JP2015193230A - 処理液、インクセット、及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献3に記載の液体組成物においては、分子量分布のピークが異なる2種類のカチオン性樹脂を含有しているが、カチオン性樹脂の1つが分子量1000以下の範囲にあるため安全性面で課題がある。
また、特許文献4においては、2種類のカチオン性樹脂を含有する処理液が開示されている。
前記いずれの文献もカチオン性樹脂のカチオン化度に対する記載が無く、カチオン性樹脂の添加量が最も多いもので20質量%であるため、特にインク非吸収性または低吸収性の記録媒体に対してビーディングが発生してしまう。
本発明の処理液は、水溶性有機溶媒と水の他にカチオン性樹脂を含有している。
前記カチオン性樹脂としては、pH=4.0におけるカチオン化度が4meq/g以上で、前記構造式1で表される繰り返し単位を有し、かつ重量平均分子量が5,000〜25,000の範囲内で重量平均分子量が異なる2種又は3種のカチオン性樹脂を含有することが重要である。
前記カチオン性樹脂が水性記録用インク中のカルボキシル基含有樹脂と反応することで着色剤が凝集し、結果としてビーディングの抑制や画像濃度の向上などが期待できる。
本発明の処理液で使用している前記カチオン性樹脂は、水性記録用インク中の着色剤を凝集させるために添加しており、そのカチオン化度はpH=4.0において4meq/g以上である。pH=4.0におけるカチオン化度を4meq/g以上とすることで、着色剤の凝集効果が十分に発揮され、隣接するドット同士が混じり合うビーディングを防止することができる。また同時に皮膚への刺激性や感作性の防止、処理液付与装置部材の腐食なども防止することができる。
カチオン化度は、あまり高いと安全性の問題が生じることがあり、pH=4.0におけるカチオン化度は、4〜15meq/gが好ましく、4〜10meq/gがより好ましく、更に4〜7.5meq/gが特に好ましい。この好ましい範囲とすることで、本発明の課題を達成でき、更に安全性に優れた処理液を提供することが可能となる。
コニカルビーカーに脱イオン水90mlをとり、試料(乾品換算)の500ppm水溶液を10ml加えて塩酸水溶液でpH4.0とし、約1分間攪拌する。次にトルイジンブルー指示薬を2〜3滴加え、N/400ポリビニル硫酸カリウム試薬(N/400PVSK)で滴定する。滴定速度は、2ml/分とし、検水が青から赤紫色に変色して10秒間以上保持する時点を終点とする。カチオン化度(meq/g)=(N/400PVSK滴定量)×(N/400PVSKの力価)/2により求めることができる。カチオン化度が高いものほど、カチオン性が強く、水性記録用インク中の着色剤と効率よく反応することができ、結果として処理液の必要量を低減でき、記録媒体のカールやコックリングを起こさずに、高画質の画像を得ることが可能になる。
処理液にはその他に溶媒として水及び水溶性有機溶媒を添加することができる。水溶性有機溶媒としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等が挙げられる。
本発明の処理液は界面活性剤を必須成分としていないが、記録媒体の表面性によって液の吸収レベルは変わるため、例えばコート紙のような比較的吸収性が低い記録媒体に対しては界面活性剤や後に記載する抑泡剤を処理液に添加しても良い。
処理液中に添加している界面活性剤は、処理液の表面張力を下げるために添加している。本発明の処理液に求められる特性の1つとして各種記録媒体に対して適度に濡れやすく、かつムラ無く吐出できることが挙げられる。適度に濡れやすくすることによって、各種記録媒体への浸透速度を早めることができ、擦過性やブリードなどの不具合を改善することが可能となる。濡れ性を向上させるためには界面活性剤を添加して表面張力を下げることが一般的であり、中でも特にフルオロアルキル基を有する界面活性剤は水溶性にした場合にこの表面張力を大幅に低下させる能力を有していることから好ましい。具体的には下記構造式3の化合物、またはポリオキシアルキレンアルキルエーテルの少なくともいずれか一種であることが好ましい。
上記構造式3の化合物を含む界面活性剤の界面活性能は非常に高く、また、一般的に使用されているシリコーン系抑泡剤を添加したとしても、一度気泡が発生してしまうと気泡が消えずに残留してしまうという不具合が発生することがある。これにより吐出ヘッドによって吐出する際に吐出不良などが発生する可能性があるため、本発明において界面活性剤を使用する際には抑泡剤も添加することが好ましい。なお、抑泡剤としては、N−オクチル−2−ピロリドン、2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール、2,5,8,11−テトラメチルドデカン−5,8−ジオールのいずれか1種を使用することが好ましい。上記いずれか1種の抑泡剤と構造式3の界面活性剤を併用することで、気泡の発生を抑えることができ、気泡による不具合を解消することが可能となる。
処理液のpHは7〜11であることが好ましい。処理液のpHを7〜11とすることで、処理液付与ユニットなどの部材の腐食を防止することができる。
pH調整剤としては、例えばアルコールアミン類、アルカリ金属水酸化物、アンモニウム水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属炭酸塩等が挙げられる。
アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第四級アンモニウム水酸化物、第四級ホスホニウム水酸化物等が挙げられる。
水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水などの純水または超純水などが挙げられる。
本発明で用いる水の含有量としては、処理液中で60質量%以下が好ましく、30質量%〜60質量%が特に好ましい。水の含有量を30質量%〜60質量%とすることで、水が蒸発した際の処理液の粘度上昇、ゲル化、不溶物の析出などを防止することができる。
一般的な水性記録用インクは、着色剤、水溶性有機溶媒、樹脂、界面活性剤、抑泡剤、水などから構成される。本発明に用いられる水性記録用インクは、少なくとも着色剤、水溶性有機溶媒、界面活性剤、及び水を含有する水性記録用インクであって、該着色剤がカルボキシル基含有樹脂中に分散しているか、またはカルボキシル基含有樹脂によってマイクロカプセル化されている着色剤であることが好ましい。
また、前記水性記録用インク中の着色剤を凝集させることを目的に、水性記録用インクの吐出前または吐出後に記録媒体へ前記処理液を付与する。前記処理液は水性記録用インクの吐出前に記録媒体へ付与することが好ましい。
着色剤としては水性記録用インクにおいて公知の染料や顔料を使用することができる。
また、無機粒子を有機顔料またはカーボンブラックで被服した着色剤粒子を用いてもよい。
無機粒子をカーボンブラックで被覆する方法としては、凝固、析出などによる液中乾燥法、混合しながら機械的な力を加える乾燥混合法などが挙げられる。また、無機粒子を有機顔料で被覆する方法としては、無機粒子の存在下で有機顔料を析出する方法、無機粒子と有機顔料を機械的に混摩砕する方法等がある。この場合、例えば、熱安定性に優れた有機顔料で被覆する場合には化学的蒸着技術を用いることができる。更に必要に応じて、ポリシロキサン、アルキルシランから生成されるオルガノシラン化合物層を無機粒子と有機顔料の間に設ければ、両者の接着性を向上させることができる。
無機粒子の一次粒径は100nm以下が好ましく、5〜50nmがより好ましい。
これらの中でも発色性の面から、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、モノアゾイエロー系顔料、ジアゾイエロー系顔料、複素環式イエロー顔料が特に好ましい。
キナクリドン系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ48、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット42等が挙げられる。
モノアゾイエロー系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー151等が挙げられる。
ジアゾイエロー系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17等が挙げられる。
複素環式イエロー顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
無機粒子を有機顔料またはカーボンブラックで被覆した着色剤粒子の市販品としては、例えば、戸田工業株式会社製のシリカ/カーボンブラック複合材料、シリカ/フタロシアニンC.I.ピグメントブルー15:3複合材料、シリカ/ジアゾイエロー複合材料、シリカ/キナクリドンC.I.ピグメントレッド122複合材料等が挙げられ、これらは1次粒径が小さく好適に用いることができる。
本発明に係る水性記録用インクは水を溶媒として使用するが、インクの乾燥を防止するため、分散安定性を向上するため等の目的で水溶性有機溶媒を使用する。これらの水溶性有機溶媒は複数混合して使用してもよい。
水溶性有機溶媒としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等が挙げられる。
含窒素複素環化合物類としては、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−プチロラクトン等が挙げられる。
アミド類としては、例えばアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジエチルアセトアミドなどが挙げられる。
アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等が挙げられる。
糖類の含有量は、水性記録用インクに対して0.1質量%〜40質量%が好ましく、0.5質量%〜30質量%がより好ましい。
界面活性剤としては、特に制限はなく、着色剤の種類や水溶性有機溶媒、浸透剤等の組み合わせによって、分散安定性を損なわない界面活性剤の中から目的に応じて適宜選択することができる。特に記録媒体に印刷する場合には、表面張力が低く、レベリング性の高いフッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤が好適であり、特にフッ素系界面活性剤が好ましい。
前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。
パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩等が挙げられる。
パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。
これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3等が挙げられる。
ポリエーテル変性シリコーン化合物としては、適宜合成したものを使用しても、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、信越化学社製のKF−618、KF−642、KF−643等が挙げられる。
前記アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、コハク酸エステルスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩等が挙げられる。
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等が挙げられる。また、その市販品として、例えば、エアープロダクツ社製のサーフィノールシリーズ(104、82、465、485、TG)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノピロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ジヒドロエチルラウリルアミンオキシド、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ジメチルアルキル(ヤシ)ベタイン、ジメチルラウリルベタイン等が挙げられる。また、その市販品として、例えば、日光ケミカルズ社、日本エマルジョン社、日本触媒社、東邦化学社、花王社、アデカ社、ライオン社、青木油脂社、三洋化成社等のものを容易に入手できる。
前記界面活性剤の水性インク中における含有量は、0.01質量%〜4質量%が好ましく、0.1質量%〜1質量%がより好ましい。まず、界面活性剤の濃度を0.01質量%以上とすることで、界面活性剤を添加した効果を十分に発揮することができる。一方、界面活性剤濃度を4質量%以下とすることで、記録媒体への浸透性が適度に保たれ、必要以上に浸透することで発生する裏抜けなどの不具合を解消することができる。
しかし、特にフッ素系界面活性剤の界面活性能は非常に高く、一般的に使用されているシリコーン系抑泡剤を添加したとしても、発生した気泡が消えずに残留してしまう。これにより、インクを吐出する際には吐出不良などが発生する可能性がある。従って本発明においては、気泡の発生を抑えるために抑泡剤を添加することが好ましい。抑泡剤としては、N−オクチル−2−ピロリドン、2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール、2,5,8,11−テトラメチルドデカン−5,8−ジオールのいずれか1種を使用することが好ましい。上記いずれか1種の抑泡剤と上記フッ素系界面活性剤を併用することで、気泡の発生を抑えることができ、気泡による不具合を解消することが可能となる。
本発明に係る水性記録用インクは、前記着色剤がカルボキシル基含有樹脂中に分散しているか、またはカルボキシル基含有樹脂によってマイクロカプセル化されている着色剤であることが好ましく、カルボキシル基含有樹脂を含むことが好ましい。これにより、処理液中の有機酸またはカチオンポリマーと水性記録用インク中のカルボキシル基含有樹脂が反応し、記録媒体上での顔料の凝集が起こるので、高画質化を図ることができる。なお、処理液が存在しない場合においても、前記カルボキシル基含有樹脂が含有されていることにより、擦過性向上等の効果が期待できる。
カルボキシル基含有樹脂の添加形態は、着色剤である顔料をカルボキシル基含有樹脂で包含(マイクロカプセル化)した形態で添加してもよいし、着色剤を分散した形態でも良い。
顔料をカルボキシル基含有樹脂でマイクロカプセル化する方法としては、転相乳化法や酸析法など、一般的な公知の方法により作製することができる。着色剤をカルボキシル基含有樹脂に分散させた後、インクに添加する、又はカルボキシル基含有樹脂によって着色剤をマイクロカプセル化した後、インクに添加することが好ましい。
本発明に係る水性記録用インクには、前記各種成分の他に、必要に応じて公知の浸透剤、ポリマー粒子、pH調整剤、防腐防黴剤等を添加することができる。
前記炭素数8〜11のポリオール化合物としては、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール等が挙げられる。
前記グリコールエーテル化合物としては、例えば、多価アルコールアルキルエーテル化合物、多価アルコールアリールエーテル化合物等が挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
多価アルコールアリールエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等が挙げられる。
これらの浸透剤は、水よりも高沸点で25℃で液体である成分であり、水性記録用インク中の含有量は、0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.5質量%〜5質量%がより好ましい。
このようなポリマー粒子が含まれていると、水性記録用インク中の揮発成分が蒸発した際に該ポリマー粒子が皮膜を形成し、水性記録用インク中の着色剤を強固に記録媒体に固着する役割を課す。これにより、耐擦過性、耐水性に優れた画像を実現することができる。
ポリマー粒子は、室温で皮膜を形成するため、最低造膜温度が30℃以下のものが好ましく、10℃以下のものがより好ましい。ここで、最低造膜温度とは、ポリマー粒子を水に分散させて得られたポリマーエマルジョンを、アルミニウム等の金属板の上に薄く流延し、温度を上げていった時に、透明な連続したフィルムが形成される最低の温度のことを意味する。このようなポリマー粒子として、例えば、ミヨシ油脂株式会社製のランディPLシリーズなどが挙げられる。
ポリマー粒子の体積平均粒子径は、5〜200nmが好ましく、10〜100nmがより好ましい。
また、シラノール基が残存するとアルコキシシリル基またはシラノール同士が反応して、シロキサン結合による強固な架橋構造を形成することができる。このようにポリマー微粒子内に反応性の官能基を共存させると、硬化剤を添加しなくても、造膜時にそれらの官能基を反応させて網目構造を形成させることができる。
また、コア部とそれを囲むシェル部からなるコアシェル構造を有するポリマー粒子を使用することも可能である。ここでいうコアシェル構造とは、組成の異なる2種以上のポリマーが粒子中に相分離して存在する形態を意味する。従って、シェル部がコア部に完全に被覆している形態のみならず、コア部の一部を被覆しているものであってもよい。また、シェル部のポリマーの一部がコア粒子内にドメイン等を形成しているものであってもよい。更にコア部とシェル部の間に、更に一層以上の組成の異なる層を含む3層以上の多層構造を持つものであってもよい。
pH調整剤は、顔料を分散剤と共に水に混練分散する際に加えるよりも、混練分散液に湿潤剤、浸透剤等の添加剤と共に加える方が好ましい。これは、pH調整剤によっては添加により分散を破壊する場合もあるためである。
アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第四級アンモニウム水酸化物、第四級ホスホニウム水酸化物等が挙げられる。
アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が挙げられる。
本発明の処理液は、前記水性記録用インクと共にインクセットとすることができる。
本発明の処理液または水性記録用インクを充填するカートリッジは、それぞれを容器内に収容したものであり、必要に応じて適宜選択したその他の部材等を有する。
容器としては特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、プラスチック製容器、アルミニウムラミネートフィルム等で形成されたインク袋等を有するものが挙げられる。
具体例としては、例えば後述する図5、図6に示す構造のものが挙げられる。
本発明に係るインクジェット記録装置は、記録媒体の表面にインクを吐出させて画像を形成する画像形成手段と、処理液を貯留する貯留手段と、前記画像形成手段による画像形成の前もしくは後に、前記記録媒体の表面に対して処理を行う処理手段とを備えている。
また、画像形成手段は少なくともインク飛翔手段を有し、必要に応じてその他の手段、例えば、刺激発生手段、制御手段等を有する。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明の処理液を記録媒体の記録面に付与する処理工程と、前記処理工程が行われた記録媒体に対して水性記録用インクを付与させて画像を形成する画像形成工程とを備えることが好ましい。
インクジェット記録装置101には、水性記録用インクを吐出するヘッドを集積したヘッドユニット110K、110C、110M、110Yと、それぞれのヘッドユニットに対応し、ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンスユニット111K、111C、111M、111Y、インクを供給するインクカートリッジ107K、107C、107M、107Y、カートリッジからのインクを一部貯蔵し、ヘッドに適切な圧力でインクを供給するサブインクタンク108K、108C、108M、108Yを備えている。
各ヘッドユニットのノズル列は、記録媒体114の搬送方向に直行するように配列されており、記録領域以上の長さのノズル列を形成している。給紙トレイから記録媒体114が分離コロにて一枚に分離され、加圧コロにて搬送ベルトに密着されることで搬送ベルト上に固定され、ヘッドユニット下を通過する際に記録媒体に液滴を吐出することで、高速に液滴にて記録媒体にパターンニングができ、分離爪にて搬送ベルトから分離され、排紙ローラと排紙コロにて支えられて排紙トレイに記録物が排出される。
何れの方式を用いても処理液を任意の位置に任意の量だけ塗布することができる。
処理液の付着量は、特に限定されないが、固形分換算で0.5g/m2〜2g/m2であることが好ましい。この範囲であると、処理液による凝集能力が効果的に発揮されて、ビーディングが生じにくく画像濃度が高い画像を得られ、また、顔料の凝集能力が良好であることから耐擦過性に優れた画像を得られ好ましい。
ヘッドユニットはヘッド外周部材160にヘッド154A〜154Lを固定しており、ヘッドはノズルの一部が重複するように千鳥配置で固定されている。
この制御部300は、装置全体の制御を司るCPU301と、CPU301が実行するプログラム、本発明において使用する所定インク吐出に対するノズル面汚染度合の値及びノズル面汚染許容閾値、駆動波形データ、その他の固定データを格納するROM302と、画像データ等を一時格納するRAM303と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM)304と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC305とを備えている。
そして、CPU301は、ホストI/F306に含まれる受信バッファ内に印刷データを読み出して解析し、ASIC305にて必要な画像処理、データの並び替えを行い、記録ヘッド154のヘッド幅の1ページ分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)を、クロック信号に同期して、ヘッド駆動制御部307に送出する。
そして、CPU301は、ホストI/F306に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC305にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行ってヘッド駆動制御部307に画像データを転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えば、ROM302にフォントデータを格納して行ってもよいし、ホスト側のプリンタドライバで画像データをビットマップデータに展開してこの装置に転送するようにしてもよい。
また、図示していないが、処理液をローラ塗布する場合、塗布ローラ等の塗布用ローラ群の駆動制御が必要となるため、塗布用モータ制御部と、制御されるモータ、制御用のセンサを設ける。
水性記録用インクは図5に示すように、インク注入口242からインク袋241内に充填され、排気した後、該インク注入口242を融着により閉じる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置にインクを供給する。インク袋241は、透気性の無いアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋241は、図6に示すように、通常プラスチック製のカートリッジケース244内に収容され、インクカートリッジ240として、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
図7は吐出ヘッドからの吐出方式について記載したものである。記録媒体114の搬送方向上流側に処理液135を吐出する記録ヘッドを設け、搬送方向下流側に水性記録用インク130を設けることで、所定の画像データに基づいて予め吐出される処理液135と水性記録用インク130を記録媒体114上で混合することができる。
図9は2本ロールによる塗布方式について記載したものであり、吐出ヘッドから吐出された処理液135を塗布ローラ401及び膜厚制御ローラ402によって所定の膜厚に制御して記録媒体114に塗布する。また、塗布ローラ401上に残留した過剰の処理液は可動ブレード134にて回収される。なお、ここでは図示しないが、図9の搬送方向下部には水性記録用インクの吐出ヘッドが設けられている。
[1]水溶性有機溶媒、カチオン性樹脂、及び水を含有し、
前記カチオン性樹脂が、pH=4.0におけるカチオン化度が4meq/g以上で、下記構造式1で表される繰り返し単位を有し、かつ重量平均分子量が5,000〜25,000の範囲内で重量平均分子量が異なる少なくとも2種のカチオン性樹脂を含有することを特徴とする処理液。
[4]前記処理液が、更にエポキシ化ポリアミド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、及びユリア樹脂から選択される少なくとも1種を含有する[1]〜[3]の何れかに記載の処理液。
[5]前記エポキシ化ポリアミド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、及びユリア樹脂から選択される少なくとも1種の添加量が処理液中1質量%〜10質量%である[4]に記載の処理液。
[6]インクジェット記録用である[1]〜[5]の何れかにに記載の処理液。
[7]水性記録用インク及び処理液を含むインクセットであって、
前記水性記録用インクが、少なくとも着色剤、水溶性有機溶媒、界面活性剤、及び水を含有する水性記録用インクであり、
前記着色剤が、カルボキシル基含有樹脂中に分散しているか、又はカルボキシル基含有樹脂によってマイクロカプセル化されている着色剤であり、
前記処理液が、[1]〜[5]の何れかに記載の処理液であることを特徴とするインクセット。
[8]処理液を記録媒体の記録面に付与する処理工程と、
前記処理工程が行われた記録媒体に対して水性記録用インクを付与させて画像を形成する画像形成工程と、を含み、
前記処理液が、[1]〜[5]の何れかに記載の処理液であることを特徴とするインクジェット記録方法。
[9]前記処理液の付着量が、固形分換算で0.5g/m2〜2g/m2である[8]に記載のインクジェット記録方法。
[10]前記処理液を記録媒体の記録面に付与する処理工程の次工程に乾燥工程を有する[8]又は[9]に記載のインクジェット記録方法。
「合成例」
攪拌装置、滴下装置、温度センサー及び上部に窒素導入装置を有する還流装置を取り付けた反応容器を有する自動重合反応装置(轟産業株式会社製:重合試験機DSL−2AS型)の反応容器にメチルエチルケトンを550g仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃で加温した後、滴下装置によりメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルを75.0g、メタクリル酸を77.0g、スチレンを80.0g、メタクリル酸ブチルを150.0g、アクリル酸ブチルを98.0g、メタクリル酸メチルを20.0g及び「パーブチル(登録商標)O」(日本油脂株式会社製)40.0gの混合溶液を4時間かけて滴下した。滴下終了後、更に同温度で15時間反応を継続させて、酸価100(JIS K 0070−1992に記載の方法で測定実施)、重量平均分子量21,000(島津製作所社製 D5280 LCS M−PDAにて測定実施)、Tg(日立ハイテクサイエンス社製 STA7200にて測定実施)31℃のアニオン性基含有スチレン−アクリル系共重合体Aのメチルエチルケトン溶液を得た。反応終了後、メチルエチルケトンの一部を減圧留去し、不揮発分を50%に調整した共重合体A溶液を得た。
冷却用ジャケットを備えた混合槽にカーボンブラック(コロンビヤンカーボン社製:Raven1080)を1600gと、合成例で得た共重合体A溶液を800g、10%水酸化ナトリウム水溶液を143g、メチルエチルケトンを100g及び水1957gを仕込み、攪拌混合した。混合液を直径0.3mmのジルコニアビーズを充填した分散装置(三井鉱山株式会社製:SCミルSC100)に通し、循環方式(分散装置より出た分散駅を混合槽に戻す方式)により6時間分散した。分散装置の回転数は2,700回転/分とし、冷却用ジャケットには冷水を通して分散液温度が40℃以下に保たれるようにした。
分散終了後、混合槽より分散原液を抜き取り、次いで水10,000gで混合槽及び分散装置流露を洗浄し、分散原液と合わせて希釈分散液を得た。ガラス製蒸留装置に希釈分散液を入れ、メチルエチルケトンの全量と水の一部を留去した。室温まで冷却後、攪拌しながら10%塩酸を滴下してpH4.5に調整した後、固形分をヌッチェ式濾過装置で濾過、水洗した。ケーキを容器に取り、20%水酸化カリウム水溶液200gを加えた後、ディスパ(特殊機化工業株式会社製:TKホモディスパー)にて分散し、更に水を加えて不揮発分を調整して、不揮発分20%のカーボンブラックが水酸化カリウム中で中和されたカルボキシル基含有スチレン−アクリル系共重合体で被覆された複合粒子として水性媒体中に分散した水性顔料分散体を得た。
なお、同様にカーボンブラックを銅フタロシアニン(大日精化社製:SEIKALIGHT BLUE A612)に置換した水性顔料分散体(シアン)も得た。
なお、同様にスチレン-アクリル系共重合体A溶液をロジン変性マレイン酸樹脂(ハリマ化成社製:R−100)に置換した水性顔料分散体も得た。
まず、表1又は2に示す水溶性有機溶媒、界面活性剤、浸透剤、pH調整剤、防腐防錆剤及び水を1時間攪拌し均一に混合した。次に、抑泡剤を加えて更に1時間攪拌し均一に混合した。その後、調製例1で得た水性顔料分散体を加えて更に1時間攪拌し均一に混合した。この混合物を平均孔径0.8μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにより加圧濾過し、粗大粒子やゴミを除去して水性記録用インクを得た。なお、水性記録用インクにおいて着色剤は、調製例1で得た水性顔料分散体の固形分が8質量%となるような割合で添加している。表1及び2に示す各成分の数値の単位は質量部である。
尚、以下の実施例において、着色剤がカーボンブラックであり、カルボキシル基含有樹脂がスチレン−アクリル系樹脂である実施例1〜13、実施例15〜16、及び実施例17〜34において、実施例1〜13、実施例15、及び実施例17〜34で用いた着色剤のカーボンブラックは、前記カルボキシル基含有スチレン−アクリル系共重合体で被覆された複合粒子であり、実施例16で用いた着色剤のカーボンブラックは、前記共重合体に分散させたカーボンブラックである。以下の比較例においては、着色剤のカーボンブラックはすべてカルボキシル基含有スチレン−アクリル系共重合体で被覆された複合粒子である。
<処理液の調製>
カチオン性樹脂1(センカ社製:ユニセンスFPA100L/重量平均分子量=6000/カチオン化度=4.06meq/g)、カチオン性樹脂2(センカ社製:ユニセンスFPA101L/重量平均分子量=25000/カチオン化度=5.81meq/g)、カチオン性樹脂3(Nittobo社製:PAS−H−1L/重量平均分子量=8500/カチオン化度=5.76meq/g)、カチオン性樹脂4(第一工業製薬社製:G5615/重量平均分子量=4000、カチオン化度=5.89meq/g)、カチオン性樹脂5(Nittobo社製:PAS−A−5/重量平均分子量=4000/カチオン化度=3.73)、カチオン性樹脂6(四日市合成社製:カチオマスターPDT−2/重量平均分子量=3500/カチオン化度=7.33meq/g)、各種水溶性有機溶媒や水などの表1に記載の材料を1時間攪拌し均一に混合して処理液を得た。
処理液処方で示す材料を混合して調製した各実施例1〜14、16及び比較例1〜7の処理液を小林製作所社製のワイヤーバー(巻線径:0.05mm)を用いて、記録媒体(王子製紙社製 OKトップコート+)へ各所定量均一に塗布した。その後、必要に応じて乾燥工程(80℃30秒)にて乾燥を実施した。
次いで、前記水性記録用インクをインクジェット記録装置(リコー社製のIPSIO GXe5500)により前記記録媒体へ吐出させて印刷サンプルを得た。なお、印字チャートはドットパターンで形成された3cm四方のベタ画像を使用した。
実施例15は、水性記録用インクをインクジェット記録装置(リコー社製のIPSIO GXe5500)により記録媒体に吐出させて印字した後に、処理液を小林製作所社製のワイヤーバー(巻線径:0.05mm)を用いて、記録媒体(王子製紙社製 OKトップコート+)へ各所定量均一に塗布した。その後、乾燥工程(80℃30秒)にて乾燥を実施した。
上記印刷サンプル、記録用インキ及び処理液について、以下の方法により諸特性を評価した。
ドットパターンで形成された3cm四方のベタ画像のベタ部を、X−Rite社製の分光測色濃度計(939)で測定した。なお、数値が高いほど良好である。
ドットパターンで形成された3cm四方のベタ画像のベタ部を、目視によりビーディングレベルを1〜5までランク付けした。なお、ビーディングランクの数値が高いほど良好あり、ランク1〜2は問題と判断されるレベルである。
5:ビーディングは見られない
4:極微量ビーディングが見られるが問題無い(凝視しないと分からないレベル)
3:ややビーディングが見られるが問題無い
2:ビーディングが見られ、目視で明らかに分かるレベル(問題となるレベル)
1:激しいビーディングが見られる(処理液未塗布と同レベル)
ドットパターンで形成された3cm四方のベタ画像のベタ部を、東洋精機製作所社製のクロックメーターに布を貼り付けて擦り、擦過後の布へのインクの転写濃度を、X−Rite社製の分光側色濃度計(939)で測定した。転写濃度が小さいほど、画像の定着性が良好である。
比較例1〜7または実施例1〜16に記載の処方に基づいて混合・調製した処理液のみを付与し、表1記載の条件の乾燥工程を施した記録媒体を、新東科学社製の表面性測定機(TYPE:14FW)に取り付けた後、800gの荷重をかけて記録媒体同士を擦過させた。その際の摩擦係数の最大値(静摩擦係数)を測定した。なお、摩擦係数の数値は小さいほど良好であり、摩擦係数の数値が1.0以上となると記録媒体の破れなどが顕著となる。
比較例1〜7または実施例1〜16に記載の処方に基づいて混合・調製した処理液を記録媒体に付与し、付与10秒後のカール量を測定した。
比較例1〜7または実施例1〜16に記載の処方に基づいて混合・調製した処理液をガラス板上に1滴垂らし、50℃で1時間乾燥させる。乾燥後、結晶の析出レベルを目視にて以下の3段階に分けて判断した。
○:析出は見られない
△:わずかに析出が見られるが問題無いレベル
×:析出が見られる
金属部材(SUS303)を処理液30mlに浸漬させ、50℃の恒温槽に3週間放置し、放置後の金属部材の腐食レベルを目視にて以下の3段階に分けて判断した。
○:腐食は見られない
△:わずかに腐食が見られるが問題無いレベル
×:腐食が見られる
実施例6〜14により、処理液中に更にpH=4.0におけるカチオン化度が4meq/g以上で、かつ構造式2で表される繰り返し単位を有するカチオン性樹脂を含有することによって、画像濃度、ビーディング性向上、結晶の析出レベル低減などの効果が得られることが示される。
実施例1〜7により、カチオン性樹脂の添加量が処理液中で10質量%〜50質量%であることによって、画像濃度向上、ビーディング性向上などの効果が得られることが示される。
実施例6及び9〜11により、処理液の付着量が固形分換算で0.5g/m2〜2g/m2であることによって、画像濃度向上、ビーディング性向上などの効果が得られることが示される。
実施例6及び7により、処理液付与工程の次工程に乾燥工程を有することによって、画像濃度向上、ビーディング性向上などの効果が得られることが示される。
実施例15により、インク吐出後に処理液を塗布すると、インク吐出前に塗布した場合と比較して顔料凝集が遅くなるため、画像濃度やビーディングランクが若干悪くなっているが、インク吐出後に処理液を塗布しても本発明の効果が得られることが示される。
実施例16により、インクとして、着色剤がカルボキシル基含有樹脂中に分散している着色剤を用いると、カルボキシル基含有樹脂によってマイクロカプセル化されている着色剤を用いたインクと比較して顔料近傍の樹脂の存在確率が低いため、処理液によりカルボキシル基含有樹脂を含む樹脂が凝集しても顔料まで巻き込んで凝集する確率が低くなるため、画像濃度やビーディングランクが若干悪くなっているが、本発明の効果が得られることが示される。
<処理液の調製>
カチオン性樹脂1(センカ社製:ユニセンスFPA100L/重量平均分子量=6000/カチオン化度=4.06meq/g)、カチオン性樹脂2(センカ社製:ユニセンスFPA101L/重量平均分子量=25000/カチオン化度=5.81meq/g)、カチオン性樹脂3(Nittobo社製:PAS−H−1L/重量平均分子量=8500/カチオン化度=5.76meq/g)、カチオン性樹脂4(第一工業製薬社製:G5615/重量平均分子量=4000、カチオン化度=5.89meq/g)、カチオン性樹脂5(Nittobo社製:PAS−A−5/重量平均分子量=4000/カチオン化度=3.73)、カチオン性樹脂6(四日市合成社製:カチオマスターPDT−2/重量平均分子量=3500/カチオン化度=7.33meq/g)、エポキシ化ポリアミド樹脂(四日市合成社製:EPA−SK01)、メラミンホルムアルデヒド樹脂(DIC社製:ベッカミンAPM)、ユリア樹脂(DIC社製:ベッカミンN−80)、各種水溶性有機溶媒や水などの表2に記載の材料を1時間攪拌し均一に混合して処理液を得た。
処理液処方で示す材料を混合して調製した各実施例17〜35及び比較例8〜9の処理液を小林製作所社製のワイヤーバー(巻線径:0.05mm)を用いて、記録媒体(王子製紙社製 OKトップコート+)へ各所定量均一に塗布した。その後、必要に応じて乾燥工程(80℃30秒)にて乾燥を実施した。
次いで、前記水性記録用インクをインクジェット記録装置(リコー社製のIPSIO GXe5500)により前記記録媒体へ吐出させて印刷サンプルを得た。なお、印字チャートはドットパターンで形成された3cm四方のベタ画像を使用した。
上記印刷サンプル、記録用インキ及び処理液について、以下の方法により諸特性を評価した。
なお、摩擦係数評価、カール性評価、結晶析出の有無については処理液のみを記録媒体に付与したサンプルにて評価を行った。
ドットパターンで形成された3cm四方のベタ画像のベタ部を、X−Rite社製の分光測色濃度計(939)で測定した。なお、数値が高いほど良好である。
ドットパターンで形成された3cm四方のベタ画像のベタ部を、目視によりビーディングレベルを1〜5までランク付けした。なお、ビーディングランクの数値が高いほど良好であり、ランク1〜2は問題と判断されるレベルである。
5:ビーディングは見られない
4:極微量ビーディングが見られるが問題無い(凝視しないと分からないレベル)
3:ややビーディングが見られるが問題無い
2:ビーディングが見られ、目視で明らかに分かるレベル(問題となるレベル)
1:激しいビーディングが見られる(処理液未塗布と同レベル)
ドットパターンで形成された3cm四方のベタ画像のベタ部を、東洋精機製作所社製のクロックメーターに布を貼り付けて擦り、擦過後の布へのインクの転写濃度を、X−Rite社製の分光側色濃度計(939)で測定した。転写濃度が小さいほど、画像の定着性が良好である。
比較例8〜9または実施例17〜35に記載の処方に基づいて混合・調製し、表2記載の条件の乾燥工程を施した処理液を付与した記録媒体を、新東科学社製の表面性測定機(TYPE:14FW)に取り付けた後、800gの荷重をかけて記録媒体同士を擦過させた。その際の摩擦係数の最大値(静摩擦係数)を測定した。なお、摩擦係数の数値は小さいほど良好であり、摩擦係数の数値が1.0以上となると記録媒体の破れなどが顕著となる。
比較例8〜9または実施例17〜35に記載の処方に基づいて混合・調製した処理液を記録媒体に付与し、付与10秒後のカール量を測定した。
比較例8〜9または実施例17〜35に記載の処方に基づいて混合・調製した処理液をガラス板上に1滴垂らし、50℃で1時間乾燥させる。乾燥後、結晶の析出レベルを目視にて以下の3段階に分けて判断した。
○:析出は見られない
△:わずかに析出が見られるが問題無いレベル
×:析出が見られる
金属部材(SUS303)を処理液30mlに浸漬させ、50℃の恒温槽に3週間放置し、放置後の金属部材の腐食レベルを目視にて以下の3段階に分けて判断した。
○:腐食は見られない
△:わずかに腐食が見られるが問題無いレベル
×:腐食が見られる
実施例22〜35により、処理液中に更にpH=4.0におけるカチオン化度が4meq/g以上で、かつ構造式2で表される繰り返し単位を有するカチオン性樹脂を含有することによって、画像濃度、ビーディング性向上、結晶の析出レベル低減などの効果が得られることが示される。
実施例17〜21により、カチオン性樹脂の添加量が処理液中で10質量%〜50質量%であることによって、画像濃度向上、ビーディング性向上などの効果が得られることが示される。
実施例22及び26〜28により、エポキシ化ポリアミド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ユリア樹脂の添加量が処理液中で1質量%〜10質量%であることによって、耐擦過性向上、耐カール性向上などの効果が得られることが示される。
実施例22及び30〜32により、処理液の付着量が固形分換算で0.5g/m2〜2g/m2であることによって、画像濃度向上、ビーディング性向上などの効果が得られることが示される。
実施例22及び29により、処理液付与工程の次工程に乾燥工程を有することによって、画像濃度向上、ビーディング性向上などの効果が得られることが示される。
103 給紙トレイ
104 排紙トレイ
105 手差しトレイ
106 操作パネル
107K インクカートリッジ
107C インクカートリッジ
107M インクカートリッジ
107Y インクカートリッジ
108K サブインクタンク
108C サブインクタンク
108M サブインクタンク
108Y サブインクタンク
109 廃液タンク
110K ヘッドユニット
110C ヘッドユニット
110M ヘッドユニット
110Y ヘッドユニット
111K メンテナンスユニット
111C メンテナンスユニット
111M メンテナンスユニット
111Y メンテナンスユニット
112 分離パッド
113 搬送ベルト
114 記録媒体
115 テンションローラ
116 帯電ローラ
117 排紙コロ
118 プラテンローラ
119 搬送ローラ
120 吸引ファン
121 搬送ローラ
122 分離パッド
123 カウンターローラ
124 プラテン
130 水性記録用インク
134 可動ブレード
135 処理液
136 塗布ローラ
137 汲み上げローラ
138 膜圧制御ローラ
139 塗布用カウンターローラ
140 処理液貯蔵タンク
150 熱風送風ファン
154A〜L 記録ヘッド
160 外周部材
200 ノズル
201 ノズルプレート
202 充填剤
240 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジケース
300 制御部
301 CPU
302 ROM
303 RAM
304 不揮発性メモリ(NVRAM)
305 ASIC
306 ホストI/F
307 ヘッド駆動制御部
308 記録媒体搬送モータ駆動制御部
309 記録媒体搬送モータ
310 ヘッドユニット移動モータ駆動制御部
311 ヘッドユニット(キャリッジ)移動モータ
312 維持ユニット移動モータ駆動制御部
313 維持ユニット移動モータ
314 インク経路バルブ制御部
315 電磁弁
316 送液吸引モータ駆動制御部
317 キャップ吸引モータ
318 インク供給モータ
322 I/O
323 センサ
401 塗布ローラ
402 膜圧制御ローラ
Claims (10)
- 前記カチオン性樹脂の添加量が、合計で処理液中10質量%〜50質量%である請求項1又は2に記載の処理液。
- 前記処理液が、更にエポキシ化ポリアミド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、及びユリア樹脂から選択される少なくとも1種を含有する請求項1〜3の何れかに記載の処理液。
- 前記エポキシ化ポリアミド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、及びユリア樹脂から選択される少なくとも1種の添加量が処理液中1質量%〜10質量%である請求項4に記載の処理液。
- インクジェット記録用である請求項1〜5の何れかに記載の処理液。
- 水性記録用インク及び処理液を含むインクセットであって、
前記水性記録用インクが、少なくとも着色剤、水溶性有機溶媒、界面活性剤、及び水を含有する水性記録用インクであり、
前記着色剤が、カルボキシル基含有樹脂中に分散しているか、又はカルボキシル基含有樹脂によってマイクロカプセル化されている着色剤であり、
前記処理液が、請求項1〜5の何れかに記載の処理液であることを特徴とするインクセット。 - 処理液を記録媒体の記録面に付与する処理工程と、
前記処理工程が行われた記録媒体に対して水性記録用インクを付与させて画像を形成する画像形成工程と、を含み、
前記処理液が、請求項1〜5の何れかに記載の処理液であることを特徴とするインクジェット記録方法。 - 前記処理液の付着量が、固形分換算で0.5g/m2〜2g/m2である請求項8に記載のインクジェット記録方法。
- 前記処理液を記録媒体の記録面に付与する処理工程の次工程に乾燥工程を有する請求項8又は9のいずれかに記載のインクジェット記録方法。
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