部以上含有することにより、本フィルムの防曇性、特には後述する低温防曇性が向上するため好ましい。一方、エチレンオキサイド付加物を1.0質量部以下含有することにより、フィルム表面へのエチレンオキサイド付加物のブリードアウトのおそれが小さく、本フィルムの透明性やヒートシール性が向上するため好ましい。
本樹脂組成物にポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する場合の含有量は、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体100質量部に対し、0.1質量部以上、1.0質量部以下含有することが重要であり、0.2質量部以上、1.0質量部以下含有することがさらに好ましい。
ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.1質量部以上含有することにより、本フィルムの防曇性、特には後述する低温防曇性が向上するため好ましい。一方、ポリグリセリン脂肪酸エステルを1.0質量部以下含有することにより、フィルム表面へのポリグリセリン脂肪酸エステルのブリードアウトのおそれが小さく、本フィルムの透明性やヒートシール性が向上するため好ましい。
(その他の防曇剤)
本樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、上記のモノグリセリン脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加物、及びポリグリセリン脂肪酸エステル以外に、その他の防曇剤を含有しても良い。
その他の防曇剤としては、ソルビトタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
本樹脂組成物における、上記モノグリセリン脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加物、及びポリグリセリン脂肪酸エステルを含めた防曇剤の総含有量は、樹脂組成物全体に対し、0.5質量%以上、2.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上、1.5質量%以下であることがさらに好ましい。
防曇剤の総含有量が0.5質量%以上であることにより、本フィルムの防曇性が向上するため好ましい。一方、防曇剤の総含有量が2.0質量%以下であることにより、フィルム表面へ防曇剤のブリードアウトのおそれが小さく、本フィルムの透明性やヒートシール性が向上するため好ましい。
<その他の成分>
本樹脂組成物には、前記エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体及び前記防曇剤以外に、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて他の樹脂や添加剤を含有することができる。
他の樹脂としては、本フィルムの透明性やヒートシール性を維持するという観点から、例えばポリオレフィン系樹脂、特にポリエチレン系樹脂や、アクリル系樹脂を挙げることができる。また添加剤としては、例えば無機充填剤、有機充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、滑剤、加水分解防止剤、帯電防止剤、可塑剤などを挙げることができる。
<食品包装フィルム>
本フィルムは、本樹脂組成物からなる層を少なくとも一方の最外層に有する食品包装フィルムである。すなわち、本フィルムにおいて本樹脂組成物からなる層がシーラント層としての役割を果たすことにより、本フィルムが優れた防曇性、透明性、及びヒートシール性を有することとなる。
本フィルムは、本樹脂組成物からなる層を少なくとも一方の最外層に有してれば、その構成は特に限定されるものではない。
例えば、本樹脂組成物からなる層のみからなるフィルムでも良いが、製造・搬送時のハンドリング性や、食品包装用途における酸素・水蒸気バリア性、耐衝撃性など様々な要求特性を鑑みて、本樹脂組成物からなる層のほか、ポリオレフィン系樹脂層、ポリエステル系樹脂層、ポリアミド系樹脂層などの各種樹脂層や、接着層、蒸着層、印刷層、帯電防止層などを有する食品包装フィルムとすることができる。
本フィルムの製造方法としては特に限定されるものではない。例えば本樹脂組成物からなる層と前記各種樹脂層や前記接着層などについてTダイを使用した押出キャスト法や、インフレーション法などで共押出により積層して製造しても良く、各層をそれぞれ単層フィルムとして製造した後に貼り合せて積層して製造しても良い。また、公知の塗布法、蒸着法や印刷法によって、各種樹脂層の表面に、接着層や帯電防止層、蒸着層、印刷層などを必要に応じて設けることができる。
本フィルムにおける本樹脂組成物からなる層の厚みは、好ましくは10μm以上、30μm以下であり、さらに好ましくは15μm以上、25μm以下である。
本樹脂組成物からなる層の厚みを10μm以上とすることにより、本フィルムを食品包装容器の蓋材として用いる場合に、良好なヒートシール性を発現するため好ましい。また、本樹脂組成物からなる層の厚みを30μm以下にすることにより、本フィルムを食品包装容器の底材から剥離した時の毛羽立ちや樹脂残りを発生し難くすることができ、良好な剥離外観が得られるため好ましい。
なお、本フィルムの総厚みについては特に制限されず、その用途に応じて本樹脂組成物からなる層以外の他の層の厚みを適宜設定することにより決定されるものである。
前記の通り、本フィルムは防曇性に優れたフィルムであり、より詳細には高温防曇性と低温防曇性のいずれにも優れたフィルムである。本発明者は、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体に対して、モノグリセリン脂肪酸エステルと、エチレンオキサイド付加物及び/又はポリグリセリン脂肪酸エステルをそれぞれ所定量含有させることによって、従来のポリオレフィン系のフィルムでは達成できていなかった係る効果を発現することを見出したのである。
本フィルムは、底面の直径が9.5cm、深さ12.0cmのポリプロピレン製の円筒形容器に熱湯(85〜95℃)を深さ2.0cm入れ、本樹脂組成物からなる層が該容器と接するように、該容器の開口部を本フィルムで密閉して包装し、10秒間静置した場合であっても、水分がフィルム表面に凝結せずに内容物を鮮明に確認できるか、仮に水分がフィルム表面に凝結しても、水膜がレンズ状にならず均一で内容物を鮮明に確認することができる。すなわち、本フィルムは高温防曇性に優れたフィルムである。
また本フィルムは、底面の直径が9.5cm、深さ12.0cmのポリプロピレン製の円筒形容器に水(20〜25℃)を深さ2.0cm入れ、本樹脂組成物からなる層が該容器と接するように、該容器の開口部を本フィルムで密閉して包装し、5〜8℃の冷蔵庫に24時間静置して保管した場合であっても、水分がフィルム表面に凝結せずに内容物を鮮明に確認できるか、仮に水分がフィルム表面に凝結しても、水膜がレンズ状にならず均一で内容物を鮮明に確認することができる。すなわち、本フィルムは低温防曇性に優れたフィルムである。
さらに本フィルムは、ポリエステル等、ポリオレフィン以外の食品包装容器底材に対しても材質に関わりなく、一般的な貼合温度において優れたヒートシール性を発現する。
例えば、本フィルムにおける本樹脂組成物からなる層と、非晶性ポリエチレンテレフタレートフィルムとを重ねて、室温(23℃)下において一般的な貼合温度範囲である120〜180℃でヒートシールした場合に、良好なシール性を有する。
この場合、剥離速度200mm/分で測定した180度剥離試験における最大応力としてのヒートシール強度が、3N/15mm以上であることが好ましく、4N/15mm以上であることがさらに好ましい。
本組成物は透明性に優れるものであり、意匠性、内容物の視認性等の観点から、JIS K7136(2000年)に基づき測定される、単層の厚み20μmの本フィルムの全ヘーズ値が3.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましく、0.5%以下であることが特に好ましい。なお、全ヘーズ値の下限は特に限定されず、可能な限り小さい方が好ましい。
以下、実施例および比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例によって制限を受けるものではない。
<評価方法>
実施例・比較例で得られたサンプルについて、以下の方法で測定・評価を行い、結果を表1に示した。
(低温防曇性評価)
底面の直径が9.5cm、深さ12.0cmのポリプロピレン製の円筒形容器に水(23℃)を深さ2.0cm入れ、その後、サンプルを用いて該容器の開口部を密閉するようにフィルム包装し、5〜8℃の冷蔵庫内に1日間静置して保管し、保管後の曇り度合いを次の基準で評価した。
☆:内容物が鮮明に確認できる。
◎:水分がフィルム表面に凝結せず、内容物が確認できる。
○:水分がフィルム表面に凝結するが、内容物が確認できる。
×:水分がフィルム表面に微細な水滴となり、内容物が確認できない。
(高温防曇性評価)
底面の直径が9.5cm、深さ12.0cmのポリプロピレン製の円筒形容器に熱湯(85〜95℃)を深さ2.0cm入れ、その後、サンプルを用いて該容器の開口部を密閉するようにフィルム包装し、10秒間静置した後の曇り度合いを次の基準で評価した。
☆:内容物が鮮明に確認できる。
◎:水分がフィルム表面に凝結せず、内容物が確認できる。
○:水分がフィルム表面に凝結するが、内容物が確認できる。
×:水分がフィルム表面に微細な水滴となり、内容物が確認できない。
(ヒートシール性)
得られたサンプルと、非晶性ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂株式会社製「ダイアホイルS−100」、厚み:50μm)とをそれぞれ長さ100mm、幅15mmの短冊状に切り出して重ね、その短辺の一端を室温(23℃)下においてヒートシール機を用いて設定温度165℃で2秒間ヒートシールし、試験片を得た。
この試験片のヒートシール部を中央にして、両端を引張試験機の両掴み具に取り付け、剥離角度180度、剥離速度200mm/分にて破断するまで引張応力を加え、その最大応力をヒートシール強度とし、ヒートシール強度が3N/15mm以上であるものを合格とした。
(透明性)
得られた厚み20μmのフィルムについて、JIS K7136(2000年)に基づき全ヘーズを測定・算出した。全ヘーズの値が3.0%以下のものを合格とした。
<使用した材料>
[エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A)]
(A)−1:エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)(ヤスハラケミカル(株)製、商品名「ヒロダイン7401」、エチレン含有量:92.3%、平均屈折率:1.51、Tm:95.8℃、流動開始温度:101.2℃)
[防曇剤(B)]
(B)−1:グリセリンモノステアレート(理研ビタミン(株)製、モノグリセリン脂肪酸エステル、商品名「リケマールS−100」)
(B)−2:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(理研ビタミン(株)製、エチレンオキサイド付加物、商品名「リケマールB−205」)
(B)−3:デカグリセリンオレート(理研ビタミン(株)製、ポリグリセリン脂肪酸エステル、商品名「ポエムJ−0381V」)
(B)−4:ポリエチレングリコールオレート(理研ビタミン(株)製、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、商品名「リケマールOE−809」)
<実施例・比較例>
(実施例1)
(A)−1、(B)−1及び(B)−2を混合質量比99:0.5:0.5の割合で秤量し、これらを株式会社東洋精機製作所製ラボプラストミルで混練温度200℃、回転数80rpm、の条件下で5分間混練後、キャストロール温度が200℃となるように設定したラミネータ装置を用いて、PETフィルム間に厚み20μmのフィルムサンプルを得た。このPETフィルムを剥離し、各測定、評価を行った。
(実施例2)
(A)−1、(B)−1及び(B)−2を混合質量比99:0.75:0.25の割合で秤量した以外は実施例1と同様の方法でフィルムの作製、及び評価を行った。
(実施例3)
(A)−1、(B)−1及び(B)−3を混合質量比99:0.5:0.5の割合で秤量した以外は実施例1と同様の方法でフィルムの作製、及び評価を行った。
(実施例4)
(A)−1、(B)−1及び(B)−3を混合質量比99:0.75:0.25の割合で秤量した以外は実施例1と同様の方法でフィルムの作製、及び評価を行った。
(比較例1)
(A)−1、(B)−1を混合質量比99:1の割合で秤量した以外は実施例1と同様の方法でフィルムの作製、及び、評価を行った。
(比較例2)
(A)−1、(B)−3を混合質量比99:1の割合で秤量した以外は実施例1と同様の方法でフィルムの作製、及び、評価を行った。
(比較例3)
(A)−1、(B)−4を混合質量比99:1の割合で秤量した以外は実施例1と同様の方法でフィルムの作製、及び、評価を行った。
(比較例4)
(A)−1、(B)−1及び(B)−4を混合質量比99:0.5:0.5の割合で秤量した以外は実施例1と同様の方法でフィルムの作製、及び、評価を行った。
Figure 2015193712
表1より明らかである通り、実施例の本樹脂組成物を用いたフィルムは、いずれも高温防曇性、低温防曇性、非晶性ポリエチレンテレフタレートフィルムへのヒートシール性に優れるものであった。
これに対し比較例1のフィルムはエチレンオキサイド付加物又はポリグリセリン脂肪酸エステルを含有しないため低温防曇性が不十分であった。
比較例2のフィルムはモノグリセリン脂肪酸エステルを含まないため、低温防曇性は許容できるものの、高温防曇性とヒートシール性が不十分であった。
比較例3のフィルムは、本フィルムに必須の防曇剤を含まず、防曇性は許容できるものの、ヒートシール性が不十分であった。
比較例4のフィルムは、エチレンオキサイド付加物又はポリグリセリン脂肪酸エステルの代わりにポリアルキレングリコール脂肪酸エステルを使用しており、防曇性は許容できるものの、ヒートシール性が不十分であった。

Claims (7)

  1. エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を主成分とする樹脂組成物であって、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体100質量部に対し、モノグリセリン脂肪酸エステルを0.3質量部以上、1.0質量部以下含有し、さらに、エチレンオキサイド付加物を0.1質量部以上、1.0質量部以下、及び/又は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.1質量部以上、1.0質量部以下含有する樹脂組成物。
  2. 前記エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体のエチレン含有量が80%モル以上、99モル%以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体の結晶融解ピーク温度Tmが80℃以上、110℃以下である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体が、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記モノグリセリン脂肪酸エステルが、グリセリンと炭素原子数が12〜20の飽和脂肪酸のモノエステル又はジエステルである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記エチレンオキサイド付加物が、エチレンオキサイド付加数が1〜10モルのポリオキシエチレンアルキルエーテルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる層を少なくとも一方の最外層に有する食品包装フィルム。
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