JP2019167660A - 繊維の前処理方法 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち本発明は、以下の1)〜5)に関する。
下記式(1)で表される構造単位を分子内に含有するカチオンポリマーと、アニオン性樹脂と、ポリオキシC2−C4アルキレングリコールとを含有する前処理インクであって、
前記ポリオキシC2−C4アルキレングリコール中のオキシC2−C4アルキレン基の総数における、オキシC2アルキレン基の数が50%より少ない前処理インク。
R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、及びヘテロアリール基よりなる群から選択される基を表わし、
Xはハロゲン原子を表わし、
nは1以上の整数を表わす。]
2)
前処理インクの総質量に対する、カチオンポリマーの含有量が3〜25質量%である、前記1)に記載の前処理インク。
3)
アニオン性樹脂が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、シアノアクリレート、アクリルアミド、オレフィン、スチレン、ウレタン、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、及び塩化ビニリデンから選択される1種類以上のモノマーの重合体;フッ素樹脂;及び天然樹脂から選択される化合物である、前記1)に記載の前処理インク。
4)
アニオン性樹脂が、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル−ウレタン樹脂、及びウレタン樹脂から選択される化合物である前記1)に記載の前処理インク。
5)
前処理インクの総質量に対する、アニオン性樹脂の含有量が1〜5質量%である、前記1)、3)、4)のいずれか一項に記載の前処理インク。
前記カチオンポリマーは、前記式(1)で表される構造単位を、分子内に含有する。カチオンポリマーは、例えば、特開平6−92012の記載のように、「R1R2NH」で表される2級アミンと、エピハロヒドリンとを反応させることにより得ることができる。
式(1)中、R1及びR2におけるアルキル基としては、直鎖、分岐鎖、又は環状アルキル基が挙げられる。これらの中では直鎖、又は分岐鎖アルキル基が好ましく、直鎖アルキル基がより好ましい。アルキル基の炭素数の範囲は特に制限されないが通常C1−C18、好ましくはC1−C8、より好ましくはC1−C4、さらに好ましくはC1−C3、特に好ましくはC1又はC2である。
その具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル等の直鎖アルキル基;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル等の分岐鎖アルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル等の環状アルキル基等が挙げられる。
また、前記ヘテロ環基は、隣接する2つの炭素原子に加え、さらにC4−C8の炭素原子と共に縮環構造を有することができる。その具体例としては、インドール、インドリン、カルバゾール、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリン等が挙げられる。
前記のうち、R1及びR2としては、アルキル基が好ましい。
nは、R1及びR2の種類により変動するため、一概に決定するのは困難である。その目安としては通常1以上の整数、好ましくは3〜85、より好ましくは5〜80程度である。
アニオン性樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、シアノアクリレート、(メタ)アクリルアミド、オレフィン、スチレン、ウレタン、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、及び塩化ビニリデンから選択される1種類以上のモノマーの重合体;フッ素樹脂;及び天然樹脂から選択される化合物が挙げられる。
前記の重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、及びグラフト共重合体等の、公知の重合体が挙げられる。
本明細書において、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸とメタクリル酸の両方を、また、(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルの両方を、それぞれ意味し、その他の用語についても同様である。
前記のウレタン樹脂としては、例えば、ポリエーテルウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、及びポリカーボネートウレタン樹脂等が挙げられる。
前記の(メタ)アクリル樹脂、及びスチレン−(メタ)アクリル樹脂の市販品としては、例えば、ジャパンコーティングレジン株式会社製のモビニール 952A(Tg=−38℃、固形分45%)、710A(Tg=9℃、固形分41%、粘度200〜700mPa・s、MFT=0℃;(メタ)アクリル樹脂)、718A(Tg=−6℃、固形分45%、粘度500mPa・s以下、MFT=0℃;(メタ)アクリル樹脂)、6960(Tg=−23℃、固形分45%、粘度100〜1200mPa・s、MFT=0℃;スチレン−(メタ)アクリル樹脂)、7320(Tg=−20℃、固形分45%、粘度100mPa・s以下、MFT=0℃;(メタ)アクリル樹脂)、7400(Tg=−41℃、固形分50%、粘度100〜2500mPa・s、MFT=0℃;(メタ)アクリル樹脂)、7420(Tg=−26℃、固形分50%、粘度100〜2500mPa・s、MFT=0℃;(メタ)アクリル樹脂)、966A(Tg=−32℃、固形分45%、粘度300mPa・s以下、MFT=0℃;スチレン−(メタ)アクリル樹脂);日本ペイント株式会社製のマイクロジェル E−1002、E−5002;DIC株式会社製のボンコート 4001、5454;日本ゼオン株式会社製のSAE 1014;サイデン化学株式会社製のサイビノール SK−200;BASF社製のジョンクリル 7100、390、711、511、7001、632、741、450、840、74J、HRC−1645J、734、852、7600、775、537J、1535、PDX−7630A、352J、352D、PDX−7145、538J、7640、7641、631、790、780、7610;新中村化学株式会社製のNKバインダー R−5HN(固形分44%)等が挙げられる。
前記ウレタン樹脂の市販品としては、例えば、日本ルーブリゾール社製のサンキュアー2710;三洋化成工業株式会社製のパーマリン UA−150(;第一工業製薬株式会社製のスーパーフレックス 460、470、610、700;楠本化成株式会社製のNeoRez R−9660、R−9637、R−940;株式会社ADEKA製のアデカボンタイター HUX−380、290K;三井化学株式会社製のタケラック W−605、W−635、WS−6021;大成ファインケミカル株式会社製のポリエーテル(Tg=20℃)等が挙げられる。
破断点伸度は、公知の方法を用いアニオン性樹脂により約60μmの厚さの膜を作成し、引張試験ゲージ長20mm及び引っ張り速度100mm/分の条件下で測定して得られた値とする。
また、弾性率は、同様にアニオン性樹脂により約60μmの厚さの膜を作成し、平行部幅10mm及び長さ40mmの引張試験ダンベルに成形し、JIS K7161:1994に準拠して引張試験を行って求められる引っ張り弾性率とする。
さらに、布帛に捺染した後の着色画像の耐擦性を良好にする目的としては、D50の下限値を100nm程度にするのが好ましい。
前記の前処理インクは、界面活性剤をさらに含有するのが好ましい。界面活性剤の種類は特に限定されないが、例えば、アセチレングリコール、及びポリアルキレングリコールから選択される界面活性剤が好ましい。界面活性剤を含有することにより、前処理インクの粘度の増加、成分の凝集等が抑制され、保存安定性が良好となる。
前記のうち、界面活性剤として少なくともポリアルキレングリコールを含有する前処理インクは、さらに下地の白色度、及び裏抜けが良好になる傾向が有る。
そのような界面活性剤としては、エアープロダグツ社製のオルフィン シリーズ(104、E1010等)、日信化学工業株式会社製のサーフィノール シリーズ(440、465、61等)が挙げられる。
その市販品の例としては、例えば、第一工業製薬株式会社製のノイゲン XL−40、50、60、70、80、100、140、160、ノイゲン TDS−30、50、70、80、90、100、120等が挙げられる。
脂肪酸エチレンオキシド付加物としては、ステアリン酸エチレンオキシド付加物、ポリエチレングリコールラウリン酸エステル等が挙げられる。その市販品の例としては、例えば、花王株式会社製のエマノーン 1112、3199V、3299V、3299VR、3201M−V等が挙げられる。
高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物の市販品の例としては、例えば、花王株式会社製のアミート 102、105、105A、302、320等が挙げられる。
ポリオキシC2−C4アルキレングリコールの市販品の例としては、例えば、花王株式会社製のエマルゲン PP−290(ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールが160/30のコポリマー);三洋化成工業株式会社製のニューポール PE−61、PE−62、PE−64、PE−68、PE−71、PE−74、PE−75、PE−78、PE−108(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン ブロックポリマー);第一工業製薬株式会社製のエパン 410、420、450、485、680、710、720、740、750、785、U−103、U−105、U−108(ポリプロピレングリコールの重量平均分子量が約950〜4000、ポリオキシエチレンの含有量が5〜95%程度のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)等が挙げられる。
ポリオキシC2−C4アルキレングリコールとしてはポリオキシC2−C3アルキレングリコールが好ましく、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールがより好ましい。
また、ポリオキシC2−C4アルキレングリコール中のオキシC2−C4アルキレン基の総数における、オキシC2アルキレン基の数が通常50%より小さく、好ましくは15〜45%、より好ましくは20〜40%である。一例を挙げると、オキシC2アルキレン基、オキシC3アルキレン基、及びオキシC4アルキレン基の結合数の合計が10のとき、オキシアルキレン基の結合数は5より小さいことを意味する。なお、オキシC2−C4アルキレン基の結合数は、いずれも平均値である。
また、ポリオキシアルキレングリコールのうち、ポリオキシC3−C4アルキレン基を疎水基とし、ポリオキシC2アルキレン基を親水基としたとき、疎水基の重量平均分子量が通常2250〜4000、好ましくは2750〜3600である。
前記オキシC2アルキレン基の含有率、及び、疎水基の重量平均分子量の両方を満たすものとしては、例えば、エパン U−103が挙げられる。
カチオンポリマーを含有する前処理インクが、このような界面活性剤を含有することにより、保存安定性を良好にすることができる。
前記の前処理インクは、必要に応じて、さらにインク調整剤を含有することができる。
インク調製剤としては防黴剤、防腐剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、酸化防止剤、糊剤等が挙げられる。
有機ハロゲン系化合物の具体例としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられる。ピリジンオキシド系化合物の具体例としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられる。イソチアゾリン系化合物の具体例としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。
その他の防腐防黴剤の具体例としては、無水酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、アーチケミカル社製、商品名プロクセルGXL(S)やプロクセルXL−2(S)等が挙げられる。
アルカリ金属の水酸化物としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが挙げられる。アルカリ土類金属の水酸化物として、例えば水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム及び水酸化ストロンチウム等が挙げられる。これらの中ではアルカリ土類金属の水酸化物が好ましく、水酸化リチウム及び水酸化ナトリウムがより好ましい。
脂肪族アミン化合物としては、例えばアンモニア、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジメチルアミン及びトリメチルアミンが挙げられるが、好ましくはアンモニア又はトリエチルアミンである。
アルコールアミン化合物としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、メチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン及びN−メチルジエタノールアミンが挙げられるが、好ましくは3級アミン類であり、さらに好ましくは、トリエタノールアミンである。
他の具体例としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;ケイ酸ナトリウム、酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩;リン酸二ナトリウム等のリン酸塩;等が挙げられる。
前記の前処理インクは、必要に応じて、さらに糊剤を含有することができる。糊剤としては、例えば、トウモロコシ及び小麦などのデンプン;カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシメチルセルロース等のセルロース化合物;アルギン酸ナトリウム、アラビヤゴム、ローカストビーンガム、トラントガム、グアーガム、及びタマリンド種子等の多糖類、ゼラチン及びカゼイン等のタンパク質;タンニン及びリグニン等の天然水溶性高分子;及びポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、(メタ)アクリル酸、及び無水マレイン酸等を含有する、合成の水溶性高分子化合物等が挙げられる。
糊剤の含有量は、前処理インクの総質量に対して、通常0〜20%程度である。
前記の前処理方法は、前記の前処理インクを、繊維に付着させる工程を有する前処理方法である。前処理インクを繊維に付着させる工程は、特に制限されない。その一例としては、例えば、前処理インク中に繊維を浸積する工程;及び前処理インクを繊維に塗布又は噴霧する工程等が挙げられる。
前記の繊維の前処理方法は、前処理インク中のカチオンポリマーの付着量が、固形分換算で、繊維に対して通常2〜6mg/cm2、好ましくは2.5〜5.5mg/cm2、より好ましくは3〜5mg/cm2となるように、前処理インクを繊維に付着させる方法である。このような付着量とすることにより、繊維に白下地を設置したときの白色度が高く、繊維の肌触りが良好となる。
前記した全ての事項について、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましく、より好ましいもの同士の組み合わせはさらに好ましい。好ましいものとより好ましいもの、より好ましいものとさらに好ましいものとの組み合わせ等についても同様である。
実施例中で使用した「水」は、特に断りの無い限り、「イオン交換水」を意味する。
また、液の固形分含有量を測定するときは、株式会社エイ・アンド・デイ社製のMS−70を用い、乾燥重量法により求めた。
下記表1に示した各成分を混合し、総量を100部とした後、十分に撹拌して混合することにより、実施例1、及び比較例1〜3の前処理インクを得た。
下記表1中の数値は「部」を意味し、固形分換算値である。
KHE100L:センカ株式会社製のカチオンポリマー、ユニセンス KHE100L(ジメチルアミン・アンモニア・エピクロルヒドリン重縮合物、固形分60%)。
AR1:ジャパンコーティングレジン株式会社製のアニオン性樹脂、モビニール 6960(スチレン/アクリル系樹脂エマルジョン、固形分45%、Tg=−23℃)。
U103:エパン U−103、EO含有率30%。
U105:エパン U−105、EO含有率50%。
750:エパン 750、EO含有率50%。
PP−290:エマルゲン PP−290、EO含有率84%。
実施例、比較例の前処理インクを透明な容器(アイボーイ広口 100mL)に入れ、手で上下に30回振とうさせた後、容器に付着物が生じたか否かを目視観察により評価した。評価結果を表1に示す。
A:振とう後の容器壁面または容器底に、付着物は認められなかった。
B:振とう後の容器壁面または容器底には、固体の付着物が認められた。
C:振とう後の容器壁面または容器底には、多量の固体が付着していた。
Claims (5)
- 前処理インクの総質量に対する、カチオンポリマーの含有量が3〜25質量%である、請求項1に記載の前処理インク。
- アニオン性樹脂が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、シアノアクリレート、アクリルアミド、オレフィン、スチレン、ウレタン、酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルアルコール、ビニルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、及び塩化ビニリデンから選択される1種類以上のモノマーの重合体;フッ素樹脂;及び天然樹脂から選択される化合物である、請求項1に記載の前処理インク。
- アニオン性樹脂が、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル樹脂、(メタ)アクリル−ウレタン樹脂、及びウレタン樹脂から選択される化合物である請求項1に記載の前処理インク。
- 前処理インクの総質量に対する、アニオン性樹脂の含有量が1〜5質量%である、請求項1、3、4のいずれか一項に記載の前処理インク。
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