JP2015190352A - 多気筒内燃機関のシリンダヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】多気筒内燃機関の鋳物製シリンダヘッドにおいて、鋳造の生産性向上、シリンダヘッドの強度確保・冷却性能のアップも図る。【解決手段】ヘッドジャケット9は、ともに縦長の排気側流路60及び吸気側流路61を備えており、これら排気側流路60と吸気側流路61は、各気筒に対応したエリアの外側に位置した横向き流路で繋がっている。冷却水は、第3連通路14から流入し、横向き流路を経由して吸気側流路61に至り、第2通路13から排出される。各気筒に対応したエリアは個室化されずにオープン状態になっているため、鋳造用の中子は壊れにくい構造となっている。このため鋳造の生産性が高い。冷却水の混合性・流通性に優れていて冷却性が高い。また、横向き流路はアイランド部52a,52bで形成されているため、シリンダヘッドの強度にも優れている。【選択図】図8
Description
本願発明は、多気筒内燃機関のシリンダヘッドに関するものである。
内燃機関のシリンダブロックとシリンダヘッドとは冷却水で冷却されており、そこで、シリンダブロックに気筒列を囲うように冷却水通路(ブロックジャケット)が形成されて、シリンダヘッドには面的な広がりを持つ冷却水通路(ヘッドジャケット)が形成されている。シリンダブロックの冷却水通路とシリンダヘッドの冷却水通路とは多数の連通穴を介して連通していることが多く、この場合は、冷却水はブロックジャケットからヘッドジャケットに流れている。
シリンダヘッド2には、吸気弁や排気弁の弁軸、或いは点火プラグや燃料噴射ノズルが取り付けられている。これら弁軸や点火プラグ、燃料噴射ノズルはシリンダヘッドの肉部に取り付けられている。従って、多気筒内燃機関では、シリンダヘッドには、弁軸や点火プラグ、燃料噴射ノズルを取り付けるためのアイランド部(肉部)が各気筒ごとに配置されている。冷却水はこれらアイランド部も冷却しながら流れる。また、アイランド部はシリンダヘッドの強度メンバーとしても機能している。
そして、ヘッドジャケットの一例として、本願出願人の出願である特許文献1には、ヘッドジャケットを各気筒に対応した部位ごとに壁で仕切って気筒に対応した複数の個室を形成し、各個室には、吸気側に向いた出口を設けると共に、排気側の奥部をブロックジャケットと連通路で繋ぎ、更に、吸気側に、各個室から排出されれた冷却水を集める縦長通路を設けることが開示されている。
特許文献1において、気筒ごとに個室を形成するための壁はヘッドジャケットの床と天井とを繋ぐ強度メンバーとしても機能するため、特許文献1はシリンダヘッドを頑丈な構造にできる利点がある。しかし、本願発明者が検討したところ、まだ改良の余地が見られた。
例えば、空洞になる部分の中子型(砂型)を使用して鋳型の空洞に金属湯(一般に溶融アルミ)を充填することで製造されるが、特許文献1のように各気筒の箇所ごとに壁で囲って個室化すると、製品の空洞になる中子型は壁の部分が幅狭の空洞になってこれが長く連続するため、中子型の強度は弱くなり、従って、中子の取り扱い(鋳型の組み込み)に慎重を要して生産性が悪化するおそれがある。
また、特許文献1のように各気筒の箇所ごとに個室化すると、各個室ごとに冷却性能が相違して、シリンダヘッドに熱ひずみを招くおそれや、冷却水の流れが悪くなって例えばポートの部分の冷却が不十分になるおそれも懸念される。更に、各個室に冷却水が淀む箇所が発生して、均等な冷却が阻害される可能性もあると思われる。
本願発明はかかる現状に鑑みなされたものであり、中子やシリンダヘッドの強度低下を招来することなく、シリンダヘッドを均等かつ効率よく冷却できるようにすること等を目的とするものである。
本願発明は、長手一側面を吸気側として長手他側面を排気側としたシリンダヘッドの内部に設けたヘッドジャケットに、当該ヘッドジャケットを上下に分断するアイランド部が複数の気筒ごとに形成されている構成の内燃機関を対象にしている。
そして、請求項1の発明では、前記ヘッドジャケットは、前記アイランド部の群を挟んで前記長手一側面の側で気筒列方向に延びる吸気側流路と、前記アイランド部の群を挟んで前記長手他側面の側で気筒列方向に延びる排気側流路と、前記各気筒ごとのアイランド部を挟んだ前後両側において前記吸気側流路と排気側流路とを繋ぐ横向き流路とを備えており、冷却水は前記排気側流路に流入して横向き流路を経由して吸気側流路に流れるようになっている。
請求項2の発明は、請求項1において、前記ヘッドジャケットは下層部と上層部との2層構造になっており、前記下層部が請求項1に記載した構成であり、前記下層部と上層部とは、前記吸気側流路と横向き流路とが交叉する部位に設けた連通路によって繋がっている。
横向き流路を形成することは、アイランド部のうち排気側流路に位置した部分に気筒列方向に長い縦長延長部を設けることで簡単に実現できる。そして、本願発明では、冷却水は排気側流路から横向き流路のみに流す必要はなく、冷却水の一部をアイランド部に導くことも可能である。この場合も、アイランド部を経由した冷却水は吸気側流路に集合していく。
シリンダヘッドを鋳造するにおいて、中子の部分は製品であるシリンダヘッドのジャケットとして現れる。そして、本願発明では、排気側流路と吸気側流路と横向き流路の部分は中子の肉になっているので、中子はいわばハシゴのような構造になっており、高い強度を確保できる。従って、中子の取り扱いが容易になって鋳型の組み込みも能率よく行えるのであり、その結果、シリンダヘッドを鋳造するにおいてその生産性を向上できる。また、鋳造の精度も向上できる。
また、冷却水が横向き流路を経由して排気側流路から吸気側流路に流れることでシリンダヘッドの冷却が行われるが、冷却水が各アイランド部を挟んだ両側を流れるため、ヘッドジャケットの内部での冷却水の攪拌性が格段に高くなって、冷却水の温度分布の偏りを抑制できる。また、冷却水は、シリンダヘッドの各部位をまんべんなく流れる。
このように、冷却水の温度の偏りも抑制できることと、各部位をできるだけ均等に冷却できることとにより、熱ひずみの発生を抑制しつつ高い冷却性能を発揮できる。また、横向き流路を形成することでガイドになる肉部が必要になるため、シリンダヘッドの強度も確保することができる。
また、シリンダヘッドは排気側において高温になっているが、本願発明では、冷却水は最初に排気側流路に流入するため、高温になる排気側の部分を効率良く冷却できる。しかも、排気側で受熱して昇温した冷却水が横向き流路を経由して吸気側流路に流れるため、排気側と吸気側との温度差をできるだけ小さくできる。この点からも、熱ひずみの発生を抑制できる。排気集合部をシリンダヘッドに内蔵していると、シリンダヘッドのうち排気側の部分は非常に高温になるため、本願発明を適用すると特に好適である。
請求項2のように、ヘッドジャケットを下層部と上層部との二層構造にすると、下層部で冷却水が均等に昇温して上層部に至るため、シリンダヘッドの冷却の均等化を一層促進できる。
そして、下層部と上層部を直接に連通させるものであるため、構造は簡単でコンパクト化できる。しかも、吸気側流路と横向き流路との交叉位置で連通させるものであるため、連通路は弁軸や燃料噴射弁などには全く影響せず、強度面での心配も無用になる。
(1).内燃機関の概要
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、車両用内燃機関(例えばディーゼル機関)に適用している。まず、内燃機関の概要を図1の模式図に基づいて説明する。
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、車両用内燃機関(例えばディーゼル機関)に適用している。まず、内燃機関の概要を図1の模式図に基づいて説明する。
本願では、図面に関して正面視(正面図)・側面視(側面図)の文言を使用するが、正面視はクランク軸線方向から見た状態であり、側面視は、クランク軸線方向及び気筒軸線と直交した方向から見た状態である。前後方向はクランク軸線方向(シリンダヘッドの長手方向)であり、左右方向は、クランク軸線及び気筒軸線と直交した方向(シリンダヘッドの短手方向)である。上下に関しては、シリンダブロックからシリンダヘッドを向いた方向を上として定義している(従って、スラント型内燃機関の場合は、上下方向が必ずしも鉛直方向でない場合がある。)。
内燃機関は、機関本体の中核としてシリンダブロック1とその上面に固定されたシリンダヘッド2とを備えており、シリンダヘッド1の上面にはシリンダヘッドカバー3が固定されて、シリンダブロック1の下面にはオイルパン4が固定されている。シリンダブロック1及びシリンダヘッド2の一端面1a,2aには、タイミングチェーン(図示せず)を覆うフロントカバー(チェーンカバー、チェーンケース)5がボルトで固定されている。なお、タイミングチェーンは動力伝達手段と同義であり、タイミングギアやタイミングベルトも含んでいる。
シリンダブロック1には、シリンダヘッド2に向けて上向き開口したとブロックジャケット6が形成されており、シリンダヘッド2の内部にもヘッドジャケット7が形成されている。本実施形態の特徴として、ヘッドジャケット7は、フロントカバー5に近接して設けた先行ジャケット8と、概ねブロックジャケット6の上に位置したメインジャケット9とに分離構成されており、更に、メインジャケット9は、メインジャケット下層部10とメインジャケット上層部11とに分離されている。
先行ジャケット8は、メインジャケット下層部10と1つの第1連通路12で連通しており、メインジャケット下層部10とメインジャケット上層部11とは複数の第2連通路13で連通しており、メインジャケット下層部10とブロックジャケット6とは複数の第3連通路14で連通している。
そして、シリンダブロック1のうち一端面1a寄りの部位には、先行ジャケット8に連通した上下長手のヘッド行き送水路16が上向きに開口するように形成されている。また、ヘッド行き送水路16を挟んでフロントカバー5と反対側の部位には、ブロックジャケット6に連通したブロック行き送水口17が形成されている。
ヘッド行き送水路16及びブロック行き送水口17には、ウォータポンプ19から冷却水が圧送される。ウォータポンプ19は、ハウジングの内部にインペラーを設けた構成であり、クランク軸20に設けたクランクプーリ21でベルト22を介して駆動される。ヘッド行き送水路16には第1制御弁23を設け、ブロック行き送水口17とウォータポンプ19との間には第1制御弁24を設けている。
シリンダヘッド2の周囲のうち、例えばフロントカバー5と反対側の他端面2bの近くの箇所に、サーモ弁を備えた分配装置25が配置されている(分配装置25は、シリンダヘッド2に一体化(内蔵)してもよい。)。メインジャケット上層部11の終端に出口管26が接続されており、出口管26から、ヒータ行き管27とラジェータ行き管28とポンプ戻り管29が分岐している。
ヒータ行き管27は、EGRクーラ30を経由して車内暖房用ヒータコア31に接続されており、ヒータコア31の出口ポートに接続されたヒータ戻り管32は、オイルクーラ33を経由して分配装置25に接続されている。他方、ラジェータ行き管28はラジェータ34に接続されており、ラジェータ34の出口ポートに接続されたラジェータ戻り管35は分配装置25に接続されている。更に、ポンプ戻り管29は、EGRバルブ36を経由して分配装置25に接続され、更に、ポンプ戻り管29は分配装置25を経由してウォータポンプ19の吸水口に接続されている。
本実施形態において、コールドスタート時のように冷却水の温度が所定以上に昇温していない状態では、第1制御弁23が開いて第2制御弁24が閉じていることにより、冷却水はブロックジャケット6には流れずに、ヘッドジャケット7の先行ジャケット8に流れる。
図2に示すように、冷却水が先行ジャケット8に流入している状態では、冷却水は、先行ジャケット8から第1連路12を経由してメインジャケット下層部10に至り、メインジャケット下層部10をまんべんなく流れてからメインジャケット上層部11に流入する。従って、暖機運転中は冷却水がヘッドジャケット7を素早く循環する。これにより、冷却水を早期昇温させてヒータコア31に送水できると共に、機関の過冷却を防止して早期暖機を実現できる。
冷却水の温度が所定温度(例えば、ラジェータ34を循環するほどの温度)以上に昇温すると、第1制御弁23は閉じて第2制御弁24が開く。従って、冷却水はブロックジャケット6を流れてから、第3連通路14を経由してヘッドジャケット7のメインジャケット下層部10に流入し、メインジャケット下層部10をまんべんなく巡ってから、第2連通路13を経由してメインジャケット上層部11に至り、メインジャケット上層部11を巡ってから出口管26に排出される。
従って、暖機運転終了後のように機関温度が高い状態では、冷却水は先行ジャケット8には流れず、ブロックジャケット6から、ヘッドジャケット7のメインジャケット9に流れて出口管16に排出される。敢えて述べるまでもないが、冷却水がブロックジャケット6に流れている状態では、冷却水はラジェータ34にも流れている。
(2).冷却系統の具体的な構造
次に、冷却系統(特にヘッドジャケット7)の具体的な構造を、図3以下の図面も参照して説明する。本実施形態の内燃機関は3気筒であり、そこで、図4から理解できるように、ブロックジャケット6は3つの気筒を囲う形態になっており、シリンダブロック1の一端面1aの側において隣り合った2つの吸気ポートの間の部位に、ブロック行き送水口17を設けている。図3のとおり、ブロック行き送水口17は上下に長い形態になっており、図1に示した第2制御弁24は、例えばブロック行き送水口17の始端に設けている。
次に、冷却系統(特にヘッドジャケット7)の具体的な構造を、図3以下の図面も参照して説明する。本実施形態の内燃機関は3気筒であり、そこで、図4から理解できるように、ブロックジャケット6は3つの気筒を囲う形態になっており、シリンダブロック1の一端面1aの側において隣り合った2つの吸気ポートの間の部位に、ブロック行き送水口17を設けている。図3のとおり、ブロック行き送水口17は上下に長い形態になっており、図1に示した第2制御弁24は、例えばブロック行き送水口17の始端に設けている。
例えば図4に示すように(図5,8も参照)、ブロックジャケット6のうち、ヘッド行き送水路16及びブロック行き送水口17と反対側の部位に、5つの第3連通路14を設けている。図3及び図5とから理解できるように、ヘッド行き送水路16は、シリンダブロック1のうち、ブロック行き送水口17よりもフロントカバー5に寄った位置に設けており、上下長手の形態を成している。図1に示した第1制御弁23は、シリンダブロック1に埋め込むことが可能である。
図3から理解できるように、ヘッド行き送水路16はブロックジャケット6の外側に位置しており、シリンダブロック1のコーナー寄りに配置している(従って、端のシリンダボアから遠のいた位置に設けている。)。
図3,4,6では、ポンプ戻り管29に接続されてヘッド行き送水路16及びブロック行き送水口17に連通した流路38を表示しているが、この流路38はウォータポンプ19の内部に形成されている。従って、流路38はウォータポンプ19の一部を成すものである。そして、流路38は、クランク軸線39の方向に長い上水平部38aを有しており、上水平部38aに設けた2つの吐出穴が、それぞれヘッド行き送水路16とブロック行き送水口17とに連通している。従って、ヘッド行き送水路16とブロック行き送水口17とは、シリンダブロック1の一側面と上面とに開口している。
ウォータポンプ19に1本の吐出口を設けて、3方弁の2つの出口ポートに、ヘッド行き送水路16とブロック行き送水口17とを接続してもよい。この場合は、制御弁は1つになるので構造が簡単になる。
図3や図5等に明示するように、ヘッドジャケット7を構成する先行ジャケット8は、フロントカバー5に近接した部位に位置して、クランク軸線39と直交した短手方向40に細長い形態になっており、先行ジャケット8のうち、シリンダヘッド2の長手一側面2bの側の冷却水入口8aに、ヘッド行き送水路16を連通させている。
図9に示すように、シリンダヘッド2の長手一側面2bには、1つの気筒に対応して2つずつの吸気ポート41が開口していると共に、吸気マニホールド36(図8参照)が固定されている(図8の符号36′はサージタンクである。)。更に、シリンダヘッド2には、吸気ポート41の開口端を開閉する吸気弁の弁軸42が摺動自在に装着されている。また、シリンダヘッド2には、排気ポートの開口端を開閉する吸気弁の弁軸43が摺動自在に装着されている。なお、図9では、吸気ポート41とメインジャケット上層部11とを連通した状態に描いているが、これは両者の重なり関係を表示するための便宜的な措置であり、実際には、両者は壁で区切られている。
本実施形態の吸気ポート41は、吸気を弁軸42の軸心回りに旋回させて燃焼室にスワール流を発生させるヘリカルポートになっている。そこで、吸気ポート41の終端部は巻き構造になっていると共に、平断面視で、クランク軸線39と直交した線に対して傾斜させている。
また、本実施形態では、図8に模式的に線のみで示すように、排気ポート44はシリンダヘッド2の内部において1つの排気集合通路45に集合しており、従って、シリンダヘッド2の長手他側面2cには1つの排気穴が空いているだけである。また、内部に集合通路45を設けているため、シリンダヘッド2は長手他側面2cの側が厚くなっている。
図9に示すように、メインジャケット上層部11の箇所には、吸気弁の弁軸42が嵌まっている第1アイランド部46と、排気弁の弁軸43が嵌まっている第2アイランド部47とが、メインジャケット9を上下に貫通した状態に形成されている。なお、実際には弁軸42,43はガイド筒にスライド自在に嵌まっているが、ガイド筒は省略している。
更に、シリンダヘッド2には、燃料噴射弁(又は点火プラク)48を取り付けるためのセンターアイランド部49がメインジャケット7を上下に貫通する状態(柱状の状態)で形成されており、一対の第1アイランド部46のうち出口56の側の第1アイランド部46とセンターアイランド49とは、一体に繋がっている。他方、第2アイランド部45はそれぞれ独立している。
シリンダヘッド2は、気筒列を挟んだ両側において、左右4本ずつのヘッドボルト50でシリンダブロック1に締結されている。8本のヘッドボルト50のうち吸気側の4本は、シリンダヘッド2の長手一側面2bを構成する長手一側肉部51に貫通しており、排気側の4本のヘッドボルト50は、ヘッドジャケット7を貫通した第3アイランド部52に設けている。
図8に示すように、メインジャケット下層部10と先行ジャケット8とは、端に位置した第3アイランド部52と長手一側肉部51とを繋ぐ壁部53で仕切られている。また、先行ジャケット8から離れた2つの第3アイランド部52の間には、第1補助アイランド部54が形成されている。
図8に示すように、メインジャケット下層部10では、一対の吸気弁軸42に対応した2つの第1アイランド部46とセンターアイランド部49とが集合アイランド部55に一体化している。また、メインジャケット下層部10では、前後中央部の第3アイランド部52と出口56の側に位置した1つの第3アイランド部52とに、吸気側に向けて延びる横向き延長部52aと、先行ジャケット8の側に延びる縦向き延長部52bとを一体に設けている。このため、メインジャケット下層部10では、2つの第3アイランド部52が略L形を成している。
図8では、第2連通路13は網かけ表示で位置を明示している。他方、第3連通路14はドット表示で位置を明示している。この図8に示すように、第3連通路14は排気側に寄せて、第2連通路13は吸気側に寄せている。従って、ブロックジャケット6からメインジャケット下層部10に上がってきた冷却水は、基本的には第2連通路13に向かう横向きの流れになっている。出口56に近い2つの第3連通路14の間には、第2補助アイランド部57を設けている。
メインジャケット下層部10のうち長手他側面2cの側の部分は、クランク軸線39方向(気筒列方向)に長い排気側流路60になっている。従って、シリンダヘッド2に排気集合通路45を設けたことでシリンダヘッド2が排気側で非常な高温になっても、的確に冷却できる。排気側流路60は出口56に連通している。
また、第1連通路12は排気側流路60の側に寄っているため、先行ジャケット8から流れてきた冷却水はまず排気側流路60に集中的に流れ、それから、横向き流路62を経由して吸気側流路61に向かうため、最も温度が高い排気側の箇所を適切に冷却できると共に、冷却水の早期昇温にも貢献できる。更に、昇温した冷却水が吸気側に流れるため、シリンダヘッドの排気側と吸気側との温度差を小さくできる利点もある。
他方、メインジャケット9のうち長手一側面2bの側の部分も、クランク軸線39方向に長い吸気側流路61になっており、吸気側流路61を集合アイランド部54に箇所で長手一側面2bの側に膨らませることでバッファ部58を設けている。バッファ部58の存在により、吸気側流路61における冷却水の流れを良くすることができる。
第3アイランド部52に縦向き延長部52bを設けたことで、中央部の気筒と先行ジャケット8の側の気筒とに対応した2つのエリアは排気側流路60に対して大きく遮られた状態になっており、かつ、第3アイランド部52に横向き延長部52aを設けたことで、隣り合った2つの気筒に対応したエリアの間に、排気側流路60と吸気側流路61とに連通した横向き流路62が形成されている。
横向き流路62は、端に位置した気筒に対応したエリアの外側にも存在している。従って、アイランド部の群は、排気側流路60と吸気側流路61と端の横向き流路63とでぐるりと囲われており、かつ、隣り合ったエリアの間では、は60と吸気側流路61とが中間の横向き流路63で繋がっている。
また、集合アイランド部55と第2アイランド部45は、各気筒に対応したエリアにそれぞれ存在しており、これら集合アイランド部55と第2アイランド部45の周囲は空洞になっているが、第3アイランド部52における縦長延長部52bと1つのアイランド部45との間には通路が空いているため、排気側流路60の冷却水は、集合アイランド部55と第2アイランド部45が存在するエリアにも直接流入する。
出口56に近い側のエリアでは、冷却水は排気側流路60から隣り合った第2アイランド部45の間からも直接流入するようになっている。第2連通路13は、端に位置した横向き流路62の箇所と、吸気側流路61と中間の横向き流路62とが交叉した箇所との4か所に設けている。
図9においても、第2連通路13は網かけ表示している。そして、第2連通路13は吸気側に寄っているので、メインジャケット上層部11に上がった冷却水は、基本的には排気側に向けて横向きに流れ、それから縦向きに流れを変えて出口56に向かうことになる。
そして、メインジャケット上層部11では、第1アイランド部46とセンターアイランド部49とからなるアイランド部と長手一側肉部51とにより、長手一側面2bの側に入り込んだ湾状部59が形成されている。このため、冷却水の一部は、いったん湾状部59に入り込んでからリターンして排気側に向かう。図5及び図8に示すように、先行ジャケット8は、フロントカバー5の側に位置した最端の2本のヘッドボルト50よりも外側(フロントカバー5の側)に位置している。
(3).まとめ・その他
シリンダヘッド2は、アルミを素材にして、中子が組み込まれた鋳型を使用して鋳造されるが、本実施形態ではメインジャケット9は上下の層に分かれているので、メインジャケット下層部10に相当する中子とメインジャケット上層部11に相当する中子とが使用される。
シリンダヘッド2は、アルミを素材にして、中子が組み込まれた鋳型を使用して鋳造されるが、本実施形態ではメインジャケット9は上下の層に分かれているので、メインジャケット下層部10に相当する中子とメインジャケット上層部11に相当する中子とが使用される。
そして、本実施形態では、図8から容易に理解できるように、メインジャケット下層部10が縦長の排気側流路60及び吸気側流路61を横向き流路62で繋いだ構造になっていることにより、メインジャケット下層部10を作るための中子はハシゴのような構造で繋がっている。このため、メインジャケット下層部10を作る中子は堅牢な構造になっている。従って、取り扱いが容易で鋳造の生産性を向上できと共に、高い精度を確保できる。
また、メインジャケット下層部10においては、冷却水は排気側流路60から横向き流路62等を介して吸気側流路60に流れるため、メインジャケット下層部10において冷却水は均等に混ざり合う。その結果、冷却水の温度のムラをなくして、シリンダヘッド2に熱ひずみが発生することを抑制できる。
しかも、横向き流路62を形成することのために第3アイランド部52に横向き延長部52と縦向き延長部52bとを形成したため、メインジャケット下層部10の床面と天井面とが広い範囲繋がることになる。その結果、シリンダヘッド2に高い剛性を保持させることができる。実施形態のように、各気筒に対応したエリアに、冷却水が横向き流路62からみのでなくダイレクトにも入る構成を採用すると、燃焼室の上の部分を効率よく冷却できて好適である。
また、メインジャケット上層部11において、第2連通路13から上がってきた冷却水を排気側に導く構成を採用すると、最も温度が高い排気側の部分が昇温した冷却水でまんべんなく冷却されるため、シリンダヘッド2の左右方向の熱膨張の違いをなだらかにして、シリンダヘッド2の熱ひずみを抑制できる利点がある。
本実施形態は、ヘッドジャケット7も2層式の2系統方式にしており、暖機運転時には冷却水の全量が先行ジャケット8を先に通るため、シリンダヘッド2の一端部2a′の冷却性を向上できる。このため、シリンダブロック1とシリンダヘッド2とフロントカバー5との三者の合わせ面の当たりからオイルが滲み出る現象を抑制できる。
つまり、シリンダヘッド2の一端部2a′の熱膨張量がシリンダブロック1及びフロントカバー5よりも大きいことに起因して、シリンダブロック1とシリンダヘッド2とフロントカバー5との三者の合わせ面の当たりにごく僅かながら隙間ができて、長期にわたって機関の運転・停止を繰り返していると、三者の合わせ面の当たりからオイルが滲み出ることがあるが、本実施形態では、シリンダヘッド2の一端部2a′を集中的に冷却できることで、当該シリンダヘッド2の一端部2a′を抑制できるため、隙間の発生を防止又は著しく抑制して、オイルが滲み出る現象を効果的に抑制できるのである。
また、本実施形態のようにヘッドジャケット7を2層方式にして、第1制御弁23の切り換えにより、メインジャケット上層部11のみに冷却水が流れる状態と、メインジャケット9の全体に冷却水が流れている状態とに切り換えると、きめ細かく制御できる利点である。
更に、実施形態のように、第3連通路14と第2連通路13とを左右に振り分けて配置すると、メインジャケット下層部10及びメインジャケット上層部11で冷却水は基本的に横向きの流れになって、それぞれのジャケットをまんべんなく流れるため、シリンダヘッド2をできるだけ均一に冷却できる利点である。
本願発明は、上記の他にも様々に具体化できる。例えば、先行ジャケットやメインジャケットの形態は様々に具体化できる。3気筒のみならず、2気筒又は4気筒以上の内燃機関にも適用できることはいうまでもない。横向き流路を形成する手段としては、専用の壁を設けてもよい。また、先行ジャケットを備えていないシリンダヘッドや、ヘッドジャケットを単層構造にしたシリンダヘッドにも適用できることはいうまでもない。
本願発明は、内燃機関のシリンダヘッドに具体化できる。従って、産業上利用できる。
1 シリンダブロック
2 シリンダヘッド
6 ブロックジャケット
7 ヘッドジャケット
8 先行ジャケット
9 メインジャケット
10 本願発明を適用したメインジャケット下層部
11 メインジャケット上層部
12 第1連通路
13 第2連通路
14 第3連通路
19 ウォータポンプ
23,24 制御弁
42 吸気弁軸
43 排気弁軸
45,46,47,49,52,55 アイランド部
52a,52b 横向き流路を作るための延長部
48 燃料噴射弁
60 排気側流路
61 吸気側流路
62 横向き流路
2 シリンダヘッド
6 ブロックジャケット
7 ヘッドジャケット
8 先行ジャケット
9 メインジャケット
10 本願発明を適用したメインジャケット下層部
11 メインジャケット上層部
12 第1連通路
13 第2連通路
14 第3連通路
19 ウォータポンプ
23,24 制御弁
42 吸気弁軸
43 排気弁軸
45,46,47,49,52,55 アイランド部
52a,52b 横向き流路を作るための延長部
48 燃料噴射弁
60 排気側流路
61 吸気側流路
62 横向き流路
Claims (2)
- 長手一側面を吸気側として長手他側面を排気側としてシリンダヘッドの内部に設けたヘッドジャケットに、当該ヘッドジャケットを上下に分断するアイランド部が複数の気筒ごとに形成されている構成であって、
前記ヘッドジャケットは、前記アイランド部の群を挟んで前記長手一側面の側で気筒列方向に延びる吸気側流路と、前記アイランド部の群を挟んで前記長手他側面の側で気筒列方向に延びる排気側流路と、前記各気筒ごとのアイランド部を挟んだ前後両側において前記吸気側流路と排気側流路とを繋ぐ横向き流路とを備えており、
冷却水は前記排気側流路に流入して横向き流路を経由して吸気側流路に流れるようになっている、
多気筒内燃機関のシリンダヘッド。 - 前記ヘッドジャケットは下層部と上層部との2層構造になっており、前記下層部が請求項1に記載した構成であり、前記下層部と上層部とは、前記吸気側流路と横向き流路とが交叉する部位に設けた連通路によって繋がっている、
請求項1に記載した多気筒内燃機関のシリンダヘッド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014067043A JP2015190352A (ja) | 2014-03-27 | 2014-03-27 | 多気筒内燃機関のシリンダヘッド |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014067043A JP2015190352A (ja) | 2014-03-27 | 2014-03-27 | 多気筒内燃機関のシリンダヘッド |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015190352A true JP2015190352A (ja) | 2015-11-02 |
Family
ID=54425071
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2014067043A Pending JP2015190352A (ja) | 2014-03-27 | 2014-03-27 | 多気筒内燃機関のシリンダヘッド |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2015190352A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019035365A (ja) * | 2017-08-15 | 2019-03-07 | 愛知機械工業株式会社 | シリンダヘッドおよびこれを備える内燃機関 |
-
2014
- 2014-03-27 JP JP2014067043A patent/JP2015190352A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019035365A (ja) * | 2017-08-15 | 2019-03-07 | 愛知機械工業株式会社 | シリンダヘッドおよびこれを備える内燃機関 |
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