JP2004243624A - 印刷前処理液及びこれを用いた画像記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インク凝集効果の経時安定性に優れ、前処理液付与とインク付与との時間差が一定以上となる場合でも、発色性、耐擦性に優れ、ブリードがなく、高画質で長期保存が可能な顔料インク画像を得ることができ、コロ跡による画質低下のおそれもない印刷前処理液及びこれを用いた画像記録方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも、カチオン性ポリマー、界面活性剤及び水を含有する印刷前処理液において、上記カチオン性ポリマーを、SO2基を有する第4級アンモニウム塩型カチオン性ポリマー又は下記化学式(1)で表される繰り返し単位を有する第4級アンモニウム塩型カチオン性ポリマーとし、上記界面活性剤を、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上とする。
【化1】
【選択図】 なし
【解決手段】少なくとも、カチオン性ポリマー、界面活性剤及び水を含有する印刷前処理液において、上記カチオン性ポリマーを、SO2基を有する第4級アンモニウム塩型カチオン性ポリマー又は下記化学式(1)で表される繰り返し単位を有する第4級アンモニウム塩型カチオン性ポリマーとし、上記界面活性剤を、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上とする。
【化1】
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性顔料インクを用いるインクジェット記録に先立って記録媒体に付与される印刷前処理液及びこれを用いた画像記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
インクジェット記録方式は、記録ヘッド(インクジェットヘッド)のノズルからインクの液滴を吐出させ、紙等の記録媒体にインクを付着させて画像を記録する印刷方式である。インクジェット記録用のインクとしては、染料系あるいは顔料系の色材を水性媒体中に溶解又は分散させた水性インクが一般的であり、染料インクと顔料インクに大別される。これまで、色再現性等に優れる染料インクが多用されてきたが、インクジェット記録技術のデジタル写真サービスや商業印刷等への用途拡大により、記録画像の長期保存性が重要視されるようになってきており、染料インクに比して耐水性や耐光性等に優れる顔料インクが使用されるようになってきている。
【0003】
一般に、インクジェット記録用の顔料インクは、染料インクに比して記録画像の発色性や耐擦性に劣る。即ち、染料インクによる画像形成は、染料を記録媒体内部に侵入させることにより記録媒体自体を染色して画像を形成するもので、染料が記録媒体の表面に留まらないのに対し、顔料インクによる画像形成は、染料よりはるかに大きな顔料粒子を記録媒体の表面に留め、該表面上にある顔料粒子自体の発色により画像を形成するものであるため、顔料インクによる画像は、染料インクによる画像に比して、入射光の乱反射による色見の相違や発色性の低下が起こりやすく、また顔料粒子が剥がれ落ちやすく耐擦性に劣る。従って、顔料インクを用いるインクジェット記録では、記録画像の発色性、耐擦性を如何にして高めるかが重要な課題となる。
【0004】
また、良好なインクジェット記録画像を得るためには、記録媒体として、例えば、基材上にアルミナ水和物などの無機粒子を主成分とする多孔質層(インク受容層)を有する記録媒体のような、インクジェット記録方式に適合した特性を有する記録媒体(インクジェット専用紙)を使用することが好ましいが、一般ユーザーがインクジェット記録を利用する時には、高価で特殊なインクジェット専用紙よりも、コピー用紙、ボンド紙などの一般事務用紙や、アート紙、コート紙などの一般塗工印刷用紙などの「普通紙」(本明細書では、非インクジェット専用紙という意味で用いる)を使用することが多い。しかしながら、普通紙は、インクジェット専用紙に比してインク吸収量、インク吸収速度が不十分なため、カラーインクジェット記録のように大量のインクを使用する印刷には対応できず、普通紙に対してカラーインクジェット記録を行えば、異色の境界部分で色が滲んだり不均一に混ざり合ういわゆるブリードが発生するという問題がある。
【0005】
上述したインクジェット記録画像の技術的課題(顔料インク画像の発色性、耐擦性の向上、普通紙上でのブリードの防止)に有効な手段として、インクジェット記録に先立ち、記録媒体上に予め画像を良好にせしめる前処理液を付着させておく方法が従来から知られている。例えば、特許文献1には、前処理液として、マグネシウム塩などの金属塩を含有させた金属塩溶液を用いる方法が開示されている。また、特許文献2には、前処理液として、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩型のカチオン性ポリマーを含有させた液体組成物を用いる方法が開示されている。これらの方法は、記録媒体上で前処理液とインクを混合させて凝集反応を起こし、色材成分を含む凝集物を記録媒体の表層部で定着させることにより、高発色でブリードがなく耐擦性にも優れる良好な画像を実現するものと考えられている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている方法には、前処理液(金属塩溶液)の記録媒体に対する浸透性の良さに起因して、次のような問題がある。即ち、この方法は、前処理液を記録媒体に付与した直後にインクを付与する場合(前処理液付与とその後のインク付与との時間差が数秒程度の場合)であれば、金属塩が記録媒体の表層部に留まっているうちにインクが付与されるため、上記のように良好な画像を得ることができるが、前処理液付与とインク付与との時間差が一定以上となる場合には、金属塩が記録媒体の表層部より更に内部へ浸透した後に該記録媒体の表面にインクが付与されることになるため、該表層部におけるインクの凝集反応が十分でなく、上記問題に対して有効な解決手段とはならない。
【0007】
このように、特許文献1に開示されている方法は、前処理液(金属塩溶液)によるインク凝集効果の経時安定性に乏しいため、事実上、記録媒体の搬送中に1パスで前処理液付与及びインク付与を順次行う印刷形態(このような印刷形態は、例えば、前処理液吐出用の記録ヘッドとインク吐出用の記録ヘッドを備えたインクジェットプリンタを用いて行うことができる)のような、インク凝集効果の経時安定性の優劣がほとんど問題とならない場合に限定され、記録媒体に前処理液を付与したものをユーザーが購入して使用するような、インク凝集効果の経時安定性が重要な要素となる場合には適用できず、適用範囲に限界がある。
【0008】
一方、特許文献2に開示されている方法には、上述した特許文献1に開示の方法のような問題はないものの、インク付与後の記録媒体の乾燥性が良くない(インクが乾きにくい)ことに起因して、次のような問題がある。即ち、インクジェットプリンタの用紙搬送機構は、図1に示すように、記録ヘッド10により記録が終了した記録媒体Mを印刷面Pをコロ11で押さえつつ排紙コロ12で排紙方向に搬送するようになしてあるのが一般的であるところ、特許文献2に開示の方法においては、前処理液(カチオン性ポリマー含有液体組成物)及びインクが付与された印刷面Pが乾燥不十分の状態でコロ11と接触するため、印刷面Pにコロが通過した跡(「コロ跡」と呼ばれる)が付いてしまい、画質が著しく低下するという問題がある。
【0009】
従って、本発明の目的は、インク凝集効果の経時安定性に優れ、前処理液付与とインク付与との時間差が一定以上となる場合でも、発色性、耐擦性に優れ、ブリードがなく、高画質で長期保存が可能な顔料インク画像を得ることができ、コロ跡による画質低下のおそれもない印刷前処理液及びこれを用いた画像記録方法を提供することにある。
【0010】
【特許文献1】
特開平10−120956号公報
【特許文献2】
特開平8−72393号公報
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく種々検討した結果、特定のカチオン性ポリマーが、インク凝集効果の経時安定性に優れ、顔料インク画像の発色性や耐擦性などの点でも優れたものであることを知見すると共に、このカチオン性ポリマーを含有させた前処理液を用いてインクジェット記録を行った場合に懸念されるコロ跡の発生を、フッ素系又はシリコーン系界面活性剤の添加により防止し得ることを知見した。
【0012】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、少なくとも、カチオン性ポリマー、界面活性剤及び水を含有する印刷前処理液において、上記カチオン性ポリマーが、SO2基を有する第4級アンモニウム塩型カチオン性ポリマー又は下記化学式(1)で表される繰り返し単位を有する第4級アンモニウム塩型カチオン性ポリマーであり、上記界面活性剤が、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする印刷前処理液を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0013】
【化3】
【0014】
また、本発明は、上記印刷前処理液を記録媒体の被記録面に付着させる前処理工程と、該前処理工程を経た該被記録面に対し、水性顔料インクを吐出させて画像を記録するインクジェット記録工程とを備えたことを特徴とする画像記録方法を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の印刷前処理液について詳細に説明する。
【0016】
本発明の印刷前処理液は、カチオン性ポリマー、界面活性剤及び水を必須成分として含有する。
【0017】
上記カチオン性ポリマーは、インク中の色材あるいは該色材の分散剤とイオン的相互作用により会合を起こし、該色材を瞬間的に凝集させるもので、記録画像の発色性、耐擦性といった本発明の重要な作用効果に関わるものである。上記カチオン性ポリマーとして、本発明では、SO2基を有する第4級アンモニウム塩型カチオン性ポリマー(以下、「カチオン性ポリマーA」ともいう)、又は上記化学式(1)で表される繰り返し単位を有する第4級アンモニウム塩型カチオン性ポリマー〔(N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシプロピル)アンモニウムクロライド塩型カチオン性ポリマー。以下、「カチオン性ポリマーB」ともいう〕を使用する。
【0018】
上記カチオン性ポリマーAとしては、特に、下記化学式(2)で表される繰り返し単位を有するジアリルジメチルアンモニウムクロライド塩型カチオン性ポリマーが好ましい。
【0019】
【化4】
【0020】
上記カチオン性ポリマーA及びBの何れも、重量平均分子量は2000以上が好ましく、4000以上が更に好ましい。カチオン性ポリマーの重量平均分子量が2000未満では、記録画像の耐擦性の向上効果に乏しく、また、上述したコロ跡の発生による画質低下を防止できないおそれがある。一方、前処理液に含有させるカチオン性ポリマーの重量平均分子量があまりに大きすぎると、インク吸収性が損なわれるおそれがあり、重量平均分子量が10万よりも小さいものを使用することが好ましい。
【0021】
上記カチオン性ポリマーAとして本発明に好適に使用できるものとしては、日東紡績(株)製のPAS−A−1(重量平均分子量2000)、PAS−A−5(重量平均分子量4000)、PAS−92(重量平均分子量5000)等が挙げられる。
【0022】
上記カチオン性ポリマーBとして本発明に好適に使用できるものとしては、センカ株式会社製のKHE104L(重量平均分子量20000)等が挙げられる。
【0023】
また、上記界面活性剤は、主として、上記カチオン性ポリマーを含有させた前処理液を用いてインクジェット記録を行った場合に懸念されるコロ跡の発生を防止するために添加されるものである。上記界面活性剤として、本発明では、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上を使用する。
【0024】
上記フッ素系界面活性剤は、親水基及び疎水基を有する通常の界面活性剤において、該疎水基中の炭素原子(C)に結合した水素原子(H)の一部又は全部をフッ素原子(F)で置換したものである。該親水基は、イオン性、非イオン性の何れでもよく、特に限定されない。フッ素系界面活性剤としては、例えば、一般式Rf−NR’R”HXなどで表される陽イオン性フッ素系界面活性剤;一般式Rf−OH、一般式Rf−BNR’(CH2)nOH、Rf−BN(C2H4O)nHなどで表される非イオン性フッ素系界面活性剤が挙げられる。ここで、Rfは、アルキル基中のHの一部又は全部をFで置換したフッ化炭素基を表し、Xは、ハロゲン酸銀を表し、R’及びR”は、それぞれH又は低級アルキル基を表し、Bは、CO又はSO2を表す。
【0025】
また、上記シリコーン系界面活性剤は、親水基及び疎水基を有する通常の界面活性剤において、該疎水基の主鎖にケイ素原子(Si)を含むものである。シリコーン系界面活性剤としては、例えば、一般式(CH3)3Si〔OSi(CH3)2〕x(C2H4O)yCH3で表されるポリエーテル変性シリコーンオイルが代表的な例として挙げられる。ここで、x及びyは、それぞれ1〜15の整数を表す。
【0026】
上記界面活性剤の含有量は、上記印刷前処理液中、上記カチオン性ポリマーに対して0.2〜15重量%の範囲に調整することが好ましい。界面活性剤の含有量が0.2重量%未満では、コロ跡による画質低下の防止に効果がなく、逆に15重量%よりも多く含有させても大きな改善はみられない。
【0027】
また、本発明の印刷前処理液に必須成分として含有される水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水などが好ましく用いられる。また、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理された水は、カビやバクテリアの発生を防止して長期保存を可能とする点で好ましい。
【0028】
本発明の印刷前処理液には、必要に応じ、上記各成分(カチオン性ポリマー、界面活性剤、水)以外の各種の助剤、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、消光剤、酸化防止剤、防黴剤、防腐剤、増粘剤、湿潤剤、流動性改良剤、pH調整剤、消泡剤、抑泡剤、レベリング剤、帯電防止剤等を含有させることできる。
【0029】
本発明の印刷前処理液は、色材として顔料系色材を含有させたインク(顔料インク)を使用する記録方式に有効であり、水性インクでも油性インクでも対応できる。本発明が適用可能な記録方式としては、例えば、インクジェット記録方式、枚葉オフセット印刷方式、輪転オフセット印刷方式などが挙げられる。なかでも、本発明は、水性顔料インクを用いるインクジェット記録方式に最適であり、該記録方式に使用する記録媒体の印刷前処理液として用いることで、インクジェット記録画像の発色性、耐擦性を大幅に改善することができる。
【0030】
次に、上記印刷前処理液を用いた本発明の画像記録方法について詳細に説明する。
【0031】
本発明の画像記録方法は、上記印刷前処理液を、記録媒体の被記録面に付着させる前処理工程と、該前処理工程を経た該被記録面に対し、水性顔料インクを吐出させて画像を記録するインクジェット記録工程とを備える。
【0032】
上記印刷前処理液の上記被記録面への付着は、ロールコーター法、バーコーター法、ブレードコーター法などの公知の塗工方法を用いて行うことができる。上記印刷前処理液は、通常、これらの塗工方法を用いて上記被記録面の全面に均一な付着量で付着させるが、インクを付着させる箇所にのみ選択的に付着させても良い。このような液の選択的な付着に当たっては、インクジェットヘッドやスプレーなどを用いた非接触塗布方式を用いることもできる。尚、印刷前処理液を記録媒体に付着させると、溶媒成分は速やかに記録媒体中に浸透するので、付着後の記録媒体の乾燥処理は特に必要ない。
【0033】
上記印刷前処理液の付着量は、該印刷前処理液による所定の効果(発色性、耐擦性の向上、コロ跡による画質低下の防止など)が得られるようにする観点から、固形分換算で0.6g/m2以上とすることが好ましい。一方、上記印刷前処理液の付着量が多すぎるとインク吸収性が低下して、印字後にインクが溢れたりするおそれがあるので、付着量の上限は、固形分換算で10g/m2程度とすることが好ましい。
【0034】
また、上記インクジェット記録工程は、公知のインクジェット方式の記録装置(インクジェットプリンタ)を用いて行うことができ、この場合、顔料インクはインクジェットプリンタのインクジェットヘッドから吐出される。インクジェット方式には、インクジェットヘッドのノズルから一定時間間隔でインクを吐出し続け、吐出されたインク液滴を偏向させることにより画像を形成するコンティニュアス方式と、画像データに対応してインクを吐出させるオンデマンド方式とがあり、本発明では何れの方式でも使用できるが、細かい打ち込み制御が可能、廃液量が少ない等の点で、オンデマンド方式が好ましい。また、インク吐出制御方式には、圧電素子(ピエゾ素子)を用いて電圧により制御する方式や、発熱抵抗素子を用いて熱エネルギーにより制御する方式等があるが、特に制限されない。
【0035】
尚、上記印刷前処理液は、上述したように、インク凝集効果の経時安定性に優れており、該前処理液付与とインク付与との時間差が一定以上となる場合でも所定のインク凝集反応を起こすことができるので、上記前処理工程と上記インクジェット記録工程とは必ずしも連続的に行う必要はない。例えば、メーカーが、上質紙やコート紙などの普通紙(非インクジェット専用紙)に上記印刷前処理液を付与したものを販売し、ユーザーがこれを購入してインクジェット記録に使用するような場合、メーカーが行う前処理工程と、ユーザーが行うインクジェット記録工程との時間差は数ヶ月にも及ぶことがあるが、このような場合でも、上記印刷前処理液の作用により良好なインクジェット記録画像を得ることができる。
【0036】
本発明に用いる上記記録媒体としては、例えば、上質紙、再生紙、コピー用紙、ボンド紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、樹脂被覆紙(レジンコート紙)、バライタ紙、板紙、和紙、不織布;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム等が挙げられる。勿論、上記記録媒体として、インクジェット記録方式に適合した特性を有するインクジェット専用紙を使用することもできるが、本発明では、高価なインクジェット専用紙を使用しなくても、上記のような一般の記録用紙を使用することで、良好なインクジェット記録画像を得ることができる。
【0037】
また、本発明に用いる上記水性顔料インクとしては、インクジェット記録で使用できるものであればよく、特に制限されない。インクジェット記録用の水性顔料インクは、顔料系色材及び水以外に、通常、保湿や浸透調整等のため各種有機溶剤や界面活性剤等が含有されている。カラー画像を記録する場合は、イエロー、マゼンタ及びシアンの減法混色の3原色のインク、あるいはこれにブラックその他の色のインクを加えた4色以上のインクを用いる。
【0038】
上記顔料系色材としては、例えば、酸化チタン及び酸化鉄、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックなどの無機系顔料;アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどの有機系顔料などが挙げられる。インク中の顔料系色材の含有量は、インクに要求される特性等を考慮して適宜調整され、通常、0.5〜30重量%程度である。
【0039】
上記顔料系色材は、界面活性剤等の分散剤が無添加あるいはごく少量添加の水性媒体中に分散及び/又は溶解が可能ないわゆる自己分散型顔料(表面改質顔料などとも呼ばれる)でも良く、自己分散型ではない通常の顔料でも良い。自己分散型顔料は、一般に、顔料表面にカルボキシル基などのアニオン性基が結合されている。また、自己分散型ではない通常の顔料を使用する場合は、分散剤として、高級脂肪酸塩や高級アルコール硫酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、あるいはポリアクリル酸塩などのアニオン性高分子が顔料と共に併用される。本発明の印刷前処理液中の上記カチオン性ポリマーは、このようなアニオン性基を有する自己分散型顔料やアニオン性分散剤とイオン的相互作用により会合体を形成する。
【0040】
【実施例】
以下に、本発明の実施例及び本発明の効果を示す試験例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、斯かる実施例により何等制限されるものではない。尚、本実施例において示す「部」は、特に明示しない限り重量基準である。
【0041】
〔印刷前処理液の調製〕
下記に示す印刷前処理液1〜9(何れも固形分濃度15重量%)を調製した。
【0042】
(印刷前処理液1)
カチオン性ポリマーA(前記PAS−A−5、Mw=4,000)15部、フッ素系界面活性剤(F−144D、ノニオン性、大日本インキ化学工業製)0.3部及び水85部を混合して調製した。
【0043】
(印刷前処理液2)
カチオン性ポリマーA(前記PAS−A−5、Mw=4,000)20部、シリコーン系界面活性剤(BYK307、ノニオン性、ビックケミージャパン製)0.8部及び水120部を混合して調製した。
【0044】
(印刷前処理液3)
カチオン性ポリマーA(前記PAS−92、Mw=5,000)20部、フッ素系界面活性剤(上記F−144D)2部及び水125部を混合して調製した。
【0045】
(印刷前処理液4)
カチオン性ポリマーA(前記PAS−A−1、Mw=2,000)15部、フッ素系界面活性剤(上記F−144D)0.3部及び水85部を混合して調製した。
【0046】
(印刷前処理液5)
カチオン性ポリマーA(PAS−A−120L、Mw=100,000、日東紡績(株)製)15部、フッ素系界面活性剤(上記F−144D)0.3部及び水85部を混合して調製した。
【0047】
(印刷前処理液6)
カチオン性ポリマーB(前記KHE104L、Mw=20,000)15部、フッ素系界面活性剤(上記F−144D)0.3部及び水85部を混合して調製した。
【0048】
(印刷前処理液7)
カチオン性ポリマーA(前記PAS−A−5、Mw=4,000)20部及び水115部を混合して調製した。
【0049】
(印刷前処理液8)
SO2基を有しない第4級アンモニウム塩型カチオン性ポリマー〔PAS−J−81(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物)、Mw=200,000、日東紡績(株)製〕15部、フッ素系界面活性剤(上記F−144D)0.3部及び水85部を混合して調製した。
【0050】
(印刷前処理液9)
塩化マグネシウム六水和物(MgCl2・6H2O)20部及び水115部を混合して調製した。
【0051】
(インクジェット記録物の作製)
一般塗工印刷用紙(OKトップコートN〈135〉、坪量135g/m2、王子製紙製)の被記録面の片面の全面に、上記印刷前処理液を付着量が固形分換算で2g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗布した(前処理工程)。この前処理済の印刷用紙を、室温30℃、相対湿度90%の環境下で24時間放置した後、水性顔料インクを使用するインクジェットプリンタ(PM−4000PX、セイコーエプソン製)を用いて、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のOD=1のカラーパッチを印刷した(インクジェット記録工程)。このようにして上記印刷前処理液1〜9ごとにインクジェット記録物を必要枚数作製し、下記試験に使用した。
【0052】
〔試験例〕
上記インクジェット記録物について、発色性、ブリード、耐擦性、コロ跡防止性を下記の方法により評価した。また、下記の方法により、オフセット印刷適性も評価した。これらの結果を下記〔表1〕に示す。
【0053】
(発色性の評価方法)
上記記録物のKCMYの各カラーパッチについて、グレタグマクベス社製のスペクトロリーノSPM−50を用い、視野角2度、光源D50、フィルター無しの条件で反射光学濃度(OD値)を測定し、下記評価基準により評価した。
評価基準
A:KCMYの4色のOD値の合計が7.5を超える。発色性良好。
B:4色のOD値の合計が7.5〜6.0。実用上問題なし。
C:4色のOD値の合計が6.0未満(平均でOD値1.5未満)。実用不可。
【0054】
(ブリードの評価方法)
上記記録物のC及びYのカラーパッチが隣接する部分(画質低下が最も判別し易い領域)をそれぞれ目視により観察して、それらの色境界での不均一な色混じりの程度を下記評価基準により評価した。
評価基準
A:色混じりの無い、良好な画像が得られた。
B:色混じりが僅かに生じた。実用上問題なし。
C:色の境界がはっきりしないほど色混じりが起こった。実用不可。
【0055】
(耐擦性の評価方法)
上記記録物の印刷面上に、幅20mmの消しゴムを傾斜度60度で固定し、1kgの荷重をかけた状態で10往復擦った後の該印刷面の状態を目視で観察し、下記評価基準により評価した。
評価基準
A:印刷面にキズ、ハガレがない。耐擦性良好。
B:印刷面にキズが入るが、実用上問題なし。
C:印刷面にハガレが発生する。実用不可。
【0056】
(コロ跡防止性の評価方法)
上記記録物の印刷面を目視で観察し、コロ跡が付いていない場合をA(コロ跡防止性良好)、コロ跡が若干見られるが実用上問題ない場合をB、コロ跡が目立ち、実用に堪えない場合をCとした。
【0057】
(オフセット印刷適性の評価方法)
上記OKトップコートNの被記録面の片面の全面に、上記印刷前処理液を付着量が固形分換算で2g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗布した(前処理工程)。この前処理済の印刷用紙を、室温30℃、相対湿度90%の環境下で24時間放置した後、RI印刷適性試験機(石川島播磨産業機械製)を用いて、オフセット印刷を行い、発色性、表面強度を下記方法により評価した。
【0058】
〈オフセット発色性〉
上記RI印刷適性試験機を用いて、C,M,Yの3色のインク(TKハイエコーSOY、東洋インキ製)により、印刷胴8000m/h、インク盛り量0.5cc/1回の印刷条件で、上記の前処理済印刷用紙の被記録面に各色のベタ印刷を行った。そして各印刷部分について、グレタグマクベス社製のスペクトロリーノSPM−50を用い、視野角2度、光源D50、フィルター無しの条件で反射光学濃度(OD値)を測定し、下記評価基準により評価した。
評価基準
A:C色印刷部分1.7以上、且つM色印刷部分1.6以上、且つY色印刷部分1.5以上。いずれの色も画像濃度高く、オフセット発色性良好。
B:C色印刷部分1.4以上、且つM色印刷部分1.3以上、且つY色印刷部分1.2以上。実用限界。
C:C色印刷部分1.4未満、又はM色印刷部分1.3未満、又はY色印刷部分1.2未満。実用不可。
【0059】
〈オフセット表面強度〉
上記RI印刷適性試験機を用いて、Kインク(インクタック15、東洋インキ製)により、上記と同様の印刷条件で上記の前処理済印刷用紙の被記録面にベタ印刷を行い、印刷後の紙面の紙剥けの状況を目視で観察して、下記評価基準により評価した。
評価基準
A:紙剥けが無く、印刷胴に紙粉がほとんど付着していない。表面強度良好。
B:紙剥けは無いが、印刷胴の所々に紙粉が付着している。実用限界。
C:紙剥けが発生している。実用不可。
【0060】
【表1】
【0061】
【発明の効果】
本発明の印刷前処理液は、インクジェット記録適性の考慮されていない普通紙上に、発色性、耐擦性に優れ、ブリードがなく、高画質で長期保存が可能な顔料インク画像を形成させることができ、コロ跡の発生による画質低下のおそれもない。またこの印刷前処理液は、インク凝集効果の経時安定性に優れており、該前処理液付与とインク付与との時間差が一定以上となる場合でも、インク付与時には所定のインク凝集反応を起こすことができるので、適用可能な印刷形態の幅が広く、種々の用途に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェットプリンタの用紙搬送機構の説明図である。
【符号の説明】
10 記録ヘッド
11 コロ
12 排紙コロ
M 記録媒体
P 印刷面
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性顔料インクを用いるインクジェット記録に先立って記録媒体に付与される印刷前処理液及びこれを用いた画像記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
インクジェット記録方式は、記録ヘッド(インクジェットヘッド)のノズルからインクの液滴を吐出させ、紙等の記録媒体にインクを付着させて画像を記録する印刷方式である。インクジェット記録用のインクとしては、染料系あるいは顔料系の色材を水性媒体中に溶解又は分散させた水性インクが一般的であり、染料インクと顔料インクに大別される。これまで、色再現性等に優れる染料インクが多用されてきたが、インクジェット記録技術のデジタル写真サービスや商業印刷等への用途拡大により、記録画像の長期保存性が重要視されるようになってきており、染料インクに比して耐水性や耐光性等に優れる顔料インクが使用されるようになってきている。
【0003】
一般に、インクジェット記録用の顔料インクは、染料インクに比して記録画像の発色性や耐擦性に劣る。即ち、染料インクによる画像形成は、染料を記録媒体内部に侵入させることにより記録媒体自体を染色して画像を形成するもので、染料が記録媒体の表面に留まらないのに対し、顔料インクによる画像形成は、染料よりはるかに大きな顔料粒子を記録媒体の表面に留め、該表面上にある顔料粒子自体の発色により画像を形成するものであるため、顔料インクによる画像は、染料インクによる画像に比して、入射光の乱反射による色見の相違や発色性の低下が起こりやすく、また顔料粒子が剥がれ落ちやすく耐擦性に劣る。従って、顔料インクを用いるインクジェット記録では、記録画像の発色性、耐擦性を如何にして高めるかが重要な課題となる。
【0004】
また、良好なインクジェット記録画像を得るためには、記録媒体として、例えば、基材上にアルミナ水和物などの無機粒子を主成分とする多孔質層(インク受容層)を有する記録媒体のような、インクジェット記録方式に適合した特性を有する記録媒体(インクジェット専用紙)を使用することが好ましいが、一般ユーザーがインクジェット記録を利用する時には、高価で特殊なインクジェット専用紙よりも、コピー用紙、ボンド紙などの一般事務用紙や、アート紙、コート紙などの一般塗工印刷用紙などの「普通紙」(本明細書では、非インクジェット専用紙という意味で用いる)を使用することが多い。しかしながら、普通紙は、インクジェット専用紙に比してインク吸収量、インク吸収速度が不十分なため、カラーインクジェット記録のように大量のインクを使用する印刷には対応できず、普通紙に対してカラーインクジェット記録を行えば、異色の境界部分で色が滲んだり不均一に混ざり合ういわゆるブリードが発生するという問題がある。
【0005】
上述したインクジェット記録画像の技術的課題(顔料インク画像の発色性、耐擦性の向上、普通紙上でのブリードの防止)に有効な手段として、インクジェット記録に先立ち、記録媒体上に予め画像を良好にせしめる前処理液を付着させておく方法が従来から知られている。例えば、特許文献1には、前処理液として、マグネシウム塩などの金属塩を含有させた金属塩溶液を用いる方法が開示されている。また、特許文献2には、前処理液として、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩型のカチオン性ポリマーを含有させた液体組成物を用いる方法が開示されている。これらの方法は、記録媒体上で前処理液とインクを混合させて凝集反応を起こし、色材成分を含む凝集物を記録媒体の表層部で定着させることにより、高発色でブリードがなく耐擦性にも優れる良好な画像を実現するものと考えられている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている方法には、前処理液(金属塩溶液)の記録媒体に対する浸透性の良さに起因して、次のような問題がある。即ち、この方法は、前処理液を記録媒体に付与した直後にインクを付与する場合(前処理液付与とその後のインク付与との時間差が数秒程度の場合)であれば、金属塩が記録媒体の表層部に留まっているうちにインクが付与されるため、上記のように良好な画像を得ることができるが、前処理液付与とインク付与との時間差が一定以上となる場合には、金属塩が記録媒体の表層部より更に内部へ浸透した後に該記録媒体の表面にインクが付与されることになるため、該表層部におけるインクの凝集反応が十分でなく、上記問題に対して有効な解決手段とはならない。
【0007】
このように、特許文献1に開示されている方法は、前処理液(金属塩溶液)によるインク凝集効果の経時安定性に乏しいため、事実上、記録媒体の搬送中に1パスで前処理液付与及びインク付与を順次行う印刷形態(このような印刷形態は、例えば、前処理液吐出用の記録ヘッドとインク吐出用の記録ヘッドを備えたインクジェットプリンタを用いて行うことができる)のような、インク凝集効果の経時安定性の優劣がほとんど問題とならない場合に限定され、記録媒体に前処理液を付与したものをユーザーが購入して使用するような、インク凝集効果の経時安定性が重要な要素となる場合には適用できず、適用範囲に限界がある。
【0008】
一方、特許文献2に開示されている方法には、上述した特許文献1に開示の方法のような問題はないものの、インク付与後の記録媒体の乾燥性が良くない(インクが乾きにくい)ことに起因して、次のような問題がある。即ち、インクジェットプリンタの用紙搬送機構は、図1に示すように、記録ヘッド10により記録が終了した記録媒体Mを印刷面Pをコロ11で押さえつつ排紙コロ12で排紙方向に搬送するようになしてあるのが一般的であるところ、特許文献2に開示の方法においては、前処理液(カチオン性ポリマー含有液体組成物)及びインクが付与された印刷面Pが乾燥不十分の状態でコロ11と接触するため、印刷面Pにコロが通過した跡(「コロ跡」と呼ばれる)が付いてしまい、画質が著しく低下するという問題がある。
【0009】
従って、本発明の目的は、インク凝集効果の経時安定性に優れ、前処理液付与とインク付与との時間差が一定以上となる場合でも、発色性、耐擦性に優れ、ブリードがなく、高画質で長期保存が可能な顔料インク画像を得ることができ、コロ跡による画質低下のおそれもない印刷前処理液及びこれを用いた画像記録方法を提供することにある。
【0010】
【特許文献1】
特開平10−120956号公報
【特許文献2】
特開平8−72393号公報
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく種々検討した結果、特定のカチオン性ポリマーが、インク凝集効果の経時安定性に優れ、顔料インク画像の発色性や耐擦性などの点でも優れたものであることを知見すると共に、このカチオン性ポリマーを含有させた前処理液を用いてインクジェット記録を行った場合に懸念されるコロ跡の発生を、フッ素系又はシリコーン系界面活性剤の添加により防止し得ることを知見した。
【0012】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、少なくとも、カチオン性ポリマー、界面活性剤及び水を含有する印刷前処理液において、上記カチオン性ポリマーが、SO2基を有する第4級アンモニウム塩型カチオン性ポリマー又は下記化学式(1)で表される繰り返し単位を有する第4級アンモニウム塩型カチオン性ポリマーであり、上記界面活性剤が、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする印刷前処理液を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0013】
【化3】
【0014】
また、本発明は、上記印刷前処理液を記録媒体の被記録面に付着させる前処理工程と、該前処理工程を経た該被記録面に対し、水性顔料インクを吐出させて画像を記録するインクジェット記録工程とを備えたことを特徴とする画像記録方法を提供するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の印刷前処理液について詳細に説明する。
【0016】
本発明の印刷前処理液は、カチオン性ポリマー、界面活性剤及び水を必須成分として含有する。
【0017】
上記カチオン性ポリマーは、インク中の色材あるいは該色材の分散剤とイオン的相互作用により会合を起こし、該色材を瞬間的に凝集させるもので、記録画像の発色性、耐擦性といった本発明の重要な作用効果に関わるものである。上記カチオン性ポリマーとして、本発明では、SO2基を有する第4級アンモニウム塩型カチオン性ポリマー(以下、「カチオン性ポリマーA」ともいう)、又は上記化学式(1)で表される繰り返し単位を有する第4級アンモニウム塩型カチオン性ポリマー〔(N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシプロピル)アンモニウムクロライド塩型カチオン性ポリマー。以下、「カチオン性ポリマーB」ともいう〕を使用する。
【0018】
上記カチオン性ポリマーAとしては、特に、下記化学式(2)で表される繰り返し単位を有するジアリルジメチルアンモニウムクロライド塩型カチオン性ポリマーが好ましい。
【0019】
【化4】
【0020】
上記カチオン性ポリマーA及びBの何れも、重量平均分子量は2000以上が好ましく、4000以上が更に好ましい。カチオン性ポリマーの重量平均分子量が2000未満では、記録画像の耐擦性の向上効果に乏しく、また、上述したコロ跡の発生による画質低下を防止できないおそれがある。一方、前処理液に含有させるカチオン性ポリマーの重量平均分子量があまりに大きすぎると、インク吸収性が損なわれるおそれがあり、重量平均分子量が10万よりも小さいものを使用することが好ましい。
【0021】
上記カチオン性ポリマーAとして本発明に好適に使用できるものとしては、日東紡績(株)製のPAS−A−1(重量平均分子量2000)、PAS−A−5(重量平均分子量4000)、PAS−92(重量平均分子量5000)等が挙げられる。
【0022】
上記カチオン性ポリマーBとして本発明に好適に使用できるものとしては、センカ株式会社製のKHE104L(重量平均分子量20000)等が挙げられる。
【0023】
また、上記界面活性剤は、主として、上記カチオン性ポリマーを含有させた前処理液を用いてインクジェット記録を行った場合に懸念されるコロ跡の発生を防止するために添加されるものである。上記界面活性剤として、本発明では、フッ素系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤からなる群から選ばれる1種以上を使用する。
【0024】
上記フッ素系界面活性剤は、親水基及び疎水基を有する通常の界面活性剤において、該疎水基中の炭素原子(C)に結合した水素原子(H)の一部又は全部をフッ素原子(F)で置換したものである。該親水基は、イオン性、非イオン性の何れでもよく、特に限定されない。フッ素系界面活性剤としては、例えば、一般式Rf−NR’R”HXなどで表される陽イオン性フッ素系界面活性剤;一般式Rf−OH、一般式Rf−BNR’(CH2)nOH、Rf−BN(C2H4O)nHなどで表される非イオン性フッ素系界面活性剤が挙げられる。ここで、Rfは、アルキル基中のHの一部又は全部をFで置換したフッ化炭素基を表し、Xは、ハロゲン酸銀を表し、R’及びR”は、それぞれH又は低級アルキル基を表し、Bは、CO又はSO2を表す。
【0025】
また、上記シリコーン系界面活性剤は、親水基及び疎水基を有する通常の界面活性剤において、該疎水基の主鎖にケイ素原子(Si)を含むものである。シリコーン系界面活性剤としては、例えば、一般式(CH3)3Si〔OSi(CH3)2〕x(C2H4O)yCH3で表されるポリエーテル変性シリコーンオイルが代表的な例として挙げられる。ここで、x及びyは、それぞれ1〜15の整数を表す。
【0026】
上記界面活性剤の含有量は、上記印刷前処理液中、上記カチオン性ポリマーに対して0.2〜15重量%の範囲に調整することが好ましい。界面活性剤の含有量が0.2重量%未満では、コロ跡による画質低下の防止に効果がなく、逆に15重量%よりも多く含有させても大きな改善はみられない。
【0027】
また、本発明の印刷前処理液に必須成分として含有される水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水又は超純水などが好ましく用いられる。また、紫外線照射又は過酸化水素添加等により滅菌処理された水は、カビやバクテリアの発生を防止して長期保存を可能とする点で好ましい。
【0028】
本発明の印刷前処理液には、必要に応じ、上記各成分(カチオン性ポリマー、界面活性剤、水)以外の各種の助剤、例えば、紫外線吸収剤、光安定剤、消光剤、酸化防止剤、防黴剤、防腐剤、増粘剤、湿潤剤、流動性改良剤、pH調整剤、消泡剤、抑泡剤、レベリング剤、帯電防止剤等を含有させることできる。
【0029】
本発明の印刷前処理液は、色材として顔料系色材を含有させたインク(顔料インク)を使用する記録方式に有効であり、水性インクでも油性インクでも対応できる。本発明が適用可能な記録方式としては、例えば、インクジェット記録方式、枚葉オフセット印刷方式、輪転オフセット印刷方式などが挙げられる。なかでも、本発明は、水性顔料インクを用いるインクジェット記録方式に最適であり、該記録方式に使用する記録媒体の印刷前処理液として用いることで、インクジェット記録画像の発色性、耐擦性を大幅に改善することができる。
【0030】
次に、上記印刷前処理液を用いた本発明の画像記録方法について詳細に説明する。
【0031】
本発明の画像記録方法は、上記印刷前処理液を、記録媒体の被記録面に付着させる前処理工程と、該前処理工程を経た該被記録面に対し、水性顔料インクを吐出させて画像を記録するインクジェット記録工程とを備える。
【0032】
上記印刷前処理液の上記被記録面への付着は、ロールコーター法、バーコーター法、ブレードコーター法などの公知の塗工方法を用いて行うことができる。上記印刷前処理液は、通常、これらの塗工方法を用いて上記被記録面の全面に均一な付着量で付着させるが、インクを付着させる箇所にのみ選択的に付着させても良い。このような液の選択的な付着に当たっては、インクジェットヘッドやスプレーなどを用いた非接触塗布方式を用いることもできる。尚、印刷前処理液を記録媒体に付着させると、溶媒成分は速やかに記録媒体中に浸透するので、付着後の記録媒体の乾燥処理は特に必要ない。
【0033】
上記印刷前処理液の付着量は、該印刷前処理液による所定の効果(発色性、耐擦性の向上、コロ跡による画質低下の防止など)が得られるようにする観点から、固形分換算で0.6g/m2以上とすることが好ましい。一方、上記印刷前処理液の付着量が多すぎるとインク吸収性が低下して、印字後にインクが溢れたりするおそれがあるので、付着量の上限は、固形分換算で10g/m2程度とすることが好ましい。
【0034】
また、上記インクジェット記録工程は、公知のインクジェット方式の記録装置(インクジェットプリンタ)を用いて行うことができ、この場合、顔料インクはインクジェットプリンタのインクジェットヘッドから吐出される。インクジェット方式には、インクジェットヘッドのノズルから一定時間間隔でインクを吐出し続け、吐出されたインク液滴を偏向させることにより画像を形成するコンティニュアス方式と、画像データに対応してインクを吐出させるオンデマンド方式とがあり、本発明では何れの方式でも使用できるが、細かい打ち込み制御が可能、廃液量が少ない等の点で、オンデマンド方式が好ましい。また、インク吐出制御方式には、圧電素子(ピエゾ素子)を用いて電圧により制御する方式や、発熱抵抗素子を用いて熱エネルギーにより制御する方式等があるが、特に制限されない。
【0035】
尚、上記印刷前処理液は、上述したように、インク凝集効果の経時安定性に優れており、該前処理液付与とインク付与との時間差が一定以上となる場合でも所定のインク凝集反応を起こすことができるので、上記前処理工程と上記インクジェット記録工程とは必ずしも連続的に行う必要はない。例えば、メーカーが、上質紙やコート紙などの普通紙(非インクジェット専用紙)に上記印刷前処理液を付与したものを販売し、ユーザーがこれを購入してインクジェット記録に使用するような場合、メーカーが行う前処理工程と、ユーザーが行うインクジェット記録工程との時間差は数ヶ月にも及ぶことがあるが、このような場合でも、上記印刷前処理液の作用により良好なインクジェット記録画像を得ることができる。
【0036】
本発明に用いる上記記録媒体としては、例えば、上質紙、再生紙、コピー用紙、ボンド紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、樹脂被覆紙(レジンコート紙)、バライタ紙、板紙、和紙、不織布;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム等が挙げられる。勿論、上記記録媒体として、インクジェット記録方式に適合した特性を有するインクジェット専用紙を使用することもできるが、本発明では、高価なインクジェット専用紙を使用しなくても、上記のような一般の記録用紙を使用することで、良好なインクジェット記録画像を得ることができる。
【0037】
また、本発明に用いる上記水性顔料インクとしては、インクジェット記録で使用できるものであればよく、特に制限されない。インクジェット記録用の水性顔料インクは、顔料系色材及び水以外に、通常、保湿や浸透調整等のため各種有機溶剤や界面活性剤等が含有されている。カラー画像を記録する場合は、イエロー、マゼンタ及びシアンの減法混色の3原色のインク、あるいはこれにブラックその他の色のインクを加えた4色以上のインクを用いる。
【0038】
上記顔料系色材としては、例えば、酸化チタン及び酸化鉄、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラックなどの無機系顔料;アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどの有機系顔料などが挙げられる。インク中の顔料系色材の含有量は、インクに要求される特性等を考慮して適宜調整され、通常、0.5〜30重量%程度である。
【0039】
上記顔料系色材は、界面活性剤等の分散剤が無添加あるいはごく少量添加の水性媒体中に分散及び/又は溶解が可能ないわゆる自己分散型顔料(表面改質顔料などとも呼ばれる)でも良く、自己分散型ではない通常の顔料でも良い。自己分散型顔料は、一般に、顔料表面にカルボキシル基などのアニオン性基が結合されている。また、自己分散型ではない通常の顔料を使用する場合は、分散剤として、高級脂肪酸塩や高級アルコール硫酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、あるいはポリアクリル酸塩などのアニオン性高分子が顔料と共に併用される。本発明の印刷前処理液中の上記カチオン性ポリマーは、このようなアニオン性基を有する自己分散型顔料やアニオン性分散剤とイオン的相互作用により会合体を形成する。
【0040】
【実施例】
以下に、本発明の実施例及び本発明の効果を示す試験例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、斯かる実施例により何等制限されるものではない。尚、本実施例において示す「部」は、特に明示しない限り重量基準である。
【0041】
〔印刷前処理液の調製〕
下記に示す印刷前処理液1〜9(何れも固形分濃度15重量%)を調製した。
【0042】
(印刷前処理液1)
カチオン性ポリマーA(前記PAS−A−5、Mw=4,000)15部、フッ素系界面活性剤(F−144D、ノニオン性、大日本インキ化学工業製)0.3部及び水85部を混合して調製した。
【0043】
(印刷前処理液2)
カチオン性ポリマーA(前記PAS−A−5、Mw=4,000)20部、シリコーン系界面活性剤(BYK307、ノニオン性、ビックケミージャパン製)0.8部及び水120部を混合して調製した。
【0044】
(印刷前処理液3)
カチオン性ポリマーA(前記PAS−92、Mw=5,000)20部、フッ素系界面活性剤(上記F−144D)2部及び水125部を混合して調製した。
【0045】
(印刷前処理液4)
カチオン性ポリマーA(前記PAS−A−1、Mw=2,000)15部、フッ素系界面活性剤(上記F−144D)0.3部及び水85部を混合して調製した。
【0046】
(印刷前処理液5)
カチオン性ポリマーA(PAS−A−120L、Mw=100,000、日東紡績(株)製)15部、フッ素系界面活性剤(上記F−144D)0.3部及び水85部を混合して調製した。
【0047】
(印刷前処理液6)
カチオン性ポリマーB(前記KHE104L、Mw=20,000)15部、フッ素系界面活性剤(上記F−144D)0.3部及び水85部を混合して調製した。
【0048】
(印刷前処理液7)
カチオン性ポリマーA(前記PAS−A−5、Mw=4,000)20部及び水115部を混合して調製した。
【0049】
(印刷前処理液8)
SO2基を有しない第4級アンモニウム塩型カチオン性ポリマー〔PAS−J−81(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物)、Mw=200,000、日東紡績(株)製〕15部、フッ素系界面活性剤(上記F−144D)0.3部及び水85部を混合して調製した。
【0050】
(印刷前処理液9)
塩化マグネシウム六水和物(MgCl2・6H2O)20部及び水115部を混合して調製した。
【0051】
(インクジェット記録物の作製)
一般塗工印刷用紙(OKトップコートN〈135〉、坪量135g/m2、王子製紙製)の被記録面の片面の全面に、上記印刷前処理液を付着量が固形分換算で2g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗布した(前処理工程)。この前処理済の印刷用紙を、室温30℃、相対湿度90%の環境下で24時間放置した後、水性顔料インクを使用するインクジェットプリンタ(PM−4000PX、セイコーエプソン製)を用いて、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のOD=1のカラーパッチを印刷した(インクジェット記録工程)。このようにして上記印刷前処理液1〜9ごとにインクジェット記録物を必要枚数作製し、下記試験に使用した。
【0052】
〔試験例〕
上記インクジェット記録物について、発色性、ブリード、耐擦性、コロ跡防止性を下記の方法により評価した。また、下記の方法により、オフセット印刷適性も評価した。これらの結果を下記〔表1〕に示す。
【0053】
(発色性の評価方法)
上記記録物のKCMYの各カラーパッチについて、グレタグマクベス社製のスペクトロリーノSPM−50を用い、視野角2度、光源D50、フィルター無しの条件で反射光学濃度(OD値)を測定し、下記評価基準により評価した。
評価基準
A:KCMYの4色のOD値の合計が7.5を超える。発色性良好。
B:4色のOD値の合計が7.5〜6.0。実用上問題なし。
C:4色のOD値の合計が6.0未満(平均でOD値1.5未満)。実用不可。
【0054】
(ブリードの評価方法)
上記記録物のC及びYのカラーパッチが隣接する部分(画質低下が最も判別し易い領域)をそれぞれ目視により観察して、それらの色境界での不均一な色混じりの程度を下記評価基準により評価した。
評価基準
A:色混じりの無い、良好な画像が得られた。
B:色混じりが僅かに生じた。実用上問題なし。
C:色の境界がはっきりしないほど色混じりが起こった。実用不可。
【0055】
(耐擦性の評価方法)
上記記録物の印刷面上に、幅20mmの消しゴムを傾斜度60度で固定し、1kgの荷重をかけた状態で10往復擦った後の該印刷面の状態を目視で観察し、下記評価基準により評価した。
評価基準
A:印刷面にキズ、ハガレがない。耐擦性良好。
B:印刷面にキズが入るが、実用上問題なし。
C:印刷面にハガレが発生する。実用不可。
【0056】
(コロ跡防止性の評価方法)
上記記録物の印刷面を目視で観察し、コロ跡が付いていない場合をA(コロ跡防止性良好)、コロ跡が若干見られるが実用上問題ない場合をB、コロ跡が目立ち、実用に堪えない場合をCとした。
【0057】
(オフセット印刷適性の評価方法)
上記OKトップコートNの被記録面の片面の全面に、上記印刷前処理液を付着量が固形分換算で2g/m2となるようにワイヤーバーを用いて塗布した(前処理工程)。この前処理済の印刷用紙を、室温30℃、相対湿度90%の環境下で24時間放置した後、RI印刷適性試験機(石川島播磨産業機械製)を用いて、オフセット印刷を行い、発色性、表面強度を下記方法により評価した。
【0058】
〈オフセット発色性〉
上記RI印刷適性試験機を用いて、C,M,Yの3色のインク(TKハイエコーSOY、東洋インキ製)により、印刷胴8000m/h、インク盛り量0.5cc/1回の印刷条件で、上記の前処理済印刷用紙の被記録面に各色のベタ印刷を行った。そして各印刷部分について、グレタグマクベス社製のスペクトロリーノSPM−50を用い、視野角2度、光源D50、フィルター無しの条件で反射光学濃度(OD値)を測定し、下記評価基準により評価した。
評価基準
A:C色印刷部分1.7以上、且つM色印刷部分1.6以上、且つY色印刷部分1.5以上。いずれの色も画像濃度高く、オフセット発色性良好。
B:C色印刷部分1.4以上、且つM色印刷部分1.3以上、且つY色印刷部分1.2以上。実用限界。
C:C色印刷部分1.4未満、又はM色印刷部分1.3未満、又はY色印刷部分1.2未満。実用不可。
【0059】
〈オフセット表面強度〉
上記RI印刷適性試験機を用いて、Kインク(インクタック15、東洋インキ製)により、上記と同様の印刷条件で上記の前処理済印刷用紙の被記録面にベタ印刷を行い、印刷後の紙面の紙剥けの状況を目視で観察して、下記評価基準により評価した。
評価基準
A:紙剥けが無く、印刷胴に紙粉がほとんど付着していない。表面強度良好。
B:紙剥けは無いが、印刷胴の所々に紙粉が付着している。実用限界。
C:紙剥けが発生している。実用不可。
【0060】
【表1】
【0061】
【発明の効果】
本発明の印刷前処理液は、インクジェット記録適性の考慮されていない普通紙上に、発色性、耐擦性に優れ、ブリードがなく、高画質で長期保存が可能な顔料インク画像を形成させることができ、コロ跡の発生による画質低下のおそれもない。またこの印刷前処理液は、インク凝集効果の経時安定性に優れており、該前処理液付与とインク付与との時間差が一定以上となる場合でも、インク付与時には所定のインク凝集反応を起こすことができるので、適用可能な印刷形態の幅が広く、種々の用途に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェットプリンタの用紙搬送機構の説明図である。
【符号の説明】
10 記録ヘッド
11 コロ
12 排紙コロ
M 記録媒体
P 印刷面
Claims (6)
- 上記界面活性剤の含有量が、上記カチオン性ポリマーに対して0.1〜15重量%であることを特徴とする請求項1又は2記載の印刷前処理液。
- 顔料系色材を含有させたインクを用いる記録方式に使用されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の印刷前処理液。
- 請求項1〜3の何れかに記載の印刷前処理液を記録媒体の被記録面に付着させる前処理工程と、該前処理工程を経た該被記録面に対し、水性顔料インクを吐出させて画像を記録するインクジェット記録工程とを備えたことを特徴とする画像記録方法。
- 上記印刷前処理液の付着量が固形分換算で0.6g/m2以上であることを特徴とする請求項5記載の画像記録方法。
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JP2003035105A JP2004243624A (ja) | 2003-02-13 | 2003-02-13 | 印刷前処理液及びこれを用いた画像記録方法 |
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