JP2014124784A - 画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低吸収性の記録媒体への画像形成や、記録媒体を高速搬送して行う画像形成においても、高濃度で高画質の画像を得ることが可能な画像形成方法の提供。
【解決手段】コア/シェル構造を有する両性エマルジョン樹脂、カチオン度が5以上のカチオン性樹脂、有機溶媒、界面活性剤、及び水を含有する処理液を記録媒体上に付与する処理液付与工程と、着色剤、有機溶媒、界面活性剤、及び水を含有する記録用インクを、前記処理液を付与した記録媒体上に付与する記録用インク付与工程と、を含むことを特徴とする画像形成方法。
【選択図】なし

Description

本発明は処理液と記録用インクとを用いた画像形成方法に関する。
従来、水性記録用インクを用いて記録媒体に記録するに際して、画像の定着性を向上させるために、記録媒体の表面を特定の処理液で処理してから水性記録用インクで記録することが行なわれている。
例えば特許文献1には、少なくとも色材、アニオン性樹脂エマルジョン、水溶性有機溶媒、水から構成される水性インク組成物と、前記水性インク組成物と接触したときに凝集物を生じさせる反応剤及びカチオン性樹脂エマルジョンを含んでなる反応液とを組み合わせたインクセットを用いて記録媒体に印刷を行うことにより、記録媒体に色滲みやカラーブリードの無い画像を印刷することが記載されている。
特許文献2には、アニオン性の染料又は化合物と顔料とを含むインクジェット用インクと共に、カチオン性物質及びノニオン性高分子物質を含む液体組成物を用いて、アニオン性の染料又は化合物を凝集させる画像形成方法が記載されている。
上記の特許文献1、2に記載の方法によれば、インク中のアニオン性の樹脂又は染料、化合物と、処理液中のカチオン性の樹脂又は物質とが反応することによって高画質化を達成できる。しかしながら、特にコート紙のような低吸収性の記録媒体などを使用する場合や、ラインエンジンシステムのような高速搬送時では、インクの定着性やビーディングに対して不具合が生じてしまう。
従来のカチオン性樹脂を含有する処理液とカルボキシル基含有樹脂によって包含された着色剤を含むインク組成物との組合せにおいては、カチオン性樹脂とカルボキシル基含有樹脂により記録媒体上で着色剤の凝集が生じる。これにより高濃度/高画質の画像を得ることが可能であるが、その一方で凝集した着色剤を定着させる力が弱く、特にラインエンジンシステムのような高速搬送時においては、搬送コロなどへの転写汚れが多く発生してしまう。また、コート紙のような低吸収性の記録媒体などへの印字においては、隣接するドットの合一によるビーディングの不具合が発生してしまう。
本発明は、低吸収性の記録媒体への画像形成や、記録媒体を高速搬送して行う画像形成においても、高濃度で高画質の画像を得ることが可能な画像形成方法を提供することを目的とする。
上記の課題は、本発明の「コア/シェル構造を有する両性エマルジョン樹脂、カチオン度が5以上のカチオン性樹脂、有機溶媒、界面活性剤、及び水を含有する処理液を記録媒体上に付与する処理液付与工程と、着色剤、有機溶媒、界面活性剤、及び水を含有する記録用インクを、前記処理液を付与した記録媒体上に付与する記録用インク付与工程と、を含むことを特徴とする画像形成方法。」により解決することができる。
本発明の画像形成方法により、低吸収性の記録媒体への画像形成や、記録媒体を高速搬送して行う画像形成においても、高濃度で高画質の画像を得ることが可能となる。
本発明に係る液体吐出装置の一例を表す模式図(側面説明図)である。 図1における制御部の概略ブロック説明図である。 本発明に係る液体吐出装置のヘッドユニットにおけるヘッド配列の一例を示した模式図である。 図3のヘッドユニットに配列しているヘッドを示す模式図である。 本発明に係る液体吐出装置に用いられるインクカートリッジの一例を示す図である。 図5のインクカートリッジのケース(外装)を含めた図である。 本発明に係る液体吐出装置における吐出ヘッドからの吐出方式の一例を示す模式図である。 3本ロールによる塗布方式の一例を示す模式図である。 2本ロールによる塗布方式の一例を示す模式図である。
本発明に係る画像形成方法は、処理液を記録媒体上に付与する処理液付与工程と、記録用インクを記録媒体上に付与する記録用インク付与工程とを含むことを特徴とする。前記処理液は、コア/シェル構造を有する両性エマルジョン樹脂、カチオン度が5以上のカチオン性樹脂、有機溶媒、界面活性剤、及び水を含有するものである。また、前記記録用インクは、着色剤、有機溶媒、界面活性剤、及び水を含有するものである。
本発明においては、コア/シェル構造を有する両性エマルジョン樹脂、カチオン度が5以上のカチオン性樹脂が処理液に含まれていることによって記録媒体表面に着色剤を留めることが可能となる。これにより、定着性の向上とビーディング性の向上、更には高画質化を両立することが可能となる。また、後述するように、処理液中に更にポリアクリルアミド、及び共重合体のアルカリ塩を含有することで、更なる定着性などの向上が可能となる。
−処理液−
まず、処理液を構成する各成分について説明する。
(有機溶媒)
処理液には溶媒として水もしくは有機溶媒を添加することができる。
有機溶媒としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
前記多価アルコール類としては、例えば、グリセリン、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペトリオール等が挙げられる。
前記多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
前記多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等が挙げられる。
前記アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。
前記含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等が挙げられる。
これらの有機溶媒の中でも、グリセリン、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオールが特に好ましい。これらは溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果を奏する。また、保存安定性及び吐出安定性に優れた処理液を作成することができる。
(界面活性剤)
処理液中に添加している界面活性剤は、処理液の表面張力を下げるために添加している。本発明に用いられる処理液に求められる特性の1つとして各種記録媒体に対して適度に濡れやすく、かつムラ無く吐出できることが挙げられる。適度に濡れやすくすることによって、各種記録媒体への浸透速度を早めることができ、定着性やブリードなどの不具合を改善することが可能となる。
特に処理液の各種記録媒体への浸透性というものは非常に重要である。仮に浸透性が低い場合には記録媒体表面付近に処理液が多く留まってしまう。そして、着色剤を含む水性記録用インクと記録媒体上で接触した際に処理液中の有機酸などによって水性記録用インク中の着色剤を包含しているカルボキシル基含有樹脂が過剰に凝集作用を起こすことで、ドット径の減少によるベタ画像の埋まり不足が発生してしまう。また、記録媒体表面に着色剤成分が過剰に留まることによって、定着性などの不具合も発生してしまう。
上記理由により、濡れ性を向上させるためには界面活性剤を添加して表面張力を下げることが一般的である。具体的にはポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又は以下の構造式(I)で表される構造を有するフッ素系界面活性剤を用いることが特に好ましい。
Figure 2014124784
なお、上記構造のフッ素系界面活性剤はPFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)及びPFOA(パーフルオロオクタン酸)を含有しておらず、地球環境汚染の観点から見ても優れるものとなっている。
本発明における界面活性剤の添加量は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルであれば0.5質量%〜3質量%が好ましく、1質量%〜2質量%がより好ましい。上記構造のフッ素系界面活性剤であれば0.01質量%〜4質量%が好ましく、0.1質量%〜1質量%がより好ましい。
(抑泡剤)
上記構造のフッ素系界面活性剤の界面活性能は非常に高く、一般的に使用されているシリコーン系抑泡剤を添加したとしても、一度気泡が発生してしまうと気泡が消えずに残留してしまうことがある。これにより、吐出ヘッド等によって吐出する際には吐出不良や塗布ムラなどが発生する可能性がある。従って本発明においては、気泡の発生を抑えるために、N−オクチル−2−ピロリドン、2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール、及び2,5,8,11−テトラメチルドデカン−5,8−ジオールからなる群より選択されるいずれか1種以上を処理液中に添加していることが好ましい。上記いずれか1種以上の抑泡剤と界面活性剤を併用することで、気泡の発生をより良好に抑えることができる。
本発明に用いられる処理液の表面張力は界面活性剤と抑泡剤の割合で決まるが、記録媒体の種類によって処理液の表面張力を下げる必要がある場合には界面活性剤の比率を多くする必要がある。ただし、当然のことながら界面活性剤の比率を増やすと泡立ちの問題があることから、界面活性剤の比率は、界面活性剤と抑泡剤の合計量に対して40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
(コア/シェル構造を有する両性エマルジョン樹脂)
本発明で使用するコア/シェル構造を有する両性エマルジョン樹脂は、コア/シェル構造を有する二重構造のエマルジョン樹脂であり、コア部がカチオン性、シェル部がアニオン性のものであることが好ましい。コア/シェル構造内にカチオンとアニオンの両方の官能基を併せ持つため、記録用インク中のカルボキシル基含有樹脂と反応することにより高濃度化が実現できる。また、カチオン成分を持ちながらアニオン性エマルジョン、アニオン系添加剤とブレンドすることも可能である。
コア/シェル構造を有する両性エマルジョン樹脂は最低造膜温度が5℃と低いため、短時間の成膜性に優れることから定着性及び高光沢性にも優れる。また、一般的なカチオン性樹脂で使用されているカウンターイオンは塩素であることが多く、この塩素が装置を腐食させる原因となる。これに対し、本発明で使用する両性エマルジョンは、同一構造内のアニオンとカチオンが粒子内で結合しているためこのような不具合は発生しない。
本発明に用いる処理液中のコア/シェル構造を有する両性エマルジョン樹脂の含有量は1質量%〜20質量%が好ましく、特に10質量%〜20質量%がより好ましい。
前記コア/シェル構造を有する両性エマルジョン樹脂としては適宜合成したものを使用しても、市販品を使用してもよい。コアがカチオン性でシェルがアニオン性である両性エマルジョン樹脂の市販品としては、例えば大成ファインケミカル社製のAKWシリーズ、KERシリーズなどが挙げられる。
上記の市販品は樹脂が溶媒中に分散されたエマルジョンの状態であり、この場合、本発明における「エマルジョン樹脂」とはエマルジョン中に存在する樹脂を意味する。
(カチオン性樹脂)
前記処理液中のカチオン性樹脂は主に記録用インクを記録媒体表面に電荷的な作用によって定着させることを目的に使用している。本発明で使用するカチオン性樹脂は、下記構造単位(A)及び/又は(B)を有するものが好ましい。
なお、下記構造単位(A)、(B)はカチオン性樹脂の骨格中に1箇所以上含まれていればよいが、これらの構造単位が繰り返して多数結合した骨格の樹脂であることがより好ましい。下記構造単位(A)及び/又は(B)は、カチオン性樹脂の骨格中に、繰り返し5個以上含まれていることが好ましく、10箇所以上含まれていることがより好ましい。
Figure 2014124784

式中、Xはアニオン性の対イオンを表し、Rは水素原子またはアルキル基を表す。
Figure 2014124784
式中、Xはアニオン性の対イオンを表す。
上記構造単位(A)及び(B)におけるアニオン性の対イオンとしては、例えばCl-、NO3 -、SO4 -、PO4 -などが挙げられる。
上記構造単位(A)のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。
本発明で使用しているカチオン性樹脂は適宜合成したものを使用しても、市販品を使用してもよい。該市販品としては、例えば星光PMC社製のDK6810、四日市合成社製のカチオマスターPDT−2、カチオマスターPD−30などが挙げられる。
本発明で用いるカチオン性樹脂の含有量は、処理液中で1質量%〜50質量%であることが好ましく、5質量%〜35質量%が特に好ましい。カチオン性樹脂の含有量が1質量%以上であることにより、記録媒体表面での着色剤凝集効果を発揮することができ、ビーディングを発生させないようにすることができる。また、カチオン性樹脂の含有量が50質量%以下であることにより、着色剤の凝集効果が高くなり過ぎてベタ部の埋まりの低下などの問題が発生しないようにすることができる。
また、本発明で用いるカチオン性樹脂のカチオン度は、5以上であることを特徴とする。カチオン度が低すぎると、記録媒体表面での着色剤凝集効果が低くなることによるビーディングの問題が発生してしまう。
前記カチオン度とは、ポリビニル硫酸カリウム試薬を用いたコロイド滴定により求められる。詳しくは、以下の手順にて求めることができる。
即ち、コニカルビーカーに脱イオン水90mlをとり、試料(乾品換算)の500ppm水溶液を10ml加えて塩酸水溶液でpH4.0とし、約1分間攪拌する。次にトルイジンブルー指示薬を2〜3滴加え、N/400ポリビニル硫酸カリウム試薬(N/400PVSK)で滴定する。滴定速度は2ml/分とし、検水が青から赤紫色に変色して10秒間以上保持する時点を終点とする。
これによりカチオン度は、
カチオン度(meq/g)
=(N/400PVSK滴定量)×(N/400PVSKの力価)/2
として求めることができる。
カチオン度が高いものほど、カチオン性が強く、記録液中のアニオン性成分と効率よく反応することができ、結果として処理液の必要量を低減でき、被記録材のカールやコックリングを起こさずに、高画質の画像を得ることが可能になる。
(ポリアクリルアミド)
本発明では処理液中に更にポリアクリルアミドを添加して使用することができる。
ポリアクリルアミドは主に記録用インクを記録媒体表面に物理的な作用によって定着させることを目的に使用される。ポリアクリルアミドには、ノニオン性のものの他にカチオン性、両性などの種類があり、本発明ではこれら少なくともいずれか1種以上を使用することが好ましい。しかしながら処理液中の水による加水分解の影響で、電荷を持つカチオン性ポリアクリルアミド又は両性ポリアクリルアミドはノニオン性ポリアクリルアミドと比較して保存性が劣る場合もあることからノニオン性ポリアクリルアミドを使用することが特に好ましい。
前記ポリアクリルアミドは適宜合成したものを使用しても、市販品を使用してもよい。市販品として、ノニオン性ポリアクリルアミドの一例としては、ハリマ化成社製のハリコート1057、星光PMC社製のDR6912などが挙げられる。カチオン性ポリアクリルアミドの一例としては、MTアクアポリマー社製のアロンフロックE3130、E3360、E3380、E3500、E3589、E5561、E1600、荒川化学工業社製のポリストロン705などが挙げられる。両性ポリアクリルアミドの一例としては、ハリマ化成工業社製のハーマイドEX−100シリーズ、EX−200シリーズ、EX−300シリーズ、荒川化学工業社製のポリストロン372、1222、1228、1264、1280などが挙げられる。
前記ノニオン性ポリアクリルアミドの重量平均分子量は数十万〜数千万程度のものが好ましいが、中でも特に50万〜500万程度のものがより好ましい。ノニオン性ポリアクリルアミドの重量平均分子量が上記範囲であることにより、処理液の粘度や、記録媒体表面での物理的作用を良好なものとすることができ、充分な効果を得ることができる。
また、前記ポリアクリルアミドの含有量は、処理液中で0.01質量%〜10質量%であることが好ましく、0.1質量%〜3質量%が特に好ましい。ポリアクリルアミドの含有量が処理液中で0.01質量%以上であることにより、記録媒体表面での物理的作用が良好になり、ポリアクリルアミドを添加することによる効果が充分に発揮される。また、ポリアクリルアミドの含有量が10質量%以下であることにより、処理液の粘度が高くなり過ぎることを防止できる。
(共重合体のアルカリ塩)
本発明に用いる処理液には、共重合体のアルカリ塩が含まれていることが好ましい。該共重合体のアルカリ塩は、少なくとも炭素数12〜18のオレフィンとマレイン酸を反応して得られる共重合体のアルカリ塩であることが好ましい。また、共重合体のアルカリ塩の重量平均分子量は1000〜100000であることが好ましい。
前記炭素数12〜18のオレフィンとしては、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキセデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセンなどが挙げられる。前記マレイン酸としては、マレイン酸及びその塩、無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル及びその塩が挙げられる。
前記共重合体をアルカリ塩にする方法としては、共重合体に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどのアルカリ水溶液を作用させて共重合体のアルカリ塩を得る方法が挙げられる。
前記共重合体のアルカリ塩は、処理液中のノニオン性ポリアクリルアミドの含有量に対して10質量%未満であることが好ましい。
(水)
本発明で使用する処理液に添加する水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水などの純水または超純水などが挙げられる。
前記水の含有量としては、処理液中で60質量%以下が好ましく、30質量%〜50質量%が特に好ましい。前記処理液中での水野含有量が60質量%以下であることにより、水が蒸発した際の処理液の粘度上昇、ゲル化、不溶物の析出などの発生を抑制することができる。
(その他の成分)
本発明で用いる処理液に添加できるその他の成分としては特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができる。例えば、pH調整剤、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定剤などが挙げられる。
処理液のpHが酸性を示す場合、このまま使用すると金属部材の腐食などが進み、長期間使用していると種々不具合が発生してしまう。従って、状況に応じてpH調整剤を含有しても良い。
前記pH調整剤としては、例えば2−アミノ−2メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2エチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。pH調整剤の含有量は、処理液のpHが4〜8になるように適宜調整することが好ましい。
前記抗菌剤としては、例えばデヒドロ硫酸ナトリウム、ソルビタン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウムなどが挙げられる。
前記キレート試薬としては、例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記防錆剤としては、例えば酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えばフェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが挙げられる。
前記処理液の物性としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば粘度、表面張力、pHなどが以下の範囲であることが好ましい。
前記処理液の25℃の粘度は、0.5mPa・s〜30mPa・sが好ましい。ここで前記粘度は、例えば粘度計(RE−550L:東機産業株式会社製)を使用して、25℃で測定することができる。
前記処理液の表面張力は、25℃で45mN/m以下が好ましく、40mN/m以下がより好ましい。
前記処理液のpHとしては、例えば4〜12が好ましい。
−記録用インク−
本発明に用いる前記記録用インクは、着色剤、有機溶媒、界面活性剤、及び水を含有することを特徴とする。また、更に必要に応じてカルボキシル基含有樹脂、抑泡剤等のその他の成分を含有している記録用インクも好ましく用いることができる。
(着色剤)
前記着色剤は、記録用インクを着色し、画像濃度を向上させるために用いるものであり、特に制限はなく、公知の顔料や染料の中から目的に応じて適宜選択して用いることができるが、顔料が好ましい。
前記顔料としては、無機顔料、有機顔料のいずれであってもよく、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、色調調整の目的で同時に染料を含有しても構わないが、耐候性を劣化させない範囲内で使用することが好ましい。
前記無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましい。なお、前記カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
前記有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、などが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。
前記アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、などが挙げられる。前記多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料などが挙げられる。前記染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート、などが挙げられる。
前記着色剤の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用のもの、カラー用のものなどが挙げられる。着色剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色用のものとしては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料、などが挙げられる。
前記カラー用のものとしては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、150、151、153、183、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36などが挙げられる。
前記着色剤としては、ポリマー微粒子に顔料を含有させたポリマーエマルジョンを使用することが好ましい。
前記ポリマー微粒子に顔料を含有させたポリマーエマルジョンとは、前記ポリマー微粒子中に顔料を封入したもの、又は前記ポリマー微粒子の表面に顔料を吸着させたものである。この場合、全ての顔料が封入又は吸着している必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲で該顔料がエマルジョン中に分散していてもよい。
前記ポリマーエマルジョンを形成するポリマー(前記ポリマー微粒子におけるポリマー)としては、例えば、ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、などが挙げられる。これらの中でも、ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマーが好ましく、特開2000−53897号公報、特開2001−139849号公報に開示されているポリマーを用いることができる。
また、着色剤として、無機粒子を有機顔料又はカーボンブラックで被覆した着色剤粒子を用いてもよい。
前記無機粒子をカーボンブラックで被覆する方法としては、凝固、析出などによる液中乾燥法、混合しながら機械的な力を加える乾燥混合法などが挙げられる。また、前記無機粒子を有機顔料で被覆する方法としては、前記無機粒子の存在下で前記有機顔料を析出する方法、前記無機粒子と前記有機顔料を機械的に混合摩砕する方法などがある。この場合例えば、熱安定性に優れた有機顔料で被覆する場合には化学的蒸着技術を用いることができる。更に必要に応じて、ポリシロキサン、アルキルシランから生成されるオルガノシラン化合物層を前記無機粒子と前記有機顔料との間に設ければ、両者の接着性を向上させることができる。
前記無機粒子としては、例えば、二酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化鉄、水酸化鉄、酸化スズ、などが挙げられる。前記無機粒子の形状は、アスペクト比が小さいものが好ましく、球状が特に好ましい。また、前記無機粒子の表面にカラー着色剤を吸着させる場合には、前記無機粒子は無色透明又は白色であることが好ましいが、黒色着色剤を吸着させる場合には、黒色の無機粒子を用いても構わない。
前記無機粒子の一次粒径は、100nm以下が好ましく、5nm〜50nmがより好ましい。
前記無機粒子を被覆する有機顔料としては、ブラック顔料として、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、などが挙げられる。カラー顔料としては、例えば、アントラキノン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジアゾ、モノアゾ、ピラントロン、ペリレン、複素環式イエロー、キナクリドン及び(チオ)インジゴイドなどが挙げられる。
これらの中でも、発色性の面から、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、モノアゾイエロー系顔料、ジアゾイエロー系顔料、複素環式イエロー顔料が特に好ましい。
前記フタロシアニン系顔料としては、例えば、銅フタロシアニンブルー又はその誘導体(C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4)、アルミニウムフタロシアニンなどが挙げられる。
前記キナクリドン系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ48、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット42などが挙げられる。
前記モノアゾイエロー系顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー151などが挙げられる。
前記ジアゾイエロー系顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17などが挙げられる。
前記複素環式イエロー顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー138などが挙げられる。
前記無機粒子と前記着色剤である有機顔料又はカーボンブラックの質量比(無機粒子:着色剤)は、3:1〜1:3が好ましく、3:2〜1:2がより好ましい。前記着色剤の割合が小さすぎると、発色性や着色力が低下することがあり、前記着色剤の割合が大きくなりすぎると、透明性及び色調を悪くすることがある。
前記無機粒子を有機顔料又はカーボンブラックで被覆した着色剤粒子としては、市販品を用いることができる。該市販品としては、例えば、戸田工業株式会社製のシリカ/カーボンブラック複合材料、シリカ/フタロシアニンC.I.ピグメントブルー15:3複合材料、シリカ/ジアゾイエロー複合材料、シリカ/キナクリドンC.I.ピグメントレッド122複合材料などが挙げられる。
例えば、一次粒径が20nmの無機粒子を等量の有機顔料で被覆した場合、その一次粒径は25nm程度になる。そこで適当な分散剤を用いて一次粒子の状態のままで分散できれば、分散粒子径が25nmの非常に微細な顔料分散インクを作製することができる。
前記着色剤粒子の一次粒径は、前記記録用インク中において5nm〜100nmが好ましく、30nm〜80nmがより好ましい。前記一次粒径が5nm以上であることにより、増粘したり、着色剤粒子が凝集したりせずに、長期保存が可能な記録用インクとなる。また、前記一次粒径が100nm以下であることにより、記録用インクを紙、フィルム等の記録媒体上に印刷した場合に、印刷部の彩度及び明度が良好な印刷物を得ることができる。なお、前記着色剤粒子の一次粒径とは、機械的せん断ではこれ以上細かく粉砕できない着色剤粒子の最小単位を意味する。
前記着色剤の前記記録用インクにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜20質量%が好ましく、2質量%〜15質量%がより好ましい。
(有機溶媒)
前記記録用インクは水を溶媒として使用するが、前記記録用インクの乾燥を防止するため、分散安定性を向上させるため等の目的で有機溶媒を使用する。
前記有機溶媒としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレンなどが挙げられる。有機溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多価アルコール類としては、例えば、グリセリン、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ペトリオールなどが挙げられる。
前記多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
前記多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
前記含窒素複素環化合物類としては、例えば2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−プチロラクトンなどが挙げられる。
前記アミド類としては、例えばアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジエチルアセトアミドなどが挙げられる。
前記アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
前記含硫黄化合物類としては、例えばジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノールなどが挙げられる。
上記に例示した有機溶媒の中でも、グリセリン、1,3−ブタンジオールが特に好ましい。これらは溶解性と水分蒸発による噴射特性不良の防止に対して優れた効果を奏する。また、保存安定性及び吐出安定性に優れた記録用インクを作製することができる。
前記記録用インクは、前記有機溶媒以外に必要に応じて糖類又はその誘導体などを併用することもできる。
前記糖類は、主に耐乾燥性向上のために使用され、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類、四糖類も含む)、多糖類又はこれらの誘導体などが挙げられる。具体的には、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キロース、トレハロース、マントトリオース、などが挙げられる。ここで、前記多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロース等の自然界に広く存在する物質を含むものとする。
前記糖類の誘導体としては、前記糖類の還元糖、酸化糖類などが挙げられる。これらの中でも、糖アルコールが好ましく、前記糖アルコールとしては、例えばマルチトール、ソルビット、などが挙げられる。
前記有機溶媒の含有量は、前記記録用インクに対して、1質量%〜40質量%が好ましく、5質量%〜30質量%がより好ましい。
(界面活性剤)
本発明に用いる記録用インクに含有される前記界面活性剤は特に限定されるものではないが、フッ素系界面活性剤であることが好ましい。
前記フッ素系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばパーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えばパーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えばパーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えばパーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、例えばパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、例えばLi、Na、K、NH4、NH3CH2CH2OH、NH2(CH2CH2OH)2、NH(CH2CH2OH)3などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、特に制限はなく、適宜合成したものを使用しても、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えば旭硝子株式会社製のサーフロンシリーズ(S−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145)、住友スリーエム株式会社製のフルラードシリーズ(FC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431)、DIC株式会社製のメガファックシリーズ(F−470、F−1405、F−474)、Dupont社製のZonyl TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR、ネオス社製のFT−110、FT−250、FT−252、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のPF−151Nなどが挙げられる。
これらの中でも、下記一般式で表されるフッ素系界面活性剤が好ましい。
Figure 2014124784
ただし、前記一般式中、nは2〜6の整数を示し、aは15〜50の整数を示す。Yは−Cb2b+1(ただし、bは、11〜19の整数を示す)、又はCH2CH(OH)CH2−CmF2m+1(ただし、mは、2〜6の整数を示す)を表す。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば以下の構造式で表される化合物などが挙げられる。
Figure 2014124784
これらの中でも、下記構造式(I)で表されるフッ素系界面活性剤が特に好ましい。
Figure 2014124784
前記構造式で表されるフッ素系界面活性剤は、PFS(パーフルオロオクタンスルホン酸)及びPFOA(パーフルオロオクタン酸)を含有しておらず、地球環境汚染の観点から見ても優れるものとなっている。
前記フッ素系界面活性剤の前記記録用インク中における含有量は、0.01質量%〜4質量%が好ましく、0.1質量%〜1質量%がより好ましい。前記フッ素系界面活性剤の含有量が0.01質量%以上であることにより、フッ素系界面活性剤を添加した効果を充分に得ることができる。また、前記フッ素系界面活性剤の含有量が4質量%以下であることにより、記録媒体への浸透性が高くなり過ぎることがなく、画像濃度の低下、裏抜けを発生させずに良質な画像を形成することができる。
前記記録用インクには、前記フッ素系界面活性剤以外にも、他の界面活性剤を含有することができる。前記他の界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。これらの中でも、高pHでも分解しないものが好ましい。例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。また、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
前記シリコーン系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用しても、市販品を使用してもよい。前記市販品としては、例えばビックケミー社、信越シリコーン株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社等のものを容易に入手できる。
前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えばポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物、などが挙げられる。
前記ポリエーテル変性シリコーン化合物としては、適宜合成したものを使用しても、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば信越化学工業株式会社製のKF−618、KF−642、KF−643などが挙げられる。
前記アニオン系界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、コハク酸エステルスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えばアセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
前記アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどが挙げられる。前記アセチレングリコール系界面活性剤の市販品としては、例えばエアープロダクツ社製のサーフィノールシリーズ(104、82、465、485、TG)などが挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノピロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、ジヒドロエチルラウリルアミンオキシド、ポリオキシエチレンヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ジメチルアルキル(ヤシ)ベタイン、ジメチルラウリルベタイン等が挙げられる。
前記両性界面活性剤の市販品としては、例えば日光ケミカルズ株式会社、日本エマルジョン株式会社、株式会社日本触媒、東邦化学株式会社、花王株式会社、アデカ株式会社、ライオン株式会社、青木油脂株式会社、三洋化成株式会社等のものを容易に入手できる。
前記種々の界面活性剤は、単独で用いても複数のものを混合して用いてもよい。単独では記録用インク中に容易に溶解しない場合でも、複数のものを混合することにより可溶化され、安定に存在することができる場合もある。
(抑泡剤)
前記フッ素系界面活性剤の界面活性能は非常に高く、一般的に使用されているシリコーン系抑泡剤を添加したとしても、発生した気泡が消えずに残留してしまう。これにより、インクを吐出する際には吐出不良などが発生する可能性がある。従って、前記記録用インク中に気泡の発生を抑えるためには、N−オクチル−2−ピロリドン、2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール、及び2,5,8,11−テトラメチルドデカン−5,8−ジオールからなる群より選択されるいずれか1種以上を添加していることが好ましい。前記抑泡剤と前記フッ素系界面活性剤を併用することで、気泡の発生を抑えることができ、気泡による不具合を解消することが可能となる。
前記記録用インクの表面張力は、前記フッ素系界面活性剤と前記抑泡剤の割合で決まるが、記録媒体の種類によって記録用インクの表面張力を下げる必要がある場合には前記フッ素系界面活性剤の比率を多くする必要がある。ただし、前記フッ素系界面活性剤の比率を増やすと泡立ちの問題が生じることから、前記フッ素系界面活性剤の含有量は、前記フッ素系界面活性剤と前記抑泡剤との合計含有量に対して40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
(カルボキシル基含有樹脂)
前記記録用インクは更にカルボキシル基含有樹脂を含有することが好ましい。これにより、前記処理液中の前記コア/シェル構造を有する両性エマルジョン樹脂及びカチオン度が5以上のカチオン性樹脂と前記記録用インク中の前記カルボキシル基含有樹脂とが反応し、記録媒体上での着色剤としての顔料の凝集が起こる。このため、高画質化を図ることができる。また、前記記録用インク中にカルボキシル基含有樹脂を含むことにより、耐擦過性向上等の効果が期待できる。
前記カルボキシル基含有樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばマレイン酸樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、アルキド樹脂、変性アルキド樹脂などが挙げられる。これらのカルボキシル基含有樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記カルボキシル基含有樹脂としては、市販品を用いることができ、該市販品としては、例えば荒川化学株式会社製のマルキードシリーズ、ハリマ化成株式会社製のハリマックシリーズ、ハリフタールシリーズなどが挙げられる。
前記カルボキシル基含有樹脂の添加形態は、前記着色剤である顔料をカルボキシル基含有樹脂で包含(マイクロカプセル化)した形態で添加してもよいし、前記着色剤を前記カルボキシル基含有樹脂で分散した形態でもよい。
前記カルボキシル基含有樹脂の前記記録用インク中における含有量は、0.5質量%〜10質量%が好ましく、1質量%〜5質量%がより好ましい。
(水)
前記記録用インクに添加する水としては、例えばイオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水などが挙げられる。
前記水の前記記録用インクにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記記録用インク100質量部に対して、60質量部以下が好ましく、30質量部〜50質量部がより好ましい。前記水の含有量が60質量部以下であることにより、前記記録用インクの記録媒体への付与時や、記録用インク付与手段の放置期間中に水分が蒸発して記録用インクの粘度が上昇したり、ゲル化を生じたり、不要物が析出したりすることを抑制することができる。
(その他の成分)
前記記録用インクには、前記の各成分の他に、更に必要に応じて、浸透剤、ポリマー粒子、pH調整剤、防腐防錆剤、防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤などを添加することができる。
前記浸透剤としては、炭素数8〜11のポリオール化合物又はグリコールエーテル化合物が好ましく用いられる。これらは、記録媒体への浸透速度を速めると共にブリードを防止する効果を有し、25℃の水中において、0.1質量%〜4.5質量%の溶解度を有する部分的に水溶性の化合物である。
前記炭素数8〜11のポリオール化合物としては、例えば2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオールなどが挙げられる。
前記グリコールエーテル化合物としては、例えば多価アルコールアルキルエーテル化合物、多価アルコールアリールエーテル化合物などが挙げられる。
前記多価アルコールアルキルエーテル化合物としては、例えばエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。
前記多価アルコールアリールエーテル化合物としては、例えばエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
前記浸透剤は、水よりも高沸点であって25℃で液体である成分であり、前記記録用インク中の含有量は、0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.5質量%〜5質量%がより好ましい。
前記ポリマー粒子としては造膜性を有するものを用いることが好ましい。ここで、造膜性とは、前記ポリマー粒子を水に分散させてエマルジョンの形態とした時、この水性エマルジョンの水分を蒸発させていくと、樹脂皮膜が形成される性質を意味する。
前記ポリマー粒子が含まれていると、前記記録用インク中の揮発成分が蒸発した際に前記ポリマー粒子が皮膜を形成し、前記記録用インク中の着色剤を強固に記録媒体に固着する役割を課す。これにより、耐擦過性、及び耐水性に優れた画像を実現することができる。
前記ポリマー粒子は、室温で皮膜を形成するため、最低造膜温度が30℃以下のものが好ましく、10℃以下のものがより好ましい。ここで、最低造膜温度とは、前記ポリマー粒子を水に分散させて得られたポリマーエマルジョンを、アルミニウム等の金属板の上に薄く流延し、温度を上げていった時に、透明な連続したフィルムが形成される最低の温度のことを意味する。
前記ポリマー粒子としては、例えばミヨシ油脂株式会社製のランディPLシリーズなどが挙げられる。
前記ポリマー粒子の体積平均粒子径は、5nm〜200nmが好ましく、10nm〜100nmがより好ましい。
前記ポリマー粒子としては、単粒子構造のものを使用することができる。例えば、エマルジョン粒子内にアルコキシシリル基を有すると、塗膜形成過程での水分蒸発によるエマルジョン同士の融着に伴って残存する水分と接触し、加水分解してシラノール基を形成する。また、シラノール基が残存するとアルコキシシリル基又はシラノール同士が反応してシロキサン結合による強固な架橋構造を形成することができる。このようにポリマー微粒子内に反応性の官能基を共存させると、硬化剤を添加しなくても、造膜時にそれらの官能基を反応させて網目構造を形成することができる。
また、コア部とそれを囲むシェル部からなるコアシェル構造を有するポリマー粒子を使用することも可能である。ここでいうコアシェル構造とは、組成の異なる2種以上のポリマーが粒子中に相分離して存在する形態を意味する。従って、シェル部がコア部に完全に被覆している形態のみならず、シェル部がコア部の一部を被覆しているものであってもよい。また、シェル部のポリマーの一部がコア粒子内にドメイン等を形成しているものであってもよい。更にコア部とシェル部の間に、更に一層以上の組成の異なる層を含む3層以上の多層構造を持つものであってもよい。
前記ポリマー粒子は、不飽和ビニル単量体(不飽和ビニルポリマー)を重合触媒及び乳化剤を存在させた水中において乳化重合する等の公知の方法により得ることができる。
前記ポリマー粒子の前記記録用インクにおける含有量は、0.5質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜5質量%がより好ましい。前記ポリマー粒子の含有量が0.5質量%以上であることにより、耐擦過性、耐水性向上の機能が充分に発揮される。また、前記ポリマー粒子の含有量が20質量%以下であることにより、乾燥による粘度上昇やポリマー粒子の固着を抑制することができ、吐出不良などの不具合を生じないようにすることができる。
前記無機粒子を有機顔料又はカーボンブラックで被覆した着色剤粒子(複合顔料粒子)は、アニオン性分散剤と共に水に混練分散する際に酸性を示す傾向が強い。水等の媒体に分散している複合顔料の表面は、アニオン性分散剤に包まれているため、負電荷を帯びているが、記録用インク全体が酸性を示すことから、内部は正電荷を帯びており、粒子表面の負電荷が中和され易い状態にある。この状態では分散粒子は凝集し吐出不良を起こす原因となるため、前記pH調整剤を加えてアルカリ性に保つことにより分散状態を安定化させ、吐出を安定化させることが好ましい。
前記記録用インクのpHは9〜11であることが好ましい。前記記録用インクのpHを11以下とすることで、インク供給ユニットなどの材料を溶かし出すことを抑制し、記録用インクの変質や漏洩、吐出不良等の問題を発生させないようにすることができる。
前記pH調整剤は、顔料を分散剤と共に水に混練分散する際に加えるよりも、混練分散液に湿潤剤、浸透剤等の添加剤と共に加える方が好ましい。これは、前記pH調整剤によっては添加により分散を破壊する場合もあるためである。
前記pH調整剤としては、例えばアルコールアミン類、アルカリ金属水酸化物、アンモニウム水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属炭酸塩などが挙げられる。
前記アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールなどが挙げられる。
前記アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
前記アンモニウムの水酸化物としては、例えば水酸化アンモニウム、第四級アンモニウム水酸化物、第四級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。
前記アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。
前記防腐防黴剤としては、例えばデヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウムなどが挙げられる。
前記キレート試薬としては、例えばエチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記防錆剤としては、例えば酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライトなどが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えばフェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などが挙げられる。
前記記録用インクは、有機溶媒、着色剤、界面活性剤、及び水、好ましくはカルボキシ基含有樹脂、及びその他の成分を水中に分散又は溶解し、更に必要に応じて攪拌混合して製造する。前記分散は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等により行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
前記記録用インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
前記記録用インクの25℃での粘度は、5mPa・s〜25mPa・sが好ましい。前記インク粘度を5mPa・s以上とすることによって、印字濃度や文字品位を向上させる効果が得られる。一方、前記インク粘度を25mPa・s以下に抑えることで吐出性を確保することができる。
ここで前記粘度は、例えば粘度計(RE−550L:東機産業株式会社製)を使用して、25℃で測定することができる。
前記記録用インクの表面張力としては、25℃で、35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。前記表面張力が、35mN/mを超えると、記録媒体上の前記記録用インクのレベリングが起こりにくく、乾燥時間の長時間化を招くことがある。
前記記録用インクのpHとしては、例えば、7〜12が好ましく、前記記録用インクが接液する金属部材の腐食防止の観点から8〜11がより好ましい。
前記記録用インクの着色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、などが挙げられる。これらの着色を2種以上併用したインクセットを使用して記録を行うと、多色画像を形成することができ、全色併用したインクセットを使用して記録を行うと、フルカラー画像を形成することができる。
−記録媒体−
記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、汎用印刷用紙、などが好適に使用可能である。
なお、水性記録用インクは、記録媒体上に印字された場合、主成分の水が記録媒体内部への浸透、及び大気中への蒸発などによって、結果として着色剤固形分が記録媒体表面に留まる。一般に、インク非吸収性または低吸収性の記録媒体を使用する場合には、記録媒体内部への水の浸透が十分に起こらず、結果として記録媒体表面に着色剤成分を含む水が残り、耐擦過性が劣ることになる。しかしながら、本発明において用いる処理液は前記のインク非吸収性または低吸収性の記録媒体に対しても好適に使用することが可能であり、耐擦過性に優れた良好な画像を提供することができる。
本発明に係る画像形成方法は、前記処理液を記録媒体上に付与する処理液付与工程と、前記記録用インクを記録媒体上に付与する記録用インク付与工程とを含むことを特徴とする。
以下、各工程について説明する。
−処理液付与工程−
処理液付与工程において前記処理液を前記記録媒体へ付与する方法としては、例えば液体吐出方式及び塗布方式のいずれかが好ましい。
前記液体吐出方式としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。液体を吐出する吐出ヘッドの駆動方式としては、PZT等を用いた圧電素子アクチュエータ、熱エネルギーを作用させる方式、静電気力を利用したアクチュエータなどを利用したオンディマンド型の吐出ヘッドを用いることができる。また、更には連続噴射型の荷電制御タイプの吐出ヘッドを用いることもできる。
前記塗布方法としては、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、ワイヤーバー塗布法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本乃至5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法などが挙げられる。これらの中でも、ワイヤーバー塗布法、ローラ塗布法が特に好ましい。
前記処理液付与工程は、表面が充分乾燥されている記録媒体に対して行っても、画像形成され乾燥中の記録媒体に対して行っても効果を発揮する。なお、処理工程を施した記録媒体に対し、必要に応じて乾燥工程を設けることができる。この場合、ロールヒーター、ドラムヒーター、温風により記録媒体を乾燥することができる。
乾燥温度に関しては、60℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。乾燥温度が60℃以下の場合だと記録媒体に塗布した処理液が乾燥しきれずに、記録用インクを付与した直後の定着性が悪化してしまう。一方、乾燥温度が80℃以上の場合だと処理液の乾燥状態に大きな違いは見られなくなる。
前記処理液付与工程における処理液の記録媒体への付着量は、0.1g/m2〜30.0g/m2が好ましく、0.2g/m2〜10.0g/m2がより好ましい。記録媒体への前記処理液の付着量が0.1g/m2以上であることにより、処理液の付与による充分な効果が得られ画像品質を向上させることができる。また、記録媒体への前記処理液の付着量が30.0g/m2以下であることにより、処理液の乾燥性を悪化させたり、カールが発生したりすることを抑制することができる。
−記録用インク付与工程及び記録用インク付与手段−
前記記録用インク付与工程は、着色剤、有機溶媒、フッ素系界面活性剤、抑泡剤、及び水を含有する記録用インクを、前記処理液を付与した記録媒体上に付与する工程であり、前記記録用インク付与手段により行われる。
−液体吐出用装置−
本発明に係る画像形成方法は、液体吐出用装置を用いて実施をすることが出来る。液体吐出用装置は、記録媒体の表面にインクを吐出させて画像を形成する画像形成手段と、処理液を貯留する貯留手段と、前記画像形成手段による画像形成の前もしくは後に、前記記録媒体の表面に対して処理を行う処理手段とを備えている。また、画像形成手段は少なくともインク飛翔手段を有し、必要に応じてその他の手段、例えば、刺激発生手段、制御手段等を有する。
図1に、本発明に係る液体吐出用装置の一例の模式図(側面説明図)を示す。
液体吐出用装置101には、記録用インクを吐出するヘッドを集積したヘッドユニット110K、110C、110M、110Yと、それぞれのヘッドユニットに対応し、ヘッドのメンテナンスを行うメンテナンスユニット111K、111C、111M、111Yと、インクを供給するインクカートリッジ107K、107C、107M、107Yと、カートリッジからのインクを一部貯蔵し、ヘッドに適切な圧力でインクを供給するサブインクタンク108K、108C、108M、108Yと、を備えている。
更に記録媒体114を吸引ファン120によって吸着し搬送する搬送ベルト113、搬送ベルト113を支える搬送ローラ119、121、搬送ベルト113が適切な張力を保つようにコントロールするテンションローラ115、搬送ベルト113が適切な平面性を保つためのプラテン124及びプラテンローラー118、記録媒体114を吸着するための静電帯電を与える帯電ローラ116、記録媒体114を押さえる排紙コロ117、排紙した記録媒体114をストックしておく排紙トレイ104からなる排紙機構、印写する記録媒体114をストックする給紙トレイ103、給紙トレイより一枚ずつ記録媒体114を送り出す分離パッド112及び122、送られてきた記録媒体114を帯電ベルトに確実に吸着させるカウンターローラ123、及び手差しにて給紙した場合に用いられる手差しトレイ105からなる給紙機構を有している。
また、メンテナンス後に排出される廃液を回収する廃液タンク109や、装置を操作し装置状態を表示することができる操作パネル106も備えている。
各ヘッドユニットのノズル列は、記録媒体114の搬送方向に直行するように配列されており、記録領域以上の長さのノズル列を形成している。記録媒体114は、給紙トレイから分離コロにて一枚に分離され、加圧コロにて搬送ベルトに密着されることで搬送ベルト上に固定される。そして、記録媒体114がヘッドユニット下を通過する際に記録媒体に液滴を吐出することで、高速に液滴にて記録媒体にパターンニングができる。その後、記録媒体114は分離爪にて搬送ベルトから分離され、排紙ローラと排紙コロにて支えられて排紙トレイに記録物として排出される。
この装置では、処理液で記録媒体表面を処理する機構として塗布機構を設けており、ローラ塗布を採用している。処理液135は処理液貯蔵タンク140から図示しない経路によって供給され、汲み上げローラ137でローラ表面に汲み上げられ、膜圧制御ローラ138に転写される。続いて塗布ローラ136に転写された処理液は、塗布用カウンターローラ139との間に通す記録媒体114に転写され、塗布される。
塗布ローラ136に転写される処理液の塗布量は、塗布ローラ136とのニップ厚を制御することにより行う。処理液を塗布したくない時は、塗布ローラ136に処理液が残らないように、可動ブレード134を塗布ローラ136に押し付け、塗布ローラ表面の処理液を掻き取ることができる。これにより、処理液が塗布ローラ136に残留することで発生する乾燥による増粘や、塗布用カウンターローラ139との固着、塗布ムラなどの機能障害を未然に防ぐことができる。また、図1のように、給紙部を上下で1つずつ設け、処理液を塗布する場合には下の給紙部を、処理液を塗布しない場合には上の給紙部を使用するといった方式にしても良い。
上記ローラ塗布以外に、処理液を吐出方式でスプレー塗布することも可能である。例えば、110Kと同様のヘッドに処理液を充填し、インクと同様に記録媒体114へ吐出させることができ、吐出量や吐出位置の制御を高精度でかつ容易に行うことができる。また、ローラ塗布方式とスプレー塗布方式を併用しても良い。何れの方式を用いても処理液を任意の位置に任意の量だけ塗布することができる。
また、熱風送風ファン150により、処理液及びインクが付着した記録媒体を加温することによって、乾燥促進により定着性を向上させることができる。なお、本例では加熱工程を印刷後の記録媒体に対して熱風ファンにて行っているが、加熱工程は印刷前または印刷前後の記録媒体に対して行っても良いし、その方式も熱風ファンだけではなく、加熱ローラなどの手段によって行っても良い。
図3は、上記液体吐出用装置のヘッドユニットにおけるヘッド配列の一例を示した模式図である。
ヘッドユニットはヘッド外周部材160にヘッド154A〜154Lを固定しており、ヘッドはノズルの一部が重複するように千鳥配置で固定されている。
図4は、図3のヘッドユニットに配列しているヘッドを示す模式図である。図中の各ヘッドには、ノズルプレート201に2列の千鳥配置で開口されているノズル200が設けられており、ヘッドとヘッド外周部材との間は充填剤202にて密閉されており、ノズル面側からの隙間をなくしている。
次に、図1に示す液体吐出用装置の制御部の概要について、図2を参照して説明する。なお、図2は制御部の概略ブロック説明図である。
この制御部300は、装置全体の制御を司るCPU301と、CPU301が実行するプログラム、本発明において使用する所定インク吐出に対するノズル面汚染度合の値及びノズル面汚染許容閾値、駆動波形データ、その他の固定データを格納するROM302と、画像データ等を一時格納するRAM303と、装置の電源が遮断されている間もデータを保持するための不揮発性メモリ(NVRAM)304と、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理するASIC305とを備えている。
また、この制御部300はホスト側とのデータ、信号の送受を行うためのホストI/F306と、記録ヘッド154の圧力発生手段を駆動制御するための駆動波形を生成するヘッド駆動制御部307と、記録媒体搬送モータ309を駆動するための記録媒体搬送モータ駆動制御部308と、ヘッドユニット(キャリッジ)移動モータ311を駆動するための維持ユニット移動モータ駆動制御部312と、インク経路の電磁弁315を開閉制御するためのインク経路バルブ制御部314、キャップ吸引モータ317やインク供給モータ318の駆動を制御する送液吸引モータ駆動制御部316と、搬送ベルト113の移動量及び移動速度に応じた検知信号を出力するエンコーダや、環境温度及び環境湿度(何れか一方でもよい)を検出するセンサ323からの検知信号、サブインクタンクのインク量検知信号、図示しない各種センサからの検知信号を入力するためのI/O322などを備えている。この制御部300には、この装置に必要な情報の入力及び表示を行うための操作パネル106が接続されている。
制御部300は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置、イメージスキャナ等の画像読み取り装置、デジタルカメラ等の撮像装置等のホスト側からの印刷データ等をケーブル或いはネットを介してホストI/F306で受信する。
そして、CPU301は、ホストI/F306に含まれる受信バッファ内に印刷データを読み出して解析し、ASIC305にて必要な画像処理、データの並び替えを行い、記録ヘッド154のヘッド幅の1ページ分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)を、クロック信号に同期して、ヘッド駆動制御部307に送出する。
そして、CPU301は、ホストI/F306に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して解析し、ASIC305にて必要な画像処理、データの並び替え処理等を行ってヘッド駆動制御部307に画像データを転送する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えば、ROM302にフォントデータを格納して行ってもよいし、ホスト側のプリンタドライバで画像データをビットマップデータに展開してこの装置に転送するようにしてもよい。
ヘッド駆動制御部307は、ページ単位で入力される記録ヘッド154の1ページ分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)に基づいて選択的に記録ヘッド154の圧力発生手段に印加して記録ヘッド154を駆動する。
また、図示していないが、処理液をローラ塗布する場合、塗布ローラ等の塗布用ローラ群の駆動制御が必要となるため、塗布用モータ制御部と、制御されるモータ、制御用のセンサを設ける。
更に処理液を吐出する場合には、維持動作を他のインクと異なる動作を行わないと、混色によるノズル詰まりの危険性が存在する。そのため維持ユニット移動モータは、インク用とは別に処理液用のものを設けることが望ましい。
次に、インクカートリッジについて、図5及び図6を参照して説明する。ここで、図5は、本発明のインクカートリッジの一例を示す図であり、図6は図5のインクカートリッジのケース(外装)を含めた図である。
記録用インクは図5に示すように、インク注入口242からインク袋241内に充填され、排気した後、該インク注入口242を融着により閉じる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置にインクを供給する。インク袋241は、透気性の無いアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋241は、図6に示すように、通常プラスチック製のカートリッジケース244内に収容され、インクカートリッジ240として、各種液体吐出用装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
また、上記インクカートリッジ240に、インクの代わりに処理液を入れ、処理液用のカートリッジとして用いれば、インクカートリッジと同様に、各種画像形成装置に着脱可能に装着して用いることができる。
なお、処理液を記録媒体に塗布する形態としては、図7〜図9などの方式などの方式が考えられる。
図7は吐出ヘッドからの吐出方式について記載したものである。記録媒体114の搬送方向上流側に処理液135を吐出する記録ヘッドを設け、搬送方向下流側に記録用インク130を設けることで、所定の画像データに基づいて予め吐出される処理液135と記録用インク130を記録媒体114上で混合することができる。
図8は3本ロールによる塗布方式について記載したものであるが、詳細については図1で記載しているのでここでの説明は割愛する。
図9は2本ロールによる塗布方式について記載したものであり、吐出ヘッドから吐出された処理液135を塗布ローラ401及び膜厚制御ローラ402によって所定の膜厚に制御して記録媒体114に塗布する。また、塗布ローラ401上に残留した過剰の処理液は可動ブレード134にて回収される。なお、ここでは図示しないが、図9の搬送方向下部には記録用インクの吐出ヘッドが設けられている。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
−記録用インク−
(樹脂の合成)
攪拌装置、滴下装置、温度センサー及び上部に窒素導入装置を有する還流装置を取り付けた反応容器を有する自動重合反応装置(轟産業株式会社製:重合試験機DSL−2AS型)の反応容器にメチルエチルケトンを550g仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素置換した。反応容器内を窒素雰囲気に保ちながら80℃で加温した後、滴下装置によりメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルを75.0g、メタクリル酸を77.0g、スチレンを80.0g、メタクリル酸ブチルを150.0g、アクリル酸ブチルを98.0g、メタクリル酸メチルを20.0g及び「パーブチル(登録商標)O」(日本油脂株式会社製)40.0gの混合溶液を4時間かけて滴下した。
滴下終了後、更に同温度で15時間反応を継続させて、酸価100、重量平均分子量21,000、Tg(計算値)31℃のアニオン性基含有スチレン−アクリル系共重合体Aのメチルエチルケトン溶液を得た。
反応終了後、メチルエチルケトンの一部を減圧留去し、不揮発分を50%に調整した[共重合体A溶液]を得た。
(水性顔料分散体の調製)
冷却用ジャケットを備えた混合槽にカーボンブラック(コロンビヤンカーボン社製:Raven1080)を1000gと、上記で得た[共重合体A溶液]を800g、水酸化ナトリウム水溶液を143g、メチルエチルケトンを100g及び水1957gを仕込み、攪拌混合した。混合液を直径0.3mmのジルコニアビーズを充填した分散装置(三井鉱山株式会社製:SCミルSC100)に通し、循環方式(分散装置より出た分散駅を混合槽に戻す方式)により6時間分散した。分散装置の回転数は2,700回転/分とし、冷却用ジャケットには冷水を通して分散液温度が40℃以下に保たれるようにした。分散終了後、混合槽より分散原液を抜き取り、次いで水10,000gで混合槽及び分散装置流露を洗浄し、分散原液と合わせて希釈分散液を得た。
ガラス製蒸留装置に希釈分散液を入れ、メチルエチルケトンの全量と水の一部を留去した。室温まで冷却後、攪拌しながら10%塩酸を滴下してpH4.5に調整した後、固形分をヌッチェ式濾過装置(日本化学機械製造社製、加圧濾過機)で濾過、水洗した。ケーキを容器に取り、20%水酸化カリウム水溶液200gを加えた後、ディスパ(特殊機化工業株式会社製:TKホモディスパー)にて分散し、更に水を加えて不揮発分を調整して、不揮発分20%のカーボンブラックが水酸化カリウム中で中和されたカルボキシル基含有スチレン−アクリル系共重合体で被覆された複合粒子として水性媒体中に分散した[水性顔料分散体]を得た。
なお、同様にカーボンブラックを銅フタロシアニン(大日精化社製:SEIKALIGHT BLUE A612)に置換した[水性顔料分散体(シアン)]も得た。
(記録用インクの調製)
まず、表1に示す有機溶媒、界面活性剤、浸透剤、pH調整剤、抗菌剤、カルボキシル基含有樹脂及び水を1時間攪拌し均一に混合した。次に、抑泡剤を加えて更に1時間攪拌し均一に混合した。その後、上記で得た[水性顔料分散体(ブラックまたはシアン)]を加えて更に1時間攪拌し均一に混合した。
この混合物を平均孔径0.8μmのポリビニリデンフロライドメンブランフィルターにより加圧濾過し、粗大粒子やゴミを除去して記録用インクを得た。なお、記録用インクにおいて着色剤は、上記で得た[水性顔料分散体]の固形分が8質量%となるような割合で添加している。
なお、表1に示すカルボキシル基含有樹脂としては、ロジン変性マレイン酸樹脂(ハリマ化成社製 ハリマックR−100)を用いた。
−処理液の調製−
(共重合体のアルカリ塩の調製)
攪拌機、冷却器、滴下ロート、温度計、窒素導入管を備えた1リットルの四つ口フラスコに、無水マレイン酸76.8g、及びキシレン120gを仕込み、窒素気流下で攪拌しながら還流温度(約110℃)まで昇温した。滴下ロートにジイソブチレン70.4g、1−ヘキサデセン70.4gを仕込み、また別の滴下ローロにt−ブチルパーオキシベンゾエート6g及びキシレン40gを仕込んだ。滴下ロートから各内容物を3時間を要してフラスコに滴下し、更に還流したに4時間保温した。その後、減圧下にキシレンを留去して固形物を得た。次いで、前記固形物を粉砕した後、水499gを添加し、25%アンモニア水85.3gで中和し、固形分を25%に調整して、25℃での粘度が330mPa・s、pHが8.5の[共重合体のアルカリ塩]を得た。
(処理液の調製)
まず、表1に示す有機溶媒、界面活性剤、浸透剤、抗菌剤、防錆剤及び水を1時間攪拌し均一に混合した。次に、抑泡剤を加えて更に1時間攪拌し均一に混合した。その後、コア部がカチオン性、シェル部がアニオン性を有する両性エマルジョン樹脂(大成ファインケミカル社製:アクリットAKW−107)、及びカチオン性樹脂−1:前記構造式(A)で表される構造を骨格中に繰り返し有する物質(星光PMC社製:DK6810、カチオン度=5.66、構造式(A)のX-:Cl-、R)−H又は−CH3)、カチオン性樹脂−2:の前記構造式(B)で表される構造を骨格中に繰り返し有する物質(四日市合成社製:カチオマスター PDT−2、カチオン度=7.00、構造式(B)のX-:Cl-)、またはカチオン性樹脂−3(センカ社製:ユニセンスCP104、カチオン度=2.80)を加えて更に1時間攪拌し均一に混合して処理液を得た。
また、その後、必要に応じてノニオン性ポリアクリルアミド(ハリマ化成社製:ハリコート 1057)、またはカチオン性ポリアクリルアミド(MTアクアポリマー社製:アロンフロック E3500)、または両性ポリアクリルアミド(荒川化学工業社製:ポリストロン 372)、及び上記で得た[共重合体のアルカリ塩]を加えて更に1時間攪拌し均一に混合して処理液を得た。
[実施例]及び[比較例]
上記で得た処理液及び記録用インクを用いて記録媒体上に印字を行い実施例1〜23、比較例1〜4の画像を得た。
(印字方法)
処理液処方で示す材料を混合して調整した各処理液を小林製作所社製のワイヤーバー(巻線径:0.05mm)を用いて、記録媒体(王子製紙社製 OKトップコート+)へ塗布量が2g/m2となるように均一に塗布した。その後、必要に応じて乾燥工程(80℃30秒)にて乾燥を実施した。
次いで、記録用インクを液体吐出用装置(リコー社製のIPSIO GXe5500)により前記記録媒体へ吐出させて印刷サンプルを得た。なお、印字チャートはドットパターンで形成された3cm四方のベタ画像を使用した。
[評価]
上記実施例及び比較例で得た印刷サンプル、記録用インキ及び処理液について、以下の方法により諸特性を評価した。
(転写濃度(擦過性))
ドットパターンで形成された3cm四方のベタ画像のベタ部を、東洋精機製作所社製のクロックメーターに布を貼り付けて擦り、擦過後の布へのインクの転写濃度を、X−Rite社製の分光側色濃度計(939)で測定した。転写濃度が小さいほど、画像の定着性が良好である。
(ビーディング)
ドットパターンで形成された3cm四方のベタ画像のベタ部を、目視によりビーディングレベルを1〜5までランク付けした。数値が大きいほどビーディング性が良好である。
<評価基準>
5 : ビーディングは見られない。
4 : ややビーディングは見られるが問題無いレベル。
3 : ビーディングが見られる。
2 : 激しいビーディングが見られる。
1 : 激しいビーディングが見られる(先塗り液未塗布と同レベル)。
(起泡性:30秒後の泡高さ)
比較例または実施例に記載の処方に基づいて混合・調製した処理液を、容量100mlのメスシリンダーに10ml入れて一昼夜放置し、その後、メスシリンダーを10℃の恒温水槽に30分以上入れて液温を慣らした。液温が十分慣れたら、所定のシリンジにて空気を吹き込み100mlまで泡立たせ、30秒後の泡高さを目視にて確認した。30秒後の泡高さが50ml以下であれば起泡性は良好である。
(保存安定性)
比較例または実施例に記載の処方に基づいて混合・調製した処理液を、それぞれ20mlのガラス瓶に入れ、70℃の恒温槽内に2週間放置し、初期粘度と2週間保存後の粘度との差(粘度上昇レベル)を測定し、下記の3段階に分けて評価した。なお、粘度の測定は、25℃で粘度計(A&D社製、SV−10)を用いて行った。
<評価基準>
○ : 初期粘度からの粘度変化率が1%未満
△ : 初期粘度からの粘度変化率が1%〜5%
× : 初期粘度からの粘度変化率が5%超
Figure 2014124784
Figure 2014124784
表1中のLV(S)はアビシア社製の防腐防黴剤を、KM−72Fは信越シリコーン社製の自己乳化型シリコーン消泡剤を意味する。
また、処理液中の「フッ素系界面活性剤(有効成分:40質量%)」は、Dupont社製のゾニール FS300を意味する。
1)表1中の各比較例と実施例1、5などより、処理液中にコア/シェル構造を有する両性エマルジョン樹脂、カチオン度が5以上のカチオン性樹脂などを含有することにより、保存安定性を確保しつつ、転写濃度、ビーディングが優れることが示された。
2)表1中の比較例3と実施例1〜4より、コア/シェル構造を有する両性エマルジョン樹脂の含有量が1質量%〜20質量%であることにより、転写濃度が優れることが示された。
3)表1中の比較例4と実施例1、5より、カチオン性樹脂が前記構造単位(A)または(B)を有するものであることにより、ビーディングが優れることが示された。
4)表1中の比較例2と実施例1、6〜8より、カチオン性樹脂の含有量が1質量%〜50質量%であることにより、転写濃度、ビーディングが優れることが示された。
5)表1中の実施例1、9〜11より、処理液中に更にポリアクリルアミドを含有し、かつポリアクリルアミドがノニオン性、カチオン性、両性の少なくともいずれか1種であることにより、転写濃度が優れることが示された。
6)表1中の実施例1、9、12〜14より、ポリアクリルアミドの含有量が0.01質量%〜10質量であることにより、転写濃度が優れることが示された。
7)表1中の実施例1、9、15より、処理液中に更に炭素数12〜18のオレフィンとマレイン酸の共重合体のアルカリ塩を含有することにより、転写濃度が優れることが示された。
8)表1中の実施例1、16より、処理液付与工程の次工程に乾燥工程を有することにより、転写濃度が優れることが示された。
9)表1中の各比較例と実施例19〜20、22より、処理液中の界面活性剤がポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び/又は前記構造式(I)で表されるフッ素系界面活性剤であることにより、起泡性が優れることが示された。
10)表1中の各比較例と実施例17〜21より、処理液中の抑泡剤がN−オクチル−2−ピロリドン、2,4,7,9−テトラメチルデカン−4,7−ジオール、2,5,8,11−テトラメチルドデカン−5,8−ジオールのいずれか1種であることにより、起泡性が優れることが示された。
101 液体吐出装置
103 給紙トレイ
104 排紙トレイ
105 手差しトレイ
106 操作パネル
107K インクカートリッジ
107C インクカートリッジ
107M インクカートリッジ
107Y インクカートリッジ
108K サブインクタンク
108C サブインクタンク
108M サブインクタンク
108Y サブインクタンク
109 廃液タンク
110K ヘッドユニット
110C ヘッドユニット
110M ヘッドユニット
110Y ヘッドユニット
111K メンテナンスユニット
111C メンテナンスユニット
111M メンテナンスユニット
111Y メンテナンスユニット
112 分離パッド
113 搬送ベルト
114 記録媒体
115 テンションローラ
116 帯電ローラ
117 排紙コロ
118 プラテンローラ
119 搬送ローラ
120 吸引ファン
121 搬送ローラ
122 分離パッド
123 カウンターローラ
124 プラテンローラ
130 記録用インク
140 可動ブレード
135 処理液
136 塗布ローラ
137 汲み上げローラ
138 膜圧制御ローラ
139 塗布用カウンターローラ
140 処理液貯蔵タンク
154A〜L 記録ヘッド
160 外周部材
200 ノズル
201 ノズルプレート
202 充填剤
240 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジケース
300 制御部
301 CPU
302 ROM
303 RAM
304 不揮発性メモリ(NVRAM)
305 ASIC
306 ホストI/F
307 ヘッド駆動制御部
308 記録媒体搬送モータ駆動制御部
309 記録媒体搬送モータ
311 ヘッドユニット(キャリッジ)移動モータ
312 維持ユニット移動モータ駆動制御部
314 インク経路バルブ制御部
315 電磁弁
316 送液吸引モータ駆動制御部
317 キャップ吸引モータ
318 インク供給モータ
322 I/O
323 センサ
401 塗布ローラ
402 膜厚制御ローラ
特開2010−030305号公報 特許第3689444号公報

Claims (10)

  1. コア/シェル構造を有する両性エマルジョン樹脂、カチオン度が5以上のカチオン性樹脂、有機溶媒、界面活性剤、及び水を含有する処理液を記録媒体上に付与する処理液付与工程と、
    着色剤、有機溶媒、界面活性剤、及び水を含有する記録用インクを、前記処理液を付与した記録媒体上に付与する記録用インク付与工程と、
    を含むことを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記記録用インクが、カルボキシル基含有樹脂を含有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記コア/シェル構造を有する両性エマルジョン樹脂のコア部がカチオン性、シェル部がアニオン性を有するコア/シェル構造を有する樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
  4. 前記処理液における前記コア/シェル構造を有する両性エマルジョン樹脂の含有量が、1質量%〜20質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成方法。
  5. 前記カチオン性樹脂が下記構造単位(A)及び/又は(B)を有するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成方法。
    Figure 2014124784
    式中、Xはアニオン性の対イオンを表し、Rは水素原子またはアルキル基を表す。
    Figure 2014124784
    式中、Xはアニオン性の対イオンを表す。
  6. 前記処理液における前記カチオン性樹脂の含有量が、1質量%〜50質量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成方法。
  7. 前記処理液中に更にポリアクリルアミドを含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成方法。
  8. 前記ポリアクリルアミドが、ノニオン性、カチオン性、及び両性のポリアクリルアミドからなる群より選ばれるいずれか1種以上であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。
  9. 前記処理液における前記ポリアクリルアミドの含有量が、0.01質量%〜10質量%であることを特徴とする請求項7又は8に記載の画像形成方法。
  10. 前記処理液中に更に炭素数12〜18のオレフィンとマレイン酸の共重合体のアルカリ塩を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の画像形成方法。
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